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特許7341299線形発電機におけるエネルギー貯蔵および変換
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】線形発電機におけるエネルギー貯蔵および変換
(51)【国際特許分類】
   F02B 71/04 20060101AFI20230901BHJP
【FI】
F02B71/04
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022142882
(22)【出願日】2022-09-08
(62)【分割の表示】P 2021009569の分割
【原出願日】2016-01-12
(65)【公開番号】P2022168119
(43)【公開日】2022-11-04
【審査請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】14/598,173
(32)【優先日】2015-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513127423
【氏名又は名称】メインスプリング エナジー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ガッダ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ロエル
(72)【発明者】
【氏名】アダム シンプソン
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-202387(JP,A)
【文献】特表2013-543084(JP,A)
【文献】特表2010-540838(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0216411(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 71/00
F02B 71/04
F02B 75/28
F01B 11/00
F01B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも圧縮ストロークおよび拡張ストロークを備えるサイクル中に往復式デバイスにおいて自由ピストンアセンブリを制御する方法であって、前記方法は、
処理回路を使用して、前記サイクルの前記圧縮ストロークのために要求される量のエネルギーを決定することと、
前記処理回路を使用して、駆動区画に、前記量のエネルギーに基づいて前記拡張ストローク中に前記自由ピストンアセンブリの運動エネルギーを貯蔵されたエネルギーに変換させることと、
前記処理回路を使用して、前記拡張ストローク中および前記圧縮ストローク中に前記自由ピストンアセンブリの前記運動エネルギーの少なくとも一部を電気エネルギーに変換させることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記量のエネルギーを決定することは、損失を考慮するためのバッファ量のエネルギーに基づいて、前記量のエネルギーを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記量のエネルギーは、摩擦損失、熱損失、または予期せぬ損失のうちの少なくとも1つに基づく、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記自由ピストンアセンブリの前記運動エネルギーの前記少なくとも一部を電気エネルギーに変換させることは、
前記貯蔵されたエネルギーと、前記圧縮ストロークのために要求される前記量のエネルギーとの差異を示す情報を受信することと、
前記差異に基づいて、前記圧縮ストロークのために要求される前記量のエネルギーが前記貯蔵されたエネルギーよりも大きいことを決定することと、
前記情報に基づいて、前記運動エネルギーの一部を変換されたエネルギーに変換することにより前記変換されたエネルギーおよび前記貯蔵されたエネルギーの間の合計の量のエネルギーが前記圧縮ストロークのために要求される前記量のエネルギーと少なくともマッチするようにするための命令を備える制御信号を生成することと、
前記処理回路を使用して、前記駆動区画に貯蔵されたエネルギーに影響を及ぼすために前記制御信号を送信することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記自由ピストンアセンブリの前記運動エネルギーの前記少なくとも一部を電気エネルギーに変換させることは、前記往復式デバイスの所望される動力出力に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記圧縮ストロークのために要求される前記量のエネルギーは、貯蔵される第1の量のエネルギーを含み、第2の量のエネルギーは、前記運動エネルギーの少なくとも一部が電気エネルギーに変換された後の前記運動エネルギーの残りの部分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記拡張ストロークは、第1の上死点位置から下死点位置への前記自由ピストンアセンブリの第1のストロークを備え、前記圧縮ストロークは、前記下死点位置から第2の上死点位置への前記自由ピストンアセンブリの第2のストロークを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記駆動区画に前記自由ピストンアセンブリの運動エネルギーを貯蔵されたエネルギーに変換させることは、前記自由ピストンアセンブリの位置を制御することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記位置は、上死点位置または下死点位置のうちの少なくとも1つに対応する頂点を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記処理回路を使用して、前記往復式デバイスの少なくとも1つの動作パラメータを監視することをさらに含み、前記少なくとも1つの動作パラメータは、前記自由ピストンアセンブリの位置、前記自由ピストンアセンブリの速度、前記自由ピストンアセンブリの加速度、前記自由ピストンアセンブリの温度、反応区画の圧力、前記反応区画の温度、前記反応区画の位置エネルギー、前記反応区画内の化学的エネルギー、前記反応区画の指示される仕事、前記反応区画の指示される効率、前記反応区画の燃料流量、前記反応区画の空気流量、前記駆動区画内の圧力、前記駆動区画の位置エネルギー、前記駆動区画内のガスの温度、前記駆動区画の指示される仕事、前記駆動区画の指示される効率、前記駆動区画の補給空気流量、前記自由ピストンアセンブリを備える線形電磁機械の温度、電気出力、電気効率、前記線形電磁機械の効率、前記線形電磁機械の動力出力、以前のサイクル性能、環境温度、環境圧力、または放出特性のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
正味電気入力を伴わずに前記圧縮ストロークを実施することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
往復式デバイスであって、
自由ピストンアセンブリおよび固定子を備える線形電磁機械と、
前記自由ピストンアセンブリからのエネルギーを貯蔵するように構成された駆動区画と
を備え、前記線形電磁機械は、処理回路に作用可能に結合され、
前記処理回路は、
サイクルの圧縮ストロークのために要求される量のエネルギーを決定することと、
前記自由ピストンアセンブリの位置を制御することにより、前記駆動区画に、前記量のエネルギーに基づいて拡張ストローク中に前記自由ピストンアセンブリの運動エネルギーを貯蔵されたエネルギーに変換させることと、
前記拡張ストローク中および前記圧縮ストローク中に前記自由ピストンアセンブリの前記運動エネルギーの少なくとも一部を電気エネルギーに変換させることと
を行うように構成されている、往復式デバイス。
【請求項13】
処理回路を備えるシステムであって、
前記処理回路は、
自由ピストンアセンブリのサイクルの圧縮ストロークのために要求される量のエネルギーを決定することと、
駆動区画に、前記量のエネルギーに基づいて前記自由ピストンアセンブリの拡張ストローク中に前記自由ピストンアセンブリの運動エネルギーを貯蔵されたエネルギーに変換させることと、
前記拡張ストローク中および前記圧縮ストローク中に前記自由ピストンアセンブリの前記運動エネルギーの少なくとも一部を電気エネルギーに変換させることと
を行うように構成されている、システム。
【請求項14】
前記運動エネルギーの少なくとも一部を前記変換させることは、正味電気入力を伴わずに前記圧縮ストロークを実施させながら、起こる、請求項12に記載のデバイスまたは請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記処理回路は、損失を考慮するためのバッファ量のエネルギーに基づいて、前記量のエネルギーを決定するようにさらに構成されている、請求項12に記載のデバイスまたは請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記自由ピストンアセンブリの前記運動エネルギーの前記少なくとも一部を電気エネルギーに変換させるように構成されている前記処理回路は、
前記貯蔵されたエネルギーと、前記圧縮ストロークのために要求される前記量のエネルギーとの差異を示す情報を受信することと、
前記差異に基づいて、前記圧縮ストロークのために要求される前記量のエネルギーが前記貯蔵されたエネルギーよりも大きいことを決定することと、
前記情報に基づいて、前記運動エネルギーの一部を変換されたエネルギーに変換することにより前記変換されたエネルギーおよび前記貯蔵されたエネルギーの間の合計の量のエネルギーが前記圧縮ストロークのために要求される前記量のエネルギーと少なくともマッチするようにするための命令を備える制御信号を生成することと、
前記処理回路を使用して、前記駆動区画に貯蔵されたエネルギーに影響を及ぼすために前記制御信号を送信することと
を実行するようにさらに構成されている、請求項12に記載のデバイスまたは請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記処理回路は、前記自由ピストンアセンブリの所望される動力出力に基づいて、前記運動エネルギーの前記少なくとも一部を変換させるようにさらに構成されている、請求項12に記載のデバイスまたは請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記貯蔵されたエネルギーが前記圧縮ストロークを完了させるために使用された後に電気エネルギーに変換される量のエネルギーを示す情報を決定するようにさらに構成されている、請求項12に記載のデバイスまたは請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記拡張ストロークは、少なくとも、第1の上死点位置から下死点位置への前記自由ピストンアセンブリの第1のストロークを備え、前記圧縮ストロークは、少なくとも、前記下死点位置から第2の上死点位置への前記自由ピストンアセンブリの第2のストロークを備える、請求項12に記載のデバイスまたは請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
前記処理回路は、前記自由ピストンアセンブリの位置を制御するようにさらに構成されている、請求項12に記載のデバイスまたは請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自由ピストン燃焼機関に関し、より具体的には、本開示は、自由ピストン燃焼機関におけるエネルギー貯蔵および変換に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
いくつかの実施形態では、燃焼区画を備えているシリンダと、燃焼区画と接触する少なくとも1つの自由ピストンアセンブリと、少なくとも1つの自由ピストンアセンブリと接触する少なくとも1つの駆動区画と、少なくとも1つの自由ピストンアセンブリの運動エネルギーと電気エネルギーとの間で直接変換するための少なくとも1つの線形電磁機械と、ピストンサイクルの後続ストロークにわたる正味電気エネルギー入力を回避するために、少なくとも1つの駆動区画に、ピストンサイクルの後続ストロークを実施するために、拡張ストローク中に少なくとも1つの自由ピストンアセンブリからの少なくとも十分な量のエネルギーを貯蔵させる処理回路とを備えている自由ピストン燃焼機関システムが、提供される。
【0003】
いくつかの実施形態では、燃焼区画を備えているシリンダと、燃焼区画と接触する少なくとも1つの自由ピストンアセンブリと、少なくとも1つの自由ピストンアセンブリと接触する少なくとも1つの駆動区画であって、ピストンサイクルの拡張ストローク中、少なくとも1つの自由ピストンアセンブリからのエネルギーを貯蔵するように構成されている、少なくとも1つの駆動区画と、少なくとも1つの自由ピストンアセンブリの運動エネルギーと電気エネルギーとの間で直接変換するための少なくとも1つの線形電磁機械と、必然的に、少なくとも1つの駆動区画に、ピストンサイクルの後続ストロークにわたって正味電気エネルギー入力を伴わずにピストンサイクルの後続ストロークを実施するために、拡張ストローク中に少なくとも1つの自由ピストンアセンブリからの少なくとも十分な量のエネルギーを貯蔵させる処理回路とを備えている自由ピストン燃焼機関システムが、提供される。
【0004】
いくつかの実施形態では、それぞれの少なくとも1つの駆動区画と接触する少なくとも1つの自由ピストンアセンブリと、少なくとも1つの自由ピストンアセンブリの運動エネルギーを電気エネルギーに直接変換するための少なくとも1つの線形電磁機械とを備えている、自由ピストン燃焼機関を制御するためのシステムであって、システムは、機関のそれぞれの少なくとも1つの動作特性を測定し、それぞれの少なくとも1つのセンサ信号を出力するための、自由ピストン燃焼機関に結合されている少なくとも1つのセンサと、それぞれの少なくとも1つの制御信号に基づいて、自由ピストン燃焼機関のそれぞれの少なくとも1つの動作特性を調節するための少なくとも1つの制御機構と、入力として少なくとも1つのセンサ信号を取得し、少なくとも1つの制御信号を出力する処理回路であって、制御機構を使用して、少なくとも1つの駆動区画に、ピストンサイクルの後続ストロークにわたって正味電気エネルギー入力を伴わずにピストンサイクルの後続ストロークを実施するために、拡張ストローク中に少なくとも1つの自由ピストンアセンブリからの少なくとも十分な量のエネルギーを貯蔵させるために、少なくとも1つのセンサ信号を処理するように構成される、処理回路とを備えている。
【0005】
いくつかの実施形態では、それぞれの少なくとも1つの駆動区画と接触する少なくとも1つの自由ピストンアセンブリと、少なくとも1つの自由ピストンアセンブリの運動エネルギーを電気エネルギーに直接変換するための少なくとも1つの線形電磁機械とを備えている自由ピストン燃焼機関を制御する方法が、提供され、方法は、自由ピストン燃焼機関の少なくとも1つの動作特性を受信することと、処理回路を使用して、駆動区画に、ピストンサイクルの後続ストロークを実施するために、ピストンサイクルの拡張ストローク中に少なくとも1つの自由ピストンアセンブリからの少なくとも十分な量のエネルギーを貯蔵させるために、少なくとも1つの動作特性を処理することと、処理回路を使用して、ピストンサイクルの後続ストロークが、機関への正味電気エネルギー入力を伴わずに実施されるようにすることとを含む。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
