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特許7341527水処理装置管理システムおよび家庭用水処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】水処理装置管理システムおよび家庭用水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/00 20230101AFI20230904BHJP
   B01D 65/00 20060101ALI20230904BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20230904BHJP
   C02F 1/28 20230101ALI20230904BHJP
   B01D 29/50 20060101ALI20230904BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20230904BHJP
   E03F 5/14 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
C02F1/00 D
C02F1/00 L
B01D65/00
C02F1/44 K
C02F1/28 F
B01D29/24 A
G06Q50/06
E03F5/14
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021180252
(22)【出願日】2021-11-04
(62)【分割の表示】P 2018504625の分割
【原出願日】2017-03-13
(65)【公開番号】P2022031678
(43)【公開日】2022-02-22
【審査請求日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】P 2016049041
(32)【優先日】2016-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】517039483
【氏名又は名称】WOTA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】北川 力
(72)【発明者】
【氏名】奥寺 昇平
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/049495(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/077815(WO,A1)
【文献】特開平10-000459(JP,A)
【文献】実開昭61-042457(JP,U)
【文献】特開2002-205070(JP,A)
【文献】特開平10-160701(JP,A)
【文献】特開2009-262134(JP,A)
【文献】特表2009-518176(JP,A)
【文献】特開2013-086034(JP,A)
【文献】特開2003-103250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00
1/28
1/44
E03F 1/00 - 11/00
B01D 61/00 - 71/82
24/00 - 37/04
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水使用場所又はその近くに配置されると共に少なくとも1種類のフィルタを用いて処理前水を処理して処理後水を前記水使用場所に供給する家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムであって、
前記水使用場所の近くにおいて処理前水を供給できる複数の水供給場所の情報を格納している水供給場所情報格納部と、
前記家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータに前記水供給場所情報に基づく供給水関連情報を送信する情報供給手段と、
前記家庭用水処理装置から使用中フィルタの性能変化に関する情報を受信する情報受信部とを備え、
前記水供給場所情報は、前記複数の水供給場所の前記処理前水の各々に関する前記使用中フィルタと同一又は同種のフィルタの性能低下を示す性能低下基準情報を含み、
前記情報供給手段は、前記水供給場所情報を参照し、前記性能変化に関する情報に基づき推定される在の処理前水に対する前記使用中フィルタの性能低下速度に対し、前記使用中フィルタの性能低下遅延を可能とする処理前水がある場合、当該処理前水に対応する前記供給水関連情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信するように構成されている、水処理装置管理システム。
【請求項2】
前記水供給場所情報は、前記複数の水供給場所の前記処理前水の各々に関する交換フィルタの機能又は性能の評価情報を含み、
前記交換フィルタは前記使用中フィルタと交換可能に構成されたフィルタであり、
前記情報供給手段は、前記水供給場所情報を参照し、前記交換フィルタと前記水供給場所の組合せのうち、前記評価情報に関するユーザの要求に基づき決定される基準を満たす組合せがある場合に、当該組合せに関する情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信するように構成されている、請求項1に記載の水処理装置管理システム。
【請求項3】
水使用場所又はその近くに配置されると共にフィルタユニットを用いて処理前水を処理して処理後水を前記水使用場所に供給する家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムであって、
前記水使用場所の近くにおいて処理前水を供給できる複数の水供給場所の情報を格納している水供給場所情報格納部と、
前記家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータに前記水供給場所情報に基づく供給水関連情報を送信する情報供給手段と、
前記家庭用水処理装置から使用中フィルタユニットの性能変化に関する情報を受信する情報受信部とを備え、
前記水供給場所情報は、前記複数の水供給場所の前記処理前水の各々に関する前記使用中フィルタユニットと同一又は同種のフィルタユニットの性能低下を示す性能低下基準情報を含み、
前記情報供給手段は、前記水供給場所情報を参照し、前記性能変化に関する情報に基づき推定される在の処理前水に対する前記使用中フィルタユニットの性能低下速度に対し、前記使用中フィルタユニットの性能低下遅延を可能とする処理前水がある場合、当該処理前水に対応する前記供給水関連情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信するように構成されている、水処理装置管理システム。
【請求項4】
前記水供給場所情報は、各前記水供給場所の前記処理前水の各々に関する交換フィルタユニットの機能又は性能の評価情報を含み、
前記交換フィルタユニットは前記使用中フィルタユニットと交換可能に構成されたフィルタユニットであり、
前記情報供給手段は、前記水供給場所情報を参照し、前記交換フィルタユニットと前記水供給場所の組合せのうち、前記評価情報に関するユーザの要求に基づき決定される基準を満たす組合せがある場合に、当該組合せに関する情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信するように構成されている、請求項3に記載の水処理装置管理システム。
【請求項5】
前記家庭用水処理装置が有するGPS、前記家庭用水処理装置内又は外の音を検出する音センサ、前記家庭用水処理装置外の匂いを検出する匂いセンサ、前記家庭用水処理装置内又は外の振動を検出する振動センサ、および前記家庭用水処理装置内又は外の気温を検出する温度センサのうち少なくとも一つの検出結果を取得するように構成されている、請求項1~4の何れかに記載の水処理装置管理システム。
【請求項6】
処理前水入口と、
該処理前水入口から入った処理前水が通過するフィルタユニット又はフィルタと、
前記フィルタユニット又は前記フィルタに対し上流側又は下流側に配置され、前記処理前水を前記フィルタユニット又は前記フィルタに導入するポンプと、
前記フィルタユニット又は前記フィルタを通過することにより処理された処理後水が出る処理後水出口と、
請求項1~5の何れかに記載の水処理装置管理システムからの情報を受信する制御部と、を備える家庭用水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種類のフィルタを用いて処理前水を処理して処理後水を水使用場所に供給する家庭用水処理装置の管理システム、家庭用水処理装置、および水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
日本では上下水道システムが適切に整備されているとの印象がある。日本等の国における現在の上下水道システムは大規模なものが殆どであり、これらシステムは数十年計画で作られている配管網に基づくものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-177060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記上下水道システムでは、配管網を地下等に敷設する必要があるため、上下水道システムを整備するために大規模な工事を伴う。このため、日本等では数十年の工事期間とそのための莫大な費用をかけて現在の上下水道システムを整備している。
しかし、地下に敷設した配管網は数十年経つとメンテナンスが必要になるため、上下水道システムが完成する前にメンテナンスが必要になってきている。メンテナンスのためにも大規模な工事が伴い、メンテナンス費用も嵩んでいる。
【0005】
一方、日本ほど上下水道システムが整備されていない国では、これから上下水道システムを整備することになるが、上記と同様に、大規模な工事、そのための費用、数十年後のメンテナンスのための大規模な工事、およびその費用が発生する。
また、現在型の上下水道システムでは、急激な人口の増減に対応することができず、この点でも将来の上下水道システムとして適していない。
さらに、現在型の上下水道システムは、水資源が豊かな地域に適しており、水資源が限られている地域では機能しない、又は整備するという考えも出ない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、大規模な工事を伴うことなく、急激な人口の増減にも対応することができ、水資源が限られた地域であっても排水の処理や使用する水の供給を可能とする水処理装置管理システム、家庭用水処理装置、および水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明の第1の態様は、水使用場所又はその近くに配置されると共に少なくとも1種類のフィルタを用いて処理前水を処理して、前記水使用場所に供給するための処理後水を作る家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムであって、前記家庭用水処理装置に用いられている使用中フィルタの情報を格納しているフィルタ情報格納部と、前記家庭用水処理装置から前記使用中フィルタの性能変化に関する情報を受信する情報受信部と、前記性能変化に関する情報および前記使用中フィルタ情報に基づき前記処理前水の水タイプを推定する水タイプ推定手段とを備え、前記使用中フィルタ情報が、複数種類の基準処理前水の各々に対する前記使用中フィルタと同一又は同種のフィルタの性能変化基準情報を含むものである。
【0008】
当該態様では、複数種類の基準処理前水の各々に対する使用中フィルタと同一又は同種のフィルタの性能変化基準情報を用い、また、実際に使用されている使用中フィルタの性能変化に関する情報も用いる。このため、家庭用水処理装置の使用状態、処理後水の用途、処理前水のタイプ等は様々であり、これらが変動することも当然あるが、様々な使用状態、処理後水の用途の各々における水タイプ推定の精度を向上することが可能である。
【0009】
つまり、通常の水処理設備は、処理後水の用途、処理前水のタイプ等が様々であると共にこれらが変動しても対応できる大掛かりなものである。換言すると、全てのタイプの処理前水に同じ水処理を行うものであり、このため、全てのタイプの処理前水に対応できる水処理工程とするために設備が大掛かりとなる傾向がある。
【0010】
これに対し、当該態様の家庭用水処理装置は、その使用状態、処理後水の用途、処理前水のタイプ等に拘わらず、処理前水の水タイプ推定の精度を向上することができるので、処理前水のタイプに応じた水処理を行う上で極めて有利であり、水処理を行う水処理部の小型化も可能となる。従って、大規模な工事を行わずに済むので、急激な人口の増減にも対応できるという利点も生ずる。そして、水資源が限られた地域における排水の処理や使用する水の供給を可能とする。
【0011】
本発明の第2の態様は、水使用場所又はその近くに配置されると共に少なくとも1種類のフィルタを用いて処理前水を処理して、前記水使用場所に供給するための処理後水を作る家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムであって、前記家庭用水処理装置に用いられている使用中フィルタの情報を格納しているフィルタ情報格納部と、前記家庭用水処理装置から前記使用中フィルタの性能変化に関する情報を受信する情報受信部と、前記性能変化に関する情報および前記使用中フィルタ情報に基づき前記処理前水の水タイプを推定する水タイプ推定手段とを備え、前記使用中フィルタ情報が、前記使用中フィルタの種類、仕様、品番、および名称のうち少なくとも一つを特定する使用中フィルタ種類特定情報および前記使用中フィルタの機能および性能の少なくとも1つを示す使用中フィルタ機能特定情報のうち少なくとも1つを含むものである。
【0012】
当該態様では、使用中フィルタ種類特定情報および使用中フィルタ機能特定情報のうち少なくとも1つを用い、また、実際に使用されている使用中フィルタの性能変化に関する情報も用いる。このため、家庭用水処理装置の使用状態、処理後水の用途、処理前水のタイプ等は様々であり、これらが変動することも当然あるが、様々な使用状態、処理後水の用途の各々における水タイプ推定の精度を向上することが可能である。
【0013】
例えば、当該使用中フィルタの様々な処理前水に対する様々な性能変化の情報が既に得られており、又は、当該性能変化の情報の的確なシミュレーションができており、当該様々な性能変化の情報や当該シミュレーションの結果に基づき当該使用中フィルタの仕様の一部又は全部を作成することができる。または、当該様々な性能変化の情報や当該シミュレーションの結果を当該使用中フィルタの種類、品番、および名称の情報と紐付けることも可能である。当該使用中フィルタの性能データが多く蓄積される程、種類、品番、名称、および仕様を用いて当該使用中フィルタの性能変化をより正確に推定できるようになり、使用中フィルタ機能特定情報の精度も向上する。
【0014】
本発明の第3の態様は、水使用場所又はその近くに配置されると共にフィルタユニットを用いて処理前水を処理して、前記水使用場所に供給するための処理後水を作る家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムであって、前記家庭用水処理装置に用いられている使用中フィルタユニットの情報を格納しているフィルタ情報格納部と、前記家庭用水処理装置から前記使用中フィルタユニットの性能変化に関する情報を受信する情報受信部と、前記性能変化に関する情報および前記使用中フィルタユニット情報に基づき前記処理前水の水タイプを推定する水タイプ推定手段とを備え、前記使用中フィルタユニット情報が、複数種類の基準処理前水の各々に対する前記使用中フィルタユニットと同一又は同種のフィルタユニットの性能変化基準情報を含むものである。
【0015】
ここで、フィルタユニットは単一の構成要素ではなく複数の構成要素から成るため、構成要素の組合せ方を異ならせることによりフィルタユニット全体の性能が変わることがよくある。例えば、フィルタユニットが2つのフィルタを有し、各フィルタの性能や性能変化の傾向が既知であったとしても、当該フィルタユニットの性能や性能変化の傾向が各フィルタの性能や性能変化の傾向から予測できない場合が多い。これに加え、家庭用水処理装置の使用状態、処理後水の用途、処理前水のタイプ等により、当該フィルタユニットの性能や性能変化の傾向も変わってくる。
【0016】
当該態様では、複数種類の基準処理前水の各々に対する使用中フィルタユニットと同一又は同種のフィルタユニットの性能変化基準情報を用い、また、実際に使用されている使用中フィルタユニットの性能変化に関する情報も用いる。このため、家庭用水処理装置の使用状態、処理後水の用途、処理前水のタイプ等は様々であり、これらが変動することも当然あるが、様々な使用状態、処理後水の用途の各々における水タイプ推定の精度を向上することが可能である。
【0017】
本発明の第4の態様は、水使用場所又はその近くに配置されると共にフィルタユニットを用いて処理前水を処理して、前記水使用場所に供給するための処理後水を作る家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムであって、前記家庭用水処理装置に用いられている使用中フィルタユニットの情報を格納しているフィルタ情報格納部と、前記家庭用水処理装置から前記使用中フィルタユニットの性能変化に関する情報を受信する情報受信部と、前記性能変化に関する情報および前記使用中フィルタユニット情報に基づき前記処理前水の水タイプを推定する水タイプ推定手段とを備え、前記使用中フィルタユニット情報が、前記使用中フィルタユニットの種類、仕様、品番、および名称のうち少なくとも一つを特定する使用中フィルタユニット種類特定情報および前記使用中フィルタユニットの機能および性能の少なくとも1つを示す使用中フィルタユニット機能特定情報のうち少なくとも1つを含むものである。
【0018】
当該態様では、使用中フィルタユニット種類特定情報および使用中フィルタユニット機能特定情報のうち少なくとも1つを用い、また、実際に使用されている使用中フィルタユニットの性能変化に関する情報も用いる。このため、家庭用水処理装置の使用状態、処理後水の用途、処理前水のタイプ等は様々であり、これらが変動することも当然あるが、様々な使用状態、処理後水の用途の各々における水タイプ推定の精度を向上することが可能である。
【0019】
前記各態様において、前記フィルタ情報格納部が、前記使用中フィルタ又は前記使用中フィルタユニットと交換可能な交換フィルタ又は交換フィルタユニットの情報である交換フィルタ情報を格納しており、前記交換フィルタ情報が、前記複数種類の基準処理前水の各々に対する少なくとも1つの交換フィルタ又は交換フィルタユニットの性能変化基準情報を含み、少なくとも前記交換フィルタ情報を参照し、前記水タイプ推定手段で推定した前記水タイプに対して前記使用中フィルタ又は前記使用中フィルタユニットよりも性能変化を改善できる交換フィルタ又は交換フィルタユニットがある場合、当該フィルタ又はフィルタユニットに関する情報を含むフィルタ交換情報を前記家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータに送信する情報供給手段をさらに備えていることが好ましい。
【0020】
当該態様では、水タイプ推定手段で推定した水タイプにおいて改善が図れる交換フィルタ又は交換フィルタユニットがある場合、当該フィルタ又はフィルタユニットの情報が家庭用水処理装置又はユーザのコンピュータに送信される。従って、情報に従ってユーザがフィルタ又はフィルタユニットの交換を行うことによりフィルタの性能変化を改善することが可能となる。
【0021】
前記各態様において、前記水タイプ推定手段で推定した前記水タイプに応じた運転方法に関する情報の前記家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータへの送信と、前記水タイプ推定手段で推定した前記水タイプに応じたメンテナンス情報の前記家庭用水処理装置又は前記ユーザのコンピュータへの送信のうち、少なくとも一つを行う情報供給手段をさらに備えることが好ましい。
【0022】
この場合、例えば推定された水タイプに応じた運転方法に関する情報として家庭用水処理装置を制御するための制御信号が送信され、当該制御信号に応じて家庭用水処理装置のポンプ、バルブ等の構成要素が制御されると、家庭用水処理装置が処理前水の水タイプに応じて適切な作動を行うようになる。また、家庭用水処理装置の表示装置やコンピュータの表示装置に表示される運転方法に関する情報やメンテナンス情報をユーザが見ることにより、ユーザが適切な処置を行うことが可能となる。
【0023】
前記各態様において、前記使用中フィルタの性能変化に関する情報および前記使用中フィルタユニットの性能変化に関する情報の少なくとも一つと、前記水タイプ推定手段で推定した前記水タイプとを少なくとも蓄積し、当該蓄積情報を用いて前記使用中フィルタ性能変化基準情報、前記使用中フィルタユニット性能変化基準情報、および前記交換フィルタ情報の少なくとも一つを作成するフィルタ情報作成手段をさらに備えることが好ましい。
【0024】
この場合、家庭用水処理装置の使用状態、処理後水の用途、処理前水のタイプ等は様々であるが、使用されている家庭用水処理装置の数が多ければ、使用状況、処理後水の用途、処理前水のタイプの各々について実際に使用している状況でのデータが集まり、実際に即した使用中フィルタ性能変化基準情報、使用中フィルタユニット性能変化基準情報、および交換フィルタ情報が作成される。
【0025】
前記各態様において、該水処理装置管理システムが、前記家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータから、前記水利用場所における水の用途、前記処理前水の性質、および前記処理前水の供給源の少なくとも一つを含むユーザ入力情報を受付け、前記水タイプ推定手段が前記ユーザ入力情報も用いて前記水タイプを推定するように構成されていることが好ましい。ユーザ入力情報があることは水タイプ推定の精度を向上する上で有利である。
【0026】
本発明の第5の態様の家庭用水処理装置は、処理前水入口と、該処理前水入口から入った処理前水が通過するフィルタユニット又はフィルタと、前記フィルタユニット又は前記フィルタに対し上流側又は下流側に配置され、前記処理前水を前記フィルタユニット又は前記フィルタに導入するポンプと、前記フィルタユニットを通過することにより処理された処理後水が出る処理後水出口と、前記水処理装置管理システムからのフィルタ交換情報を受信する制御部とを備える。
【0027】
本発明の第6の態様の家庭用水処理装置は、処理前水入口と、該処理前水入口から入った処理前水が通過するフィルタユニット又はフィルタと、前記フィルタユニット又は前記フィルタに対し上流側又は下流側に配置され、前記処理前水を前記フィルタユニット又は前記フィルタに導入するポンプと、前記フィルタユニットを通過することにより処理された処理後水が出る処理後水出口と、少なくとも前記ポンプを制御する制御部とを備え、該制御部が、前記水処理装置管理システムから受信する運転方法に関する情報に基づき前記ポンプを制御するように構成されている。
【0028】
本発明の第7の態様は、処理前水を処理して処理後水を供給できる家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムであって、前記家庭用水処理装置におけるフィルタ、ポンプ等の水処理用の構成要素の装着の有無や、各構成要素の種類、各構成要素の定格の機能、現在発揮している機能等の情報を受付け格納する情報格納部と、前記家庭用水処理装置により処理される水の量、水質等の検知結果又は推定結果を前記家庭用水処理装置から受信し、該検知結果又は推定結果と前記情報格納部に格納された情報に基づき前記構成要素の最適な運転を維持し、又は、最適な運転状態となるようにコントロールを行うように構成された水処理装置管理システムである。
【0029】
当該態様は、家庭用水処理装置を水処理装置管理システムによって管理するものであり、家庭用水処理装置は処理前水を処理して処理後水を供給するものである。このため、例えば各家庭、各商業施設等の各々の水使用場所が当該家庭用水処理装置を有し、当該家庭用水処理装置が水処理装置管理システムで管理されると、大規模な工事を伴うことなく、各家庭等における排水の処理や各家庭等で使用する水の供給が可能となる。大規模な工事が不要であることから、急激な人口増減にも対応でき、処理前水を処理して処理後水を供給できるので、水資源が限られた地域にも適している。
【0030】
本発明の第8の態様は、前記第7の態様に関連する。
当該態様は、水使用場所又はその近くに配置されると共に少なくとも1種類のフィルタを用いて処理前水を処理して処理後水を前記水使用場所等の所定の場所に供給する家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムであって、
前記家庭用水処理装置に用いられている使用中フィルタの情報および当該使用中フィルタと交換可能な交換フィルタの情報を格納しているフィルタ情報格納部と、
