(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-31
(45)【発行日】2023-09-08
(54)【発明の名称】二次電池及び当該二次電池を備える装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0567 20100101AFI20230901BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20230901BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20230901BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20230901BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20230901BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20230901BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20230901BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20230901BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M10/052
H01M4/38 Z
H01M4/48
H01M4/36 E
H01M4/587
H01M4/525
H01M4/505
(21)【出願番号】P 2022520407
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(86)【国際出願番号】 CN2019127982
(87)【国際公開番号】W WO2021128000
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-04-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】▲韓▼昌隆
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼▲則▼利
(72)【発明者】
【氏名】付成▲華▼
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-225522(JP,A)
【文献】特開2013-134859(JP,A)
【文献】特開2012-199172(JP,A)
【文献】国際公開第2016/056361(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106099171(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110061176(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池(5)であって、
負極集電体と、負極集電体の少なくとも一つの表面に設けられ且つ負極活性材料を含有する負極フィルムと、を有する負極シートと、
電解質塩、有機溶媒及び添加剤を有する電解液と、
を含み、
前記負極活性材料は、ケイ素系材料を有し、
前記添加剤は、添加剤A及び添加剤Bを有し、
前記添加剤Aは、下記の化合物から選択される1種類又は複数種類であり、
[化合物1-1]
[化合物1-2]
[化合物1-3]
[化合物1-4]
前記添加剤Bの融点は、5℃以下であり、
前記添加剤Bは、アジポニトリル、グルタルジニトリル、2-メチルグルタルジニトリル、1,2-ビス(2-シアノエトキシ)エタン、1,4-ビス(2-シアノエトキシ)ブタンから選択される1種類又は複数種類である、
二次電池(5)。
【請求項2】
前記添加剤Bは、アジポニトリル、1,2-ビス(2-シアノエトキシ)エタンから選択される1種類又は複数種類である、
請求項1に記載の二次電池(5)。
【請求項3】
前記電解液における前記添加剤Aの質量占有率は、2%以下で
ある、
請求項1又は2に記載の二次電池(5)。
【請求項4】
前記電解液における前記添加剤Bの質量占有率は、5%以下で
ある、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二次電池(5)。
【請求項5】
前記添加剤は、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ビニルサルフェート(DTD)、1,3-プロパンスルトン(PS)、1,3-プロペニル-スルトン(PST)のうちの1種類又は複数種類をさらに含む、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の二次電池(5)。
【請求項6】
前記二次電池(5)は、正極シートをさらに含み、前記正極シートは、正極集電体と、正極集電体の少なくとも一つの表面に設けられ且つ正極活性材料を含有する正極フィルムと、を有し、
前記正極活性材料は、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、遷移金属リン酸塩のうちの1種類又は複数種類を
含む、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の二次電池(5)。
【請求項7】
前記ケイ素系材料は、ケイ素単体、ケイ素酸素化合物、ケイ素炭素複合体、ケイ素窒素複合体、ケイ素合金のうちの1種類又は複数種類を
