(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】適応光源
(51)【国際特許分類】
H04N 23/74 20230101AFI20230901BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20230901BHJP
G03B 15/02 20210101ALI20230901BHJP
H04N 23/743 20230101ALI20230901BHJP
【FI】
H04N23/74
G03B15/00 G
G03B15/02 G
H04N23/743
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021167181
(22)【出願日】2021-10-12
(62)【分割の表示】P 2018523008の分割
【原出願日】2016-11-02
【審査請求日】2021-10-12
(32)【優先日】2015-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517152128
【氏名又は名称】ルミレッズ ホールディング ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル シデ,アーエン
(72)【発明者】
【氏名】プフェッファー,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ファン フォルスト-ヴェイダー,クィント
(72)【発明者】
【氏名】マルトィノフ,ユーリー
【審査官】吉川 康男
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-034850(JP,A)
【文献】特表2014-530376(JP,A)
【文献】特開2014-126712(JP,A)
【文献】特開2013-242381(JP,A)
【文献】特開2006-010745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/74
G03B 15/00
G03B 15/02
H04N 23/743
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード(LED)のアレイと、
前記LEDのアレイに結合されたカメラであり、シーンを含む視野を持つカメラと、
3Dセンサと、
前記カメラ、前記LEDのアレイ、及び前記3Dセンサに結合された少なくとも1つのハードウェアベースのプロセッサと、
命令を含んだメモリであり、前記少なくとも1つのハードウェアベースのプロセッサによって実行されるときに、前記少なくとも1つのハードウェアベースのプロセッサに、
前記LEDのアレイ内の個々のLEDに対応する前記シーンの部分について、前記3Dセンサを用いて前記LEDのアレイから前記シーンの各部分までの距離を決定することと、
前記シーンの各部分についての光の相対量を、前記LEDのアレイから該部分までの、対応する前記決定した距離に少なくとも部分的に基づいて計算することと、
前記計算した光の相対量から、前記シーンの第1の部分と前記シーンの第2の部分とが異なる量の光を受けることを決定することと、
前記計算した光の相対量に基づいて、第1の量の電流を前記LEDのアレイの第1のLEDに供給して、前記シーンの前記第1の部分を照らすことと、
前記計算した光の相対量に基づいて、前記第1の量の電流とは異なる第2の量の電流を前記LEDのアレイの第2のLEDに供給して、前記シーンの前記第2の部分を照らすことと、
前記カメラで、周辺照明の下で前記シーンの第1の画像をキャプチャすることと、
前記カメラで、第1の量の光で前記シーンを照らしながら前記シーンの第2の画像をキャプチャすることと、
前記第1の画像のピクセル輝度値を前記第2の画像のそれぞれのピクセル輝度値から減算して差分値を形成することと、
前記差分値をスケーリングして露出レベルを決定することと、
前記カメラで、前記決定した露出レベルを用いて前記シーンの第3の画像をキャプチャすることと、
を有する命令を実行させる、メモリと、
を有するシステム。
【請求項2】
前記周辺照明の下で前記シーンの前記第1の画像をキャプチャすることは、前記LEDのアレイに電力供給されていない間に前記シーンの前記第1の画像をキャプチャすることを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の量の光で前記シーンを照らすことは、前記LEDのアレイの各LEDに同量の電流を供給することを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記シーンの前記第2の画像は、前記
LEDのアレイから前記シーンの
各部分までの前記距離を決定する前にキャプチャされ、
前記
LEDのアレイから前記シーンの
各部分までの前記距離は、前記シーンの前記第1の画像
又は前記シーンの前記第2の画像の少なくとも一方に部分的に基づいて決定され、
前記シーンの各部分についての前記光の相対量を計算することは、前記シーンの各部分について前記第1の画像及び前記第2の画像の輝度値を決定して比較し、前記シーンのそれぞれの部分のオーバー露出を抑制することを有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記シーンの前記第2の画像は、前記
LEDのアレイから前記シーンの
各部分までの前記距離を決定した後にキャプチャされ、
前記
LEDのアレイから前記シーンの
各部分までの前記距離は、前記シーンの前記第1の画像に部分的に基づいて決定され、
前記シーンの各部分についての前記光の相対量を計算することは、前記シーンの各部分について前記第1の画像及び第2の画像の輝度値を決定して比較し、前記シーンのそれぞれの部分のオーバー露出を抑制することを有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記命令は更に、前記第1の量の電流を前記LEDのアレイの前記第1のLEDに供給して前記シーンの前記第1の部分を照らし且つ前記第2の量の電流を前記LEDのアレイの前記第2のLEDに供給して前記シーンの前記第2の部分を照らしながら、前記カメラで、前記シーンの第3の画像をキャプチャすること、を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記LEDのアレイの前記第1のLEDは、第1の発光スペクトルを持つ白色光を発するように構成され、且つ
前記LEDのアレイの前記第2のLEDは、前記第1の発光スペクトルとは異なる第2の発光スペクトルを持つ白色光を発するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記LEDのアレイは、第1のLEDアレイであり、且つ
前記第1のLEDアレイ及び第2のLEDアレイが、前記シーンのうちの1つ以上の同じ部分を照らすように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のLEDアレイは、第1の発光スペクトルを持つ光を発するように構成され、且つ
