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特許7341403管状構造物を接続するための装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】管状構造物を接続するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/11 20060101AFI20230904BHJP
【FI】
A61B17/11
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020558510
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2019027375
(87)【国際公開番号】W WO2019204167
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-04-08
(31)【優先権主張番号】62/659,075
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520402546
【氏名又は名称】ルーベック,デビッド
【氏名又は名称原語表記】RUEBECK,David
【住所又は居所原語表記】2741 Drew Avenue S.,Minneapolis,Minnesota 55416 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】ルーベック,デビッド
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-500642(JP,A)
【文献】特表2002-516696(JP,A)
【文献】特表2003-515416(JP,A)
【文献】特表2005-505322(JP,A)
【文献】米国特許第4214587(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0250461(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者内の2つの生物学的構造物の内部空間を接続するための装置であって、
リングと、
前記リングに接続された複数のピンと、を備え、
前記装置は、前記複数のピンの各々が第1方向で前記リングから半径方向内側に延びる第1形状から、前記複数のピンが第2方向で前記リングから半径方向外側に延びる第2形状に外翻されるように構成される、
前記リングは、前記第1形状において交互の山と谷とを有する複数の波を形成するワイヤを含み、前記複数のピンの各々は、前記谷の1つにおいて接続され、
前記複数のピンは全て、前記第1形状において内側に湾曲し、
前記複数のピンは、前記リングの前記山よりも低い高さで終端するピンと、前記リングの前記山を越えて延びて終端するピンとを交互に有する、装置。
【請求項2】
前記複数の波は、前記ワイヤ内で交互に繰り返される複数の曲線から形成される、請求項に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の波は、それぞれ矩形である、請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記複数のピンは、前記装置が前記第2形状にあるとき半径方向外側に湾曲する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記リングが、直径方向に円形または楕円形である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記リングが完全に閉じているか、または開いた「C」形状である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記リングがエラストマー材料からなる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記リングの一部と係合し、前記リングをねじって前記第1形状と前記第2形状との間に外翻させるような大きさのスリーブを有する送達ツールをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記装置を半径方向に圧縮するような大きさの管状構造物を有する送達ツールをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2018年4月17日に出願された「管状構造物を接続するための装置及び方法」と題する米国仮出願第62/659,075号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
様々な医療処置の多くにおいて、血管、導管、人工管、腸、または尿路の部分のような2つの空洞または通路の間の外科的接続が必要とされる。この接続法は吻合と呼ばれることが多い。
【0003】
