(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/19 20180101AFI20230904BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20230904BHJP
F21V 29/77 20150101ALI20230904BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20230904BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20230904BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20230904BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20230904BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20230904BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20230904BHJP
F21W 103/40 20180101ALN20230904BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230904BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20230904BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20230904BHJP
【FI】
F21S43/19
F21V29/503 100
F21V29/77
F21W103:55
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:00
F21W103:45
F21W103:40
F21Y115:10 300
F21Y115:15
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2019194239
(22)【出願日】2019-10-25
【審査請求日】2022-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】白石 寛光
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/158423(WO,A1)
【文献】特開2019-135693(JP,A)
【文献】特開2014-007154(JP,A)
【文献】特開2016-195098(JP,A)
【文献】特開2019-106259(JP,A)
【文献】特表2013-534354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 19/00-19/06
B60Q 1/00-1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットと:
前記ソケットの一方の端部側に設けられた伝熱部または凸部と;
前記伝熱部または前記凸部の上に設けられた基板と;
前記基板の、前記伝熱部側とは反対側、または、前記基板の、前記凸部側とは反対側に設けられた少なくとも1つの発光素子と;
前記基板と前記伝熱部との間、または、前記基板と前記凸部との間に設けられた接着層と;
を具備し、
平面視において、前記基板の周縁は、前記伝熱部の周縁、または、前記凸部の周縁よりも外側に位置し、
前記接着層の、前記伝熱部の側面より突出した部分、または、前記接着層の、前記凸部の側面より突出した部分にはフィレットが設けられ
、
前記フィレットは、前記基板の、前記伝熱部側の面、または、前記基板の、前記凸部側の面に接触し、
前記フィレットの前記基板側の端部が前記基板に接触する位置は、前記フィレットの前記伝熱部側の端部が前記伝熱部に接触する位置よりも、前記基板の周縁側に位置している、
または、
前記フィレットの前記基板側の端部が前記基板に接触する位置は、前記フィレットの前記凸部側の端部が前記凸部に接触する位置よりも、前記基板の周縁側に位置している車両用照明装置。
【請求項2】
前記フィレットの、外部に露出する面は、凹状の曲面となっている請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記基板の、前記伝熱部側の面、または、前記基板の、前記凸部側の面の表面粗さは、算術平均粗さRaで、5μm以上、40μm以下である請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記接着層は、シリコーン樹脂と、フィラーと、を含み、
前記接着層の熱伝導率は、0.5W/(m・K)以上、10W/(m・K)以下である請求項1~3のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記伝熱部は、板状を呈し、金属を含んでいる請求項1~4のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【請求項6】
前記凸部は、前記ソケットと一体に形成されている請求項1~4のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【請求項7】
前記ソケットは、高熱伝導性樹脂を含んでいる請求項1~6のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメントを備えた車両用照明装置に代えて発光ダイオードを備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。
