(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】遊技機用入球装置及びそれを備えた遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230904BHJP
【FI】
A63F7/02 316Z
A63F7/02 312Z
(21)【出願番号】P 2020022001
(22)【出願日】2020-02-13
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591150270
【氏名又は名称】日本ぱちんこ部品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小川 誠
(72)【発明者】
【氏名】大原 和哉
(72)【発明者】
【氏名】原 敬介
(72)【発明者】
【氏名】附柴 亜弥
(72)【発明者】
【氏名】足立 義一
【審査官】下村 輝秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-051095(JP,A)
【文献】特開2006-334296(JP,A)
【文献】特開2019-022631(JP,A)
【文献】特開2001-340566(JP,A)
【文献】特開2003-071095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤の遊技領域を流下する遊技球が流入する転動路と、
前記転動路に流入した遊技球が流出する球出口と、
前記転動路上の遊技球を受け入れる入球口と、
前記入球口を開閉する羽根を有し、所定の回転軸周りに回転する回転体と、
前記回転体を回転駆動させる駆動源と、
を備え、
前記回転体は、前記羽根によって前記入球口を閉鎖して遊技球の入球を阻止する入球阻止状態と、前記回転体の回転により前記転動路上の遊技球を前記羽根によって前記入球口に掻き入れる入球可能状態と、に切り替わることを特徴とする遊技機用入球装置。
【請求項2】
前記入球口を複数備え、
前記回転体は、複数の前記入球口に対応して、複数の前記入球口を同時に閉鎖する第1羽根と、複数の前記入球口を時間差で閉鎖する第2羽根と、を有し、
前記回転体は、前記第1羽根によってそれぞれ複数の前記入球口を同時に閉鎖する入球阻止状態と、前記駆動源の回転駆動により前記第1羽根及び前記第2羽根によってそれぞれ前記転動路上の遊技球を前記入球口に掻き入れる入球可能状態となることを特徴とする請求項1に記載の遊技機用入球装置。
【請求項3】
前記転動路は、遊技球の流下方向に沿って遊技球を蛇行して流下させる誘導部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機用入球装置。
【請求項4】
前記羽根は、前記回転軸に対して傾斜する板面を有し、
前記回転体の回転方向の前記板面は、前記転動路の遊技球を受けるように遊技球の流下方向の上流に向かって傾斜となることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の遊技機用入球装置。
【請求項5】
前記羽根は、弾性部材によって構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の遊技機用入球装置。
【請求項6】
前記転動路は、前記入球口への入球を可能とする第1位置と、前記入球口への入球を困難又は不能とする第2位置と、に変位し、
前記転動路を変位駆動させる第2駆動源を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の遊技機用入球装置。
【請求項7】
前記入球口から入球した遊技球を検知する検知手段を備え、
前記回転体は、所定条件の成立時に前記駆動源の駆動により回転し、前記検知手段によって所定個数の遊技球が検知されたことを条件に、前記駆動源の駆動の停止により回転が停止することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の遊技機用入球装置。
【請求項8】
前記回転体は、回転の停止時に、前記入球阻止状態となることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の遊技機用入球装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の遊技機用入球装置を備えた遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機用入球装置及びそれを備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の入賞装置では、回転体の羽根で受けた遊技球を入賞口へと導く構成が知られている。例えば、特許文献1のパチンコ機の入賞装置は、内回り回転の時に打玉を受け入れる羽根車と、羽根車から排出される打玉を入賞させる一般入賞口及び特賞入賞口と、を備えている。羽根車は、取付基板の前面に回転自在に設けられている。一般入賞口及び特賞入賞口は、羽根車の下方に設けられている。羽根車は、内回り回転することで、受け入れた打球を一般入賞口又は特賞入賞口へと排出する。
【0003】
また、特許文献2の遊技機のセンター役物は、遊戯盤の中央部分に設けられた枠部の下部を構成するステージと、吸着する遊戯球をステージへと戻す中央回転役物と、を備えている。ステージの中央部には、導入口部が形成されている。中央回転役物は、導入口部の前方に設けられ、円形状の回転体に磁石を埋め込んで構成されている。中央回転役物は、磁石に遊戯球が吸着されると、回転してステージへと遊戯球を送り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭62-179483号公報
