(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】抜栓キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 51/22 20060101AFI20230904BHJP
B65D 47/12 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
B65D51/22 100
B65D47/12 200
(21)【出願番号】P 2020093479
(22)【出願日】2020-05-28
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100191145
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-059538(JP,A)
【文献】特開2019-119461(JP,A)
【文献】特開2016-008058(JP,A)
【文献】国際公開第2014/115857(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/22
B65D 47/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に装着される中栓と、中栓に装着される中間部材と、中間部材に嵌合するとともに中栓に装着されるねじキャップとを備え、
中栓は、内容物を注出する注出筒と、注出筒の内周面に薄肉弱化部を介して連結され、内周に中栓係合部を設けた栓体と、注出筒の外側に設けられた第1多条ねじ部とを有し、
中間部材は、上壁と、上壁の周縁から垂設され、外周に係合部を有する側壁と、上壁から垂下され、中栓係合部に係合可能な中間部材係合部とを有し、
ねじキャップは、頂壁と、頂壁から垂下され、中間部材の係合部に係合する嵌合部と、第1多条ねじ部と螺合可能な第2多条ねじ部とを有し、
第1多条ねじ部と第2多条ねじ部は、ねじキャップを中栓に装着するときに打栓可能であることを特徴とする抜栓キャップ。
【請求項2】
中栓係合部は、第1係合突部と、外歯とを有する筒状壁を有し、
中間部材係合部は、上壁から垂下され、第1係合突部と係合可能な第2係合突部と、外歯と噛み合い可能な内歯とを有することを特徴とする請求項1に記載の抜栓キャップ。
【請求項3】
中栓係合部と中間部材係合部は、第1多条ねじ部と第2多条ねじ部との螺合に対し、逆ねじで螺合されることを特徴とする請求項1に記載の抜栓キャップ。
【請求項4】
中栓は、注出筒と第1多条ねじ部との間に係止突部を突設し、
中間部材は、側壁の下端部に係止突部と係合する突条部を設けることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の抜栓キャップ。
【請求項5】
中間部材の係合部は、外周に嵌合外歯と、嵌合外歯の下端部の係合端部とからなり、
ねじキャップの嵌合部は、嵌合外歯に噛み合う嵌合内歯と、嵌合内歯の下端部に係合端部が係合する嵌合係止部とからなることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の抜栓キャップ。
【請求項6】
ねじキャップは、嵌合部を有する嵌合筒部とその外側に第2多条ねじ部を有するねじ筒部とが頂壁から垂設されていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の抜栓キャップ。
【請求項7】
ねじキャップは、上部に嵌合部と、第2多条ねじ部とを有するねじ筒部が頂壁から垂設されていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の抜栓キャップ。
【請求項8】
中栓は、容器本体の口部が嵌入する装着部と、装着部から立設され、第1多条ねじ部が螺設されたねじ壁部と、ねじ壁部の上端から内方へ連設され、注出筒が形成された天壁とを有し、