一般に、吻合処置は、手縫合、機械的接続、生物学的接着剤、またはそれらの組み合わせによって行われる。接続技術は、接続される通路/空洞の種類(例えば、血管または腸)、接続の角度(例えば、エンドツーエンド接続または側方の、エンドツーサイド接続)、通路のサイズ(例えば、直径1mm未満から25mm超)、および異なる種類の構造物が接続されているかどうか(例えば、膀胱及び尿道)に依存することが多い。
【0004】
手縫い縫合は、接続する構造物の種類、サイズ、または接続角にかかわらず、その適合性から最も頻繁に使用される傾向がある。縫合糸はまた、最初に望ましくない方法で接続された場合、処置中に容易に除去することができる。しかし、縫合は、処置中においてかなりの実行時間を必要とすることが多い。さらに、吻合を行うための適切な外科的縫合技術には、外科医に対するかなりの量の訓練が必要とされ、また、処置中において訓練された助手が必要とされることが多い。時には、縫合吻合も狭窄を合併することがあり得る。
【0005】
ステープルまたは他の機械的閉鎖装置は、処置中において2つの構造物を迅速に接続することができるため、望ましいことが多い。しかし、典型的には、比較的大きく複雑な装置が必要とされ、これにより、どの種類の閉鎖サイズおよび構造物が接続できるかが制限され得る。同様に、生物学的接着剤は、2つの組織構造物を迅速に接続できるために望ましいが、最初の接続が望ましくない場合には、容易に溶解できないことが多い。
【0006】
この点において、2つの構造物を互いに迅速に接続することができ、可逆的な接続を提供し、縫合糸よりも信頼性が高く、容易に配置することができ、広範囲の形状/サイズの生物学的構造物と共に使用することができる吻合閉鎖装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、一般に、吻合を行うための装置および方法に関する。本発明による一実施形態において、本装置は、リング上の様々な位置から延びる複数のピンを有するリングを備える。処置中においては、ピンを組織の一部に通し、リングを外翻し、または半径方向に内側を外側にひっくり返して組織をつなぎ合わせる。
【0008】
一実施形態では、装置は、複数の交互に存在する曲線または波形から形成されるリングを含む。一実施形態では、リングは、外翻または外向きの回転を可能にするように形作られる。一実施形態では、装置は、交互に配置された複数の湾曲したピンを備える。別の実施形態では、装置は、複数の比較的短いピンを備える。別の実施形態では、装置は、複数の比較的長いピンを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の実施形態が可能であるこれらおよび他の態様、特徴および利点は、添付の図面を参照して、本発明の実施形態の以下の説明から明らかにされ、説明されるであろう。
【0010】
図1図1は本発明による管状接続装置の斜視図である。
【0011】
図2図2は本発明による管状接続装置の側面図である。
【0012】
図3図3は本発明による管状接続装置の側面図である。
【0013】
図4図4は本発明による管状接続装置の上面図である。
【0014】
図5図5は、図1の装置を反転させた状態を示す。
【0015】
図6図6は、図1の装置を反転させた状態を示す。
【0016】
図7図7は、図1の装置を反転させた状態を示す。
【0017】
図8図8は、図1の装置を反転させた状態を示す。
【0018】
図9図9は、図1の装置を反転させた状態を示す。
【0019】
図10図10は、図1の装置を反転させた状態を示す。
【0020】
図11図11は、図1の装置を反転させた状態を示す。
【0021】
図12図12は、図1の装置を反転させた状態を示す。
【0022】
図13図13は、二つの管状構造物を接続する図1の装置を示す。
【0023】
図14図14は、二つの管状構造物を接続する図1の装置を示す。
【0024】
図15図15は、二つの管状構造物を接続する図1の装置を示す。
【0025】
図16図16は、二つの管状構造物を接続する図1の装置を示す。
【0026】
図17図17は、二つの管状構造物を接続する図1の装置を示す。
【0027】
図18図18は、二つの管状構造物を接続する図1の装置を示す。
【0028】
図19図19は、二つの管状構造物を接続する図1の装置を示す。
【0029】
図20図20は、二つの管状構造物を接続する図1の装置を示す。
【0030】
図21図21は、本発明による管状接続装置の斜視図を示す。
【0031】
図22図22は、本発明による管状接続装置の斜視図を示す。
【0032】
図23図23は、本発明による管状接続装置の斜視図を示す。
【0033】
図24図24は、本発明による管状接続装置の斜視図を示す。
【0034】
図25図25は、本発明による管状接続装置のための展開装置を示す。
【0035】
図26図26は、本発明による管状接続装置のための展開装置を示す。
【0036】
図27図27は、本発明による管状接続装置のための展開装置を示す。
【0037】
図28図28は、本発明による管状接続装置のための展開装置を示す。
【0038】
図29図29は、本発明による管状接続装置のための展開装置を示す。
【0039】
図30図30は、本発明による管状接続装置のための展開装置を示す。