前記第2のLEDアレイは、前記第1の発光スペクトルとは異なる第2の発光スペクトルを持つ光を発するように構成される、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
発光ダイオード(LED)のアレイ内の個々のLEDに対応するシーンの部分について、前記LEDのアレイから前記シーンの各部分までの距離を決定することと、
前記シーンの各部分についての光の相対量を、前記LEDのアレイから該部分までの、対応する前記決定した距離に少なくとも部分的に基づいて計算することと、
前記計算した光の相対量から、前記シーンの第1の部分と前記シーンの第2の部分とが異なる量の光を受けることを決定することと、
前記計算した光の相対量に基づいて、第1の量の電流を前記LEDのアレイの第1のLEDに供給して、前記シーンの前記第1の部分を照らすことと、
前記計算した光の相対量に基づいて、前記第1の量の電流とは異なる第2の量の電流を前記LEDのアレイの第2のLEDに供給して、前記シーンの前記第2の部分を照らすことと、
前記シーンを含む視野を持つカメラで、周辺照明の下で前記シーンの第1の画像をキャプチャすることと、
前記LEDのアレイを用いて第1の量の光で前記シーンを照らしながら、前記カメラで、前記シーンの第2の画像をキャプチャすることと、
前記第1の画像のピクセル輝度値を前記第2の画像のそれぞれのピクセル輝度値から減算して差分値を形成することと、
前記差分値をスケーリングして露出レベルを決定することと、
前記カメラで、前記決定した露出レベルを用いて前記シーンの第3の画像をキャプチャすることと、
を有する方法。
【請求項11】
前記第1の量の電流を前記LEDのアレイの前記第1のLEDに供給して前記シーンの前記第1の部分を照らし且つ前記第2の量の電流を前記LEDのアレイの前記第2のLEDに供給して前記シーンの前記第2の部分を照らしながら、前記シーンを含む視野を持つカメラで、前記シーンの第3の画像をキャプチャすること、
を更に有する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
発光ダイオード(LED)のアレイと、
前記LEDのアレイに結合されたカメラであり、シーンを含む視野を持つカメラと、
前記カメラに結合された少なくとも1つのハードウェアベースのプロセッサと、
命令を含んだメモリであり、前記少なくとも1つのハードウェアベースのプロセッサによって実行されるときに、前記少なくとも1つのハードウェアベースのプロセッサに、
前記カメラで、周辺照明の下で前記シーンの第1の画像をキャプチャすることと、
前記カメラで、第1の量の光で前記シーンを照らしながら前記シーンの第2の画像をキャプチャすることと、
前記アレイ内の個々のLEDに対応する前記シーンの部分について、前記シーンの前記第1の画像又は前記シーンの前記第2の画像の少なくとも一方に部分的に基づいて、前記LEDのアレイから前記シーンの各部分までの距離を決定することと、
前記シーンの各部分について前記第1の画像及び前記第2の画像の輝度値を決定及び比較して前記シーンのそれぞれの部分のオーバー露出を抑制することによって、前記シーンの各部分についての光の相対量を、前記LEDのアレイから該部分までの、対応する前記決定した距離に少なくとも部分的に基づいて計算することと、
前記計算した光の相対量から、前記シーンの第1の部分と前記シーンの第2の部分とが異なる量の光を受けることを決定することと、
前記計算した光の相対量に基づいて、第1の量の電流を前記LEDのアレイの第1のLEDに供給して、前記シーンの前記第1の部分を照らすことと、
前記計算した光の相対量に基づいて、前記第1の量の電流とは異なる第2の量の電流を前記LEDのアレイの第2のLEDに供給して、前記シーンの前記第2の部分を照らすことと、
を有する命令を実行させる、メモリと、
を有するシステム。
【請求項13】
前記LEDのアレイの前記第1のLEDは、第1の発光スペクトルを持つ白色光を発するように構成され、且つ
前記LEDのアレイの前記第2のLEDは、前記第1の発光スペクトルとは異なる第2の発光スペクトルを持つ白色光を発するように構成される、
請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、適応(アダプティブ)光源に関する。
【背景技術】
【0002】
現在利用可能な最も効率的な光源の中に、発光ダイオード(LED)、共振器型(resonant cavity)発光ダイオード(RCLED)、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)及び端面発光レーザを含む半導体発光デバイスがある。可視スペクトルで動作可能な高輝度発光デバイスの製造のために現在関心ある材料系は、III-V族半導体、特に、III族窒化物材料とも呼ばれる、ガリウム、アルミニウム、インジウム、及び窒素の二元、三元、及び四元合金を含む。典型的に、III族窒化物発光デバイスは、有機金属化学気相成長法(MOCVD)、分子線エピタキシー(MBE)又はその他のエピタキシャル技術により、サファイア、炭化シリコン、III族窒化物若しくは複合材の基板、又はその他の好適な基板の上に、異なる組成及びドーパント濃度の複数の半導体層のスタック(積層体)をエピタキシャル成長することによって製造される。スタックは、しばしば、基板上に形成された、例えばSiでドープされた1つ以上のn型層と、該1つ以上のn型層上に形成された活性領域内の1つ以上の発光層と、活性領域上に形成された、例えばMgでドープされた1つ以上のp型層とを含んでいる。これらn型領域及びp型領域の上に、電気コンタクトが形成される。
【0003】
小型及び低電力の要求により、半導体発光デバイスは、例えばカメラ及び携帯電話などの手持ち式の電池駆動装置用の、例えばカメラフラッシュなどの光源にとって魅力的な候補である。
米国特許第8761594号は、カメラシステムにおいて空間的に動的な照明を提供するためのシステムおよび方法を開示している。空間的に動的な照明源が、カメラの視野内の所望の被写体のみの照明を可能にし、それにより、照明源から必要とされる光の量を減少させる。その空間的に動的な照明源は、照明素子のアレイと制御コンポーネントとを含み得る。照明アレイ内の各照明素子が、光学素子と組み合わされた発光素子を含み得る。この空間的に動的な照明源とカメラとが、カメラ及び照明システム内で組み合わされ得る。そのカメラ及び照明システムは、カメラ視野内の所望の被写体のみを動的に検出し、追跡し、選択的に照射することができる。
