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特許7341285トンネルを作るための建築要素、そのような要素を備えるトンネル、並びに、そのような要素及びそのようなトンネルを建築する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】トンネルを作るための建築要素、そのような要素を備えるトンネル、並びに、そのような要素及びそのようなトンネルを建築する方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/04 20060101AFI20230901BHJP
   E21D 11/08 20060101ALI20230901BHJP
   E21D 9/087 20060101ALI20230901BHJP
   E21D 9/11 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
E21D11/04 Z
E21D11/08
E21D9/087 Z
E21D9/11 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022076756
(22)【出願日】2022-05-06
(62)【分割の表示】P 2019230834の分割
【原出願日】2015-05-20
(65)【公開番号】P2022174014
(43)【公開日】2022-11-22
【審査請求日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】14/01156
(32)【優先日】2014-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516348636
【氏名又は名称】コンストリュクスィオン、メカニク、コンスュルタント
【氏名又は名称原語表記】CONSTRUCTIONS MECANIQUES CONSULTANTS
(73)【特許権者】
【識別番号】514157607
【氏名又は名称】アジョンス・ナシオナル・プール・ラ・ジェスティオン・デ・ドゥシェ・ラディオアクティフ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、シモン
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04363565(US,A)
【文献】国際公開第2013/150191(WO,A2)
【文献】特開昭51-000130(JP,A)
【文献】実開昭59-073499(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第01925775(EP,A1)
【文献】特開2000-064790(JP,A)
【文献】特開平09-158683(JP,A)
【文献】特開2013-028951(JP,A)
【文献】特開2008-002072(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02013757(GB,A)
【文献】中国特許出願公開第103195086(CN,A)
【文献】特開2002-309894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/04
E21D 11/08
E21D 9/087
E21D 9/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルを作るための建築要素であって、
コンクリート製の非圧縮層である第1のと、
前記第1のに確実に固定された第2のであって、前記トンネルのセクション内において輸送されて一体化されるように構成された一体成型の組立式建築要素を形成する、圧縮層である第2のと、
前記第2の上に位置し、前記第2のを衝撃から保護する保護層である第3のと、
を備え、
前記第2のは、
前記トンネルの周辺の地において内空変位が発生した場合に、破壊するように設計された、複数のデバイと、
前記複数のデバイの間に位置する、隙間と、
を備え、
前記複数のデバイは、それぞれのデバイが、間を含む固形を有し、それぞれの前記デバイの前記固形は、前記第1のにそれぞれの前記デバイを確実に固定し、かつ、前記デバイを相互に固定する、接着により覆われることと、
前記デバイは、セラミック製、ガラス製、セメント製又はモルタル製であり、
