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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】管理システム、管理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20230901BHJP
   G06Q 30/016 20230101ALI20230901BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20230901BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q30/016
G06Q50/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021119031
(22)【出願日】2021-07-19
(65)【公開番号】P2023014850
(43)【公開日】2023-01-31
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】599016110
【氏名又は名称】株式会社エスシー・マシーナリ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】栗毛野 浩一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優介
(72)【発明者】
【氏名】工藤 鉄也
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-220104(JP,A)
【文献】特開2003-342975(JP,A)
【文献】特開2003-085306(JP,A)
【文献】 モンスター・ラボとクボタ、ARを活用した建設機械の故障診断アプリ『Kubota Diagnostics』をリリース,[オンライン],日本,株式会社 PR TIMES,2020年12月21日,[検索日 2022.6.24],インターネット:<https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000043.000040073.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象装置の利用期間を少なくとも示すスケジュール情報を取得するスケジュール情報取得部と、
前記対象装置のセンシング情報に基づく異常の有無を特定する異常特定部と、
前記異常の有無を特定したタイミングと前記スケジュール情報における前記利用期間とを比較し、前記センシング情報に基づいて前記対象装置に異常が有ることを示す場合に、当該対象装置のメンテナンスに要する日数と残りの貸し出し日数とに応じた前記対象装置のメンテナンスに関する出力情報であって、前記メンテナンスに要する日数が前記残り貸し出し日数以上である場合には営業担当者に前記対象装置の異常を連絡する第一の出力情報を生成し、前記メンテナンスに要する日数が前記残り貸し出し日数未満である場合には前記対象装置のメンテナンス開始を営業担当者に連絡する第二の出力情報を生成する出力情報生成部と、
を備える管理システム。
【請求項2】
前記出力情報生成部は、前記異常の有無の特定において異常と特定された場合に、当該異常の度合を特定し、当該異常の度合に応じた前記メンテナンスに関する出力情報を生成する
請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記出力情報生成部は、前記異常の有無の特定において異常と特定された場合に、当該異常の特定に利用した前記センシング情報に基づいて前記メンテナンスの種別を特定し、当該メンテナンスの種別に基づいて前記出力情報を生成する
請求項1に記載の管理システム。
【請求項4】
前記対象装置が他者にレンタルした装置であり、
前記出力情報生成部は、前記レンタルした前記対象装置のメンテナンスに関する出力情報を生成する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の管理システム。
【請求項5】
前記対象装置が他者にレンタルした建設に利用する装置である請求項1から請求項4の何れか一項に記載の管理システム。
