(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】ガス浮遊型照明器具
(51)【国際特許分類】
F21L 4/00 20060101AFI20230904BHJP
F21V 3/02 20060101ALI20230904BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20230904BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230904BHJP
【FI】
F21L4/00
F21V3/02 100
F21V19/00 510
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2022196623
(22)【出願日】2022-12-08
【審査請求日】2023-01-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518217338
【氏名又は名称】株式会社エクスプラウド
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】小田 壮史
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2015-0107689(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0046330(KR,A)
【文献】登録実用新案第3166499(JP,U)
【文献】登録実用新案第3121081(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21L 4/00
F21V 3/02
F21V 19/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風船状で膨縮自在な本体部材と、光源を備えた照明部材と、を具備し、
前記本体部材における内部の空隙が、浮遊ガスの充填されるガス充填室とされ、
前記本体部材の一部に、当該本体部材の周壁から突出又は陥没自在で、前記ガス充填室と外部とを隔てる出没部が設けられており、
前記出没部が前記本体部材の周壁から陥没した状態では、当該出没部において外部空間寄りに照明部材収容空隙が形成され、当該照明部材収容空隙に、前記照明部材が収容可能とされてなり、
前記出没部が前記本体部材の周壁から突出した状態では、前記照明部
材収容空隙が前記本体部材の外部へ露出し消失することで前記照明部材が取り出し可能とされてな
り、
前記本体部材は、1枚のシート材からなるブランクの端部同士を貼り合わせて袋状とすることで構成され、前記出没部をポケット状に構成する一対の出没片部が、前記ブランクを袋状に貼り合わせる際に対向する部位にそれぞれ形成されてなり、前記一対の出没片部の端部同士を貼り合わせることによって構成されたポケット状の前記出没部において前記照明部材収容空隙に収容された前記照明部材が前記一対の出没片部の端部同士で挟持されてなる
ことを特徴とするガス浮遊型照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮遊ガスが充填されて浮遊した状態で光源から光が照射されるガス浮遊型照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に開示されている携帯照明器具のような、浮遊する風船体の内部に封入されて発光するものや、例えば特許文献2に開示されている発光器具のような、浮遊する小型風船の外部に取り付けられて発光するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3121081号公報
【文献】実用新案登録第3166499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来の浮遊型の発光器具にあっては、発光する部材の固定が困難であり、照明器具を下から見た場合に、明かりの見え方にムラができてしまい見栄えに問題があった。
【0005】
また、使用後に照明部材を風船体等から分離するために、風船体の内部から照明部材を抜き出す必要がある等、手間のかかるものであった。
【0006】
本発明は、照明部材を取り出す作業の効率が向上し、しかも明かりの見え方にムラがでることを抑えるガス浮遊型照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、風船状で膨縮自在な本体部材と、光源を備えた照明部材と、を具備し、前記本体部材における内部の空隙が、浮遊ガスの充填されるガス充填室とされ、前記本体部材の一部に、当該本体部材の周壁から突出又は陥没自在で、前記ガス充填室と外部とを隔てる出没部が設けられており、前記出没部が前記本体部材の周壁から陥没した状態では、当該出没部において外部空間寄りに照明部材収容空隙が形成され、当該照明部材収容空隙に、前記照明部材が収容可能とされてなり、前記出没部が前記本体部材の周壁から突出した状態では、前記照明部材収容空隙が前記本体部材の外部へ露出し消失することで前記照明部材が取り出し可能とされてなることを特徴とするガス浮遊型照明器具である。
【0008】
かかる構成にあって、前記出没部が前記本体部材の周壁から陥没した状態で前記照明部材収容空隙に前記照明部材が収容されるため、光源の位置が照明部材収容空隙に留まることとなり、明かりの見え方にムラがでることを抑えることができる。また、照明器具は前記照明部材収容空隙に収容されているため、前記出没部を前記本体部材の周壁から突出した状態とすることにより、前記照明部材を前記本体部材から容易に分離することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のガス浮遊型照明器具は、照明部材を本体部材から分離することを容易に行えることができ、しかも明かりの見え方にムラが生じることを抑えることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】使用状態(出没部が陥没状態)のガス浮遊型照明器具を示す外観斜視図である。
【
図2】出没部が陥没状態にあるガス浮遊型照明器具の縦断面図である。