発光ダイオードを備えた車両用照明装置においては、発光ダイオードが設けられた基板を、ソケットの一方の端部側に接着している。
【0003】
ここで、自動車に設けられる車両用照明装置の場合には、使用環境の温度が、-40℃~85℃となる。また、車両用照明装置(発光ダイオード)の点灯による加熱と、消灯による冷却が頻繁に行われる。使用環境の温度変化により車両用照明装置の温度が変化したり、車両用照明装置の点灯と消灯に伴い車両用照明装置の温度が変化したりすると、基板とソケットとの間に熱応力が繰り返し生じることになる。また、車両用照明装置には、走行に伴う振動が加わる。
この場合、基板とソケットとの間の接合強度が小さいと、前述した熱応力や振動により、基板とソケットとの間に隙間が生じる場合がある。
【0004】
ここで、発光ダイオードにおいて発生した熱は、基板を介してソケットに伝わり、ソケットから外部に放出される。そのため、基板とソケットとの間に隙間が生じると、発光ダイオードにおいて発生した熱がソケットに伝わり難くなり、発光ダイオードの温度上昇を抑制できなくなるおそれがある。発光ダイオードの温度が高くなり過ぎると、発光ダイオードの機能が低下したり、発光ダイオードの寿命が短くなったりするおそれがある。
そこで、基板とソケット側部材との間の接合強度を大きくすることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、基板とソケット側部材との間の接合強度を大きくすることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る車両用照明装置は、ソケットと:前記ソケットの一方の端部側に設けられた伝熱部または凸部と;前記伝熱部または前記凸部の上に設けられた基板と;前記基板の、前記伝熱部側とは反対側、または、前記基板の、前記凸部側とは反対側に設けられた少なくとも1つの発光素子と;前記基板と前記伝熱部との間、または、前記基板と前記凸部との間に設けられた接着層と;を具備している。平面視において、前記基板の周縁は、前記伝熱部の周縁、または、前記凸部の周縁よりも外側に位置している。前記接着層の、前記伝熱部の側面より突出した部分、または、前記接着層の、前記凸部の側面より突出した部分にはフィレットが設けられている。前記フィレットは、前記基板の、前記伝熱部側の面、または、前記基板の、前記凸部側の面に接触している。前記フィレットの前記基板側の端部が前記基板に接触する位置は、前記フィレットの前記伝熱部側の端部が前記伝熱部に接触する位置よりも、前記基板の周縁側に位置している。または、前記フィレットの前記基板側の端部が前記基板に接触する位置は、前記フィレットの前記凸部側の端部が前記凸部に接触する位置よりも、前記基板の周縁側に位置している。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、基板とソケット側部材との間の接合強度を大きくすることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を例示するための模式斜視図である。
【
図2】
図1における車両用照明装置のA-A線断面図である。
【
図3】
図2における車両用照明装置のB部の模式拡大図である。
【
図4】他の実施形態に係る車両用照明装置を例示するための模式断面図である。
【
図5】
図4における車両用照明装置のC部の模式拡大図である。
【
図6】車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイタイムランニングランプ(DRL:Daytime Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いられるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式斜視図である。
図2は、
図1における車両用照明装置1のA-A線断面図である。
図3は、
図2における車両用照明装置1のB部の模式拡大図である。
図1および
図2に示すように、車両用照明装置1には、ソケット10、発光モジュール20、給電部30、および伝熱部40を設けることができる。
【0013】
ソケット10は、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15を有することができる。
装着部11は、フランジ13の、放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面に設けることができる。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、フランジ13側とは反対側の端部に開口する凹部11aを有することができる。
【0014】
また、凹部11aの底面11a1に開口する凹部11cを設けることができる。凹部11cの内部には、伝熱部40を設けることができる。
【0015】
バヨネット12は、装着部11の外側面に設けることができる。例えば、バヨネット12は、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対峙させることができる。バヨネット12は、複数設けることができる。バヨネット12は、車両用照明装置1を車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いることができる。バヨネット12は、ツイストロックに用いることができる。
【0016】
フランジ13は、板状を呈したものとすることができる。例えば、フランジ13は、円板状を呈したものとすることができる。フランジ13の外側面は、バヨネット12の外側面よりも車両用照明装置1の外方に位置することができる。
【0017】