欧州特許出願公開第EP2128693号は、シーン内のフィーチャの深さ及び反射率に応じて照射強度が変化する空間的適応写真フラッシュを開示している。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態によれば、例えばカメラ用のフラッシュとして使用され又はその他の好適用途に使用され得る光源が提供される。この光源は、当該光源によって放たれる照明パターンが変更され得るように構成される。例えば、カメラフラッシュとして使用されるとき、カメラの視野内の所与のシーンに対して、この光源は、周辺光によってよく照らされていないシーンの部分に多めの光を供給するとともに、周辺光によってよく照らされているシーンの部分に少なめの光を供給し得る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】光源として少なくとも1つの半導体発光デバイスを含むシステムを例示するブロック図である。
【
図2A】
図2A、2B、及び2Cは、例えば
図1のシステムを用いてシーンを照らす方法を例示している。
【
図2B】
図2A、2B、及び2Cは、例えば
図1のシステムを用いてシーンを照らす方法を例示している。
【
図2C】
図2A、2B、及び2Cは、例えば
図1のシステムを用いてシーンを照らす方法を例示している。
【
図4】
図3に例示したシーンの3次元(3D)マップを例示している。
【
図5】
図3に例示したシーンに関するフラッシュ強度プロファイルを例示している。
【
図8】
図7のアレイ内の1つのLEDの断面図である。
【
図9】以下の図の例において照らされるシーンを示している。
【
図10A】
図10A、11A、12A、13A、14A、及び15Aは、
図9に例示したシーンに関する様々な照度プロファイルを例示している。
【
図10B】
図10Aに例示した照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図11A】
図10A、11A、12A、13A、14A、及び15Aは、
図9に例示したシーンに関する様々な照度プロファイルを例示している。
【
図11B】
図11Aに例示した照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図12A】
図10A、11A、12A、13A、14A、及び15Aは、
図9に例示したシーンに関する様々な照度プロファイルを例示している。
【
図12B】
図12Aに例示した照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図13A】
図10A、11A、12A、13A、14A、及び15Aは、
図9に例示したシーンに関する様々な照度プロファイルを例示している。
【
図13B】
図13Aに例示した照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図14A】
図10A、11A、12A、13A、14A、及び15Aは、
図9に例示したシーンに関する様々な照度プロファイルを例示している。
【
図14B】
図14Aに例示した照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図15A】
図10A、11A、12A、13A、14A、及び15Aは、
図9に例示したシーンに関する様々な照度プロファイルを例示している。
【
図15B】
図15Aに例示した照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図16】
図16及び17は、ズーム適用のための照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図17A】
図16、17A、及び17Bは、ズーム応用のための照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図17B】
図16、17A、及び17Bは、ズーム応用のための照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図18A】
図18A及び18Bは、広角応用のための照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図18B】
図18A及び18Bは、広角応用のための照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図19】個々の光学系を備えたLEDのアレイの断面図である。
【
図20】複数のLEDアレイを有する光源を例示している。
【
図22】マトリクス制御要素を有する光源を例示している。
【
図23】異なる色または色温度の光を放射する複数の光エミッタを有する光源を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の説明では、本発明の実施形態をカメラフラッシュとして説明するが、他の用途も企図され、本発明の範囲内である。
【0007】
全てのカメラフラッシュに伴う1つの問題は、カメラの近くの被写体がしばしば露出オーバーとなる一方で、カメラから遠い被写体が十分な光を得ないことである。本発明の実施形態は、例えばポータブル装置若しくは電池駆動式装置用の、又はより大型の非電池駆動式の写真スタジオフラッシュ用の、例えばカメラフラッシュなどの光源を含む。本発明の実施形態に従った光源は、その照度プロファイルをシーンに適応させ、シーン上の全ての被写体に適量の光を送り届け得る。本発明の実施形態に従った適応光源は、例えば半導体発光デバイスなどの半導体光源を含み得るが、好適な如何なる光が使用されてもよい。
【0008】
図1は、本発明の実施形態に従った適応光源の一例を示している。
図1に示すシステムは、スマートフォン又は任意の好適装置に含まれ得る。
図1に示すシステムは、ドライバ12に接続された光源10を含んでいる。ドライバ12は、後述するように、光源10に電力を供給する。ドライバ12は、マイクロプロセッサ14に接続されている。マイクロプロセッサは、入力装置18及びカメラ11から入力を受け取る。システムはまた、3Dセンサ16を含み得る。入力装置18は、例えば、ユーザが写真を撮るために押すボタンなどの、ユーザ起動入力装置とし得る。入力装置18は、例えば写真が自動的に撮影される場合など、一部の実施形態においてユーザ入力を必要としなくてもよい。入力装置18は、一部の実施形態において省略されてもよい。
【0009】
