(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】端末装置からの参照信号の送信
(51)【国際特許分類】
H04B 7/0456 20170101AFI20230901BHJP
H04B 7/0413 20170101ALI20230901BHJP
【FI】
H04B7/0456 100
H04B7/0413 100
(21)【出願番号】P 2021564092
(86)(22)【出願日】2019-04-29
(86)【国際出願番号】 EP2019060942
(87)【国際公開番号】W WO2020221422
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【氏名又は名称】藤井 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100150670
【氏名又は名称】小梶 晴美
(72)【発明者】
【氏名】ペッテション, スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ニルソン, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】アスリー, フレードリク
(72)【発明者】
【氏名】ティモ, ロイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, シンリン
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0048366(US,A1)
【文献】特表2015-528671(JP,A)
【文献】国際公開第2018/171614(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/0456
H04B 7/0413
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの物理アンテナポート(250)を備える端末装置(200)によって実行される、参照信号の送信のための方法であって、前記方法は、
チャネル情報を獲得すること(S102)と、
コードブックにおける少なくとも1つの所与のプリコーダのために、前記チャネル情報に基づいて、アップリンク参照信号
と物理アンテナポート
との間のマッピングを決定すること(S104)と、
前記決定されたマッピングに従って前記物理アンテナポートにおいてアップリンク参照信号を送信すること(S106)と
を含
み、
前記少なくとも1つのプリコーダは、少なくとも1つの空間レイヤ上の送信を規定し、前記マッピングは、いずれの少なくとも1つの空間レイヤがいずれの物理アンテナポート(250)を介して送信されるかについて選択するように決定され、
前記マッピングを決定することは、前記物理アンテナポート(250)のうちの全ての対の間のチャネル相関を決定すること(S104a)を含み、
前記物理アンテナポート(250)のうちの最も高いチャネル相関を有するそれらの対が前記プリコーダにおいて同じ空間レイヤへマップされる、方法。
【請求項2】
前記チャネル情報は、チャネル相関または平均受信信号電力に関係する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのプリコーダの各々において全ての行よりは少ないが少なくとも1つの行が全てゼロの値の係数から成る、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記マッピングを決定することは、前記物理アンテナポート(250)のうちの全ての対についての平均受信信号電力を決定すること(S104b)を含み、
前記物理アンテナポート(250)のうちの最も高い平均受信信号電力を有するそれらの対が、前記少なくとも1つのプリコーダにおける全てがゼロではない値の係数を有する空間レイヤにマップされる、請求項
1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記物理アンテナポート(250)のうちの最も低い平均受信信号電力を有する前記それらの対が、前記少なくとも1つのプリコーダの全てがゼロの値の係数を有する空間レイヤにマップされる、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記マッピングを決定することは、続いて実行されるアップリンクデータ送信のための予想される送信ランクを前記チャネル相関または前記平均受信信号電力から推定すること(S104c)を含み、
前記マッピングは前記予想される送信ランクに基づく、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記チャネル情報は、ダウンリンク参照信号による測定から獲得される、請求項1から
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記端末装置(200)は少なくとも2つの周波数帯において動作するように設定され、異なるマッピングが前記少なくとも2つの周波数帯において適用されるように前記マッピングは周波数選択的である、請求項1から
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
各物理アンテナポート(250)は、それ自身の電力増幅器(270)によって電力供給される、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
各物理アンテナポート(250)は、単一のアンテナエレメント(260)のみ、または、少なくとも2つのアンテナエレメント(260)からなるアレイのみに動作的に接続される、請求項1から
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記物理アンテナポート(250)のうちの少なくとも2つにおける、アンテナエレメント(260)、または、少なくとも2つのアンテナエレメント(260)からなるアレイは、少なくとも2つの互いに異なるポインティング方向(290a、290b、290c)に向くように前記端末装置(200)において設定される、請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
前記アップリンク参照信号は、サウンディング参照信号(SRS)である、請求項1から
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
各アップリンク参照信号が1つのSRSポートを規定する、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記決定されたマッピングに従って適用されるように前記少なくとも1つの所与
のプリコーダのうちの1つを使用して、前記物理アンテナポート(250)においてアップリンクデータを送信すること(S108)を更に含む、請求項1から