【
図3】出没部が突出状態にあるガス浮遊型照明器具の斜視図である。
【
図4】出没部が突出状態にあるガス浮遊型照明器具の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を、以下の実施例に従って説明する。なお本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜、設計変更が可能である。
【0012】
図1~
図4に示すように、ガス浮遊型照明器具1は、外観が略四角柱形状をなし、風船状で膨縮自在な、フィルム状の気密性及び透光性を有する樹脂材からなる本体部材10と、光源を備えた照明部材20と、を具備している。
【0013】
本体部材10に囲繞された当該本体部材内部の空隙は、浮遊ガスであるヘリウムガスが充填されるガス充填室11とされている。
【0014】
また、本体部材10の下端部には、本体部材10を係留する紐等の線材が接続される線材接続部12が形成されている。
【0015】
なお、線材接続部12の根端部には、ガス充填室11に連通し、ヘリウムガスの注入及び排出が可能な逆止弁13が配されている。
【0016】
一方、本体部材10の上端部の略中央には、本発明にかかる出没部15が形成されている。出没部15は、当該出没部15の周囲に相当する本体部材10の周壁よりも突出したり、又は陥没したりすることが自在な構成となっている。なお、
図4等に示すように、出没部15は本体部材10の他の部位と一体的で連続状に形成されている。
【0017】
そして、
図1、
図2に示すように、出没部15が陥没した陥没状態αにあっては、出没部15における外部空間寄りの位置にポケット状の空隙が形成されることになり、当該空隙が本発明にかかる照明部材収容空隙16とされる。
【0018】
また逆に、
図3、
図4に示すように、出没部15が外部空間に向けて突出した突出状態βにあっては、出没部15は外部へ露出することとなり、すなわち陥没状態αにおける出没部15の外部空間寄りの位置に形成されていた照明部材収容空隙16は消失することとなる。
【0019】
また、照明部材20は、光源(LED)や電源としてのバッテリー等を備え、本体部材10とは別体として構成されている。
【0020】
次に、ガス浮遊型照明器具1の使用状態について説明する。
図1、
図2に示すように、出没部15を陥没状態αとし、照明部材20を照明部材収容空隙16に配置するとともに、ガス充填室11にヘリウムガスを充填することで、照明部材収容空隙16は、ガス圧によって本体部材10に安定して形成されることとなる。すなわち、照明部材収容空隙16に配置された照明部材20は、出没部15を構成する周壁の圧力で安定して照明部材収容空隙16内に留まることとなり、例えば照明部材20の光源(LED)の照射方向を下向きに固定することができる。かかる場合には、多数のガス浮遊型照明器具1を一度に浮遊させた場合に、全ガス浮遊型照明器具1における明かりの見え方を統一させてムラのない演出を行うことが可能となる。
【0021】
また、照明部材20は照明部材収容空隙16内において安定して固定されるため、浮遊しているガス浮遊型照明器具1を下から見た場合に、本体部材10の全体が明るく照らされて見える視覚効果を得ることもできる。このように、ガス浮遊型照明器具1は、従来構成に比して意匠性に富むものとすることができる。
【0022】
さらに、
図1、
図2に示したように、照明部材収容空隙16と外部とを連通する開口部を、防水シート材としての透明な粘着テープ30で閉塞することにより雨水が照明部材20に達することを防止することができる。これにより、照明部材20に特別な防水加工等が不要となり、照明部材20の簡素化や軽量化をより一層図ることができる。また、かかる構成により、雨天であってもガス浮遊型照明器具1の使用が可能となる。
【0023】
これに対して出没部15を外側へ引っ張り出して、
図3、
図4に示したような、突出状態βとすると、照明部材20を照明部材収容空隙16から容易に取り出すことができる。
【0024】
かかる構成であるから、従来のような、風船体の内部に挿入された照明部材を抜き出すような手間のかかる作業を省くことができる。
【0025】
なお、本実施例にかかるガス浮遊型照明器具1の本体部材10は、例えば
図5に示したような1枚のシート材からなるブランク40の端部同士を貼り合わせて袋状とすることで構成することができる。この場合、ポケット状の出没部を構成する出没片部41,42を、ブランク40を袋状に貼り合わせる際に対向する面にそれぞれ形成している。このようにブランク40を袋状に貼り合わせて本体部材10を構成することは、コストを抑えるという観点から非常に有効である。
【0026】
また、シート材の出没片部41,42の端部同士を貼り合わせることによって構成された出没部15は、ポケット形状としつつ薄型の構造となり、陥没状態αにおいて照明部材収容空隙16に収容された照明部材20を出没片部41,42の端部同士で挟持することが可能となり、照明部材20の位置安定性を向上させることができる。さらに、リモコン操作によって照明部材20における光源の点灯態様を制御すべく、リモコン受信体等も照明部材収容空隙16に収納可能としてもよい。
【0027】
上記実施例において各部の寸法形状は適宜自由に選択可能である。
例えば本体部材10は、角柱形状以外にも、円柱形状等であっても構わない。
【符号の説明】
【0028】
1 ガス浮遊型照明器具
10 本体部材
11 ガス充填室
12 線材接続部
13 逆止弁
15 出没部
16 照明部材収容空隙
20 照明部材
30 粘着テープ
40 ブランク
41,42 出没片部
α 陥没状態
β 突出状態
【要約】
【課題】照明部材の分離を楽に行うことができ、光にムラがでることのないガス浮遊型照
明器具を提供する。
【解決手段】出没部15が本体部材10の周壁から陥没した陥没状態αでは、出没部15の外部空間よりに照明部材収容空隙16が形成され、照明部材収容空隙16に、照明部材20が収容可能とされてなり、出没部15が本体部材10の周壁から突出した突出状態では、照明部
材収容空隙16が本体部10の外部へ露出し消失することで、照明部材20が取り出し可能とされてなるガス浮遊型照明器具1である。
【選択図】
図1