(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】バンパー補強材とその製造方法
(51)【国際特許分類】
B60R 19/04 20060101AFI20230901BHJP
B60R 19/03 20060101ALI20230901BHJP
B60R 19/18 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
B60R19/04 M
B60R19/03 B
B60R19/18 G
(21)【出願番号】P 2022019654
(22)【出願日】2022-02-10
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100218132
【氏名又は名称】近田 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】山川 大貴
(72)【発明者】
【氏名】石飛 秀樹
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-142764(JP,A)
【文献】特開2004-155230(JP,A)
【文献】特開2019-151918(JP,A)
【文献】特開2015-168299(JP,A)
【文献】特開2013-103556(JP,A)
【文献】特開2015-147536(JP,A)
【文献】特開平06-199195(JP,A)
【文献】特開2010-046685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/00-19/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向において離間しているアウターフランジおよびインナーフランジと、前記アウターフランジおよび前記インナーフランジを接続するウェブ群とを有する車両左右方向に沿って延びるアルミニウム合金押出形材からなり、
前記アウターフランジおよび前記インナーフランジが第1フランジ距離で離間し、前記車両左右方向の中央に位置する部分である中央部と、
前記アウターフランジおよび前記インナーフランジが前記第1フランジ距離より短い第2フランジ距離で離間し、前記車両左右方向の両端に位置する部分である両端部と
を有し、
前記ウェブ群は、
前記アウターフランジに第1アウター接続部で接続され、前記インナーフランジに第1インナー接続部で接続されている第1ウェブと、
前記第1ウェブと隣り合い、前記アウターフランジに第2アウター接続部で接続され、前記インナーフランジに第2インナー接続部で接続されている第2ウェブと
を含み、
車両上下方向において、前記第1アウター接続部は、前記第2アウター接続部から前記第1フランジ距離より短いアウターウェブ距離で離間し、前記第1インナー接続部は、前記第2インナー接続部から前記第1フランジ距離より短いインナーウェブ距離で離間しており、
前記第1ウェブおよび前記第2ウェブはそれぞれ、前記両端部において、互いに向き合う凸形状となるように湾曲し、
前記第1ウェブは、前記両端部において前記第2ウェブに最も近接している第1凸部を有し、
前記第2ウェブは、前記両端部において前記第1ウェブに最も近接している第2凸部を有し、
前記第1凸部および前記第2凸部はそれぞれ、前記アルミニウム合金押出形材の延在方向に垂直な断面において、前記アウターフランジから同一距離に位置しており、
前記第1凸部および前記第2凸部は、互いに接している、バンパー補強材。
【請求項2】
車両前後方向において離間しているアウターフランジおよびインナーフランジと、前記アウターフランジおよび前記インナーフランジを接続するウェブ群とを有する車両左右方向に沿って延びるアルミニウム合金押出形材からなり、
前記アウターフランジおよび前記インナーフランジが第1フランジ距離で離間し、前記車両左右方向の中央に位置する部分である中央部と、
前記アウターフランジおよび前記インナーフランジが前記第1フランジ距離より短い第2フランジ距離で離間し、前記車両左右方向の両端に位置する部分である両端部と
を有し、
前記ウェブ群は、
前記アウターフランジに第1アウター接続部で接続され、前記インナーフランジに第1インナー接続部で接続されている第1ウェブと、
前記第1ウェブと隣り合い、前記アウターフランジに第2アウター接続部で接続され、前記インナーフランジに第2インナー接続部で接続されている第2ウェブと
を含み、
車両上下方向において、前記第1アウター接続部は、前記第2アウター接続部から前記第1フランジ距離より短いアウターウェブ距離で離間し、前記第1インナー接続部は、前記第2インナー接続部から前記第1フランジ距離より短いインナーウェブ距離で離間しており、
前記第1ウェブおよび前記第2ウェブはそれぞれ、前記両端部において、互いに向き合う凸形状となるように湾曲し、
前記第2アウター接続部および前記第2インナー接続部には、前記第2ウェブより車両上下方向において前記第1ウェブとは反対側に配置されたフィレットが設けられて
おり、
前記第1ウェブは、前記両端部において前記第2ウェブに最も近接している第1凸部を有し、
前記第2ウェブは、前記両端部において前記第1ウェブに最も近接している第2凸部を有し、
衝撃荷重が加わる前の状態において前記第1凸部および前記第2凸部は離間しており、前記衝撃荷重が加わることによって前記第1ウェブおよび前記第2ウェブが互いに近づくように変形して前記第1凸部および前記第2凸部が接するように構成されている、バンパー補強材。
【請求項3】
前記第1アウター接続部および前記第1インナー接続部には、前記第1ウェブより車両上下方向において前記第2ウェブとは反対側に配置されたフィレットが設けられている、請求項2に記載のバンパー補強材。
【請求項4】
