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  • 特許-繰り出し容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】繰り出し容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/04 20060101AFI20230904BHJP
【FI】
A45D40/04 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020061222
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021159128
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 哲男
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101184413(CN,A)
【文献】実開昭56-004512(JP,U)
【文献】実公平02-036422(JP,Y2)
【文献】韓国登録実用新案第20-0480543(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を保持する中皿と前記中皿から垂下する螺軸とを備える保持部材と、
前記螺軸の外周面と螺合する内周面を備える下筒と、
前記下筒に対する昇降と前記保持部材に対する回転を規制されるとともに、前記内容物の繰り出し口を上端に形成する上筒とを有し、
前記螺軸が、上下方向の1箇所以上に配置される第1凸部を有し、
前記上筒が、前記上筒と前記下筒との相対的な回転によって前記第1凸部に弾性変形させられることにより、前記第1凸部を乗り越えるように構成される第1弾性板を有し、
前記螺軸が、上部及び下部の少なくとも一方に配置される第2凸部を有し、
前記上筒が、前記上筒と前記下筒との相対的な回転によって前記第2凸部に弾性変形させられることにより、前記第2凸部を乗り越えるように構成される第2弾性板を有し、
前記第2弾性板及び前記第2凸部が、前記第1弾性板及び前記第1凸部と周方向で異なる位置に設けられていることを特徴とする繰り出し容器。
【請求項2】
前記第1弾性板の弾性率と前記第2弾性板の弾性率とが異なる、請求項に記載の繰り出し容器。
【請求項3】
前記第1凸部が、上下方向において前記第2凸部よりも内側に設けられ、
前記第2弾性板の弾性率が、前記第1弾性板の弾性率よりも大きい、請求項に記載の繰り出し容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰り出し容器に関する。
【背景技術】
【0002】
口紅、スティックアイシャドウなどの固形状の内容物を繰り出し可能に収容する繰り出し容器が知られている。このような繰り出し容器は、例えば特許文献1に記載されるように、内容物を保持する中皿と中皿から垂下する螺軸とを備える保持部材と、螺軸の外周面と螺合する内周面を備える下筒と、下筒に対する昇降と保持部材に対する回転を規制されるとともに、内容物の繰り出し口を上端に形成する上筒とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-188260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるような繰り出し容器は、螺軸と下筒との螺合部におけるピッチの設定等によっては、中皿を繰り上げた状態で、内容物を被塗布部に強く押し付けた場合などのように下方に向かう強い力が中皿に加わった場合に、中皿が下降してしまう虞があった。