(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】廃棄物を発生させずに銅濃縮物から銅金属を製造する方法
(51)【国際特許分類】
C22B 15/00 20060101AFI20230904BHJP
C22B 1/02 20060101ALI20230904BHJP
C22B 5/02 20060101ALI20230904BHJP
C22B 7/04 20060101ALI20230904BHJP
C22B 19/20 20060101ALI20230904BHJP
C22B 1/00 20060101ALI20230904BHJP
C25C 1/12 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
C22B15/00
C22B1/02
C22B5/02
C22B7/04 A
C22B19/20
C22B1/00 101
C25C1/12
(21)【出願番号】P 2022528340
(86)(22)【出願日】2020-10-21
(86)【国際出願番号】 CL2020050139
(87)【国際公開番号】W WO2021092706
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-08-26
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CL
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522190487
【氏名又は名称】ウニベルシダッド デ コンセプシオン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルコミルスキー フィカ,イゴール
(72)【発明者】
【氏名】パラダ ルナ,フェルナンド アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】バジャダレス ヴァレラ,エドゥアルド
(72)【発明者】
【氏名】パラ フィゲロア,ロベルト
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公告第731527(GB,A)
【文献】国際公開第2016/180624(WO,A1)
【文献】米国特許第4072507(US,A)
【文献】米国特許第4006010(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00 - 61/00
C25C 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下の工程を含むことを特徴とする、廃棄物を発生させずに銅濃縮物から銅金属を製造する方法:
(a)酸化反応:湿度12%までの乾燥または湿った銅濃縮物(1)を、空気(4)または、21~100体積%の酸素と、前記銅濃縮物(1)の酸化反応に必要な当量に対して0.001~200%過剰な酸素との間の酸素富化空気を用いて、650~900℃にて、2~12時間の反応時間で流動床焙焼反応器(3)に供給する;
(b)ガスの清浄および冷却:前記流動床焙焼反応器(3)中で発生したガス(6)をボイラー(7)中において400~450℃に冷却し、従来のサイクロン(9)において清浄し、次いで蒸発室(10)において300~320℃に冷却し、出口ガス(12)の清浄を静電集塵器(19)中で行い、集塵器(8)の粉末を前記流動床焙焼反応器(3)に戻し、清浄ガス(21)をガス洗浄器(22)で洗浄し、最後に酸プラントに送って硫酸を生成する;
(c)還元反応装置への供給:前記流動床焙焼反応器(3)からの熱放電酸化焼成物(14)は、前記ボイラー(7)および前記サイクロン(9)で生成された粉末(13)と共に合流させて還元反応器(18)に供給し、当量と同等または最大200%過剰の還元剤(16)を加え、還元反応に必要な当量の0.001~200%過剰の石炭、コークス炭または一酸化炭素を用いて、2~6時間の反応時間で500~950℃で処理する;
(d)ガスの清浄:前記還元反応器(18)からの排気ガス(30)は、1つ以上の従来のサイクロン(31)で清浄される;
(e)前記焼成物および熱粉末の水への排出:前記還元反応器(18)中で還元された焼成物を、前記サイクロン(31)中で分離された粉末(32)と一緒に、20~60℃の間の液体温度で処理される撹拌水と共に排出し、撹拌ポンド(34)中で直接混合し、そこで、マグネタイトに捕捉された金属銅粒子の破砕および放出が発生し、生成された水蒸気が除去され(36)、水温を維持し、還元された焼成物および粉末のパルプ(37)を従来のミル(69)で湿式粉砕してマグネタイトからの金属銅の放出を完了する;
(f)磁気分離:前記撹拌ポンド(34)または前記ミル(69)で生成された(38)焼成物および水の前記パルプを、1つ以上の段階の従来の湿潤ドラム(39)の磁気分離系に運び、18,000~20,000ガウスの磁場密度でマグネタイトが非磁性残部から分離され、高マグネタイト法濃縮物(40)を得る;
(g)磁性フラクションの濃縮およびろ過:マグネタイト濃縮物(4)を従来の濃縮工程(41)に送り、濃縮槽(80)の低流量を従来のろ過工程(42)に供給して、マグネタイト濃縮物の最終材料(43)を取得し、フィルター(42)のろ過(45)としての濃縮槽(41)の透明水(44)を前記撹拌ポンド(34)に再循環させる;
(h)シリカおよび不活性物質の浮選:銅および他の非磁性材料を含有する非磁性フラクション(46)を浮選工程(47)に送り、そこでシリカおよび不活性物質を、10~10.5の間のpHでケイ酸塩として浮選させ、従来の捕集剤および発泡剤を適用し、5~8分の浮選時間でシリカおよび不活性物質を含むパルプ(48)を生成する;
(i)シリカおよび不活性物質の濃縮およびろ過:前記シリカおよび不活性物質を含むパルプ(48)は、従来の濃縮槽(49)中で濃縮され、ここで、低流(50)は滅菌シリカ濃縮物(52)を生成するためにろ過工程(51)に供する;