車両前後方向において離間しているアウターフランジおよびインナーフランジと、前記アウターフランジおよび前記インナーフランジを接続するウェブ群とを有する車両左右方向に沿って延びるアルミニウム合金押出形材からなり、
前記アウターフランジおよび前記インナーフランジが第1フランジ距離で離間し、前記車両左右方向の中央に位置する部分である中央部と、
前記アウターフランジおよび前記インナーフランジが前記第1フランジ距離より短い第2フランジ距離で離間し、前記車両左右方向の両端に位置する部分である両端部と
を有し、
前記ウェブ群は、
前記アウターフランジに第1アウター接続部で接続され、前記インナーフランジに第1インナー接続部で接続されている第1ウェブと、
前記第1ウェブと隣り合い、前記アウターフランジに第2アウター接続部で接続され、前記インナーフランジに第2インナー接続部で接続されている第2ウェブと
を含み、
車両上下方向において、前記第1アウター接続部は、前記第2アウター接続部から前記第1フランジ距離より短いアウターウェブ距離で離間し、前記第1インナー接続部は、前記第2インナー接続部から前記第1フランジ距離より短いインナーウェブ距離で離間しており、
前記第1ウェブおよび前記第2ウェブはそれぞれ、前記両端部において、互いに向き合う凸形状となるように湾曲し、
前記第1ウェブは、
車両前後方向の前側
であって車両上下方向において前記第2ウェブの反対側のみに切欠き部が設けられ、
前記第2ウェブは、
車両前後方向の前側
であって車両上下方向において前記第1ウェブの反対側のみに切欠き部が設けられ
、
前記第1ウェブは、前記両端部において前記第2ウェブに最も近接している第1凸部を有し、
前記第2ウェブは、前記両端部において前記第1ウェブに最も近接している第2凸部を有する、バンパー補強材。
【請求項5】
前記アウターウェブ距離は前記第2フランジ距離より短く、前記インナーウェブ距離は前記第2フランジ距離より短い、請求項1から
4のいずれか1項に記載のバンパー補強材。
【請求項6】
前記第1凸部および前記第2凸部はそれぞれ、前記アルミニウム合金押出形材の延在方向に垂直な断面において、前記アウターフランジから同一距離に位置している、請求項2から
4のいずれか1項に記載のバンパー補強材。
【請求項7】
前記第1凸部および前記第2凸部は、互いに接している、請求項
6に記載のバンパー補強材。
【請求項8】
前記両端部は、車体方向に曲げられている、請求項1から
4のいずれか1項に記載のバンパー補強材。
【請求項9】
請求項1から
4のいずれか1項に記載のバンパー補強材の製造方法であって、
前記アルミニウム合金押出形材は、
前記第1アウター接続部が、前記アウターフランジの面内方向において、前記第2アウター接続部から前記アウターウェブ距離で離間し、前記第1インナー接続部が、前記インナーフランジの面内方向において、前記第2インナー接続部から前記インナーウェブ距離で離間しているように、押出成形され、
前記アルミニウム合金押出形材の両端を、前記第1ウェブおよび前記第2ウェブが互いに向き合う凸形状となるように、前記アウターフランジおよび前記インナーフランジの距離を縮めて前記第2フランジ距離とするようにつぶし加工され、
析出強化熱処理を施される
ことによって製造される、バンパー補強材の製造方法。
【請求項10】
前記アルミニウム合金押出形材を押出成形した後であって、前記両端をつぶし加工する前に、前記アルミニウム合金押出形材を加熱し、温間状態とする、請求項
9に記載のバンパー補強材の製造方法。
【請求項11】
前記アルミニウム合金押出形材を押出成形した後であって、前記両端をつぶし加工する前に、前記アルミニウム合金押出形材に対して軟化熱処理を施す、請求項
9に記載のバンパー補強材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンパー補強材とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両前端部に配置されているバンパー補強材は、意匠の観点から、両端においてフランジ間距離が縮まるようにつぶし加工が施されていることがある。一方で、つぶし加工が施された部分であっても、車両斜め前方からの衝突などにも耐え得るように、一定の耐衝撃性が求められる。
【0003】
特許文献1には、つぶし加工が施された部分において、衝突時にフランジに対するウェブの支持点が増加するように、ウェブが加工されたバンパー補強材が記載されている。フランジに対するウェブの支持点が増加することによって、フランジの剛性が向上し、バンパー補強材の耐衝撃性が向上し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のバンパー補強材では、ウェブ間の距離が大きく、バンパー補強材の耐衝撃性の向上という点においてより高い効果を有し得るウェブ同士の支持構造については、特段の示唆が無く、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、バンパー補強材において、つぶし加工が施された部分における耐衝撃性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様は、車両前後方向において離間しているアウターフランジおよびインナーフランジと、前記アウターフランジおよび前記インナーフランジを接続するウェブ群とを有する車両左右方向に沿って延びるアルミニウム合金押出形材からなり、前記アウターフランジおよび前記インナーフランジが第1フランジ距離で離間し、前記車両左右方向の中央に位置する部分である中央部と、前記アウターフランジおよび前記インナーフランジが前記第1フランジ距離より短い第2フランジ距離で離間し、前記車両左右方向の両端に位置する部分である両端部とを有し、前記ウェブ群は、前記アウターフランジに第1アウター接続部で接続され、前記インナーフランジに第1インナー接続部で接続されている第1ウェブと、前記第1ウェブと隣り合い、前記アウターフランジに第2アウター接続部で接続され、前記インナーフランジに第2インナー接続部で接続されている第2ウェブとを含み、車両上下方向において、前記第1アウター接続部は、前記第2アウター接続部から前記第1フランジ距離より短いアウターウェブ距離で離間し、前記第1インナー接続部は、前記第2インナー接続部から前記第1フランジ距離より短いインナーウェブ距離で離間しており、前記第1ウェブおよび前記第2ウェブはそれぞれ、前記両端部において、互いに向き合う凸形状となるように湾曲している、バンパー補強材を提供する。