【請求項6】
前記出力情報生成部は、前記異常の有無の特定において異常と特定された場合に、当該異常の特定に利用した前記センシング情報を出力した前記対象装置の3次元画像を、空間画像内の対応する位置に前記異常を示す態様で表示する前記出力情報を生成する
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の管理システム。
【請求項7】
管理システムが、
対象装置の利用期間を少なくとも示すスケジュール情報を取得し、
前記対象装置のセンシング情報に基づく異常の有無を特定し、
前記異常の有無を特定したタイミングと前記スケジュール情報における前記利用期間とを比較し、前記センシング情報に基づいて前記対象装置に異常が有ることを示す場合に、当該対象装置のメンテナンスに要する日数と残りの貸し出し日数とに応じた前記対象装置のメンテナンスに関する出力情報であって、前記メンテナンスに要する日数が前記残り貸し出し日数以上である場合には営業担当者に前記対象装置の異常を連絡する第一の出力情報を生成し、前記メンテナンスに要する日数が前記残り貸し出し日数未満である場合には前記対象装置のメンテナンス開始を営業担当者に連絡する第二の出力情報を生成する
管理方法。
【請求項8】
管理システムのコンピュータを、
対象装置の利用期間を少なくとも示すスケジュール情報を取得するスケジュール情報取得手段、
前記対象装置のセンシング情報に基づく異常の有無を特定する異常特定手段、
前記異常の有無を特定したタイミングと前記スケジュール情報における前記利用期間とを比較し、前記センシング情報に基づいて前記対象装置に異常が有ることを示す場合に、当該対象装置のメンテナンスに要する日数と残りの貸し出し日数とに応じた前記対象装置のメンテナンスに関する出力情報であって、前記メンテナンスに要する日数が前記残り貸し出し日数以上である場合には営業担当者に前記対象装置の異常を連絡する第一の出力情報を生成し、前記メンテナンスに要する日数が前記残り貸し出し日数未満である場合には前記対象装置のメンテナンス開始を営業担当者に連絡する第二の出力情報を生成する出力情報生成手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システム、管理方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
対象装置のメンテナンスを効率よく行うことが望まれている。一例として、対象装置は建設機械などであってよい。建設機械など、建設に利用する装置を貸し出す貸し出し元の管理者は、現場で利用されている建設機械の異常の有無に基づいて、建設機械を適切に管理することが求められる。関連する技術が特許文献1に開示されている。特許文献1には建築現場における資機材を管理する情報処理システムの技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-179357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような対象装置の管理において、貸し出し元の管理者は適切な対象装置のメンテナンスや交換の提案を行うことが望ましい。
【0005】
そこでこの発明は、上述の課題を解決する管理システム、管理方法、プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、管理システムは、対象装置の利用期間を少なくとも示すスケジュール情報を取得するスケジュール情報取得部と、前記対象装置のセンシング情報に基づく異常の有無を特定する異常特定部と、前記異常の有無を特定したタイミングと前記スケジュール情報における前記利用期間との比較に基づいて前記対象装置のメンテナンスに関する出力情報を生成する出力情報生成部と、を備える。
【0007】
上述の管理システムにおいて、前記出力情報生成部は、前記異常の有無の特定において異常と特定された場合に、当該異常の度合を特定し、当該異常の度合に応じた前記メンテナンスに関する出力情報を生成してよい。
【0008】
上述の管理システムにおいて、前記出力情報生成部は、前記異常の有無の特定において異常と特定された場合に、当該異常の特定に利用した前記センシング情報に基づいて前記メンテナンスの種別を特定し、当該メンテナンスの種別に基づいて前記出力情報を生成してよい。
