(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】走査型イメージング装置、その制御方法、走査型イメージング方法、プログラム、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
A61B 3/10 20060101AFI20230904BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
A61B3/10 100
G01N21/17 620
(21)【出願番号】P 2019164245
(22)【出願日】2019-09-10
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】安野 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】巻田 修一
(72)【発明者】
【氏名】山口 達夫
(72)【発明者】
【氏名】三野 聡大
【審査官】小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-077506(JP,A)
【文献】特開2015-221091(JP,A)
【文献】特開2018-068578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
G01N 21/17-21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルに光走査を適用してデータを収集する走査部と、
リサージュ関数に基づき予め設定された走査プロトコルに基づいて、一連のサイクルを含む所定の2次元パターンにそれぞれ従う複数のパターン走査を順次に前記サンプルに適用するように前記走査部の制御を行う走査制御部と、
前記2次元パターンに対応する走査エリアと前記サンプルとを相対的に移動するための移動部と、
前記複数のパターン走査のうちの第1走査におけるサイクルと第2走査におけるサイクルとが少なくとも1点で互いに交差するように前記移動部の制御を行う移動制御部と、
前記走査制御部による前記制御及び前記移動制御部による前記制御の下に前記走査部により収集されたデータに基づいて画像を構築する画像構築部と
を含み、
前記走査制御部及び前記移動制御部は、前記複数のパターン走査のそれぞれについて、当該パターン走査における第1サイクルと第2サイクルとが少なくとも
2点で互いに交差するように、それぞれ前記走査部の制御及び前記移動部の制御を行
い、
前記画像構築部は、前記複数のパターン走査におけるサイクル同士の交差に基づき全てのサイクルの間の位置合わせを行って前記画像を構築する、
走査型イメージング装置。
【請求項2】
前記走査部は、互いに異なる第1方向及び第2方向に光を偏向可能な第1偏向器を含み、
前記走査制御部は、前記第1方向に沿った偏向方向の変化を第1周期で繰り返しつつ前記第2方向に沿った偏向方向の変化を前記第1周期と異なる第2周期で繰り返すように前記第1偏向器の制御を行うことにより、前記複数のパターン走査を順次に前記サンプルに適用する、
請求項1の走査型イメージング装置。
【請求項3】
前記サンプルは、生体眼であり、
前記移動部は、前記生体眼に固視光を投射する固視光投射部を含み、
前記移動制御部は、前記生体眼に対する前記固視光の投射方向を変更するように前記固視光投射部の制御を行う、
請求項1又は2の走査型イメージング装置。
【請求項4】
前記移動部は、前記走査部により導かれる光を偏向する第2偏向器を含み、
前記移動制御部は、前記走査部により導かれる前記光の偏向方向を変更するように前記第2偏向器の制御を行う、
請求項1~3のいずれかの走査型イメージング装置。
【請求項5】
前記移動部は、少なくとも前記走査部の少なくとも一部を移動するための移動機構を含み、
前記移動制御部は、前記サンプルに対して少なくとも前記走査部の少なくとも一部を移動するように前記移動機構の制御を行う、
請求項1~4のいずれかの走査型イメージング装置。
【請求項6】
前記移動制御部は、前記走査エリアと前記サンプルとを所定の経路に沿って相対的に移動させるように前記移動部の制御を行う、
請求項1~5のいずれかの走査型イメージング装置。
【請求項7】
前記所定の経路は、閉経路である、
請求項6の走査型イメージング装置。
【請求項8】
前記閉経路は、円形経路である、
請求項7の走査型イメージング装置。
【請求項9】
前記移動制御部は、前記走査エリアと前記サンプルとの相対的な移動を連続的又は段階的に行うように前記移動部の制御を行う、
請求項1~8のいずれかの走査型イメージング装置。
【請求項10】
前記移動制御部は、前記第1走査におけるサイクルと前記第2走査におけるサイクルとが少なくとも2点で互いに交差するように前記移動部の制御を行う、
請求項1~9のいずれかの走査型イメージング装置。
【請求項11】
前記移動制御部は、前記第1走査におけるサイクルと前記第2走査におけるサイクルとが少なくとも4点で互いに交差するように前記移動部の制御を行う、
請求項10の走査型イメージング装置。
【請求項12】
サンプルに光走査を適用してデータを収集する走査部と、前記光走査の対象エリアと前記サンプルとを相対的に移動するための移動部と、前記走査部により収集された前記データに基づいて画像を構築する画像構築部とを含む走査型イメージング装置を制御する方法であって、
リサージュ関数に基づき予め設定された走査プロトコルに基づいて、一連のサイクルを含む所定の2次元パターンにそれぞれ従う複数のパターン走査を順次に前記サンプルに適用するように前記走査部を制御し、
前記複数のパターン走査のうちの第1走査におけるサイクルと第2走査におけるサイクルとが少なくとも1点で互いに交差するように前記移動部を制御し、
前記複数のパターン走査のそれぞれについて、当該パターン走査における第1サイクルと第2サイクルとが少なくとも
2点で互いに交差するように、前記走査部及び前記移動部を制御し、
前記走査部の制御及び前記移動部の制御と並行して前記走査部により収集されたデータに基づいて
、前記複数のパターン走査におけるサイクル同士の交差に基づき全てのサイクルの間の位置合わせを行って画像を構築する、
走査型イメージング装置の制御方法。
【請求項13】
サンプルに光走査を適用して収集されたデータに基づき画像を構築するイメージング方法であって、
リサージュ関数に基づき予め設定された走査プロトコルに基づいて、一連のサイクルを含む所定の2次元パターンにそれぞれ従う複数のパターン走査を順次に前記サンプルに適用し、
前記複数のパターン走査のうちの第1走査におけるサイクルと第2走査におけるサイクルとが少なくとも1点で互いに交差するように、前記光走査の対象エリアと前記サンプルとを相対的に移動し、
前記複数のパターン走査のそれぞれについて、当該パターン走査における第1サイクルと第2サイクルとが少なくとも
2点で互いに交差するように、前記複数のパターン走査の順次適用及び前記対象エリアと前記サンプルとの相対移動を行い、
前記複数のパターン走査の順次適用及び前記対象エリアと前記サンプルとの相対移動と並行して、前記サンプルに光走査を適用してデータを収集し、
収集された前記データに基づ
いて、前記複数のパターン走査におけるサイクル同士の交差に基づき全てのサイクルの間の位置合わせを行って画像を構築する、
イメージング方法。
【請求項14】
請求項
12又は
13の方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項15】
請求項
14のプログラムが記録されたコンピュータ可読な非一時的記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、走査型イメージング装置、その制御方法、走査型イメージング方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージング技術の1つに走査型イメージングがある。走査型イメージングとは、サンプルの複数の箇所から順次にデータを収集し、収集されたデータからサンプルの像を構築する技術である。
【0003】
光を利用した走査型イメージングの典型例として光コヒーレンストモグラフィ(OCT;光干渉断層撮影法)が知られている。OCTは、光散乱媒質をマイクロメートルレベル又はそれ以下の分解能で画像化することが可能な技術であり、医用イメージングや非破壊検査などに応用されている。OCTは、低コヒーレンス干渉法に基づく技術であり、典型的には、光散乱媒質のサンプルへの深達性を担保するために近赤外光を利用する。
【0004】
例えば眼科画像診断ではOCT装置の普及が進んでおり、2次元的なイメージングだけでなく、3次元的なイメージング・構造解析・機能解析なども実用化され、診断の強力なツールとして広く利用されるに至っている。また、眼科分野では、走査型レーザー検眼鏡(SLO)など、OCT以外の走査型イメージングも利用されている。なお、近赤外光以外の波長帯の光(電磁波)や超音波を利用した走査型イメージングも知られている。
【0005】
OCTやSLOで利用される走査モードには様々なものがあるが、モーションアーティファクト補正などを目的とした所謂「リサージュ(Lissajous)スキャン」が近年注目を集めている(例えば、特許文献1~4、非特許文献1及び2を参照)。典型的なリサージュスキャンでは、或る程度の大きさを持つループ(サイクル)を描くように測定光を高速走査するため、各サイクルからのデータ取得時間の差を実質的に無視することができ、また、異なるサイクルの交差領域を参照してサイクル間の位置合わせを行えるため、サンプルの動きに起因するアーティファクトを補正することが可能である。この点に注目にし、眼科分野では固視微動に起因するアーティファクトへの対処を図っている。
【0006】
また、走査型イメージングの分野では、走査エリアの拡大(つまり広画角化)も進展を見せている。例えば、眼底の中心から周辺までの広い範囲をスキャンするために、光スキャナ(ガルバノミラー、MEMSスキャナ、レゾナントスキャナなど)の偏向角度の拡大や、それに応じた構造・制御・画像化の最適化が施された装置が開発されている(例えば、特許文献5及び6を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-17915号公報
【文献】特開2018-68578号公報
【文献】特開2018-140004号公報