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記アップリンクデータが物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)を介して送信される、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記アップリンク参照信号は、5Gの新無線(NR)エアインタフェースを介して送信される、請求項1から
15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
処理回路(210)を含む、参照信号の送信のための端末装置(200)であって、
前記処理回路は、前記端末装置(200)に、
チャネル情報を獲得することと、
コードブックにおける少なくとも1つの所与のプリコーダのために、前記チャネル情報に基づいて、アップリンク参照信号
と物理アンテナポート
との間のマッピングを決定することと、
前記決定されたマッピングに従って前記物理アンテナポートにおいてアップリンク参照信号を送信することと
を実行させるように設定され
、
前記少なくとも1つのプリコーダは、少なくとも1つの空間レイヤ上の送信を規定し、前記マッピングは、いずれの少なくとも1つの空間レイヤがいずれの物理アンテナポートを介して送信されるかについて選択するように決定され、
前記マッピングを決定することは、前記物理アンテナポートのうちの全ての対の間のチャネル相関を決定することを含み、
前記物理アンテナポートのうちの最も高いチャネル相関を有するそれらの対が前記プリコーダにおいて同じ空間レイヤへマップされる、端末装置(200)。
【請求項18】
参照信号の送信のための端末装置(200)であって、
前記端末装置(200)は、
チャネル情報を獲得するように設定された獲得モジュール(210a)と、
コードブックにおける少なくとも1つの所与のプリコーダのために、前記チャネル情報に基づいて、アップリンク参照信号
と物理アンテナポート
との間のマッピングを決定するように設定された決定モジュール(210b)と、
前記決定されたマッピングに従って前記物理アンテナポートにおいてアップリンク参照信号を送信するように設定された送信モジュール(210c)と
を含
み、
前記少なくとも1つのプリコーダは、少なくとも1つの空間レイヤ上の送信を規定し、前記マッピングは、いずれの少なくとも1つの空間レイヤがいずれの物理アンテナポートを介して送信されるかについて選択するように決定され、
前記マッピングを決定することは、前記物理アンテナポートのうちの全ての対の間のチャネル相関を決定することを含み、
前記物理アンテナポートのうちの最も高いチャネル相関を有するそれらの対が前記プリコーダにおいて同じ空間レイヤへマップされる、端末装置(200)。
【請求項19】
請求項2から
16のいずれか一項に記載の方法を実行するように更に設定される、請求項
17または
18に記載の端末装置(200)。
【請求項20】
参照信号の送信のためのコンピュータプログラム(820)であって、
前記コンピュータプログラムはコンピュータコードを含み、前記コンピュータコードは、端末装置(200)の処理回路(210)上で実行されるとき、前記端末装置(200)に、
チャネル情報を獲得すること(S102)と、
コードブックにおける少なくとも1つの所与のプリコーダのために、前記チャネル情報に基づいて、アップリンク参照信号
と物理アンテナポート
との間のマッピングを決定する
こと(S104)と、
前記決定されたマッピングに従って前記物理アンテナポートにおいてアップリンク参照信号を送信すること(S106)と
を実行させ
、
前記少なくとも1つのプリコーダは、少なくとも1つの空間レイヤ上の送信を規定し、前記マッピングは、いずれの少なくとも1つの空間レイヤがいずれの物理アンテナポートを介して送信されるかについて選択するように決定され、
前記マッピングを決定することは、前記物理アンテナポートのうちの全ての対の間のチャネル相関を決定することを含み、
前記物理アンテナポートのうちの最も高いチャネル相関を有するそれらの対が前記プリコーダにおいて同じ空間レイヤへマップされる、コンピュータプログラム(820)。
【請求項21】
請求項
20に記載のコンピュータプログラム(820)
を格納
するコンピュータ読取り可能な記憶媒体(830
)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において提示される実施形態は、参照信号の送信のための方法、端末装置、コンピュータプログラム、および、コンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークにおいては、所与の通信プロトコル、そのパラメータ、および、通信ネットワークが展開される物理的環境に対して良好な性能および容量を獲得するという課題があり得る。
【0003】
例えば、1つの端末装置に2つ以上または更に多数の送信アンテナを備える(その端末装置においてそのようなアンテナの各々がそれ自身の物理アンテナポートに接続されている)と、1つだけの単一アンテナの構成において可能な性能より高いスペクトル効率、および/または、改良されたリンクバジェットによってアップリンク性能の向上を可能にすることができる。
【0004】
次に、コードブックベース(CB)の送信および非コードブックベース(NCB)の送信という2つのアップリンク送信方式が考慮される。CB送信は、周波数分割複信(FDD)のため、そして、送信機-受信機の相互関係のない端末装置のために使用され得るフィードバックベースの送信方式である。NCB送信は、相互関係に基づき、送信機-受信機の相互関係を有するユーザ機器(UE)のための時分割複信(TDD)において使用され得る。
【0005】
CB送信において、端末装置は、最初に、例えば、サウンディング参照信号(SRSまたはSRSポート)のような、1つまたは2つのアップリンク参照信号を送信する。端末装置にサービス提供する無線アクセスネットワークノードは、(各々が別々の物理アンテナポートから送信され)受信したアップリンク参照信号に基づいてアップリンク無線伝播チャネルを推定し、続いて実行されるアップリンクデータ送信のための適切な送信ランクおよびプリコーダを決定する。一般に、プリコーダの行(rows)の数は物理アンテナポートの数に等しく、プリコーダの列(columns)の数はレイヤ数に等しい。プリコーダは、3GPP仕様書(いわゆるコードブック)に規定された固定プリコーダの所定の組から選択され得る。3GPP TS 38.211「NR;物理チャネルおよび変調」、Version 15.5.0を参照。それから、無線アクセスネットワークノードは、送信ランクインジケータ(TRI)、および、コードブックにおける決定されたプリコーダのインデックス(いわゆる送信プリコーダ行列インジケータ(TPMI))によって、送信ランクを信号で送る。そのとき、端末装置は、信号で送られた、続いて実行されるアップリンクデータ送信におけるTRIおよびTPMIに対応するプリコーダを使用することとなる。