含む、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の二次電池(5)。
【請求項8】
前記負極活性材料は、炭素材料をさらに含み、前記炭素材料は、人造黒鉛、天然黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボンから選択される1種類又は複数種類で
ある、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の二次電池(5)。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の二次電池(5)を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池の技術分野に関し、特に、二次電池及び当該二次電池を備える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
急速に発展する情報時代において、携帯電話、ノートパソコン、カメラ等の電子製品に対する人々のニーズは年々増加している。電子製品の動作電源として、エネルギー密度が高く、記憶効果がなく、動作電圧が高い等の特徴を有する二次電池は、従来のNi-Cd、MH-Ni電池を徐々に置き換えている。しかしながら、電子製品市場のニーズの拡大及び動力・エネルギー貯蔵設備の発展に伴い、二次電池に対する要求が高まっており、高エネルギー密度を有する二次電池の開発が急務となっている。二次電池の負極活性材料として高い比容量のケイ素系材料を用いると、二次電池のエネルギー密度を効果的に向上させることができるが、ケイ素系材料を用いる電池は、電気化学的性能が一般的に悪い。
【0003】
そのため、高いエネルギー密度を有し、良好な電気化学的性能を両立できる二次電池の開発が急務となっている。
【発明の概要】
【0004】
本願は、背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、良好な高温サイクル性能、高温貯蔵性能及び低温放電性能を両立できる二次電池及び当該二次電池を備える装置の提供を目的とする。
【0005】
上記目的を達成するために、本願の第1の態様は、二次電池を提供し、前記二次電池は、
負極集電体と、負極集電体の少なくとも一つの表面に設けられ且つ負極活性材料を含有する負極フィルムと、を有する負極シートと、
電解質塩、有機溶媒及び添加剤を有する電解液と、
を含み、
前記負極活性材料は、ケイ素系材料を有し、
前記添加剤は、添加剤A及び添加剤Bを有し、
前記添加剤Aは、式1で表される化合物から選択される1種類又は複数種類であり、
[式1]
ここで、R
1は、C2~C4のアルキレン基、C2~C4のハロアルキレン基、C2~C4のアルケニレン基、C2~C4のハロアルケニレン基、C6~C18のアリーレン基、C6~C18のハロアリーレン基から選択される1種類又は複数種類であり、
前記添加剤Bは、式2で表される化合物から選択される1種類又は複数種類であり、
[式2]
ここで、R
2は、C1~C20のアルキレン基、C1~C20のハロアルキレン基、C1~C20のアルキレンオキシ基、C1~C20のハロアルキレンオキシ基、C1~C20のアルケニレン基、C1~C20のハロアルケニレン基から選択される1種類又は複数種類であり、
前記添加剤Bの融点は、5℃以下である。
【0006】
本願の第2の態様は、本願の第1の態様に記載の二次電池を備える装置を提供する。
【0007】
本願は、少なくとも以下のような効果を含む。
本願の二次電池は、負極シートがケイ素系材料を含み、電解液が添加剤Aと添加剤Bとを同時に含み、添加剤Bの融点が5℃以下であり、その相乗効果により、二次電池は良好な高温サイクル性能、高温貯蔵性能、及び低温放電性能を両立させることができる。本願の装置は、前記の二次電池を含むので、少なくとも二次電池と同じ利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、二次電池の一実施形態の模式図である。
【
図2】
図2は、電池モジュールの一実施形態の模式図である。
【
図3】
図3は、電池パックの一実施形態の模式図である。
【
図5】
図5は、二次電池が電源として用いられる装置の一実施形態の模式図である。
【0009】
なお、符号の説明は、以下の通りである。
1 電池パック、
2 上部筐体、
3 下部筐体、
4 電池モジュール、
5 二次電池。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願に係る二次電池及び装置を詳細に説明する。
【0011】
まず、本願の第1の態様に係る二次電池を説明する。
【0012】
本願の第1の態様に係る二次電池は、負極シート及び電解質を有し、前記負極シートは、負極集電体と、負極集電体の少なくとも一つの表面に設けられ且つ負極活性材料を含有する負極フィルムと、を含み、前記負極活性材料は、ケイ素系材料を有し、前記電解液は、電解質塩、有機溶媒及び添加剤を有する。前記添加剤は、添加剤A及び添加剤Bを含み、前記添加剤Aは、式1で表される化合物から選択される1種類又は複数種類であり、
[式1]
ここで、R
1は、C2~C4のアルキレン基、C2~C4のハロアルキレン基、C2~C4のアルケニレン基、C2~C4のハロアルケニレン基、C6~C18のアリーレン基、C6~C18のハロアリーレン基から選択される1種類又は複数種類であり、前記添加剤Bは、式2で表される化合物から選択される1種類又は複数種類であり、
[式2]
ここで、R
2は、C1~C20のアルキレン基、C1~C20のハロアルキレン基、C1~C20のアルキレンオキシ基、C1~C20のハロアルキレンオキシ基、C1~C20のアルケニレン基、C1~C20のハロアルケニレン基から選択される1種類又は複数種類であり、前記添加剤Bの融点は、5℃以下である。
