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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】冷凍物打撃装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/303 20060101AFI20230904BHJP
   B02C 1/00 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
G01N3/303 D
B02C1/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023106281
(22)【出願日】2023-06-28
【審査請求日】2023-07-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523247452
【氏名又は名称】有限会社巧機工
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【弁理士】
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】中尾 彰信
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-110154(JP,A)
【文献】特開2010-042335(JP,A)
【文献】実開平04-014137(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/303
B02C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍物を打撃する冷凍物打撃装置であって、
前記冷凍物が置かれる第1支持台と、
鉛直方向で前記第1支持台より上に配置される第2支持台と、
鉛直方向で前記第2支持台より上に配置され、かつ、鉛直方向に沿って上昇及び下降可能なウェイトと、
前記第2支持台に設けられ、かつ、下降する前記ウェイトから受けた打撃力を前記冷凍物に伝達するハンマと、
前記第2支持台に設けられ、かつ、前記ハンマを前記第1支持台と前記第2支持台との間で鉛直方向における所定範囲内で移動可能に支持するハンマ支持機構と、
を有する、冷凍物打撃装置。
【請求項2】
請求項1記載の冷凍物打撃装置において、
前記ウェイトを支持し、かつ、前記ウェイトを鉛直方向の上死点と下死点との間で上昇及び下降させる昇降機構と、
前記ウェイトに支持力を加えて前記上死点で支持し、かつ、前記ウェイトに対する支持力を解除して前記ウェイトを自重で下降させるウェイト支持機構と、
を有する、冷凍物打撃装置。
【請求項3】
請求項2記載の冷凍物打撃装置において、
前記第2支持台は、鉛直方向に貫通する穴を有し、
前記ウェイトの一部は、前記穴内で鉛直方向に移動可能である、冷凍物打撃装置。
【請求項4】
請求項3記載の冷凍物打撃装置において、
前記ウェイトが鉛直方向に対して交差する方向に移動することを阻止するガイド部材が、前記第1支持台に立てて設けられ、
前記ウェイト支持機構は、前記ガイド部材に取り付けられている、冷凍物打撃装置。
【請求項5】
請求項2記載の冷凍物打撃装置において、
前記昇降機構は、
圧縮空気が供給されて作動状態が切り替えられるアクチュエータと、
前記アクチュエータにより鉛直方向に作動される可動部材と、
を有し、
前記可動部材の鉛直方向における位置を検出して作動状態が切り替わるスイッチが設けられ、
前記アクチュエータは、前記スイッチの作動状態に応じて作動状態が切り替わる、冷凍物打撃装置。
【請求項6】
請求項2記載の冷凍物打撃装置において、
前記第2支持台を真上から見た平面視で、前記ウェイトの外周面の形状は、基準位置を中心とする円形であり、
前記ウェイトの外周面には、前記第2支持台を真上から見た平面視で、前記基準位置を中心とする環状の係合溝が設けられ、
前記ウェイト支持機構は、
前記ウェイトに係合されて支持力を加え、かつ、前記ウェイトから解放されて支持力を解除する複数の係合要素と、
前記複数の係合要素をそれぞれ作動可能に支持する複数の支持軸と、
を有し、
前記複数の支持軸は、前記第2支持台を真上から見た平面視で、前記基準位置を中心とする同一円周上にそれぞれ配置されている、冷凍物打撃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍物を打撃する冷凍物打撃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍物を打撃する冷凍物打撃装置の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されている冷凍物打撃装置は、送水ポンプと、撒き水管と、ブロック凍結品を載置し得るブロック固定器と、を有する。特許文献1に記載された冷凍物打撃装置は、送水ポンプから送られる水が、撒き水管の小孔から1.5g/cm2程度以上の打撃力で噴射され、凍結ブロックを破壊して解凍する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭54-147943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、特許文献1に記載されている冷凍物打撃装置では、包装体、例えば、段ボール箱等に収容された冷凍物を打撃しようとする場合、冷凍物を打撃する前工程で、冷凍物を包装体から取り出さなければならず面倒である、という課題を認識した。
【0005】
本開示の目的は、包装体に収容された冷凍物を、包装体から取り出すことなく打撃することの可能な、冷凍物打撃装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、冷凍物を打撃する冷凍物打撃装置であって、前記冷凍物が置かれる第1支持台と、鉛直方向で前記第1支持台より上に配置される第2支持台と、鉛直方向で前記第2支持台より上に配置され、かつ、鉛直方向に沿って上昇及び下降可能なウェイトと、前記第2支持台に設けられ、かつ、下降する前記ウェイトから受けた打撃力を前記冷凍物に伝達するハンマと、前記第2支持台に設けられ、かつ、前記ハンマを前記第1支持台と前記第2支持台との間で鉛直方向における所定範囲内で移動可能に支持するハンマ支持機構と、を有する、冷凍物打撃装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、包装体に収容された冷凍物を、包装体から取り出すことなく打撃することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】冷凍物打撃装置の一例である冷凍バター打撃装置の正面図である。
図2】冷凍バター打撃装置の側面図である。
図3】冷凍バター打撃装置の平面図である。