【0009】
上述の管理システムにおいて、前記対象装置が他者にレンタルした装置であり、前記出力情報生成部は、前記レンタルした前記対象装置のメンテナンスに関する出力情報を生成してよい。
【0010】
上述の管理システムにおいて、前記対象装置が他者にレンタルした建設に利用する装置であってよい。
【0011】
上述の管理システムにおいて、前記出力情報生成部は、前記異常の有無の特定において異常と特定された場合に、当該異常の特定に利用した前記センシング情報を出力した前記対象装置の3次元画像を、空間画像内の対応する位置に前記異常を示す態様で表示する前記出力情報を生成してよい。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、管理方法は、対象装置の利用期間を少なくとも示すスケジュール情報を取得し、前記対象装置のセンシング情報に基づく異常の有無を特定し、前記異常の有無を特定したタイミングと前記スケジュール情報における前記利用期間との比較に基づいて前記対象装置のメンテナンスに関する出力情報を生成する。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、プログラムは、管理システムのコンピュータを、対象装置の利用期間を少なくとも示すスケジュール情報を取得するスケジュール情報取得手段、前記対象装置のセンシング情報に基づく異常の有無を特定する異常特定手段、前記異常の有無を特定したタイミングと前記スケジュール情報における前記利用期間との比較に基づいて前記対象装置のメンテナンスに関する出力情報を生成する出力情報生成手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、貸し出し元の管理者は、適切な対象装置のメンテナンスや交換の提案を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態による管理システムのシステム構成を示す図である。
図2】本実施形態による管理サーバのハードウェア構成を示す図である。
図3】本実施形態による管理サーバの機能ブロック図である。
図4】本実施形態によるスケジュール情報の概要を示す図である。
図5】本実施形態によるレンタル管理情報を記録したレンタル管理テーブルの概要を示す図である。
図6】実施形態による管理サーバの処理フローを示す図である。
図7】実施形態による空間画像とその画像内の対象装置の出力例を示す図である。
図8】実施形態による管理システムの最小構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本実施形態による管理システムを説明する。
図1は本実施形態による管理システムのシステム構成を示す図である。
この図が示すように、管理システム100は、管理サーバ1を少なくとも含んで構成される。本実施形態において管理システム100は、レンタル装置5に装着されたセンサ51と管理サーバ1とが通信ネットワークを介して接続されたコンピュータシステムである。センサ51と管理サーバ1は、エッジサーバやルータ、基地局などの中継器を介して接続されよいが、図1においてはそれらの記載を省略する。管理サーバ1は端末2などの情報の出力先のコンピュータ装置と通信接続してよい。
【0017】
レンタル装置5はレンタル業者が貸し出した管理対象となる対象装置の一例である。レンタル装置5は例えば建設現場で利用される。レンタル装置5は、高所作業車、クレーン、ポンプ、発電機、油圧機など様々な装置であってよい。センサ51はレンタル装置5の状態をセンシングしてそのセンシング値を管理サーバ1へ送信する。センサ51は、振動センサ、音センサ、圧力センサ、電圧センサ、電流センサなどである。センサ51は、レンタル装置5に生じる物理量(振動、音、圧力、電圧、電流など)をセンシングするものであればどのような物理量をセンシングするものであってもよい。
【0018】
図2は管理サーバのハードウェア構成を示す図である。
管理サーバ1のコンピュータは、図2で示すようにCPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、HDD104、通信モジュール105、データベース106、等のハードウェアを備える。
【0019】
図3は管理サーバの機能ブロック図である。
