(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】非水系分散液、その製造方法及びそれを含む化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 2/08 20060101AFI20230904BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20230904BHJP
C08L 33/06 20060101ALI20230904BHJP
A61K 8/81 20060101ALN20230904BHJP
【FI】
C08F2/08
C08L101/00
C08L33/06
A61K8/81
(21)【出願番号】P 2021556597
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(86)【国際出願番号】 KR2019013206
(87)【国際公開番号】W WO2020189870
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0031964
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー ハウスホールド アンド ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ウ-ソン・シム
(72)【発明者】
【氏名】ヘ-ソク・チェ
【審査官】久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-206403(JP,A)
【文献】特開平01-213303(JP,A)
【文献】特表2012-522050(JP,A)
【文献】特表2017-538743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F2/00-2/60,6/00-246/00,301/00
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)アクリル及びビニル化合物のうちいずれか一つ以上の親水性単量体と、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、芳香族アクリレート及び芳香族メタクリレート化合物のうち選択されたいずれか一つ以上の疎水性単量体とが重合した共重合体と、
b)アクリル及びビニル化合物のうちいずれか一つ以上の親水性単量体の重合体と、
を含み、炭化水素系オイルに分散されている、非水系分散液の製造方法であって、
S1)アクリル及びビニル化合物のうちいずれか一つ以上の親水性単量体と、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、芳香族アクリレート及び芳香族メタクリレート化合物のうち選択されたいずれか一つ以上の疎水性単量体とを混合して
炭化水素系オイル中で重合する1次段階と、
S2)前記1次段階の重合物に、アクリル及びビニル化合物のうちいずれか一つ以上の親水性単量体を
徐々に投入して混合して重合する2次段階と、
を含
み、
前記S2)段階において、前記a)の共重合体が、b)の重合体の分散安定化剤として使用される、非水系分散液の製造方法。
【請求項2】
前記S1)段階及びS2)段階の親水性単量体は、それぞれ単一高分子の溶解度定数(δ)が10~15(cal/cm
3)
1/2である、請求項
1に記載の非水系分散液
の製造方法。
【請求項3】
前記疎水性単量体は、単一高分子の溶解度定数(δ)が5~9.5(cal/cm
3)
1/2である、請求項
1に記載の非水系分散液
の製造方法。
【請求項4】
前記S1)段階及びS2)段階の親水性単量体は、それぞれ、ビニルピロリドン及び2-ヒドロキシエチルアクリレートのうちいずれか一つ以上である、請求項
1に記載の非水系分散液
の製造方法。
【請求項5】
前記疎水性単量体は、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート及びステアリルメタクリレートのうち選択されたいずれか一つ以上である、請求項
1に記載の非水系分散液
の製造方法。
【請求項6】
前記S1)段階で炭化水素系オイル及びラジカル開始剤を含み、S2)段階でラジカル開始剤を含む、請求項
1に記載の非水系分散液
の製造方法。
【請求項7】
前記炭化水素系オイルは、C
16~C
18の炭化水素系オイルである、請求項
1に記載の非水系分散液
の製造方法。
【請求項8】
製造された非水系分散液中の親水性単量体の総含量は50~90重量%であり、疎水性単量体の総含量は10~50重量%である、請求項
1に記載の非水系分散液
の製造方法。
【請求項9】
S1)段階で混合する親水性単量体の含量はS1)段階で混合する単量体の総重量の1~40重量%であり、S1)段階で混合する疎水性単量体の含量はS1)段階で混合する単量体の総重量の60~99重量%である、請求項
1に記載の非水系分散液
の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水系分散液、その製造方法及びそれを含む化粧料組成物に関する。
本出願は、2019年3月20日付け出願の韓国特許出願第10-2019-0031964号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