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、下方に向かう強い力が中皿に加わった場合に、中皿が下降してしまうことを抑制可能な繰り出し容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の繰り出し容器は、内容物を保持する中皿と前記中皿から垂下する螺軸とを備える保持部材と、前記螺軸の外周面と螺合する内周面を備える下筒と、前記下筒に対する昇降と前記保持部材に対する回転を規制されるとともに、前記内容物の繰り出し口を上端に形成する上筒とを有し、前記螺軸が、上下方向の1箇所以上に配置される第1凸部を有し、前記上筒が、前記上筒と前記下筒との相対的な回転によって前記第1凸部に弾性変形させられることにより、前記第1凸部を乗り越えるように構成される第1弾性板を有し、前記螺軸が、上部及び下部の少なくとも一方に配置される第2凸部を有し、前記上筒が、前記上筒と前記下筒との相対的な回転によって前記第2凸部に弾性変形させられることにより、前記第2凸部を乗り越えるように構成される第2弾性板を有し、前記第2弾性板及び前記第2凸部が、前記第1弾性板及び前記第1凸部と周方向で異なる位置に設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の繰り出し容器は、上記構成において、前記第1弾性板の弾性率と前記第2弾性板の弾性率とが異なるのが好ましい。
【0009】
本発明の繰り出し容器は、上記構成において、前記第1凸部が、上下方向において前記第2凸部よりも内側に設けられ、前記第2弾性板の弾性率が、前記第1弾性板の弾性率よりも大きいのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、下方に向かう強い力が中皿に加わった場合に、中皿が下降してしまうことを抑制可能な繰り出し容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態である繰り出し容器を螺軸が下降限位置にあるときの状態で示す一部断面側面図である。
図2図1に対して90°異なる方向から視たときの繰り出し容器を示す一部断面側面図である。
図3図2のA-A線に沿って示す断面図である。
図4図2に示す状態から螺軸を上昇限位置まで上昇させたときの状態を示す一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明をより具体的に例示説明する。
【0013】
図1に示す本発明の一実施の形態である繰り出し容器1は、保持部材2、下筒3、上筒4及び筐体5を有している。また、繰り出し容器1は、筐体5の外周面における上端に着脱可能に取り付けられて上筒4を覆うように構成されるオーバーキャップ(不図示)を有している。
【0014】
保持部材2は、内容物6を保持する中皿7と、中皿7から垂下する螺軸8とを有している。
【0015】
本実施の形態において、上下方向とは螺軸8の中心軸線Oに沿う方向を意味し、下方とは中心軸線Oに沿って中皿7から螺軸8に向かう方向を意味し、上方とはその反対方向を意味し、径方向とは中心軸線Oと直交する直線に沿う方向を意味し、周方向とは中心軸線Oを周回する方向を意味している。
【0016】
内容物6は、中心軸線Oに沿って延びる棒状の固形物である。内容物6は、例えば、口紅、スティックアイシャドウなどの化粧料である。なお、内容物6は化粧料に限らない。
【0017】
保持部材2、下筒3、上筒4及び筐体5の材料及び製法は適宜設定可能である。保持部材2、下筒3、上筒4及び筐体5はそれぞれ、例えば、合成樹脂材料によって一体成形される。上筒4及び筐体5を金属で形成してもよい。また、保持部材2、下筒3、上筒4又は筐体5を、複数の部材を組み合わせることで構成してもよい。
【0018】
中皿7は、円筒状の周壁7aと、周壁7aの下端に連なる円板状の底壁7bとを有している。周壁7aの内周面には、周方向に並ぶ複数の保持リブ7cが設けられている。各々の保持リブ7cは、径方向内側に突出するとともに上下方向に沿って延びている。中皿7内には、内容物6の下端6aが充填され、保持されている。
【0019】
図1図3に示すように、螺軸8は、中心軸線Oに沿って延びる中空棒状をなしている。より具体的に、螺軸8は、中心軸線Oを中心とする筒状をなしている。なお、螺軸8は、中実棒状であってもよい。
【0020】
螺軸8の外周面は、中心軸線Oの両側に配置される一対の螺合面8aと、一対の螺合面8aの間に配置される径方向に垂直な平面状の第1面8bと、一対の螺合面8aの間に配置される径方向に垂直な平面状の第2面8cとで構成されている。第1面8bと第2面8cは、中心軸線Oの両側に配置されている。一対の螺合面8aが並ぶ方向と、第1面8bと第2面8cが並ぶ方向とは、互いに垂直である。つまり、螺軸8の中心軸線Oに垂直な断面形状は、2つの円弧と2つの直線からなるトラック形状となっている。
【0021】