放熱フィン14は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けることができる。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。例えば、
図1に例示をしたソケット10には複数の放熱フィン14が設けられている。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。放熱フィン14は、板状を呈したものとすることができる。
【0018】
コネクタホルダ15は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けることができる。コネクタホルダ15は、放熱フィン14と放熱フィン14との間に設けることができる。コネクタホルダ15は、フランジ13の周縁近傍に設けることができる。
コネクタホルダ15は、コネクタ105が挿入可能となっている。コネクタホルダ15は、筒状を呈し、内部に孔15aを有することができる。孔15aには、シール部材105aを有するコネクタ105を挿入することができる。そのため、孔15aの断面形状および断面寸法は、シール部材105aを有するコネクタ105の断面形状および断面寸法に適合したものとなっている。
【0019】
ソケット10は、発光モジュール20、給電部30、および伝熱部40を保持する機能と、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝える機能を有することができる。そのため、ソケット10は、熱伝導率の高い材料から形成するのが好ましい。
また、近年においては、ソケット10は、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができ、且つ、軽量であることが望まれている。そのため、ソケット10は、高熱伝導性樹脂から形成することがさらに好ましい。高熱伝導性樹脂は、例えば、樹脂と無機材料を用いたフィラーを含む。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン等の樹脂に、炭素や酸化アルミニウムなどを用いたフィラーを混合させたものとすることができる。
【0020】
高熱伝導性樹脂を含み、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15が一体に成形されたソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。この場合、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15は、射出成形法などを用いて、一体成形することができる。また、インサート成形法などを用いて、ソケット10と給電部30を一体成形することもできる。
【0021】
発光モジュール20は、基板21、発光素子22、および抵抗23を有することができる。
【0022】
発光モジュール20(基板21)は、伝熱部40の上に設けることができる。発光モジュール20(基板21)は、伝熱部40の、凹部11cの底面側とは反対側の面40aに接着することができる。接着剤が硬化することで形成された層が、接着層42となる。
【0023】
基板21は、板状を呈したものとすることができる。基板21の平面形状は、例えば、四角形とすることができる。基板21は、例えば、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなど)などの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したものであってもよい。なお、金属板の表面を絶縁性材料で被覆する場合には、絶縁性材料は、有機材料を含むものであってもよいし、無機材料を含むものであってもよい。発光素子22の発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板21を形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したものなどを例示することができる。
【0024】
また、基板21の表面には、配線パターン21aを設けることができる。配線パターン21aは、例えば、銀を主成分とする材料から形成することもできるし、銅を主成分とする材料などから形成することもできる。また、基板21は、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0025】
発光素子22は、基板21の、伝熱部40側とは反対側に設けることができる。発光素子22は、少なくとも1つ設けることができる。
図1に例示をした車両用照明装置1の場合には、複数の発光素子22が設けられている。なお、複数の発光素子22が設けられる場合には、複数の発光素子22を直列接続することができる。また、発光素子22は、抵抗23と直列接続することができる。
【0026】
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
発光素子22は、例えば、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)型などの表面実装型の発光素子とすることができる。なお、発光素子22は、例えば、砲弾型などのリード線を有する発光素子とすることもできる。なお、
図1に例示をした発光素子22は、表面実装型の発光素子である。
【0027】
また、発光素子22は、COB(Chip On Board)により実装されるものとすることもできる。COBにより実装される発光素子22とする場合には、チップ状の発光素子22と、発光素子22と配線パターン21aとを電気的に接続する配線と、発光素子22と配線を囲む枠状の部材と、枠状の部材の内部に設けられた封止部などを基板21の上に設けることができる。この場合、枠状の部材は、封止部の形成範囲を規定する機能と、リフレクタの機能とを有するものとすることができる。また、封止部には、蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)などとすることができる。なお、枠状の部材を設けずに封止部のみを設けることもできる。封止部のみを設ける場合には、ドーム状の封止部が基板21の上に設けられる。
