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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】PAPシステムブロワ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/056 20060101AFI20230901BHJP
   F04D 29/44 20060101ALI20230901BHJP
   A61M 16/00 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
F04D29/056 A
F04D29/44 F
F04D29/44 S
A61M16/00 305A
A61M16/00 380
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021055177
(22)【出願日】2021-03-29
(62)【分割の表示】P 2019160302の分割
【原出願日】2012-04-18
(65)【公開番号】P2021105398
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】61/457,526
(32)【優先日】2011-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/630,920
(32)【優先日】2011-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509116613
【氏名又は名称】レスメド・モーター・テクノロジーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・アジズ・メバッサー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ジェフリー・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ローマン・ヴィノクール
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・ジーン・モカロー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・エス・レーン
(72)【発明者】
【氏名】ユ-チュアン・シャ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ディヴィッド・ベドナー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ポール・フリーズ
(72)【発明者】
【氏名】カール・ユタカ・イワハシ
(72)【発明者】
【氏名】ディヴィッド・ブレント・シアーズ
(72)【発明者】
【氏名】バートン・ジョン・ケンヨン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ジー・クルム
(72)【発明者】
【氏名】パー・エグロン・ダナス
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕
(72)【発明者】
【氏名】マルコム・エドワード・リーダー
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-341907(JP,A)
【文献】特開昭58-117394(JP,A)
【文献】特開昭58-117393(JP,A)
【文献】特表2007-506482(JP,A)
【文献】特開2003-56498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/056
F04D 29/44
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口および排気口を含むハウジングであって、前記吸気口および前記排気口は同軸に揃えられている、ハウジングと
前記ハウジングに設けられ回転子を回転可能に支持するようになっている軸受-ハウジング構造体と、
前記軸受-ハウジング構造体に設けられモータであって、少なくとも固定子組立体を含むモータと
前記回転子に設けられた羽根車と
を備え、
前記軸受-ハウジング構造体は、外面および内側軸受面を有するベアリングシャフトを含み、前記固定子組立体は前記ベアリングシャフトの前記外面に沿って設けられており、かつ、前記回転子は、前記ベアリングシャフトの前記内側軸受面によって回転可能に支持されており、前記ベアリングシャフトは、前記回転子用の非玉軸受型の単一の軸受のみを形成し、
前記軸受-ハウジング構造体は、遮蔽機能を実現するために、前記羽根車の外縁部を越えて半径方向に延びる外縁部を有する環状のディスクを含み、
前記環状のディスクは、前記ベアリングシャフトと一体的に一体に形成されており、
前記環状のディスクは、気体が前記排気口に向かって流れることを可能とするために、前記環状のディスクの前記外縁部と前記ハウジングとの間に環状の空隙を形成する、ブロワ。
【請求項2】
前記ブロワは、最大約785Pa(8cmH 2 O)の加圧空気を供給できるように構成される、請求項1に記載のブロワ。
【請求項3】
前記ブロワは、約15,000rpmの速度で動作できるように構成される、請求項1または2に記載のブロワ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記吸気口を設ける頂部カバーと前記排気口を設ける底部カバーとを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のブロワ。
【請求項5】
前記底部カバーは、空気流の向きを定めるための複数の固定子ベーンを含む、請求項4に記載のブロワ。
【請求項6】
前記軸受-ハウジング構造体は、低摩擦潤滑性材料で構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のブロワ。
【請求項7】
前記軸受-ハウジング構造体は、焼結青銅またはポリアミドイミド樹脂で構成される、請求項6に記載のブロワ。
【請求項8】
記ハウジングの前記吸気口に設けられ、前記吸気口の少なくとも中央部を閉塞させるかまたは遮断するように構成された吸気口キャップをさらに備える、請求項1に記載のブロワ。
【請求項9】
前記吸気口キャップは、前記ハウジングと一体的に一体に形成される、請求項8に記載のブロワ。
【請求項10】
前記吸気口キャップは、前記ハウジングから分離して形成され、前記ハウジングの前記吸気口に取り付けられるかまたは他の方法で設けられる、請求項8に記載のブロワ。
【請求項11】
前記吸気口キャップは、前記吸気口の少なくとも前記中央部を閉塞させるかまたは遮断するように構成された概ねディスク状の内側部分と、前記吸気口キャップを前記吸気口の所に支持するように構成された概ねリング状の外側部分と、前記内側部分と前記外側部分を相互に連結するスポークまたはコネクタとを含む、請求項8から10のいずれか一項に記載のブロワ。
【請求項12】
前記コネクタは、前記内側部分から前記外側部分まで半径方向に延びる、請求項11に記載のブロワ。
【請求項13】
前記コネクタは、前記内側部分から前記外側部分まで接線方向に延びる、請求項11に記載のブロワ。
【請求項14】
前記コネクタは湾曲構成を含む、請求項11に記載のブロワ。
【請求項15】
前記コネクタは円筒形である、請求項11に記載のブロワ。
【請求項16】
気体の供給物が、前記内側部分の外縁部と前記外側部分の内縁部との間に画定される環状の空隙を通して前記ハウジングに引き込まれる、請求項11から15のいずれか一項に記載のブロワ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、参照により各々の全体が本明細書に組み込まれる、2011年4月18日に出願された米国仮出願第61/457,526号および2011年12月22日に出願された米国仮出願第61/630,920号の利益を主張するものである。
【0002】
さらに、2010年8月27日に出願されたPCT出願PCT/AU2010/001106の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本技法は、たとえば、持続気道陽圧(CPAP)または非侵襲的陽圧換気(NIPPV)による睡眠時呼吸障害(SDB)の治療に使用される気道陽圧(PAP)システムおよび/または方法に関する。より詳細には、本技法はPAPシステムのブロワに関する。
【背景技術】
【0004】
当技術分野では頭部装着ブロワ、装着可能CPAP、または携帯CPAPの例が知られている。たとえば、各々が参照により全体的に本明細書に組み込まれる特許文献1および特許文献2、ならびにBreatheX(商標)システムを参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2006/0237013号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0320842号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技法のある例は、患者への影響を少なくとも軽減するように構成された最小限CPAPシステム、使用法、およびデバイスに関する。
【0007】
本技法のある例は、比較的小さいブロワまたは小型のブロワを組み込んだ患者インターフェースに関する。
【0008】
本技法のある例は、サイズが非常に小さく、コストが低く、かつ/あるいは組立てが容易なブロワに関する。
【0009】
本技法の一態様は、ユーザに対する圧力補助を行うように設計されたPAP配給ユニットで使用される新規の小型ブロワに関する。たとえば、PAP配給ユニットは、たとえば、約15,000rpmの速度および/または約70L/minの流量で実施される約1cmH2O~8cmH2Oの低レベル圧力補助を行うことができる。しかしながら、1cmH2O~25cmH2Oのようなより高いレベルでの圧力補助が行われてもよい。
【0010】
本技法のある例は、吸気口および排気口がブロワの軸と軸方向において揃えられるブロワに関する。
【0011】
本技法のある例は、ハウジングが、軸方向において揃えられた、吸気口と吸気口の接線方向に位置する排気口とを含むブロワに関する。
【0012】
本技法の別の態様は、玉軸受を使用しないかあるいは必要としないブロワに関する。その代わりに、ブロワは、たとえば、焼結青銅、工業用プラスチック材料、たとえば、Torlon(商標)などのポリアミドイミド樹脂のような低摩擦潤滑性材料、ならびに/あるいはその他の非常に摩擦の少ない材料および/または低摩擦材料が塗布されたその他の材料から少なくとも一部が形成された中央軸受構造を含んでもよい。この軸受は、回転子またはシャフト、たとえば高度に研磨されたシャフトを囲む大きい軸受面を有してもよい。中央軸受構造は、ラジアルスリーブ軸受部とスラスト軸受部とを含んでもよい。スラスト軸受部は、たとえば上述のように低摩擦材料を利用してもよい。
【0013】
本技法の別の態様は、ブロワの高さを低くするのを助けることができる、ラジアル軸受部とスラスト軸受部とを含む単一の軸受構造のみを含むかまたは必要とするブロワに関する。軸受の頂面にスラスト荷重を加えてもよい。ラジアル軸受部は、シャフトの表面に沿ったスリーブ軸受として構成されてもよい。軸受が1つしかないので、モータは2つの平面ではなく1つの平面における釣り合いをとるだけでよい。
【0014】
本技法の別の態様は、回転子またはシャフトを支持するディスク状の軸受-ハウジング構造に関する。軸受-ハウジング構造のディスク部は、羽根車が回転するときに非旋回ベーンからブレードを通過する音のノイズが発生するのを防止する遮蔽機能を実現してもよい。シャフトを囲み回転子キャップに隣接する軸受-ハウジング構造の頂面は、シャフトに沿ったラジアル面および各部が回転するのを可能にするためのスラスト面を形成することによって軸受機能を実現してもよい。モータの固定子構成要素が、軸受-ハウジング構造に取り付けられてもよい
【0015】
本技法の別の態様は、回転子および/または回転子組立体がブロワハウジングから持ち上がるかまたは分離するのを防止される回転子保持構成に関する。
【0016】
本技法の別の態様は、スラスト面に供給されるグリースの槽を形成する軸受-ハウジング構造内の軸受グリース保持構造に関する。
【0017】
本技法の別の態様は、ブロワのサイズを小さくするためにモータ(固定子構成要素、固定磁石、および/または回転子キャップ)の少なくとも一部が羽根車内に入れ子にされる入れ子構成に関する。羽根車は、直接成形されるかまたは回転子キャップ上にオーバーモールド成形されてもよい。
【0018】
本技法の別の態様は、回転子部が組み込まれた羽根車に関する。結合された羽根車と回転子は、1つまたは複数の永久磁石の磁束を通過させる経路を形成し、この磁束を固定子、たとえば整流モータ固定子の磁束と相互作用させることによって羽根車を回転させる、磁性鋼のような少なくとも何らかの鉄材料を含んでもよい。
【0019】
本技法の別の態様は、回転子キャップの内面に結合された磁石と固定子構成要素との間の磁気保持によって回転子またはシャフト上に保持することのできる羽根車に関する。羽根車を回転子またはシャフトに固着する必要はない。
【0020】
本技法の別の態様は、わずかにS字形状を有するハブに向かって湾曲する羽根車のブレードに関する。この形状は、過励振を軽減するように設計されてもよい。
【0021】
本技法の別の態様は羽根車に関する。羽根車は、シュラウドが羽根車ブレードの頂面および/または底面を完全に覆わなくてもよいので両側シュラウド型または交互シュラウド羽根車であってもよい。代替として、底部が実質的に完全に覆われた羽根車を使用して使用時に回転子またはシャフトが持ち上がる羽根車の問題に対処するのを助ける。
【0022】
本技法のある例は、少なくとも、サイズおよび体積の低減、振動の軽減、発生するノイズの低減、またはそれらの組合せを実現するように構成されたCPAPシステム、使用法、およびデバイスに関する。
【0023】
