(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】高い還元力を有する芳香環光レドックス触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 35/02 20060101AFI20230904BHJP
B01J 31/02 20060101ALI20230904BHJP
C07C 29/04 20060101ALI20230904BHJP
C07C 33/46 20060101ALI20230904BHJP
C07C 33/50 20060101ALI20230904BHJP
C07C 35/52 20060101ALI20230904BHJP
C07C 41/30 20060101ALI20230904BHJP
C07C 43/295 20060101ALI20230904BHJP
C07C 45/42 20060101ALI20230904BHJP
C07C 49/80 20060101ALI20230904BHJP
C07C 49/813 20060101ALI20230904BHJP
C07C 49/84 20060101ALI20230904BHJP
C07C 51/367 20060101ALI20230904BHJP
C07C 65/17 20060101ALI20230904BHJP
C07C 65/32 20060101ALI20230904BHJP
C07C 67/287 20060101ALI20230904BHJP
C07C 67/293 20060101ALI20230904BHJP
C07C 69/63 20060101ALI20230904BHJP
C07C 69/78 20060101ALI20230904BHJP
C07C 201/12 20060101ALI20230904BHJP
C07C 205/26 20060101ALI20230904BHJP
C07C 205/45 20060101ALI20230904BHJP
C07C 253/30 20060101ALI20230904BHJP
C07C 255/56 20060101ALI20230904BHJP
C07C 401/00 20060101ALI20230904BHJP
C07F 7/12 20060101ALI20230904BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230904BHJP
C07C 211/54 20060101ALN20230904BHJP
C07C 211/56 20060101ALN20230904BHJP
C07C 211/58 20060101ALN20230904BHJP
【FI】
B01J35/02 J
B01J31/02 102Z
C07C29/04
C07C33/46
C07C33/50
C07C35/52
C07C41/30
C07C43/295 B
C07C45/42
C07C49/80
C07C49/813
C07C49/84 D
C07C51/367
C07C65/17
C07C65/32 A
C07C67/287
C07C67/293
C07C69/63
C07C69/78
C07C201/12
C07C205/26
C07C205/45
C07C253/30
C07C255/56
C07C401/00
C07F7/12 D
C07B61/00 300
C07C211/54
C07C211/56
C07C211/58
(21)【出願番号】P 2019160380
(22)【出願日】2019-09-03
【審査請求日】2022-08-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年9月19日 http://www.shokubai.org/meeting/index.htmlにて発表 平成30年9月27日 第122回触媒討論会にて発表 平成30年10月15日 NCTU-5 Star Alliance Lectures 2018にて発表 平成30年10月17日 国立台湾大学理学院化学科松平講堂にて発表 発行者名:日本フッ素化学会 刊行物名:第41回フッ素化学討論会要旨集 講演番号:O-17 発行年月日:平成30年10月25日 平成30年10月26日 第41回フッ素化学討論会にて発表 平成30年11月19日 特別講演会 国立大学法人徳島大学にて発表 平成30年11月21日 大塚創薬化学シンポジウム2018にて発表 発行者名:華中師範大学、華中師範大学uOttawa共同研究センター ■■与化学生物学教育部重点実験室 刊行物名:2018 CCNU Synthetic Photochemistry Symposium要旨集 発行年月日:平成30年11月26日 平成30年11月27日 2018 CCNU Synthetic Photochemistry Symposiumにて発表 平成30年11月30日 Mini-Symposium on Photochemistryにて発表 平成30年12月1日 学術講演 四川大学華西薬学院にて発表 平成30年12月3日 四川師範大学にて発表 平成30年12月12日 IIT Bombay Symposium on Chemical Synthesisにて発表 刊行物名:International Conference on Organometallics and Catalysis 2018要旨集 発行年月日:平成30年12月13日 平成30年12月13日 International Conference on Organometallics and Catalysis 2018にて発表 平成30年12月15日 パイスター分子制御による未来型物質変換研究拠点 2018年度公開シンポジウムにて発表 発行者名:シンガポール国立大学、南洋理工大学、シンガポール国立化学研究所 刊行物名:10th Singapore International Chemistry Conference要旨集 発行年月日:平成30年12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 月16日 平成30年12月19日 10th Singapore International Chemistry Conferenceにて発表 平成31年1月9日 Titech Fluorine-Symposiumにて発表 発行者名:公益社団法人 日本化学会 刊行物名:日本化学会第99春季年会(2019)予稿集DVD 講演番号:1F2-38 発行年月日:平成31年3月1日 平成31年3月16日 日本化学会第99春季年会(2019) 講演番号:1F2-38にて発表 平成31年4月12日 https://pubs.acs.org/doi/pdf/10.1021/acscatal.9b00473?rand=dsuy9p8qにて発表 発行者名:公益社団法人 日本化学会 刊行物名:日本化学会第99春季年会(2019)予稿集DVD 講演番号:1F2-40 発行年月日:平成31年3月1日 平成31年3月16日 日本化学会第99春季年会(2019) 講演番号:1F2-40にて発表 令和1年6月10日 テンプル大学にて発表 令和1月6月11日 Organic Chemistry Seminar(ペンシルベニア大学)にて発表 令和1年6月13日 Organic Chemistry Seminars(イリノイ大学 アーバナ・シャンペーン校)にて発表 令和1年6月15日 https://drive.google.com/file/d/1NDHccG■s■NN5■InBzrlfU-HGVIPY3tES/viewにて発表 令和1年6月21日 9th Pacific Symposium on Redical Chemistryにて発表 令和1年7月5日 北海道大学電子科学研究所客員教授講演会にて発表 令和1年7月16日 2019 Photochemistry Gordon Research Conference Light-Driven Reactions,Materials and Devicesにて発表 発行者名:山口大学 生命分子インターネットワークセンター 刊行物名:白川CREST×IoLセンタージョイントシンポジウムブックレット 公開者:谷口 諒、納戸 直木、小池 隆司、穐田 宗隆 発行年月日:令和1年7月29日 令和1年7月29日 白川CREST×Io
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 Lセンタージョイントシンポジウムにて 谷口 諒、納戸 直木、小池 隆司、穐田 宗隆が発表 発行者名:山口大学 生命分子インターネットワークセンター 刊行物名:白川CREST×IoLセンタージョイントシンポジウムブックレット 公開者:小池 隆司 発行年月日:令和1年7月29日 令和1年7月29日 白川CREST×IoLセンタージョイントシンポジウムにて小池隆司が発表
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業、チーム型研究(CREST)、「新たな生産プロセス構築のための電子やイオン等の能動的制御による革新的反応技術の創出」、「アニオンラジカル制御が拓く革新的電子触媒系」、「光と電子触媒系の融合」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】591287118
【氏名又は名称】学校法人日本工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107870
【氏名又は名称】野村 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100098121
【氏名又は名称】間山 世津子
(72)【発明者】
【氏名】小池 隆司
(72)【発明者】
【氏名】納戸 直木
(72)【発明者】
【氏名】谷口 諒
(72)【発明者】
【氏名】高橋 慶悟
(72)【発明者】
【氏名】穐田 宗隆
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-135274(JP,A)
【文献】特開2000-136151(JP,A)
【文献】特開2016-166137(JP,A)
【文献】特開2014-159382(JP,A)
【文献】特開2010-229127(JP,A)
【文献】特開2006-182615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 35/02
C07C 29/04
C07C 33/46
C07C 33/50
C07C 35/52
C07C 41/30
C07C 43/295
C07C 45/42
C07C 49/80
C07C 49/813
C07C 49/84
C07C 51/367
C07C 65/17
C07C 65/32
C07C 67/287
C07C 67/293
C07C 69/63
C07C 69/78
C07C 201/12
C07C 205/26
C07C 205/45
C07C 253/30
C07C 255/56
C07C 401/00
C07F 7/12
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(I)又は一般式(II)
【化1】
〔式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5、Ar
6、Ar
7、及びAr
8は、それぞれ独立して置換基で置換されていてもよいアリール基又は置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基を表し、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基で置換されていてもよいアリール基、又は置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基を表す。〕
で表される化合物を含むことを特徴とする光レドックス触媒。
【請求項2】
一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物におけるAr
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5、Ar
6、Ar
7、及びAr
8が、それぞれ独立して置換基で置換されていてもよいフェニル基であることを特徴とする請求項1に記載の光レドックス触媒。
【請求項3】
一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物におけるAr
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5、Ar
6、Ar
7、及びAr
8が、それぞれ独立してフェニル基又は4位、3位、若しくは2位が置換基で置換されているフェニル基であることを特徴とする請求項1に記載の光レドックス触媒。
【請求項4】
一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物におけるAr
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5、Ar
6、Ar
7、及びAr
8が、それぞれ独立してフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、又は4-フルオロフェニル基であることを特徴とする請求項1に記載の光レドックス触媒。
【請求項5】
一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物におけるR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10が、水素原子であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光レドックス触媒。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光レドックス触媒の存在下、光照射下で、酸化還元反応により有機化合物を活性化することを特徴とする化合物の製造方法。
【請求項7】
酸化還元反応が、
fac-[Ir(ppy)
3
]又は
[Ru(bpy)
3
](PF
6
)
2
を触媒とする酸化還元反応であることを特徴とする請求項6に記載の化合物の製造方法。
【請求項8】
酸化還元反応が、芳香族アルケンのヒドロキシ-モノフルオロメチル化反応又は芳香族ビニルアセテートのモノフルオロアルキル化反応であることを特徴とする請求項6に記載の化合物の製造方法。
【請求項9】
光レドックス触媒が、一般式(II)で表される化合物を含む光レドックス触媒であり、酸化還元反応が、クロロベンゼン類の脱塩素化反応であることを特徴とする請求項6に記載の化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な有機分子光レドックス触媒に関する。本発明の光レドックス触媒は、高い還元力と高い触媒活性を有し、様々な酸化還元化学反応の触媒として有用である。
【背景技術】
【0002】
近年、可視光を駆動力とする環境調和型の有機合成ツールとして、光レドックス触媒が注目されている。本発明者はこの光レドックス触媒作用に注目し、トリフルオロメチル化試薬の還元を鍵とするアルケンのトリフルオロメチル化反応を開発した(Y. Yasu, T. Koike, M. Akita, Angew. Chem. Int. Ed., 51, 9567, (2012) )。有機フッ素化合物は医農薬分野で注目されており、その合成法の開発は重要であるが、一方で従来の手法では、イリジウム等の貴金属を光触媒として用いなければならないという課題があった。
【0003】
これに対して、本発明者は最近、単純な多環芳香族炭化水素であるペリレンが、ジフルオロメチル化反応において効果的な光レドックス触媒として働くことを見出した(N. Noto, T. Koike, M. Akita, Chem. Sci., 8, 6375, (2017) )。この結果から、本発明者はπ共役有機化合物が、金属錯体に取って代わる優れた還元触媒として働く可能性を持つと考察した。一方、ペリレンは安定性や還元力の面で改善の余地を有しており、さらにその溶解性の悪さから有効な官能基化が難しいため、触媒としての発展性に乏しかった。そこで比較的大きなπ共役系を持ち、より官能基化の容易なアントラセンを基盤骨格として用いることを着想し、これを用いた有機光レドックス触媒の開発に取り組んだ。その結果、アントラセンの9位及び10位をジアリールアミノ基によって置換した9,10-ビス(ジフェニルアミノ)アントラセン(以下、「BDA」という場合がある。)が優れた還元触媒として働くことを見出した(非特許文献1)