前記家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータに前記使用中フィルタ情報および/又は前記交換フィルタ情報に基づくフィルタ交換情報を送信する情報供給手段と、
前記家庭用水処理装置から前記使用中フィルタの性能変化に関する情報を受信する情報受信部と、
前記性能変化に関する情報および/又は前記使用中フィルタ情報に基づき前記処理前水の水タイプを推定する水タイプ推定手段とを備え、
前記使用中フィルタ情報は、複数種類の基準処理前水の各々に対する前記使用中フィルタと同一又は同種のフィルタの性能低下基準情報を含むと共に、前記交換フィルタ情報は、前記複数種類の基準処理前水の各々に対する少なくとも1つの交換フィルタの性能低下基準情報を含み、
前記情報供給手段は、少なくとも前記交換フィルタの性能低下基準情報を参照し、前記使用中フィルタと同一又は同種のフィルタの性能低下基準情報および前記交換フィルタの性能低下基準情報を参照し、又は、前記性能変化に関する情報および前記交換フィルタの性能低下基準情報を参照し、前記水タイプ推定手段で推定した前記水タイプに対して前記使用中フィルタよりも性能低下を遅延できる交換フィルタがある場合、当該フィルタに関する情報を含む前記フィルタ交換情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信するように構成されていることを特徴とする水処理装置管理システムである。
【0031】
当該態様は、例えば、家庭用水処理装置が処理前水としてシャワー後の水を利用し、処理後水をシャワーノズルに供給するように構成され、シャワー用の水を繰り返し家庭用水処理装置で処理している場合であって、当該ユーザが使用しているある種類の石鹸やシャンプーに対し、一部のフィルタが適していない場合、当該フィルタで処理した後の処理後水の品質が劣っている可能性がある。
【0032】
当該態様では、複数種類の基準処理前水の各々に対する前記使用中フィルタと同一又は同種のフィルタの性能低下基準情報を含むと共に、前記交換フィルタ情報として、前記複数種類の基準処理前水の各々に対する少なくとも1つの交換フィルタの性能低下基準情報を参照し、又は、前記性能変化に関する情報および前記交換フィルタの性能低下基準情報を参照し、前記水タイプ推定手段で推定した前記水タイプにおいて改善が図れる交換フィルタがある場合、当該フィルタの情報が前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信される。従って、情報に従ってユーザがフィルタを交換することによりフィルタの性能低下を遅くすることが可能となる。
【0033】
本発明の第9の態様は、前記第7の態様に関連する。
当該態様は、水使用場所又はその近くに配置されると共に少なくとも1種類のフィルタを用いて処理前水を処理して処理後水を前記水使用場所等の所定の場所に供給する家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムであって、
前記家庭用水処理装置に用いられている使用中フィルタの情報および当該使用中フィルタと交換可能な交換フィルタの情報を格納しているフィルタ情報格納部と、
前記家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータに前記使用中フィルタ情報および/又は前記交換フィルタ情報に基づくフィルタ交換情報を送信する情報供給手段と、
前記家庭用水処理装置から前記使用中フィルタの性能変化に関する情報を受信する情報受信部と、
前記性能変化に関する情報および/又は前記使用中フィルタ情報に基づき前記処理前水の水タイプを推定する水タイプ推定手段とを備え、
前記使用中フィルタ情報は、フィルタの種類、仕様、品番、名称等の前記使用中フィルタの種類を特定する使用中フィルタ種類特定情報およびフィルタの機能や性能等を示す使用中フィルタ機能特定情報のうち少なくとも1つを含むと共に、前記交換フィルタ情報は、前記複数種類の基準処理前水の各々に対する少なくとも1つの交換フィルタの性能低下基準情報を含み、
前記情報供給手段は、前記使用中フィルタ種類特定情報および前記使用中フィルタ機能特定情報の何れか又は両方と、前記交換フィルタの性能低下基準情報とを参照し、又は、前記性能変化に関する情報および前記交換フィルタの性能低下基準情報を参照し、前記水タイプ推定手段で推定した前記水タイプに対して前記使用中フィルタよりも性能低下を遅延できる交換フィルタがある場合、当該フィルタに関する情報を含む前記フィルタ交換情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信するように構成されていることを特徴とする水処理装置管理システムである。
【0034】
当該態様でも、前記使用中フィルタ種類特定情報および前記使用中フィルタ機能特定情報の何れか又は両方と、前記交換フィルタの性能低下基準情報を参照し、又は、前記性能変化に関する情報および前記交換フィルタの性能低下基準情報を参照し、前記水タイプ推定手段で推定した前記水タイプにおいて改善が図れる交換フィルタがある場合、当該フィルタの情報が前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信される。従って、情報に従ってユーザが処理前水を交換することによりフィルタの性能低下を遅くすることが可能となる。
【0035】
本発明の第10の態様は、前記第7の態様に関連する。
当該態様は、水使用場所又はその近くに配置されると共に少なくとも1種類のフィルタを用いて処理前水を処理して処理後水を前記水使用場所等の所定の場所に供給する家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムであって、
前記家庭用水処理装置から使用中のフィルタの性能変化に関する情報を受信する情報受信部と、
前記家庭用水処理装置に用いられている使用中フィルタの情報を格納しているフィルタ情報格納部と、
前記性能変化に関する情報および/又は前記使用中フィルタ情報に基づき前記処理前水の水タイプを推定する水タイプ推定手段とを備え、
前記使用中フィルタ情報は、複数種類の基準処理前水の各々に対する前記使用中フィルタと同一又は同種のフィルタの性能低下基準情報を含み、
当該システムは、前記水タイプ推定手段の水タイプ推定結果に応じた、前記家庭用水処理装置に対する運転方法に関する情報の送信と、前記水タイプ推定手段の前記水タイプ推定結果に応じた、前記家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータに対するメンテナンス情報の送信のうち、少なくとも1つを行う情報供給手段をさらに備えている。
【0036】
当該態様では、水タイプ推定手段の水タイプ推定結果に応じ、運転方法に関する情報の送信や、メンテナンス情報の送信が行われる。ユーザは自分が使っている水の状態を主観的にしか判断できないが、上記のように当該システムはユーザが使っている水タイプを客観的に推定し、当該推定に基づく前記各情報を送信するので、例えば運転方法の改善として、情報に従ってユーザが処理前水を交換することにより、家庭用水処理装置の性能向上や耐久性向上を図ることができるようになる。
【0037】
前記態様において、前記家庭用水処理装置は、前記使用中フィルタに水を送るポンプをさらに有しており、前記情報供給手段は、前記水タイプ推定手段の前記水タイプ推定結果に応じた前記ポンプの運転方法に関する情報を送信するように構成されている。
また、前記態様において、前記情報供給手段は、前記水タイプ推定手段の前記水タイプ推定結果において前記使用中フィルタの性能低下を遅延するのに適した前記ポンプの運転方法に関する情報を送信するように構成されている。
【0038】
各フィルタには許容できる水圧や水量、その中でも長寿命化になる水圧や水量のポイントが存在する。当該ポイントはフィルタの種類、サイズ等によっても異なるが、水タイプによっても異なる。一方、各々の家庭用水処理装置は使用場所も異なり、使用目的も異なるために、処理前水の状況が千差万別となる。このため、水タイプ推定結果に基づきながら、長寿命化を可能とする運転方法に関する情報を提供する本態様は、フィルタの寿命を延ばす上で極めて有効である。
【0039】
なお、水タイプ推定結果に基づき前記ポンプの運転方法に関する情報を送信するために、一例として、水処理装置管理システムが、複数の水タイプの各々に対する適した水圧範囲又は適した水量範囲のデータを、フィルタの種類に対応するようにメモリ装置内に有している。当該データを参照することにより、フィルタの種類ごとに、推定した水タイプに応じた運転方法に関する情報を提供することが可能となる。
【0040】
また、前記態様において、より具体的には、前記少なくとも1種類のフィルタは2つ以上のフィルタを有することにより使用中のフィルタユニットを構成しており、前記家庭用水処理装置は、前記使用中フィルタユニットに水を送るポンプをさらに有しており、前記情報供給手段は、前記水タイプ推定手段の前記水タイプ推定結果に応じた前記ポンプの運転方法に関する情報を送信するように構成されている。
また、前記態様において、前記情報供給手段は、前記水タイプ推定手段の前記水タイプ推定結果において前記使用中フィルタユニットの一部又は全部の性能低下を遅延するのに適した前記ポンプの運転方法に関する情報を送信するように構成されている。
【0041】
各フィルタには許容できる水圧や水量、その中でも長寿命化になる水圧や水量のポイントが存在すると前で述べたが、そのポイントは2以上のフィルタユニットの組合せになるとより複雑になる。つまり、当該ポイントはフィルタユニットの組合せによって異なることになり、また、水タイプによっても異なることになる。また、前に述べたように、各々の家庭用水処理装置は使用場所も異なり、使用目的も異なるために、処理前水の状況が千差万別となる。このため、水タイプ推定結果に基づきながら、長寿命化を可能とする運転方法に関する情報を提供する本態様は、フィルタユニットの一部又は全部の寿命を延ばす上で極めて有効である。
【0042】
なお、水タイプ推定結果に基づき前記ポンプの運転方法に関する情報を送信するために、一例として、水処理装置管理システムが、複数の水タイプの各々に対する適した水圧範囲又は適した水量範囲のデータを、フィルタユニットの種類に対応するようにメモリ装置内に有している。当該データを参照することにより、フィルタユニットの種類ごとに、推定した水タイプに応じた運転方法に関する情報を提供することが可能となる。
【0043】
本発明の第11の態様は、前記第7の態様に関連する。
当該態様は、水使用場所又はその近くに配置されると共に少なくとも1種類のフィルタを用いて処理前水を処理して処理後水を前記水使用場所に供給する家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムであって、
前記水使用場所の近くにおいて処理前水を供給できる少なくとも1つの水供給場所の情報を格納している水供給場所情報格納部と、
前記家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータに前記水供給場所情報に基づく供給水関連情報を送信する情報供給手段と、
前記家庭用水処理装置から前記使用中フィルタの性能変化に関する情報を受信する情報受信部とを備え、
前記水供給場所情報は、各水供給場所の処理前水に関する前記使用中のフィルタと同一又は同種のフィルタの性能低下基準情報を含み、
前記情報供給手段は、前記水供給場所情報を参照し、現在の処理前水に対する前記性能変化に関する情報に基づき推定される前記使用中フィルタの性能低下速度よりも性能低下を遅延できる処理前水がある場合、当該処理前水に対応する前記供給水関連情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信するように構成されている。
【0044】
当該態様は、例えば、水使用場所の周辺に様々な水供給場所がある場合に特に有用である。具体的な例として、ある時点で家庭用水処理装置が処理前水としてシャワー後の水を利用し、処理後水をシャワーノズルに供給するように構成され、シャワー用の水を繰り返し家庭用水処理装置で処理している場合、水を繰り返し使うことにより当該処理前水および処理後水の質が特定の細菌の量等の点で徐々に劣化していくことが考えられる。細菌量が増えるとそれを除去するフィルタの性能低下が早くなる。
【0045】
当該態様では、現在使っている処理前水の代替水を供給できる水供給場所の情報として、当該水供給場所の処理前水に対する使用中フィルタと同一又は同種のフィルタの性能低下基準情報を有する。このため、当該情報を参照することにより、現在の処理前水に対する使用中フィルタの性能低下速度よりも性能低下を遅延できる処理前水の情報を送信することが可能になり、情報に従ってユーザが処理前水を交換することによりフィルタの性能低下を遅くすることが可能となる。
【0046】
本発明の第12の態様は、前記第7の態様に関連する。
当該態様は、水使用場所又はその近くに配置されると共に少なくとも1種類のフィルタを用いて処理前水を処理して処理後水を前記水使用場所に供給する家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムであって、
前記家庭用水処理装置に用いられている使用中フィルタの情報を格納しているフィルタ情報格納部と、
前記水使用場所の近くにおいて処理前水を供給できる少なくとも1つの水供給場所の情報を格納している水供給場所情報格納部と、
前記家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータに前記水供給場所情報に基づく供給水関連情報を送信する情報供給手段と、
前記家庭用水処理装置から前記使用中フィルタの性能変化に関する情報を受信する情報受信部とを備え、
前記水供給場所情報は、フィルタの種類、仕様、品番、名称等の前記使用中フィルタの種類を特定する使用中フィルタ種類特定情報およびフィルタの機能や性能等を示す使用中フィルタ機能特定情報のうち少なくとも1つと、各水処理場所の処理前水に対する評価値とを対応させた使用中フィルタ評価比較情報を含み、
前記情報供給手段は、前記水供給場所情報および前記性能変化に関する情報を参照し、現在の処理前水に対する前記使用中フィルタの性能低下速度よりも性能低下を遅延できる処理前水がある場合、当該処理前水に対応する前記供給水関連情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信するように構成されている。
【0047】
当該態様でも、上記と同様に、例えば、水使用場所の周辺に様々な水供給場所がある場合に特に有用である。
当該態様では、現在使っている処理前水の代替水を供給できる水供給場所の情報として、当該水供給場所の処理前水に対する使用中フィルタの評価値を有する。このため、当該情報を参照することにより、現在の処理前水に対する使用中フィルタの性能低下速度よりも性能低下を遅延できる処理前水の情報を送信することが可能になり、情報に従ってユーザが処理前水を交換することによりフィルタの性能低下を遅くすることが可能となる。
【0048】
本発明の第13の態様は、前記第7の態様に関連する。
当該態様は、水使用場所又はその近くに配置されると共に少なくとも1種類のフィルタを用いて処理前水を処理して処理後水を前記水使用場所に供給する家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムであって、
前記水使用場所の近くにおいて処理前水を供給できる少なくとも1つの水供給場所の情報を格納している水供給場所情報格納部と、
前記家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータに前記水供給場所情報に基づく供給水関連情報を送信する情報供給手段と、
前記水供給場所情報は、フィルタの種類、仕様、品番、名称等の前記使用中フィルタの種類を特定する使用中フィルタ種類特定情報およびフィルタの機能や性能等を示す使用中フィルタ機能特定情報のうち少なくとも1つと、各水処理場所の処理前水に対する評価値とを対応させた使用中フィルタ評価比較情報と、フィルタの種類、仕様、品番、名称等の前記使用中フィルタと交換可能な交換フィルタの種類を特定する交換フィルタ種類特定情報およびフィルタの機能や性能等を示す交換フィルタ機能特定情報のうち少なくとも1つと、各水処理場所の処理前水に対する評価値とを対応させた交換フィルタ評価比較情報と、
前記情報供給手段は、前記水供給場所情報の使用中フィルタ評価比較情報および交換フィルタ評価比較情報を参照し、水供給場所と、前記交換フィルタ又は前記使用中フィルタとの組合せのうち所定の基準を満たす組合せがある場合、当該組合せに関する情報を前記供給水関連情報として送信するように構成されている。
【0049】
当該態様でも、上記と同様に、例えば、水使用場所の周辺に様々な水供給場所がある場合に特に有用である。
当該態様では、様々な水供給場所の処理前水に対する使用中フィルタや交換フィルタの機能が格納されており、所定の基準を満たす組合せがある場合に当該組合せに関する情報が家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータに送信されるので、当該情報を参照したユーザが処理前水および/又はフィルタの変更を行うことにより、家庭用水処理装置の処理後水の品質の向上、水の処理速度等の向上を行うことが可能となる。
【0050】
第13の態様では、好ましくは、前記ユーザからの要求を受付ける要求受付手段をさらに備え、前記情報供給手段は、所定の基準を決定するように構成されている。
例えば、ユーザから水質を若干低下しても水処理速度を向上したいという要求があり、当該要求を満たす水供給場所と使用中フィルタの組合せ又は水供給場所と交換フィルタの組合せがある場合、当該組合せが送信される。
送信される組合せは1つである必要は無く、水供給場所1と使用中フィルタの組合せ、水供給場所1と交換フィルタ1の組合せ、水供給場所2と交換フィルタ2の組合せの3つの組合せを送信することもできる。
【0051】
さらに各組合せについて、ユーザからの要求に関連する評価用情報を付随させることも可能である。この場合、ユーザは評価用情報を比較して選択を行うことが可能となる。
評価用情報としては、各組合せにより得られる処理速度、処理後水の品質の予測データ、フィルタの性能低下速度等の機能に関する情報や、交換費用に関する情報を含めることができる。
【0052】
本発明の第14の態様は、前記第7の態様に関連する。
当該態様は、水使用場所又はその近くに配置されると共に少なくとも1種類のフィルタを用いて処理前水を処理して処理後水を前記水使用場所等の所定の場所に供給する家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムであって、
前記家庭用水処理装置に用いられている使用中フィルタの情報および当該使用中フィルタと交換可能な交換フィルタ情報を格納しているフィルタ情報格納部と、
前記家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータに前記使用中フィルタ情報および/又は前記交換フィルタ情報に基づくフィルタ交換情報を送信する情報供給手段と、
前記家庭用水処理装置から前記使用中フィルタの性能変化に関する情報を受信する情報受信部と、
前記性能変化に関する情報および/又は前記使用中フィルタ情報に基づき前記処理前水の水タイプを推定する水タイプ推定手段とを備え、
前記使用中フィルタ情報は、複数種類の基準処理前水の各々に対する前記使用中フィルタと同一又は同種のフィルタによる処理後水品質基準情報を含むと共に、前記交換フィルタ情報は、前記複数種類の基準処理前水の各々に対する少なくとも1つの交換フィルタによる処理後水品質基準情報を含み、
前記情報供給手段は、少なくとも前記交換フィルタの処理後水品質基準情報を参照し、前記使用中フィルタと同一又は同種のフィルタの処理後水品質基準情報および前記交換フィルタの処理後水品質基準情報を参照し、又は、前記性能変化に関する情報および前記交換フィルタの処理後水品質基準情報を参照し、前記水タイプ推定手段で推定した前記水タイプに対して前記使用中フィルタよりも処理後水の品質を向上できる交換フィルタがある場合、当該フィルタに関する情報を含む前記フィルタ交換情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信するように構成されている。
【0053】
当該態様は、例えば、家庭用水処理装置が処理前水としてシャワー後の水を利用し、処理後水をシャワーノズルに供給するように構成され、シャワー用の水を繰り返し家庭用水処理装置で処理している場合であって、当該ユーザが使用しているある種類の石鹸やシャンプーに対し、一部のフィルタが適していない場合、当該フィルタで処理した後の処理後水の品質が劣っている可能性がある。
【0054】
当該態様では、複数種類の基準処理前水の各々に対する使用中フィルタと同一又は同種のフィルタによる処理後水品質基準情報や、前記複数種類の基準処理前水の各々に対する少なくとも1つの交換フィルタによる処理後水品質基準情報を有し、又は、家庭用水処理装置から使用中フィルタの性能変化に関する情報を受信する。そして、これらを参照すると共に、上記のように水タイプを推定し、推定した水タイプに対して前記使用中フィルタよりも処理後水の品質を向上できる交換フィルタがある場合、当該フィルタに関する情報を含む前記フィルタ交換情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信する。従って、情報に従ってユーザがフィルタの交換を行うと処理後水の品質を向上することが可能となる。
【0055】
本発明の第15の態様は、前記第7の態様に関連する。
当該態様は、水使用場所又はその近くに配置されると共に少なくとも1種類のフィルタを用いて処理前水を処理して処理後水を前記水使用場所に供給する家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムであって、
前記家庭用水処理装置に用いられている使用中フィルタの情報および当該使用中フィルタと交換可能な交換フィルタ情報を格納しているフィルタ情報格納部と、
前記家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータに前記使用中フィルタ情報および/又は前記交換フィルタ情報に基づくフィルタ交換情報を送信する情報供給手段と、
前記家庭用水処理装置から前記使用中フィルタの性能変化に関する情報を受信する情報受信部と、
前記性能変化に関する情報および/又は前記使用中フィルタ情報に基づき前記処理前水の水タイプを推定する水タイプ推定手段とを備え、
前記使用中フィルタ情報は、フィルタの種類、仕様、品番、名称等の前記使用中フィルタの種類を特定する使用中フィルタ種類特定情報およびフィルタの機能や性能等を示す使用中フィルタ機能特定情報のうち少なくとも1つを含むと共に、前記交換フィルタ情報は、前記複数種類の基準処理前水の各々に対する少なくとも1つの交換フィルタによる処理後水品質基準情報を含み、
前記情報供給手段は、前記使用中フィルタ種類特定情報および前記使用中フィルタ機能特定情報の何れか又は両方と、前記交換フィルタの処理後水品質基準情報を参照し、又は、前記性能変化に関する情報および前記交換フィルタの処理後水品質基準情報を参照し、前記水タイプ推定手段で推定した前記水タイプに対して前記使用中フィルタよりも処理後水の品質を向上できる交換フィルタがある場合、当該フィルタに関する情報を含む前記フィルタ交換情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信するように構成されている。
【0056】
当該態様でも、使用中フィルタ種類特定情報および使用中フィルタ機能特定情報のうち少なくとも1つと、複数種類の基準処理前水の各々に対する少なくとも1つの交換フィルタによる処理後水品質基準情報を有し、又は、家庭用水処理装置から使用中フィルタの性能変化に関する情報を受信する。そして、これらを参照すると共に、上記のように水タイプを推定し、推定した水タイプに対して前記使用中フィルタよりも処理後水の品質を向上できる交換フィルタがある場合、当該フィルタに関する情報を含む前記フィルタ交換情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信する。従って、情報に従ってユーザがフィルタの交換を行うと処理後水の品質を向上することが可能となる。
【0057】
本発明の第16の態様は、前記第7の態様に関連する。
当該態様は、水使用場所又はその近くに配置されると共に少なくとも1種類のフィルタを用いて処理前水を処理して処理後水を前記水使用場所に供給する家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムであって、
前記家庭用水処理装置から使用中のフィルタの性能変化に関する情報を受信する情報受信部と、
前記家庭用水処理装置に用いられている使用中フィルタの情報と当該使用中フィルタと交換可能な交換フィルタの情報を格納しているフィルタ情報格納部と、