管理サーバ1のCPU101は、予め管理サーバ1が記憶する管理プログラムを実行する。これにより管理サーバ1は、制御部11、スケジュール情報取得部12、異常特定部13、出力情報生成部14、出力部15の各機能を発揮する。
【0020】
制御部11は、管理サーバ1の各機能部を制御する。
スケジュール情報取得部12は、対象装置の利用期間を少なくとも示すスケジュール情報を取得する。
異常特定部13は、対象装置のセンシング情報に基づく異常の有無を特定する。
出力情報生成部14は、異常の有無を特定したタイミングとスケジュール情報における利用期間との比較に基づいて対象装置のメンテナンスに関する出力情報を生成する。
出力部15h、出力情報生成部14の生成した出力情報を所定の出力先に送信する。
【0021】
図4はスケジュール情報の概要を示す図である。
管理サーバ1のデータベース106には予めスケジュール情報が記録されている。スケジュール情報はレンタル業者の管理者が作成した情報である。スケジュール情報には、レンタル装置の貸し出し先の業者の識別情報(X)、貸し出し先の場所の識別情報(α)、レンタル装置の識別情報(A,B,C,D・・・)、レンタル装置の貸し出しの開始日、返却日などが含まれる。管理サーバ1のデータベース106は、貸し出し先の業者の識別情報、貸し出し先の場所の識別情報に応じたスケジュール情報を記録したスケジュール管理テーブルを記憶する。
【0022】
図5はレンタル管理情報を記録したレンタル管理テーブルの概要を示す図である。
管理サーバ1は、レンタル装置5のセンサ51から取得したセンシング情報に含まれるセンシング値、センシング情報を取得した時刻、貸し出し先の業者の識別情報、貸し出し先の場所の識別情報、レンタル装置の識別情報等を含むレンタル管理情報を、レンタル管理テーブルに記憶する。
【0023】
そして本実施形態による管理サーバ1は、対象装置であるレンタル装置5の利用期間を少なくとも示すスケジュール情報を取得し、レンタル装置5のセンシング情報に基づく異常の有無を特定する。そして管理サーバ1は、異常の有無を特定したタイミングとスケジュール情報における利用期間との比較に基づいてレンタル装置5のメンテナンスに関する出力情報を生成する。管理サーバ1はメンテナンスに関する出力情報を端末2等に出力する。これにより、貸し出し元の管理者は、貸出期間において対象装置が異常と特定されたタイミングなどの対象装置の貸し出し先の状況に応じ、適切な対象装置のメンテナンスや交換の提案を行うことができる。
【0024】
図6は管理サーバの処理フローを示す図である。
次に管理サーバ1を含む管理システム100の処理の詳細について説明する。
建設業者などの貸し出し先の企業に貸し出されたレンタル装置5は、建設現場等で利用される。レンタル装置5には予めレンタル装置5の生じる物理量をセンシングするセンサ51が取り付けられている。一例としてレンタル装置5は、高所作業車である。高所作業車は台車部、バスケット部、ジャッキ部を備える。高所作業車の台車部にはエンジンやタイヤが設けられる。バスケット部は人が乗り込む籠状の形状を成している。ジャッキ部は台車部とバスケット部を連結し伸び縮みすることによりバスケット部を台車の上方に持ち上げる。センサ51は一例としてジャッキ部に取り付けられており、人がバスケット部に乗り込んで昇降する際のジャッキ部の振動音をセンシングする。センサ51は振動音をセンシング値として含むセンシング情報を管理サーバ1へ送信する。なおセンサ51はレンタル装置5の始動に応じて起動する場合、センサ51が管理サーバ1へ送信するセンシング情報は、レンタル装置5が稼働しているかどうかを示す稼働状態情報として管理サーバ1で用いられてもよい。
【0025】
管理サーバ1はレンタル装置5のセンサ51からセンシング情報を受信する。センシング情報にはセンサ51を特定するセンサ識別情報が含まれる。制御部11は受信したセンシング情報からセンサ識別情報を取得し、当該センサ識別情報に紐づいてスケジュール管理テーブルに記録されている、レンタル装置の識別情報、貸し出し先の業者の識別情報、貸し出し先の場所の識別情報などを読み取る。制御部11は、センシング情報を受信した時刻、レンタル装置の識別情報、貸し出し先の業者の識別情報、貸し出し先の場所の識別情報、センシング情報から取得したセンシング値を紐づけて、レンタル管理テーブルに記録する。管理サーバ1はレンタル装置5のセンサ51からセンシング情報を受信する毎に、上記のレンタル管理テーブルへの記録を繰り返す。これにより、レンタル管理テーブルには、1つまたは複数のレンタル装置5のセンシング情報が時間の経過と共に多く記録されていく。