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Naoki Noto, Yuya Tanaka, Takashi Koike, and Munetaka Akita, ACS Catal. 2018, 8, 9408-9419
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
BDAは、フルオロアルキル化反応を触媒する際、カチオン性または高い求電子性のフルオロアルキル化試薬を選択する必要があるなど、適用できる反応に制限があった。本発明は、このような背景の下、より広範な反応に適用可能な光レドックス触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、BDAのアントラセンをナフタレン又はベンゼンに置き換えた化合物である1,4-ビス(ジフェニルアミノ)ナフタレン(以下、「BDN」という場合がある。)又は1,4-ビス(ジフェニルアミノ)ベンゼン(以下、「BDB」という場合がある。)が、優れた触媒活性を示すと共に、高い還元力を有し、中性または求電子性の低いフルオロアルキル化試薬からラジカルの発生が可能であることを見出した。
【0007】
また、本発明者は、BDN及びBDBは、BDAと触媒の作用機序が異なることも見出した(
図1)。即ち、BDAを用いた反応では、触媒と基質との相互作用(静的消光)が必要であるが(Naoki Noto, Yuya Tanaka, Takashi Koike, and Munetaka Akita, ACS Catal. 2018, 8, 9408-9419)、BDN及びBDBは、そのような相互作用は不要であり、より広範な基質の活性化可能であることを見出した。
本発明は、以上の知見に基づき完成されたものである。
【0008】
即ち、本発明は、以下の(1)~(9)を提供する。
(1)下記の一般式(I)又は一般式(II)
【化1】
〔式中、Ar
1、Ar
2、Ar
3、Ar
4、Ar
5、Ar
6、Ar
7、及びAr
8は、それぞれ独立して置換基で置換されていてもよいアリール基又は置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基を表し、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換基で置換されていてもよいアリール基、又は置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基を表す。〕
で表される化合物を含むことを特徴とする光レドックス触媒。
【0009】
(2)一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物におけるAr1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6、Ar7、及びAr8が、それぞれ独立して置換基で置換されていてもよいフェニル基であることを特徴とする(1)に記載の光レドックス触媒。
【0010】
(3)一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物におけるAr1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6、Ar7、及びAr8が、それぞれ独立してフェニル基又は4位、3位、若しくは2位が置換基で置換されているフェニル基であることを特徴とする(1)に記載の光レドックス触媒。
【0011】
(4)一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物におけるAr1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6、Ar7、及びAr8が、それぞれ独立してフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、又は4-フルオロフェニル基であることを特徴とする(1)に記載の光レドックス触媒。
【0012】
(5)一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10が、水素原子であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の光レドックス触媒。
【0013】
(6)(1)乃至(5)のいずれかに記載の光レドックス触媒の存在下、光照射下で、酸化還元反応により有機化合物を活性化することを特徴とする化合物の製造方法。
【0014】
(7)酸化還元反応が、fac-トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(III)又はトリス(2,2'-ビピリジン)ルテニウム(II)ビス(ヘキサフルオロホスファート)を触媒とする酸化還元反応であることを特徴とする(6)に記載の化合物の製造方法。
【0015】
(8)酸化還元反応が、芳香族アルケンのヒドロキシ-モノフルオロメチル化反応又は芳香族ビニルアセテートのモノフルオロアルキル化反応であることを特徴とする(6)に記載の化合物の製造方法。
【0016】
(9)光レドックス触媒が、一般式(II)で表される化合物を含む光レドックス触媒であり、酸化還元反応が、クロロベンゼン類の脱塩素化反応であることを特徴とする(6)に記載の化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、新規な光レドックス触媒を提供する。本発明の光レドックス触媒は、還元力と触媒活性が高く、有機フッ素化合物の合成反応を初めとした様々な化学反応の触媒として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】BDA、BDN、及びBDBの作用機序を示す図。
【
図2】BDNと他の触媒の触媒活性を示す図。図中には、左から、フェノチアジン、BDN、ペリレン、fac-[Ir(ppy)
3]、5,10-ジヒドロフェナジン誘導体、BDAのモノフルオロメチル化生成物の収率が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において「ハロゲン原子」とは、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。
【0020】
本発明において「アリール基」とは、例えば、フェニル基、ナフタレン-1-イル基、ナフタレン-2-イル基である。
【0021】
本発明において「ヘテロアリール基」とは、例えば、ピリジニル基(ピリジン-2-イル基、ピリジン-3-イル基、ピリジン-4-イル基)、ピリミジニル基(ピリミジン-2-イル基、ピリミジン-4-イル基、ピリミジン-5-イル基)、フラニル基(フラン-2-イル基、フラン-3-イル基)、チエニル基(チオフェン-2-イル基、チオフェン-3-イル基)、キノリニル基(キノリン-2-イル基、キノリン-3-イル基、キノリン-4-イル基、キノリン-5-イル基、キノリン-6-イル基)である。
【0022】
本発明において「置換基で置換されていてもよいアリール基」及び「置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基」における「置換基」とは、例えば、ハロゲン原子、tert-ブチル基、アリール基、ヘテロアリール基である。また、この置換基であるアリール基又はヘテロアリール基が更に置換基(例えば、ハロゲン原子、tert-ブチル基など)で置換されていてもよい。
【0023】
本発明の光レドックス触媒は、上述した一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物を含むことを特徴とするものである。
【0024】
本発明の光レドックス触媒は、通常、一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物のみからなるが、他の物質を含んでいてもよい。
【0025】
一般式(I)においてAr1、Ar2、Ar3、及びAr4は、置換基で置換されていてもよいアリール基又は置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基を表す。Ar1、Ar2、Ar3、及びAr4は、前記した基であればよいが、好ましくは、置換基で置換されていてもよいフェニル基であり、より好ましくは、フェニル基(無置換フェニル基)、又は4位、3位、若しくは2位が置換基で置換されているフェニル基であり、更に好ましくは、フェニル基又は4位が置換基で置換されているフェニル基であり、特に好ましくは、フェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、又は4-フルオロフェニル基である。Ar1、Ar2、Ar3、及びAr4は同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。また、Ar1、Ar2、Ar3、及びAr4のすべてが置換基で置換されている基であってもよく、Ar1、Ar2、Ar3、及びAr4の一部だけが置換基で置換されている基であってもよい(例えば、Ar1とAr4だけ、又はAr2とAr3だけが置換基で置換されている基であってもよい。)。
【0026】
一般式(II)においてAr5、Ar6、Ar7及びAr8は、置換基で置換されていてもよいアリール基又は置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基を表す。Ar5、Ar6、Ar7及びAr8は、前記した基であればよいが、好ましくは、置換基で置換されていてもよいフェニル基であり、より好ましくは、フェニル基、又は4位、3位、若しくは2位が置換基で置換されているフェニル基であり、更に好ましくは、フェニル基又は4位が置換基で置換されているフェニル基であり、特に好ましくは、フェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、又は4-フルオロフェニル基である。Ar5、Ar6、Ar7及びAr8は同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。また、Ar5、Ar6、Ar7及びAr8のすべてが置換基で置換されている基であってもよく、Ar5、Ar6、Ar7及びAr8の一部だけが置換基で置換されている基であってもよい(例えば、Ar5とAr8だけが置換基で置換されている基であってもよい。)。
【0027】
一般式(I)においてR1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、水素原子、ハロゲン原子、置換基で置換されていてもよいアリール基、又は置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基を表す。R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、前記した基であればよいが、好ましくは、水素原子又はフッ素原子であり、より好ましくは水素原子である。R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
【0028】
一般式(II)においてR7、R8、R9、及びR10は、水素原子、ハロゲン原子、置換基で置換されていてもよいアリール基、又は置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基を表す。R7、R8、R9、及びR10は、前記した基であればよいが、好ましくは、水素原子又はフッ素原子であり、より好ましくは水素原子である。R7、R8、R9、及びR10は同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
【0029】
一般式(I)で表される化合物は、実施例1に記載した1,4-ジブロモナフタレンとジフェニルアミンを原料とする製造方法に、必要に応じて改変や修正を加えた方法に従って製造できる。例えば、置換基で置換されているフェニル基を有する化合物を製造する場合は、ジフェニルアミンの代わりに、ジフェニルアミンのフェニル基に目的の置換基が導入された化合物を原料として製造すればよい。また、フェニル基以外のアリール基やヘテロアリール基を有する化合物を製造する場合は、ジフェニルアミンの代わりに、ジフェニルアミンのフェニル基がフェニル基以外のアリール基やヘテロアリール基に置き換えられた化合物を原料として製造すればよい。
【0030】
一般式(II)で表される化合物は、実施例2に記載した1,4-ジブロモベンゼンとジフェニルアミンを原料とする製造方法に、必要に応じて改変や修正を加えた方法に従って製造できる。例えば、置換基で置換されているフェニル基を有する化合物を製造する場合は、ジフェニルアミンの代わりに、ジフェニルアミンのフェニル基に目的の置換基が導入された化合物を原料として製造すればよい。また、フェニル基以外のアリール基やヘテロアリール基を有する化合物を製造する場合は、ジフェニルアミンの代わりに、ジフェニルアミンのフェニル基がフェニル基以外のアリール基やヘテロアリール基に置き換えられた化合物を原料として製造すればよい。
【0031】
本発明の光レドックス触媒は、光(可視光や紫外光)を照射して使用する。照射する光の波長は、光レドックス触媒の化学構造に応じて決めればよく、例えば、一般式(I)で表される化合物を含む光レドックス触媒であれば、通常、350nm~450nmの範囲の波長であり、好ましくは、380nm~425nmの範囲の波長であり、一般式(II)で表される化合物を含む光レドックス触媒であれば、通常、300nm~400nmの範囲の波長であり、好ましくは、350nm~380nmの範囲の波長である。また、照射する光は、LEDが好ましい。
【0032】
本発明の光レドックス触媒は、従来使用されているイリジウム光レドックス触媒(例えば、fac-[Ir(ppy)3])やルテニウム光レドックス触媒(例えば、[Ru(bpy)3](PF6)2)の代替触媒になると考えられる。即ち、本発明の光レドックス触媒は、これらの金属光レドックス触媒が促進する様々な反応において触媒として使用できると考えられる。このような本発明の光レドックス触媒が使用可能な反応の具体例としては、例えば、Y. Yasu, T. Koike, M. Akita, Angew. Chem. Int. Ed., 51, 9567, (2012) に記載されている反応などを挙げることができる。
【0033】
また、実施例に記載したように、本発明の光レドックス触媒は、芳香族アルケンのヒドロキシ-モノフルオロメチル化反応や芳香族ビニルアセテートのモノフルオロアルキル化反応の触媒として使用できる。本発明の光レドックス触媒が、一般式(II)で表される化合物を含む場合は、クロロベンゼン類の脱塩素化反応の触媒としても使用できる。
【実施例】
【0034】
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
〔実施例1〕 BDNの合成
(1)BDNの一般的合成
【化2】
1,4-ジブロモナフタレン(1.14 g、4.00 mmol)、ジフェニルアミン(1.62 g、9.60 mmol)、LiHMDS(1.61 g、9.61 mmol)、Pd
2(dba)
3(36.6mg、0.0400 mmol)およびRuPhos(37.3 mg、0.0799 mmol)をいれた2つ口フラスコに、N
2雰囲気下で1,4-ジオキサン(40 mL)を加え、混合物を100℃で24時間攪拌した。室温まで冷却した後、沈殿物を濾別し、CH
2Cl
2で洗浄し、揮発物を留去した。 残渣を、溶出液としてCH
2Cl
2を用いてシリカゲルパッドを通してろ過した。 減圧下で濃縮した後、得られた固体をCH
2Cl
2およびMeOHを用いた再結晶により精製した。BDNを淡黄色の固体として得た(1.57 g 、3.38 mmol、85%)。
【0036】
既知化合物である。1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt):δ 8.00 (dd, J = 6.5 Hz, 3.3 Hz, 2H; naphthalene’s Ar), 7.34 (dd, J = 6.5 Hz, 3.3 Hz, 2H; naphthalene’s Ar), 7.32 (s, 2H; naphthalene’s Ar), 7.25-7.21 (8H; Ar), 7.07-7.05 (8H; Ar), 6.96 (t, J = 7.3 Hz, 4H; Ar).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt):δ 148.4, 142.3, 133.3, 129.5, 128.2, 126.9, 125.2, 122.3, 122.2.
