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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】圧縮機及び冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/28 20060101AFI20230901BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20230901BHJP
   F04C 23/02 20060101ALI20230901BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20230901BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20230901BHJP
   H02K 21/14 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
H02K3/28
F04B39/00 106C
F04C23/02 F
F04C29/00 T
H02K7/14 Z
H02K21/14 M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020526512
(86)(22)【出願日】2018-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 CN2018102029
(87)【国際公開番号】W WO2019134373
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-05-14
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】201820007473.8
(32)【優先日】2018-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810308108.5
(32)【優先日】2018-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810005375.5
(32)【優先日】2018-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201820487751.4
(32)【優先日】2018-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516265089
【氏名又は名称】広東美芝制冷設備有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】▲喬▼ 正忠
(72)【発明者】
【氏名】徐 ▲飛▼
(72)【発明者】
【氏名】邱 小▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】毛 ▲臨▼▲書▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 超▲叢▼
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】山崎 孔徳
【審判官】柿崎 拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-246674(JP,A)
【文献】特開2016-99029(JP,A)
【文献】特開2016-131444(JP,A)
【文献】特開2016-158418(JP,A)
【文献】特開平4-281383(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107171522(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続アセンブリと、コントローラと、ACドライブとを含む冷却装置に用いられる圧縮機において、
第1のケースと、
前記第1のケース内に設けられ且つ前記接続アセンブリの他端に接続される永久磁石モータと、を含み、
前記永久磁石モータの臨界回転数はn0であり、
前記永久磁石モータの極数はPであり、
前記永久磁石モータの巻線がスター接続されている場合、
前記ACドライブの母線電圧はUdcであり、
前記永久磁石モータの無負荷逆起電力係数はE0であり、
前記永久磁石モータのプリセット回転数がn1である場合、前記永久磁石モータの直軸インダクタンスはLdであり、前記ACドライブの出力電流はI1であり、
前記コントローラは、前記接続アセンブリ、前記ACドライブ及び前記圧縮機に接続され、
前記E0、前記P、前記I1、前記Ld、前記n1及び前記Udcの関係は、(E0-P×I1×Ld)×n1≧0.6Udc(ここで、n1<n0、且つ、n0-n1≦1r/s)を満たすように、前記ACドライブと前記圧縮機を制御し、