【文献】特開2005-80674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の入賞装置では、羽根車は、打玉を受け入れる内回り回転の時に、打玉を羽根で直接受けることになるため、羽根の強度が必要となる。また、羽根車は、内回り回転の羽根に打玉が直接当たるため、モータに負荷が掛かってしまう。一方で、特許文献2のセンター役物は、中央回転役物によって遊戯球を導入口部へと導く途中で落下する可能性を持たせてある。しかしながら、遊戯球を磁石に吸着させて移送する構成は、一般的に用いられる構成であり、遊技者の興趣を生じさせ難い。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、回転体に負荷が掛かり難く、斬新な構成で遊技中の興趣を高め得る遊技機用入球装置及びそれを備えた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の遊技機用入球装置は、
遊技盤の遊技領域を流下する遊技球が流入する転動路と、
前記転動路に流入した遊技球が流出する球出口と、
前記転動路上の遊技球を受け入れる入球口と、
前記入球口を開閉する羽根を有し、所定の回転軸周りに回転する回転体と、
前記回転体を回転駆動させる駆動源と、
を備え、
前記回転体は、前記羽根によって前記入球口を閉鎖して遊技球の入球を阻止する入球阻止状態と、前記回転体の回転により前記転動路上の遊技球を前記羽根によって前記入球口に掻き入れる入球可能状態と、に切り替わることを特徴とする。
【0008】
本発明の遊技機は、上記遊技機用入球装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の遊技機用入球装置及び遊技機は、入球可能状態において、転動路上にある遊技球に対して、羽根により掻き入れる作用によって入球口へと誘導する構成である。そのため、羽根自体が直接遊技球を受け止めて持ち上げ移送するような構成に比べて、回転体や駆動源に負荷が掛かり難くなる。その上で、回転体の態様によって、停止時には羽根によって入球口を閉鎖する状態と、回転時には転動路上の遊技球を入球口に掻き入れる状態とに切り替わる斬新な構成を実現できる。したがって、遊技機用入球装置及び遊技機は、回転体や駆動源に負荷を掛けることがなく、斬新な構成で遊技の興趣を高めることができる。
【0010】
本発明の遊技機用入球装置は、入球口を複数備えていてもよい。回転体は、複数の入球口に対応して、複数の前記入球口を同時に閉鎖する第1羽根と、複数の入球口を時間差で閉鎖する第2羽根と、を有していてもよい。回転体は、第1羽根によってそれぞれ複数の入球口を同時に閉鎖する入球阻止状態と、駆動源の回転駆動により第1羽根及び第2羽根によってそれぞれ転動路上の遊技球を入球口に掻き入れる入球可能状態となってもよい。
【0011】
この構成によれば、回転体は、入球阻止状態で、第1羽根によって複数の入球口を同時に閉鎖する。そのため、回転体は、入球阻止状態となるような回転位置とすることで、複数の入球口を一斉に閉鎖する状態を容易に実現することができる。一方で、回転体は、入球可能状態において、第1羽根及び第2羽根が複数の入球口を時間差で通過することで、複数の入球口のそれぞれにおいて第1羽根及び第2羽根によって時間差で遊技球を掻き入れることができる。
【0012】
本発明の遊技機用入球装置は、転動路が、遊技球の流下方向に沿って遊技球を蛇行して流下させる誘導部を有していてもよい。
【0013】
この構成によれば、遊技球が転動路上を流下方向に沿って直線状に流下する構成と比べて、遊技球を転動路上でより長い時間遊動させることができる。そのため、遊技球が転動路上で羽根から作用を受ける機会を確保し易くなる。
【0014】
本発明の遊技機用入球装置は、羽根が、回転軸に対して傾斜する板面を有していてもよい。回転体の回転方向の板面は、転動路の遊技球を受けるように遊技球の流下方向の上流に向かって傾斜となっていてもよい。
【0015】
この構成によれば、羽根は、転動路を流下する遊技球に作用を及ぼす際に、遊技球の流下方向の上流に向かって傾斜する回転方向の板面が接触することになる。そのため、羽根は、遊技球に対して流下方向の上流に向かう成分を有する作用を及ぼすことができ、遊技球の流下を遮りつつ円滑に入球口へ誘い込むことができる。
【0016】
本発明の遊技機用入球装置は、羽根が、弾性部材によって構成されていてもよい。
【0017】
この構成によれば、羽根は、遊技球を入球口に掻き入れる際に撓むことができ、転動路等との間で遊技球が挟まれることによる球咬みが生じることを防ぐことができる。
【0018】
本発明の遊技機用入球装置は、転動路が、入球口への入球を可能とする第1位置と、入球口への入球を困難又は不能とする第2位置と、に変位してもよい。遊技機用入球装置は、転動路を変位駆動させる第2駆動源を備えていてもよい。
【0019】
この構成によれば、転動路は、入球口への入球を可能とする第1位置と、入球口への入球を困難又は不能とする第2位置と、に切り替えることができる。そのため、転動路の第1位置と第2位置との間の切り替えによっても、入球口への入球が左右されるため、転動路の動きの変化で遊技者の興趣を高めることができる。また、回転体が入球可能状態から入球阻止状態に切り替わる際に、転動路を第1位置から第2位置へと切り替えて入球口への入球を不能とすることで、回転体の状態の切り替わりが完了するまでに意図せず入球口に遊技球が掻き入れられることを防ぐことができる。
【0020】
本発明の遊技機用入球装置は、入球口から入球した遊技球を検知する検知手段を備えていてもよい。回転体は、所定条件の成立時に駆動源の駆動により回転し、検知手段によって所定個数の遊技球が検知されたことを条件に、駆動源の駆動の停止により回転が停止してもよい。