ねじキャップは、頂壁の外周縁から垂設された外周壁を有することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の抜栓キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除去可能な栓体を有する中栓を備える抜栓キャップに関し、特に中栓にねじキャップを打栓して装着することができる抜栓キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドレッシングなどの内容物を収容する食品容器として、開封時まで除去可能な栓体を有する中栓により容器本体内を密封状態にし、中栓に螺合して装着されたねじキャップを螺脱方向に回動することによって中栓の栓体を開栓することができる抜栓キャップは、従来から知られている。
また、ねじキャップを中栓に螺合する際に、中心位置がずれることで、栓体に不具合が生じてしまうという問題があるため、ねじキャップに中足部を設けることで注出筒が案内されて位置合わせが容易になり、セット性が改善された抜栓キャップも知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の抜栓キャップは、ねじキャップを螺合して締め込む際に、キャップの回転を許容し、螺脱して開放するときのみ係合するラチェット機構を配設するものであるため、ねじキャップが少し斜めにセットされただけで栓体の薄肉弱化部が破断してしまうという問題があった。
それとともに、特に大きなキャップの場合には、位置合わせがさらに困難になり、セット性において不十分であるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、予め中間部材を中栓に装着しておき、その中間部材にねじキャップを装着する際に螺合して締め込む必要がなく、中間部材にねじキャップを打栓して装着することができるとともに、さらにセット性の改良された抜栓キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、抜栓キャップとして、容器本体の口部に装着される中栓と、中栓に装着される中間部材と、中間部材に嵌合するとともに中栓に装着されるねじキャップとを備え、中栓は、内容物を注出する注出筒と、注出筒の内周面に薄肉弱化部を介して連結され、内周に中栓係合部を設けた栓体と、注出筒の外側に設けられた第1多条ねじ部とを有し、中間部材は、上壁と、上壁の周縁から垂設され、外周に係合部を有する側壁と、上壁から垂下され、中栓係合部に係合可能な中間部材係合部とを有し、ねじキャップは、頂壁と、頂壁から垂下され、中間部材の係合部に係合する嵌合部と、第1多条ねじ部と螺合可能な第2多条ねじ部とを有し、第1多条ねじ部と第2多条ねじ部は、ねじキャップを中栓に装着するときに打栓可能であることを特徴とする構成を採用する。
【0007】
具体的な実施形態として、中栓係合部は、第1係合突部と、外歯とを有する筒状壁を有し、中間部材係合部は、上壁から垂下され、第1係合突部と係合可能な第2係合突部と、外歯と噛み合い可能な内歯とを有することを特徴とする構成、中栓係合部と中間部材係合部は、第1多条ねじ部と第2多条ねじ部との螺合に対し、逆ねじで螺合されることを特徴とする構成、中栓は、注出筒と第1多条ねじ部との間に係止突部を突設し、中間部材は、側壁の下端部に係止突部と係合する突条部を設けることを特徴とする構成、また、中間部材の係合部は、外周に嵌合外歯と、嵌合外歯の下端部の係合端部とからなり、ねじキャップの嵌合部は、嵌合外歯に噛み合う嵌合内歯と、嵌合内歯の下端部に係合端部が係合する嵌合係止部とからなることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
ねじキャップの実施形態として、ねじキャップは、嵌合部を有する嵌合筒部とその外側に第2多条ねじ部を有するねじ筒部とが頂壁から垂設されていることを特徴とする構成、また、ねじキャップは、上部に嵌合部と、第2多条ねじ部とを有するねじ筒部が頂壁から垂設されていることを特徴とする構成を採用する。
【0009】