【文献】特開2018-140049号公報
【文献】特開2017-086311号公報
【文献】特開2017-047113号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】Yiwei Chen, Young-Joo Hong, Shuichi Makita, and Yoshiaki Yasuno, ”Three-dimensional eye motion correction by Lissajous scan optical coherence tomography”, Biomedical Optics EXPRESS, Vol. 8, No. 3, 1 Mar 2017, PP. 1783-1802
【文献】Yiwei Chen, Young-Joo Hong, Shuichi Makita, and Yoshiaki Yasuno, ”Eye-motion-corrected optical coherence tomography angiography using Lissajous scanning”, Biomedical Optics EXPRESS, Vol. 9, No. 3, 1 Mar 2018, PP. 1111-1129
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のような技術的進展を鑑みると、リサージュスキャンと広画角化とを組み合わせることが考えられるが、その際には次のような問題の発生が想定される。すなわち、広画角化のためにリサージュスキャンのサイクルの経路を長くすると、そのサイクルに要する時間が長くなるため、そのサイクル上におけるデータ取得時間の差が無視できない程度に大きくなり、モーションアーティファクト補正の有効性が損なわれるおそれがある。一般に広画角化にはスキャン時間の拡大が伴い、ひいてはサンプルの動きの影響が大きくなりモーションアーティファクト補正の重要性も増すことを考慮すると、この問題への対処は実用化のための必要条件の1つと言える。
【0010】
この発明の1つの目的は、リサージュスキャンと広画角化との好適な融合を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
幾つかの態様は、サンプルに光走査を適用してデータを収集する走査部と、一連のサイクルを含む所定の2次元パターンにそれぞれ従う複数のパターン走査を順次に前記サンプルに適用するように前記走査部の制御を行う走査制御部と、前記2次元パターンに対応する走査エリアと前記サンプルとを相対的に移動するための移動部と、前記複数のパターン走査のうちの第1走査におけるサイクルと第2走査におけるサイクルとが少なくとも1点で互いに交差するように前記移動部の制御を行う移動制御部と、前記走査制御部による前記制御及び前記移動制御部による前記制御の下に前記走査部により収集されたデータに基づいて画像を構築する画像構築部とを含み、前記走査制御部及び前記移動制御部は、前記複数のパターン走査のそれぞれについて、当該パターン走査における第1サイクルと第2サイクルとが少なくとも1点で互いに交差するように、それぞれ前記走査部の制御及び前記移動部の制御を行う、走査型イメージング装置である。
【0012】
幾つかの態様において、前記走査部は、互いに異なる第1方向及び第2方向に光を偏向可能な第1偏向器を含み、前記走査制御部は、前記第1方向に沿った偏向方向の変化を第1周期で繰り返しつつ前記第2方向に沿った偏向方向の変化を前記第1周期と異なる第2周期で繰り返すように前記第1偏向器の制御を行うことにより、前記複数のパターン走査を順次に前記サンプルに適用する。
【0013】
幾つかの態様において、前記サンプルは、生体眼であり、前記移動部は、前記生体眼に固視光を投射する固視光投射部を含み、前記移動制御部は、前記生体眼に対する前記固視光の投射方向を変更するように前記固視光投射部の制御を行う。
【0014】
幾つかの態様において、前記移動部は、前記走査部により導かれる光を偏向する第2偏向器を含み、前記移動制御部は、前記走査部により導かれる前記光の偏向方向を変更するように前記第2偏向器の制御を行う。
【0015】
幾つかの態様において、前記移動部は、少なくとも前記走査部の少なくとも一部を移動するための移動機構を含み、前記移動制御部は、前記サンプルに対して少なくとも前記走査部の少なくとも一部を移動するように前記移動機構の制御を行う。
【0016】
幾つかの態様において、前記移動制御部は、前記走査エリアと前記サンプルとを所定の経路に沿って相対的に移動させるように前記移動部の制御を行う。
【0017】
幾つかの態様において、前記所定の経路は、閉経路である。
【0018】
幾つかの態様において、前記閉経路は、円形経路である。
【0019】
幾つかの態様において、前記移動制御部は、前記走査エリアと前記サンプルとの相対的な移動を連続的又は段階的に行うように前記移動部の制御を行う。
【0020】
幾つかの態様において、前記移動制御部は、前記第1走査におけるサイクルと前記第2走査におけるサイクルとが少なくとも2点で互いに交差するように前記移動部の制御を行う。
【0021】
幾つかの態様において、前記移動制御部は、前記第1走査におけるサイクルと前記第2走査におけるサイクルとが少なくとも4点で互いに交差するように前記移動部の制御を行う。
【0022】
幾つかの態様において、前記走査制御部及び前記移動制御部は、前記第1サイクルと前記第2サイクルとが少なくとも2点で互いに交差するように、それぞれ前記走査部の制御及び前記移動部の制御を行う。
【0023】
幾つかの態様において、前記走査制御部は、リサージュ関数に基づき予め設定された走査プロトコルに基づいて前記走査部の制御を行う。
【0024】
幾つかの態様は、サンプルに光走査を適用してデータを収集する走査部と、前記光走査の対象エリアと前記サンプルとを相対的に移動するための移動部と、前記走査部により収集された前記データに基づいて画像を構築する画像構築部とを含む走査型イメージング装置を制御する方法であって、一連のサイクルを含む所定の2次元パターンにそれぞれ従う複数のパターン走査を順次に前記サンプルに適用するように前記走査部を制御し、前記複数のパターン走査のうちの第1走査におけるサイクルと第2走査におけるサイクルとが少なくとも1点で互いに交差するように前記移動部を制御し、前記複数のパターン走査のそれぞれについて、当該パターン走査における第1サイクルと第2サイクルとが少なくとも1点で互いに交差するように、前記走査部及び前記移動部を制御し、前記走査部の制御及び前記移動部の制御と並行して前記走査部により収集されたデータに基づいて画像を構築する。
【0025】
幾つかの態様は、この制御方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0026】
幾つかの態様は、この制御方法をコンピュータに実行させるプログラムが記録された、コンピュータ可読な非一時的記録媒体である。
【0027】
幾つかの態様は、サンプルに光走査を適用して収集されたデータに基づき画像を構築するイメージング方法であって、一連のサイクルを含む所定の2次元パターンにそれぞれ従う複数のパターン走査を順次に前記サンプルに適用し、前記複数のパターン走査のうちの第1走査におけるサイクルと第2走査におけるサイクルとが少なくとも1点で互いに交差するように、前記光走査の対象エリアと前記サンプルとを相対的に移動し、前記複数のパターン走査のそれぞれについて、当該パターン走査における第1サイクルと第2サイクルとが少なくとも1点で互いに交差するように、前記複数のパターン走査の順次適用及び前記対象エリアと前記サンプルとの相対移動を行い、前記複数のパターン走査の順次適用及び前記対象エリアと前記サンプルとの相対移動と並行して、前記サンプルに光走査を適用してデータを収集し、収集された前記データに基づき画像を構築する。
【0028】
幾つかの態様は、このイメージング方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0029】
幾つかの態様は、このイメージング方法をコンピュータに実行させるプログラムが記録された、コンピュータ可読な非一時的記録媒体である。
【発明の効果】
【0030】
例示的な態様によれば、リサージュスキャンと広画角化とを好適に融合させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)の構成の一例を表す概略図である。
【
図2】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)の構成の一例を表す概略図である。
【
図3】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)の構成の一例を表す概略図である。
【
図4】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)の構成の一例を表す概略図である。
【
図5A】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)が実行するOCTスキャンの一例を説明するための概略図である。
【
図5B】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)が実行するOCTスキャンの一例を説明するための概略図である。
【
図5C】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)が実行するOCTスキャンの一例を説明するための概略図である。
【
図5D】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)が実行するOCTスキャンの一例を説明するための概略図である。
【
図5E】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)が実行するOCTスキャンの一例を説明するための概略図である。
【
図5F】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)が実行するOCTスキャンの一例を説明するための概略図である。
【
図6A】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)が実行するOCTスキャンの一例を説明するための概略図である。