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C34H26N2]+ 462.2091 found 462.2091.
【0037】
(2)修飾型BDNの合成
対応するジフェニルアミンを用いることで、下記の修飾型BDNを合成した。
【化3】
【0038】
〔4tBu-BDN〕
既知化合物である。1H NMR (400 MHz, CD2Cl2, rt):δ 8.02 (dd, J = 6.3, 3.2 Hz, 2H), 7.34 (dd, J = 6.3, 3.2 Hz, 2H), 7.31 (s, 2H), 7.24 (d, J = 8.5 Hz, 8H), 6.97 (d, J = 8.4 Hz, 8H), 1.29 (s, 36H).
13C NMR (126 MHz, CD2Cl2, rt):δ 146.4, 144.8, 142.4, 133.4, 128.1, 126.7, 126.3, 125.3, 121.6, 34.5, 31.6.
【0039】
〔2tBu-BDN〕
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2, rt):δ 8.01 (dd, 3JHH = 6.5 Hz, 4JHH = 3.3 Hz, 2H; naphthalene’s Ar), 7.34 (dd, 3JHH = 6.5 Hz, 4JHH = 3.3 Hz, 2H; naphthalene’s Ar), 7.32 (s, 2H; naphthalene’s Ar), 7.28 - 7.17 (8H; Ar), 7.04 - 6.98 (8H; Ar), 6.91 (t, 3JHH = 7.3 Hz, 2H; Ar), 1.30 (s, 18H; CH3).
13C NMR (126 MHz, CD2Cl2, rt):δ 149.1, 146.0, 145.5, 142.3, 133.3, 129.4, 128.1, 126.8, 126.4, 125.3, 122.5, 121.4, 121.3, 34.5, 31.5.
HRMS (ESI-TOF): calcd m/z for [C42H42N2]+ 574.3343, found 574.3345.
【0040】
〔2F-BDN〕
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2, rt):δ 7.98 (dd, 3JHH = 6.5 Hz, 4JHH = 3.3 Hz, 2H; naphthalene’s Ar), 7.35 (dd, 3JHH = 6.5 Hz, 4JHH = 3.3 Hz, 2H; naphthalene’s Ar), 7.28 (s, 2H; naphthalene’s Ar), 7.21 (t, 3JHH = 7.9 Hz, 4H; Ar), 7.09 - 7.05 (4H; Ar), 6.98 - 6.91 (10H; Ar).
13C NMR (126 MHz, CD2Cl2, rt):δ 158.3 (d, 1JCF = 240.9 Hz), 148.7, 144.6 (d, 4JCF = 2.5 Hz), 141.8, 132.6, 129.1 (2C), 127.4, 126.5, 124.8, 124.2 (d, 3JCF = 8.1 Hz, 2C),121.5, 121.0 (2C), 115.8 (d, 2JCF = 22.5 Hz, 2C).
19F NMR (376 MHz, CD2Cl2, rt):δ -121.7 (m, 2F).
HRMS (ESI-TOF): calcd m/z for [C34H24F2N2]+ 498.1902, found 498.1902.
【0041】
〔実施例2〕 BDBの合成
(1)BDBの一般的合成
【化4】
1,4-ジブロモベンゼン(0.472 g、2.00 mmol)、ジフェニルアミン(0.813 g、4.80 mmol)、LiHMDS(0.822 g、4.91 mmol)、Pd
2(dba)
3(19.3 mg、0.0211 mmol)およびRuPhos(18.6 mg、0.0399 mmol)をいれた2つ口フラスコに、N
2雰囲気下で1,4-ジオキサン(40 mL)を加え、混合物を100℃で24時間攪拌した。 室温まで冷却した後、沈殿物を濾別し、CH
2Cl
2で洗浄し、揮発物を留去した。 残渣を、溶出液としてCH
2Cl
2を用いてシリカゲルパッドを通してろ過した。 減圧下で濃縮した後、得られた固体をCH
2Cl
2およびMeOHを用いた再結晶により精製した。BDBを淡黄色の固体として得た(0.772 g 、1.87 mmol、94%)。
【0042】
既知化合物であり、スペクトルは既報(K. Kirihara, K. Okura, F. Tamakuni, E. Shirakawa, Chem. Eur. J. 2018, 24, 4519-4522.)と一致した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.24 (dd, 3JHH = 7.3 Hz, 3JHH = 6.8 Hz, 8H; Ar), 7.10 (d, 3JHH = 7.5 Hz, 8H; Ar), 6.98 (s, 4H; benzene’ s Ar), 6.98 (t, 3JHH = 7.7 Hz, 4H; Ar).
【0043】
(2)修飾型BDBの合成
対応するジフェニルアミンを用いることで、下記の修飾型BDNを合成した。
【化5】
既知化合物であり、スペクトルは既報(Y. Jiang, Z. Xian, Y. Meng, G. Zhou, C. Cabanetos, J. Roncali, J.-m. Liu, J. Gao, Dyes and Pigments 2019, 162, 697-703.)と一致した。
【0044】
1H NMR (400 MHz, acetone-d6): δ 7.27 (dd, 3JHH = 7.6 Hz, 3JHH = 8.1 Hz, 4H; Ar), 6.97-7.14 (14H; Ar), 6.99 (s, 4H; benzene’ s Ar).
13C NMR (126 MHz, acetone-d6): δ 158.74 (d, 1JCF = 241 Hz), 148.00, 144.15 (d, 4JCF = 2.6 Hz), 143.00, 129.32, 126.10 (d, 3JCF = 8.3 Hz), 125.07, 122.92, 122.36, 116.00 (d, 2JCF = 22.6 Hz).
19F NMR (376 MHz, acetone-d6): δ -121.4 (m, 2F)
【0045】
〔実施例3〕ヒドロキシ-モノフルオロメチル化反応
(1)ヒドロキシ-モノフルオロメチル化の一般的方法
【化6】
芳香族アルケン(0.250 mmol)、 フルオロメチル化剤(0.375 mmol)、BDN(12.5 μmol)、アセトン(4.5 mL)およびH
2O(0.5 mL)を加えた20 mLシュレンクチューブを、3回凍結脱気し、 水浴内で2~3 cm離した位置から青色LEDランプ(λ= 425 nm)を照射した。室温で12~24時間撹拌した。 反応後、反応混合物を減圧下で濃縮した。 シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製後に所望の生成物が得られた。必要に応じてリサイクル分取HPLCで精製した。
【0046】
(2)1-([1,1’-ビフェニル] -4-イル)-3-フルオロプロパン-1-オール(14a)の合成
【化7】
一般的方法に従い(reaction time = 12 h)、p-ビニルビフェニル13a (45.1 mg, 0.250 mmol)、化合物3(123 mg, 0.375 mmol)、BDN(5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL)及びH
2O (0.5 mL)から化合物14aを白色固体として得た(40.3 mg, 0.175 mmol, 70%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 4:1。
【0047】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.61-7.58 (4H; Ar), 7.46-7.42 (4H; Ar), 7.37-7.33 (1H; Ar), 4.99 (m, 1 H; CH2CHOH), 4.81-4.47 (2H; CH2F), 2.26-2.07 (2H; CH2CHOH), 2.02 (d, J = 2.6 Hz, 1H; CH2CHOH).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 143.1, 140.9, 140.8, 128.9, 127.5 (2C), 127.2, 126.3, 81.6 (d, J = 162.3 Hz), 70.8 (d, J = 4.7 Hz), 39.7 (d, J = 19.0 Hz).
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -222.2 (m, 1F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C15H15FO+Na]+ 253.0999 found 253.0999.
【0048】
(3)3-フルオロ-1-フェニルプロパン-1-オール(14b)の合成
【化8】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h)、スチレン13b (26.0 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.375 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン(4.5 mL)及びH
2O (0.5 mL)から化合物14bを無色の油として得た(20.6 mg, 0.134 mmol, 54%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 4:1。
【0049】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.37-7.28 (5H; Ar), 4.91 (dd, J = 8.4 Hz, 5.0 Hz, 1 H; CH2CHOH), 4.76-4.42 (2H; CH2F), 2.22-2.02 (2H; CH2CHOH), 2.00 (brs, 1H; CH2CHOH).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 144.1, 128.8, 128.0, 125.9, 81.6 (d, J = 162.2 Hz), 71.0 (d, J = 4.5 Hz), 39.7 (d, J = 18.9 Hz).
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -222.3 (m, 1F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C9H11FO+Na]+ 177.0686 found 177.0682.