【0021】
この構成によれば、所定個数の遊技球が入球口に入球した場合に、回転体の回転を停止して、それ以上の入球を防ぐことができる。そのため、入球可能状態で所望の個数の遊技球のみを入球口に入球させることができる。
【0022】
本発明の遊技機用入球装置は、回転体が、回転の停止時に、入球阻止状態となってもよい。
【0023】
この構成によれば、回転体の回転の停止時に、意図せずに入球口に遊技球が入球することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る遊技機用入球装置を備えた遊技機を例示する正面図である。
【
図2】
図2は、遊技機用入球装置の左側上方から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、遊技機用入球装置の右側上方から見た分解斜視図である。
【
図4】
図4は、遊技機用入球装置の平断面図である。
【
図5】
図5(A)(B)は、それぞれ異なる方向から見た回転体の図である。
【
図6】
図6(A)は、回転体の左側上方から見た斜視図であり、
図6(B)は、
図5(A)のA-A断面図である。
【
図7】
図7は、遊技機用入球装置の左側面図である。
【
図8】
図8は、遊技機の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【
図9】
図9は、遊技球が球通過部を流下する様子を示す遊技機用入球装置の前側から見た断面図である。
【
図10】
図10(A)は、回転体が入球阻止状態にある遊技機用入球装置の前側から見た断面図であり、
図10(B)は、回転体が入球可能状態にあり、遊技球が入球口に掻き入れられる状態にある遊技機用入球装置の前側から見た断面図である。
【
図12】
図12(A)は、本発明の第2実施形態に係る遊技機用入球装置の左側上方から見た斜視図であり、
図12(B)は、回転体の右側上方から見た斜視図である。
【
図13】
図13(A)は、本発明の第2実施形態に係る遊技機用入球装置の正面図であり、
図13(B)は、遊技機用入球装置の平断面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第3実施形態に係る遊技機用入球装置の前側から見た断面図である。
【
図15】
図15は、本発明の他の実施形態に係る回転体の左側上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る遊技機用入球装置、及び遊技機を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
図1に示す遊技機1は、いわゆるパチンコ機として構成されており、遊技者側に配される前面枠2に形成された窓部3に透明板(ガラス板等)が配置されている。また、透明板の後方(奥側)には、遊技盤4が配置され、この遊技盤4上にガイドレール6等によって区画された遊技領域4a(遊技球が流下可能な領域)が形成され、遊技者が透明板を介して遊技領域4aを視認できるように構成されている。遊技領域4aの中央付近には、各種表示を行い得る液晶表示部5が設けられ、液晶表示部5の下方には液晶表示部5を可変表示させる始動口センサ7a(
図8参照)を備えた始動入賞口7が設けられている。始動入賞口7の右方には、所定の条件が満たされた場合に作動し賞球を得るアタッカーとして構成される遊技機用入球装置10(
図2等参照)が設けられている。また、窓部3の下方には、遊技球を貯留する遊技球受皿8が設けられており、この遊技球受皿8の右側下方には回転操作によって遊技球を打ち出す発射ハンドル9が設けられている。遊技機1は、始動入賞口7に遊技球が入球して始動口センサ7a(
図8参照)で検出されると抽選が開始され、その抽選結果を液晶表示部5に表示演出される。そして、液晶表示部5の図柄が所定図柄に表示されると、遊技機用入球装置10の回転体60が入球可能状態(遊技球が入球口45a,46a,47aに掻き入れられる状態)となり、大量の入賞球が獲得できる「大当り」状態となる。
【0027】
なお、本明細書では、遊技盤4の前面(盤面)と直交する方向を前後方向とし、遊技盤4の前面(盤面)に対し遊技者が位置するべき側を前方側、それとは反対側(即ち、遊技機1奥側)を後方側とする。また、遊技領域4aを遊技球が流下する方向(鉛直方向)を上下方向とする。また、前後方向及び上下方向と直交する方向を左右方向とし、遊技機1前方側から見て左側を左方向、右側を右方向とする。
【0028】
以下、遊技機用入球装置10について詳しく説明する。
遊技機用入球装置(以下、単に入球装置ともいう)10は、
図2,3等に示すように、台板部20と、球通路部30と、転動部40と、後ケース部50と、回転体60と、支持枠80と、駆動源90と、を備えている。入球装置10は、アタッカーとして機能する。入球装置10は、転動部40の転動路41上を遊技球が転動し、回転する回転体60の第1羽根71及び第2羽根72によって遊技球が入球口45a,46a,47aに掻き入れられる。
【0029】
台板部20は、
図1に示すように、遊技盤4に組み付けられ、後述する回転体60等の各種部材が組み付けられている。台板部20は、遊技盤4に固定される板状の前板部21を備えている。前板部21の中央には、
図3に示すように、前後方向に貫通する略四角形状の開口部22が形成されている。前板部21には、開口部22を囲うように後方に延出する枠状部23が形成されている。前板部21には、開口部22の右側に、球通路部30からの遊技球が流入する略四角形状の球通過孔24が前後方向に貫通形成されている。球通過孔24の開口左縁から右側斜め前方に傾斜して突出する突出部25が形成され、球通路部30からの遊技球を誘導するガイド部となっている。前板部21の後面には、