3Dセンサ16は、写真を撮ることに先立ってシーンの3Dプロファイルを作成することができる如何なる好適センサであってもよい。一部の実施形態において、3Dセンサ16は飛行時間(ToF)カメラとし得る。ToFカメラは、被写体から反射された光がToFカメラに戻る時間を測定する。この時間を用いて、シーン内の各被写体までの距離を計算し得る。一部の実施形態において、3Dセンサ16は、ストラクチャード光センサとし得る。ストラクチャード光センサは、特別に設計されたパターンの光をシーンに投射するプロジェクション装置を含む。ストラクチャード光センサにも含まれるカメラはまた、シーンの被写体から反射された光パターンの各部分の位置を測定し、それらの被写体までの距離を三角測量によって決定する。一部の実施形態において、3Dセンサ16は、装置の本体内に互いから距離を置いて位置付けられた1つ以上の補助カメラであってもよい。補助カメラによって見られる被写体の位置を比較することにより、各被写体までの距離を三角測量によって決定することができる。一部の実施形態において、3Dセンサ16は、装置内の主カメラのオートフォーカス信号である。カメラレンズの焦点位置を走査する間に、システムは、それらの位置でシーンのどの部分に焦点が合っているかを検出することができる。そして、対応するレンズ位置を、それらの位置で焦点が合っている被写体までの距離に変換することによって、シーンの3Dプロファイルが構築される。適切なオートフォーカス信号は、例えば、コントラストを測定することによって、又はカメラセンサ内の位相検出センサを利用することによって、従来の方法によって得られる。位相検出センサが使用される場合、一部の実施形態において、適応フラッシュが最適に機能するために、個々の位相検出センサの位置は、後述するように、光源10の別々のセグメントによって照らされる領域に対応し得る。
【0010】
図1に示したシステムを使用する方法の一例を
図2Aに示す。ブロック20にて、例えば写真を撮影することを指示するといった入力が生成される。ブロック22にて、カメラ11が、フラッシュをオフにしてシーン(カメラの視野に対応する)の第1の予備画像を撮影する。ブロック24にて、光源10が、低光出力モード(典型的に、“トーチモード”と呼ばれる)でオンにされる。このとき、光源10の照度プロファイルは均一に保たれる。“均一”とは、シーンの全ての部分が既知の照明プロファイルで照らされることを意味する。ブロック26にて、光源10が均一な照度プロファイル及び低い輝度でオンであり続ける間に、第2の予備画像がキャプチャされる。ブロック27にて、システムが、シーンの全ての部分が最適露出を達成するための最適輝度を計算する。これは、第1の予備画像のピクセル輝度値を第2の画像のそれぞれのピクセル輝度値から減算し、その差を、最適露出レベルを達成するようにスケーリングすることによって、行われることができる。ブロック28にて、ブロック27で計算された照度プロファイルに従って光源10を作動させて、最終的な写真がカメラ11によって撮影される。
【0011】
図1に示したシステムを使用する方法の他の一例を
図2Bに示す。ブロック200にて、例えば写真を撮影することを指示するといった入力が生成される。ブロック220にて、カメラ11が、フラッシュをオフにしてシーン(カメラの視野に対応する)の第1の予備画像を撮影する。ブロック230にて、シーンの3Dプロファイルが生成される。例えば、3Dセンサ16がシーンの3Dプロファイルを生成してもよいし、あるいは、3Dセンサ16がシーンに関するデータを検知して該データをマイクロプロセッサ14に送信し、そして、マイクロプロセッサ14がシーンの3Dプロファイルを生成してもよい。ブロック270にて、システムが、シーンの全ての部分が最適露出を達成するための最適輝度を計算する。ブロック280にて、ブロック270で実行された計算に基づいて、シーンが光源によって照らされる。
【0012】
図1に示したシステムを使用する方法の他の一例を
図2Cに示す。ブロック2000にて、例えば写真を撮影することを指示するといった入力が生成される。ブロック2200にて、カメラ11が、フラッシュをオフにしてシーン(カメラの視野に対応する)の第1の予備画像を撮影する。ブロック2300にて、シーンの3Dプロファイルが生成される。ブロック2400にて、光源10が、低光出力モード(典型的に、“トーチモード”と呼ばれる)でオンにされる。このとき、光源10の照度プロファイルは均一に保たれる。“均一”とは、シーンの全ての部分が照らされることを意味する。ブロック2600にて、光源10をトーチモードにして、第2の予備画像がキャプチャされる。ブロック2700にて、システムが、
図2A及び
図2Bに関する文章にて上述したような撮影された2つの画像と3Dプロファイルとに基づいて、シーンの全ての部分が最適露出を達成するための最適輝度を計算する。ブロック2800にて、ブロック2700で計算された照度プロファイルに従って光源10を作動させて、最終的な写真がカメラ11によって撮影される。
【0013】
図2A、2B、及び2Cの各々において、入力は、例えば、ユーザがボタンを押すことなどのユーザ入力、マイクロプロセッサ14によって生成された入力(例えば、マイクロプロセッサ14が、所定の時間に又は所定の間隔で写真を撮るようにプログラムされる場合)、又はその他の好適な入力とし得る。
図3は、入力が生成されたときに写真にキャプチャされることになるシーンを例示している。
図3に示すシーンは、前景の第1の人物30と、背景の第2の人物32とを含んでいる。このシーンは単に説明目的で選ばれたものである。カメラから様々な距離に複数の物体又は人物を有する他のシーンも、本発明の使用に適している。
【0014】
図4は、
図3に示したシーンに関する3Dプロファイルを例示している。
図4では、明るい色調ほどカメラからの短い距離に対応し、暗い色調ほどカメラからの大きい距離に対応する。従って、前景の人物30は最も明るい色調を有しており、人物30がカメラに最も近いことを示している。背景の人物32はより暗い色調を有しており、人物32がカメラから遠いことを示している。背景は、カメラから最も遠い距離を指し示す黒色である。
【0015】
フラッシュから遠く離れた位置にある被写体が高めの光強度を受け、フラッシュに近い位置にある被写体が少なめの光を受けるとし得る。よく知られているように、光の照度は距離の逆2乗則(照度~1/距離2)に従って低下する。故に、シーンの3Dプロファイルを用いて、シーンのそれぞれの部分に配分すべき光の必要量を計算することができる。必要な強度プロファイルを計算するアルゴリズムはまた、第1の画像のキャプチャで集められる情報であるシーン内の被写体の各々が周辺光から受けている照度を考慮に入れて、それに従ってフラッシュ光の量を調節してもよい。例えば、既によく照らされている被写体30(例えば、それらが明るい色である又は反射しているため)は、3Dプロファイルによって決定される光源からの距離のみに基づいて計算され得るものよりも少ない光を受けてもよく、よく照らされていない被写体30(例えば、それらが暗い又は反射していないため)は、上記計算され得るものよりも多い光を受けてもよい。
【0016】
デジタルカメラ及びその画像プロセッサは、典型的に、顔認識アルゴリズムを含んでいる。一部の実施形態において、顔認識アルゴリズムからの情報を用いて、他の被写体と比較して、顔をより良く照らし得る。写真全体を良好に露光するのに十分な光がない場合、顔がより多くの光の恩恵を受ける。人が近すぎて露出オーバーの危険がある場合には、より多くの光が顔に向けられないように、この機能はオフにされるべきである。一部の実施形態において、3Dプロファイルからの相対的な光の計算は、写真における“赤目”を最小化するよう、人物の目に向けて送られる光の量を低減させてもよい。
【0017】