【
図6B】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)が実行するOCTスキャンの一例と比較される従来のリサージュスキャンを示す概略図である。
【
図7】例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置)の動作の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置、その制御方法、走査型イメージング方法、プログラム、及び記録媒体について図面を参照しながら詳細に説明する。本明細書にて引用された文献に開示された技術や、これ以外の任意の公知技術を、例示的な実施形態に援用することが可能である。また、特に言及しない限り、「画像データ」とそれに基づく「画像」とを区別せず、被検眼の「部位」とその「画像」とを区別しないものとする。
【0033】
以下に説明する例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置は、フーリエドメインOCT(例えば、スウェプトソースOCT)を利用して生体眼の眼底を計測することが可能な眼科装置である。実施形態に採用可能なOCTのタイプは、スウェプトソースOCTに限定されず、例えばスペクトラルドメインOCT又はタイムドメインOCTであってもよい。
【0034】
例示的な実施形態に係る眼科装置は、OCTで取得されたデータの処理に加え、他のモダリティで取得されたデータを処理可能であってよい。他のモダリティは、例えば、眼底カメラ、SLO、スリットランプ顕微鏡、及び眼科手術用顕微鏡のいずれかであってよい。例示的な実施形態に係る眼科装置は、このようなモダリティの機能を有していてよい。
【0035】
OCTが適用される対象(サンプル)は眼底に限定されず、前眼部や硝子体など眼の任意の部位であってもよいし、眼以外の生体の部位や組織であってもよいし、生体以外の物体であってもよい。
【0036】
〈構成〉
図1に示す眼科装置1は、走査型イメージング装置の1つの例示的な態様である。眼科装置1は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100、及び演算制御ユニット200を含む。眼底カメラユニット2には、被検眼Eを正面から撮影するための要素群(光学要素、機構など)が設けられている。OCTユニット100には、被検眼EにOCTスキャンを適用するための要素群(光学要素、機構など)の一部が設けられている。OCTスキャンのための要素群の他の一部は、眼底カメラユニット2に設けられている。演算制御ユニット200は、各種の演算や制御を実行する1以上のプロセッサを含む。これらに加え、眼科装置1は、被検者の顔を支持するための要素や、OCTスキャンが適用される部位を切り替えるための要素を備えていてもよい。前者の要素の例として、顎受けや額当てがある。後者の要素の例として、OCTスキャン適用部位を眼底から前眼部に切り替えるために使用されるレンズユニットがある。
【0037】
本明細書において「プロセッサ」は、任意の回路構成であってよく、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの回路を含む。プロセッサは、記憶回路や記憶装置に格納されているプログラムを実行することで、実施形態に係る機能を実現する。
【0038】
〈眼底カメラユニット2〉
眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efを撮影するための光学系が設けられている。取得される眼底Efの画像(眼底像、眼底写真等と呼ばれる)は、観察画像、撮影画像等の正面画像である。観察画像は、例えば近赤外光を用いた動画撮影により得られ、アライメント、フォーカシング、トラッキングなどに利用される。撮影画像は、例えば可視領域又は赤外領域のフラッシュ光を用いた静止画像である。
【0039】
眼底カメラユニット2は、照明光学系10と撮影光学系30とを含む。照明光学系10は被検眼Eに照明光を照射する。撮影光学系30は、被検眼Eからの照明光の戻り光を検出する。OCTユニット100からの測定光は、眼底カメラユニット2内の光路を通じて被検眼Eに導かれ、その戻り光は、同じ光路を通じてOCTユニット100に導かれる。
【0040】
照明光学系10の観察光源11から出力された光(観察照明光)は、凹面鏡12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ系17、リレーレンズ18、絞り19、及びリレーレンズ系20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて被検眼E(眼底Ef)を照明する。観察照明光の被検眼Eからの戻り光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、撮影合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射される。更に、この戻り光は、ハーフミラー33Aを透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、結像レンズ34によりイメージセンサ35の受光面に結像される。イメージセンサ35は、所定のフレームレートで戻り光を検出する。なお、撮影光学系30のフォーカス(焦点位置)は、眼底Ef又は前眼部に合致するように調整される。
【0041】
撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。被検眼Eからの撮影照明光の戻り光は、観察照明光の戻り光と同じ経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、結像レンズ37によりイメージセンサ38の受光面に結像される。
【0042】
液晶ディスプレイ(LCD)39は固視標(固視標画像)を表示する。LCD39から出力された光束は、その一部がハーフミラー33Aに反射され、ミラー32に反射され、撮影合焦レンズ31及びダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過する。孔開きミラー21の孔部を通過した光束は、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投射される。LCD39における固視標画像の表示位置を変更することで、被検眼Eの視線を誘導する方向(固視方向、固視位置)が変更される。
【0043】
LCD等の表示デバイスの代わりに、例えば、発光素子アレイ、又は、発光素子とこれを移動する機構との組み合わせを用いてもよい。
【0044】
アライメント光学系50は、被検眼Eに対する光学系の位置合わせ(アライメント)に用いられるアライメント指標を生成する。発光ダイオード(LED)51から出力されたアライメント光は、絞り52、絞り53、及びリレーレンズ54を経由し、ダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22を介して被検眼Eに投射される。アライメント光の被検眼Eからの戻り光(角膜反射光等)は、観察照明光の戻り光と同じ経路を通ってイメージセンサ35に導かれる。その受光像(アライメント指標像)に基づいてマニュアルアライメントやオートアライメントを実行できる。
【0045】
従来と同様に、本例のアライメント指標像は、アライメント状態により位置が変化する2つの輝点像からなる。被検眼Eと光学系との相対位置がxy方向に変化すると、2つの輝点像が一体的にxy方向に変位する。被検眼Eと光学系との相対位置がz方向に変化すると、2つの輝点像の間の相対位置(距離)が変化する。z方向における被検眼Eと光学系との間の距離が既定のワーキングディスタンスに一致すると、2つの輝点像が重なり合う。xy方向において被検眼Eの位置と光学系の位置とが一致すると、所定のアライメントターゲット内又はその近傍に2つの輝点像が提示される。z方向における被検眼Eと光学系との間の距離がワーキングディスタンスに一致し、且つ、xy方向において被検眼Eの位置と光学系の位置とが一致すると、2つの輝点像が重なり合ってアライメントターゲット内に提示される。
【0046】
オートアライメントでは、データ処理部230が、2つの輝点像の位置を検出し、主制御部211が、2つの輝点像とアライメントターゲットとの位置関係に基づいて後述の移動機構150を制御する。マニュアルアライメントでは、主制御部211が、被検眼Eの観察画像とともに2つの輝点像を表示部241に表示させ、ユーザーが、表示された2つの輝点像を参照しながら操作部242を用いて移動機構150を動作させる。
【0047】
フォーカス光学系60は、被検眼Eに対するフォーカス調整に用いられるスプリット指標を生成する。撮影光学系30の光路(撮影光路)に沿った撮影合焦レンズ31の移動に連動して、フォーカス光学系60は照明光学系10の光路(照明光路)に沿って移動される。反射棒67は、照明光路に対して挿脱される。フォーカス調整を行う際には、反射棒67の反射面が照明光路に傾斜配置される。LED61から出力されたフォーカス光は、リレーレンズ62を通過し、スプリット指標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65により反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22を介して被検眼Eに投射される。フォーカス光の被検眼Eからの戻り光(眼底反射光等)は、アライメント光の戻り光と同じ経路を通ってイメージセンサ35に導かれる。その受光像(スプリット指標像)に基づいてマニュアルフォーカシングやオートフォーカシングを実行できる。
【0048】
孔開きミラー21とダイクロイックミラー55との間の撮影光路に、視度補正レンズ70及び71を選択的に挿入することができる。視度補正レンズ70は、強度遠視を補正するためのプラスレンズ(凸レンズ)である。視度補正レンズ71は、強度近視を補正するためのマイナスレンズ(凹レンズ)である。
【0049】
ダイクロイックミラー46は、眼底撮影用光路とOCT用光路(測定アーム)とを合成する。ダイクロイックミラー46は、OCTに用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。測定アームには、OCTユニット100側から順に、コリメータレンズユニット40、リトロリフレクタ41、分散補償部材42、OCT合焦レンズ43、光スキャナ44、及びリレーレンズ45が設けられている。