図4に示すように、球通過孔24から開口部22付近まで左右方向に延びる第1傾斜路26が形成されている。第1傾斜路26は、球通路部30からの遊技球を転動路41に導くように左方向に向かって下り傾斜になっている。
【0030】
球通路部30は、
図2に示すように、台板部20の前板部21における右端側の前面に固定されている。球通路部30は、遊技盤4の遊技領域4aを流下する遊技球を受け入れて、その遊技球を転動部40へと通過させる部材である。球通路部30は、
図3に示すように、後方に開放した箱状の枠部31を備えている。球通路部30は、上端に遊技球を受け入れる球入口32が形成されている。枠部31の内側には、球入口32から下方に向かって左右方向に複数回折れ曲がった形状(つづら折り状)の球通過路33が形成されている。球通過路33の終端の後方には、
図4,9に示すように、台板部20の球通過孔24が位置している。球通過路33の終端には、
図4に示すように、平面視三角状であり、右後方に向かって下り傾斜のガイド部34が形成されている。
【0031】
転動部40は、
図4に示すように、後端側が後述する後ケース部50内の下端側に収容されるように、後ケース部50に組み付けられている。転動部40は、
図3に示すように、前端側に球通路部30からの遊技球が流入し転動する転動路41が設けられている。転動路41は、左右方向において、左右両端から中央に向かって下り傾斜になっており、左右両端側が、
図11(A)に示すように、後方に向かって下り傾斜になっている。そして、左右方向の中央部が、
図11(B)に示すように、前方に向かって下り傾斜になっており、転動路41を転動する遊技球が流出する球出口43が形成されている。転動部40は、球出口43部分を除いて遊技球が転動路41の途中で零れないように転動路41の前端部に転動路41面から上方に僅かに突出する前面板42を備えている。
【0032】
転動部40には、
図3及び4に示すように、転動路41の後側において、仕切壁48,48により転動路41上の遊技球を受け入れる入球口45a,46a,47aが区画形成されている。そして、上流側(右側)から下流側(左側)に向かって、入球口45a,46a,47aに対応して流出路45、流出路46、流出路47の順に設けられている。流出路45,46,47は、後方に向かって下り傾斜になっている(
図11(A)(B)参照)。転動部40は、転動路41の右端の後端から右方向に延びる側壁部44を備えている。側壁部44は、
図4に示すように、台板部20の第1傾斜路26の後側壁をなし、台板部20の前板部21及び第1傾斜路26とともに、球通過路33の終端から転動路41へと続く通路を構成している。
【0033】
図11に示すように、転動部40が台板部20及び後述する後ケース部50に組み付けられた状態で、転動路41が枠状部23の下側延出部23aの上方に位置している。前面板42の前面は、前板部21の前面と面一になっている。
【0034】
後ケース部50は、転動部40、及び回転体60を収容する部材であり、台板部20に対して後方から組み付けられる。後ケース部50は、
図3に示すように、前方に開放されたケース体51を備え、転動部40が収容された状態で、流出路45,46,47の後方に位置するケース体51の下端の後端側には、左方向に向かって下り傾斜となる第2傾斜路52,53が設けられている。第2傾斜路52,53の下流側(左側)には、それぞれ排出口54,55が設けられている。後ケース部50において、排出口54,55の下方には、それぞれ検出スイッチ(検知手段)56,57が設けられている。検出スイッチ56は、入球口45aから入球した遊技球を検出し、検出スイッチ57は、入球口46a,47aから入球した遊技球を検出する。そして、検出スイッチ56,57で検出された検知信号により入球した遊技球をカウントすると共に、図示しない払出装置により賞球が遊技球受皿8に払い出される。後ケース部50の左右側壁には、後述する回転体60の回転軸62の右端及び左端がそれぞれ挿通される切欠凹部58,59が形成されている。
【0035】
回転体60は、
図5,6に示すように、本体部61と、回転軸62と、第1羽根71と、第2羽根72と、を備え、回転軸62周りに回転し、入球口45a,46a,47aの開閉を切り替える。本体部61は、左右方向に長い円柱状であり、回転軸62が中心を通るように組み付けられている。回転軸62の右端は、回転軸62を回転自在に軸支する軸支部材63(
図3参照)を介して後ケース部50に組み付けられ、回転軸62の左端は、後述する支持枠80の挿通孔81に挿通した状態で、後述する第3ギヤ93に組み付けられている。回転軸62は、遊技盤4の盤面に平行に(左右方向に沿って)入球口45a,46a,47aの上方に配置され、第1羽根71と第2羽根72の先端が台板部20の開口部22から僅かに突出するように回転体60が設けられている。
【0036】
第1羽根71及び第2羽根72は、
図5,6に示すように、本体部61から径方向外側に突出するように、本体部61に組み付けられている。第1羽根71及び第2羽根72は、弾性部材(例えばエラストマー樹脂等)によって方形板状に形成され、先端が狭く(細く)なるように先端の両角が切り欠かれている。第1羽根71及び第2羽根72の大きさは、入球口45a,46a,47aより一回り小さく形成され、第1羽根71及び第2羽根72が入球口45a,46a,47aを通過する際に掻き入れる遊技球の球芯を支持する程度の大きさに形成されている。また、第1羽根71及び第2羽根72は、板面が回転軸62の軸方向と平行となるように設けられている。すなわち、第1羽根71及び第2羽根72は、板面が本体部61の回転方向に直交するように設けられている。本体部61には、6つの第1羽根71と、8つの第2羽根72が組み付けられている。本体部61の左端の縁部には、左方向に突出する検出片61aが形成されている。検出片61aは、後述する位置検出スイッチ82によって検出される。