前記性能変化に関する情報および/又は前記使用中フィルタ情報に基づき前記処理前水の水タイプを推定する水タイプ推定手段とを備え、
前記使用中フィルタ情報は、複数種類の基準処理前水の各々に対する前記使用中フィルタと同一又は同種のフィルタの性能低下基準情報を含むと共に、前記交換フィルタ情報は、前記複数種類の基準処理前水の各々に対する少なくとも1つの交換フィルタによる処理後水品質基準情報を含み、
前記情報供給手段は、前記交換フィルタの処理後水品質基準情報を参照し、前記水タイプ推定手段で推定した前記水タイプに対して前記使用中フィルタよりも処理後水の品質を向上できる交換フィルタがある場合、当該フィルタに関する情報を含む前記フィルタ交換情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信するように構成されている。
【0058】
当該態様でも、複数種類の基準処理前水の各々に対する前記使用中フィルタと同一又は同種のフィルタの性能低下基準情報と、複数種類の基準処理前水の各々に対する少なくとも1つの交換フィルタによる処理後水品質基準情報を有し、又は、家庭用水処理装置から使用中フィルタの性能変化に関する情報を受信する。そして、前記交換フィルタの処理後水品質基準情報を参照すると共に、上記のように水タイプを推定し、推定した水タイプに対して前記使用中フィルタよりも処理後水の品質を向上できる交換フィルタがある場合、当該フィルタに関する情報を含む前記フィルタ交換情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信する。従って、情報に従ってユーザがフィルタの交換を行うと処理後水の品質を向上することが可能となる。
【0059】
本発明の第17の態様は、前記第7の態様に関連する。
当該態様は、水使用場所又はその近くに配置されると共に少なくとも1種類のフィルタを用いて処理前水を処理して処理後水を前記水使用場所に供給する家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムであって、
前記水使用場所の近くにおいて処理前水を供給できる少なくとも1つの水供給場所の情報を格納している水供給場所情報格納部と、
前記家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータに前記水供給場所情報に基づく供給水関連情報を送信する情報供給手段と、
前記水供給場所情報は、各水供給場所の処理前水に対する前記使用中のフィルタと同一又は同種のフィルタによる処理後水品質基準情報を含み、
前記情報供給手段は、前記処理後水品質基準情報を参照し、前記使用中フィルタにより前記処理前水を処理した後の水質より処理後水の品質を向上できる処理前水がある場合、当該処理前水に対応する前記供給水関連情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信するように構成されている。
【0060】
当該態様は、例えば、水使用場所の周辺に様々な水供給場所がある場合に特に有用である。具体的な例として、ある時点で家庭用水処理装置が処理前水としてシャワー後の水を利用し、処理後水をシャワーノズルに供給するように構成され、シャワー用の水を繰り返し家庭用水処理装置で処理している場合、水を繰り返し使うことにより当該処理前水および処理後水の質が特定の細菌の量等の点で徐々に劣化していくことが考えられる。細菌量が増えると、フィルタの機能低下が早くなる場合や、フィルタを通過した後の処理後水の品質が低下する場合がある。
【0061】
当該態様では、現在使っている処理前水の代替水を供給できる水供給場所の情報として、当該水供給場所の処理前水に対する使用中フィルタと同一又は同種のフィルタの処理後水品質基準情報を有する。このため、当該情報を参照することにより、現在の処理前水を使用中フィルタで処理した水よりも処理後水の品質を向上できる処理前水の情報を送信することが可能になり、情報に従ってユーザが処理前水を交換することによりフィルタの機能向上や処理後水の品質向上が可能となる。
【0062】
本発明の第18の態様は、前記第7の態様に関連する。
当該態様は、水使用場所又はその近くに配置されると共に少なくとも1種類のフィルタを用いて処理前水を処理して処理後水を前記水使用場所に供給する家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムであって、
前記水使用場所の近くにおいて処理前水を供給できる少なくとも1つの水供給場所の情報を格納している水供給場所情報格納部と、
前記家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータに前記水供給場所情報に基づく供給水関連情報を送信する情報供給手段と、
前記水供給場所情報は、フィルタの種類、仕様、品番、名称等の前記使用中フィルタの種類を特定する使用中フィルタ種類特定情報およびフィルタの機能や性能等を示す使用中フィルタ機能特定情報のうち少なくとも1つと、各水処理場所の処理前水に対する評価値とを対応させた使用中フィルタ評価比較情報を含み、
前記情報供給手段は、前記水供給場所情報および前記性能変化に関する情報を参照し、前記使用中フィルタにより前記処理前水を処理した後の水質より処理後水の品質を向上できる処理前水がある場合、当該処理前水に対応する前記供給水関連情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信するように構成されている。
【0063】
当該態様でも、上記と同様に、例えば、水使用場所の周辺に様々な水供給場所がある場合に特に有用である。
当該態様では、現在使っている処理前水の代替水を供給できる水供給場所の情報として、当該水供給場所の処理前水に対する使用中フィルタの評価値を有する。このため、現在の処理前水を使用中フィルタで処理した水よりも処理後水の品質を向上できる処理前水の情報を送信することが可能になり、情報に従ってユーザが処理前水を交換することによりフィルタの機能向上や処理後水の品質向上が可能となる。
【0064】
本発明の第19の態様は、前記第7の態様に関連する。
当該態様は、水使用場所又はその近くに配置されると共に少なくとも1種類のフィルタを用いて処理前水を処理して処理後水を前記水使用場所に供給する家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムであって、
前記水使用場所の近くにおいて処理前水を供給できる少なくとも1つの水供給場所の情報を格納している水供給場所情報格納部と、
前記家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータに前記水供給場所情報に基づく供給水関連情報を送信する情報供給手段と、
前記家庭用水処理装置から前記使用中フィルタの通過後水の質に関する情報を受信する情報受信部とを備え、
前記水供給場所情報は、各水供給場所の処理前水に対する前記使用中のフィルタと同一又は同種のフィルタによる処理後水品質基準情報を含み、
前記情報供給部は、前記水供給場所情報および前記通過後水の質に関する情報を参照し、前記使用中フィルタを通過した後の水質が前記通過後水の質より所定のパラメータにおいて改善される前記水供給場所がある場合、当該水供給場所に対応する前記供給水関連情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信するように構成されている。
【0065】
当該態様でも、上記と同様に、例えば、水使用場所の周辺に様々な水供給場所がある場合に特に有用である。
当該態様では、現在使っている処理前水の代替水を供給できる水供給場所の情報として、各水供給場所の処理前水に対する前記使用中のフィルタと同一又は同種のフィルタによる処理後水品質基準情報を有し、家庭用水処理装置から前記使用中フィルタの通過後水の質に関する情報を受信する。このため、現在の処理前水を使用中フィルタで処理した水よりも処理後水の品質を向上できる処理前水の情報を送信することが可能になり、情報に従ってユーザが処理前水を交換することによりフィルタの機能向上や処理後水の品質向上が可能となる。
【0066】
前記第7~第19の態様において、より具体的には、前記少なくとも1種類のフィルタは2つ以上のフィルタを有することにより使用中のフィルタユニットを構成している。そして、好ましくは、前記第1および第2のフィルタが各々、その種類、仕様、品番、名称等の前記使用中フィルタの種類を特定する使用中フィルタ種類特定情報を格納した情報素子(RFIDタグ等)又は情報表示(二次元コード等)を有しており、前記家庭用水処理装置は、当該家庭用水処理装置に装着された前記第1および第2のフィルタの前記情報素子又は情報表示から前記使用中フィルタ種類特定情報を読み取る読取手段をさらに備えている。
【0067】
一方、前記水処理装置管理システムは、前記家庭用水処理装置から使用中のフィルタが全て当該家庭用水処理装置に適合するか否かを示す適合関連データを受信し、当該受信結果が基準を満たしている場合に前記情報供給手段が前記各種情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信するように構成されている。
当該適合関連データは、前記情報素子又は情報表示から読取った情報をそのままも来る場合も含まれる。この場合、前記水処理装置管理システムが当該家庭用水処理装置に適合するフィルタに関する情報をメモリ装置に格納していれば、当該情報を参照して前記基準を満たしているか否かを判定することができる。
【0068】
複数のフィルタを組み合わせたフィルタユニットの機能や耐久性は、それを構成する単体のフィルタから容易に推測できるようなものではないので、経験やデータに裏付けされたフィルタユニットの組合せとすることが望ましい。当該態様では、フィルタユニットの機能や耐久性を良好な状態に保つ上で極めて有用である。
上記態様によれば、ユーザは、独自の判断でフィルタを別の種類に交換すると、当該ユーザは前記情報供給手段が送信する前記各種情報を受取れなくなるというデメリットがあるので、そのような判断や行為が抑制され、各フィルタやフィルタユニットの機能や耐久性を良好な状態に保つ上で極めて有用である。
【0069】
第20~第23の態様において、より具体的には、前記家庭用水処理装置は、前記少なくとも1種類のフィルタに処理前水を流すためのポンプと、当該ポンプの運転状況に関する情報を検出し当該家庭用水処理装置のメモリ装置に格納する運転状況情報の格納手段とを備えている。
ポンプの運転状況に関する情報としては、ポンプの累積稼働時間、ポンプの出力に関する情報(ポンプの消費電力量、ポンプの吐出量、ポンプの累積消費電力量、ポンプの累積吐出量、ポンプ内の水圧、ポンプから吐出された水の水圧等)、ポンプ振動関連情報(ポンプから発生する音、ポンプから発生する振動等)、ポンプ環境関連情報(ポンプの温度、ポンプが配置されている位置の雰囲気温度等)が例として挙げられる。つまり、前記家庭用水処理装置にはこれらを検出するセンサが取付けられている。
【0070】
そして、家庭用水処理装置は、前記運転状況に関する情報を前記水処理管理システムに送る。又は、家庭用水処理装置は、前記運転状況に関する情報に基づきポンプの状態に関するデータを作成し、当該状態に関するデータを前記水処理管理システムに送る。
当該状態に関するデータとしては、ポンプの累積稼働時間と当該ポンプの基準可動時間(耐久性がある一定程度保障される可動時間等)とに少なくとも基づき導出されたデータや、ポンプ振動関連情報に少なくとも基づくデータとすることができる。例えば、ポンプからの音が徐々に大きくなっている場合は、使用開始時に比べた音の大きさの変化に基づきポンプの性能低下を示すデータとなり、急激に変化した場合等は、ポンプに異常があることを示すデータとなる。
【0071】
前記各情報やデータを、前記ポンプの累積稼働時間、前記ポンプの累積消費電力量、前記ポンプの累積吐出量等と関連付けて格納され、前記水処理管理システムに送られるよう構成されているとより好ましい。
水処理管理システムでは、前記情報供給手段が、これら情報やデータに基づき、当該ポンプの性能低下や予測寿命について判断を行い、当該性能低下や予測寿命に関する情報を前記家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータに送信する。
【0072】
これにより、ユーザは、ポンプが壊れて動かくなくなる前に交換ポンプを準備することが可能になり、ユーザの利便性が向上する。
なお、前記情報供給手段は、前記ポンプに関する情報やデータの他に、水タイプ推定手段の推定結果、前記使用中フィルタの性能変化に関する情報等の前記各種情報も用いて前記性能低下や予測寿命に関する情報の作成を行うことが可能である。
【0073】
また、ポンプの運転状況に関する情報の検出は、当該ポンプが交換される迄、又は、壊れるまで行われるので、その直前のデータに交換又は壊れるに至る兆候があらわれているか否かを解析することも可能となる。
【0074】
また、ポンプの運転状況に関する情報は、複数の家庭用水処理装置から受信する。このため、様々な種類のポンプについて前記情報が集まり、同一のポンプであったとしても水を送るフィルタユニットの構成が異なっている場合等についても情報が集まる。このため、これらに基づき、ポンプの種類ごとに交換やポンプの破損に至る前兆についての基準を作成し、メモリ装置に格納することができる。そして、前記情報供給手段により、ある家庭用水処理装置からそのポンプの運転状況に関する情報や状態に関するデータを受けとると、前記基準を参照して前兆の有無を判断し、その結果を当該家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータに送信する。
【0075】
また、前記運転状況に関する情報の検出を行う際に、ポンプから出た水が何れのフィルタも通らないようにバルブユニットを制御することも可能である。このようにすると、フィルタの目詰まり等の影響を受けずに運転状況に関する情報を検出できるようになり、制度を上げる上で有利である。
【0076】
前記第7~第19の態様において、より具体的には、前記少なくとも1種類のフィルタは2つ以上のフィルタを有することにより使用中のフィルタユニットを構成しており、前記使用中フィルタ情報の前記性能変化に関する情報、前記種類特定情報、および前記機能特定情報を、前記使用中フィルタユニット全体に関する前記性能変化に関する情報、前記種類特定情報(使用中フィルタユニット種類特定情報)、前記機能特定情報(使用中フィルタユニット機能特定情報)とすることも可能である。
【0077】
さらに、前記複数種類の基準処理前水の各々に対する前記使用中フィルタと同一又は同種のフィルタの前記性能低下基準情報を、前記複数種類の基準処理前水の各々に対する前記使用中フィルタユニットと同一又は同種のフィルタユニットの前記性能低下基準情報(使用中フィルタユニット性能低下基準情報)とし、前記各水供給場所の処理前水に関する前記使用中のフィルタと同一又は同種のフィルタの前記性能低下基準情報を、前記各水供給場所の処理前水に関する前記使用中フィルタユニットと同一又は同種のフィルタユニットの前記性能低下基準情報(使用中フィルタユニット性能低下基準情報)とすることも可能である。
【0078】
また、複数種類の基準処理前水の各々に対する使用中フィルタと同一又は同種のフィルタによる処理後水品質基準情報を、前記複数種類の基準処理前水の各々に対する使用中フィルタユニットと同一又は同種のフィルタユニットによる処理後水品質基準情報(使用中フィルタユニット処理後水品質基準情報)とし、各水供給場所の処理前水に対する前記使用中のフィルタと同一又は同種のフィルタによる処理後水品質基準情報を、前記各水供給場所の処理前水に対する前記使用中のフィルタユニットと同一又は同種のフィルタユニットによる処理後水品質基準情報(使用中フィルタユニット処理後水品質基準情報)とすることも可能である。
【0079】
また、前記使用中フィルタ評価比較情報を、前記使用中フィルタユニット全体に関する前記使用中フィルタ評価比較情報(使用中フィルタユニット評価比較情報)とし、前記通過後水の質に関する情報を前記使用中フィルタユニット全体に関する前記通過後水の質に関する情報とすることも可能である。
このようにフィルタユニットに対して各種情報を受信し又は格納していることにより、家庭用水処理装置又はユーザのコンピュータに対して、フィルタユニットの全体構成を考慮した情報が提供されることになり、利便性が更に向上する。
【0080】
さらに、前記第7~第19の態様において、より具体的には、前記交換フィルタの前記種類特定情報および前記機能特定情報を、前記使用中フィルタユニットと交換可能な交換フィルタユニット全体に関する前記種類特定情報(交換フィルタユニット種類特定情報)、前記機能特定情報(交換フィルタユニット機能特定情報)とすることも可能である。
【0081】
また、前記複数種類の基準処理前水の各々に対する前記交換フィルタの前記性能低下基準情報を、前記複数種類の基準処理前水の各々に対する前記交換フィルタユニットの前記性能低下基準情報(交換フィルタユニット性能低下基準情報)とし、前記各水供給場所の処理前水に関する前記交換フィルタの前記性能低下基準情報を、前記各水供給場所の処理前水に関する前記交換フィルタユニットの前記性能低下基準情報(交換フィルタユニット性能低下基準情報)とすることも可能である。
【0082】
また、複数種類の基準処理前水の各々に対する交換フィルタによる処理後水品質基準情報を、前記複数種類の基準処理前水の各々に対する交換フィルタユニットによる処理後水品質基準情報(交換フィルタユニット処理後水品質基準情報)とし、各水供給場所の処理前水に対する前記交換フィルタによる処理後水品質基準情報を、前記各水供給場所の処理前水に対する前記交換フィルタユニットによる処理後水品質基準情報(交換フィルタユニット処理後水品質基準情報)とすることも可能である。
【0083】
また、前記交換フィルタ評価比較情報を、前記交換フィルタユニット全体に関する前記交換フィルタ評価比較情報(交換フィルタユニット評価比較情報)とすることも可能である。
このように交換フィルタユニットに対して各種情報を受信し又は格納していることにより、家庭用水処理装置又はユーザのコンピュータに対して、フィルタユニットの全体構成を考慮した情報が提供されることになり、利便性が更に向上する。
この時に、現在使用中のフィルタユニットと異なる個数のフィルタを有する交換フィルタユニットの情報や、フィルタ以外にバルブユニットや中間タンク等を含む交換フィルタユニットの情報を提供することも可能である。
【0084】
例えば、使用中フィルタユニットが、処理前水中の所定の大きさ又は所定の長さ以上の異物(ここでは水以外のものを意味する)を水から除去する第1のフィルタと、第1のフィルタで処理した後の水からより細かな異物や分子を取り除く第2のフィルタとを有するものである場合に、交換フィルタユニット情報として、前記第1のフィルタと、前記第2のフィルタと、前記第1のフィルタを通過した水が貯蔵される中間タンクとを有する交換フィルタユニットについて上記情報を提供することも可能である。
【0085】
第2のフィルタは第1のフィルタに比べて水処理速度が遅い傾向があるため、前記中間タンクが存在することにより、第1のフィルタによる処理速度と第2のフィルタによる処理速度を異ならせることが可能となる。これにより、第2のフィルタの処理速度を第1のフィルタの処理速度に拘泥されずに適切な速度に設定することが可能となり、第2のフィルタによる処理後水の質の向上や第2のフィルタの性能低下を遅くすることが可能となる。なお、前記交換フィルタユニットが前記中間タンク内の水を前記第2のフィルタに通過させるための第2フィルタ用ポンプを備えるものであっても良い。
【0086】
また、交換フィルタユニット情報として、前記第1のフィルタと、前記第2のフィルタと、前記第1のフィルタで処理した水を使用側(シャワーノズル、蛇口等)又は使用側貯蔵タンク(シャワーノズル、蛇口等に水を供給するタンク)に流す第1の流路と、前記中間タンクに流す第2の流路と、前記第1のフィルタに流入する処理前水又は前記第1のフィルタを通過した水の質を検出可能な検出手段と、前記検出手段の検出結果に応じて前記第1のフィルタで処理した水の流れる先を前記第1の流路と前記第2の流路に切換える流路切替手段とを備え、前記第2のフィルタで処理した後の水も前記使用側又は前記使用側貯蔵タンクに供給されるように構成された交換フィルタユニットについて上記情報を提供することも可能である。
【0087】
これにより、例えば処理前水を電気伝導度センサで測定した結果が所定の基準値内であって処理前水の質が所定値以上であると判断される場合は、第1のフィルタで処理した水が第1の流路を介して使用側や使用側貯蔵タンクに直接流れるようになる。常に第2のフィルタが使用される訳ではなく、また、第1のフィルタは第2のフィルタより処理が速い場合が多いので、使用側に供給する水量を確保し易くなる。一方、例えば処理前水の質が一時的に所定値以下となる場合には、その間は第1のフィルタで処理した水が中間タンクに送られ、中間タンクの水が第2のフィルタにより処理されることになる。このため、処理前水の質が低下した場合でも、処理後水の質を維持することができる。
処理前水の質が一時的に変化する例として、シャワーの排水、キッチンの排水、トイレの汚水等を処理する時が考えられる。
【0088】
また、交換フィルタユニット情報として、前記第1のフィルタに対して上流側に配置されて前記処理前水から汚泥を除去する汚泥フィルタを有する交換フィルタユニットや、前記第1のフィルタに代えて前記汚泥フィルタを有する交換フィルタユニットについて上記情報を提供することも可能である。この場合、様々な汚泥フィルタを有する複数種類の交換フィルタユニットについて上記情報を有していると、ユーザの利便性が更に向上する。
【0089】
さらに、交換フィルタユニット情報として、前記第1のフィルタに対して上流側に配置されて前記処理前水を生物によって処理する生物フィルタを有する交換フィルタユニットや、前記第1のフィルタに代えて前記生物フィルタを有する交換フィルタユニットについて上記情報を提供することも可能である。この場合、様々な汚泥フィルタを有する複数種類の交換フィルタユニットについて上記情報を有していると、ユーザの利便性が更に向上する。
【0090】
前記各態様において、当該水処理装置管理システムで管理する少なくとも1つの家庭用水処理装置が、第1のフィルタと、第1のフィルタと異なる種類の第2のフィルタと、第1のフィルタのみに前記処理前水を流通させて前記処理後水を生成する第1の流通状態と、前記第1のフィルタを通過した処理前水を前記第2のフィルタも通過させて前記処理後水を生成する第2の流通状態とに流通状態を切換えるバルブユニットとを少なくとも備えたフィルタユニットと、該フィルタユニットに処理前水を流通させるポンプとを備え、当該水処理装置管理システムは、前記第1および第2のフィルタの各々についての前記使用中フィルタ種類特定情報および前記使用中フィルタ機能特定情報のうち少なくとも1つ、前記第1の流通状態における処理流量情報、前記第2の流通状態における処理流量情報、およびポンプの運転状態情報とを少なくとも用いて、他の家庭用水処理装置で用いられる前記交換フィルタ情報を作成する交換フィルタ情報作成手段をさらに備えている。交換フィルタ情報作成手段が、前記使用中フィルタについて前記推定された水タイプの情報および前記使用中フィルタの性能変化に関する情報を少なくとも蓄積し、当該蓄積情報を用いて他の家庭用水処理装置でも用いられる前記交換フィルタ情報を作成するように構成してもよい。当然に、前記使用中フィルタユニットの性能変化に関する情報および前記推定された水タイプの情報を少なくとも蓄積し、当該蓄積情報を用いて他の家庭用水処理装置でも用いられる交換フィルタユニットの情報を作成するように構成してもよい。使われ方、ポンプの運転状況等と対応させて時系列に当該情報の蓄積を行うことが好ましい。
【0091】
なお、第1のフィルタ11と第2のフィルタ12はからなずしも種類を異ならせる必要はない。例えば、第1のフィルタ11と第2のフィルタ12が同一のフィルタ又は同種のフィルタであっても、前記バルブユニットを用いて第1のフィルタ11のみを通過させる第1の流通状態、第1のフィルタ11を通過した後に第2のフィルタ12を通過する第2の流通状態、第1のフィルタ11と第2のフィルタ12に並列で処理前水を流す第3の流通状態等に切換えると、各流通状態における処理能力(処理速度)、その際のポンプの出力等を変更することができ、ポンプの出力低減や、それによる省電力化や、第2フィルタ12の温存等も可能になる。フィルタは種類によっては一度使用すると最近の繁殖等によりその後使用しなくても性能が低下する場合があるが、例えば第2フィルタ12を極力温存することにより、フィルタユニットのメンテナンスタイミングを遅らせることが可能となる。
【0092】
当該態様では、家庭用水処理装置で用いられる交換フィルタ情報が、実際に使用されている他の家庭用水処理装置の運転状況に基づき作成されるので、管理している家庭用水処理装置が多くなればなる程、交換フィルタ情報の種類、質が向上し、ユーザの利便性をさらに向上することが可能となる。
【0093】