本技法のある例は、睡眠時呼吸障害および/またはいびきの治療に適した方法で加圧された呼吸可能な気体(たとえば空気)を供給するように構成された小型CPAPデバイスに関する。
【0024】
本技法のある例は、患者の鼻および/または口に対するシールを形成するようになっている密封構成を含む患者インターフェースと、密封構成を患者の頭部上の所定の位置に支持するヘッドギアとを含むPAPシステムに関する。ブロワは、加圧空気を発生させて供給するように構成される。ブロワは、(たとえば、ヘッドギアまたはクッションの内部に配置されるかあるいはヘッドギアまたはクッションの一部として形成された(たとえば、1つまたは複数のノズルと一体化された))患者の頭部上の患者インターフェースによって支持され、患者インターフェースと連通している。ヘッドギアは、加圧空気をブロワから密封構成によって形成される呼吸キャビティに送る1つまたは複数のダクトを形成してもよい。代替として、加圧空気をブロワから密封構成に送るための別個のチューブを設けてもよい。
【0025】
ある例では、使用時に視覚的なフットプリントを最小限に抑えるように構成することのできるPAPシステムが開示される。そのようなPAPシステムの流れ発生装置は、少なくとも1つのブロワおよび/または少なくとも1つのブロワハウジングを備え、患者インターフェースと空気連通している。さらに、これらのPAPシステムは、携帯、患者による運搬、旅行での使用、マスクへの装着、頭部への装着、枕の内部または近くへの配置、ベッドへの取り付けを可能にする構成、ヘッドボードへの取り付けを可能にする構成、椅子または車椅子への取り付けを可能にする構成、またはそれらの組合せを可能にするPAPシステムを実現する他の構造要素(たとえば、限定されないが、ヘッドギア、ショルダーハーネス、ペンダント型構成、衣服、ストラップまたはバンド構成、あるいはそれらの組合せ)を含んでもよい。
【0026】
ある例では、PAPシステムは、空気を濾過するための衛生デバイスにおいて使用されてもよい。衛生デバイスは、清浄な空気または浄化され濾過された空気をユーザに供給してもよい。濾過された空気は加圧されてもよい。衛生デバイスは、空気から粒子状物質を除去し浄化された空気をユーザに配給するように設計されたフィルタを含む。
【0027】
ある例では、ブロワは幅が約60mm~65mm、たとえば62.8mmであり、高さが約20mm~25mm、たとえば23.2mmであってもよい。
【0028】
本技法の別の態様は、吸気口および排気口を含むハウジングと、ハウジングに設けられ回転子を回転可能に支持するようになっている軸受-ハウジング構造と、軸受-ハウジング構造に設けられ回転子を駆動するようになっているモータと、回転子に設けられた羽根車とを含むブロワに関する。軸受-ハウジング構造は、回転子を回転可能に支持する軸受面を有するベアリングシャフトを含む。ベアリングシャフトは、回転子用の非玉軸受型の単一の軸受構造のみを形成する。
【0029】
本技法の別の態様は、吸気口および排気口を含むハウジングと、ハウジングに設けられ回転子を回転可能に支持するようになっている軸受-ハウジング構造と、軸受-ハウジング構造に設けられ回転子を駆動するようになっているモータと、回転子に設けられた羽根車とを含み、モータの少なくとも一部が羽根車内に入れ子にされるブロワに関する。
【0030】
本技法の別の態様は、吸気口および排気口を含むハウジングと、ハウジングに設けられ回転子を回転可能に支持するようになっている軸受-ハウジング構造と、軸受-ハウジング構造に設けられ回転子を駆動するようになっているモータと、回転子に設けられた羽根車とを含み、羽根車が磁気保持によって回転子上に保持されるブロワに関する。
【0031】
本技法の別の態様は、吸気口および排気口を含むハウジングと、ハウジングに設けられ回転子を回転可能に支持するようになっている軸受-ハウジング構造と、軸受-ハウジング構造に設けられ回転子を駆動するようになっているモータと、回転子に設けられた羽根車とを含み、軸受-ハウジング構造が低摩擦材料または潤滑性材料で構成または被覆されるブロワに関する。焼結青銅、工業用プラスチック材料、たとえば、Torlon(商標)などのポリアミドイミド樹脂、および/または非常に摩擦の少ない材料を含む潤滑性材料。軸受-ハウジング構造は、潤滑性材料または摩擦係数が非常に小さい材料を含む材料の組合せで構成されてもよい。たとえば、アルミニウム、鋼、真鍮、青銅、もしくはその他の金属またはプラスチックのような第1の材料に潤滑性材料またはセラミック主体もしくはニッケル主体のコーティング材料のような摩擦係数が非常に小さい材料を塗布してもよい。ある例では、コーティングは、シャフト受け面のような軸受-ハウジングの臨界磨耗面にのみ塗布されてもよい。その代わりにまたはそれに加えて、シャフトに摩擦を軽減するような材料を塗布してもよい。
【0032】
本技法の別の態様は、吸気口および排気口を含むハウジングと、ハウジングに設けられ回転子を回転可能に支持するようになっている軸受-ハウジング構造と、軸受-ハウジング構造に設けられ回転子を駆動するようになっているモータと、回転子に設けられた羽根車とを含み、軸受-ハウジング構造が、回転子を回転可能に支持するベアリングシャフトと、羽根車の外縁部に実質的に揃うかまたは外縁部を越えて半径方向に延びて遮蔽機能を実現する環状のディスクとを含むブロワに関する。
【0033】
本技法の別の態様は、吸気口および排気口を含むハウジングと、ハウジングに設けられ回転子を回転可能に支持するようになっている軸受-ハウジング構造と、軸受-ハウジング構造に設けられ回転子を駆動するようになっているモータと、回転子に設けられた羽根車とを含むブロワに関する。軸受-ハウジング構造は、回転子を回転可能に支持する軸受面を有するベアリングシャフトを含む。モータは、固定子組立体と、磁石と、回転子キャップとを含む。回転子キャップは、磁石を支持する内面と、羽根車を支持する外面とを含む。回転子キャップは回転子に係合し、それによって、使用時に、固定子組立体が磁石に作用して回転子キャップを回転移動させ、したがって、羽根車を回転移動させる。
【0034】
一例では、空気流を吸気口の方に送るための複数の予旋回吸気口ベーンがハウジングの頂部カバーに設けられてもよい。予旋回ベーンを覆うための予旋回カバーが設けられてもよい。
【0035】
一例では、軸受-ハウジング構造は、スナップ機構またはねじ構成を介してハウジングの底部カバーに結合されてもよい。
【0036】
一例では、軸受-ハウジング構造は、羽根車の外縁部に実質的に揃うかまたは外縁部を越えて半径方向に延びて遮蔽機能を実現する環状のディスクを含む。一例では、ベアリングシャフトおよびディスクは、ベアリングシャフトとディスクが別個の構成要素である分割構成を含む。
【0037】
本技法の別の態様は、吸気口および排気口を含むハウジングと、ハウジングに設けられ回転子を回転可能に支持するようになっている軸受-ハウジング構造と、軸受-ハウジング構造に設けられ回転子を駆動するようになっているモータと、回転子に設けられた羽根車とを含むブロワに関する。軸受-ハウジング構造は、ハウジング部とハウジング部に設けられた軸受カートリッジとを含む。軸受カートリッジは、管状のスリーブと、回転子を支持するようにスリーブ内に支持された間隔を置いて配置された2つの軸受とを含む。
【0038】
本技法の別の態様は、吸気口および排気口を含むハウジングと、ハウジングに設けられ回転子を駆動するようになっているモータと、回転子に設けられた羽根車と、ハウジングの吸気口に設けられた吸気口キャップとを含むブロワに関する。吸気口キャップは、吸気口の少なくとも中央部を閉塞させるかまたは遮断するように構成されている。
【0039】
本技法の他の例、態様、特徴、および/または利点は、以下の詳細な説明を、本開示の一部であり開示された技法の原則を一例として示す添付の図面に関連付けて検討したときに明らかになろう。
【0040】
添付の図面は、本技法の様々な例の理解を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】モデルユーザの頭部上の本技法の一例による頭部装着PAPシステムの斜視図である。
図2】本技法の一例によるブロワの分解図である。
図3図2のブロワの断面図である。
図4図2のブロワの等角断面図である。
図5図4と同様であるが頂部カバーを含まない等角断面図である。
図6図2のブロワの頂部カバーの斜視図である。
図7図6の頂部カバーの、逆方向から見た斜視図である。
図8図2のブロワの底部カバーの斜視図である。
図9図8の底部カバーの、逆方向から見た斜視図である。
図10図2のブロワの軸受-ハウジング構造の斜視図である。
図11図10の軸受-ハウジング構造の、逆方向から見た斜視図である。
図12図2のブロワの回転子カップの斜視図である。
図13図12の回転子カップの断面図である。
図14図2のブロワの羽根車の斜視図である。
図15図14の羽根車の、逆方向から見た斜視図である。
図16】本技法の一例による、例示的な寸法を示す図2のブロワの側面図である。
図17】本技法の一例による固定子コアおよびスロットライナの斜視図である。
図18図17の固定子コアおよびスロットライナの断面図である。
図19】本技法の一例による、オーバートップ保持アームを含むブロワの斜視図である。
図20】本技法の一例による、嵌め合い機構を含む回転子カップと軸受-ハウジング構造の分解図である。
図21図20の回転子カップおよび軸受-ハウジング構造の断面図である。
図22】本技法の別の例による、嵌め合い機構を含む回転子キャップと軸受-ハウジング構造の分解図である。
図23】本技法の別の例による、嵌め合い機構を含む回転子キャップと軸受-ハウジング構造の分解図である。
図24】本技法の別の例による、嵌め合い機構を含む回転子キャップと軸受-ハウジング構造の分解図である。
図25】本技法の別の例による、嵌め合い機構を含む回転子キャップと軸受-ハウジング構造の分解図である。
図26】本技法の別の例による、嵌め合い機構を含む回転子キャップと軸受-ハウジング構造の分解図である。
図27図26の回転子キャップの平面図である。
図28】本技法の一例による、保持フランジを有する回転子を含むブロワの断面図である。
図29】本技法の一例による、予旋回カバーを含むブロワの断面図である。
図30】本技法の一例による、回転子キャップを軸受-ハウジング構造に結合するねじ構成を示す断面図である。
図31】本技法の一例による、回転子キャップを軸受-ハウジング構造に結合するねじ構成を示す断面図である。
図32】本技法の一例による、回転子キャップを軸受-ハウジング構造に結合するねじ構成を示す断面図である。
図33】本技法の一例による、非旋回ベーンを含む底部カバーの図である。
図34】本技法の一例による、非旋回ベーンを含む底部カバーの図である。
図35】本技法の一例による、非旋回ベーンを含む底部カバーの図である。
図36】本技法の一例による、予旋回吸気口ベーンおよび予旋回カバーを含むブロワの図である。
図37】本技法の一例による、予旋回吸気口ベーンおよび予旋回カバーを含むブロワの図である。
図38】本技法の一例による、予旋回吸気口ベーンおよび予旋回カバーを含むブロワの図である。
図39】本技法の一例による、分割構成を有する軸受-ハウジング構造を示す断面図である。
図40】本技法の別の例による、分割構成を有する軸受-ハウジング構造を示す断面図である。
図41】本技法の別の例による、分割構成を有する軸受-ハウジング構造を示す断面図である。
図42】本技法の別の例による、分割構成を有する軸受-ハウジング構造を示す断面図である。
図43】本技法の別の例による、分割構成を有する軸受-ハウジング構造を示す断面図である。
図44】本技法の一例による、モータ配線の配索状態およびPCBの取り付け状態を示すブロワの断面図である。
図45】本技法の別の例による、分割構成を有する軸受-ハウジング構造を示す断面図である。
図46】本技法の一例による、底部カバーのベーンに結合された軸受-ハウジング構造を示す断面図である。
図47】本技法の別の例による、底部カバーのベーンに結合された軸受-ハウジング構造を示す断面図である。
図48】本技法の一例による、軸受-ハウジング構造と底部カバーの間にエラストマ材料を有するブロワの断面図である。
図49】本技法の一例による、留め金具によって底部カバーに結合された軸受-ハウジング構造を示す断面図である。
図50】本技法の一例による、留め金具によって底部カバーに結合された軸受-ハウジング構造を示す断面図である。
図51図49および図50の留め金具の図である。
図52図49および図50の留め金具の図である。
図53】本技法の別の例による、底部カバーに結合された軸受-ハウジング構造を示す断面図である。
図54】本技法の別の例による、底部カバーに結合された軸受-ハウジング構造を示す断面図である。
図55】本技法の代替例による、軸受-ハウジング構造を底部カバーに取り付けるためのスナップ機構を示す断面図である。
図56】本技法の代替例による、軸受-ハウジング構造を底部カバーに取り付けるためのスナップ機構を示す断面図である。
図57】本技法の代替例による、軸受-ハウジング構造を底部カバーに取り付けるためのスナップ機構を示す断面図である。
図58】本技法の代替例による、軸受-ハウジング構造を底部カバーに取り付けるためのスナップ機構を示す断面図である。
図59】本技法の代替例による、軸受-ハウジング構造を底部カバーに取り付けるためのスナップ機構を示す断面図である。
図60】本技法の代替例による、軸受-ハウジング構造を底部カバーに取り付けるためのスナップ機構を示す断面図である。
図61】本技法の代替例による、軸受-ハウジング構造を底部カバーに取り付けるためのスナップ機構を示す断面図である。
図62】本技法の代替例による、軸受-ハウジング構造を底部カバーに取り付けるためのスナップ機構を示す断面図である。
図63】本技法の代替例による、軸受-ハウジング構造を底部カバーに取り付けるためのスナップ機構を示す断面図である。
図64】本技法の代替例による、軸受-ハウジング構造を底部カバーに取り付けるためのスナップ機構を示す断面図である。
図65】本技法の代替例による、軸受-ハウジング構造を底部カバーに取り付けるためのスナップ機構を示す断面図である。
