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特許7341535データ処理装置、データ処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】データ処理装置、データ処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/04 20120101AFI20230904BHJP
【FI】
G06Q30/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021578158
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(86)【国際出願番号】 JP2021048970
【審査請求日】2021-12-28
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516380407
【氏名又は名称】ファーストアカウンティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】葛 鴻鵬
(72)【発明者】
【氏名】松田 顕
(72)【発明者】
【氏名】小俣 智
(72)【発明者】
【氏名】森 啓太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴亮
(72)【発明者】
【氏名】早川 将和
【合議体】
【審判長】伏本 正典
【審判官】木方 庸輔
【審判官】相崎 裕恒
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-160733(JP,A)
【文献】特開2003-30564(JP,A)
【文献】特開2021-135727(JP,A)
【文献】特開2020-154725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
宛先事業者を示す宛先事業者情報を含む請求データの作成要求を受け付ける受付部と、
前記請求データを作成する請求データ作成部と、
前記宛先事業者の支払状況に関連する情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記宛先事業者の前記支払状況に関連する情報に基づいて、当該宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であるか否かを判定する判定部と、
発行済の前記請求データの複数の前記宛先事業者のそれぞれと、前記宛先事業者の未払額に関する情報とを関連付けた宛先情報を記憶し、且つ、複数の前記宛先事業者のそれぞれに関連付けて限度額を記憶する記憶部と、を有し、
前記請求データ作成部は、前記宛先事業者の支払いが遅延するリスクが前記所定レベル以上であると前記判定部が判定した場合に、前記宛先事業者の支払いが遅延するリスクが前記所定レベル未満であると前記判定部が判定した場合と異なる特別請求データを前記請求データとして作成し、
前記取得部は、前記宛先事業者の前記支払状況に関連する情報として、前記宛先事業者に前記宛先情報において関連付けて記憶されている前記未払額に関する情報を取得し、
前記判定部は、前記取得部が取得した前記未払額に関する情報が示す未払額が前記宛先事業者に関連付けて前記記憶部に記憶された前記限度額以上である場合に、前記リスクが前記所定レベル以上であると判定し、前記取得部が取得した前記未払額に関する情報が示す未払額が前記宛先事業者に関連付けて前記記憶部に記憶された前記限度額未満である場合に、前記リスクが前記所定レベル未満であると判定する、
データ処理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、発行済の前記請求データの前記宛先事業者と、前記宛先事業者が支払いまでに要した期間に関する情報と、を関連付けてさらに憶し
前記取得部は、前記宛先事業者の前記支払状況に関連する情報として、前記宛先事業者に関連付けて前記記憶部に記憶されている当該宛先事業者が支払いまでに要した期間に関する情報を取得し、
前記判定部は、前記取得部が取得した前記未払額に関する情報が示す未払額が前記宛先事業者に関連付けて前記記憶部に記憶された前記限度額以上であって、且つ、当該宛先事業者が支払いまでに要した期間が所定期間を超過する場合に、前記リスクが前記所定レベル以上であると判定する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記宛先事業者に関連付けて前記所定期間をさらに記憶し、
前記判定部は、前記取得部が取得した前記未払額に関する情報が示す未払額が前記宛先事業者に関連付けて前記記憶部に記憶された前記限度額以上であって、且つ、前記宛先事業者が支払いまでに要した期間が当該宛先事業者に関連付けて前記記憶部に記憶された前記所定期間を超過する場合に、前記リスクが前記所定レベル以上であると判定する、
請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、発行済の前記請求データの前記宛先事業者と、前記請求データの発行日又は支払期限日と、前記請求データに対する入金日と、を関連付けてさらに憶し
前記データ処理装置は、前記宛先事業者情報が示す前記宛先事業者に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記発行日及び前記入金日を特定する特定部をさらに備え、
前記請求データ作成部は、前記特定部が特定した前記発行日又は前記支払期限日から所定期間以内の前記入金日が前記記憶部に記憶されていない場合に、前記発行日又は前記支払期限日から前記所定期間以内の前記入金日が前記記憶部に記憶されている場合の請求額に所定の金額を加算した額を請求額とする前記特別請求データを作成する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記宛先事業者に関連付けて、基準期間内に前記特別請求データが作成された累積回数をさらに記憶し、
前記請求データ作成部は、前記特別請求データを作成した場合に、当該宛先事業者に関連付けて前記記憶部に記憶された前記累積回数を更新する、
請求項4に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記請求データ作成部は、前記累積回数が所定値以上である場合に、直前に作成した前記請求データの前記発行日から所定の期間以内の前記入金日が前記記憶部に記憶されているとしても前記特別請求データを作成する、
請求項5に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記請求データ作成部は、前記宛先事業者の支払いが遅延するリスクが前記所定レベル以上であると前記判定部が判定した場合に、前記宛先事業者の支払いが遅延するリスクが前記所定レベル未満であると前記判定部が判定した場合よりも入金期限を強調して表示した前記特別請求データを作成する、
請求項1からのいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記請求データに係る請求元の担当者から前記請求データの作成要求を受け付ける受付部と、