図4】冷凍バター打撃装置が有するウェイト、バターハンマを含む部分的な側面図である。
図5】冷凍バター打撃装置が有するウェイト、バターハンマを含む部分的な側面図である。である。
図6】冷凍バター打撃装置が有するウェイト支持機構の側面図である。
図7A】冷凍バター打撃装置における圧縮空気の供給系統を示し、初期状態で自動ボタンが操作された状態の模式図である。
図7B】冷凍バター打撃装置における圧縮空気の供給系統を示し、第1工程でブラケット及びウェイトが上昇する状態の模式図である。
図7C】冷凍バター打撃装置における圧縮空気の供給系統を示し、第1工程でブラケット及びウェイトが上死点にある状態の模式図である。
図7D】冷凍バター打撃装置における圧縮空気の供給系統を示し、第1工程から第2工程へ移行する状態の模式図である。
図7E】冷凍バター打撃装置における圧縮空気の供給系統を示し、第3工程でウェイトが上死点から降下する状態の模式図である。
図7F】冷凍バター打撃装置における圧縮空気の供給系統を示し、第3工程でウェイトが下死点にある状態の模式図である。
図7G】冷凍バター打撃装置における圧縮空気の供給系統を示し、第3工程から第4工程へ移行する状態の模式図である。
図8】冷凍バター打撃装置の初期状態、第1工程及び第2工程を示す模式的な側面図である。
図9】冷凍バター打撃装置の第3工程、終了工程3及び終了工程4を示す模式的な側面図である。
図10A】冷凍バター打撃装置における圧縮空気の供給系統を示し、終了工程1の模式図である。
図10B】冷凍バター打撃装置における圧縮空気の供給系統を示し、終了工程2の模式図である。
図10C】冷凍バター打撃装置における圧縮空気の供給系統を示し、終了工程3の模式図である。
図10D】冷凍バター打撃装置における圧縮空気の供給系統を示し、終了工程4の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(概要)
以下、冷凍物打撃装置に含まれるいくつかの実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、冷凍物打撃装置の一例として、冷凍バターが収容された包装体をハンマで打撃して、冷凍バターを破壊する冷凍バター打撃装置を取り上げて説明する。本実施形態を説明するための図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
(冷凍バター打撃装置の構成)
図1図2及び図3には、冷凍バター打撃装置10が示されている。冷凍バター打撃装置10は、支持台11と、複数の支柱12と、受け板13と、バターハンマ14と、複数のパイプガイド15と、ウェイト16と、ロッドレスシリンダ17と、ロッドレスシリンダブラケット(以下、「ブラケット」と略記する)18と、ブラケットアーム19と、ウェイト支持機構20と、カバー21と、を有する。
【0011】
支持台11は、冷凍バター打撃装置10を構成する他の要素及び機構を支持し、かつ、冷凍バター22が収容された包装体23を支持する要素である。冷凍バター22は、冷凍されて硬度が高められたバターである。支持台11は、複数のレベルアジャスタボルト24を介して使用場所25に置かれる。複数のレベルアジャスタボルト24は、支持台11を支持し、かつ、鉛直方向において、使用場所25に対する支持台11の高さを調整するために設けられている。鉛直方向は、重力の作用方向を意味する。支持台11は、例えば、金属製のプレートで構成されており、支持台11は、複数のレベルアジャスタボルト24によって略水平に保たれる。図3のように、支持台11を鉛直方向の真上から平面視すると、支持台11の外周形状は、一例として、略四角形である。
【0012】
複数の支柱12は、一例として4本設けられている。複数の支柱12は、それぞれ金属製の角パイプで構成されている。複数の支柱12は、鉛直方向に沿って立てられた状態で、それぞれ支持台11の上面に固定されている。4本の支柱12は、支持台11の上面で異なる位置に配置されている。具体的に説明すると、支持台11の平面視で、四角形、例えば長方形における4箇所の角部に対応する位置に、支柱12がそれぞれ配置されている。
【0013】
受け板13は、バターハンマ14及び複数のパイプガイド15等を支持する要素であり、受け板13は、4本の支柱12に固定されている。受け板13は、例えば、金属製のプレートで構成されており、受け板13は、4本の支柱12により略水平に保持されている。図5のように、受け板13の上面にプレート26が固定されている。また、プレート26及び受け板13を鉛直方向に貫通する穴27が設けられている。
【0014】
バターハンマ14は、ウェイト16から受けた打撃力を、包装体23及び冷凍バター22へ伝達する要素である。具体的に説明すると、バターハンマ14は、冷凍バター22が収容された包装体23を打撃する要素である。バターハンマ14は、一例として金属製であり、バターハンマ14は、ハンマ支持機構28を介して受け板13に支持されている。バターハンマ14は、ハンマ支持機構28により支持された状態で、鉛直方向で下向きに突出された突起29を有する。
【0015】
バターハンマ14は、受け板13に対し鉛直方向の所定範囲内で移動できるように、ハンマ支持機構28により支持されている。ハンマ支持機構28は、複数のボルトと、各ボルトにそれぞれ取り付けられたナットと、各ボルトにそれぞれ取り付けられた引っ張りコイルスプリングと、を有する。圧縮コイルスプリングは、鉛直方向に伸縮可能である。バターハンマ14が鉛直方向に移動できる所定範囲は、鉛直方向でボルトに対するナットの取り付け位置、引っ張りコイルスプリングのばね定数等、に応じて定まる。さらに、受け板13のプレート26上に金属製の受けリング30が載せられている。
【0016】
複数のパイプガイド15、具体的には3本のパイプガイド15は、プレート26の上面から鉛直方向に突出して設けられている。3本のパイプガイド15は、ウェイト16が鉛直方向に対して交差する方向に移動することを阻止する要素である。3本のパイプガイド15は、金属製である。図3のように、受け板13を平面視すると、3本のパイプガイド15は、基準位置A1を中心とする同一円周上に等間隔で配置されている。
【0017】
ウェイト16は、バターハンマ14に打撃力を加えるための要素であり、例えば、金属製である。ウェイト16は、円柱形状であり、ウェイト16の上部に係合溝31が設けられている。係合溝31は、ウェイト16の全周に亘って環状に設けられている。また、ウェイト16の下端には、バターハンマ14に接触される突起32が設けられている。ウェイト16は、図4及び図5のように、鉛直方向でバターハンマ14の上方に配置されている。
【0018】