アイライナー、マスカラなどのメイクアップ化粧料には、耐水性、カール及びカール持続力などの化粧持続の効果を高めるため、多様な油溶性被膜剤を含む油分散(非水分散)剤形またはW/O(water-in-oil)剤形が適用されているが、一般の洗顔料やクレンジングフォームによっては落ちないため、オイルクレンジング剤や専用のメイクアップリムーバーを使用しなければならず、それによってまつ毛の損傷または肌刺激が引き起こされるおそれがあり、クレンジングが困難である。このようなアイライナー、マスカラなどの洗浄力を向上させるため、水溶性または水分散被膜剤を用いたO/W(oil-in-water)剤形も使用されるが、油溶性被膜剤を含む油分散剤形またはW/O剤形に比べてカール効果及びカール持続力などの化粧効果が減少する。
【0003】
そこで、多様な共重合体(copolymer)を使用した非水系ポリマーディスパージョンを使用したメイクアップ化粧料が提案されている。例えば、特許文献1のメイクアップ化粧料では、揮発性シリコーンが使用されているが、揮発速度が遅くて使用時に十分に乾かない。特許文献2の油性化粧料では、非水系ポリマーディスパージョンが使用されているが、通常の水洗浄では除去されず、別途のオイルなどの洗顔料を必要とする。
【0004】
したがって、化粧持続の効果に優れながらも、専用のメイクアップリムーバーやオイルクレンジング剤を必要とせず、多量の水または一般の洗顔料によって洗浄できる被膜剤、及びそれを適用した油分散又はW/O剤形の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3577182号公報
【文献】特開第2008-255014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、化粧持続の効果に優れながらも、専用のメイクアップリムーバーやオイルクレンジング剤を必要とせず、多量の水または一般の洗顔料によって洗浄できる被膜剤と化粧料組成物に適用可能な非水系分散液及びその製造方法、それを含む化粧料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、a)アクリル及びビニル化合物のうちいずれか一つ以上の親水性単量体と、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、芳香族アクリレート及び芳香族メタクリレート化合物のうち選択されたいずれか一つ以上の疎水性単量体とが重合した共重合体と、b)アクリル及びビニル化合物のうちいずれか一つ以上の親水性単量体が重合した単一重合体(homopolymer)と、を含む非水系分散液、その製造方法及びそれを含む化粧料組成物を提供する。
【0008】
本明細書において、「親水性」とは、単一高分子の溶解度定数(δ)が10.0(cal/cm3)1/2以上であることを意味し、「疎水性」とは、溶解度定数(δ)が10.0(cal/cm3)1/2未満であることを意味する。
【0009】
本発明は、a)アクリル及びビニル化合物のうちいずれか一つ以上の親水性単量体と、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、芳香族アクリレート及び芳香族メタクリレート化合物のうち選択されたいずれか一つ以上の疎水性単量体とが重合した共重合体と、b)アクリル及びビニル化合物のうちいずれか一つ以上の親水性単量体が重合した単一重合体と、を含む非水系分散液を提供する。
【0010】
すなわち、本発明は、非水系分散に安定した、特に非極性炭化水素系オイル(イソドデカン、イソパラフィン、イソヘキサデカンなど)に安定した重合体を製造するため、親水性単量体(アクリル及び/またはビニル化合物)と、炭化水素系オイルに優れた溶解性を有する疎水性単量体(アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、芳香族アクリレート及び/または芳香族メタクリレート化合物)とが含まれた共重合体を分散安定化剤として使用し、親水性単一重合体を含む非水系分散液を製造する。
【0011】
本発明は、親水性単量体と疎水性単量体との共重合体に、親水性単量体を混合して製造することができる。すなわち、a)アクリル及びビニル化合物のうちいずれか一つ以上の親水性単量体と、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、芳香族アクリレート及び芳香族メタクリレート化合物のうち選択されたいずれか一つ以上の疎水性単量体とを重合し共重合体を製造して分散安定化剤として使用し、b)そこにアクリル及びビニル化合物のうちいずれか一つ以上の親水性単量体を混合し重合して単一重合体を含む非水系分散液を製造することで、最終的に炭化水素系オイルに安定的に分散できる親水性非水系分散液を提供することができる。
【0012】
親水性単量体で形成された単一重合体と親水性-疎水性共重合体とを別途に製造して混合するのではなく、親水性-疎水性共重合体が形成された重合物に前記親水性単量体で形成された単一重合体を混合することで、親水性単量体の単一重合体が沈殿することを防止することができる。本発明の一実施形態によって、疎水性単量体が多数配合された共重合体の重合が先に行われた後に、親水性単量体を配合しながら2次共重合を行えば、安定した非水系分散液を製造することができる。親水性単量体の単一重合体が投入される前に形成された共重合体が、まるで乳化剤のように外相であるオイル相の内部に親水性単量体の単一重合体を囲むことで沈殿を引き起こさず、安定した非水系分散液を製造できると考えられるが、必ずしもこのような理論に限られることはない。このような安定化した非水系分散液は、水溶性単量体の単一重合体を配合して化粧持続性及び水による洗浄容易性を提供することができる。
