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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】自己調整するツールガイド
(51)【国際特許分類】
   B25H 5/00 20060101AFI20230901BHJP
   B23B 45/14 20060101ALI20230901BHJP
   B62K 17/00 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
B25H5/00 Z
B23B45/14
B62K17/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020527870
(86)(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 EP2018079789
(87)【国際公開番号】W WO2019101481
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2020-05-19
(31)【優先権主張番号】17203218.7
(32)【優先日】2017-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Hilti Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100,9494 Schaan,Liechtenstein
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, ペール
(72)【発明者】
【氏名】ブララ, ダリオ
(72)【発明者】
【氏名】カンドチコ, ゼルヘイ
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第000029709281(DE,U1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0007425(US,A1)
【文献】特開平06-108662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25H 5/00
B23B 45/14
B62K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井を機械加工するための手持ちの機械ツール装置(6)を支持しつつ、直立状態を維持するように自己調整するツールガイド(1)であって、
前記機械ツール装置(6)を固定するためのマウント(5)と、
昇降機構(7)であって、その上に前記マウント(5)が装着され、昇降軸(25)に対して平行に前記マウント(5)を昇降するための推進ユニット(24)を有する、昇降機構(7)と、
シャーシ(8)であって、1つのホイール軸(28)上にホイール(27)を2つ、有し、前記ホイール(27)に連結された駆動装置(21)、およびステアリングシステム(20)を有し、また、前記昇降機構(7)はシャーシ(8)に堅固に装着されている、シャーシ(8)と、
前記ホイール軸(28)に対する前記昇降機構(7)の重心(G)の水平方向の偏心(x)を検出するための重心センサ(34)と、を有し、
前記ステアリングシステム(20)は、前記機械ツール装置(6)が天井に接触してない条件下において、動的平衡化の動作として、前記重心センサ(34)からの信号に基づいて前記駆動装置(21)を制御し、前記直立状態を維持するために、前記偏心(x)を打ち消すトルクを出力するように設定されおり、
前記ステアリングシステム(20)は、前記機械ツール装置(6)が天井に接触すると、前記動的平衡化の動作を停止し、前記ホイール(27)をブレーキ(53)でロックし、前記機械ツール装置(6)が天井に接触している間は、前記ツールガイド(1)は静止したままに保たれるよう構成されている、
ツールガイド(1)。
【請求項2】
前記ツールガイド(1)が、正確に2つのホイール(27)を有することを特徴とする、請求項1に記載のツールガイド(1)。
【請求項3】
前記昇降機構(7)が、前記ホイール軸(28)の周りで枢動可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載のツールガイド(1)。
【請求項4】
前記ステアリングシステム(20)が、静止モード(S2)を有し、前記ステアリングシステム(20)が、前記駆動装置(21)を使用して重心(G)の平衡化をするように設定されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のツールガイド(1)。
【請求項5】
前記ステアリングシステム(20)が、前記駆動装置(21)を使用して前記昇降軸(25)を垂直に調整するように設定されていることを特徴とする、請求項4に記載のツールガイド(1)。
【請求項6】
前記昇降機構(7)が、前記駆動装置(21)の固定子(31)と堅固に連結されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のツールガイド(1)。
【請求項7】