前記臨界回転数である前記n0は、前記永久磁石モータの巻線の接続方式をスター接続からデルタ接続に切り替えるときの回転数であって、前記永久磁石モータの巻線がスター接続されている場合、永久磁石モータの回転数は前記n0より小さく、前記永久磁石モータの巻線がデルタ接続されている場合、永久磁石モータの回転数は前記n0より大きい、
前記接続アセンブリは、前記永久磁石モータの巻線のスター接続とデルタ接続との切り替えを実現する切り替えスイッチを含み、
前記n1は、予め前記コントローラに設定された回転数である、
ことを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
前記n0の値の範囲は、n0≧40r/sであることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記永久磁石モータは、3相永久磁石モータであることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記永久磁石モータは、
ステータコア及び前記ステータコアに巻回される前記巻線を備えるステータと、
前記ステータの収容室に配置され、ロータコア及び前記ロータコアに配置される永久磁石を備えるロータと、を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧縮機。
【請求項5】
請求項1に記載の圧縮機を備えている冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年04月08日に中国特許庁に提出された、出願番号が「201810308108.5」であり、発明の名称が「圧縮機及び冷却装置」である中国発明出願と、2018年01月03日に中国特許庁に提出された、出願番号が「201810005375.5」であり、発明の名称が「圧縮機及び冷却装置」である中国発明出願と、2018年04月08日に中国特許庁に提出された、出願番号が「201820487751.4」であり、発明の名称が「圧縮機及び冷却装置」である中国実用新案出願と、2018年01月03日に中国特許庁に提出された、出願番号が「201820007473.8」であり、発明の名称が「圧縮機及び冷却装置」である中国実用新案出願との優先権を主張し、その内容の全てを援用することにより本願に取り入れる。
【0002】
本発明は、圧縮機の製造技術の分野に関し、具体的には、圧縮機及び冷却装置に関する。
【背景技術】
【0003】
圧縮機は冷却装置の重要で中核をなす部材であり、関連技術では、圧縮機のモータが低速で作動する場合に圧縮機のステータの巻線がスター接続され、圧縮機のモータが高速で作動する場合に圧縮機のステータの巻線がデルタ接続されるという巻線切り替え方法が提案されている。しかしながら、関連技術では、圧縮機のモータに関するパラメータ設計方法に関するものがなく、モータ設計方法が適切でないと、モータの総合効率が低く、速度拡張範囲が小さく、ユーザ体験が悪くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、先行技術又は関連技術に存在する技術的問題の少なくとも1つを解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明の第1の態様は圧縮機を提供する。
【0006】
本発明の第2の態様は冷却装置を提供する。
【0007】
これに鑑みて、本発明の第1の態様は、接続アセンブリと、接続アセンブリの一端に接続されるACドライブとを含む冷却装置に用いられる圧縮機を提供し、圧縮機は、第1のケースと、第1のケース内に設けられ且つ接続アセンブリの他端に接続される永久磁石モータと、を含み、永久磁石モータの臨界回転数はn0であり、永久磁石モータの極数はPであり、永久磁石モータの巻線がスター接続されている場合、ACドライブの母線電圧はUdcであり、永久磁石モータの無負荷逆起電力係数はE0であり、永久磁石モータのプリセット回転数がn1である場合、永久磁石モータの直軸インダクタンスはLdであり、ACドライブの出力電流はI1であり、E0、P、I1、Ld、n1及びUdcの関係は、(E0-P×I1×Ld)×n1≧0.6Udc(ここで、n1<n0、且つ、n0-n1≦1r/s)を満たし、永久磁石モータの巻線がスター接続されている場合、永久磁石モータの回転数はn0より小さい。
【0008】