【0050】
(4)3-フルオロ-1-(p-トリル)プロパン-1-オール(14c)の合成
【化9】
一般的方法に従い(reaction time = 12 h)、4-メチルスチレン13c (29.5 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.376 mmol)、BDN(5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL)及びH
2O (0.5 mL)から化合物14cを無色の油として得た (23.3 mg, 0.139 mmol, 55%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 4:1。
【0051】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.26 (d, J = 8.0 Hz, 2H; Ar), 7.18 (d, J = 8.0 Hz, 2H; Ar), 4.87 (dd, J = 8.4 Hz, 5.0 Hz, 1 H; CH2CHOH), 4.75-4.41 (2H; CH2F), 2.36 (s, 3H; Me), 2.21-1.99 (2H; CH2CHOH), 1.96 (brs, 1H; CH2CHOH).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 141.1, 137.7, 129.4, 125.8, 81.6 (d, J = 162.2 Hz), 70.8 (d, J = 4.8 Hz), 39.6 (d, J = 19.0 Hz), 21.2.
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -222.3 (m, 1F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C10H13FO+Na]+ 191.0843 found 191.0842.
【0052】
(5)3-フルオロ-1-(4-フルオロフェニル)プロパン-1-オール(14d)の合成
【化10】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h)、4-フルオロスチレン13d (30.5 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.376 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物 14d を無色の油として得た (22.4 mg, 0.130 mmol, 52%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 4:1。
【0053】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.37-7.33 (2H; Ar), 7.08-7.02 (2H; Ar), 4.93 (m, 1 H; CH2CHOH), 4.77-4.41 (2H; CH2F), 2.21-1.98 (2H; CH2CHOH), 2.00 (brs, 1H; CH2CHOH).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 162.4 (d, J = 244.3 Hz), 139.8 (d, J = 9.7 Hz), 127.5 (d, J = 8.0 Hz), 115.6 (d, J = 21.3 Hz), 81.5 (d, J = 162.4 Hz), 70.4 (d, J = 4.3 Hz), 39.8 (d, J = 18.9 Hz).
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -115.7 (m, 1F; ArF), -222.4 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C9H10F2O+Na]+ 195.0592 found 195.0588.
【0054】
(6)1-(4-クロロフェニル)-3-フルオロプロパン-1-オール (14e)の合成
【化11】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h), 4-クロロスチレン13e (34.6 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.375 mmol)、 BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、 アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物 14eを無色の油として得た (24.2 mg, 0.128 mmol, 51%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 4:1。
【0055】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.35-7.30 (4H; Ar), 4.92 (m, 1 H; CH2CHOH), 4.77-4.42 (2H; CH2F), 2.19-1.99 (2H; CH2CHOH), 2.02 (brs, 1H; CH2CHOH).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 142.6, 133.6, 128.9, 127.3, 81.4 (d, J = 162.4 Hz), 70.4 (d, J = 4.2 Hz), 39.7 (d, J = 18.9 Hz).
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -222.4 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C9H10ClFO+Na]+ 211.0296 found 211.0294.
【0056】
(7)1-(4-ブロモフェニル)-3-フルオロプロパン-1-オール (14f)の合成
【化12】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h)、4-ブロモスチレン13f (45.8 mg, 0.250 mmol)、化合物3(123 mg, 0.377 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物 14fを無色の油として得た (32.3 mg, 0.139 mmol, 55%)。 溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 4:1。
【0057】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.49 (d, J = 8.4 Hz, 2H; Ar), 7.26 (d, J = 8.4 Hz, 2H; Ar), 4.91 (m, 1 H; CH2CHOH), 4.78-4.42 (2H; CH2F), 2.18-1.97 (2H; CH2CHOH), 2.03 (brs, 1H; CH2CHOH).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 143.1, 131.8, 127.6, 121.7, 81.4 (d, J = 162.5 Hz), 70.5 (d, J = 4.2 Hz), 39.7 (d, J = 18.8 Hz).
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -222.4 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C9H10BrFO+Na]+ 254.9791 found 254.9791.
【0058】
(8)3-フルオロ-1-(4-メトキシフェニル)プロパン-1-オール(14g)の合成
【化13】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h)、4-メトキシスチレン13g (33.5 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.376 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物 14gを無色の油として得た (31.1 mg, 0.169 mmol, 68%)。 溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 4:1。
【0059】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.30 (d, J = 8.7 Hz, 2H; Ar), 6.91 (d, J = 8.7 Hz, 2H; Ar), 4.88 (m, 1 H; CH2CHOH), 4.75-4.41 (2H; CH2F), 3.81 (s, 3H; OMe), 2.24-1.98 (2H; CH2CHOH), 1.90 (brs, 1H; CH2CHOH).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 159.4, 136.2, 127.2, 114.1, 81.6 (d, J = 162.2 Hz), 70.6 (d, J = 4.8 Hz), 55.4, 39.6 (d, J = 19.0 Hz).
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -222.4 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C10H13FO2+Na]+ 207.0792 found 207.0792.
【0060】
(9)4-(3-フルオロ-1-ヒドロキシプロピル)フェニルアセテート (14h)の合成
【化14】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h), 4-アセトキシスチレン13h (40.5 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.375 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物 14hを無色の油として得た (31.5 mg, 0.148 mmol, 59%)。 溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 4:1。
【0061】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.39 (d, J = 8.5 Hz, 2H; Ar), 7.09 (d, J = 8.5 Hz, 2H; Ar), 4.94 (dd, J = 8.3 Hz, 4.8 Hz, 1 H; CH2CHOH), 4.78-4.43 (2H; CH2F), 2.30 (s, 3H; OAc), 2.21-2.01 (2H; CH2CHOH), 2.00 (brs, 1H; CH2CHOH).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 169.7, 150.2, 141.7, 127.0, 121.8, 81.5 (d, J = 162.4 Hz), 70.4 (d, J = 3.8 Hz), 39.6 (d, J = 19.0 Hz), 21.2.
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -222.4 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C11H13FO3+Na]+ 235.0741 found 235.0739.
【0062】
(10)3-フルオロ-1-(4-(トリメチルシリル)フェニル)プロパン-1-オール(14i)の合成
【化15】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h)、トリメチル(4-ビニルフェニル)シラン13i (44.1 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.377 mmol)、 BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、 アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物14iを無色の油として得た (30.9 mg, 0.137 mmol, 55%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 4:1。
【0063】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.54 (d, J = 7.9 Hz, 2H; Ar), 7.36 (d, J = 7.9 Hz, 2H; Ar), 4.91 (dd, J = 8.2 Hz, 5.0 Hz, 1 H; CH2CHOH), 4.78-4.43 (2H; CH2F), 2.22-2.02 (2H; CH2CHOH), 1.98 (brs, 1H; CH2CHOH), 0.28 (s, 9H; SiMe3).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 144.6, 140.3, 133.8, 125.3, 81.6 (d, J = 162.3 Hz), 70.9 (d, J = 4.5 Hz), 39.6 (d, J = 19.0 Hz), -1.00.
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -222.3 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C12H19FOSi+Na]+ 249.1081 found 249.1080.
【0064】
(11)2-(フルオロメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール(14j)の合成
【化16】
一般的方法に従い (reaction time = 24 h)、インデン13j (29.0 mg, 0.250 mmol), 化合物3 (123 mg, 0.377 mmol)、BDN (9.3 mg, 20.1 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物 14jを無色の油として得た(11.0 mg, 0.0662 mmol, 27%, diastereomeric ratio = 1.1:1)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 4:1。
【0065】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.44-7.22 (2H; Ar of major and minor isomers), 5.26 (d, J = 6.0 Hz, 1H; CHCHOH of minor isomer), 5.26 (d, J = 6.4 Hz, 1H; CHCHOH of major isomer), 4.92-4.53 (2H; CH2F of major and minor isomers), 3.16-2.57 (3H; CHCHOH, ArCH2CH of major and minor isomers), 1.78 (brs, 1H; CHCHOH of major and minor isomers).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 84.6 (d, J = 166.8 Hz), 83.7 (d, J = 163.2 Hz), 77.8 (d, J = 6.0 Hz), 75.8 (d, J = 4.8 Hz), 50.8 (d, J = 18.1 Hz), 44.4 (d, J = 18.3 Hz), 32.5 (d, J = 8.3 Hz), 32.1 (d, J = 6.1 Hz).
Aromatic signals of major and minor diastereomers were overlapped around (144.1, 143.9, 142.4, 141.1, 129.1, 128.7, 127.2, 125.2, 125.1, 125.0, 124.3).
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -222.9 (m, 1F; CH2F of minor isomer), -223.3 (m, 1F; CH2F of major isomer).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C10H11FO+Na]+ 189.0686 found 189.0688.
【0066】
(12)3-フルオロ-1-(m-トリル)プロパン-1-オール(14k)の合成
【化17】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h)、3-メチルスチレン13k (29.5 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.376 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物 14kを無色の油として得た (19.7mg, 0.117 mmol, 47%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 4:1。
【0067】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.28-7.11 (4H; Ar), 4.89 (m, 1 H; CH2CHOH), 4.77-4.43 (2H; CH2F), 2.37 (s, 3H; Me), 2.23-2.02 (2H; CH2CHOH), 1.96 (brd, J = 2.7 Hz, 1H; CH2CHOH).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 144.1, 138.5, 128.70, 128.67, 126.6, 122.9, 81.6 (d, J = 162.3 Hz), 71.0 (d, J = 4.4 Hz), 39.7 (d, J = 19.0 Hz), 21.6.
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -222.3 (m, 1F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C10H13FO+Na]+ 191.0843 found 191.0848.
【0068】
(13)3-フルオロ-1-(o-トリル)プロパン-1-オール(14l)の合成
【化18】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h)、2-メチルスチレン13l (29.5 mg, 0.250 mmol)、化合物3(123 mg, 0.376 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物 14lを無色の油として得た (21.6 mg, 0.128 mmol, 51%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 4:1。
【0069】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.49 (d, J = 7.4 Hz, 2H; Ar), 7.27-7.15 (3H; Ar), 5.17 (dd, J = 8.4 Hz, 5.5 Hz, 1 H; CH2CHOH), 4.82-4.46 (2H; CH2F), 2.35 (s, 3H; Me), 2.16-1.96 (2H; CH2CHOH), 2.00 (brs, 1H; CH2CHOH).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 142.2, 134.5, 130.6, 127.6, 126.6, 125.1, 81.7 (d, J = 162.2 Hz), 67.2 (d, J = 4.3 Hz), 38.7 (d, J = 19.1 Hz), 19.0.
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -222.0 (m, 1F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C10H13FO+Na]+ 191.0843 found 191.0840.