前記マウント(5)が、前記マウント(5)に固定された前記機械ツール装置(6)の作業軸(18)を、前記ホイール軸(28)に対して垂直に配置するように設定されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のツールガイド(1)。
【請求項8】
前記マウント(5)が、前記昇降軸(25)に対して横方向に変位可能であることを特徴とする、請求項7に記載のツールガイド(1)。
【請求項9】
前記昇降機構(7)が、前記昇降軸(25)に沿った単一軸の、並進運動に限定されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のツールガイド(1)。
【請求項10】
前記ツールガイド(1)の前記ホイール軸(28)に対する前記昇降機構(7)の前記重心(G)の水平方向の偏心(x)を検出するステップと、
前記駆動装置(21)が、前記偏心(x)を打ち消すトルクを出力するように前記駆動装置(21)を作動させるステップと、を特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のツールガイド(1)の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己調整するツールガイドおよびツールガイドの制御方法に関する。
【0002】
吊り天井は、大規模な建物、具体的には、産業用および事務所用の建物では一般的な設計要素である。電気設備、換気システム、照明および遮音などの技術的設備は、シェル構造の天井と吊り天井の間に配置することができ、その後の点検およびメンテナンスのためにアクセスすることができる。設備と吊り天井の耐荷重下部構造は、シェル構造の天井に固定されたダボ、ねじ、または同様の要素で固定されている。吊り天井を構築するには、シェルの天井に穴が開けられ、そこでは、ダボが使用されてもよく、ねじが締められてもよい。穴の横方向の位置は、支持下部構造によって事前に決定されている。
【0003】
穴を開けるには時間がかかる。ユーザは、はしごまたは足場のみを使用して、シェル構造の高い吊り天井に到達することができる。はしごを所定の位置の下に置く必要があり、ユーザは、はしごを登り、穴を開け、はしごを降り、はしごを次の位置まで移動する。
【0004】
「DE 33 28 582 A1」は、天井にノックインアンカーを設置するための可動式天井ドリルおよびマウントデバイスについて説明している。天井ドリルは、伸縮式支柱に装着されたインパクトドリルに基づく。伸縮式支柱は、トロリー上で振動式に吊り下げられている。ユーザは、天井ドリルを所望の場所下に駆動することができ、支柱を利用して天井にインパクトドリルを適用し、天井に穴を開けることができる。インパクトドリルは、制御盤を介して制御され得る。階段の吹き抜けの上を移動する場合、デバイスは4つの部分、すなわち、架台、伸縮式支柱、インパクトドリル、および制御盤に分割される必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、自己調整するツールガイドに関する。ツールガイドは、マウント、昇降機構、およびシャーシを有する。マウントは、手持ち可能で天井を機械加工するための機械ツール装置(以下、手持ち機械ツールと称す)を固定するためのものである。マウントは、昇降機構に装着されている。昇降機構は、マウントを垂直に昇降するための推進ユニットを有する。シャーシは、ホイール軸上に2つのホイールを有し、駆動装置はホイールおよびステアリングシステムに連結されている。昇降機構はシャーシに堅固に装着されている。重心センサは、ホイール軸に対して昇降機構の重心の横方向の偏心を検出するように配置されている。ステアリングシステムは、偏心を打ち消すトルクを加えるために駆動装置を制御するように配置されている。
【0006】
自己調整するツールガイドは、組立体の数を減らすことにより、非常に小型で軽量な設計を可能にする。動的安定化により、すでに1つのホイールまたは2つのホイール上にあるツールガイドの安定した足がかりが可能になる。
【0007】
ツールの軸は、駆動制御とホイールによって調整される。所定の方向からのツールの偏心において、ホイールは、積極的に反トルクを発生し、これは、ツールを再び正しく調整させる。このことは、ツールを天井に適用する場合に特に必要である。シェルの床および天井の両方が波打ち、水平に対して傾斜しているため、それにより、横方向力がツールに作用する。自由に振動するツールは、偏心による、またそれによりツールの不整合につながる横方向力を避けようとする。
【0008】
本発明の実施形態は、手持ち機械ツールを固定するためのマウントと、昇降機構と、シャーシと、を含む。昇降機構には、昇降機構の推進ユニットを用いて、昇降軸に対して平行に上昇および下降することができるマウントが装着されている。シャーシは、ホイール軸上に2つのホイールと、ホイールに連結された駆動装置とを有する。昇降機構はシャーシに堅固に装着されている。傾斜センサは、水平面に対するシャーシのホイール軸の傾斜を検出する。ステアリングシステムは、ステアリングシステムが、傾斜がゼロになるまで、垂直軸の周りでの駆動を利用して、シャーシを旋回するモードS9を有する。ツールガイドはまた、ホイール軸に対する重心Gの横方向の偏心xを検出するための重心センサも有する。ステアリングシステムは、偏心を打ち消すトルクを加えるように設定されている。
