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  • 特許-デュアルチラー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】デュアルチラー
(51)【国際特許分類】
   F25B 5/02 20060101AFI20230904BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
F25B5/02 530Z
F25B1/00 101H
F25B1/00 399Y
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020556582
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2019012779
(87)【国際公開番号】W WO2020100324
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-01-12
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2018/041934
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(72)【発明者】
【氏名】坂口 哲郎
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-322658(JP,A)
【文献】特開2009-063195(JP,A)
【文献】特開平10-335720(JP,A)
【文献】特開2004-028554(JP,A)
【文献】特開2011-163698(JP,A)
【文献】特開2003-294350(JP,A)
【文献】特開2006-054408(JP,A)
【文献】国際公開第2017/110608(WO,A1)
【文献】実開昭62-160273(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 5/02
F25D 17/02
H01S 3/04 ~ 3/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1負荷に第1冷却液を設定流量で供給する第1冷却液回路と、第2負荷に第2冷却液を設定流量で供給する第2冷却液回路と、前記第1冷却液及び第2冷却液の温度を設定温度に調整する1つの冷凍回路と、チラー全体を制御する制御装置とを有し、
前記冷凍回路は、ガス状冷媒を圧縮して高温高圧のガス状冷媒にする圧縮機と、該圧縮機から送られるガス状冷媒を冷却して低温高圧の液状冷媒にするコンデンサーと、該コンデンサーから送られる液状冷媒を膨張させて低温低圧の液状冷媒にする開度調整可能な第1主膨張弁及び第2主膨張弁と、前記第1主膨張弁から送られる液状冷媒を前記第1冷却液回路の第1冷却液と熱交換させて低圧のガス状冷媒にする第1熱交換器と、前記第2主膨張弁から送られる液状冷媒を前記第2冷却液回路の第2冷却液と熱交換させて低圧のガス状冷媒にする第2熱交換器とを有し、前記第1主膨張弁と第1熱交換器とは、相互に直列に接続されて第1熱交換流路部を形成し、前記第2主膨張弁と第2熱交換器とは、相互に直列に接続されて第2熱交換流路部を形成し、これら第1熱交換流路部と第2熱交換流路部とは相互に並列に接続されており、
前記冷凍回路はまた、前記圧縮機とコンデンサーとの間の分岐点と、前記第1熱交換流路部における第1主膨張弁と第1熱交換器との間の合流点とを、相互に接続する第1分岐流路を有すると共に、前記分岐点と、前記第2熱交換流路部における第2主膨張弁と第2熱交換器との間の合流点とを、相互に接続する第2分岐流路を有し、前記第1分岐流路に開度調整可能な第1副膨張弁が接続され、前記第2分岐流路に開度調整可能な第2副膨張弁が接続されており、
前記第1冷却液回路は、前記第1冷却液が収容された第1タンクと、該第1タンク内の第1冷却液を一次側供給管路を通じて前記第1熱交換器に送る第1ポンプと、該第1熱交換器で温度調整された第1冷却液を前記第1負荷に送る二次側供給管路と、該二次側供給管路に接続された第1温度センサーと、前記第1負荷からの第1冷却液を前記第1タンクに戻す戻り管路と、前記二次側供給管路の端部に形成された供給側の負荷接続口と、前記戻り管路の端部に形成された戻り側の負荷接続口とを有し、
前記第2冷却液回路は、前記第2冷却液が収容された第2タンクと、該第2タンク内の第2冷却液を一次側供給管路を通じて前記第2熱交換器に送る第2ポンプと、該第2熱交換器で温度調整された第2冷却液を前記第2負荷に送る二次側供給管路と、該二次側供給管路に接続された第2温度センサーと、前記第2負荷からの第2冷却液を前記第2タンクに戻す戻り管路と、前記二次側供給管路の端部に形成された供給側の負荷接続口と、前記戻り管路の端部に形成された戻り側の負荷接続口とを有し、
前記第2冷却液の設定温度は前記第1冷却液の設定温度と同等か又は該第1冷却液の設定温度より高く、前記第1冷却液の設定流量は前記第2冷却液の設定流量より多く、前記第1タンクの容量は前記第2タンクの容量より大きい、
ことを特徴とするデュアルチラー。
【請求項2】
前記第2冷却液回路は、前記第2冷却液の電気伝導率を調整するための伝導率調整機構を有し、該伝導率調整機構は、前記第2冷却液中のイオン性物質を除去するためのDIフィルターと、該第2冷却液の電気伝導率を測定するための伝導率センサーと、該伝導率センサーで測定された電気伝導率に応じて開閉する電磁弁とを有し、