図66】本技法の一例による、ねじ構成によって底部カバーに結合された軸受-ハウジング構造を示す断面図である。
図67】本技法の別の例による、ねじ構成によって底部カバーに結合された軸受-ハウジング構造を示す断面図である。
図68】本技法の一例による、一体化されたねじ構成によって底部カバーに結合された軸受-ハウジング構造を示す断面図である。
図69】本技法の一例による、潤滑油を保持するための槽および流路を含む軸受-ハウジング構造を示す図である。
図70】本技法の一例による、潤滑油を保持するための槽および流路を含む軸受-ハウジング構造を示す図である。
図71】本技法の一例による、潤滑油槽を含む軸受-ハウジング構造の図である。
図72】本技法の一例による、潤滑油槽を含む軸受-ハウジング構造の図である。
図73】本技法の一例による、潤滑油槽を含む軸受-ハウジング構造の図である。
図74】本技法の一例による、潤滑油槽を含む軸受-ハウジング構造の図である。
図75】本技法の一例による、潤滑油用の凹部流路を含む軸受-ハウジング構造の図である。
図76】本技法の一例による、潤滑油用の凹部流路を含む軸受-ハウジング構造の図である。
図77】本技法の一例による、潤滑油用の凹部流路を含む軸受-ハウジング構造の図である。
図78】本技法の一例による、潤滑油用の凹部流路を含む軸受-ハウジング構造の図である。
図79】本技法の一例による、潤滑油用の凹部流路を含む軸受-ハウジング構造の図である。
図80】本技法の代替例による、軸受-ハウジング構造用の凹状流路の平面図である。
図81】本技法の代替例による、軸受-ハウジング構造用の凹状流路の平面図である。
図82】本技法の一例による、軸受-ハウジング構造用の凹状流路によって実現される流体力学的圧力集中を示す図である。
図83】本技法の一例による、軸受-ハウジング構造用の凹状流路によって実現される流体力学的圧力集中を示す図である。
図84】本技法の一例による、潤滑油用の環状の凹状流路を含む軸受-ハウジング構造の図である。
図85】本技法の一例による、潤滑油用の環状の凹状流路を含む軸受-ハウジング構造の図である。
図86】本技法の一例による、潤滑油用の環状の凹状流路を含む軸受-ハウジング構造の図である。
図87】本技法の一例による、潤滑油用の環状の凹状流路を含む軸受-ハウジング構造の図である。
図88】本技法の一例による、潤滑油用の環状の凹状流路を含む軸受-ハウジング構造の図である。
図89】本技法の一例による、潤滑油用の環状の凹状流路を含む軸受-ハウジング構造の図である。
図90】本技法の一例による、3葉構成を有するベアリングシャフトの概略図である。
図91】本技法の一例による、潤滑油を保持するための保持リングを含むブロワの断面図である。
図92】本技法の一例による、潤滑油を保持するための構造を有する軸受-ハウジング構造を含むブロワの断面図である。
図93】本技法の一例による羽根車および羽根車ブレードを示す図である。
図94】本技法の一例による羽根車および羽根車ブレードを示す図である。
図95】本技法の別の例による羽根車および羽根車ブレードを示す図である。
図96】本技法の別の例による羽根車および羽根車ブレードを示す図である。
図97】本技法の別の例による羽根車および羽根車ブレードを示す図である。
図98】本技法の別の例による羽根車および羽根車ブレードを示す図である。
図99】本技法の一例による、内部回転子構成を含むブロワの断面図である。
図100】本技法の一例による、アキシャル構成を含むブロワの断面図である。
図101】本技法の一例による、非旋回ベーンを含む底部カバーの図である。
図102】本技法の一例による、非旋回ベーンを含む底部カバーの図である。
図103】本技法の一例による、予旋回ベーンを含む頂部カバーの図である。
図104】本技法の一例による、予旋回ベーンを含む頂部カバーの図である。
図105】本技法の一例による、予旋回ベーンおよび予旋回カバーを有する頂部カバーの図である。
図106】本技法の一例による、予旋回ベーンおよび予旋回カバーを有する頂部カバーの図である。
図107】本技法の一例による、予旋回ベーンおよび予旋回カバーを有する頂部カバーの図である。
図108】本技法の一例による、一体構造として一体的に形成された回転子キャップおよび羽根車の断面図である。
図109】本技法の別の例によるブロワの断面図である。
図110図109のブロワの一部の拡大断面図である。
図111】本技法の別の例によるブロワの一部の断面図である。
図112】本技法の一例による軸受カートリッジの断面図である。
図113】本技法の別の例による羽根車を示す図である。
図114】本技法の別の例による羽根車を示す図である。
図115】本技法の別の例による羽根車を示す図である。
図116】本技法の一例による、吸気口キャップを含むブロワの図である。
図117】本技法の一例による、吸気口キャップを含むブロワの図である。
図118】本技法の一例による、吸気口キャップを含むブロワの図である。
図119】本技法の一例による、吸気口キャップを含むブロワの図である。
図120】本技法の一例による、吸気口キャップを含むブロワ用の頂部カバーの斜視図である。
図121】本技法の別の例による、吸気口キャップを含むブロワ用の頂部カバーの斜視図である。
図122】本技法の別の例による、吸気口キャップを含むブロワ用の頂部カバーの斜視図である。
図123】本技法の別の例による、吸気口キャップを含むブロワ用の頂部カバーの斜視図である。
図124図116図119に示すブロワの別の断面図である。
図125図109のブロワの代替図である。
図126図109のブロワの代替図である。
図127図109のブロワの代替図である。
図128】本技法の別の例によるブロワの図である。
図129】本技法の別の例によるブロワの図である。
図130】本技法の別の例によるブロワの図である。
図131】本技法の別の例によるブロワの図である。
図132】本技法の別の例によるブロワの図である。
図133】本技法の別の例によるブロワの図である。
図134】本技法の別の例によるブロワの図である。
図135】本技法の別の例によるブロワの図である。
図136】本技法の別の例によるブロワの図である。
図137】本技法の別の例によるブロワの図である。
図138】本技法の別の例によるブロワの図である。
図139】本技法の別の例によるブロワの図である。
図140】本技法の別の例によるブロワの図である。
図141】本技法の別の例によるブロワの図である。
図142】本技法の別の例によるブロワの図である。
図143】本技法の別の例によるブロワの断面図である。
図144】本技法の別の例によるブロワの断面図である。
図145】本技法の別の例によるブロワの断面図である。
図146】本技法の別の例によるブロワの断面図である。
図147】本技法の別の例によるブロワの断面図である。
図148】本技法の別の例によるブロワの断面図である。
図149】本技法の一例による、PAPデバイスのケーシング内に取り付けられたブロワを示す図である。
図150】本技法の一例による、PAPデバイスのケーシング内に取り付けられたブロワを示す図である。
図151】本技法の別の例によるブロワの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下の説明は、共通の特性および特徴を共有することができるいくつかの例(大部分は図示されているが図示されていない例もある)に関してなされている。任意の一例の1つまたは複数の特徴を他の例の1つまたは複数の特徴と組み合わせてもよいことを理解されたい。さらに、任意の1つまたは複数の例における任意の単一の特徴が特許可能な主題を構成してもあるいは任意の特徴の組合せが特許可能な主題を構成してもよい。
【0043】
本明細書では、語「備える(comprising)」はその「オープン」な意味、すなわち、「含む(including)」の意味で理解されるべきであり、したがって、語の「クローズ」な意味、すなわち「のみからなる」の意味に限定されない。対応する意味は、対応する語「備える(comprise、comprises)」および「備えていた(comprised)」が現れた場合にその語に起因するものである。
【0044】
語「空気」は、呼吸可能な気体、たとえば補給酸素を含む空気を含むとみなされる。
【0045】
詳細な説明に使われる項目見出しは、読者の参照を容易にするためにのみ含まれ、本開示および特許請求の範囲を通じて見いだされる主題事項を限定するために使われるべきではない。項目見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の限定を解釈する際に使われるべきではない。
【0046】
PAPシステム
PAPシステム(たとえば、CPAPシステム)は通常、PAPデバイス(陽圧で空気を発生させるためのブロワを含む)と、空気補給導管(チューブまたはチュービングとも呼ばれる)と、患者インターフェースとを含む。使用時には、PAPデバイスは、空気補給導管を介して患者インターフェースに送られる加圧空気(たとえば、2cmH2O~30cmH2O)を発生させて供給する。患者インターフェースまたはマスクは、当技術分野で知られているような適切な構成を有してもよく、たとえば、フルフェースマスク、鼻マスク、口鼻マスク、口マスク、鼻プロング、鼻カニューレなどであってもよい。さらに、ヘッドギアを利用して患者インターフェースを患者の顔面上の所望の位置に快適に支持してもよい。
【0047】
ある例は、PAPデバイスもしくはブロワの患者の頭部への装着、または患者インターフェースもしくはマスクへの内蔵もしくは組込み、装着可能性もしくは患者による搬送、携帯可能性、サイズの縮小、またはそれらの組合せが可能になっているPAPシステムに関する。ある例では、ブロワは、各出願が参照により全体的に本明細書に組み込まれる、2010年8月11日に出願され「Single Stage, Axial Symmetric Blower and Portable Ventilator」という名称を有する国際出願PCT/AU2010/001031および/または2010年8月27日に出願され「PAP system」という名称を有する国際出願PCT/AU2010/001106に記載された種類のブロワであってもよい。
【0048】
たとえば、図1は、PAPデバイスまたはブロワ20と、患者インターフェースまたはマスク30(たとえば、鼻マスク)と、患者インターフェースとブロワを相互に連結する排気口チューブ40とを含む頭部装着PAPシステム10を示す。ヘッドギア50は、ブロワおよび患者インターフェースを使用時に患者の頭部の所定の位置に固定する。しかしながら、PAPシステムを、たとえば、枕の中もしくは近く、スカーフ状構成内に構成するか、衣服に組み込むか、またはベッドもしくはベッドヘッドに取り付けてもよく、あるいはResMed(商標)S9(商標)CPAPシステムと同様な、ベッドサイドの近くの表面上に配置されるように構成されたより従来型のPAPデバイス内に構成してもよい。
【0049】
ある例では、PAPシステムは流入する空気を浄化するために衛生デバイスとして使用されてもよい。デバイスの空気吸気口にフィルタが存在し、流入する空気中の粒子状物質または不純物を濾過し、浄化または濾過された空気をユーザに送ってもよい。
【0050】
ブロワ
図2図16は、本技法の一例による1段ブロワ100を示す(たとえば、ブロワ100は、図1のPAPシステム内のブロワ20として設けられてもよい)。ブロワは、サイズが非常に小さく、低コストで、コンパクトで、軽量であり、たとえば、小型の装着可能なPAPシステムで使用される場合に組立てが容易である構成を形成する。一例では、ブロワは、軽度の睡眠時呼吸障害またはいびきの治療に適し得、約15,000rpmの速度および約60L/min~70L/minの流量で送ることができる、最大で約8cmH2O(たとえば、最大で約4cmH2O~8cmH2O、たとえば4cmH2O、5cmH2O、6cmH2O、7cmH2O、または8cmH2O)の加圧空気を供給するように構成されてもよい。別の例では、ブロワは、加圧空気を約1cmH2O~25cmH2Oのようなより高い圧力および最高で約90L/min~120L/minのような70L/minを超えるより高い流量で供給するように構成されてもよい。別の例では、ブロワは、複数段構成、たとえば2つ以上の羽根車を含んでもよい。そのような複数段構成では、ブロワは、約1cmH2O~30cmH2Oでありかつ流量がより高く最高で約140L/minであるより高いレベルの加圧空気を実現することができてもよい。しかしながら、当業者なら他のモータ速度、圧力、および流量を使用してもよいことが理解されよう。
【0051】
図示のように、ブロワ100は、頂部ハウジング部もしくは頂部カバー122および底部ハウジング部もしくは底部カバー124を有するハウジングまたはカバー120と、軸受-ハウジング構造130(中央軸受構造とも呼ばれる)と、軸受-ハウジング構造に設けられ回転可能なシャフトまたは回転子170を駆動するようになっているモータ140(固定子組立体または固定子構成要素145、磁石150、および回転子カップまたはキャップ160を含む)と、回転子キャップ160に結合された羽根車180とを含む。回転子キャップ160は、回転子170の端部に結合され、磁石150と一緒に回転子組立体と呼ばれてもよい。この構成では、モータは、羽根車180を回転させる外側回転子構成を有する。この構成は、モータ構成要素の少なくとも一部が羽根車内に入れ子にされ、薄型のブロワを形成するのを可能にする。
【0052】
不図示の代替構成では、モータは、磁石150が回転子170に結合されてもよく、羽根車180がシャフトまたは回転子170の端部に結合された内側回転子構成を含んでもよい。そのような構成では、羽根車は、モータ構成要素の上方または周りに配置されてもよい。図99は、回転子キャップ160が、軸受-ハウジング構造130によって支持された固定子構成要素145内に磁石150を支持するための内壁160-1を含む内部回転子構成を示す。羽根車180は、回転子キャップ160に結合され、したがって、モータ構成要素の上方または周りを延びている。さらなる代替構成では、図100に示されているように、モータは、固定子構成要素145(固定子および巻線を含む)、磁石150、および回転子キャップ160が積層構成またはパンケーキ構成を有する軸方向ギャップモータを含んでもよい。しかしながら、モータが電磁相互作用を使用して回転駆動するのに適した任意の構成を有してもよいことを理解されたい。