【0009】
2つのホイールのみで直立するツールガイドの場合、垂直軸を中心に回転するだけで、ホイール軸が水平方向に対して平行に調整され得る位置が常に存在する。3つ以上のホイールを有するシステムでは、昇降機構はホイール軸に対して枢動可能に装着される必要がある。
【0010】
本発明による自己調整するツールガイドの実施形態は、天井を機械加工するための手持ち機械ツールを固定するためのマウントと、昇降機構と、シャーシと、を有する。マウントは、昇降機構に装着されている。昇降機構は、昇降軸に対して平行にマウントを昇降するための推進ユニットを有する。シャーシは、ホイール軸上に2つのホイールと、ホイールに連結された駆動装置と、ステアリングシステムと、を有する。センサは、重力の方向に作用する、マウントの接触力を検出するために使用される。制御ステーションは、検出された接触圧に応じて推進ユニットを制御する。
【0011】
本発明による自己調整するツールガイドの実施形態は、天井を機械加工するための手持ち機械ツールを固定するためのマウントと、昇降機構と、シャーシと、を有する。マウントは、昇降機構に装着されている。昇降機構は、昇降軸に対して平行にマウントを昇降するための推進ユニットを有する。シャーシは、ホイール軸上に2つのホイールと、ホイールに連結された駆動装置と、ステアリングシステムと、を有する。接触センサは、天井へのマウントの間接的な接触を検出するために使用される。シャーシは、ブレーキを有する。コントローラは、ブレーキが起動され、また、シャーシの平衡化が停止されるモードS9を有する。
【0012】
ツールガイドは通常、2つのホイールだけで床に接触する。直立位置は、シャーシの平衡化によってのみ保証される。天井を機械加工する場合、第3の接触点が生じ、それにより平衡化しなくても直立位置のために十分な場合がある。平衡化せずに静的な直立位置をとることは、天井を機械加工する時に有利になり得る。ブレーキは、安定性を保つ。
【0013】
本発明による自己調整するツールガイドの実施形態は、手持ち機械ツールを固定するためのマウントと、昇降機構と、シャーシと、を有する。マウントは、昇降機構に装着されている。推進ユニットは、昇降軸に対して平行にマウントを昇降する働きをする。制御ステーションは、推進ユニットを操作するためにユーザにより操作される。シャーシは、ホイール軸上に2つのホイールと、ホイールに連結された駆動装置と、ユーザがシャーシを操作するためのステアリングシステムと、を有する。一連の電池(32)は、推進ユニットに電力を供給して駆動するために使用される。非常用電力装置は、一連の電池(32)の充電レベルを決定するための充電レベルセンサを有する。停止ユニットは、制御ステーションによる緊急充電のアンダーシュートに応答して、制御ステーションを停止する。
【0014】
ツールガイドは、それ自身の電源を有する。電源は、昇降機構、おそらく手持ち機械ツール、シャーシの操作にも利用可能である。電池残量が少ない場合、ユーザには、制御ステーション、ひいては昇降機構および手持ち機械ツールを無効化することにより、電池の充電または交換が強く求められる。これにより、電池が空になり、平衡化が保てなくなった結果としてのツールガイドの転倒を回避する。
【0015】
以下の説明は、例示的な実施形態および図を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】正面から見た自己調整するツールガイドを示す。
図2】自己調整するツールガイドを断面図I―Iで示す。
図3】天井を機械加工する際の自己調整するツールガイドを断面図IIで示す。
図4】状態ダイヤグラムを示す。
図5調整(均衡)を説明するダイヤグラムを示す。
図6】前/後方向における調整を説明するダイヤグラムを示す。
図7】横方向における調整を説明するダイヤグラムを示す。
図8】横方向における調整を説明するダイヤグラムを示す。
図9】状態ダイヤグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
特に明記しない限り、図中の同一または機能的に同一の要素は、同じ参照番号で示されている。本説明の文脈では、垂直は、重力に対して平行な方向を示し、水平は、重力に対して垂直な方向または平面を示す。
【0018】
図1および図2は、シェル構造における設置作業のための例示的な自己調整するツールガイド1を示す。換気パイプの組み立てには、例えば、シェル構造の天井3にいくつかの穴2が必要である。穴2は、所定の位置4、例えば、一直線上にあるべきである。さらに、穴2は、互いに平行、例えば、垂直に配向されなければならない。例えば、位置4は平面に入れられる。係員は、シェル構造の天井3に、カラーマーキングで位置4をマークすることができる。天井3への他の設置作業は、釘の取り付け、ねじの打ち込み、研磨などを含むことができる。
【0019】
図1および図2は、自己調整するツールガイド1の実施形態を概略的に示す。ツールガイド1は、手持ち機械ツール6のためのマウント5と、電動昇降機構7と、電動シャーシ8と、コントローラ9と、コンソール10と、を有する。
【0020】