【0037】
6つの第1羽根71は、それぞれ3つずつ第1羽根群として、入球口45a,46a,47aに対応して本体部61の軸方向(回転軸62の延びる方向)に沿って直列に等間隔で並ぶように配置されており、入球口45a,46a,47aを同時に閉鎖可能としている。一方側(
図5(A)では上側)の3つの第1羽根71(第1羽根群)と、他方側(
図5(A)では下側)の3つの第1羽根71(第1羽根群)とは、対称的な配置関係(回転軸62に対して180°等角の間隔で配置される関係)になっている。
【0038】
8つの第2羽根72は、入球口45a,47aに対応して本体部61における右端側及び左端側に本体部61の軸方向(回転軸62の延びる方向)に沿って直列に並ぶように2つの第2羽根72が配置され、入球口46aに対応して本体部61の左右方向中央に4つの第2羽根72が配置されている。右端側の2つの第2羽根72は、
図5(B)、
図6(A)に示すように、180°等角の間隔で配置されている。そして、入球口45aに対応する右端側の2つの第1羽根71及び2つの第2羽根72(以下、右羽根群75という)は、90°等角の間隔で配置されている。同様に、左端側の2つの第2羽根72は、
図5(B)、
図6(A)に示すように、180°等角の間隔で配置されている。そして、入球口47aに対応する左端側の2つの第1羽根71及び2つの第2羽根72(以下、左羽根群77という)は、90°等角の間隔で配置されている。左右方向中央の4つの第2羽根72は、
図6(B)に示すように、90°等角の間隔で配置されている。さらに、左右方向中央の4つの第2羽根72のうち、2つの第2羽根72は一方の第1羽根71に対して45°の間隔で挟むように配置され、他の2つの第2羽根72は他方の第1羽根71に対して45°の間隔で挟むように配置されている。以下、入球口46aに対応する左右方向中央の2つの第1羽根71及び4つの第2羽根72を、中央羽根群76という。
【0039】
回転体60は、
図11に示すように左側から見て時計回り(前方向)に回転する。すなわち、回転体60は、第1羽根71及び第2羽根72が入球口45a,46a,47aを前側から後側に向かって通過するように回転する。
図9に示すように、それぞれの入球口45a,46a,47aに対応位置している右羽根群75、中央羽根群76、及び左羽根群77を構成する第1羽根71及び第2羽根72は、それぞれの入球口45a,46a,47aの前方から入り込んで後方に向かって通過する。
【0040】
回転体60は、第1羽根71(第1羽根群)によって入球口45a,46a,47aを閉鎖して遊技球の入球を阻止する入球阻止状態(
図10(A)参照)と、転動路41上の遊技球を第1羽根71及び第2羽根72によって入球口45a,46a,47aに掻き入れる入球可能状態(
図10(B)参照)と、に切り替わる。具体的には、回転体60の停止状態において、左右方向に並ぶ3つの第1羽根71(第1羽根群)は、入球口45a,46a,47aを同時に閉鎖する入球阻止状態となる。一方で、回転体60が回転駆動すると、複数の第1羽根71及び第2羽根72によって、転動路41上の遊技球を入球口45a,46a,47aに掻き入れる入球可能状態となる。すなわち、入球可能状態では、第1羽根71によって同時に入球口45a,46a,47aに掻き入れる状態と第2羽根72によって、異なるタイミングで入球口45a,46a,47aに掻き入れる状態を繰り返す。回転体60の入球阻止状態と入球可能状態は、後述する主制御基板12による駆動源90の駆動制御によって切り替えられる。例えば、入球阻止状態は、3つの第1羽根71(第1羽根群)が入球口45a,46a,47aをそれぞれ閉鎖した状態で、駆動源90の駆動を停止させることで生じる。また、入球可能状態は、駆動源90を連続的に駆動するように駆動制御することで生じる。
【0041】
支持枠80は、
図2、
図7に示すように、駆動源90が組み付けられ、後ケース部50の左側壁に固定されている。支持枠80は、左側が開口したケース状に構成されている。駆動源90は、回転体60を回転駆動させる駆動力を発生させる。駆動源90は、例えば、公知のステッピングモータによって構成されている。駆動源90の回動軸90aには、第1ギヤ91が組み付けられている。支持枠80には、第1ギヤ91に噛み合う第2ギヤ92が回転自在に組み付けられている。支持枠80は、
図3に示すように、左右方向に貫通し、回転軸62が挿通する挿通孔81が形成されている。挿通孔81に挿通された回転軸62には、第2ギヤ92に噛み合う第3ギヤ93が組み付けられている。したがって、駆動源90の駆動により第1ギヤ91、第2ギヤ92、第3ギヤ93が
図7矢印方向に連動して回転し、回転体60が第3ギヤ93と同様に時計回りに回転する。支持枠80は、挿通孔81の上側に、回転体60の回転位置を検出する位置検出スイッチ82が設けられている。位置検出スイッチ82は、回転体60の検出片61aが近接することで、検出片61aを検出して、主制御基板12に対して検出信号を出力する。
【0042】
入球装置10は、
図8に示す主制御基板12により制御される。主制御基板12は、例えば、遊技機1の遊技動作を統括制御する。主制御基板12は、公知のコンピュータとして構成され、遊技機1全体を制御し、CPU、メモリ、システムバス、入出力インタフェース等を有し、情報処理装置として機能する。主制御基板12には、始動口センサ7aからの検出信号、検出スイッチ56,57へ入球した旨の入力信号、及び位置検出スイッチ82からの検出信号等が入力される。また、主制御基板12からは、中継基板等を介して駆動源90へ駆動信号が出力され、動作を制御する。