【0013】
このとき、前記a)共重合体に使われる親水性単量体と、b)単一重合体に使われる親水性単量体とは、同一であるかまたは相異なり得、具体的には、a)の「親水性単量体/疎水性単量体」の共重合体を製造して分散安定化剤として使用し(以下、「安定化剤共重合体」とも称する)、親水性単量体をさらに混合して最終的に「単一重合体及び共重合体」を含む非水系分散液を収得することができる。
【0014】
このような方法により、単量体中の親水性単量体を50重量%以上含みながら、炭化水素系オイルで安定的に分散する分散液を製造することができる。これを適用した非水系分散(油分散)剤形またはW/O剤形のマスカラは、耐水性及びカール持続力など優れた化粧効果を奏しながらも、多量の水または一般の洗顔料で洗浄し易い特性を呈することができる。
【0015】
したがって、本発明による非水系分散液中の親水性単量体の総含量は、非水系分散液中の単量体総重量の50~90重量%、具体的には50~80重量%、より具体的には55~75重量%であり、したがって疎水性単量体の総含量は非水系分散液中の単量体総重量の10~50重量%、具体的には20~50重量%、より具体的には25~45重量%であり得る。
【0016】
本発明による前記安定化剤共重合体の製造時に混合する親水性単量体の含量は、該当安定化剤共重合体中の単量体総重量の1~40重量%、具体的には5~40重量%、より具体的には5~25重量%であり得る。前記含量が1重量%未満であれば、最終分散液の製造時に混合する親水性単量体(単一重合体)との相溶性が良くないため単一重合体を安定化し難く、前記含量が40重量%を超えれば、安定化剤共重合体自体の溶媒として使われる非極性炭化水素系オイル内への溶解性が良くないため単一重合体を安定化し難い。
【0017】
本発明による前記安定化剤共重合体の製造時に混合する疎水性単量体の含量は、該当安定化剤共重合体中の単量体総重量の60~99重量%、具体的には60~95%、より具体的には75~95重量%であり得る。前記含量が60%未満であれば、安定化剤共重合体自体の溶媒として使われる非極性炭化水素系オイルへの溶解性が良くないため単一重合体を安定化し難く、前記含量が99重量%を超えれば、単一重合体との相溶性が良くないため単一重合体を安定化し難い。
【0018】
本発明による前記単一重合体の含量は、非水系分散液中の単量体総重量の10~80重量%、具体的には30~70重量%、より具体的には45~65重量%であり得る。前記含量が10重量%未満であれば、マスカラ剤形に適用した後の洗浄力改善効果が大きくなく、前記含量が80重量%を超えれば、非極性炭化水素系オイルに単一重合体が安定的に分散した最終分散液は得られ難く単一重合体が沈殿する。
【0019】
本発明による前記親水性単量体は、単一高分子の溶解度定数(δ)が10~15(cal/cm3)1/2、具体的には10~13(cal/cm3)1/2、より具体的には10~12(cal/cm3)1/2であり得る。親水性単量体の溶解度が上記の範囲より高ければ、炭化水素系オイルに安定的に分散した分散液が得られず、上記の範囲より低ければ、親水性が低過ぎて洗浄改善効果が得られ難い。
【0020】
本発明による前記疎水性単量体は、単一高分子の溶解度定数(δ)が5~9.5(cal/cm3)1/2、具体的には7.5~9.5(cal/cm3)1/2、より具体的には8~9.5(cal/cm3)1/2であり得る。疎水性単量体の溶解度が上記の範囲より高ければ、炭化水素系オイルに安定的に分散した分散液が得られず、上記の範囲より低ければ、親水性高分子が安定的に分散した分散液を製造し難い。
【0021】
本発明による前記親水性単量体は、アクリル及び/またはビニル化合物であって、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート/メタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ポリオキシエチレンアクリレート/メタクリレート、ポリオキシプロピレンアクリレート/メタクリレート、グリセリルアクリレート/メタクリレート、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-ブチルアクリルアミド、N-ブチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N,N-ジプロピルアクリルアミド、N,N-ジプロピルメタクリルアミド、N,N-ジブチルアクリルアミド、N,N-ジブチルメタクリルアミド、N-メチル-N-エチルアクリルアミド、N-メチル-N-エチルメタクリルアミド、N-メチル-N-プロピルアクリルアミド、N-メチル-N-プロピルメタクリルアミド、N-メチル-N-ブチルアクリルアミド、N-メチル-N-ブチルメタクリルアミド、N-エチル-N-プロピルアクリルアミド、N-エチル-N-プロピルメタクリルアミド、N-エチル-N-ブチルアクリルアミド、N-エチル-N-ブチルメタクリルアミド、N-プロピル-N-ブチルアクリルアミド、N-プロピル-N-ブチルメタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、N-ブトキシメチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N-ヒドロキシメチル/エチルアクリルアミド、N,N-ヒドロキシメチル/エチルメタクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-ε-カプロラクタム、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、ビニルアルコール、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸、ジアセトンアクリルアミド、メチルアクリルアミドグリコレートメチルエーテル、メチルメタクリルアミドグリコレートメチルエーテル、N,N’-メチレンビスアクリルアミドなどであり得、具体的にはビニルピロリドン及び/または2-ヒドロキシエチルアクリレートであり得る。これによって、安定的でありながらも耐水性及び洗浄性に優れた分散液を得ることができる。
