(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】医薬品販売支援装置、医薬品販売支援方法、及び医薬品販売支援システム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20230904BHJP
【FI】
G16H20/10
(21)【出願番号】P 2021178585
(22)【出願日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517400465
【氏名又は名称】ウィルベース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕樹
【審査官】鹿谷 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-229320(JP,A)
【文献】特開2006-276966(JP,A)
【文献】特開2009-178194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品の属性情報と、前記医薬品の含有成分の種類及び当該含有成分の含有量の範囲ごとに、前記医薬品の効能への貢献レベルを前記医薬品の含有成分の含有量の範囲に応じて点数化したテーブルとを保持する記憶装置と、
対象となる症状または疾病ごとに、前記医薬品の属性情報を参照し、当該属性情報が示す各医薬品における含有成分の含有量の情報を、前記テーブルに適用して、前記各医薬品における各効能のレベルを表す、前記含有成分の含有範囲に応じた値である有効性レベルを判定する処理と、前記各医薬品における前記各効能の有効性レベルの情報を出力する処理を実行する演算装置と、
を備えることを特徴とする
医薬品販売支援装置。
【請求項2】
前記記憶装置は、前記医薬品の属性情報として、前記医薬品、前記医薬品が対応する症状または疾病、ならびに前記医薬品の各含有成分の種類および当該各含有成分の含有量を互いに対応付けた情報を記憶し、前記テーブルとして、医薬品の各含有成分、前記医薬品が対象とする症状、前記医薬品が有する各含有成分の含有量の範囲、及び前記含有量の範囲に対応付けられた点数を互いに対応付けた情報を記憶し、
前記演算装置は、
対象となる症状または疾病ごとに、前記医薬品の属性情報を参照し、当該属性情報が示す各医薬品における含有成分の含有量の情報を、前記テーブルに適用して、前記各医薬品における当該症状又は疾病に対する有効性レベルを判定する処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の
医薬品販売支援装置。
【請求項3】
前記演算装置は、
前記情報を出力するに際し、前記各医薬品における各効能の有効性レベルを一覧表として出力するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の
医薬品販売支援装置。
【請求項4】
前記演算装置は、
前記一覧表において、前記各効能の有効性レベルを、前記点数の高低に応じた複数種類の記号で表示するものである、
ことを特徴とする請求項
3に記載の
医薬品販売支援装置。
【請求項5】
前記演算装置は、
顧客における、医薬品の価格と効能のバランスに関する嗜好の情報を入力装置から取得し、当該嗜好が示す前記バランスに適合する医薬品を、前記属性情報が示す前記各医薬品の販売価格と前記判定した有効性レベルとに基づいて選定し、前記選定した医薬品の情報を出力する処理をさらに実行するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の
医薬品販売支援装置。
【請求項6】
前記演算装置は、
前記顧客の年齢、持病、服用薬、アレルギー、及び妊娠有無の少なくともいずれかの属性情報を入力装置から取得し、当該属性情報が示す事象を踏まえて回避すべき又は使用推奨すべき医薬品を、前記有効性レベルを判定した医薬品の属性情報に基づき、前記有効性レベルを判定した医薬品のうちから選定し、前記選定した医薬品の情報を出力する処理をさらに実行するものである、
ことを特徴とする請求項
5に記載の
医薬品販売支援装置。
【請求項7】
前記演算装置は、
医薬品の剤形、眠気の有無、又は効き目の強弱の少なくともいずれの嗜好の情報を入力装置から取得し、当該嗜好に適合する医薬品を、前記有効性レベルを判定した医薬品の属性情報に基づき、前記有効性レベルを判定した医薬品のうちから選定し、前記選定した医薬品の情報をを出力する処理をさらに実行するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の
医薬品販売支援装置。
【請求項8】
情報処理装置が、
医薬品の属性情報と、前記医薬品の含有成分の種類及び当該含有成分の含有量の範囲ごとに、前記医薬品の効能への貢献レベルを前記医薬品の含有成分の含有量の範囲に応じて点数化したテーブルとを記憶装置で保持し、