ユーザは、用途に応じて、好適な手持ち機械ツール6および好適なツール11を有するツールガイド1を設定することができる。シェル構造に穴2を開ける場合、これは、例えば、ハンマー機構12を有するインパクトドリル、および焼結炭化物先端を有するドリルであろう。手持ち機械ツール6は、昇降機構7のマウント5で使用することができる。ロック13は、手持ち機械ツール6をマウント5に固定する。ロック13は、ツールなしで解放可能であることが好ましい。他の実施形態では、マウント5を有する動力ツールは、恒久的に接続されてもよく、例えば、ねじで留められてもよい。
【0021】
インパクトドリルは、手持ち機械ツール6の一例に過ぎない。他の例は、電動ドライバ、釘セッタ、アングルグラインダ、グルーガン、ペイントスプレーガンなどである。1つのタイプの手持ち機械ツール6は、その機能のために、交換可能なツール11、例えば、ドリル、チゼル、ドライバビット、カッティングディスクなどを駆動する。別のタイプの手持ち機械ツール6は、消耗品、例えば、釘、ねじ、塗料、接着剤を直接処理する。手持ち機械ツール6は、ツール11が駆動されるか、または消耗品が駆動または適用される自身の駆動を特徴とする。ユーザは、手持ち機械ツール6を使用するために人力を加える必要はない。手持ち機械ツールは、動力ツールと称される。電源14は、電気駆動式または燃料駆動式であり得る。例としては、電気モータ、電気ポンプ、ガス供給燃焼室、動力駆動ピストンなどである。電源14は、(トリガ)ボタン15に連結される。トリガボタン15が押されると、電源14が作動する。トリガボタン15は、好ましくは、遠隔で起動またはロックされる。
【0022】
手持ち機械ツール6は、市販の手持ち機械ツール6であってもよい。手持ち機械ツール6は、ハンドル16と、通常、追加のハンドルを固定するためのハウジング部分17と、を有する。手持ち機械ツール6は、ハンドルなしで形成されてもよい。マウント5は、非手持ち機械ツール用に設計することもできる。
【0023】
手持ち機械ツール6は、その構造によって画定される作業軸18を有する。ツール11の先端または消耗品の先端は、作動軸18上にある。先端は、作動軸18に沿って移動される。先端は最初に、例えば、天井3の加工される表面に触れる。
【0024】
ツールガイド1の状態ダイヤグラムが図4に示される。ユーザは、コンソール10を使用してツールガイド1を起動する。シャーシ8は、(駆動)モードS1にあり、このモードでは、ユーザは、ツールガイド1を、床19上の空間を通って移動することができる。コントローラ9は、ツールガイド1のステアリングシステム20を起動する。ユーザは、コンソール10を介して移動の進行方向と速度を設定できる。ユーザは、ツールガイド1をマークされた位置4のうちの1つまで操縦する。シャーシ8は、自身の動力でシャーシ8を、床19上で移動させる駆動装置21を有する。シャーシ8の移動の方向および速度は、ツールガイド1のステアリングシステム20により制御される。ステアリングシステム20は、とりわけ、コンソール10を介して、速度および方向の入力された仕様を処理する。
【0025】
マークされた位置4で、ユーザは、ツールガイド1を停止する。コンソール10を介して、ユーザは、シャーシ8を、(直立)モードS2にする。コントローラ9は、ユーザのためのステアリングシステム20をロックするか、またはステアリングシステム20を停止する。ステアリングシステム20は、コンソール10を介した移動の速度および方向の仕様を無視する。ツールガイド1は、現在占有されている位置4に留まる。ステアリングシステム20は、現在の位置4を検出することができる。シャーシ8が現在の位置4を離れるか、またはそこから移動される場合、ステアリングシステム20は、制御信号を自動的に生成し、シャーシ8を駆動して、検出された位置4に戻す。
【0026】
ユーザは、コンソール10を介して(昇降)モードS3を起動し、昇降機構7で手持ち機械ツール6を持ち上げることができる。コントローラ9は、昇降モードが起動され得る前に、シャーシ8に対して直立モードS2を強制する。コントローラ9は、シャーシ8が静止するまで、昇降モードの起動を遅延させることができる。昇降モードでは、制御ステーション22がユーザのために有効化または起動される。ユーザは、コンソール10を介して、移動方向23、すなわち、上昇または下降、昇降速度、および昇降機構7の位置を指定することができる。それに応じて、昇降機構7によりマウント5が移動される。制御ステーション22は、コンソール10を介して指定された、所定の垂直移動方向および昇降速度を考慮して、昇降機構7の推進ユニット24を制御する。昇降機構7は、固定された昇降軸25に沿って、マウント5、および任意選択で、そこに挿入された手持ち機械ツール6を上昇または下降させる。昇降機構7は、昇降軸25上の単一軸の並進運動に限定される。
【0027】
手持ち機械ツール6の作業軸18は、昇降軸25に対して平行である。1つの実施形態では、マウント5の構造は、平行な調整を強制する。手持ち機械ツール6は、例えば、マウント5において規定された唯一の方法で、マウント5が手持ち機械ツール6のハウジングに嵌合することにより、使用することができる。1つの実施形態では、マウント5は、昇降軸25に対する作業軸18の整列を調整するために、昇降軸に対して傾斜された(枢動)軸25の周りに枢動され得る。