【0022】
本発明による前記疎水性単量体は、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、芳香族アクリレート及び芳香族メタクリレート化合物のうち選択されたいずれか一つ以上である。前記アルキルアクリレート/メタクリレートにおいて、アルキル基としては炭素数1~20の直鎖、分枝または環状アルキル基が使用され得る。前記芳香族アクリレート/メタクリレートとしては、アリールアクリレート/メタクリレートまたはアリールアルキルアクリレート/メタクリレートが使用され得る。前記アリール基は炭素数6~24のアリール基であり得、アリールアルキル基のアルキル基は炭素数1~20のアルキル基であり得る。一例として、アルキル(メタ)アクリレート化合物は、(メタ)アクリル酸メチル(以下、アクリレート及び/またはメタクリレートを(メタ)アクリレートと略称する)、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルへキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸イソウンデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸イソドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸イソトリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸イソオクタデシル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、ブチルシクロへキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、2-フェノキシ(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノールアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォーマルアクリレート、テトラフルフリル(メタ)アクリレート、オキサゾリドン(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、4-メチルスチレンであり得、具体的にはn-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート及びステアリルメタクリレートのうちいずれか一つ以上であり得る。これによって、安定的でありながらも耐水性及び洗浄性に優れた分散液を得ることができる。
【0023】
本発明による前記炭化水素系オイルは、無極性であることが望ましく、具体的にはC16~C18の炭化水素系オイル、より具体的にはC10~C16の炭化水素系オイルであり得、一例としてはドデカン、イソドデカン、イソパラフィンなどを使用し得る。これによって、安定的でありながらも耐水性及び洗浄性に優れた分散液を得ることができる。
【0024】
また、本発明は、S1)アクリル及びビニル化合物のうちいずれか一つ以上の親水性単量体と、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、芳香族アクリレート及び芳香族メタクリレート化合物のうち選択されたいずれか一つ以上の疎水性単量体とを混合して重合する1次段階;及びS2)前記1次段階の重合物にアクリル及びビニル化合物のうちいずれか一つ以上の親水性単量体をさらに混合して重合する2次段階を含む非水系分散液の製造方法を提供する。前記1次段階の後、2次段階を順次に行うことで、親水性単量体の単一重合体が沈殿せず、安定的な非水系分散液を製造することができる。また、一実施形態による前記方法で製造された安定化した非水系分散液は、化粧持続性及び水による洗浄容易性を提供することができる。
【0025】
本発明の非水系分散液は、これを形成する単量体を有機溶媒中でラジカル開始剤を用いてラジカル重合することで製造することができる。
【0026】
本発明の非水系分散液の製造方法は、前記S1)段階で炭化水素系オイル及びラジカル開始剤をさらに含み、S2)段階でラジカル開始剤をさらに含むことができる。したがって、本発明の非水系分散液は、前記S1)親水性単量体、疎水性単量体、炭化水素系オイル及びラジカル開始剤を混合して重合する1次段階を通じて共重合体を製造した後(分散安定化剤共重合体製造段階);S2)前記1次段階の重合物に、ラジカル開始剤及び親水性単量体を混合して重合する2次段階(単一重合体安定化段階)を通じて製造することができる。
【0027】
本発明の前記親水性単量体は、上述した通りである。したがって、本発明の単一高分子の溶解度定数(δ)が10~15(cal/cm3)1/2、具体的には10~13(cal/cm3)1/2であり得る。