ウェイト16は、鉛直方向に沿って移動、つまり、上昇及び下降が可能である。ウェイト16は、重力によって下降、つまり、落下可能であり、かつ、ウェイト16は、ロッドレスシリンダ17により支持された状態で、図4に示す仮想線B1に沿って上昇及び下降が可能である。仮想線B1は、鉛直方向に延ばされた直線であり、仮想線B1は、図3に示す基準位置A1を通る。図3のように、受け板13を平面視すると、係合溝31及び突起32は、基準位置A1を中心として配置されている。ウェイト16が上昇または下降されると、突起32は、受けリング30内及び穴27内へ進入すること、受けリング30内及び穴27内から退出すること、ができる。ウェイト16が下降して突起32が穴27へ進入すると、突起32の先端は、鉛直方向で受け板13の下方へ到達してバターハンマ14を打撃する。
【0019】
ウェイト16は、受け板13の上方空間で3本のパイプガイド15の間に配置されている。ウェイト16が3本のパイプガイド15に接触することにより、ウェイト16が、鉛直方向とは異なる方向に移動することが規制される。図3のように、受け板13を真上から平面視すると、ウェイト16の外周面の形状は、基準位置A1を中心とする円形であり、ウェイト16は、基準位置A1を中心として配置されている。
【0020】
ロッドレスシリンダ17は、支持台11上に設けられている。ロッドレスシリンダ17は、ウェイト16を上昇及び下降させる機能を有する。ロッドレスシリンダ17は、図3のように、リニアガイド33、スライダ34、シリンダチューブ、第1空気室80、第2空気室81、ピストン82等を有する。リニアガイド33は、鉛直方向に沿って設けられたレールである。スライダ34は、リニアガイド33に取り付けられている。シリンダチューブ内に、第1空気室80、第2空気室81及びピストンが設けられており、第1空気室80と第2空気室81とがピストン82により仕切られている。第1空気室80または第2空気室81の何れか一方へ圧縮空気が供給され、他方から圧縮空気が排出される。ピストン82は、スライダ34に連結されており、ピストン82と共にスライダ34がリニアガイド33に沿って鉛直方向に作動される。第1空気室80の空気圧が上昇されると、ピストン82及びスライダ34が上昇され、第2空気室81の空気圧が上昇されると、ピストン82及びスライダ34が下降される。このようにして、スライダ34が上死点と下死点との間で往復及び停止される。鉛直方向において、上死点は下死点より高い位置である。
【0021】
また、ロッドレスシリンダブラケット(以下、「ブラケット」と略記する。)18が、スライダ34に固定されている。さらに、2個のブラケットアーム19がブラケット18に固定されている。ロッドレスシリンダ17の平面視で、2個のブラケットアーム19は平行に配置されており、2個のブラケットアーム19は、受けリング30を介してウェイト16を支持することができる。ロッドレスシリンダ17及び2個のブラケットアーム19は、スライダ34と共に鉛直方向に作動される。このため、2個のブラケットアーム19がウェイト16を支持した状態で、スライダ34がリニアガイド33に沿って上昇すると、ウェイト16も上昇される。2個のブラケットアーム19がウェイト16を支持した状態で、スライダ34がリニアガイド33に沿って下降すると、ウェイト16も下降される。
【0022】
ウェイト支持機構20は、ロッドレスシリンダ17により上昇されたウェイト16を、鉛直方向における上死点で支持するために設けられている。ウェイト16が上死点で支持されると、ウェイト16の下端は、受け板13よりも所定量、例えば、1.5m以上高い位置で停止される。ウェイト支持機構20は、図3及び図6のように、パイプガイド15に固定された上部プレート35及び下部プレート36と、下部プレート36に固定されたシリンダブラケット37と、シリンダブラケット37に設けられたエアーシリンダ38と、上部プレート35と下部プレート36との間に介在された駆動リング39と、駆動リング39に連結された抜き差しレバー40と、を有する。
【0023】
上部プレート35は、鉛直方向で下部プレート36より上に配置されている。図3のように、受け板13を平面視すると、上部プレート35及び下部プレート36は、基準位置A1を中心とする環状に構成されている。レバーガイドピン69,70が、上部プレート35及び下部プレート36に固定されている。駆動リング39は、上部プレート35と下部プレート36との間に配置されている。図3のように、受け板13を平面視すると、駆動リング39は、基準位置A1を中心として環状に配置されている。駆動リング39は、上部プレート35及び下部プレート36に対し、基準位置A1を中心として所定角度の範囲内で作動可能である。抜き差しレバー40は、駆動リング39に対し支持軸41を中心として作動可能に取り付けられている。抜き差しレバー40は、複数、例えば、2個設けられており、受け板13の平面視で、支持軸41は、基準位置A1を中心とする同一円周上に配置されている。
【0024】
エアーシリンダ38は、往復作動可能なプランジャ42を有し、プランジャ42が駆動リング39に連結されている。プランジャ42は、図示しない圧縮スプリングにより押され、かつ、駆動リング39が図3で反時計回りに付勢されている。そして、エアーシリンダ38から圧縮空気が排出されていると、プランジャ42は圧縮スプリングに押された前進位置で停止している。また、抜き差しレバー40がレバーガイドピン69に接触して停止している。このため、ウェイト16が上死点に位置していると、抜き差しレバー40の先端がウェイト16の係合溝31へ進入して停止する。つまり、抜き差しレバー40がウェイト16に係合され、ウェイト16が上死点に保持される。
【0025】
これに対して、抜き差しレバー40がウェイト16を上死点に保持している状態において、エアーシリンダ38へ圧縮空気が供給されると、プランジャ42が圧縮スプリングの力に抗して前進位置から後退位置へ作動して停止し、かつ、駆動リング39が時計方向に所定角度の範囲で回転される。駆動リング39が時計方向に回転されると、抜き差しレバー40はレバーガイドピン70に接触し、かつ、支持軸41を中心として時計回りに作動して停止する。このため、抜き差しレバー40の先端がウェイト16の係合溝31から退出する。つまり、抜き差しレバー40がウェイト16から解放され、ウェイト16が上死点から下降できる。
【0026】
カバー21は、受け板13より上の空間を覆う構造物である。カバー21は、支柱12に取り付けられており、作業者はカバー21を開閉することができる。カバー21により覆われた空間内に、3本のパイプガイド15、ウェイト支持機構20、ウェイト16、等が配置されている。カバー21は、例えば、金属製であり、カバー21に窓43が開口されている。窓43は、透明または半透明な透光部材44により塞がれている。透光部材44は、ガラス、または、合成樹脂を含む。作業者は、カバー21の外部から透光部材44を介してカバー21の内部を目視することができる。カバー21には操作盤45が設けられている。操作盤45には、作業者により操作される各種の操作ボタン、例えば、起動ボタン45A、停止ボタン45B、自動ボタン45C、運転ボタン45D、終了ボタン45E等が設けられている。操作盤45が操作されると、ロッドレスシリンダ17における圧縮空気の供給状態、ウェイト支持機構20における圧縮空気の供給状態が制御される。