【0053】
モータ組立体
図3図5は、ブロワ100内の組立て済みモータ140を示す。モータは、軸受-ハウジング構造130がモータの他の構成要素を支持するとともに、回転子組立体の回転を容易にする軸受機能を実現するように構成される。図示の例では、回転子170(たとえば、金属またはプラスチック)の一方の端部170(1)は軸受-ハウジング構造130のベアリングシャフト136内に回転可能に支持され、回転子170の他方の端部170(2)は回転子キャップ160内に自由に挿入され、すなわち、回転子はモータに固着されない。回転子キャップ160は回転子170を受け入れる開口部162を含む(たとえば、図12および図13を参照されたい)。しかしながら、ある例では、以下に詳しく説明するように特にモータの非使用時に回転子および/または回転子組立体をモータ内に保持する回転子保持構成を組み込んでもよい。
【0054】
羽根車180のハブ185は回転子キャップ160の外面163に沿って設けられ、磁石150は、たとえば摩擦係合または接着剤を使用することによって回転子キャップ160の内面165に沿って設けられる。内面165は、磁石150を受け入れるくぼみまたは溝165(1)を形成してもよい(たとえば、図13を参照されたい)。
【0055】
代替例では、図108に示されているように、回転子キャップと羽根車が一体構造として一体的に形成されてもよく、たとえば、プラスチック材料、たとえばLexan(登録商標)、ポリカーボネート(たとえば、ガラス強化ポリカーボネート)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはその他の適切な材料から回転子キャップと羽根車を一体的に成形してもよい。図示のように、この一体構造は、回転子キャップ部360と羽根車部380とを含む。回転子キャップ部360の内面に沿って金属スリーブ351および磁石350が設けられる。スリーブ351は、磁石350の両極間に磁気帰還路または磁束路を形成する。一体型回転子キャップ羽根車の別の例が、参照により全体が本明細書に組み込まれている米国特許第7804213号に記載されている。
【0056】
さらなる代替例(不図示)では、羽根車が回転子キャップ上にオーバーモールド成形されてもよい。回転子キャップの表面にダイヤモンドニュートラル表面仕上げまたはその他の表面仕上げを施してオーバーモールド成形された羽根車の固定または取り付けを容易にしてもよい。
【0057】
磁石150は、回転子キャップ160の内面に結合され、固定子組立体との磁気相互作用を推進してモータを駆動するように配置される。磁石は、ボンドNdFeBリング、フェライト材料、サマリウムコバルト、またはその他のそのような磁気材料のような任意の永久磁石材料から作られてもよい。ある例では、磁石は固定子組立体上に心合わせされてもよい。別の例では、磁石150を固定子組立体からずらして軸受-ハウジング構造130のスラスト軸受部に磁気予圧を加えてもよい。この構成では、軸受用の予荷重ばねは不要であり得る。磁石150をずらすと、回転子組立体をモータ内に保持する助けになることもある。
【0058】
固定子組立体145は、軸受-ハウジング構造130に結合され、固定子組立体145を所定の位置に保持する。固定子組立体145は、スナップ嵌め、オーバーモールド成形、接着、またはその他の固着手段によって軸受-ハウジング構造130に結合されてもよい。固定子組立体または固定子構成要素145は、軸受-ハウジング構造130のベアリングシャフト136の外面136(3)に沿って設けられる。使用時には、固定子組立体145が磁石150に作用し、それによって回転子キャップ160、したがって羽根車180が回転移動する。この構成は、モータ(固定子組立体、固定された磁石および回転子キャップ)の少なくとも一部を羽根車内に入れ子にして、ブロワのサイズを小さくする。一例では、モータの構成要素の少なくとも一部が共通の(水平)平面内に位置する。
【0059】
図17および図18に示されているように、固定子組立体145は、固定子コイルまたは巻線が巻かれた複数の固定子歯147、たとえば6つの固定子歯を有する固定子コア146を含む。図示の例では、固定子コア146は、互いに積層された複数のラミネーション、たとえば2個~100個以上のラミネーションを含む。各ラミネーションは、接着剤またはその他の技法を使用して互いに固定されてもよい。ラミネーションの数はモータの出力要件によって決まることがある。代替として、固定子コアは、ラミネーションの積層体ではなく中実部材のような異なる構成を有してもよい。
【0060】
固定子組立体145は、固定子コア146を固定子コイルまたは巻線から絶縁するように構成された一対のスロットライナ、たとえば図17および図18に示されているような第1および第2のスロットライナ148-1および148-2を含んでもよい。第1および第2のスロットライナ148-1および148-2は、固定子コイルを固定子コアに巻く前に固定子コアの両側に設けられてもよい。スロットライナの厚さは、より多くの固定子コイルまたは巻線を固定子に充填するのを容易にするように調節されてもよい。しかしながら、代替構成では、たとえば固定子コアを粉体塗装することによって、固定子コアにある材料を塗布してもよい。ある例において、スロットライナには、参照により全体が本明細書に組み込まれている、2009年12月31日に公開され「Insulator for Stator Assembly of Brushless DC Motor」という名称を有する同時係属米国特許出願公開第2009-0324435号に記載されたスロットライナを含めてもよい。
【0061】
固定子コイルまたは巻線は、たとえば銅線などのマグネット線またはモータ配線を備える。一例では、固定子組立体は、3相モータの場合3本のモータ配線を備え、たとえば相当たり2本のコイルを有しコイル当たり45回の巻きを有してもよいが、他のコイル構成も可能である。相ごとの異なる配線の各々は、各モータ配線に異なる色を使用することによって識別されてもよい。モータ配線は、組立てが容易になるようにブロワに結合されたPCBと直接相互接続されてもよい。さらに、中央タップおよびリード線をハウジングに結合して空気流路に入る弛んだモータ配線を最小限に抑えてもよい。例示的な構成では、モータ配線を後述のように固定子ベーンを通してPCB組立体またはドライバまで配索してもよい。モータ配線を出し入れが容易になるように一緒に撚り合わせて配索してもよい。しかしながら、モータ配線を別個に配索してもよい。モータ配線は固定子コア上に巻かれる。
【0062】
回転子保持
ある例では、特にモータの非使用時に回転子および/または回転子組立体をモータ内に保持するのを助けるための1つまたは複数の回転子保持構成または構造を含めてもよい。たとえば、1つまたは複数のオーバートップ回転子保持アームを頂部カバーに取り付けるとともに回転子組立体上に取り付けて回転子組立体の鉛直方向への移動を防止してもよい。図19は、一方の端部202(1)がたとえば留め金具によって頂部カバー120に取り付けられ、他方の端部202(2)が回転子組立体(すなわち、回転子キャップ160、磁石150、および回転子170)上に位置するオーバートップ保持アーム202の例を示す。
【0063】
別の回転子保持の例では、軸受-ハウジング構造130が回転子キャップ160の嵌め合い機構に結合または連結されてもよい。たとえば、図20および図21に示すように、軸受-ハウジング構造130は、回転子キャップ160の嵌め合い機構上に存在するリップまたはリッジ161を受け入れるように構成された長穴または溝131をスラスト軸受面136(2)上に備えてもよい。回転子キャップ160上のリップまたはリッジ161は、スラスト軸受面136(2)上の長穴または溝131にスナップ嵌めされてもよい。嵌め合い機構は、回転子キャップ160の開口162を囲む下面に組み込まれてもよい。このスナップ嵌め構成は、連結を助けるための放射状部、フィレット、および/または面取り部を含んでもよい。リッジまたはリップは、回転子キャップ160の嵌め合い機構の全周にわたって設けられても、あるいは2個~10個以上のスナップまたは突起のような、嵌め合い面の周りの位置の複数の個別のスナップ、ビード、または突起に限定されてもよい。
【0064】
図22図27は、回転子キャップを軸受ハウジング構造に結合するための嵌め合い機構の代替例を示す。図22は、回転子キャップ160が軸受-ハウジング構造130に設けられた長穴または溝131内に係合するリップまたはリッジ161を含む図20および図21の構成に類似している。図23では、回転子キャップは、軸受-ハウジング構造130に設けられた溝131-1内に係合するようになっているビード161-1を含む。図22および図23では、嵌め合い機構は、軸受-ハウジング構造の内側を向いた面、すなわち回転子に向いた面に沿って係合する。図24および図25は、嵌め合い機構が軸受-ハウジング構造の外側を向いた面、すなわち回転子から離れる方向に向いた面に沿って係合する構成を示す。たとえば、図24は、軸受-ハウジング構造130に設けられた溝131-2内に係合するようになっているビード161-2を含む回転子キャップを示し、図25は、軸受-ハウジング構造130に設けられたビード131-3に係合するようになっているくぼみ161-3を含む回転子キャップを示す。図26および図27は、回転子キャップ160が軸受-ハウジング構造130に設けられた溝131-4内に係合するようになっている複数の個別のビード161-4(たとえば、4つのビード)を含む構成を示す。
【0065】
図28は、軸受-ハウジング構造130の下方に位置する(たとえば、ステンレススチールで構成され回転子に圧入された)下部フランジ、リッジ、または突起171が回転子またはシャフト170の底部に結合される別の回転子保持の例を示す。下部フランジ171は、回転子170がモータ組立体140から鉛直方向に持ち上がるのを防止する。下部フランジは、回転子170用のさらなる回転面または代替回転面を形成してもよい。
【0066】
図29に示すような予旋回カバーを含むある例では、以下により詳しく説明するように、予旋回カバー205は、衝撃を受けた場合に、回転子組立体(すなわち、回転子キャップ160、磁石150、および回転子170)または回転子170がモータ組立体から分離するのを防止するための軸方向衝撃バンパーまたは止め具205-1をさらに含んでもよい。たとえば、バンパーまたは止め具205-1は、ブロワが特に非使用時に落とされるかまたは衝突した場合に回転子組立体が軸受-ハウジング構造のスラスト軸受面から持ち上がるのを防止してもよい。バンパーまたは止め具は、回転子および/または回転子組立体が持ち上がってモータ組立体から外れるのを防止するように回転子170の上方に配置される。バンパーまたは止め具は、鋼のボールなどのボール、平坦な表面、または回転子および回転子組立体をモータ内の正しい位置に維持する任意の他の手段を含んでもよい。
【0067】
別の回転子保持の例では、図30図32に示すように、それぞれ回転子キャップ160上および軸受-ハウジング構造130の軸受スラスト面136(2)上に補ねじ161-5、131-5が組み込まれてもよい。そのような構成では、回転子組立体が自由に回転できるように、回転子組立体(すなわち、回転子キャップ160、磁石150、および回転子170)を補ねじにねじ込み、軸受-ハウジング構造130の軸受スラスト面136(2)に完全に係合させなければならない。補ねじは、使用時に回転子組立体が外れたり脱落したりするのを防止するように回転子が回転する方向と同じ方向に構成される。回転子組立体は、回転子組立体を通常の回転と反対方向に回転させるかまたは外すことによって取り外されてもよい。図30は、係合する前の回転子組立体および軸受-ハウジング構造を示し、図31は、一部が係合された回転子組立体および軸受-ハウジング構造を示し、図32は、完全に係合された回転子組立体および軸受-ハウジング構造を示す。
【0068】
ブロワハウジング
頂部カバー122は、ブロワの一方の端部に吸気口123を形成し、底部カバー124は、ブロワの他方の端部に排気口125を形成する。ブロワは、気体を吸気口を通してハウジングに引き込んで供給し、気体の加圧された流れを排気口の所に形成するように動作可能である。ブロワは、ブロワの軸に揃えられた吸気口と排気口の両方との軸対称性を有する。使用時には、気体は、一方の端部の所で軸方向にブロワに入り、他方の端部の所で軸方向にブロワから出る。
【0069】
別の例では、ブロワは、軸方向に揃えられた、吸気口と吸気口の接線方向に位置する排気口とを含んでもよい。
【0070】
(たとえば、プラスチック材料で構成された)頂部カバーおよび底部カバーは、留め金具、たとえば、留め金具が貫通するのを可能にするようにカバー122、124のフランジ状周縁に沿って設けられた複数の開口部126によって互いに取り付けられてもよい。さらに、頂部カバーおよび底部カバーは、その周縁に沿って継手128(たとえば、図3および図4に示す、さねはぎ構成)を形成し、位置合わせおよび連結を容易にする。しかしながら、カバー同士が互いに他の適切な方法、たとえば超音波溶接で取り付けられてもよいことを諒解されたい。
【0071】
図8および図9に示すように、底部カバー124は、たとえば整流装置とも呼ばれる、空気流を排気口125の方へ向けるための複数の固定子ベーンまたは非旋回ベーン129、たとえば約2個から50個の間の固定子ベーンまたは約15~30個もしくは約5個~15個の固定子ベーンを含む。図示の例では、底部カバーは6つの固定子ベーンを有する。各ベーンは、実質的に同一であり、概ねらせん状を有する。図示の例では、各ベーンの先端縁部が流れの概ね接線方向に延び、羽根車から出る空気を収集し、概ね接線方向から概ね半径方向に送る。図示の例では、固定子ベーンは軸受-ハウジング構造130をカバー内に支持する。
【0072】