【0028】
本発明の前記親水性単量体は、具体的にはビニルピロリドンであり得る。これによって、安定的でありながらも耐水性及び洗浄性に優れた分散液を得ることができる。
【0029】
本発明のS1)(分散安定化剤共重合体製造)段階及びS2)(単一重合体安定化)段階で使われる親水性単量体は、同一であるかまたは相異なり得、具体的にはS1)及びS2)段階ともにビニルピロリドンを使用し得る。
【0030】
本発明の前記疎水性単量体は、上述した通りである。したがって、単一高分子の溶解度定数(δ)が5~9.5(cal/cm3)1/2、具体的には7~9.5(cal/cm3)1/2であり得る。
【0031】
本発明の前記疎水性単量体は、具体的には、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート及びステアリルメタクリレートのうちいずれか一つ以上であり得る。これによって、安定的でありながらも耐水性及び洗浄性に優れた分散液を得ることができる。
【0032】
本発明のS1)(分散安定化剤共重合体製造)段階で混合する親水性単量体の含量は、S1)段階で混合する単量体の総重量の1~40重量%、具体的には5~40重量%、より具体的には5~25重量%であり得る。前記含量が1重量%未満であれば、単一重合体との相溶性が良くないため単一重合体を安定化し難く、前記含量が40重量%を超えれば、非極性炭化水素系オイル内の溶解性が良くなくて単一重合体を安定化し難い。
【0033】
本発明のS1)(分散安定化剤共重合体製造)段階で混合する疎水性単量体の含量は、S1)段階で混合する単量体の総重量の60~99重量%、具体的には60~95重量%、より具体的には75~95重量%であり得る。前記含量が60重量%未満であれば、非極性炭化水素系オイルへの共重合体の溶解性が低いため沈殿するか又は単一重合体を安定化し難く、前記含量が99重量%を超えれば、単一重合体との相溶性が良くないため単一重合体を安定化できずに単一重合体が沈殿する。
【0034】
本発明で製造された非水系分散液中の親水性単量体の総含量は、非水系分散液中の単量体総重量の50~90重量%、具体的には50~80重量%、より具体的には55~75重量%であり、したがって非水系分散液中の疎水性単量体の総含量は、非水系分散液中の単量体総重量の10~50重量%、具体的には20~50重量%、より具体的には25~45重量%であり得る。
【0035】
本発明のS2)(単一重合体安定化)段階で混合する親水性単量体の含量は、非水系分散液の製造で混合する単量体の総重量の10~80重量%、具体的には30~70重量%、より具体的には45~65重量%であり得る。前記含量が10重量%未満であれば、マスカラ剤形に適用した後の洗浄力改善効果が大きくなく、前記含量が80重量%を超えれば、非極性炭化水素系オイルに単一重合体が安定的に分散した最終分散液は得られ難く単一重合体が沈殿する。
【0036】
本発明の前記炭化水素系オイルは、上述した通りであり、具体的にはC16~C18の炭化水素系オイルであり得、一例としてドデカン、イソドデカン、イソパラフィンなどを使用し得る。これによって、安定的でありながらも耐水性及び洗浄性に優れた分散液を得ることができる。
【0037】
本発明のラジカル開始剤は、上述した通りであり、具体的にはアゾ系化合物または有機過酸化物系化合物などを使用し得、アゾ系化合物の例としては、2,2’-アゾビスイソブチルニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2、4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メトキシプロピオンアミド、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド、2,2’-アゾビス(N-シクロへキシル-2-メチルプロピオンアミド)などが挙げられる。有機過酸化物系化合物の例としては、ラウロイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、クミルペルオキシネオデカノエートなどが挙げられる。
【0038】
本発明のラジカル開始剤は、最終分散液中の単量体総重量の0.01~10重量%範囲で使用し得、具体的には0.1~5重量%、より具体的には0.5~2重量%であり得る。前記含量が0.01重量%未満であれば、反応が遅延するかまたは高分子転化率が低くなり、前記含量が10重量%を超えれば、高分子の分子量が低過ぎて剤形への適用時に被膜特性が現れないおそれがある。
【0039】
本発明のS1)段階で混合するラジカル開始剤の含量は、S1)段階で混合する単量体の総重量の0.01~10重量%、具体的には0.1~5重量%、より具体的には0.5~2重量%であり得る。
【0040】
本発明のS2)段階で混合するラジカル開始剤の含量は、S2)段階で混合する単量体の総重量の0.01~10重量%、具体的には0.1~5重量%、より具体的には0.5~2重量%であり得る。
【0041】
本発明の段階は、分散液の製造及び安定に適切な温度及び時間で行われ得る。したがって、本発明のS1)段階は、70~95℃で4~10時間、具体的には75~90℃で5~8時間、より具体的には80~85℃で5.5~7時間行われ得る。
【0042】
本発明のS2)段階は、S1)段階の温度と同一であるかまたは10%内外の範囲を維持し得る。したがって、本発明のS2)段階は、70~95℃で5~24時間、具体的には75~90℃で7~18時間、より具体的には80~85℃で10~15時間行われ得る。