【0027】
(各種の検出機構)
受け板13の上面に、金属製のステー46が立てて設けられている。ステー46にブラケット47が取り付けられており、メカニカルバルブ48及びバルブスイッチ金具49が、ブラケット47に取り付けられている。バルブスイッチ金具49は、作動可能に設けられており、バルブスイッチ金具49の状態は、ウェイト16に接触されたオンと、ウェイト16から離間されたオフと、に切り替えられる。なお、バルブスイッチ金具49のオン・オフは、作業者が手動で切り替えることもできる。
【0028】
また、図7Aに示すブラケット接触スイッチ50,83が設けられている。ブラケット接触スイッチ50,83は、ブラケット18に接触または離間されることにより、鉛直方向におけるブラケット18の位置に応じて作動状態が切り替わる。ブラケット接触スイッチ50は、ブラケット18が下死点に位置すると接触され、かつ、ブラケット18が下死点より上に位置すると離間される。ブラケット接触スイッチ83は、ブラケット18が上死点に位置すると接触され、かつ、ブラケット18が上死点より下に位置すると離間される。さらに、図7Aに示すスピードコントローラ51,84が設けられている。スピードコントローラ84は、ロッドレスシリンダ17の第1空気室80に空気を供給し、かつ、第1空気室80から空気を排出する。また、スピードコントローラ84は、第1空気室80から排出する圧縮空気の流量を、第2空気室81へ供給される圧縮空気の流量未満に調整する。スピードコントローラ51は、ロッドレスシリンダ17の第2空気室81に空気を供給し、かつ、第2空気室81から空気を排出する。また、スピードコントローラ51は、第2空気室81から排出する圧縮空気の流量を、第1空気室80へ供給される圧縮空気の流量未満に調整する。スピードコントローラ51が、第2空気室81から排出される圧縮空気の流量を調整するため、ブラケット18が上昇する速度を調整できる。スピードコントローラ84が、第1空気室80から排出される圧縮空気の流量を調整するため、ブラケット18が下降する速度を調整できる。
【0029】
図5に示す包装体検出スイッチ52が設けられている。包装体検出スイッチ52は、例えば、支持台11とバターハンマ14との間に設けられている。包装体検出スイッチ52は、支持台11上に載せられる包装体23に接触されて作動する。包装体23が支持台11上に無ければ、包装体検出スイッチ52は作動しない。
【0030】
(回路図)
図7Aは、冷凍バター打撃装置10における圧縮空気の供給系統を模式的に示す回路図である。空気を吸入して圧縮空気を吐出する空気機械の一例であるエアコンプレッサ56が設けられている。エアコンプレッサ56の吐出口に通路53が接続されている。通路53に通路90が接続され、通路90は、メカニカルバルブ91に接続されている。メカニカルバルブ91は、ブラケット接触スイッチ50の作動状態、つまり、鉛直方向におけるブラケット18の位置に応じて状態が切り替えられる。メカニカルバルブ91は、通路92へ接続されている。メカニカルバルブ91は、入力ポート93、出力ポート94、ドレーンポート95、プランジャ、圧縮スプリングを有する。メカニカルバルブ91は、プランジャが作動して状態が切り替えられる。
【0031】
メカニカルバルブ91は、図7Dのように、ブラケット18が下死点に位置すると、入力ポート93と出力ポート94とを接続し、かつ、ドレーンポート95を閉じる。このため、エアコンプレッサ56から吐出された圧縮空気は、通路53,90を通って入力ポート93へ供給され、かつ、出力ポート94から通路92へ供給される。メカニカルバルブ91は、図7Gのように、ブラケット18が下死点より上に位置すると、出力ポート94とドレーンポート95とを接続し、かつ、入力ポート93を閉じる。このため、通路92の圧縮空気は、ドレーンポート95から排出される。
【0032】
また、図7Aのように、ブラケット接触スイッチ83の作動状態、つまり、鉛直方向におけるブラケット18の位置に応じて状態が切り替えられるメカニカルバルブ100が設けられている。メカニカルバルブ100は、通路101,102に接続されている。通路101は、通路53へ接続されている。メカニカルバルブ100は、入力ポート103、出力ポート105、ドレーンポート104、プランジャ、圧縮スプリングを有する。入力ポート103は通路101に接続され、出力ポート105は通路102に接続されている。メカニカルバルブ100は、プランジャが作動して状態が切り替えられる。
【0033】
メカニカルバルブ100は、図7Cのようにブラケット18が上死点に位置すると、入力ポート103と出力ポート105とを接続し、かつ、ドレーンポート104を閉じる。このため、通路101の圧縮空気は、出力ポート105から通路102へ供給される。メカニカルバルブ100は、図7Bのようにブラケット18が上死点より下に位置すると、出力ポート105とドレーンポート104とを接続し、かつ、入力ポート103を閉じる。このため、通路102の圧縮空気は、ドレーンポート104から排出される。
【0034】
図4及び図5のように、メカニカルバルブ48は、バルブスイッチ金具49に接続されており、メカニカルバルブ48は、鉛直方向におけるウェイト16の位置に応じて状態が切り替えられる。図7Aのように、メカニカルバルブ48は、通路92及び通路96に接続されている。メカニカルバルブ48は、入力ポート97、出力ポート98、ドレーンポート99、プランジャ、圧縮スプリング等を有する。入力ポート97は通路92に接続され、出力ポート98は通路96に接続されている。メカニカルバルブ48は、プランジャが作動して状態が切り替えられる。メカニカルバルブ48は、図7Fのように、ウェイト16が下死点に位置すると、入力ポート97と出力ポート98とを接続し、かつ、ドレーンポート99を閉じる。このため、通路92に供給される圧縮空気は、出力ポート98から通路96へ供給される。メカニカルバルブ48は、図7Bのように、ウェイト16が下死点より上に位置すると、出力ポート98とドレーンポート99とを接続し、かつ、入力ポート97を閉じる。このため、通路96の圧縮空気は、ドレーンポート99から排出される。
【0035】
さらに、図7Aのように、通路53に通路106が接続されている。そして、通路96,102,106,113,114に接続されたエアーオペレートバルブ60が設けられている。エアーオペレートバルブ60は、エアコンプレッサ56から吐出される圧縮空気を、第1空気室80及び第2空気室81に切り替えて供給する機能を有する。エアーオペレートバルブ60は、入力ポート107、出力ポート108,109、ドレーンポート110、操作圧(信号圧)ポート111,112、プランジャを有する。入力ポート107は通路106へ接続され、出力ポート108は通路113へ接続されている。通路113は第1空気室80へ接続され、スピードコントローラ84は、通路113に設けられている。出力ポート109は通路114へ接続されている。通路114は第2空気室81へ接続され、スピードコントローラ51は、通路114に設けられている。操作圧ポート111は通路96へ接続され、操作圧ポート112は通路102へ接続されている。