【0028】
天井3に対する昇降軸25、したがって作業軸18の調整は、シャーシ8により動的に行われる。シャーシ8は、昇降軸25を垂直に、すなわち重力に対して平行に調整させる。
【0029】
手持ち機械ツール6は、好ましくは、制御コンソール22のスイッチをオンにすることができる。ツール11は、天井3を機械加工する、例えば、穴2を開けることができる。コントローラ9は、天井3での作業中に昇降機構7の推進ユニット24を自動的に制御する(機械加工)モードS4を有することができる。機械加工モードは、例えば、コンソール10で、手動で起動され得る。処理モードでは、制御ステーション22は、昇降機構7の昇降速度をツール11の機械加工の進行に適合させる。昇降機構7およびツール11は、過度の負荷から保護され得る。機械加工目標、例えば、穴の深さは、制御ステーション22で指定され得る。機械加工目標に到達した後、制御コンソール22は推進ユニット24を自動的に停止することができる。さらに、制御コンソール22は、ツール11が天井3との係合から外れるまで、昇降機構7を自動的に下降させることができる。
【0030】
ここで、ユーザは、ツールガイド1を次のマークされた位置4まで移動できる。ユーザは、ツールガイド1を駆動モードS1に切り替える。制御ステーション22は、ユーザのためにロックされる。手持ち機械ツール6は、強制的にオフにされる。ツールガイド1は、ツール11がまだ天井3と係合しているかどうかを開始前にチェックすることができる。例えば、ステアリングシステム20は、シャーシ8を所定の短い距離だけ方向26に移動させ、打ち消しトルクがシャーシ8に作用するかどうかをチェックする。ステアリングシステム20は、シャーシ8を移動させて以前の位置4に戻し、直立モードに変更し、制御ステーション22が昇降機構7を下降させるようにする。
【0031】
シャーシ8は、駆動装置21に連結された2つのホイール27を有する。2つのホイール27は、横軸またはホイール軸28上で相互に偏倚して配置される。ホイール軸28は、2つのホイール27の中央を通って延在する。ホイール27は、互いに平行であってもよく、または、キャンバーおよび/もしくはトー角のために、ホイール27が互いに対して数度だけ傾斜している。2つのホイール27は、本質的にホイール軸28の周りを回転する。各ホイール27は、駆動装置21に連結されている。駆動装置21は、例えば、2つの電気モータ29を含み得る。ホイール27はそれぞれ、電気モータ29のうちの1つの回転子30に直接座している。代替的に、ホイール27は、クラッチおよびギアを介して、中央電気モータ29に連結されてもよい。駆動装置21は、ホイール軸28の周りに作用するトルクをホイール27の上に働かせる。回転駆動されるホイール27は、シャーシ8を床19上で動かす。2つのホイール27が同じ速度で回転すると、シャーシ8は直進する。ホイール27は、駆動装置21により個別に駆動され得る。ホイール27の様々なトルクおよび様々な速度は、シャーシ8を屈曲部の周りで駆動させる。好ましくは、ホイール27は、反対方向に駆動され、シャーシ8をその垂直軸を中心に回転させることができる。駆動装置21は、ステアリングシステム20から2つのホイール27の速度およびトルクのための制御信号を受信する。ステアリングシステム20は、例えば、ユーザによって指定されたステアリング運動に対する所定のステアリング運動に応答して制御信号を生成する。駆動装置21は、ホイール27の出力トルクおよび速度を検出するためのセンサを有することもある。取得された測定データは、ステアリング運動からの偏心を補正するために、ステアリングシステム20に送信され得る。
【0032】
シャーシ8およびツールガイド1は、2つのホイール27のみを伴って床19の上にある。2つの接触点P1、P2は、ホイール軸28に対して平行な線上にある。静的に安定した状態の場合、線の外側には床19との第3の接触点はない。ツールガイド1は、対策をしないと転倒してしまう。ステアリングシステム20は、昇降機構7の重心Gを恒久的に平衡化させることにより動的均衡を達成する。重心Gの検出に基づいて、ステアリングシステム20は、駆動装置21を制御し、打ち消しトルクを生成する。
【0033】
昇降機構7は、シャーシ8に装着されている。昇降機構7は、シャーシ8に対して静止しており、具体的には、昇降機構7は、駆動装置21およびホイール軸28に対して動かないようになっている。昇降機構7は、好ましくは、駆動装置21の固定子31に堅固に接続されている。駆動装置21は、対をなして、同じ大きさおよび反対の回転方向の、トルクおよび逆方向トルクを生成する。トルクは、駆動装置21の回転子30を介してホイール27に作用する。逆方向トルクは、駆動装置21の固定子31を介して昇降機構7に作用する。
【0034】
ツールガイド1の重量は、シャーシ8の重量と昇降機構7の重量との合計である。手持ち機械ツール6の重量は、簡略化するために、昇降機構7の重量に加えられる。シャーシ8の重心は、おおよそホイール軸28上にある。ホイール27、駆動装置21、および電池32は、ホイール軸28を中心に対称的に配置される。昇降機構7の重心Gは、ホイール軸28の上方にある。重心Gがホイール軸28の垂直方向上方にある場合、ツールガイド1は、準安定性だけであるが、直立する(均衡状態、図5)。横方向の偏心xは、ゼロである。重心Gが横方向33に、ホイール軸28から偏倚している場合、つまり横方向の偏心xがゼロでない場合、ツールガイド1は転倒する(図6)。