前記DIフィルター及び電磁弁は、前記第2冷却液回路の前記二次側供給管路と戻り管路とを結ぶ濾過管路に接続され、
前記伝導率センサーは、前記第2冷却液回路の前記戻り管路に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のデュアルチラー。
【請求項3】
前記冷凍回路と前記第1冷却液回路及び第2冷却液回路とは、1つの筐体の内部に収容され、該筐体の外部に、前記第1冷却液回路における供給側の負荷接続口及び戻り側の負荷接続口と、前記第2冷却液回路における供給側の負荷接続口及び戻り側の負荷接続口とが、それぞれ設けられており、
前記第1冷却液回路及び第2冷却液回路は、前記第1冷却液及び第2冷却液に含まれる物理的な不純物を除去するための第1フィルター及び第2フィルターを有し、該第1フィルター及び第2フィルターは、前記筐体の外部において、前記第1冷却液回路及び第2冷却液回路における供給側の負荷接続口にそれぞれ取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のデュアルチラー。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1冷却液回路の第1温度センサー及び第2冷却液回路の第2温度センサーでそれぞれ測定された第1冷却液及び第2冷却液の温度に基づいて、前記第1熱交換器に接続された第1主膨張弁と第1副膨張弁との開度、及び、前記第2熱交換器に接続された第2主膨張弁と第2副膨張弁との開度を、それぞれ相関的に調整することにより、前記第1熱交換器及び第2熱交換器に流入する低温の冷媒と高温の冷媒との流量を調整し、それによって前記第1冷却液回路及び第2冷却液回路における前記第1冷却液及び第2冷却液の温度を設定温度に保持するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のデュアルチラー。
【請求項5】
前記第1冷却液回路の第1ポンプは、前記第1タンクの内部に設置された浸漬式のポンプであり、前記第2冷却液回路の第2ポンプは、前記第2タンクの外部に設置された非浸漬式のポンプであることを特徴とする請求項1に記載のデュアルチラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度調整された冷却液を負荷に別々供給することによって該負荷の温度を一定に保つチラーに関するものであり、更に詳しくは、複数の負荷の温度を一定に保つことができるデュアルチラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
温度調整された冷却液を複数の負荷に供給することによって該複数の負荷の温度を一定に保つようにしたチラーは、特許文献1に開示されているように公知である。この公知のチラーは、1つの冷凍回路と、2つの負荷に冷却液を別々に供給する2つの冷却液回路とを有するもので、前記冷凍回路に2つの熱交換器が直列に接続され、一方の熱交換器で一方の冷却液回路の冷却液の温度を調整し、他方の熱交換器で他方の冷却液回路の冷却液の温度を調整するように構成されている。
【0003】
更に詳しく述べると、前記公知のチラーは、タンク内に収容された冷却液の温度を、前記冷凍回路の熱交換器と電気ヒーターとによって設定温度に調整し、温度調整されたタンク内の冷却液を、前記熱交換器を通らない供給流路を通じて負荷に供給するようにしたものである。このため、前記チラーにおいては、前記タンク内の冷却液の温度を測定し、その温度が設定温度より高くなった場合に、該冷却液を、前記供給流路とは別の温調用流路を通じて前記冷凍回路の熱交換器に送り、該熱交換器で冷却したあと再び前記タンクに戻すようにし、また、前記タンク内の冷却液の温度が設定温度より低くなった場合には、該タンク内に設けた電気ヒーターで冷却液を昇温させるようにしている。
【0004】
このように、前記公知のチラーは、熱交換器やヒーターで温度調整したあとの冷却液をそのまま直ちに負荷に供給するものではなく、温度調整したあと一旦タンクに収容し、該タンクから負荷に供給するようにしているため、前記冷却液の温度変化に対する応答性に難点があり、冷凍回路側からみた場合の負荷変動も大きいという問題を有していた。
また、前記冷凍回路の2つの熱交換器を直列に接続し、該2つの熱交換器を流れる冷媒の流量を1つの膨張弁で制御しているため、該2つの熱交換器を流れる冷媒の流量及び温度を、各々に接続された冷却液回路の冷却液の温度に合わせて別々に制御するのは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実公平5-17535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の技術的課題は、複数の熱交換器を流れる冷媒の流量及び温度を、各々の熱交換器に接続された冷却液回路の冷却液の温度に合わせて別々に制御することができるようにして、前記冷却液の温度変化に対する応答性を高めると共に温度制御の精度を高めたチラーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明のデュアルチラーは、第1負荷に第1冷却液を設定流量で供給する第1冷却液回路と、第2負荷に第2冷却液を設定流量で供給する第2冷却液回路と、前記第1冷却液及び第2冷却液の温度を設定温度に調整する1つの冷凍回路と、チラー全体を制御する制御装置とを有している。