前記請求データ作成部が前記特別請求データを作成した場合に、前記担当者に対して警告情報を送信する送信制御部と、
をさらに有する、
請求項1からのいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する、
宛先事業者を示す宛先事業者情報を含む請求データの作成要求を受け付けるステップと、
発行済の前記請求データの複数の前記宛先事業者のそれぞれと、前記宛先事業者の未払額に関する情報とを関連付けた宛先情報を記憶する記憶部を参照して、宛先事業者の支払状況に関連する情報として、前記宛先事業者に前記宛先情報に関連付けて記憶されている前記未払額に関する情報を取得するステップと、
取得した前記宛先事業者の支払状況に関連する情報に基づいて、当該宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であるか否かを判定し、複数の前記宛先事業者のそれぞれに関連付けて限度額を記憶する前記記憶部を参照して、取得した前記未払額に関する情報が示す未払額が前記宛先事業者に関連付けて前記記憶部に記憶された前記限度額以上である場合に、前記リスクが前記所定レベル以上であると判定し、取得した前記未払額に関する情報が示す未払額が前記宛先事業者に関連付けて前記記憶部に記憶された前記限度額未満である場合に、前記リスクが前記所定レベル未満であると判定するステップと、
前記宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル未満であると判定した場合に、前記請求データを作成し、前記宛先事業者の支払いが遅延するリスクが前記所定レベル以上であると判定した場合に、前記宛先事業者の支払いが遅延するリスクが前記所定レベル未満であると判定した場合と異なる特別請求データを前記請求データとして作成するステップと、
を有する、
データ処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
宛先事業者を示す宛先事業者情報を含む請求データの作成要求を受け付けるステップと、
発行済の前記請求データの複数の前記宛先事業者のそれぞれと、前記宛先事業者の未払額に関する情報とを関連付けた宛先情報を記憶する記憶部を参照して、宛先事業者の支払状況に関連する情報として、前記宛先事業者に前記宛先情報に関連付けて記憶されている前記未払額に関する情報を取得するステップと、
取得した前記宛先事業者の支払状況に関連する情報に基づいて、当該宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であるか否かを判定し、複数の前記宛先事業者のそれぞれに関連付けて限度額を記憶する前記記憶部を参照して、取得した前記未払額に関する情報が示す未払額が前記宛先事業者に関連付けて前記記憶部に記憶された前記限度額以上である場合に、前記リスクが前記所定レベル以上であると判定し、取得した前記未払額に関する情報が示す未払額が前記宛先事業者に関連付けて前記記憶部に記憶された前記限度額未満である場合に、前記リスクが前記所定レベル未満であると判定するステップと、
前記宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル未満であると判定した場合に、前記請求データを作成し、前記宛先事業者の支払いが遅延するリスクが前記所定レベル以上であると判定した場合に、前記宛先事業者の支払いが遅延するリスクが前記所定レベル未満であると判定した場合と異なる特別請求データを前記請求データとして作成するステップと、
を実行させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求データを処理するためのデータ処理装置、データ処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
債務者等の宛先事業者に対し、請求データを送信することが広く行われている。例えば、特許文献1には、延滞3か月以上の債務者を抽出して請求データを送信することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-160733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
宛先事業者によっては支払いを遅延するリスクが高かったり、既に支払いを遅延していたりすることがある。特許文献1に記載された技術では、このような宛先事業者が支払いを遅延するリスクを低減することができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、宛先事業者が支払いを遅延するリスクを低減することができるデータ処理装置、データ処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係るデータ処理装置は、宛先事業者を示す宛先事業者情報を含む請求データの作成要求を受け付ける受付部と、前記請求データを作成する請求データ作成部と、前記宛先事業者の支払状況に関連する情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記宛先事業者の前記支払状況に関連する情報に基づいて、当該宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であるか否かを判定する判定部と、を有し、前記請求データ作成部は、前記宛先事業者の支払いが遅延するリスクが前記所定レベル以上であると前記判定部が判定した場合に、前記宛先事業者の支払いが遅延するリスクが前記所定レベル未満であると前記判定部が判定した場合と異なる特別請求データを前記請求データとして作成する。
【0007】
前記データ処理装置は、発行済の前記請求データの前記宛先事業者と、前記宛先事業者が支払いまでに要した期間に関する情報と、を関連付けて記憶する記憶部をさらに有し、前記取得部は、前記宛先事業者の前記支払状況に関連する情報として、前記宛先事業者に関連付けて前記記憶部に記憶されている当該宛先事業者が支払いまでに要した期間に関する情報を取得し、前記判定部は、当該宛先事業者が支払いまでに要した期間が所定期間を超過する場合に、前記リスクが前記所定レベル以上であると判定してもよい。
【0008】
前記記憶部は、前記宛先事業者に関連付けて前記所定期間を記憶し、前記判定部は、前記宛先事業者が支払いまでに要した期間が当該宛先事業者に関連付けて前記記憶部に記憶された前記所定期間を超過する場合に、前記リスクが前記所定レベル以上であると判定してもよい。
【0009】
前記データ処理装置は、発行済の前記請求データの前記宛先事業者と、前記宛先事業者の未払額に関する情報とを関連付けた宛先情報を記憶する記憶部をさらに有し、前記取得部は、前記宛先事業者の前記支払状況に関連する情報として、前記宛先事業者に前記宛先情報に関連付けて記憶されている前記未払額に関する情報を取得し、前記判定部は、前記未払額に関する情報が示す未払額が限度額以上である場合に、前記リスクが前記所定レベル以上であると判定してもよい。
【0010】