【0050】
リトロリフレクタ41は、
図1に示す矢印の方向に移動可能とされ、それにより測定アームの長さが変更される。測定アーム長の変更は、例えば、眼軸長に応じた光路長補正や、干渉状態の調整などに利用される。
【0051】
分散補償部材42は、参照アームに配置された分散補償部材113(後述)とともに、測定光LSの分散特性と参照光LRの分散特性とを合わせるよう作用する。
【0052】
OCT合焦レンズ43は、測定アームのフォーカス調整を行うために測定アームに沿って移動される。撮影合焦レンズ31の移動、フォーカス光学系60の移動、及びOCT合焦レンズ43の移動を連係的に制御することができる。
【0053】
光スキャナ44は、実質的に、被検眼Eの瞳孔と光学的に共役な位置に配置される。光スキャナ44は、測定アームにより導かれる測定光LSを偏向する。光スキャナ44は、例えば、x方向のスキャンを行うためのガルバノミラーと、y方向のスキャンを行うためのガルバノミラーとを含む、2次元スキャンが可能なガルバノスキャナである。
【0054】
〈OCTユニット100〉
図2に例示するように、OCTユニット100には、スウェプトソースOCTを適用するための光学系が設けられている。この光学系は干渉光学系を含む。この干渉光学系は、波長可変光源(波長掃引型光源)からの光を測定光と参照光とに分割し、被検眼Eからの測定光の戻り光と参照光路を経由した参照光とを重ね合わせて干渉光を生成し、この干渉光を検出する。干渉光学系により得られたデータ(検出信号)は、干渉光のスペクトルを表す信号であり、演算制御ユニット200に送られる。
【0055】
光源ユニット101は、例えば、少なくとも近赤外波長帯において出射波長を高速で変化させる近赤外波長可変レーザーを含む。光源ユニット101から出力された光L0は、光ファイバ102により偏波コントローラ103に導かれてその偏光状態が調整される。更に、光L0は、光ファイバ104によりファイバカプラ105に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。測定光LSの光路は測定アームと呼ばれ、参照光LRの光路は参照アームと呼ばれる。
【0056】
参照光LRは、光ファイバ110によりコリメータ111に導かれて平行光束に変換され、光路長補正部材112及び分散補償部材113を経由し、リトロリフレクタ114に導かれる。光路長補正部材112は、参照光LRの光路長と測定光LSの光路長とを合わせるよう作用する。分散補償部材113は、測定アームに配置された分散補償部材42とともに、参照光LRと測定光LSとの間の分散特性を合わせるよう作用する。リトロリフレクタ114は、これに入射する参照光LRの光路に沿って移動可能であり、それにより参照アームの長さが変更される。参照アーム長の変更は、例えば、眼軸長に応じた光路長補正や、干渉状態の調整などに利用される。
【0057】
リトロリフレクタ114を経由した参照光LRは、分散補償部材113及び光路長補正部材112を経由し、コリメータ116によって平行光束から集束光束に変換され、光ファイバ117に入射する。光ファイバ117に入射した参照光LRは、偏波コントローラ118に導かれてその偏光状態が調整され、光ファイバ119を通じてアッテネータ120に導かれてその光量が調整され、光ファイバ121を通じてファイバカプラ122に導かれる。
【0058】
一方、ファイバカプラ105により生成された測定光LSは、光ファイバ127により導かれてコリメータレンズユニット40により平行光束に変換され、リトロリフレクタ41、分散補償部材42、OCT合焦レンズ43、光スキャナ44及びリレーレンズ45を経由し、ダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ22により屈折されて被検眼Eに投射される。測定光LSは、被検眼Eの様々な深さ位置において散乱・反射される。測定光LSの被検眼Eからの戻り光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ105に導かれ、光ファイバ128を経由してファイバカプラ122に到達する。
【0059】
ファイバカプラ122は、光ファイバ128を介して入射された測定光LSと、光ファイバ121を介して入射された参照光LRとを重ね合わせて干渉光を生成する。ファイバカプラ122は、生成された干渉光を所定の分岐比(例えば1:1)で分岐することで一対の干渉光LCを生成する。一対の干渉光LCは、それぞれ光ファイバ123及び124を通じて検出器125に導かれる。
【0060】
検出器125は、例えばバランスドフォトダイオードを含む。バランスドフォトダイオードは、一対の干渉光LCをそれぞれ検出する一対のフォトディテクタを有し、これらにより得られた一対の検出結果の差分を出力する。検出器125は、この出力(検出信号)をデータ収集システム(DAS)130に送る。
【0061】
データ収集システム130には、光源ユニット101からクロックKCが供給される。クロックKCは、光源ユニット101において、波長可変光源により所定の波長範囲内で掃引される各波長の出力タイミングに同期して生成される。光源ユニット101は、例えば、各出力波長の光L0を分岐して2つの分岐光を生成し、これら分岐光の一方を光学的に遅延させ、これら分岐光を合成し、得られた合成光を検出し、その検出結果に基づいてクロックKCを生成する。データ収集システム130は、検出器125から入力される検出信号のサンプリングをクロックKCに基づいて実行する。データ収集システム130は、このサンプリングの結果を演算制御ユニット200に送る。
【0062】
本例では、測定アーム長を変更するための要素(例えば、リトロリフレクタ41)と、参照アーム長を変更するための要素(例えば、リトロリフレクタ114、又は参照ミラー)との双方が設けられているが、一方の要素のみが設けられていてもよい。また、測定アーム長と参照アーム長との間の差(光路長差)を変更するための要素はこれらに限定されず、任意の要素(光学部材、機構など)であってよい。
【0063】
〈制御系・処理系〉
眼科装置1の制御系及び処理系の構成例を
図3及び
図4に示す。制御部210、画像構築部220、及びデータ処理部230は、例えば演算制御ユニット200に設けられる。眼科装置1は、外部装置との間でデータ通信を行うための通信デバイスを含んでいてもよい。眼科装置1は、記録媒体からのデータ読み出しと、記録媒体へのデータ書き込みとを行うためのドライブ装置(リーダ/ライタ)を含んでいてもよい。
【0064】
〈制御部210〉
制御部210は、各種の制御を実行する。制御部210は、主制御部211と記憶部212とを含む。また、
図4に示すように、本実施形態において、制御部210は走査制御部213と移動制御部214とを含み、記憶部212は走査プロトコル218と移動プロトコル219とを記憶している。
【0065】
〈主制御部211〉
主制御部211は、プロセッサを含み、眼科装置1の各要素(
図1~
図4に示された要素を含む)を制御する。主制御部211は、プロセッサを含むハードウェアと、制御ソフトウェアとの協働によって実現される。
【0066】
主制御部211は、走査制御部213と移動制御部214とを連係的に(同期的に)動作させることができる。走査制御部213は、所定形状及び所定サイズの走査エリアに関するOCTスキャンの制御を行う。移動制御部214は、この走査エリアとサンプル(被検眼E)とを相対的に移動するための制御を行う。走査制御と移動制御との連係(同期)により、走査エリアを超えるサイズのエリアに対してOCTスキャンを適用することができる。つまり、広い範囲に対するOCTスキャン(ワイドエリアスキャン)が可能となる。
【0067】
撮影合焦駆動部31Aは、主制御部211の制御の下に、撮影光路に配置された撮影合焦レンズ31と照明光路に配置されたフォーカス光学系60とを移動する。リトロリフレクタ(RR)駆動部41Aは、主制御部211の制御の下に、測定アームに設けられたリトロリフレクタ41を移動する。OCT合焦駆動部43Aは、主制御部211の制御の下に、測定アームに配置されたOCT合焦レンズ43を移動する。測定アームに設けられた光スキャナ44は、主制御部211(走査制御部213)の制御の下に動作する。リトロリフレクタ(RR)駆動部114Aは、主制御部211の制御の下に、参照アームに配置されたリトロリフレクタ114を移動する。上記した駆動部のそれぞれは、主制御部211の制御の下に動作するパルスモータ等のアクチュエータを含む。
【0068】
移動機構150は、典型的には、眼底カメラユニット2を3次元的に移動し、例えば、±x方向(左右方向)に移動可能なxステージと、xステージを移動するx移動機構と、±y方向(上下方向)に移動可能なyステージと、yステージを移動するy移動機構と、±z方向(奥行き方向)に移動可能なzステージと、zステージを移動するz移動機構とを含む。各移動機構は、主制御部211の制御の下に動作するパルスモータ等のアクチュエータを含む。
【0069】
〈記憶部212〉
記憶部212は各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、OCT画像、眼底像、被検眼情報、制御情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者情報や、左眼/右眼の識別情報や、電子カルテ情報などを含む。制御情報は、特定の制御に関する情報である。本実施形態の制御情報は、走査プロトコル218と移動プロトコル219とを含む。
【0070】
走査プロトコル218は、所定形状及び所定サイズの走査エリアに関するOCTスキャンのための制御の内容に関する取り決めであり、各種制御パラメータ(走査制御パラメータ)の組を含む。走査プロトコル218は、走査モード毎のプロトコルを含む。本実施形態の走査プロトコル218は、リサージュスキャンのプロトコルを少なくとも含み、更に、例えば、Bスキャン(ラインスキャン)、クロススキャン、ラジアルスキャン、ラスタースキャンなどのプロトコルを含んでいてもよい。
【0071】