【0008】
前記の構成によれば、両端部に衝撃荷重が負荷され、両端部のアウターフランジおよびインナーフランジが近づくように変形することに伴い、第1ウェブおよび第2ウェブが、互いに接するように変形し得る。第1ウェブおよび第2ウェブが接するまで変形した後は、第1ウェブの変形は第2ウェブによって抑制され得る。同様に、第2ウェブの変形は第1ウェブによって抑制され得る。換言すると、第1ウェブおよび第2ウェブは、互いに倒れないように支え合い、ウェブ同士の支持構造を構成できる。そのため、両端部のアウターフランジおよびインナーフランジが近づくような変形が抑制され、バンパー補強材の耐衝撃性が向上し得る。
【0009】
前記アウターウェブ距離は前記第2フランジ距離より短く、前記インナーウェブ距離は前記第2フランジ距離より短くてもよい。
【0010】
前記の構成によれば、第1ウェブおよび第2ウェブの距離が近いため、強固なウェブ同士の支持構造を構成できる。
【0011】
前記第1ウェブは、前記両端部において前記第2ウェブに最も近接している第1凸部を有し、前記第2ウェブは、前記両端部において前記第1ウェブに最も近接している第2凸部を有し、前記第1凸部および前記第2凸部はそれぞれ、前記アルミニウム合金押出形材の延在方向に垂直な断面において、前記アウターフランジから同一距離に位置していてもよい。
【0012】
前記の構成によれば、第1凸部および第2凸部によって、第1ウェブおよび第2ウェブは、互いに倒れないように支え合うことができる。そのため、第1ウェブおよび第2ウェブはそれぞれ、倒れ難くなり、バンパー補強材の耐衝撃性が向上し得る。また、第1ウェブおよび第2ウェブのそれぞれの面直方向の荷重が、第1凸部および第2凸部において互いに打ち消し合う。そのため、バンパー補強材の耐衝撃性が向上し得る。
【0013】
前記第1凸部および前記第2凸部は、互いに接していてもよい。
【0014】
前記の構成によれば、衝撃荷重が負荷される前であっても、第1凸部および第2凸部が接している。そのため、第1ウェブおよび第2ウェブが互いに支え合う際にズレが生じることが抑制され得る。
【0015】
前記両端部は、車体方向に曲げられていてもよい。
【0016】
前記の構成によれば、バンパー補強材によって、車体前部の広範囲が保護され得る。そのため、バンパー補強材の車体保護性が向上し得る。
【0017】
本発明の第2態様は、車両前後方向において第1フランジ距離で離間しているアウターフランジおよびインナーフランジと、前記アウターフランジに第1アウター接続部で接続され、前記インナーフランジに第1インナー接続部で接続されている第1ウェブと、前記第1ウェブと隣り合い、前記アウターフランジに第2アウター接続部で接続され、前記インナーフランジに第2インナー接続部で接続されている第2ウェブとを含むウェブ群とを有し、前記第1アウター接続部は、前記アウターフランジの面内方向において、前記第2アウター接続部から前記第1フランジ距離より短いアウターウェブ距離で離間し、前記第1インナー接続部は、前記インナーフランジの面内方向において、前記第2インナー接続部から前記第1フランジ距離より短いインナーウェブ距離で離間しているアルミニウム合金押出形材を押出成形し、前記アルミニウム合金押出形材の両端を、前記第1ウェブおよび前記第2ウェブが互いに向き合う凸形状となるように、前記アウターフランジおよび前記インナーフランジの距離を縮めて第2フランジ距離とするようにつぶし加工し、前記アルミニウム合金押出形材に対して析出強化熱処理を施す、バンパー補強材の製造方法を提供する。
【0018】
前記の構成によれば、両端部に衝撃荷重が負荷され、両端部のアウターフランジおよびインナーフランジが近づくように変形することに伴い、第1ウェブおよび第2ウェブが、互いに接するように変形し得る。第1ウェブおよび第2ウェブが接するまで変形した後は、第1ウェブの変形は第2ウェブによって抑制され得る。同様に、第2ウェブの変形は第1ウェブによって抑制され得る。換言すると、第1ウェブおよび第2ウェブは、互いに倒れないように支え合い、ウェブ同士の支持構造を構成できる。そのため、両端部のアウターフランジおよびインナーフランジが近づくような変形が抑制され、バンパー補強材の耐衝撃性が向上し得る。
【0019】
前記アウターウェブ距離は前記第2フランジ距離より短く、前記インナーウェブ距離は前記第2フランジ距離より短くてもよい。
【0020】
前記の構成によれば、第1ウェブおよび第2ウェブの距離が近いため、より強固なウェブ同士の支持構造を構成できる。
【0021】
前記アルミニウム合金押出形材を押出成形した後であって、前記両端をつぶし加工する前に、前記アルミニウム合金押出形材を加熱し、温間状態としてもよい。
【0022】
前記の構成によれば、アルミニウム合金押出形材を温間状態とすることによって、つぶし加工を行うタイミングを任意に設定することができる。そのため、製造管理が容易になり得る。
【0023】
前記アルミニウム合金押出形材を押出成形した後であって、前記両端をつぶし加工する前に、前記アルミニウム合金押出形材に対して軟化熱処理を施してもよい。
【0024】
前記の構成によれば、アルミニウム合金押出形材に対して軟化熱処理を施すことによって、つぶし加工を行うタイミングを任意に設定することができる。そのため、製造管理が容易になり得る。