前記第7~第19の態様の水処理管理システムが、水処理の成功や失敗の原因を後で解析するために、従来から水処理とは直接関係が無いと考えられている環境センサ(各家庭用水処理装置が有するGPS、各家庭用水処理装置内や外の音を検出する音センサ、各家庭用水処理装置外の匂いを検出する匂いセンサ、各家庭用水処理装置内や外の振動を検出する振動センサ、各家庭用水処理装置内や外の気温を検出する温度センサ等)で検出されるデータを取得し、これらデータをメモリ装置に格納しても良い。
このようにすると、これらデータと水処理の成功や失敗との関係や、これらデータと各フィルタやフィルタユニットの機能や耐久性の関係や、これらデータとポンプの機能や耐久性の関係等を導き出し、当該導き出した関係にも基づいて前記情報供給手段が前記各情報を作成し送信することも可能となる。
【0094】
前記第7~第19の態様の水処理管理システムが、ユーザが有するコンピュータ又は家庭用水処理装置からユーザが入力するユーザ入力情報を受付け格納するように構成しても良い。当該ユーザ入力情報として、家庭用水処理装置の装置構成に関わる情報や水タイプ推定に用いられるデータをユーザが入力し、当該情報が水処理管理システムに格納されることが考えられる。例えば、水使用場所で利用する用途がシャワーであるといった情報をユーザが事前に水処理管理システムに通知することで、水タイプが時系列上どのように変化していくといった予測の精度が向上し、より最適な運転を行うことができるようになる。
【0095】
前記第8、9、10、14、15、および16の態様の水処理管理システムにおいて、前記水タイプ推定手段が前記ユーザ入力情報も用いて前記水タイプの推定を行うようにしても良い。例えば、ユーザ入力情報としてその家庭用水処理装置が処理する処理前水の性質(使用している石鹸の情報)や、処理前水の供給元(例えばシャワー室、キッチンの流し等)の情報があると、水処理管理システムは当該処理前水が短い時間の間に水質が繰り返し変化する水であるとの推定を用いつつ、例えば前記運転状態検出値である前記性能変化に関する情報に基づき、前記水タイプ推定をより的確に行うことが可能となる。
【0096】
前記ユーザが有するコンピュータ又は前記家庭用処理装置において、前記ユーザ入力情報が選択肢として提示され、ユーザが何れかの選択肢を選ぶと当該内容が前記ユーザ入力情報として水処理管理システムに送られるように構成しても良い。このようにすると、ユーザの入力の手間を省きながら、水タイプ推定の精度を向上することが可能となる。
【0097】
前記第8、9、10、11、および12の態様における「性能低下を遅延できる」に関し、当該態様の水処理管理システムが、ユーザが有するコンピュータや前記家庭用水処理装置からユーザからの要求を受付ける要求受付手段をさらに備え、前記情報供給手段が、前記ユーザからの要求に基づき、「性能低下を遅延できる」の基準を決定することも可能である。例えば、ユーザからの要求が、フィルタ通過後の水の水質がかなり悪くなっても良いが、フィルタを通過する単位時間あたりの流量を確保したいと思っている場合は、性能低下としてフィルタを通過する単位時間あたりの流量の絶対値を基準として、当該流量の絶対値を使用中フィルタよりも高く維持できる交換フィルタの情報を提供することになる。
【0098】
一方、前記第14~18の態様における「処理後水の品質を向上できる」に関しても、同様に、当該態様の水処理管理システムが、ユーザが有するコンピュータや前記家庭用水処理装置からユーザからの要求を受付ける要求受付手段をさらに備え、前記情報供給手段が、前記ユーザからの要求に基づき、「処理後水の品質を向上できる」の基準を決定することも可能である。例えば、ユーザからの要求が、フィルタ通過後の水の透明度は下がっても良いが、当該水の臭いは改善したいと思っている場合、処理後水の品質としてその臭いを基準として、臭いを使用中フィルタよりも改善することができる供給水関連情報を提供することになる。
【0099】
また、前記第19の態様における「所定のパラメータにおいて改善される」に関しても、同様に、当該態様の水処理管理システムが、ユーザが有するコンピュータや前記家庭用水処理装置からユーザからの要求を受付ける要求受付手段をさらに備え、前記情報供給手段が、前記ユーザからの要求に基づき、「所定のパラメータにおいて改善される」の基準を決定することも可能である。例えば、ユーザからの要求が、フィルタ通過後の水の透明度に関するパラメータはある低い値を要求するが、フィルタ通過後の水に含まれる石鹸量に関するパラメータはある高い値を要求する場合、当該パラメータを基準として、所定のパラメータにおいて改善される水供給場所に対応する供給水関連情報が提供されることになる。
【0100】
前記第8、9、10、11、および12の態様において、当該態様の水処理管理システムが、ユーザが有するコンピュータや前記家庭用水処理装置からユーザが持っており、且つ、使用中ではないフィルタの情報(ストックフィルタ情報)を受付けるストックフィルタ情報受付手段をさらに備え、前記情報供給手段が、前記ストックフィルタ情報も参照して、前記フィルタ交換情報を提供するように構成しても良い。
この場合、前記情報供給手段は、ストックフィルタ情報の中だけで前記フィルタ交換情報を提供しても良いし、前記ストックフィルタ情報と前記交換フィルタ情報の中から前記フィルタ交換情報を提供しても良い。
【0101】
ここで、前記各ストックフィルタ情報が、各フィルタのID情報(シリアル番号等)と紐付けされていることが好ましい。また、前記性能変化に関する情報も対応するフィルタのID情報に紐付けられていることが好ましい。このようにすると、各ストックフィルタは現状で使用されていなくても、過去に使用されていた場合に、各ストックフィルタの使用されていた時の性能変化に関する情報も考慮されたフィルタ交換情報の提供が可能になり、その精度が向上する。
【0102】
一方、ストックフィルタや使用中のフィルタが各々RFIDタグ等の情報素子を有しており、情報素子が前回使用時の前記性能変化に関する情報を格納していても良い。この場合でも、当該情報素子から読み出された情報を前記ストックフィルタ情報受付手段が受付けると、上記と同様の処理が可能となる。
【0103】
また、前記第7~第19の態様の水処理管理システムが、水処理不使用時の衛生管理情報を保持し、家庭用水処理装置に送信してもよい。例えば、家庭用水処理装置は、この情報を元に、塩素等を用いた消毒や装置内で水を定期的に循環させることで、装置の衛生状態を保つ、また、家庭用水処理装置で水が腐る等の事象が発生した場合には、その旨を管理システムに送信する。これにより、管理システムは、衛生管理の改善、改良を行っていくことができる。
【0104】
前記第7~第19の態様の水処理管理システムにおいて、使用中フィルタの情報として水温、水圧、流速、水質等の運転データを格納しており、これらにはフィルタメーカー等第三者が推奨するデータと、管理システムに蓄積したデータを元に作成したデータ、の2種類がある場合がある。管理システムに蓄積したデータを元に作成したデータには、水温、水圧、流速、水質等の様々な条件、環境での運転データを保持している。水タイプの推定は、これら二種類のデータを加味し推定を行う。例えば、管理システムに蓄積したデータが少ない、フィルタの流通し始めの場合には、フィルタメーカー等第三者が推奨するデータを重視し、管理システムに蓄積したデータが多く存在し水タイプ検知の推定確度が高く得られる場合には管理システムに蓄積したデータを元に作成したデータを重視する。
【0105】
前記第7~第19の態様の水処理管理システムは、家庭用水処理装置の運転状態情報、フィルタの性能変化情報、およびセンサの取得情報のうち1つ以上を受信し、外部の第三者に対して提供してもよい。前記運転状態情報には、稼働時期、稼働時間時間に関する情報や出力した水圧、流速の情報を含み、フィルタの性能変化情報には、フィルタ前後で計測された水質、水圧変化等の性能情報を含み、センサの取得情報には、センサ値に加え、センサが計測する水圧、流速等の環境情報を含んでいる。例えば、これらのデータを取得し、異常値等を取り除くフィルタリング処理を行った後に、メーカ側にデータ提供を行うことで実環境での使用方法とその効果を検証することができ、部材の開発を非常に有利に行うことができる。
【0106】
前記第7~第19の態様の水処理管理システムが、家庭用水処理装置が有するポンプ、バルブ等の少なくとも1つの部品を、当該家庭用水処理装置の制御に優先して制御することも可能である。例えば、水処理管理システムが、家庭用水処理装置のポンプ、バルブを直接制御することで、家庭用水処理装置のユーザは装置の中身や具体的な運転方法を知ることなく、適切な処理後水を得ることが出来る。また、例えばフィルタ等の部材が消耗した場合には、水処理管理システムが検知し、必要部材が事前に届けられるように、所定のコンピュータ、表示装置、配送システム等に情報を送信するよう構成することが可能になる。また、管理システムは最新のデータに伴う運転方法の知見をもっているので、常に最新のデータによる運転が可能になったり、データ、性能変化に伴う故障検知、予測によるシステムのリモートでの停止が可能となる。
さらに、当該水処理管理システムが、複数の家庭用水処理装置を一度に制御することも可能である。例えば、ある種類のフィルタで異常が発生した場合や、災害が発生した場合に、当該フィルタを用いる家庭用水処理装置や、災害地域に配置されている水処理装置を、同じように制御することが可能である。
【0107】
前記第7~第19の態様の水処理管理システムでは、水タイプの推測等のプログラムを利用したアプリケーションの実行窓口を提供するためのアプリケーションインタフェースを、外部の第三者に対して提供してもよい。例えば、シャワーシステムにおいて、各々の土地のユーザが適切だと考える水圧に変更したアプリケーションプログラムを外部の第三者が作成することができる。
【0108】
本発明の第20の態様は、水使用場所又はその近くに配置されると共に少なくとも1種類のフィルタを用いて処理前水を処理して処理後水を前記水使用場所に供給する家庭用水処理装置であって、当該家庭用水処理装置が受付ける要求水量および要求水質や、処理前水の水質等に応じて、フィルタユニットの構成やポンプの運転を最適化するための処理を行う家庭用水処理装置である。
【0109】
当該態様では、家庭用水処理装置がフィルタユニットの構成やポンプの運転を最適化するようになっており、その最適化を要求水量、要求水質、処理前水の水質等に応じて行うようになっているので、様々な地域において使えるものである。
【0110】
本発明の第21の態様は、前記第20の態様に関連する。
当該態様に係る家庭用水処理装置は、
処理前水入口と、
該処理前水入口から入った処理前水が通過するフィルタユニットと、
該フィルタユニットに対し上流側又は下流側に配置され、前記処理前水を前記フィルタユニットに導入するポンプと、
前記フィルタユニットを通過することにより処理された処理後水が出る処理後水出口とを備え、
前記フィルタユニットが、第1のフィルタと、第2のフィルタとを有し、
前記ポンプおよび前記バルブユニットを制御する制御部をさらに備えている。
【0111】
前記態様において、前記フィルタユニットが、前記第1のフィルタのみに前記処理前水を流通させる第1の流通状態と、当該第1の流通状態と異なる経路で前記処理前水を前記フィルタユニット内で流通させる第2の流通状態とに切換え可能なバルブユニットを有していることが好ましい。
【0112】
なお、第1のフィルタ11と第2のフィルタ12は同一のフィルタ又は同種のフィルタであってもよく、異種のフィルタであっても良く、からなずしも種類を異ならせる必要はない。例えば、第1のフィルタ11と第2のフィルタ12が同一のフィルタ又は同種のフィルタであっても、前記バルブユニットを用いて第1のフィルタ11のみを通過させる第1の流通状態、第1のフィルタ11を通過した後に第2のフィルタ12を通過する第2の流通状態、第1のフィルタ11と第2のフィルタ12に並列で処理前水を流す第3の流通状態等に切換えると、各流通状態における処理能力(処理速度)、その際のポンプの出力等を変更することができ、ポンプの出力低減や、それによる省電力化や、第2フィルタ12の温存等も可能になる。フィルタは種類によっては一度使用すると最近の繁殖等によりその後使用しなくても性能が低下する場合があるが、例えば第2フィルタ12を極力温存することにより、フィルタユニットのメンテナンスタイミングを遅らせることが可能となる。
【0113】
前記態様において、好ましくは、前記第1および第2のフィルタが各々、その種類、仕様、品番、名称等の前記使用中フィルタの種類を特定する使用中フィルタ種類特定情報を格納した情報素子(RFIDタグ等)又は情報表示(二次元コード等)を有しており、前記家庭用水処理装置は、当該家庭用水処理装置に装着された前記第1および第2のフィルタの前記情報素子又は情報表示から前記使用中フィルタ種類特定情報を読み取る読取手段と、当該読取手段で読み取った前記使用中フィルタ種類特定情報が当該家庭用水処理装置に適合するか否かを判定する適合判定手段とをさらに備えている。
【0114】
このため、家庭用水処理装置が使用を意図していないフィルタが第1のフィルタとして装着された場合に、当該フィルタが適合していないことを判定できる。例えば、ユーザが自分の判断で別のフィルタを取付けた場合などにこのような判断が行われる。第1のフィルタおよび第2のフィルタはそれぞれ役割があり、フィルタユニットとしての機能や耐久性を満たすために、その種類や組合せは可能な限り最適に近いものを選ぶことが好ましい。
【0115】
また、複数のフィルタを組み合わせたフィルタユニットの機能や耐久性は、それを構成する単体のフィルタから容易に推測できるようなものではないので、経験やデータに裏付けされたフィルタユニットの組合せとすることが望ましい。当該態様では、各フィルタやフィルタユニットの機能や耐久性を良好な状態に保つ上で極めて有用である。
なお、例えば装着された第1のフィルタが前記情報素子又は情報表示を持っていない場合は、前記読取りができないため、不適合であると判定される。
【0116】
第1の流通状態と第2の流通状態に切換可能なバルブユニットを備えているので、例えば、要求処理速度が速く要求水質が低い場合は、処理前水を第1のフィルタだけ通る第1の流通状態とし、要求水質が高い場合は、処理前水を第1のフィルタと第2のフィルタの両方に流通するように変更可能であり、要求処理速度や要求品質に応じて柔軟な対応が可能となる。
【0117】
第21の態様において、前記家庭用水処理装置は、好ましくは、前記フィルタユニットの全体又は一部の性能低下に関する運転状態検出値を検出する運転状態検出手段と、検出された前記運転状態検出値又は当該運転状態検出値に基づく運転状態情報を前記家庭用水処理装置に備えられた表示装置および音声発生装置のうち少なくとも1つ、又は、外部装置に向かって出力する運転状態情報出力手段をさらに備えている。当該外部装置は例えば前記水処理装置管理システムの情報受信部や、ユーザが有するコンピュータであり、下記の外部装置も同様である。
【0118】
第21の態様において、前記家庭用水処理装置は、より好ましくは、前記フィルタユニットの全体又は一部に基準水を流す基準水流通手段をさらに備え、当該基準水流通手段は、前記フィルタユニットの全体又は一部に前記処理後水を流すように構成され、又は、前記フィルタユニットの全体又は一部に前記家庭用水処理装置の外部から供給される外部基準水を流すように構成されて、前記運転状態検出手段は前記基準水流通手段により前記フィルタユニットの全体又は一部に前記基準水が流れている状態で前記運転状態検出値を検出するように構成されている。
【0119】
基準水を流して運転状態検出値を検出するので、定量的な検出を行うことができる。また、処理後水を基準水として用いる場合は、基準水を補充することなく何度でも定量的な測定を行うことができるという利点がある。
【0120】
第21の態様において、前記家庭用水処理装置の前記運転状態検出手段は、好ましくは、前記フィルタユニットの全体又は一部の水圧、前記フィルタユニットの全体又は一部から出る水の流量、前記フィルタユニットの全体又は一部から出る水の濁り、前記フィルタユニットの全体又は一部から出る水の臭い、および前記処理前水の電気伝導度のうち1つ又はこれらの組み合わせを前記運転状態検出値として検出するものである。つまり、運転状態検出値は、どのような水質の水を使っているのか、どのような水質の水をどの程度の圧力や流量で使っているのか、どのような流量や圧力で使っているのか等を示すものである。
【0121】
第21の態様において、前記家庭用水処理装置の前記運転状態検出手段は、より好ましくは、前記運転状態検出値を検出する際に、所定の運転状態となるように前記ポンプを制御する。
所定の運転状態で運転状態検出値を検出することができ、定量的な検出を行う上で有利である。
【0122】
第21の態様において、前記家庭用水処理装置は、好ましくは、前記運転状態検出値又は前記運転状態情報を前記フィルタユニットの全部又は一部の処理水量と対応させることにより性能変化情報を作成し、作成した性能変化情報を前記家庭用水処理装置に備えられた表示装置および音声発生装置のうち少なくとも1つ、又は、外部装置に向かって出力する性能変化情報出力手段をさらに備えている。
【0123】
第21の態様において、好ましくは、前記家庭用水処理装置はそのメモリ装置に、使用中フィルタ情報として、複数種類の基準処理前水の各々に対し、前記使用されているフィルタユニットの全体又は一部が当該フィルタユニットの全部又は一部の処理水量に応じてどのように低下するかを示す使用中フィルタ性能低下基準情報を使用中フィルタ情報として格納しており、前記使用中フィルタ性能低下基準情報および/又は性能変化に関する情報(前記運転状態検出値、前記運転状態情報、又は前記前記性能変化情報)とに少なくとも基づき前記処理前水の水タイプを推定する水タイプ推定手段をさらに備えている。
【0124】
第21の態様において、水タイプ推定手段の別の例は、前記運転状態検出値として検出する前記フィルタユニットの全体又は一部の水圧、前記フィルタユニットの全体又は一部から出る水の流量、前記フィルタユニットの全体又は一部から出る水の濁り、前記フィルタユニットの全体又は一部から出る水の臭い、および前記処理前水の電気伝導度のうち1つ又はこれらの組み合わせにも基づいて前記水タイプの推定を行うように構成されている。
【0125】
第21の態様において、水タイプ推定手段のさらに別の例として、メモリ装置に、使用中フィルタ情報として、フィルタの種類、仕様、品番、名称等の前記フィルタユニットの全体又は一部の種類を特定する使用中フィルタ種類特定情報および前記フィルタユニットの全体又は一部の機能や性能等を示す使用中フィルタ機能特定情報のうち少なくとも1つを格納しており、前記性能変化に関する情報および/又は前記使用中フィルタ情報に基づき前記処理前水の水タイプを推定する水タイプ推定手段を備える。
【0126】
第21の態様において、前記第2のフィルタは、例えば逆浸透膜(RO膜)等を用いて前記処理後水を作り出すフィルタであり、前記第1のフィルタは前記第2のフィルタよりも粗い異物(ここでは水以外のものを指す)を前記第1のフィルタに流入する水から除去するフィルタであり、前記第1のフィルタは前記第2のフィルタに流入する水を濾過するために用いられるものであり、前記基準水流通手段は、前記ポンプにより前記フィルタユニット内を流れる水が前記第1のフィルタを通らずに前記第2のフィルタのみ通るように前記バルブユニットを制御した状態で前記フィルタユニットに前記基準水を供給するように構成されている。
【0127】
第21の態様において、前記第2のフィルタは、例えば逆浸透膜(RO膜)等を用いて前記処理後水を作り出すフィルタであり、前記第1のフィルタは前記第2のフィルタよりも粗い異物(ここでは水以外のものを指す)を前記第1のフィルタに流入する水から除去するフィルタであり、前記第1のフィルタは前記第2のフィルタに流入する水を濾過するために用いられるものであり、前記基準水流通手段は、前記ポンプにより前記フィルタユニット内を流れる水が前記第1のフィルタを通った後に前記第2のフィルタを通るように前記バルブユニットを制御した状態で前記フィルタユニットに前記基準水が所定時間又は所定流量だけ供給した後に、前記ポンプにより前記フィルタユニット内を流れる水が前記第1のフィルタを通らずに前記第2のフィルタのみ通るように前記バルブユニットを制御した状態で前記フィルタユニットに前記基準水を供給するように構成されている。
【0128】
第2のフィルタのみに基準水が流れる状態を作り出すので、ポンプからの水が全て第2のフィルタに流れることになり、第2のフィルタの性能を定量的に検出する上で有利である。また、第2のフィルタのみに基準水を流す前に、所定時間だけ第1のフィルタを流通した水が第2のフィルタに流通する状態とするので、フィルタユニットの前やフィルタユニット内に第1のフィルタで処理すべき処理前水が残留している場合でも、当該残留水が直接入り込むことによる第2のフィルタの性能低下を防止することができる。
【0129】
第21の態様において、好ましくは、前記家庭用水処理装置はそのメモリ装置に、交換フィルタ情報として、複数種類の基準処理前水の各々に対し、前記使用中フィルタユニットの全体又は一部に代用できる少なくとも1つの交換フィルタがその処理水量に応じてどのように低下するかを示す交換フィルタ性能低下基準情報を格納しており、前記使用中フィルタユニット性能低下基準情報と前記交換フィルタ性能低下基準情報とを少なくとも参照し、又は、前記性能変化に関する情報と前記交換フィルタ性能低下基準情報とを少なくとも参照し、前記水タイプ推定手段で推定した前記水タイプに対して前記使用中フィルタユニットの全体又は一部よりも性能低下を遅延できる交換フィルタがある場合、当該フィルタに関する情報を含むフィルタ交換情報を前記家庭用水処理装置に備えられた表示装置および音声発生装置のうち少なくとも1つ、又は、外部装置に向かって出力する情報出力手段をさらに備えている。
【0130】
第21の態様において、好ましくは、前記家庭用水処理装置はそのメモリ装置に、使用中フィルタ情報として、フィルタの種類、仕様、品番、名称等の前記フィルタユニットの全体又は一部の種類を特定する使用中フィルタ種類特定情報および前記フィルタユニットの全体又は一部の機能や性能等を示す使用中フィルタ機能特定情報のうち少なくとも1つを格納していると共に、交換フィルタ情報として、複数種類の基準処理前水の各々に対し、前記使用中フィルタユニットの全体又は一部に代用できる少なくとも1つの交換フィルタがその処理水量に応じてどのように低下するかを示す交換フィルタ性能低下基準情報を格納しており、前記使用中フィルタ種類特定情報および前記使用中フィルタ機能特定情報の何れか又は両方と、前記交換フィルタの性能低下基準情報を参照し、又は、前記性能変化に関する情報および前記交換フィルタの性能低下基準情報を参照し、前記水タイプ推定手段で推定した前記水タイプに対して前記使用中フィルタユニットの全体又は一部よりも性能低下を遅延できる交換フィルタがある場合、当該フィルタに関する情報を含むフィルタ交換情報を前記家庭用水処理装置に備えられた表示装置および音声発生装置のうち少なくとも1つ、又は、外部装置に向かって出力する情報出力手段をさらに備えている。
【0131】
第21の態様において、好ましくは、前記家庭用水処理装置は、前記水タイプ推定手段の推定結果に基づきポンプおよび前記フィルタユニットに含まれるバルブのうち少なくとも1つを制御する構成要素制御手段を備えている。
例えば、前記運転状態検出値として処理前水の電気伝導度を検出しており、当該検出値に基づき水タイプ推定手段がリアルタイムで水タイプ推定を行っている場合であって、当該処理前水がシャワー室の排水であって石鹸やシャンプーの濃度が時間と共に変化する場合は、当該濃度の変化に応じてポンプの出力を変更することや、当該濃度の変化に応じてバルブを切換えて処理前水が通過するフィルタの組合せを変更することが可能となる。
【0132】
第21の態様において、好ましくは、前記家庭用水処理装置はそのメモリ装置に、処理前水を供給できる少なくとも1つの水供給場所の情報を有し、当該水供給場所の情報は各水供給場所の処理前水について、前記使用されているフィルタユニットの全体又は一部が当該フィルタユニットの全部又は一部の処理水量に応じてどのように低下するかを示す使用中フィルタ性能低下基準情報を有しており、前記水供給場所情報を参照し、前記性能変化に関する情報に基づき推定される現在の処理前水に対する前記フィルタユニットの全体又は一部の性能低下速度よりも性能低下を遅延できる処理前水がある場合、当該フィルタに関する情報を含む供給水関連情報を前記家庭用水処理装置に備えられた表示装置および音声発生装置のうち少なくとも1つ、又は、外部装置に向かって出力する情報出力手段をさらに備えている。
【0133】
第21の態様において、好ましくは、前記家庭用水処理装置はそのメモリ装置に、処理前水を供給できる少なくとも1つの水供給場所の情報を有し、当該水供給場所の情報はフィルタの種類、仕様、品番、名称等の前記フィルタユニットの全体又は一部の種類を特定する使用中フィルタ種類特定情報および前記フィルタユニットの全体又は一部の機能や性能等を示す使用中フィルタ機能特定情報のうち少なくとも1つと、各水処理場所の処理前水に対する評価値とを対応させた使用中フィルタ評価比較情報を含み、前記水供給場所情報および前記性能変化に関する情報を参照し、前記性能変化に関する情報に基づき推定される現在の処理前水に対する前記フィルタユニットの全体又は一部の性能低下速度よりも性能低下を遅延できる処理前水がある場合、当該フィルタに関する情報を含む供給水関連情報を前記家庭用水処理装置に備えられた表示装置および音声発生装置のうち少なくとも1つ、又は、外部装置に向かって出力する情報出力手段をさらに備えている。