【0035】
ステアリングシステム20は、昇降機構7の重心Gの横方向の偏心xを検出する(重心)センサ34を有する。重心Gの横方向の偏心xが均衡から外れると、様々な測定可能な変数が生じる。昇降機構7は、重力に対して傾斜され、したがって、重心センサ34は、傾斜センサを含み得る。転倒運動は特徴的な加速につながり、重心センサ34は、速度、加速度、ヨーレートおよび/またはホイール軸28の周りの回転運動を決定するためにジャイロセンサ、加速度センサ、ヨーレートセンサなどを含み得る。傾斜された昇降機構7は、駆動装置21にトルクを及ぼし、重心センサ34は、トルク、非垂直力などを検出するためのトルクセンサ、力センサなどを含み得る。センサは、機械的、光学的、磁気的、または電気的効果に基づいて上記の量を検出することができる。
【0036】
ステアリングホイール20は、偏心xに基づいて昇降機構7を起立させるためのトルクを決定する制御シーケンスを含む。例えば、ステアリングシステム20は、偏心xに比例するトルクを指定することができる。ステアリングシステム20は、トルクを生成する駆動装置21に制御信号の形でトルクを伝達する。制御シーケンスは、偏心xをゼロに調整する制御ループを含み得る。利得係数および積分成分などの制御パラメータは、例えば、制御シーケンスを、手持ち機械ツール6の様々な重量に適合させるために、好ましくは適合可能である。
【0037】
昇降機構7は、駆動装置21のエンジン出力により垂直に調整される。均衡の乱れのために、昇降機構7は、制御プロセスに応答して、垂直調整を中心に数回振動することができる。振動後、ユーザにはなんの動きも見えない。昇降機構7に作用するトルクは、ホイール27に作用するトルクと対抗する。ホイール27はそれに応じて回転し、シャーシ8を、偏心xの方向26に移動させる(図6)。シャーシ8は、昇降機構7と同様に、中間位置を中心に振動する。床19上のホイール27の摩擦およびグリップは、振動を減衰させる。
【0038】
シャーシ8の静的に不安定な位置および平衡化が、昇降軸25を垂直に調整させるために使用される。動的均衡状態では、重心Gは、ホイール軸28の垂直方向上方にある。昇降機構7は、ホイール軸28に対して、重心Gとホイール軸28とを通過する線が昇降軸25に対して平行になるように配置されている。例示的な昇降機構7は、様々な手持ち機械ツール6のための重心Gの位置4を調整するために、マウント5に平衡ウェイト35を有する。平衡ウェイト35は、昇降軸25から様々な距離でロックされ得る。平衡ウェイト35の代わりに、コントローラは、偏心xを所定の偏倚に調整することができる。偏倚は、好ましくは、昇降機構7の配置位置を考慮に入れる。昇降機構7の高さにかかわらず、動的平衡化は、昇降軸25を垂直に調整する。
【0039】
動的平衡化は、ホイール軸28が水平である場合、垂直調整を確実にする。偏心xは、ホイール軸28の方向に対して垂直なレベルにある。平坦でない床19または傾斜した床19の場合、ホイール軸28は、水平面に対して傾けられていることもある(図7)。ホイール軸28の傾斜36は、昇降機構7の同様の傾斜に変換される。傾斜36は、ホイール軸28および垂直軸にまたがる平面にある。ホイール軸28の傾斜は、動的平衡化により直接補正することはできない。
【0040】
天井3を機械加工する場合、傾斜36もまた、好ましくは補正される。例示的なコントローラ9は、昇降モードS3を起動する時に、傾斜36の起動を提供する。ユーザまたは外部のコントローラ9は、ツールガイド1が所定の位置4に配置された場合、昇降モードS3を起動する。補正は、別のモードで起動することもできる。例えば、補正のための特定のモードを提供することができ、それは、例えば、位置4に到達した時に、自動的にまたはユーザの要求に応じて起動される。
【0041】
したがって、調整は、最初に2つのホイール27を同じ高さに設定することを提供する。ツールガイド1は、例えば、作業軸18と一致する、垂直軸を中心に回転する。垂直軸は、ホイール軸28に対して垂直であり、実質的に垂直軸に沿って延在する軸を表す。ツールガイド1は、垂直軸が所定の位置4を通過ように配置されるのが好ましい。ステアリングシステム20は、2つのホイール27を同じ速度で反対方向26に回転させる。したがって、ツールガイド1とツール11は同じ位置4に留まる。小さい設置面積を有する小型設計のため、通常、限られた空間でもこの回転が可能である。回転は、ホイール軸28の傾斜36がゼロになるまで行われる。ツールガイド1は、2つのホイール27のみで床19に接触するので、各位置4において、すべてのホイール27が同じ高さにある少なくとも1つの位置がある。傾斜センサ37は、水平面に対するホイール軸28の傾斜を検出することができる。傾斜センサ37は、例えば、重心センサ34によって、または同様に実装され得る。ステアリングシステム20は、ホイール軸28の垂直横方向26において昇降機構7の平衡化する。2つのホイール27のトルクは、同じ方向26で作用し、通常は同じ大きさである。