【発明の効果】
【0025】
本発明のバンパー補強材によれば、つぶし加工が施された部分における耐衝撃性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1実施形態におけるバンパーシステムの平面図。
【
図4】バンパービームの製造方法の第1工程を実行する製造装置の正面図。
【
図5】バンパービームの製造方法の第2工程を実行する製造装置の平面図。
【
図6】バンパービームの製造方法の第3工程を実行する製造装置の側面図。
【
図7】バンパービームのつぶし加工後の
図3と同様の端面図。
【
図8】バンパービームに衝撃が加わった際の両端部の端面図。
【
図10】第2実施形態における
図3と同様の端面図。
【
図11】第3実施形態における
図2と同様の端面図。
【
図12】第3実施形態における
図3と同様の端面図。
【
図13】第4実施形態における
図2と同様の端面図。
【
図14】第4実施形態における
図3と同様の端面図。
【
図15】第5実施形態における
図2と同様の端面図。
【
図16】第5実施形態における
図3と同様の端面図。
【
図17】第6実施形態における
図2と同様の端面図。
【
図18】第6実施形態における
図3と同様の端面図。
【
図19】第7実施形態における
図2と同様の端面図。
【
図20】第7実施形態における
図3と同様の端面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態におけるバンパービーム(バンパー補強材)2およびバンパーステイ3を備えるバンパーシステム1の平面図である。
図1において、車両前後方向を前後の両矢印で示し、車両左右方向を左右の両矢印で示している。
図2以降においては、車両上下方向を上下の両矢印で示している。バンパーシステム1は、車両左右方向における中心を通る中心線CLに関して対称に構成されているが、左側については図示を省略している。また、
図1において、車体4は、二点鎖線によって簡略的に図示されている。バンパービーム2は、バンパーステイ3を介して、車体4の車両前後方向の前側に固定されている。
【0028】
バンパービーム2は、アルミニウム合金押出形材からなり、車両左右方向に沿って延びる。また、バンパービーム2は、車両左右方向の中央に位置する中央部2aと、車両左右方向の両端に位置する両端部2bとを有する。本実施形態では、両端部2bは、車体4方向に向かって曲げられている。両端部2bは、車体4方向に曲げられていなくてもよく、つまり、車両上下方向および車両前後方向において中央部2aと同じ位置であってもよい。
【0029】
図2および
図3を併せて参照すると、バンパービーム2は、アウターフランジ10、インナーフランジ20、およびウェブ群30を有する。アウターフランジ10およびインナーフランジ20は、車両前後方向において離間している。ウェブ群30は、アウターフランジ10およびインナーフランジ20を接続する。
【0030】
本実施形態では、ウェブ群30は、第1ウェブ31、第2ウェブ32、および第3ウェブ33を含む。第1ウェブ31は、車両上下方向の最も下側に位置する。第3ウェブ33は、車両上下方向の最も上側に位置する。第2ウェブ32は、車両上下方向において第1ウェブ31および第3ウェブ33の間に位置する。すなわち、第1ウェブ31および第2ウェブ32は隣り合っている。
【0031】
中央部2aにおいては、第1ウェブ31および第2ウェブ32は、互いに略平行に配置され、第2ウェブ32および第3ウェブ33も、互いに略平行に配置されている。第1ウェブ31は、アウターフランジ10に第1アウター接続部11で接続され、インナーフランジ20に第1インナー接続部21で接続されている。また、第2ウェブ32は、アウターフランジ10に第2アウター接続部12で接続され、インナーフランジ20に第2インナー接続部22で接続されている。
【0032】
本実施形態では、第2アウター接続部12にはフィレット40Aが設けられている。
図2において二点鎖線によって仮想的に示すように、フィレット40Aは、車両左右方向に垂直な断面において略三角形の厚肉部として構成され、第2ウェブ32より車両上下方向において第1ウェブ31とは反対側(
図2において車両上下方向の上側)に配置されている。より具体的には、フィレット40Aの三角形の一辺がアウターフランジ10の車両前後方向の後側に接し、他の一辺が第2ウェブ32の車両上下方向の上側に接するように、フィレット40Aは設けられている。同様に、第2インナー接続部22にはフィレット40Bが設けられている。
【0033】
本実施形態では、車両上下方向において、つまり、アウターフランジ10の面内方向において、第1アウター接続部11は、第2アウター接続部12からアウターウェブ距離D3で離間している。また、車両上下方向において、つまり、インナーフランジ20の面内方向において、第1インナー接続部21は、第2インナー接続部22からインナーウェブ距離D4で離間している。本実施形態では、アウターウェブ距離D3およびインナーウェブ距離D4は同一の長さである。
【0034】
図2を参照すると、アウターフランジ10およびインナーフランジ20は、中央部2aにおいて、第1フランジ距離D1で離間している。アウターウェブ距離D3およびインナーウェブ距離D4はそれぞれ、第1フランジ距離D1より短い(D3<D1,D4<D1)。すなわち、車両左右方向からみて、第1アウター接続部11、第2アウター接続部12、第1インナー接続部21、および第2インナー接続部22を頂点とする車両前後方向に長い矩形が形成されている。
【0035】