前記第2のは、互いに積み重ねられた様々なデバイスを備えることと、
を特徴とする、建築要素。
【請求項2】
それぞれの前記デバイは、それぞれが前記間隙として貫通を備え、前記接着は、前記デバイの前記貫通を塞いでいない、請求項1に記載の建築要素。
【請求項3】
それぞれの前記デバイは、それぞれが前記間隙としての少なくとも1つの閉じた空を区切る前記固形を備える請求項1に記載の建築要素。
【請求項4】
前記接着は、モルタルを備える請求項1に記載の建築要素。
【請求項5】
前記地中を掘って作られた空の内側に位置するトンネルであって、少なくとも1つのセクションが、少なくとも1つの建築要素によって作られ、前記建築要素は、請求項1に記載の建築要素である、トンネル。
【請求項6】
前記第2の上に位置する保護層である第3のを備え、充填が前記第3のと前記地との間の区切られた空間を占有し、前記第3のは、前記充填に対して不浸透性である請求項5に記載のトンネル。
【請求項7】
トンネルを作るための建築要素を作成する方法であって、
- コンクリート製の非圧縮層である第1のを作成するステップと、
- 前記第1のに確実に固定されて、前記トンネルのセクションで一体化されるように構成された組立式の一体成型の建築要素を形成する、圧縮層である第2のを作成するステップと、
を備え、
前記第2のは、それぞれが間隙を含む固形体を有する複数のデバイスから作成され、それぞれの前記デバイスは、セラミック製、ガラス製、セメント製又はモルタル製であり、前記トンネルの周辺の地盤において内空変位が発生した場合に破壊するように設計され、
前記第2のの生成は、
- それぞれの前記デバイの前記固形体を接着で覆うステップと、
- 前記第1のに前記覆われたデバイスを流し込むステップと、
- 前記第2のの上に保護層である第3の層を形成する保護ステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項8】
それぞれの前記デバイの本体は、貫通を有する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
それぞれの前記デバイは、少なくとも1つの閉じた空を区切る固形を有する請求項7に記載の方法。
【請求項10】
トンネルを建築する方法であって、
- トンネルボーリングマシンを用いて地盤中に空洞を形成するステップと、
- 前記空洞の内側に位置する前記トンネルの複数のセクションを形成するステップであって、前記トンネルボーリングマシンが前進するにつれて、少なくとも1つのセクションが、少なくとも1つの建築要素によって、作成されるステップと、
を備え
前記建築要素は、請求項1に記載の建築要素である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル、特に、地下トンネルを作ること、及び、そのようなトンネルの建築要素に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルの分野において、一般に、空洞は、地下を掘って作られ、その上で、迫石を用いることにより、トンネルは、この空洞の中に形成される。トンネルの環状の一部を構成する要素に相当する迫石は、一度相互に組み立てられる。空洞が地盤中に掘って作られると、地盤の均衡が修正され、土壌は、多かれ少なかれ強烈な推力を発揮し、このように形成された空洞を閉鎖する傾向にあり、この現象を「地盤の収束」(la convergence du terrain)と呼ぶ。
【0003】
仏国特許出願公開第1200989号明細書は、トンネルの外壁を覆うコーティングと、貫通孔が設けられた装置と、を備える地盤の収束を減衰するシステムが開示している。貫通孔があるこれらの装置は、特に、コーティング中に、地盤の収束を減衰するように加わる残留量として言及される自由な空間を作る。特に、地盤の推力は、残留量、すなわち、装置により占有されずに残っている推力を減衰することを可能とする体積を占有する傾向にある。しかし、このコーティングを作るために、装置は、トンネルの外壁と、地盤の内壁との限られた空間に差し込まれなくてはならない。しかしながら、トンネルの建設中においては、地盤の要素は、区切られた空間内に凝集することができ、装置がトンネルの外壁の周囲に均一に設置されることを妨げ、装置が差し込まれることを妨げる。
【0004】