前記記憶部は、前記宛先事業者に関連付けて前記限度額を記憶し、前記判定部は、前記未払額に関する情報が示す未払額が前記宛先事業者に関連付けて前記記憶部に記憶された前記限度額以上である場合に、前記リスクが前記所定レベル以上であると判定してもよい。
【0011】
前記データ処理装置は、発行済の前記請求データの前記宛先事業者と、前記請求データの発行日又は支払期限日と、前記請求データに対する入金日と、を関連付けて記憶する記憶部と、前記宛先事業者情報が示す前記宛先事業者に関連付けて前記記憶部に記憶されている前記発行日及び前記入金日を特定する特定部と、をさらに備え、前記請求データ作成部は、前記特定部が特定した前記発行日又は前記支払期限日から所定期間以内の前記入金日が前記記憶部に記憶されていない場合に、前記発行日又は前記支払期限日から前記所定期間以内の前記入金日が前記記憶部に記憶されている場合の請求額に所定の金額を加算した額を請求額とする前記特別請求データを作成してもよい。
【0012】
前記記憶部は、前記宛先事業者に関連付けて、基準期間内に前記特別請求データが作成された累積回数を記憶し、前記請求データ作成部は、前記特別請求データを作成した場合に、当該宛先事業者に関連付けて前記記憶部に記憶された前記累積回数を更新してもよい。前記請求データ作成部は、前記累積回数が所定値以上である場合に、直前に作成した前記請求データの前記発行日から所定の期間以内の前記入金日が前記記憶部に記憶されているとしても前記特別請求データを作成してもよい。
【0013】
前記取得部は、前記宛先事業者の前記支払状況に関連する情報として、当該宛先事業者に督促が行われた回数を示す情報を取得し、前記判定部は、前記宛先事業者に督促が行われた回数を示す情報に基づいて、当該宛先事業者の支払いが遅延するリスクが前記所定レベル以上であるか否かを判定してもよい。
【0014】
前記請求データ作成部は、前記宛先事業者の支払いが遅延するリスクが前記所定レベル以上であると前記判定部が判定した場合に、前記宛先事業者の支払いが遅延するリスクが前記所定レベル未満であると前記判定部が判定した場合よりも入金期限を強調して表示した前記特別請求データを作成してもよい。
【0015】
前記データ処理装置は、前記請求データに係る請求元の担当者から前記請求データの作成要求を受け付ける受付部と、前記請求データ作成部が前記特別請求データを作成した場合に、前記担当者に対して警告情報を送信する送信制御部と、をさらに有してもよい。
【0016】
本発明の第2の態様に係るデータ処理方法は、コンピュータが実行する、宛先事業者を示す宛先事業者情報を含む請求データの作成要求を受け付けるステップと、前記宛先事業者の支払状況に関連する情報を取得するステップと、取得した前記宛先事業者の支払状況に関連する情報に基づいて、当該宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であるか否かを判定するステップと、前記宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル未満であると判定した場合に、前記請求データを作成し、前記宛先事業者の支払いが遅延するリスクが前記所定レベル以上であると判定した場合に、前記宛先事業者の支払いが遅延するリスクが前記所定レベル未満であると判定した場合と異なる特別請求データを前記請求データとして作成するステップと、を有する。
【0017】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、コンピュータに、宛先事業者を示す宛先事業者情報を含む請求データの作成要求を受け付けるステップと、前記宛先事業者の支払状況に関連する情報を取得するステップと、取得した前記宛先事業者の支払状況に関連する情報に基づいて、当該宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であるか否かを判定するステップと、前記宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル未満であると判定した場合に、前記請求データを作成し、前記宛先事業者の支払いが遅延するリスクが前記所定レベル以上であると判定した場合に、前記宛先事業者の支払いが遅延するリスクが前記所定レベル未満であると判定した場合と異なる特別請求データを前記請求データとして作成するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、宛先事業者が支払いを遅延するリスクを低減するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態に係るデータ処理システムの概要を説明するための図である。
図2】担当者端末の構成を示す。
図3】データ処理装置の構成を示す。
図4】判定部による宛先事業者の支払が遅延するリスクの判定方法を説明するための図である。
図5】請求データ作成部による請求データの作成の例を示す。
図6】請求データ作成部による請求データの作成の例を示す。
図7】データ処理装置による請求データの作成の処理手順を示すフローチャートである。
図8】第2の実施形態のデータ処理装置の構成を示す。
図9】記憶部に記憶されている宛先情報の例を示す。
図10】記憶部に記憶されている基準情報の例を示す。
図11】請求データ作成部が作成する特別請求データの例を示す。
図12】第2の実施形態のデータ処理装置による請求データの作成の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[データ処理システムSの概要]
図1は、第1の実施形態に係るデータ処理システムSの概要を説明するための図である。データ処理システムSは、複数の担当者端末1(図1中の担当者端末1-1又は担当者端末1-2)、データ処理装置2、複数の外部装置3(図1中の外部装置3-1又は外部装置3-2)を備える。
【0021】
担当者端末1は、例えば、コンピュータである。担当者端末1は、データ処理装置2を管理する事業者に所属する会計又は経理の担当者により使用される。
【0022】
データ処理装置2は、ネットワークNを介して、複数の担当者端末1と通信する。データ処理装置2は、例えば事業者のローカルネットワークに接続されたサーバであるが、クラウドサーバであってもよい。データ処理装置2は、担当者端末1から請求データの作成要求を受け付ける。作成要求は、請求データの宛先事業者を示す宛先事業者情報を含む。
【0023】
データ処理装置2は、請求データの作成要求を担当者端末1から受け付ける。作成要求は、宛先事業者を示す宛先事業者情報を含む。データ処理装置2は、この宛先事業者の支払状況に関連する情報を複数の担当者端末1(図1中の担当者端末1-1又は担当者端末1-2)から取得する。宛先事業者の支払状況に関連する情報は、例えば、発行した請求書に記載した支払期限までに宛先事業者が入金を完了しているかどうかを示す情報、又は複数の担当者端末1が外部装置3(図1中の外部装置3-1又は外部装置3-2)へ料金の支払を督促する督促データを送信した回数を示す情報である。詳細については後述するが、データ処理装置2は、取得した宛先事業者の支払状況に関連する情報に基づいて、宛先事業者の支払いが遅延するリスクを特定する。
【0024】