図3を参照すると、アウターフランジ10およびインナーフランジ20は、両端部2bにおいて、第1フランジ距離D1より短い第2フランジ距離D2で離間している(D2<D1)。また、本実施形態では、アウターウェブ距離D3およびインナーウェブ距離D4はそれぞれ、第2フランジ距離D2より短い(D3<D2,D4<D2)。すなわち、車両左右方向からみて、第1アウター接続部11、第2アウター接続部12、第1インナー接続部21、および第2インナー接続部22を頂点とする車両前後方向に長い矩形が仮想的に形成されている。
【0036】
本実施形態では、両端部2bにおいて、第1ウェブ31および第2ウェブ32はそれぞれ、互いに向き合う凸形状となるように湾曲している。詳細には、第1ウェブ31は、両端部2bにおいて第2ウェブ32に最も近接している第1凸部31aを有する。また、第2ウェブ32は、両端部2bにおいて第1ウェブ31に最も近接している第2凸部32aを有する。第1凸部31aおよび第2凸部32aはそれぞれ、バンパービーム2の延在方向に垂直な断面において、アウターフランジ10から同一距離に位置している。つまり、第1凸部31aは、車両前後方向においてアウターフランジ10から凸部距離D5の位置に配置され、第2凸部32aは、車両前後方向においてアウターフランジ10から凸部距離D5の位置に配置されている。
【0037】
また、本実施形態では、両端部2bにおいて、第3ウェブ33は第2ウェブ32に向けて凸形状となるように湾曲している。つまり、第3ウェブ33は第3凸部33aを有する。
【0038】
以下、
図4から
図7を参照に、本実施形態におけるバンパービーム2の製造方法を説明する。
【0039】
図4を参照すると、第1工程では、押出成形機50によって本実施形態におけるバンパービーム2が押出成形され、任意の長さで切断されている。この段階におけるバンパービーム2の両端部2bは、曲げ加工が施されておらず、また、つぶし加工も施されていない。
【0040】
図5を参照すると、第2工程では、押出成形されたバンパービーム2の両端部2bに対して、曲げ加工機51によって曲げ加工を施す。本実施形態では、第2工程における曲げ加工は、自然時効が生じている間に行われる。
【0041】
図6を参照すると、第3工程では、両端部2bにつぶし加工を施す。本実施形態におけるつぶし加工は、温間加工に分類される。すなわち、バンパービーム2を例えば200℃~400℃まで加熱することで温間状態にした後、つぶし加工は行われる。換言すると、バンパービーム2を押出成形した後であって、両端部2bをつぶし加工する前に、バンパービーム2は加熱され、温間状態とされる。
【0042】
第3工程の変形例として、つぶし加工は、温間状態では行われず、バンパービーム2に対して軟化熱処理した後に行われてもよい。つまり、バンパービーム2を押出成形した後であって、両端部2bをつぶし加工する前に、バンパービーム2に対して軟化熱処理が施されてもよい。この場合、バンパービーム2に対して軟化熱処理を施すことによって、つぶし加工を行うタイミングを任意に設定することができる。そのため、製造管理が容易になり得る。なお、軟化熱処理とは、所定の温度、例えば300℃~600℃まで加熱されたバンパービーム2を冷却する、好ましくは急冷することによって、バンパービーム2を軟化させる処理である。
【0043】
また、第1工程から第3工程を自然時効が終了するまでの間に完了させてもよい。具体的には、第1工程から第3工程を2時間以内に完了させてもよい。この場合、両端部2bに対してつぶし加工を施す際に、バンパービーム2を加熱する工程が省略され得る。
【0044】
本実施形態では、第1プレス機52および第2プレス機53によって、つぶし加工が施される。第1プレス機52は、アウターフランジ10およびインナーフランジ20の距離を第1フランジ距離D1から第2フランジ距離D2まで縮めるように、アウターフランジ10およびインナーフランジ20のそれぞれの略全面を外側からプレスする。第2プレス機53は、第1ウェブ31および第3ウェブ33の一部を外側から内側に向けてプレスする。
【0045】
図7を併せて参照すると、第1プレス機52によるプレスおよび第2プレス機53によるプレスを同時に行うことによって、第1ウェブ31および第3ウェブ33は、内側に向かって凸形状を有するように湾曲する。
【0046】
つぶし加工の際、フィレット40A,40Bが設けられていることによって、第2ウェブ32は、第1ウェブ31に向かって凸形状となるように湾曲する。詳細には、第2ウェブ32が第3ウェブ33に向かって変形することが、フィレット40A,40Bによって妨げられるため、第2ウェブ32は、第1ウェブ31に向かって凸形状となるように湾曲する。
【0047】
以上より、両端部2bでは、第1ウェブ31および第2ウェブ32が互いに向き合う凸形状となるように、アウターフランジ10およびインナーフランジ20の距離を縮めて第2フランジ距離D2とするようにつぶし加工される。
【0048】
第3工程によるつぶし加工が完了した後、バンパービーム2に対して析出強化熱処理が施される。析出強化熱処理によって、バンパービーム2の強度は向上し得る。
【0049】
図8は、バンパービーム2の両端部2bにおけるアウターフランジ10に対して、車両前後方向の前側から衝撃が加わることによる両端部2bの変形を示す図である。衝撃が加わることによって、アウターフランジ10およびインナーフランジ20は、さらに互いに近づく。この際、第1ウェブ31および第2ウェブ32は、第1凸部31aおよび第2凸部32aが接するように変形する。
【0050】
本実施形態によれば、両端部2bに衝撃荷重が負荷され、両端部2bのアウターフランジ10およびインナーフランジ20が近づくように変形することに伴い、第1ウェブ31および第2ウェブ32が、互いに接するように変形し得る。第1ウェブ31および第2ウェブ32が接するまで変形した後は、第1ウェブ31の変形は第2ウェブ32によって抑制され得る。同様に、第2ウェブ32の変形は第1ウェブ31によって抑制され得る。換言すると、第1ウェブ31および第2ウェブ32は、互いに倒れないように支え合い、ウェブ同士の支持構造を構成できる。そのため、両端部2bのアウターフランジ10およびインナーフランジ20が近づくような変形が抑制され、バンパービーム2の耐衝撃性が向上し得る。