【0043】
主制御基板12は、所定条件が成立した場合(例えば、液晶表示部5に「777」が表示されて遊技者に有利な遊技状態(いわゆる「大当り」状態)となった場合)に、駆動源90を駆動させて、回転体60を回転させる。さらに、主制御基板12は、検出スイッチ56,57によって入球口45a,46a,47aから入球した遊技球が所定個数(例えば10個)検出された場合に、駆動源90の駆動を停止させる。
【0044】
次に、遊技機用入球装置10の作用について説明する。
遊技領域4aを流下する遊技球は、入球装置10の球入口32に入球すると、
図9に示すように、球通過路33を蛇行しながら流下する。球通過路33を流下した遊技球は、球通過孔24を通過して、前板部21を介して球通路部30の後方に位置する第1傾斜路26を流下する(
図10参照)。第1傾斜路26を流下した遊技球は、転動路41上を左右方向に転動する。
図10(A)に示すように、回転体60が入球阻止状態のとき、3つの第1羽根71(第1羽根群)によって入球口45a,46a,47aが閉鎖されているため、遊技球は、入球口45a,46a,47aのいずれにも入球することなく、転動路41上を左右方向に転動した後、
図11(B)に示すように、転動路41の左右方向中央から球出口43を介して前方に流出し、遊技領域4aを流下する。
【0045】
なお、球出口43の下方(下流)位置に、始動入賞口等の入賞口を設けるようにしてもよい。このような構成によって、回転体60が停止している状態であっても、入球装置10内の遊技球の流下を楽しむだけでなく、入賞口への入賞を期待することができる。
【0046】
一方で、回転体60が回転する入球可能状態のとき、遊技領域4aを流下する遊技球が、入球装置10の球入口32に入球すると、球通過路33を流下して球通過孔24を通過して、第1傾斜路26を介して転動路41に流入し、転動路41上を左右方向に転動する。このとき、第1羽根71及び第2羽根72が入球口45a,46a,47aを前側から後側に通過するように回転しているため、転動路41上の遊技球を入球口45a,46a,47aに掻き入れる動作を行なう。そのため、例えば、
図10(B)、
図11(A)に示すように、転動路41上において入球口47aの前方にある遊技球は、第2羽根72によって入球口47aに掻き入れられる。なお、タイミングによっては、入球口47aの前方にある遊技球は、第1羽根71によって入球口47aに掻き入れられることもある。同様に、入球口45a,46aの前方にある遊技球は、第1羽根71又は第2羽根72によって、それぞれ入球口45a,46aに掻き入れられる。入球口45a,46a,47aに掻き入れられた遊技球は、検出スイッチ56,57によって検知され、所定個数(例えば10個)が検出されると駆動源90を停止させ回転体60は入球阻止状態で停止する。
【0047】
入球装置10は、主制御基板12によって回転体60の回転が停止制御される際に、回転体60が入球阻止状態(3つの第1羽根71(第1羽根群)で入球口45a,46a,47aをそれぞれ閉鎖した状態)となる。例えば、入球装置10は、位置検出スイッチ82による回転体60の回転位置の検出に基づいて、回転体60を入球阻止状態となる回転位置まで回転させる。なお、回転体60を入球阻止状態となる回転位置まで回転させる際の回転方向は、通常時の回転方向(
図11に示す左側から見て反時計回り)と同じ方向であってもよく、その逆回転方向であってもよい。また、回転体60を入球阻止状態となる回転位置まで回転させる際の回転速度は、通常時の回転速度より速くしてもよい。これにより、所定個数検知後に球通過路33を流下してくる遊技球が入球口45a,46a,47aに入球することがなく、余分な賞球を発生させることがなくなる効果を奏する。
【0048】
また、入球装置10は、停電時に電力供給が停止する場合においても、回転体60を入球阻止状態とする。例えば、入球装置10は、図示しない予備電源を備えており、主制御基板12が予備電源から供給される電力に基づいて、回転体60を逆回転(
図11に示す左側から見て反時計回りに回転)させて入球阻止状態としてもよい。なお、回転体60を入球阻止状態となる回転位置まで回転させる際の回転速度は、通常時の回転速度より速くしてもよい。また、例えば、回転体60と駆動源90の間にクラッチ機構を設ける構成として、クラッチ状態を解除して回転体60の自重によって入球阻止状態としてもよい。
【0049】
(第1実施形態の主な効果)
本第1実施形態の入球装置10は、入球可能状態において、転動路41上にある遊技球に対して、羽根(第1羽根71,第2羽根72)による掻き入れる作用によって入球口45a,46a,47aへと誘導する構成である。そのため、羽根自体が直接遊技球を受け止めて持ち上げ移送するような構成に比べて、回転体60や駆動源90に負荷が掛かり難くなる。その上で、回転体60の態様によって、停止時には羽根(第1羽根71,第2羽根72)によって入球口45a,46a,47aを閉鎖する状態と、回転時には転動路41上の遊技球を入球口45a,46a,47aに遊技球を掻き入れる状態とに切り替わる斬新な構成を実現できる。したがって、入球装置10は、回転体60や駆動源90に負荷を掛けることがなく、斬新な構成で遊技の興趣を高めることができる。
【0050】
また、入球装置10は、回転体60が、入球阻止状態で、第1羽根71(第1羽根群)によって複数の入球口45a,46a,47aを同時に閉鎖する。そのため、回転体60は、入球阻止状態となるような回転位置とすることで、複数の入球口45a,46a,47aを一斉に閉鎖する状態を容易に実現することができる。一方で、回転体60は、入球可能状態において、第1羽根71及び第2羽根72が複数の入球口45a,46a,47aを時間差で通過することで、複数の入球口45a,46a,47aのそれぞれにおいて第1羽根71及び第2羽根72によって時間差で遊技球を掻き入れることができる。