本実施形態の走査制御パラメータは、光スキャナ44に対する制御の内容を示すパラメータを少なくとも含む。このパラメータは、例えば、スキャンパターンを示すパラメータ、スキャン速度を示すパラメータ、スキャン間隔を示すパラメータなどがある。スキャンパターンは、スキャンの経路の形状を示し、その例として、リサージュパターン、ラインパターン、クロスパターン、ラジアルパターン、ラスターパターンなどがある。スキャン速度は、例えば、Aスキャンの繰り返しレートとして定義される。スキャン間隔は、例えば、隣接するAスキャンの間隔として、つまりスキャン点の配列間隔として定義される。
【0072】
なお、特許文献1~4並びに非特許文献1及び2の開示のような従来技術と同様に、本実施形態の「リサージュスキャン」は、互いに直交する2つの単振動を順序対として得られる点の軌跡が描くパターン(リサージュパターン、リサージュ図形、リサージュ曲線、リサージュ関数、バウディッチ曲線)を経路とした「狭義の」リサージュスキャンだけでなく、一連のサイクルを含む所定の2次元パターンに従う「広義の」リサージュスキャンであってもよい。
【0073】
本実施形態では、光スキャナ44は、x方向に測定光LSを偏向する第1ガルバノミラーと、y方向に測定光LSを偏向する第2ガルバノミラーとを含む。リサージュスキャンは、x方向に沿った偏向方向の変化を第1周期で繰り返すように第1ガルバノミラーの制御を行いつつ、y方向に沿った偏向方向の変化を第2周期で繰り返すように第2ガルバノミラーの制御を行うことによって実現される。ここで、第1周期と第2周期とは互いに異なる。
【0074】
例えば、本実施形態のリサージュスキャンは、2つの正弦波の組み合わせから得られる狭義のリサージュパターンのスキャンだけでなく、これに特定項(例えば、奇数次の多項式)を加えたパターンのスキャンや、三角波に基づくパターンのスキャンであってもよい。
【0075】
「サイクル」は、一般に、或る長さを持つ複数のサンプリング点から構成されるオブジェクトを意味し、例えば閉曲線又はほぼ閉曲線であってよい。
【0076】
典型的には、走査プロトコル218はリサージュ関数に基づき設定される。なお、リサージュ関数は、例えば、次のパラメトリック方程式系で表現される:x(ti)=A・cos(2π・(fA/n)・ti)、y(ti)=A・cos(2π・(fA・(n-2)/n2)・ti)。
【0077】
ここで、xはリサージュ曲線が定義される2次元座標系の横軸、yは縦軸、tiはリサージュスキャンにおける第i番目のAラインの収集時点、Aはスキャン範囲(振幅)、fAはAラインの収集レート(スキャン速度、Aスキャンの繰り返しレート)、nはx(横軸)方向の各サイクルにおけるAラインの個数をそれぞれ示す。
【0078】
移動プロトコル219は、走査プロトコル218と組み合わせて適用され、走査エリアとサンプル(被検眼E)とを相対的に移動するための制御の内容に関する取り決めであり、各種制御パラメータ(移動制御パラメータ)の組を含む。移動プロトコル219は、走査モード毎のプロトコルを含んでいてよい。本実施形態の移動プロトコル219は、リサージュスキャンに対応するプロトコルを少なくとも含み、更に、例えば、Bスキャン(ラインスキャン)、クロススキャン、ラジアルスキャン、ラスタースキャンなど、任意の走査モードに対応するプロトコルを含んでいてもよい。
【0079】
本実施形態の移動制御パラメータは、例えば、次のいずれかのパラメータを含んでいてよい:(1)被検眼Eの視線の向きを誘導するための固視標画像を表示するLCD39に対する制御の内容を示すパラメータ;(2)測定光LSを偏向するための光スキャナ44に対する制御の内容を示すパラメータ;(3)眼底カメラユニット2を移動するための移動機構150に対する制御の内容を示すパラメータ。
【0080】
移動制御パラメータはこれらに限定されない。一般に、移動制御パラメータは、特定の走査モードのOCTスキャンのターゲットエリア(所定形状及び所定サイズの走査エリア)と被検眼Eとの間の相対移動モードを定義するための任意のパラメータであってよい。移動制御パラメータは、例えば、相対移動パターンを示すパラメータ、相対移動速度を示すパラメータなどを含んでよい。
【0081】
相対移動パターンは、走査エリアと被検眼Eとの間の相対移動の経路の形状を示す。相対移動パターンは、例えば、連続的パターン及び/又は離散的パターンであってよい。連続的パターンの例として、円形パターン、楕円形パターン、正方形パターン、長方形パターン、直線パターン、曲線パターンなどがある。離散的パターンとして、特定の配列の複数の点からなる点群パターン、特定の配列の複数の線分からなる線群パターン、点群パターンと線群パターンとを組み合わせたパターンなどがある。また、任意の連続的パターンと任意の離散的パターンとを組み合わせてもよい。
【0082】
このように、走査エリアと被検眼Eとの間の相対移動は、連続的でも、段階的(断続的)でもよい。また、相対移動パターン(経路)は、移動の始点と終点とが同じであってもよいし、始点と終点とが異なっていてもよい。つまり、相対移動パターンは、閉経路(閉路)であっても開経路(開路)であってもよい。また、相対移動パターンは、閉経路と開経路とを組み合わせた経路であってもよい。
【0083】
走査エリアと被検眼Eとの間の相対移動パターンが円形であり、この相対移動の間にD回のリサージュスキャンが行われる場合、このリサージュスキャンとこの相対移動とを組み合わせたスキャン経路は、例えば、次のパラメトリック方程式系で表現される:x(ti)=A・cos(2π・(fA/n)・ti)+cos((2π・ti/D)、y(ti)=A・cos(2π・(fA・(n-2)/n2)・ti)-sin((2π・ti/D)。
【0084】
本実施形態では、例えば、走査プロトコル218に基づきリサージュスキャンを所定回数繰り返し行いつつ、移動プロトコル219に基づき円形の経路に沿って当該リサージュスキャンの走査エリアと被検眼Eとの間の相対移動が行われる。
【0085】
この場合、順次に実行される複数のリサージュスキャンのうちの第1リサージュスキャンにおけるサイクルと、第2リサージュスキャンにおけるサイクルとが、少なくとも1点で互いに交差する。更に、順次に実行される複数のリサージュスキャンのそれぞれについて、そのリサージュスキャンにおける2つのサイクル(第1サイクル、第2サイクル)が少なくとも1点で互いに交差する。
【0086】
更に、順次に実行される複数のリサージュスキャンのうちの第1リサージュスキャンにおけるサイクルと第2リサージュスキャンにおけるサイクルとが少なくとも2点で互いに交差するように、複数のリサージュスキャンと、走査エリアと被検眼Eとの間の相対移動とを実行することができる。本例では、第1リサージュスキャンにおけるサイクルと第2リサージュスキャンにおけるサイクルとが少なくとも4点で互いに交差する。
【0087】
加えて、本例では、順次に実行される複数のリサージュスキャンのそれぞれについて、そのリサージュスキャンにおける2つのサイクル(第1サイクル、第2サイクル)が少なくとも2点で互いに交差する。
【0088】
このように、本例では、各リサージュスキャンにおける任意のサイクル対(ペア)が1点以上(特に2点以上)で互いに交差し、且つ、任意のリサージュスキャン対(ペア)からのサイクル対が1点以上(特に2点以上、更には4点以上)で互いに交差するように、リサージュスキャンの繰り返しと、走査エリアと被検眼Eとの間の相対移動とが、並行的に(連動的に)実行される。これにより、各リサージュスキャンにおける任意のサイクル対から収集されたデータ対の間の位置合わせを行うことができるとともに、任意のリサージュスキャン対におけるサイクル対から収集されたデータ対の間の位置合わせを行うことができる。したがって、順次に実行される複数のリサージュスキャンにおける全てのサイクルの間の位置合わせを行うことが可能となり、例えば非特許文献1又は2に開示された画像構築手法及びモーションアーティファクト補正手法を利用することが可能となる。
【0089】
走査制御(リサージュスキャンの繰り返し制御)と移動制御(走査エリアと被検眼Eとの間の相対移動の制御)との連係動作の例を説明する。本例は、円形の経路に沿って走査エリアを連続的に移動しつつリサージュスキャンを繰り返し実行する。また、本例の移動制御には、固視標の移動制御が採用される。なお、他の走査制御及び/又は他の移動制御が用いられる場合においても同様である。
【0090】
まず、アライメント等のために、所定の固視位置に対応する固視標が被検眼Eに提示される。
図5Aの左側の図は、視神経乳頭に対応する固視標300の提示位置を示す。また、右側の図は、左側の図に示す固視位置が提示されている眼底Efを示す。右側の図の符号310は、固視標300の提示位置に対応する眼底Efの位置を示す。
【0091】
アライメント等が完了したら、
図5Bの左側の図に示すように、視神経乳頭に対応する固視標300が提示された状態から、視神経乳頭の右方に位置する固視標301が提示された状態に遷移する。この固視位置の遷移に応じて被検眼Eの視線の向きが変化し、
図5Bの右側の図に示すように、視神経乳頭に対して左方の位置311を中心とする矩形の走査エリア321が設定される。走査エリア321の外縁(輪郭)は、リサージュスキャンのパターンが外接する図形である(以下の走査エリアも同様)。本例では、この状態からOCTスキャン(反復的リサージュスキャン)が開始される。
【0092】
OCTスキャンのための制御(走査制御)の開始とともに、走査エリアと被検眼Eとの間の相対移動の制御(固視位置の移動制御)が開始される。本例は、円形の経路に沿って反時計回りに連続的に固視標が移動される。円形経路の中心は、
図5Aに示す固視標300の提示位置に相当し、且つ、その半径は、固視標300の提示位置と固視標301の提示位置との間の距離に相当している。
図5Cの左側の図に示すように、固視標301が提示された状態から、視神経乳頭の上方に位置する固視標302が提示された状態に更に遷移すると、これに応じて被検眼Eの視線の向きが変化する。これに伴い、リサージュスキャンの走査エリアが、
図5Bの右側の図に示す走査エリア321から、
図5Cの右側の図に示す、視神経乳頭に対して下方の位置312を中心とする矩形の走査エリア322に連続的に移動する。
【0093】
更に、
図5Dの左側の図に示すように、固視標302が提示された状態から、視神経乳頭の左方に位置する固視標303が提示された状態に遷移すると、これに応じて被検眼Eの視線の向きが変化する。これに伴い、リサージュスキャンの走査エリアが、
図5Cの右側の図に示す走査エリア322から、