(j)前記銅金属および貴金属を含有する最終濃縮物の濃縮およびろ過:前記浮選工程(47)で生成された、金属銅を含む最終パルプ(55)を従来の濃縮槽(56)で濃縮し、低流量(57)を従来のろ過工程(58)に送り、金属銅材料をフィルター中の新鮮な水(77)で洗浄し、銅および貴金属の最終材料(59)をストックパイル(60)に供する;
(k)銅および貴金属の前記最終濃縮物の精錬:金属銅(63)をその中に溶解した貴金属と一緒に得るために、前記最終濃縮物を、前記ストックパイル(60)から、従来の精錬炉(62)に誘導し、その後、従来の電解精錬を行う;
(l)粉砕された精錬スラグの前記流動床焙焼反応器への再循環:精錬段階(62)で形成されるスラグ(64)は、従来の粉砕設備(65)において冷却および粉砕され、前記流動床焙焼反応器(3)に再循環(66)され、そこに含まれる銅を回収する。
【請求項2】
前記流動床焙焼反応器(3)は、700~850℃で運転されることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物を発生させずに銅濃縮物から銅金属を製造する方法。
【請求項3】
前記流動床焙焼反応器(3)において、反応時間が4~8時間であることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物を発生させずに銅濃縮物から銅金属を製造する方法。
【請求項4】
前記流動床焙焼反応器(3)中の過剰空気が50~100%の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物を発生させずに銅濃縮物から銅金属を製造する方法。
【請求項5】
前記還元反応器(18)において、前記還元剤は、コークス炭または一酸化炭素であることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物を発生させずに銅濃縮物から銅金属を製造する方法。
【請求項6】
前記還元反応器(18)において、前記還元剤を0.001~100%過剰に供給することを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物を発生させずに銅濃縮物から銅金属を製造する方法。
【請求項7】
前記還元反応器(18)は、回転炉または流動床還元反応器であることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物を発生させずに銅濃縮物から銅金属を製造する方法。
【請求項8】
前記還元反応器(18)は、700~800℃で運転されることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物を発生させずに銅濃縮物から銅金属を製造する方法。
【請求項9】
前記(c)工程は、従来の気化器内で、外部で生成された一酸化炭素ガスを用いて行われ、硫黄が存在する場合には、石灰石脱硫器内で、従来の形態で硫黄を除去することを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物を発生させずに銅濃縮物から銅金属を製造する方法。
【請求項10】
前記(c)工程は、10~20体積%の水素を含むガスを用いて、600~950℃で行われることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物を発生させずに銅濃縮物から銅金属を製造する方法。
【請求項11】
前記浮選工程(47)において、酢酸ドデシルアンモニウムおよび硝酸カリウムが捕集剤および発泡剤として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物を発生させることなく銅濃縮物から銅金属を製造する方法。
【請求項12】
銅および貴金属元素の最終濃縮物の前記精錬段階において、前記炉が電気誘導式であることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物を発生させずに銅濃縮物から銅金属を製造する方法。
【請求項13】
前記(c)工程は
、気化器内で外部から発生する一酸化炭素を含有するガスを含有する流動床還元反応器(81)内で実施されることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物を発生させずに銅濃縮物から銅金属を製造する方法。
【請求項14】
前記流動床焙焼反応器(3)からの酸化された前記焼成物(80)は、流動床還元反応器(81)に供給され、そこで反応ガスおよび取り込まれた固体(83)は熱回収ボイラ(84)を通過してガスの温度を350~400℃に下げ、熱をプロセス蒸気として回収し、ここで前記ガス(85)が1つ以上の高温サイクロン(86)中で清浄され、そこでガスによって取り込まれた前記固体の大部分が分離され、これが前記ボイラ(84)中で前記分離された固体と合流して、前記流動床還元反応器(81)から排出される前記焼成物(111)と一緒に処理(110)にもたらされ、そこで高温焼成物(111)と粉末(110)との混合物112が撹拌ポンド中で水と共に排出されることを特徴とする、請求
項13に記載の廃棄物を発生させずに銅濃縮物から銅金属を製造する方法。
【請求項15】
300℃超の高温ガス(87)をガス混合器(89)中で、低温空気(88)で冷却して酸化し、かつ、酸化亜鉛を凝縮し、酸化亜鉛を含むガスをバッグフィルター(91)に取り込み(90)、そこで前記酸化亜鉛(92)を回収し、前記バッグフィルター(91)の排出ガス(93)のうち、一部を大気中に廃棄し(94)、残り(95)を圧縮機(96)で圧縮し、冶金コークス炭(102)を供給した浸炭装置(98)に送り、700~800℃で運転し、熱をアーク電極(99)によって供給し、気化器(98)を出る前記高温ガス(103)を硫黄捕捉反応器または脱硫器(104)に送り、前記脱硫器に石灰石(105)を供給する;一酸化炭素および少量のCO2および硫黄を含まない前記清浄なガス(108)を前記流動床還元反応器(81)に注入して、酸化された焼成物を還元することを特徴とする、請求項13に記載の廃棄物を発生させずに銅濃縮物から銅金属を製造する方法。