抜栓キャップの具体的実施形態として、中栓は、容器本体の口部が嵌入する装着部と、装着部から立設され、第1多条ねじ部が螺設されたねじ壁部と、ねじ壁部の上端から内方へ連設され、注出筒が形成された天壁とを有し、ねじキャップは、頂壁の外周縁から垂設された外周壁を有することを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の抜栓キャップは、上記構成を採用することにより、ねじキャップを中栓にセットする際に、中間部材を用いることで、ねじキャップを打栓によって中栓に装着することができ、ワンタッチでねじキャップと中栓とのセットを完了させることができ、さらに栓体に不具合が生ずることなくセット性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1の抜栓キャップの閉蓋状態を示す図であり、(a)は断面図、(b)は(a)のX-X線における断面矢視図である。
【
図2】実施例1の抜栓キャップの中栓の図であり、(a)は上面図、(b)は正面断面図である。
【
図3】実施例1の抜栓キャップの中間部材の図であり、(a)は半断面図、(b)は下面図である。
【
図4】実施例1の中栓係合部と中間部材係合部の変形例を示す図であり、(a)は、中栓と中間部材のセット後を示す図であり、(b)は中栓と中間部材とをセットする直前を示す図である。
【
図5】実施例1の中栓係合部と中間部材係合部の他の変形例を示す図であり、(a)は、中栓と中間部材のセット後を示す図であり、(b)は中栓と中間部材とをセットする直前を示す図である。
【
図6】実施例1の抜栓キャップのねじキャップの図であり、(a)は断面図、(b)は下面図である。
【
図7】実施例1の抜栓キャップにおいて、中栓と中間部材をセットしたものを容器本体に打栓後に、ねじキャップを中栓に打栓する直前を示す断面図である。
【
図8】実施例1の抜栓キャップにおいて、ねじキャップと中間部材の嵌合を示す変形例を示す図であり、(a)は(b)のY-Y線における断面矢視図、(b)はねじキャップの断面図とねじキャップから分離された中間部材の正面図である。
【
図9】実施例1の抜栓キャップにおいて、ねじキャップと中間部材の嵌合を示す他の変形例を示す図であり、(a)は(b)のZ-Z線における断面矢視図、(b)はねじキャップの断面図とねじキャップから分離された中間部材の正面図である。
【
図10】(a)は実施例2の抜栓キャップの閉蓋状態を示す断面図の下部を省略した図であり、(b)は実施例2の抜栓キャップにおいて、中栓と中間部材をセットしたものを容器本体に打栓後に、ねじキャップを中栓に打栓する直前を示す断面図の下部を省略した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の抜栓キャップについて、実施例を示した図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
図1において、Aは容器本体、Bは容器本体Aに装着される中栓、Cは中栓Bに装着される中間部材、Dは中間部材Cに嵌合し、中栓Bに装着されるねじキャップである。
【0014】
図1に示すように、容器本体Aの口部1は、中栓Bに嵌着して抜け止め保持する係止突条2を備えている。
図1および
図2に示すように、中栓Bは、外周側の外筒5と内周側の内筒6とからなり、口部1が嵌入する環状溝を形成する装着部4と、装着部4の上面から立設されたねじ壁部8と、ねじ壁部8の上端に天壁9を介して連設された注出筒10とから構成されている。
【0015】
注出筒10は、容器本体A内に収容された内容物を注出する注出口を形成し、円筒状の基部11と、基部11の上部に拡径して外側に湾曲するリップ部12とを有する。
注出筒10の基部11の内周面には、全周にわたって形成された薄肉弱化部14を介して栓体15が一体に連設されている。
栓体15は、上部に中間部材と係合する中栓係合部13を有する円筒状の筒状壁16が立設され、下部は底壁17が薄肉弱化部14とともに注出口を密閉している。
注出筒10の下部の天壁9の近くには係止突部26が設けられ、係止突部26は、後述する中間部材Cの突条部47が係合するようになっている。
【0016】
筒状壁16は、中栓係合部13として、外周に外歯18が周方向6箇所に突設され、筒状壁16の内周上部には、第1係合突部19が環状に突設されている。