【0036】
そして、エアーオペレートバルブ60は、操作圧ポート111へ供給される圧縮空気の圧力と、操作圧ポート112へ供給される圧縮空気の圧力との差に応じて、作動状態が切り替えられる。エアーオペレートバルブ60は、操作圧ポート111の圧力と、操作圧ポート112の圧力とが同じであると、プランジャは作動せず、状態が保持される。エアーオペレートバルブ60は、操作圧ポート111の圧力が操作圧ポート112の圧力を超えていると、図7Bのように、入力ポート107と出力ポート108とが接続され、かつ、出力ポート109とドレーンポート110とが接続される。このため、通路106の圧縮空気は、出力ポート108、通路113を介して第1空気室80へ供給される。また、第2空気室81の圧縮空気は、通路114を経由してドレーンポート110から排出される。したがって、ブラケット18及びピストン82が上昇する。
【0037】
これに対して、操作圧ポート112の圧力が操作圧ポート111の圧力を超えていると、図7Cのように、入力ポート107と出力ポート109とが接続され、かつ、出力ポート108とドレーンポート110とが接続される。このため、通路106の圧縮空気は、出力ポート109、通路114を介して第2空気室81へ供給される。また、第1空気室80の圧縮空気は、通路113を経由してドレーンポート110から排出される。したがって、ブラケット18及びピストン82が下降する。なお、ブラケット18及びピストン82が上昇する速度及び下降する速度は、スピードコントローラ51,84により、それぞれ調整される。
【0038】
さらに、図5に示す包装体検出スイッチ52の作動状態、つまり、包装体23の有無に応じて作動状態が切り替わる、図7Aのメカニカルバルブ86が設けられている。メカニカルバルブ86は、通路115,116に接続されている。通路116は、通路106に接続されている。メカニカルバルブ48は、入力ポート117、出力ポート118、ドレーンポート119を有する。入力ポート117は通路116に接続され、出力ポート118は通路115に接続されている。包装体23が支持台11上に有ると、メカニカルバルブ86は、図7Dのように、入力ポート117と出力ポート118とを接続し、かつ、ドレーンポート119を閉じる。このため、エアコンプレッサ56から吐出される圧縮空気は、通路106,116及び出力ポート118を通って通路115へ供給される。包装体23が支持台11上に無いと、メカニカルバルブ86は、図7Bのように、出力ポート118とドレーンポート119とを接続し、かつ、入力ポート117を閉じる。このため、通路115の圧縮空気は、ドレーンポート119から排出される。
【0039】
図7Aのように、通路115は押しボタンバルブ120へ接続されている。押しボタンバルブ120は、操作盤45に設けられているボタンの操作により状態が切り替わる。押しボタンバルブ120は、入力ポート121、出力ポート122、ドレーンポート123を有する。入力ポート121は通路115に接続され、出力ポート122は通路124に接続されている。操作盤45の自動ボタン45Cが押されると、押しボタンバルブ120は、図7Eのように、入力ポート121と出力ポート122とを接続し、かつ、ドレーンポート123を閉じる。このため、通路115の圧縮空気は、通路124へ供給される。自動ボタン45Cが押されていなければ、押しボタンバルブ120は、図7Dのように出力ポート122とドレーンポート123とを接続し、かつ、入力ポート121を閉じる。このため、通路124の圧縮空気は、ドレーンポート123から排出される。
【0040】
さらに、図7Aのようにカバーバルブ125が設けられている。カバーバルブ125は、図1に示すカバースイッチ126のオン・オフに応じて状態が切り替わる。カバースイッチ126は、カバー21が閉じられているとオンされ、カバー21が開かれているとオフされる。カバーバルブ125は、入力ポート127、出力ポート128、ドレーンポート129を有する。入力ポート127は通路124に接続され、出力ポート128は通路130に接続されている。カバースイッチ126がオンされていると、カバーバルブ125は、図7Eのように、入力ポート127と出力ポート128とを接続し、かつ、ドレーンポート129を閉じる。このため、通路124の圧縮空気は、通路130へ供給される。カバースイッチ126がオフされていると、カバーバルブ125は、入力ポート127とドレーンポート129とを接続し、かつ、出力ポート128を閉じる。このため、通路124の圧縮空気は、ドレーンポート129から排出される。
【0041】
さらに、図7Aのように、エアーシリンダ38に対する圧縮空気の供給、及び圧縮空気の排出を切り替えるエアーオペレートバルブ85が設けられている。エアーオペレートバルブ85は、入力ポート140、出力ポート141、ドレーンポート142、操作圧(信号圧)ポート143,150、プランジャを有する。入力ポート140は通路53へ接続され、出力ポート141は通路145を介してエアーシリンダ38へ接続されている。操作圧ポート143は通路130へ接続されている。操作圧ポート150は通路146へ接続されている。さらに、操作圧ポート143に接続された通路147が設けられている。そして、通路102を通路146または通路147のいずれか一方へ接続する切替バルブ148が設けられている。切替バルブ148は、作業者がセレクトスイッチ149を操作することにより、状態が切り替えられる。切替バルブ148は、セレクトスイッチ149がオフされていると、通路102と通路146とを接続し、通路102と通路147とを遮断する。切替バルブ148は、セレクトスイッチ149がオンされていると、通路102と通路147とを接続し、通路102と通路146とを遮断する。
【0042】
そして、エアーオペレートバルブ85は、操作圧ポート143へ供給される圧縮空気の圧力と、操作圧ポート150へ供給される圧縮空気の圧力との差に応じて、作動状態が切り替えられる。エアーオペレートバルブ85は、操作圧ポート143の圧力と、操作圧ポート150の圧力とが同じであると、プランジャが作動せず状態が保持される。エアーオペレートバルブ85は、操作圧ポート143の圧力が操作圧ポート150の圧力を超えていると、図7Eのように、入力ポート140と出力ポート141とが接続され、かつ、ドレーンポート142が閉じられる。このため、通路53の圧縮空気は、出力ポート141、通路145を介してエアーシリンダ38へ供給される。したがって、抜き差しレバー40がウェイト16から解放される。
【0043】