【請求項16】
還元ガスとして水素を任意に使用することを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物を発生させずに銅濃縮物から銅金属を製造する方法。
【請求項17】
前記流動床焙焼反応器(3)からの酸化された焼成物(114)は、流動床反応器(115)に供給され、その床(116)において、600~800℃の間の温度で、4~6時間の反応時間で水素との還元反応が起こり、次いで、1~90体積%の水素と、ガス窒素または他の不活性ガスである残りとを含むガスで流動化され;固体粒子を取り込む高温ガス(117)が、蒸気を発生する工業用の従来のボイラ(118)において350~400℃に冷却され、次いで、前記ガス(119)が1つ以上の従来の高温サイクロン(120)において清浄され;前記清浄ガス(124)が凝縮器(125)において冷却され;前記凝縮器(125)の出口ガス(128)において、より多くの新鮮な水素(133)および窒素(129)が添加され、これは従来の圧縮機(130)で圧縮され、前記流動床反応器(115)の下部(132)で注入(131)され;前記ボイラ(118)およびサイクロン(120)で分離された前記粉末(121)は前記焼成物(122)と合流し、ポンドに排出(123)されることを特徴とする、請求項
1に記載の廃棄物を発生させずに銅濃縮物から銅金属を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
この技術は、採掘分野に向けられており、より詳細には、廃棄物を生成させずに、銅濃縮物から銅金属を製造する方法に対応する。
【0002】
〔背景技術〕
100年以上にわたり、粗銅製造技術は実質的に停滞し続けており、10~20年前まで、競争力のある価格で粗銅を製造することを可能にしてきた。しかしながら、二酸化硫黄(SO2)を有するガスの不可避的な漏洩、および大量のスラグの形成のために、その本質的な限界が、設備費用およびプラントの稼働だけでなく、それらの潜在的な自動化の程度、環境中へのガスの排出ゼロ、スラグの形成、および銅濃縮物に含まれる他の金属の回収、すなわち21世紀の「廃棄物ゼロ」工程において、根本的に異なった代替手段を有することを余儀なくさせている。
【0003】
Outokumpu-Kennecott、Mitsubishi、およびAusmeltなど、より高度な融合/変換技術が登場しているが、これらはすべて、発生した粗銅1トン当たり0.8~1.2トンのスラグを生成し、最良の技術であっても、SO2としての硫黄の広範囲の捕獲は98%を超えない。加えて、銅および貴金属のみが銅濃縮物から回収され、モリブデン、亜鉛および鉄のような濃縮物に含まれる他の商業的価値のあるものは廃棄される。
【0004】
世界最大の銅生産地であるチリは、既に半世紀以上前のリユーテナント・コンバーター(Lieutenant Converter,CT)との銅製錬技術に大きく貢献しているにすぎず、現在の限界を超える新しい開発技術は存在しない。
【0005】
全ての銅濃縮物製錬方法におけるスラグの発生と同様に、環境へのSO2を含むガスのわずかな排出は、2つの深刻な問題である。スラグは2~10%の銅を含有し、再処理されなければならず、依然として、0.5~0.8%の銅および大きな環境上の責任を表す商業的価値のある他の金属を含む。チリでは、ゴミ集積場に約5000万トンのスラグが存在し、また、約200万トンの銅も含有しており、すでに回収不能であると推定されている。
【0006】
一方、2019年に発効し、SO2の95%(将来は98%)を捕捉することを定めた新しいチリの環境法案(2013年12月12日に発表されたMMAのD.SNo.28/2013)は、チリの製錬所のいくつかを技術的にも経済的にも実行不可能にする可能性があり、チリは濃縮物のみを生産する国に戻ることになり、チリは7つのチリの銅製錬所の複合施設の将来を予測している。
【0007】
銅濃縮物を1%まで低い硫黄で、880℃で空気中で焙焼(酸化)し、その後、焼成物を石炭またはコークスでペレット化して還元し、平炉、キューポラ、または回転炉中で1200~1300℃で精錬する技術は、米国AMAX Inc.によって開発された唯一の技術(非特許文献1)であり、これまでに統合された方法は開発されていない。図からわかるように、この特許では、焼成物は、還元させるために精錬されなければならず、6~12%の銅を有する多量のスラグを形成する。なぜなら、鉄は前もって除去されていないからである。この方法はおそらくこの制限のために、実証規模で試験されたが、工業的に適用されなかった。
【0008】
ヘマタイト(Fe2O3)からマグネタイト(Fe3O4)への還元的焙焼は、濃縮できない低級ヘマタイトを含む鉄鉱物に対して数十年間商業的に使用されてきた(非特許文献2、3)。そのため、ヘマタイトをマグネタイトに変換させることにより、容易に磁性体に濃縮することができるので、ヘマタイト鉄鉱物に対して確立された技術である。
【0009】
このような背景から、効率的で環境に優しい、銅濃縮物から銅金属を製造するための新技術の開発が依然として必要とされている。
【0010】
〔図面の簡単な説明〕
図1:銅濃縮物から銅金属を生産する方法の模式図。
【0011】
図2:鉱物化合物の反応の標準自由エネルギーのグラフ。
【0012】
図3:800℃(Cu/Fe=2/1)における、Cu-Fe-S-Oの4相安定性図。
【0013】
図4:一酸化炭素と水素との還元反応の標準自由エネルギーの図。
【0014】
図5:700℃におけるCu-Fe-C-Oの4相安定性図。
【0015】
【0016】
図7:700℃におけるCu-Fe-H
2-O
2の相安定性図。
【0017】
【0018】
〔先行技術文献〕
〔非特許文献〕
〔非特許文献1〕“H.P. Rajcevic, W.R. Opie and D.C. Cusanelli, ”Production of blister Copper from calcined Copper-iron concentrates”, U.S. Pat. 4,072,507, (Feb. 7, 1978).