外歯18は、略径方向に形成され、後述する中間部材Cの内歯51と噛み合う第1係合面20を有し、その平面視形状は、傾斜する側面を有する四辺形状をなしているが、噛み合う形状であればどのようなものでもよい。
なお、本実施例では、外歯18は、周方向6箇所に設けているが、6箇所に限らず栓体15の形状等に合わせて複数の適宜箇所に設けることができる。
【0017】
ねじ壁部8は、注出筒10の下部に内周縁で連設した天壁9の外周縁から垂設され、外周面には第1多条ねじ部を構成する雄ねじ23が設けられている。
雄ねじ23は、通常のねじ山のように、断面が上下対称ではなく、上面が急傾斜して形成される傾斜上面23aと、下面が平坦に形成される平坦下面23bとから構成され、雄ねじ23は、上端部が120°間隔で始まる3条ねじで形成されている。
なお、本実施例では、雄ねじ23は、3条ねじとしているが、ねじ壁部8の高さに応じて、適宜の複数の多条ねじとすることができる。
ねじ壁部8の内周面には、上部を天壁9に連設し軸方向に延びる補強リブ24が複数配設されている。
【0018】
天壁9の周縁部には、外周側に陥没した段部25が設けられ、段部25の内周側には、120°間隔で3箇所に音出し突部31が配設されている。
音出し突部31は、後述するねじキャップDの嵌合筒部63の下部に設けられる音出し部材69が当接して音を発するようになっている。
【0019】
装着部4は、外側に外筒5と内側に内筒6とからなり、装着部4の上面の内周縁でねじ壁部8の下部と連設している。
外筒5と内筒6の間には、容器本体Aの口部1が嵌入する嵌合溝が形成され、外筒5の内周には、係止突条2に係合して口部1を抜け止めする係止縮径部27が設けられている。
装着部4の上面には、周方向の3箇所にストッパー28が設けられ、その螺脱方向には略垂直な当接面が形成され、螺着方向には傾斜面が形成されている。
【0020】
外筒5には、周方向にわたって外周面から径方向に切欠き凹部29が凹設され、切欠き凹部29の下部には、中栓Bを容器本体Aから分離して分別廃棄可能とする分別機構30が設けられている。
分別機構30は、図示しない手指で把持するための把持部と、縦方向に破断する縦切断部と、周方向に破断する周方向切断部と周方向切断部の終端部には外筒5と一体となる連結部とを有している。
なお、分別機構30の構造は特定されず、どのようなものでもよい。
【0021】
中間部材Cは、
図1および
図3に示すように、円盤状の上壁40と、上壁40の外周縁から垂設された側壁41とを備え、上壁40内面には、中栓係合部13に係合する中間部材係合部45を有し、中央付近に垂設された係着部42と、係着部42の外側に切断筒部43が垂設されている。
【0022】
係着部42には、中栓Bの第1係合突部19を乗り越えて筒状壁16の内周面に緊密に嵌合する環状の第2係合突部48が先端外周に形成されている。
【0023】
切断筒部43は、閉蓋時に、外周が注出筒10の内周面に密着して注出口を密閉する密封筒50と、密封筒50の内周に、外歯18と噛み合う内歯51とを備え、内歯51は、外歯18と同数の周方向6箇所に設けられている。
【0024】
中栓係合部13と中間部材係合部45とは、係合しうる構造であればよく、変形例として
図4に示すように、係着部42でなく、切断筒部43の下部に第2係合突部48を設けるものであってもよく、その場合には、栓体15の筒状壁16の外周下部に第1係合突部19が設けられる。
中栓係合部13と中間部材係合部45の係合方法の他の変形例としては、
図5に示すように、逆ねじを使用する方法があり、栓体15の筒状壁16の外周に雄ねじの第1逆ねじ部21を設け、中間部材係合部45の切断筒部43の内周に雌ねじの第2逆ねじ部46を設け、中栓Bと中間部材Cをセットする際に、雄ねじ(第1多条ねじ部)23と雌ねじ(第2多条ねじ部)65の螺合とは逆方向に螺合させて係合するものである。
【0025】
内歯51は、略径方向に形成され、栓体15の外歯18の第1係合面20と噛み合う第2係合面52を有し、平面視形状は三角形状であるが、外歯18と内歯51の形状は、噛み合う形状のものであればどのようなものでもよい。
【0026】
側壁41は、外周に後述するねじキャップDの嵌合筒部63に設けられる嵌合部64に嵌合する係合部54が設けられ、側壁41の下端部には内方に突出する突条部47が設けられ、中間部材Cを中栓Bにセットする際に、突条部47は中栓Bの係止突部26に係合する。