【0026】
そして、管理サーバ1の制御部11は、1つのレンタル装置5の識別情報を特定し(ステップS101)、異常特定部13へ通知する。異常特定部13は通知を受けたレンタル装置5の識別情報に基づいて、このレンタル装置5の複数のセンシング値を特定し、それらセンシング値に基づいてレンタル装置5の異常の有無を特定する(ステップS102)。
【0027】
例えば異常特定部13は、公知のMT法(Maharanobis-Taguchi System)の技術を用いて時間の経過に従って取得した複数のセンシング値が異常を示すか否かを判定する。異常特定部13は、センシング対象の物理量のセンシング値とそのセンシング値が異常を示すか否かの情報との関係を機械学習して機械学習モデルを生成し、その機械学習モデルを用いてレンタル装置5の異常の有無を特定してもよい。この場合、異常特定部13は、新たなセンシング値を、生成済みの機械学習モデルを用いて生成したニューラルネットワークに入力した結果、異常の出力を得た場合に、当該新たなセンシング値を送信したレンタル装置5を異常と判定する。異常特定部13は、レンタル装置5の異常の有無の特定を繰り返し、所定回数以上、または所定期間以上、連続で当該レンタル装置5が異常有りと特定した場合に、そのレンタル装置5を異常であると特定してもよい。
【0028】
異常特定部13はセンシング値に基づいて算出した異常度合と、第一閾値と第二閾値の2つの異なるセンシング値の閾値との関係に基づいて、異常無し、異常有り(第一段階)、異常有り(第二段階)の何れかを判定するようにしてもよい。例えば異常特定部13は、値が大きいほど異常度合が高いセンシング値を用いてレンタル装置5の異常の有無を判定するとする。この場合、異常特定部13は、値の小さい第一閾値と、第一閾値より値の大きい第二閾値とを用いて、センシング値が第一閾値未満の場合には異常なし、センシング値が、第一閾値以上、第二閾値未満の場合には異常有り(第一段階)、センシング値が第二閾値以上の場合には異常有り(第二段階)と特定する。このように異常特定部13は、センシング値と複数の異なる閾値とに基づいて、センシング値の異常度合を特定するようにしてもよい。
【0029】
異常特定部13はレンタル装置5のセンサ51から受信したセンシング値に基づいて、そのレンタル装置5の異常の有無を特定すると、異常の有無を判定した対象のレンタル装置5の識別情報と、異常の有無の情報とを含む判定結果を、出力情報生成部14へ出力する。異常の有無が異常有りを示す場合、判定結果には、異常の度合(第一段階や第二段階など)の情報が含まれてよい。
【0030】
出力情報生成部14は異常有無の判定結果を取得する。出力情報生成部14は判定結果に含まれるレンタル装置5の識別情報を含むスケジュール取得要求をスケジュール情報取得部12へ出力する。スケジュール情報取得部12はレンタル装置5のスケジュール情報をスケジュール管理テーブルから読み取る(ステップS103)。スケジュール情報取得部12は読み取ったスケジュール情報を出力情報生成部14へ出力する。レンタル装置5のスケジュール情報には、レンタル装置5の識別情報、貸し出し先に貸し出したレンタル装置の貸し出し先の業者の識別情報、貸し出し先の場所の識別情報、レンタル装置の貸し出しの開始日、返却日が含まれる。出力情報生成部14は、異常有無の判定結果と、判定対象であるレンタル装置5のスケジュール情報とに基づいて、出力情報を生成する(ステップS104)。
【0031】
具体的には、出力情報生成部14は判定結果から異常の有無を読み取る。出力情報生成部14は、異常の有無の読取の結果が、異常無し、を示す場合には、判定対象のレンタル装置5に関する出力情報の生成を停止する。または出力情報生成部14は異常無しを示す当該レンタル装置5に関する出力情報を生成してもよい。出力情報は、少なくともレンタル装置5の識別情報と、判定結果である異常の有無とを示す文書情報であってよい。当該文書情報はウェブページであってよい。
【0032】