英国特許出願公開第2013757号明細書もまた、組立式のコンクリートの迫石からトンネルを作る方法について開示している。トンネルを作るために用いられる前に、それぞれの組立式のコンクリートの迫石は、迫石の外側の表面に接着された発泡ポリエチレンのような非圧縮性の物質の層を備える。しかし、その発泡は、安定したものではなく、時間が経つと分解し得るものであり、その結果、力学的に圧縮することの損失及び特性の変形をもたらす。さらにまた、このような合成物質の発泡は、汚染へと繋がる可能性がある。
【0005】
したがって、トンネルを作るために適切な建築要素と、そのような要素から建築されたトンネルを提供すること、特に、そのような要素及びそのようなトンネルを建築する方法を提供することは、有利なことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前述した不利益を解決することにあり、特に、トンネルに及ぼされる収束を減衰することを実現し、実装する簡単な手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの特徴によれば、コンクリート製の第1の非圧縮層と、前記第1の層に確実に固定された第2の圧縮層であって、前記トンネルのセクション内において一体化されるように構成された一体成型の組立式建築要素を形成する第2の圧縮層と、を備える建築要素が提案される。前記第2の層は、それぞれが間隙を含む固形体を有する複数のデバイスを備える。
【0008】
上記により提供されるような組立式の建築要素は、トンネルのセクションを作るのに適している。このような一体成型の建築要素は、扱いやすく、その製造は、地盤の収束にも拘わらず、トンネルの性質を制御するために均一なトンネルのセクションを作成するように制御することが可能である。さらに、デバイスの隙間が、第2の層の圧縮率を決定する。言い換えると、この隙間は、地盤が収束することを可能とし、第1の層に及ぼされる圧力を開放することを可能とする。
【0009】
前記第2の層は、それぞれが貫通孔を有するデバイスを備えていてもよい。
【0010】
前記第2の層はまた、前記固形体が少なくとも1つの閉じた空洞を区切るデバイスを備えていてもよい。
【0011】
前記デバイスの前記固形体は、セラミック製であってもよい。
【0012】
前記デバイスの前記固形体は、接着膜で覆われており、前記デバイスを前記第1の層に確実に固定するようにしてもよい。
【0013】
前記接着膜は、モルタルから作られていてもよい。
【0014】
前記建築要素は、前記第2の層上に第3の保護層をさらに備えていてもよい。このように、例えば、建築要素の輸送している間といったトンネルのセクションに設置される前には、その完全性が保たれるように、第2の層は保護される。
【0015】
もう1つの特徴によれば、地盤を掘って作られた空洞の内側にあるトンネルであって、前記トンネルの少なくとも1つのセクションが少なくとも1つの上記で定められた2層の建築要素から作られるトンネルが、提案される。
【0016】
それぞれの2層の前記建築要素は、前記第2の層上に設置された第3の保護層を備えていてもよく、前記トンネルは、前記第3の保護層と前記地盤との間の区切られた空間を占有する充填物を備えていてもよい。
【0017】
もう1つの特徴によれば、トンネルを作るための建築要素を作成する方法であって、コンクリート製の第1の非圧縮層を作成するステップと、前記第1の層に確実に固定され、前記トンネルのセクションで一体化されるように構成された組立式の一体成型の建築要素を形成する、第2の圧縮層を作成するステップと、を備える方法が提案される。
【0018】
この方法では、前記第2の層は、それぞれが隙間を一体化する固形体を有する複数のデバイスから作成される。
【0019】
前記第2の層は、それぞれが貫通孔を有するデバイス及び/又は少なくとも1つの閉じた空洞を区切る固形体を有するデバイスを備えていてもよい。
【0020】
前記第2の層の作成は、接着膜で前記デバイスの前記固形体をコーティングするステップと、前記第1の層にコーティングされた前記デバイスを流し込むステップと、を備えていてもよい。
【0021】
この方法はまた、前記第2の層上に第3の保護層を配置する保護ステップを備えていてもよい。
【0022】
さらにもう1つの特徴によれば、トンネルを建築する方法であって、地盤中にトンネルボーリングマシンを用いて空洞を形成するステップと、前記空洞の内側に位置する前記トンネルの複数のセクションを形成するステップであって、前記トンネルボーリングマシンが前進するにつれて、少なくとも1つのセクションが、上記で定められた2層の前記建築要素のうち少なくとも1つから、作成されるステップと、備える方法が提案される。