【0134】
第21の態様において、好ましくは、前記家庭用水処理装置はそのメモリ装置に、処理前水を供給できる少なくとも1つの水供給場所の情報を有し、当該水供給場所の情報は、フィルタの種類、仕様、品番、名称等の前記フィルタユニットの全体又は一部の種類を特定する使用中フィルタ種類特定情報および前記フィルタユニットの全体又は一部の機能や性能等を示す使用中フィルタ機能特定情報のうち少なくとも1つと、各水処理場所の処理前水に対する評価値とを対応させた使用中フィルタ評価比較情報と、フィルタの種類、仕様、品番、名称等の前記フィルタユニットと交換可能な交換フィルタユニットの全体又は一部の種類を特定する交換フィルタ種類特定情報および当該交換フィルタユニットの全体又は一部の機能や性能等を示す交換フィルタ機能特定情報のうち少なくとも1つと、各水処理場所の処理前水に対する評価値とを対応させた交換フィルタ評価比較情報とを含み、前記水供給場所情報の使用中フィルタ評価比較情報および交換フィルタ評価比較情報を参照し、水供給場所と、前記交換フィルタ又は前記使用中フィルタとの組合せのうち所定の基準を満たす組合せがある場合、当該組合せに関する情報を供給水関連情報として前記家庭用水処理装置に備えられた表示装置および音声発生装置のうち少なくとも1つ、又は、外部装置に向かって出力する情報出力手段をさらに備えている。
【0135】
第21の態様において、当該家庭用水処理装置が、好ましくは、ユーザからの要求を受付ける要求受付手段をさらに備え、前記ユーザからの要求に基づき前記所定の基準を決定するように構成されている。
例えば、ユーザから水質を若干低下しても水処理速度を向上したいという要求があり、当該要求を満たす水供給場所と使用中フィルタの組合せ又は水供給場所と交換フィルタの組合せがある場合、当該組合せが出力される。
出力される組合せは1つである必要は無く、水供給場所1と使用中フィルタの組合せ、水供給場所1と交換フィルタ1の組合せ、水供給場所2と交換フィルタ2の組合せの3つの組合せを送信することもできる。
【0136】
前記態様において、ユーザからの要求に関連する評価用情報を付随させることも可能である。この場合、ユーザは評価用情報を比較して選択を行うことが可能となる。
評価用情報としては、各組合せにより得られる処理速度、処理後水の品質の予測データ、フィルタの性能低下速度等の機能に関する情報や、交換費用に関する情報を含めることができる。
【0137】
第21の態様において、好ましくは、前記家庭用水処理装置はそのメモリ装置に、使用中フィルタ情報として複数種類の基準処理前水の各々に対する前記使用中フィルタユニットの全部又は一部による処理後水品質基準情報を含むと共に、交換フィルタ情報として前記複数種類の基準処理前水の各々に対する、前記使用中フィルタユニットに代替可能な交換フィルタユニットの全部又は一部による処理後水品質基準情報を含み、前記使用中フィルタ情報および前記交換フィルタ情報を参照し、又は、前記性能変化に関する情報および前記交換フィルタ情報を参照し、前記水タイプ推定手段で推定した前記水タイプに対して前記使用中フィルタユニットの全体又は一部よりも処理後水の品質を向上できる交換フィルタユニットの全体又は一部がある場合、当該フィルタに関する情報を含むフィルタ交換情報を前記家庭用水処理装置に備えられた表示装置および音声発生装置のうち少なくとも1つ、又は、外部装置に向かって出力する情報出力手段をさらに備えている。
【0138】
第21の態様において、好ましくは、前記家庭用水処理装置はそのメモリ装置に、使用中フィルタ情報としてフィルタの種類、仕様、品番、名称等の前記使用中フィルタユニットの全部又は一部の種類を特定する使用中フィルタ種類特定情報および前記使用中フィルタユニットの全部又は一部の機能や性能等を示す使用中フィルタ機能特定情報のうち少なくとも1つを含むと共に、交換フィルタ情報として複数種類の基準処理前水の各々に対する交換フィルタユニットの全部又は一部による処理後水の質予測データである処理後水品質基準情報を含み、前記使用中フィルタ種類特定情報および前記使用中フィルタ機能特定情報の何れか又は両方と、前記交換フィルタユニットの処理後水品質基準情報を参照し、又は、前記性能変化に関する情報および前記交換フィルタユニットの処理後水品質基準情報を参照し、前記水タイプ推定手段で推定した前記水タイプに対して前記使用中フィルタユニットの全体又は一部よりも処理後水の品質を向上できる交換フィルタユニットの全体又は一部がある場合、当該フィルタに関する情報を含むフィルタ交換情報を前記家庭用水処理装置に備えられた表示装置および音声発生装置のうち少なくとも1つ、又は、外部装置に向かって出力する情報出力手段をさらに備えている。
【0139】
第21の態様において、好ましくは、前記家庭用水処理装置はそのメモリ装置に、交換フィルタ情報として複数種類の基準処理前水の各々に対する、前記使用中フィルタユニットに代替可能な交換フィルタユニットの全部又は一部による処理後水品質基準情報を含み、前記交換フィルタユニットの処理後水品質基準情報を参照し、前記水タイプ推定手段で推定した前記水タイプに対して前記使用中フィルタユニットの全体又は一部よりも処理後水の品質を向上できる交換フィルタユニットの全体又は一部がある場合、当該フィルタに関する情報を含むフィルタ交換情報を前記家庭用水処理装置に備えられた表示装置および音声発生装置のうち少なくとも1つ、又は、外部装置に向かって出力する情報出力手段をさらに備えている。
【0140】
第21の態様において、好ましくは、前記家庭用水処理装置はそのメモリ装置に、処理前水を供給できる少なくとも1つの水供給場所の情報を有し、当該水供給場所の情報は、各水供給場所の処理前水に対する前記使用中フィルタユニットの全部又一部による処理水の質予測データである処理後水品質基準情報を含み、前記処理後水品質基準情報を参照し、前記使用中フィルタユニットの全部又は一部により前記処理前水を処理した後の水質より処理後水の品質を向上できる処理前水がある場合、当該処理前水に対応する供給水関連情報を前記家庭用水処理装置に備えられた表示装置および音声発生装置のうち少なくとも1つ、又は、外部装置に向かって出力する情報出力手段をさらに備えている。
【0141】
第21の態様において、好ましくは、前記家庭用水処理装置はそのメモリ装置に、処理前水を供給できる少なくとも1つの水供給場所の情報を有し、当該水供給場所の情報は、フィルタの種類、仕様、品番、名称等の前記フィルタユニットの全体又は一部の種類を特定する使用中フィルタ種類特定情報および前記フィルタユニットの全体又は一部の機能や性能等を示す使用中フィルタ機能特定情報のうち少なくとも1つと、各水処理場所の処理前水に対する評価値とを対応させた使用中フィルタ評価比較情報を含み、前記水供給場所情報および前記性能変化に関する情報を参照し、前記使用中フィルタユニットの全部又は一部により前記処理前水を処理した後の水質より処理後水の品質を向上できる処理前水がある場合、当該処理前水に対応する供給水関連情報を前記家庭用水処理装置に備えられた表示装置および音声発生装置のうち少なくとも1つ、又は、外部装置に向かって出力する情報出力手段をさらに備えている。
【0142】
第21の態様において、好ましくは、前記家庭用水処理装置は、そのメモリ装置に処理前水を供給できる少なくとも1つの水供給場所の情報を有し、前記使用中フィルタの通過後水の質に関する情報を検出する検出手段を備え、前記水供給場所の情報は各水供給場所の処理前水に対する前記使用中フィルタユニットの全部又一部による処理水の質予測データである処理後水品質基準情報を含み、前記水供給場所情報および前記通過後水の質に関する情報を参照し、前記使用中フィルタユニットを通過した後の水質が前記通過後水の質より所定のパラメータにおいて改善される前記水供給場所がある場合、当該水供給場所に対応する供給水関連情報を前記家庭用水処理装置に備えられた表示装置および音声発生装置のうち少なくとも1つ、又は、外部装置に向かって出力する情報出力手段をさらに備えている。
【0143】
前記第21の態様の家庭用水処理装置が、ユーザが有するコンピュータ、当該家庭用水処理装置の入力部等からユーザが入力するユーザ入力情報を受付け格納するように構成しても良い。当該ユーザ入力情報として、当該家庭用水処理装置の装置構成に関わる情報や水タイプ推定に用いられるデータをユーザが入力し、当該情報がその家庭用水処理装置に格納されることが考えられる。例えば、水使用場所で利用する用途がシャワーであるといった情報をユーザが事前に家庭用水処理装置に通知することで、水タイプが時系列上どのように変化していくといった予測の精度が向上し、より最適な運転を行うことができるようになる。
【0144】
前記第21の態様の家庭用水処理装置において、前記水タイプ推定手段が前記ユーザ入力情報も用いて前記水タイプの推定を行うようにしても良い。
前記ユーザが有するコンピュータ又は当該家庭用処理装置の表示部や入力部において、前記ユーザ入力情報が選択肢として提示され、ユーザが何れかの選択肢を選ぶと当該内容が前記ユーザ入力情報として当該家庭用水処理装置に格納されるように構成しても良い。このようにすると、ユーザの入力の手間を省きながら、水タイプ推定の精度を向上することが可能となる。
【0145】
前記第21の態様における「性能低下を遅延できる」に関し、当該態様の家庭用水処理装置が、ユーザが有するコンピュータや当該家庭用水処理装置の入力部からユーザからの要求を受付ける要求受付手段をさらに備え、前記ユーザからの要求に基づき、「性能低下を遅延できる」の基準を決定することも可能である。
【0146】
一方、前記第21の態様における「処理後水の品質を向上できる」に関しても、同様に、当該態様の家庭用水処理装置が、ユーザが有するコンピュータや当該家庭用水処理装置の入力部からユーザからの要求を受付ける要求受付手段をさらに備え、前記ユーザからの要求に基づき、「処理後水の品質を向上できる」の基準を決定することも可能である。
【0147】
また、前記第21の態様における「所定のパラメータにおいて改善される」に関しても、同様に、当該態様の家庭用水処理装置が、ユーザが有するコンピュータや当該家庭用水処理装置の入力部からユーザからの要求を受付ける要求受付手段をさらに備え、前記ユーザからの要求に基づき、「所定のパラメータにおいて改善される」の基準を決定することも可能である。
【0148】
前記第21の態様において、当該態様の家庭用水処理装置が、ユーザが有するコンピュータや当該家庭用水処理装置の入力部からユーザが持っており、且つ、使用中ではないフィルタの情報(ストックフィルタ情報)を受付けるストックフィルタ情報受付手段をさらに備え、前記ストックフィルタ情報も参照して、前記フィルタ交換情報を提供するように構成しても良い。
【0149】
ここで、前記各ストックフィルタ情報が、各フィルタのID情報(シリアル番号等)と紐付けされていることが好ましい。また、前記性能変化に関する情報も対応するフィルタのID情報に紐付けられていることが好ましい。このようにすると、各ストックフィルタは現状で使用されていなくても、過去に使用されていた場合に、各ストックフィルタの使用されていた時の性能変化に関する情報も考慮されたフィルタ交換情報の提供が可能になり、その精度が向上する。
【0150】
一方、ストックフィルタや使用中のフィルタが各々RFIDタグ等の情報素子を有しており、情報素子が前回使用時の前記性能変化に関する情報を格納していても良い。この場合でも、当該情報素子から読み出された情報を前記ストックフィルタ情報受付手段が受付けると、上記と同様の処理が可能となる。
【0151】
前記第21の態様において、一例では、前記使用中フィルタ情報としての各情報、前記交換フィルタ情報としての各情報、前記水タイプの推定結果、および前記水供給場所の情報としての各情報のうち一部又は全部を態様1~13の水処理装置管理システムから受信しメモリ装置に格納するように構成されている。
【0152】
様々な有用な情報を多く有する水処理装置管理システムから当該情報が家庭用水処理装置に送信され、格納されるので、水処理装置管理システムとの通信ができない環境であっても、水処理装置管理システムから情報を受取る場合と同様にユーザの利便性を向上することができる。
【0153】
前記第21の態様において、現在使用中のフィルタユニットと異なる個数のフィルタを有する交換フィルタユニットについての交換フィルタ情報や、フィルタ以外にバルブユニットや中間タンク等を含む交換フィルタユニットについての交換フィルタ情報をメモリ装置が格納しており、当該交換フィルタ情報に基づく上記情報の出力を行うように構成することも可能である。
【0154】
例えば、使用中フィルタユニットが、処理前水中の所定の大きさ又は所定の長さ以上の異物(ここでは水以外のものを意味する)を水から除去する第1のフィルタと、第1のフィルタで処理した後の水からより細かな異物や分子を取り除く第2のフィルタとを有するものである場合に、交換フィルタ情報として、前記第1のフィルタと、前記第2のフィルタと、前記第1のフィルタを通過した水が貯蔵される中間タンクとを有する交換フィルタについて上記情報を提供することも可能である。
【0155】
第2のフィルタは第1のフィルタに比べて水処理速度が遅い傾向があるため、前記中間タンクが存在することにより、第1のフィルタによる処理速度と第2のフィルタによる処理速度を異ならせることが可能となる。これにより、第2のフィルタの処理速度を第1のフィルタの処理速度に拘泥されずに適切な速度に設定することが可能となり、第2のフィルタによる処理後水の質の向上や第2のフィルタの性能低下を遅くすることが可能となる。なお、前記交換フィルタユニットが前記中間タンク内の水を前記第2のフィルタに通過させるための第2フィルタ用ポンプを備えるものであっても良い。
【0156】
また、交換フィルタ情報として、前記第1のフィルタと、前記第2のフィルタと、前記第1のフィルタで処理した水を使用側(シャワーノズル、蛇口等)又は使用側貯蔵タンク(シャワーノズル、蛇口等に水を供給するタンク)に流す第1の流路と、前記中間タンクに流す第2の流路と、前記第1のフィルタに流入する処理前水又は前記第1のフィルタを通過した水の質を検出可能な検出手段と、前記検出手段の検出結果に応じて前記第1のフィルタで処理した水の流れる先を前記第1の流路と前記第2の流路に切換える流路切替手段とを備え、前記第2のフィルタで処理した後の水も前記使用側又は前記使用側貯蔵タンクに供給されるように構成された交換フィルタユニットについて上記情報を提供することも可能である。
【0157】
これにより、例えば処理前水を電気伝導度センサで測定した結果が所定の基準値内であって処理前水の質が所定値以上であると判断される場合は、第1のフィルタで処理した水が第1の流路を介して使用側や使用側貯蔵タンクに直接流れるようになる。常に第2のフィルタが使用される訳ではなく、また、第1のフィルタは第2のフィルタより処理が速い場合が多いので、使用側に供給する水量を確保し易くなる。一方、例えば処理前水の質が一時的に所定値以下となる場合には、その間は第1のフィルタで処理した水が中間タンクに送られ、中間タンクの水が第2のフィルタにより処理されることになる。このため、処理前水の質が低下した場合でも、処理後水の質を維持することができる。
処理前水の質が一時的に変化する例として、シャワーの排水、キッチンの排水、トイレの汚水等を処理する時が考えられる。
【0158】
また、交換フィルタ情報として、前記第1のフィルタに対して上流側に配置されて前記処理前水から汚泥を除去する汚泥フィルタを有する交換フィルタユニットや、前記第1のフィルタに代えて前記汚泥フィルタを有する交換フィルタユニットについて上記情報を提供することも可能である。この場合、様々な汚泥フィルタを有する複数種類の交換フィルタユニットについて上記情報を有していると、ユーザの利便性が更に向上する。
【0159】
さらに、交換フィルタ情報として、前記第1のフィルタに対して上流側に配置されて前記処理前水を生物によって処理する生物フィルタを有する交換フィルタユニットや、前記第1のフィルタに代えて前記生物フィルタを有する交換フィルタユニットについて上記情報を提供することも可能である。この場合、様々な汚泥フィルタを有する複数種類の交換フィルタユニットについて上記情報を有していると、ユーザの利便性が更に向上する。
【0160】
また、前記第21の態様において、当該家庭用水処理装置が、1種類以上の添加物成分を収容している添加物成分収容部と、当該添加物成分収容部の添加物成分を前記処理後水に供給する添加物成分供給手段と、前記水質要求に応じて当該添加物成分供給手段を制御する添加物成分制御部とをさらに備えていても良い。例えば、ユーザによる水質要求を受付ける水質要求受付部を持つミネラル添加システムにおいては、これらにより、ユーザの好みに合わせて硬水や軟水の提供が可能になったり、ユーザの要求に応じた栄養分(ミネラル成分)を含む水の提供が可能になる。さらに、塩素、次亜塩素酸等を注入し消毒を行うことで水が腐らない保存期間を延長させることが可能である。
【0161】
また、前記第21の態様において、当該家庭用水処理装置が、ユーザによる水質要求を受付ける水質要求受付部と、1種類以上のミネラル成分を収容しているミネラル成分収容部と、当該ミネラル成分収容部のミネラル成分を前記処理後水に供給するミネラル成分供給手段と、前記水質要求に応じて当該ミネラル成分供給手段を制御するミネラル成分制御部とをさらに備えていても良い。
これにより、ユーザの好みに合わせて硬水や軟水の提供が可能になったり、ユーザの要求に応じた栄養分(ミネラル成分)を含む水の提供が可能になる。
【0162】
本発明の第22の態様は、少なくとも1種類のフィルタを用いて処理前水(シャワー排水、トイレ排水、洗濯排水、料理排水、食器洗浄廃水、洗面所の排水等の各種排水)を処理して処理後水を給水口(シャワーヘッド、蛇口等の各種給水口)に供給する水処理システムであって、
前記処理前水が前記第20の態様又は前記第21の態様の家庭用水処理装置を用いて処理され、その処理後水が前記給水口に供給されるように構成されている。
【0163】
第22の態様において、前記水処理システムは、好ましくは、ユーザが入って前記給水口からの処理後水を用いる処理後水使用本体部を有し、当該処理後水使用本体部内における例えばユーザから見える位置に、前記家庭用水処理装置により供給されている最中の処理後水の、又は、供給される予定の処理後水の質を表示又は通報する表示装置又は音声発生装置が設けられている。
これにより、ユーザは使用している水の状態を確認することができ、このため、ユーザは安心して水を使用することができる。また、ユーザ毎に好みが異なるため、ユーザが自分の望む水質を認識し、それがフィルタユニットの交換や改善の指標の一つになる。
【0164】
第22の態様において、前記水処理システムは、好ましくは、ユーザが入って前記給水口からの処理後水を用いる処理後水使用本体部を有し、当該処理後水使用本体部と前記家庭用水処理装置とが着脱自在に接続されるように構成されている。
当該態様では、当該処理後水使用本体部と前記家庭用水処理装置とが着脱自在に接続されるので、例えば家庭用水処理装置を取外して処理後水を他の用途に使用できるので、各家庭で必要になる家庭用水処理装置の数を任意に決定できるようになる。また、一時滞在先に家庭用水処理装置を持って行き、そこで家庭用水処理装置を使うことも可能となる。
【0165】
第22の態様において、当該水処理システムは、好ましくは、前記処理後水使用本体部の処理前水を前記家庭用水処理装置に送るための処理前水配管と、前記家庭用水処理装置から前記身体洗浄本体部に処理後水を送るための処理後水配管と、前記処理後水使用本体部と前記家庭用水処理装置とを接続する通信線とが収められた少なくとも1本の接続管を備え、当該接続管の一端が前記処理後水使用本体部に着脱自在に接続され、当該接続管の他端が前記家庭用水処理装置に着脱自在に接続されることにより、前記処理後水使用本体部と前記家庭用水処理装置とが着脱自在に接続されるように構成されている。
【0166】
当該態様では、1本の接続管の中に処理前水配管、処理後水配管、および通信線が含まれており、接続管の一端および他端を処理後水使用本体部と家庭用水処理装置に接続するだけで、処理後水使用本体部と家庭用水処理装置との接続を行うことができるので、ユーザの利便性を向上する上で有利である。
【0167】
さらに、前記1本の接続管の中に前記通信線と共に、又は、前記通信線の代わりに電力供給ケーブルが備えられていても良い。この場合、例えば家庭用水処理装置がバッテリーを有していれば、前述のように当該接続管の他端が家庭用水処理装置に着脱自在に接続されると、家庭用水処理装置がバッテリーからの電力が当該接続管の電力供給ケーブルを介して処理後水使用本体部に供給され、処理後水使用本体部がバッテリーを有していなくても処理後水使用本体部の照明や各種電気機器が作動するようになる。逆に、処理後水使用本体部がバッテリー等の電力供給源を有する場合は、家庭用水処理装置が有する電力を用いなくとも家庭用水処理装置が作動可能となる。
【0168】
また、処理後水使用本体部が、家庭用水処理装置の運転方法に関する情報や、前記水タイプ推定に用いられるデータを格納していても良い。例えば、ある処理後水使用本体部が砂漠地方等に配置されており、シャワー排水を処理前水として排水するものであり、他の地方と異なり処理前水に含まれる砂の量が多くなる場合は、当該特有の事情に応じて、運転方法に関する情報としてポンプの運転速度(出力)に関する情報や、前記水タイプ推定に用いられるデータとして砂の種類、含有割合を示すデータを格納している。例えば、前記水タイプ推定に用いられるデータとして、過去の排水に関するデータ(電気伝導度センサ等による水質に関する検出結果、臭いセンサによる検出結果、その時間的な推移等)を格納していても良い。
【0169】
また、処理後水使用本体部の稼働情報を格納していても良い。例えば、シャワーヘッドに流量センサ、水質センサ、加速度センサ等のセンサが設けられたシャワーヘッドを利用する場合、家庭用水処理装置または処理後水使用本体部でこれらの時系列データを格納することができる。シャワーヘッドの開発において、実環境における利用状況を知ることは、極めて有利である。
【0170】
また、処理後水使用本体部が、水温、水質に関連するセンサや、専用のポンプ等の部材を持ち、これらの推奨される部材の制御方法に関する情報や、前記水タイプ推定に用いられるデータを格納していても良い。例えば、前記処理後水使用本体部が、体重計、画像センサ、サーモグラフィ、シャワーヘッドから決まった流量、水圧を出力するための専用ポンプ等を備えたシャワーシステムにおける処理後水使用本体部の場合、これらのセンサやアクチュエータの個数、種類の情報とこれらの利用方法を、前記接続管により接続することにより家庭用水処理装置に通知すると、適切な部材選定、運転方法の選定等が可能となる。例えば、シャワーヘッド製造メーカから利用して欲しい流速、水圧の推奨値があり、家庭用水処理装置のポンプでこれらが実現出来ない場合、処理後水使用本体部に設置した専用ポンプでこの要件を満たすことが可能である。また画像センサにより、シャワーに入る度に身体のフォルムを出力、蓄積することができる。この情報をもとに、身体のフォルムの時系列の変化の確認や、他人のフォルムとの比較確認を行うことで、ユーザの健康度向上に貢献することができる。さらに、サーモグラフィにより身体の一部の冷えた部位を検知し、ユーザに通知することで、ユーザが集中的に身体の冷えた部位にお湯を当てることができ、ユーザの快適性を向上させることもできる。なお、冷えた部位を制御部に送り、シャワーヘッドが自動的に冷えた部位を集中してシャワーを浴びせる態様であってもよい。
【0171】
そして、前記接続管により接続することにより、前記格納している運転方法に関する情報や水タイプ推定に用いられるデータが前記家庭用水処理装置に送られる。または、前記接続管での接続の有無に拘わらず、処理後水使用本体部から家庭用水処理装置やユーザが有するコンピュータに無線で前記各情報が送られるように構成することも可能である。
これにより、前記家庭用水処理装置は当該処理後水使用本体部が抱える特有の状況に適合することができ、これはフィルタやポンプの機能や寿命を維持する上で極めて有利である。
【0172】
さらに言えば、処理後水使用本体部が前記水処理管理システムに前記運転方法に関する情報や前記水タイプ推定に用いられるデータを送信するように構成されていても良い。
この場合、水処理管理システムは当該情報やデータを加味して前記情報供給手段が前記各種情報を作成し送信することができるようになる。
【0173】
また、家庭用水処理装置や、ユーザの端末から、当該家庭用水処理装置の前記使用中フィルタ(フィルタユニット)の種類特定情報、機能特定情報、使用中ポンプの種類特定情報、機能特定情報等を水処理管理システムに送り、一時的な滞在場所に関する情報を送ることにより、前記処理後水使用本体部に対し前記情報供給手段からの前記各種情報を受取ることも可能である。