【0028】
発光素子22の光の出射面は、車両用照明装置1の正面側に向けられている。発光素子22は、主に、車両用照明装置1の正面側に向けて光を出射する。発光素子22の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、車両用照明装置1の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
【0029】
抵抗23は、基板21の、伝熱部40側とは反対側に設けることができる。抵抗23は、配線パターン21aと電気的に接続することができる。抵抗23は、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。なお、
図1に例示をした抵抗23は、表面実装型の抵抗器である。
【0030】
膜状の抵抗器の材料は、例えば、酸化ルテニウム(RuO2)とすることができる。膜状の抵抗器は、例えば、スクリーン印刷法および焼成法を用いて形成することができる。抵抗23が膜状の抵抗器であれば、抵抗23と基板21との接触面積を大きくすることができるので、放熱性を向上させることができる。また、複数の抵抗23を一度に形成することができる。そのため、生産性を向上させることができる。また、複数の抵抗23における抵抗値のばらつきを抑制することができる。
【0031】
ここで、発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、アノード端子とグランド端子との間の印加電圧を一定にすると、発光素子22から照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22から照射される光の明るさが所定の範囲内に収まるように、抵抗23により、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにすることができる。この場合、抵抗23の抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにすることができる。
【0032】
抵抗23が表面実装型の抵抗器やリード線を有する抵抗器などの場合には、発光素子22の順方向電圧特性に応じて適切な抵抗値を有する抵抗23を選択することができる。抵抗23が膜状の抵抗器の場合には、抵抗23の一部を除去すれば、抵抗値を増加させることができる。抵抗23の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0033】
その他、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために、ダイオードを設けることもできる。また、発光素子22に関する導通の検出や、誤点灯防止などのために、プルダウン抵抗を設けることもできる。また、配線パターン21aや膜状の抵抗器などを覆う被覆部を設けることもできる。被覆部は、例えば、ガラス材料を含むものとすることができる。
【0034】
給電部30は、給電端子31および保持部32を有することができる。
給電端子31は、棒状体とすることができる。給電端子31は、凹部11aの底面11a1から突出することができる。給電端子31は、複数設けることができる。複数の給電端子31は、所定の方向に並べて設けることができる。複数の給電端子31は、保持部32の内部を延びている。複数の給電端子31の、発光モジュール20側の端部は、基板21に設けられた配線パターン21aと半田付けすることができる。複数の給電端子31の放熱フィン14側の端部は、コネクタホルダ15の孔15aの内部に露出することができる。孔15aの内部に露出する複数の給電端子31には、コネクタ105を嵌め合わせることができる。給電端子31は、例えば、銅合金などの金属から形成することができる。なお、給電端子31の数、形状、配置、材料などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0035】
前述したように、ソケット10は熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。ところが、熱伝導率の高い材料は導電性を有している場合がある。例えば、炭素を含むフィラーを用いた高熱伝導性樹脂などは、導電性を有している。そのため、保持部32は、給電端子31と、導電性を有するソケット10との間を絶縁するために設けることができる。また、保持部32は、複数の給電端子31を保持する機能をも有することができる。なお、ソケット10が絶縁性を有する高熱伝導性樹脂(例えば、酸化アルミニウムを含むフィラーを用いた高熱伝導性樹脂など)から形成される場合には、保持部32を省くことができる。この場合、ソケット10が複数の給電端子31を保持することができる。
【0036】
保持部32は、絶縁性を有する樹脂から形成することができる。保持部32は、例えば、ソケット10に設けられた孔10aに圧入したり、孔10aの内壁に接着したりすることができる。
【0037】
伝熱部40は、ソケット10の一方の端部側に設けることができる。伝熱部40は、凹部11cの内部に設けることができる。伝熱部40は、凹部11cの内部に接着することができる。
図2および
図3に示すように、伝熱部40の面40aは、凹部11aの底面11a1より突出した位置に設けられている。すなわち、ソケット10は、一方の端部側に凹部11cを有している。伝熱部40は、凹部11cの底面側とは反対側の面40aが、ソケット10の凹部11cが開口する面(底面11a1)より突出した位置に設けられている。そのため、伝熱部40の側面40bの一部は、凹部11aの内部に露出している。