【0023】
それぞれの2層の前記建築要素は、前記第2の層上の第3の保護層を備えていてもよく、前記第3の保護層と前記地盤との間の区切られた空間は、充填物で満たされていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
その他の有利な点や特徴は、以下に記載する個々の実施形態により、さらに明確にされ、本発明の実施形態は、拘束されない一例として与えられるものであり、以下の添付された図面により表わされる。
図1図1は、一実施形態に係るトンネルの断面図を模式的に示す。
図2図2は、一実施形態に係る建築要素を模式的に示す。
図3図3は、地盤の収束後の平衡状態を模式的に示す。
図4図4は、一実施形態に係る貫通孔が備えられたデバイスの透視図を模式的に示す。
図5図5は、図4に係るデバイスの断面図を模式的に示す。
図6図6は、もう1つ実施形態に係る貫通孔が備えられたデバイスの平面図を模式的に示す。
図7図7は、図6におけるA-A断面図を模式的に示す。
図8図8は、建築要素のもう1つの実施形態を模式的に示す。
図9図9は、一実施形態に係る閉じた空洞を備えるデバイスの透視図を模式的に示す。
図10図10は、図9のデバイスの断面図を模式的に説明する。
図11図11は、図9のデバイスの左側面図を模式的に説明する。
図12図12は、建築要素を作る方法の実装方法の主要なステップを模式的に示す。
図13図13は、図12に続くステップを模式的に示す。
図14図14は、図13に続くステップを模式的に示す。
図15図15は、図14に続くステップを模式的に示す。
図16図16は、図15に続くステップを模式的に示す。
図17図17は、図16に続くステップを模式的に示す。
図18図18は、図17に続くステップを模式的に示す。
図19図19は、図1のトンネルをつくるトンネルボーリングマシンの断面図を模式的に示す。
図20図20は、図19の詳細を示す断面図を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明が、トンネルの分野に際だった有利な点をもたらすものであったとしても、一般的な方法として、例えば、容器や槽を部分的または全体的に埋めると言ったような、地盤内の空洞を作ったり、あるいは、地盤の収束に抵抗するように構成したりする、いかなる方法に対しても応用することが可能である。
【0026】
図1には、地盤3中に掘って作られた空洞2内に作られたトンネル1、言い換えると、地中のトンネルが示されている。トンネル1は、開いていて(屋根、又は、一部がない状態であって)もよいし、逆U字形をしていてもよいし、さらには、閉じていてもよいし、楕円形であってもよいし、又は、他の任意の形態を有していてもよい。優先的に、トンネル1は、全体的に筒状の形状をしている。トンネル1は、空洞2の内側にセクション4を備える。少なくとも1つのセクション4、好ましくは、それぞれのセクション4は、互いに組み合わされた建築要素5を原料として作られている。少なくとも1つの建築要素5は、コンクリート製の第1の非圧縮層6を備える。例えば、トンネル1のセクション4が環状の形状である場合、第1の層6は、曲線状の6面体の形状である。建築要素5は、さらに、組立式の一体成型の建築要素5を形成するように、第1の層6と確実に固定された第2の圧縮層7を備えている。建築要素5は、組立式、すなわち、トンネル1が作られるよりも前に作られている。言い換えると、建築要素5は、あらかじめ作られており、いくつかの建築要素5は、トンネル1のセクション4を作るために互いに組み合わされている。その結果、迫石と地盤3との間に物質を注入することにより減衰コーティングを形成する必要が回避される。建築要素5は、実際に、圧縮層7を事前に包含し、故に、合成した、力学的な減衰する特性を有する。さらにまた、一体成型の要素が何を意味するかというと、例えば、要素が製造エリアから、トンネル1が設置される場所において、トンネル1のセクション4の位置まで移動する時などのように、運送される時に、その物理的な全体性及び力学的特性を保持するように移動可能である要素であるということである。言い換えると、建築要素5は、トンネル1のセクション4内に組み込まれるように、特に、作られ得るセクション4内に組み込まれるように構成されている。
【0027】