【0043】
本発明は、上述した方法で製造された非水系分散液を提供する。
【0044】
本発明は、上述した非水系分散液を含む化粧料組成物を提供する。
【0045】
本発明による前記化粧料組成物は、デイクリーム、パウダークリーム、フェイスパウダー(ルース(loose)型または圧縮型)、ルージュ、クリームメイクアップ、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウペンシル、リップスティック、リップグロス、リップコントゥールペンシル及びネールエナメルのうち選択された剤形であり得る。
【0046】
本発明による前記化粧料組成物は、油中水型及び油分散型のうちいずれか一つの組成物であり得る。
【0047】
前記化粧料組成物を提供するため、通常使われる化粧料成分を含み、具体的には、ワックス、有機変性粘土化合物、デキストリン脂肪酸エステル、非プロトン性極性溶媒などを含むことができる。
【0048】
本発明による組成物は、1種以上のワックスを含むことができる。「ワックス」とは、室温(25℃)で固体である、可逆性の固体/液体状態変化を有する親油性化合物を意味する。ワックスは、炭化水素系ワックス、フルオロワックス及びシリコーンワックスであり得、植物、動物、鉱物及び合成由来であり得る。
【0049】
炭化水素系ワックスとしては、カナウバワックス、キャンデリラワックス、米ぬかワックスなどの植物性ワックス、ビーズワックス(bees wax)などの動物性ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュ(Fisher-tropsch)合成によって生成されたワックス及びワックス共重合体などが挙げられる。また、炭化水素系ワックスとしては、直鎖または分枝型C8~C32脂肪族鎖を含む動物性または植物性オイルの触媒水素化反応で得た水添ホホバ油、ひまわり油、ひまし油及びラノリン油などが挙げられる。
【0050】
シリコーンワックスとしては、C16~C45のアルキルまたはアルコキシジメチコン、ポリプロピルシルセスキオキサンワックスなどが挙げられる。
【0051】
本発明による組成物中のワックスの含量は、0.1~40重量%、具体的には1~30重量%、より具体的には3~20重量%であり得る。前記含量が0.1重量%未満であれば、良好なカール力が得られ難く、40重量%を超えれば、化粧効果が低下し得、一般の洗顔料による洗浄力も低下し得る。
【0052】
本発明による組成物は、1種以上の有機変性粘土化合物を含むことができる。有機変性粘土化合物を含むことで長期安定性が向上でき、化粧効果も優れ、撥水性及び撥油性を呈する。
【0053】
本発明による組成物中の有機変性粘土化合物の含量は、0.1~20重量%、具体的には0.5~10重量%、より具体的には1~8重量%であり得る。前記含量が0.1重量%未満であれば、マスカラ粘度を形成できず使用性が低下し得、25重量%を超えれば、マスカラ粘度が高過ぎて柔らかい使用性が得られ難い。
【0054】
有機変性粘土化合物は、例えばモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライトなどの天然または合成粘土鉱物を第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で変性した化合物であって、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライトなどがあるが、これらの物質に限定されない。
【0055】
本発明による組成物は、1種以上のデキストリン脂肪酸エステルを含むことができる。デキストリン脂肪酸エステルを含むことで、剤形の長期安定性を向上させ、使用性及び化粧効果に寄与する。
【0056】
本発明による組成物中のデキストリン脂肪酸エステルの含量は、0.1~30重量%、具体的には0.5~20重量%、より具体的には1~15重量%であり得る。前記含量が0.1重量%未満であれば、剤形の安定性向上に寄与し難く、30重量%を超えれば、化粧効果が大幅に低下し得る。
【0057】
デキストリン脂肪酸エステルとしては、ミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリンなどが挙げられるが、これらの物質に限定されない。
【0058】
本発明による組成物は、1種以上の非プロトン性極性溶媒を含むことができる。非プロトン性極性溶媒は、カール持続力及び柔らかい使用性に寄与し、その含有量は0.1~15重量%、具体的には0.5~10重量%、より具体的には0.5~5重量%であり得る。前記含量が0.1重量%未満であれば、カール効果が低下し得、15重量%を超えれば、柔らかい使用性を付与し難く使用性が低下し得る。
【0059】
非プロトン性極性溶媒としては、プロピレンカーボネート、トリエチルシトレート、ジイソステアリルマレート、ポリグリセリル-2イソステアレート、エチルへキシルヒドロキシステアレートなどが挙げられるが、これらの物質に限定されない。
【0060】
本発明による組成物には、耐水性、耐油性、付着性が良好であって化粧効果に優れるという特有の効果が得られる範囲で、通常の化粧品や医薬品で用いられるその他の成分を配合することができる。
【0061】