図5Dの右側の図に示す、視神経乳頭に対して右方の位置313を中心とする矩形の走査エリア323に連続的に移動する。
【0094】
更に、
図5Eの左側の図に示すように、固視標303が提示された状態から、視神経乳頭の下方に位置する固視標304が提示された状態に遷移すると、これに応じて被検眼Eの視線の向きが変化する。これに伴い、リサージュスキャンの走査エリアが、
図5Dの右側の図に示す走査エリア323から、
図5Eの右側の図に示す、視神経乳頭に対して上方の位置314を中心とする矩形の走査エリア324に連続的に移動する。
【0095】
更に、
図5Fの左側の図に示すように、固視標304が提示された状態から、視神経乳頭の右方に位置する固視標305が提示された状態に遷移すると、これに応じて被検眼Eの視線の向きが変化する。これに伴い、リサージュスキャンの走査エリアが、
図5Eの右側の図に示す走査エリア324から、
図5Fの右側の図に示す、視神経乳頭に対して左方の位置315を中心とする矩形の走査エリア325に連続的に移動する。ここで、固視標305の提示位置は、
図5Bの固視標301の提示位置と同じであり、前者は本例のOCTスキャン(走査制御と移動制御との連係)の終点であり、後者は始点である。
【0096】
図6Aは、
図5A~
図5Fに示した例において眼底Efに適用されるスキャンラインの分布(つまり、円形経路に沿って走査エリアを連続的に移動しつつ実施される反復的リサージュスキャンのサイクル群)を概略的に示している。
【0097】
他方、
図6Bは、従来のリサージュスキャンにおいて眼底Efに適用されるスキャンラインの分布を概略的に示している。この従来のスキャンライン分布は、
図5Aに示す状態でリサージュスキャン適用した場合に相当する。
【0098】
これらの比較から明らかなように、
図6Aに示す本例のリサージュスキャンの全走査エリアは、
図6Bに示す従来のリサージュスキャンの走査エリアよりも広くなっている。したがって、本例によれば、従来よりも広い範囲に対してリサージュスキャンを適用すること、つまりリサージュスキャンと広画角化とを融合することが可能である。更に、本例では、所定サイズの走査エリアを移動することによって広範囲をスキャンしているので、リサージュスキャンのサイクルの経路を必要以上に長くすることなく広画角化を達成することができる。したがって、広画角化を図りつつ、モーションアーティファクト補正を有効に行うことが可能である。
【0099】
また、従来のリサージュスキャンでは、走査エリアの中央領域におけるスキャンライン分布が他の領域のそれよりも粗であるのに対し、本例では、全走査エリアの中央領域(つまり、円形経路の中心の近傍領域、走査エリアの移動中心の近傍領域)におけるスキャンライン分布が他の領域のそれよりも密になっている。一般に、走査エリアの中央領域に注目部位(例えば、視神経乳頭、黄斑部)が配置されることを考慮すると、従来のリサージュスキャンでは注目部位に対するスキャン密度が低下して画質が低くなるが、本例では逆に、注目部位の画質が高くなるという利点がある。
【0100】
記憶部212に記憶される制御情報は上記の例に限定されない。例えば、制御情報はフォーカス制御を行うための情報(フォーカス制御パラメータ)を含んでいてよい。
【0101】
フォーカス制御パラメータは、OCT合焦駆動部43Aに対する制御の内容を示すパラメータである。フォーカス制御パラメータの例として、測定アームの焦点位置を示すパラメータ、焦点位置の移動速度を示すパラメータ、焦点位置の移動加速度を示すパラメータなどがある。焦点位置を示すパラメータは、例えば、OCT合焦レンズ43の位置を示すパラメータである。焦点位置の移動速度を示すパラメータは、例えば、OCT合焦レンズ43の移動速度を示すパラメータである。焦点位置の移動加速度を示すパラメータは、例えば、OCT合焦レンズ43の移動加速度を示すパラメータである。移動速度は、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。移動加速度についても同様である。
【0102】
このようなフォーカス制御パラメータによれば、眼底Efの形状(典型的には、中心部が深く且つ周辺部が浅い凹形状)や収差分布に応じたフォーカス調整が可能になる。フォーカス制御は、例えば、走査制御(リサージュスキャンの繰り返し制御)及び移動制御(走査エリアと被検眼Eとの間の相対移動の制御)の少なくとも一方と連係的に実行される。典型的にはフォーカス制御は移動制御に連係されるが、1つのリサージュスキャンの走査エリアが広い場合(つまり、その走査エリア内における深さの変化が大きい場合)などにおいては、走査制御及び移動制御の双方にフォーカス制御を連係させることが有効と考えられる。それにより、モーションアーティファクトが補正され、且つ、全体に亘ってピントが合った、高品質の画像が得られる。
【0103】
〈走査制御部213〉
走査制御部213は、走査プロトコル218に基づいて少なくとも光スキャナ44を制御する。走査制御部213は、走査プロトコル218に基づく光スキャナ44の制御と連係して光源ユニット101の制御を更に実行してもよい。走査制御部213は、プロセッサを含むハードウェアと、走査プロトコル218を含む走査制御ソフトウェアとの協働によって実現される。
【0104】
〈移動制御部214〉
移動制御部214は、移動プロトコル219に基づいて、走査エリアと被検眼Eとの間の相対移動のための制御を実行する。本実施形態では、移動制御部214は、LCD39(固視標)の制御、光スキャナ44の制御、及び移動機構150の制御のうちの少なくとも1つを実行するように構成される。移動制御部214は、プロセッサを含むハードウェアと、移動プロトコル219を含む移動制御ソフトウェアとの協働によって実現される。
【0105】
前述したフォーカス制御が実行される場合、主制御部211はフォーカス制御部(図示せず)を含む。フォーカス制御部は、フォーカス制御パラメータに基づいてOCT合焦駆動部43Aを制御する。フォーカス制御部は、プロセッサを含むハードウェアと、フォーカス制御パラメータを含むフォーカス制御ソフトウェアとの協働によって実現される。
【0106】
〈画像構築部220〉
画像構築部220は、プロセッサを含み、データ収集システム130から入力された信号(サンプリングデータ)に基づいて、眼底EfのOCT画像データを構築する。このOCT画像データ構築は、従来のフーリエドメインOCT(スウェプトソースOCT)と同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタリング、高速フーリエ変換(FFT)などを含む。他のタイプのOCT手法が採用される場合、画像構築部220は、そのタイプに応じた公知の処理を実行することによってOCT画像データを構築する。
【0107】
前述したように、本実施形態ではリサージュスキャンが眼底Efに適用される。画像構築部220は、リサージュスキャンによる収集とデータ収集システム130によるサンプリングとを介して取得されたデータに対し、例えば非特許文献1又は2に開示された画像構築手法及びモーションアーティファクト補正手法を適用することによって、眼底Efの3次元画像データを構築する。
【0108】
画像構築部220は、3次元画像データにレンダリングを適用して表示用画像を形成することができる。適用可能なレンダリング法の例として、ボリュームレンダリング、サーフェスレンダリング、最大値投影(MIP)、最小値投影(MinIP)、多断面再構成(MPR)などがある。
【0109】
画像構築部220は、3次元画像データに基づいてOCT正面画像(enface OCT image)を構築することが可能である。例えば、画像構築部220は、3次元画像データをz方向(Aライン方向、深さ方向)に投影することでプロジェクションデータを構築することができる。また、画像構築部220は、3次元画像データの一部である部分的3次元画像データをz方向に投影することでシャドウグラムを構築することができる。この部分的3次元画像データは、例えば、セグメンテーションを利用して設定される。セグメンテーションは、画像中の部分領域を特定する処理である。本例では、眼底Efの所定組織に相当する画像領域を特定するためにセグメンテーションを行うことができる。セグメンテーションは、例えば、画像構築部220又はデータ処理部230により実行される。
【0110】
眼科装置1は、OCT血管造影(OCT-Angiography)を実施可能であってよい。OCT血管造影は、血管が強調された画像を構築するイメージング技術である(例えば、特表2015-515894号公報を参照)。一般に、眼底組織(構造)は時間的に変化しないが、血管内部の血流部分は時間的に変化する。OCT血管造影では、このような時間的変化が存在する部分(血流信号)を強調して画像を生成する。なお、OCT血管造影は、OCTモーションコントラスト撮影(motion contrast imaging)などとも呼ばれる。また、OCT血管造影により取得される画像は、血管造影画像、アンジオグラム(angiogram)、モーションコントラスト画像などと呼ばれる。
【0111】
OCT血管造影が実施される場合、眼科装置1は、眼底Efの同じ領域を所定回数だけ繰り返しスキャンする。例えば、眼科装置1は、前述した走査制御(リサージュスキャンの繰り返し制御)及び移動制御(走査エリアと被検眼Eとの間の相対移動の制御)の組み合わせを、所定回数だけ繰り返し実施する。それにより、当該組み合わせ制御に基づくOCTスキャンが適用される3次元領域に対応する複数の3次元データ(3次元データセット)がデータ収集システム130によって収集される。画像構築部220は、この3次元データセットからモーションコントラスト画像を構築することができる。このモーションコントラスト画像は、眼底Efの血流に起因する干渉信号の時間的変化が強調された血管造影画像である。この血管造影画像は、眼底Efの血管の3次元的な分布を表現した3次元血管造影画像データである。
【0112】
画像構築部220は、この3次元血管造影画像データから、任意の2次元血管造影画像データ及び/又は任意の擬似的3次元血管造影画像データを構築することが可能である。例えば、画像構築部220は、3次元血管造影画像データに多断面再構成を適用することにより、眼底Efの任意の断面を表す2次元血管造影画像データを構築することができる。また、画像構築部220は、3次元血管造影画像データにプロジェクション画像化又はシャドウグラム化を適用することにより、眼底Efの正面血管造影画像データを構築することができる。