【0040】
図31図31は、本発明による管状接続装置のための展開装置を示す。
【0041】
図32図32は、本発明による管状接続装置のための展開装置を示す。
【0042】
図33図33は、本発明による管状接続装置のための展開装置を示す。
【0043】
図34図34は、本発明による管状接続装置のための展開装置を示す。
【0044】
図35図35は、本発明による管状接続装置のための展開装置を示す。
【0045】
図36図36は、本発明による管状接続装置のための展開装置を示す。
【0046】
図37図37は、本発明による管状接続装置のための展開装置を示す。
【0047】
図38図38は、本発明による管状接続装置のための展開装置を示す。
【0048】
図39図39は、本発明による管状接続装置の斜視図を示す。
【0049】
図40図40は、本発明による管状接続装置の斜視図を示す。
【0050】
図41図41は、本発明による管状接続装置のための展開装置を示す。
【0051】
図42図42は、本発明による管状接続装置の斜視図を示す。
【0052】
図43図43は、本発明による管状接続装置の斜視図を示す。
【0053】
図44図44は、本発明による管状接続装置の斜視図を示す。
【0054】
図45図45は、本発明による管状接続装置の斜視図を示す。
【0055】
図46図46は、本発明による管状接続装置のための展開装置の使用を示す。
【0056】
図47図47は、本発明による管状接続装置のための展開装置の使用を示す。
【0057】
図48図48は、本発明による管状接続装置のための展開装置を示す。
【0058】
図49図49は、本発明による管状接続装置のための展開装置を示す。
【0059】
図50図50は、本発明による管状接続装置のための展開装置を示す。
【0060】
図51図51は、本発明による管状接続装置のための展開装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、図面を参照して、本発明の具体的な実施形態について説明する。しかし、本発明は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全であり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるために提供されるものであり、添付の図面に示される実施形態の詳細な説明において使用される用語は、本発明を限定することを意図するものではない。図面において、同様の番号は、同様の要素を指す。
【0062】
本発明は、一般に、吻合を行うための装置に関する。本明細書は、血管、導管、腸および尿路を接続するための本発明の使用を主に記載しているが、通路および/または空洞を有する任意の生物学的構造物と共に使用することができることを理解されたい。本発明の装置は、通常形状、初期形状、および/または反転(inverted)形状から外翻(everted)形状に移行するものとして説明される。外翻形状は、装置がひっくり返ったか、またはその初期形状に対してその周囲を中心に回転したことを意味し得ることを理解されたい。いくつかの例では、この回転は、180度より大きく、180度より小さく、または約180度であってもよく、装置は、その初期形状に対して少なくとも部分的に内側から外側に裏返されることがある。本明細書では、外翻(例えば、それ自体の周りの半径方向外側への回転)が説明されているが、特に比較的小さいピンのみが使用される場合、一部の実施形態では、反転させることによって同様の結果を達成できる可能性がある。
【0063】
図1図4は、生物学的構造物を接続するための吻合装置100の本発明による一実施形態を示す。装置100は、リング102上の様々な位置から延びる複数のピン104、106を有するリング102を備える。処置中に、ピン104、106は、組織の各部を通過し、初めに接続するために使用される。次いで、以下にさらに説明するように、リング102を外翻するか、または半径方向に内側を外側にひっくり返して、組織を互いに押し付ける。
【0064】
本実施形態では、リング102は、山102A及び谷102Bを有する複数の波形状に形成されたワイヤ又は細長い構造物から構成されている。これらの波形は、外翻工程中において、リング102の一部の伸縮を容易にする。好ましくは、山102A及び谷102Bは、湾曲した又は丸みを帯びた形状を有するが、例えば方形/矩形波、「ジグザグ」ストラット、又は織メッシュ構造のような外翻することができる他の形状も可能である。リング102は、接続され、連続した円形波構造を形成するが、不連続なC字形状として形成されてもよい。さらに、リング102の各波は、サイズが均一であるように示されているが、いくつかの波は、他の波よりも大きくてもよい。例えば、リング102は、大きな波と小さな波とを交互に有することができる。「リング」という用語が使用されているが、これは、円形/管状形状、正方形形状、三角形形状、六角形、八角形、および同様の多面形状を意味するものと理解されるべきである。
【0065】