【0027】
係合部54は、嵌合外歯55と嵌合外歯55の下端部が切り欠きされた係合端部56からなり、後述するねじキャップDの嵌合筒部63の嵌合部64の嵌合内歯66と嵌合係止部67に嵌合するようになっている。
嵌合外歯55は、略径方向に形成される多数の突条リブからなるローレット状であるが、嵌合部64の嵌合内歯66に噛み合う形状のものであれば、どのようなものでもかまわない。
【0028】
ねじキャップDは、
図1及び
図4に示すように、天板部に設けられた円板状の頂壁60と、頂壁60の外周縁から垂設された外周壁61とを備え、頂壁60の内面には、ねじ筒部62とねじ筒部62の内側に嵌合筒部63とが垂設されている。
【0029】
ねじ筒部62は、内周に中栓Bの雄ねじ23に螺合する第2多条ねじ部を構成する雌ねじ65が設けられている。
嵌合筒部63は、内周に中間部材Cの側壁41の係合部54が嵌合する嵌合部64が設けられ、嵌合筒部63の下部には、音出し部材69が設けられている。
音出し部材69は、先端部に振動片70が設けられており、振動片70が中栓Bの音出し突部31に、ねじキャップDが中栓Bに螺合する際の螺合終了時に当接して音を発するようになっている。
音出し部材69は、音出し突部31と同様に、同心円状に120°間隔で3個設けられている。
【0030】
嵌合部64は、中間部材Cの係合部54の嵌合外歯55に噛み合うように設けられる嵌合内歯66と、嵌合内歯66の下端部の係合端部56が係合する嵌合係止部67とからなっている。
なお、係合部54の係合端部56に代えて、嵌合外歯55の上部に突部を設けるとともに、嵌合部64の嵌合内歯66の上部に嵌合係止部67を設けて係合させるようにしても構わない。
嵌合内歯66は、嵌合外歯55と同様に多数の突条リブからなるローレット状に設けられている。
なお、中間部材Cの嵌合外歯55と嵌合内歯66は、噛み合うように嵌合するものであればどのようなものでもよい。
【0031】
図6に示されているのは、中間部材Cの嵌合外歯55と嵌合内歯66の変形例であり、嵌合外歯55は、外周方向に、側面に係合面を有する4個の略四角形状のものであり、それに対し、嵌合部64の嵌合内歯66は、内周方向に嵌合外歯55に噛み合うように側面を有する4個の略四角形状のものである。
それぞれの係合面の間には、
図6に示すように、間隙を設けてもよく、間隙はなくてもかまわない。
図7に示されているのは、中間部材Cの嵌合外歯55と嵌合内歯66の他の変形例であり、嵌合外歯55は、側面に傾斜する係合面を有し、2個の外周方向に広がる略四辺形状のものであり、それに対し、嵌合部64の嵌合内歯66は、嵌合外歯55に噛み合うように傾斜する側面を有する2個の内周方向に広がる略四辺形状のものである。
上記のように、係合面を有する嵌合外歯55と嵌合内歯66の数は、2~6個程度とすることができる。
【0032】
雌ねじ65は、通常のねじ山のように、断面が上下対称ではなく、上面が平坦に形成される平坦上面65aと、下面が急傾斜して形成される傾斜下面65bとから構成され、雌ねじ65は、下端部が120°間隔で始まる3条ねじで形成されている。
なお、雌ねじ65は、前述のように、雄ねじ23に対応して、適宜の複数の多条ねじとすることができる。
【0033】
ねじ筒部62の下端面には、ストッパー28に係合するくさび状凹部68が周方向に3箇所形成されている。
くさび状凹部68には、螺脱方向に略垂直な当接面が形成され、螺着方向に傾斜面が形成されており、それぞれストッパー28の当接面、傾斜面に対応する形状をなしている。
ねじ筒部62の下端面が装着部4の上面に当接するとともに、くさび状凹部68とストッパー28の当接面同士が当接するとねじキャップDの締め込みが完了する。
ストッパー28およびくさび状凹部68は、本実施例では周方向3箇所に設けられているが、これに限定されず適宜の複数箇所に設けることができる。