この場合、一時的な滞在場所に行く前に、当該場所に適合するように予め家庭用水処理装置のフィルタ、ポンプ等の構成を変更しておくことも可能となる。
【0174】
なお、前記処理後水使用本体部における前記接続管が接続される被接続部は、共通の形状や仕様であることが好ましい。つまり、当該処理後水使用本体部だけではなく、他の処理後水使用本体部の被接続部も同じ形状や仕様であることが好ましい。一方、前記処理後水使用本体部に接続される前記接続管の端の接続部も、前記共通の被接続部に適合するように構成されていることが好ましい。これにより、ユーザは水用配管と電力供給ケーブル又は通信線とが収められた前記接続線を用いて様々な処理後水使用本体部を利用するこができ、ユーザの利便性を向上することができる。
【0175】
本発明の第23の態様は、少なくとも1種類のフィルタを用いて処理前水(シャワー排水、トイレ排水、洗濯排水、料理排水、食器洗浄廃水、洗面所の排水等の各種排水)を処理して処理後水を給水口(シャワーヘッド、蛇口等の各種給水口)に供給する水処理システムであって、
ユーザが入って前記給水口からの処理後水を用いる少なくとも1つの処理後水使用部屋と、
前記各身体処理後水使用部屋の扉をロックするロック手段と、
ユーザのコンピュータや、当該水処理システムに備えられた入力装置から使用申込情報を受付け、少なくとも、当該使用申込情報に対応した時間帯に所定の処理後水使用部屋の扉のロックを解除するための解除用情報を該当するロック機構に送るロック解除情報提供手段とを有する。
【0176】
当該態様では、共用スペース等に配置された水処理システムを特定のユーザのみが使用できる環境を作ることができる。つまり、使用申込に対しコンピュータから許可が出なければ使用できないため、例えば登録していない者等が勝手に水処理システムを使うことができなくなり、登録した者だけで水処理システムを活用できることとなる。つまり、維持費について登録した者で分担することや、使用の度に課金するシステムとすることも可能である。
【0177】
第23の態様において、当該水処理システムは好ましくは、前記処理後水使用部屋が利用される度に、前記処理後水使用部屋の利用状況情報を格納する利用状況情報格納手段を有し、当該利用状況情報は、少なくとも利用時間および利用水量が利用したユーザと対応付けられたデータである。
当該態様では、ユーザ毎の利用状況を把握することができるので、利用状況に応じた傾斜課金、利用状況に関するユーザの注意喚起等を行うことが可能になる。
【0178】
第20~第23の態様の家庭用水処理装置又は水処理システムは、好ましくは、第1の質の水が流れる第1の配管と、当該第1の配管に沿って配置されて第2の質の水が流れる第2の配管と、前記第1および第2の配管をまとめて収容する管本体とを備え、前記第1および第2の配管の管壁はゴム等の伸縮可能な材料から形成されている配管部材をさらに備え、前記第1および第2の配管は内部に水が流れることにより前記管本体内で膨張するように構成されている。
【0179】
当該態様では、第1および第2の配管が管本体により1本に纏められており、第1および第2の配管に水が流れても流れなくても、管本体自体の太さや形状に変化は無いので、ユーザが配管の変更等を行う際の作業を容易化することができる。
【0180】
本発明の第24の態様は、水使用場所又はその近くに配置されると共に少なくとも1つのフィルタを有するフィルタユニットと、前記使用中フィルタに水を送るポンプとを用いて、処理前水を処理して処理後水を前記水使用場所に供給する家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムであって、
前記家庭用水処理装置に用いられている使用中フィルタユニットの情報を格納しているフィルタ情報格納部と、
前記フィルタ情報格納部に格納されている前記使用中フィルタユニットの情報に少なくとも基づき、前記家庭用水処理装置に対し前記ポンプの運転方法に関する情報を送信する情報供給手段とを有する。
【0181】
また、前記態様において、前記情報供給手段は、前記使用中フィルタユニットの情報に少なくとも基づき、前記使用中フィルタの性能低下を遅延するのに適した前記ポンプの運転方法に関する情報を送信するように構成されている。
【0182】
各フィルタユニットには許容できる水圧や水量、その中でも長寿命化になる水圧や水量のポイントが存在する。当該ポイントはフィルタユニットの種類、つまりフィルタユニットを構成している個々のフィルタの種類やその組合せにより異なり、サイズ等によっても異なる。一方、家庭用水処理装置は使用場所も異なり、使用目的も異なり、処理前水のタイプも異なる。このため、例えば2つの家庭用水処理装置が同じフィルタユニットを用いており、同じポンプで同じ出力でフィルタユニットの水を流しても、フィルタユニットに加わる水圧が異なることになる。この場合に、例えばフィルタユニットの全部又は一部に加わる水圧を検出する圧力センサを家庭用水処理装置に設けられていれば、当該検出される水圧が所定の範囲内となるように、前記運転方法に関する情報が送信される。
【0183】
そのため、一例では、水処理装置管理システムが、複数種類のフィルタユニットの各々に対する適した水圧範囲又は適した水量範囲のデータをメモリ装置内に有し、当該データに基づき前記運転方法に関する情報の送信を行うことができる。
【発明の効果】
【0184】
本発明によれば、大規模な工事を伴うことなく、急激な人口の増減にも対応することができ、水資源が限られた地域であっても排水の処理や使用する水の供給が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0185】
図1】本発明の第1の実施形態に係る水処理装置管理システムの概略構成図である。
図2】第1の実施形態に係る家庭用水処理装置の概略構成図である。
図3】第1の実施形態に係る家庭用水処理装置の制御部による処理の一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の第2の実施形態に係る水処理装置管理システムの概略構成図である。
図5】本発明の第5の実施形態に係る水処理システムの概略構成図である。
図6】第5の実施形態に係る家庭用水処理装置の制御部の概略構成図である。
図7】本発明の第6の実施形態に係る家庭用水処理装置の概略構成図である。
図8図1の実施形態に係る水処理装置管理システムに用いる家庭用水処理装置の変形例の概略構成図である。
図9図8の家庭用水処理装置の動作説明図である。
図10図8の家庭用水処理装置の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0186】
本発明の第1の実施形態に係る家庭用水処理装置と、それを管理する水処理装置管理システムについて、図面を参照して以下に説明する。
この家庭用水処理装置は、例えば、図2に示すように、処理前水入口1と、該処理前水入口1から入った処理前水が通過するフィルタユニット10と、フィルタユニット10に対し上流側又は下流側に配置され、処理前水をフィルタユニット10に導入するポンプ20と、フィルタユニット10を通過することにより処理された処理後水が出る処理後水出口2とを備え、フィルタユニット10は、第1のフィルタ11と、第1のフィルタとは種類が異なる第2のフィルタ12と、第1のフィルタ11のみに処理前水を流通させる第1の流通状態と、第1の流通状態と異なる経路で処理前水を前記フィルタユニット10内で流通させる第2の流通状態とに切換え可能なバルブユニットとを少なくとも有し、ポンプ20およびフィルタユニット10を制御する制御部30をさらに備えている。
【0187】
制御部30は、CPU、メモリ装置、表示装置、送受信部等を有するコンピュータから成り、制御部30のメモリ装置が、下記水処理管理システムのメモリ装置内に格納されている後述の全ての情報(使用中フィルタ情報としての情報、交換用フィルタ情報としての情報、水供給場所情報としての情報)を格納していることが理想であるが、その一部の情報を格納しているだけでも良い。
【0188】
この実施形態ではポンプ20はフィルタユニット10の上流側に配置されているが、ポンプ20をフィルタユニット10の下流側に配置することも可能である。
この家庭用水処理装置は、水使用場所又はその近くに配置されると共に前記フィルタユニット10を用いて処理前水を処理して処理後水を前記水使用場所に供給する。
【0189】
水使用場所には、具体的には、シャワールーム、バスルーム、手洗い場、足洗い場、動物の体の洗浄場等の体洗浄用機器が配置された場所や、洗濯機、洗濯用器具等の衣服洗浄用機器が配置された場所や、トイレ等の排泄物処理用機器が配置された場所や、キッチン等の食材および食器の洗浄機器が配置された場所や、飲料水、料理用水等を提供する給水機器が配置された場所が含まれ、上記以外にも水を使用する様々な場所が含まれる。
【0190】
シャワールーム、バスルーム、洗濯機室、トイレ、キッチン、給水機器等は、一度に一人や二人等の少人数が使用するものであっても良く、一度に10人以上の大人数が使用するものであっても良い。また、これらは家屋内に備え付けられたものであっても良く、家屋の近くの屋外や、家屋から離れたキャンプ場等の屋外に一時的に設置されるものであっても良い。
【0191】
処理前水には、具体的には、前記水使用場所で使われた後の使用後水や、川、沼、湖、および海の水、井戸水、雨水等の自然採取水が含まれる。これら以外にも、フィルタを通して処理を行った水を使用する場合のフィルタを通す前の水は処理前水である。
処理後水を前記の水使用場所に供給することには、処理後水を水使用場所内の蛇口等の水供給口に供給することや、処理後水を水使用場所に配置された体洗浄用機器、衣服洗浄用機器、排泄物処理用機器、食材および食器の洗浄用機器等の機器等に供給することも含まれる。
【0192】
家庭用水処理装置は、1軒の家に1つずつ配置される場合もあり、2軒以上の家に対して1つ配置される場合もあり、1軒の家に複数個配置される場合もある。このため、集合住宅に配置されることもある。また、家庭用水処理装置を移動可能な程度の大きさおよび重量に設計する場合、車輪等の搬送用易化手段を設けることにより容易に移動することが可能となる。
このような移動可能な家庭用水処理装置はキャンプ場、旅先、一時的に滞在する地等でも使用されるものであり、キャンプ場、旅先等の一時的に滞在する場所における上記水使用場所やその近くに配置される。
家庭用水処理装置は、家庭での使用に限られるものではなく、レストラン等の商業施設においても使用可能なものである。
【0193】
処理前水入口1は前記処理前水がある場所にホース等の配管により接続される。ポンプ20としては、公知の様々なタイプの送水ポンプを使用可能である。
第1のフィルタ11は、一例として、処理前水中のゴミ、石、土や砂、汚泥、髪の毛、垢、排泄物、食物等の所定の大きさ又は所定の長さ以上の異物(ここでは水以外のものを意味する)を水から除去するためフィルタであり、第2フィルタ12は処理前水中の金属分子や農薬分子をも除去する逆浸透膜(RO膜)を用いたフィルタとすることができる。なお、用途や要求に応じて第1のフィルタ11および第2のフィルタ12を他のフィルタとすることは可能である。また、2つではなく3以上のフィルタを設けることも可能であり、逆浸透膜を用いたフィルタを1つだけ設けることも可能である。
逆浸透膜を用いたフィルタは、原水に対して膜を通すと、綺麗な水と汚さが濃縮された水が出てくるものであるとして一般的であるので、当該フィルタの機能や詳細図示は省略する。
【0194】
バルブユニットは、ポンプ20から第1のフィルタ12の入口に水を流通させる第1の配管51と、第1の配管51に設けられ、第1の配管51を流れる水を第1のフィルタ11の入口に流通させる第1の状態と第2のフィルタ12の入口に向かって流通させる第2の状態とに切換え可能な第1の三方弁41と、第1の三方弁41から第2のフィルタの入口に向かって流通させる水が流れる第2の配管52と、第1のフィルタ11の出口から出た水を処理後水出口2に向かって流す第3の配管53と、第2の配管52の途中と第3の配管53の途中とを接続する第4の配管54と、第1の三方弁41から第2の配管52に流れ込む水を第2のフィルタ12の入口に流通させる第1の状態と第4の配管54に流通させる第2の状態とに切換え可能な第2の三方弁42と、第1のフィルタ11の出口から第3の配管43に流れ込む水を第4の配管54に流通させる第1の状態と処理後水出口2に向かって流通させる第2の状態とに切換え可能な第3の三方弁43と、第3の三方弁53からの水を処理後水出口2に向かって流通させる第1の状態と第2のフィルタ12の出口からの水を処理後水出口2に向かって流通させる第2の状態とに切換え可能な第4の三方弁44とを有する。
【0195】
つまり、バルブユニットは、第1~第4の三方弁41~44をコンピュータから成る制御部50により制御することにより、処理前水が第1のフィルタ11のみを通過して処理後水出口2に流通する状態、処理前水が第2のフィルタ12のみを通過して処理後水出口2に流通する状態、処理前水が第1のフィルタ11を通過した後に第2のフィルタ12を通過して処理後水出口2に流通する状態、および処理前水が第1のフィルタ11および第2のフィルタ12の何れも通過せずに処理後水出口2に流通する状態に切換え可能である。
【0196】
また、この家庭用水処理装置は、第2のフィルタ12の出口から処理後水出口2に向かって流れる処理後水を処理前水入口1とポンプ20との間の処理前水配管55に流通させる基準水流路57と、処理前水入口1からの処理前水をポンプ20に流す第1の状態と基準水流路57の水をポンプ20に流す第2の状態とを切換可能な第5の三方弁45と、ポンプ20により送られる水の圧力変化又は水量を検出可能な検出手段を備え、制御部30は第5の三方弁45も制御するように構成され、制御部30は、第5の三方弁45を第2の状態に制御する処理と、ポンプ20からの水が第2のフィルタ12のみを通過して処理後水出口2に向かって流れるようにバルブユニットを制御する処理とを行った上で、前記圧力検知手段の検出結果(運転状態検出値)、当該検出結果に基づく第2のフィルタ12の運転状態情報、又は当該検出結果に基づき推定される第2のフィルタ12の性能変化情報を出力するように構成されている。
【0197】
当該検出結果、運転状態情報、および性能変化情報は、第2のフィルタの性能変化に関する情報である。
また、本実施形態では、第4の三方弁44から処理後水出口2に向かう処理後水を処理後水出口2に向かって流す第1の状態と基準水流路57に向かって流す第2の状態とに切換可能な第6の三方弁46を備えているが、第6の三方弁46は無くても動作可能な場合がある。
また、第1~第6の三方弁は各々、1つ又は2つの開閉弁によって代用可能であり、その他の開閉弁によっても代用可能である。
【0198】
出力には、検出結果、運転状態情報又は性能変化情報を所定の表示装置に送り表示させることや、後述の水処理装置管理システムに送信することが含まれる。当該表示装置は家庭用水処理装置に設けられていても良い。
検出手段は、ポンプの回転トルクを検知するものであっても良く、ポンプ20をある所定の作動状態で作動させている時のポンプ20と第2のフィルタ12との間の圧力を測定する圧力センサであっても良く、ポンプ20をある所定の作動状態で作動させている時の第2のフィルタ12を通過する水の流量センサであっても良い。
【0199】
本実施形態では、第4の三方弁44からの処理後水を処理後水出口2に流す処理後水配管56を有し、処理後水出口2には外部に流出させる流量を調整可能な流量調整弁2aが設けられている。
また、本実施形態では、基準水流路57の途中に基準水容器57aが設けられている。そして、第4の三方弁44から処理後水出口2に向かって処理後水が供給されている状態で、流量調整弁2aを閉じる又は絞ることにより、基準水容器57aに所定量の基準水が溜められるようになっている。
また、本実施形態では処理後水が基準水として基準水容器57aに溜められるが、代わりに基準水容器57aにその入口57bから基準水となる飲料水等の外部基準水を入れ、当該外部基準水を基準水として用いることも可能である。
【0200】
また、本実施形態では、前記検出手段として、第2の配管52に圧力センサ61が設けられ、処理後水配管56に流量センサ62が設けられている。また、処理前水配管55に電気伝導度センサ63が設けられ、処置後水配管56に臭いセンサ64が設けられている。
【0201】
運転状態情報に関し、例えば、前述のように圧力センサ61で検出された圧力や流量センサ62で検出された流量と、ポンプ20の前記所定の作動状態における吐出能力とに基づくデータであって、第2のフィルタ12の目詰まり状態を推測又は計算をする元となるデータを、運転状態情報として使用することできる。他にも、前述のように圧力センサ61で検出された圧力や流量センサ62で検出された流量と、他のファクターに基づくデータであって、第2のフィルタ12の性能を推測又は計算する元となるデータを運転状態情報として使用することできる。
【0202】
制御部30がその格納プログラムに基づき前記検出結果、運転状態情報、又は性能変化情報を出力する際の制御部30の動作の一例を、図3を参照しながら以下説明する。
先ず、制御部30は、処理後水出口2から処理後水を供給していない状態で、ユーザによる制御部30の操作や外部からの信号受信によりトリガー信号を受け付けるか、所定の時間になり、処理開始条件が満たされると(ステップS1)、第5の三方弁45を第2の状態に制御すると共に第6の三方弁46も第2の状態に制御する(ステップS2)。
【0203】
続いて、第1~第4の三方弁41~44を、処理前水が第1のフィルタ11を通過した後に第2のフィルタ12を通過して処理後水出口2に流通する状態に制御し(ステップS3)、また、この状態で止まっていたポンプ20を前記所定の作動状態とする(ステップS4)。これにより、基準水流路57内の基準水が第1のフィルタ11を通過した後に第2のフィルタ12に流通する状態となる。この状態で所定時間の経過、所定流量の基準水の供給等の、第5の三方弁45から第1の三方弁41までの間が基準水だけとなる基準が満たされると(ステップS5)、一度ポンプ20を停止させる(ステップS6)。
【0204】
続いて、第1~第4の三方弁41~44を、処理前水が第2のフィルタ12のみを通過して処理後水出口2に流通する状態に制御し(ステップS7)、この状態でポンプ20を前記所定の作動状態とする(ステップS8)。この状態で、例えば圧力センサ61の検出結果をメモリに格納する(ステップS9)。ステップS9はステップS8を行ってから所定時間が経過した後に行うことが好ましい。
【0205】
ステップS9では、代わりに流量センサ62の検出結果を格納しても良く、これら検出結果の代わりに検出結果に基づく前記運転状態情報をメモリに格納しても良い。ステップS9を行う時に、第2のフィルタ12における処理水量も前記検出結果や前記運転状態情報に対応するように検出結果や運転状態情報の一部としてメモリに格納する(ステップS10)
【0206】
なお、ステップS1~ステップS10は時間をあけて過去にも複数回行われ、その度に前記検出結果がメモリに格納されているものとする。
続いて、前記複数回に亘ってメモリに格納されている検出結果および処理水量に基づき、処理水量に対して第2のフィルタ12の性能がどのように変化しているかを示す第2のフィルタの性能変化情報を求め、当該性能変化情報を出力する(ステップS11)。
【0207】
上記例では、ステップS3~S6を行うので、第2のフィルタ12にポンプ20内等に溜まっている処理前水が流れることを防止することができる。なお、処理前水の質や第2のフィルタの性能等の条件等によってはステップS3~S6を省くことも可能である。
また、上記例ではステップS11で性能変化情報を出力しているが、性能変化情報の代わりに処理水量をその一部として有する検出結果や運転状態情報を出力することも可能であり、複数回に亘って検出した処理水量付きの検出結果や運転状態情報を出力することも可能である。
【0208】
次に、上記家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムを説明する。
この水処理管理システムは、図1に示すように、水使用場所又はその近くに配置されると共に少なくとも1種類のフィルタを用いて処理前水を処理して処理後水を前記水使用場所に供給する家庭用水処理装置を管理する水処理装置管理システムである。
前述の家庭用水処理装置を管理する場合は、前記少なくとも一種類のフィルタはフィルタユニット10自体、又は、フィルタユニット10の第1のフィルタ11および第2のフィルタ12を意味することになる。
【0209】
この水処理管理システムは、CPU、メモリ装置、表示装置、送受信部等を有するコンピュータを少なくとも1つ有し、家庭用水処理装置に用いられている使用中フィルタの情報110とその交換フィルタ情報120を格納しているフィルタ情報格納部100をメモリ装置内に有する。
なお、当該メモリ装置を、複数のコンピュータに各々配置された複数のメモリから構成しても良い。
【0210】
使用中フィルタ情報110として、対象となる家庭用水処理装置で使用中の第2のフィルタ12の、複数種類の基準処理前水の各々に対する性能低下基準情報(使用中フィルタ性能低下基準情報)を有する。例えば、各基準処理前水として、タイプ1の界面活性剤(石鹸)が溶解している水を第1のフィルタ11と同一又は同種のフィルタで濾過した後の処理前水、タイプ2の界面活性剤(異なるタイプの石鹸)が溶解している水を第1のフィルタ11と同一又は同種のフィルタで濾過した後の処理前水、タイプ3の界面活性剤(食器用洗剤)が溶解している水を第1のフィルタ11と同一又は同種のフィルタで濾過した後の処理前水、タイプ1の食品が混ざった水を第1のフィルタ11と同一又は同種のフィルタで濾過した後の処理前水、タイプ2の食品が混ざった水を第1のフィルタ11と同一又は同種のフィルタで濾過した後の処理前水、タイプ1の沼の水を第1のフィルタ11と同一又は同種のフィルタで濾過した後の処理前水、タイプ2の沼の水を第1のフィルタ11と同一又は同種のフィルタで濾過した後の処理前水等、様々な処理前水の各々に対する第2のフィルタ12の性能低下基準情報を有することが好ましい。
【0211】
実際に各種基準処理前水を第2のフィルタ12で濾過した際の第2のフィルタ12の性能低下を測定し、当該測定データに基づき性能低下基準情報を作成することも可能であり、第2のフィルタ12の基本特性(カタログ値等)を用いた計算やシミュレーションに基づき性能低下基準情報を作成することも可能である。
また、使用中フィルタ情報110として、第1のフィルタ11についても同様の性能低下基準情報を有することが好ましい。
【0212】
また、使用中フィルタ情報110として、第1および第2のフィルタ11,12の種類、仕様、品番、名称等の使用中の第1および第2のフィルタ11,12の種類を特定する使用中フィルタ種類特定情報、および、第1および第2のフィルタ11,12の機能や性能等を示す使用中フィルタ機能特定情報のうち少なくとも1つを含む。
【0213】
本実施形態では、使用中フィルタ情報110として、さらに、第1のフィルタ11が濾過を行った後に第2のフィルタ12が濾過を行うフィルタユニットについて、複数種類の基準処理前水の各々に対する性能低下基準情報(使用中フィルタユニット性能低下基準情報)を有する。例えば、各基準処理前水として、タイプ1の界面活性剤(石鹸)が溶解している処理前水、タイプ2の界面活性剤(異なるタイプの石鹸)が溶解している処理前水、タイプ3の界面活性剤(食器用洗剤)が溶解している処理前水、タイプ1の食品が混ざっている処理前水、タイプ2の食品が混ざっている処理前水、タイプ1の沼の水である処理前水、タイプ2の沼の水である処理前水、等、様々な処理前水の各々に対するフィルタユニットの性能低下基準情報を有することが好ましい。
【0214】
また、使用中フィルタ情報110として、第1のフィルタ11が濾過を行った後に第2のフィルタ12が濾過を行うフィルタユニットについて、当該フィルタユニットの機能や性能等を示す使用中フィルタ機能特定情報を含む。
交換フィルタ情報120については、第2のフィルタ12に代替可能な複数の交換フィルタの、前記第2のフィルタ12の性能低下基準情報で用いた複数種類の基準処理前水の各々に対する性能低下基準情報(交換フィルタ性能低下基準情報)を有する。第1のフィルタ11に代替可能な複数の交換フィルタについても同様の性能低下基準情報を有することが好ましい。
【0215】
また、本実施形態では、交換フィルタ情報120として、使用中の第1のフィルタ11と異なる交換フィルタ1-1と使用中の第2のフィルタ12とから成る交換フィルタユニット、使用中の第1のフィルタ11と異なる交換フィルタ1-2と使用中の第2のフィルタ12とから成る交換フィルタユニット、交換フィルタ1-1と使用中の第2のフィルタ12と異なる交換フィルタ2-1とから成る交換フィルタユニット、使用中の第1のフィルタ11と使用中の第2のフィルタ12と両フィルタの間に配置される第3のフィルタから成る交換フィルタユニット等の様々な交換フィルタユニットの、前記使用中フィルタユニットの性能低下基準情報で用いた複数種類の基準処理前水の各々に対する性能低下基準情報(交換フィルタユニット性能低下基準情報)を有する。
【0216】