【0006】
端末装置の実装によっては、(例えば、1つのアンテナエレメント当たり1つの無線チェーンと仮定して)1つのアンテナアレイの送信チェーンの相対位相を維持することができる場合がある。この場合、端末装置は、送信チェーン毎に個別のゲインおよび/または位相を有する複数の送信チェーンを介して同一の変調シンボルを送信することが可能にされる。このようにして、対応するアンテナアレイ上に1つのビームを形成する。制御された位相を有する複数のアンテナエレメント上の共通の変調シンボルまたは信号のこの送信は、コヒーレント送信と呼ばれる。遠距離通信規格のLong Term Evolution(LTE)の組のリリース10においてコヒーレントアップリンクMIMO送信のためのサポートは、「a feature group indication for relative transmit phase continuity for uplink spatial multiplexing」によって示されている。この中では、コヒーレント送信をサポートするために送信チェーンの相対的位相を時間が経過しても適切に維持することができるかどうかを端末装置が示す。
【0007】
他の端末装置の実装においては、送信チェーンの相対位相は良く制御されないことがあり、コヒーレント送信が使われないことがある。このような実装において、端末装置が一度に送信チェーンのうちの1つによって送信すること、または、これらの送信チェーンによって様々な変調シンボルを送信することが依然として可能であり得る。後者の場合、各送信チェーン上の変調シンボルは、空間的に多重化されたレイヤ、すなわち、MIMOレイヤを形成することができる。このクラスの送信は非コヒーレント送信と呼ばれる。
【0008】
更に他の端末装置の実装においては、送信チェーンのサブセットの相対位相は良く制御されるが、全ての送信チェーンではそうではない。1つの可能な例はマルチパネルオペレーションに関して上に記述されている。そこでは、1つのパネルの中では送信チェーン間で位相は良く制御されるが、パネル間の位相は良く制御されない。このクラスの送信は部分的コヒーレントと呼ばれる。
【0009】
第5世代(5G)の新無線(NR)エアインタフェースによる送信のために相対位相制御の上記の3つの異なる形の全てがサポートされることが合意された。その結果、完全コヒーレント、部分的コヒーレント、および、非コヒーレント送信に対して端末装置の性能が規定された。端末装置のコヒーレンス性能によっては、3つの異なる組合せのコードブックサブセットを有する端末装置を設定することができる。
図1は、ランク1のプリコーダのための3つの異なるコードブックサブセット10、20、30を例示する。コードブックサブセット10は、非コヒーレントと称され、アンテナ選択プリコーダのみから成る。コードブックサブセット20は部分的コヒーレントと称され、アンテナペア選択プリコーダのみから成る。コードブックサブセット30は、完全コヒーレントと称され、完全線形結合プリコーダのみから成る。端末装置のコヒーレンス性能に応じて、無線アクセスネットワークノードは、3つの異なる組合せのコードブックサブセットを有する端末装置を設定することができる。非コヒーレント端末装置のためには、無線アクセスネットワークノードは、非コヒーレントコードブックサブセット10だけを有する端末装置を設定すると考えられる。部分的コヒーレント端末装置のためには、無線アクセスネットワークノードは非コヒーレントコードブックサブセット10および部分的コヒーレントコードブックサブセット20の両方を有する端末装置を設定すると考えられ、完全コヒーレント端末装置のためには、無線アクセスネットワークノードは3つのコードブックサブセット10、20、30全てを有する端末装置を設定すると考えられる。
【0010】
どのようにアップリンク参照信号が送信されるべきか、例えば、使用すべきアップリンク参照信号リソース、周波数の割当て、時間領域の挙動(周期的であるか、半永続的であるか、または、非周期的であるか)等について、無線アクセスネットワークノードから端末装置に対して信号で送られる必要がある。これを実現する1つの方法は、(無線リソース制御(RRC)シグナリングのような)上位レイヤシグナリングを用いて多数のアップリンク参照信号リソースセットを規定することである。ここで、各アップリンク参照信号リソースセットはアップリンク参照信号リソースのリストを含む。幾つかの通信システムでは、最大2つのアップリンク参照信号リソースを含み得る1つだけのアップリンク参照信号リソースセットが規定される。ここでは、各アップリンク参照信号リソースが最大4つの(SRSポートのような)ポートから構成され得る。それから、無線アクセスネットワークノードがこのアップリンク参照信号リソースセットへのポインタを信号で送るようにさせることによって、アップリンク参照信号の送信がトリガされる。ポインタを信号で送ることは、そのアップリンク参照信号リソースセットに列挙されるアップリンク参照信号リソースを送信するように、端末装置に対して暗黙に指示する。
【0011】
5GのNRエアインタフェース用のコードブックベースのアップリンク送信用のコードブックは上述した文書3GPP TS 38.211に明記されている。プリコーディング行列の1つの行(row)は特定の1つのSRSポートに対応し、1つの列(column)はPUSCH送信の1つのレイヤに対応する。
【0012】
2つ以上の物理アンテナポートを有する1つの端末装置にコードブックを適用するときには、(SRSポートのような)特定のアップリンク参照信号がどの物理アンテナポートにおいて送信されるべきかを決定しなければならない。例えば、SRSポート1は物理アンテナポート1において、SRSポート2は物理アンテナポート2において、以下同様に送信され得る。それから、同じマッピングが、次に続いて実行されるアップリンクデータ送信において用いられる。
【0013】
しかしながら、上述した文書3GPP TS 38.211で明記されている4ポートのコードブックは、端末装置の4つの物理アンテナポートがどのようにアップリンクデータ送信のために使われるべきかに関しては不完全である。特に、4ポートのコードブックが全てのアンテナポートの組合せをサポートするというわけではない。このことにより、例えば、アンテナアレイの使用効率が低下したり、送信パワーバジェットが限定される結果になる場合がある。
【0014】
それ故、コードブックベースのアップリンク送信の改良が依然として必要である。
【発明の概要】
【0015】
本明細書における実施形態の目的は、改良されたコードブックベースのアップリンク送信を可能にして参照信号の効率的な送信を提供することである。
【0016】