前記冷凍回路は、ガス状冷媒を圧縮して高温高圧のガス状冷媒にする圧縮機と、該圧縮機から送られるガス状冷媒を冷却して低温高圧の液状冷媒にするコンデンサーと、該コンデンサーから送られる液状冷媒を膨張させて低温低圧の液状冷媒にする開度調整可能な第1主膨張弁及び第2主膨張弁と、前記第1主膨張弁から送られる液状冷媒を前記第1冷却液回路の第1冷却液と熱交換させて低圧のガス状冷媒にする第1熱交換器と、前記第2主膨張弁から送られる液状冷媒を前記第2冷却液回路の第2冷却液と熱交換させて低圧のガス状冷媒にする第2熱交換器とを有し、前記第1主膨張弁と第1熱交換器とは、相互に直列に接続されて第1熱交換流路部を形成し、前記第2主膨張弁と第2熱交換器とは、相互に直列に接続されて第2熱交換流路部を形成し、これら第1熱交換流路部と第2熱交換流路部とは相互に並列に接続されている。
前記冷凍回路はまた、前記圧縮機とコンデンサーとの間の分岐点と、前記第1熱交換流路部における第1主膨張弁と第1熱交換器との間の合流点とを、相互に接続する第1分岐流路を有すると共に、前記分岐点と、前記第2熱交換流路部における第2主膨張弁と第2熱交換器との間の合流点とを、相互に接続する第2分岐流路を有し、前記第1分岐流路に開度調整可能な第1副膨張弁が接続され、前記第2分岐流路に開度調整可能な第2副膨張弁が接続されている。
前記第1冷却液回路は、前記第1冷却液が収容された第1タンクと、該第1タンク内の第1冷却液を一次側供給管路を通じて前記第1熱交換器に送る第1ポンプと、該第1熱交換器で温度調整された第1冷却液を前記第1負荷に送る二次側供給管路と、該二次側供給管路に接続された第1温度センサーと、前記第1負荷からの第1冷却液を前記第1タンクに戻す戻り管路と、前記二次側供給管路の端部に形成された供給側の負荷接続口と、前記戻り管路の端部に形成された戻り側の負荷接続口とを有している。
前記第2冷却液回路は、前記第2冷却液が収容された第2タンクと、該第2タンク内の第2冷却液を一次側供給管路を通じて前記第2熱交換器に送る第2ポンプと、該第2熱交換器で温度調整された第2冷却液を前記第2負荷に送る二次側供給管路と、該二次側供給管路に接続された第2温度センサーと、前記第2負荷からの第2冷却液を前記第2タンクに戻す戻り管路と、前記二次側供給管路の端部に形成された供給側の負荷接続口と、前記戻り管路の端部に形成された戻り側の負荷接続口とを有している。
そして、前記第2冷却液の設定温度は前記第1冷却液の設定温度と同等か又は該第1冷却液の設定温度より高く、前記第1冷却液の設定流量は前記第2冷却液の設定流量より多く、前記第1タンクの容量は前記第2タンクの容量より大きい。
【0008】
本発明において、前記第2冷却液回路は、前記第2冷却液の電気伝導率を調整するための伝導率調整機構を有し、該伝導率調整機構は、前記第2冷却液中のイオン性物質を除去するためのDIフィルターと、該第2冷却液の電気伝導率を測定するための伝導率センサーと、該伝導率センサーで測定される電気伝導率に応じて開閉する電磁弁とを有し、前記DIフィルター及び電磁弁は、前記第2冷却液回路の前記二次側供給管路と戻り管路とを結ぶ濾過管路に接続され、前記伝導率センサーは、前記第2冷却液回路の前記戻り管路に接続されていることが好ましい。
【0009】
また、本発明において、前記冷凍回路と前記第1冷却液回路及び第2冷却液回路とは、1つの筐体の内部に収容され、該筐体の外部に、前記第1冷却液回路における供給側の負荷接続口及び戻り側の負荷接続口と、前記第2冷却液回路における供給側の負荷接続口及び戻り側の負荷接続口とが、それぞれ設けられており、前記第1冷却液回路及び第2冷却液回路は、前記第1冷却液及び第2冷却液に含まれる物理的な不純物を除去するための第1フィルター及び第2フィルターを有し、該第1フィルター及び第2フィルターは、前記筐体の外部において、前記第1冷却液回路及び第2冷却液回路における供給側の負荷接続口にそれぞれ取り付けられていても良い。
【0010】
さらに、本発明において、前記制御装置は、前記第1冷却液回路の第1温度センサー及び第2冷却液回路の第2温度センサーでそれぞれ測定された第1冷却液及び第2冷却液の温度に基づいて、前記第1熱交換器に接続された第1主膨張弁と第1副膨張弁との開度、及び、前記第2熱交換器に接続された第2主膨張弁と第2副膨張弁との開度を、それぞれ相関的に調整することにより、前記第1熱交換器及び第2熱交換器に流入する低温の冷媒と高温の冷媒との流量を調整し、それによって前記第1冷却液回路及び第2冷却液回路における前記第1冷却液及び第2冷却液の温度を設定温度に保持するように構成されていても良い。
【0011】
また、本発明において、前記第1冷却液回路の第1ポンプは、前記第1タンクの内部に設置された浸漬式のポンプであり、前記第2冷却液回路の第2ポンプは、前記第2タンクの外部に設置された非浸漬式のポンプであることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のチラーは、冷凍回路に2つの熱交換器を並列に接続すると共に、各々の熱交換器に、低温の冷媒を供給する主膨張弁と高温の冷媒を供給する副膨張弁とをそれぞれ接続し、該膨張弁の開度を相関的に調整することにより、各々の熱交換器の冷却能力を、該熱交換器に接続された2つの冷却液回路の冷却液の温度に応じて別々に調整することができるようにしているため、前記冷却液の温度変化に対する応答性に勝れ、温度制御の精度も高い。また、冷却液を電気ヒーターで加熱する必要がないため、電力消費量も少ない。