一部の実施形態において、3Dプロファイルからの相対的な光の計算は、フラッシュから非常に離れていて適切に照らされることができないシーンの部分を特定してもよい。シーンの有益な部分に向けて送られる光の量を最大化し、ひいては、利用可能な駆動電流能力のいっそう良好な使用を提供するために、シーンのそれらの部分は最小限の量の光が送られる。
【0018】
一部の実施形態において、ユーザインタフェース(例えば、スマートフォンのタッチスクリーン)が、シーンの各部分に送られる光の相対量をユーザが制御することを可能にし得る。例えば、ユーザは、フラッシュの適応機能をオン及びオフすることができ、3Dプロファイルから相対的な光を計算するために使用されるアルゴリズム(上述)の様々な部分をオン及びオフすることができ、また、手動でシーン上にフラッシュアクセントを作り出すことができる。
【0019】
幾つかの照明モードが、本発明の実施形態によって企図される。
【0020】
一部の実施形態において、第1グループの照明モードにて、非常に均一に照らされた有用な写真を達成するように、光源10からの照明がシーンにわたって分配される。特に、一部の実施形態において、露出オーバーが最小化され、前景が周辺光によってよく照らされている場合に、光源10からの全ての光が背景に向けられる。一部の実施形態において、光源はフィルイン(fill in)フラッシュとして機能し、背景が周辺光によってよく照らされている場合に、光源10からの全ての光が前景に向けられる。一部の実施形態において、前景と背景が周囲照明によって均等に照らされているとき、光源10からの光は大部分が背景に送られる。一部の実施形態において、暗い前景の場合、光源10からの光は、良好な写真のために十分なだけ前景を照らし、光源10からの光の残りは背景に送られる。
【0021】
一部の実施形態において、第2グループの照明モードにて、選択された被写体が照らされる。特に、一部の実施形態において、顔認識と組み合わせて、顔が、最良の照明のために最も高く重み付けられ得る。一部の実施形態において、顔認識と組み合わせて、例えば、照らされた顔と顔に最も近い背景との間のコントラストを高めるために、顔(又はその他の被写体)の周りの背景は少なめの光を受け得る。一部の実施形態において、シーンの選択されたゾーンは、例えばユーザ入力によって特定される。光源10からの光は、選択されたゾーン内のみに向けられてもよい。選択されるゾーンの例は、ズームインされる画像、又は別の方法で特定されるシーンの部分を含む。一部の実施形態において、例えば名刺の写真では、光源10からの光が非常に高い均一度で放たれる。
【0022】
図5は、
図4に示した計算に基づいて
図3のシーンに供される光を例示している。
図5において、明るい色調ほど光源からの多い光に対応し、暗い色調ほど光源からの少ない光に対応する。
図5に例示するように、より多くの光が、背景の人物32に対応する領域42に与えられる一方で、より少ない光が、前景の人物30に対応する領域40に与えられる。追加の光が、背景の人物の顔52に与えられる。人物30又は人物32のいずれも現れない(図示されていない)背景に、最も少ない量の光が与えられ得る。
【0023】
図6、7、及び8は、
図1に例示したシステムにて使用され得る光源10の一例を示している。好適な如何なる光源を使用されてもよく、本発明の実施形態は、
図6、7、及び8に示す構造に限定されない。
【0024】
図7は、LED62の正方形アレイ60の上面図である。LED62は、単一の基板上にモノリシックに成長され得る。他の例では、LED62は、単一の基板上にモノリシックに成長される必要はなく、ダイシングされた後に、隣接するLEDがともに非常に接近するようにマウント上に配列されてもよい。一部の実施形態において、LED62間のギャップは、個々のLED62の寸法(例えば、幅)の1/3未満である。3×3の正方形アレイが図示されているが、好適な如何なる数のLEDが使用されてもよく、また、アレイは、正方形である必要はなく、長方形又は任意の好適形状とし得る。個々のLEDのサイズは、例えば、光学レンズを含めた構築体積、カメラの視野、及びアレイ内のLED数のような、幾つかの設計パラメータに依存し得る。例えば、アレイは、カメラの全視界(すなわち、シーン全体)を照らすのに十分なLEDを含んでいなければならない。スマートフォン用途では、アレイの全幅は、一部の実施形態において2mm以下とし得る。もっと大きいカメラでは、アレイの幅は、一部の実施形態において10mm以下とし得る。これらの個々のLEDは正方形であるが、これは必要でなく、長方形のLED又は任意の好適形状のLEDが使用されてもよい。
【0025】
図6は、光源10の断面図である。LED62のアレイ60は、アレイ60から取り出される光の大部分が光学系64に向けて放出されるように位置付けられている。図示の例では、光学系64は、アレイ60から離間されている。他の例では、光学系64は、アレイ60の上に置かれてもよい。光学系64は、光をコリメートして光をシーンの適切な領域に向ける任意の好適構造とし得る。光学系64は、例えば、レンズ、複数のレンズ、1つ以上のフレネルレンズ、1つ以上の屈折レンズ、1つ以上の全反射レンズ素子、1つ以上のリフレクタ、1つ以上のコリメータ、又はその他の好適な光学系とし得る。以下の例では、光学系64はフレネルレンズである。光源は、箱66の形状をしていてもよく、アレイ60が箱の底に配置され得るとともに、光学系64が箱の頂部を形成し得る。箱の内側の側壁68、アレイ60によって占有されない底の部分、及び光学系64によって占有されない蓋の部分は、光学設計の部分であり、従って、適宜に反射性又は光吸収性とし得る。
【0026】
図8は、
図6及び7に示したアレイ内の単一のLED62の一例の断面図である。好適な如何なるLEDが使用されてもよく、本発明の実施形態は、
図8に例示する構造に限定されない。
図8のデバイスでは、大部分の光が、成長基板を通じてLEDから取り出される。このようなデバイスは、フリップチップデバイスとして参照されることがある。
図8のLEDは、技術的に知られているように、成長基板70上にIII族窒化物半導体構造を成長させることによって形成される。成長基板は、サファイアであることが多いが、例えば非III族窒化物材料、SiC、Si、GaN、又は複合基板など、好適な如何なる基板であってもよい。III族窒化物半導体構造が上に成長される成長基板の表面は、成長前にパターン加工、粗面加工、又はテクスチャ加工されてもよく、そうすることはデバイスからの光取り出しを向上させ得る。成長表面とは反対側の成長基板の表面(すなわち、フリップチップ構成において光の大部分がそれを通して取り出される表面)は、成長の前又は後にパターン加工、粗面加工、又はテクスチャ加工されてもよく、そうすることはデバイスからの光取り出しを向上させ得る。
【0027】