【0038】
伝熱部40を接着する接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、熱伝導率が高い材料を用いたフィラーが混合された接着剤とすることができる。熱伝導率が高い材料は、例えば、炭素、酸化アルミニウムなどのセラミックス、金属などとすることができる。接着剤の熱伝導率は、例えば、0.5W/(m・K)以上、10W/(m・K)以下とすることができる。
【0039】
この様な接着剤が硬化することで形成された層が、接着層41となる。すなわち、接着層41は、凹部11cの内壁と、伝熱部40と、の間に設けられている。接着層41は、樹脂とフィラーを含んでいる。また、接着層41の熱伝導率は、例えば、0.5W/(m・K)以上、10W/(m・K)以下とすることができる。伝熱部40とソケット10との間に、この様な熱伝導率を有する接着層41が設けられていれば、発光モジュール20において発生した熱を、伝熱部40および接着層41を介してソケット10に伝えるのが容易となる。
【0040】
また、伝熱部40は、熱伝導グリス(放熱グリス)を含む層を介して、凹部11cの内部に設けることもできる。熱伝導グリスは、例えば、変性シリコーンに、熱伝導率が高い材料を用いたフィラーが混合されたものとすることができる。熱伝導率が高い材料は、例えば、炭素、酸化アルミニウムなどのセラミックス、金属などとすることができる。熱伝導グリスの熱伝導率は、例えば、1W/(m・K)以上、5W/(m・K)以下とすることができる。
【0041】
また、伝熱部40は、インサート成形法を用いて、ソケット10の凹部11aの底面11a1に埋め込むこともできる。インサート成形法を用いて、伝熱部40を凹部11aの底面11a1に埋め込めば、伝熱部40をソケット10に密着させることができるので、伝熱部40とソケット10との間の熱伝達を容易とすることができる。ところが、車両用照明装置1(発光素子22)の、点灯と消灯が繰り返し行われると、ソケット10と伝熱部40の加熱と冷却が繰り返し生じることになる。材料が異なるため、ソケット10の材料の線膨張係数(熱膨張量)と、伝熱部40の材料の線膨張係数(熱膨張量)は異なるものとなるので、加熱と冷却が繰り返し生じると、熱応力が繰り返し生じることになる。そのため、繰り返し生じた熱応力により、経時的に、ソケット10と伝熱部40との間に隙間が生じる場合がある。ソケット10と伝熱部40との間に隙間が生じると、ソケット10への熱伝導が阻害されたり、伝熱部40や基板21に温度分布が生じ易くなったりするおそれがある。熱伝導が阻害されたり、伝熱部40や基板21に温度分布が生じたりすると、発光素子22の温度上昇を抑制できなくなるおそれがある。
【0042】
この場合、接着層41または熱伝導グリスを含む層を介して、凹部11cの内部に伝熱部40を設ければ、これらの層が緩衝層となるので、前述した熱応力を緩和させたり、走行に伴う振動を減衰させたりすることができる。しかしながら、凹部11cの内部に熱伝導グリスを含む層を介して伝熱部40を設けると、伝熱部40とソケット10との間の接合強度が小さくなる。
そのため、伝熱部40は、凹部11cの内部に接着することが好ましい。
【0043】
伝熱部40は、発光モジュール20において発生した熱が、ソケット10に伝わりやすくするために設けられる。そのため、伝熱部40は、熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。伝熱部40は、板状を呈し、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの金属から形成することができる。
【0044】
自動車に設けられる車両用照明装置1の場合には、使用環境の温度が、-40℃~85℃となる。そのため、発光素子22の発熱量が多い場合には、発光素子22の温度が高くなり過ぎて、発光素子22の寿命が短くなったり、発光素子22の機能が低下したりするおそれがある。
前述したように、ソケット10および伝熱部40は、高い熱伝導率を有する材料から形成されている。そのため、発光素子22の温度が過度に高くなるのを抑制することができる。
【0045】
また、前述したように、発光モジュール20(基板21)は、伝熱部40の面40aに接着することができる。この場合、接着剤が硬化することで形成された層が、接着層42となる。すなわち、接着層42は、基板21と伝熱部40との間に設けられている。発光モジュール20において発生した熱は、基板21および接着層42を介して、伝熱部40に伝わる。そのため、基板21を接着する接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、基板21を伝熱部40に接着する接着剤は、前述した、伝熱部40を凹部11cの内部に接着する接着剤と同じとすることができる。
【0046】
そのため、接着層42は、樹脂とフィラーを含んでいる。また、接着層42の熱伝導率は、例えば、0.5W/(m・K)以上、10W/(m・K)以下とすることができる。伝熱部40と基板21との間に、この様な熱伝導率を有する接着層42が設けられていれば、発光モジュール20において発生した熱を、接着層42を介して伝熱部40に伝えるのが容易となる。
【0047】
樹脂を含む接着層42が、伝熱部40と基板21との間に設けられていれば、前述した熱応力を緩和させたり、走行に伴う振動を減衰させたりすることができる。しかしながら、樹脂の剛性が大きすぎると、熱応力の緩和効果や振動の減衰効果が小さくなる。一方、樹脂の剛性が小さすぎると、振動などが加えられた際に、接着層42が剥がれたり、ひびが生じたりするおそれがある。このことは、伝熱部40と凹部11cの内壁との間に設けられた接着層41の場合も同様である。接着層41および接着層42の少なくともいずれかが剥がれたり、ひびが生じたりすると、隙間が生じて熱伝導が阻害されたり、振動などで伝熱部40が脱離したりするおそれがある。