【0042】
ステアリングシステム20は、例えば、駆動方向および速度のための入力要素を有するコンソール10を含む。例示的なコンソール10は、二軸ジョイスティックに基づく。他のコンソールは、例えば、移動方向のためのステアリングホイールおよび速度のためのスライダーを含み得る。コンソール10は、ツールガイド1から取り外し可能であることが好ましい。コンソール10により生成された制御信号の駆動装置21への送信は、無線ベース、光ベース、またはケーブルベースである。ステアリングシステム20は、ユーザがシャーシ8に加える押力または引き力を検出することができる。力の作用下で、シャーシ8は、押し力または引き力の方向26に傾く。ステアリングシステム20は、シャーシ8の偏心xを検出する。例えば、シャーシ8の速度は、偏心xに比例し得る。
【0043】
例示的な昇降機構7は、線形レールガイド38に基づく。2つの平行レール39は、シャーシ8に固定されている。2つのプロファイルレール39は、昇降軸25を画定する。回転子40は、2つのレール39に係合する。回転子40は、昇降軸25に沿って2つのプロファイルレール39上で変位可能である。電気モータ41およびスピンドル42は、回転子40のための推進ユニット24を形成する。スピンドル42は、2つのプロファイルレール39の間で回転可能に装着されている。回転子40は、スピンドル42に係合するねじ43を有する。電気モータ41は、スピンドル42をその長手方向軸を中心に回転させ、ねじ43は、回転運動を昇降軸25に沿った動きに変換する。図示された昇降機構7は、伸縮式昇降機の例である。レールおよびランナ40の代わりに、またはそれに加えて、入れ子になったチューブが同じように使用され得る。別の推進ユニット24は、モータによって駆動されるラックアンドピニオンに基づく。代替的に、油圧プレスまたは空気圧プレスで昇降機構7を昇降することができる。
【0044】
例示的な昇降機構7は、動力駆動の昇降機構7に加えて、手動で伸縮可能なプラットフォーム44を含み得る。プラットフォーム44は、比較的小型に構築され得る。動力駆動部分は、プラットフォームを使用して基本的な高さにされ得る。プラットフォーム44は、1つ以上のステージを有することができる。例示的なプラットフォーム44は、レールガイドに基づく。
【0045】
例示的なマウント5は、張力ベルト46を有するタブ状シェル45を有する。ハンドル16は、シェル45内に配置されることが可能で、シェル45内に張力ベルト46で固定され得る。第2の張力ベルト47により、動力ツール6のハウジングがマウント5に固定され得る。マウント5は、好ましくは、昇降軸25に対して垂直に変位可能である。マウント5は、例えば、あり継ぎガイド48上で変位可能であることもある。ユーザは、作業軸18を、ホイール軸28に対して垂直に配置することができる。マウント5は、角度調整を含み得、これにより、昇降軸25に対して平行な作業軸18の正確な調整が可能になる。角度調整は、例えば、ジョイントおよび止めねじを含む。
【0046】
昇降機構7は、好ましくは、天井3への接触圧を決定するためのセンサ49が装備される。例えば、マウント5は、ばね50上で垂直方向26に支持されている。接触力は、ばね50を一緒に押す。変位センサ51、例えば、スライド電位差計は、ばね50が圧縮される距離を決定する。既知のばね定数で、センサ49は接触圧を決定する。接触力を決定するための他のセンサは、圧電効果、ストレッチマークなどに基づくこともある。他の実施形態は、接触圧を間接的に決定する。例えば、センサ49は、推進ユニット24の電力消費、例えば電流消費の評価を含む。消費電力と接触圧力の測定値の相関関係は、センサの表に保存されている。ツール11の天井3への第1の押圧は、接触圧でのジャンプとしてセンサ49により検出される。センサ49は、ツール11が天井3を支える制御信号で制御ステーション22に知らせる。制御ステーション22は、それに応じて、昇降機構7の手動制御を停止し、機械加工モードに変更することができる。好ましい変形例では、押圧力の目標値が制御ステーション22に記憶される。セットポイントは、ユーザにより事前に入力または選択され得る。セットポイントは、ツール11、例えば、ドリルの径に依存する。推進ユニット24は、一定の接触力に調整される。センサ49は、保護回路52の一部として、接触力のための測定値を提供することができる。保護回路52は、測定値がしきい値を超える場合、昇降機構7の昇降を停止する。
【0047】
1つの実施形態では、ツール11が天井3に触れると、ツールガイド1は動的平衡化を一時停止することもある。天井3に接点があると、ツールガイド1は静止したままになり得る。ツールガイド1は、停止モードS5に変更することができ、その場合、ホイール27は、ブレーキ53によりブロックされる(図9)。平衡化および関連するわずかな振動運動が停止する。
【0048】