更に、前記2つの冷却液回路の冷却液の設定温度及び設定流量を互いに異なる値に設定したことにより、例えばレーザー溶接装置におけるレーザー発振器及びプローブのような温度の異なる2つの負荷の冷却に最適なチラーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るデュアルチラーの一実施形態を記号で示す回路図である。
図2】本発明に係るデュアルチラーの別実施形態の要部を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すデュアルチラー(以下、単に「チラー」という。)1は、2つの負荷5,6の温度を一定に保つもので、2つの冷却液回路3,4と、1つの冷凍回路2と、チラー全体を制御する制御装置10とを有している。前記2つの冷却液回路3,4は、前記2つの負荷5,6に冷却液7,8を別々に且つ循環的に供給して該負荷5,6を冷却するものであり、前記冷凍回路2は、前記2つの冷却液回路3,4の冷却液7,8の温度を冷媒との熱交換によって調整し、該冷却液7,8の温度を設定温度に保つものである。
【0015】
図示した実施形態において、前記2つの負荷5,6のうち一方の第1負荷5は、レーザー溶接装置におけるレーザー発振器であって、低温の負荷であり、他方の第2負荷6は、レーザー光を照射するプローブであって、高温の負荷である。また、前記第1負荷5を第1冷却液7で冷却するのが第1冷却液回路3であり、前記第2負荷6を第2冷却液8で冷却するのが第2冷却液回路4である。
【0016】
この場合、例えば、前記第1負荷5に供給される第1冷却液7としては清水が使用され、該清水の温度は、10-30℃の範囲、好ましくは15-25℃の範囲で、最適の温度に設定され、該清水の流量は、20-80L/minの範囲で最適の流量に設定される。一方、前記第2負荷6に供給される第2冷却液8としては純水が使用され、該純水の温度は、10-50℃の範囲、好ましくは20-40℃の範囲で、最適の温度に設定され、該純水の流量は、2-10L/minの範囲で最適の流量に設定される。但し、前記第2冷却液8の設定温度は、前記第1冷却液7の設定温度と等しいか、又は該第1冷却液7の設定温度より高いことが必要である。
【0017】
なお、前記純水とは、塩類や有機物等が全て除去された高純度の水のことであり、超純水もこれに含まれる。
一方、前記清水には、前記純水以外の水であって、負荷の冷却に適するように水質管理された水を使用することが望ましいが、水道水や工業用水を使用することもできる。
【0018】
前記冷凍回路2と、前記第1冷却液回路3及び第2冷却液回路4とは、1つの筐体9の内部に収容され、前記第1負荷5及び第2負荷6は該筐体9の外部に配設されており、該筐体9の外側面に、前記第1負荷5を第1冷却液回路3に接続するための2つの負荷接続口11,12と、前記第2負荷6を第2冷却液回路4に接続するための2つの負荷接続口13,14とが、それぞれ設けられている。
【0019】
前記冷凍回路2は、ガス状冷媒を圧縮して高温高圧のガス状冷媒にする圧縮機16と、該圧縮機16から送られる高温高圧のガス状冷媒を冷却して低温高圧の液状冷媒にするコンデンサー17と、該コンデンサー17から送られる低温高圧の液状冷媒を膨張させて低温低圧の液状冷媒にする第1主膨張弁18及び第2主膨張弁19と、該第1主膨張弁18及び第2主膨張弁19から送られる低温低圧の液状冷媒を前記第1冷却液回路3の第1冷却液7及び第2冷却液回路4の第2冷却液8との間で別々に熱交換させて低圧のガス状冷媒にする第1熱交換器21及び第2熱交換器22とを、配管で順次直列かつループ状に接続することにより形成されている。
【0020】
前記第1主膨張弁18と第1熱交換器21とは、相互に直列に接続されて第1熱交換流路部23を形成し、前記第2主膨張弁19と第2熱交換器22も、相互に直列に接続されて第2熱交換流路部24を形成しており、これら第1熱交換流路部23と第2熱交換流路部24とが、前記コンデンサー17の出口から圧縮機16の吸入口16bに至るまでの回路部分に、分岐点2aで互いに分岐して合流点2bで互いに合流するように、相互に並列に接続されている。
【0021】
前記第1熱交換器21は、ケース21aの内部に、前記冷媒が流れる冷媒流通部21bと、前記冷却液7が流れる冷却液流通部21cとを設け、前記冷媒流通部21b内を流れる冷媒と、前記冷却液流通部21c内を流れる冷却液7との間で、熱交換を行うようにしたものである。
また、前記第2熱交換器22も同様に、ケース22aの内部に、前記冷媒が流れる冷媒流通部22bと、前記冷却液8が流れる冷却液流通部22cとを設け、前記冷媒流通部22b内を流れる冷媒と、前記冷却液流通部22c内を流れる冷却液8との間で、熱交換を行うようにしたものである。
【0022】
前記第1熱交換器21の冷媒流通部21b及び第2熱交換器22の冷媒流通部22bを流れる冷媒の流量は、前記第1主膨張弁18及び第2主膨張弁19の開度を増減させることによって増減し、それに伴い、前記第1熱交換器21及び第2熱交換器22の冷却能力が調整される。前記第1主膨張弁18及び第2主膨張弁19は、低温の冷媒を前記第1熱交換器21及び第2熱交換器22に供給するものであるため、冷却用の膨張弁であるということができる。
【0023】