本発明が提供する圧縮機の永久磁石モータの臨界回転数はn0であり、永久磁石モータの巻線がスター接続されている場合、永久磁石モータの回転数はn0より小さく、永久磁石モータの巻線がデルタ接続されている場合、永久磁石モータの回転数はn0より大きい。永久磁石モータの巻線がデルタ接続されている上で、E0、P、I1、Ld、n1及びUdcの関係を(E0-P×I1×Ld)×n1≧0.6Udcを満たすように適切に設定することにより、永久磁石モータは、低速回転時・高速回転時に同様に高効率の性能を有し、製品が全帯域で高い性能を有するという目的を実現する。さらに、回転数n1<n0、且つn0-n1≦1r/sとなるように、プリセット回転数n1を適切に設定することにより、臨界回転数n0に近い回転数n1では、巻線のスター接続モードでの永久磁石モータは、一定の弱め磁束角を有し、回転数の増加に伴って永久磁石モータの性能が低下し、永久磁石モータの回転数が臨界回転数n0より大きく、且つ臨界回転数n0に非常に近い時、巻線のデルタ接続モードでの永久磁石モータは弱め磁束を呈し、回転数の増加に伴って永久磁石モータの性能が上昇して臨界回転数n0付近でスター接続されている時に一定の弱め磁束深さを有し、デルタ接続されている時に磁界を弱めることなく永久磁石モータの回転数が増加する特定の範囲を有することを確保し、永久磁石モータの巻線の接続方式を切り替えると、切り替えがスムーズになり、衝撃を大幅に減らし、移行をより安定化させ、製品の動作エネルギー効率を向上させ、製品の使用性及び市場競争力を向上させる。
【0009】
本発明に係る上記の圧縮機は、以下の付加的な技術的特徴をさらに有してもよい。
【0010】
上記技術的手段において、n0の値の範囲は、n0≧40r/sであることが好ましい。
【0011】
当該技術的手段では、臨界回転数n0の値をn0≧40r/sの範囲に適切に設定することにより、永久磁石モータの回転数が臨界回転数n0内にある時、巻線をスター接続とした永久磁石モータの効率が低下モードにあり、且つ、巻線をデルタ接続とした永久磁石モータの効率が上昇モードにあるので、製品が全帯域で高い性能を有することを確保しつつ、永久磁石モータの巻線の接続方式を上記領域内で切り替えると、切り替えがスムーズになり、衝撃を大幅に減らし、移行をより安定化させ、製品の動作エネルギー効率を向上させ、製品の使用性及び市場競争力を向上させる。
【0012】
上記いずれの技術的手段においても、永久磁石モータは、3相永久磁石モータであることが好ましい。
【0013】
当該技術的手段において、永久磁石モータは、3相永久磁石モータに限定されず、ほかの多相永久磁石モータであってもよい。
【0014】
上記いずれの技術的手段においても、好ましくは、永久磁石モータは、ステータコア及びステータコアに巻回される巻線を備えるステータと、ステータの収容室に配置され、ロータコア及びロータコアに配置される永久磁石を備えるロータと、を含む。
【0015】
当該実施例では、ステータは、ステータコアと巻線を含み、巻線をステータコアに巻回することにより、圧縮機の作動時にステータは静止し、巻線に電流が流れるとステータは磁界を発生する。ロータは、ロータコアと、磁極が変化しない永久磁石と、を含み、永久磁石をロータコアに配置することにより、圧縮機の作動時にロータがステータの収容室に配置され、ステータが回転磁界を発生し、回転磁界中でロータが磁力線によって切断されて出力電流が発生し、圧縮機の作動に動力を与える。
【0016】
上記いずれの技術的手段においても、ステータの巻線は、3相のステータの巻線であり、各相のステータの巻線はヘッド継手及びテール継手を含み、全てのヘッド継手が圧縮機の一方の結線端子に接続され、全てのテール継手が圧縮機の他方の結線端子に接続されることが好ましい。
【0017】
当該実施例では、各相のステータの巻線はヘッド継手及びテール継手を含み、3相のステータの巻線の全てのヘッド継手と圧縮機の一方の結線端子とを接続し、3相のステータの巻線の全てのテール継手と圧縮機の他方の結線端子とを接続し、接続アセンブリを圧縮機の2つの結線端子にそれぞれ接続することにより、スター接続やデルタ接続などの巻線の異なる接続方式を接続アセンブリの異なる動作で実現することができる。
【0018】
上記いずれの技術的手段においても、永久磁石は希土類永久磁石であり、あるいは永久磁石はフェライト永久磁石であることが好ましい。
【0019】
上記いずれの技術的手段においても、ロータコアは、少なくとも1つのスロットを含み、全てのスロットは、ロータコアの周方向に間隔をあけて配置され、スロット内に永久磁石が配置されることが好ましい。
【0020】
当該技術的手段では、ロータの永久磁石の配置スキームが特に規定される。ロータコアにスロットを形成することにより、永久磁石の取り付け位置を確保することができ、永久磁石の位置決めと組み立てが容易となる。また、該構成は加工工程が少なく、加工方法が簡単で、生産コストが低く、量産に適している。
【0021】
上記いずれの技術的手段においても、好ましくは、永久磁石は、円筒形状であり、永久磁石は、ロータコアの外壁に外嵌される。
【0022】
当該技術的手段では、ロータの永久磁石の配置スキームが特に規定される。ロータコアの外壁に永久磁石を外嵌することにより、ロータコアが支えとなり、永久磁石の位置決めと組み立てが容易となる。また、該構成は加工工程が少なく、加工方法が簡単で、生産コストが低く、量産に適している。