【0013】
好ましくは、ハロゲン元素は、F、Cl、Br、Iから選択される1種類又は複数種類であってよい。
【0014】
本発明者らは、式1で表される添加剤が、ケイ素系材料の表面に緻密で均一なパッシベーション膜を形成することができ、電解液溶媒とケイ素系材料との直接接触を効果的に阻止することができ、負極の表面での電解液溶媒の副反応を減らし、ひいては二次電池のガス発生を減らし、二次電池の高温貯蔵性能を改善できるが、式1で表される添加剤により負極の表面で形成されたパッシベーション膜の成膜抵抗が大きく、電池のサイクル性能に影響を与えることを見出した。本発明者らは、大量の研究により、電解液に添加剤Bがさらに含まれる場合、負極の表面の成膜抵抗を低下でき、二次電池の低温放電性能を効果的に向上できることを見出した。
【0015】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記添加剤Aは、下記の化合物から選択される1種類又は複数種類である。
[化合物1-1]
[化合物1-2]
[化合物1-3]
[化合物1-4]
【0016】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記添加剤Bは、アジポニトリル、グルタルジニトリル、2-メチルグルタルジニトリル、1,2-ビス(2-シアノエトキシ)エタン、1,4-ビス(2-シアノエトキシ)ブタンから選択される1種類又は複数種類であり、より好ましくは、前記添加剤Bは、アジポニトリル、1,2-ビス(2-シアノエトキシ)エタンから選択される1種類又は複数種類である。
【0017】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記電解液における前記添加剤Aの質量占有率は、2%以下であることが好ましい。添加剤Aの含有量が多すぎると、負極の表面の成膜抵抗が増加し、二次電池の低温性能が悪化する。前記電解液における前記添加剤Aの質量占有率は、0.1%~1%であることが好ましい。
【0018】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記電解液における前記添加剤Bの質量占有率は、5%以下であることが好ましい。添加剤Bの含有量が多すぎると、過剰な添加剤Bが不可避的に負極の表面で成膜されるため、二次電池の高温サイクル性能が悪化する。前記添加剤Bの含有量は、前記電解液の総重量の0.5%~3%であることが好ましい。
【0019】
本願の第1の態様に係る二次電池において、添加剤は、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ビニルサルフェート(DTD)、1,3-プロパンスルトン(PS)、1,3-プロペニル-スルトン(PST)のうちの1種類又は複数種類をさらに含むことができる。
【0020】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記有機溶媒の種類は、特に限定されず、実際の必要に応じて選択することができる。具体的には、前記有機溶媒は、鎖状エステル、環状エステルから選択される1種類又は複数種類であってもよい。好ましくは、前記鎖状エステルは、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸エチル、プロピオン酸エチル及び酪酸プロピルから選択される1種類又は複数種類であってもよく、前記環状エステルは、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、テトラヒドロフランから選択される1種類又は複数種類であってもよい。
【0021】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記電解質塩の種類は、特に限定されず、実際の必要に応じて選択することができる。具体的には、前記電解質塩は、LiPF6、LiBF4、LiFSI、LiTFSI、LiClO4、LiAsF6、LiBOB、LiDFOB、LiPO2F2、LiTFOP、LiN(SO2RF)2、LiN(SO2F)(SO2RF)から選択される1種類又は複数種類であってもよく、ここで、RF=CnF2n+1であって、飽和パーフルオロアルキル基を表し、nは、1~10内の整数である。
【0022】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記電解質塩の含有量は、特に限定されず、実際の必要に応じて選択することができる。好ましくは、前記電解質塩の含有量は、前記電解液の総重量の6%~25%であり、より好ましくは、前記電解質塩の含有量は、前記電解液の総重量の6%~20%である。
【0023】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記二次電池は、正極シートをさらに含み、前記正極シートは、正極集電体と、正極集電体の少なくとも一つの表面に設けられ且つ正極活性材料を含有する正極フィルムと、を含む。好ましくは、前記正極活性材料は、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、遷移金属リン酸塩等のうちの1種類又は複数種類を含み、より好ましくは、前記正極活性材料は、リチウムコバルト酸化物(例えば、コバルト酸リチウム)を含む。正極活性材料がリチウムコバルト酸化物を含む場合、本願の電解液による電池性能の改善効果がより顕著となる。