【0051】
また、本実施形態では、アウターウェブ距離D3およびインナーウェブ距離D4が第2フランジ距離D2より小さい。つまり、第1ウェブ31および第2ウェブ32の距離が近い。そのため、強固なウェブ同士の支持構造を構成できる。
【0052】
さらに、第1凸部31aおよび第2凸部32aによって、第1ウェブ31および第2ウェブ32は、互いに倒れないように支え合うことができる。そのため、第1ウェブ31および第2ウェブ32はそれぞれ、倒れ難くなり、バンパービーム2の耐衝撃性が向上し得る。また、第1ウェブ31および第2ウェブ32のそれぞれの面直方向の荷重が、第1凸部31aおよび第2凸部32aにおいて互いに打ち消し合う。そのため、バンパービーム2の耐衝撃性が向上し得る。
【0053】
本実施形態におけるバンパービーム2は、両端部2bが車体4に向けて曲げられている。そのため、バンパービーム2によって、車体4の前部の広範囲が保護され得る。従って、バンパービーム2の車体保護性が向上し得る。
【0054】
また、バンパービーム2を温間状態とすることによって、つぶし加工を行うタイミングを任意に設定することができる。そのため、製造管理が容易になり得る。
【0055】
(第2実施形態)
図9および
図10を参照すると、本発明の第2実施形態に係るバンパービーム2の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第2実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0056】
図9を参照すると、第2実施形態におけるバンパービーム2では、第1ウェブ31の車両上下方向の下側にフィレット40C,40Dが設けられている。また、第3ウェブ33の車両上下方向の上側にもフィレット40E,40Fが設けられている。フィレット40C,40D,40E,40Fはフィレット40Aと同様の構成である。
【0057】
図10を参照すると、両端部2bにおけるつぶし加工後のバンパービーム2では、第1ウェブ31は第2ウェブ32に向かって凸形状となるように湾曲している。第2ウェブ32は、第1ウェブ31に向かって凸形状となるように湾曲している。第3ウェブ33は、第2ウェブ32に向かって凸形状となるように湾曲している。
【0058】
第2実施形態におけるバンパービーム2によれば、アウターフランジ10およびインナーフランジ20のそれぞれを外側からプレスすることによって、第1ウェブ31および第2ウェブ32が互いに向き合う凸形状となるように湾曲する。つまり、第2プレス機53(
図6参照)を用いることなく、つぶし加工が施され得る。
【0059】
(第3実施形態)
図11および
図12を参照すると、本発明の第3実施形態に係るバンパービーム2の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第3実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0060】
図11を参照すると、第3実施形態におけるバンパービーム2では、フィレット40A,40B(
図2等参照)が配置されていない。また、第1ウェブ31、第2ウェブ32、および第3ウェブ33が車両前後方向に対して斜めに配置されている。具体的には、第1アウター接続部11は第1インナー接続部21より車両上下方向の上側に配置されている。また、第2アウター接続部12は、第2インナー接続部22より車両上下方向の下側に配置されている。すなわち、アウターウェブ距離D3がインナーウェブ距離D4より短くなるように、第1ウェブ31および第2ウェブ32は配置されている。また、第3ウェブ33は、第2ウェブ32と略平行となるように配置されている。
【0061】
図12を参照すると、両端部2bにおけるつぶし加工後のバンパービーム2では、第1ウェブ31は第2ウェブ32に向かって凸形状となるように湾曲している。第2ウェブ32は、第1ウェブ31に向かって凸形状となるように湾曲している。第3ウェブ33は、第2ウェブ32に向かって凸形状となるように湾曲している。
【0062】
第3実施形態では、つぶし加工の段階で、第1凸部31aおよび第2凸部32aは、互いに接している。
【0063】
第3実施形態におけるバンパービーム2によれば、アウターフランジ10およびインナーフランジ20のそれぞれを外側からプレスすることによって、第1ウェブ31および第2ウェブ32が互いに向き合う凸形状となるように湾曲する。つまり、第2プレス機53(
図6参照)を用いることなく、つぶし加工が施され得る。
【0064】
また、衝撃荷重が負荷される前であっても、第1凸部31aおよび第2凸部32aが接している。そのため、第1ウェブ31および第2ウェブ32が互いに支え合う際にズレが生じることが抑制され得る。
【0065】
(第4実施形態)
図13および
図14を参照すると、本発明の第4実施形態に係るバンパービーム2の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第4実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0066】
図13を参照すると、第4実施形態におけるバンパービーム2では、フィレット40A,40B(
図2等参照)が配置されていない。また、中央部2aにおいて、つまり、押出成形された段階で、第1ウェブ31、第2ウェブ32、および第3ウェブ33は湾曲している。具体的には、第1ウェブ31は、第2ウェブ32に向かって凸形状となるように湾曲している。第2ウェブ32は、第1ウェブ31に向かって凸形状となるように湾曲している。第3ウェブ33は、第2ウェブ32に向かって凸形状となるように湾曲している。