なお、以下の説明において、一対の螺合面8aが並ぶ方向を前後方向といい、第1面8bと第2面8cが並ぶ方向を左右方向という。
【0022】
一対の螺合面8aは、螺軸8の上下方向の全長に亘る雄ねじ部8dを有している。雄ねじ部8dは、下筒3の内周面の上端のみに設けられる雌ねじ部3aに螺合している。雄ねじ部8dの下端には、ストッパ8eが設けられている。ストッパ8eは、螺軸8が上昇限位置にあるときに雌ねじ部3aに当接することで、螺軸8が上昇限位置を越えて上昇することを抑制するように構成されている。
【0023】
第1面8bには、上下方向の10箇所に等間隔で配置される第1凸部9が設けられている。なお、第1凸部9が設けられる箇所は、10箇所に限らない。第1凸部9は、上下方向の1箇所以上に配置すればよいが、上下方向の3箇所以上に等間隔で配置するのが好ましい。各々の第1凸部9は、第1面8bから突出するとともに水平に延びる横リブ状をなしている。
【0024】
第2面8cには、螺軸8の上部と下部に配置される第2凸部10が設けられている。各々の第2凸部10は、第2面8cから突出するとともに水平に延びる横リブ状をなしている。第2凸部10の形状及び大きさは、第1凸部9の形状及び大きさと同等である。上方にある第2凸部10は、上端の第1凸部9よりも上方にあり、下方にある第2凸部10は、下端の第1凸部9よりも下方にある。つまり、複数の第1凸部9は、上下方向において全て第2凸部10の間に配置されている。
【0025】
下筒3は、中心軸線Oを中心とする円筒状の筒壁3bを有している。筒壁3bの内周面の上端には、雌ねじ部3aが設けられている。雄ねじ部8dと雌ねじ部3aは、中心軸線Oを中心とする左ねじとして構成されている。したがって、螺軸8を下筒3に対して上面視で左回り(反時計回り)に回転させると、螺軸8が下筒3に対して下降し、螺軸8を下筒3に対して上面視で右回り(時計回り)に回転させると、螺軸8が下筒3に対して上昇する。なお、雄ねじ部8dと雌ねじ部3aは、中心軸線Oを中心とする右ねじとして構成してもよい。
【0026】
筒壁3bの外周面には、円環状のフランジ3cが設けられている。フランジ3cは、上筒4の下端面4aに当接することで、下筒3に対する上筒4の下降を規制するように構成されている。また、筒壁3bの外周面におけるフランジ3cよりも上側の部分には、嵌合凸部3dが設けられている。嵌合凸部3dは、上筒4の内周面に設けられる中心軸線Oを中心とする円環状の嵌合凹部4bに嵌合することで、下筒3に対する上筒4の上昇を規制するとともに下筒3に対する上筒4の回転を許容するように構成されている。嵌合凸部3dは、例えば、周方向に全周に亘って連続又は断続的に延びている。
【0027】
上筒4は、下端面4aと嵌合凹部4bとを備える下部周壁4cと、下部周壁4cよりも内径が大きい上部周壁4dとを有している。下部周壁4cと上部周壁4dはいずれも中心軸線Oを中心とする円筒状をなしている。下部周壁4cの内周面は、下筒3の外周面におけるフランジ3cよりも上側の部分に接触可能である。
【0028】
上筒4の内周面は、上部周壁4dと下部周壁4cとの境界において中心軸線Oを中心とする円環状をなす上面で構成される段部4eを有している。段部4eは、中皿7の下面における外周縁に当接することで、中皿7の更なる下降を抑制する。つまり、段部4eは、螺軸8が下降限位置にあるときに中皿7に当接することで、螺軸8が下降限位置を越えて下降することを抑制するように構成されている。
【0029】
上部周壁4dは、内容物6の繰り出し口4fを上端に形成している。つまり、上筒4は、繰り出し口4fを上端に形成している。
【0030】
図2図3に示すように、下部周壁4cの内周面における上端には、螺軸8の第1面8bに当接することで保持部材2に対する上筒4の回転を規制するように構成される凸状の第1回転規制部11が設けられている。第1回転規制部11は、保持部材2に対する上筒4の周方向一方側への回転を規制するために第1面8bに当接する第1部分11aと、保持部材2に対する上筒4の周方向他方側への回転を規制するために第1面8bに当接する第2部分11bとからなっている。
【0031】
第1部分11aと第2部分11bとは、それぞれ下部周壁4cの内周面から径方向内側に突出する平板状をなすとともに、互いに周方向に間隔を開けて並んでいる。第1部分11aと第2部分11bは、上面視で第1凸部9の両側に配置されている。第1部分11aの内周面は、左右方向に垂直な端面と前後方向に垂直な端面とからなっている。第2部分11bの内周面は、左右方向に垂直な端面と前後方向に垂直な端面とからなっている。第1回転規制部11の下面は、下筒3の上端面に対向している。