【0023】
本発明の第2の態様が提供する冷却装置は、第2のケースと、第2のケース内に設けられるACドライブと、第1の態様のいずれの技術的手段に記載の第2のケース内に設けられる圧縮機と、第2のケース内に設けられ、ACドライブ及び圧縮機にそれぞれ接続される接続アセンブリと、第2のケース内に設けられ、接続アセンブリ、ACドライブ及び圧縮機に接続され、E0、P、I1、Ld、n1、及びUdcの関係が(E0-P×I1×Ld)×n1≧0.6Udcを満たすように、ACドライブと圧縮機を制御するコントローラと、を含む。
【0024】
本発明に係る冷却装置は、第2のケースと、ACドライブと、圧縮機と、接続アセンブリと、コントローラとを含む。コントローラを設定することにより、永久磁石モータの巻線はスター接続され、コントローラは、E0、P、I1、Ld、n1、及びUdcの関係が(E0-P×I1×Ld)×n1≧0.6Udcを満たすようにACドライブと圧縮機を制御することで、永久磁石モータの回転数が臨界回転数に極めて近いとき、巻線をスター接続とした永久磁石モータが一定の弱め磁束深さを有し、巻線をデルタ接続とした永久磁石モータが当該弱め磁束領域内に入らないようにして、製品が全帯域で高い性能を有することを確保し、永久磁石モータの巻線の接続方式の切り替えに停滞がなく、よりスムーズな切り替え、移行の滑らかさを確保する。
【0025】
上記技術的手段において、ACドライブの入力電流が交流電力である場合、ACドライブは、整流器と、整流器に接続されるインバータとを含むことが好ましい。
【0026】
当該技術的手段では、ACドライブの入力電流の特性に応じてACドライブの構成が決定され、ACドライブの入力電流が交流電力である場合には、ACドライブは、整流器とインバータとを含み、ACドライブの入力電流が整流器によってフィルタリングされた後、交流電力が直流電力に変換し、直流電力がインバータに供給される。
【0027】
上記いずれの技術的手段においても、ACドライブの入力電流が直流電力である場合、ACドライブはインバータを含むことが好ましい。
【0028】
当該技術的手段では、ACドライブの入力電流の特性に応じてACドライブの構成が決定され、ACドライブの入力電流が直流電力である場合には、ACドライブはインバータを含み、インバータにより直流電力を交流電力に変換する。
【0029】
上記いずれの技術的手段においても、接続アセンブリは、永久磁石モータの巻線のスター接続とデルタ接続との切り替えを実現する切り替えスイッチを含むことが好ましい。
【0030】
当該技術的手段では、切り替えスイッチを設け、切り替えスイッチのオン又はオフにより永久磁石モータの巻線とACドライブとの接続状態を実現し、ひいては永久磁石モータの巻線のスター接続及び永久磁石モータの巻線のデルタ接続を実現する。また、該構成は加工、取り付け、及びその後の取り外し、交換が容易であり、交換性が高い。
【0031】
上記いずれの技術的手段においても、冷却装置は、第2のケース内に設けられ、コントローラ及び圧縮機に接続される検出装置をさらに含むことが好ましい。
【0032】
当該技術的手段では、第2のケース内に検出装置を設け、検出装置により永久磁石モータの回転数をリアルタイムで検出し、永久磁石モータの回転数がプリセット回転数n1に達したか否かをコントローラが判断することにリアルタイムのデータを提供し、コントローラが他の構成要素の動作を正確且つ適時に制御しやすく、製品の使用に対する信頼性及び精度を確保する。
【0033】
本発明の付加的な態様及び利点は、次の説明によって明らかになり、又は本発明を実施することで理解される。
【0034】
本発明に係る上記の及び/又は附加的な態様及び利点は、下記の図面と結び付けて実施例を説明する過程で明らかで理解しやすいものになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施例に係るACドライブ、永久磁石モータ及び切り替えスイッチの構造を概略的に示す図である。
図2】本発明の第1の実施例に係る永久磁石モータの外部結線の構造を概略的に示す図である。
図3】本発明の第1の実施例に係る永久磁石モータの巻線の構造を概略的に示す図である。
図4】本発明の第2の実施例に係る永久磁石モータの外部結線の構造を概略的に示す図である。
図5】本発明の第2の実施例に係る永久磁石モータの巻線の構造を概略的に示す図である。
図6】本発明の一実施例に係る永久磁石モータの断面図である。
図7】本発明の一実施例に係る圧縮機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の上記の目的、特徴及び利点の理解を深めるために、次に、図面及び具体的な実施形態と結び付けて本発明をより詳細に説明する。なお、矛盾が生じない限り、本願の実施例及び実施例に係る特徴は互いに組み合わせることができる。