【0048】
本発明者の得た知見によれば、接着層41および接着層42に含まれる樹脂は、シリコーン樹脂とすることが好ましい。エポキシ樹脂などよりも柔軟なシリコーン樹脂を含む接着層41および接着層42とすれば、熱応力の緩和効果や振動の減衰効果を向上させることができる。また、振動などが加えられた際に、接着層41および接着層42が剥がれたり、ひびが生じたりするのを抑制することができる。
【0049】
また、平面視において、基板21の周縁は、伝熱部40の周縁よりも外側に位置するようにしている。例えば、伝熱部40の面40aの寸法は、基板21の、伝熱部40側の面の寸法よりも小さくすることができる。そのため、
図3に示すように、接着層42の、伝熱部40の側面40bより突出した部分にはフィレット42aを設けることができる。
フィレット42aは、少なくとも、基板21の、伝熱部40側の面に接触している。フィレット42aの、凹部11aの内部に露出する面42a1は、凹状の曲面とすることができる。
【0050】
フィレット42aが設けられていれば、基板21と接着層42の接合強度、ひいては伝熱部40と基板21との間の接合強度を大きくすることができる。また、膜状を呈する接着層42は、周縁部分が剥離し易くなるが、フィレット42aが設けられていれば、接着層42の周縁部分の接合強度を大きくすることができる。そのため、接着層42の周縁部分が剥がれるのを抑制することができる。
【0051】
また、フィレット42aは、基板21の周縁に沿った方向において、全周に設けることもできるし、一部の領域に設けることもできる。この場合、フィレット42aの、基板21の周縁に沿った長さが長くなれば、伝熱部40と基板21との間の接合強度をより大きくすることができる。
【0052】
また、前述したシリコーン樹脂とフィラーを含む接着剤の場合には、接着剤の粘度が2Pa・s~80Pa・s程度となる。そのため、
図3に示すように、伝熱部40の側面40bと、基板21の端面との間の距離L(基板21の、伝熱部40からの突出寸法)を、0.5mm以上、3.0mm以下とすることが好ましい。この様にすれば、シリコーン樹脂とフィラーを含む接着剤を用いる場合に、適切なフィレット42aを形成するのが容易となる。
【0053】
また、基板21の、伝熱部40側の面の表面粗さは、算術平均粗さRaで、5μm以上、40μm以下とすることが好ましい。
この様にすれば、フィレット42aと基板21との間の接合強度を大きくすることができるので、伝熱部40と基板21との間の接合強度を大きくするのが容易となる。
【0054】
フィレット42aは、例えば、伝熱部40の面40aの上に接着剤を供給し、発光モジュール20(基板21)を伝熱部40の面40aに押し付けた際に、伝熱部40の外側の領域に接着剤をはみ出させることで形成することができる。
また、フィレット42aは、例えば、ディスペンサなどを用いて、伝熱部40の面40aの周縁に沿って接着剤を供給することで形成することもできる。
この場合、フィレット42aの形状は、表面張力などにより形成してもよいし、へらなどを用いて形成してもよい。
【0055】
また、発光モジュール20(基板21)を接着する接着剤や、伝熱部40を接着する接着剤が、基板21の、発光素子22が設けられた面の周縁近傍に付着すると、見栄えが悪くなることで商品価値が低下するおそれがある。この場合、距離Lを前述した範囲内に収めれば、接着剤が、基板21の、発光素子22が設けられた面の周縁近傍に侵入するのを抑制することができる。また、基板21の周縁が伝熱部40の側面40bから突出していれば、基板21の周縁近傍と、凹部11aの底面11a1との間に、発光モジュール20(基板21)の周縁近傍をつかむチャックの爪を侵入させることができる。そのため、チャックを有する搬送装置を用いて、伝熱部40に発光モジュール20(基板21)を載置し、これを接着するのが容易となる。
【0056】
図4は、他の実施形態に係る車両用照明装置1aを例示するための模式断面図である。
図5は、
図4における車両用照明装置1aのC部の模式拡大図である。
前述したように、伝熱部40を設ければ、発光モジュール20において発生した熱が、ソケット10に伝わりやすくなる。
【0057】
しかしながら、車両用照明装置の用途などによっては、例えば、全光束を少なくしてもよい場合がある。例えば、全光束が少なくてもよければ、発光素子22において発生する熱を少なくすることができる。すなわち、車両用照明装置の用途などによっては、伝熱部40を省くこともできる。伝熱部40を省くことができれば、車両用照明装置の軽量化や低コスト化を図ることができる。
【0058】
伝熱部40を省く場合には、
図4および
図5に示すように、凹部11aの底面11a1に凸部11a2を設けることができる。すなわち、凸部11a2は、ソケット10の一方の端部側に設けることができる。凸部11a2は、ソケット10(装着部11)と一体に形成することができる。
【0059】
凸部11a2の形状と寸法は、例えば、伝熱部40の、凹部11aの底面11a1から突出した部分の形状と寸法と同じとすることができる。そのため、平面視において、基板21の周縁は、凸部11a2の周縁よりも外側に位置している。接着層42の、凸部11a2の側面より突出した部分にはフィレット42aが設けられている。フィレット42aは、基板21の、凸部11a2側の面に接触している。
【0060】
発光モジュール20(基板21)は、凸部11a2の上に設けることができる。発光モジュール20(基板21)は、凸部11a2の頂面11a2aに接着することができる。接着層42は、基板21と凸部11a2の間に設けることができる。この場合、凸部11a2の頂面11a2aの表面粗さは、算術平均粗さRaで、2μm以上、30μm以下とすることが好ましい。この様にすれば、接着層42と凸部11a2との間の接合強度を大きくすることができるので、基板21とソケット10との間の接合強度を大きくするのが容易となる。