【0070】
(14)3-フルオロ-1,1-ジフェニルプロパン-1-オール(16a)の合成
【化19】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h)、1,1-ジフェニルエチレン15a (45.1 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.375 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物 16aを白い油性固体として得た (48.2 mg, 0.209 mmol, 84%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 10:1.
【0071】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.43-7.41 (4H; Ar), 7.35-7.31 (4H; Ar), 7.26-7.23 (2H; Ar), 4.56 (dt, J = 47.1 Hz, 6.4 Hz, 2H; CH2CH2F), 2.77 (dt, J = 21.6 Hz, 6.4 Hz, 2H; CH2CH2F), 2.59 (brs, 1H; OH).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 146.3, 128.5, 127.3, 125.9, 82.1 (d, J = 160.0 Hz), 77.5 (overlapped by CDCl3), 41.7 (d, J = 17.9 Hz).
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -221.3 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C15H15FO+Na]+ 253.0999 found 253.1004.
【0072】
(15)3-フルオロ-1-フェニル-1-(p-トリル)プロパン-1-オール(16b)の合成
【化20】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h)、1-メチル-4-(1-フェニルビニル)ベンゼン15b (48.6 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.375 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL)から化合物 16bを無色の油として得た (48.2 mg, 0.197 mmol, 79%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 10:1。
【0073】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.42-7.40 (2H; Ar), 7.33-7.28 (4H; Ar), 7.24 (m, 1H; Ar), 7.14 (d, J = 8.0 Hz, 2H; Ar), 4.56 (apparent dtd, J = 47.1 Hz, 6.5 Hz, 1.2 Hz, 2H; CH2CH2F), 2.74 (apparent dt, J = 21.4 Hz, 6.4 Hz, 2H; CH2CH2F), 2.53 (d, J = 6.0 Hz, 1H; OH), 2.32 (s, 3H, Me).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 146.4, 143.4, 137.0, 129.2, 128.4, 127.2, 125.89, 125.87, 82.2 (d, J = 159.9 Hz), 77.3 (d, J = 6.6 Hz), 41.7 (d, J = 18.1 Hz), 21.1.
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -221.3 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C16H17FO+Na]+ 267.1156 found 267.1154.
【0074】
(16)3-フルオロ-1-(4-フルオロフェニル)-1-フェニルプロパン-1-オール(16c)の合成
【化21】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h)、1-フルオロ-4-(1-フェニルビニル)ベンゼン15c (49.6 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.376 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL)から化合物 16cを無色の油として得た (48.1 mg, 0.194 mmol, 77%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 10:1。
【0075】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.41-7.32 (6H; Ar), 7.26 (m, 1H; Ar), 7.04-6.98 (2H; Ar), 4.56 (apparent dt, J = 47.0 Hz, 6.3 Hz, 2H; CH2CH2F), 2.74 (apparent dt, J = 22.2 Hz, 6.3 Hz, 2H; CH2CH2F), 2.62 (d, J = 6.8 Hz, 1H; OH).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 161.9 (d, J = 244.8 Hz), 146.0, 142.1 (d, J = 2.9 Hz), 128.6, 127.8 (d, J = 8.2 Hz), 127.5, 125.9, 115.2 (d, J = 21.1 Hz), 82.0 (d, J = 160.3 Hz), 77.2 (d, J = 6.0 Hz), 41.8 (d, J = 17.9 Hz).
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -116.7 (m, 1F; ArF), -222.2 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C15H14F2O+Na]+ 271.0905 found 271.0905.
【0076】
(17)1-(4-クロロフェニル)-3-フルオロ-1-フェニルプロパン-1-オール(16d)の合成
【化22】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h)、1-クロロ-4-(1-フェニルビニル)ベンゼン15d (53.7 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.376 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL)から化合物 16dを無色の油として得た (41.7 mg, 0.158 mmol, 63%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 10:1。
【0077】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.41-7.24 (9H; Ar), 4.56 (apparent dtd, J = 47.0 Hz, 6.2 Hz, 1.7 Hz, 2H; CH2CH2F), 2.73 (apparent dt, J = 22.3 Hz, 6.2 Hz, 2H; CH2CH2F), 2.64 (d, J = 7.0 Hz, 1H; OH).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 145.8, 144.8, 133.1, 128.61, 128.56, 127.6, 127.5, 125.8, 82.0 (d, J = 160.1 Hz), 77.2 (d, J = 5.6 Hz), 41.6 (d, J = 18.1 Hz).
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -221.2 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C15H14FOCl+Na]+ 287.0609 found 287.0610.
【0078】
(18)1-{(1,1'-ビフェニル)-4-イル} -3-フルオロ-1-フェニルプロパン-1-オール(16e)の合成
【化23】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h)、4-(1-フェニルビニル)-1,1'-ビフェニル15e (64.1 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.376 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物16eを無色の油として得た (59.3 mg, 0.195 mmol, 77%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 10:1。
【0079】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.62-7.28 (14H; Ar), 4.62 (apparent dt, J = 47.1 Hz, 6.4 Hz, 2H; CH2CH2F), 2.82 (apparent dt, J = 21.5 Hz, 6.4 Hz, 2H; CH2CH2F), 2.73 (brs, 1H; OH).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 146.2, 145.3, 140.7, 140.1, 128.9, 128.5, 127.5, 127.3, 127.2 (2C), 126.4, 125.9, 82.2 (d, J = 160.3 Hz), 77.4 (overlapped by CDCl3), 41.7 (d, J = 18.0 Hz).
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -221.1 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C21H19FO+Na]+ 329.1312 found 329.1311.
【0080】
(19)3-フルオロ-1-(4-メトキシフェニル)-1-フェニルプロパン-1-オール(16f)の合成
【化24】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h)、1-メトキシ-4-(1-フェニルビニル)ベンゼン15f (52.6 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.376 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL)から化合物 16f を無色の油として得た (42.3 mg, 0.162 mmol, 65%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 10:1。
【0081】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.42-7.39 (2H; Ar), 7.34-7.31 (4H; Ar), 7.24 (m, 1H; Ar), 6.87-6.84 (2H; Ar), 4.66-4.45 (2H; CH2CH2F), 3.79 (s, 3H, OMe), 2.73 (apparent dt, J = 21.6 Hz, 6.5 Hz, 2H; CH2CH2F), 2.52 (d, J = 6.0 Hz, 1H; OH).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 158.7, 146.4, 138.6, 128.4, 127.23, 127.19, 125.9, 113.7, 82.2 (d, J = 159.9 Hz), 77.2 (overlapped by CDCl3), 55.4, 41.8 (d, J = 18.1 Hz).
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -221.4 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C16H17FO2+Na]+ 283.1105 found 283.1105.
【0082】
(20)3-フルオロ-1-(4-ニトロフェニル)-1-フェニルプロパン-1-オール(16g)の合成
【化25】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h)、1-ニトロ-4-(1-フェニルビニル)ベンゼン15g (56.3 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.376 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL)から化合物 16gを無色の油として得た (34.3 mg, 0.125 mmol, 50%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 4:1。
【0083】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 8.19-8.16 (2H; Ar), 7.64-7.61 (2H; Ar), 7.43-7.35 (4H; Ar), 7.29 (m, 1H; Ar), 4.71-4.50 (2H; CH2CH2F), 2.83-2.75 (2H; CH2CH2F), 2.82 (brs, 1H; OH).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 153.4, 147.0, 145.1, 128.9, 128.0, 126.9, 125.8, 123.7, 81.7 (d, J = 161.3 Hz), 77.4 (overlapped to CDCl3), 41.4 (d, J = 18.0 Hz).
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -220.7 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C15H14FO3+Na]+ 298.0850 found 298.0850.
【0084】
(21)3-フルオロ-1,1-ジ-p-トリルプロパン-1-オール(16h)の合成
【化26】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h)、1,1-ジ-p-トリルエチレン15h (52.1 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.377 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物 16hを白い油性固体として得た(51.1 mg, 0.209 mmol, 79%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 10:1。
【0085】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.28 (d, J = 8.1 Hz, 4H; Ar), 7.12 (d, J = 8.1 Hz, 4H; Ar), 4.55 (dt, J = 47.2 Hz, 6.5 Hz, 2H; CH2CH2F), 2.72 (dt, J = 21.2 Hz, 6.5 Hz, 2H; CH2CH2F), 2.47 (d, J = 5.6 Hz, 1H; OH), 2.32 (s, 6H; Me).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 143.6, 136.8, 129.1, 125.8, 82.2 (d, J = 159.9 Hz), 77.2 (overlapped by CDCl3), 41.8 (d, J = 18.2 Hz), 21.1.
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -221.4 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C17H19FO+Na]+ 281.1312 found 281.1310.
【0086】
(22)3-フルオロ-1,1-ビス(4-フルオロフェニル)プロパン-1-オール(16i)の合成
【化27】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h)、4,4 ’-(エテン-1,1-ジイル)ビス(フルオロベンゼン) 15i (54.1 mg, 0.250 mmol)、 化合物3 (123 mg, 0.375 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物 16iを白い油性固体として得た (49.2 mg, 0.185 mmol, 74%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 10:1。
【0087】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.39-7.35 (4H; Ar), 7.04-6.99 (4H; Ar), 4.56 (dt, J = 47.1 Hz, 6.2 Hz, 2H; CH2CH2F), 2.71 (dt, J = 22.6 Hz, 6.2 Hz, 2H; CH2CH2F), 2.64 (d, J = 7.4 Hz, 1H; OH).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 162.0 (d, J = 245.0 Hz), 141.9 (d, J = 3.1 Hz), 127.7 (d, J = 8.0 Hz), 115.3 (d, J = 21.3 Hz), 82.0 (d, J = 160.5 Hz), 77.0 (overlapped by CDCl3), 41.9 (d, J = 18.0 Hz).
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -116.4 (m, 2F; ArF), -221.2 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C15H13F3O+Na]+ 289.0811 found 289.0806.
【0088】
(23)5-(2-フルオロエチル)-10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[a、d] [7]アヌレン-5-オール(16j)の合成
【化28】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h)、5-メチレン-10,11-ジヒドロ-5Hジベンゾ[a、d] [7]アヌレン15j (51.6 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.377 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物 16j を白い油性固体として得た (37.8 mg, 0.147 mmol, 59%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 10:1。
【0089】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.96 (dd, J = 8.0 Hz, 1.2 Hz, 2H; Ar), 7.27 (ddd, J = 7.6 Hz, 7.6 Hz, 1.4 Hz, 2H; Ar), 7.21 (dd, J = 7.4 Hz, 7.4 Hz, 1.4 Hz, 2H; Ar), 7.13 (d, J = 7.4 Hz, 2H; Ar), 4.35 (dt, J = 47.2 Hz, 6.2 Hz, 2H; CH2CH2F), 3.40-3.32 (2H; ArCH2CH2Ar), 3.03-2.95 (2H; ArCH2CH2Ar), 2.72 (d, J = 6.2 Hz, 1H; OH), 2.67 (dt, J = 23.6 Hz, 6.2 Hz, 2H; CH2CH2F).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 143.7, 138.6, 130.5, 127.7, 127.0, 126.6, 81.8 (d, J = 160.5 Hz), 78.1 (d, J = 5.2 Hz), 44.9 (d, J = 17.9 Hz), 34.6.