前記冷凍回路2の、前記圧縮機16の吐出口16aとコンデンサー17との間の分岐点2cと、前記第1熱交換流路部23における前記第1主膨張弁18と第1熱交換器21との間の合流点2dには、第1分岐流路25の一端と他端とが接続され、また、前記分岐点2cと、前記第2熱交換流路部24における前記第2主膨張弁19と第2熱交換器22との間の合流点2eには、第2分岐流路26の一端と他端とが接続されており、前記第1分岐流路25には第1副膨張弁27が接続され、前記第2分岐流路26には第2副膨張弁28が接続されている。
【0024】
前記第1分岐流路25及び第2分岐流路26は、前記圧縮機16から吐出された高温のガス状冷媒の一部を、加熱用冷媒として前記第1熱交換流路部23及び第2熱交換流路部24に供給するもので、この加熱用冷媒の供給により、前記第1熱交換流路部23及び第2熱交換流路部24の内部を前記第1熱交換器21及び第2熱交換器22に向かう冷媒の温度が調整され、それにより、該第1熱交換器21及び第2熱交換器22の冷却能力が調整される。
前記加熱用冷媒の流量は、前記第1副膨張弁27及び第2副膨張弁28の開度を増減させることにり増減し、それに伴い、前記第1熱交換器21及び第2熱交換器22に向かう冷媒の温度が調整される。従って、前記第1副膨張弁27及び第2副膨張弁28は、加熱用の膨張弁であるということができる。
【0025】
前記第1主膨張弁18、第2主膨張弁19、第1副膨張弁27、及び第2副膨張弁28は、ステッピングモータによって開度を全閉から全開までの範囲で任意に調整可能な電子膨張弁であり、これら膨張弁は前記制御装置10に電気的に接続され、該制御装置10で各々の開度が制御される。
【0026】
前記コンデンサー17は、電動モータ17aで駆動されるファン17bによって冷媒を冷却する空冷式のコンデンサーであり、前記ファン17bは、前記筐体9の上面に形成されたファン収容部9a内に配設され、該ファン収容部9aに冷却風を上方に向けて排出する排気口9bが設けられている。また、前記筐体9の側面の前記コンデンサー17に対面する位置には、外気を冷却風として吸入する吸気口9cが設けられ、該吸気口9cから吸入された冷却風が、前記コンデンサー17を通過するとき冷媒を冷却し、そのあと前記排気口9bから筐体9の外部に排出されるように構成されている。
前記圧縮機16及びファン17bは、前記制御装置10に電気的に接続され、該制御装置10でインバーター制御されることによって各々の回転数や出力等が制御される。
しかし、前記コンデンサー17は水冷式であっても良い。
【0027】
また、前記冷凍回路2には、前記圧縮機16の吐出口16aから前記分岐点2cに至るまでの部分に、該圧縮機16から吐出された冷媒の温度を測定するため第1冷媒温度センサー31が接続され、前記コンデンサー17の出口17cから、前記第1熱交換流路部23と第2熱交換流路部24とが分岐する前記分岐点2aに至るまでの部分に、冷媒中の不純物を濾過するフィルター32と、該冷媒の圧力を測定する第1冷媒圧力センサー33とが順次接続され、前記第1熱交換流路部23と第2熱交換流路部24との合流点2bから前記圧縮機16の吸入口16bに至るまでの部分に、該圧縮機16に吸入される冷媒の温度を測定する第2冷媒温度センサー34と、該冷媒の圧力を測定する第2冷媒圧力センサー35とが接続されている。
前記第1及び第2冷媒温度センサー31,34と、前記第1及び第2冷媒圧力センサー33,35とは、前記制御装置10に電気的に接続され、それらの測定結果に基づいて、前記制御装置10により、前記圧縮機16やコンデンサー17の電動モーター17aの回転数や出力等が制御される。
【0028】
なお、前記冷凍回路2において、前記圧縮機16の吐出口16aから前記コンデンサー17を経て前記第1主膨張弁18及び第2主膨張弁19に至るまでの部分は、冷媒圧力が高い高圧側部分であり、これに対し、前記第1主膨張弁18及び第2主膨張弁19の出口から前記第1熱交換器21及び第2熱交換器22を経て前記圧縮機16の吸入口16bに至るまでの部分は、冷媒圧力が低い低圧側部分である。
【0029】
前記第1冷却液回路3は、前記第1冷却液7を収容した第1タンク40と、該第1タンク40に設置された浸漬式の第1ポンプ41と、該第1ポンプ41の吐出口41aと前記第1熱交換器21の冷却液流通部21cの入口とを結ぶ一次側供給管路43と、前記冷却液流通部21cの出口と供給側の前記負荷接続口11とを結ぶ二次側供給管路44と、戻り側の前記負荷接続口12と第1タンク40とを結ぶ戻り管路45とを有し、前記供給側の負荷接続口11と戻り側の負荷接続口12とに、前記第1負荷5の供給側の負荷配管5aと戻り側の負荷配管5bとが接続されている。
これにより前記第1冷却液回路3は、前記第1タンク40内の第1冷却液7を前記第1ポンプ41で前記第1熱交換器21の冷却液流通部21cに送り、この冷却液流通部21cで、前記冷媒流通部21b内を流れる冷媒と熱交換させて設定温度に調整したあと、前記二次側供給管路44を通じて直ちに前記第1負荷5に供給するように構成されている。
【0030】
また、前記負荷接続口11には、前記第1冷却液7中の物理的な不純物を除去するための第1フィルター46が取り付けられ、該第1フィルター46を通じて前記第1冷却液7が前記第1負荷5に供給される。前記第1フィルター46は、前記筐体9の外部に配置されているが、該筐体9の内部に配置されていても良い。
【0031】
前記第1タンク40には、前記第1冷却液7の液位を外部から監視するための液位計47と、前記液位の上限と下限とを検出するためのレベルスイッチ48a,48bとが設けられ、また、前記筐体9の外面に設けられたドレン口49に連通するドレン管50が接続されている。しかし、前記第1タンク40内には、前記第1冷却液7の温度を調整するための電気ヒーターは設けられていない。