〔非特許文献2〕Wade H.H. and Schulz, N.F., “Magnetic roasting of iron ones”, Min. Engr., No. 11, p. 1161-1165, (1960).
〔非特許文献3〕G. Uwadiale, “Magnetizing roasting of iron ores”, Min. Processes and Extr. Metallurgy Review, Vol. 11, Nos. 1 and 2, p. 68-70, (1992).
〔発明の開示〕
本技術は、銅濃縮物から廃棄物を発生させることなく銅金属を製造する方法に相当する。従来の鋳造方法とは異なり、本発明では、温度は、反応が溶融材料間ではなく、固体と気体との間で起こる温度に操作されるため、本発明では、材料の溶融温度には到達しない。
【0019】
この方法は、2つの主要段階および2つの2次段階を含む。第1の主要段階において、全硫黄をSO2として実質的に除去して硫酸を生成する環境的に閉鎖された系において、銅濃縮物は、空気で酸化(焙焼)され、実質的に硫黄を含まない酸化された焼成物が残され、ここで銅、鉄および他の金属は、それらのそれぞれのより安定な酸化物に変換される。
【0020】
第2の主要段階において、酸化された焼成物は、500~950℃で、石炭、一酸化炭素または水素を還元剤として用い、銅金属およびマグネタイトに還元され、最終的に銅を磁性体の鉄から分離し、次いで滅菌されたもの(主にシリカ)を分離して、溶融され、従来の形態で電解精製される銅金属および貴金属の最終生成物を得て、すべて商業的な生成物として、マグネタイト、シリカ、亜鉛およびモリブデン(最初の濃縮物中に存在する場合)の濃縮物として鉄を回収する。
【0021】
このようにして、現在使用されている従来の製錬方法とは異なり、スラグは生成されず、SO2を伴う一過性ガスも生成されず、したがって、供給された銅濃縮物に含まれるすべての金属が回収される。
【0022】
発明をより良く理解するために、方法の詳細な説明を、
図1~8を参照しながら以下に行う。
【0023】
図1において、12%までの湿度を有する乾燥した、または湿った銅濃縮物1を、従来の系2によって、空気4または酸素富化空気を用いて650~900℃、好ましくは700~850℃に操作する従来の流動床焙焼反応器3に供給し、その結果、以下の反応が、カルコパイライト(CuFeS
2)、コベリン(CuS)、カルコサイト(Cu
2S)およびパイライト(FeS
2)を含む典型的な銅濃縮物について流動床5において生じる:
CuFeS
2(s)+3,25O
2(g=CuO
(s)+0.5Fe
2O
3(s)+2SO
2(g)(1)
CuS
(s)+1,5O
2(g)=CuO
(s)+SO
2(s)(2)
Cu
2S
(s)+2O
2(g)=2CuO
(s)+SO
2(g)(3)
FeS
2(s)+2,75O
2(g)=0,5Fe
2O
3(s)+2SO
2(g)(4)
CuO
(s)+Fe
2O
3(s)=CuO・Fe
2O
3(s) (5)
酸化銅フェライト形成(CuO・Fe
2O
3)の反応(5)がどの程度起こるかは可変であり、反応温度および時間に依存する。800℃では、濃縮物に含まれる銅の約15%が銅フェライトを形成する。
【0024】
反応器3における反応時間は2~12時間、好ましくは4~8時間の範囲であり、空気または、21~100体積%の酸素と、反応(1)~(4)に必要とされる当量に対して過剰の空気(酸素)との間の酸素富化空気を使用し、過剰な空気(酸素)は、0.001~200%、好ましくは50~100%過剰の範囲である。
【0025】
これらの反応はすべて、
図2に見られるように、それらの標準反応自由エネルギーの負の値(慣例による)を伴って自発的に生じ、ここで、反応温度の関数として、銅濃縮物中に一般に存在する鉱物化合物の酸素を伴う標準反応自由エネルギーの値がプロットされる。
【0026】
図3は化学平衡状態における800℃でのCu-Fe-S-Oの4相安定性図を、流動床5で起こる反応についての酸素(空気)および二酸化硫黄(SO
2)の分圧の関数として示し、ここで、焼成物中に形成された銅および鉄化合物の安定領域は、工業用炉の稼働状態下において観察することができる。
【0027】
例えば、亜鉛鉱(ZnS)として、濃縮物が亜鉛を含有する場合、反応に従ってZnOに酸化される実施例がある:
ZnS(s)+1,5O2(g)=ZnO(s)+SO2(g) (6)