対象となる症状または疾病ごとに、前記医薬品の属性情報を参照し、当該属性情報が示す各医薬品における含有成分の含有量の情報を、前記テーブルに適用して、前記各医薬品における各効能のレベルを表す、前記含有成分の含有範囲に応じた値である有効性レベルを判定する処理と、前記各医薬品における前記各効能の有効性レベルの情報を出力する処理を実行する、
ことを特徴とする
医薬品販売支援方法。
【請求項9】
医薬品の属性情報と、前記医薬品の含有成分の種類及び当該含有成分の含有量の範囲ごとに、前記医薬品の効能への貢献レベルを前記医薬品の含有成分の含有量の範囲に応じて点数化したテーブルとを保持する記憶装置と、
対象となる症状または疾病ごとに、前記医薬品の属性情報を参照し、当該属性情報が示す各医薬品における含有成分の含有量の情報を、前記テーブルに適用して、前記各医薬品における各効能のレベルを表す、前記含有成分の含有範囲に応じた値である有効性レベルを判定する処理と、前記各医薬品における前記各効能の有効性レベルの情報を出力する処理を実行する演算装置と、
を備える
医薬品販売支援装置を含むことを特徴とする
医薬品販売支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品等販売支援装置、医薬品等販売支援方法、及び医薬品等販売支援システムに関するものであり、具体的には、一般医薬品等の顧客ニーズにきめ細かく寄り添った、的確で効果的な顧客対応を可能とする販売支援技術に関する。
【背景技術】
【0002】
セルフメディケーションの施策が導入され、ドラッグストアや調剤薬局等において販売される一般医薬品への関心が高まっている。また、健康という観点で言えば、一般医薬品と同様に、医薬部外品や保健機能食品への関心も高まっている。なお、一般医薬品とは、OTC(Over The Counter )医薬品とも呼ばれ、医師による処方箋がなくとも一般ユーザが購入可能な薬である。
【0003】
一方、一般医薬品や医薬部外品、保健機能食品(以下、一般医薬品等)の種類は膨大である現実を踏まえ、ドラッグストア等において、来店者所望の一般医薬品等を探索する支援技術もいくつか提案されてきた。
【0004】
そうした技術としては、例えば、医師または薬剤師が、莫大な薬剤情報の中から、個々の患者ごとに必要な情報だけを抽出して指導することができ、情報が過不足なく患者に伝えられ、わかりやすい薬剤指導を効率よく行うことができ、処方薬剤が患者にとって極めて危険な場合には、薬剤情報データベースを参照することによって容易に判定されるため、不適合な薬剤を投薬してしまうことがなく、このような薬剤情報データベースを用いて、必要な情報だけを記載した薬剤指導文が記載された薬剤指導書を印刷することで、薬剤指導が効率化されるだけでなく患者にとっても、服薬時の自己管理を容易にする技術(特許文献1参照)などが提案されている。
【0005】
また、ユーザが症状を質問形式で入力することによって、適切な一般医薬品に的確に到達できるようにする技術として、ユーザの手許にある情報端末類によりインターネットを通じて症状を入力し、当該症状に適した一般用医薬品を検索するシステムであって、症状に関する用語と、当該用語が添付文書に記載された一般用医薬品とが関連付けられたデータベースを有する記憶部と、症状を入力し、入力された事項と一般用医薬品を照合し、その結果検索された一般用医薬品の出力を行なう制御部と、入力画面と出力画面を表示する表示部を備えており、症状の詳細を質問形式で入力することにより一般用医薬品を出力することを特徴とする一般用医薬品の検索システム(特許文献2参照)なども提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-196395号公報
【文献】特開2015-46131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、同じ症状や疾病に対応する一般医薬品等であっても有効成分が異なるケースや、顧客の既往歴や服用への考え方によって適否が異なるケースなどもあり、単純に商品名等で検索し顧客に商品提案すれば事足りる状況にもない。また、商品の効能効果の相互比較ができることが顧客のニーズであり、販売側の薬剤師等の支援にもなる。
【0008】
一方、人手不足が常態化している小売業界において、限られた薬剤師や登録販売者等の専門スタッフに、上述のような各ケースに対応してサービス品質を良好なものとし、顧客満足度や売上効率の向上を期待するのも難しい。
【0009】