一般的に、第2の層7は、図2乃至図8に示すように、間隙10を含む固形体9をそれぞれ有するデバイス8を備える。空間を含む、ということの意味は、デバイスの本体によって閉じた空洞又は開いた空洞に区切りをつけることにある。第2の層7は圧縮性であり、すなわち、地盤3の収束が発生した場合に、変形する。特に、デバイス8は、変形可能な固形体9を有する。すなわち、デバイスは、特にそれらの間隙10があることにより壊れること又は曲がることにより、第2の層7が変形可能となるように、変形することが可能である。第2の層7は、さらに、デバイス8間に間隙部7a、すなわち、空の空間を備えている。圧縮層7は、それぞれのデバイス8と、間隙部7aとの空の空間が合計された空間により構成された残留量を有しており、この間隙部7aは、地盤3の収束を減衰する性質を備える。実際、初期状態において、地盤3は、トンネル1上に初期の変位させる圧力を働かせている。地盤3の動作により、空洞2の内部へと向かう方向に収束する傾向にある。デバイス8の変形は、このように、地盤3が均一な状態を占有するまで、地盤3がトンネル1の内部の方向へ向かって前進させることを可能とする。均一な状態においては、初期の圧力よりも収束する圧力は低い。したがって、第2の圧縮層7は、建築要素5により収束圧力が支持されている間、すなわち、第1の非圧縮層6が、平衡状態において収束圧力により壊れていない間、地盤の収束を減衰させることを可能とする。
【0028】
例えば、デバイス8は、セラミックを原料として作成される。セラミックは、良好な抵抗を提供するのと同時に、地盤3の収束を効果的に減衰するために壊れやすくもある。デバイス8の固形体9が壊れるとき、地盤3は、トンネル1の内側に変位する。デバイス8はまた、地盤3の収束の効果により壊れることが可能なセラミックのような物質、ガラス、セメント、あるいはモルタルを原料として作成されてもよい。変形例として、デバイス8は、金属、あるいは変形可能なプラスチックの物質から作成されるものであってもよい。デバイス8が変形可能な本体を有する場合、それらはまた、地盤の収束を減衰することが可能である。
【0029】
図2には、第2の圧縮層7のデバイス8のそれぞれが、貫通孔10(図4乃至図7に続いて説明される)を提供する固形体9を備える、好ましい実施形態が示されている。トンネルのセクションに一体化されている建築要素5が、図2にはまた示されている。組立式の建築要素5は、一体成型であり、コンクリート製の第1の層6と、デバイス8により形成された第2の圧縮層7と、を備える。第1の層6が、曲線状の6面体の形状をしている場合、建築要素5は、トンネル1の環状のセクションを形成するように構成された圧縮性の部分7を伴う迫石を形成する。第2の層7の厚さEは、地盤3の収束を望ましいだけ減衰するように選択される。特に、厚さEは、建築要素5により支持され得る地盤3の初期の位置に関しての地盤3の動きに準じて選択される。初期位置においては、地盤3は、第1の層6の外側の面からの初期距離Giとなる。初期距離Giは、第2の層7の初期厚さEと、第3の保護層12の厚さと、フリースペースFの厚さとの和に相当する。さらに、厚さEはまた、デバイス8の圧縮率にも依存する。デバイス8は、さらに、第1の層6にしっかりと固定するために接着膜11によりコーティングされている。特に、接着膜11は、デバイス8が、相互に、及び、コンクリート製の第1の層6と確実に固定することを可能とする。このように、建築要素5は、一体成型であり、収束の構成が起こった時に、トンネルのセクション内に一体化するように動きうる。好ましくは、接着膜11は、コンクリート製の第1の層6に効率的に接着するモルタルを備えている。粘着膜11の一部であるモルタルは、セメント、砂、及び、水を備えている。モルタルは、硬化性であり、かつ、デバイス8相互間、及び、デバイスと第1の層6とを接着することを可能とするように硬化する。特に、接着膜11は、貫通膜10を遮ることなく、デバイス8の外側の表面をコーティングする。例えば、エポキシ樹脂の接着剤やその他の接着要素は、デバイス8をコーティングするために使用されうる。
【0030】