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -220.3 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C17H17FO+Na]+ 279.1156 found 279.1151.
【0090】
(24)3-フルオロ-1-フェニル-1-(ピリジン-3-イル)プロパン-1-オール(16k)の合成
【化29】
一般的方法に従い (reaction time = 24 h)、3-(1-フェニルビニル)ピリジン15k (52.6 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.375 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物 16kを無色の油として得た (24.1 mg, 0.104 mmol, 42%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 1:1。
【0091】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 8.67 (d, J = 1.8 Hz, 1H; Ar), 8.48 (d, J = 3.6 Hz, 1H; Ar), 7.76 (m, 1H; Ar), 7.76 (d, J = 7.6 Hz, 2H; Ar), 7.36 (dd, J = 7.3 Hz, 7.3 Hz, 2H; Ar), 7.29-7.23 (2H; Ar), 4.70-4.50 (2H; CH2CH2F), 2.98 (brs, 1H; OH), 2.82-2.73 (2H; CH2CH2F).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 148.1, 147.4, 145.5, 142.2, 134.1, 128.7, 127.6, 125.9, 123.3, 81.7 (d, J = 161.0 Hz), 76.0 (d, J = 6.0 Hz), 41.5 (d, J = 18.1 Hz).
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -221.2 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C14H14FNO+Na]+ 254.0952 found 254.0954.
【0092】
(25)3-フルオロ-1-フェニル-1-(チオフェン-2-イル)プロパン-1-オール(16l)の合成
【化30】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h)、2-(1-フェニルビニル)チオフェン15l (46.6 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.375 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物 16lを無色の油として得た (30.7mg, 0.130 mmol, 52%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 10:1。
【0093】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.52-7.49 (2H; Ar), 7.38-7.24 (4H; Ar), 6.97-6.92 (2H; Ar), 4.69-4.48 (2H; CH2CH2F), 2.91 (d, J = Hz, 1H; OH), 2.86-2.69 (2H; CH2CH2F).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 152.2, 145.1, 128.4, 127.6, 126.8, 125.6, 125.3, 124.1, 81.9 (d, J = 160.5 Hz), 76.5 (d, J = 5.8 Hz), 43.4 (d, J = 18.0 Hz).
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -221.2 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C13H13FOS+Na]+ 259.0563 found 259.0561.
【0094】
(26)3-フルオロ-2-メチル-1,1-ジフェニルプロパン-1-オール(16m)の合成
【化31】
一般的方法に従い (reaction time = 24 h)、プロプ-1-エン-1,1-ジイルジベンゼン15m (48.6 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.375 mmol)、BDN (9.3 mg, 20.1 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物16mを無色の油として得た (32.8 mg, 0.134 mmol, 54%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 10:1。
【0095】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.49 (d, J = 8.3 Hz, 4H; Ar), 7.31 (dd, J = 8.3 Hz, 8.3 Hz, 4H; Ar), 7.19 (t, J = 7.3 Hz, 2H; Ar), 4.56-4.37 (2H; CHCH2F), 3.01 (m, 1H; CHCH2F) 2.58 (d, J = 7.9 Hz, 1H; OH), 1.14 (d, J = 6.9 Hz, 3H; Me).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 146.1, 145.8, 128.5, 128.4, 126.91, 126.86, 125.6, 125.4, 87.3 (d, J = 163.3 Hz), 79.9 (d, J = 5.3 Hz), 41.4 (d, J = 16.8 Hz), 12.0(d, J = 3.6 Hz).
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -229.5 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C16H17FO+Na]+ 267.1156 found 267.1151.
【0096】
(27)1-フルオロ-5-メチル-3,5-ジフェニルヘキサン-3-オール(18a)の合成
【化32】
一般的方法に従い (reaction time = 18 h)、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン17a (57.6 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.376 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL)から化合物 18aを無色の油として得た (42.3 mg, 0.148 mmol, 61%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 10:1。
【0097】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.31-7.19 (10H; Ar), 4.40-4.04 (2H; CH2CH2F), 2.79 (d, J = 14.8 Hz, 1H; CHHCMe2Ph), 2.33 (d, J = 14.8 Hz, 1H; CHHCMe2Ph), 2.22-1.93 (2H; CH2CH2F), 1.75 (d, J = 3.7 Hz, 1H; OH), 1.25 (s, 3H, CH2CMeMePh), 1.04 (s, 3H, CH2CMeMePh).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 148.7, 146.0, 128.7, 128.1, 126.6, 126.3, 126.1, 125.4, 81.4 (d, J = 159.8 Hz), 76.8 (d, J = 6.5 Hz), 55.9, 45.3 (d, J = 17.8 Hz), 37.9, 33.3, 28.4.
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -221.3 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C19H23FO+Na]+ 309.1625 found 309.1626.
【0098】
(28)4-フルオロ-2-フェニルブタン-2-オール(18b)の合成
【化33】
一般的方法に従い (reaction time = 18 h), α-メチルスチレン17b (29.5 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.375 mmol), BDN (5.8 mg, 12.5 μmol), アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物 18bを無色の油として得た (23.0 mg, 0.137 mmol, 55%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 4:1。
【0099】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.46-7.25 (5H; Ar), 4.61-4.39 (2H; CH2CH2F), 2.36-2.13 (3H; CH2CH2F, OH), 1.62 (s, 3H, Me).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 147.2, 128.5, 127.0, 124.7, 82.0 (d, J = 160.5 Hz), 74.1 (d, J = 4.2 Hz), 43.7 (d, J = 17.7 Hz), 30.7.
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -220.5 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C10H13FO+Na]+ 191.0843 found 191.0842.
【0100】
(29)1-フルオロ-4-メチル-3-フェニルペンタン-3-オール(18c)の合成
【化34】
一般的方法に従い (reaction time = 18 h), (3-メチルブト-1-エン-2-イル)ベンゼン17c (46.6 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.377 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物18cを無色の油として得た (27.9 mg, 0.142 mmol, 57%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 10:1。
【0101】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.38-7.32 (4H; Ar), 7.24 (m, 1H; Ar), 4.46-4.31 (2H; CH2CH2F), 2.45 (m, 1H; CHMe2), 2.26-2.00 (3H; CH2CH2F, OH), 1.01 (d, J = 6.8 Hz, 3H, CHMeMe), 0.71 (d, J = 6.8 Hz, 3H, CHMeMe).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 144.6, 128.2, 126.7, 125.7, 82.6 (d, J = 159.5 Hz), 78.4 (d, J = 5.0 Hz), 39.7 (d, J = 17.6 Hz), 38.6, 17.3, 16.7.
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -220.6 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C12H17FO+Na]+ 219.1156 found 219.1157.
【0102】
(30)1-シクロヘキシル-3-フルオロ-1-フェニルプロパン-1-オール(18d)の合成
【化35】
一般的方法に従い (reaction time = 18 h)、(1-シクロヘキシルビニル)ベンゼン17d (46.6 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.377 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物18dを無色の油として得た (38.9 mg, 0.165 mmol, 66%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 10:1。
【0103】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.36-7.31 (4H; Ar), 7.24 (m, 1H; Ar), 4.49-4.29 (2H; CH2CH2F), 2.51- 2.12 (3H; CH2CH2F, OH), 1.97-1.60 (5H, cyclohexyl’s H), 1.37-0.92 (6H, cyclohexyl’s H).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 144.6, 128.1, 126.6, 125.8, 82.6 (d, J = 159.2 Hz), 78.4 (d, J = 5.0 Hz), 48.9, 39.3 (d, J = 18.1 Hz), 27.1, 26.71, 26.69 (2C), 26.5.
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -220.6 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C15H21FO+Na]+ 259.1469 found 259.1466.
【0104】
(31)1-(2-フルオロエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オール(20a)の合成
【化36】
一般的方法に従い (reaction time = 18 h)、1-メチレン-2,3-ジヒドロ-1H-インデン19a (32.5mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.374 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL)から化合物 20aを無色の油として得た (27.1 mg, 0.150 mmol, 60%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 4:1。
【0105】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.34 (m, 1H; Ar), 7.29-7.23 (3H; Ar), 4.84-4.56 (2H; CH2CH2F), 3.07- 2.81 (2H; ArCH2CH2), 2.42-2.11 (4H; ArCH2CH2, CH2CH2F), 1.99 (d, J = 2.5 Hz, 1H; OH).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 146.9, 143.0, 128.6, 127.0, 125.2, 122.8, 82.4 (d, J = 4.2 Hz), 81.7 (d, J = 161.8 Hz), 40.6, 40.0 (d, J = 18.4 Hz), 29.5.
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -219.6 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C11H13FO+Na]+ 203.0843 found 203.0840.
【0106】
(32)1-(2-フルオロエチル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-オール(20b)の合成
【化37】
一般的方法に従い (reaction time = 18 h)、1-メチレン-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン19b (36.1 mg, 0.250 mmol)、 化合物3 (123 mg, 0.376 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O(0.5 mL) から化合物 20bを無色の油として得た (35.1 mg, 0.181 mmol, 72%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 4:1。
【0107】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.53 (m, 1H; Ar), 7.24-7.17 (2H; Ar), 7.09 (d, J = 7.1 Hz, 1H; Ar), 4.80- 4.52 (2H; CH2CH2F), 2.88-2.74 (2H; ArCH2CH2), 2.37-1.84 (7H; ArCH2CH2, CH2C, CH2CH2F, OH).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 141.9, 136.7, 129.2, 127.5, 126.5, 126.2, 81.4 (d, J = 161.7 Hz), 71.7 (d, J = 4.4 Hz), 42.2 (d, J = 18.2 Hz), 36.7, 29.7, 19.9.
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -219.0 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C12H15FO+Na]+ 217.0999 found 217.0999.
【0108】
(33)4-(2-フルオロエチル)チオクロマン-4-オール(20c)の合成
【化38】
一般的方法に従い (reaction time = 18 h)、4-メチレンチオクロマン19c (40.6 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.377 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物 20cを無色の油として得た (40.5 mg, 0.191 mmol, 76%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 4:1。
【0109】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.69 (m, 1H; Ar), 7.15-7.08 (3H; Ar), 4.81-4.50 (2H; CH2CH2F), 3.16- 3.03 (2H; SCH2CH2), 2.43-2.10 (4H; SCH2CH2, CH2CH2F), 2.14 (brs, 1H; OH).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 139.2, 132.7, 127.9, 126.6, 125.9, 124.5, 81.1 (d, J = 161.6 Hz), 71.0 (d, J = 3.3 Hz), 39.9 (d, J = 18.2 Hz), 35.5, 23.3.