そこで本発明の目的は、一般医薬品等の顧客の症状やニーズにきめ細かく寄り添い、服用上のリスクを最小化しつつ、的確で効果的な顧客対応を可能とする販売支援技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の医薬品等販売支援装置は、医薬品の属性情報を保持する記憶装置と、 対象となる症状または疾病のカテゴリーごとに、前記医薬品の属性情報を参照し、当該属性情報が示す各医薬品における含有成分の情報を、効能ごとの効能効果判定ロジックに適用して、前記各医薬品における各効能の有効性レベルを判定する処理と、前記各医薬品における前記各効能の有効性レベルの情報を出力する処理を実行する演算装置と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の医薬品等販売支援装置において、前記演算装置は、前記効能効果判定ロジックとして、成分の種類及び単位量ごとに、前記効能への貢献レベルを点数化したテーブルを保持し、前記各医薬品における含有成分の情報を前記テーブルに適用することで、前記各医薬品における各効能の有効性レベルを点数として判定するものである、としてもよい。なお、上述のテーブルとしては、成分の種類や単位量だけでなく、他の要素(基剤や形状など)についても考慮がなされた、効能への貢献レベルを点数化したものを想定してもよい。
【0012】
また、本発明の医薬品等販売支援装置において、前記演算装置は、前記情報を出力するに際し、前記各医薬品における各効能の有効性レベルを一覧表として出力するものである、としてもよい。
【0013】
また、本発明の医薬品等販売支援装置において、前記演算装置は、前記一覧表において、前記各効能の有効性レベルを、前記点数の高低に応じた複数種類の記号で表示するものである、としてもよい。なお、記号での表示を行う運用以外にも、数値での表示を行う運用も想定してよい。
【0014】
また、本発明の医薬品等販売支援装置において、前記演算装置は、顧客における、医薬品の価格と効能のバランスに関する嗜好の情報を入力装置から取得し、当該嗜好が示す前記バランスに適合する医薬品を、前記属性情報が示す前記各医薬品の販売価格と前記判定した有効性レベルとに基づいて選定し、前記選定した医薬品の情報を出力する処理をさらに実行するものである、としてもよい。
【0015】
また、本発明の医薬品等販売支援装置において、前記演算装置は、前記顧客の年齢、持病、服用薬、アレルギー、及び妊娠有無の少なくともいずれかの属性情報を入力装置から取得し、当該属性情報が示す事象を踏まえて回避すべき又は使用推奨すべき医薬品を、前記選定した医薬品の属性情報に基づき特定し、当該医薬品の情報を出力する処理をさらに実行するものである、としてもよい。
【0016】
また、本発明の医薬品等販売支援方法は、情報処理装置が、医薬品の属性情報を記憶装置で保持し、対象となる症状または疾病のカテゴリーごとに、前記医薬品の属性情報を参照し、当該属性情報が示す各医薬品における含有成分の情報を、効能ごとの効能効果判定ロジックに適用して、前記各医薬品における各効能の有効性レベルを判定する処理と、前記各医薬品における前記各効能の有効性レベルの情報を出力する処理を実行する、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の医薬品等販売支援システムは、医薬品の属性情報を保持する記憶装置と、対象となる症状または疾病のカテゴリーごとに、前記医薬品の属性情報を参照し、当該属性情報が示す各医薬品における含有成分の情報を、効能ごとの効能効果判定ロジックに適用して、前記各医薬品における各効能の有効性レベルを判定する処理と、前記各医薬品における前記各効能の有効性レベルの情報を出力する処理を実行する演算装置と、を備える医薬品等販売支援装置を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、一般医薬品等の顧客の症状やニーズにきめ細かく寄り添い、服用上のリスクを最小化しつつ、的確で効果的な顧客対応を可能とする販売支援技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態における医薬品等販売支援システムのネットワーク構成図である。
【
図2】本実施形態の医薬品等販売支援装置の構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態の医薬品情報テーブルのデータ構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態における医薬品等販売支援方法のフロー例を示す図である。
【
図6】本実施形態における効能効果判定エンジンのロジック例を示す図である。
【
図8】本実施形態における医薬品等販売支援方法のフロー例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<医薬品等販売支援技術の基本的な概念>