【0037】
下記の説明において本発明の充分な理解のために多くの具体的且つ詳細な内容を記載しているが、本発明はここで説明されているものと違う形態によって実施されてもよく、本発明の保護範囲は以下に記載の具体的な実施例に限定されない。
【0038】
以下、図1図7を参照して、本発明のいくつかの実施例に係る圧縮機1及び冷却装置について説明する。
【0039】
図1図3に示すように、本発明の第1の態様の実施例は、接続アセンブリと、接続アセンブリの一端に接続されるACドライブ10とを含む冷却装置に用いられる圧縮機1を提供し、圧縮機1は、第1のケースと、第1のケース内に設けられ且つ接続アセンブリの他端に接続される永久磁石モータ20と、を含み、永久磁石モータ20の臨界回転数はn0であり、永久磁石モータ20の極数はPであり、永久磁石モータ20の巻線206がスター接続されている場合、ACドライブ10の母線電圧はUdcであり、永久磁石モータ20の無負荷逆起電力係数はE0であり、永久磁石モータ20のプリセット回転数がn1である場合、永久磁石モータ20の直軸インダクタンスはLdであり、ACドライブ10の出力電流はI1であり、E0、P、I1、Ld、n1及びUdcの関係は、(E0-P×I1×Ld)×n1≧0.6Udc(ここで、n1<n0、且つ、n0-n1≦1r/s)を満たし、永久磁石モータ20の巻線206がスター接続されている場合、永久磁石モータ20の回転数はn0より小さい。
【0040】
本発明にて提供される圧縮機1の永久磁石モータ20の臨界回転数はn0であり、永久磁石モータ20の巻線206がスター接続されている場合、永久磁石モータ20の回転数はn0より小さく、永久磁石モータ20の巻線206がデルタ接続されている場合、永久磁石モータ20の回転数はn0より大きい。永久磁石モータ20の巻線206がデルタ接続されている上で、E0、P、I1、Ld、n1及びUdcの関係を(E0-P×I1×Ld)×n1≧0.6Udcを満たすように適切に設定することで、永久磁石モータ20は、低速回転時・高速回転時に同様に高効率の性能を有し、製品が全帯域で高い性能を有するという目的を実現する。さらに、回転数n1<n0、且つn0-n1≦1r/sとなるように、プリセット回転数n1を適切に設定することにより、臨界回転数n0に近い回転数n1では、巻線206のスター接続モードでの永久磁石モータ20は、一定の弱め磁束角を有し、回転数の増加に伴って永久磁石モータ20の性能が低下し、永久磁石モータ20の回転数が臨界回転数n0より大きく、且つ臨界回転数n0に非常に近い時、巻線206のデルタ接続モードでの永久磁石モータ20は弱め磁束を呈し、回転数の増加に伴って永久磁石モータ20の性能が上昇して臨界回転数n0付近でスター接続されている時に一定の弱め磁束深さを有し、デルタ接続されている時に磁界を弱めることなく永久磁石モータ20の回転数が増加する特定の範囲を有することを確保し、永久磁石モータ20の巻線206の接続方式を切り替えると、切り替えがスムーズになり、衝撃を大幅に減らし、移行をより安定化させ、製品の動作エネルギー効率を向上させ、製品の使用性及び市場競争力を向上させる。具体的には、臨界回転数n0の単位はrpsであり、母線電圧Udcの単位はVであり、無負荷逆起電力係数E0の単位はV/rpsであり、プリセット回転数n1の単位はrpsであり、直軸インダクタンスLdの単位はHであり、出力電流I1の単位はAである。
【0041】
具体的な実施例では、図1に示すように、切り替えスイッチ40は6つを有し、それぞれはS1、S2、S3、S4、S5、及びS6である。永久磁石モータ20は、ACドライブ10によって電力を供給し、且つ接続アセンブリに6つの切り替えスイッチ40が設けられている。図2及び図3に示すように、S1、S2、及びS3がオンになり、S4、S5、及びS6がオフになると、永久磁石モータ20の巻線206はスター接続される。図4及び図5に示すように、S1、S2、及びS3がオフになり、S4、S5、及びS6がオンになると、永久磁石モータ20の巻線206はデルタ接続される。
【0042】
本発明の一実施例では、n0の値の範囲は、n0≧40r/sであることが好ましい。
【0043】
当該実施例では、臨界回転数n0の値をn0≧40r/sの範囲に適切に設定することにより、永久磁石モータ20の回転数が臨界回転数n0内にある時、巻線206をスター接続とした永久磁石モータ20の効率が低下モードにあり、且つ、巻線206をデルタ接続とした永久磁石モータ20の効率が上昇モードにあるので、製品が全帯域で高い性能を有することを確保しつつ、永久磁石モータ20の巻線206の接続方式を上記領域内で切り替えると、切り替えがスムーズになり、衝撃を大幅に減らし、移行をより安定化させ、製品の動作エネルギー効率を向上させ、製品の使用性及び市場競争力を向上させる。
【0044】