濃縮物がモリブデナイト(MoS2)としてモリブデンを含有する場合、それは、約650℃で揮発性である三酸化物(MoO3)に酸化され、次いで、静電集塵器の粉末と凝縮し、そこから、従来の形態の粉末を、例えば、水酸化アンモニウム溶液で浸出させ、次いで、モリブデン酸アンモニウムを沈殿させることによって回収することができ、これは市販の製品である。
【0028】
焙煎反応器で起こる酸化反応は以下の通りである:
MoS2(s)+3,5O2(g)=MoO3(g)+2SO2(g)(7)
これらの反応は全て発熱性である。すなわち、これらの反応は、反応器3が追加の熱を必要としないように熱を発生させ、さらに、その高温ガス6は、その熱の一部を工業用の高圧蒸気として回収するために従来のボイラ7に通される。
【0029】
反応器3に供給された銅濃縮物1に含まれる硫黄は99%以上が酸化されて二酸化硫黄(SO2)になり、ガス6と共に反応器を出て、ボイラ7内で400~450℃に冷やされた後、従来のサイクロン9で清浄にされ、その後、噴霧水11を用いて従来の蒸発チャンバ10内で300~320℃に再度冷却される。排気ガス12は、最終的には従来の静電集塵器19内で清浄される。静電集塵器の粉末8は反応器3に戻すことができ、清浄化されたガス21は従来のガス洗浄器22で洗浄される。
【0030】
最初の銅濃縮物1がヒ素を含有する場合、ヒ素は、例えばヒ酸第二鉄(スコロダイト)として、従来の形態でガス洗浄器22の流出物23から沈殿させることができる。清浄ガス24は最終的には従来の酸プラント25に進み、販売用の硫酸26を生成する。
【0031】
実質的にキュプリック酸化物(CuO)、ヘマトリック(Fe2O3)、キュプリックフェライト(CuO・Fe2O3)、酸化亜鉛酸化物(ZnO)、シリカ(SiO2)及びシリケート等の他の滅菌物を含有する酸化された焼成物は、焙焼反応器3の熱放出14とボイラー7およびサイクロン9、15で生成された粉末13と共に合流され、焙焼還元反応器18に供給される(17)。石炭、コークス炭または一酸化炭素(CO)等の還元剤16を、反応(8)~(11)を実行するために必要な当量の0.001から200%過剰、好ましくは0.001から100%過剰に加える。ここで、一酸化炭素(CO)ガスは従来の気化器において外部で生成され、存在する場合には石灰石脱硫器(CaCO3)において従来の方法で硫黄を除去する。任意に、10~20体積%の水素を含むガスを用いて、600~950℃、好ましくは700~800℃で実施することができる。
【0032】
還元反応器18は回転炉のような従来のものであってもよく、そこでは焼成物および還元剤を使用し28、以下の反応に従って、銅、鉄および亜鉛の酸化物(もしあれば)を還元するために一酸化炭素(CO)を生成する:
CuO
(s)+CO
(g)=Cu
(S)+CO
2(g) (8)
3Fe
2O
3(s)+CO
(g)=2Fe
3O
4(s)+CO
2(g) (9)
3CuO・Fe
2O
3+4CO
(g)=3Cu
(s)+2Fe
3O
4(s)+4CO
2(g) (10)
ZnO
(s)+CO
(g)=Zn
(g)+CO
2(g) (11)
図4は、反応(8)~(11)の温度の関数としての一酸化炭素(CO)との還元反応の標準自由エネルギーの図を示す。すべての反応は300~1300℃の間の(自発的な)反応の標準的な自由エネルギーである負の値を有するとみられるが、酸化亜鉛(ZnO)の一酸化炭素(CO)によるガス状金属亜鉛への還元は1000℃よりも高温を必要とする。
【0033】
図5は還元剤(CO)の分圧および気相中の酸素の分圧に応じた700℃でのCu-Fe-C-Oの4相安定性の図を示し、金属銅(Cu)および鉄の第一鉄-第二鉄酸化物(マグネタイト)(Fe
3O
4)が安定である、工業的還元反応器の稼働領域を示す。
【0034】
全ての還元反応(8)~(11)は発熱性であるので、還元反応器18は、運転するために追加の熱を必要としない。この反応器の運転温度は500~950℃、好ましくは700~800℃の範囲であり、反応時間は2~6時間である。必要であれば、天然ガスまたはオイル27のような従来の燃料を還元反応器18に添加してもよい。
【0035】