第1の態様によれば、参照信号の送信のための方法が提示される。方法は端末装置によって実行される。端末装置は、少なくとも2つの物理アンテナポートを含む。方法は、チャネル情報を獲得することを含む。方法は、コードブックにおける少なくとも1つの所与のプリコーダのために、チャネル情報に基づいて、アップリンク参照信号から物理アンテナポートへのマッピングを決定することを含む。方法は、決定されたマッピングに従って物理アンテナポートにおいてアップリンク参照信号を送信することを含む。
【0017】
第2の態様によれば、参照信号の送信のための端末装置が提示される。端末装置は処理回路を含む。処理回路は、端末装置にチャネル情報を獲得させるように設定される。処理回路は、端末装置に、コードブックにおける少なくとも1つの所与のプリコーダのために、チャネル情報に基づいて、アップリンク参照信号から物理アンテナポートへのマッピングを決定させるように設定される。処理回路は、端末装置に、決定されたマッピングに従って物理アンテナポートにおいてアップリンク参照信号を送信させるように設定される。
【0018】
第3の態様によれば、参照信号の送信のための端末装置が提示される。端末装置は、チャネル情報を獲得するように設定された獲得モジュールを含む。端末装置は、コードブックにおける少なくとも1つの所与のプリコーダのために、チャネル情報に基づいて、アップリンク参照信号から物理アンテナポートへのマッピングを決定するように設定された決定モジュールを含む。端末装置は、決定されたマッピングに従って物理アンテナポートにおいてアップリンク参照信号を送信するように設定された送信モジュールを含む。
【0019】
第4の態様によれば、参照信号の送信のためのコンピュータプログラムが提示される。このコンピュータプログラムは、端末装置上で実行されると、端末装置に第1の態様による方法を実行させる、コンピュータプログラムコードを含む。
【0020】
第5の態様によれば、第4の態様によるコンピュータプログラム、および、コンピュータプログラムが格納されたコンピュータ読取り可能な記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品が提示される。コンピュータ読取り可能な記憶媒体は、非一過性のコンピュータ読取り可能な記憶媒体であり得る。
【0021】
これは、参照信号の効率的な送信を提供する点において有利である。
【0022】
これは、改良されたコードブックベースのアップリンク送信を可能にする点において有利である。
【0023】
これは、コードブックベースのアップリンク送信の間の物理アンテナポートの、より良好な使用を可能とする点において有利である。同様に、これは、アップリンク性能を向上させ得る。
【0024】
本明細書に含まれる実施形態の他の目的、特徴、および、利点は、以下の詳細な開示から、そして、添付の従属請求項および図面から明らかであろう。
【0025】
通常、請求項において使われる全ての用語は、本明細書において明示的に別に定義されない限り、当該技術分野における通常の意味に従って解釈されるべきである。「1つの(aまたはan)/ある(aまたはan)/その(the)エレメント、装置、コンポーネント、手段、モジュール、ステップ等」の言及の全ては、明示的に別に述べられない限り、エレメント、装置、コンポーネント、手段、モジュール、ステップ等の少なくとも1つの事例に言及するものとして開放的意味にて解釈されるべきである。本明細書において開示される如何なる方法のステップも、明示的に述べられない限り、開示される正確な順序通りに実行される必要はない。
【0026】
これから、本発明の概念は、添付の図面を参照して、例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】1つの実施形態による通信システムを例示する概略図である。
【
図3】1つの実施形態による端末装置を模式的に例示する図である。
【
図4】実施形態による方法のフローチャートである。
【
図5】1つの実施形態による通信システムを例示する概略図である。
【
図6】1つの実施形態による端末装置の機能ユニットを示す概略図である。
【
図7】1つの実施形態による端末装置の機能モジュールを示す概略図である。
【
図8】1つの実施形態によるコンピュータ読取り可能な記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品の1つの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の概念は、本発明の概念の特定の実施形態が図示される添付の図面を参照して、以下に、より完全に説明されるであろう。本発明の概念は、多数の異なる形で例示され得るが、本明細書において説明される実施形態に限定されると解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分で完全であるように、そして、本発明の概念の範囲を十分に当業者に詳細に伝えるように、例として提供される。本説明の全体を通して類似の番号は類似の要素を指し示す。破線で示される如何なるステップまたは特徴もオプションであると考えられるべきである。
【0029】
図2は、本明細書において提示される実施形態が適用され得る通信システム100aを例示する概略図である。通信システム100aは、1つまたは複数の無線伝播チャネルを介した無線アクセスネットワーク110内の端末装置200へのネットワークアクセスを提供するように設定された無線アクセスネットワークノード140aを含む。端末装置200の非限定的な例は、携帯用無線装置、移動局、携帯電話、ハンドセット、無線ローカルループ電話、ユーザ機器(UE)、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、タブレット型コンピュータ、ネットワーク装備したセンサ、ネットワーク装備した車両、および、モノのインターネット(IoT)デバイスである。幾つかの実施形態においては、無線アクセスネットワークノード140aは、無線基地局、ベーストランシーバ基地局、nodeB、evolved node B、gNB、アクセスポイント等の一部であるか、これらと一体化されているか、または、これらとともに同じ場所に設置されている。無線アクセスネットワーク110は、コアネットワーク120に動作的に接続されている。コアネットワーク120も同様に、インターネット等のパケットデータネットワーク130に動作的に接続されている。これにより、端末装置200は、無線アクセスネットワークノード140aを介して、サービスネットワーク130のサービスにアクセスして、データを交換することが可能にされている。
【0030】
図3は、4つの物理アンテナ260を備える端末装置200を模式的に図示する。当業者に理解されるように、4つの物理アンテナは単なる例であって、端末装置200は、より多い(または、より少ない)物理アンテナ260を備えている場合がある。各物理アンテナ260は、それ自身の電力増幅器(PA)270を備えている。すなわち、各物理アンテナポート250は、それ自身のPA270によって電力供給される。各物理アンテナ260は、それ自身の物理アンテナポート250を経てベースバンド回路280に接続されている。このことにより、端末装置200が参照信号を送信するときに、各参照信号は物理アンテナポート250のそれぞれの1つから入信する。幾つかの態様においては、端末装置200は、(物理アンテナ260の数に応じて)全体で4つまたは8つの物理アンテナポート250を有する。