これに対して、操作圧ポート150の圧力が操作圧ポート143の圧力を超えていると、図7Dのように、入力ポート140及び出力ポート141は、共にドレーンポート142へ接続される。このため、エアーシリンダ38の圧縮空気は、通路145を通ってドレーンポート142から排出される。したがって、抜き差しレバー40がウェイト16へ係合される。
【0044】
(作動例)
図8及び図9には、本実施形態における冷凍バター打撃装置10の作動例、つまり、冷凍バター打撃方法が示されている。なお、本実施形態では、基本的にカバー21が閉じられており、メンテナンス時等においてのみ、カバー21が開かれるものとする。
【0045】
(初期状態)
冷凍バター打撃装置10の初期状態は、操作盤45が操作されておらず、かつ、エアコンプレッサ56が停止され、かつ、包装体23が支持台11に無い状態を意味する。エアコンプレッサ56から圧縮空気は吐出されない。冷凍バター打撃装置10の初期状態では、図7A及び図8のように、ブラケット18は下死点で停止され、かつ、ウェイト16はブラケットアーム19により支持された状態で、下死点で停止されている。このため、メカニカルバルブ91は、図7Aのように、入力ポート93と出力ポート94とを接続している。また、メカニカルバルブ48は、入力ポート97と出力ポート98とを接続している。さらに、メカニカルバルブ100は、入力ポート103を閉じている。さらに、エアーオペレートバルブ85は、入力ポート140と出力ポート141とを接続し、かつ、ドレーンポート142を閉じている。さらに、バターハンマ14は、初期位置で停止されている。
【0046】
(第1工程)
作業者は、操作盤45の起動ボタン45Aを操作して冷凍バター打撃装置10を起動させる。また、操作盤45のセレクトスイッチ149はオフされている。次に、作業者が操作盤45の自動ボタン45Cを操作(オン)すると、エアコンプレッサ56が駆動されて圧縮空気を吐出する。エアコンプレッサ56から吐出された圧縮空気は、図7Aのように、通路53,92,96を通って操作圧ポート111へ供給される。すると、エアーオペレートバルブ60は、入力ポート107と出力ポート108とを接続し、かつ、出力ポート109とドレーンポート110とを接続する。このため、通路106の圧縮空気は、通路113を通って第1空気室80へ供給される。したがって、ロッドレスシリンダ17が作動されて、ブラケット18及びウェイト16が下死点から上昇される。
【0047】
ブラケット18が下死点から上昇されると、図7Bのように、メカニカルバルブ91は、出力ポート94が閉じられ、通路90の圧縮空気は通路92へ供給されなくなる。また、ウェイト16が下死点から上昇されると、メカニカルバルブ48は、入力ポート97が閉じられ、かつ、出力ポート98とドレーンポート99とが接続される。しかし、ブラケット18が上死点よりも下に位置している間、メカニカルバルブ100の状態は切り替わらず、通路102へ圧縮空気は供給されない。このため、エアーオペレートバルブ60は、入力ポート107と出力ポート108とを接続し、かつ、出力ポート109とドレーンポート110とを接続した状態に保持される。したがって、ブラケット18及びウェイト16の上昇が継続される。
【0048】
また、ブラケット18が上死点よりも下に位置している間、エアーオペレートバルブ85の操作圧ポート150へ圧縮空気は供給されず、エアーオペレートバルブ85の状態は切り替わらない。このため、圧縮空気が通路53,145を経由してエアーシリンダ38へ供給され、プランジャ42が前進位置から後退位置へ作動して停止する。
【0049】
その後、図8及び図7Cのように、ブラケット18及びウェイト16が上死点へ到達すると、メカニカルバルブ100は、入力ポート103と出力ポート105とを接続する。すると、通路101の圧縮空気は、通路102を通って操作圧ポート112へ供給される。このため、エアーオペレートバルブ60は、入力ポート107と出力ポート109とを接続し、かつ、出力ポート108とドレーンポート110とを接続する。すると、通路106の圧縮空気は、通路114を通って第2空気室81へ供給され、かつ、第1空気室80の圧縮空気は、通路113を通ってドレーンポート110から排出される。したがって、ブラケット18は、上死点から下死点へ向けて下降される。
【0050】
一方、ブラケット18が上死点へ到達した時点で、通路102へ供給された圧縮空気の一部は、エアーオペレートバルブ85の操作圧ポート150へ供給される。すると、エアーオペレートバルブ85の状態が切り替わり、出力ポート141とドレーンポート142とが接続され、かつ、入力ポート140が閉じられる。このため、エアーシリンダ38の圧縮空気は、通路145を通ってドレーンポート142へ排出される。したがって、エアーシリンダ38のプランジャ42は、後退位置から前進位置へ作動して停止する。つまり、抜き差しレバー40が上死点に位置するウェイト16に係合される。このようにして、ウェイト16が上死点で保持される。上記のように、ウェイト16が上死点で保持された後、図8及び図7Dのように、ブラケット18が下死点へ到達して停止する。
【0051】
(第2工程)
作業者は、ブラケット18が下死点で停止された後、冷凍バター22が入れられた包装体23を、支持台11の上に載せて滑らせ、包装体23をバターハンマ14の下へ進入させて停止する。ここで、ウェイト16が上死点で保持されており、バターハンマ14は、ハンマ支持機構28の引っ張りコイルスプリングにより上に持ち上げられている。つまり、ウェイト16の質量及びバターハンマ14の質量は包装体23へ加わらない。包装体23を支持台11の上に載せて滑らせる作業を円滑に行える。また、支持台11に載せられると、包装体検出スイッチ52が作動する。このため、メカニカルバルブ86は、入力ポート117と出力ポート118とを接続し、かつ、ドレーンポート119を閉じる。すると、通路116の圧縮空気は、通路115へ供給される。
【0052】
(第3工程)
作業者が、第3工程で操作盤45の運転ボタン45Dを操作すると、押しボタンバルブ120は、入力ポート121と出力ポート122とを接続し、かつ、ドレーンポート123を閉じる。このため、図7Eのように、通路115の圧縮空気が、通路124,130を経由して操作圧ポート143へ供給される。すると、エアーオペレートバルブ85の状態が切り替わり、入力ポート140と出力ポート141とが接続され、かつ、ドレーンポート142が遮断される。このため、通路53の圧縮空気が、通路145を通ってエアーシリンダ38に供給され、プランジャ42が前進位置から後退位置へ作動し、かつ、プランジャ42が停止する。
【0053】