ある例では、1つまたは複数の非旋回ベーン129は、モータ配線をベーンを通してPCBまたはドライバまで配索するのを可能にする通路を形成するデュアルベーンとして構成されてもよい。たとえば、図33図35は、各ベーンが、間に空間129-3を形成する互いに間隔を置いて配置された側壁またはデュアルベーン129-1、129-2を含む例示的な非旋回ベーン129を示す。モータ配線203(たとえば、図35を参照されたい)をベーンを通して配索するのを可能にする円筒形ガイド129-4が設けられる。図33は、単一ベーン構成に対するデュアルベーン構成の例を示す。図8は、3つの非旋回ベーン129がモータ配線用の通路を形成するデュアルベーン構成を含む例を示す。別の例では、1つまたは2つの非旋回ベーンのみがすべてのモータ配線を配索するためのデュアルベーン構造を含んでもよい。
【0073】
図101および図102は、底部カバー用の非旋回ベーン構成の別の例を示す。この例では、ベーンは異なる厚さを含む。たとえば、1つのベーン129.1は比較的厚く、一方、残りのベーン129.2(たとえば、残りの5つのベーン)はベーン129.1と比べて比較的薄い。しかしながら、この厚さ構成が他の適切な構成を有してもよく、たとえば厚いベーンと薄いベーンの数が同じであってもよく、厚いベーンの数よりも薄いベーンの数が多くてもよく、薄いベーンの数よりも厚いベーンの数が多くてもよく、あるいはすべてのベーンの厚さが異なってもよいことを諒解されたい。
【0074】
ある例では、図28図29、および図36図38に示すように、ブロワは、吸気口123の上方および頂部カバー120の上方または頂部カバー120上に配置された複数の予旋回吸気口ベーン206を含んでもよい。複数の吸気口ベーン206、たとえば約2個から50個の間の吸気口ベーンまたは約15~30個もしくは約5~15個の吸気口ベーン、たとえば5個、6個、7個、8個、9個、10個、または11個のベーンが、吸気口123の方へ空気流の向きを定めるように構成される。各吸気口ベーン206は、実質的に同一であり、吸気口123の方へ空気流の向きを定めるように湾曲形状(たとえば、図37を参照されたい)を有する。吸気口ベーンは、羽根車ブレードの先端縁部での衝撃損の低減を推進するように流入空気を予旋回させるように構成される。吸気口ベーンは、吸気口123から放射されるノイズを低減させるのを助けることもできる。吸気口ベーンはさらに、ブロワの効率を高めるのを助けることができる。ある例では、予旋回ベーンは頂部カバー120の外面に結合される。予旋回ベーンは、頂部カバー120に一体成形されるかあるいは糊付け、超音波溶接、スナップ嵌め、接着、または他の何らかの固着手段を介して取り付けられてもよい。図103および図104は、頂部カバー120に一体成形されるかまたは他の方法で取り付けられた予旋回ベーン206の一例を示す。
【0075】
図28図29、および図36図38に示すように、予旋回ベーン206は、予旋回ベーンを覆い、吸気口123の方へ空気流の向きを定める複数の流路を形成するように構成された予旋回カバー205によって覆われる。予旋回カバーは、たとえば熱かしめ、超音波溶接、糊付け、接着、または他のそのような固着手段によって、頂部カバー120上の予旋回ベーンの頂縁部に結合される。図105図107は、頂部カバー120と、予旋回カバー205がベーンに結合された図103および図104のベーン206とを示す。予旋回カバーは、プラスチック材料、金属、アルミニウム、またはその他の適切な材料で作られてもよく、たとえば、予旋回カバーはプラスチック材料から成形されるかまたは金属射出成形によって形成されてもよい。予旋回カバーは、湿らせ機能を実現するようにシリコーンまたはウレタンなどの低押し込み硬度材料から成形されるかあるいはそのような材料でオーバーモールド成形されてもよい。代替例では、予旋回ベーン206は、予旋回カバー205と一体成形されてもよく、頂部カバー120は、予旋回ベーン206の底縁部に結合される。図38はまた、上記に図29に関して説明したように予旋回カバー205上のバンパーまたは止め具205-1を示す。
【0076】
吸気口キャップ
一例では、たとえばノイズを低減させるために吸気口に吸気口キャップが設けられてもよい。吸気口キャップは、頂部カバーと一体的に一体に形成されてもよい。代替として、吸気口キャップは、頂部カバーから分離して形成され、頂部カバーの吸気口に取り付けられるかまたはその他の方法で設けられてもよい。一例では、吸気口キャップは、流入空気を濾過するためのフィルタを支持するかまたはその他の方法で保持するように構成されてもよい。
【0077】
たとえば、図116図119は、本技法の一例による、頂部カバー322の吸気口323に設けられた吸気口キャップ310を含むブロワ300を示す。ブロワの残りの構成要素は、図109図110に示し、以下により詳しく説明する構成要素と同様であり、たとえば、ブロワは回転子370を回転可能に支持するようになっている軸受カートリッジ390を支持するように構成された軸受-ハウジング構造330を含む。
【0078】
図示のように、吸気口キャップ310は、概ね円板状の内側部分312と、概ねリング状の外側部分314と、内側部分312と外側部分314を相互に連結する半径方向に延びるスポークまたはコネクタ316とを含む。吸気口キャップ310の外側部分314は、吸気口323を形成する頂部カバー322の環状の側壁322(1)に係合し、吸気口323の所に吸気口キャップ310を支持する。外側部分314は、側壁322(1)から張り出して吸気口キャップを所定の位置に固定し、吸気口キャップを吸気口の軸に揃える。一例では、吸気口キャップを圧入または摩擦嵌めによって側壁に係合してもよいが、吸気口キャップが他の適切な方法、たとえば接着、機械的連結(たとえば、スナップ嵌め)、超音波溶接などで側壁に固定されてもよいことを諒解されたい。
【0079】
使用時には、内側部分312が吸気口323の中央部を閉塞させるかまたは遮断するように位置し、気体が供給され、内側部分312の外縁部と外側部分314の内縁部との間に画定された環状の空隙315を通してハウジングに引き込まれる。一例では、空隙315(すなわち、吸気口領域)によって形成される断面積は、約150mm2よりも大きく、たとえば約150mm2~300mm2、175mm2~225mm2、200mm2~250mm2、250mm2~300mm2である。そのような構成は、たとえば、吸気口から放射されるノイズを低減させたり、有効吸気口面積を狭くしたり、ヘルムホルツ共振周波数を低下させることによって、ノイズを低減させる。
【0080】
図示の例では、内側部分312は、回転子キャップ360の直径よりも小さい直径を含み、たとえば、内側部分312の直径は約20mmよりも小さく、たとえば18mmである。しかしながら、内側部分の他の例は、回転子キャップの直径と同様であるかまたは回転子キャップの直径よりも大きい直径を含んでもよいことを諒解されたい。
【0081】
一例では、図124に示すように、回転子キャップ360と吸気口キャップ310の内側部分312との間の隙間Aは、羽根車380と頂部カバー322との間の隙間Aと実質的に同様であり、たとえば隙間Aは、0.1mmよりも大きく、たとえば約0.1mmよりも大きく最大で1.0mmであり、0.3mmから0.5mmの間または0.35mmから0.4mmの間であるか、あるいは0.381mmよりも大きく、約0.381mmよりも大きく最大で1.0mmである。さらに、一例では、図124に示すように、吸気口キャップ310の内側部分312の厚さBは頂部カバー322の厚さBと実質的に同様である。
【0082】
図示の例では、吸気口キャップは3つのスポークまたはコネクタ316を含むが、設けるスポークの数はこれより多くてもあるいは少なくてもよく、たとえば2つでも、4つでも、5つでも、6つでもよく、あるいはそれより多くてもよいことを諒解されたい。さらに、スポークまたはコネクタが他の構成を含んでもよく、内側部分312と外側部分314を相互に連結するように他の適切な態様で構成されてもよいことを諒解されたい。
【0083】
たとえば、図120図123は、本技法の代替例による吸気口キャップを示す。図120では、吸気口キャップ410は、半径方向に延び、内側部分412と外側部分414を相互に連結する、上述の吸気口キャップ310よりも多くのコネクタ416、たとえば17個のコネクタを含む。しかしながら、コネクタの数がそれより多くてもあるいは少なくてもよいことを諒解されたい。
【0084】
図121では、吸気口キャップ510は、内側部分512から接線方向に延びて内側部分512を外側部分514に連結する複数のコネクタ516、たとえば10個のコネクタを含む。さらに、コネクタをたとえばノイズの低減を向上させるように水平方向に向けて斜めに配置するかまたは傾斜させてもよい。
【0085】
図122では、吸気口キャップ610の内側部分612と外側部分614との間のコネクタ616、たとえば7個のコネクタは、全体的に湾曲した構成を含む。
【0086】
図123では、吸気口キャップ710の内側部分712と外側部分714との間のコネクタ716、たとえば15個のコネクタは円筒の形をしている。
【0087】
コネクタ416,516,616,716の数は変更されてもよく、上記の数は一例にすぎず、したがって、利用できるコネクタ416,516,616,716の数はこれより多くてもあるいは少なくてもよく、2個でも、3個でも、4個でも、5個でも、6個でも、7個でも、8個でも、9個でも、10個でも、11個でも、12個でも、13個でも、14個でも、15個でも、16個でも、17個でも、18個でもよく、あるいはそれより多くてもよいことに諒解されたい。
【0088】
軸受-ハウジング構造
一例では、ブロワは回転子を回転可能に支持するうえで玉軸受を必要とせず、また使用しない。その代わりに、軸受-ハウジング構造130が回転子170を回転子キャップ160と一緒に回転可能に支持し、モータ140の固定子組立体145を保持する。軸受-ハウジング構造130は、羽根車ブレードと固定子ベーンとの間に遮蔽ディスクを備えてもよい。軸受-ハウジング構造130は、焼結青銅、工業用プラスチック材料、たとえば、Torlon(商標)などのポリアミドイミド樹脂、および/もしくは非常に摩擦の少ないその他の材料のような潤滑性材料、または潤滑性材料もしくは摩擦係数が非常に小さい材料を含む材料の組合せで構成される。たとえば、アルミニウム、鋼、真鍮、青銅、もしくはその他の金属またはプラスチックのような第1の材料に潤滑性材料またはセラミック主体もしくはニッケル主体のコーティング材料のような摩擦係数が非常に小さい材料を塗布してもよい。ある例では、コーティングをシャフト受け面のような軸受-ハウジングの臨界磨耗面にのみ塗布してもよい。その代わりにまたはそれに加えて、シャフトに摩擦を低減させるような材料を塗布してもよい。
【0089】
図10および図11に示すように、軸受-ハウジング構造130は、基部132と、基部から延びる環状のフランジまたはディスク134と、回転子170を回転可能に支持する回転子シャフトまたはベアリングシャフト136とを含む。ベアリングシャフト136は、ラジアルまたはスリーブ軸受部136(1)とスラスト軸受部136(2)とを含む。スラスト軸受部136(2)は、回転子170を囲み回転子キャップ160に隣接する軸受-ハウジング構造130の頂面に位置する。スラスト軸受部136(2)は、回転子キャップが回転するのを可能にするスラスト面を形成する。ラジアル軸受部136(1)は、回転子の表面に沿ったスリーブ軸受として構成され、回転子170の回転を容易にするためのラジアル面を回転子に沿って形成する。回転子は、回転子キャップスラスト面に所望の表面仕上げを施すように研磨されてもよい。表面仕上げは、研削、ダイヤモンド艶出し、ラップ仕上げ、および研磨、ならびに/もしくは化学的バレル研磨または任意の他の表面創成技法を含む1つまたは複数の技法を使用して実施されてもよい。表面仕上げは、3マイクロインチ実効値(RMS)から40マイクロインチRMSの間、たとえば3マイクロインチRMSから32マイクロインチRMS、たとえば8マイクロインチRMSから16マイクロインチRMSのマイクロ仕上げによって実施されてもよい。ある例では、表面仕上げとして極めて高度な研磨を施さなくてもよい。その理由は、極めて高度な研磨によってある程度の摩擦が生じることがあるからである。代替として、表面を研磨するのではなく上述のように潤滑性の材料または摩擦係数が非常に小さい材料を表面に塗布してもよい。ベアリングシャフトは、ラジアル軸受特性とスラスト軸受特性の両方を組み込んだ単一の軸受を形成し、それによって、ブロワの高さを低くするのを助ける。軸受-ハウジング構造130のスラスト軸受部136(2)にスラスト荷重を加えてもよい。スラスト荷重は、使用時に回転子キャップ160によってベアリングシャフトの頂面またはスラスト面136(2)に加えられる。軸受は1つだけなので、モータは1つの平面でのみバランスをとればよく、2つの平面内でバランスをとる必要はない。
【0090】
軸受-ハウジング構造のディスク134は、回転子を支持する。ディスク134の外縁部134(1)は、羽根車180の外縁部に実質的に揃うかまたは半径方向において外縁部を越えて延び、羽根車ブレードと非旋回ベーン129の先端同士の間の視線を妨げる。ディスク134の外縁部134(1)は、使用時の羽根車の回転時に底部カバー124の非旋回ベーンからブレードを通過する音のノイズが発生するのを防止する遮蔽機能を実現する。ディスク134は、圧力およびモータ効率をそれほど損なわずに十分な気体が排気口の方へ流れるのを可能にするたとえば約0.75mmの幅の狭い環状の空隙135を、ディスク134の外縁部とカバー120の側壁との間に形成する。ある例では、この空隙は0.4mmから100mmの間、たとえば0.4mmから2mmの間であってもよく、0.5mmでも、0.75mmでも、1mmでも、1.5mmでもよい。さらに、ディスクは、モータ配線を空気流路の外側に案内するための1つまたは複数の開口部を含んでもよく、たとえばディスク134の開口部144を通して配索されたモータ配線203を示す図28図29、および図35を参照されたい。
【0091】