【0061】
少なくとも1つの発光素子22は、基板21の、凸部11a2側とは反対側に設けられている。基板21の、凸部11a2側の面の表面粗さは、算術平均粗さRaで、5μm以上、40μm以下とすることが好ましい。
【0062】
また、凸部11a2の側面11a2bと、基板21の端面との間の距離L1(基板21の、凸部11a2からの突出寸法)を、0.5mm以上、3.0mm以下することが好ましい。この様にすれば、前述した伝熱部40の場合と同様に、シリコーン樹脂とフィラーを含む接着剤を用いる場合に、適切なフィレット42aを形成するのが容易となる。
【0063】
(車両用灯具)
次に、車両用灯具100について例示する。
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるフロントコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるフロントコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0064】
図6は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図6に示すように、車両用灯具100には、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素部103、シール部材104、およびコネクタ105を設けることができる。
【0065】
筐体101には車両用照明装置1を取り付けることができる。筐体101は、装着部11を保持することができる。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈したものとすることができる。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成することができる。筐体101の底面には、装着部11の、バヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aを設けることができる。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部を設けることができる。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0066】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、例えば、取付孔101aの周縁に設けられた嵌合部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0067】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐように設けることができる。カバー102は、透光性を有する樹脂などから形成することができる。カバー102は、レンズなどの機能を有することもできる。
【0068】
光学要素部103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素部103は、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行うことができる。例えば、
図6に例示をした光学要素部103はリフレクタである。この場合、光学要素部103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンを形成することができる。
【0069】
シール部材104は、フランジ13と筐体101の間に設けることができる。シール部材104は、環状を呈するものとすることができる。シール部材104は、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成することができる。
【0070】
車両用照明装置1が車両用灯具100に取り付けられた際には、シール部材104は、フランジ13と筐体101との間に挟まれる。そのため、シール部材104により、筐体101の内部空間を密閉することができる。また、シール部材104の弾性力により、バヨネット12が筐体101に押し付けられる。そのため、車両用照明装置1が、筐体101から脱離するのを抑制することができる。
【0071】
コネクタ105は、孔10bの内部に露出している複数の給電端子31の端部に嵌め合わせることができる。コネクタ105には、図示しない電源などを電気的に接続することができる。そのため、コネクタ105を複数の給電端子31の端部に嵌め合わせることで、図示しない電源などと、発光素子22とを電気的に接続することができる。
【0072】
また、コネクタ105には、シール部材105aを設けることができる。シール部材105aを有するコネクタ105が、コネクタホルダ15の孔15aに挿入された際には、孔15aが水密となるように密閉される。シール部材105aは、環状を呈し、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成することができる。
【0073】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 車両用照明装置、1a 車両用照明装置、10 ソケット、11 装着部、11a 凹部、11a1 底面、11a2 凸部、11a2a 頂面、11a2b 側面、11c 凹部、20 発光モジュール、21 基板、22 発光素子、40 伝熱部、40a 面、40b 側面、41 接着層、41a フィレット、42 接着層、42a フィレット、100 車両用灯具、101 筐体