ツールガイド1は、天井3との接触を検知する(接触)センサ54を有する。典型的には、ツール11の消耗品または手持ち機械ツール6が天井3に接触する。マウント5は間接的に天井3に接触する。接触センサ54は、(接触)信号をコントローラ9に出力し、コントローラ9では、ツール11が天井3に接触しているかどうかがコード化される。接触センサ54は、例えば、昇降機構7の接触圧または接触圧の測定値を評価することができる。接触センサ54は、接触圧がしきい値を超えるか、または接触圧の変化率がしきい値を超えると、接触を知らせる。しきい値は、関連する接触圧が、2つのホイール27および天井3上の接触点を介してツールガイド1を静的な安定状態に維持するのに十分であるような大きさであることが好ましい。接触センサ54は、例えば、センサ49またはアナログセンサ49により実現されることもある。
【0049】
コントローラ9は、接触信号が存在する場合、シャーシ8の平衡化を一時停止することが好ましい。コントローラ9は、接触信号が最短期間存在するまで、一時停止を遅延させることができる。接触信号が存在する場合、ステアリングシステム20は、昇降機構7が垂直に調整されているかどうかをチェックする。ステアリングシステム20が垂直方向からの偏心を検出した場合、それは、制御ステーション22に応答して昇降機構7を下降させる。下降は、所定のストローク、例えば、1cmで行うことができる。代替的に、ストロークは、垂直方向からの偏心および/または昇降機構7の高さに基づいて決定されることもある。例えば、ストロークは角度寸法での偏心と昇降機構7の現在の高さの積に比例する。ツール11が天井3から外れる。その結果、接触センサ54がもはや天井3に接触しなくなる。コントローラ9は、ステアリングシステム20を使用して速やかに、再度平衡化を作動させる。ステアリングシステム20は、昇降機構7を垂直に調整する。コントローラ9は、昇降機構7が垂直に調整されるまで、パラグラフで説明されたプロセスを定期的に繰り返すこともある。その後、コントローラ9は、少なくとも好ましくは、接触信号が印加されるまで、昇降機構7を上昇させる。これで、ツールガイド1が垂直に調整される。
【0050】
シャーシ8は、好ましくはブレーキ53を有する。ブレーキ53は、ツールガイド1が垂直に調整され、接触信号が印加されるとすぐに作動することが好ましい。ブレーキ53は、パーキングブレーキであり、それは、シャーシ8のホイール27を常にブロックする。ブレーキ53は、例えば、エンジンブレーキとして実現される。ブレーキ53は、ホイール27の動きを打ち消す電磁力を生成する。ブレーキ53は、受動的であることもある。電気モータ29は、回転子30が回転すると、発電機の原理に従って固定子31に電流を発生させることができる。発電機原理による電気モータ29の例は、DCモータ、ユニバーサルモータなどである。回生発電電流は、負荷抵抗器を介してブレーキ53により短絡される。逆向きの磁場は、回転子30の回転運動を打ち消す。代替的に、速度センサまたはモーションセンサは動きを検出できる。ステアリングシステム20は、対応する制御信号を決定し、運動の推進力24を逆操縦する。ブレーキ53はまた、シャーシ8内の機械的ブレーキ、例えば、ディスクブレーキ、ドラムブレーキにより実現され得る。機械式ブレーキ53は、エンジンブレーキを助けことができる。
【0051】
ツールガイド1は、1つ以上の電池32、55を有する。電池55は、ステアリングシステム20、制御ステーション22、駆動装置21の電気モータ29、推進ユニット24の電気モータ41、および場合によっては手持ち機械ツール6に電気を供給する。電池55は、定置電池32および1つ以上の取り外し可能な電池55を含み得る。定置電池32は、好ましくは、シャーシ8に組み込まれる。ツールガイド1は、取り外し可能な電池55のための対応する電気機械的インターフェースを有する。これらのインターフェースは、例えば、手持ち機械ツール6のインターフェースに対応する。ユーザは、放電した電池55を充電済みの電池55と交換し、放電した電池55を別の充電ステーションで充電することができる。手持ち機械ツール6の電力消費は、典型的には200ワットをはるかに超える。相応に大きな容量が電池により提供されなければならない。定置電池32は、他の電池55と電気的に接続されている。充電コントローラ56は、定置電池32を他の電池55で充電する。充電コントローラ56は、好ましくは、定置電池32の充電レベルを緊急レベルより高く保持する。ユーザは危険なく他の電池55を取り外すことができる。定置電池32は、緊急レベルのために、少なくとも10分間、好ましくは少なくとも30分間、シャーシ8の平衡化するのに十分な充電レベルを有する。
【0052】
ツールガイド1は、電池レベル32、55が緊急レベルを下回ると、(緊急)モードS9に入る。緊急モードは、ツールガイド1の安全な位置を保証する。シャーシ8およびステアリングシステム20には、電力が供給されている。ユーザは、ツールガイド1を充電ステーションまたは別の所望の場所に駆動することができる。他の消費は、好ましくは無効化され、具体的には、昇降機構7および手持ち機械ツール6は無効化される。例えば、制御ステーション22は、ユーザによる入力のためにロックされてもよい。ユーザはもはや、制御ステーション22を昇降することができない。手持ち機械ツール6は、スイッチを使用して電池から分離され得る。昇降機構7は、緊急モードで、自動的に最も低い高さまで後退され得る。ツールガイド1は、緊急モードにおいて視覚的または音響的に緊急モードを示し得る。
図1
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