自由ピストン燃焼機関システムであって、
燃焼区画を備えているシリンダと、
前記燃焼区画と接触する少なくとも1つの自由ピストンアセンブリと、
前記少なくとも1つの自由ピストンアセンブリと接触する少なくとも1つの駆動区画であって、前記少なくとも1つの駆動区画は、ピストンサイクルの拡張ストローク中、前記少なくとも1つの自由ピストンアセンブリからのエネルギーを貯蔵するように構成されている、少なくとも1つの駆動区画と、
前記少なくとも1つの自由ピストンアセンブリの運動エネルギーと電気エネルギーとの間で直接変換するための少なくとも1つの線形電磁機械と、
処理回路と
を備え、
前記処理回路は、前記ピストンサイクルの後続ストロークにわたる正味電気エネルギー入力を回避するために、前記少なくとも1つの駆動区画に、前記ピストンサイクルの後続ストロークを実施するために、前記拡張ストローク中、前記少なくとも1つの自由ピストンアセンブリからの少なくとも十分な量のエネルギーを貯蔵させる、
自由ピストン燃焼機関システム。
(項目2)
前記拡張ストロークは、動力ストロークおよび吸気ストロークのうちの1つである、項目1に記載の自由ピストン機関システム。
(項目3)
前記後続ストロークは、圧縮ストロークおよび排気ストロークのうちの1つである、項目1に記載の自由ピストン機関システム。
(項目4)
前記線形電磁機械は、前記駆動区画内に貯蔵されたエネルギーの少なくとも一部を前記ピストンサイクルの後続ストローク中に電気エネルギーに変換するように構成されている、項目1に記載の自由ピストン機関システム。
(項目5)
前記ピストンサイクルの後続ストローク中、前記線形電磁機械は、前記拡張ストローク中に前記駆動区画内に貯蔵されたある量のエネルギーと、前記十分な量のエネルギーとの間の差異を電気エネルギーにほぼ変換するように構成されている、項目1に記載の自由ピストン機関システム。
(項目6)
前記線形電磁機械は、前記拡張ストローク中に前記後続ストローク中とほぼ同一量の運動エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成されている、項目1に記載の自由ピストン機関システム。
(項目7)
前記処理回路は、エンジン効率およびエンジン動力出力のうちの少なくとも1つを最大化するために、前記線形電磁機械による前記少なくとも1つの自由ピストンアセンブリの運動エネルギーと電気エネルギーとの間の変換を制御するように構成されている、項目1に記載の自由ピストン機関システム。
(項目8)
前記処理回路は、前記後続ストローク中に所望される量のエネルギーが前記線形電磁機械によって電気エネルギーに変換されるように、前記拡張ストローク中の前記線形電磁機械による前記少なくとも1つの自由ピストンアセンブリの運動エネルギーと電気エネルギーとの間の変換を制御するように構成されている、項目1に記載の自由ピストン機関システム。
(項目9)
前記処理回路は、前記拡張ストローク中に前記後続ストローク中とほぼ同一量のエネルギーが電気エネルギーに変換されるように、前記拡張ストロークおよび前記後続ストローク中の前記線形電磁機械による前記少なくとも1つの自由ピストンアセンブリの運動エネルギーと電気エネルギーとの間の変換を制御するように構成されている、項目1に記載の自由ピストン機関システム。
(項目10)
前記少なくとも1つの駆動区画は、
ガススプリングと、
受動入口ガスポートおよび制御可能な入口ガスポートのうちの少なくとも1つと
を備えている、項目1に記載の自由ピストン機関システム。
(項目11)
前記少なくとも1つの駆動区画は、制御可能な幾何学形状を伴うガススプリングを備えている、項目1に記載の自由ピストン機関システム。
(項目12)
前記処理回路は、エンジン効率およびエンジン動力のうちの少なくとも1つを最大化するために、前記少なくとも1つの駆動区画を制御するように構成されている、項目1に記載の自由ピストン機関システム。
(項目13)
前記処理回路は、前記ピストンアセンブリの位置、前記ピストンアセンブリの速度、前記ピストンアセンブリの加速度、前記ピストンアセンブリの温度、前記燃焼区画の圧力、前記燃焼区画の温度、前記燃焼区画の位置エネルギー、前記燃焼区画内の化学的エネルギー、前記燃焼区画の指示される仕事、前記燃焼区画の指示される効率、前記燃焼区画の燃料流量、前記燃焼区画の空気流量、前記駆動区画内の圧力、前記駆動区画の位置エネルギー、前記駆動区画内のガスの温度、前記駆動区画の指示される仕事、前記駆動区画の指示される効率、前記駆動区画の補給空気流量、前記線形電磁機械の温度、電気出力、電気効率、機関効率、機関動力、以前のサイクル性能、環境温度、環境圧力、放出特性、およびそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つに基づいて、前記自由ピストンアセンブリ、前記少なくとも1つの駆動区画、および前記線形電磁機械のうちの少なくとも1つを制御するように構成されている、項目1に記載の自由ピストン機関システム。
(項目14)
前記処理回路は、前記駆動区画に関連付けられる力、圧力、および容積のうちの少なくとも1つを制御することによって、前記駆動区画に、前記拡張ストローク中に前記少なくとも1つの自由ピストンアセンブリからのエネルギーを貯蔵させるように構成されている、項目1に記載の自由ピストン機関システム。
(項目15)
自由ピストン燃焼機関システムであって、
燃焼区画を備えているシリンダと、
前記燃焼区画と接触する少なくとも1つの自由ピストンアセンブリと、
前記少なくとも1つの自由ピストンアセンブリと接触する少なくとも1つの駆動区画であって、前記少なくとも1つの駆動区画は、ピストンサイクルの拡張ストローク中、前記少なくとも1つの自由ピストンアセンブリからのエネルギーを貯蔵するように構成されている、少なくとも1つの駆動区画と、
前記少なくとも1つの自由ピストンアセンブリの運動エネルギーと電気エネルギーとの間で直接変換するための少なくとも1つの線形電磁機械と、
処理回路と
を備え、
処理回路は、必然的に、前記少なくとも1つの駆動区画に、前記ピストンサイクルの後続ストロークにわたって正味電気エネルギー入力を伴わずに前記ピストンサイクルの後続ストロークを実施するために、前記拡張ストローク中、前記少なくとも1つの自由ピストンアセンブリからの少なくとも十分な量のエネルギーを貯蔵させる、
自由ピストン燃焼機関システム。
(項目16)
前記拡張ストロークは、動力ストロークおよび吸気ストロークのうちの1つであり、前記後続ストロークは、圧縮ストロークおよび排気ストロークのうちの1つである、項目15に記載の自由ピストン機関システム。
(項目17)
前記線形電磁機械は、前記駆動区画内に貯蔵されたエネルギーの少なくとも一部を前記ピストンサイクルの後続ストローク中に電気エネルギーに変換するように構成されている、項目15に記載の自由ピストン機関システム。
(項目18)
前記ピストンサイクルの後続ストローク中、前記線形電磁機械は、前記拡張ストローク中に前記駆動区画内に貯蔵されたある量のエネルギーと、前記十分な量のエネルギーとの間の差異を電気エネルギーにほぼ変換するように構成されている、項目15に記載の自由ピストン機関システム。
(項目19)
前記線形電磁機械は、前記拡張ストローク中に前記後続ストローク中とほぼ同一量の運動エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成されている、項目15に記載の自由ピストン機関システム。
(項目20)
前記処理回路は、エンジン効率およびエンジン動力出力のうちの少なくとも1つを最大化するために、前記線形電磁機械による前記少なくとも1つの自由ピストンアセンブリの運動エネルギーと電気エネルギーとの間の変換を制御するように構成されている、項目15に記載の自由ピストン機関システム。
(項目21)
前記処理回路は、前記後続ストローク中に所望される量のエネルギーが前記線形電磁機械によって電気エネルギーに変換されるように、前記拡張ストローク中の前記線形電磁機械による前記少なくとも1つの自由ピストンアセンブリの運動エネルギーと電気エネルギーとの間の変換を制御するように構成されている、項目15に記載の自由ピストン機関システム。
(項目22)
前記少なくとも1つの駆動区画は、
ガススプリングと、
受動入口ガスポートおよび制御可能な入口ガスポートのうちの少なくとも1つと
を備えている、項目15に記載の自由ピストン機関システム。
(項目23)
前記少なくとも1つの駆動区画は、制御可能な幾何学形状を伴うガススプリングを備えている、項目15に記載の自由ピストン機関システム。
(項目24)
前記処理回路は、前記ピストンアセンブリの位置、前記ピストンアセンブリの速度、前記ピストンアセンブリの加速度、前記ピストンアセンブリの温度、前記燃焼区画の圧力、前記燃焼区画の温度、前記燃焼区画の位置エネルギー、前記燃焼区画内の化学的エネルギー、前記燃焼区画の指示される仕事、前記燃焼区画の指示される効率、前記燃焼区画の燃料流量、前記燃焼区画の空気流量、前記駆動区画内の圧力、前記駆動区画の位置エネルギー、前記駆動区画内のガスの温度、前記駆動区画の指示される仕事、前記駆動区画の指示される効率、前記駆動区画の補給空気流量、前記線形電磁機械の温度、電気出力、電気効率、機関効率、機関動力、以前のサイクル性能、環境温度、環境圧力、放出特性、およびそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つに基づいて、前記自由ピストンアセンブリ、前記少なくとも1つの駆動区画、および前記線形電磁機械のうちの少なくとも1つを制御するように構成されている、項目15に記載の自由ピストン機関システム。
(項目25)
自由ピストン燃焼機関を制御する方法であって、前記自由ピストン燃焼機関は、それぞれの少なくとも1つの駆動区画と接触する少なくとも1つの自由ピストンアセンブリと、前記少なくとも1つの自由ピストンアセンブリの運動エネルギーと電気エネルギーとの間で直接変換するための少なくとも1つの線形電磁機械とを備え、前記方法は、
前記自由ピストン燃焼機関の少なくとも1つの動作特性を受信することと、
処理回路を使用して、前記少なくとも1つの動作特性を処理し、前記駆動区画に、ピストンサイクルの後続ストロークを実施するために、前記ピストンサイクルの拡張ストローク中に前記少なくとも1つの自由ピストンアセンブリからの少なくとも十分な量のエネルギーを貯蔵させることと、
前記処理回路を使用して、前記ピストンサイクルの後続ストロークが、前記機関への正味電気エネルギー入力を伴わずに実施されるようにすることと
を含む、方法。
(項目26)
前記少なくとも1つの動作特性は、前記ピストンアセンブリの位置、前記ピストンアセンブリの速度、前記ピストンアセンブリの加速度、前記ピストンアセンブリの温度、前記燃焼区画の圧力、前記燃焼区画の温度、前記燃焼区画の位置エネルギー、前記燃焼区画内の化学的エネルギー、前記燃焼区画の指示される仕事、前記燃焼区画の指示される効率、前記燃焼区画の燃料流量、前記燃焼区画の空気流量、前記駆動区画内の圧力、前記駆動区画の位置エネルギー、前記駆動区画内のガスの温度、前記駆動区画の指示される仕事、前記駆動区画の指示される効率、前記駆動区画の補給空気流量、前記線形電磁機械の温度、電気出力、電気効率、機関効率、機関動力、以前のサイクル性能、環境温度、環境圧力、および放出特性から成る群から選択される、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記処理回路を使用して、前記線形電磁機械に、前記自由ピストンアセンブリのエネルギーの少なくとも一部を前記後続ストローク中に電気エネルギーに変換させることをさらに含む、項目25に記載の方法。
(項目28)
自由ピストン燃焼機関を制御するためのシステムであって、前記自由ピストン燃焼機関は、それぞれの少なくとも1つの駆動区画と接触する少なくとも1つの自由ピストンアセンブリと、前記少なくとも1つの自由ピストンアセンブリの運動エネルギーを電気エネルギーに直接変換するための少なくとも1つの線形電磁機械とを備え、前記システムは、
前記自由ピストン燃焼機関に結合されている少なくとも1つのセンサであって、前記少なくとも1つのセンサは、前記機関のそれぞれの少なくとも1つの動作特性を測定し、それぞれの少なくとも1つのセンサ信号を出力する、少なくとも1つのセンサと、
少なくとも1つの制御機構であって、前記少なくとも1つの制御機構は、それぞれの少なくとも1つの制御信号に基づいて、前記自由ピストン燃焼機関のそれぞれの少なくとも1つの動作特性を調節する、少なくとも1つの制御機構と、
入力として前記少なくとも1つのセンサ信号を取得し、前記少なくとも1つの制御信号を出力する処理回路と
を備え、
前記処理回路は、前記制御機構を使用して、前記少なくとも1つのセンサ信号を処理し、前記少なくとも1つの駆動区画に、前記ピストンサイクルの後続ストロークにわたって正味電気エネルギー入力を伴わずに前記ピストンサイクルの後続ストロークを実施するために、前記拡張ストローク中、前記少なくとも1つの自由ピストンアセンブリからの少なくとも十分な量のエネルギーを貯蔵させるように構成されている、システム。
(項目29)
前記少なくとも1つのセンサは、位置センサ、速度センサ、加速度計、温度センサ、圧力センサ、流量センサ、電流センサ、電圧センサ、抵抗センサ、インピーダンスセンサ、振動センサ、運動センサ、力センサ、および放出センサから成る群から選択される、項目28に記載のシステム。
(項目30)
前記処理回路は、前記制御機構を使用して、前記線形電磁機械に、前記自由ピストンアセンブリのエネルギーの少なくとも一部を前記後続ストローク中に電気エネルギーに変換させるようにさらに構成されている、項目28に記載のシステム。
【0006】
他の特徴および側面が、実施例として、種々の実施形態による特徴を例証する、付随の図面と関連して検討される、以下の発明を実施するための形態から明白となるであろう。発明の概要は、本発明の範囲を限定することを意図されず、これは、本明細書に添付される請求項によってのみ定義される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は、1つ以上の種々の実施形態に従って、以下の図を参照して詳細に説明される。図面は、例証のみを目的として提供され、単に、典型的または例示的実施形態を描写する。これらの図面は、本明細書に開示される概念の理解を促進するために提供され、これらの概念の範疇、範囲、または可用性の限定として見なされないものとする。例証の明確化および容易さのために、これらの図面は、必ずしも、縮尺通りに作製されていないことに留意されたい。
図1図1は、3つの例証的自由ピストン燃焼機関構成の図である。
図2図2は、本開示のいくつかの実施形態による、2ピストン、単一燃焼区画、統合型ガススプリング、分離型の線形電磁機械を例証する断面図である。
図3図3は、本開示のいくつかの実施形態による、図2の2ピストン統合型ガススプリング機関の2ストロークピストンサイクルを例証する、図である。
図4図4は、本開示のいくつかの実施形態による、代替2ピストン、分離型ガススプリング、分離型の線形電磁機械機関を例証する断面図である。
図5図5は、本開示のいくつかの実施形態による、単一ピストン統合型内部ガススプリング機関を例証する断面図である。