この水処理管理システムは、対象となる家庭用水処理装置から使用中フィルタの性能変化に関する情報を受信する情報受信手段を有する。当該情報受信手段は、メモリ装置に格納された情報受信プログラムによりCPUが送受信部を制御し、例えば前記家庭用水処理装置がステップS11で送信する性能変化情報を有線、無線、その組み合わせ等の通信経路を介して受信し、対象となる家庭用水処理装置と対応付けてメモリに格納する。この時に、前記の使用中フィルタ種類特定情報や使用中フィルタ機能特定情報を受信しメモリに格納することができる。
【0217】
代わりに、前記家庭用水処理装置がステップS11で、処理水量をその一部として有する検出結果や運転状態情報を送信する場合は、当該検出結果や運転状態情報を受信し、対象となる家庭用水処理装置と対応付けてメモリに格納する。当該検出結果や運転状態情報も性能変化に関する情報である。
【0218】
また、水処理管理システムは、メモリに格納された水タイプ推定プログラムによりCPUが動作し、使用中フィルタ情報110と、前記性能変化に関する情報に基づき、処理前水の水タイプを推定する。使用中フィルタ情報110としては例えば使用中フィルタユニット性能低下基準情報や使用中フィルタユニット種類特定情報や使用中フィルタユニット機能特定情報が使われる。使用中フィルタユニット機能特定情報は使用中フィルタユニットの定格の濾過性能等を含む。
【0219】
例えば、前記性能変化に関する情報と、使用中フィルタユニット性能低下基準情報の各基準処理前水に対する性能低下の進行速度やパターンとを比較し、使用中フィルタユニット10が処理している処理前水が何れの基準処理前水に近いかを基準に推定を行うことができる。単一の基準処理前水に対応するとの推定ではなく、複数の基準処理前水の組合せであるとの推定も可能である。なお、水処理装置管理システムがユーザが有するコンピュータや家庭用水処理装置から、水利用場所における水の用途、処理前水の性質、および処理前水の供給源の少なくとも一つを含むユーザ入力情報を受付け、当該ユーザ入力情報を水タイプの推定に用いてもよい。
【0220】
前記の方法による水タイプ推定の代わりに、メモリに格納された水タイプ推定プログラムによりCPUが動作し、対象となる家庭用水処理装置が送信するセンサの検出結果(運転状態検出値)を受信すると共にメモリに当該家庭用水処理装置と対応付けて格納し、これら検出結果に基づき処理前水の水タイプを推定することも可能である。この場合、家庭用水処理装置は、圧力センサ61、流量センサ62、電気伝導度センサ63、臭いセンサ64等の検出結果を送信するように構成されている。例えば、電気伝導度センサ63により推定される処理前水の組成と、臭いセンサ64により検出される臭いに基づく推定を行うことが可能である。
【0221】
さらに言えば、前記性能変化に関する情報だけに基づき、水タイプを推定することも可能である。例えば、家庭用水処理装置や、推定プログラムにより動作する水処理管理システムが、圧力センサ61、電気伝導度センサ63、臭いセンサ64等の検出結果や流量センサ62の検出結果から導きだされる処理流量を処理時間と対応させて、時間に応じた各検出値の変化を把握できるデータとする。これにより、時間による圧力の変化が大きい場合は、処理前水の質が大きく変動することを示すので、川や沼等の水の質が一定している場所から処理前水を得ていることが推測され、時間により電気伝導度センサ63や臭いセンサ64の検出値が大きく異なる場合は、洗剤が混ざった水や食物が混ざった水等の複数種類の排水を処理前水として使用していることが推測される。
【0222】
また、水処理管理システムは、メモリに格納された情報供給プログラムによりCPUが動作し、家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータにフィルタ交換情報を有線、無線、その組み合わせ等の通信経路を介して提供する。
この時、CPUは、例えば使用中フィルタ情報110のうち第2のフィルタ12の性能低下基準情報と、交換フィルタ情報120のうち第2のフィルタ12に代替可能な複数の交換フィルタの性能低下基準情報を参照し、前記水タイプ推定手段で推定した前記水タイプに対して使用中の第2のフィルタ12よりも性能低下を遅延できる交換フィルタがある場合、当該フィルタに関する情報を含む前記フィルタ交換情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信する処理を行う。
このフィルタ交換情報は家庭用水処理装置のメンテナンス情報として送信される。
【0223】
ユーザが有するコンピュータには、家屋内に設置されている表示機能付きのコンピュータ、ユーザのスマートフォン等のタブレット端末や、ユーザの携帯電話、ユーザのデスクトップ又はラップトップコンピュータ等が含まれる。なお、フィルタ交換情報等の情報を受信しその内容をユーザに伝えることができる機器であれば、ユーザが有するコンピュータに含まれるものとする。
【0224】
また、水処理管理システムは、メモリに格納された情報供給プログラムによりCPUが動作し、前記の水タイプ推定結果に応じた家庭用水処理装置のメンテナンス情報を送信することも可能である。例えば、推定した水タイプが所定の種類であるか、推定した水タイプが所定のパターンで変化する水タイプである場合に、当該所定の水タイプに対して推奨フィルタの優先順位が決まっている時は、推定した水タイプに応じた交換フィルタの情報を送信することができる。
【0225】
また、メンテナンス情報としては、前記性能に関する情報や前記使用中フィルタ情報110に基づき、使用中のフィルタユニット又は個々のフィルタの現在の性能レベルを推定すると共に、前記性能に関する情報や前記使用中フィルタ情報110に基づき、推定した水タイプの種類や変化パターンに対して使用中のフィルタユニット又は個々のフィルタの交換時期を推定し、当該現在の性能レベルや交換時期を送信することができる。
【0226】
一方、水処理管理システムは、メモリに格納された情報供給プログラムによりCPUが動作し、前記推定された水タイプの種類や変化パターンおよび/又は使用中フィルタ情報110に基づき、ポンプ20の作動やバルブユニットの作動に関する最適運転方法情報を運転方法に関する情報として送信する。
【0227】
例えば、ある家庭用水処理装置では常に処理前水が第1のフィルタ11を通過した後に第2のフィルタ12を通過するようにバルブユニットが動作している場合であって、水タイプが第1のフィルタ11で所定の大きさ又は長さ以上の異物を除去すれば、あるレベル以上の処理後水を得られる場合は、当該運転方法に関する情報として、現在の使用場所であれば上記運転で上記処理水品質を得られることとを前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信すると共に、前記家庭用水処理装置の制御部30にその動作に必要な運転パターンデータを送信する。
【0228】
水を使用する場所、位置、状況、温度、湿度、振動、気圧等の環境要因、水を使用する方法、用途等の使用態様要因、水を使用する頻度、1回で使用する時間等の時間的要因に応じて、様々なタイプの前記性能変化に関する情報と、様々な状況を想定して作られた性能低下基準情報(使用中フィルタ性能低下基準情報、使用中フィルタユニット性能低下基準情報、交換フィルタ性能低下基準情報、交換フィルタユニット性能低下基準情報)とを用いて、水タイプ推定をより正確に行うことができる。
【0229】
例えば、環境要因に関し、水使用場所が砂漠である場合を説明する。砂漠の砂は風により移動し易く、細かい粒子を多く含む。このため、水使用場所にも砂が入り易く、処理前水に砂が混じる傾向がある。この状況で、例えば第1のフィルタ110として大き目の粒子の除去を行うためのセディメントフィルタを用いると、第1のフィルタ110の機能低下が早い。
【0230】
このように環境要因が大きく関係することがあるので、性能低下基準情報が粒子径を変化させた様々な基準処理前水に対し作成されていることが好ましい。一方、同じ砂漠に複数台の家庭用水処理装置が設置されており、各々の家庭用水処理装置の設置位置をGPS等により水処理装置管理システムが知ることができる場合は、フィルタ情報作成手段として、各々の家庭用水処理装置から送信される性能変換に関する情報を蓄積することにより、当該環境(位置)における様々なフィルタの性能低下基準情報を作成することが可能となる。また、当該蓄積した情報を用いて交換フィルタ情報を作成することもできる。
【0231】
また、使用態様要因に関しては、水使用場所がシャワーブースであり、処理前水に石鹸やシャンプーが混ざっている場合を説明する。シャワーブースでは、人によって石鹸等の使用量が大きく異なり、また、石鹸の濃度が時間とともに変化し、その変化の様子も様々であるから、同じ石鹸を使う場合であっても、フィルタの機能低下の速度が異なる。
【0232】
そのため、水タイプ推定を行うために、家庭用水処理装置(ポンプ)の稼働状態や、使用中のフィルタを通過する流量だけを検出するのではなく、例えば石鹸濃度が変化する基準処理前水をフィルタに通すと共に、フィルタの前後の圧力、濁度などを複数のセンサを用いて検出して、時間とともに変化する各センサの検出値を用いて様々なフィルタの性能低下基準情報を作成する。様々な濃度、濃度変化パターン、石鹸の種類等に応じて性能低下基準情報を作成することにより、より正確な水タイプ推定を行うことが可能となる。この場合、使用中フィルタ又は使用中フィルタユニットの性能変化に関する情報としては、例えば、時間とともに変化するセンサの検出結果、これに基づく運転状態情報等を用いることができる。
【0233】
また、時間的要因に関しては、水使用場所の利用頻度が低い場合を説明する。例えば1週間に1回程度しか使用しない場合は、使用していない期間にフィルタ上で細菌が繁殖し、当該細菌によりフィルタの機能低下が発生することがある。この場合は、基準処理前水をフィルタに通し、その後の使用していない期間に時間とともに変化する各センサの検出値を得ることにより、様々なフィルタの性能低下基準情報を作成する。
【0234】
様々な種類の基準処理前水、1回にフィルタに通す基準処理前水の量、フィルタが置かれている場所の温度、湿度、細菌の種類、細菌が繁殖した後にフィルタに基準処理前水を通すことによる変化等に応じて性能低下基準情報を作成することにより、より正確な水タイプ推定を行うことが可能となる。この場合、使用中フィルタ又は使用中フィルタユニットの性能変化に関する情報としては、例えば、前回の水使用時の各センサの検出値と今回の水使用時の各センサの検出値との変化の量を、当該変化の発生にかかった時間と関連付けて用いることができる。
【0235】
一方、使用中フィルタ又は使用中フィルタユニットの性能変化に関する情報を得る時に、ポンプの状態を考慮することも可能である。例えばポンプの機能が低下し始めている場合は、ポンプの機能低下を考慮して各センサの検出値を補正することが可能である。また、ポンプが異常状態である場合は、使用中フィルタ又は使用中フィルタユニットの性能変化に関する情報を正確に得ることができない可能性があるため、ポンプが異常であることを示す情報を家庭用水処理装置の表示装置に表示する処理又はユーザのコンピュータに送信する処理を行う。
【0236】
ポンプが異常状態であるとの判定を行うため、例えば、ポンプの音や振動を検出するセンサを設ける。一例として家庭用水処理装置内に音センサを設ける。また、正常運転時のポンプ音のデータ(大きさ、周波数等)を収集し、正常であることを示す基準範囲を作成し、メモリに格納しておく。音センサの検出値が前記基準範囲から外れると、ポンプが異常状態であると判定する。
【0237】
例えば、運転がされているはずであるが音センサによりポンプ音が検出されない場合は、ポンプ故障の可能性や、ポンプに電力が供給できていない可能性がある。また、音センサにより正常時と異なる周波数の音が検出され、これにより音センサの検出値が前記基準範囲から外れると、ポンプに通水されず空転状態が続いている可能性、フィルタの膜に適切な圧力がかかっていない可能性、フィルタ又は配管からの水漏れの発生の可能性等がある。
【0238】
一方、フィルタに目詰まり以外の要因による機能低下や異常が発生している場合も、使用中フィルタ又は使用中フィルタユニットの性能変化に関する情報を正確に得ることができない可能性がある。このため、フィルタに目詰まり以外の要因による機能低下や異常が発生している時も、フィルタが異常であることを示す情報を家庭用水処理装置の表示装置に表示する処理又はユーザのコンピュータに送信する処理を行う。
【0239】
フィルタが異常状態であるとの判定を行うため、例えば、フィルタの前後にそれぞれ設けた圧力センサを用いることができる。正常時の各圧力センサの時系列データを用いて正常時の基準パターンを作成し、メモリに格納しておく。各圧力センサの検出値や、時間に応じた各圧力センサの検出値の変化のパターンが前記基準パターンから外れると、フィルタに目詰まり以外の要因による機能低下や異常が発生していると判定する。
【0240】
例えば、ポンプを通常運転して水がフィルタを通過している際の各圧力センサの検出値の差の移動平均が所定値以上である場合は、当該フィルタが目詰まりにより必要機能を発揮できない状態であると判定する。
また、ポンプを通常運転して水がフィルタを通過している際の各圧力センサの検出値の差が時間とともに特定の変化(振動等)を示す場合は、当該フィルタが必要機能を発揮できなくなるまでの時間が極めて短いと判定する。
また、ポンプを通常運転して水がフィルタを通過している際の各圧力センサの検出値の差が急激に低下した時は、当該フィルタに破損等の異常が発生したと判定する。
【0241】
なお、前記性能低下基準情報は、フィルタの各機能のうち少なくとも1つが低下していれば性能低下と言えるため、性能低下基準情報と称している。例えば、フィルタの目詰まりによりフィルタの透過抵抗が上がるが、フィルタの不純物除去能力が向上する場合も、前記の「性能低下」に含まれる。このため、性能低下基準情報と称する代わりに、性能変化基準情報と称することも可能である。
【0242】
さらに、フィルタのある機能が低下するが、逆に他の機能が向上又は生ずることがあり、この場合も性能低下に含まれる。例えば、活性炭フィルタは透過水量の総計が増えるに従い吸着機能が低下するが、ある程度の期間利用した活性炭フィルタには微生物が付着し、微生物の種類や量が条件を満たせば生物処理を行うフィルタとしての新たな機能が生ずる。
【0243】
通常、要求値に満たない程度に吸着機能が低下した活性炭フィルタは、新しい活性炭フィルタと交換する必要がある。しかし、当該活性炭フィルタを生物処理用のフィルタとして使用できる場合、当該活性炭フィルタにより新しい活性炭フィルタでは行うことができなかった水処理を行うことが可能になる。
【0244】
例えば、図8に示す家庭用水処理装置は、活性炭フィルタである第1のフィルタ510および第2のフィルタ520と、各フィルタ510,520よりも処理前水入口側に配置された第1のポンプ530と、各フィルタ510,520により処理された処理後水が流入するタンク550とを有し、ある一つの機能が低下した後のフィルタに別の機能を発揮させるために使用するものである。この家庭用水処理装置では、一例として、第1のフィルタ510と第2のフィルタ520とは並列に配置されている。
【0245】
この家庭用水処理装置は、前記処理前水入口と第1のポンプ530とを接続する配管561と、一端がポンプ530に接続された配管562と、配管562の他端に接続された第1の三方弁571と、一端が第1の三方弁571に接続されると共に他端が第2の三方弁572に接続され、中間部に第1のフィルタ510が設けられた配管563と、一端が第1の三方弁571に接続される共に他端が第2の三方弁572に接続され、中間部に第2のフィルタ520が設けられた配管564と、第2の三方弁572とタンク550とを接続する配管565と、一端がタンク550に接続されると共に他端に処理後水出口を有し、図示しない開閉弁を有する配管566と、タンク550内の水を配管562に戻すための戻り路567とを有する。戻り路567にはタンク550内の水を配管562に向かって流すための第2のポンプ540が設けられ、戻り路567は第3の三方弁573を介して配管562の中間部に接続されている。
【0246】
第1のフィルタ510の入口側および出口側にそれぞれ第1のフィルタ510の性能、機能等を検知するための第1のセンサ581および第2のセンサ582が設けられている。本実施形態では第1および第2のセンサ581,582は圧力センサである。また、第1のフィルタ510の近傍の環境を検知するための第3のセンサ583が設けられ、本実施形態では第3のセンサ583は温度センサである。さらに、第1のフィルタ510の状態、例えば第1のフィルタ510の表面温度を検知するための第4のセンサ584が設けられている。
【0247】
第1および第2のポンプ530,540、第1~第3の三方弁571~573、並びに第1~第4のセンサ581~584は制御装置590に接続され、これらが制御装置590により制御されるように構成されている。
この家庭用水処理装置では、先ず、図8に示すように、制御装置590は、処理前水入口からの処理前水が第1のポンプ530により第1のフィルタ510を通過してタンク550まで流れるような制御を行う。これにより、処理前水の界面活性剤等の異物が第1のフィルタ510の活性炭により処理される。
【0248】
この時、第1のフィルタ510では、透過水量、処理前水の水タイプ、使用頻度等に応じて、吸着機能の低下や微生物の増加が起こるが、第2のフィルタ520は未使用状態なので、吸着機能の低下や微生物の増加が殆ど起こらない。このため、第1および第2のフィルタ510,520を同時又は交互に使用する場合と比較し、第1および第2のフィルタ510,520の両方の吸着機能が所定レベルまで低下する迄の時間を長くすることができる。
【0249】
制御装置590は、各フィルタ510の吸着機能が所定レベルまで低下したことを、第1および第2のセンサ581,582の検出値に基づき判断する。第2のフィルタ520の入口側および出口側に第1のフィルタ510と同様のセンサが設けられていてもよい。第1のフィルタ510の吸着機能が所定レベルまで低下すると、制御装置590は、図9に示すように、処理前水入口からの処理前水が第1のポンプ530により第2のフィルタ520を通過してタンク550まで流れるような制御を行う。これにより、処理前水が第2のフィルタ520の活性炭により処理される。
【0250】
このように第1のフィルタ510の吸着能力が低下すると、通常であれば第1のフィルタ510が新しいフィルタに交換される。これに対し、制御装置590は、第1のフィルタ510に付着している微生物の種類や量が所定の条件を満たしているか否かを判定する。例えば、微生物が発熱することを利用し、第1のフィルタ510に水を流していない時に第3のセンサ583の検出温度と第4のセンサ584の検出温度との間に所定の差が存在すると、第1のフィルタ510に付着している微生物の量が所定の条件を満たしていると判断する。また、例えば第3のセンサ583の検出温度に応じて前記温度の差が変化し、当該変化のパターンが微生物の種類に応じて異なる場合、当該パターンが所定の条件を満たしていると微生物の種類も所定の条件を満たしていると判断する。
【0251】
微生物の量および種類が所定の条件を満たしていると判断されると、制御装置590は、タンク550内の水が配管566を介して排出されない時間帯等に、第1のポンプ530を停止させた状態で、第1および第2の三方弁571,572を第2のフィルタ520から第1のフィルタ510側に切換え、タンク550内の水が第2のポンプ540により第1のフィルタ510を通過して再びタンク550に戻るような制御を行う。これにより、第2のフィルタ520で除去できなかった細菌等が新たな機能を有する第1のフィルタ510により除去されることになる。
【0252】
このように、第1のフィルタ510の新たな機能を利用することにより、当該家庭用水処理装置が新たな機能を提供できる状態となり、当該家庭用水処理装置の利用範囲が広がることもある。
また、当該家庭用水処理装置では、第1のフィルタ510での水処理と第2のフィルタ520での水処理とを切換えられるので、フィルタの交換作業を行わずに、当該家庭用水処理装置の元々の水処理を第2のフィルタ520が担い、第1のフィルタ510により新たな水処理も行うことができる。
【0253】
また、第1のフィルタ510の吸着能力が前記所定レベルまで低下する前でも、吸着能力が徐々に低下し、一方、細菌等の除去能力が徐々に向上している。このため、第1~第4のセンサ581~584の検出値に基づいて、制御装置590によって、通常の運転状態では第1のフィルタ510の吸着機能を用いて水処理を行い、タンク550内の水が配管566を介して排出されない時間帯等に、タンク550内の水が第2のポンプ540により第1のフィルタ510を通過して再びタンク550に戻るような制御を行うことも可能である。つまり、制御装置590が、各フィルタ510,520の機能の変化を機能ごとに管理し、各フィルタ510,520がその時に有する機能に応じて水処理の方法を切換えることもできる。
【0254】
当該家庭用水処理装置の水処理の方法の切換えのための制御を、制御装置590が水処理装置管理システムから受信する制御信号に基づき行ってもよい。または、水処理装置管理システムが、第1および第2のポンプ530,540、第1~第3の三方弁571~573、並びに第1~第4のセンサ581~584に直接制御信号を送り、こら構成要素を直接制御してもよい。この場合、水処理装置管理システムは第1~第4のセンサ581~584の検出値の情報を受付け、当該情報と使用中フィルタ情報又は使用中フィルタユニット情報とに基づき処理前水の水タイプ推定を行う。そして、推定された水タイプに応じた運転方法に関する情報として前記制御信号を送信する。水タイプ推定を行った上での水処理の方法の切換えは、より要求に即した水処理を可能とし、フィルタの長寿命化のためにも有利である。
【0255】
本発明の第2の実施形態を図4を参照しながら説明する。
本実施形態の家庭用水処理装置は第1の実施形態の家庭用水処理装置の全ての構成を有すると共に、本実施形態の水処理管理システムは第1の実施形態の水処理管理システムの全ての構成を有する。
そして、本実施形態の水処理管理システムは、図4に示すように、メモリ装置がさらに、水使用場所の近くにおいて処理前水を供給できる少なくとも1つの水供給場所の情報130を格納している。
【0256】
水供給場所情報130は、複数の水供給場所の各々について場所、名称等の水供給場所基本情報を有すると共に、各水供給場所の処理前水に対する使用中フィルタと同一又は同種のフィルタの性能低下基準情報(使用中フィルタ性能低下基準情報)を有する。例えば、川1の水を第1のフィルタ11と同一又は同種のフィルタで濾過した後の処理前水、川2の水を第1のフィルタ11と同一又は同種のフィルタで濾過した後の処理前水、沼1の水を第1のフィルタ11と同一又は同種のフィルタで濾過した後の処理前水、沼2の水を第1のフィルタ11と同一又は同種のフィルタで濾過した後の処理前水、井戸1の水を第1のフィルタ11と同一又は同種のフィルタで濾過した後の処理前水等、様々な処理前水の各々に対する第2のフィルタ12の性能低下基準情報を有することが好ましい。
【0257】
なお、水供給場所は、川、沼、井戸等に限られず、既存のインフラの給水口、ボトル入りの水等、何でも良い。例えば、国や地域によっては水を盗むために水道管が部分的に破壊され、このため給水口から透明な水が出ない場合もある。また、浄水管と下水管が近くに配置されており浄水管の水に下水管の水の臭いが移る場合もある。
【0258】
実際に各種基準処理前水を第2のフィルタ12で濾過した際の第2のフィルタ12の性能低下を測定し、当該測定データに基づき性能低下基準情報を作成することも可能であり、第2のフィルタ12の基本特性(カタログ値等)を用いた計算やシミュレーションに基づき性能低下基準情報を作成することも可能である。
また、水供給場所によっては季節等により水質が変化する場合もあり、気温や水温や日照時間によっても水質が変化する可能性があるため、そのような水供給場所の水質データや、当該水供給場所の水を例えば第1のフィルタ11で濾過した後の処理前水に対する第2のフィルタ12の性能低下基準情報を常に測定し続け、当該結果に基づき水供給場所情報130を更新していくことも可能である。
また、水供給場所情報130の使用中フィルタ性能低下基準情報として、第1のフィルタ11についても同様の性能低下基準情報を有することが好ましい。
【0259】
また、水供給場所情報130として、第1および第2のフィルタ11,12の種類、仕様、品番、名称等の使用中の第1および第2のフィルタ11,12の種類を特定する使用中フィルタ種類特定情報、および、第1および第2のフィルタ11,12の機能や性能等を示す使用中フィルタ機能特定情報のうち少なくとも1つと、各水処理場所の処理前水に対する評価値とを対応させた使用中フィルタ評価比較情報を含む。
例えば、川1の処理前水に対しては第1のフィルタ11は水質3、処理速度4、性能低下速度2の評価値を有し、川1の水をフィルタ11で濾過した処理前水に対しては第2のフィルタ12は水質1、処理速度2、性能低下速度3の評価値を有する等の評価値設定が可能である。
【0260】