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。まず、本実施形態における医薬品等販売支援技術の基本概念について説明しておく。
【0021】
従来の技術では、膨大な種類の一般医薬品や医薬部外品、保健機能食品等(以下、一般医薬品等)を取り扱うドラッグストア等で、効率的かつ顧客ニーズにマッチした形での販売支援を行うことは困難であった。こうした状況の背景には、同じ症状や疾病に対応する一般医薬品等であっても有効成分が異なるケースや、顧客の既往歴や服用への考え方によって適否が異なるケースなどが往々にしてあり、単純に商品名等で検索し顧客に商品提案する技術では対応出来ない側面があった。
【0022】
また、一般医薬品等は膨大な数(数千品目以上)存在しおり、新商品も多いことから、同等カテゴリー商品の効能効果の相互比較、既往歴や価格嗜好等と照らし合わせての適切な商品選定が困難である。
【0023】
また、人手不足が常態化している小売業界において、限られた専門スタッフに、上述のような各ケースに対応してサービス品質を良好なものとし、顧客満足度や売上効率の向上を期待するのも難しい点が否めなかった。
【0024】
一方、本実施形態の医薬品等販売支援システム10は、一般医薬品等それぞれの有効成分の種類や量を踏まえて、当該一般医薬品等がどの効能にどれくらいの有効性を発揮するのか、を的確かつ効率的に判定し、その結果を顧客らに迅速な形で明示できる。以下に本実施形態の医薬品等販売支援技術に関して詳細に示す。
【0025】
<医薬品等販売支援システムのネットワーク構成>
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態の医薬品等販売支援システム10のネットワーク構成例を示す図である。
図1に示す医薬品等販売支援システム10は、一般医薬品等の顧客の症状やニーズにきめ細かく寄り添い、服用上のリスクを最小化しつつ、的確で効果的な顧客対応を可能とする販売支援技術を提供するものである。
【0026】
こうした医薬品等販売支援システム10は、インターネットや或いは店舗間を結ぶ専用線などの適宜なネットワーク1を介して、各小売会社の販売支援用の装置すなわち医薬品等販売支援装置100、各小売会社の販売管理システム200、及び利用者端末300が通信可能に結ばれて構成される。なお、図中では一例として利用者端末300を単体で示しているが、利用者の数に応じて複数の利用者端末300が存在するとしてもよい。
【0027】
上述の利用者端末300は、例えば、薬剤師又は登録販売者といった店舗の専門スタッフ(以後、店舗スタッフ)それぞれが携行する、または、店内やバックオフィスに備わる端末で、具体的にはタブレット端末やスマートフォン、或いはノートPC等を想定できる。
【0028】
店舗スタッフらは、医薬品等販売支援装置100から配信される、推奨対象とする一般医薬品等の情報を、この利用者端末300を介して閲覧して顧客に説明し、担当業務の遂行に活用することとなる。なお、利用者端末300の実施形態としては、上述の例の他にも、店舗スタッフが携行せず来店客自身が操作する端末(例:キオスク端末)も想定できる。
【0029】
医薬品等販売支援装置100から利用者端末300に配信され、店舗スタッフに閲覧されるコンテンツは、医薬品等販売支援装置100が生成する推奨対象とする一般医薬品等の一覧表の他、例えば、当該小売会社に商品提供する製薬メーカーから適宜に取得してある種々のものを想定できる。
【0030】
上述のように医薬品等販売支援装置100が製薬メーカーから取得しておくコンテンツとしては、小売会社で販売する一般医薬品等の成分や当該成分の含有量などといった属性情報の他、そうした一般医薬品等に関して薬剤師又は登録販売者が説明を行うべき情報(例:注意すべき服用方法、服用者に応じた禁忌や特徴的な副作用など)の、テキストや映像(例:商品説明や利用方法に関するもの)といったものを想定できる。
【0031】
また、販売管理システム200は、上述の小売会社において稼働するPOSシステムと連動し、当該小売会社での各商品の価格、販売実績や在庫状況等を適宜な即時性を持って管理するシステムである。上述の販売実績については販売実績DB225にて保持、管理するものとする。なお、こうした販売管理システム200の構成や機能は、既存のものを想定すればよい。
【0032】
<医薬品等販売支援装置の機能構成>
また、本実施形態の医薬品等販売支援装置100のハードウェア構成は、
図2に示す如くとなる。医薬品等販売支援装置100は、記憶装置101、メモリ103、演算装置104、入出力装置105、及び通信装置106を備えている。
【0033】
このうち記憶装置101は、SSD(Solid State Drive)やハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される。
【0034】