図6図6は、本開示のいくつかの実施形態による、ガススプリングロッドの実施形態を例証する断面図である。
図7図7は、本開示のいくつかの実施形態による、2ピストン統合型内部ガススプリング機関を例証する断面図である。
図8図8は、本開示のいくつかの実施形態による、受動入口弁を伴う吸気ポートを伴うガススプリングを例証する断面図である。
図9図9は、本開示のいくつかの実施形態による、能動入口ポートを伴う吸気ポートを伴うガススプリングを例証する断面図である。
図10図10は、本開示のいくつかの実施形態による、吸気ポートを伴うガススプリングを例証する断面図である。
図11図11は、本開示のいくつかの実施形態による、調節可能ヘッドを伴うガススプリングを例証する断面図である。
図12図12は、本開示のいくつかの実施形態による、調節可能構成要素を伴うガススプリングを例証する断面図である。
図13図13は、本開示のいくつかの実施形態による、圧縮および拡張ストロークにわたる自由ピストン機関の位置、力、および動力プロファイルを例証する、図である。
図14図14は、本開示のいくつかの実施形態による、圧縮および拡張ストロークにわたる自由ピストン機関の位置、力、および動力プロファイルを例証する、図である。
図15図15は、本開示のいくつかの実施形態による、例証的ピストン機関システムのブロック図である。
図16図16は、本開示のいくつかの実施形態による、自由ピストン機関を制御するための例証的ステップのフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図は、包括的であることも、本開示を開示される精密な形態に限定することも意図されない。開示される概念および実施形態は、修正および代替を用いて実践され得、本開示は、請求項およびその均等物によってのみ限定されることを理解されたい。
【0009】
本開示の種々の実施形態は、高い熱効率によって特徴付けられる自由ピストン線形燃焼機関を対象とする。少なくとも一実施形態では、機関は、(i)燃焼区画を備えているシリンダと、(ii)燃焼区画と接触する少なくとも1つの自由ピストンアセンブリと、(iii)機関の拡張ストローク中にエネルギーを貯蔵する、少なくとも1つの自由ピストンアセンブリと接触する少なくとも1つの駆動区画と、(iv)少なくとも1つの自由ピストンアセンブリの運動エネルギーと電気エネルギーとの間で直接変換する少なくとも1つの線形電磁機械(LEM)とを備えている。しかしながら、さらなる実施形態が、上で識別された特徴および物理的特性の種々の組み合わせを含み得ることに留意されたい。
【0010】
概して、自由ピストン燃焼機関構成は、3つのカテゴリに分類されることができる:1)2つの対向するピストン単一燃焼チャンバ、2)単一ピストン二重燃焼チャンバ、および、3)単一ピストン単一燃焼チャンバ。3つの一般的自由ピストン燃焼機関構成の図が、図1に示される。線形自由ピストン燃焼機関のいくつかの代替実施形態が、2014年3月4日に発行され、「High-efficiency linear combustion engine」と題された、米国特許第8,662,029号(本明細書に参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に例証されている。本開示は、線形自由ピストン燃焼機関のある特定の例証的実施形態の文脈において提示されるが、本明細書に議論される概念は、例えば、非線形自由ピストン機関を含む任意の他の好適な自由ピストン燃焼機関に適用可能であることを理解されたい。自由ピストン機関は、概して、ピストンアセンブリの線形運動を回転運動に変換する機械的リンケージ(例えば、スライダクランク機構)がないか、またはピストン動力を直接制御する機械的リンケージ(例えば、係止機構)がない1つ以上の自由ピストンアセンブリを含む。自由ピストン機関は、そのような機械的に結合されるピストン機関に優るいくつかの利益を有し、それらは、増加させられた効率をもたらす。例えば、機械的に結合されたピストン機関の固有の構造的制限に起因して、自由ピストン機関は、より高い圧縮比および拡張比で構成されることができ、それらは、先に参照され、組み込まれた米国特許第8,662,029号に説明されるように、より高い機関効率をもたらす。さらに、自由ピストン機関は、圧縮比が拡張比を上回ることを可能にすること、および拡張比が圧縮比を上回ることを可能にすることを含む、圧縮比および拡張比における増加させられた変動を可能にし、それも、機関効率を増加させ得る。自由ピストン機関アーキテクチャはまた、機関サイクル毎のベースでの圧縮比の増加させられた制御を可能にし、それは、可変燃料品質および燃料タイプに起因する調節を可能にする。加えて、機械的リンケージの欠如に起因して、自由ピストン機関は、ピストンアセンブリに対して実質的により低い横荷重をもたらし、それは、オイルレス動作を可能にし、ひいては、摩擦およびそれからもたらされる損失を低減させる。
【0011】
図2は、2ピストン、単一燃焼区画、統合型ガススプリング、分離型LEMの自由ピストン内燃機関100の一実施形態を例証する断面図である。この自由ピストン内燃機関100は、LEM200を介して、燃料中の化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換する。本明細書で使用される場合、用語「燃料」は、酸化剤と反応する物質を指す。そのような燃料は、限定ではないが、(i)天然ガス、バイオガス、ガソリン、ディーゼル、およびバイオディーゼル等の炭化水素燃料、(ii)エタノール、メタノール、およびブタノール等のアルコール燃料、(iii)水素、および、(iv)上記の任意のものの混合物を含む。本明細書に説明される機関は、固定式発電および移動式発電(例えば、車両において使用するため)の両方に対して好適である。
【0012】
機関100は、シリンダ105内で移動し、シリンダ105の中心における燃焼区画130において接触するように寸法決定される、2つの対向するピストンアセンブリ120を伴うシリンダ105を含む。各ピストンアセンブリ120は、ピストン125と、ピストンロッド145とを含み得る。ピストンアセンブリ120は、シリンダ105内を自由に線形に移動する。
【0013】
図2をさらに参照すると、ピストン125の裏側と、ピストンロッド145と、シリンダ105との間の容積は、本明細書では、駆動区画160と称される。本明細書で使用される場合、「駆動区画」は、エネルギーを貯蔵し、エネルギーを提供することにより、燃焼の使用を伴うことなくピストンアセンブリを変位させることが可能な機関シリンダの区画を指す。駆動区画160は、いくつかの実施形態では、非可燃流体(すなわち、ガス、液体、または両方)を含み得る。例証される実施形態では、駆動区画160内の流体は、ガススプリングとしての役割を果たすガスである。駆動区画160は、ピストンサイクルの拡張ストロークからのエネルギーを貯蔵し、ピストンサイクルの後続ストローク、すなわち、拡張ストローク後に起こるストロークのためのエネルギーを提供する。例えば、ピストンの運動エネルギーは、機関の拡張ストローク中、駆動区画内のガスの位置エネルギーに変換され得る。本明細書で使用される場合、用語「ピストンサイクル」は、実質的に同一構成におけるピストン125で開始および終了する任意の一連のピストン移動を指す。1つの一般的な例は、吸気ストロークと、圧縮ストロークと、動力ストロークと、排気ストロークとを含む4ストロークピストンサイクルである。追加の代替ストロークが、本開示全体を通して説明されるようなピストンサイクルの一部を形成し得る。2ストロークピストンサイクルは、動力ストロークおよび圧縮ストロークを有することとして特徴付けられる。本明細書で使用される場合、「拡張ストローク」は、ピストンアセンブリが上死点(「TDC」)位置から下死点(「BDC」)位置に移動するピストンサイクルのストロークを指し、TDCは、燃焼区画容積が最小であるときのピストンアセンブリまたは複数のアセンブリの位置を指し、BDCは、燃焼区画容積が最大であるときのピストンアセンブリまたは複数のアセンブリの位置を指す。上記に留意されるように、自由ピストン機関の圧縮比および拡張比はサイクル毎に変動または変動させられ得るので、いくつかの実施形態では、TDCおよびBDC位置も、サイクル毎に変動または変動させられ得る。故に、以下にさらに詳細に説明されるであろうように、拡張ストロークは、吸気ストローク、動力ストローク、またはその両方を指し得る。いくつかの実施形態では、拡張ストローク中に駆動区画によって貯蔵されるべきエネルギーの量は、以下にさらに詳細に説明されるであろうように、種々の基準に基づいて決定され、コントローラおよび関連付けられる処理回路によって制御され得る。例えば、いくつかの実施形態では、拡張ストローク中に駆動区画によって貯蔵されるべきエネルギーの量は、後続ストローク、すなわち、拡張ストローク後に起こるストロークにおいて要求されるエネルギーに基づいて決定され得る。いくつかの実施形態では、コントローラおよび関連付けられる処理回路は、ピストンサイクルの後続ストロークにわたる正味電気エネルギー入力を回避するために、駆動区画に、後続ストロークを実施するために少なくとも十分な量のエネルギーを拡張ストローク中に自由ピストンアセンブリから貯蔵させ得る。いくつかの実施形態では、コントローラおよび関連付けられる処理回路は、必然的に、駆動区画に、後続ストロークにわたって正味電気エネルギー入力を伴わずに後続ストロークを実施するために、拡張ストローク中に自由ピストンアセンブリからの少なくとも十分な量のエネルギーを貯蔵させ得る。いくつかの実施形態では、拡張ストローク中に駆動区画によって貯蔵されるエネルギーの量は、後続ストロークのために要求される量を上回り得る。例えば、2ストロークピストンサイクルの場合、駆動区画は、動力ストローク中、後続圧縮ストロークのために要求される量のエネルギーを上回る量のエネルギーを貯蔵し得る。いくつかの実施形態では、例えば、4ストロークピストンサイクルの場合、駆動区画は、動力ストローク中、後続排気ストロークのために要求される量のエネルギーを上回る量のエネルギーを貯蔵し得る。いくつかの実施形態では、例えば、4ストロークピストンサイクルの場合、駆動区画は、吸気ストローク中、後続圧縮ストロークのために要求される量のエネルギーを上回る量のエネルギーを貯蔵し得る。いくつかの実施形態では、後続ストロークのために要求されるものを超えて貯蔵される量のエネルギーが、以下により詳細に説明されるであろうように、LEM200によって電気エネルギーに変換され得る。いくつかの実施形態では、拡張ストローク中に駆動区画によって貯蔵されるエネルギーの量は、機関が、LEM200からの電気エネルギー入力を伴わずに連続したピストンサイクルにわたり連続的に動作することを可能にするように決定され得る。例えば、拡張ストローク中に駆動区画によって貯蔵されるエネルギーの量は、機関が、機関の初期始動のために要求され得るもの以外、外部電気エネルギー入力を伴わずにピストンサイクルにわたり連続的に動作することを可能にするように決定され得る。
【0014】
簡潔化および明確化を目的として、駆動区画は、主として、ガススプリングの文脈において本明細書に説明され、本明細書では「ガス区画」、「ガススプリング」、または「ガススプリング区画」と称され得る。いくつかの装置では、駆動区画160は、ガススプリングに加えて、またはその代わりに、1つ以上の他の機構を含み得ることを理解されたい。例えば、そのような機構は、1つ以上の機械的スプリング、磁気スプリング、またはそれらの任意の好適な組み合わせを含むことができる。いくつかの装置では、モータとして動作する、高効率的な線形交流機が、含まれ得、それは、圧縮仕事を生成するために、スプリング(空気圧式、動圧式、または機械式)の代わりに、またはそれに加えて使用され得る。いくつかの実施形態では、駆動区画の幾何学形状は、損失を最小化し、駆動区画の効率を最大化するように選択され得ることが、当業者によって理解されるであろう。例えば、駆動区画の直径および/または死容積は、損失を最小化し、駆動区画の効率を最大化するように選択され得る。本明細書で使用される場合、「死容積」は、ピストンアセンブリがBDC位置にあるときの駆動区画の容積を指す。いくつかの実施形態では、例えば、駆動区画がガスまたは油圧スプリングである場合、区画の直径は、増加させられた効率を提供するために、燃焼区画とは異なり得る。ガススプリングのある実施形態が、図8-12を参照して以下にさらに詳細に説明される。
【0015】
燃焼点火が、例えば、圧縮点火および/またはスパーク点火を介して達成されることができる。燃料が、燃料噴射器を介して燃焼チャンバ130に直接噴射される(「直接噴射」)、ならびに/または吸気に先立って、および/もしくは吸気中に空気と混合される(「事前混合噴射」)ことができる。機関100は、炭化水素、水素、アルコール、または上で説明されるような任意の他の好適な燃料を含む、液体燃料、ガス状燃料、またはその両方を使用して、希薄、化学量論的、またはリッチ燃焼で動作することができる。
【0016】
シリンダ105は、物質(固体、液体、ガス、またはプラズマ)を周囲と交換するために、噴射器ポート170と、吸気ポート180と、排気ポート185と、駆動ガス交換ポート190とを含み得る。本明細書で使用される場合、用語「ポート」は、シリンダ105の内側とその周囲との間の物質交換を可能にする、任意の開口部または開口部の組(例えば、多孔性材料)を含む。図2に示されるポートは、単に、例証的であることを理解されたい。いくつかの装置では、より少ないまたはより多いポートが、使用され得る。上で説明されるポートは、弁を介して開閉されることも、されないこともある。用語「弁」は、選択的に物質を開口部に通すための任意の作動型流量コントローラまたは他の作動型機構を指し得る。弁は、限定ではないが、機械的、電気的、磁気的、カムシャフト駆動式、油圧式、または空気圧式手段を含む、任意の手段によって作動させられ得る。ポートおよび弁の数、場所、およびタイプは、機関構成、噴射方策、およびピストンサイクル(例えば、2または4ストロークピストンサイクル)に依存し得る。いくつかの実施形態では、ポートの物質交換は、物質の交換を可能にするために必要に応じてポートを被覆および/または露出し得る、ピストンアセンブリの移動によって達成され得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、駆動区画160の動作は、調節可能であり得る。いくつかの実施形態では、駆動ガス交換ポート190は、駆動区画の特性を制御するために利用され得る。例えば、駆動ガス交換ポート190は、駆動区画内のガスの量、温度、圧力、任意の他の好適な特性、および/またはそれらの任意の組み合わせを制御するために使用され得る。いくつかの実施形態では、前述の特性のいずれかを調節すること、したがって、シリンダ内の質量を調節することは、ガススプリングの効果的なばね定数を変動させ得る。いくつかの実施形態では、駆動区画160の幾何学形状は、望ましい動作を取得するために調節され得る。例えば、駆動区画160の容積は、駆動ガス交換ポート190およびその中を流動する駆動ガスの特性を制御することによって、増加または減少させられ得る。いくつかの実施形態では、シリンダ内の死容積は、ガススプリングのばね定数を変動させるように調節され得る。駆動区画160およびその中のガスの前述の制御および調節のいずれかが、機関100の拡張ストローク中に駆動区画160によって貯蔵されるエネルギーの量の制御を提供し得ることを理解されたい。駆動区画160内のガスの特性の前述の制御が、機関100の周波数の変動を提供することも理解されたい。
【0018】