例えば、オイル、界面活性剤、精製水、多価アルコール類(グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールなど)、有機粉体、無機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、消泡剤、抗菌剤、酸化防止剤、美容成分、香料、増粘剤、ゲル化剤、金属せっけん、水溶性高分子、脂溶性高分子、ファイバー(ナイロン、レーヨンなど)、顔料、パール剤などを配合できる。
【0062】
本発明による化粧料組成物中の分散液の含量は、組成物の総重量の1~50重量%、具体的には2~30重量%、より具体的には5~25重量%であり得る。上記の範囲内で洗浄性、耐水性、耐油性及びカール効果などの化粧効果、製品としての使用性や安定性に優れる。
【発明の効果】
【0063】
本発明は、化粧持続の効果に優れながらも専用のメイクアップリムーバーやオイルクレンジング剤を必要とせず、多量の水または一般の洗顔料によって洗浄できる被膜剤と化粧料組成物に適用可能な分散液及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】本発明の化粧料組成物に対する洗浄性評価の結果である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳しく説明する。しかし、これらは本発明をより詳細に説明するためのものであるため、本発明の権利範囲がこれらに限定されてはならない。
【実施例】
【0066】
前記親水性高分子重合体が非極性炭化水素系オイル内に安定的に分散した形態を得るため、まず、非極性溶媒に親水性単量体及び疎水性単量体を熱開始剤を用いて85℃で6時間、ラジカル重合法によって共重合体を製造した。製造された共重合体溶液に、85℃に温度を維持しながら親水性単量体及び開始剤が含まれた溶液を添加し、12時間反応させて、親水性高分子単一重合体が非極性炭化水素系オイルに安定的に分散した油分散液を製造した。
【0067】
1.本発明による重合体及び分散液の合成
[実施例1]
冷却器、窒素注入器、温度計、撹拌機が装着された反応機に、非極性炭化水素系オイルであるイソドデカン300g、親水性単量体であるビニルピロリドン10g、疎水性単量体であるn-ブチルアクリレート50g、ステアリルメタクリレート40gを入れて均一に混合した後、85℃まで昇温した。そして、ラジカル開始剤である2,2’-アゾビスイソブチルニトリル1gを投入して6時間反応させ、共重合体を合成した(1段階)。反応の後、親水性単量体であるビニルピロリドン100gとラジカル開始剤である2,2’-アゾビスイソブチルニトリル1gとの混合溶液を徐々に投入して85℃で12時間反応させた(2段階)。
【0068】
これによって、1段階でビニルピロリドン:n-ブチルアクリレート:ステアリルメタクリレート=1:5:4(重量比)の共重合体を収得し、2段階でポリビニルピロリドン:1段階の共重合体=5:5(重量比)の親水性高分子油分散液を収得した。
【0069】
収得した最終油分散液中の重合体粒子の大きさは87nmであってイソドデカンに安定的に分散し、最終重合体中の親水性単量体の総含量は55%であった。
【0070】
[実施例2]
実施例1と同じ合成条件で、親水性単量体であるビニルピロリドン8g、疎水性単量体であるn-ブチルアクリレート40g、ステアリルメタクリレート32g、ラジカル開始剤である2,2’-アゾビスイソブチルニトリル0.8gを入れて共重合体を合成し(1段階)、反応の後、親水性単量体であるビニルピロリドン120gとラジカル開始剤である2,2’-アゾビスイソブチルニトリル1.2gを投入した(2段階)。
【0071】
これによって、1段階でビニルピロリドン:n-ブチルアクリレート:ステアリルメタクリレート=1:5:4(重量比)の共重合体を収得し、2段階でポリビニルピロリドン:1段階の共重合体=3:2(重量比)の親水性高分子油分散液を収得した。
【0072】
収得した最終油分散液中の重合体粒子の大きさは88nmであってイソドデカンに安定的に分散し、最終重合体中の親水性単量体の総含量は64%であった。
【0073】
[実施例3]
実施例1と同じ合成条件で、親水性単量体であるビニルピロリドン6g、疎水性単量体であるn-ブチルアクリレート30g、ステアリルメタクリレート24g、ラジカル開始剤である2,2’-アゾビスイソブチルニトリル0.6gを入れて共重合体を合成し(1段階)、反応の後、親水性単量体であるビニルピロリドン140gとラジカル開始剤である2,2’-アゾビスイソブチルニトリル1.4gを投入した(2段階)。
【0074】
これによって、1段階でビニルピロリドン:n-ブチルアクリレート:ステアリルメタクリレート=1:5:4(重量比)の共重合体を収得し、2段階でポリビニルピロリドン:1段階の共重合体=7:3(重量比)の親水性高分子油分散液を収得した。
【0075】
収得した最終油分散液中の重合体粒子の大きさは87nmであってイソドデカンに安定的に分散し、最終重合体中の親水性単量体の総含量は73%であった。
【0076】
[実施例4]
実施例1と同じ合成条件で、親水性単量体であるビニルピロリドン20g、疎水性単量体であるn-ブチルアクリレート40g、ステアリルメタクリレート40g、ラジカル開始剤である2,2’-アゾビスイソブチルニトリル1gを入れて共重合体を合成し(1段階)、反応の後、親水性単量体であるビニルピロリドン100gとラジカル開始剤である2,2’-アゾビスイソブチルニトリル1gを投入した(2段階)。
【0077】
これによって、1段階でビニルピロリドン:n-ブチルアクリレート:ステアリルメタクリレート=1:2:2(重量比)の共重合体を収得し、2段階でポリビニルピロリドン:1段階の共重合体=1:1(重量比)の親水性高分子油分散液を収得した。