リング102およびピン104、106は、任意の形状(例えば、円形、平坦、または非対称)を有する一つ以上のワイヤから構成されてもよい。好ましくは、このワイヤは、形状記憶金属(例えばニチノール)からなるが、他の金属またはポリマーも可能である。一実施形態では、ワイヤは生体吸収性材料からなる。別の実施形態では、装置100は、材料リングからレーザーカットされる。別の実施形態では、リングは、シリコーンのような可撓性材料から構成することができ、ピン104、106は、剛性材料から構成することができる。
【0066】
装置が形状記憶材料から構成される場合、装置はその外翻を容易にする記憶形状(例えば、ヒートセット形状)を有するように構成することができる。例えば、体温のようなある温度に到達すると、形状記憶材料はまた、その転移温度に到達し、それにより外翻した形状へねじらせる。
【0067】
装置100は、細長いピン104及び短縮ピン106の両方を含み、これらは谷102Bで接続され、交互に配置される。細長いピン104は、好ましくは、装置100に対して半径方向内側、上方、次いで半径方向外側に湾曲する形状を有する。一例では、細長いピン104は、波の山102Aの上方に延びているが、代わりに、山102Aとほぼ同じ高さまで延びることもでき、または山102Aのいくらか下まで延びることもできる。細長いピン104は、約90度と180度、好ましくは約150度の範囲内で上向きの曲線を形成する。短縮ピン106は、好ましくは、装置100に対して半径方向内側かつ上方に延びる形状を有する。短縮ピン106は、約30度と90度、好ましくは約60度の範囲内で上向き曲線を形成する。ピン104および106の両方は、好ましくは、組織を容易に貫通するように成形された尖った遠位端を有する。遠位端上のとげまたは同様の形状が可能であるが、必要に応じて位置を変えるために組織からピンを取り外すことができるように、均一で先細りの形状が好ましい。
【0068】
図5~8を参照すると、装置100は、吻合処置中に外翻することができる。図9~12には、管状構造物の外翻も示されていることに注意する。この外翻工程は、本明細書において後述するように、手動で、または展開ツールを使用して実行できる。図5は、装置100を初期形状または通常形状で示しており、ピン104、106は、図の観察者に対して半径方向内側および上方を向いている。図6において、リング102の山102Aは、半径方向外方および下方に移動され、ピン104の遠位端部を上方位置に向けて回転させ、ピン106の遠位端部を半径方向外方位置に向けて回転させる。
【0069】
図7において、リング102の山102Aおよびピン104の遠位端は、下方に傾斜した位置まで回転し続ける。ピン106の遠位端もまた、外向き半径方向位置まで回転し続ける。最後に、図8において、装置100は、完全に外翻されるか、または内側が外側になる。この外翻された形状では、谷102Bおよび山102Aは高さが反転され、ピン106はリング102から半径方向外側に傾斜し、ピン104はリング102から半径方向外側および下方に傾斜している。
【0070】
図13図20は、吻合処置中の2つの血管端部の固定に関連するこの外翻過程を示す。図9を始めとして、任意の保持バンド108が第1血管10Aの上に配置され、続いて装置100が配置される。装置100は、山102Aが血管10Aの端部に最も近い位置に配置されるように方向付けられる。
【0071】
図14において、細長いピン104は、第1血管10Aの開口部の周囲の組織を通って挿入される。山102Aは、組織を通って細長いピン104を適切に方向付けるのを補助するために、ある程度半径方向に圧縮されてもよい。山102Aが再び半径方向に拡張されると、より小さいピン106も、第1血管10Aの開口部の周囲の組織を通って導かれる。
【0072】
図15を参照すると、細長いピン104の遠位端は、第2血管10Bの開口内に配置される。一旦内側に入ると、リング102の山102Aは、回転されるか、または第2血管10Bから半径方向に引き離され、図16に見られるように、細長いピン104が第2血管10Bの組織を貫通するようになる。
【0073】
図17を参照すると、リング102の波が第1血管10Aの外側に向かってさらに回転すると、小さいピン106も第2血管10Bの組織を通過する。図18に示すように、外翻が完了すると、リング102の波は第1血管10Aの外側の周囲に円周方向に配置され、小さい方のピン104は半径方向外側に傾斜し、細長いピン104は第2血管10Bから離れるように延びる。保持バンド108が使用される場合、図19に示すように、保持バンドをリングの波の上に滑らせて、装置100の外翻された形状を維持するのを助けることができる。図20は、外翻形状における装置100の断面図を示す。
【0074】