出力情報生成部14は、異常の有無の読取の結果が、異常有りを示す場合には、判定対象のレンタル装置5に関する出力情報の生成を進める。出力情報生成部14は、異常有りを示す場合、判定対象のレンタル装置5の返却日をスケジュール情報から取得する。出力情報生成部14は、異常有りと特定した今日から返却日までの残り貸し出し日数を算出する。出力情報生成部14は、判定対象のレンタル装置5のメンテナンスに要する日数をデータベース106から取得する。出力情報生成部14は、メンテナンスに要する日数が、残り貸し出し日数以上である場合には、営業担当者に異常を連絡するための第一出力情報を生成する。出力情報生成部14は、メンテナンスに要する日数が、残り貸し出し日数未満である場合には、営業担当者にメンテナンス開始を連絡するための第二出力情報を生成する。
【0033】
第一出力情報や第二出力情報には、レンタル装置5の識別情報、貸し出し先に貸し出したレンタル装置の貸し出し先の業者の識別情報、貸し出し先の場所の識別情報、レンタル装置の貸し出しの開始日、返却日、残り貸し出し日数、メンテナンス期間の情報が含まれる。
【0034】
第一出力情報には「返却日までのメンテナンス不可」を示す文書が含まれてよい。また第一出力情報には判定結果に基づいて担当者が判定対象のレンタル装置5の貸出先の業者に連絡すべき内容の指示文が記載されていてよい。例えば指示文に「貸し出し期間を伸ばすかどうかを確認する」と記載されている場合には、レンタル業者の営業担当者は異常の判定結果に基づいて、レンタル装置5の貸出期間を伸ばすかどうかの連絡を、貸し出し先の業者の担当者に事前に連絡することができる。第一出力情報には、メンテナンスに要する日数が、残り貸し出し日数以上である場合に、営業担当者が貸出先の業者の担当者に連絡すべき他の指示文などが複数記載されてよい。この指示文は、判定対象のレンタル装置5の識別情報や、そのレンタル装置5の在庫状況などに応じて、様々に設定されてよい。出力情報生成部14は、メンテナンスに要する日数が、残り貸し出し日数以上である場合に、貸し出し開始日、返却日、貸し出し期間、異常と判定したタイミング、残り貸し出し日数、在庫状況、判定対象のレンタル装置5の識別情報、貸し出し先の業者の識別情報、貸し出し先の場所の識別情報などと、所定の第一出力情報の生成プログラムとに基づいて、第一出力情報に含める情報を決定する。出力情報生成部14は、このように決定した情報を含む第一出力情報を生成する。
【0035】
第二出力情報には「返却日までのメンテナンス可」を示す文書が含まれてよい。また第二出力情報には判定結果に基づいて担当者が判定対象のレンタル装置5の貸出先の業者に
連絡すべき内容の指示文が記載されていてよい。例えば指示文に「メンテナンスを行うかを確認する」と記載されている場合には、レンタル業者の営業担当者は異常の判定結果に基づいて、レンタル装置5をメンテナンスするかどうかの連絡を、貸し出し先の業者の担当者に事前に連絡することができる。第二出力情報には、メンテナンスに要する日数が、残り貸し出し日数未満である場合に、営業担当者が貸出先の業者の担当者に連絡すべき他の指示文などが複数記載されてよい。この指示文は、判定対象のレンタル装置5の識別情報や、そのレンタル装置5の在庫状況などに応じて、様々に設定されてよい。出力情報生成部14は、メンテナンスに要する日数が、残り貸し出し日数未満である場合に、貸し出し開始日、返却日、貸し出し期間、異常と判定したタイミング、残り貸し出し日数、在庫状況、判定対象のレンタル装置5の識別情報、貸し出し先の業者の識別情報、貸し出し先の場所の識別情報などと、所定の第二出力情報の生成プログラムとに基づいて、第二出力情報に含める情報を決定する。出力情報生成部14は、このように決定した情報を含む第二出力情報を生成する。
【0036】
出力情報生成部14は、異常と判定したタイミングと貸し出し開始日との比較に基づいて、貸し出し開始日から1週間などの所定の期間で異常と判定された場合には、レンタル装置5の交換を指示する指示文が含まれる第三出力情報を生成するようにしてもよい。この第三出力情報には、判定結果に含まれるレンタル装置5の識別情報に基づいて出力情報生成部14がデータベース106から読み出した在庫情報が含まれてよい。在庫情報には予めデータベース106に記録されている在庫して残っている新たなレンタル装置5の識別情報、貸し出し可能日、などが含まれてよい。出力情報生成部14は、上記以外の出力情報を生成するようにしてもよい。