機関100は、(例えば、圧縮ストローク中、拡張ストローク中、排気ストローク中、および/または吸気ストローク中)ピストンアセンブリ120の運動エネルギーを電気エネルギーに直接変換するための、LEM200の対を含み得る。各LEM200は、電気エネルギーをピストンアセンブリ120の運動エネルギーに直接変換することも可能である。いくつかの実施形態では、LEM200は、機関を始動するために、電気エネルギーをピストンの運動エネルギーに変換し得るが、機関が開始し、その少なくとも一部が拡張ストローク中に駆動区画160内に貯蔵され得る十分な燃料化学エネルギーがピストンの運動エネルギーに変換されていると、動作中に電気エネルギーを運動エネルギーに変換する必要はない。いくつかの実施形態では、機関の始動は、例えば、貯蔵された圧縮ガスの使用を含む、任意の他の好適な技法によって達成され得る。例証されるように、LEM200は、固定子210と、変換器220とを含む。具体的には、変換器220は、ピストンロッド145に結合され、静止したままであり得る固定子210内を線形に移動する。加えて、LEM200は、永久磁石機械、誘導機械、スイッチドリラクタンス機械、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。固定子210および変換器220の各々は、磁石、コイル、鉄、またはそれらの任意の好適な組み合わせを含むことができる。LEM200は、ピストンの運動エネルギーを電気エネルギーに、およびそれから直接変換する(すなわち、いかなる機械的リンケージも存在しない)ので、機械的および摩擦損失は、従来の機関発電機構成と比較して最小である。さらに、LEM200は、ピストンアセンブリの運動エネルギーの一部をピストンサイクルの任意のストローク中に電気エネルギーに変換するように構成され、機関100は、後続ストローク中に電気エネルギーに変換され得る、拡張ストロークからのエネルギーを貯蔵するように構成される調節可能な駆動区画160を含むので、LEM200は、例えば、ピストンサイクルの単一ストローク内(例えば、拡張ストローク内のみ)での全てのエネルギーの変換を要求するLEMまたは他のデバイスより低い電気容量を有するように構成され得る。故に、いくつかの実施形態では、LEM200の関連付けられる線形交流機および電力電子機器は、サイズ、重量、および/または電気容量を低減させられ得る。これは、当業者によって理解されるであろうように、構成要素の減少させられたサイズおよびコスト、増加させられた効率、増加させられた信頼性、ならびに増加させられた利用をもたらし得る。故に、機関の周波数、したがって、動力出力は、いくつかの実施形態では、増加させられ得る。
【0019】
各LEM200は、発電機およびモータの両方として動作させられ得ることが、当業者によって理解されるであろう。例えば、LEM200がピストンアセンブリ120の運動エネルギーを電気エネルギーに変換するとき、それらは、発電機として動作する。発電機としての役割を果たすとき、変換器220に加えられる力は、ピストンアセンブリ120の運動の反対方向におけるものである。逆に、LEM200が電気エネルギーをピストンアセンブリ120の運動エネルギーに変換するとき、それらは、モータとして動作する。モータとしての役割を果たすとき、変換器220に加えられる力は、ピストンアセンブリ120の運動と同一の方向におけるものである。参照を容易にするために、図2および対応する図の中心線(噴射器ポート170に近接する)は、起点と見なされ、各ピストンアセンブリに対して、正の方向は、中心から外向き方向に離れ得る。
【0020】
図2に示される実施形態は、2ストロークピストンサイクルを使用して動作する。図2の2ピストン統合型ガススプリング機関100の2ストロークピストンサイクル300を例証する図が、図3に例証される。図3に例証されるように、機関100は、圧縮ストロークおよび動力ストロークを含む2ストロークピストンサイクルを使用して動作し、ピストンは、圧縮ストロークに先立ってBDCに位置し、動力ストロークに先立って上死点TDCに位置し得る。2ピストン実施形態を参照して本明細書で使用される場合、BDCは、ピストンが互いから最も遠い点を指し得る。2ピストン実施形態を参照して本明細書で使用される場合、TDCは、ピストンが互いに最も近接する点を指し得る。BDCにあるとき、またはそれに近接するとき、かつ駆動区画が圧縮仕事を提供するために使用されるべきである場合、駆動区画160内のガスの圧力は、燃焼区画130の圧力を上回り、それは、ピストン125をBDCから離れるように、互いに向かって内向きに、すなわち、負の方向に押し進める。駆動区画160内のガスは、圧縮ストロークを実施するために要求されるエネルギーの一部または全てを提供するために使用されることができる。上で説明されるように、いくつかの実施形態では、ピストン125は、機械的スプリング、磁気スプリング、または圧縮仕事を提供するために使用され得る任意の他の好適な機構を含む、任意の他の好適な機構によって、BDCから離れるように押し進められ得る。LEM200も、圧縮ストロークを実施するために要求されるエネルギーの一部を提供し得るが、好ましい実施形態では、十分なエネルギーが燃焼中に生産されている場合、十分なエネルギーが、駆動区画160内に貯蔵され得、その結果、駆動区画160内に貯蔵されたエネルギーがピストンに伝達され、必要圧縮仕事を提供し得るので、LEM200は、いずれの電気エネルギーもピストン125の運動エネルギーに変換する必要はない。LEM200はまた、圧縮ストローク中にエネルギーを抽出し得る。例えば、駆動区画160内のガス(または上で説明されるような他の好適な手段)が、圧縮ストロークを実施するための過剰なエネルギーを提供する場合、LEM200は、ピストンアセンブリ120の運動エネルギーの一部を電気エネルギーに変換し得る。
【0021】
圧縮ストロークを実施するために要求されるエネルギーの量は、所望される圧縮比、圧縮ストロークの開始時の燃焼区画130の圧力および温度、ならびにピストンアセンブリ120の質量に依拠し得る。上で説明されるように、駆動区画160は、圧縮ストロークのために必要とされるエネルギーの全てを提供し得、したがって、(LEM200または任意の他の源からの)いかなる他のエネルギー入力も、必要ではない。いくつかの実施形態では、一部のエネルギーが、圧縮ストローク中に入力され得るが、圧縮ストロークの正味エネルギーは、依然として正である。圧縮ストロークは、燃焼が起こるまで継続し、それは、典型的には、ピストン125の速度がゼロになるか、またはほぼゼロのときに起こる。燃焼は、燃焼区画130内の温度および圧力の増加を引き起こし、それは、ピストン125をLEM200に向かって外向きに押し進める。動力ストローク中、ピストンアセンブリ120の運動エネルギーの一部は、LEM200によって電気エネルギーに変換され得、運動エネルギーの別の部分は、駆動区画160内のガス(または他の圧縮機構)に圧縮仕事を行う。代替として、ピストンアセンブリの運動エネルギーの全ては、駆動区画160内に貯蔵され得る。動力ストロークは、ピストン125の速度がゼロになるまで継続する。動力ストロークの後、後続圧縮ストロークの前に、ピストン125は、BDCにあるか、またはその近くにあり、機関は、燃焼生産物を排気し、空気、空気/燃料混合物、または空気/燃料/燃焼生産物混合物を吸気し得る。このプロセスは、本明細書では「ブリージング」または「BDCにおける、またはそれ近くのブリージング」と称され得る。ブリージングは、先に参照され、組み込まれた米国特許第8,662,029号に説明されるように、単一フローまたはクロスフロー掃気等の任意の好適な様式で達成され得ることが、当業者によって理解されるであろう。動力ストローク後に起こるものとして説明されているが、いくつかの実施形態では、ブリージングは、動力ストロークの終了時および/または圧縮ストロークの開始時に起こり得ることも理解されたい。同様に、いくつかの実施形態では、燃焼は、圧縮ストロークの終了時および/または動力ストロークの開始時に起こり得る。
【0022】
図3は、吸気ポート180および排気ポート185がBDCに近接する両方のピストンの前にある、一例示的ポート構成300を例証する。排気ポート185ならびに吸気ポート180の開放および閉鎖は、独立して制御され得る。排気ポート185および吸気ポート180の場所は、ある範囲の圧縮比および/または拡張比が可能であるように選定されることができる。排気ポート185および吸気ポート180が起動(開放および閉鎖)されるときのサイクル中の時間は、圧縮比および/または拡張比、および/または、圧縮ストローク開始時に燃焼区画130内に保持される燃焼生産物の量を変動させるために、サイクル中および/またはサイクル間に調節されることができる。燃焼区画130内に燃焼ガスを保持することは、残留ガストラッピング(RGT)と呼ばれ、燃焼タイミング、ピーク燃焼温度、ならびに他の燃焼および機関性能特性をもたらすために利用されることができる。
【0023】
2ストロークサイクルの動作が、上で説明されているが、図2の実施形態はまた、吸気ストロークと、圧縮ストロークと、動力(拡張)ストロークと、排気ストロークとを含む、4ストロークピストンサイクルを使用して動作させられ得る。いくつかの実施形態では、任意の好適な修正が、4ストロークピストンサイクルを使用して動作するために成され得る。例えば、先に参照され、組み込まれた米国特許第8,662,029号に説明されるように、ポートの場所が、4ストロークピストンサイクルを使用して機関を動作させるために修正され得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、4ストロークピストンサイクルにおいて、ちょうど上で説明される2ストロークサイクルのように、駆動区画160は、圧縮ストロークのために必要な仕事の全てを提供し得る。いくつかの実施形態では、駆動区画160は、圧縮ストローク中の正味電気エネルギー入力を回避するために十分な仕事を提供し得る。圧縮ストロークは、燃焼が起こるまで、例えば、ピストン125の速度がゼロになるか、またはほぼゼロになるまで継続し得る。動力ストロークが、燃焼に続き得、ピストンアセンブリ120の運動エネルギーは、2ストロークサイクルに関して上で説明されるように、駆動区画160内に貯蔵され、および/またはLEM200によって電気エネルギーに変換され得る。動力ストロークBDCにおける、またはそれに近いある点で、排気ポートが、開放され得、排気ストロークは、ピストン125の速度が、そのサイクルに対する排気ストロークTDCをマーキングするゼロになるまで、またはほぼゼロになるまで起き得る。上で説明されるように、動力ストローク中に駆動区画160内に貯蔵されるエネルギーは、排気ストロークを実施するために要求される仕事を提供し得る。排気ストロークTDCに到達することに先立つある点で、燃焼区画130は、排気弁を閉鎖する一方、シリンダ内には依然として排気が存在する。いくつかの実施形態では、この閉じ込められた排気ガスは、後続吸気ストロークを実施するために十分なエネルギーを貯蔵し得る。動力ストロークのように、ピストンアセンブリ120の運動エネルギーは、吸気ストローク中に駆動区画160内に貯蔵され、および/またはLEM200によって電気エネルギーに変換され得、それは、ピストン125の速度がゼロになるまで起こる。いくつかの実施形態では、駆動区画160は、後続圧縮ストロークを実施するために、吸気ストローク中に十分なエネルギーを貯蔵し得る。いくつかの実施形態では、後続圧縮ストロークまたは後続排気ストロークのために要求される量を超えて駆動区画内に貯蔵されるエネルギーの任意の好適な量が、LEM200によって電気エネルギーに変換され得る。
【0025】
図4は、本開示の原理による、代替2ピストン、分離型ガススプリング、分離型LEMの機関を例証する断面図である。例証される構成は、単に、実施例を目的としており、2ピストン、分離型ガススプリング、分離型LEMの機関の任意の他の好適な構成が、本開示に従って使用され得ることを理解されたい。機関400は、主要シリンダ105と、2つの対向するピストンアセンブリ120と、主要シリンダ105の中心に位置する燃焼区画130とを含む。例証される機関400は、機関100と比較されると、ある物理的差異を有する。具体的には、機関400は、追加のピストン125を含む外側シリンダ405の対を含み、LEM200は、主要シリンダ105と外側シリンダ405との間に配置される。各外側シリンダ405は、ピストン125と外側シリンダ405の遠位端との間に位置する駆動区画410と、ピストン125と外側シリンダ405の近位端との間に位置する駆動後面区画420とを含む。主要シリンダ105は、ピストン125と主要シリンダ105の遠位端との間に配置される、燃焼後面区画430の対を含む。いくつかの実施形態では、駆動後面区画420および燃焼後面区画430は、大気圧に、またはそれに近く維持される。いくつかの実施形態では、駆動後面区画420および燃焼後面区画430は、大気圧に、またはそれに近く維持されない。例証される構成では、主要シリンダ105は、ブローバイガスの除去のためのポート440と、噴射器ポート170と、吸気ポート180と、排気ポート185とを有する。駆動ガス交換ポート190が、外側シリンダ405に位置する。各ピストンアセンブリ120は、2つのピストン125と、ピストンロッド145とを含む。ピストンアセンブリは、図4に描写されるように、主要シリンダ105と外側シリンダ405との間を自由に線形に移動する。図4の実施形態は、例えば、図3に関して上記に記載されるような方法論を使用する2ストロークピストンサイクル、ならびに上記および先に参照され、組み込まれた米国特許第8,662,029号に説明されるような4ストロークピストンサイクルを使用して動作し得ることを理解されたい。
【0026】
図2および3の構成は、示されるように、機関100と称され、シリンダ105、ピストンアセンブリ120、およびLEM200によって画定される単一ユニットを含む。同様に、図4の構成は、示されるように、機関400と称され、主要シリンダ105、ピストンアセンブリ120、外側シリンダ405、およびLEM200によって画定される単一ユニットを含む。しかしながら、複数のユニットが、並列に配置されることができ、それは、集合的に「機関」と称され得る。機関ユニットが並列に動作するこのタイプのモジュール式配置は、機関のスケールがエンドユーザによって必要に応じて増加させられることを可能にするために使用され得る。加えて、全てのユニットが、同一サイズであること、同一条件(例えば、周波数、化学量論、またはブリージング)下で動作すること、または同時に動作することは必要ではない(例えば、1つまたはいくつかのユニットは、1つまたはいくつかの他のユニットが動作する間、無効にされ得る)。ユニットが並列で動作させられるとき、限定ではないが、ユニット間のガス交換、および/またはユニットのそれぞれのLEM間のフィードバック等、機関間の統合の潜在性が存在する。
【0027】
図5-7は、ガススプリングがピストンアセンブリの内側に統合され、LEMが燃焼シリンダから分離された統合型内部ガススプリングを特徴とするさらなる実施形態を例証する。図5-7に例証されるように、統合型内部ガススプリング(IIGS)アーキテクチャは、図2-3に例証される分離型LEMアーキテクチャを伴う統合型ガススプリングに長さが類似し得る。しかしながら、IIGSアーキテクチャは、完全統合型ガススプリングおよびLEMアーキテクチャ内でも起こる、ガススプリングに進入する燃焼区画からのブローバイガスに関する問題を排除し得る。