図3の各物理アンテナ260が1つの単一アンテナエレメントのみを含むとして例示するが、当業者に理解されるように、各物理アンテナ260はアンテナエレメントからなるアレイとして実装される場合もある。すなわち、各物理アンテナポート250は、単一アンテナエレメントのみ、または、少なくとも2つのアンテナエレメントからなるアレイのみに動作的に接続することができる。
図3の図示された例において、物理アンテナポート250のうちの少なくとも2つにおける、1つのアンテナエレメント、または、少なくとも2つのアンテナエレメントからなるアレイは、少なくとも2つの互いに異なるポインティング方向290a、290b、290cに向くように端末装置200において設定されている。物理アンテナ260のうちの2つは方向290aに向けられ、物理アンテナ260のそれぞれ1つは方向290bおよび290cに向けられている。キャリア周波数に応じて、物理アンテナポート250の送信(および、受信)によって生じるアンテナエレメント放射パターン(以下、放射パターンと略す)は、多少指向的である場合もある。低い周波数では、放射パターンは典型的にはかなり無指向的であるが、キャリア周波数が高くなるにつれ、放射パターンは通常益々指向的になる。
【0031】
上述のように、改良されたコードブックベースのアップリンク送信の必要がある。
【0032】
更に詳しくは、任意の所与の時間における特定の物理アンテナポート(または、物理アンテナポートの組合せ)から送信することの有用性は、その時間におけるチャネル状態および端末装置200におけるアンテナ設定に依存する。一般に、アンテナ設定は、アンテナエレメントが端末装置200上にどのように配置されるか、そして、それらの放射パターンによって規定される。チャネル状態は時間とともに変化し、したがって、各物理アンテナポート(または、物理アンテナポートの組合せ)の有用性も時間とともに変化する。
【0033】
更に、アンテナ設定に基づいて、アップリンク参照信号から物理アンテナポートへの最適なマッピングを推測的に決定することが容易でない場合もある。例えば、正確に制御されたゲインおよび偏光特性を有する携帯端末装置用のアンテナ設定を決定することは容易でない場合もある。したがって、これらの特性は端末装置毎に異なる。
【0034】
ランク1については、上述した文書3GPP TS 38.211において規定されたプレコーディング行列のうちの部分的コヒーレントTPMI4から11は、アップリンク参照信号と物理アンテナポート間のマッピングが単位行列によって定義される場合に、物理アンテナポート1および3、または、物理アンテナポート2および4のいずれかの使用を示唆する。しかしながら、チャネル状態によっては、むしろ物理ポート1および2、または、物理アンテナポート3および4を使用することがより良好な場合もある。ランク2のTPMI6から13は、部分的コヒーレントのコードブックサブセットのプレコーディング行列を規定する。これらのTPMIのために、第1のレイヤは物理アンテナポート1および3を介して送信され、第2のレイヤは物理アンテナポート2および4を介して送信される。ランク3については、物理アンテナポート4を使用しないTPMI(TPMI0)が存在する。他の物理アンテナポート(すなわち、物理アンテナポート1から3のいずれか)の1つがブロックされる場合、SRSポート4がいずれにしろ使われないので、ブロックされた物理アンテナポートをSRSポート4にリマップすることがより良いに違いない。
【0035】
要約すると、アンテナ設定およびチャネル状態に応じて、4ポートのコードブックのTPMIのいずれもが最適でないことが起こり得る。それ故、4ポートのコードブックに存在しないプリコーダが使用可能にされ得る場合、付加的制御オーバーヘッドの導入無しに性能を向上させる潜在的可能性が存在する。
【0036】
したがって、本明細書において開示される実施形態は、参照信号の送信のための機構に関する。この種の機構を獲得するために、端末装置200と、端末装置200によって実行される方法と、端末装置200上で実行されるときに端末装置200にこの方法を実行させる、例えば、コンピュータプログラムの形の、コードを含むコンピュータプログラム製品とが提供される。
【0037】
図4は、参照信号の送信のための方法の実施形態を示すフローチャートである。これらの方法は端末装置200によって実行される。端末装置200は少なくとも2つの物理アンテナポート250を含む。これらの方法はコンピュータプログラム820として提供されることが有利である。
【0038】
上述した文書3GPP TS 38.211には記載されていないが本明細書に開示された実施形態のプリコーダは、(SRSポートを規定し得る)アップリンク参照信号から物理アンテナポートへのマッピングを動的に、変更し/制御し/設定するように設定されている端末装置200によって実現され得る。
【0039】
端末装置200は、チャネル情報に基づいて、アップリンク参照信号から物理アンテナポートへのマッピングを決定するように設定される。こうして、端末装置200はS102およびS104を実行するように設定される:
【0040】
S102:端末装置200はチャネル情報を獲得する。
【0041】
チャネル情報の様々な例が以下に開示される。
【0042】
S104:端末装置200は、コードブックにおける少なくとも1つの所与のプリコーダのために、チャネル情報に基づいて、アップリンク参照信号から物理アンテナポートへのマッピングを決定する。
【0043】
この点に関して、端末装置200は、2つ以上のプリコーダに基づいてマッピングを決定することもできる。マッピングがチャネル情報に基づいて決定され得る様々な方法が以下に開示されるであろう。決定されたマッピングは、それから、アップリンク参照信号の送信のために用いられる。こうして、端末装置200はS106を実行するように設定される。
【0044】
S106:端末装置200は、決定されたマッピングに従って、物理アンテナポート250においてアップリンク参照信号を送信する。
【0045】
このことは、獲得されたチャネル情報に規定されたようなチャネル状態の測定に基づいて、コードブックベースのアップリンクプレコーディングのために、端末装置において(アップリンク参照信号によって与えられるような)SRSポートから物理アンテナポート250への適応マッピングを可能にするので有利である。例えば、ある物理アンテナポートが(例えば、ブロックされることによって)弱いと端末装置200が判断する場合、続いて実行されるアップリンクデータ送信の間、すなわち、少なくとも次に最も早く発生するアップリンクデータ送信の間は、この物理アンテナポートを使用することを回避するように、端末装置200は、そのマッピングを動的に設定することができる。