【0051】
また、入球装置10は、羽根(第1羽根71,第2羽根72)が、弾性部材によって構成されている。そのため、羽根(第1羽根71,第2羽根72)が、遊技球を入球口45a,46a,47aに掻き入れる際に撓むことができ、転動路41等との間で遊技球が挟まれることによる球咬みが生じることを防ぐことができる。
【0052】
また、入球装置10は、入球口45a,46a,47aから入球した遊技球を検知する検出スイッチ56,57を備えている。回転体60は、所定条件の成立時に駆動源90の駆動により回転し、検出スイッチ56,57によって所定個数の遊技球が検知されたことを条件に、駆動源90の駆動の停止により回転が停止する。そのため、所定個数の遊技球が入球口45a,46a,47aに入球した場合に、回転体60の回転を停止して、それ以上の入球を防ぐことができる。そのため、入球可能状態で所望の個数の遊技球のみを入球口45a,46a,47aに入球させることができる。
【0053】
また、入球装置10は、回転体60が、回転停止時に入球阻止状態となる。そのため、回転体60の回転停止時に、意図せずに入球口45a,46a,47aに遊技球が入球することを防ぐことができる。
【0054】
[第2実施形態]
本発明に係る遊技機用入球装置、及び遊技機を具現化した第2実施形態について、
図12、
図13を参照して説明する。第2実施形態は、第1実施形態の入球装置と同様に回転体によって入球口を閉鎖する状態と遊技球を掻き入れる状態とを切り替える構成であるが、回転体の構成と転動部の構成が第1実施形態と異なっている。
【0055】
第2実施形態の入球装置210は、
図12、
図13に示すように、球通路部30及び転動部240と、回転体260と、を備えている。転動部240は、上流側の球通路部30から直接流入する遊技球が流下する転動路241を有している。転動路241の下流端(左端)は、遊技球が流出する球出口243になっている。転動路241は、
図12(A)、
図13(B)に示すように、遊技球の流下方向(左方向)に沿って遊技球を蛇行して流下させる複数の誘導部241aが前後に交互となるように設けられている。誘導部241aは、転動路241の上面から上方に突出するリブ状の突起である。複数の誘導部241aは、左右方向に沿って所定の間隔を空けて設けられている。前後の誘導部241aは流下方向にずれた位置に設けられている。複数の誘導部241aは、転動路241の前後方向中央に向かって下流側傾斜になっている。このような構成によって、遊技球が転動路上を流下方向に沿って直線状に流下する構成と比べて、遊技球を転動路241上でより長い時間遊動させることができる。そのため、遊技球が転動路241上で羽根71,72から作用を受ける機会を確保し易くなる。なお、前板部21の開口部22の上端部には、遊技領域4aを流下する遊技球が直接前板部21より前方に位置する転動路241に落下しないように庇部27が設けられている。
【0056】
転動部240は、
図12及び
図13に示すように、転動路241の前端部に遊技球が転動路241の途中で零れないように転動路41の上面から上方に僅かに突出する前面板242を備えている。また、転動路241の後側において、仕切壁48により遊技球を受け入れる入球口245a,246aが形成され、その後方に流出路245,246が設けられている。その流出路245,246の後方には、左方向に向かって下り傾斜となる第2傾斜路52,53が設けられ、その下流側(左側)には、それぞれ排出口54,55が設けられている。排出口54,55には、それぞれ入球した遊技球を検知する検出スイッチ(検知手段)56,57が設けられている。
【0057】
回転体260は、
図12(B)に示すように、4つの第1羽根271と、6つの第2羽根272と、を備えている。4つの第1羽根271は、本体部261の軸方向(左右方向)に沿って直列に等間隔で並ぶように配置されている。6つの第2羽根272は、本体部261の外面において、軸方向(左右方向)に沿って螺旋状に配置されている。第2羽根272は、回転軸(図示略)の軸方向(左右方向)に対して傾斜する板面を有している。回転体260の回転方向の板面、つまり遊技球を入球口245a,246aに掻き入れる板面は、転動路241上を流下する遊技球を板面で受けるように遊技球の流下方向の上流(右側)に向かって約15度傾斜している。この実施の形態では、右側二列の第1羽根271及び第2羽根272が入球口245aに対応し、左側二列の第1羽根271及び第2羽根272が入球口246aに対応している。また、隣り合う第2羽根272の間隔は、遊技球が通過できない間隔となっている。なお、本体部261の左端の縁部には、
図13(B)に示す位置検出スイッチ82によって検出される検出片261aが左方向に突出形成されている。
【0058】
第2羽根272が、回転軸の軸方向(左右方向)に対して傾斜する板面を有する構成では、転動路241を上流側の球通路部30から流下する遊技球に作用を及ぼす際に、遊技球の流下方向の上流(右側)に向かって傾斜する回転方向の板面が接触することになる。そのため、第2羽根272は、遊技球に対して流下方向の上流(右側)に向かう成分を有する作用を及ぼすことができ、遊技球の流下を遮りつつ円滑に入球口245a,246aへ誘い込むことができる。
【0059】
[第3実施形態]
本発明に係る遊技機用入球装置、及び遊技機を具現化した第3実施形態について、
図14を参照して説明する。第3実施形態は、第2実施形態の入球装置と同様に回転体によって入球口を閉鎖する状態と遊技球を掻き入れる状態とを切り替える構成であるが、転動路の構成が第2実施形態と異なっている。
【0060】
第3実施形態の入球装置310は、