半導体構造は、n型領域とp型領域との間に挟み込まれた発光領域又は活性領域を含んでいる。先ずn型領域72が成長され得る。n型領域72は、異なる組成及びドーパント濃度の複数の層を含み得る。該複数の層は、例えば、n型あるいは意図的にはドープされないものとし得るバッファ層若しくは核生成層などのプリパレーション層と、発光領域が効率的に発光するのに望ましい特定の光学特性、材料特性若しくは電気特性に合わせて設計されるn型、若しくはp型であってもよい、デバイス層とを含み得る。n型領域の上に、発光領域又は活性領域74が成長される。好適な発光領域の例は、単一の厚い若しくは薄い発光層、又はバリア層によって分離された複数の薄い若しくは厚い発光層を含んだマルチ量子井戸発光領域を含む。次いで、発光領域の上に、p型領域76が成長され得る。n型領域と同様に、p型領域は、異なる組成、厚さ及びドーパント濃度の複数の層を含むことができ、該複数の層は、意図的にはドープされていない層又はn型層を含んでいてもよい。
【0028】
半導体構造の成長後に、p型領域の表面上に反射性のpコンタクト78が形成される。pコンタクト78は、しばしば、例えば反射メタル及びガードメタルなどの複数の導電層を含む。ガードメタルは、反射メタルのエレクトロマイグレーションを防止あるいは抑制し得る。反射メタルは銀であることが多いが、如何なる好適な1つ以上の材料が使用されてもよい。pコンタクト78を形成した後、nコンタクト80が上に形成されるn型領域72の部分を露出させるよう、pコンタクト78、p型領域76及び活性領域74の一部が除去される。nコンタクト80とpコンタクト78は、例えばシリコンの酸化物又はその他の好適材料などの誘電体で充填され得る間隙82によって、互いに電気的に分離(アイソレート)される。複数のnコンタクトビアが形成されてもよく、nコンタクト80及びpコンタクト78は、
図8に例示される構成に限定されない。n及びpコンタクトは、技術的に知られているように、誘電体/金属スタックを有するボンドパッドを形成するように再配線されてもよい(図示せず)。
【0029】
上述のように、アレイ60内のLED62は、単一のウエハ上に形成され、その後に、アレイ状の個々のLED62がなおも単一の成長基板部分に取り付けられたアレイ60として、ウエハからダイシングされ得る。他の例では、多数のLED62が単一のウエハ上に形成され、その後にウエハからダイシングされて、それ故に、ダイシング済みの個々のLEDが、アレイ60を形成するようにマウント上に配置されるようにし得る。
【0030】
基板70は、半導体構造の成長後に、又は個々のデバイスを形成した後に、薄化され得る。一部の実施形態において、
図8のデバイスから基板が除去される。
図8のデバイスから取り出される光の大部分は、基板70(又は、基板70を除去することによって露出された半導体構造の表面)を通じて取り出される。本発明の実施形態は、フリップチップLEDに限定されず、好適な如何なるデバイスが使用されてもよい。
【0031】
発光デバイスから取り出される光の経路内に、波長変換構造84が配置され得る。波長変換構造は、例えば、コンベンショナルな蛍光体、有機蛍光体、量子ドット、有機半導体、II-VI族若しくはIII-V族半導体、II-VI族若しくはIII-V族半導体量子ドット若しくはナノ結晶、染料、ポリマー、又は発光するその他の材料とし得る1つ以上の波長変換材料を含む。波長変換材料は、LEDによって発せられた光を吸収して、1つ以上の異なる波長の光を発する。LEDによって発せられた未変換の光が、この構造から取り出される光の最終的なスペクトルの一部をなすことが多いが、必ずしもそうである必要はない。構造から取り出される光の最終的なスペクトルは、白色、多色、又は単色とし得る。一般的な組み合わせの例は、黄色発光の波長変換材料と組み合わされた青色発光のLED、緑色発光及び赤色発光の波長変換材料と組み合わされた青色発光のLED、青色発光及び黄色発光の波長変換材料と組み合わされたUV発光のLED、並びに青色発光、緑色発光及び赤色発光の波長変換材料と組み合わされたUV発光のLEDを含む。構造から取り出される光のスペクトルを調整するために、他の色の光を発する波長変換材料が追加されてもよい。波長変換構造84は、例えばTiO2などの、光散乱要素又は光拡散要素を含んでいてもよい。
【0032】
一部の実施形態において、波長変換構造84は、LEDとは別個に製造されて、例えばウエハボンディング又はシリコーン若しくはエポキシなどの好適な接着剤によってLEDに取り付けられる構造体である。そのような予め製造される波長変換素子の一例は、セラミック蛍光体であり、それは、例えば、粉末蛍光体又は蛍光体の前駆物質を、個々の波長変換素子へと後にダイシングされ得るものであるセラミックスラブへと焼結することによって形成される。セラミック蛍光体はまた、例えば、テープキャスティングによって形成されてもよく、その場合、ダイシング又は切断を必要とせずに、セラミックが正確な形状に製造される。好適な非セラミックのプリフォーム波長変換素子の例は、ロール、キャスト、又はその他の方法でシートへと形成される例えばシリコーン又はガラスなどの透明材料に分散され、次いで個々の波長変換素子へと個片化される粉末蛍光体、
例えばシリコーンなどの透明材料内に置かれ、そしてLEDのウエハ又は個々のLEDを覆ってラミネートされる粉末蛍光体、及びシリコーンと混合されて透明基板上に置かれた蛍光体を含む。波長変換素子は、予め形成される必要はなく、例えば、透明バインダと混合された波長変換材料であって、LEDによって放出される光の経路内にラミネートされ、ディスペンスされ、堆積され、スクリーン印刷され、電気泳動的に堆積され、又はその他の方法で位置付けられるものであってもよい。
【0033】
波長変換構造84は、
図8に例示されるようにLEDと直に接触して配置される必要はなく、一部の実施形態において、波長変換構造84は、LEDから離間される。
【0034】
波長変換構造84は、アレイ内の複数のLED又は全てのLEDを覆うモノリシック素子であってもよいし、又は、別個のセグメントへと構造化されて、各々が対応するLEDに取り付けられてもよい。波長変換構造84のそれら別個のセグメントの間のギャップは、各セグメントからの発光をそのセグメントのみに閉じ込めるように、光学的に反射性の材料で充填され得る。
【0035】
アレイ60内のLED62を、例えばマウント、印刷回路基板、又はその他の好適構造などの構造に電気的及び物理的に接続するために、例えばはんだ、スタッドバンプ、金層、又はその他の好適構造などのインターコネクト(図示せず)が使用され得る。マウントは、個々のLED62が
図1のドライバ12によって個別に制御され得るように構成され得る。個々のLED62によって放たれた光が、シーンの異なる部分を照らす。個々のLEDへの電流を変化させることにより、シーンの対応する部分に供される光を変更することができる。各LED62に適切なレベルの電流を供給することによって、上述のようにして計算されたそのシーンに関する最適な照度プロファイルが得られる。
【0036】
例えばモバイル装置又は電池駆動装置などの一部の装置では、
図1の適応光源に利用可能な最大電流量が、しばしば、装置バッテリの能力によって制限される。全てのLED62への駆動電流レベルを定めるとき、システムは典型的に、利用可能な最大電流バジェットを考慮に入れ、それにより、LED間の正しい強度比が維持され且つ総光出力が最大化されながら、総駆動電流が最大値を超えないように、各LED62の駆動電流レベルを定める。