【0046】
端末装置200によって実行されるときの、参照信号の送信に関する更なる詳細に関係する実施形態が以下に開示されるであろう。
【0047】
アップリンク参照信号から物理アンテナポートへのマッピング(以下ではマッピングと称する)を決定するためには様々な方法があり得る。それらに関係する様々な実施形態がこれから順に説明されるであろう。
【0048】
幾つかの態様においては、端末装置200はダウンリンク参照信号によって測定を行う。すなわち、1つの実施形態によれば、チャネル情報は、ダウンリンク参照信号による測定から獲得される。ダウンリンク参照信号の非限定的な例は、チャネル状態情報参照信号(CSI-RS)、同期信号ブロック(SSB)等である。
【0049】
幾つかの態様においては、どのアンテナポートが同一レイヤのために使われるべきかを決定するために、端末装置200は、全ての物理アンテナポートの対の間でチャネル相関を測定する。特に、1つの実施形態によれば、チャネル情報は、チャネル相関または平均受信信号電力に関係する。レイヤの数は、チャネル相関および受信電力から推定される。更に、1つの実施形態によれば、少なくとも1つのプリコーダは少なくとも1つの空間レイヤ上の送信を規定し、いずれの少なくとも1つの空間レイヤがいずれの物理アンテナポート250を介して送信されるかについて選択するようにマッピングは決定される。
【0050】
空間多重化のためには低い相関が有利であり、ビーム形成のためには高い相関が有利であるので、低い相関を有する物理アンテナポート250は様々なレイヤを送信するために使われる参照信号ポートにマップされ得、高い相関を有する物理アンテナポート250は同一レイヤのための参照信号ポートにマップされ得る。特に、1つの実施形態によれば、端末装置200は、S104のマッピングを決定することの一部として(オプションの)ステップS104aを実行するように設定される。
【0051】
S104a:端末装置200は、物理アンテナポート250のうちの全ての対の間のチャネル相関を決定する。それから、物理アンテナポート250のうちの最も高いチャネル相関を有するそれらの対はプリコーダにおいて同じ空間レイヤにマップされる。一例として、上述した文書3GPP TS 38.211の表6.3.1.5-5のTPMI6-13のために、SRSポート1および3は高い相関を有する1対のアンテナポートにマップされるべきであり、SRSポート2および4は高い相関を有する他の1対のアンテナポートにマップされるべきである。あるいは、マッピングは、SRSポート1および3に対応する物理アンテナポート間の相互の相関とSRSポート2および4に対応する物理アンテナポート間の相互の相関とができるだけ低くなるように実行され得る。
【0052】
幾つかの態様においては、係数がゼロである少なくとも1つのレイヤが存在する。特に、1つの実施形態によれば、少なくとも1つのプリコーダの各々における全ての行よりは少ないが少なくとも1つの行は全てがゼロの値の係数から成る。プリコーダの全てではないが少なくとも1つの行はオールゼロを含む(すなわち、全ての係数が値ゼロを有する)。オールゼロを有するこの行は、最も高い受信電力を有する物理アンテナポートにマップされるべきではない。
【0053】
幾つかの態様においては、マッピングは、最も高い平均受信信号電力を有し対を成す物理アンテナポート250に基づいて決定される。特に、1つの実施形態によれば、端末装置200は、S104のマッピングを決定することの一部として(オプションの)ステップS104bを実行するように設定される。
【0054】
S104b:端末装置200は、物理アンテナポート250のうちの全ての対の平均受信信号電力を決定する。それから、物理アンテナポート250のうちの最も高い平均受信信号電力を有するそれらの対は、少なくとも1つのプリコーダの全てがゼロではない値の係数を有する空間レイヤにマップされる。
【0055】
1つの例によれば、端末装置200が4つの物理アンテナポートを備えていると仮定するとき、2つの物理アンテナポートがその他の2つの物理アンテナポートより著しく高い電力を受信する場合、端末装置200は著しく高い電力が受信される2つの物理アンテナポートにSRSポート1および3、または、SRSポート2および4をマップする。これは、上述した文書3GPP TS 38.211によれば、コードブックにおける2つのSRSポートを使用するランク1のプリコーダについては、SRSポート1および3、または、SRSポート2および4のいずれかに対して1つのレイヤがマップされるからである。ランク2については、レイヤ1つにつき1つのSRSポートが使われる場合には、欠けているプリコーダがないのでマッピングは重要でない。
【0056】
幾つかの態様においては、マッピングは、続いて実行されるアップリンクデータ送信の予想される送信ランクの推定に基づいて決定される。特に、1つの実施形態によれば、端末装置200は、S104のマッピングを決定することの一部として(オプションの)ステップS104cを実行するように設定される。
【0057】
S104c:端末装置200は、続いて実行されるアップリンクデータ送信のための予想される送信ランクをチャネル相関または平均受信信号電力から推定する。それから、マッピングはこの予想される送信ランクに基づく。
【0058】
更に、予想される送信ランクは、それ以前のアップリンク送信の統計に基づいても推定され得る。例えば、特定のランクの送信が最近の1つまたは複数のアップリンク送信のために使われた場合、この特定のランクが続いて実行されるアップリンクデータ送信のための予想される送信ランクでもあると期待され得る。
【0059】
こうして、1つの例によれば、端末装置200は、続いて実行されるPUSCH送信の予想される送信ランクを推定することができる。これは、受信信号強度およびチャネル相関を分析する端末装置200によって達成され得る。受信信号強度が高く、チャネル相関が低い場合、高い送信ランク(ランク3または4のような)が予想される。また、それ以外の場合は(ランク1または2のような)低い送信ランクが予想される。この分析は、チャネル相互関係を必要としない。相互関係が保持される場合、端末装置200はより詳細な解析を実行し得、推定されたチャネル行列に基づいてコードブックの各TPMIについて予想されるスループットを算出し得、それから、最も高いスループットを与える1つとして送信ランクを推定し得る。それから、端末装置200はこの推定されたランクを使用し、このランクに対するマッピングを最適化することができる。例えば、続いて実行されるアップリンクデータ送信のための最も見込みのある送信ランクとしてランク2が推定される場合、上に説明されたS104aを含む実施形態に従ってランク2のプリコーダについてマッピングが最適化され得る。
【0060】