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -218.9 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C11H12FOS+Na]+ 235.0563 found 235.0560.
【0110】
(34)(8R、9S、13S、14S)-3-(3-フルオロ-1-ヒドロキシプロピル)-13-メチル-6,7,8,9,11,12,13,14,15,16-デカヒドロ-17Hシクロペンタ[ a]フェナントレン-17-ワン (22)の合成
【化39】
一般的方法に従い (reaction time = 12 h)、(8R、9S、13S、14S)-13-メチル-3-ビニル-6,7,8,9,11,12,13,14,15,16-デカヒドロ-17H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-ワン21 (70.1 mg, 0.250 mmol)、化合物3(123 mg, 0.376 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物 22を無色の油として得た(24.7 mg, 0.0747 mmol, 30%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 1:1。
【0111】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.30 (d, J = Hz, 1H; Ar), 7.15 (d, J = Hz, 1H; Ar), 7.12 (s, 1H; Ar), 4.87 (m, 1H; CH2CHOH), 4.78-4.44 (2H; CH2F), 2.95-2.91 (2H; steroid’s H), 2.54-2.42 (2H; steroid’s H), 2.31 (m, 1H; steroid’s H), 2.23-1.95 (7H; CH2CHOH, OH, steroid’s H), 1.69-1.40 (6H; steroid’s H), 0.91 (s, 3H; Me).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 221.1, 141.6, 139.5, 136.9, 126.5 (apparent d), 125.8 (apparent d), 123.3, 81.6 (d, J = 162.1 Hz), 70.7, 50.6, 48.1, 44.5, 39.6 (d, J = 19.6 Hz), 38.3, 36.0, 31.7, 29.6 (apparent d), 26.6, 25.8, 21.7, 13.9.
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -222.3 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C21H27FO2+Na]+ 353.1887 found 353.1886.
【0112】
(35)4-(2-フルオロエチル)-2-フェニルクロマン-4-オール(24)の合成
【化40】
一般的方法に従い (reaction time = 24 h)、4-メチレン-2-フェニルクロマン23 (55.6 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.376 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から化合物24を無色の油として得た (50.5 mg, 0.185 mmol, 74%)。溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 4:1。
【0113】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 7.50-7.33 (6H; Ar), 7.27 (m,1H; Ar), 7.03-6.99 (2H; Ar), 5.23 (dd, J = 11.9 Hz, 1.7 Hz, 1H; OCHCH2), 4.77-4.51 (2H; CH2CH2F), 2.63 (m, 1H; CHHCH2F), 2.32-2.14 (4H; CHHCH2F, OH, OCHCH2).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 155.0, 140.9, 130.0, 128.7, 128.2, 126.34, 126.25, 126.0, 121.4, 118.2, 81.1 (d, J = 163.0 Hz), 74.4, 68.3 (d, J = 3.6 Hz), 43.2 (d, J = 0.5 Hz), 41.4 (d, J = 18.7 Hz).
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -218.5 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C17H17FO2+Na]+ 295.1105 found 295.1105.
【0114】
(36)4- {3-フルオロ-1-ヒドロキシ-1-(3,5,5,8,8-ペンタメチル-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イル)プロピル}安息香酸(26)の合成
【化41】
一般的方法に従い (reaction time = 24 h)、ベキサロテン25 (87.1 mg, 0.250 mmol)、化合物3 (123 mg, 0.376 mmol)、BDN (5.8 mg, 12.5 μmol)、アセトン (4.5 mL) 及び H
2O (0.5 mL) から、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル= 1:1)で精製し、分取HPLCとCH
2Cl
2及びヘキサンで再沈殿して、化合物26を白色固体として得た(45.2 mg, 0.113 mmol, 45%)。
【0115】
1H NMR (400 MHz, CDCl3, rt): δ 11.65 (brs, 1H, COOH), 8.04 (d, J = 8.4 Hz, 2H; Ar), 7.51 (s, 1H; Ar), 7.42 (d, J = 8.4 Hz, 2H; Ar), 6.99 (s, 1H; Ar), 4.69-4.37 (2H; CH2CH2F), 2.86-2.62 (2H; CH2CH2F), 2.49 (brs, 1H; OH), 1.92 (s, 3H; ArMe), 1.72-1.68 (4H; methylene’H), 1.33 (6H; Me), 1.26 (s, 3H; Me), 1.25 (s, 3H;
Me).
13C NMR (125 MHz, CDCl3, rt): δ 172.1, 152.1, 144.7, 141.9, 139.8, 133.9, 131.1, 130.2, 127.9, 126.2, 123.9, 81.8 (d, J = 160.5 Hz), 78.0 (d, J = 7.1 Hz), 42.7 (d, J = 18.8 Hz), 35.3, 35.2, 34.2, 34.0, 32.2, 32.1, 31.9, 31.7, 21.1.
19F NMR (376 MHz, CDCl3, r.t.): δ -221.2 (m, 1F; CH2F).
HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C25H31FO3+Na]+ 421.2149 found 421.2147.
【0116】
〔実施例4〕モノフルオロアルキル化反応
(1)モノフルオロアルキル化の一般的方法
【化42】
窒素雰囲気下、1-フェニルビニルアセテート(0.250 mmol)、モノフルオロアルキル化剤(128.0 mg, 0.375 mmol)、2-tBuBDN(7.19 mg, 12.5 μmol)のアセトン(4.75 mL)・水(0.25 mL)混合溶液に、425 nmのLEDランプを照射し、室温条件で24時間撹拌した。反応混合物から溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(ペンタン・ジエチルエーテル)で精製した。
【0117】
(2)各種モノフルオロアルキル化物の合成
上記の一般的方法に従い、対応する芳香族ビニルアセテートを用いることで、下記のモノフルオロアルキル化物を合成した。
【化43】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, rt): δ 8.04 (d, 3JHH = 8.3 Hz, 2 H; Ar), 7.70 (d, 3JHH = 8.3 Hz, 2 H; Ar), 7.63 (d, 3JHH = 7.4 Hz, 2 H; Ar), 7.48 (t, 3JHH = 7.4 Hz, 2 H; Ar), 7.41 (t, 3JHH = 7.4 Hz, 1 H; Ar), 5.34 (dq, 2JHF = 47.6 Hz, 3JHH = 6.2 Hz, 1 H; CHF), 3.55 (m, 1 H; CHH), 3.12 (m, 1 H; CHH), 1.50 (dd, 3JHF = 24.1 Hz, 3JHH = 6.2 Hz, 3 H; CH3);
13C NMR (126 MHz, CDCl
3, rt): δ 196.6 (d, 3JCF = 6.7 Hz), 146.3, 139.9, 135.6, 129.1 (2 C), 128.9 (2C), 128.5, 127.5 (2C), 127.4 (2C), 87.4 (d, 1JCF = 165.5 Hz), 45.6 (d, 2JCF = 22.8 Hz), 21.4 (d, 2JCF = 22.5 Hz);
19F NMR (376 MHz, CDCl
3, rt): δ -172.5 (m, 1 F); HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C16H15FO+Na]
+ 265.0999, found 265.0997.
【0118】
【化44】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, rt): δ 7.85 (d, 3JHH = 8.1 Hz, 2 H; Ar), 7.27 (d, 3JHH = 8.1 Hz, 2 H; Ar), 5.30 (dq, 2JHF = 47.6 Hz, 3JHH = 6.2 Hz, 1 H; CHFCH3), 3.48 (m, 1 H; CHH), 3.06 (m, 1 H; CHH), 2.41 (s, 3 H, C6H4CH3), 1.46 (dd, 3JHF = 24.1 Hz, 3JHH = 6.2 Hz, 3 H; CHFCH3);
13C NMR (126 MHz, CDCl
3, rt): δ 196.5 (d, 3JCF = 6.7 Hz), 144.3, 134.4, 129.4 (2 C), 128.3 (2 C), 87.3 (d, 1JCF = 165.4 Hz), 45.3 (d, 2JCF = 22.8 Hz), 21.7, 21.2 (d, 2JCF = 22.4 Hz);
19F NMR (376 MHz, CDCl
3, rt): δ -172.5 (m, 1 F); HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C11H13FO+Na]
+ 203.0843, found 203.0846.
【0119】
【化45】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, rt): δ 7.98 (dd, 3JHH = 8.7 Hz, 4JHF = 5.5 Hz, 2 H; Ar), 7.14 (dd, 3JHH = 8.7 Hz, 3JHF = 8.7 Hz, 2 H; Ar), 5.29 (dq, 2JHF = 47.6 Hz, 3JHH = 6.2 Hz, 1 H; CHF), 3.47 (m, 1 H; CHH), 3.04 (m, 1 H; CHH), 1.47 (dd, 3JHF = 24.1 Hz, 3JHH = 6.2 Hz, 3 H; CH3);
13C NMR (126 MHz, CDCl
3, rt): δ 195.4 (d, 3JCF = 6.3 Hz), 166.1 (d, 1JCF = 255.3 Hz), 133.5, 131.0 (d, 3JCF = 9.4 Hz, 2 C), 115.9 (d, 2JCF = 21.9 Hz, 2 C), 87.3 (d, 1JCF = 165.8 Hz), 45.5 (d, 2JCF = 23.1 Hz), 21.3 (d, 2JCF = 22.3 Hz);
19F NMR (376 MHz, CDCl
3, rt): δ -104.7 (m, 1 F; C6H4F), -172.5 (m, 1 F; CHF); HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C10H10F2O+Na]
+ 207.0592, found 207.0593.
【0120】
【化46】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, rt): δ 7.93 (d, 3JHH = 8.8 Hz, 2 H; Ar), 6.93 (d, 3JHH = 8.8 Hz, 2 H; Ar), 5.28 (dq, 2JHF = 47.6 Hz, 3JHH = 6.2 Hz, 1 H; CHFCH3), 3.86 (s, 3 H; OCH3), 3.45 (m, 1 H; CHH), 3.02 (m, 1 H; CHH), 1.45 (dd, 3JHF = 24.2 Hz, 3JHH = 6.2 Hz, 3 H; CHFCH3);
13C NMR (126 MHz, CDCl
3, rt): δ 195.4 (d, 3JCF = 6.6 Hz), 163.8, 130.5 (2 C), 130.0, 113.8 (2 C), 87.4 (d, 1JCF = 165.2 Hz), 55.5, 45.1 (d, 2JCF = 22.8 Hz), 21.2 (d, 2JCF = 22.4 Hz);
19F NMR (376 MHz, CDCl
3, rt): δ -172.4 (m, 1 F); HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C11H13FO2+Na]
+ 219.0792, found 219.0792.