【0024】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記正極集電体の種類は、特に限定されず、実際の必要に応じて選択することができる。具体的には、前記正極集電体は、金属箔から選択することができ、例えば、前記正極集電体は、アルミニウム箔から選択することができる。
【0025】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記負極集電体の種類は、特に限定されず、実際の必要に応じて選択することができる。具体的には、前記負極集電体は、金属箔から選択することができ、例えば、前記正極集電体は、銅箔から選択することができる。
【0026】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記ケイ素系材料は、ケイ素単体、ケイ素酸素化合物、ケイ素炭素複合体、ケイ素窒素複合体、ケイ素合金のうちの1種類又は複数種類を含み、より好ましくは、前記ケイ素系材料は、ケイ素酸素化合物を含む。
【0027】
本願の第1の態様に係る二次電池において、好ましくは、前記負極活性材料は、天然黒鉛、人造黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボンのうちの1種類又は複数種類をさらに含み、より好ましくは、前記負極活性材料は、天然黒鉛、人造黒鉛のうちの1種類又は複数種類をさらに含む。
【0028】
本願の第1の態様に係る二次電池において、前記二次電池は、セパレータをさらに含む。前記セパレータの種類は、特に限定されず、本分野での二次電池に好適な各種セパレータであってもよい。具体的には、前記セパレータは、ポリエチレン膜、ポリプロピレン膜、ポリフッ化ビニリデン膜、及びこれらの多層複合膜から選択される1種類又は複数種類選択であってもよい。
【0029】
いくつかの実施例において、二次電池は、正極シート、負極シート及び電解液を封入するための外装を含んでもよい。一例として、正極シート、負極シート及びセパレータは、積層又は巻回によって、積層構造の電極アセンブリ又は巻回構造の電極アセンブリを形成してもよいし、電極アセンブリは外装内に封入される。電解液は、電極アセンブリ内に浸潤される。二次電池における電極アセンブリの個数は、1つ又は複数であってもよく、必要に応じて調整することができる。
【0030】
いくつかの実施例において、二次電池の外装は、袋状ソフトパック等のソフトパックであってもよい。ソフトパックの材質は、プラスチックであってもよく、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)等のうちの1種類又は複数種類を含んでもよい。二次電池の外装は、アルミケース等の硬質ケースであってもよい。
【0031】
本願は、二次電池の形状を特に限定せず、円筒形、角形、又は他の任意の形状であってもよい。
図1は、一例としての角形構造の二次電池5である。
【0032】
いくつかの実施例において、二次電池は、組み立てられて、電池モジュールを形成してもよく、電池モジュールに含まれる二次電池の個数は、複数であってもよく、具体的な個数は、電池モジュールの用途及び容量に応じて調整してもよい。
【0033】
図2は、一例としての電池モジュール4である。
図2を参照すると、電池モジュール4において、複数の二次電池5は、電池モジュール4の長手方向に沿って順序に配列されてもよい。もちろん、他の任意の方式で配列することも可能である。さらに、この複数の二次電池5を締結具によって固定してもよい。
【0034】
選択的に、電池モジュール4は、複数の二次電池5が収容される収容空間を有するハウジングをさらに含んでもよい。
【0035】
いくつかの実施例において、上記の電池モジュールは、組み立てられて、電池パックを形成してもよく、電池パックに含まれる電池モジュールの個数は、電池パックの用途及び容量に応じて調整されてもよい。
【0036】
図3及び
図4は、一例としての電池パック1である。
図3及び
図4を参照すると、電池パック1には、電池ボックスと、電池ボックス内に配置される複数の電池モジュール4とが含まれていてもよい。電池ボックスは、上部筐体2と下部筐体3とを備え、上部筐体2は、下部筐体3を覆うように配置され、電池モジュール4を収容する密閉空間を形成している。複数の電池モジュール4は、任意の方式で電池ボックス内に配置されてもよい。
【0037】
次に、本願の第2の態様に係る装置を説明する。
【0038】
本願の第2の態様に係る装置は、本願の第1の態様に係る二次電池を備え、前記二次電池は、前記装置の電源として用いられてもよいし、前記装置のエネルギー貯蔵手段として用いられてもよい。好ましくは、前記装置は、モバイル機器(例えば、携帯電話、ノートパソコン等)、電気自動車(例えば、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクーター、電動ゴルフカート、電動トラック等)、電気列車、船舶及び衛星、エネルギー貯蔵システム等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
前記装置は、その使用の必要に応じて、二次電池、電池モジュール、又は電池パックを選択することができる。
【0040】
図5は、一例としての装置である。当該装置は、純電気自動車、ハイブリッド電気自動車、又はプラグインハイブリッド電気自動車等である。二次電池の高電力及び高エネルギー密度に対する当該装置の要求を満たすために、電池パック又は電池モジュールを使用してもよい。
【0041】
別の例として、装置は、携帯電話、タブレット、ノートパソコン等であってもよい。当該装置は、一般的に、軽量化及び薄型化が要求されており、二次電池を電源として用いることができる。
【0042】