ある例では、軸受-ハウジング構造130は、別個のディスク構成要素134および別個の軸受構成要素136から組み立てられ、たとえば、基部132をさらに含む分割構成を有してもよい。この分割構成では、ディスク構成要素134と軸受構成要素132,136は異なる材料で構成されてもよい。たとえば、軸受構成要素132,136は、上述のような潤滑性材料で構成されてもよく、ディスク構成要素134はプラスチック、ポリカーボネート、または同様の材料で構成されてもよい。別個のディスク構成要素134は、一連の様々な結合システムを使用して軸受構成要素132,136に結合されてもよい。ディスク構成要素134と軸受構成要素132,136との間の結合システムは、以下のシステム、すなわち、一方の構成要素を他方の構成要素上にオーバーモールド成形し、たとえばディスク構成要素134を基部132上にオーバーモールド成形するかまたは基部132をディスク構成要素134上にオーバーモールド成形するシステム、スナップ嵌めまたはクリップ構成を使用するシステム、締り嵌めを使用するシステム、ねじまたは差し込み式連結を使用するシステム、ディスク構成要素を基部132に直接固着しなくて済み、エラストマ構成要素、たとえばTPEをディスク構成要素の端部、基部132、またはその両方上にオーバーモールド成形することができるようにディスク構成要素134と基部132との間に結合されたエラストマ構成要素を使用するシステム、あるいは任意の他の結合システムのうちの1つまたは複数を含んでもよい。TPEオーバーモールドまたはOリングのような1つまたは複数のエラストマ構成要素またはコンプレイント構成要素を上記の結合システムのいずれかにおいてディスク構成要素134と基部132との間に含めて振動の伝達を軽減してもよい。
【0092】
たとえば、図39は、たとえば互いにオーバーモールド成形された、別個の円筒形軸受構成要素136に結合された別個のディスク構成要素134の一例を示す。図40では、たとえば構成要素同士の連結を強化するために、別個の軸受構成要素136の基部132が別個のディスク構成要素134に設けられた溝内に連結されている。図41および図42では、たとえば振動の伝達を最低限に抑えるために、別個のディスク構成要素134と別個の軸受構成要素132,136との間にOリング138が設けられている。さらに、振動の伝達を最低限に抑えるために、軸受構成要素132,136と底部カバー124との間に1つまたは複数のOリング139が設けられてもよい。図45は、エラストマ137が基部132の縁部に沿ってオーバーモールド成形された別個の軸受構成要素132,136を示す。(たとえば、プラスチックで構成された)別個のディスク構成要素134は底部カバー124のベーン129に超音波溶接または熱かしめされてもよい。
【0093】
そのような分割構成例では、ディスク構成要素134の下方に位置する複数の固定子ベーンまたは非旋回ベーン129が、上述のようにディスク構成要素または底部カバー124上に配置してもよく、あるいは、いくつかの固定子ベーン129がディスク構成要素134上に配置され、かついくつかの固定子ベーン129が底部カバー124上に配置されて、完全な1組の固定子ベーン129を形成するように、ディスク構成要素と底部カバー124の両方の上に配置されてもよい。固定子ベーン129は、ディスク構成要素134および/または底部カバー124と一体的に形成または成形されてもよい。たとえば、図43は、固定子ベーン129が一体的に形成または成形された別個のディスク構成要素134とオーバーモールド成形された別個の軸受構成要素132,136を示す。底部カバー124は、ベーンの端部、たとえば底部カバーに成形されたベーンの端部を支持する。
【0094】
そのような分割構成は、モータ配線または固定子配線がブロワ組立体からディスク134と基部132との間に配索されるのを可能にする。たとえば、ディスク構成要素134と軸受構成要素132,136との間から底部カバー124の出口を通過するように配索されたモータ配線203を示す図43を参照されたい。モータ配線は、底部カバー内の出口に配索されPCB組立体またはドライバに取り付けられてもよい。たとえば、底部カバー124を通してPCB組立体またはドライバ207に配索されたモータ配線203を示す図44を参照されたい。モータ配線は、上述のように少なくともいくつかの固定子ベーン129を通して配索されてもよい。ある例では、PCB組立体またはドライバは、空気流路の外側で底部カバーに取り付けられてもよい。たとえば、PCB組立体またはドライバ207が空気流路の外側で底部カバー124の外部に取り付けられた図44を参照されたい。
【0095】
他のある例では、ディスク134は、参照により全体が本明細書に組み込まれている、「Compact low noise efficient blower for CPAP devices」という名称の米国特許第7,866,944号に記載されたシールドとして働く別個の構成要素であってもよい。
【0096】
軸受-ハウジング構造は、ブロワの組立てを容易にするように底部カバー124に結合されてもよい。軸受-ハウジング構造130は、3つ~6つまたはそれ以上の位置のような2つ以上の位置において底部カバー124に結合されてもよい。底部カバー上の少なくともいくつかの固定子ベーン129は、軸受-ハウジング構造130のディスク134に結合されてもよい。しかしながら、固定子ベーンがディスク134上に配置される場合、少なくともいくつかの固定子ベーン129は底部カバーに結合されてもよい。固定子ベーン129は、後述の方法のうちの1つもしくは複数もしくはそれらの組合せまたは任意の他の結合方法を含む任意の手段によってディスク134および/または底部カバーに結合されてもよい。
【0097】
ある例では、少なくともいくつかの固定子ベーン129は、糊または両面テープを使用することなどによってディスク134および/または底部カバー124に接着結合されてもよい。たとえば、図46は、両面テープ208によって固定子ベーン129に結合されたディスク134を示す。図47は、底部カバー124の固定子ベーン129が、ディスク134に接着結合することのできるオーバーモールド成形されたTPEまたは硬質プラスチックである例を示す。他の例では、固定子ベーン129が熱かしめまたは超音波溶接によってディスク134および/または底部カバー124に結合されてもよい。たとえば、図29は、底部カバー124上に熱かしめされた軸受-ハウジング構造130を示す。そのような例では、ベーン129は、たとえば振動を最低限に抑えるようにエラストマ129-5でオーバーモールド成形される。他の例では、固定子ベーンの縁部上の突起がディスク134または底部カバー124の補開口内に受け入れられる圧入構成、あるいは突起がディスク134および/または底部カバー124上にあり、補開口が固定子ベーン129上にあるという点で逆の圧入構成を使用して、固定子ベーン129がディスク134および/または底部カバー124に結合されてもよい。さらなる例では、スナップ嵌め、締り嵌め、クリップ、またはボス構成を利用して固定子ベーン129をディスク134および/または底部カバー124に結合してもよい。
【0098】
固定子ベーン129の頂縁部または底縁部は、軸受ハウジング構造130から底部カバー124への振動の伝達を最低限に抑えるためにエラストマ材料を含んでもよい。エラストマ材料を固定子ベーン129の縁部にオーバーモールド成形するか、接着剤によって取り付けるか、あるいは挿入することができる。Oリングなどのエラストマ材料が、結合手段によって結合された固定子ベーン129とディスク134および/または底部カバーとの間に保持されてもよい。たとえば、図48は、振動を絶縁するために軸受ハウジング構造130と底部カバー124との間に配置されたOリングまたはTPEオーバーモールド139を示す。軸受ハウジング構造は、Oリングを所定の位置に保持するように底部カバー上に熱かしめされてもよい。
【0099】
ある例では、上記に加えてまたは上記の代わりに、軸受-ハウジング構造130が底部カバー124に直接、すなわち固定子ベーン129を介さずに結合されてもよい。図49および図50に示すような例では、軸受-ハウジング構造130は、底部カバー124の所で留め金具209に係合するボス130-1を備えてもよい。図50図52に最もよく示されているように、留め金具209は、ボス130-1を把持するかまたはボス130-1に食い込んで保持する複数の歯状突起209-1を含んでもよい。ボスをある方向に挿入するのを容易にするがボスが逆方向に外れるのを防止または抑制するように歯状突起を傾斜させてもよい。留め金具は、底部カバーに挿入されて底部カバー124とハウジング-軸受構造130を結合する別個の構成要素であってもよい。代替として、ボスが底部カバー124上に配置され、留め金具が軸受-ハウジング構造130上に配置されてもよい。
【0100】
別の構成では、図53に示すように、ボス130-1が、軸受ハウジング構造130と一体化され、いくつかの固定子ベーン129の少なくとも一部が軸受ハウジング構造130のディスク134に接触するまで底部カバー124に圧入されるように構成されてもよい。Tinnermanクリップ、パルナット、スピードナット、プッシュナット、またはその他の留め金具などの留め金具210によって軸受ハウジング構造を底部カバーに固定してもよい。図54は、留め金具210、たとえばTinnermanクリップによって底部カバー124に固定された軸受ハウジング構造130の別の例を示す。この例では、底部カバーの領域における軸受ハウジング構造の軸受ボアまたは貫通穴133(すなわち、ボア133の下部)は、軸受スリーブまたは回転子支持体(すなわち、回転子170を支持するボア133の上部)の面積と比較して直径がわずかに大きく、留め金具、たとえばTinnermanクリップの圧入による圧縮収縮を最低限に抑えることができる。
【0101】
ある例では、軸受-ハウジング構造130のボスは、底部カバー124の所で留め金具に係合するように構成された1つまたは複数のリップを含む突起を備える。留め金具は、スナップ嵌め構成でリップを受け入れるようになっている1つまたは複数の嵌め合い溝を有してもよい。代替として、突起が底部カバー124上に配置され、留め金具が軸受-ハウジング構造130上に配置されてもよい。使用してもよい他の留め金具には、Tinnermanクリップ、パルナット、スピードナット、プッシュナット、およびその他の留め金具が含まれる。
【0102】
他の例では、軸受-ハウジング構造130の基部132が、溝にスナップ嵌めされるスナップ機構を介して底部カバー124に直接結合されてもよい。スナップ機構が底部カバー124上に配置され、溝が軸受-ハウジング構造130上に配置されても、あるいは逆に、スナップ機構が軸受-ハウジング構造130上に配置され、溝が底部カバー124上に配置されてもよい。
【0103】
たとえば、図55は、底部カバーに軸受ハウジング構造を取り付けるために軸受ハウジング構造130上に設けられた溝にスナップ嵌めされるように構成されたスナップ機構211を含む底部カバー124を示す。図56図65は、底部カバー124を軸受ハウジング構造130に取り付けるためのスナップ機構211の代替例を示す。
【0104】
ある例では、図66に示すように、底部カバー124が、ねじ構成を使用して軸受-ハウジング構造130に結合されてもよい。中央ねじ212が、排気口125を介し底部カバー124の一部を通して、軸受-ハウジング構造130に設けられたねじ付きアンカー213(たとえば、アンカーが一体的に成形されるかまたはアンカーにボアが設けられる)に挿入されてもよい。ねじ212は、上方に軸受-ハウジング構造130のディスク134の方へ延びて支持を実現する少なくとも1つのアーム124-2をさらに備える底部カバー124のアンカー部124-1に挿入されてもよい。少なくとも1つのアーム124-2は、ディスク134に結合され、たとえば連動係合するように構成されてもよい。これによって、クランピングによって底部カバーを湿らせるのを容易にすることができる。場合によっては、組立て後にねじを密封してねじが外れるか、または取り外される、もしくはいたずらされるのを防止してもよい。ねじは、軸受スピンドルの底部を密封し、空気流が通過するのを妨げ、軸受グリースまたは潤滑油が乾燥するのを防止するのを助けることができる。軸受グリースまたは潤滑油は、ねじを設置する前に軸受スピンドルに添加されてもよい。図67は、中央ねじ212によって軸受-ハウジング構造130に結合された底部カバー124の別の例を示す。
【0105】
ある例では、ねじ構成は底部カバー124および/または軸受-ハウジング構造130に一体化されてもよい。たとえば、図68に示すように、軸受-ハウジング構造130は、底部カバー124の対応するねじ受入れ部212-2(たとえば、雌ねじ部)内に受け入れられるねじ部212-1(たとえば、雄ねじ部)をベアリングシャフト136の端部に備えるように構成されてもよい。代替として、雄ねじ部が底部カバー124上に配置され、雌ねじ部が軸受-ハウジング構造130上に配置されてもよい。ねじ部同士によって軸受-ハウジング構造と底部カバーをねじ止めすることができる。
【0106】
軸受グリースまたは潤滑油は、軸受-ハウジング構造内で回転子組立体を安定させるのを助けるのに使用される。したがって、潤滑油を保持する手段がモータ組立体内に組み込まれてもよい。図69に示すように、潤滑油を軸受スラスト面136(2)に供給するように設計された潤滑油槽215が軸受-ハウジング構造130のベアリングシャフト136に内蔵されてもよい。供給される潤滑油は、開口216を介し軸受-ハウジング構造を通して槽215に送られてもよい。ベアリングシャフト136は、圧点をベアリングシャフト136の頂部および/または底部に集中させるための1つまたは複数の凹状流路217(たとえば、図70参照)、たとえば3個~10個の流路、4個~8個の流路、4個~6個の流路、4個の流路、5個の流路、または6個の流路などを軸受スラスト面136(2)に沿って含んでもよい。凹状流路は、回転面において潤滑油を保持するのを助ける。
【0107】
図71図74は、ベアリングシャフト136内に潤滑油槽215を含む軸受-ハウジング構造130の一例を示す。一例では、図73に示すように、潤滑油槽215は、ベアリングシャフト136内の実質的に中央に配置され、たとえばd1およびd2は約1.5mm~3.0mm、たとえば約2.25mmであってもよい。一例では、図73に示すように、槽の深さd3は約0.05mm~0.1mm、たとえば約0.08mmすなわち約0.003インチであってもよい。