有利には、建築要素5は、第2の層7上に位置する第3の保護層12を備えてもよい。より具体的には、第3の保護膜12は、第1の層6及び第2の層7と比較して薄い。一般的には、第3の保護層12は、第2の層7と第3の保護膜12とを力学的に固定するように、第2の層7に固着されている。第3の保護層12は、衝撃から、例えば、デバイス8の固形体9が破壊されること、特に、建築要素5の表面に位置する固形体9が破壊されることを妨げるために、建築要素5が扱われた時の衝撃から、第2の層7を保護する。一般的には、トンネルのセクションが作られた場合、フリースペースFは、通常、空洞の内側の表面とトンネルのセクションの外側の表面、すなわち、建築要素5の外側の表面との間に作られる。建築要素5が第3の保護層を備えていない場合、セクションの外側の表面は、図8に示すように、第2の層7の外側の表面に相当する。建築要素5が第3の保護層12を備えている場合、外側の表面は、図2に示すように、第3の保護層12の外側の表面である。しかしながら、地盤3がフリースペースFへと崩壊してこないように、かつ、セクションが壊れないように、モルタルや砂利といった充填物23は、このフリースペースFを満たすように注入される。第2の層7が貫通孔10を有するデバイス8を備えている場合においては、第3の保護層12は、その上、フリースペースFを満たしている充填物23を通さず、第2の層7上に設置される。この場合、第3の保護層12は、特に、デバイス8の第1の層の貫通孔10が充填物23により満たされるのを防ぐ。第3の保護層12は、モルタルや砂利が貫通孔10へと浸透することを防ぎ、建築要素5の減衰する性質を弱らせてしまうことを防ぐ。第3の保護層12は、第2の圧縮層7を充填物23から分離することができる。第3の保護層12は、このように、第2の層7の変形前に残留量を維持し、地盤3の収束の減衰を保証する。第3の保護層12は、プラスチック又はモルタルから作成されてもよい。
【0031】
地盤3が収束を起こした場合、図3に示すように、第2の圧縮層7は、変形し、トンネルの中央へ向かって地盤3が動くことを可能とする。地盤3は、第1の層6の外側の表面からの平衡距離Geに地盤3があり、平衡状態に到達するまでは、デバイス8を破壊又は変形することができる。平衡距離Geは、初期距離Giよりも小さい。デバイス8が破壊されうるように、デバイス8の破壊に抵抗する力は、地盤3の変位圧力よりも小さい。破壊されたデバイスは、符号8aにより示されている。言い換えると、デバイス8の全て又はいくつかは、破壊された状態を備えうる。これは、トンネルにダメージを与えることなく衝撃を和らげるように地盤3が動くことを可能とする。
【0032】
図4乃至図7は、建築要素5の第2の圧縮層7に使用されうる貫通孔10を備えるデバイス8の2つの実施形態について説明する。図4及び図5において、デバイス8は、筒の長手方向の軸A1に沿った凹部に相当する貫通孔10を備える筒状の形状である。デバイス8はまた、数個の貫通孔を備えることができ、好ましくは、生産が容易になるように、それぞれのデバイス8は、1つの貫通孔を備える。より好ましくは、それぞれの筒状のデバイス8は、高さH、外形d、及び、内径dを有する。特に、実質的に第2の層7が所定の厚さEを有するように、選択的に、高さHは、外径dと等しい。これらの寸法は、筒状のデバイス8が破壊する前の計算負荷に抵抗することを可能とする。デバイス8はまた、デバイス8の外面を取り囲む接着膜11aによりコーティングされている。コーティング方法に応じて、接着膜11bは、貫通孔10を塞ぐことなく貫通孔10の内壁にも堆積されうる。デバイス8は、例えば、モルタル中に注入され、ふるい(ざる)は、余分なモルタルを取り除くために使用される。この場合、図4及び図5に示すように、モルタル膜11aは、デバイスの外面を覆い、もう1つのモルタル膜11bは、貫通孔10を塞ぐことなく貫通孔10の内壁に接着される。もう1つの実施形態によれば、デバイス8の貫通孔10は、分離されており、デバイス8の外面は、接着層11により覆われている。この場合、図2に示すように、内壁は粘着膜により覆われておらず、デバイス内に大きな空間が得られることを保証する。
【0033】
図6及び図7には、リング状の形状を有する、貫通孔10を備えるデバイス8のもう1つの実施形態が示されている。リングは、図6に示すように、ドーナツ状であってもよく、円形の断面を有していてもよい。リングは、環状の直径dと、内部の直径dを有していてもよい。本実施形態においては、接着膜11は、デバイス8の固形体9の外面を、貫通孔10を塞ぐことなく、部分的に貫通するように覆う。
【0034】
好ましくは、均質の第2の層7を得るために、第2の層7内部の筒状又はリング状のデバイスは、全て実質上同一のものである。言い換えると、それらは、お互いに入れ子にはなることができない。第2の層7は、好ましくは、デバイス8が容易に作成できるように、全体的に環状のデバイス8ではなく、全体的に筒状の形状を有しているデバイス8を備える。