本実施形態では、水供給場所情報130として、さらに、第1のフィルタ11が濾過を行った後に第2のフィルタ12が濾過を行うフィルタユニットについて、複数の水供給場所の各々に対する性能低下基準情報(使用中フィルタユニット性能低下基準情報)を有する。例えば、川1の水である処理前水、川2の水である処理前水等、様々な水供給場所の各々に対するフィルタユニットの性能低下基準情報を有することが好ましい。
【0261】
また、水供給場所情報130として、第1のフィルタ11が濾過を行った後に第2のフィルタ12が濾過を行うフィルタユニットについて、当該フィルタユニットの機能や性能等を示す使用中フィルタ機能特定情報と、各水処理場所の処理前水に対する評価値とを対応させた使用中フィルタユニット評価比較情報を含む。
例えば、川1の処理水に対して当該フィルタユニットは水質3、処理速度4、性能低下速度2の評価値を有し、川2の処理水に対して当該フィルタユニットは水質2、処理速度5、性能低下速度3の評価値を有する等の評価値設定が可能である。
【0262】
交換フィルタの観点からも、例えば、第2のフィルタ12に代替可能な複数の交換フィルタについて、使用中フィルタ性能低下基準情報と同様の交換フィルタ性能低下基準情報を有し、使用中フィルタユニット性能低下基準情報と同様の交換フィルタユニット性能低下基準情報を有し、使用中フィルタ評価比較情報と同様の交換フィルタ評価比較情報を有し、使用中フィルタユニット評価比較情報と同様の交換フィルタユニット評価比較情報を有する。
【0263】
また、水処理管理システムは、メモリに格納された情報供給プログラムによりCPUが動作し、家庭用水処理装置又はユーザが有するコンピュータに供給水関連情報を有線、無線、その組み合わせ等の通信経路を介して提供する。
この時、CPUは、例えば水供給場所情報130のうち使用中フィルタや使用中フィルタユニットの性能低下基準情報を参照し、前記性能変化に関する情報に基づき推定される現在の処理前水に対する使用中の第2のフィルタ12や、フィルタ11,12から成る使用中フィルタユニットの性能低下速度よりも性能低下を遅延できる処理前水がある場合、当該処理前水に対応する水供給場所の情報に基づく供給水関連情報を家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信する。
【0264】
この時、家庭用水処理装置の位置情報や各水供給場所の位置情報に基づき選択される水供給場所、又は、予め設定された水供給場所の中で、上記の供給水関連情報の選択および送信が行われることが好ましい。以下の処理でも同様である。
【0265】
また、水処理管理システムは、メモリに格納された情報供給プログラムによりCPUが動作し、水供給場所情報130のうち使用中フィルタや使用中フィルタユニットの評価比較情報と前記性能変化に関する情報を参照し、前記性能変化に関する情報に基づき推定される現在の処理前水に対する前記使用中の第2のフィルタ12や、フィルタ11,12から成る使用中フィルタユニットの性能低下速度よりも性能低下を遅延できる処理前水がある場合、当該処理前水に対応する水供給場所の情報に基づく供給水関連情報を家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信する。
【0266】
また、水処理管理システムは、メモリに格納された情報供給プログラムによりCPUが動作し、水供給場所情報130のうち使用中フィルタの評価比較情報および交換フィルタの評価比較情報を参照し、水供給場所と、使用中の第2のフィルタ12やその交換フィルタとの組合せのうち所定の基準を満たす組合せがある場合、当該組合せに関する情報を前記供給水関連情報として送信する。
【0267】
さらに、水処理管理システムは、水供給場所情報130のうち使用中フィルタユニットの評価比較情報および交換フィルタユニットの評価比較情報を参照し、水供給場所と、使用中の第1および第2のフィルタ11,12から成るフィルタユニットやその交換フィルタユニットとの組合せのうち所定の基準を満たす組合せがある場合、当該組合せに関する情報を前記供給水関連情報として送信する。
【0268】
また、水処理管理システムは、メモリに格納された要求格納プログラムによりCPUが作動し、例えば家庭用水処理装置やユーザが有するコンピュータからユーザからの要求を受付け格納する。ユーザからの要求として、例えば、水質2、処理速度5等の要求を受付格納する。
そして、水処理管理システムは、前記ユーザからの要求に基づき前記所定の基準を決定し、当該基準を満たす組合せがある場合、当該組合せに関する情報を前記供給水関連情報として送信する。
【0269】
例えば、川1の処理前水と交換フィルタユニット2との組合せが当該基準を満たす場合、当該組合せに関する情報を送信する。
また、当該送信を行う際に、ユーザからの要求に関連する評価用情報を付随させることも可能である。例えば、川1の処理前水に対し交換フィルタユニット2が水質2、処理速度5、性能低下速度2等の評価比較情報を有する場合、当該評価比較情報をユーザが評価するための評価用情報として送信することができる。他の情報を評価用情報として送信しても良い。
【0270】
本発明の第3の実施形態を説明する。
本実施形態の家庭用水処理装置は第2の実施形態の家庭用水処理装置の全ての構成を有すると共に、本実施形態の水処理管理システムは第2の実施形態の水処理管理システムの全ての構成を有する。
【0271】
この水処理管理システムの使用中フィルタ情報110は、複数種類の基準処理前水の各々に対し、使用中フィルタと同一又は同種のフィルタによって処理した水の品質予測データである処理後水品質基準情報(使用中フィルタ処理後水品質基準情報)を有する。各基準処理前水としては第1の実施形態に示したものを使用でき、様々な処理前水の各々に対し第2のフィルタ12により処理を行った水の処理後水品質基準情報を有することが好ましい。第1のフィルタ11についても同様の処理後水品質基準情報を有することが好ましい。
【0272】
本実施形態では、使用中フィルタ情報110として、さらに、第1のフィルタ11が濾過を行った後に第2のフィルタ12が濾過を行うフィルタユニットについて、複数種類の基準処理前水の各々に対する処理後水品質基準情報(使用中フィルタユニット処理後水品質基準情報)を有する。
【0273】
また、交換フィルタの観点からも、例えば、第2のフィルタ12に代替可能な複数の交換フィルタについて、使用中フィルタ処理後水品質基準情報と同様の交換フィルタ処理後水品質基準情報を有し、使用中フィルタユニット処理後水品質基準情報と同様の交換フィルタユニット処理後水品質基準情報を有する。
【0274】
また、当該水処理管理システムは、メモリに格納された情報供給プログラムによりCPUが動作し、前記使用中フィルタ処理後水品質基準情報や前記使用中フィルタユニット処理後水品質基準情報と前記交換フィルタ処理後水品質基準情報や前記交換フィルタユニット処理後水品質基準情報を参照し、又は、前記性能変化に関する情報および前記交換フィルタ処理後水品質基準情報や前記交換フィルタユニット処理後水品質基準情報を参照し、前記水タイプ推定手段で推定した前記水タイプに対して例えば使用中のフィルタ12や、フィルタ11,12から成るフィルタユニットよりも処理後水の品質を向上できる交換フィルタや交換フィルタユニットがある場合、当該フィルタやフィルタユニットに関する情報を含むフィルタ交換情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信する。
【0275】
また、当該水処理管理システムは、メモリに格納された情報供給プログラムによりCPUが動作し、前記使用中フィルタ種類特定情報および前記使用中フィルタ(フィルタユニット)機能特定情報の何れか又は両方と、前記交換フィルタ(フィルタユニット)処理後水品質基準情報を参照し、又は、前記性能変化に関する情報および前記交換フィルタ(フィルタユニット)処理後水品質基準情報を参照し、前記水タイプ推定手段で推定した前記水タイプに対して使用中の第2フィルタ12や、フィルタ11,12から成るフィルタユニットよりも処理後水の品質を向上できる交換フィルタやフィルタユニットがある場合、当該フィルタやフィルタユニットに関する情報を含む前記フィルタ交換情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信する。
【0276】
また、当該水処理管理システムは、メモリに格納された情報供給プログラムによりCPUが動作し、前記交換フィルタ(フィルタユニット)処理後水品質基準情報を参照し、前記水タイプ推定手段で推定した前記水タイプに対して使用中の第2フィルタ12や、フィルタ11,12から成るフィルタユニットよりも処理後水の品質を向上できる交換フィルタやフィルタユニットがある場合、当該フィルタやフィルタユニットに関する情報を含む前記フィルタ交換情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信する。
【0277】
本発明の第4の実施形態を説明する。
本実施形態の家庭用水処理装置は第3の実施形態の家庭用水処理装置の全ての構成を有すると共に、本実施形態の水処理管理システムは第3の実施形態の水処理管理システムの全ての構成を有する。
【0278】
この水処理管理システムの水供給場所情報130は、各水供給場所の処理前水に対し、使用中フィルタと同一又は同種のフィルタによって処理した水の品質予測データである処理後水品質基準情報(使用中フィルタ処理後水品質基準情報)を有する。各水供給場所の処理前水としては第2の実施形態に示したものを使用でき、様々な水供給場所の処理前水の各々に対し第2のフィルタ12により処理を行った水の処理後水品質基準情報を有することが好ましい。第1のフィルタ11についても同様の処理後水品質基準情報を有することが好ましい。
【0279】
また、水供給場所情報130として、第1のフィルタ11が濾過を行った後に第2のフィルタ12が濾過を行うフィルタユニットについて、複数の水供給場所の処理前水の各々に対する処理後水品質基準情報(使用中フィルタユニット処理後水品質基準情報)を有する。
【0280】
また、水供給場所情報130として、交換フィルタの観点から、例えば、第2のフィルタ12に代替可能な複数の交換フィルタについて、使用中フィルタ処理後水品質基準情報と同様の交換フィルタ処理後水品質基準情報を有し、使用中フィルタユニット処理後水品質基準情報と同様の交換フィルタユニット処理後水品質基準情報を有する。
【0281】
また、当該水処理管理システムは、メモリに格納された情報供給プログラムによりCPUが動作し、使用中フィルタ(フィルタユニット)処理後水品質基準情報を参照し、使用中のフィルタ12や、フィルタ11,12から成るフィルタユニットにより現在の処理前水を処理した後の水質より処理後水の品質を向上できる処理前水がある場合、当該処理前水に対応する供給水関連情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信する。
【0282】
また、当該水処理管理システムは、メモリに格納された情報供給プログラムによりCPUが動作し、前記水供給場所情報における使用中フィルタ(フィルタユニット)評価比較情報および前記性能変化に関する情報を参照し、使用中のフィルタ12や、フィルタ11,12から成るフィルタユニットにより前記処理前水を処理した後の水質より処理後水の品質を向上できる処理前水がある場合、当該処理前水に対応する供給水関連情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信する。
【0283】
また、当該水処理管理システムは、メモリに格納された情報受信プログラムによりCPUが動作し、前記家庭用水処理装置から、フィルタ11,12から成る使用中フィルタユニットを通過後水の質に関する情報を受信する情報受信部を備えている。前記家庭用水処理装置は、フィルタ12の下流側に例えば電気伝導度センサや臭いセンサを備えており、これらセンサの検出結果に基づき前記通過後水の質に関する情報を作成し、水処理管理システムに対し送信するように構成されている。
【0284】
また、当該水処理管理システムは、メモリに格納された情報供給プログラムによりCPUが動作し、水供給場所情報130における前記使用中フィルタ(フィルタユニット)処理後水品質基準情報および前記通過後水の質に関する情報を参照し、フィルタ11,12から成る使用中フィルタユニットを通過した後の水質が前記通過後水の質より所定のパラメータにおいて改善される前記水供給場所がある場合、当該水供給場所に対応する前記供給水関連情報を前記家庭用水処理装置又は前記コンピュータに送信する。
【0285】
本発明の第5の実施形態に係る身体洗浄システムについて、図面を参照して以下に説明する。
この身体洗浄システムの一例を図5に示す。この身体洗浄システムは、身体洗浄用の給水口であるシャワーヘッド201、蛇口202等が備えられた複数の身体洗浄用部屋210と、各身体洗浄部屋210を各々閉鎖するための扉211と、閉鎖された扉211をロックするためのロック機構212とを有する身体洗浄用本体部200と、家庭用水処理装置300とを備えている。
【0286】
家庭用水処理装置300は、第1~第4の実施形態の家庭用水処理装置で用いた構成を部分的に用いている。家庭用水処理装置300を第1~第4の実施形態の家庭用水処理装置と同じ構成とすることもできるが、本実施形態では一例として、家庭用水処理装置300は、身体洗浄用本体部200の各身体洗浄部屋210からの処理前水(排水)が溜められる排水タンク310と、排水タンク310中の処理前水を1種類目の第1のフィルタ11に流通させると共に2種類目の第1のフィルタ11に流通させ、2種類目の第1のフィルタ11を通過した処理後水を中間タンク320に流すポンプ20と、中間タンク320に溜められている水を第2のフィルタ12を通過させ貯水タンク330に流す第2フィルタ用ポンプ340と、貯水タンク330に溜められた処理後水を各身体洗浄部屋210のシャワーヘッド201、蛇口202等に送る処理後水供給ポンプ350とを備えている。中間タンク320内の沈殿物、沈殿水、汚泥等を貯蔵する濃縮水貯蔵タンク321を備えていても良い。
【0287】
1種類目の第1のフィルタ11、2種類目の第1のフィルタ11、第2のフィルタ12、およびポンプ20は、第1~第4の実施形態と同様のものを使用可能である。なお、1種類目の第1のフィルタ11として例えばセディメントフィルタを用い、2種類目の第1のフィルタ11として活性炭を用いたフィルタを用い、第2のフィルタ12として逆浸透膜を用いたフィルタを用いることが可能である。第2フィルタ用ポンプ340および処理後水供給ポンプ350は公知の様々なタイプの送水ポンプを使用可能である。
【0288】
家庭用水処理装置300は、排水タンク310から1種類目の第1のフィルタ11に流れる処理前水の水質、水圧、流量等を検出する第1のセンサ361と、1種類目の第1のフィルタ11から2種類目の第1のフィルタ11に流れる水の水質、水圧、流量等を検出する第2のセンサ362と、2種類目の第1のフィルタ11から中間タンク320に流れる水の水質、水圧、流量等を検出する第3のセンサ363と、中間タンク320から第2のフィルタ12に流れる水の水質、水圧、流量等を検出する第4のセンサ364と、貯水タンク330から身体洗浄用本体部200の各シャワーヘッド201および各蛇口202に供給される処理後水の水質、水圧、流量等を検出する第5のセンサ365とを備えている。
【0289】
水質検出には、異物の成分種の検出、異物の成分の量の検出、臭いの検出等があり、電気伝導度センサや臭いセンサが用いられる。水圧検出には水圧センサ、流量検出には流量計が用いられる。各センサ361~365は各々が水質、水圧および流量を検出するように構成されていても良いが、各々が水質、水圧および流量の何れかを検出するように構成されていても良い。また、第1~第5のセンサ361~365を全て設ける必要は無く、求められる機能に応じて適宜省くことが可能である。
【0290】
家庭用水処理装置300は、CPU、メモリ装置、表示装置、送受信部等を有するコンピュータから成る制御部370を有し、制御部370は、各ポンプ20,340,350、各センサ361~365、各身体洗浄部屋210に設けられた表示装置220又は音声発生装置、および各身体洗浄部屋210のロック機構212に接続され、これら構成要素を制御したり、これら構成要素から情報を受付けたり、これら構成要素に情報を送信するようになっている。
【0291】
身体洗浄用本体部200は、処理後水供給ポンプ350から送られる処理後水を各身体洗浄部屋210のシャワーヘッド201、蛇口202等に分配する浄水配管を有し、各身体洗浄部屋210の排水溝からの処理前水を家庭用水処理装置300の排水タンク310に向かって送る排水配管も有する。
【0292】
制御部370は、図6に示すように、そのメモリ装置に格納された処理後水情報供給プログラムによりCPUが動作し、ユーザが身体洗浄部屋210で処理後水を使用している最中に、第5センサ365により検出される処理後水の質に関する情報を当該身体洗浄部屋210の表示装置220又は音声発生装置に送信する。これにより、ユーザは供給されている処理済水の状態を確認することができる。第5センサ365が第2のフィルタ12の直後の処理後水や貯水タンク330内の処理後水の水質を検出するように配置されていても良い。
【0293】
前記表示装置220に家庭用水処理装置を制御するための入力部を設け、ユーザが当該入力部に水質に関する指示を入力すると、当該指示信号が制御部370に送られ、指示信号に応じて制御部370が各ポンプ20,340,350等の運転速度を制御するように構成しても良い。なお、家庭用水処理装置300が第1~第4実施形態の家庭用水処理装置である場合は、制御部30が指示信号に応じて、ポンプ20や各バルブ41~45を制御するようにしても良い。
【0294】
例えば、ユーザの指示が、供給水量が足らないので、水質を落としても水処理の速度を上げるという内容であれば、制御部30は、処理前水が第2のフィルタ12を通過せずに第1のフィルタ11のみを通過するように各バルブ41~44を制御する。又は、ポンプ20の速度を上げるだけでも、水質を落として水処理の速度を上げることができる場合は、ポンプ20の回転速度を上げる。
【0295】
また、第1~第4実施形態の家庭用水処理装置が用いられている場合に、制御部370は、メモリ装置に格納されたユーザ用情報供給プログラムによりCPUが動作し、前記各センサの検出結果、運転状態情報、性能変化情報、水処理装置管理システムから受信するフィルタ交換情報、水供給場所情報等を、各身体洗浄部屋210の表示装置220又は音声発生装置に送信する。ユーザが使用している時にのみこれら情報を送信しても良い。
【0296】
また、制御部370は、メモリ装置に格納されたユーザ管理プログラムによりCPUが動作し、ユーザのコンピュータや、身体洗浄システムに備えられた入力部から使用申込情報を受付ける。当該使用申込情報には、ユーザのIDと、複数の身体洗浄部屋210のうち使用を希望する部屋番号と、使用を希望する時間帯とが含まれている。なお、制御部370は、ユーザの名前、当該ユーザのID、当該ユーザへの請求方法および請求先、当該ユーザが有する鍵情報等を関連付けてメモリ装置に格納しており、使用申込情報を受付けた時や、使用申込情報を入力する画面において、当該使用申込情報のユーザIDがユーザ登録情報内のユーザと一致するか否かを確認し、一致すると使用申込情報を受付ける。
【0297】
そして、制御部370は、受付けた使用申込情報に沿って、該当する部屋番号の身体洗浄部屋210のロック機構212が当該ユーザが有する鍵情報によって解除されるようにする解除用情報を該当するロック機構212に送る。これにより、共用スペース等に配置された身体洗浄システムを特定のユーザのみが使用できる環境を作ることができる。つまり、維持費について登録した者で分担することや、使用の度に課金するシステムとすることも可能である。
【0298】
また、制御部370は、メモリ装置に格納されたユーザ管理プログラムによりCPUが動作し、各身体洗浄部屋210が使われる度に、各身体洗浄部屋210の利用状況情報を当該部屋を使用したユーザに関連させてメモリ装置に格納する。例えば、利用状況情報は利用時間および利用水量が利用したユーザと対応付けられたデータである。
これにより、ユーザ毎の利用状況を把握することができるので、利用状況に応じた傾斜課金、利用状況に関するユーザの注意喚起等を行うことが可能になる。
【0299】
当該身体洗浄システムは水処理システムの一例であり、トイレ排水処理システム、洗濯排水処理システム、料理排水処理システム、食器洗浄廃水処理システム、洗面所の排水の処理システム等のように、各種排水の水処理システムとして構成することも可能である。
例えば、トイレ排水処理システムの場合、各身体洗浄部屋210はトイレ用個室となり、洗濯排水処理システムの場合、各身体洗浄部屋210は洗濯部屋となる。各フィルタの数や種類は水処理システムの用途に応じて適宜変更可能である。
【0300】
本発明の第6の実施形態に係る家庭用水処理装置について、図面を参照して以下に説明する。
一例の家庭用水処理装置400を図7に示す。この家庭用水処理装置400は、第1~第5の実施形態の家庭用水処理装置で用いた構成を部分的に用いている。家庭用水処理装置400は、トイレ等の排泄物処理用機器やキッチンにおける流し等の食材および食器の洗浄機器からの処理前水が溜められる排水(処理前水)タンク410と、排水タンク410で処理前水から汚泥や大きな異物が取り除かれた水が流れ込む生物処理タンク420と、生物処理タンク420の水を1種類目の第1のフィルタ11に流通させると共に2種類目の第1のフィルタ11に流通させ、2種類目の第1のフィルタ11を通過した処理後水を中間タンク320に流すポンプ20と、中間タンク320に溜められている水を第2のフィルタ12を通過させ貯水タンク330に流す第2フィルタ用ポンプ340と、貯水タンク330に溜められた処理後水を消毒部430を通過させて前記排泄物処理用機器や食材および食器の洗浄機器に送る供給管440とを備えている。排水タンク410や生物処理タンク420内の沈殿物、沈殿水、汚泥等を貯蔵する濃縮水貯蔵タンク450を備えていても良い。
【0301】
本実施形態では、1種類目の第1のフィルタ11として例えばUF膜を用いたフィルタを用いている。
処理前水タンク410は、処理前水から汚泥や大きな異物を取り除くためのフィルタであるから、3種類目の第1のフィルタ11と言うこともでき、生物処理タンク420も微生物により処理前水から所定の物質を取り除くフィルタであるから、4種類目の第1フィルタ11と言うこともできる。
【0302】
この家庭用水処理装置400は、各箇所の水質、水圧、流量等を検出するセンサ461~468も備えている。各センサ461~468は各々が水質、水圧および流量を検出するように構成されていても良いが、各々が水質、水圧および流量の何れかを検出するように構成されていても良い。また、各センサ461~468を全て設ける必要は無く、求められる機能に応じて適宜省くことが可能である。
【0303】
家庭用水処理装置400は、CPU、メモリ装置、表示装置、送受信部等を有するコンピュータから成る制御部470を有し、制御部470は、各ポンプ20,340および各センサ461~468に接続され、これら構成要素を制御したり、これら構成要素から情報を受付けたり、これら構成要素に情報を送信するようになっている。
【0304】
当該家庭用水処理装置400の制御部470は、第1~第4実施形態の家庭用水処理装置の制御部30と同様に構成されていても良い。この場合、制御部370は、第1~第4実施形態の水処理装置管理システムから受信するフィルタ交換情報、水供給場所情報等を、家庭用水処理装置400の表示装置に表示する。
この時、フィルタ交換情報は、前記1種類目~4種類目の第1のフィルタ11に関する交換フィルタ情報、第2のフィルタ12に関する交換フィルタ情報、前記1種類目~4種類目の第1のフィルタ11と第2のフィルタ12とが組合せられたフィルタユニットの交換フィルタ情報等を含む。
また、水供給場所情報は、前記1種類目~4種類目の第1のフィルタ11と第2のフィルタ12とが考慮されたものとなる。
【0305】
当該家庭用水処理装置400において、制御部470が、第1~第4実施形態の水処理装置管理システムから受信する運転指示情報に従って、生物処理タンク420に設けられた攪拌手段(エアブロー装置、プロペラ回転装置等)を制御することも可能である。
この場合、水処理装置管理システムは、当該家庭用水処理装置400から現在のフィルタユニットの構成情報や、各センサ461~468の検出値を受取り、これら情報に基づき前記運転指示情報を作成する。
【符号の説明】
【0306】
1 処理前水入口
2 処理後水出口
10 フィルタユニット
11 第1のフィルタ
12 第2のフィルタ
20 ポンプ
30 制御部
41 第1の三方弁
42 第2の三方弁
43 第3の三方弁
44 第4の三方弁
45 第5の三方弁
57 基準水流路
61 圧力センサ
62 流量センサ
63 電気伝導度センサ
64 臭いセンサ
100 フィルタ情報格納部
110 使用中フィルタ情報
120 交換フィルタ情報
130 水供給場所の情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10