還元反応器18からの排気ガス30は、1つ以上の従来のサイクロン31で清浄化される。反応器18内の還元された焼成物は、従来のサイクロン31で分離された粉末32ならびに、焼成物29と粉末32との混合物33と共に焼成物29を排出し、20~60℃の間の液体温度で作動する従来の水34を有する撹拌ポンドに直接排出する。ここで、高温焼成物と冷水との激しい熱衝撃は、(反応(9)に従って、第二銅フェライトの還元によって生成される)マグネタイトに捕捉された任意の金属銅粒子を破砕し、放出する。発生した水蒸気は撹拌ポンドから連続的に除去され36、これは従来の熱交換器78によって水の温度を所望の範囲に維持する。必要に応じて、得られたパルプ37はマグネタイトからの銅金属の放出を完了するために、従来のロッドまたはボールミル69で湿式粉砕されてもよい。
【0036】
銅濃縮物が亜鉛を含有する場合は、酸化亜鉛をガス状金属亜鉛に還元する、還元反応(11)を生じさせるために、還元反応器を1000℃を超える温度帯で運転することが必要である。このような場合、反応(11)に従って還元反応器18で生成されたガス71中に含まれるガス状亜鉛は、ベンチュリ72のような従来のガス混合器中で、冷空気73で再酸化され、ここでガス状亜鉛は次の反応に従って酸化される:
2Zn(g)+O2(g)=2ZnO(s) (12)
微細な酸化亜鉛を含有するガス79は、バッグフィルターのような従来の装置74で清浄化され、販売用の酸化亜鉛75を回収する。清浄ガス76は、大気中に排出されてもよい。
【0037】
撹拌ポンド34内で生成されるか、またはミル69のパルプ内で生成される焼成物および水38のパルプは、1つ以上の段階の従来の湿潤ドラム39内で、18,000~20,000ガウスの磁場密度で、磁気分離系にもたらされ(70)、そこで、強力な強磁性であるマグネタイト(Fe3O4)は、金属銅、シリカ、ならびにケイ酸塩および銅濃縮物に付随し得る他の不活性材料(例えば、ケイ酸塩および貴金属)の粒子によって形成される非磁性残留物から分離される。このようにして、高マグネタイト法濃縮物40が得られ、これを従来の濃縮工程41に付す。濃縮剤80の低流量は、従来の濾過工程42にもたらされ、マグネタイト濃縮物の最終材料43が取得される。濃縮槽41の透明水44およびフィルター42の濾液45の両方が撹拌ポンド34に再循環される(35)。
【0038】
銅および他の非磁性材料を含む非磁性フラクション46は浮選工程47に運ばれる。ここで、慣用の形態で存在するシリカおよびケイ酸塩のような他の不活性物質を、例えば、従来の捕集剤および発泡剤を適用し、例えば、酢酸ドデシルアンモニウムおよび硝酸カリウム(KNO3)を用いて、pH10~10.5、5~8分の浮選時間で浮選させ、パルプ48を生成し、これを従来の濃縮槽49中で濃縮させる。その低流量50は、従来のろ過工程51に送られて、例えば、銅フラックスとして、販売用のシリカおよび他の滅菌剤52の濃縮物を生成する。
【0039】
浮選工程47で生成された最終尾(パルプ)55は、従来の濃縮槽56で濃縮された、銅および金属微粒子のような貴金属の全てを実質的に含み、低流量57は従来のろ過工程58に送られる。銅金属最終材料は、フィルター中で新鮮な水77で洗浄され、銅および貴金属の最終材料59は貯蔵場所60に運ばれ、そこから電気誘導炉などの従来の溶融炉62に装填され(61)、したがって、その後の従来の電解精製のために、ブリスター銅と同等の銅金属63を、その中に溶解された貴金属と一緒に有する。
【0040】
濃縮槽49および56の透明水67および54と、フィルタ51および58のろ液53および68との両方は、処理35、ポンド34に再循環される。
【0041】
製錬段階62において、形成され得る任意のスラグ64は、従来のミル装置65において冷却および粉砕され、そこに含まれる銅を回収するために、焙焼反応器3に再循環66される。亜鉛が還元されていない場合には、亜鉛は酸化物(ZnO)としてこのスラグ64に含まれ、前記酸化物は、従来の形態のスラグを、例えば、硫酸の希釈液を用いて浸出させ、次いで、そこから亜鉛を電着させることによって回収することができる。
【0042】
反応器3内で生成された酸化焼成物15を還元する工程は、気化器内で、外部で生成された一酸化炭素(CO)を含有するガス流動床反応器内で実施することもできる。この技術代替案の模式図を
図6に示す。
【0043】