【0035】
図8には、第2の層7のもう1つの実施形態が示されている。この別の実施形態においては、さらに図9乃至図11に示すように、デバイス8はそれぞれ、少なくとも1つの閉じた空洞を区切る固形体9をそれぞれ備える。建築要素5は、一体成型であり、コンクリート製の第1の層6と、デバイス8により形成される第2の非圧縮層7とを備える。本実施形態においては、建築要素5は、第3の保護層12を備えることは必須ではない。実際に、1又は複数の閉じた空洞を区切るデバイス8の固形体9は、フリースペースF内に注入されたモルタル又は砂利がこれらの空洞に入ってくることを妨げる。建築要素5は、それにもかかわらず、1又は複数の閉じた空洞を区切る固形体を有するデバイスと、建築要素5が動かされた場合、特に、運送中にデバイス8が破壊されることを防止するように第2の層7を保護する、第3の保護層12を備えていてもよい。この場合、第3の保護層12は、充填物23が間隙部7aを充填することを妨げることにより、第2の層7の機密性を確保する。
【0036】
図9乃至図11は、デバイス8の少なくとも1つの閉じた空洞10を区切る固形体9に係る実施形態について示す。好ましくは、デバイス8は、セラミック製の固形体9を有する。セラミックは、窯で焼く段階よりも前は可鍛性であり、窯で焼いた後は固形物質となり、これらのデバイス8を製造することに適切である。閉じた空洞10が何を意味するかというと、デバイス8内部に空の空間を内包するということである。デバイス8の固形体9は、特に、例えば、硬化するまえの液相のモルタルが中に入らないようにしっかりと密封されると言ったように、防水性(防液性)である。例えば、デバイス8の固形体9は、デバイス8の長手方向の軸Aに沿って広がり、二つの閉口13、14を備える。これらの閉口13、14は、それぞれ直線形状であってもよい。図9又は図10に示す第1の実施形態においては、閉口13、14は、相互に平行である。変形例として、閉口13、14は、互いに直交していてもよい。例えば、デバイス8の固形体9は、円柱状の形状を有している。この例において、円柱状であるという意味は、平面上の閉じた曲線に沿って横断する直線と、基準となる直線と、当該横断する直線と交わる2つの平行な平面とによって作り出された円柱状の表面により区切られた固体である。特に、固形体9は、筒状の形状であってもよい。デバイス8はまた、お互いに繋がっている、又は、繋がっていない、いくらかの空洞を備えていてもよい。好ましくは、デバイス8の閉じた空洞10は、それらの大きさや形状がどのようなものであろうとも、お互いに入れ子になることを防ぐ。
【0037】
あるいは、建築要素5は、それぞれに貫通孔10が設けられたデバイス8を備えうる第2の圧縮層7と、その固形体9の少なくとも1つが閉じた空洞10を区切るデバイス8の両方を備えていてもよい。
【0038】
図12乃至図18には、上述で定められた建築要素5の製造方法の1つの実施形態における主要なステップが示されている。一般的には、建築要素5は、
- コンクリート製の第1の非圧縮層6を製造するステップと、
- 前記第1の層6に確実に固定され、そのそれぞれが間隙10を含む固形体9を有するデバイス8から製造され、トンネル1のセクション4で一体化されるように構成された組み立て式の一体成型の建築要素を形成する、第2の圧縮層を作成するステップと、を実行することにより製造される。
【0039】
デバイス8の固形体9はそれぞれ、貫通孔、及び/又は、少なくとも1つの空洞を区切るデバイスの固形体を備える。
【0040】
例えば、コンクリート製の第1の層6を生産するために、図12に示すように、開口を有し、曲線状の四角い枠組み30が、迫石の形状を作るために使用される。あるいは、例えばU字形又は楕円形、長円形のような様々な形状のトンネルセクションを作るために、枠組みは、開口を有しているが、曲線状でなくてもよい。次に、図13に示すように、液状のコンクリート31は、枠組み30に注がれる。金属製の棒状のものが、コンクリート製の第1の非圧縮の強化された層を得るために、液状のコンクリート31に加えられていてもよい。次に、第1の型32が、コンクリート31の表面の上に設置され、そして、曲線状の外側の表面の形成するためにその表面上を移動するように使用される。コンクリート31は、全体的に、この場合、コンクリートが完全に硬化するか、又は、部分的に、この場合、コンクリートが完全には硬化しないが表面においては第1の型32によって与えられた湾曲を保つのに十分に硬化するように、固められるために放置される。