【0067】
図14を参照すると、両端部2bにおけるつぶし加工後のバンパービーム2では、第1ウェブ31は第2ウェブ32に向かって凸形状となるようにさらに湾曲している。第2ウェブ32は、第1ウェブ31に向かって凸形状となるようにさらに湾曲している。第3ウェブ33は、第2ウェブ32に向かって凸形状となるようにさらに湾曲している。
【0068】
第4実施形態では、つぶし加工の段階で、第1凸部31aおよび第2凸部32aは、互いに接している。
【0069】
第4実施形態におけるバンパービーム2によれば、アウターフランジ10およびインナーフランジ20のそれぞれを外側からプレスすることによって、第1ウェブ31および第2ウェブ32が互いに向き合う凸形状となるように湾曲する。つまり、第2プレス機53(
図6参照)を用いることなく、つぶし加工が施され得る。
【0070】
また、衝撃荷重が負荷される前であっても、第1凸部31aおよび第2凸部32aが接している。そのため、第1ウェブ31および第2ウェブ32が互いに支え合う際にズレが生じることが抑制され得る。
【0071】
(第5実施形態)
図15および
図16を参照すると、本発明の第5実施形態に係るバンパービーム2の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第5実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0072】
図15を参照すると、第5実施形態におけるバンパービーム2では、フィレット40A,40B(
図2等参照)が配置されていない。また、中央部2aにおいて、つまり、押出成形された段階で、第1ウェブ31、第2ウェブ32、および第3ウェブ33は屈曲している。具体的には、第1ウェブ31は、第2ウェブ32に向かって凸形状となるように屈曲している。第2ウェブ32は、第1ウェブ31に向かって凸形状となるように屈曲している。第3ウェブ33は、第2ウェブ32に向かって凸形状となるように屈曲している。
【0073】
図16を参照すると、両端部2bにおけるつぶし加工後のバンパービーム2では、第1ウェブ31は第2ウェブ32に向かって凸形状となるように、かつ、アウターフランジ10と接触する第1接触部61を有するように湾曲している。第2ウェブ32は、第1ウェブ31に向かって凸形状となるように、かつ、アウターフランジ10と接触する第2接触部62を有するように湾曲している。第3ウェブ33は、第2ウェブ32に向かって凸形状となるように、かつ、アウターフランジ10と接触する第3接触部63を有するように湾曲している。
【0074】
第5実施形態では、つぶし加工の段階で、第1凸部31aおよび第2凸部32aは、互いに接している。
【0075】
第5実施形態におけるバンパービーム2によれば、アウターフランジ10およびインナーフランジ20のそれぞれを外側からプレスすることによって、第1ウェブ31および第2ウェブ32が互いに向き合う凸形状となるように湾曲する。つまり、第2プレス機53(
図6参照)を用いることなく、つぶし加工が施され得る。
【0076】
また、両端部2bでは、アウターフランジ10は、第1接触部61、第2接触部62、および第3接触部63によって支持されている。そのため、アウターフランジ10に車両前後方向から衝撃が加わった際、アウターフランジ10の剛性が向上し得る。
【0077】
さらに、衝撃荷重が負荷される前であっても、第1凸部31aおよび第2凸部32aが接している。そのため、第1ウェブ31および第2ウェブ32が互いに支え合う際にズレが生じることが抑制され得る。
【0078】
(第6実施形態)
図17および
図18を参照すると、本発明の第6実施形態に係るバンパービーム2の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第6実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0079】
図17を参照すると、第6実施形態におけるバンパービーム2では、フィレット40A,40B(
図2等参照)が配置されていない。また、第1ウェブ31、第2ウェブ32、および第3ウェブ33には、切欠き部31b,32b,33bが設けられている。具体的には、第1ウェブ31の車両上下方向において第2ウェブ32とは反対側(
図17において車両上下方向の下側)であって、車両前後方向の前側に切欠き部31bが設けられている。第2ウェブ32の車両上下方向において第1ウェブ31とは反対側(
図17において車両上下方向の上側)であって、車両前後方向の前側に切欠き部32bが設けられている。第3ウェブ33の車両上下方向において第2ウェブ32とは反対側(
図17において車両上下方向の上側)であって、車両前後方向の前側に切欠き部33bが設けられている。
【0080】
図18を参照すると、両端部2bにおけるつぶし加工後のバンパービーム2では、第1ウェブ31は第2ウェブ32に向かって凸形状となるように、かつ、アウターフランジ10と接触する第1接触部61を有するように湾曲している。第2ウェブ32は、第1ウェブ31に向かって凸形状となるように、かつ、アウターフランジ10と接触する第2接触部62を有するように湾曲している。第3ウェブ33は、第2ウェブ32に向かって凸形状となるように、かつ、アウターフランジ10と接触する第3接触部63を有するように湾曲している。
【0081】
第6実施形態では、つぶし加工の段階で、第1凸部31aおよび第2凸部32aは、互いに接している。同様に、第1接触部61および第2接触部62もまた、つぶし加工の段階で設けられる。
【0082】
第6実施形態におけるバンパービーム2によれば、アウターフランジ10およびインナーフランジ20のそれぞれを外側からプレスすることによって、第1ウェブ31および第2ウェブ32が互いに向き合う凸形状となるように湾曲する。つまり、第2プレス機53(