【0037】
以上の出力情報生成部14の処理は、異常の有無を特定したタイミングとスケジュール情報における貸出期間(利用期間)との比較に基づいて対象装置のメンテナンスに関する出力情報を生成する処理の一態様である。
【0038】
出力部15は、生成した出力情報を端末2に送信する(ステップS105)。端末2は営業担当者などのユーザの操作に基づいて、出力情報をディスプレイに表示する。これにより、営業担当者は貸出先の業者に貸し出したレンタル装置5の異常に基づく、貸し出し先の業者への連絡、メンテナンス作業の開始、レンタル装置5を構成する交換部品の手配、レンタル装置5の交換などの行動を、出力情報の確認に基づいて迅速に行うことができる。つまり、貸し出し元の営業担当者などの管理者は対象装置の貸し出し先の状況に応じて適切な対象装置のメンテナンスや交換の提案を行うことができる。
【0039】
出力情報生成部14は、判定結果に含まれる異常度合に基づいて、出力情報を生成するようにしてもよい。例えば出力情報生成部14は、異常度合が軽度(第一段階)である場合には、営業担当者にのみ送信する出力情報を生成するようにしてよい。出力情報生成部14は、異常度合が重度(第二段階)である場合には、営業担当者と貸し出し先の業者の担当者に送信する出力情報を生成するようにしてよい。この出力情報生成部14の処理は、異常の有無の特定において異常と特定された場合に、当該異常の度合を特定し、当該異常の度合に応じたメンテナンスに関する出力情報を生成する処理態様の一例である。
【0040】
そして出力部15は、異常度合に基づいて生成された出力情報を、所定の出力先に送信する。例えば出力部15は、異常度合が軽度(第一段階)である場合の、営業担当者にのみ送信する出力情報は、端末2に送信する。または出力部15は、異常度合が重度(第二段階)である場合の、営業担当者と貸し出し先の業者の担当者に送信する出力情報は、営業担当者が利用する端末2と、貸し出し先の業者の担当者が利用する携帯端末にそれぞれ送信するようにしてよい。
【0041】
出力情報生成部14は、異常の有無の特定において異常と特定された場合に、当該異常の特定に利用したセンシング情報に基づいてメンテナンスの種別を特定し、当該メンテナンスの種別に基づいて出力情報を生成してもよい。例えば、異常特定部13は、レンタル装置5を異常有りと特定した場合、そのレンタル装置5のセンサ51から過去に受信したセンシング値を解析して異常の種別を特定する。例えば、異常特定部13はセンシング値に基づいて統計値を算出し、その統計値を、異常種別特定モデルを用いたニューラルネットワークに入力する。異常種別特定モデルは、例えば過去にセンシング値とそのセンシング値の取得において管理者が判定した異常種別との対応関係を機械学習して生成した機械学習モデルである。異常特定部13はセンシング値の統計値を、異常種別特定モデルを用いたニューラルネットワークに入力した出力値の示す異常種別を取得する。異常特定部13は異常種別を含む判定結果を出力情報生成部14へ出力する。出力情報生成部14は、判定結果から異常種別を読み取る。出力情報生成部14は、異常種別に応じた出力情報を生成する。例えば異常種別がレンタル装置5の第一の部位の故障を示す場合には、第一の部位の交換やメンテナンスを示す出力情報を生成する。異常種別がレンタル装置5の第二の部位の異常を示す場合には、第二の部位の交換やメンテナンスを示す出力情報を生成する。
【0042】
以上、管理システム100の実施形態について説明したが、上述の管理システム100の処理によれば、レンタル装置5等の対象装置の管理者は当該対象装置の状況に応じて適切な対象装置のメンテナンスや交換の提案を行うことができる。つまり、レンタル装置5が異常と判定されるような状態である場合、レンタル装置5の貸し出し先の業者の担当者は、自らその異常をレンタル業者に連絡し、レンタル装置5のメンテナンスや部品の交換まで待機しなければならなかった。しかしながら、上述の管理システム100の処理により、このような貸し出し先の業者の担当者の労力を軽減して、レンタル装置5の貸し出し元の業者から、適切な対象装置のメンテナンスや交換の提案を行うことができる。
【0043】