【0032】
また、前記二次側供給管路44には、第1熱交換器21で温度調整されたあと第1負荷5に向かう前記第1冷却液7の温度を測定する第1温度センサー51と、該第1冷却液7の圧力を測定する第1圧力センサー52とが接続され、前記戻り管路45には、第1負荷5から前記第1タンク40に向かう第1冷却液7の温度を測定する戻り側温度センサー53が接続されている。前記第1温度センサー51、戻り側温度センサー53、及び第1圧力センサー52は、前記制御装置10に電気的に接続され、測定された第1冷却液7の温度や圧力等に基づいて、該制御装置10により、前記第1ポンプ41や前記冷凍回路2の各膨張弁18,19,27,28等が制御される。
【0033】
更に、前記二次側供給管路44と戻り管路45とには、流量調整用のバイパス管路54が接続されている。このバイパス管路54は、前記二次側供給管路44における負荷接続口11と第1温度センサー51との間の位置と、前記戻り管路45における負荷接続口12と戻り側温度センサー53との間の位置とに接続されていて、該バイパス管路54に、開度調整可能な手動開閉式の二方弁55が接続されている。
【0034】
前記バイパス管路54は、前記二次側供給管路44を流れる第1冷却液7の一部を前記戻り管路45に分流させることにより、前記二次側供給管路44から前記第1負荷5に供給される第1冷却液7の流量を、該第1負荷5の冷却に最適な流量となるように調整することができるものである。前記二方弁55が全閉しているときは、前記バイパス管路54を第1冷却液7は流れず、該第1冷却液7の全量が前記第1負荷5に供給される。
【0035】
前記第2冷却液回路4は、前記第2冷却液8を収容した第2タンク60と、該第2タンク60の外部に設置された非浸漬式の第2ポンプ61と、該第2ポンプ61の吐出口61aと前記第2熱交換器22の冷却液流通部22cの入口とを結ぶ一次側供給管路63と、前記冷却液流通部22cの出口と供給側の前記負荷接続口13とを結ぶ二次側供給管路64と、戻り側の前記負荷接続口14と第2タンク60とを結ぶ戻り管路65とを有し、前記供給側の負荷接続口13と戻り側の負荷接続口14とに、前記第2負荷6の供給側の負荷配管6aと戻り側の負荷配管6bとが接続されている。
これにより前記第2冷却液回路4は、前記第2タンク60内の第2冷却液8を前記第2ポンプ61で前記第2熱交換器22の冷却液流通部22cに送り、この冷却液流通部22cで、前記冷媒流通部22b内を流れる冷媒と熱交換させて設定温度に調整したあと、前記二次側供給管路64を通じて直ちに前記第2負荷6に供給するように構成されている。
【0036】
なお、前記第1冷却液回路3における前記第1タンク40の容量は、前記第2冷却液回路4における前記第2タンク60の容量より大きい。図示した実施形態において、前記第1タンク40の容量は60L、前記第2タンク60の容量は7Lであるが、該第1タンク40及び第2タンク60の容量はこれより大きくても小さくても構わない。
【0037】
また、前記供給側の負荷接続口13には、前記第2冷却液8中の物理的な不純物を除去するための第2フィルター66が設けられ、該第2フィルター66を通じて前記第2冷却液8が前記第2負荷6に供給される。前記第2フィルター66は、前記筐体9の外部に配置されているが、該筐体9の内部に配置されていても良い。
【0038】
前記第2タンク60には、前記第2冷却液8の液位を外部から監視するための液位計67と、前記液位の上限と下限とを検出するためのレベルスイッチ68a,68bとが設けられ、また、前記筐体9の外面に設けられたドレン口69に連通するドレン管70が接続されている。しかし、前記第2タンク60内には、前記第2冷却液8の温度を調整するための電気ヒーターは設けられていない。
【0039】
また、前記二次側供給管路64には、第2熱交換器22で温度調整されたあと第2負荷6に向かう第2冷却液8の温度を測定する第2温度センサー71と、該第2冷却液8の圧力を測定する第2圧力センサー72とが接続され、前記戻り管路65には、第2負荷6から前記第2タンク60に向かう第2冷却液8の流量を測定する流量計73が接続されている。前記第2温度センサー71、第2圧力センサー72、及び流量計73は、前記制御装置10に電気的に接続され、測定された第2冷却液8の温度や圧力あるいは流量等に基づいて、該制御装置10により、前記第2ポンプ61や前記冷凍回路2の各膨張弁18,19,27,28等が制御される。
【0040】
更に、前記二次側供給管路64と戻り管路65とには、バイパス管路74と濾過管路76とが接続されている。前記バイパス管路74及び濾過管路76は、前記二次側供給管路64における前記負荷接続口13と第2温度センサー71との間の位置と、前記戻り管路65における前記流量計73と第2タンク60との間の位置とに、相互に並列をなすように接続されている。
【0041】
前記バイパス管路74には、手動開閉式の二方弁75が接続され、該二方弁75の開度を調整して前記二次側供給管路64を流れる第2冷却液8の一部を前記戻り管路65に分流させることにより、前記二次側供給管路64から前記第2負荷6に供給される第2冷却液8の流量を、該第2負荷6に最適な流量となるように調整することができる。
【0042】