【0113】
画像構築部220は、プロセッサを含むハードウェアと、画像構築ソフトウェアとの協働によって実現される。
【0114】
〈データ処理部230〉
データ処理部230は、プロセッサを含み、被検眼Eの画像に対して各種のデータ処理を適用する。例えば、データ処理部230は、プロセッサを含むハードウェアと、データ処理ソフトウェアとの協働によって実現される。
【0115】
データ処理部230は、眼底Efについて取得された2つの画像の間の位置合わせ(レジストレーション)を行うことができる。例えば、データ処理部230は、OCTで取得された3次元画像データと、眼底カメラユニット2により取得された正面画像との間のレジストレーションを行うことができる。また、データ処理部230は、OCTで取得された2つのOCT画像の間のレジストレーションを行うことができる。また、データ処理部230は、眼底カメラユニット2により取得された2つの正面画像の間のレジストレーションを行うことができる。また、OCT画像の解析結果や、正面画像の解析結果に対してレジストレーションを適用することも可能である。レジストレーションは、公知の手法によって実行可能であり、例えば特徴点抽出とアフィン変換とを含む。
【0116】
〈ユーザーインターフェイス240〉
ユーザーインターフェイス240は表示部241と操作部242とを含む。表示部241は表示装置3を含む。操作部242は各種の操作デバイスや入力デバイスを含む。ユーザーインターフェイス240は、例えばタッチパネルのような表示機能と操作機能とが一体となったデバイスを含んでいてもよい。ユーザーインターフェイス240の少なくとも一部を含まない実施形態を構築することも可能である。例えば、表示デバイスは、眼科装置1に接続された外部装置であってよい。
【0117】
〈動作〉
眼科装置1の動作について説明する。なお、患者IDの入力、走査モードの設定、走査エリア移動モードの設定、固視標の提示、アライメント、フォーカス調整、OCT光路長調整など、従来と同様の準備的な処理は、既になされたものとする。以下、
図7を更に参照しつつ眼科装置1の動作の例を説明する。
【0118】
本例では、走査モードとしてリサージュスキャンが設定され、走査エリア移動モードとして円形経路に沿った移動が設定される。円形経路の中心及び半径は、
図5A~
図5Fに示す例と同じであるとする。他の走査モード及び/又は他の走査エリア移動モードが採用される場合においても、本例と同様の処理を実行することが可能である。
【0119】
また、本例において、走査エリアの移動は固視標(固視標画像)の表示位置の変更によって誘導され、移動制御部214はLCD39(固視標)の制御を行う。他の要素(例えば、光スキャナ44又は移動機構150)により走査エリアを移動する場合においても、本例と同様の処理を実行することが可能である。
【0120】
(S1:走査エリア移動経路の始点に対応する固視標を提示)
アライメント等の準備的な処理が完了した後、移動制御部214は、円形の移動経路における始点に対応する位置に固視標を表示するようにLCD39を制御する(例えば
図5Bを参照)。
【0121】
眼科装置1は、被検眼Eがこの固視標を注視しているか否か、つまり適当な固視状態が達成されているか否かを確認するための処理を実行することができる。例えば、眼科装置1は、眼底カメラユニット2により得られる眼底Efの観察画像を参照して固視状態を判定するように構成されていてよい。或いは、眼科装置1は、眼底Efの観察画像を表示部241に表示して、ユーザーによる固視状態判定結果を操作部242を介して受け付けるように構成されていてよい。
【0122】
(S2:走査開始トリガー)
次に、被検眼Eに対するOCTスキャンの適用を開始するためのトリガー信号が生成される。このトリガー信号は、例えば、始点対応位置に固視標が表示されたこと、適当な固視状態が達成されたこと、及び、ユーザーから走査開始指示操作が入力されたことのいずれかに対応して発せられる。
【0123】
(S3:反復的リサージュスキャンと走査エリアの移動とを開始)
ステップS2の走査開始トリガーが発せられると、主制御部211は、走査制御部213による走査制御(リサージュスキャンの繰り返し制御)と移動制御部214による移動制御(走査エリアと被検眼Eとの間の相対移動の制御)との連係を開始させる。
【0124】
この連係制御が開始されると、例えば
図5Cの左側の図に示すように円形経路に沿った固視標の移動の開始とともにリサージュスキャンが開始される。更に、
図5D、
図5E及び
図5Fに示すように固視標が移動される。このような固視標の移動に被検眼Eの視線が誘導されることで、リサージュスキャンの走査エリアがこれら図面に示すように移動する。
【0125】
(S4:OCTデータを収集)
ステップS3のOCTスキャンの開始とともにOCTデータの収集が開始される。
【0126】
(S5:終点に到達したか?)
ステップS3で開始されたOCTスキャンとステップS4のOCTデータの収集は、走査エリアの移動が経路の終点に到達するまで行われる(例えば
図5Fを参照)。これにより、走査エリアの移動の開始から終了までリサージュスキャンが所定回数繰り返し実行され、例えば
図6Aに示す全走査エリアに対応するOCTデータセットが得られる。
【0127】
(S6:OCT画像の構築(モーションアーティファクト補正))
画像構築部220は、全走査エリアに対応するOCTデータセットからOCT画像を構築する。この処理は、例えば非特許文献1又は2に開示された手法に従って実行され、典型的にはモーションアーティファクト補正も実行される。これにより、全走査エリアに対応する3次元画像データが得られる。
【0128】
(S7:OCT画像を表示)
画像構築部220は、ステップS6で構築された3次元画像データに所定のレンダリングを適用する。主制御部211は、このレンダリングにより構築された画像を表示部241に表示させる。
【0129】
〈作用・効果〉
例示的な実施形態の作用及び効果について説明する。
【0130】
例示的な実施形態に係る走査型イメージング装置(眼科装置1)は、走査部と、走査制御部と、移動部と、移動制御部と、画像構築部とを含む。
【0131】
走査部は、サンプルに光走査を適用してデータを収集する。上記の例において、走査部は、OCTユニット100と、測定アームを構成する眼底カメラユニット2内の要素(リトロリフレクタ41、OCT合焦レンズ43、光スキャナ44、対物レンズ22等)とを含み、被検眼EにOCTスキャンを適用してOCTデータを収集する。
【0132】
走査制御部は、一連のサイクルを含む所定の2次元パターンにそれぞれ従う複数のパターン走査を順次にサンプルに適用するように走査部の制御を行う。上記の例において、走査制御部は、走査制御部213を含み、一連のサイクルを含むリサージュパターンにそれぞれ従う複数のリサージュスキャンを順次に被検眼Eに適用するように、OCTユニット100、光スキャナ44などの制御を行う。
【0133】
移動部は、上記2次元パターンに対応する走査エリアとサンプルとを相対的に移動するための要素である。上記の例において、移動部は、LCD39、光スキャナ44、及び移動機構150の少なくとも1つを含み、リサージュスキャンに対応する走査エリアと被検眼Eとを相対的に移動するために用いられる。
【0134】
移動制御部は、上記複数のパターン走査のうちの第1走査におけるサイクルと第2走査におけるサイクルとが少なくとも1点で互いに交差するように移動部の制御を行う。上記の例において、移動制御部は、移動制御部214を含み、上記複数のリサージュスキャンのうちの任意の2つのリサージュスキャンについて、一方のリサージュスキャンにおける任意のサイクルと、他方のリサージュスキャンにおける或るサイクルとが、少なくとも1点で互いに交差するように、LCD39、光スキャナ44、及び移動機構150の少なくとも1つの制御を行う。
【0135】
画像構築部は、走査制御部による制御及び移動制御部による制御の下に走査部により収集されたデータに基づいて画像を構築する。上記の例において、画像構築部は、画像構築部220を含み、走査制御部213による制御(リサージュスキャンの繰り返し制御)及び移動制御部214による制御(走査エリアと被検眼Eとの間の相対移動の制御)の下にOCTユニット100等を用いて収集されたOCTデータに基づいて画像を構築する。
【0136】
更に、走査制御部及び移動制御部は、上記複数のパターン走査のそれぞれについて、そのパターン走査における第1サイクルと第2サイクルとが少なくとも1点で互いに交差するように、それぞれ走査部の制御及び移動部の制御を行う。つまり、各パターン走査における任意の2つのサイクルが少なくとも1点で互いに交差するように、走査制御部による走査部の制御と移動制御部により移動部の制御とが実行される。上記の例において、複数のリサージュスキャンのそれぞれについて、そのリサージュスキャンにおける任意の第1サイクルと或る第2サイクルとが少なくとも1点で互いに交差するように、走査制御部213はOCTユニット100や光スキャナ44の制御を行い、且つ、移動制御部214はLCD39、光スキャナ44、及び移動機構150の少なくとも1つの制御を行う。
【0137】
このような走査型イメージング装置によれば、反復的な走査と走査エリアの移動とを連係して行うように構成されているので、従来よりも広い範囲に対して走査を適用することができる。更に、サイクルの経路を必要以上に長くすることなく広画角化を達成できるので、広い範囲から収集されたデータに対してモーションアーティファクト補正を有効に適用することが可能である。
【0138】
また、走査エリアの中央領域にサンプルの注目部位を配置することにより、モーションアーティファクトが好適に補正され、注目部位が高精細に描出され、且つ、サンプルの広い範囲が描出された、有用性の高い画像を取得することが可能になる。
【0139】
例示的な実施形態において、走査部は、互いに異なる第1方向及び第2方向に光を偏向可能な第1偏向器を含んでいてよい。更に、走査制御部は、第1方向に沿った偏向方向の変化を第1周期で繰り返しつつ第2方向に沿った偏向方向の変化を第1周期と異なる第2周期で繰り返すように第1偏向器の制御を行うことにより、複数のパターン走査を順次にサンプルに適用するように構成されていてよい。
【0140】