【0037】
図9は、以下に
図10A、11A、12A、13A、14A、及び15Aに示す例において照らされるシーンを示している。各例で各LEDに供給される電流の量が、
図10B、11B、12B、13B、14B、及び15Bに示される。
図9において破線で特定されるターゲット88は、上述の3Dプロファイルからの計算に従って、シーンの残りの部分よりも多くの光を必要とする。
図10A、11A、12A、13A、14A、及び15Aの各々において、領域に供給される光の量は、色調の暗さが増すにつれて減少する。各図に示される配光は相対的であるとし得る。
【0038】
図10Aは、
図10Bに示すように全てのLED62が同じ量の電流を供給されるときに、シーンがどのように照らされるかを示している。シーンの中心が明るく照らされる一方で、シーンの外縁はあまり照らされない。従って、シーンの中心に近いターゲットの部分が、シーンのエッジ(端)に近いターゲットの部分よりも多く照らされる。
【0039】
図11Aは、3つのLEDのみが電流を供給され、それら3つの各々が同じ量の電流を受け、他の6つのLEDが電流を受けないときに、シーンがどのように照らされるかを示している。電流を供給される3つのLED91、92、及び93は、
図11Bに示すように、中央のLEDと、左端の列の下側2つのLEDである。
図11Aに示すように、概ねターゲットに対応するシーンの右側が、シーンの残りの部分よりも明るく照らされる。
図11BのLED91、92、及び93の電流密度は、全てのLEDが等しい電流を供給される
図10Bに示した場合の3倍の高さとし得る。
図11Aにおけるターゲットの照度は、
図10Aにおけるターゲットの照度の約1.6倍の高さである。
【0040】
より高い照度を得るために、
図12A、12B、13A、及び13Bに示される2つの例に示すように、より少ないセグメントをスイッチオンすることができる。
【0041】
図12Aは、2つのLEDのみが電流を供給され、それら各々が同じ量の電流を受け、他の7つのLEDが電流を受けないときに、シーンがどのように照らされるかを示している。電流を供給される2つのLED94及び95は、
図12Bに示すように、左端の列の下側2つのLEDである。
図12Aに示すように、概ねターゲットに対応するシーンの右側が、シーンの残りの部分よりも明るく照らされる。
図12Aにおけるターゲットの照度は、
図11Aにおけるターゲットの照度よりも高い。
【0042】
図13Aは、単一のLEDのみが電流を供給され、他の8つのLEDが電流を受けないときに、シーンがどのように照らされるかを示している。電流を供給されるLED96は、
図13Bに示すように、左端の列の中央のLEDである。
図13Aに示すように、概ねターゲットに対応するシーンの右側が、シーンの残りの部分よりも明るく照らされるが、高く照らされるスポットが、
図12A及び11Aにおいてよりも小さい。
図13Aにおけるターゲットの照度は、
図11Aにおけるターゲットの照度よりも高い。
【0043】
ターゲット全体にわたる照度の均一性を向上させるために、
図14A、14B、15A、及び15Bに示される2つの例に示すように、異なるLEDに供給される電流を異ならせ得る。
【0044】
図14Aは、6つのLEDが可変レベルの電流を供給され、3つのLEDが電流を受けないときに、シーンがどのように照らされるかを示している。左の列の中央のLED96は、LED96を囲む5つのLED97、98、99、100、及び101の5倍の多さの電流を供給されている。
図14Bに示すように、右の列の3つのLEDは電流を受けていない。
図14Aに示すように、概ねターゲットに対応するシーンの右側が、シーンの残りの部分よりも明るく照らされる。ターゲットの照度は、例えば
図13Aにおいてよりも均一である。
【0045】
図15Aは、4つのLEDが可変レベルの電流を供給され、5つのLEDが電流を受けないときに、シーンがどのように照らされるかを示している。左の列の中央のLED102は、中央の列の一番下のLED105の4倍の多さであり且つ中央のLED104及び左の列の一番下のLED103の2倍の多さの電流である電流を供給されている。
図15Bに示すように、一番上の行のLED及び右の列のLEDは電流を受けていない。
図15Aに示すように、概ねターゲットに対応するシーンの右側が、シーンの残りの部分よりも明るく照らされる。ターゲットの照度は、例えば
図13Aにおいてよりも均一である。
【0046】
図16、17B、及び18Bは、ズーム応用及び広角応用のために、
図6のLED62のアレイ60にどのように電流を印加し得るかを示している。カメラレンズをズームインするコマンドが受信されると、
図16及び17Bに示すように、アレイの中心付近のLEDがより多くの電流を受け取る。
図17Aは、
図17Bに示すようにLEDが可変レベルの電流を供給されるときに、シーンがどのように照らされるかを示している。
【0047】
カメラレンズをズームアウトするコマンドが受信されると、
図18Bに示すように、アレイのエッジ付近のLEDがより多くの電流を受け取る。
図18Aは、
図18Bに示すようにLEDが可変レベルの電流を供給されるときに、シーンがどのように照らされるかを示している。
【0048】
図16では、ズーム応用のために、中央のLED110のみが電流を供給され、中央のLEDを囲む8つのLEDは電流を受けていない。シーンの中心が明るく照らされることになり、シーンのエッジは、より少ない光を受けることになる。シーンの中心における照度は、9つ全てのLEDが等しい電流を受ける
図10Aにおけるシーンの中心に対して2.2倍だけ増大され得る。
【0049】
図17Bでは、ズーム応用のために、中央のLED111が、LED112の2倍の多さであり且つLED114の4倍の多さである電流を供給されている。シーンの中心が、シーンのエッジよりも多く照らされる。シーンの中心における照度は、9つ全てのLEDが等しい電流を受ける
図10Aにおけるシーンの中心に対して1.15倍だけ増大され得る。
【0050】
図18Bでは、広角応用のために、アレイのエッジの8つのLED118が等しい電流を受け、中央のLED116は電流を受けていない。シーンの中心における照度は、9つ全てのLEDが等しい電流を受ける
図10Aにおけるシーンの中心における照度の0.85倍まで低減され得る。
【0051】
この適応光源は、各ターゲットに対応するLEDのみに電流を供給することによって、又は各ターゲットに対応するLEDに多めの電流を供給することによって、複数のターゲットを照らすために使用され得る。この適応フラッシュを用いて、カメラから遠い要素に対応するLEDのみに電流を供給することによって、又はカメラから遠い要素に対応するLEDに多めの電流を供給することによって、カメラに近い要素とカメラから遠い要素とを含むシーンにおける露出オーバーを抑制し得る。
【0052】
以上の例に関して与えられた照度値は、単一のフレネルレンズを備えた図示の3×3アレイについて計算されている。以上の例の各LEDの光出力は、LEDのドライバ電流によって、又は一定電流を持つパルス時間によって制御されることができる。