以下、実施例と組み合わせて、本願をさらに説明する。これらの実施例は、単に本願を説明するためのものであり、本願の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0043】
実施例1~17及び比較例1~4の二次電池は、以下の方法により製造される。
(1)正極シートの製造
【0044】
正極活性材料 コバルト酸リチウム(LiCoO2)、結着剤 ポリフッ化ビニリデン、及び導電剤 Super-Pを、98:1:1の重量比で混合し、N-メチルピロリドン(NMP)を加え、真空攪拌機で系が均一な透明状になるまで攪拌して正極スラリーを得る。その後、正極スラリーを正極集電体 アルミニウム箔に均一に塗布する。アルミニウム箔を室温で乾燥させた後、オーブンに移して乾燥させ、その後、冷間プレス、切断を経て、正極シートを得る。
(2)負極シートの製造
【0045】
負極活性材料(一酸化ケイ素:人造黒鉛=1:9)を混合した後、それと導電剤 Super-P、結着剤 アクリレートを、92:2:6の質量比で混合し、脱イオン水を加え、真空攪拌機で攪拌して負極スラリー得る。負極スラリーを負極集電体 銅箔に均一に塗布する。銅箔を室温で乾燥させた後、オーブンに移して乾燥させた後、冷間プレス、切断を経て、負極シートを得る。
(3)電解液の調製
【0046】
含水量が10ppm未満のアルゴンガス雰囲気のグローブボックスで、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)及びジエチルカーボネート(DEC)を、EC:PC:DEC=1:1:1の重量比で混合して、非水有機溶媒を得た後、十分に乾燥された電解質塩 LiPF6を非水有機溶媒に溶解させ、次に非水有機溶媒に添加剤 FECを添加し、均一に混合して電解液を得る。ここで、LiPF6の含有量は、電解液の総重量の12.5%である。添加剤の種類、特徴パラメータ及び含有量を表1に示す。表1において、添加剤の含有量は、電解液の総重量に基づいて計算された重量パーセントである。
(4)セパレータの製造
【0047】
ポリエチレン膜をセパレータとする。
(5)二次電池の製造
【0048】
セパレータが正極シートと負極シートの間で隔離の役割を果たすように、正極シート、セパレータ、負極シートを順序に積層した後、巻回して電極アセンブリを得る。電極アセンブリを外装内に置き、上記で調製した電解液を乾燥後の電池に注入し、真空封止、静置、化成、整形等の工程を経て、二次電池を得る。
【0049】
【0050】
次に、二次電池の試験手順を説明する。
(1)二次電池の高温貯蔵性能試験
【0051】
60℃で、二次電池を0.5Cで4.3Vまで定電流充電し、さらに4.3Vで電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、このときの二次電池の体積を排水法で測定してV1として記す。その後、二次電池を60℃の恒温箱に入れ、30日間貯蔵した後に取り出し、このときの二次電池の体積を測定してV2として記す。
二次電池の60℃で30日貯蔵後の体積膨張率(%)=[(V2-V1)/V1]×100%。
(2)二次電池の高温サイクル性能試験
【0052】
45℃で、二次電池を1Cで4.3Vまで定電流充電し、さらに4.3Vで電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、5分間静置した後、さらに1Cで2.8Vまで定電流放電し、これが二次電池の初回の充放電サイクルであり、今回の放電容量を二次電池の初回サイクルの放電容量として記す。上述した方法により、二次電池に対して、800回サイクルの充放電を行い、800回サイクル後の二次電池の放電容量を記す。
二次電池の45℃で800回サイクル後の容量維持率(%)=(二次電池の800回サイクル後の放電容量/二次電池の初回サイクルの放電容量)×100%。
(3)二次電池の低温放電性能の試験
【0053】
25℃で、二次電池を1C(公称容量)で4.3Vまで定電流充電し、さらに4.3Vで電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、5分間静置した後、1Cでカットオ電圧2.8Vになるまで定電流放電し、このときの二次電池の実際の放電容量を測定し、d0として記す。
25℃で、二次電池を1C(公称容量)で4.3Vまで定電流充電した後、電流が0.05Cになるまで定電圧充電し、5分間放置した後、二次電池の温度が-10℃になるように、-10℃で4時間以上放置し、次に0.5Cでカットオ電圧2.8Vになるまで定電流放電し、このときの二次電池の実際の放電容量を測定し、d1として記す。
二次電池の-10℃での放電容量維持率(%)=(-10℃での放電容量d1/25℃での放電容量d0)×100%。
【0054】
【0055】
表2の試験結果から分かるように、本願の実施例1~17の二次電池には、負極活性材料としてケイ素系材料が用いられ、電解液には、添加剤Aと融点が5℃以下の添加剤Bとが添加され、その相乗効果により、本願の二次電池は、良好な高温サイクル性能、高温貯蔵性能及び低温放電性能を両立させている。
【0056】
比較例1の電解液には、添加剤Bが添加されておらず、得られた二次電池は、高温サイクル性能及び低温放電性能が劣っていた。
【0057】
比較例2の電解液には、添加剤Aが添加されておらず、得られた二次電池は、高温サイクル性能及び低温放電性能がいずれも劣っており、二次電池の高温貯蔵性能も劣っていた。
【0058】
比較例3の電解液に添加された添加剤Bは、式2を満たすが、その融点が5℃より高く、得られた二次電池の低温放電性能が劣っていた。
【0059】
比較例4の電解液に添加された添加剤Bは、式2を満たさず、得られた二次電池の高温サイクル及び低温放電性能が劣っていた。