データ処理装置2は、宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル未満であると判定した場合に、通常請求データを作成し、この宛先事業者の外部装置3へ作成した通常請求データを送信する。通常請求データは、支払期限が強調して記載されていたり、警告が記載されたりしていない請求書に対応するテキストデータ又は画像データである。データ処理装置2は、宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であると判定した場合に、通常請求データと異なる特別請求データを作成し、この宛先事業者の外部装置3へ作成した特別請求データを送信する。特別請求データは、支払期限が強調して記載されていたり、警告が記載されたりする請求書に対応するテキストデータ又は画像データである。
【0025】
このようにして、データ処理装置2は、宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であると判定した場合に、支払いを遅延するリスクが高い宛先事業者向けの特別請求データを送信する。このため、データ処理装置2は、宛先事業者が支払を遅延するリスクを低減することができる。
【0026】
<第1の実施形態>
[担当者端末1の構成]
図2は、担当者端末1の構成を示す。担当者端末1は、操作部11、通信部12、記憶部13及び制御部14を備える。制御部14は、操作受付部141、通信制御部142及び状況通知部143を備える。
【0027】
操作部11は、例えば、キーボード又はタッチパネルである。通信部12は、データ処理装置2又は複数の外部装置3と通信するためのインターフェースである。
【0028】
記憶部13は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体を有する。記憶部13は、制御部14が実行するプログラムを記憶する。制御部14は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部14は、記憶部13に記憶されたプログラムを実行することにより、操作受付部141、通信制御部142及び状況通知部143として機能する。
【0029】
操作受付部141は、操作部11に対するユーザの操作を受け付ける。例えば、操作受付部141は、宛先事業者が使用する外部装置3へ料金の支払を督促する督促データを送信することを指示するユーザの操作を受け付ける。操作受付部141は、受け付けた操作を通信制御部142及び状況通知部143へ通知する。
【0030】
通信制御部142は、通信部12を介して、データ処理装置2又は複数の外部装置3と通信する。通信制御部142は、請求データの作成要求をデータ処理装置2へ送信する。この作成要求は、宛先事業者を示す宛先事業者情報を含む。通信制御部142は、例えば、経理担当者の操作に応じて、宛先事業者が使用する外部装置3へ料金の支払を督促する督促データを送信する。
【0031】
状況通知部143は、通信部12を介して、データ処理装置2と通信する。状況通知部143は、宛先事業者の支払状況に関連する情報をデータ処理装置2へ送信する。例えば、宛先事業者の支払状況に関連する情報は、宛先事業者の外部装置3へ督促データを送信した回数を示す情報である。より詳しくは、状況通知部143は、宛先事業者の外部装置3へ督促データを送信する操作を操作受付部141が受け付けた回数を宛先事業者ごとに計数する。状況通知部143は、宛先事業者の支払状況に関連する情報として、宛先事業者と、この宛先事業者の外部装置3へ督促データを送信する操作を操作受付部141が受け付けた回数とを関連付けてデータ処理装置2へ送信する。
【0032】
[データ処理装置2の構成]
図3は、データ処理装置2の構成を示す。データ処理装置2は、通信部21、記憶部22及び制御部23を備える。制御部23は、受付部231、取得部232、判定部233、請求データ作成部234及び通信制御部235を備える。
【0033】
通信部21は、複数の担当者端末1又は複数の外部装置3と通信するためのインターフェースである。記憶部22は、例えばROM、RAM及びハードディスク等の記憶媒体を有する。記憶部22は、制御部23が実行するプログラムを記憶する。記憶部22には、発行済みの請求データの宛先事業者と、この宛先事業者の支払状況に関連する情報とを関連付けた宛先情報が記憶されている。
【0034】
図4は、宛先情報の例を示す。図4に示す宛先情報には、宛先事業者の支払状況に関連する情報として、宛先事業者に督促データが送信された回数が記憶されている。図4の上から1段目の例では、宛先事業者「A社」と、宛先事業者「A社」に督促データが送信された回数「0(回)」とが関連付けられている。図4の上から2段目の例では、宛先事業者「B社」と、宛先事業者「B社」に督促データが送信された回数「3(回)」とが関連付けられている。
【0035】
この宛先情報が示す回数は、例えば、複数の宛先事業者の外部装置3へ通信制御部235が督促データを送信した回数である。宛先情報が示す回数は、受付部231を介して取得部232が複数の担当者端末1から取得した回数であってもよい。制御部23は、複数の宛先事業者と、それぞれの宛先事業者の外部装置3へ督促データを送信した回数とを関連付けて宛先情報として記憶部22に記憶させる。
【0036】
制御部23は、複数の担当者端末1が同じ宛先事業者の外部装置3へ督促データを送信した場合には、複数の担当者端末1が同じ宛先事業者の外部装置3へ督促データを送信した回数の合計値を、督促データを送信した回数として記憶部22に記憶させる。制御部23は、督促データを送信した回数が1回以上の宛先事業者が所定の回数(例えば6回)にわたって連続して入金期限までに入金された場合に、回数を0回に初期化してもよい。
【0037】
図3の制御部23は、例えばCPUである。制御部23は、記憶部13に記憶されたプログラムを実行することにより、受付部231、取得部232、判定部233、請求データ作成部234及び通信制御部235として機能する。
【0038】
受付部231は、通信部21を介して、複数の担当者端末1と通信する。受付部231は、請求データの作成要求を受け付ける。例えば、受付部231は、請求データに係る請求元の担当者の担当者端末1から請求データの作成要求を受け付ける。作成要求は、宛先事業者を示す宛先事業者情報を含む。受付部231は、受け付けた作成要求を取得部232へ出力する。
【0039】
取得部232は、宛先事業者の支払状況に関連する情報を取得する。上述のとおり、宛先事業者の支払状況に関連する情報は、例えば発行した請求書に記載した支払期限までに宛先事業者が入金を完了しているかどうかを示す情報、又は宛先事業者に督促が行われた回数を示す情報である。まず、取得部232は、宛先事業者と、宛先事業者の支払状況に関連する情報と関連付けた宛先情報を記憶部22から読み出す。取得部232は、読み出した宛先情報を参照して、受付部231が受け付けた請求データの作成要求に含まれる宛先事業者情報が示す宛先事業者に関連付けて記憶されている宛先事業者の支払状況に関連する情報を取得する。取得部232は、取得した宛先事業者の支払状況に関連する情報を判定部233へ出力する。
【0040】
[支払いが遅延するリスクの評価]