【0028】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、単一ピストン、統合型内部ガススプリング機関を例証する断面図である。燃焼区画130等の多くの構成要素は、先の実施形態(例えば、図1および2)における構成要素と類似し、適宜、標識化される。機関500は、シリンダ105の底部端に近接する燃焼区画130内の反応に応答して、シリンダ105内を移動するように寸法決定されるピストンアセンブリ520を伴うシリンダ105を備えている。ピストンアセンブリ520は、ピストン530と、ピストンシール535と、スプリングロッド545とを備えている。ピストンアセンブリ520は、シリンダ105内を自由に線形に移動する。例証される実施形態では、ピストンロッド545は、軸受560に沿って移動し、シリンダ105に固定されるピストンロッドシール555によってシールされる。シリンダ105は、空気、燃料、排気ガス、空気/燃料混合物、および/もしくは空気/排気ガス/燃料混合物の吸気、燃焼生産物の排気のための排気/噴射器ポート570、580、ならびに/または噴射器を含む。いくつかの実施形態は、図5に描写されるポートの全てを要求するわけではない。ポートの数およびタイプは、機関構成、噴射方策、およびピストンサイクル(例えば、2または4ストロークピストンサイクル)に依存する。
【0029】
例証される実施形態では、機関500はさらに、ピストンアセンブリ520の運動エネルギーを電気エネルギーに直接変換するための、LEM550(固定子210および磁石525を含む)を備えている。LEM550は、図2-4に関して上で説明されるLEM200と実質的に同一に動作するように構成され得ることを理解されたい。
【0030】
さらに図5を参照すると、ピストン530は、中実前面区画(燃焼器側)と、中空後面区画(ガススプリング側)とを備えている。ピストン530の前面とスプリングロッド545との間のピストンアセンブリ520の中空区画の内側のエリアは、ガススプリング160としての役割を果たし、圧縮ストロークを実施するために要求される仕事の少なくとも一部を提供するガスを備えている。ピストン530は、燃焼器区画130およびLEM550の固定子210内を線形に移動する。ピストンの運動は、一体軸受、油圧軸受、および/または空気軸受であり得る軸受560、565によって誘導される。例証される実施形態では、機関500は、外部軸受560および内部軸受565の両方を含む。特に、外部軸受560は、燃焼区画130とLEM550との間に位置し、内部軸受565は、ピストン530の中空区画の内側に位置する。外部軸受560は、外部から固定され、ピストン530と連動しない。内部軸受565は、ピストン530に固定され、スプリングロッド545に対して、ピストン530と連動する。
【0031】
継続して図5を参照すると、スプリングロッド545は、ガススプリング160のための1面としての役割を果たし、外部から固定される。スプリングロッド545は、ガススプリング区画160内にガスを保つ目的を果たす、その端部に、またはその近くに位置する少なくとも1つのシール585を有する。磁石525は、ピストンアセンブリ520の後面に取り付けられ、LEM550の固定子210内でピストンアセンブリ520とともに線形に移動する。ピストンアセンブリ520は、ガスをそれぞれの区画内に保つためのシールを有し得る。例証される実施形態は、(i)ガスが燃焼区画130から伝達しないように、その前端において、またはその近くでピストン530に固定される前面シール535と、(ii)シリンダ105に固定され、吸気ガスおよび/またはブローバイガスが周囲に伝達しないように保つ後面シール555とを含む。
【0032】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、ガススプリングロッドの実施形態を例証する断面図である。具体的には、スプリングロッド645は、中心管腔610を含み、中心管腔610は、ガススプリング区画160と、周囲と連通するリザーバ区画620との間で質量が伝達されることを可能にする。周囲との連通は、弁630を通して制御される。ガススプリング645内の質量は、本開示のいくつかの実施形態による、ガススプリング645内の圧力を制御するように調整され得る。
【0033】
図7は、本開示のいくつかの実施形態による、2ピストン、統合型内部ガススプリング機関を例証する断面図である。2ピストン実施形態の要素の殆どは、図5の単一ピストン実施形態のものと類似し、同様の要素が、適宜、標識化される。加えて、単一および2ピストン実施形態の動作特性は、線形交流機、ブリージング、燃焼方策等の全ての側面を含む、先の実施形態に説明されるものと類似する。
【0034】
上で説明されるように、駆動区画は、ガススプリングとして実装され得、当業者が理解するであろうような1つ以上の他の機構を含み得る。駆動区画の種々の実装が、図8-12を参照して以下に説明される。図8-12に例証される駆動区画および関連付けられる機構のいずれかが、図2-7に説明される自由ピストン機関または駆動区画を伴う任意の他の好適な自由ピストン機関において好適に実装され得ることが、当業者に理解されるであろう。
【0035】
図8は、本開示のいくつかの実施形態による、受動弁を伴う入口ポート(「受動入口ポート」と称される)を伴うガススプリングを例証する断面図である。図8に描写されるように、ガススプリング810は、ピストンアセンブリ820と接触する。いくつかの実施形態では、ピストンアセンブリ820は、図2-4に関して上で説明されるような燃焼区画と接触する自由ピストンアセンブリであり得ることを理解されたい。図2-4に描写される駆動区画に関して上で説明されるように、ガススプリング810は、エネルギーを貯蔵し、エネルギーを提供し、燃焼の使用を伴うことなくピストンアセンブリ820を変位させることが可能であり得る。例えば、エネルギーは、拡張ストローク中にピストンアセンブリ820によって、その中のガスの圧縮の結果としてガススプリング810内に貯蔵され得、貯蔵されたエネルギーは、ピストンアセンブリ820を変位させることにより、圧縮ストロークまたは排気ストローク等の後続ストロークを実施するために使用され得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、ガススプリング810の動作を調節することが、望ましくあり得る。例えば、いくつかの実施形態では、ガススプリングにガスを追加すること、またはそれからガスを除去することによって、ガススプリングの圧力を調節することが、望ましくあり得る。故に、図8に描写されるように、吸気マニホールド830が、入口ポート840を介してガススプリング810に補給ガス875を提供するように構成され得る。吸気マニホールド830は、空気コンプレッサ等の任意の好適な加圧ガス源に結合され得、該ガスの圧力は、任意の好適な技法および機構によって制御され得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、入口ポート840の開放および閉鎖は、受動弁850の動作によって決定づけられ得る。描写されるように、弁850は、機械的スプリング860に結合され得る。いくつかの実施形態では、弁850は、機械的スプリング860によって閉位置に付勢され得、ガススプリング810内のガスの圧力または吸気マニホールド830内のガスの圧力の変化に基づいて開位置に移動し得る。例えば、弁850は、弁850の後面852に加えられる力が、弁850の前面854に加えられる力を上回ると、開位置に移動し得る。後面852に加えられる力は、吸気マニホールド830内のガスの圧力、後面852の面積、機械的スプリング860に関連付けられるばね定数、および弁を閉位置から開位置に移動させるために要求される距離に依存し得、前面852に加えられる力は、ガススプリング810内のガスの圧力および前面854の面積に依存し得る。故に、いくつかの実施形態では、ガススプリング内のガスの圧力が、ある閾値を過ぎて最小まで減ると、機械的スプリング860は、「クラック」し、弁850を開位置に移動させ、ガススプリング810内のガスの圧力が、弁850を閉位置に戻るように移動させるために十分になるまで、補給ガス875が入口ポート840を通って流動することを可能にし得る。当業者が理解するであろうように、前面854および後面852の面積、機械的スプリング860のばね定数、ならびに弁を閉位置から開位置に移動させるために要求される距離は、上で説明されるように弁850を開放させ得る関連する「クラッキング圧力」を決定するように選択および/または設計され得る。図8に示される簡略化された機械的スプリングは、例証的であり、いくつかの実施形態では、限定ではないが、1つ以上の圧縮スプリング、引っ張りスプリング、トージョンスプリング、およびそれらの任意の組み合わせを含む任意の好適なスプリングまたは複数のスプリングが、その代わりに、またはそれに加えて使用され得ることを理解されたい。例えば、機械的スプリングは、1つ以上のコイルもしくは螺旋圧縮スプリング、1つ以上のコイルもしくは螺旋引っ張りスプリング、1つ以上のコイルもしくは螺旋トージョンスプリング、1つ以上のリーフスプリング、任意の他の好適なスプリング、およびそれらの任意の好適な組み合わせを含み得る。
【0037】
図9は、本開示のいくつかの実施形態による、能動弁を伴う入口ポート(「能動入口ポート」と称される)を伴うガススプリングを例証する断面図である。上で説明される図8と同様に、図9は、ピストンアセンブリ920と接触するガススプリング910を描写する。図8のピストンアセンブリ820に関して上で説明されるように、いくつかの実施形態では、ピストンアセンブリ920は、図2-4に関して上で説明されるような燃焼区画と接触する自由ピストンアセンブリであり得、ガススプリング910は、エネルギーを貯蔵し、エネルギーを提供し、燃焼の使用を伴うことなくピストンアセンブリ920を変位させることが可能であり得る。
【0038】
ガススプリング910は、上で説明されるガススプリング810と同様に動作し、吸気マニホールド930が、入口ポート940を介してガススプリング910に補給ガス975を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、入口ポート940の開放および閉鎖は、能動弁950の動作によって指示され得る。図8に描写される弁850に反して、弁950は、電気的アクチュエータ、機械的アクチュエータ、またはその両方を含む、任意の好適なアクチュエータによって加えられる力によって能動的に作動させられるように構成され得る。例えば、電気的アクチュエータが、コントローラに結合され得、それは、アクチュエータに弁950に対して力を加えるための制御信号を生成し、これを閉位置から開位置に、または開位置から閉位置に移動させ得る。いくつかの実施形態では、随意の機械的スプリング960が、弁950に結合され得、デフォルトで開位置または閉位置になるように弁を付勢し得る。
【0039】
図10は、本開示のいくつかの実施形態による、吸気ポートを伴うガススプリングを例証する断面図である。上で説明される図8および9と同様に、図10は、ピストンアセンブリ1020と接触する駆動区画またはガススプリング1010を描写する。図8のピストンアセンブリ820に関して上で説明されるように、いくつかの実施形態では、ピストンアセンブリ1020は、図2-4に関して上で説明されるような燃焼区画と接触する自由ピストンアセンブリであり得、ガススプリング1010は、エネルギーを貯蔵し、エネルギーを提供し、燃焼の使用を伴うことなくピストンアセンブリ1020を変位させることが可能であり得る。図10は、ガスをガススプリング1010に提供するために利用され得る入口ポート1030を描写する。入口ポート1030は、コンプレッサ等の任意の好適な加圧ガス源に結合され得、加圧ガスの圧力は、任意の好適な技法および機構によって制御され得ることを理解されたい。当業者によって理解されるであろうように、ガススプリング1010へのガスの流動は、入口ポート1030に提供されるガスの圧力を制御することによって制御され得る。例えば、いくつかの実施形態では、入口ポート1030に提供されるガスの圧力が、ガススプリング1010内のガスの圧力を上回る場合、ガスは、入口ポート1030を介してガススプリング1010に流入し得る。故に、いくつかの実施形態では、ガススプリング1010内のガスの圧力は、任意の好適な圧力センサによって検出され得、入口ポート1030を介して提供されるガスの圧力を制御することによって調節され得る。上で説明されるように、いくつかの実施形態では、駆動区画および燃焼区画、順に、入口ポート1030は、大気圧に、またはその近くに維持され得る。そのような実施形態では、ガスは、ピストンアセンブリ1020と周辺筐体との間の任意のクリアランスを過ぎて漏出する傾向にない可能性が高いであろうため、シール1040は、随意であり得ることを理解されたい。しかしながら、いくつかの実施形態では、駆動区画、燃焼区画、および入口ポート1030は、大気圧に、またはその近くに維持される必要はない。いくつかの実施形態では、例えば、入口ポートが実質的に大気圧を上回って維持される場合、シール1040は、ピストンアセンブリ1020と周辺筐体との間の任意のクリアランスを通って、ガスが駆動区画1010から離れ浪費されることを避けるために使用され得る。
【0040】
図11は、本開示のいくつかの実施形態による、調節可能ヘッドを伴うガススプリングを例証する断面図である。図10と同様に、図11は、ピストンアセンブリ1120と接触する駆動区画またはガススプリング1110、ガスをガススプリング1110に提供するために利用され得る入口ポート1130、およびガスが逃散することを避けるための随意のシール要素1160を描写する。図11はまた、調節可能ヘッド1140および対応するシール要素1150を描写する。いくつかの実施形態では、調節可能ヘッド1140は、ガススプリング1110の幾何学形状を変更するように構成され得る。例えば、調節可能ヘッド1140は、ガススプリング1110の死容積を増加または減少させるために、矢印によって示される方向に平行移動するか、または別様に延長もしくは後退し得る。調節可能ヘッド1140の平行移動、延長、後退、または他の好適な変形は、調節可能ヘッド1140に結合されるコントローラによって制御され得る。ガスがシール要素1150および/または随意のシール要素1160の使用によってガススプリング1110内に保たれる限り、死容積を制御することによって、ガススプリング1110内のガスの圧力も、制御され得ることを理解されたい。故に、調節可能ヘッド1140は、いくつかの実施形態による、ガススプリング1110の追加の制御および調節を可能にし得る。上で説明されるようなガススプリングの制御および調節は、ガススプリングの効果的なばね定数の制御を可能にし得ることを理解されたい。
【0041】