【0034】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例の抜栓キャップを容器本体Aに装着するには、まず、中栓Bの上部から中間部材Cを装着し、中栓Bと中間部材Cとをセットしたものを、容器本体Aの口部1に中栓Bの装着部4を当てがって打栓し、最後にねじキャップDを中間部材Cの上部から打栓により中栓Bに装着する。
【0035】
中栓Bの上部から中間部材Cをセットする際には、中間部材Cの側壁41内に中栓Bの注出筒10がおさまっていることを確認しながら、中間部材Cの中心部分の係着部42を栓体15の筒状壁16の上面に載置し、中間部材Cをわずかに回転をかけ、切断筒部43の内歯51を、栓体15の外歯18の間に嵌入させ、栓体15の外歯18と噛み合わせるように押し込んでいく。
【0036】
さらに、中間部材Cの側壁41に注出筒10が案内されながら、中間部材Cが下降していくと、中間部材Cの係着部42の第2係合突部48が栓体15の第1係合突部19を乗り越えて、筒状壁16の内周面に嵌合するようになる。
それと同時に、中間部材Cの側壁41の下端部の突条部47が中栓Bの係止突部26に係合し、中間部材Cの中栓Bとのセットが完了する。
中栓Bへの中間部材Cのセットは、ねじキャップDに比べて小さいため、中心位置が見つけやすく、また、側壁41によって、セットがしやすくなっており、セットの際に、薄肉弱化部14が破断してしまうようなことがない。
【0037】
中間部材Cと中栓Bとがセットされた後、内容物が充填された容器本体Aの口部1に、中栓Bの装着部4を当てがって打栓される。
その後、ねじキャップDを中栓Bに打栓によって装着する。
ねじキャップDの装着は、中栓Bにセットされた中間部材Cの上面に、ねじキャップDを載置し、ねじキャップDをわずかに回転させながら押し込んでいくと、
図5に示すように、ねじキャップDのねじ筒部62の雌ねじ65の下端部が中栓Bの雄ねじ23の上端部に当接するとともに、中間部材Cの係合部54の嵌合外歯55に、ねじキャップDの嵌合部64の嵌合係止部67が乗り越え、嵌合内歯66が噛み合いながら嵌入をはじめる。
【0038】
この状態から、ねじキャップDを中栓Bに押し込むと、ねじキャップDの雌ねじ65は、傾斜下面65bが雄ねじ23の傾斜上面23aに摺接しながら雄ねじ23を乗り越えて、ねじキャップDのねじ筒部62は、中栓Bのねじ壁部8に嵌合するようになる。
同時に、中間部材Cの係合部54の嵌合外歯55とねじキャップDの嵌合部64の嵌合内歯66と噛み合いが進み、係合部54の係合端部56が嵌合部64の嵌合係止部67に係合して中間部材CとねじキャップDとの嵌合も終了する。
さらに、ねじ筒部62の下部のくさび状凹部68が中栓Bのストッパー28に当接面同士が当接して嵌合する。
【0039】
次に、本実施例の抜栓キャップが装着された容器を使用するには、ねじキャップDを中栓Bに対して螺脱方向に回転させる。
ねじキャップDを回転すると、ねじキャップDに嵌合する中間部材Cの切断筒部43の内歯51が回動して、その第2係合面52が中栓Bの栓体15の外歯18の第1係合面20に当接するようになり、ねじキャップDの回転力が両歯を介して栓体15に加わるようになる。
なお、本実施例では、第1係合面20および第2係合面52は、傾斜が形成されているが、第1係合面20および第2係合面52は、傾斜はなくてもよく、ねじキャップDを回転させたときに、外歯18と内歯51が噛み合うことができれば問題ない。
【0040】
このとき、中間部材Cの係着部42の第2係合突部48が栓体15の筒状壁16の内周面に緊密に嵌合しているので、筒状壁16を内側から補強してねじキャップDの回転力が内歯51および外歯18を介して栓体15に伝わりやすくなるとともに、両ねじの回転に伴って栓体15を上方に引き上げる力を発生させる。
ねじキャップDの回転が進むと、栓体15に加わる回転力と引き上げ力により、ついには薄肉弱化部14が破断して注出筒10内に注出口が開栓され、注出筒10から分離された栓体15は、筒状壁16に係合する係着部42によって引き上げられ、中間部材CとねじキャップDとともに上昇していく。
【0041】
さらに、雌ねじ65が雄ねじ23から螺脱して、ねじキャップDを中栓Bから離脱させれば、ねじキャップDとともに栓体15が除去された注出筒10の開口から容器本体A内の内容物を注出することができる。なお、離脱した際、中栓BはねじキャップD側に移行して保持された状態のままとなっている。