【0108】
図75図79は、回転面に潤滑油を保持するのを助けるための1つまたは複数の凹状流路217(ランドとも呼ばれる)をベアリングシャフト136の軸受スラスト面136(2)に沿って含む軸受-ハウジング構造130の一例を示す。一例では、図77および図78に示すように、各流路の長さd1が約0.5mm~1.0mmで、たとえば0.8mmであり、各流路の幅d2が約0.2mm~0.6mmで、たとえば0.4mmであり、曲率半径d3が約0.2mmであり、深さd4が約0.01mm~0.05mmで、たとえば0.025mm(約0.001インチ)であり、曲率半径d5が約0.0155インチである。しかしながら、流路について他の適切な寸法が可能であることを諒解されたい。たとえば、寸法は、流路によって実現される流体力学的圧力を調整するように選択されてもよく、たとえば、図80は各々の幅が約0.016インチの流路217を示し、図81は各々の幅が約0.011インチよりも小さい流路217を示す。
【0109】
図82および図83は、使用時に流路217によってベアリングシャフト136と回転子キャップ160との間に生じる流体力学的圧力集中(破線で概略的に示されている)を概略的に示す。
【0110】
図84図89は、回転面に潤滑油を保持するのを助けるための環状の凹状流路217をベアリングシャフト136の軸受スラスト面136(2)に沿って含む軸受-ハウジング構造130の一例を示す。一例では、図88に示すように、流路の深さd1が約0.01mm~0.04mmで、たとえば0.025mmであり、曲率半径d2が約0.3mm~0.5mmで、たとえば約0.4mmであり、d3が約1.5mm~2mmで、たとえば1.9mmであり、d4が約0.25mm~0.5mmで、たとえば約0.4mmである。
【0111】
ベアリングシャフトまたはスリーブは円形構成ではなく3葉構成を有することが好ましい。たとえば、図90は、使用時の回転子170に対する3葉構成を有するベアリングシャフトの一例を示す。各「葉」は、流体力学的または水力学的圧力を増大させる。一例では、各葉の深さd1は約0.0001インチ~0.0005インチである。
【0112】
ある例では、図91に示すように、ドングリ形の溝無し保持リングなどの保持リング218をベアリングシャフト136の底部に結合して軸受-ハウジング構造130の周りに潤滑油を保持するのを助けてもよい。
【0113】
ある例では、図92に示すように、潤滑油をベアリングシャフト内に保持するために軸受-ハウジング構造130をラジアル軸受部136(1)の下端130.1のような一方の端部の所で閉鎖してもよい。
【0114】
グリースまたは潤滑油には、Kyoto Ushi Multemまたは他のそのような潤滑油を含めてもよい。代替として、軸受は乾燥した軸受であってもよく、すなわち、軸受-ハウジング構成要素および/または回転構成要素には、潤滑性を付与しグリースまたは潤滑油を不要にする低摩擦係数材料などの低摩擦材料、たとえばセラミック主体のコーティング、ニッケル主体のコーティング、Teflon(商標)、または黒鉛で少なくとも一部が形成されるかまたはそのような材料が塗布される。
【0115】
軸受カートリッジ
代替例では、図109図110および図125図127に示すように、軸受-ハウジング構造のベアリングシャフトが、回転子370を回転可能に支持するようになっている軸受394、395を含む軸受カートリッジ390と交換されてもよい。
【0116】
図示のように、軸受カートリッジ390は、管状のスリーブまたはカートリッジ392と、スリーブ392内に支持された互いに間隔を置いて配置された2つの軸受394,395と、予荷重(たとえば、予荷重の方向は図112に矢印a1およびa2によって示されている)を加えるための軸受同士の間のスペーサ396(スペーサ396を設けるかどうかは任意でよい)とを含む。各軸受394,395は、スリーブ392の内面に係合した外レースと、回転子370に係合し、たとえば接着剤を使用して接着された内レースとを含む。図112は、軸受カートリッジ390のみを示す図である。
【0117】
この例では、(たとえば、プラスチック材料を射出成形した)軸受-ハウジング構造330は、基部332と基部332から延びる環状のフランジまたはディスク334とを備えるハウジング部を含む。基部332は、軸受カートリッジ390の端部を支持するチューブ部333を形成し、たとえば軸受カートリッジ390のスリーブ392の外面が、たとえば接着剤を使用してチューブ部333に接着される。さらに、スリーブ392の外面に沿って固定子構成要素345が設けられる(たとえば、接着剤を使用して接着される)。
【0118】
図109および図110では、チューブ部333は、端部に開口部を有し、開口部に沿ってフランジ333(1)を形成して、軸受カートリッジ390を支持するための止め面をチューブ部333内に形成する。一例では、チューブ部の底部におけるそのような開口部は被覆または封止されてもよい。代替例では、図111に示すように、チューブ部333の底部が、軸受カートリッジ390をチューブ部333内に支持するための止め面を形成するように一体的な下壁333(2)によって閉鎖されてもよい。
【0119】
この例では、図109図126、および図127に示すように、軸受-ハウジング構造330の固定子ベーン329は、軸受-ハウジング構造330を底部カバー324に対して保持し揃えるために底部カバー324のそれぞれの開口部324(1)に(たとえば、スナップ嵌め、熱かしめによって)係合するようになっているタブ329(1)を形成する。頂部カバー322は、たとえば、接着剤または超音波溶接あるいは他の既知の方法を使用することによって、底部カバー324に固定されてもよい。
【0120】
上述のように、(磁石150および羽根車180を支持する)回転子キャップ160は回転子370の端部370(2)に設けられる。一例では、磁石は、磁気予荷重またはスラストを回転子キャップから軸受カートリッジに移すように固定子組立体上に心合わせされてもよい。
【0121】
一例では、第1の組立工程において回転子キャップ160が(たとえば圧入によって)回転子370に設けられてもよく、次いで、第2の組立て工程において(回転子キャップが取り付けられた)回転子370が軸受カートリッジ390に設けられてもよい。そのような組立てでは、軸受カートリッジの軸受に対する損傷が少なくなる。
【0122】
代替例では、軸受カートリッジは、ハウジング内に支持された別の軸受と協働して回転子を回転可能に支持するようになっている単一の軸受を含んでもよい。
【0123】
別の代替例では、回転子を支持するための空気軸受構成が設けられてもよい。
【0124】
接線方向排気口
一例では、ブロワは、軸方向に揃えられた、吸気口と吸気口の接線方向に位置するかまたは羽根車の回転方向に対する接線方向に位置する排気口とを含んでもよい。
【0125】
たとえば、図128図131は、吸気口823を形成する頂部カバー822と、吸気口823の接線方向に位置する排気口825を形成する底部カバー824とを含むブロワ800を示す。上述の例と同様に、このブロワは、回転子870を回転可能に支持するようになっている軸受カートリッジ890を支持するように構成された軸受-ハウジング構造830を含む。(磁石850および羽根車880を支持する)回転子キャップ860は、回転子870の端部に設けられる。
【0126】
この例では、軸受-ハウジング構造830は、ディスク834の端部から下方に延びる環状の側壁835を含む。側壁835の自由端部は、軸受-ハウジング構造830を底部カバー824に対して保持し揃えるために底部カバー824のそれぞれの開口部内に(たとえば、スナップ嵌め、熱かしめ、超音波溶接によって)係合するようになっているタブ835(1)を形成する。
【0127】
側壁835は、排気口825の方へ空気の向きを定めるための渦巻室837を、カバー822,824と一緒に画定する。この例では、渦巻室837は、断面積が排気口に向かって拡張し静圧再取得を介して圧力を発生させる。側壁835と底部カバー824は、たとえばPCBまたはドライバなどの電子構成要素用の開放空間839を空気流路から形成する。
【0128】
図132図138は、吸気口の接線方向に位置する排気口を含むブロワの別の例を示す。この例では、ブロワ900は、ブロワハウジング920に組み込まれるかあるいは他の方法で設けられた軸受-ハウジング構造を含む。
【0129】
図示のように、ブロワハウジング920は、吸気口923を形成する頂部カバー922と、頂部カバー922と協働して吸気口923の接線方向に位置する排気口925を形成する底部カバー924とを含む。
【0130】
底部カバー924はまた、軸受カートリッジ990を支持し、排気口925の方へ空気の向きを定めるための渦巻室937を画定するように構成される。具体的には、底部カバー924は、軸受カートリッジ990を支持するチューブ部933を形成する基部932と、上向きに湾曲し、次に基部932から半径方向外側に延びる環状のフランジまたはディスク934とを含む。環状の側壁935がディスク934の縁部から下方に延びて渦巻室937を画定している。(磁石950および羽根車980を支持する)回転子キャップ960は、軸受カートリッジ990によって回転可能に支持された回転子970の端部に設けられる。
【0131】
この例では、渦巻室937は、断面積が排気口に向かって拡張し静圧再取得を介して圧力を発生させる。たとえば図136を参照されたい。図示の例では、渦巻室は概ね半円形の断面構成を含む。たとえば図137および図138を参照されたい。しかしながら、他の適切な渦巻室形状も可能である。
【0132】
図139図142は、吸気口の接線方向に位置する排気口を含むブロワの別の例を示す。ブロワ1000は、頂部カバー1022と底部カバー1024とを有するハウジング1020を含む。頂部カバー1022は、吸気口1023を形成し、吸気口1023の接線方向に位置する排気口1025も形成する。この例では、吸気口1023に煙突状チューブ部または吸気口チューブ部1027が設けられる。
【0133】
軸受-ハウジング構造または固定構成要素1030が、ハウジング1020に設けられ、かつ軸受-ハウジング構造または固定構成要素1030は、軸受カートリッジ1090を支持し排気口1025の方へ空気の向きを定めるための渦巻室1039を画定するように構成される。
【0134】
軸受-ハウジング構造1030は、軸受カートリッジ1090を支持するチューブ部1033と、モータ構成要素を受け入れるためのくぼみを形成する外側および上方に延びる壁部1035,1036と、環状のフランジまたはディスク1034と、ディスクから延びる下方および外側に延びる端部1037とを含む。
【0135】
チューブ部1033は、軸受カートリッジ1090の端部を支持し、たとえば、軸受カートリッジ1090のスリーブ1092の外面が、たとえば接着剤を使用してチューブ部1033に接着される。さらに、スリーブ1092の外面に沿って固定子構成要素1045が設けられる(たとえば、接着剤を使用して接着される)。
【0136】
(磁石1050および羽根車1080を支持する)回転子キャップ1060は、軸受1094,1095によって軸受カートリッジ1090内に回転可能に支持された回転子1070の端部に設けられる。この例では、回転子キャップ1060の内面に沿って磁石1050が設けられ、羽根車1080を保持するためのペグまたはピン1061が回転子キャップの上壁に設けられる。図示の例では、ペグ1061は、回転子1070の直径(たとえば1mm~3mm、たとえば2mm)よりも大きい直径(たとえば3mm~5mm、たとえば4mm)を形成する。軸受-ハウジング構造1030の外側および上方に延びる壁部1035,1036によって形成されるくぼみは、回転子キャップ、磁石、および固定子構成要素の少なくとも一部を軸受-ハウジング構造内に入れ子にするのを可能にし、薄型のブロワを形成する。
【0137】
頂部カバー1022は、軸受-ハウジング構造1030と協働して、排気口1025の方へ空気の向きを定める渦巻室1039を画定する。図示のように、頂部カバー1022は、円筒形の分離壁または邪魔板1022(1)を含み、端部1037の段状構成と一緒に、渦巻室1039を2つの領域、すなわち高速空気流路領域1070(1)および低速空気流路領域1070(2)に分離し、たとえば圧力脈動および/または音響ノイズを最低限に抑える。
【0138】
たとえば、渦巻室に沿ってシールを形成し、PCBを支持し、かつ/あるいはPCB配線を案内するための配線グロメットを形成するための(たとえば、シリコーンゴムまたは他の適切な材料で構成された)シール1095が軸受-ハウジング構造1030と頂部カバー1022および底部カバー1024との間に形成されてもよい。
【0139】
ブロワ1000の態様、たとえば高速空気流路領域および低速空気流路領域のさらなる詳細および例は、参照により全体が本明細書に組み込まれているPCT公開WO2011/062633に開示されている。
【0140】
図148は、図139図142に示すブロワ例と同様な別のブロワ例を示す。図139図142に示すブロワ例に対して、ブロワ1000の底部カバー1024は、チューブ部1024(1)を形成し軸受カートリッジ1090の端部を支持する。この例では、軸受-ハウジング構造1030は、回転子キャップ1060、磁石1050、および固定子構成要素1045の少なくとも一部を軸受-ハウジング構造内に入れ子にするのを可能にする中央開口部を含む。図149および図150は、本技法の一例による、PAPデバイス1015のケーシング1012内に取り付けられたそのようなブロワ1000を示す。図示のように、吸気口1013と排気口1014はケーシングの両端部に設けられる。
【0141】