【0053】
図19、20、21、22、及び23は、これに代わる光源を示している。
【0054】
図19の光源では、アレイ内の各LED62が、
図6に示したようなアレイ全体用の単一の光学系ではなく、個々の光学系122を有している。各光学系122は、そのLEDからの光を、シーンの特定の部分に向ける。光学系122は、例えば、レンズ、ドームレンズ、フレネルレンズ、リフレクタ、全反射レンズ、又はその他の好適構造を含む好適な如何なる光学系であってもよい。光学系122は同じである必要はなく、アレイ内の異なるLED62に対して異なる光学系が使用されてもよい。
【0055】
図20の光源は、複数の光学素子を備えた複数のLEDアレイを含んでいる。例えば、
図20は、各々が単一の対応するフレネルレンズを備えた2つの3×3アレイを示す。より多数又は少数のアレイが使用されてもよく、また、アレイは図示したデバイスに限定されない。一部の実施形態において、各アレイがシーンの一部を照らす。
図20のアレイ124はシーンの上部128を照らし、アレイ126はシーンの下部130を照らす。一部の実施形態において、これらのアレイは、重なり合う部分にいっそう多くの光を提供するために、重なりをもってシーンの一部を照らす。例えば、これらのアレイは、エッジよりも多くの光を必要とすることが多いシーンの部分であり得るシーンの中心において重なり合い得る。
【0056】
図21の光源は、例えばレーザなどの狭ビーム発光デバイスを使用する。
図21の光源は、レーザ140を含んでおり、該レーザからの光の経路内に波長変換素子142が配置されている。集束光学系144が、所望サイズの光ビームを作り出し得る。ビームは、シーン150に入射する前に、第1走査ミラー146及び第2走査ミラー148に入射する。これらの走査ミラーは、光ビームがシーン全体を走査するように動かされることができ、その間に、ドライバが、シーンの異なる部分が異なる量の光を受け得るように光源の強度を制御する。より高い強度を必要とするシーンの部分をビームが走査するとき、レーザに供給される電流が増加し、より低い強度のみを必要とするシーンの部分をビームが走査するとき、レーザに供給される電流が減少する。
【0057】
図22の光源は、例えばデジタルマイクロミラースイッチングデバイス又はマルチセグメント液晶ディスプレイなどの、マトリクス制御素子を含んでいる。LED又はレーザ152からの光が、マトリックス制御素子154を照らす。反射される光又は透過する光の強度が、計算された照度プロファイルに応じて変更される。マトリクススイッチング素子154からの反射光又は透過光が、シーン156上に投射される。マトリクススイッチング素子154は、多数の小型ミラーをピクセルとして有し得る。各ミラーの向きを変えることで、各ピクセルの強度を調整することができる。ミラーの向きはまた、複数の異なるミラーからのビームを重ね合わせることによって、より明るい領域を作り出すことにも使用され得る。
【0058】
図23の光源は色調節可能(カラーチューナブル)である。
図23の光源は、シーン164を照らすときに重なるビーム166及び168をそれぞれ放出するように配置された2つのアレイ160及び162を含んでいる。
図6に示したアレイのような2つのアレイが図示されているが、他の好適な光エミッタが使用されてもよい。このシステムは、異なる発光スペクトルを持つ3つ又はそれより多くのアレイを含んでいてもよい。アレイ160及び162は、異なる色の光を発する。例えば、アレイ160及び162の双方が白色光を発し得るが、アレイ160は、アレイ162とは異なる色温度を持つ白色光を発し得る。すなわち、アレイ160及びアレイ162のうちの一方が暖白色光を発する。例えば、暖白色光を発するアレイは、1700Kほどの低さの色温度を持つ光を発することができ、寒白色光を発するアレイは、10000Kほどの高さの色温度を持つ光を発することができる。これら2つのアレイ間での色温度の差は、一部の実施形態において少なくとも1000K、一部の実施形態において少なくとも2000K、一部の実施形態において少なくとも3000K、そして一部の実施形態において少なくとも4000Kとし得る。これに代えて、アレイ160及び162は、異なる単色光を発してもよい。各アレイ内の各LEDに供給される適切な電流が、アレイ160及び162からの光の足し合わせが、シーンの各部分に対して適切な照度及び色温度を有するように計算される。更なる色又は色温度の光を発するアレイ(又はその他の光エミッタ)が追加されてもよい。
【0059】
一部の実施形態において、複数のスペクトルを発する複数のLEDが、
図6に示したような単一の光学系、又は
図19に示したような個々の光学系とともに、単一のインターリーブされたアレイにて組み合わされ得る。異なる色のLEDがグループに編成され、各グループがシーンの一部を照らし、各グループが、各異なる色の少なくとも1つのLEDを含む。
【0060】
上述の色調節可能(カラーチューナブル)光源は、シーンの異なる部分を異なる相関色温度(CCT)の光で照らすために使用され得る。例えば、カラーチューナブル光源は、異なる周辺光源のCCTを等化させるために使用され得る。低CCTの周辺光を有するシーンのセクションが、より高いCCTの光で照らされ得るとともに、高CCTの周辺光を有するシーンのセクションが、より低いCCTの光で照らされ得る。
【0061】
一部の実施形態において、光源10は、複数の異なるカメラと共に使用され得る。例えば、1つのスマートフォンが複数のカメラを有することがあり、相異なるスマートフォンモデルが異なるカメラを使用することがある。それらのカメラは各々、特定の視野を有することができ、それに対して、そのカメラ用のフラッシュが調節される(例えば、視野の隅に最小レベルの照明を提供するように調節される)。従って、従来のフラッシュでは、各カメラが、そのカメラの視野に調節された別個のフラッシュを必要とする。本発明の実施形態に従って適応光源を用いると、各カメラのデフォルト電流分布を規定しておいて、そのカメラが選択されたときにそれを選択することができ、それ故に、単一の光源を複数のカメラに使用し得る。各カメラのデフォルトは、以上の実施形態で説明したように、撮影されるシーンに従って変更され得る。
【0062】
以上の例では、半導体発光デバイスは、青色光又はUV光を発するIII族窒化物LEDであるが、例えばレーザダイオードなどの、LED以外の半導体発光デバイスや、例えばその他のIII-V族材料、III族リン化物、III族ヒ化物、II-VI族材料、ZnO、又はSi系材料などの、その他の材料系からなる半導体発光デバイスが使用されてもよい。
【0063】
本発明を詳細に説明したが、当業者が認識するように、本開示を所与として、ここに記載の発明概念の精神を逸脱することなく、本発明に変更が為され得る。特に、複数の異なる例又は実施形態からの様々な要素が組み合わされてもよい、本発明の範囲は、図示して説明した特定の実施形態に限定されるものではない。