図6参照)を用いることなく、つぶし加工が施され得る。
【0083】
また、両端部2bでは、アウターフランジ10は、第1接触部61、第2接触部62、および第3接触部63によって支持されている。そのため、アウターフランジ10に車両前後方向から衝撃が加わった際、アウターフランジ10の剛性が向上し得る。
【0084】
さらに、衝撃荷重が負荷される前であっても、第1凸部31aおよび第2凸部32aが接している。そのため、第1ウェブ31および第2ウェブ32が互いに支え合う際にズレが生じることが抑制され得る。
【0085】
(第7実施形態)
図19および
図20を参照すると、本発明の第7実施形態に係るバンパービーム2の構成は、以下の点で第1実施形態と異なる。第7実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同一ないし同様の要素には同一の符号を付している。
【0086】
図19を参照すると、第7実施形態におけるバンパービーム2では、フィレット40A,40B(
図2等参照)が配置されていない。また、第7実施形態におけるバンパービーム2は、第4ウェブ34を有する。第4ウェブ34は、車両上下方向の最も上側に配置されている。すなわち、第7実施形態におけるバンパービーム2では、車両上下方向の上側から順に、第4ウェブ34、第3ウェブ33、第2ウェブ32、および第1ウェブ31が配置されている。
【0087】
また、第7実施形態におけるバンパービーム2では、中央部2aにおいて、つまり、押出成形された段階で、第1ウェブ31、第2ウェブ32、第3ウェブ33、および第4ウェブ34は湾曲している。具体的には、第1ウェブ31は、第2ウェブ32に向かって凸形状となるように湾曲している。第2ウェブ32は、第1ウェブ31に向かって凸形状となるように湾曲している。第3ウェブ33は、第4ウェブ34に向かって凸形状となるように湾曲している。第4ウェブ34は、第3ウェブ33に向かって凸形状となるように湾曲している。
【0088】
第7実施形態では、第3ウェブ33は、アウターフランジ10に第3アウター接続部13で接続され、インナーフランジ20に第3インナー接続部23で接続されている。また、第4ウェブ34は、アウターフランジ10に第4アウター接続部14で接続され、インナーフランジ20に第4インナー接続部24で接続されている。
【0089】
第7実施形態では、車両上下方向において、第3アウター接続部13は、第4アウター接続部14からアウターウェブ距離D3で離間している。また、車両上下方向において、第4インナー接続部24は、第4インナー接続部24からインナーウェブ距離D4で離間している。
【0090】
図20を参照すると、両端部2bにおけるつぶし加工後のバンパービーム2では、第1ウェブ31は第2ウェブ32に向かって凸形状となるように、かつ、第2ウェブ32に接触するように湾曲している。第2ウェブ32は、第1ウェブ31に向かって凸形状となるように、かつ、第1ウェブ31に接触するように湾曲している。第3ウェブ33は、第4ウェブ34に向かって凸形状となるように、かつ、第4ウェブ34に接触するように湾曲している。第4ウェブ34は、第3ウェブ33に向かって凸形状となるように、かつ、第3ウェブ33に接触するように湾曲している。つまり、第4ウェブ34は、第4凸部34aを有する。
【0091】
第7実施形態におけるバンパービーム2によれば、アウターフランジ10およびインナーフランジ20のそれぞれを外側からプレスすることによって、第1ウェブ31および第2ウェブ32が互いに向き合う凸形状となるようにさらに湾曲する。さらに、第3ウェブ33および第4ウェブ34が互いに向き合う凸形状となるようにさらに湾曲する。つまり、第2プレス機53(
図6参照)を用いることなく、つぶし加工が施され得る。
【0092】
また、衝撃荷重が負荷される前であっても、第1凸部31aおよび第2凸部32aが接し、かつ、第1凸部31aおよび第2凸部32aが接している。そのため、第1ウェブ31および第2ウェブ32が互いに支え合う際にズレが生じることが抑制され、かつ、第3ウェブ33および第4ウェブ34が互いに支え合う際にズレが生じることが抑制され得る。
【0093】
さらに、ウェブの数が増加しているため、バンパービーム2の強度が向上し得る。
【0094】
以上より、本発明の具体的な実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、個々の実施形態の内容を適宜組み合わせたものを、この発明の一実施形態としてもよい。バンパービーム2は、車両前後方向の後側に配置されてもよく、他の任意のバンパーに適用されてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 バンパーシステム
2 バンパービーム(バンパー補強材)
2a 中央部
2b 両端部
3 バンパーステイ
4 車体
10 アウターフランジ
11 第1アウター接続部
12 第2アウター接続部
13 第3アウター接続部
14 第4アウター接続部
20 インナーフランジ
21 第1インナー接続部
22 第2インナー接続部
23 第3インナー接続部
24 第4インナー接続部
30 ウェブ群
31 第1ウェブ
31a 第1凸部
31b 切欠き部
32 第2ウェブ
32a 第2凸部
32b 切欠き部
33 第3ウェブ
33a 第3凸部
33b 切欠き部
34 第4ウェブ
34a 第4凸部
40A,40B,40C,40D,40E,40F フィレット
50 押出成形機
51 曲げ加工機
52 第1プレス機
53 第2プレス機
61 第1接触部
62 第2接触部
63 第3接触部
D1 第1フランジ距離
D2 第2フランジ距離
D3 アウターウェブ距離
D4 インナーウェブ距離
D5 凸部距離