また、前記濾過管路76は、前記第2冷却液(純水)8中のイオン性物質を除去するための管路であって、該濾過管路76には、二方向電磁弁77とDIフィルター78とが直列に接続され、該濾過管路76と前記戻り管路65との合流点には、第2冷却液8の電気伝導率を測定する伝導率センサー79が接続されており、前記二方向電磁弁77とDIフィルター78と伝導率センサー79とによって伝導率調整機構80が構成されている。
【0043】
前記濾過管路76は、通常は前記二方向電磁弁77が閉鎖されることによって閉鎖している。しかし、前記第2冷却液8中のイオン性物質の量が増加することによって該第2冷却液8の電気伝導率が上昇したことを前記伝導率センサー79が検出したとき、前記二方向電磁弁77が開放されることによって開放し、前記二次側供給管路64の第2冷却液8を、前記DIフィルター78を通じて前記戻り管路65に流し、前記第2タンク60に還流させる。これにより、前記第2冷却液8中のイオン性物質が、前記DIフィルター78において、イオン交換により樹脂表面に吸着されて除去される。
【0044】
なお、図1の実施形態においては、前記DIフィルター78が筐体9の外部に配置されているが、該DIフィルター78は、図2に示すように、前記筐体9の内部に配置されていることが望ましい。
【0045】
前記構成を有するチラー1は次のように動作する。
前記冷凍回路2において、前記圧縮機16から吐出される高温高圧のガス状冷媒は、前記コンデンサー17で冷却されて低温高圧の液状冷媒になったあと、前記分岐点2aで前記第1熱交換流路部23と第2熱交換流路部24とに分流する。前記第1熱交換流路部23に流入した液状冷媒は、前記第1主膨張弁18で低温低圧の液状冷媒にされたあと、前記第1熱交換器21において、前記第1冷却液回路3の第1冷却液7を冷却することにより昇温し、蒸発して低圧のガス状冷媒になり、また、前記第2熱交換流路部24に流入した液状冷媒は、前記第2主膨張弁19で低温低圧の液状冷媒にされたあと、前記第2熱交換器22において、前記第2冷却液回路4の第2冷却液8を冷却することにより昇温し、蒸発して低圧のガス状冷媒になる。そして、前記第1熱交換器21及び第2熱交換器22から出たガス状冷媒は、前記合流点2bで合流したあと、前記圧縮機16の吸入口16bに流入する。
【0046】
また、前記圧縮機16から吐出された高温高圧のガス状冷媒の一部は、前記第1分岐流路25及び第2分岐流路26を通じて、前記第1熱交換流路部23及び第2熱交換流路部24に加熱用冷媒として供給される。この加熱用冷媒の供給により、前記第1熱交換流路部23及び第2熱交換流路部24の内部を前記第1熱交換器21及び第2熱交換器22に向かう冷媒の温度が調整され、その結果、該第1熱交換器21及び第2熱交換器22の冷却能力が調整される。
【0047】
一方、前記第1冷却液回路3においては、前記第1タンク40内の第1冷却液7が、前記第1ポンプ41から一次側供給管路43を通じて前記第1熱交換器21の冷却液流通部21cに送られ、該第1熱交換器21で前記冷凍回路2の冷媒と熱交換することにより設定温度に調整されたあと、前記二次側供給管路44から前記供給側の負荷接続口11を通じて前記第1負荷5に送られ、該第1負荷5を冷却する。このとき、前記第1負荷5に供給される第1冷却液7の流量を調整する必要がある場合には、前記二方弁55を開放し、該第1冷却液7の一部を前記バイパス管路54を通じて戻り管路45に分流させるようにする。
前記第1負荷5を冷却することにより昇温した前記第1冷却液7は、前記戻り側の負荷接続口12から前記戻り管路45を通じて前記第1タンク40に還流する。
【0048】
前記第1冷却液7の温度は、供給側の前記第1温度センサー51及び戻り側温度センサー53により常時測定され、測定された該第1冷却液7の温度に基づいて前記冷凍回路2の第1主膨張弁18及び第1副膨張弁27の開度が制御されることにより、該第1冷却液7の温度が細かく調整されて設定温度に保たれる。
【0049】
例えば、前記第1温度センサー51により測定された第1冷却液7の温度が設定温度より高い場合には、前記第1熱交換器21の冷却能力を高めて該第1冷却液7の温度を下げる必要があるため、前記冷凍回路2における第1主膨張弁18の開度が拡大して前記第1熱交換流路部23を流れる低温の冷媒の流量が増大すると共に、前記第1副膨張弁27の開度が減少して前記第1分岐流路25から第1熱交換流路部23に流入する高温の加熱用冷媒の流量が減少する。その結果、前記第1熱交換器21に流入する冷媒の温度が低下して該第1熱交換器21の冷却能力が上昇するため、前記第1冷却液7は冷却され、その温度が低下して設定温度に保たれる。
【0050】
その逆に、前記第1冷却液7の温度が設定温度より低い場合には、前記第1熱交換器21で該第1冷却液7を加熱して温度を上げる必要があるため、前記第1主膨張弁18の開度が減少して前記第1熱交換流路部23を流れる低温の冷媒の流量が減少すると共に、前記第1副膨張弁27の開度が増大して前記第1分岐流路25から第1熱交換流路部23に流入する高温の加熱用冷媒の流量が増大する。その結果、前記第1熱交換器21に流入する冷媒の温度は上昇し、昇温した該冷媒によって前記第1冷却液7が加熱されるため、該第1冷却液7の温度は上昇して設定温度に保たれる。
この場合、前記第1冷却液7の温度を上昇させる目的のために、従来のチラーのように第1タンク40に電気ヒーターを設けて該第1冷却液7を加熱する必要がなく、その分の電力消費量が少ない。
【0051】