図143図147および図151は、吸気口の接線方向に位置する排気口を含むブロワの代替例を示す。図143では、羽根車1180は回転子キャップ1160の上壁に沿って支持される。(磁石1150も支持する)回転子キャップ1160は、軸受カートリッジ1190によって回転可能に支持された回転子1170に設けられる。この例では、ハウジング1120は、軸受カートリッジ1190を支持するチューブ部1133を含む。固定子構成要素1145は軸受カートリッジ1190の外面に沿って設けられる。(たとえば、ブレードを通過する音のノイズを防止するための)ディスク1134を形成し、かつ排気口1125の方へ空気の向きを定める渦巻室を形成するための固定構成要素1130がハウジング1120内に設けられる。
【0142】
図144では、軸受-ハウジング構造1230が、たとえばオーバーモールド成形によってモータの固定子構成要素1245と一体化され、一体構造を形成している。軸受-ハウジング構造1230は、回転子1270を回転可能に支持する軸受1295を支持するチューブ部1233を形成する。回転子キャップ1260は、回転子1270の一方の端部に設けられ、軸受-ハウジング構造1230と一体化された固定子構成要素1245に対する動作可能位置に磁石1250を支持する。羽根車1280は回転子1270の反対側の端部に設けられる。
【0143】
図145では、ハウジングの底部カバー1324は、排気口1325の方へ空気の向きを定めるための渦巻室1339を画定するように構成される。底部カバー1324は、軸受カートリッジ1390およびディスク1334を支持するチューブ部1333を含む軸受-ハウジング構造1330も支持する。固定子構成要素1345は、軸受カートリッジ1390の外面に沿って設けられる。(磁石1350を支持する)回転子キャップ1360は回転子1370の一方の端部に設けられ、羽根車1380は回転子1370の反対側の端部に設けられる。
【0144】
図146および図147は、排気口1425の方へ空気の向きを定めるための渦巻室1439を画定する1つまたは複数の壁を含む軸受-ハウジング構造1430の代替例を示す。上述の例と同様に、羽根車1480が回転子キャップ1460の上壁に沿って設けられ、モータ構成要素(たとえば、回転子キャップ、磁石、および固定子構成要素)の少なくとも一部が軸受ハウジング構造内に入れ子にされる。
【0145】
図151では、ハウジング1520は、概ね環状の吸気口1523と、吸気口の接線方向に位置する排気口1525とを形成する。内側ハウジング部1529は、回転子1570を回転可能に支持するようになっている軸受カートリッジ1590を支持する。(磁石1550および羽根車1580を支持する)回転子キャップ1560は、回転子1570の端部に設けられる。固定子構成要素1545は、軸受カートリッジ1590の外面に沿って設けられる。一例では、羽根車1580とハウジング1520の上部との間の空隙Aおよび羽根車1580/回転子キャップ1560とハウジング1520の下部との間の空隙Aは約0.75mm~1.0mmである。
【0146】
羽根車
図示の例では、図14および図15に示すように、羽根車180(両側シュラウド羽根車または交互シュラウド羽根車とも呼ばれる)は、一対のディスク状シュラウド184、186間に挟まれた連続的に湾曲するかまたは直線状の複数のブレード182を含む。図示のように、ブレードはS字形状を有するハブの方へ湾曲している。この形状は渦の離脱を低減させるように設計される。さらに、シュラウドはブレードの頂面および底面を完全に覆わなくてもよい。下部シュラウド186には、たとえば圧入によって回転子カップ160を受け入れるようになっているハブ185が組み込まれる。さらに、羽根車は、ブレードが外縁部に向かって先細りする先細り構成を含む。一例では、羽根車はプラスチック材料、たとえばLexan(登録商標)で構成されてもよい。羽根車のさらなる詳細は、参照により全体が本明細書に組み込まれているWO2007/048206号A1に開示されている。
【0147】
ある例では、羽根車ブレード182は、概ね時計回り方向に湾曲してもよい。代替例では、羽根車ブレード182は、概ね反時計回り方向に湾曲してもよい。
【0148】
代替例では、図93および図94に示すように、たとえば使用時に羽根車がシャフトまたは回転子から持ち上がるのを防止するのを助けるために底部シュラウド羽根車(すなわち、下部シュラウド186によって覆われたブレード182の底面)が使用されてもよい。図93は、ブレード182のS字形状の一例を示す。各ブレードの開始位置にあるこのわずかなS字形は、ブレードがハブに取り付けられ、かつ流入を阻害しないようにした結果である。
【0149】
図95および図96に示すように、羽根車ブレード182の先端縁部182(1)は、羽根車ブレードの先端縁部が流れの反対方向に内側に傾斜する、または斜めにする後退構成を有してもよい。この構成は、より高い圧力を発生させるより長いブレード長さを形成し、羽根車先端縁部における抗力を低下させ、かつ/あるいは流れの分離を遅延させることができる蒸気状の渦巻きを流路内に形成させ、したがって、抗力および流動振動を低減させ、効率を高める。一例では、先端縁部におけるブレード高さは、約10°~50°の角度、たとえば20°の角度で、ブレードの長さに沿ってベーンの長さの約4分の1の点まで高くなっていってもよい。
【0150】
代替として、図97および図98に示すように、羽根車ブレード182は、従来の羽根車と同様に流れ方向に垂直な先端縁部182(1)を有してもよい。ブレードおよびベーンの角度を様々な条件および/または性能最適化に関連して選択し得ることを諒解されたい。
【0151】
羽根車には回転子部を組み込んでもよい。回転子部は、磁束用の経路として働くことによって磁石と相互作用し、羽根車を固定子との相互作用によって回転させるように構成される。羽根車の回転子構成要素は、一体構成であってもよく、あるいは羽根車自体であってもよいプラスチックまたはその他の非磁性材料の非鉄構造内の磁性鋼の円筒形インサートとして形成されてもよく、そのようなインサートは、オーバーモールド成形、締り嵌め、または接着を含む様々な方法によって取り付けられてもよい。鉄材料のインサートまたはリングは、使用時に羽根車を固定子上に保持する。一例では、羽根車が固定子に固着されず、羽根車180および回転子キャップ160は、磁気吸引によって(回転子キャップの内面に結合された)磁石150と固定子組立体145との間に保持される。
【0152】
図113図115は、本技法の代替例による羽根車を示す。図113では、羽根車480は、上記に開示した例よりも多い数のブレード482、たとえば22個のブレードを含み、音の周波数を低下させることによってノイズを低減させる。しかしながら、ブレードの数がそれより多くてもあるいは少なくてもよいことを諒解されたい。さらに、各ブレード482は、湾曲構成を含み、たとえば広帯域および音ノイズを低減させるために概ね時計回り方向に湾曲している。しかしながら、図114に示すように、羽根車480のブレード482は、反対方向に湾曲してもよく、すなわち、概ね反時計回り方向に湾曲してもよい。図115は、各ブレードが概ね反時計回り方向に湾曲した11個のブレード482を含む羽根車480の別の例を示す。
【0153】
図113および図114では、ブレードは1つおきに、外縁部に向かって先細りする頂縁部482(1)をブレードの長さに沿って含む。図113および図114における残りのブレードは、外縁部に向かって先細りする前に高さがハブから徐々に高くなる頂縁部482(2)を含む。図115では、すべてのブレードが、外縁部に向かって先細りする頂縁部482(1)をブレードの長さに沿って含む。しかしながら、他のブレード構成が可能であることが諒解されよう。
【0154】
図113は、たとえば圧入によって羽根車480のハブ485に設けられた回転子キャップ460を回転子470と一緒に示す。
【0155】
例示的な寸法
一例では、図16に示すように、D1は約50~70またはそれ以上で約60mm~65mmであり、たとえば約62.8mmであってもよく、D2は約8mm~13mmまたはそれ以上であり、たとえば約10.4mmであってもよく、D3は約15mm~20mmまたはそれ以上であり、たとえば約18.4mmであってもよく、D4は約15mm~25mmまたはそれ以上であり、たとえば約23.2mmであってもよく、D5は約20mm~30mmであり、たとえば約27mmであってもよく、D6は約20mm~25mmであり、たとえば約21mmであってもよい。これらの寸法および範囲が例示的なものにすぎず、用途に応じて他の寸法および範囲が可能であることを理解されたい。たとえば、特定の用途には、示した範囲から±10%またはそれ以上変動した範囲が適切であることがある。
【0156】
PAPシステム
ある例は、本明細書で説明するようなブロワを備えるPAPシステムに関する。ある例では、ブロワを、患者の頭部(たとえば、患者の頭頂部もしくは患者の前頭部)、患者の腕、胸、またはその他の身体部分上、枕の中または近く、またはスカーフ状構成内に取り付けるか、衣服に組み込むか、あるいはベッドまたはベッドヘッドなどに取り付けてもよい。しかしながら、PAPシステムでは、たとえば、ユーザのベッドサイドテーブルに載せるようになっている筐体またはエンクロージャを含む種類のより従来型のPAP配給デバイスに本明細書に記載したブロワを利用してもよい。
【0157】
本開示をある例に関連して説明したが、本開示が開示された例に限定されず、逆に様々な修正形態および均等構成を対象とすることを意図していることを理解されたい。たとえば、ブロワをアキシャルブロワに関して説明したが、ブロワはタンジェンシャルブロワとして構成されてもよい。さらに、ブロワを頭部装着PAPシステムで使用されるように説明したが、ユーザの頭部または身体に取り付けられない別個の流れ発生装置を含むより従来型のPAPシステムとともに使用されてもよい。さらに、本明細書で説明した様々な例は、他の例に関連して実施されてもよく、たとえばある例の態様を別の例の態様と組み合わせてさらに他の例を実現してもよい。さらに、任意の所与の組立体の独立した各機構または構成要素がさらなる例を構成してもよい。さらに、本開示は、特にOSAの患者に適用されるが、他の疾患(たとえば、鬱血性心不全、糖尿病、病的肥満、脳卒中、肥満手術など、またはそれらの合併症)の患者にも本開示の教示が有益であることが諒解されよう。さらに、本開示の教示は、非医療用途において患者と非患者に同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0158】
10 頭部装着PAPシステム
20,100,300,800,900,1000 ブロワ
30 患者インターフェース
40 排気口チューブ
50 ヘッドギア
1020,1120,1520 ハウジング
120,122,322,822,922,1022 頂部カバー
123,323,823,923,1013,1023,1523 吸気口
124,324,824,924,1024,1324 底部カバー
124-1 アンカー部
124-2 アーム
125,825,925,1014,1025,1325,1525 排気口
126,324(1) 開口部
128 継手
129 非旋回ベーン
129-1,129-2 デュアルベーン
129-3 空間
129-4 円筒形ガイド
130,330,830,1030,1130,1230,1330,1430 軸受-ハウジング構造
131-1,131-2 溝
131-3,161-1,161-2,161-4 ビード
131-5 ねじ
132,136 軸受構成要素
132,332,932 基部
133 穴
134,834,934,1134,1334 ディスク
134(1) 外縁部
136 ベアリングシャフト
136(1) スリーブ軸受部
136(2) スラスト軸受面、スラスト軸受部
136(3) 外面
138,139 Oリング
140 モータ
145,345,1045,1145,1245,1345,1545 固定子構成要素
146 固定子コア
147 固定子歯
148-1 第1のスロットライナ
148-2 第2のスロットライナ
150,350,850,950,1050,1150,1250,1350,1550 磁石
160,360,460,860,960,1060,1160,1260,1360,1460,1560 回転子キャップ、回転子カップ
161 リップ
161-3,165(1) くぼみ
161-5 ねじ
162,216 開口
163 外面
165 内面
170,370,470,870,970,1070,1170,1270,1370,1570 回転子
170(1),202(1) 一方の端部
170(2),202(2) 他方の端部
171 下部フランジ
182,482 ブレード
182(1) 先端縁部
184,186 シュラウド
185 ハブ
180,280,380,480,880,980,1080,1180,1280,1380,1480,1580 羽根車
202 オーバートップ保持アーム
205 予旋回カバー
205-1 バンパー
206 予旋回ベーン
207 PCB組立体
210 留め金具
212-1 ねじ部
212-2 ねじ受入れ部
215 潤滑油槽
217 凹状流路
310,410,510,610,710 吸気口キャップ
312,412,512,612,712 内側部分
314,414,514,614,714 外側部分
315 環状の空隙
322(1) 環状の側壁
329(1) タブ
333,933,1024(1),1027,1033,1133,1233,1333 チューブ部
333(1) フランジ
333(2) 一体的な下壁
351 金属スリーブ
370(2),1037 端部
390,890,990,1090,1190,1390,1590 軸受カートリッジ
392,1092 管状のスリーブ
394,395,1094,1095,1295 軸受
416,516,616,716 コネクタ
482(1),482(2) 頂縁部
835 側壁
835(1) タブ
837,937,1039,1339,1439 渦巻室
839 開放空間
920 ブロワハウジング
1015 PAPデバイス
1022(1) 分離壁
1030,1130 固定構成要素
1035,1036 壁部
1061 ペグ
1070(1) 高速空気流路領域
1070(2) 低速空気流路領域
1095 シール
1529 内側ハウジング部
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