【0032】
また、下部周壁4cの内周面における上端には、螺軸8の第2面8cに当接することで保持部材2に対する上筒4の回転を規制するように構成される凸状の第2回転規制部12が設けられている。第2回転規制部12は、保持部材2に対する上筒4の周方向一方側への回転を規制するために第2面8cに当接する第1部分12aと、保持部材2に対する上筒4の周方向他方側への回転を規制するために第2面8cに当接する第2部分12bと、第1部分12aと第2部分12bとを連ねる第3部分12cとからなっている。
【0033】
第1部分12aと第2部分12bとは、それぞれ下部周壁4cの内周面から径方向内側に突出する平板状をなすとともに、互いに周方向に間隔を開けて並んでいる。第1部分12aと第2部分12bは、上面視で第2凸部10の両側に配置されている。第1部分12aの内周面は、左右方向に垂直な端面と前後方向に垂直な端面とからなっている。第2部分12bの内周面は、左右方向に垂直な端面と前後方向に垂直な端面とからなっている。第2回転規制部12の下面は、下筒3の上端面に対向している。
【0034】
上述した構成により、上筒4は、下筒3に対する昇降と保持部材2に対する回転を規制される一方、下筒3に対する回転と保持部材2に対する昇降を許容されている。
【0035】
第1回転規制部11における第1部分11aと第2部分11bの間の部分には、下部周壁4cの内周面から突出する上下方向に垂直な平板状の第1弾性板13が設けられている。第1弾性板13は、上筒4と下筒3との相対的な回転によって第1凸部9に弾性変形させられることにより、第1凸部9を乗り越えるように構成されている。第1弾性板13は、径方向の長さL1を有している。
【0036】
第2回転規制部12における第1部分12aと第2部分12bの間の部分には、下部周壁4cの内周面よりも径方向内側に位置する第3部分12cの内周面から突出する上下方向に垂直な平板状の第2弾性板14が設けられている。このように、第1弾性板13と第2弾性板14とは、螺軸8の両側に配置されている。第2弾性板14は、上筒4と下筒3との相対的な回転によって第2凸部10に弾性変形させられることにより、第2凸部10を乗り越えるように構成されている。第2弾性板14は、径方向の長さL2を有している。
【0037】
第2弾性板14の長さL2は、第1弾性板13の長さL1よりも小さい。また、第2弾性板14の厚み及び幅は、第1弾性板13の厚み及び幅と同等である。したがって、第2弾性板14の弾性率は、第1弾性板13の弾性率よりも大きい。これにより、第2凸部10と第2弾性板14の乗り越え抵抗は、第1凸部9と第1弾性板13の乗り越え抵抗よりも大きい。
【0038】
なお、乗り越え抵抗の大小関係を逆にしてもよい。また、第1弾性板13と第2弾性板14を同形同大(つまり同じ弾性率)として、第1凸部9と第2凸部10の形状を異ならせることで、乗り越え抵抗に差を設けてもよい。
【0039】
第2弾性板14は、螺軸8が上昇限位置の近辺(図4参照)を移動するときと、下降限位置の近辺(図2参照)を移動するときとの両方においてのみ、第2凸部10を乗り越えるように構成されている。
【0040】
第1弾性板13は、螺軸8が第2弾性板14が第2凸部10を乗り越える両端位置の間で移動するときにのみ、第1凸部9を乗り越えるように構成されている。
【0041】
筐体5は、中心軸線Oを中心とする円筒状の外周部5aと、外周部5aの下端に連なる円板状の底部5bとを有している。外周部5aの内周面は、上筒4の下部周壁4cの外周面と、下筒3の外周面との両方に接触可能である。筐体5は、下筒3に対する昇降と回転との両方が規制されるように下筒3に嵌合している。
【0042】
筐体5の外周面を把持しつつ上筒4の上部周壁4dを摘まんで捩じる操作などにより、上筒4と下筒3とを相対的に回転させ、それにより螺軸8を昇降させ、その結果、内容物6を繰り出し口4fから繰り出し、或いは内容物6を繰り出し口4fに繰り入れることができる。
【0043】