【0078】
収得した最終油分散液中の重合体粒子の大きさは86nmであってイソドデカンに安定的に分散し、最終重合体中の親水性単量体の総含量は60%であった。
【0079】
[実施例5]
実施例1と同じ合成条件で、親水性単量体であるビニルピロリドン30g、疎水性単量体であるn-ブチルアクリレート30g、ステアリルメタクリレート40g、ラジカル開始剤である2,2’-アゾビスイソブチルニトリル1gを入れて共重合体を合成し(1段階)、反応の後、親水性単量体であるビニルピロリドン100gとラジカル開始剤である2,2’-アゾビスイソブチルニトリル1gを投入した(2段階)。
【0080】
これによって、1段階でビニルピロリドン:n-ブチルアクリレート:ステアリルメタクリレート=3:3:4(重量比)の共重合体を収得し、2段階でポリビニルピロリドン:1段階の共重合体=1:1(重量比)の親水性高分子油分散液を収得した。
【0081】
収得した最終油分散液中の重合体粒子の大きさは74nmであってイソドデカンに安定的に分散し、最終重合体中の親水性単量体の総含量は65%であった。
【0082】
[実施例6]
実施例1と同じ合成条件で、親水性単量体としてビニルピロリドンの代りに2-ヒドロキシエチルアクリレートを使用したことを除いては同じ条件で合成した。
【0083】
これによって、1段階で2-ヒドロキシエチルアクリレート:n-ブチルアクリレート:ステアリルメタクリレート=1:5:4(重量比)の共重合体を収得し、2段階でポリ2-ヒドロキシエチルアクリレート:1段階の共重合体=1:1(重量比)の親水性高分子油分散液を収得した。
【0084】
収得した最終油分散液中の重合体粒子の大きさは98nmであってイソドデカンに安定的に分散し、最終重合体中の親水性単量体の総含量は55%であった。
【0085】
[比較例1]
実施例1と同じ合成装置及び温度で、実施例1と同じ55%の親水性単量体ビニルピロリドンが含まれた共重合体を合成した。反応機にイソドデカン300g、親水性単量体であるビニルピロリドン110g、疎水性単量体であるn-ブチルアクリレート50g、ステアリルメタクリレート40gを入れて均一に混合した後、85℃まで昇温した。そして、ラジカル開始剤である2,2’-アゾビスイソブチルニトリル2gを投入し12時間反応させて共重合体を合成した。
【0086】
しかし、合成された共重合体は、炭化水素系オイルに対する相溶性が低過ぎて沈殿し、安定的に分散した油分散液を得られなかった。
【0087】
【0088】
2.マスカラの製造
以下の方法で、表2に示した組成の製造例及び比較例のマスカラを製造し、その品質を評価した。
1)成分3~9及び10の一部を混合加熱した後、均一に分散する。
2)成分10の残量及び成分11~14を混合加熱した後、均一に分散する。
3)1)に2)を添加して均一に分散した後、成分1と2を添加し冷却してそれぞれのマスカラを収得した。
【0089】
【0090】
3.マスカラのO/W剤形と実施例の洗浄力評価結果
1)マスカラの洗浄性
製造したマスカラを透明フィルム上に厚さ100μmになるように塗布し、常温(23℃、65%RH)で12時間乾燥して製作したマスカラ被膜に、常温の精製水(23℃)を落とした後、一定時間(1分、3分、7分、10分、15分、20分)後に拭き取って確認した。以下の基準で評価した。
【0091】
【0092】
評価基準のうち、O/Wマスカラと類似に拭き取られる◎、○を合格とした。
【0093】
2)マスカラの耐水性
製造したマスカラを透明フィルム上に厚さ100μmになるように塗布し、常温(23℃、65%RH)で12時間乾燥した後、接触角を測定して確認した。以下の基準で評価した。
【0094】
【0095】
評価基準のうち、◎、○を合格とした。
【0096】
3)マスカラの使用性評価
専門評価パネル20名(25~50歳)によるマスカラ使用テストを行った。マスカラの塗り性(滑らかに塗布される程度)、化粧効果、にじみ(塗布6時間後、汗、水及び皮脂によってにじみ出る程度)、化粧効果の持続性及び洗浄性に対し、下記の基準で5段階評価してその平均をもって判断した。
【0097】
【0098】
4)評価結果
評価結果は以下の表のようである。前記3.1)のマスカラ洗浄性評価の具体的な写真は
図1に示した。
【0099】
【0100】
実験の結果、本発明を用いて製造した製造例1~4と製造例5は、シリコーン被膜剤で製造した比較例2と比べて、微温水に対する洗浄性に優れ、耐水性も良好である。総合的にみれば、実施例4を使用した製造例4が耐水性及び洗浄性が最も優れる。
【0101】
以上、本発明の望ましい実施例を説明したが、このような実施例は本発明の技術的思想を具現する一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想を具現する変更例または修正例も本発明の範囲に属すると解釈されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、持続力に優れながらも、簡便に洗顔できる化粧料組成物を提供する。本発明の化粧料組成物は、メイクアップリムーバーやオイルクレンジング剤を必要とせず、簡便に水洗顔によって肌から除去される。また、本発明は、このような簡便な水洗顔可能な化粧料組成物に使われる非水系分散液を提供する。このような非水系分散液は、多様な化粧料組成物に適用して安定性に優れた化粧料組成物を提供する。特に、本発明の一実施形態によるマスカラは、維持力に優れながらも洗顔時には別途のリムーバーなしにきれいに落とされる。