上記の例において、第1偏向器は、光スキャナ44を含み、互いに直交するx方向及びy方向に光を変更可能である。なお、第1方向と第2方向は、互いに直交している必要はなく、互いに異なる方向であればよい。更に、走査制御部213は、x方向に沿った偏向方向の変化を第1周期で繰り返しつつy方向に沿った偏向方向の変化を第1周期と異なる第2周期で繰り返すように光スキャナ44の制御を行うことによって、反復的リサージュスキャンを被検眼Eに適用するように構成されている。
【0141】
例示的な実施形態において、サンプルが生体眼である場合、移動部は、生体眼に固視光を投射する固視光投射部を含んでいてよい。更に、移動制御部は、生体眼に対する固視光の投射方向を変更するように固視光投射部の制御を行うように構成されていてよい。
【0142】
上記の例において、固視光投射部は、LCD39(及び、LCD39から被検眼Eまでの光路を形成する素子群)を含む。更に、移動制御部214は、被検眼Eに対する固視光の投射方向を変更するようにLCD39の制御を行う。なお、被検眼Eに対する固視光の投射方向を変更するための制御は、固視標画像の表示位置の制御に限定されない。例えば、2次元的に配列された複数の発光素子(例えば、LEDアレイ)を選択的に点灯する構成、発光素子を移動する構成、表示装置(例えば、LCD)を移動する構成、及び、発光素子又は表示装置から被検眼Eまでの光路に配置された素子を制御する構成のうちのいずれかによって、被検眼Eに対する固視光の投射方向を変更することができる。
【0143】
例示的な実施形態において、移動部は、走査部により導かれる光を偏向する第2偏向器を含んでいてよい。更に、移動制御部は、走査部により導かれる光の偏向方向を変更するように第2偏向器の制御を行うように構成されていてよい。
【0144】
上記の例において、第2偏向器は、光スキャナ44を含む。なお、第1偏向器と第2偏向器とは、同一の要素である必要はなく、互いに別々の要素であってもよい。更に、移動制御部214は、測定アームにより導かれる測定光LSの偏向方向を変更するように光スキャナ44の制御を行う。
【0145】
例示的な実施形態において、移動部は、少なくとも走査部の少なくとも一部を移動するための移動機構を含んでいてよい。更に、移動制御部は、サンプルに対して少なくとも走査部の少なくともを移動するように移動機構の制御を行うように構成されていてよい。
【0146】
上記の例において、移動機構は、眼底カメラユニット2等を移動するための移動機構150を含む。更に、移動制御部214は、被検眼Eに対して眼底カメラユニット2等を移動するように移動機構150の制御を行う。
【0147】
例示的な実施形態において、移動制御部は、走査エリアとサンプルとを所定の経路に沿って相対的に移動させるように移動部の制御を行うように構成されていてよい。ここで、所定の経路は閉経路であってよい。この閉経路は、上記の例のように円形経路であってよい。なお、複数の経路のうちからいずれかの経路を選択するための要素が設けられていてもよい。また、ユーザーが所望の経路を設定するための要素が設けられていてもよい。
【0148】
例示的な実施形態において、移動制御部は、走査エリアとサンプルとの相対的な移動を連続的又は段階的に行うように移動部の制御を行うように構成されていてよい。上記の例は、連続的な移動制御の例を提供している。段階的な移動制御は、例えば、予め設定された複数の固視位置の順次的適用と、各固視位置(固視標は静止している状態)でのリサージュスキャンの適用との組み合わせによって実現される。
【0149】
例示的な実施形態において、移動制御部は、上記第1走査におけるサイクルと上記第2走査におけるサイクルとが少なくとも2点で互いに交差するように移動部の制御を行うように構成されていてよい。更に、上記の例のように、移動制御部は、上記第1走査におけるサイクルと上記第2走査におけるサイクルとが少なくとも4点で互いに交差するように移動部の制御を行うように構成されていてよい。つまり、異なる2つのパターン走査のサイクル同士が2点以上(更には4点以上)で交差するように構成されていてよい。これにより、モーションアーティファクト補正をより有効に行うことができる(例えば非特許文献1又は2を参照)。
【0150】
例示的な実施形態において、走査制御部及び移動制御部は、複数のパターン走査のそれぞれについて、当該パターン走査における第1サイクルと第2サイクルとが少なくとも2点で互いに交差するように、それぞれ走査部の制御及び移動部の制御を行うことができる。つまり、1つのパターン走査のサイクル同士が2点以上で交差するように構成されていてよい。例えば、上記の例のように、走査制御部は、リサージュ関数に基づき予め設定された走査プロトコルに基づいて走査部の制御を行うように構成されていてよい。
【0151】
例示的な実施形態は、走査型イメージング装置を制御する方法を提供する。この走査型イメージング装置は、上記の例のように、サンプルに光走査を適用してデータを収集する走査部と、光走査の対象エリア(走査エリア)とサンプルとを相対的に移動するための移動部と、走査部により収集されたデータに基づいて画像を構築する画像構築部とを含む。
【0152】
この制御方法は、走査制御ステップと、移動制御ステップと、連係制御ステップと、画像構築ステップとを含む。走査制御ステップは、一連のサイクルを含む所定の2次元パターンにそれぞれ従う複数のパターン走査を順次にサンプルに適用するように走査部を制御する。移動制御ステップは、複数のパターン走査のうちの第1走査におけるサイクルと第2走査におけるサイクルとが少なくとも1点で互いに交差するように移動部を制御する。連係制御ステップは、複数のパターン走査のそれぞれについて、そのパターン走査における第1サイクルと第2サイクルとが少なくとも1点で互いに交差するように、走査部と移動部とを制御する。画像構築ステップは、走査部の制御及び移動部の制御と並行して走査部により収集されたデータに基づいて画像を構築する。
【0153】
このような走査型イメージング装置の制御方法に対して、例示的な実施形態において説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。
【0154】
例示的な実施形態は、このような制御方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供する。このプログラムに対して、例示的な実施形態において説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。
【0155】
また、このようなプログラムを記録したコンピュータ可読な非一時的記録媒体を作成することが可能である。この記録媒体に対して、例示的な実施形態において説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。また、この非一時的記録媒体は任意の形態であってよく、その例として、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどがある。
【0156】
このような走査型イメージング装置の制御方法、プログラム、又は記録媒体によれば、広い範囲から収集されたデータに対してモーションアーティファクト補正を有効に適用することができる。また、走査エリアの中央領域にサンプルの注目部位を配置することにより、モーションアーティファクトが好適に補正され、注目部位が高精細に描出され、且つ、サンプルの広い範囲が描出された、有用性の高い画像を取得することが可能になる。
【0157】
例示的な実施形態は、イメージング方法を提供する。このイメージング方法は、サンプルに光走査を適用して収集されたデータに基づき画像を構築するものであり、以下のステップ群を含む。第1ステップは、一連のサイクルを含む所定の2次元パターンにそれぞれ従う複数のパターン走査を順次にサンプルに適用する。第2ステップは、複数のパターン走査のうちの第1走査におけるサイクルと第2走査におけるサイクルとが少なくとも1点で互いに交差するように、光走査の対象エリアとサンプルとを相対的に移動する。第3ステップは、複数のパターン走査のそれぞれについて、そのパターン走査における第1サイクルと第2サイクルとが少なくとも1点で互いに交差するように、複数のパターン走査の順次適用及び対象エリアとサンプルとの相対移動を行う。第4ステップは、複数のパターン走査の順次適用及び対象エリアとサンプルとの相対移動と並行して、サンプルに光走査を適用してデータを収集する。第5ステップは、収集されたデータに基づき画像を構築する。
【0158】
このようなイメージング方法に対して、例示的な実施形態において説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。
【0159】
例示的な実施形態は、このようなイメージング方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供する。このプログラムに対して、例示的な実施形態において説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。
【0160】
また、このようなプログラムを記録したコンピュータ可読な非一時的記録媒体を作成することが可能である。この記録媒体に対して、例示的な実施形態において説明された事項のいずれかを組み合わせることが可能である。また、この非一時的記録媒体は任意の形態であってよく、その例として、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどがある。
【0161】
このようなイメージング方法、プログラム、又は記録媒体によれば、広い範囲から収集されたデータに対してモーションアーティファクト補正を有効に適用することができる。また、走査エリアの中央領域にサンプルの注目部位を配置することにより、モーションアーティファクトが好適に補正され、注目部位が高精細に描出され、且つ、サンプルの広い範囲が描出された、有用性の高い画像を取得することが可能になる。
【0162】
以上に説明した構成は、この発明の実施態様の例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0163】
1 眼科装置
39 LCD
44 光スキャナ
100 OCTユニット
150 移動機構
213 走査制御部
214 移動制御部
218 走査プロトコル
219 移動プロトコル
220 画像構築部