図12は、本開示のいくつかの実施形態による、調節可能構成要素を伴うガススプリングを例証する断面図である。図10および11と同様に、図12は、ピストンアセンブリ1220と接触するガススプリング1210、ガスをガススプリング1210に提供するために利用され得る入口ポート1230、およびガスが逃散することを避けるための随意のシール要素1250を描写する。図12はまた、調節可能構成要素1240を描写する。例証目的のために3つの構成要素として示されているが、任意の好適な数および構成の調節可能構成要素1240が、本開示の実施形態に従って使用され得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、調節可能構成要素1240は、ガススプリング1210の幾何学形状を変更するように構成され得る。例えば、調節可能構成要素1240は、ガススプリング1210の死容積を増加または減少させるために、矢印によって示される方向に平行移動するか、または別様に延長もしくは後退するように構成される、ねじ、ボルト、つまみ、または他の機械的構造であり得る。調節可能構成要素1240の平行移動、延長、後退、または他の好適な変形は、調節可能構成要素1240に結合されるコントローラによって制御され得る。死容積を制御することによって、ガススプリング1210内のガスの圧力も、制御され得ることを理解されたい。故に、調節可能構成要素1240は、いくつかの実施形態による、ガススプリング1210の追加の制御および調節を可能にし得る。上記に留意されるように、上で説明されるようなガススプリングの制御および調節は、ガススプリングの効果的なばね定数の制御を可能にし得ることを理解されたい。
【0042】
図13は、本開示のいくつかの実施形態による、自由ピストン機関の位置、力、および動力プロファイルを例証する、図である。示されるように、図は、圧縮ストロークおよび動力ストロークを含む2ストロークピストンサイクルを伴う自由ピストン機関に対して、例示的な位置1320、力1340、および動力1360の経時的なプロファイルを例証する。図13に標識化されるような位置プロファイル1320を参照すると、参照を目的として、正の方向は、TDCからBDCへの方向に対応する。例えば、図2-4の自由ピストンアセンブリでは、中心線は、起点に対応し、中心線から離れる方向は、各自由ピストンアセンブリに対して正の方向であろう。位置プロファイル1320によって分かり得るように、ピストンアセンブリは、BDCにおいて圧縮サイクルを開始し、TDCに進行し、その点において動力サイクルが、開始する。動力サイクル中、ピストンアセンブリは、BDCに戻るように進行する。
【0043】
力プロファイル1340を参照すると、力は、TDCからBDCへの方向に加えられるとき、正である。例えば、図2-4の自由ピストンアセンブリでは、中心線から離れる方向に加えられる力が、正の力であろう。力プロファイル1340において分かり得るように、圧縮サイクル中、比較的に一定の正の力が、ピストンアセンブリに加えられ得、動力サイクル中、力は、(中心線に向かう方向において)負であり得る。加えられる力は、一定である必要はなく、いくつかの実施形態では、可変力プロファイルが、例えば、比較的に一定の動力出力を生産するために加えられ得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、本明細書に描写されるように、力は、ピストンアセンブリ速度が比較的に低いとき、そのように行うことの非効率性に起因して、加えられない場合があることも理解されたい。
【0044】
動力出力は、ピストンアセンブリの力および速度の負の積である。動力プロファイル1360を具体的に参照すると、例証される理想的な場合、いかなる動力も、ピストンサイクルの圧縮および動力ストロークを実施するために、システムに入力される必要はないことが分かり得る。むしろ、上で説明されるように、理想的な場合、圧縮ストローク中にシステムへの追加のエネルギー入力を伴わずに後続圧縮ストロークを実施するために、十分なエネルギーが、動力ストローク中に少なくとも1つの駆動区画内に貯蔵される。
【0045】
理想的なシナリオでは、図13に関して説明されるように、圧縮および動力ストロークの動作中にどんな動力入力も回避することが望ましくあり得るが、いくつかの実施形態では、ある程度の動力入力を提供することが、必要であるか、または望ましくあり得る。故に、図14は、本開示のいくつかの実施形態による、自由ピストン機関の位置、力、および動力プロファイルを例証する別の図である。図13と同様に、図14は、圧縮ストロークおよび動力ストロークを含む2ストロークピストンサイクルを伴う自由ピストン機関に対して、例示的な位置1420、力1440、および動力1460の経時的なプロファイルを例証する。位置プロファイル1420は、概して、図13に例証される位置プロファイル1320のものと類似するが、力プロファイル1440および動力プロファイル1460は、図13に例証されるものと異なり得ることを理解されたい。圧縮ストローク中の力プロファイル1440を参照すると、1402において、力が、短い期間、にわたって、元々加えられたものと反対方向に加えられ得ることが分かり得る。これは、動力プロファイル1460においても反映され、同一の短い期間、にわたる動力入力を示す負の動力が、1404に見られ得る。この加力および動力入力は、いくつかの理由から起こり得るが、いくつかの実施形態では、これは、ピストンアセンブリの速度を制御するために、または別様に動力ストロークの前にピストンアセンブリが適切なTDCに到達することを確実にするために行われ得る。例えば、力が、ピストンアセンブリの速度を増加させるために加えられ得る。同様に、動力ストローク中の力プロファイル1440をさらに参照すると、1406において、力が、短い期間、にわたって動力ストロークの残りと反対方向に適用され得ることが分かり得、これは、動力プロファイル1460においても反映され、同一の短い期間、にわたる動力入力を示す負の動力が、1408に見られ得る。上で説明されるように、この加えられる力および入力される動力は、いくつかの理由から起こり得るが、いくつかの実施形態では、ピストンアセンブリの速度を制御するために、または別様に後続圧縮ストロークの前にピストンアセンブリが適切なBDC点に到達することを確実にするために、力が、このように加えられ、動力が、入力され得る。例えば、力が、上で説明されるように、ピストンアセンブリの速度を増加させるために加えられ得る。
【0046】
図14に関して説明される圧縮および/または動力ストローク中に入力される動力の提供は、必ずしも、理想的な動作ではないが、各ストロークにわたる正味電気エネルギー出力は、依然としてゼロを上回る(すなわち、いかなる正味電気エネルギー入力も各ストロークにわたって存在しない)ことを理解されたい。これは、動力プロファイル1460から明白であり、ゼロを下回る曲線の面積を減算されるゼロを上回る曲線の面積によって示される、各ストロークにわたる積分が、実質的にゼロを上回ることが分かり得る。故に、各ストロークにわたってシステムによって出力される電気エネルギーの量は、上で説明されるように、ピストンアセンブリ位置を制御するために入力される電気エネルギーを上回る。本明細書で使用される場合、「正味電気エネルギー」は、図2-4に関して上で説明されるもの等のLEMへの、またはそれからの電気エネルギー伝達を指す。いくつかの実施形態では、LEMは、電力電子機器(例えば、任意のDCバス、IGBT、および/または任意の他の好適な構成要素を含む)および/またはグリッドタイインバータに結合される固定子を含み得る。故に、いくつかの実施形態では、一部の電気エネルギーが、LEMに結合される電力電子機器および/またはグリッドタイインバータを介してLEMに入力され得るが、上で説明されるような所与のストロークにわたる正味電気エネルギーは、LEMから電力電子機器および/またはグリッドタイインバータに出力されるであろう。
【0047】
記載されるように、図2-4に関して上で説明される実施形態は、2ピストン、単一燃焼区画、2ストローク内燃機関100を含む。概して、自由ピストン燃焼機関に適用可能な制御システムが、以下に説明され、対応する図に例証される。故に、上で説明されるように、制御システムは、先に参照され、組み込まれた米国特許第8,662,029号に説明されるもの等の他の自由ピストン燃焼機関アーキテクチャに適用可能である。当業者によって理解されるであろうように、本開示の範囲から逸脱することなく、種々の修正および代替構成が、利用され得、他の変更が、成され得る。例えば、図2-4に関して上で説明される2ピストンアーキテクチャに加えて、本明細書に説明される制御システムは、例えば、単一ピストンアーキテクチャに適用可能である。同様に、図3に関して上で説明される2ストローク機関に加えて、本明細書に説明される制御システムはまた、例えば、4ストローク機関にも適用可能である。
【0048】
上記の開示から、駆動区画は、例えば、LEMからの拡張ストロークに続くストローク中の電気エネルギー入力または正味電気エネルギー入力のいずれの必要性も回避するように(例えば、制御回路として含め)構成され得ることを理解されたい。ある条件下のみに一致してエネルギー入力のためのLEMの使用を回避することと対照的に、いくつかの実施形態では、自由ピストン機関は、拡張ストロークに続いて起こるストローク(例えば、動力ストロークに続く圧縮ストローク)中の正味エネルギー入力を回避することを目的として特に構成され得る。いくつかの実施形態では、自由ピストン機関は、必然的に、拡張ストロークに続くストロークが正味電気エネルギー入力を伴わずに実施されるように特に構成され得る。
【0049】
図15は、本開示のいくつかの実施形態による、ピストン機関1540のための制御システム1510を有する例証的ピストン機関システム1500のブロック図である。ピストン機関1540は、例えば、図2-7に関して上で説明されるような任意の好適な自由ピストン機関であり得る。制御システム1510は、ピストン機関1540に結合される1つ以上のセンサ1530と通信し得る。制御システム1510は、ピストン機関1540の側面または特性を調節するために使用され得る、補助システム1520と通信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、2つ以上のピストン機関が、制御システム1510によって制御され得る。例えば、制御システム1510は、任意の数のピストン機関に対応する補助システムおよびセンサと通信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御システム1510は、ユーザインターフェースシステム1550を介してユーザと相互作用するように構成され得る。
【0050】
制御システム1510は、処理機器1512、通信インターフェース1514、センサインターフェース1516、制御インターフェース1518、任意の他の好適なコンポーネントもしくはモジュール、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。制御システム1510は、少なくとも部分的に、1つ以上の集積回路、ASIC、FPGA、マイクロコントローラ、DSP、コンピュータ、端末、制御ステーション、ハンドヘルドデバイス、モジュール、任意の他の好適なデバイス、またはそれらの任意の組み合わせにおいて実装され得る。いくつかの実施形態では、制御システム1510のコンポーネントは、図15に示されるように、個々の通信リンクまたは通信バス1511を介して、通信可能に結合され得る。処理機器1512は、センサインターフェース1516によってセンサ1530から受信されるようなピストン機関1540に関する情報を処理するように(例えば、ソフトウェアを使用して、またはハードワイヤードで)構成され得る、1つ以上のプロセッサ(例えば、中央処理ユニット)、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、任意の他の好適なハードウェアコンポーネント、またはそれらの任意の組み合わせ等の任意の好適な処理回路を含み得る。センサインターフェース1516は、センサ1530に電力を供給するための電力供給源、信号調整器、信号プレプロセッサ、任意の他の好適なコンポーネント、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。例えば、センサインターフェース1516は、センサ1530からの信号を調整ならびに事前処理するためのフィルタ、増幅器、サンプラ、およびアナログ/デジタルコンバータを含み得る。センサインターフェース1516は、(例えば、IEEE 802.3イーサネット(登録商標)またはユニバーサルシリアルバスインターフェースを使用する)有線接続、(例えば、IEEE 802.11「Wi-Fi」またはBluetooth(登録商標)を使用する)無線結合、光学結合、誘導結合、任意の他の好適な結合、またはそれらの任意の組み合わせであり得る通信結合1519を介して、センサ1530と通信し得る。制御システム1510、より具体的には、処理機器1512は、関連する時間スケールにわたってピストン機関1540の制御を提供するように構成され得る。例えば、1つ以上の温度の変化は、1つ以上の検出された機関動作特性に応答して制御可能であり得、制御は、ピストン機関の動作に関連する時間スケールで提供され得る(例えば、過熱および/もしくはコンポーネント故障を防止し、以下に説明されるような頂点制御を適正に提供し、診断イベントの場合にシャットダウンを可能にし、ならびに/または適正な負荷追跡のために十分に迅速な応答)。
【0051】
センサ1530は、ピストン機関1540の任意の好適な特性または側面を感知するように構成され得る任意の好適なタイプのセンサを含み得る。いくつかの実施形態では、センサは、補助システム1520のシステムの側面および/または特性を感知するように構成される1つ以上のセンサを含み得る。いくつかの実施形態では、センサ1530は、ピストン機関1540の構成要素、ピストン機関1540に導入される流体、もしくはそれから回収される流体、またはその両方の温度を感知するように構成される温度センサ(例えば、サーモカップル、抵抗温度検出器、サーミスタ、または光学温度センサ)を含み得る。いくつかの実施形態では、センサ1530は、ピストン機関1540の区画(例えば、燃焼区画またはガス駆動区画)内、ピストン機関1540に導入される、もしくはそれから回収される流体、またはその両方の圧力を感知するように構成される、1つ以上の圧力センサ(例えば、圧電式圧力トランスデューサ、歪みベース圧力トランスデューサ、またはガスイオン化センサ)を含み得る。いくつかの実施形態では、センサ1530は、(例えば、摩擦力もしくは他の関連する力情報、圧力情報、または加速度情報を示し得る)引っ張り力、圧縮力、または剪断力等のピストン機関1540内の力を感知するように構成される1つ以上の力センサ(例えば、圧電式力トランスデューサまたは歪みベース力トランスデューサ)を含み得る。いくつかの実施形態では、センサ1530は、電圧、電流、電力出力および/もしくは入力(例えば、電圧で乗算された電流)、ピストン機関1540および/もしくは補助システム1520の任意の他の好適な電気特性、またはそれらの任意の組み合わせを感知するように構成される、1つ以上の電流および/もしくは電圧センサ(例えば、ピストン機関1540のLEMに結合される電流計および/または電圧計)を含み得る。いくつかの実施形態では、センサ1530は、ピストンアセンブリおよび/もしくは機関の任意の他の構成要素の位置、ピストンアセンブリおよび/もしくは機関の任意の他の構成要素の速度、ピストンアセンブリおよび/もしくは機関の任意の他の構成要素の加速度、流量、酸素もしくは窒素酸化物放出レベル、他の放出レベル、ピストン機関1540および/もしくは補助システム1520の任意の他の好適な特性、またはそれらの任意の組み合わせを感知するように構成される、1つ以上のセンサを含み得る。
【0052】
制御インターフェース1518は、補助システム1520のうちの1つ以上のものと通信するための、有線接続、無線結合、光学結合、誘導結合、任意の他の好適な結合、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、制御インターフェース1518は、アナログ制御信号を補助システム1520のいずれかまたは全てに提供するために、デジタル/アナログコンバータを含み得る。