また、前記第2冷却液回路4においては、前記第2タンク60内の第2冷却液8が、前記第2ポンプ61から一次側供給管路63を通じて前記第2熱交換器22の冷却液流通部22cに送られ、該第2熱交換器22で前記冷凍回路2の冷媒と熱交換することにより設定温度に調整されたあと、前記二次側供給管路64から前記供給側の負荷接続口13を通じて前記第2負荷6に送られ、該第2負荷6を冷却する。このとき、前記第2負荷6に供給される第2冷却液8の流量を調整する必要がある場合には、前記二方弁75を開放し、該第2冷却液8の一部を前記バイパス管路74を通じて戻り管路65に分流させるようにする。
前記第2負荷6を冷却することにより昇温した前記第2冷却液8は、前記戻り側の負荷接続口14から前記戻り管路65を通じて前記第2タンク60に還流する。
【0052】
前記第2冷却液8の温度は、前記第2温度センサー71により常時測定され、測定された該第2冷却液8の温度に基づいて前記冷凍回路2の各膨張弁19,28の開度が制御されることにより、該第2冷却液8の温度が細かく調整されて設定温度に保たれる。
【0053】
例えば、前記第2温度センサー71により測定された第2冷却液8の温度が設定温度より高い場合には、前記第2熱交換器22の冷却能力を高めて該第2冷却液8の温度を下げる必要があるため、前記冷凍回路2における第2主膨張弁19の開度が拡大して前記第2熱交換流路部24を流れる低温の冷媒の流量が増大すると共に、前記第2副膨張弁28の開度が減少して前記第2分岐流路26から第2熱交換流路部24に流入する高温の加熱用冷媒の流量が減少する。その結果、前記第2熱交換器22に流入する冷媒の温度が低下して該第2熱交換器22の冷却能力が上昇するため、前記第2冷却液8は冷却され、その温度が低下して設定温度に保たれる。
【0054】
その逆に、前記第2冷却液8の温度が設定温度より低い場合には、前記第2熱交換器22で該第2冷却液8を加熱して温度を上げる必要があるため、前記第2主膨張弁19の開度が減少して前記第2熱交換流路部24を流れる低温の冷媒の流量が減少すると共に、前記第2副膨張弁28の開度が増大して前記第2分岐流路26から第2熱交換流路部24に流入する高温の加熱用冷媒の流量が増大する。その結果、前記第2熱交換器22に流入する冷媒の温度は上昇し、昇温した該冷媒によって前記第2冷却液8が加熱されるため、該第2冷却液8の温度は上昇して設定温度に保たれる。
この場合、前記第2冷却液8の温度を上昇させる目的のために、従来のチラーのように第2タンク60に電気ヒーターを設けて該第2冷却液8を加熱する必要がなく、その分の電力消費量が少ない。
【0055】
また、前記第2冷却液8中のイオン性物質の量が増加すると、前記伝導率センサー79で測定される該第2冷却液8の電気伝導率が上昇するため、前記二方向電磁弁77が開放して前記濾過管路76が開放し、該濾過管路76を前記第2冷却液8が流れることにより、該第2冷却液8中のイオン性物質が前記DIフィルター78で除去される。このとき、前記第2負荷6の冷却を続けながら、前記第2冷却液8の一部を前記濾過管路76に流して濾過するようにすることも、前記第2負荷6の冷却を停止し、前記第2冷却液8の全部を前記濾過管路76に流して濾過するようにすることもできる。
【0056】
以上に説明したように、前記チラー1は、前記冷凍回路2に第1熱交換器21及び第2熱交換器22を並列に接続すると共に、該第1熱交換器21及び第2熱交換器22に、低温の冷媒を供給する冷却用の第1主膨張弁18及び第2主膨張弁19と、高温の冷媒を供給する加熱用の第1副膨張弁27及び第2副膨張弁28とをそれぞれ接続し、これら冷却用の第1主膨張弁18及び第2主膨張弁19と加熱用の第1副膨張弁27及び第2副膨張弁28との開度を相関的に調整することにより、各々の熱交換器21,22を冷却と加熱とに使い分け、各熱交換器21,22に接続された冷却液回路3,4の冷却液7,8の温度を別々に調整するようにしているので、前記冷却液7,8の温度変化に対する応答性に勝れ、温度制御の精度も高い。また、前記冷却液7,8を電気ヒーターで加熱する必要がないため、電力消費量も少ない。
更に、前記第1冷却液7と第2冷却液8との設定温度及び設定流量を互いに異なる値に設定することにより、例えばレーザー溶接装置におけるレーザー発振器及びプローブのような温度の異なる2つの負荷の冷却に適したチラーを得ることができる。
【0057】
なお、前記実施形態では、前記第1冷却液7に清水を使用しているが、該第1冷却液7に純水を使用しても良い。あるいは、前記第1冷却液7及び第2冷却液8のうち少なくとも第2冷却液に、エチレングリコールを使用することもできる。
【符号の説明】
【0058】
1 チラー
2 冷凍回路
2c 分岐点
2d,2e 合流点
3 第1冷却液回路
4 第2冷却液回路
5 第1負荷
6 第2負荷
7 第1冷却液
8 第2冷却液
9 筐体
10 制御装置
11,13 供給側の負荷接続口
12,14 戻り側の負荷接続口
16 圧縮機
17 コンデンサー
18 第1主膨張弁
19 第2主膨張弁
21 第1熱交換器
22 第2熱交換器
23 第1熱交換流路部
24 第2熱交換流路部
25 第1分岐流路
26 第2分岐流路
27 第1副膨張弁
28 第2副膨張弁
40 第1タンク
41 第1ポンプ
43 一次側供給管路
44 二次側供給管路
45 戻り管路
46 第1フィルター
51 第1温度センサー
60 第2タンク
61 第2ポンプ
63 一次側供給管路
64 二次側供給管路
65 戻り管路
66 第2フィルター
71 第2温度センサー
76 濾過管路
77 二方向電磁弁
78 DIフィルター
79 伝導率センサー
80 伝導率調整機構
図1
図2