幾つかの態様においては、続いて実行されるアップリンクデータ送信の間、弱い物理アンテナポートを使用することを回避するようにマッピングが決定される。特に、1つの実施形態によれば、物理アンテナポート250のうちの最も低い平均受信信号電力を有する上記それらの対は、少なくとも1つのプリコーダの全てがゼロの値の係数を有する空間レイヤにマップされる。すなわち、1つの例によれば、例えば、低い受信電力を測定することによって1つの物理アンテナポート250がブロックされたと検出され、ランク3のPUSCH送信が予想される場合、SRSポート4がブロックされたアンテナポートにマップされる。これは、ランク3のためのTPMI0のプレコーディング行列がSRSポート4を使用しないからである。上述した文書3GPP TS 38.211の表6.3.1.5.4-6を参照。
【0061】
幾つかの態様においては、マッピングは、異なるマッピングが異なる周波数サブバンドに適用されるように周波数選択的である。特に、1つの実施形態によれば、端末装置200は少なくとも2つの周波数帯において動作するように設定され、マッピングは、異なるマッピングが少なくとも2つの周波数帯に適用されるように周波数選択的である。
【0062】
幾つかの態様においては、参照信号の送信後の端末装置200からのアップリンクデータ送信は、決定されたマッピングを利用する。特に、1つの実施形態によれば、端末装置200は、(オプションの)ステップS108を実行するように設定される。
【0063】
S108:端末装置200は、決定されたマッピングに従って適用されるように少なくとも1つの所与のコードブックベースのプリコーダのうちの1つを使用して、物理アンテナポート(250)においてアップリンクデータを送信する。
【0064】
アップリンクデータには様々な例があり得る。幾つかの例においては、アップリンクデータは、物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)を介して送信される。したがって、端末装置200は、決定されたマッピングに従って適用されるようにコードブックベースのプリコーダを使用してPUSCHを送信することができる。
【0065】
アップリンク参照信号には様々な例があり得る。1つの例によれば、アップリンク参照信号はサウンディング参照信号(SRS)である。幾つかの態様においては、アップリンク参照信号は5GのNRエアインタフェースを介して送信される。
【0066】
本明細書に開示された実施形態は、チャネル相互関係を有する時分割複信(TDD)システムおよびチャネル相互関係のない周波数分割複信(FDD)システムの両方に適用され得る。FDDシステムのために、端末装置200は、例えば、ダウンリンク参照信号からの広帯域の統計を使用して、ある物理アンテナポートが(様々なキャリアによる高速フェージングの問題を回避するように)ブロックされると決定するように設定され得る。1つの物理アンテナポートのブロックは、例えば、インピーダンス/反射測定、近接センサ等の他の手段によっても検出され得る。
【0067】
本明細書に開示された実施形態は、(アンテナ設定のような)アンテナの特性に基づいて最善のマッピングを推測的に決定することが容易でないときに適用され得る。正確に制御されたゲインおよび偏光特性を有する携帯端末装置のためのアンテナを設計することが容易でない場合もあるので、最善のマッピングを推測的に決定することが容易でないことはしばしば起こる。本明細書に開示された実施形態はチャネル状態に基づくので、マッピングはアンテナ特性について為される如何なる仮定にも依存しない。
【0068】
図5は、(a)、(b)、(c)、および、(d)において、通信システムの4つの例100b、100c、100d、および、100eを提供する。ここでは、端末装置200が、本明細書に開示された実施形態に従って、アップリンク参照信号から物理アンテナポートへのマッピングを実行する。これらの例は、本明細書において提案された本発明の概念をより明確に強調するために簡略化したものである。実際は、端末装置200のアンテナ放射パターンおよび偏光状態は、事実上、より不規則且つランダムであり、無線伝播チャネルは様々な無線信号強度のクラスタによって特徴付けられる場合もある。しかしながら、提案された本発明の概念はチャネル情報を獲得することに基づいており、チャネル情報の推測による仮定に基づくものではないので、
図5の例は、より現実的な仮定の下においても有効である。端末装置は、1、2、3、および、4で識別される4つの物理アンテナポートを含む。各物理アンテナポートに1つの模式的な放射パターン150が図示される。各アップリンク参照信号は1つのSRSポートに対応する。
【0069】
全ての例において、上述した文書3GPP TS 38.211の表6.3.1.5-3のTPMI4、5、6、または、7のいずれかによって与えられるプレコーディング行列が、アップリンク送信の間、端末装置200により用いられると仮定される。
【0070】
図5(a)においては、端末装置200は2台の無線アクセスネットワークノード140a、140bの間に位置する。ここで、物理アンテナポート1および3のための放射パターンは無線アクセスネットワークノード140aの方向に向かって強いゲインを有し、物理アンテナポート2および4のための放射パターンは無線アクセスネットワークノード140bの方向に向かって高いゲインを有する。この場合、先の考察によれば、SRSポート1および3は物理アンテナポート1および3にマップされるべきであり、SRSポート2および4は物理アンテナポート2および4にマップされるべきである。
【0071】
図5(b)においては、端末装置200は物理アンテナポート3および4が無線アクセスネットワークノード140bの方向に向かって高いゲインを有するのに対して、物理アンテナポート1および2が無線アクセスネットワークノード140aの方向に向かって高いゲインを有するように、
図5(b)に対して90度回転された。この場合、SRSポート1および3は物理アンテナポート1および2にマップされるべきであり、SRSポート2および4はアンテナポート3および4にマップされるべきである。
【0072】
図5(c)において、1つの無線アクセスネットワークノード140aのみが存在し、1つの無線アクセスネットワークノード140aの方向に向かってアンテナポート1および2が高いゲインを有する。この場合、SRSポート1および3は物理アンテナポート1および2にマップされるべきであり、SRSポート2および4は物理アンテナポート3および4にマップされるべきである。
【0073】
図5(d)において、物理アンテナポート3および4が非常に低い電力を受けるように物理アンテナポート3および4はブロックされる。この場合、SRSポート1および3は物理アンテナポート1および2にマップされるべきであり、SRSポート2および4は物理アンテナポート3および4にマップされるべきである。
【0074】