次に、図14に示すように、第1の型32は、取り除かれ、第1の層6は、そのように、土台と、湾曲している外側の表面と、を有するように得られる。デバイス8の固形体9は、前もって、接着膜11により覆われている。図15に示すように、さらに、枠組み33は、枠組み30を高くし、第2の層7を形成し得るように枠組み30のへりに固定される。次に、コーティングされたデバイス34は、枠組み30内、特に、第1の層6の外側の表面上へと注ぎ込まれる。一実施形態によれば、コーティングされたデバイス34が注ぎ込まれるとき、第1の層のコンクリートは、完全には硬化していない。この実施形態においては、モルタル製の接着膜11は、まだ完全には硬化していない第1の層6の外側の表面と接着するように使用される。一変形例によれば、デバイス8が注ぎ込まれるよりも前に、コンクリートが完全に硬化するまで待つようにしてもよい。この変形例においては、例えば、コンクリート製の固い表面と接着するエポキシ樹脂の接着剤といった接着剤から作成された接着層11が使用される。さらにまた、接着膜11がモルタルを備える場合、モルタルで覆われたデバイス34は、モルタルが硬化するよりも前に第1の層6上へと注がれる。そして、モルタルは、第2の圧縮層7が第1の層6へとしっかりと固定されるように、硬化されるように放置される。次に、図15に示すように、第2の型35は、第2の層7の湾曲した外側の表面を形成するために、コーティングされたデバイス34の表面に設置され、移動させるために使用される。次に、接着層11は、デバイス同士が固着し、第2の層7と第1の層6とがしっかりと固定されるように、接着されるように放置される。次に、図16に示すように、第2の型35は、取り除かれ、枠組み30に囲まれた組立式の一体成型の要素5が得られる。あるいは、図17に示すように、第2の層7上にモルタル36を注ぎ入れることにより第3の保護層を形成し、第3の層の外側の表面を湾曲させるために第3の型37を移動させてもよい。次に、図18に示すように、組立式の一体成型の要素5を得るために、枠組み30と、枠組み33と、もし使われていたのであれば第3の型37を取り除く。
【0041】
図19及び図20において、前述した図1に記載のトンネル1の製造に係る一実施形態が示されている。本実施形態によれば、トンネルボーリングマシン15は、地盤3中の方向F1において、空洞2を掘って作成する。トンネルボーリングマシン20の正面は、地盤3の岩を破壊するための手段21を備えつけており、単純化のために図示されていない、岩を抽出する手段を備えている。トンネルボーリングマシン15の一部は、トンネルボーリングマシン15が方向F1へと前進するとともに、建築要素5の配置動作を実行する。トンネルボーリングマシン15は、さらに、例えば、モルタルや砂利といった充填物23を、建築要素5と、トンネルボーリングマシン15が前進することにより形成される空洞2の内壁と、の間の区切られたフリースペースFを満たすために注入する注入手段22を備える。
【0042】
一般的な方法として、トンネルを生成する方法は、
- トンネルボーリングマシン15の手段により、地盤3中に空洞2を形成するステップと、
- 空洞2の内側に位置するトンネル1のセクション4を形成するステップであって、トンネルボーリングマシン15が前進するのに伴い、上述したように定められた少なくとも1つの建築要素5から作成された少なくとも1つのセクション4を形成するステップと、を備える。
【0043】
とりわけ、トンネル1のセクション4が作成されるとき、トンネル1の外壁と空洞2の内壁との間の区切られたフリースペースFは、トンネル1のセクション4を形成するように、建築要素が設置されるために、保たれる。次に、フリースペースFは、充填物23により充填される。
【0044】
上述した建築要素は、トンネルの建築を容易にし、一方でそれと同時に、トンネルが設置される地盤の収束を減衰することを保証することを容易にする。さらにまた、それは、トンネルの製造方法のよりよい専門的技能を保証する。このような建築要素は、従来型の迫石の厚みを削減することを可能とし、トンネルを作るために必要なコンクリートの量を大幅に削減する。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
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