判定部233は、取得部232が取得した宛先事業者の支払状況に関連する情報に基づいて、宛先事業者の支払が遅延するリスクは所定レベル以上であるか否かを判定する。例えば、判定部233は、取得部232が取得した宛先事業者に督促が行われた回数を示す情報に基づいて、宛先事業者の支払が遅延するリスクは所定レベル以上であるか否かを判定する。判定部233は、宛先事業者に督促が行われた回数が所定回数以上である場合に、宛先事業者の支払が遅延するリスクは所定レベル以上であると判定する。判定部233は、宛先事業者に督促が行われた回数が所定回数未満である場合に、宛先事業者の支払が遅延するリスクは所定レベル未満であると判定する。
【0041】
図4を参照して、判定部233による宛先事業者の支払が遅延するリスクの判定方法を説明する。判定部233は、図4の上から1段目の例において宛先事業者「A社」へ督促データが送信された回数が「0」回であることを特定する。図4の例では、所定回数は2回である。判定部233は、宛先事業者「A社」に督促が行われた回数(0回)が所定回数(2回)未満であるため、宛先事業者「A社」の支払が遅延するリスクが所定レベル未満であると判定する。
【0042】
一方、判定部233は、図4の上から2段目の例において宛先事業者「B社」へ督促データが送信された回数が「3」回であることを特定する。判定部233は、宛先事業者「B社」に督促が行われた回数(3回)が所定回数(2回)以上であるため、宛先事業者「B社」の支払が遅延するリスクが所定レベル以上であると判定する。また、所定回数は、宛先事業者ごとに異なる値が設定されていてもよい。例えば、発行済みの請求データに対する宛先事業者のこれまでの累積の支払回数が多いほど、この宛先事業者に割り当てる所定回数として大きな値が設定されていてもよい。
【0043】
[請求データの作成]
請求データ作成部234は、請求データを作成する。請求データ作成部234は、宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル未満であると判定部233が判定した場合に、通常請求データを請求データとして作成する。通常請求データは、例えば、支払いを遅延するリスクが比較的低い宛先事業者向けの請求データである。
【0044】
請求データ作成部234は、宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であると判定部233が判定した場合に、通常請求データと異なる特別請求データを請求データとして作成する。特別請求データは、例えば、支払いを遅延するリスクが比較的高い宛先事業者向けの請求データである。
【0045】
図5及び図6は、請求データ作成部234による請求データの作成の例を示す。図5は、請求データ作成部234が作成した通常請求データの例を示す。図6は、請求データ作成部234が作成した特別請求データの例を示す。図5の例では、請求データ作成部234は、入金期限を示すメッセージ「2021年7月末日までにお支払いください。」が他のテキストと同等の態様で記載された通常請求データを作成する。
【0046】
図6の例に示すように、請求データ作成部234は、宛先事業者の支払が遅延するリスクが所定レベル以上であると判定部233が判定した場合に、通常請求データよりも入金期限を強調して表示した特別請求データを作成する。図6の例では、請求データ作成部234は、特別請求データにおいて入金期限を示すメッセージ「2021年8月末日までにお支払いください。」を図5の例より大きな文字で矩形の太枠内に記載している。
【0047】
[請求データ、警告情報の送信]
図3の通信制御部235は、通信部21を介して、宛先事業者が管理する外部装置3と通信する。通信制御部235は、請求データの作成要求に含まれる宛先事業者情報が示す宛先事業者の外部装置3に対し、請求データ作成部234が作成した通常請求データ又は特別請求データを送信する。
【0048】
また、通信制御部235は、担当者端末1にも各種のデータを送信する。通信制御部235は、例えば、請求データを送信した場合に、請求データの送信が完了したこと示すデータを担当者端末1に送信する。また、通信制御部235は、請求データ作成部234が特別請求データを作成した場合に、請求データに係る請求元の担当者の担当者端末1に対して警告情報を送信する。警告情報は、例えば、宛先事業者の支払が遅延するリスクがあることを示すメッセージを含む。
【0049】
[請求データの作成の処理手順]
図7は、データ処理装置2による請求データの作成の処理手順を示すフローチャートである。この処理手順は、担当者端末1が請求データの作成要求をデータ処理装置2へ送信したときに開始する。
【0050】
まず、受付部231は、請求データの作成要求を担当者端末1から受け付ける(S101)。取得部232は、請求データの作成要求に含まれる宛先事業者情報が示す宛先事業者を特定する。取得部232は、記憶部22に記憶されている宛先情報を参照して、特定した宛先事業者に関連付けて記憶されている宛先事業者の外部装置3へ督促データを送信した回数を示す情報を取得する(S102)。判定部233は、宛先事業者に督促データを送信した回数が所定回数以上であるか否かを判定する(S103)。
【0051】
請求データ作成部234は、宛先事業者に督促データを送信した回数が所定回数以上であると判定した場合に(S103のYES)、特別請求データを作成する(S104)。通信制御部235は、請求データ作成部234が作成した特別請求データを宛先事業者情報が示す宛先事業者の外部装置3へ送信し、処理を終了する。請求データ作成部234は、宛先事業者に督促データを送信した回数が所定回数未満であると判定した場合に(S103のNO)、通常請求データを作成する(S105)。通信制御部235は、請求データ作成部234が作成した通常請求データを宛先事業者情報が示す宛先事業者の外部装置3へ送信し、処理を終了する。
【0052】
[第1の実施形態のデータ処理装置2による効果]
第1の実施形態のデータ処理装置2によれば、請求データ作成部234は、担当者端末1が督促データを送信した回数が比較的多い宛先事業者に対し、通常請求データよりも入金期限を強調して表示した特別請求データを作成する。通信制御部235は、この特別請求データを宛先事業者の外部装置3へ送信することにより、宛先事業者による支払いの遅延が発生することを抑制することができる。
【0053】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、判定部233は、宛先事業者に督促が行われた回数を示す情報に基づいて、宛先事業者の支払が遅延するリスクが所定レベル以上であるか否かを判定する場合の例について説明した。これに対し、第2の実施形態では、判定部233は、宛先事業者が支払いまでに要した期間又は未払額に基づいて、宛先事業者の支払が遅延するリスクが所定レベル以上であるか否かを判定する例について説明する。
【0054】
図8は、第2の実施形態のデータ処理装置2Aの構成を示す。データ処理装置2Aは、取得部301、特定部302、判定部303及び請求データ作成部304を備える点において図3のデータ処理装置2と異なる。図8のデータ処理装置2Aにおいて図2と同様の構成については図3と同じ符号を付して説明を省略する。
【0055】