【0053】
補助システム1520は、冷却システム1522、圧力制御システム1524、ガス駆動制御システム1526、および/または任意の他の好適な制御システム1528を含み得る。冷却/加熱システム1522は、冷却、加熱、またはその両方をピストン機関1540に提供するために、ポンプ、流体リザーバ、圧力調整器、バイパス、ラジエータ、流体導管、電力回路(例えば、電気ヒータ用)、任意の他の好適な構成要素、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。圧力制御システム1524は、圧力制御された流体をピストン機関1540に供給する(および随意に受け取る)ために、ポンプ、コンプレッサ、流体リザーバ、圧力調整器、流体導管、任意の他の好適な構成要素、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。ガス駆動制御システム1526は、駆動ガスをピストン機関1540に供給(および随意に受容)するために、コンプレッサ、ガスリザーバ、圧力調整器、流体導管、任意の他の好適な構成要素、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、ガス駆動制御システムは、図5-9に関して上で説明されるガススプリング構成要素のいずれかを制御するために、任意の好適な構成要素を含み得る。いくつかの実施形態では、他のシステム1528は、酸化剤および/または燃料をピストン機関1540に供給するために、例えば、カム動作システムまたはソレノイドシステム等の弁システムを含み得る。
【0054】
ユーザインターフェース1515は、ユーザインターフェースシステム1550のうちの1つ以上のものと通信するための、有線接続、無線結合、光学結合、誘導結合、任意の他の好適な結合、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。ユーザインターフェースシステム1550は、ディスプレイ1552、入力デバイス1554、マウス1556、オーディオデバイス1558、ウェブサイト、モバイルアプリケーション、もしくは他のインターネットサービスを介してアクセスされる遠隔インターフェース、任意の他の好適なユーザインターフェースデバイス、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、遠隔インターフェースは、機関から遠隔にあるが、機関の現場に近接し得る。他の実施形態では、遠隔インターフェースは、機関および機関の現場の両方から遠隔にあり得る。ディスプレイ1552は、例えば、ブラウン管スクリーン、液晶ディスプレイスクリーン、発光ダイオードディスプレイスクリーン、プラズマディスプレイスクリーン、グラフィックス、テキスト、画像、もしくは他の映像をユーザに提供し得る任意の他の好適なディスプレイスクリーン、またはそれらのスクリーンの任意の組み合わせ等のディスプレイスクリーンを含み得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイ1552は、例えば、ディスプレイスクリーン上に1つ以上のソフトコマンドを提供することによって、ユーザとの触覚相互作用を提供し得る、タッチスクリーンを含み得る。ディスプレイ1552は、ピストン機関1540に関する任意の好適な情報(例えば、ピストン機関1540の特性の時系列)、制御システム1510、補助システム1520、ユーザインターフェースシステム1550、任意の他の好適な情報、またはそれらの任意の組み合わせを表示し得る。入力デバイス1554は、QWERTYキーボード、数値キーパッド、ハードコマンドボタンの任意の他の好適な集合、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。マウス1556は、ディスプレイスクリーン上に表示されるグラフィカルユーザインターフェース上のカーソルまたはアイコンを制御し得る、任意の好適なポインティングデバイスを含み得る。マウス1556は、ハンドヘルドデバイス(例えば、2または3次元で移動することが可能)、タッチパッド、任意の他の好適なポインティングデバイス、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。オーディオデバイス1558は、マイクロフォン、スピーカ、ヘッドフォン、オーディオ信号を提供および/もしくは受信するための任意の他の好適なデバイス、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。例えば、オーディオデバイス1558は、マイクロフォンを含み得、処理機器1512は、ユーザがマイクロフォンに発話することによって引き起こされる、ユーザインターフェース1515を介して受信されるオーディオコマンドを処理し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、制御システム1510は、制御を提供するために、1つ以上のユーザ入力を受信するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、制御システム1510は、センサフィードバックに基づいて制御設定を無効にし、ユーザインターフェースシステム1550への1つ以上のユーザ入力に応じて補助システム1520への制御信号を設定し得る。さらなる実施例では、ユーザは、1つ以上の制御変数(例えば、温度、圧力、流量、仕事入力/出力、または他の変数)に関する定点値を入力し得、制御システム1510は、定点値に基づいて制御アルゴリズムを実行し得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、動作特性(例えば、ピストン機関1540または補助システム1520の1つ以上の所望される特性値)は、製造者、ユーザ、またはその両方によって事前定義され得る。例えば、特定の動作特性が、処理機器1512のメモリ内に記憶され得、1つ以上の制御信号を提供するようにアクセスされ得る。いくつかの実施形態では、動作特性のうちの1つ以上のものは、ユーザによって変更され得る。制御システム1510は、それらの動作特性を維持、調節、または別様に管理するために使用され得る。
【0057】
上で説明されるように、いくつかの実装では、駆動区画は、機関の拡張ストローク中に特定の量のエネルギーを貯蔵するように構成され得る。いくつかの実施形態では、上で説明されるように、駆動区画は、後続ストローク、すなわち、拡張ストロークの後に起こるストロークのために要求されるエネルギーを提供するために十分なエネルギーを拡張中に貯蔵するように構成され得る。例えば、2ストロークサイクルを伴う機関では、駆動区画は、後続圧縮ストロークのために要求されるエネルギーを提供するために十分なエネルギーを拡張中に貯蔵するように構成され得る。4ストロークサイクルを伴う機関では、例えば、駆動区画は、後続排気ストロークのために要求されるエネルギーを提供するために十分なエネルギーを拡張ストローク中に貯蔵するように構成され得る。いくつかの実施形態では、駆動区画は、後続ストロークのために要求される量を上回って貯蔵するように構成され得る。いくつかの実施形態では、駆動区画内に貯蔵される過剰な量のエネルギーまたは過剰な量のエネルギーの一部は、1つ以上のLEMによって、後続ストローク中に電気エネルギーに変換され得る。例えば、1つ以上のLEMは、ピストンアセンブリの運動エネルギーの一部を電気エネルギーに変換することによって、自由ピストン燃焼機関の動力ストローク中に仕事を抽出するように構成され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のLEMはさらに、自由ピストン燃焼機関の圧縮ストローク中に駆動区画によって提供される仕事の少なくとも一部を抽出するように構成され得る。つまり、拡張ストローク中に駆動区画内に貯蔵された位置エネルギーは、後続ストローク中にピストンアセンブリの運動エネルギーに変換される。この運動エネルギーの少なくとも一部は、後続ストローク中に1つ以上のLEMによって電気エネルギーに変換され得る。上で説明されるように、LEMが拡張ストロークおよび後続ストローク中に電気エネルギーを抽出するように構成される場合、それらは、サイズおよび/または重量を低減させられ、それによって、材料重量およびコストを節約し得ることを理解されたい。
【0058】
いくつかの実装では、駆動区画内に貯蔵されるエネルギーならびにLEMによって抽出されるエネルギーの量および様式は、例えば、制御システム1510によって制御され得る。例えば、センサ1510は、ピストンアセンブリの位置、ピストンアセンブリの速度、ピストンアセンブリの加速度、燃焼区画内の圧力、燃焼区画の温度、燃焼区画の位置エネルギー、燃焼区画内の化学的エネルギー、駆動区画内の圧力(例えば、駆動ガスの圧力または上で説明されるような駆動区画として使用されるスプリングの圧力)、駆動区画の位置エネルギー(例えば、駆動ガスの位置エネルギーまたは上で説明されるような駆動区画として使用されるスプリングの力)、駆動区画内のガスの温度、電気出力、燃焼器もしくは駆動区画の指示される仕事、電気効率、燃焼器もしくは駆動区画の指示される効率、LEM(例えば、固定子または磁石)の温度、燃焼器空気流量、燃焼器燃料流量、駆動区画補給空気流量、ピストンアセンブリの温度、以前のサイクル性能、環境温度および圧力(例えば、機関を囲繞する面積の温度および圧力)、放出特性、任意の他の好適な特性、またはそれらの任意の好適な組み合わせ等、自由ピストン燃焼機関の任意の1つ以上の動作特性を測定するために使用され得る。センサインターフェース1516を使用して、制御システム1510は、処理機器1512に入力されるべき、感知された1つ以上の特性を示す1つ以上の信号を生成し得る。
【0059】
処理機器1512は、少なくとも部分的に、センサ1530およびセンサインターフェース1516から受信された信号に基づいて、1つ以上の制御信号を生成し得る。いくつかの実施形態では、処理機器1512は、センサ1530およびセンサインターフェース1516から受信された信号に基づいて、所与のピストンストロークのために要求されるエネルギーの量を決定し得、制御信号は、位置エネルギーとして駆動区画内に貯蔵されるべきピストンアセンブリの運動エネルギーの量を制御するために、処理機器1512によって使用され得る。処理機器1512はまた、ピストンアセンブリの運動エネルギーをどの程度電気エネルギーに変換するかを決定し、任意の好適な制御機構を使用してその変換を起こさせ得る。本明細書で使用される場合、用語「制御機構」は、前述の動作特性のいずれかおよびそれらの任意の好適な組み合わせを制御し、所望される結果を取得するための任意の好適なソフトウェア、ハードウェア、および技法を指し得る。例えば、1つ以上の制御信号は、処理機器1512によって必要であると決定された後続ストロークのための必要エネルギーを駆動区画内に貯蔵するために、機関の動作特性を制御し得る。例えば、1つ以上の制御信号は、ピストンアセンブリの運動エネルギーの所望される量が機関の拡張ストローク中に駆動区画内に貯蔵されるようにし、続けて、ピストンアセンブリの運動エネルギーの所望される量がLEMによって電気エネルギーに変換されるようにするために、機関の動作特性を制御し得る。上で説明されるように、後続ストローク(例えば、圧縮ストロークまたは排気ストロークのいずれか)のために要求されるエネルギーの量は、所望される圧縮比、後続ストロークの開始時の燃焼区画の圧力および温度、ピストンアセンブリの質量、所望される燃焼タイミング、気圧、周囲温度、ならびに他の機関に関して所望されるフェージング特性に依存し得る。電気エネルギーに変換されるべき運動エネルギーの量は、拡張ストローク中に駆動区画内に貯蔵される量と、後続ストロークのために必要とされる量との間の差異に基づいて決定され得、それは、少なくとも部分的に、機関に関連付けられる所望されるパラメータに依存し得る。いくつかの実施形態では、電気エネルギーに変換されるべき運動エネルギーの量は、機関からの所望される動力出力、機関からの所望される放出出力、機関の所望される効率、所望される負荷追跡、任意の他の所望されるパラメータ、またはそれらの任意の好適な組み合わせに基づいて決定され得る。例えば、駆動区画がより非効率的になる場合、動力ストローク中に電気エネルギーに変換される運動エネルギーの量は、増加させられ得、圧縮ストローク中に電気エネルギーに変換される運動エネルギーの量は、減少させられ得る。代替として、例えば、駆動区画がより効率的になる場合、動力ストローク中に電気エネルギーに変換される運動エネルギーの量は、減少させられ得、後続ストローク中に電気エネルギーに変換される運動エネルギーの量は、増加させられ得る。
【0060】
電気エネルギーに変換するピストンアセンブリの運動エネルギーの量を制御することに加えて、制御信号は、LEMが運動エネルギーを電気エネルギーに変換する様式を制御するためにも使用され得る。例えば、制御信号は、変換を、一定速度、非一定速度、可変速度、またはそれらの任意の組み合わせにおけるいずれかの方向で起こさせ得る。
【0061】
いくつかの実装では、自由ピストン燃焼機関の1つ以上のパラメータが、機関の圧縮ストローク中に抽出する仕事の量を決定するために、処理機器1512によって使用され得る。いくつかの実施形態では、所望されるパラメータは、ユーザインターフェースシステム1550を介してユーザによって入力され得る。例えば、ユーザは、ユーザインターフェースシステム1550を介して、自由ピストン燃焼機関に対して所望される動力出力を入力し得る。他の実施形態では、所望されるパラメータが、通信インターフェース1514を介して外部デバイスから受信され得る。例えば、所望される動力出力が、履歴動力要件、将来的に予測される動力要件、またはそれらの任意の好適な組み合わせに基づいて、所望される動力出力を示す外部デバイスから受信され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、処理機器1512は、パラメータと1つ以上の動作特性との間の任意の好適な関係に基づいて、所望されるパラメータをもたらす機関の1つ以上の動作特性を決定し得る。例えば、処理機器1512は、所望される動力出力および動作特性と所望される動力出力との関係に基づいて、ピストンの速度、加速度、または他の動作特性を決定し得る。処理機器1512は、次いで、処理機器1512によって決定される動作特性を生成するために要求される圧縮仕事の量を決定し得る。要求される圧縮仕事の量に基づいて、処理機器1512は、機関の圧縮ストローク中に好適な量の仕事を抽出するように機関を制御し得、それによって、ピストンに作用する残りの圧縮仕事は、所望される動作特性または複数の特性をもたらし、それは、ひいては、所望される動力出力をもたらすであろう。実施形態は、所望される動力出力の観点から上で説明されているが、上で説明されるように、処理機器は、所望される効率、所望される放出出力、所望される負荷追跡、または機関の任意の他の好適なパラメータに基づいて、機関の動作特性を最適化し得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、前述の仕事抽出、機関パラメータ、および動作特性は、制御システム1510によって制御されるいくつかのピストン機関の間で調整され得る。例えば、1つのピストン機関の運動エネルギーが、電気エネルギーに変換され得、結果として生じる電気エネルギーは、所望される機関パラメータ、対応する動作特性、ならびに圧縮および/または排気ストロークのために要求される仕事の量に基づいて、別のピストン機関の運動エネルギーに変換され得る。