この技術的代替において、焙焼反応器から来る酸化された焼成物80は、従来の流動床反応器81に供給され、流動床反応器81では、反応床82において、上記の(8)~(11)の反応が起こる。反応ガスおよび取り込まれた固体83は、従来の熱回収ボイラ84に通されて、ガス温度を350~400℃に下げ、熱をプロセス蒸気として回収する。収集された固体はプロセス110に進む。次いで、ガス85は1つ以上の高温サイクロン86中で清浄化され、ここで、ガスによって取り込まれた固体の大部分が分離され、これはボイラ84中で分離された固体と合流して、反応器81から排出される焼成物111と一緒に処理110に運ばれる。高温焼成物111と粉末110との混合物112は、
図1に記載されたポンド34と同様に、水と共に撹拌ポンドに排出される。後の焼成処理は、上記と同じである。
【0044】
300℃超の高温ガス87は、ベンチュリのような従来のガス混合器89内で冷気88によって冷却され、反応(12)に従って酸化し、酸化亜鉛(ZnO)を凝縮させる。酸化亜鉛を含むガスは従来のバッグフィルタ91に取り込まれ(90)、そこで酸化亜鉛(ZnO)92が商業化のために回収される。
【0045】
バッグフィルター91の排気ガス93は、一部は、系内の酸素バランスを維持するために大気中に廃棄される(94)。残り95は、従来の圧縮機96によって圧縮され、冶金コークス炭102と共に従来の浸炭装置または気化器98にもたらされ、気化器98の上部101に供給される。気化器98は、700~800℃で運転し、下記の反応に従うCO生成反応(Bouduard反応)を起こす:
C(s)+CO2(g)=2CO(g)(13)
この反応は吸熱性であり、アーク電極99または他の従来の手段によって供給される熱を必要とする。酸素(O2)、窒素(N2)および二酸化炭素(CO2)を含むガスは、気化器98の下部97に入り、酸素がコークス炭と反応して一酸化炭素(CO)を生成するので、実質的に一酸化炭素(CO)および窒素(N2)のみを伴って上部100から出る:
2C(s)+O2(g)=2CO(g) (14)
コークス炭106からの灰は、浸炭反応器98の下部を通って排出される。
【0046】
気化器98の上部100から出る高温ガス103は、コークス炭が、発生した焼成物112を汚染する硫黄を含有する場合に、硫黄捕捉反応器または脱硫器104に運ばれる。脱硫器には石灰石(CaCO3)105が供給され、これは700℃超で、気化器98内で生成された気体硫黄と反応する:
2CaCO3(s)+S2(g)=2CaS(s)+2CO2(g)+O2(g) (15)
発生した酸素はガスのCOをCO2に酸化するが、コークス炭102中に存在する硫黄は必ずしも0.5%を超えないので、反応(15)は非常に限定された程度で起こる。脱硫器104からの排出物107は廃棄することができる。
【0047】
一酸化炭素(CO)および少量のCO2を含み、硫黄108を含まない清浄ガスを流動床還元反応器81の下部109に注入して、上記で説明したことに従って酸化された焼成物を還元する。
【0048】
この代替法に加えて、一酸化炭素(CO)還元ガスを水素(H
2)によって置き換えることができる。還元剤として水素(H
2)を使用することの長所は、反応が純粋で非常に激しく、10~20体積%に希釈することができるので、水素(H
2)を設備の外部で生成させ、窒素のような不活性ガスと混合することによって反応器に直接的に注入することができることである。また、還元反応の製品として水のみが生成され、再利用することができる。水素との反応は次の通りである:
CuO
(s)+H
2(g)=Cu
(s)+H
2O
(g) (16)
3Fe
2O
3(s)+H
2(g)=2Fe
3O
4(s)+H
2O
(g) (17)
3CuO・Fe
2O
3(s)+4H
2(g)=3Cu
(s)+2Fe
3O
4(s)+4H
2O
(g) (18)
ZnO
(s)+H
2(g)=Zn
(g)+H
2O
(g) (19)
図4に見られるように、酸化された銅および鉄の焼成物の水素による還元は、考慮される温度範囲を通して可能である。しかしながら、酸化亜鉛の還元は、存在するいくつかの相の融点より高い1200℃超の温度を必要とし、銅濃縮物が亜鉛を含有する場合、結局、形成された酸化亜鉛は、銅および貴金属を精錬することによってスラグから回収することができる銅金属と合わせられる。酸化亜鉛は、上記のように希硫酸に容易に溶解する。
【0049】
図7は、銅金属およびマグネタイト(Fe
3O
4)の安定相の安定領域を示す、700℃におけるCu-Fe-H
2-O
2相安定性の図を、H(H
2)の分圧と、O(O
2)の分圧との関数として示したものである。
【0050】
この技術的代替法の工程図を