図21および図22は、前述の装置100とほぼ同様である装置110の別の実施形態を示す。しかし、装置110は、リング102の波形の谷102Bから延びる複数のより小さいピン106のみを含む。装置110は、ピン106が半径方向外側に配置され、上方に湾曲するように、完全に外翻された形状で図示されている。前述の装置100とは異なり、装置110は、その使用に応じて、より狭い範囲での外翻を必要としてもよい。例えば、リング102の波は、約0度(すなわち、略平面形状)から約45度(略凹形状)に外翻又は移行してもよい。より小さく、より湾曲したピン106の使用及びより限定された範囲での外翻は、本明細書で後述するように、ある管状構造物の端部を別の管状構造物の側方開口部に接続する際に有用であり得る。リングは、管状構造物間の細長い接続を可能にするために、非対称または楕円形であってもよい。別の実施形態においては、装置110は、外翻せずに固定形状のままであってもよいが、リング102は、ピン106が、一度に一つずつ組織に係合するように個別に湾曲され得るように、十分な可撓性を与える。
【0075】
図23および図24は、前述の装置100とほぼ同様である装置120の別の実施形態を示す。しかしながら、装置120は、その谷102Bの各々から延びるより長いピン104のみを含み、それ以外の点では、装置120は、装置100について説明したのと同様の方法で外翻される。長いピン104のみを使用することは、本明細書で後述するように、管状構造物を膀胱などの空洞に接続する場合に特に有用である。
【0076】
図25~29は、前述の装置120とほぼ同様であるが、傾斜した楕円形を有する装置130の別の実施形態を示している。図26に最もよく示されているように、リング102は、上方または下方から見たときに、ほぼ楕円形を形成し、図27に最もよく示されているように、リングの波は、リング102の全平面に対して非垂直方向に「傾斜」または角度付けされている。この楕円で角度のある形状は、互いに垂直でない角度で交差する2つの構造を接続する場合に役立ち得る。
【0077】
図30図32は、本明細書の前述の実施形態と概ね同様である装置140の別の実施形態を示すが、波形リングの代わりに、装置140は、シリコーン、ゴム、ラテックス、または他のエラストマー材料などの可撓性材料からなるリング142を含む。ピン104は、金属またはポリマーなどのより剛性の材料から構成されてもよく、リング142と機械的に係合されるか、接着剤を介して接続されるなどの様々な技術を用いてリング142に接続されてもよい。図30は、装置140を、ピン104が半径方向内側に湾曲した通常または反転形状で示し、図31は、装置140を、ピン104が装置140の中心から半径方向外方に向けられた部分的に外翻された形状で示し、図32は、装置140を、ピン104が装置140から半径方向外方に湾曲した完全に外翻された形状で示す。この点に関して、装置140は、本明細書の他の実施形態のいずれかと同様に使用することができる。
【0078】
1つの例示的な送達方法において、本発明の装置は、縫合吻合を行うために使用されるのと同じ器具を用いて展開することができる。例えば、外科医は、これらの器具を使用して、ピンを組織内に前進させ、次いで、リング102を外翻するように、リングに外向きの半径方向の圧力を加えることができる。
【0079】
別の実施例の送達方法では、展開装置を使用して、本発明の装置を展開することができる。例えば、図33は、展開装置130を示し、細長い部材134を備え、これらの部材はそれぞれ、リング102の山102Aと係合するように構成された係合部132に接続されている。一例では、係合部132は、山102Aの一部に適合するような寸法及び形状を有する剛性スリーブである。あるいは、フック又はクランプのような他の係合機構も可能である。一旦係合されると、細長い部材134は、(例えば、ハンドルにより)回転されて、装置100を外翻することができる。別の展開装置を使用して、反転または外翻の特定の形状または状態に装置を保持することができる。
【0080】
別の実施例の送達方法では、展開装置140を使用して、図34に示すように、圧縮された形状から装置100を展開することができる。展開装置140は、装置100がその内部で圧縮される管状部142と、管状部142に近位で取り付けられる細長い部分144とを含めてもよい。任意に、さらなる装置を使用して、図35に示すように、所望の位置で装置100を管状部142から前進させることができる。
【0081】
図36図38は、送達/展開装置145およびその使用方法の別の例を示す。装置は、二つの細長いアーム部材146及び147を備え、その各々は、装置100のリングと係合する遠位端を有する。例えば、アーム146/147の遠位端は、装置100のリングに取り外し可能に係合する溝または直角フィンガーを形成してもよい。装置130とそのアーム134とを垂直方向に係合させる装置130とは異なり、装置145は、アーム146/147が装置100と平行または縦方向から係合することを可能にする。好ましくは、一方のアーム146は、装置100上のより近位の位置(例えば、リングの谷)と係合可能であり、他方のアーム147は、装置100上のより遠位の位置(例えば、リングの山)と係合可能であり、それによって、使用者が一方のアームを押し、他方のアームを引いて、装置100を外翻することができる。
【0082】