上記の例の幾つかは、4つの物理アンテナポートを有する端末装置200について提示され、したがって、4ポートのコードブックに言及されたが、当業者に理解されるように、本明細書に開示された原則は、前述した文書3GPP TS 38.211において指定された以外の、他の数の物理アンテナポートにも、更には他のコードブックおよびプレコーディング行列にも適合する。
【0075】
図6は、1つの実施形態による1つの端末装置200のコンポーネントを幾つかの機能ユニットという見地で模式的に例示する。処理回路210は、例えば、記憶媒体230の形の(
図8におけるような)コンピュータプログラム製品810に格納されるソフトウェア命令を実行することができる、適切な中央処理装置(CPU)、マルチプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)等のうちの1つまたは複数の任意の組合せを用いて提供される。更に、処理回路210は、少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)としても設けられ得る。
【0076】
特に、処理回路210は、上に開示されたように、端末装置200に1セットのオペレーションまたはステップを実行させるように設定される。例えば、記憶媒体230は上記のオペレーションのセットを格納することができ、処理回路210は記憶媒体230からオペレーションのセットを読み出して端末装置200にオペレーションのセットを実行させるように設定され得る。オペレーションのセットは1セットの実行可能命令として提供され得る。
【0077】
このことにより、処理回路210は、本明細書において開示されたような方法を実行するように設定される。また、記憶媒体230は、例えば、磁気メモリ、光メモリ、固体メモリ、または、遠隔に載置されたメモリのうちの任意の1つまたは組合せであり得る永続性の記憶装置を含み得る。端末装置200は、通信システム100を構成する他のエンティティ、ノード、機能、および、デバイスとの通信のために少なくとも設定される通信用インタフェース220を更に含み得る。このように、通信用インタフェース220は、アナログおよびデジタルのコンポーネントを含む1つまたは複数の送信機および受信機を含み得る。処理回路210は、例えば、通信用インタフェース220および記憶媒体230にデータおよび制御信号を送信することによって、通信用インタフェース220からデータおよび報告を受領することによって、そして、記憶媒体230からデータおよび命令を読み出すことによって、端末装置200の全体のオペレーションを制御する。端末装置200の他のコンポーネントおよび関連する機能は、本明細書において示される概念を不明瞭にしないために省略される。
【0078】
図7は、1つの実施形態による1つの端末装置200のコンポーネントを幾つかの機能モジュールという見地で模式的に例示する。
図7の端末装置200は幾つかの機能モジュール:ステップS102を実行するように設定された獲得モジュール210a、ステップS104を実行するように設定された決定モジュール210b、ステップS106を実行するように設定された送信モジュール210fを含む。
図7の端末装置200は、例えば、ステップS104aを実行するように設定された決定モジュール210c、ステップS104bを実行するように設定された決定モジュール210d、ステップS104cを実行するように設定された推定モジュール210e、および、ステップS108を実行するように設定された送信モジュール210gのいずれかのような、幾つかのオプションの機能モジュールを更に含むことができる。
【0079】
一般に、機能モジュール210aから210gの各々は、1つの実施形態においてはハードウェアのみによって実装され得、他の実施形態においてはソフトウェアの助けを借りて実装され得る。すなわち、後者の実施形態は、記憶媒体230に格納されるコンピュータプログラム命令を有し、これらコンピュータプログラム命令が処理回路上で実行されると、これらコンピュータプログラム命令は端末装置200に、
図7に関連して上に説明された対応するステップを実行させる。また、上記モジュールがコンピュータプログラムの部分に対応する場合であっても、それらのモジュールがコンピュータプログラムの中の別々のモジュールである必要はないが、それらがソフトウェア内に実装される方法は使われるプログラミング言語に依存することも言及しておかねばならない。好ましくは、1つまたは複数の、あるいは、全ての機能モジュール210aから210gは、おそらく通信用インタフェース220および/または記憶媒体230と協働して処理回路210によって実現され得る。したがって、処理回路210は、1つの機能モジュール210aから210gによって提供されるように記憶媒体230から命令を読み込んで、これらの命令を実行するように設定され得る。それにより、本明細書において開示される如何なるステップをも実行する。
【0080】
以上、端末装置200の例が提示された。
【0081】
図8は、コンピュータ読取り可能な記憶媒体830を含むコンピュータプログラム製品810の1つの例を示す。このコンピュータ読取り可能な記憶媒体830上に、コンピュータプログラム820が格納され得、コンピュータプログラム820は、処理回路210、および、処理回路210に動作的に連結された、例えば、通信用インタフェース220および記憶媒体230のような、エンティティおよびデバイスに、本明細書において説明されている実施形態による方法を実行させることができる。したがって、コンピュータプログラム820および/またはコンピュータプログラム製品810は、本明細書において開示されるような如何なるステップをも実行するための手段を提供することができる。
【0082】
図8の例において、コンピュータプログラム製品810は、例えば、CD(コンパクトディスク)またはDVD(デジタル多用途ディスク)またはブルーレイ・ディスクのような光ディスクとして例示される。コンピュータプログラム製品810は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EPROM)、または、電気的消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM)のようなメモリとしても具体化され得る。より詳細には、コンピュータプログラム製品810は、USB(Universal Serial Bus)メモリのような外的メモリ、または、コンパクトフラッシュメモリのようなフラッシュメモリ内のデバイスの不揮発性記憶媒体として具体化され得る。したがって、コンピュータプログラム820は、ここでは、記述された光ディスク上のトラックとして模式的に示されているが、コンピュータプログラム820はコンピュータプログラム製品810に適する如何なる方法によっても格納され得る。
【0083】
以上、本発明の概念は主に幾つかの実施形態を参照して説明した。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、上に開示されたもの以外の実施形態も、添付の特許請求項に規定されたような本発明の概念の範囲内で等しく実行可能である。