図8に示す。酸化焙焼反応器から来る酸化された焼成物114は、従来の流動床反応器115に連続的に供給され、その床116において、水素(H
2)による還元反応(16)~(19)が起こる。反応(16)~(19)は、400~900℃、好ましくは600~800℃の温度で、0.5~12時間、好ましくは4~6時間の反応時間で起こり、1~90体積%、好ましくは10~20体積%の水素と、窒素ガス(N
2)または他の不活性ガスである残りとを含むガスで流動化される。床116中の固体の反応時間は、2~8時間、好ましくは4~6時間の範囲である。
【0051】
また、固体粒子を取り込む高温ガス117は、蒸気を発生する工業用の従来のボイラ118において350~400℃に冷却され、ガス119は次いで、1つ以上の従来の高温サイクロン120で清浄される。次いで、清浄ガス124は、水126によって冷却された従来の凝縮器125内で冷却され、反応(16)~(18)で生成された水127を凝縮する。水127は、工業用水として使用することができる。
【0052】
更に新鮮な水素(H2)133および窒素(N2)129を、場合により凝縮器125の出口ガス128に添加し、従来の圧縮機130で圧縮し、流動床反応器115の底部132に注入する(131)。この技術的選択肢において、環境へのガス排出はなく、ガスは処理の中で連続的に再循環され、唯一の液体生成物は回収可能な水である。
【0053】
ボイラ118およびサイクロン120で分離された粉末121は焼成物122と合流し、
図1に記載されたポンド34に相当するポンドに排出され(123)、処理の残りは、還元焼成物について
図1に記載された処理と同じである。
【0054】
適用実施例
表1に示した化学組成および表2の鉱物学的組成を有する銅濃縮物を、800℃(±10℃)で、5kg/hの供給速度、4時間の平均反応時間および反応(1)~(5)によって必要とされる当量を超える100%超の空気と共に、連続流動実験室床反応器中で焼成した。濃縮物の粒度は80%~100メッシュであった。
【0055】
【0056】
【0057】
焼成物は、収集された粉末と共に20℃まで冷却され、化学的および鉱物学的に分析された。その組成物を表3および表4に示す。
【0058】
【0059】
【0060】
焼成工程において、最初の濃縮物中に含まれる硫黄の99.3%をSO2形態に除去した。反応器排気ガスの配合は、SO2の12.5~13体積%であった。
【0061】
次いで、CO/(CO+CO2)=0.5中のCO+CO2の混合物を、平均反応時間2時間800℃とし、4kg/hの速度で供給し、反応(8)~(10)によって必要とされる当量を超える20%超のCOを使用することによって、流動実験室床加熱炉中で焼成物を連続的に還元した。
【0062】
焼成物を水中で直接的に30℃に冷却し、化学的および鉱物学的に分析した。結果を表5に示す。
【0063】
【0064】
25%固体を有する焼成パルプを、磁気実験室のドラム系中で、それぞれ400ガウス/cmの4段階で磁気的に濃縮し、3段階で(各段階で)生成した中間尾部を描写した。最終マグネタイト濃縮物は、94.2%のマグネタイト(Fe3O4)、4%のシリカ(SiO2)および0.8%のその他成分、0.1%の銅が捕捉された。
【0065】
最終尾部(銅濃縮物)は74.1%の金属銅および24.7%のシリカを含み、pH10で0.25g/lのドデシルアンモニウムおよび0.05g/lの硝酸カリウムを使用し、90.2%のシリカおよび他のケイ酸塩を除去し、92.9%のシリカおよび0.08%の銅の濃縮物を生成する3つの清浄段階で浮遊させた。
【0066】
最終尾部は銅98.9%、シリカ0.8%およびマグネタイト0.8%の法則を有する金属銅を含有し、これを電気炉中で1200℃で溶融させて、ブリスター銅と等量にした。濃縮物から最終銅金属への銅の総回収率は98.7%であった。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】銅濃縮物から銅金属を生産する方法の模式図。
【
図2】鉱物化合物の反応の標準自由エネルギーのグラフ。
【
図3】800℃(Cu/Fe=2/1)における、Cu-Fe-S-Oの4相安定性図。
【
図4】一酸化炭素と水素との還元反応の標準自由エネルギーの図。
【
図5】700℃におけるCu-Fe-C-Oの4相安定性図。
【
図6】流動床反応器による技術的代替のプロセス図。
【
図7】700℃におけるCu-Fe-H
2-O
2の相安定性図。