本発明の一実施例では、永久磁石モータ20は、3相永久磁石モータであることが好ましい。
【0045】
当該実施例では、永久磁石モータ20は、3相永久磁石モータに限定されず、他の多相永久磁石モータであってもよい。
【0046】
本発明の一実施例では、図6に示すように、好ましくは、永久磁石モータ20は、ステータコア204及びステータコア204に巻回される巻線206を備えるステータ202と、ステータ202の収容室に配置される、ロータコア210及びロータコア210上に配置される永久磁石212を備えるロータ208と、を含む。
【0047】
当該実施例では、ステータ202は、ステータコア204と巻線206を含み、巻線206をステータコア204に巻回することにより、圧縮機1の作動時にステータ202は静止し、巻線206に電流が流れるとステータ202は磁界を発生する。ロータ208は、ロータコア210と、磁極が変化しない永久磁石212と、を含み、永久磁石212をロータコア210に配置することにより、圧縮機1の作動時にロータ208がステータ202の収容室に配置され、ステータ202が回転磁界を発生し、回転磁界中でロータ208が磁力線によって切断されて出力電流が発生し、圧縮機1の作動に動力を与える。
【0048】
本発明の一実施例では、ステータ202の巻線206は、3相のステータの巻線であり、各相のステータ202の巻線206はヘッド継手214及びテール継手216を含み、全てのヘッド継手214が圧縮機1の一方の結線端子に接続され、全てのテール継手216が圧縮機1の他方の結線端子に接続されることが好ましい。
【0049】
当該実施例では、各相のステータ202の巻線206はヘッド継手214及びテール継手216を含み、3相のステータの巻線の全てのヘッド継手214と圧縮機1の一方の結線端子とを接続し、3相のステータの巻線の全てのテール継手216と圧縮機1の他方の結線端子とを接続し、接続アセンブリを圧縮機1の2つの結線端子にそれぞれ接続することにより、スター接続やデルタ接続などの巻線206の異なる接続方式を接続アセンブリの異なる動作で実現することができる。
【0050】
具体的な実施例では、永久磁石212は希土類永久磁石であり、あるいは永久磁石212はフェライト永久磁石である。
【0051】
具体的な実施例では、ロータコア210は、少なくとも1つのスロットを含み、全てのスロットは、ロータコア210の周方向に間隔をあけて配置され、スロット内に永久磁石212が配置される。ロータ208の永久磁石212の配置スキームが特に規定される。ロータコア210にスロットを形成することにより、永久磁石212の取り付け位置を確保することができ、永久磁石212の位置決めと組み立てが容易となる。また、該構成は加工工程が少なく、加工方法が簡単で、生産コストが低く、量産に適している。
【0052】
具体的な実施例では、永久磁石212は、円筒形状であり、永久磁石212は、ロータコア210の外壁に外嵌される。ロータ208の永久磁石212の配置スキームが特に規定される。ロータコア210の外壁に永久磁石212を外嵌することにより、ロータコア210が支えとなり、永久磁石212の位置決めと組み立てが容易となる。また、該構成は加工工程が少なく、加工方法が簡単で、生産コストが低く、量産に適している。
【0053】
具体的な実施例では、図6に示すように、永久磁石モータ20は、9スロット6極構造である。一例として各相の巻線206を直列にとると、各相の巻線206はヘッド継手214及びテール継手216を有し、ヘッド継手214及びテール継手216はそれぞれリード線に接続される。各相の巻線206の継手は、実際の用途に応じて、2k個(k=1、2…)を有してもよい。
【0054】
図7に示すように、本発明の第2の態様の実施例は、冷却装置をさらに提供し、当該冷却装置は、第2のケース30と、第2のケース30内に設けられるACドライブ10と、第1の態様のいずれの技術的手段に記載の、第2のケース30内に設けられる圧縮機1と、第2のケース30内に設けられ、ACドライブ10及び圧縮機1にそれぞれ接続される接続アセンブリと、第2のケース30内に設けられ、接続アセンブリ、ACドライブ10及び圧縮機1に接続され、E0、P、I1、Ld、n1、及びUdcの関係が(E0-P×I1×Ld)×n1≧0.6Udcを満たすように、ACドライブ10と圧縮機1を制御するために用いられるコントローラと、を含む。
【0055】
本発明に係る冷却装置は、第2のケース30と、ACドライブ10と、圧縮機1と、接続アセンブリと、コントローラとを含む。コントローラを設定することにより、永久磁石モータ20の巻線206はスター接続され、コントローラは、E0、P、I1、Ld、n1、及びUdcの関係が(E0-P×I1×Ld)×n1≧0.6Udcを満たすようにACドライブ10と圧縮機1を制御することで、永久磁石モータ20の回転数が臨界回転数に極めて近いとき、巻線206をスター接続とした永久磁石モータ20が一定の弱め磁束深さを有し、巻線206をデルタ接続とした永久磁石モータ20が当該弱め磁束領域内に入らないようにして、製品が全帯域で高い性能を有することを確保し、永久磁石モータ20の巻線206の接続方式の切り替えに停滞がなく、よりスムーズな切り替え、移行の滑らかさを確保する。