管理サーバ1の制御部11は、レンタル管理テーブルに記録されている全てのレンタル装置5の識別情報について、同様に出力情報を生成したかを判定する(ステップS106)。制御部11は、全てのレンタル装置5の識別情報について同様の出力情報の生成を完了していない場合には、次に処理対象とするレンタル装置5の識別情報をレンタル管理テーブルから特定する。そして制御部11は、上述のステップS101からの処理を繰り返す。管理サーバ1の制御部11は、全てのレンタル装置5の識別情報について同様の出力情報の生成を完了した場合には処理を終了するかを判定し(ステップS107)、処理を終了しない場合には、所定時間経過したかを判定する(ステップS108)。制御部11は、所定時間経過した場合には、処理を終了しない場合にはステップS101からの処理を繰り返す制御を行う。
【0044】
出力情報生成部14は、レンタル装置5等の対象装置の異常の有無の特定において異常と特定された場合に、当該異常の特定に利用したセンシング情報を出力した対象装置の3次元画像を、空間画像内の対応する位置に異常を示す態様で表示するようにしてもよい。
【0045】
図7は空間画像とその画像内の対象装置の出力例を示す図である。
建設現場において、対象装置としてのレンタル装置5が利用されているとする。レンタル装置5は例えば高所作業車である。レンタル装置5のセンサ51の発信したセンシング情報には、位置情報が含まれてよい。当該位置情報はGNSSなどによって特定された位置情報であってもよいし、他の手法によって現在の特定されたレンタル装置5の位置情報を示すものでもよい。管理サーバ1の出力情報生成部14は、当該レンタル装置5のセンシング情報に基づいて、異常有りと特定した場合、そのレンタル装置5の位置情報をセンシング情報から取得する。出力情報生成部14は、当該レンタル装置5の貸し出し場所の識別情報をスケジュール管理テーブルから取得する。出力情報生成部14は、貸し出し場所の識別情報に紐づいてデータベース106に記録されている建設現場の3D画像(空間画像)を取得する。また出力情報生成部14は、レンタル装置5の識別情報に基づいてそのレンタル装置5の3D画像をデータベース106から取得する。出力情報生成部14は建設現場の3D画像内のレンタル装置5の現在の対応する位置に、当該レンタル装置5の3D画像を重ねて、異常を示す態様で表示する出力画像を生成する。出力部15は、当該出力画像を端末2に出力する。端末2は出力画像をディスプレイに表示する。この出力画像は、建設現場の3D画像のレンタル装置5の対応する位置に、当該レンタル装置5の3D画像が異常を示す態様で表示されるため、管理者は、レンタル装置5が現在ある位置や、異常の態様を直ちに認識することができる。出力画像は、貸し出し先の業者の担当者が利用する端末に送信し表示されるようにしてもよい。
【0046】
なお上述の実施形態では対象装置がレンタル装置5であり、レンタル装置5は他者にレンタルした建設に利用する装置である場合の例を示した。しかしながら対象装置は建設に利用する装置に限られず他の装置であってもよい。また対象装置は他者にレンタルする装置でなくてもよく、例えば、管理サーバ1は、ある事業者が各事業場や作業場で利用する対象装置の異常の有無を特定してその異常の有無に基づいて出力情報を生成する装置であってよい。
【0047】
図8は管理システム100の最小構成を示す図である。
管理システム100は、少なくともスケジュール情報取得部12、異常特定部13、出力情報生成部14を備えればよい。
スケジュール情報取得部12は、対象装置の利用期間を少なくとも示すスケジュール情報を取得する。
異常特定部13は、対象装置のセンシング情報に基づく異常の有無を特定する。
出力情報生成部14は、異常の有無を特定したタイミングとスケジュール情報における利用期間との比較に基づいて対象装置のメンテナンスに関する出力情報を生成する。
【0048】
上述の各装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0049】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0050】
1・・・管理サーバ
2・・・端末
5・・・レンタル装置
11・・・制御部
12・・・スケジュール情報取得部
13・・・異常特定部
14・・・出力情報生成部
15・・・出力部
51・・・センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8