【0064】
実施形態は、自由ピストン燃焼機関の圧縮ストロークまたは排気ストローク中の仕事抽出の観点から上で説明されているが、いくつかの実施形態では、運動エネルギーから電気エネルギーおよび電気エネルギーから運動エネルギーへの変換は、制御システム1510によってより一般的に適用され得ることが、当業者によって容易に理解されるであろう。いくつかの実施形態では、ピストンの運動エネルギーは、機関のストロークまたはサイクルに関係なく、機関の動作中に連続的に電気エネルギーに変換され得る。いくつかの実施形態では、ピストンアセンブリの運動エネルギーは、機関のストロークまたはサイクルに関係なく、機関の動作中に連続的に電気エネルギーに変換され得る。他の実施形態では、制御システム1510は、任意の所望される機関パラメータまたは動作特性に基づいて、任意の所望または要求される仕事抽出に関係なく、機関の1つ以上のピストンアセンブリに対して恣意的な力を加え得る。例えば、制御システム1510は、ピストンを同期させるために、2つのピストンに対して力を加えるように機関の動作特性を制御し得、その結果、それらは、実質的に同時にTDCおよび/またはBDCに到達する。別の実施例として、制御システム1510は、別個の機関を段階的に実行するために、ピストンに対して力を加えるように機関の動作特性を制御し得、その結果、それらは、同一の機関サイクルにおいて同時に動作せず、より連続的な動力フローを提供する。別の実施例として、制御システム1510は、ピストンの所望される頂点を取得するように機関の動作特性を制御し得る。
【0065】
図16は、本開示のいくつかの実施形態による、自由ピストン機関を制御するための例証的ステップのフロー図1600を示す。前述のステップは、図2-12に関して上で説明されるような任意の好適な自由ピストン機関および/もしくは自由ピストン機関システムもしくはその構成要素、または任意の他の好適な自由ピストン機関もしくは自由ピストン機関システムを用いて実装され得ることを理解されたい。
【0066】
ステップ1602は、センサから機関動作特性を受信することを含む。いくつかの実施形態では、機関動作特性は、図15に関して上で説明されるようなセンサインターフェース1216を介して、センサ1530から処理機器1512またはその任意の処理回路によって受信され得る。いくつかの実施形態では、機関動作特性は、上で説明される動作特性のいずれかまたはそれらの任意の好適な組み合わせを含み得る。例えば、処理機器1512は、圧縮比、燃焼区画の圧力および温度、ならびにピストンアセンブリの質量を受信し得る。いくつかの実施形態では、処理機器1512は、上で説明されるようなセンサインターフェース1516を介して、センサ1530から、ピストンアセンブリの運動エネルギーに関する情報を提供する機関動作特性を受信し得る。いくつかの実施形態では、処理機器1512は、上で説明されるようなセンサインターフェース1516を介して、センサ1530から、駆動区画内に貯蔵され得るエネルギーの量に関する情報を提供する機関動作特性を受信し得る。
【0067】
ステップ1604は、ステップ1602において受信された動作特性に基づいて、少なくとも1つの制御信号を生成することを含む。いくつかの実施形態では、処理機器1512またはその任意の処理回路は、ステップ1602において受信された動作特性に基づいて、1つ以上の制御信号を生成し得る。例えば、処理機器1512は、ピストンサイクルの後続ストロークを実施するために駆動区画内に必要量のエネルギーを貯蔵するために要求される、図15に関して上記に議論されるピストン機関1540の側面または特性のいずれかを調節するために使用可能な制御信号を生成し得る。いくつかの実施形態では、処理機器1512またはその任意の処理回路は、ピストンサイクルの後続ストロークにわたる正味電気エネルギー入力を回避するために、ピストン機関1540の駆動区画に、ピストンサイクルの拡張ストローク中に十分な量のエネルギーを貯蔵させるために、制御信号を生成し得る。いくつかの実施形態では、処理機器1512またはその任意の処理回路は、必然的に、ピストン機関1540の駆動区画に、後続ストロークにわたる正味電気エネルギー入力を伴わずにピストンサイクルの後続ストロークを実施するために、ピストンサイクルの拡張ストローク中に十分な量のエネルギーを貯蔵させる制御信号を生成し得る。いくつかの実施形態では、後続ストロークは、圧縮ストロークを含み得る。いくつかの実施形態では、後続ストロークは、排気ストロークを含み得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、処理機器は、上で説明される動作特性のいずれかを受信し、ステップ1602および1604において、経時的な動作特性の変化を考慮する様式で制御信号を生成し得る。例えば、処理機器は、経時的にピストンアセンブリの位置、速度、および/または加速度を受信し、制御信号を生成し、適宜、動作特性を調節し得る。いくつかの実施形態では、処理機器は、周期ベースで、上で説明されるようなセンサインターフェース1516を介して、センサ1530から、ピストンアセンブリの運動エネルギーに関する情報を提供する機関動作特性を受信し、適宜、更新された制御信号を生成し得る。いくつかの実施形態では、処理機器は、周期ベースで、上で説明されるようなセンサインターフェース1516を介して、センサ1530から、駆動区画内に貯蔵され得るエネルギーの量に関する情報を提供する機関動作特性を受信し、適宜、更新された制御信号を決定し得る。いくつかの実施形態では、関連する動作特性が、受信され得、制御信号が、任意の好適な周波数において生成され得、したがって、経時的な動作特性の変化が、後続ストロークが起こる前に考慮されることができる。例えば、動作特性の受信および分析が、ストロークあたり複数回の動作特性の評価を可能にする周波数(例えば、100Hz~100khz)において起こり得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、処理機器は、ステップ1604において制御信号のいずれかを生成することにおいて、エネルギー貯蔵および変換プロセスにおいて起こることが予期される損失を考慮し得る。例えば、処理機器は、既知または予測可能な摩擦損失、熱損失、もしくはエネルギー貯蔵および/もしくは変換に関連付けられる任意の他の好適な損失に基づいて、後続ストロークのために要求されるエネルギーの量または駆動区画内に貯蔵されるべき量を決定し得る。いくつかの実施形態では、処理機器は、ステップ1604において制御信号のいずれかを生成することにおいて、予期せぬ損失を可能にし得る。例えば、プロセッサは、後続ストロークのために要求されるエネルギーの量を決定するとき、後続ストロークの実施中の予期せぬ損失を考慮するために、バッファ量のエネルギーを追加し得る。別の例として、プロセッサは、拡張ストローク中に駆動区画内に貯蔵されるべきエネルギーの量を決定するとき、拡張ストローク中の駆動区画内のエネルギーの貯蔵中の予期せぬ損失を考慮するために、バッファ量のエネルギーを追加し得る。
【0070】
ステップ1606は、ステップ1604において生成された制御信号のうちの1つ以上のものに基づいて、ある量のエネルギーが拡張ストローク中に駆動区画内に貯蔵されるようにすることを含む。いくつかの実施形態では、処理機器1512またはその任意の処理回路は、ピストン機関1540の側面または特性を調節するために、制御インターフェース1518を介して、制御信号を補助システム1520のいずれかに通信し得、それによって、必要量のエネルギーが、拡張ストローク中に駆動区画内に貯蔵される。例えば、制御信号は、拡張ストローク中にある量のエネルギーを駆動区画内に貯蔵するために、入口ガスポートを介して駆動区画にガスを追加または除去するようにガス駆動制御システム1526に命令することによって、駆動区画の圧力を調節するように作用し得る。いくつかの実施形態では、制御信号は、補助システム1520のいずれかの設定を調節することによって、シリンダの死容積を調節するように作用し得る。いくつかの実施形態では、制御信号は、図8-12に関して上で説明される機構のいずれかを使用して、ガススプリングの任意の好適な特性を調節するように作用し得る。いくつかの実施形態では、ステップ1504および1506に関して上で説明されるように、処理機器は、制御信号を生成し、任意の好適な周波数でピストン機関および/またはその補助システムと通信し得、それによって、経時的な動作特性の変化が、後続ストロークが起こる前に考慮されることができる。例えば、処理機器は、ストロークあたり複数回、制御信号を生成し、ピストンと通信し、変化する動作特性への応答を確実にし得る。
【0071】
ステップ1608は、ステップ1604において生成された制御信号のうちの1つ以上のものに基づいて、ピストンアセンブリのある量の運動エネルギーが電気エネルギーに変換されるようにすることを含む。いくつかの実施形態では、処理機器1512またはその任意の処理回路は、電気エネルギーに変換する少なくとも1つの自由ピストンアセンブリの運動エネルギーの量を決定し得、それに基づいて、少なくとも1つのLEMに、少なくとも1つの自由ピストンアセンブリの運動エネルギーのある量を電気エネルギーに変換させ得る。いくつかの実施形態では、処理機器1512は、少なくとも1つのLEMに、少なくとも1つの自由ピストンアセンブリの運動エネルギーのある量をピストンサイクルの拡張ストローク中に電気エネルギーに直接変換させ得る。いくつかの実施形態では、処理機器1512の1つ以上のプロセッサは、少なくとも1つのLEMに、少なくとも1つの自由ピストンアセンブリの運動エネルギーをピストンサイクルの後続ストローク中に電気エネルギーに変換させ得る。例えば、処理機器1512は、少なくとも1つのLEMに、少なくとも1つの自由ピストンアセンブリの運動エネルギーを、拡張ストローク中、圧縮ストローク中、排気ストローク中、吸気ストローク中、またはそれらの任意の組み合わせのいずれかに電気エネルギーに変換させ得る。例えば、処理機器1512の1つ以上のプロセッサは、少なくとも1つのLEMに、ピストンサイクルの拡張ストローク中および後続ストローク中の両方に、少なくとも1つの自由ピストンアセンブリの同一量の運動エネルギーを電気エネルギーに変換させ得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのLEMによって電気エネルギーに変換される運動エネルギーの量は、それが自由ピストン機関の合計出力動力の少なくとも事前決定された最小パーセンテージを占めるように決定され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのLEMによって電気エネルギーに変換される運動エネルギーの量は、機関効率、機関動力出力、および機関放出のうちの少なくとも1つを最大化するために決定され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのLEMによって電気エネルギーに変換される運動エネルギーの量は、ステップ1606において貯蔵されるエネルギーの第1の量と、後続ストロークのために要求されるエネルギーの量との間の差異に基づき得る。例えば、ステップ1606において貯蔵されるエネルギーの量が、後続ストロークのために要求されるエネルギーの量を超過する場合、少なくとも1つのLEMによって電気エネルギーに変換される運動エネルギーの量は、超過の貯蔵された量と等しいか、または別様にそれに基づき得る。
【0072】
ステップ1610は、拡張ストロークに続く後続ストロークが正味電気エネルギー入力を伴わずに実施されるようにすることを含む。いくつかの実施形態では、拡張ストローク中に駆動区画内に貯蔵されるエネルギーは、後続ストロークのために要求されるエネルギーの少なくとも一部を提供し得る。いくつかの実施形態では、拡張ストローク中に駆動区画内に貯蔵されるエネルギーは、後続ストロークのために要求されるエネルギーの全てを提供し得、それによって、いかなる電気エネルギー入力も、後続ストロークのために必要とされない。いくつかの実施形態では、一部の電気エネルギーが、後続ストローク中に入力され得るが、後続ストロークにわたる正味電気入力に相当するほどではない。例えば、図14に関して上で説明されるように、エネルギーは、ピストンアセンブリの速度を増加させるために、または別様にピストンアセンブリが所望される位置に到達することを確実にするために入力され得る。いくつかの実施形態では、後続ストロークは、圧縮ストロークであり得る。いくつかの実施形態では、後続ストロークは、排気ストロークであり得る。
【0073】
図16に示されるように、ステップ1602-1610は、各ピストンサイクルに対して繰り返され得る。いくつかの実施形態では、ステップ1602-1610のいずれかまたは全ては、ピストンサイクルの連続回数にわたって各ピストンサイクルに対して繰り返され得、その結果、機関は、正味電気エネルギー入力を伴わずにピストンサイクルの連続回数にわたり連続的に動作する。例えば、機関の始動のためにLEMから電気入力を受電した後、ステップ1602-1610は、ピストンサイクルの連続回数にわたって各ピストンサイクルに対して繰り返され、ピストンサイクルの連続回数中にLEMからの任意のさらなる入力を回避するために十分なエネルギーを各拡張ストローク中に駆動区画内に貯蔵し得る。いくつかの実施形態では、ステップ1602-1610は、動作条件が連続的にチェックされ、貯蔵および/または変換されるべき種々の量のエネルギーが連続的に更新されるように繰り返され、いかなる外部電気エネルギー入力も必要とされないことを確実にし得る。
【0074】
処理機器は、駆動区画内に貯蔵されるべきエネルギーの量に対応する値を決定することが可能であるが、いくつかの場合、実際に貯蔵される量は、不測の機関損失、許容誤差、環境要因、または任意の他の好適な条件に起因して、必ずしも決定されたものではない場合があることを理解されたい。しかしながら、実際の貯蔵される量は、計算された値に十分に近く、その結果、機関の動作は、あるとしても最小限に影響を受けるのみであろうことが予期される。上で説明されるように、いくつかの実施形態では、処理機器は、貯蔵されるべき種々の量のエネルギーにバッファを含めることによって、これらの未知の損失または他の好適な条件を考慮し得る。
【0075】
参照を容易にするために、図は、同じ参照番号を用いて標識化される複数の構成要素を示し得る。これは、必ずしも、同じように標識化される複数の構成要素が、互いに同じであることを示すわけではないことを理解されたい。例えば、125と標識化されるピストンは、異なるサイズ、幾何学形状、材料、任意の他の好適な特性、またはそれらの任意の組み合わせを有し得る。
【0076】
前述は、単に、本開示の原理の例証であり、種々の修正が、本開示の範囲から逸脱することなく当業者によって成され得る。上で説明される実施形態は、限定ではなく、例証を目的として提示される。本開示はまた、本明細書に明示的に説明されるもの以外の多くの形態をとることができる。故に、本開示は、明示的に開示される方法、システム、および装置に限定されず、以下の請求項の精神内である、それらの変形例および修正を含むことが意図されることを強調しておきたい。
図1
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