また、メモリ103は、RAM(Random Access Memory)など揮発性記憶素子で構成される。
【0035】
また、演算装置104は、記憶装置101に保持されるプログラム102をメモリ103に読み出すなどして実行し装置自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPU(Central Processing Unit)である。
【0036】
また、入出力装置105は、薬剤師又は登録販売者といった店舗スタッフによる入力を受け付け、処理データの表示を行うタッチパネル等である。
【0037】
また、通信装置106は、ネットワーク1と接続し、販売管理システム200やメーカーシステム300といった他装置との通信処理を担うネットワークインターフェイスカード等である。
【0038】
また、記憶装置101内には、本実施形態の医薬品等販売支援装置100として必要な機能を実装する為のプログラム102に加えて、医薬品情報テーブル125が少なくとも記憶されている。ただし、当該テーブルの詳細については後述する。
【0039】
また、上述のプログラム102は、効能効果判定エンジン110を含んでいる。この効能効果判定エンジン110は、効能効果判定ロジックとして、成分の種類及び単位量ごとに、前記効能への貢献レベルを点数化したテーブルを保持し、各医薬品等における含有成分の情報を前記テーブルに適用することで、各医薬品等における各効能の有効性レベルを点数として判定するものである。
【0040】
なお、本実施形態における医薬品等販売支援装置100は、Webサーバ(医薬品等のインターネット販売業者のサイトを運用するサーバであって、本発明の医薬品等販売支援技術を組み込んだもの)として機能するものも想定できる。
【0041】
<データ構造例>
続いて、本実施形態の医薬品等販売支援システム10が用いるテーブル類について説明する。
図3に、本実施形態における医薬品情報テーブル125の一例を示す。
【0042】
本実施形態の医薬品情報テーブル125は、医薬品等販売支援装置100が製薬メーカーから予め取得した、一般医薬品等に関する各種属性情報を格納したテーブルである。
【0043】
そのデータ構造は、例えば、一般医薬品等を一意に特定する識別情報(例:JANコード)をキーとして、当該一般医薬品等における、商品名、価格、対応する症状、疾病、保有する成分、当該成分の量、服用者の条件(例:年齢、持病、他服用薬、アレルギー、及び妊娠有無など)といったデータから成るレコードの集合体である。
【0044】
<医薬品等販売支援方法のフロー:メインフロー>
以下、本実施形態における医薬品等販売支援方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明する医薬品等販売支援方法に対応する各種動作は、医薬品等販売支援システム10を構成する医薬品等販売支援装置100がメモリ等に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0045】
図4は、本実施形態における医薬品等販売支援方法のフロー例を示す図である。ここで、あるドラッグストアを顧客が訪れ、自身の症状に応じた一般医薬品を探している状況を想定する。また、この顧客は、当該ドラッグストアの店舗スタッフと会話をし、どういった症状なのか、また、顧客の属性はどういったものか、医薬品自体や服薬に関する嗜好はどうなのか、について伝えているものとする。
【0046】
この場合、医薬品等販売支援装置100は、利用者端末300における上述の店舗スタッフの操作を所定の画面(
図5の画面1000)で受けて、顧客の症状、属性などの各情報を取得する(s10)。
【0047】
続いて、医薬品等販売支援装置100は、s10で利用者端末300から得た情報のうち、まずは顧客の症状に対応する一般医薬品について、医薬品情報テーブル125で検索を実行し、候補医薬品を特定する(s11)。
【0048】
図5で例示した症状であれば、「発熱」の症状に対応するものとして、医薬品情報テーブル125から、少なくとも、商品「ABC」及び商品「DEF」を特定することになる。
【0049】
続いて、医薬品等販売支援装置100は、s11で特定した一般医薬品の属性情報を医薬品情報テーブル125で参照し、当該属性情報が示す各医薬品における含有成分の情報を抽出する(s12)。
【0050】
本実施形態における医薬品情報テーブル125の例であれば、「保有成分と含有量」欄から、商品「ABC」について「X:1mg、N:0.4mg、A:20mg、B:5mg」の値を、また、商品「DEF」について、「Y:24mg、C:8mg」といった値を抽出することになる。
【0051】
また、医薬品等販売支援装置100は、s12までに抽出した候補医薬品の各情報を、効能効果判定エンジン110(効能ごとの有効性を判定するロジック)に適用し、各候補医薬品における各効能の有効性レベルを判定する(s13)。