第2の実施形態では、記憶部22には、発行済みの請求データの宛先事業者と、宛先事業者の支払状況に関連する情報とを関連付けた宛先情報が記憶されている。第2の実施形態の例では、宛先事業者の支払状況に関連する情報は、宛先事業者が支払いまでに要した期間に関する情報である。例えば、宛先事業者が支払いまでに要した期間に関する情報は、請求データの発行日又は支払期限日と、請求データに対する入金日とを含む。宛先事業者が支払いまでに要した期間は、請求データの発行日又は支払期限日から請求データに対する入金日までの期間である。宛先事業者が支払いまでに要した期間は、請求データの送信日から請求データに対する入金日までの期間であってもよい。また、宛先事業者の支払状況に関連する情報は、宛先事業者の未払額に関する情報であってもよい。
【0056】
図9は、記憶部22に記憶されている宛先情報の例を示す。図9に示す宛先情報には、宛先事業者と、請求書IDと、請求書の発行日と、支払期限日と、入金日と、請求額と、未払額と、取引対象の品目とが関連付けられている。図9の上から1段目の例では、宛先事業者「A社」と、請求書ID「T0103009」と、請求書の発行日「2021/3/2」と、支払期限日「2021/3/12」と、入金日「2021/3/10」と、請求額「20,000(円)」と、未払額「0(円)」と、取引対象の品目「タイヤ」とが関連付けられている。
【0057】
未払額「0(円)」は、料金が現時点(2021/12/12)で支払済であることを示している。図9の上から7段目の例では、宛先事業者「B社」と、請求書ID「T0203013」と、請求書の発行日「2021/4/1」と、支払期限日「2021/4/11」と、入金日「-(ハイフン)」と、請求額「100,000(円)」と、未払額「100,000(円)」と、取引対象の品目「カーナビ」とが関連付けられている。入金日「-(ハイフン)」は、料金が支払われていないことを示している。
【0058】
また、記憶部22には、特別請求データを発行するか否かを判定するために用いられる基準情報が記憶されていてもよい。図10は、記憶部22に記憶されている基準情報の例を示す。基準情報は、宛先事業者と、所定期間と、限度額と、累積回数とが関連付けられた情報である。所定期間は、宛先事業者のリスクが所定レベル以上であると判定する基準となる、宛先事業者が支払いまでに要した期間である。限度額は、宛先事業者のリスクが所定レベル以上であると判定する基準となる未払額である。累積回数は、請求データ作成部304が基準期間内に特別請求データが作成した回数である。基準期間は、宛先事業者に対して特別請求データが作成された頻度の多さを判定するために用いられる期間であり、例えば6ヵ月である。基準情報には、所定期間、限度額及び累積回数のうち一つ又は二つの情報が記憶されていなくてもよい。
【0059】
図10の上から1段目の例では、宛先事業者「A社」と、所定期間「40(日)」と、限度額「500,000(円)」と、累積回数「0(回)」とが関連付けられている。図10の上から2段目の例では、宛先事業者「B社」と、所定期間「20(日)」と、限度額「300,000(円)」と、累積回数「5(回)」とが関連付けられている。限度額は、例えば、累積回数が多いほど、小さな値が定められてもよい。限度額は、例えばデータ処理装置2を利用する事業者により決定されるが、宛先事業者の時価総額、又は、宛先事業者が東証一部等の株取引市場に上場している否かに基づいて定められてもよい。
【0060】
取得部301は、宛先事業者の支払状況に関連する情報を取得する。例えば、宛先事業者の支払状況に関連する情報は、宛先事業者が支払いまでに要した期間に関する情報である。より詳しくは、取得部301は、記憶部22に記憶されている宛先情報を参照して、受付部231が受け付けた作成要求に含まれる宛先事業者情報が示す宛先事業者に関連付けて記憶されている、宛先事業者が支払いまでに要した期間に関する情報を取得する。宛先事業者が支払いまでに要した期間に関する情報は、例えば、宛先事業者が支払いまでに要した期間を示す。宛先事業者が支払いまでに要した期間に関する情報は、宛先事業者が所定期間内に支払を行ったか否かを示す情報であってもよい。所定期間は、例えば、担当者端末1の担当者により指定される。
【0061】
取得部301は、記憶部22に記憶されている宛先情報を参照して、受付部231が受け付けた作成要求に含まれる宛先情報が示す宛先事業者に関連付けて記憶されている宛先事業者の未払額に関する情報を取得する。宛先事業者の未払額に関する情報は、例えば、発行済みの請求データに対する宛先事業者の未払額を請求データごとに示す情報を含む。
【0062】
特定部302は、発行済みの請求データの発行日及び入金日を特定する。まず、特定部302は、記憶部22に記憶されている宛先情報を記憶部22から読み出す。特定部302は、読み出した宛先情報を参照して、請求データの作成要求に含まれる宛先事業者情報が示す宛先事業者に関連付けて記憶されている請求データの発行日及び入金日を特定する。特定部302は、特定した請求データの発行日及び入金日を判定部303に通知する。特定部302は、宛先情報において発行済の請求データに対する入金日が記憶されていない場合に、入金日が記憶されていないことを判定部303に通知する。
【0063】
[支払いが遅延するリスクの評価]
判定部303は、宛先事業者が支払いまでに要した期間に基づいて、及び取得部301が取得した宛先事業者の未払額に関する情報に基づいて、宛先事業者の支払が遅延するリスクが所定レベル以上であるか否かを判定してもよい。図9を参照して、宛先事業者の支払が遅延するリスクを判定部303が評価する方法を説明する。ここでは、図10に示すように、宛先事業者「A社」に対応する所定期間が40日間であり、未払いの限度額が500,000円であるとする。また、宛先事業者「B社」に対応する所定期間が20日であり、未払いの限度額が200,000円であるとする。
【0064】
図9の上から1段目から5段目までは、宛先事業者「A社」に関連付けられた請求書ID、請求書の発行日、支払期限日、入金日、請求額、未払額及び取引対象の品目を示す。図9の上から1段目から5段目までの例では、料金は、請求書の発行日から所定期間(40日)以内にいずれも支払われている。図9の上から1段目から5段目までの例では、未払額は、いずれも0円である。
【0065】
判定部303は、宛先事業者「A社」が支払いまでに要した期間が所定期間(40日)を超過した全ての請求書データについての現時点(2021年12月12日)での未払額の総額を算出する。図9の例では、判定部303が算出した宛先事業者「A社」の未払額の総額は0円である。判定部303は、算出した総額(0円)が限度額(500,000円)以下であるため、宛先事業者「A社」の支払いが遅延するリスクが所定レベル未満であると判定する。
【0066】
図9の上から6段目から10段目までは、宛先事業者「B社」に関連付けられた請求書ID、請求書の発行日、支払期限日、入金日、請求額、未払額及び取引対象の品目を示す。図9の上から6段目の例では、料金は、請求書の発行日(2021年3月12日)から所定期間(20日)以内に払われており、未払いは発生していない。
【0067】