【0121】
【化47】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, rt): δ 7.96 (d, 3JHH = 7.5 Hz, 2 H; Ar), 7.58 (t, 3JHH = 7.5 Hz, 1 H; Ar), 7.47 (t, 3JHH = 7.5 Hz, 2 H; Ar), 5.31 (dq, 2JHF = 47.5 Hz, 3JHH = 6.2 Hz, 1 H; CHF), 3.51 (m, 1 H; CHH), 3.09 (m, 1 H; CHH), 1.47 (dd, 3JHF = 24.2 Hz, 3JHH = 6.2 Hz, 3 H; CH3);
13C NMR (126 MHz, CDCl
3, rt): δ 197.0 (d, 3JCF = 6.7 Hz), 136.9, 133.5, 128.8 (2 C), 128.3 (2 C), 87.3 (d, 1JCF = 165.3 Hz), 45.5 (d, 2JCF = 23.0 Hz), 21.3 (d, 2JCF = 22.1 Hz);
19F NMR (376 MHz, CDCl
3, rt): δ -172.6 (m, 1 F); HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C10H11FO+Na]
+ 189.0686, found 189.0687.
【0122】
【化48】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, rt): δ 7.89 (d, 3JHH = 8.6 Hz, 2 H; Ar), 7.44 (d, 3JHH = 8.6 Hz, 2 H; Ar), 5.28 (dq, 2JHF = 47.5 Hz, 3JHH = 6.2 Hz, 1 H; CHF), 3.46 (m, 1 H; CHH), 3.04 (m, 1 H; CHH), 1.47 (dd, 3JHF = 24.1 Hz, 3JHH = 6.2 Hz, 3 H; CH3);
13C NMR (126 MHz, CDCl
3, rt): δ 195.8 (d, 3JCF = 6.0 Hz), 140.1, 135.2, 129.7 (2 C), 129.1 (2 C), 87.2 (d, 1JCF = 165.8 Hz), 45.4 (d, 2JCF = 23.2 Hz), 21.3 (d, 2JCF = 22.1 Hz);
19F NMR (376 MHz, CDCl
3, rt): δ -172.5 (m, 1 F); HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C10H10ClFO+Na]
+ 223.0296, found 223.0298.
【0123】
【化49】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, rt): δ 7.76 - 7.74 (2 H; Ar), 7.40 - 7.34 (2 H; Ar), 5.30 (dq, 2JHF = 47.5 Hz, 3JHH = 6.2 Hz, 1 H; CHFCH3), 3.49 (m, 1 H; CHH), 3.07 (m, 1 H; CHH), 2.41 (s, 3 H, C6H4CH3), 1.47 (dd, 3JHF = 24.1 Hz, 3JHH = 6.2 Hz, 3 H; CHFCH3);
13C NMR (126 MHz, CDCl
3, rt): δ 197.2 (d, 3JCF = 6.7 Hz), 138.6, 137.0, 134.3, 128.8, 128.7, 125.5, 87.4 (d, 1JCF = 165.5 Hz), 45.5 (d, 2JCF = 22.9 Hz), 21.5, 21.3 (d, 2JCF = 22.3 Hz);
19F NMR (376 MHz, CDCl
3, rt): δ -172.6 (m, 1 F); HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C11H13FO+Na]
+ 203.0843, found 203.0843.
【0124】
【化50】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, rt): δ 8.14 (d, 3JHH = 8.4 Hz, 2 H; Ar), 8.01 (d, 3JHH = 8.4 Hz, 2 H; Ar), 5.31 (dq, 2JHF = 47.5 Hz, 3JHH = 6.1 Hz, 1 H; CHFCH3), 3.96 (s, 3 H, COOCH3), 3.53 (m, 1 H; CHH), 3.10 (m, 1 H; CHH), 1.49 (dd, 3JHF = 24.1 Hz, 3JHH = 6.1 Hz, 3 H; CHFCH3);
13C NMR (126 MHz, CDCl
3, rt): δ 196.5 (d, 3JCF = 6.0 Hz), 166.2, 140.0, 134.3, 130.0 (2 C), 128.2 (2 C), 87.1 (d, 1JCF = 165.9 Hz), 52.6, 45.8 (d, 2JCF = 23.0 Hz), 21.3 (d, 2JCF = 22.4 Hz);
19F NMR (376 MHz, CDCl
3, rt): δ -172.6 (m, 1 F); HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C12H13FO3+Na]
+ 247.0741, found 247.0738.
【0125】
【化51】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, rt): δ 7.82 (d, 3JHH = 8.5 Hz, 2 H; Ar), 7.62 (d, 3JHH = 8.5 Hz, 2 H; Ar), 5.29 (dq, 2JHF = 47.4 Hz, 3JHH = 6.2 Hz, 1 H; CHFCH3), 3.46 (m, 1 H; CHH), 3.04 (m, 1 H; CHH), 1.47 (dd, 3JHF = 24.1 Hz, 3JHH = 6.2 Hz, 3 H; CHFCH3);
13C NMR (126 MHz, CDCl
3, rt): δ 196.0 (d, 3JCF = 6.1 Hz), 135.6, 132.1 (2 C), 129.8 (2 C), 128.8, 87.2 (d, 1JCF = 165.8 Hz), 45.4 (d, 2JCF = 23.1 Hz), 21.3 (d, 2JCF = 22.1 Hz);
19F NMR (376 MHz, CDCl
3, rt): δ -172.6 (m, 1 F); HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C10H10BrFO+Na]
+ 266.9791, found 266.9789.
【0126】
【化52】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, rt): δ 7.74 (dd, 3JHH = 3.9 Hz, 4JHH = 0.7 Hz, 1 H; Ar), 7.67 (dd, 3JHH = 4.8 Hz, 4JHH = 0.7 Hz, 1 H; Ar), 7.15 (dd, 3JHH = 4.8, 3.9 Hz, 1 H; Ar), 5.27 (dq, 2JHF = 47.6 Hz, 3JHH = 6.2 Hz, 1 H; CHFCH3), 3.42 (m, 1 H; CHH), 3.02 (m, 1 H; CHH), 1.47 (dd, 3JHF = 24.0 Hz, 3JHH = 6.2 Hz, 3 H; CHFCH3);
13C NMR (126 MHz, CDCl
3, rt): δ 189.7 (d, 3JCF = 6.5 Hz), 144.4 (d, 4JCF = 1.3 Hz), 134.5, 132.7, 128.4, 87.3 (d, 1JCF = 166.7 Hz), 46.3 (d, 2JCF = 23.2 Hz), 21.3 (d, 2JCF = 22.4 Hz);
19F NMR (376 MHz, CDCl
3, rt): δ -172.0 (m, 1 F); HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C8H9FOS+Na]
+ 195.0250, found 195.0248.
【0127】
【化53】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, rt): δ 8.33 (d, 3JHH = 8.8 Hz, 2 H; Ar), 8.11 (d, 3JHH = 8.8 Hz, 2 H; Ar), 5.31 (dq, 2JHF = 47.5 Hz, 3JHH = 6.2 Hz, 1 H; CHFCH3), 3.53 (m, 1 H; CHH), 3.11 (m, 1 H; CHH), 1.50 (dd, 3JHF = 24.2 Hz, 3JHH = 6.2 Hz, 3 H; CHFCH3);
13C NMR (126 MHz, CDCl
3, rt): δ 195.6 (d, 3JCF = 5.8 Hz), 150.6, 141.3, 129.4 (2 C), 124.1 (2 C), 87.0 (d, 1JCF = 166.5 Hz), 46.0 (d, 2JCF = 23.4 Hz), 21.2 (d, 2JCF = 22.3 Hz);
19F NMR (376 MHz, CDCl
3, rt): δ -172.5 (m, 1 F); HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C10H10FNO3+Na]
+ 234.0537, found 234.0535.
【0128】
【化54】
1H NMR (400 MHz, CDCl
3, rt): δ 8.05 (d, 3JHH = 8.4 Hz, 2 H; Ar), 7.79 (d, 3JHH = 8.4 Hz, 2 H; Ar), 5.30 (dq, 2JHF = 47.4 Hz, 3JHH = 6.1 Hz, 1 H; CHFCH3), 3.50 (m, 1 H; CHH), 3.08 (m, 1 H; CHH), 1.49 (dd, 3JHF = 24.0 Hz, 3JHH = 6.1 Hz, 3 H; CHFCH3);
13C NMR (126 MHz, CDCl
3, rt): δ 195.8 (d, 3JCF = 5.8 Hz), 139.8, 132.7 (2 C), 128.7 (2 C), 117.9, 116.8, 87.0 (d, 1JCF = 166.3 Hz), 45.7 (d, 2JCF = 23.0 Hz), 21.2 (d, 2JCF = 22.5 Hz);
19F NMR (376 MHz, CDCl
3, rt): δ -172.5 (m, 1 F); HRMS (ESI-TOF) calcd m/z for [C11H10FNO+Na]
+ 214.0639, found 214.0640.
【0129】
〔実施例5〕 クロロベンゼン類の脱塩素化反応
【化55】
窒素雰囲気下で、NMRチューブに、メチル-4-クロロベンゾエート (7.70 mg, 0.0451 mmol)、BDB (0.92 mg, 2.20 μmol)、トリブチルアミン (48.3 mg, 0.261 mmol)、HCOOH (5.7 mg, 0.124 mmol)、CD
3CN (0.5 mL)、内部標準としてテトラエチルシラン (2 μL)を加えた。この混合物を凍結脱気後、水浴内で2~3 cm離した位置からLEDランプ(λ= 380 nm)を照射した。光照射2時間後には、脱塩素化体が収率80%で生成した。
【0130】
〔実施例6〕 触媒活性の比較
アルケンのヒドロキシ-モノフルオロメチル化をプローブにして触媒の活性を比較した。
スルホキシミン型のCH
2F試薬は非常に還元されにくい試薬(E
red=-2.43 V)である。1.5当量のCH
2F試薬、p-ビニルビフェニル、5 mol%のBDNのアセトン-d
6/D
2O混合物に可視光照射(λ= 425 nm)すると、期待されるモノフルオロメチル化生成物が得られた(
図2)。いくつかの強い還元力を持つ光触媒を同条件で検討した。例えばfac-[Ir(ppy)
3]、フェノチアジン、5,10-ジヒドロフェナジン誘導体、ペリレンはBDNよりも活性が低いことがわかった(
図2)。BDNの高い触媒性能は、より強い還元力だけでなく、可視光吸収能力、およびその堅牢性に起因すると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明により、医薬や農薬として有用な有機フッ素化合物を効率的に合成できるようになるので、本発明は、医薬や農薬に関連する産業分野において利用可能である。