【0052】
上述の例であれば、症状「発熱」に対応する成分「A」、「B」に関して、有効性レベルを判定することになる。
【0053】
本実施形態の医薬品情報テーブル125で、商品「ABC」における成分「A」の量「20mg」および成分「B」の量「5mg」の値を、効能効果判定エンジン110のロジック(例えば
図6)に適用することで、商品「ABC」における成分「A」の量「20mg」に関して、その有効レベルは「5」と判定する。また、成分「B」の量「5mg」に関して、その有効レベルは「2」と判定する。
【0054】
続いて、医薬品等販売支援装置100は、s13で判定した、各医薬品における各効能の有効性レベルの情報を利用者端末300に出力し(s14)、処理を終了する。
【0055】
こうした情報を出力するに際し、医薬品等販売支援装置100は、各医薬品における各効能の有効性レベルを一覧表1100(
図7)として出力する。また、この一覧表1100において、各効能の有効性レベルを、点数の高低に応じた複数種類の記号で表示することとする。
【0056】
図6~
図7の例では、商品「ABC」における「発熱」の有効性レベルの値が、5点+2点で計7点であり、例えば、7点以上を有効性レベル「◎」とするルールを適用したとすれば、「◎」が該当欄にセットされる。こうした判定や記号の設定概念は他商品や他症状についても同様に適用することで、一覧表1100が生成できる。
【0057】
<医薬品等販売支援方法のフロー:顧客の嗜好に基づく絞り込み>
図8は、本実施形態における医薬品等販売支援方法のフロー例を示す図である。ここでは、顧客における、医薬品の価格と効能のバランスに関する嗜好を踏まえて、上述の一覧表1100をよりチューニングする処理について説明する。
【0058】
医薬品等販売支援装置100は、顧客における、一般医薬品の購入および服薬に関して、その嗜好を問う画面1200(
図9)を利用者端末300において表示し、当該顧客の選択を受け付ける(s20)。
【0059】
図9の例では、顧客は、「価格は高くとも良く効くものがよい」、服用回数は「1日1回がよい」という嗜好の持ち主であることが判明する。なお、上述の嗜好の例としては、他にも、一般医薬品等の剤形や眠気の有無、効き目の強弱といった点について顧客から情報を取得し、これを処理に用いるとしてもよい。
【0060】
続いて、医薬品等販売支援装置100は、s20で判明した嗜好が示すバランスや服薬頻度に適合する医薬品を、上述のs13までで有効性レベルを判定したものの中から選定する(s21)。
【0061】
この場合、医薬品等販売支援装置100は、s13までで有効性レベルを判定した一般医薬品それぞれについて、医薬品情報テーブル125で「価格」欄の値を参照し、ともかく有効性レベルが相対的に高い、ものを価格の高低にかかわらず選定することになる。
【0062】
一方、顧客の嗜好が安さ重視である場合、ともかく価格が相対的に低い、ものを有効性レベルの高低にかかわらず選定することになる。或いは、顧客の嗜好が価格と効き目のバランス重視である場合、有効性レベルが一定上であり、かつ価格が相対的に低い、ものを選定するといった運用も想定できる。
【0063】
また、医薬品等販売支援装置100は、s21で選定した医薬品の情報を利用者端末300に出力し(s22)、処理を終了する。
【0064】
なお、上述の例では、嗜好についてのみ絞り込みを行う例を示したが、これ以外にも、顧客の年齢、持病、服用薬、アレルギー、及び妊娠有無の少なくともいずれかの属性情報を同様に取得し、これに基づく絞り込みを行う運用も想定できる。
【0065】
その場合、医薬品等販売支援装置100は、医薬品情報テーブル125における「服用者の条件」欄が示す条件すなわち禁忌条件と、上述の顧客の属性情報とを照合することで、回避すべき(服用者の条件によっては使用推奨すべき)医薬品を、s13までで有効性レベルを判定したものの中から特定し、当該医薬品の情報を出力することとする。
【0066】
以上、本発明を実施するための最良の形態などについて具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0067】
こうした本実施形態によれば、一般医薬品等の顧客ニーズにきめ細かく寄り添い、服用上のリスクを最小化しつつ、的確で効果的な顧客対応を可能とする販売支援技術を提供できる。
【符号の説明】
【0068】
1 ネットワーク
10 医薬品等販売支援システム
100 医薬品等販売支援装置
101 記憶装置
102 プログラム
103 メモリ
104 演算装置
105 入出力装置
106 通信装置
110 効能効果判定エンジン
125 医薬品情報テーブル
126 販売実績情報テーブル
200 販売管理システム
225 販売実績DB
300 メーカーシステム