一方、図9の上から7段目の例では、請求書の発行日から現時点(2021年12月12日)まで料金が全く支払われていないため、請求書の発行日から料金の支払いまでの期間が所定期間(20日)を超過しており、現時点(2021年12月12日)で100,000円の未払いが発生している。図9の上から8段目の例では、請求書の発行日(2021年5月15日)から所定期間(20日)を超過したタイミング(2021年9月25日)で料金が支払われており、現時点(2021年12月12日)で10,000円の未払いが発生している。
【0068】
図9の上から9段目の例では、請求書の発行日(2021年6月8日)から所定期間(20日)以内に料金が支払われておらず、現時点(2021年12月12日)で90,000円の未払いが発生している。図9の上から10段目の例では、請求書の発行日から所定期間(20日)を超過したタイミング(2021年12月2日)で料金が支払われているが、現時点(2021年12月12日)で未払いは発生していない。
【0069】
判定部303は、宛先事業者「B社」が支払いまでに要した期間が所定期間(20日)を超過した請求書データに対応する現時点(2021年12月12日)での未払額の総額を算出する。図9の例では、判定部303が算出した宛先事業者「B社」の未払額の総額は200,000円である。判定部303は、算出した宛先事業者「B社」の総額(200,000円)が限度額(200,000円)以上であるため、宛先事業者「B社」の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であると判定する。
【0070】
また、判定部303は、宛先事業者が支払いまでに要した期間と、宛先事業者の未払額との両方に基づいて、宛先事業者の支払が遅延するリスクが所定レベル以上であるか否かを判定する例に限定されない。判定部303は、宛先事業者が支払いまでに要した期間と、宛先事業者の未払額とのいずれか一方に基づいて、宛先事業者の支払が遅延するリスクが所定レベル以上であるか否かを判定してもよい。
【0071】
例えば、判定部303は、宛先事業者が支払いまでに要した期間が所定期間を超過する場合に、宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であると判定してもよい。例えば、判定部303は、特定部302が特定した発行日又は支払期限日から所定期間以内の入金日が記憶部22の宛先情報(図9参照)に記憶されていない場合に、宛先事業者が支払いまでに要した期間が所定期間を超過するとみなす。
【0072】
一方、判定部303は、宛先事業者が支払いまでに要した期間が所定期間以内である場合に、宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル未満であると判定してもよい。例えば、判定部303は、請求データの発行日又は支払期限日から所定期間以内の入金日が記憶部22の宛先情報に記憶されている場合に、宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル未満であると判定してもよい。
【0073】
また、判定部303は、取得部301が取得した未払額に関する情報が示す未払額が限度額以上である場合に、宛先事業者の支払が遅延するリスクが所定レベル以上であると判定してもよい。一方、判定部303は、取得部301が取得した未払額に関する情報が示す未払額が限度額未満である場合に、宛先事業者の支払が遅延するリスクが所定レベル未満であると判定してもよい。宛先事業者の未払額が大きくなると、請求データの請求元が被る損害が大きくなる。このため、判定部303は、宛先事業者の未払額を参照して宛先事業者の支払が遅延するリスクを評価することにより、請求データの請求元が被るリスクを低減することができる。
【0074】
また、宛先事業者の支払いが遅延するリスクを判定するための所定期間は、宛先事業者ごとに定められていてもよい。判定部303は、判定部303は、受付部231が受け付けた請求データの作成要求に含まれる宛先事業者情報が示す宛先事業者を特定する。判定部303は、宛先事業者と、所定期間とを関連付けた基準情報を記憶部22から読み出す。判定部303は、読み出した基準情報を参照して、特定した宛先事業者に関連付けて記憶されている所定期間を特定する。判定部303は、宛先事業者が支払いまでに要した期間が特定した所定期間を超過する場合に、宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であると判定してもよい。判定部303は、宛先事業者が支払いまでに要した期間が特定した所定期間以内である場合に、宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル未満であると判定してもよい。
【0075】
宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であるか否かを判定するための限度額は、宛先事業者ごとに定められていてもよい。判定部303は、宛先事業者と、限度額とを関連付けた基準情報を記憶部22から読み出す。判定部303は、読み出した基準情報を参照して、宛先事業者に関連付けて記憶されている限度額を特定する。判定部303は、取得部232が取得した未払額に関する情報が示す未払額が特定した限度額以上である場合に、宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であると判定してもよい。判定部303は、取得部232が取得した未払額に関する情報が示す未払額が特定した限度額未満である場合に、宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であると判定してもよい。
【0076】
[請求データの作成]
請求データ作成部304は、第1の実施形態と同様に、宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であると判定部303が判定した場合に、通常請求データと異なる特別請求データを請求データとして作成する。一方、請求データ作成部304は、宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル未満であると判定部303が判定した場合に、通常請求データと異なる特別請求データを請求データとして作成する。請求データ作成部304は、この特別請求データにおいて通常請求データの請求額に所定の金額(以下、「所定の支払遅延金」という)を加算した額を請求額とする特別請求データを作成してもよい。
【0077】
図11は、請求データ作成部304が作成する特別請求データの例を示す。図11に示す特別請求データは、請求の項目に支払遅延金が含まれている点において図6の例と異なる。図11には、支払遅延金の項目に下線を付して示す。図11の例では、請求データ作成部304は、通常請求データを作成した場合の請求額(すなわち、支払遅延金を請求しない場合の請求額)に、その時点での未払額に対応する支払遅延金(125,000円)を加算した額を請求額とする特別請求データを作成する。支払遅延金の金額は、契約又は法律等により定められた率を未払額に乗算することにより算出される。
【0078】