図13図20は、装置100と共に二つの管状構造物の二つの端部を取り付ける方法を示すが、これらとは異なる形状の構造物間の接続も可能である。例えば、図39および図40は、第1血管10Aの端部が、装置110によって第2血管10Bの側方開口部に接続されていることを示す。最初に、装置110のリング102の山102Aは、装置110が略平面位置にあるように位置決めされ、それにより、より小さいピン106の端部が、いくらか下方に、または血管10Aの縦方向軸に整列した方向に傾斜することを可能にする。血管10Aの開口部の端部の周りの組織の外側は、ピン106が組織を貫通するように、ピン106の端部の上に配置される。次に、ピン106の端部および第1血管10Aの端部を、第2血管10Bの開口部内に配置し、最後に、リング102を第1血管10Aに向けて回転させ、ピン106を、図40に見られるように、第2血管10Bの開口部の周囲の組織にも貫通させる。
【0083】
図41に示すように、楕円/角度付き装置130を用いて同様の手順を実行することができる。さらに、装置130は、最初に、その角度をつけたリング102を、第2血管10Bと直交しない角度で交差する第1血管10Aの間に配置するように回転される。残りの工程は、前記の実施形態について前述した工程と同様である。
【0084】
図42および図43は、第1血管10Aの端部を第2血管10Bの側方開口部に接続するために使用される装置100を示す。接続方法は、図9図15で説明した方法と同様である。
【0085】
図44および図45は、膀胱14を尿道12に接続するために使用される装置120を示す。接続プロセスは、図9図15に記載されたものと同様に進行するが、装置120が最初に尿道12の上に配置され、尿道に接続され、次いで、リング102の外翻によりピン104が膀胱組織を貫通するように、装置120が膀胱14の開口部に通される。さらに、装置120は、先に説明した実施形態よりも、比較的厚くてもよく、また、幾分長いピンを有してもよい。さらに、装置120は、処置中に尿道を通して送達されてもよい。
【0086】
本明細書の装置は、患者内の2つの構造物を接続する主要な機構として記載されているが、異なる機構を介して接続するための構造物における1つ以上の端部を準備するために使用することもできる。図46は、それぞれの端部で組織を反転させるために第1血管10Aおよび第2血管10B上で使用される二つの装置100を示す。これにより、縫合糸、機械的接続(例えば、ステープル)、または接着剤などの別の接続機構を介してそれらをより良好にまたはより容易に接続することができる。図47は、縫合糸20が両方の装置のピン間/ピンの周りに(任意で組織を通して)織られる特定の接続技術を示す。
【0087】
先の実施形態では、様々な程度に外翻しまたは内側を外側にひっくり返すとして説明したが、本発明による別の装置および方法においては、処置中に装置の個別に曲がる部分のみが意図されている。例えば、図48及び図49は、上述の装置と概ね同様の装置160を示しており、より小さいピン106のみがリング102の谷102Bに配置されている。前述の方法とは異なり、装置160は、ピン106が半径方向に外向きに湾曲するように、前に外翻形状として説明したもので患者内に送達される。装置160を外翻または反転させる代わりに、リング102の各「波」はピン106の一つが所望の組織位置を貫通できるように内側に曲げられ(図48参照)、次いで解放される(図49参照)。この曲げは、図50および図51の管状構造物10Aおよび10Bのような二つの異なる構造物からの組織を接続するために実施することができる。
【0088】
本発明の装置の直径および高さは、接続されている構造物の種類に応じて異なる大きさを有してもよいことを理解されたい。例えば、血管を接続するために使用される場合、装置の直径は、0.2mmと45mmの範囲内であってもよく、その高さは、0.2mmと45mmの範囲内であってもよい。別の例では、膀胱と尿道とを接続するために使用される場合、装置の直径は5mmと25mmの範囲内であってもよく、その高さは5mmと25mmの範囲内であってもよい。別の例では、胆管、卵管、または尿管の一部を接続するために使用される場合、装置の直径は3mmと12mmの範囲内であってもよく、その高さは3mmと15mmの範囲内であってもよい。
【0089】
本発明を特定の実施形態および用途に関して説明したが、当業者は、この教示に照らして、請求項に係る発明の精神から逸脱することなく、または請求項に係る発明の範囲を超えることなく、追加の実施形態および修正を生成することができる。したがって、本明細書の図面および説明は、本発明の理解を容易にするための例として提示されており、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではないことを理解されたい。
【符号の説明】
【0090】
12 尿道
14 膀胱
20 縫合糸
100 吻合装置
102 リング
104、106 ピン
108 保持バンド
10A 第1血管
10B 第2血管
102A 山
102B 谷
140 展開装置
142 管状部
144 細長い部分
145 送達/展開装置
146、147 アーム



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【図 】
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