プランジャ42が後退位置へ作動すると、抜き差しレバー40がウェイト16から解放され、図9に示すように、ウェイト16が自重で下降、つまり、自然に落下する。ウェイト16の突起29が穴27へ進入し、かつ、突起29がバターハンマ14を打撃し、図7Fのように、ウェイト16が下死点で停止する。また、バターハンマ14は、鉛直方向で下方へ所定量移動し、バターハンマ14が、包装体23及び冷凍バター22を打撃する。具体的には、突起29が包装体23及び冷凍バター22に食い込み、冷凍バター22が破壊される。つまり、冷凍バター22が割れる。なお、包装体23が受け板13上に載せられていない状態では、包装体検出スイッチ52が作動しておらず、運転ボタン45Dが操作されても、エアーシリンダ38へ圧縮空気は供給されない。このため、ウェイト16は上死点に保持される。
【0054】
(第4工程)
ウェイト16が下死点へ到達すると、メカニカルバルブ48の状態が切り替わり、通路92の圧縮空気は、通路96を通って操作圧ポート111へ供給される。このため、エアーオペレートバルブ60の状態が切り替わり、第1工程と同様に、第1空気室80に圧縮空気が供給され、かつ、第2空気室81から圧縮空気が排出される。したがって、ブラケット18及びウェイト16は、第1工程と同様にして、図7Gのように上昇する。なお、第1工程で自動ボタン45Cが操作されているため、第4工程では自動ボタン45Cを操作することなく、ブラケット18及びウェイト16が、第1工程と同様に上昇する。
【0055】
ブラケット18が下死点から上昇すると、メカニカルバルブ91の状態が切り替わり、入力ポート93を閉じる。また、ウェイト16下死点から上昇すると、メカニカルバルブ48の状態が切り替わり、入力ポート97が閉じられる。しかし、ブラケット18が上死点より下に位置する間、メカニカルバルブ100の状態が切り替わらず、通路102へ圧縮空気が供給されることはない。したがって、エアーオペレートバルブ60の状態が保持され、ブラケット18の上昇が継続される。
【0056】
ブラケット18及びウェイト16が上死点へ到達すると、前述と同様にメカニカルバルブ100の状態が切り替わり、通路102へ圧縮空気が供給される。したがって、前述と同様にしてエアーオペレートバルブ85の状態が切り替わり、抜き差しレバー40がウェイト16に係合され、ウェイト16が上死点に保持される。ウェイト16が上死点で保持された後、前述と同様の原理により、ブラケット18及びブラケットアーム19が下降される。そして、第2工程と同様にブラケットアーム19及びブラケット18が下死点へ到達すると、ブラケット18が下死点で停止される。
【0057】
(第5工程)
ブラケット18が下死点で停止された後、作業者は、包装体23を支持台11上で滑らせて移動し、支持台11の平面視で、包装体23に対するバターハンマ14の位置を変更する。そして、作業者は、第1工程乃至第4工程を行うことで、包装体23及び冷凍バター22をバターハンマ14で再度打撃した後、冷凍バター22が収容された包装体23を支持台11上から取り除く。
【0058】
(終了工程1)
作業者が、包装体23を支持台11上から取り除いた後、冷凍バター打撃装置10の利用を終了する例を、終了工程1から終了工程4に基づいて説明する。図10Aに示す終了工程1では、図7Dに示す状態と同様に、ウェイト16が上死点で保持され、かつ、ブラケット18が下死点で停止されている状態で行われる。終了工程1では、第1空気室80から圧縮空気が排出され、第2空気室81圧縮空気が供給されている。したがって、ブラケット18は下死点で停止されている。また、シリンダ38から圧縮空気が排出されており、抜き差しレバー40がウェイト16に係合されて、ウェイト16が上死点で保持されている。さらに、通路102には、圧縮空気が供給されていない。
【0059】
(終了工程2)
作業者は、図10Bに示す終了工程2において、セレクトスイッチ149を手動でオンさせる。すると、切替バルブ148が、通路102と通路147とを接続し、かつ、通路102と通路101とを遮断する。次に、作業者は、バルブスイッチ金具49を手動でオンさせる。すると、メカニカルバルブ48の状態が切り替えられ、入力ポート97と出力ポート98とが接続され、エアーオペレートバルブ60の操作圧ポート111へ圧縮空気が供給される。このため、エアーオペレートバルブ60の状態が切り替えられ、入力ポート107と出力ポート108とが接続され、かつ、出力ポート109とドレーンポート110とが接続される。したがって、第1空気室80に圧縮空気が供給され、かつ、第2空気室81から圧縮空気が排出され、ブラケット18が上昇される。
【0060】
ブラケット18が上昇されると、メカニカルバルブ91は状態が切り替わり、入力ポート93が閉じられ、かつ、出力ポート94とドレーンポート95とが接続される。このため、操作圧ポート111へ圧縮空気が供給されなくなる。しかし、ブラケット18が上死点よりも下に位置している間、通路102へ圧縮空気は供給されない。したがって、エアーオペレートバルブ60の状態が保持され、ブラケット18の上昇が継続される。
【0061】
(終了工程3)
ブラケット18が、図9及び図10Cのように上死点へ到達すると、メカニカルバルブ100の状態が切り替えられ、入力ポート103と出力ポート105とが接続され、かつ、ドレーンポート104が閉じられる。すると、圧縮空気が通路101から通路102へ供給され、通路102の圧縮空気の一部は、通路147を通って操作圧ポート143へ供給される。このため、エアーオペレートバルブ144は状態が切り替えられ、入力ポート140と出力ポート141とが接続され、かつ、ドレーンポート142が閉じられる。したがって、圧縮空気がエアーシリンダ38へ供給され、プランジャ42が圧縮スプリングの力に抗して作動し、抜き差しレバー40がウェイト16から解放される。
【0062】
一方、通路102へ供給された圧縮空気の一部は、操作圧ポート112へ供給され、エアーオペレートバルブ60の状態が切り替えられる。このため、圧縮空気が第2空気室81へ供給され、かつ、第1空気室80から圧縮空気が排出され、ブラケット18が上死点から下降される。前記のように、抜き差しレバー40がウェイト16から解放されているため、ブラケットアーム19がウェイト16を保持した状態で、ブラケット18が下降する。
【0063】
(終了工程4)
ウェイト16を支持したブラケット18が上死点から下降すると、メカニカルバルブ100の状態が切り替えられる。このため、通路102の圧縮空気は、ドレーンポート104へ排出される。ブラケット18が下降している間、エアーオペレートバルブ60,85の状態は切り替わらない。ブラケット18が、図9及び図10Dのように下死点へ到達すると、ウェイト16も下死点へ到達する。ブラケット18が下死点へ到達すると、メカニカルバルブ91の状態が切り替えられる。このため、入力ポート93と出力ポート94とが接続され、かつ、ドレーンポート95が閉じられる。なお、バルブスイッチ金具49は手動でオフされており、ウェイト16が下死点へ到達しても、バルブスイッチ金具49はオンされない。このようにして、ブラケット18及びウェイト16が下死点で停止された後、作業者が操作盤45の停止ボタン45Bを操作してエアコンプレッサ56を停止させ、かつ、セレクトスイッチ149をオフさせる。エアコンプレッサ56が停止されると、エアーシリンダ38から圧縮空気が排出され、圧縮スプリングの力でプランジャ42が後退位置から前進位置へ作動して停止し、冷凍バター打撃装置10は、初期状態へ戻る。