記憶部22には、宛先事業者と、累積回数と関連付けた基準情報が記憶されている。累積回数は、請求データ作成部304が基準期間内に特別請求データが作成した回数である。請求データ作成部304は、特別請求データを作成した場合に、宛先事業者に関連付けて記憶部22の基準情報に記憶された累積回数を更新する。例えば、請求データ作成部304は、特別請求データを作成する度に、宛先事業者に関連付けて記憶部22の基準情報に記憶された累積回数を1つずつ増加させる。
【0079】
請求データ作成部304は、基準期間内に特別請求データが作成された回数を示す累積回数に基づいて、特別請求データを作成してもよい。より詳しくは、請求データ作成部304は、宛先事業者と、累積回数とを関連付けた基準情報を記憶部22から読み出す。請求データ作成部304は、読み出した基準情報を参照して、請求データの作成要求に含まれる宛先事業者情報が示す宛先事業者に関連付けられた累積回数を特定する。請求データ作成部304は、特定した累積回数が所定値以上である場合に、直前に作成した請求データの発行日から所定期間以内の入金日が記憶部22の宛先情報に記憶されているか否かにかかわらず、特別請求データを作成してもよい。所定値は、例えば、担当者端末1の担当者により指定される。
【0080】
[請求データの作成の処理手順]
図12は、第2の実施形態のデータ処理装置2Aによる請求データの作成の処理手順を示すフローチャートである。この処理手順は、担当者端末1が請求データの作成要求をデータ処理装置2へ送信したときに開始する。
【0081】
まず、受付部231は、請求データの作成要求を担当者端末1から受け付ける(S201)。判定部303は、請求データの作成要求に含まれる宛先事業者情報が示す宛先事業者を特定する。判定部303は、宛先事業者と、限度額と、所定期間とを関連付けた基準情報を記憶部22から読み出す。判定部303は、読み出した基準情報を参照して、特定した宛先事業者に関連付けて記憶されている限度額及び所定期間を特定する(S202、S203)。
【0082】
判定部303は、宛先事業者と、請求データの発行日と、入金日と、未払額とを関連付けた宛先情報を記憶部22から取得する(S204)。判定部303は、取得した宛先情報を参照して、特定した宛先事業者に関連付けられた請求データの発行日から入金日までの期間が所定期間を超過する全ての請求書データの未払額の総額を算出する。判定部303は、算出した宛先事業者の未払額の総額が限度額以上であるか否かを判定する(S205)。請求データ作成部304は、算出した未払額の総額が限度額以上であると判定部303が判定した場合に(S205のYES)、特別請求データを作成する(S206)。通信制御部235は、請求データ作成部304が作成した特別請求データを宛先事業者の外部装置3へ送信し、処理を終了する。
【0083】
請求データ作成部304は、S205の判定において未払額の総額が限度額未満であると判定部303が判定した場合に(S205のNO)、通常請求データを作成する(S207)。通信制御部235は、請求データ作成部304が作成した通常請求データを宛先事業者の外部装置3へ送信し、処理を終了する。
【0084】
[第2の実施形態のデータ処理装置2Aによる効果]
データ処理装置2は、発行済みの請求データに対する宛先事業者の支払いの遅延又は未払いが発生した場合に、通常請求データに比べて入金期限等を強調して表示した特別請求データを作成する。このようにして、請求データ作成部234は、宛先事業者による支払いの遅延がさらに発生することを抑制することができる。
【0085】
<第3の実施形態>
以上の説明においては、判定部233又は判定部303が、記憶部22に記憶されているデータに基づいて、宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であるか否かを判定する場合を例示したが、判定部の判定方法はこれに限らず、記憶部22が記憶しているデータとともに、又は記憶部22が記憶しているデータに代えて、外部から取得したデータを用いてもよい。
【0086】
一例として、判定部は、通信部21を介してインターネット上の外部サーバ(例えば、ブログ、SNS、ホームページ内のサーバ)にアクセスして収集した宛先事業者に関する情報に基づいて、宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であるか否かを判定してもよい。判定部は、例えば、宛先事業者の入金が遅れがちであること、又は宛先事業者の財務状況が悪いことのように、費用の支払に悪影響を与え得る事象が記載された情報を検出した場合に、宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であると判定する。判定部は、第1の実施形態において用いた督促回数をインターネット上の外部サーバから取得し、取得した督促回数に基づいて、第1の実施形態と同様の方法で宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であるか否かを判定してもよい。
【0087】
判定部は、通信部21を介して、各事業者の財務状況に関する情報を提供する事業者のサーバから宛先事業者の財務状況に関する情報、又は支払い遅延のリスクに関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、宛先事業者の支払いが遅延するリスクが所定レベル以上であると判定してもよい。判定部がこのように動作することで、判定部は、データ処理装置2又はデータ処理装置2Aの記憶部22が、督促回数、支払いまでに要した期間、又は未払額などを記憶していない場合であっても、請求データ作成部234が宛先事業者に対して特別請求データを作成する必要があるかどうかを判定することができる。
【0088】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0089】
1 担当者端末
2 データ処理装置
3 外部装置
11 操作部
12 通信部
13 記憶部
14 制御部
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
141 操作受付部
142 通信制御部
143 状況通知部
231 受付部
232 取得部
233 判定部
234 請求データ作成部
235 通信制御部
301 取得部
302 特定部
303 判定部
304 請求データ作成部
S データ処理システム
【要約】
データ処理装置1は、請求書データを処理する複数のユーザを識別するためのユーザ識別情報と、ユーザが処理を担当する請求書データの属性とが関連付けられたユーザデータを記憶する記憶部13と、複数の新規請求書データを外部から取得する請求書データ取得部131と、複数の新規請求書データの属性を特定する属性特定部132と、ユーザデータを参照することにより、属性特定部132が特定した属性に関連付けられたユーザ識別情報に対応するユーザを、新規請求書データの処理を担当する担当ユーザに決定する決定部133と、新規請求書データに含まれる一以上の所定文字列に関連付けて、新規請求書データを処理する担当ユーザを示す情報を出力する出力部135と、を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12