図14に示すように、転動路341を備えている。転動路341は、左右方向に長い板状に形成されている。転動路341の上流側(右端)には、回動自在に台板部20に軸支される軸部348が設けられている。転動路341の左端は、遊技球が排出される球出口343となっている。転動路341は、駆動源390(第2駆動源)からの駆動力に基づいて、入球口245a,246aへの入球を可能とする第1位置(
図14の実線参照)と、入球口245a,246aへの入球を困難又は不能とする第2位置(
図14の一点鎖線参照)と、に回転変位する。転動路341が第1位置にあるとき、転動路341は、下流側(左側)にわずかに傾く下り傾斜となり、入球口245a,246aの前側で入球口245a,246aの下端と同じ程度の高さ又は上方位置になる。そのため、羽根271,272によって転動路341上の遊技球が入球口245a,246aへと掻き入れ可能となる。一方で、転動路341が第2位置にあるとき、転動路341は、第1位置のときよりも下流側(左側)に大きく傾く状態となる。そのため、転動路341上の遊技球は、第1位置のときよりも下流側(左側)に早く流下し易くなり、入球口245a,246aの前側で入球口245a,246aの下端位置より下方位置になり、羽根271,272によって入球口245a,246aへの掻き入れが困難又は不能となり、左方向に流下して球出口343から排出される。
【0061】
このような構成では、転動路341は、入球口245a,246aへの入球を可能とする第1位置と、入球口245a,246aへの入球を困難又は不能とする第2位置と、に切り替えることができる。そのため、転動路341の第1位置と第2位置との間の切り替えによっても、入球口245a,246aへの入球が左右されるため、転動路341の動きの変化で遊技者の興趣を高めることができる。また、入球口245a,246aへの余分な入球を防ぐことができる。
【0062】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0063】
上述した第1実施形態において、回転体60は、複数の入球口45a,46a,47aにそれぞれ対応する複数の異なる羽根(右羽根群75、中央羽根群76、左羽根群77)を備えていた。しかしながら、入球口を1つとして、その入球口を開閉する羽根71を本体部61の周方向に複数備える構成であってもよい。また、入球口の幅は、遊技球1個が通過し得る幅でも、例えば第1実施形態で示した複数の入球口45a,46a,47aを1つにした幅広としてもよく、幅広とした場合には、例えば
図15に示す回転体360のように、入球口と同程度の幅の本体部361に、回転軸362周りに、本体部361の幅と同程度の幅を有する羽根371を備える構成であってもよい。この場合、転動部40を、左右方向の幅が羽根371と同程度の1つの入球口を備える構成とするため、羽根371は、幅広の入球口を一気に閉鎖することになる。
図15に示す回転体360では、回転軸362周りに90°等角の間隔で4つの羽根371が配置されている。そのため、転動路41を流下する遊技球を取り逃がすことなく確実に掻き入れることができると共に、すぐに入球口を入球阻止状態に切り替えることができる。
【0064】
上述した第2実施形態において、回転体260は、右側二列の第1羽根271が入球口245aに対応し、左側二列の第1羽根271が入球口246aに対応する構成となっていた。しかしながら、右側二列の第1羽根271は、左右方向の幅が入球口245aと同程度の幅で一体的に形成され、左側二列の第1羽根271は、左右方向の幅が入球口246aと同程度の幅で一体的に形成されていてもよい。
【0065】
上述した第1実施形態において、回転体60は、3つの羽根群75,76,77を備えていたが、3つ以外の数の羽根群を備える構成であってもよい。また、上述した第2,3実施形態においても、回転体60は、軸方向に並ぶ羽根の数を任意に設定することができる。
【0066】
上述した第3実施形態において、転動路341は、回転変位する構成であったが、スライド変位する構成であってもよい。例えば、転動路341は、遊技領域4aの前側に進出し、球通過路33から流出する遊技球を受け入れて羽根71,72に掻き入れられる第1位置と、遊技領域4aの後側に後退し、球通過路33から流出する遊技球を受け入れ不能となる第2位置と、の間でスライド移動する構成であってもよい。このような構成では、転動路341の第1位置と第2位置との間の切り替えによっても、入球口245a,246aへの入球が左右されるため、転動路341の動きの変化で遊技者の興趣を高めることができる。また、回転体260が入球可能状態から入球阻止状態に切り替わる際に、転動路341を第1位置から第2位置へと切り替えて入球口245a,246aへの入球を不能とすることで、回転体260の状態の切り替わりが完了するまでに意図せず入球口245a,246aに遊技球が掻き入れられることを防ぐことができる。
【0067】
上述した第1~3実施形態において、入球装置10は、検出スイッチ56,57による遊技球の検出によって賞球が払い出されるアタッカー(入賞装置)として構成される例を示したが、遊技球を通過させる際の演出に用いる演出装置として構成されてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…遊技機
4…遊技盤
4a…遊技領域
10,210,310…遊技機用入球装置(入球装置)
32…球入口
41,241,341…転動路
43,243,343…球出口
45a,46a,47a,245a,246a…入球口
56,57…検出スイッチ(検知手段)
60,260,360…回転体
62,362…回転軸
71,271…第1羽根
72,272…第2羽根
371…羽根
90…駆動源
241a…誘導部
390…駆動源(第2駆動源)