【0056】
本発明の一実施例において、図1に示すように、ACドライブ10の入力電流が交流電力である場合、ACドライブ10は、整流器102と、整流器102に接続されるインバータ104とを含むことが好ましい。
【0057】
当該実施例において、ACドライブ10の入力電流の特性に応じてACドライブ10の構成が決定され、ACドライブ10の入力電流が交流電力である場合には、ACドライブ10は、整流器102とインバータ104とを含み、ACドライブ10の入力電流が整流器102によってフィルタリングされた後、交流電力が直流電力に変換し、直流電力がインバータ104に供給される。
【0058】
本発明の一実施例において、ACドライブ10の入力電流が直流電力である場合、ACドライブ10はインバータ104を含むことが好ましい。
【0059】
当該実施例において、ACドライブ10の入力電流の特性に応じてACドライブ10の構成が決定され、ACドライブ10の入力電流が直流電力である場合には、ACドライブ10はインバータ104を含み、インバータ104により直流電力を交流電力に変換する。
【0060】
本発明の一実施例において、図1に示すように、接続アセンブリは、永久磁石モータ20の巻線206のスター接続とデルタ接続との切り替えを実現するために用いられる切り替えスイッチ40を含むことが好ましい。
【0061】
当該実施例において、切り替えスイッチ40を設け、切り替えスイッチ40のオン又はオフにより永久磁石モータ20の巻線206とACドライブ10との接続状態を実現し、ひいては永久磁石モータ20の巻線206のスター接続及び永久磁石モータ20の巻線206のデルタ接続を実現する。また、該構成は加工、取り付け、及びその後の取り外し、交換が容易であり、交換性が高い。
【0062】
本発明の一実施例では、冷却装置は、第2のケース30内に設けられ、コントローラ及び圧縮機1に接続される検出装置をさらに含むことが好ましい。
【0063】
当該実施例において、第2のケース30内に検出装置を設け、検出装置により永久磁石モータ20の回転数をリアルタイムで検出し、永久磁石モータ20の回転数がプリセット回転数n1に達したか否かをコントローラが判断することにリアルタイムのデータを提供し、コントローラが他の構成要素の動作を正確且つ適時に制御しやすく、製品の使用に対する信頼性及び精度を確保する。
【0064】
本発明において、用語「複数」は、特に明記しない限り、2つ以上を指す。用語「取り付ける」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語は広い意味で理解されるべきである。例えば、「接続」と言っても、固定して接続されていてもよいし、取り外し可能に接続されていてもよいし、又は一体的に接続されていてもよい。「連結」と言っても、直接的に接続されていてもよいし、中間の媒介を介して間接的に接続されていてもよい。当業者にとって、具体的な状況に基づいて本発明における上記の用語の具体的な意味を理解することができる。
【0065】
本明細書の説明において、「1つの実施例」、「いくつかの実施例」、「具体例」などが含まれている説明は、当該実施例又は例を用いて説明された具体的な特徴、構造、材料又は利点は本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれていることが意図されるものである。本明細書において、上記の用語に関する例示的な記載は、必ずしも同一の実施例又は例に対して言うものとは限らない。また、説明されている具体的な特徴、構造、材料又は利点は任意の1つ以上の実施例もしくは例において適切な方式で組み合わせることができる。
【0066】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではない。当業者であれば、本発明に様々な修正や変更が可能である。本発明の精神や原則内での全ての修正、置換、改善などは、本発明の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
図1図7における各符号と部材名称と間の対応関係は以下のとおりである。
1 圧縮機
10 ACドライブ
102 整流器
104 インバータ
20 永久磁石モータ
202 ステータ
204 ステータコア
206 巻線
208 ロータ
210 ロータコア
212 永久磁石
214 ヘッド継手
216 テール継手
30 第2のケース
40 切り替えスイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7