【0064】
(実施形態の効果)
冷凍バター打撃装置10によれば、ハンマ支持機構28が、バターハンマ14を受け板13と支持台11との間で鉛直方向における所定範囲内で移動可能に接続している。このため、バターハンマ14がウェイト16から打撃力を受けた際に、バターハンマ14が包装体23に接触した状態で下降可能である。したがって、包装体23に収容された冷凍バター22に確実に打撃力を与えることができ、かつ、冷凍バター22を破壊、つまり、割ることができる。さらに、冷凍バター22が収容された包装体23を、支持台11上に載せる場合に、冷凍バター22及び包装体23の鉛直方向における寸法差を吸収できる。さらにまた、作業者が、第2工程で包装体23を支持台11の上に載せて滑らせ、包装体23をバターハンマ14の下へ進入させる場合に、ウェイト16が上死点で保持されている。また、バターハンマ14は、ハンマ支持機構28の引っ張りコイルスプリングにより上に持ち上げられている。つまり、ウェイト16の質量及びバターハンマ14の質量は包装体23へ加わらず、包装体23を支持台11の上に載せて滑らせる作業を円滑に行える。
【0065】
また、ウェイト16の突起32は、受け板13に設けられた穴27内で鉛直方向に移動可能である。したがって、ウェイト16により確実にバターハンマ14を打撃できる。さらに、ウェイト16が鉛直方向に対して交差する方向に移動することを阻止するパイプガイド15が設けられている。したがって、ウェイト16が鉛直方向に対して交差する方向に移動することを阻止でき、冷凍バター22を打撃する位置が平面方向にずれることを防止できる。さらに、ウェイト支持機構20は、パイプガイド15に取り付けられている。したがって、ウェイト支持機構20を支持する要素を専用で設けずに済む。
【0066】
さらに、図3のように、受け板13を真上から見た平面視で、複数の支持軸41は、基準位置A1を中心とする同一円周上にそれぞれ配置されている。このため、2個の抜き差しレバー40がウェイト16に係合されるタイミング、及び解放されるタイミングを、それぞれ同期させることができる。したがって、ウェイト16の中心が、仮想線B1に対して傾くことを抑制できる。また、図3のように、受け板13を真上から見た平面視で、ウェイト16の突起32は、基準位置A1を中心として配置されている。したがって、ウェイト16の中心が、仮想線B1に対して傾くことを抑制でき、かつ、突起32が包装体23及び冷凍バター22を打撃する位置が、基準位置A1から外れることを抑制できる。
【0067】
(その他)
本実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。冷凍バター打撃装置10は、冷凍物打撃装置の一例である。包装体23及び冷凍バター22は、打撃対象物の一例である。支持台11は、第1支持台の一例である。受け板13は、第2支持台の一例である。ウェイト16は、ウェイトの一例である。バターハンマ14は、ハンマの一例である。ハンマ支持機構28は、ハンマ支持機構の一例である。ロッドレスシリンダ17、ブラケット18、ブラケットアーム19は、昇降機構の一例である。ロッドレスシリンダ17は、空気圧で作動するアクチュエータの一例である。ブラケット18及びブラケットアーム19は、可動部材の一例である。ウェイト支持機構20は、ウェイト支持機構の一例である。ブラケット接触スイッチ50は、スイッチの一例である。穴27は、受け板の穴の一例である。パイプガイド15は、ガイド部材の一例である。抜き差しレバー40は、係合要素の一例である。支持軸41は、支持軸の一例である。ウェイト16に対する抜き差しレバー40の係合力は、“ウェイトに加える支持力”の一例である。
【0068】
本実施形態は、図面を用いて開示されたものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、昇降機構としてのアクチュエータは、空気圧で作動するロッドレスシリンダに代えて、電力で作動するサーボモータであってもよい。また、各要素の鉛直方向における位置を検出する検出機構は、接触形検出機構、または、非接触形検出機構の何れであってもよい。非接触形検出機構は、光学形センサ、静電容量形センサ、磁気形センサ、等を含み、検出した位置に応じた信号を出力する。さらに、非接触型検出機構から出力される信号を処理する制御装置と、制御装置が処理、判断、制御に用いるアプリケーション、プログラム、情報、データ、等が格納された記憶装置と、が設けられていてもよい。制御装置は、入力ポート、出力ポート、及び中央演算処理回路を有するコンピュータである。制御装置は、操作盤45を兼ねていてもよい。そして、制御装置は、起動ボタン45A、停止ボタン45B、自動ボタン45C、運転ボタン45D、終了ボタン45E等の操作信号を処理する。記憶装置は、制御装置により読み取り及び書き込みが可能な、非一時的な記憶装置である。そして、各種のバルブがソレノイドバルブで構成されており、制御装置が、各種のバルブの作動、及び状態の切り替えを行う構成であってもよい。
【0069】
さらに、打撃対象物は、冷凍バター以外の物品、例えば、冷凍原料、冷凍材料、固結した工業薬品、試料等であってもよい。金属製と記載した材質は、例えば、ステンレス鋼を含む。打撃対象物をハンマで打撃する技術的意味は、破壊、粉砕、変形、潰し、等のうちの何れでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示は、冷凍物をハンマで打撃する冷凍物打撃装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
10…冷凍バター打撃装置、11…支持台、13…受け板、14…バターハンマ、15…パイプガイド、16…ウェイト、17…ロッドレスシリンダ、18…ロッドレスシリンダブラケット、19…ブラケットアーム、20…ウェイト支持機構、27…穴、28…ハンマ支持機構、40…抜き差しレバー、41…支持軸、50…スイッチ
【要約】
【課題】包装体に収容された冷凍物を、包装体から取り出すことなく打撃することの可能な冷凍物打撃装置を提供する。
【解決手段】冷凍物を打撃する冷凍物打撃装置10であって、冷凍物が置かれる支持台11と、鉛直方向で支持台11より上に配置される受け板13と、鉛直方向で受け板13より上に配置され、かつ、鉛直方向に沿って上昇及び下降可能なウェイト16と、受け板13に設けられ、かつ、下降するウェイト16から受けた打撃力を冷凍物に伝達するバターハンマ14と、受け板13に設けられ、かつ、バターハンマ14を支持台11と受け板13との間で鉛直方向における所定範囲内で移動可能に支持するハンマ支持機構28と、を有する冷凍物打撃装置10を構成した。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D