また、螺軸8が上昇限位置の近辺を移動するとき、或いは、下降限位置の近辺を移動するときには、第2弾性板14が第2凸部10を乗り越えるとき又は乗り越えなくとも当接するときに生じる触感又は音等により、螺軸8が上昇限位置又は下降限位置に達したことが使用者に認知されるので、過剰な操作を抑制することができる。したがって、螺軸8が上昇限位置を越えて上昇し、或いは下降限位置を越えて下降することを抑制するためのストッパ構造に要求される強度を緩和し、設計の自由度を高めることができる。
【0044】
また、使用者は、第1弾性板13が第1凸部9を乗り越えるときに生じる触感又は音等によって操作量を認知することができる。また、第2弾性板14による触感又は音等の大きさは第1弾性板13による触感又は音等の大きさと異なるので、使用者は、螺軸8が上昇限位置又は下降限位置に達したときに、そのことを容易に認知することができる。
【0045】
内容物6を繰り上げた状態で、内容物6を被塗布部に強く押し付けた場合などのように下方に向かう強い力が中皿7に加わった場合には、第1凸部9と第1弾性板13との当接、或いは第2凸部10と第2弾性板14との当接により、中皿7の下降に対する所定の抵抗力を与えることができるので、中皿7が下降してしまうことを抑制することができる。
【0046】
本実施の形態では、第2弾性板14の弾性率が、第1弾性板13の弾性率よりも大きい。したがって、効率的に上記効果を得ることができる。
【0047】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0048】
例えば、前記実施の形態である繰り出し容器1は、以下に述べる種々の変更が可能である。
【0049】
保持部材2は、内容物6を保持する中皿7と中皿7から垂下する螺軸8とを備えるものであればよい。下筒3は、螺軸8の外周面と螺合する内周面を備えるものであればよい。上筒4は、下筒3に対する昇降と保持部材2に対する回転を規制されるとともに、内容物6の繰り出し口4fを上端に形成し、第1弾性板13を有するものであればよい。螺軸8は、上下方向の1箇所以上に配置される第1凸部9を有するものであればよい。第1弾性板13は、上筒4と下筒3との相対的な回転によって第1凸部9に弾性変形させられることにより、第1凸部9を乗り越えるように構成されるものであればよい。
【0050】
螺軸8が第2凸部10を有し、上筒4が第2弾性板14を有する場合、第2凸部10は、上部及び下部の少なくとも一方に配置され、第2弾性板14は、上筒4と下筒3との相対的な回転によって第2凸部10に弾性変形させられることにより、第2凸部10を乗り越えるように構成され、第2弾性板14及び第2凸部10は、第1弾性板13及び第1凸部9と周方向で異なる位置に設けられるものであればよい。
【0051】
第1凸部9は、上下方向において第2凸部10の内側に配置されるものに限らない。第2凸部10は、螺軸8の上部と下部の両方に設けられるものに限らず、どちらか一方に設けてもよい。第2弾性板14の弾性率は、第1弾性板13の弾性率以下であってもよい。しかし、第1弾性板13の弾性率と第2弾性板14の弾性率とは異なるのが好ましい。
【0052】
第1弾性板13と第2弾性板14の弾性率の相違は、第1弾性板13の長さL1と第2弾性板14の長さL2とを異ならせることに代え、又は加えて、第1弾性板13と第2弾性板14の幅又は厚みを異ならせること等により実現してもよい。
【0053】
雄ねじ部8dを螺軸8の下部のみに設け、雌ねじ部3aを筒壁3bの上下方向の全長に亘って設け、ストッパ8eを雌ねじ部3aの上端に設けてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 繰り出し容器
2 保持部材
3 下筒
3a 雌ねじ部
3b 筒壁
3c フランジ
3d 嵌合凸部
4 上筒
4a 下端面
4b 嵌合凹部
4c 下部周壁
4d 上部周壁
4e 段部
4f 繰り出し口
5 筐体
5a 外周部
5b 底部
6 内容物
6a 下端
7 中皿
7a 周壁
7b 底壁
7c 保持リブ
8 螺軸
8a 螺合面
8b 第1面
8c 第2面
8d 雄ねじ部
8e ストッパ
9 第1凸部
10 第2凸部
11 第1回転規制部
11a 第1部分
11b 第2部分
12 第2回転規制部
12a 第1部分
12b 第2部分
12c 第3部分
13 第1弾性板
14 第2弾性板
O 中心軸線
L1 第1弾性板の長さ
L2 第2弾性板の長さ
図1
図2
図3
図4