【0042】
内容物を注出した後、再度、ねじキャップDを中栓Bに螺合する際には、中間部材Cの切断筒部43の密封筒50が注出筒10の内周に密着して容器本体A内を密封することができる。
両ねじの螺合が完了する際には、音出し部材69の振動片70が音出し突部31に当接して振動し、音が発せられるので、本発明の利用者は、感覚的にねじキャップDの閉蓋終了を知ることができる。
【0043】
本実施例の抜栓キャップの中栓Bは、容器を使用した後に廃棄する際に、分別機構30を利用して容器本体Aから分離し、分別して廃棄することができる。
把持部を手前に引っ張って縦切断部を破断し、破断はさらに周方向切断部と続き、外筒5と一体の終端の連結部で、中栓Bは容器本体Aから離脱されて分別廃棄することができる。
分別機構30は、どのようなものでもよく、なくても構わない。
【0044】
本実施例では、閉蓋終了後の回転を止めるために、中栓BおよびねじキャップDにストッパー28およびくさび状凹部68を設けているが、閉蓋終了時に、音出し部材69により音が発せられ、利用者は感覚的にキャップの閉蓋終了を知ることができるので、ストッパー28およびくさび状凹部68を設けなくても構わないし、さらに、音出し突部31と音出し部材69による音出し機構を設けなくてもよい。
【実施例2】
【0045】
次に、第1実施例のねじキャップDの構成を変更した第2実施例について、
図8を参照して説明する。
以下、第1実施例と同一の構成部分には同一の符号を付し、変更部分に新たな符号を付し、相違点を中心に説明する。
【0046】
図8に示すように、本実施例の中間部材Cには、切断筒部43と側壁41の間に中足部44が設けられ、中足部44は、中間部材Cを中栓Bにセットする際に注出筒10を案内する役割をしている。
また、中栓Bの係止突部71は、段部25の内周側に設けられ、中間部材Cを中栓Bにセットする際に、側壁41の下端部に設けられた突条部47が係合するようになっている。
【0047】
また、ねじキャップDは、
図8に示すように、第1実施例の嵌合筒部63がなく、嵌合部64はねじ筒部72の雌ねじ65の上部に設けられている。
嵌合部64および雌ねじ65の構成は第1実施例と同じである。
【0048】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
第1実施例と同様に、まず中栓Bに中間部材Cをセットし、セットされたもの容器本体Aに打栓し、最後にねじキャップDを中栓Bに打栓する。
【0049】
中間部材Cを中栓Bにセットする際には、中間部材Cの中足部44内に中栓Bの注出筒10がくるようにして、中間部材Cの中心部分の係着部42を栓体15の筒状壁16内に、また、切断筒部43を筒状壁16と注出筒10との間にそれぞれ嵌入させて、押し込んでいく。
【0050】
さらに、中間部材Cの中足部44に注出筒10が案内されながら、中間部材Cが下降していくと、中間部材Cの係着部42の第2係合突部48が栓体15の第1係合突部19を乗り越えて、筒状壁16の内周面に嵌合する。
それと同時に、中間部材Cの側壁41の下端部の突条部47が中栓Bの係止突部71に係合し、中間部材Cの中栓Bとのセットが完了する。
【0051】
中間部材Cと中栓Bとがセットされた後、内容物が充填された容器本体Aの口部1に、中栓Bの装着部4を当てがって打栓され、その後、ねじキャップDを中栓Bに打栓によって装着する。
ねじキャップDの装着は、
図8(b)に示すように、中栓Bにセットされた中間部材Cの上面に、第1実施例と同様に、ねじキャップDを載置し、ねじキャップDを押し込み、中間部材Cの係合部54と、ねじキャップDのねじ筒部72の嵌合部64とを嵌合させ、中間部材CとねじキャップDの嵌合を終了する。
同時に、ねじキャップDの雌ねじ65は、中栓Bの雄ねじ23を乗り越えて、ねじキャップDのねじ筒部72を、中栓Bのねじ壁部8に嵌合させて、ねじキャップDの中栓Bへの打栓を完了する。
その他の構成および作用効果は、第1実施例と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の抜栓キャップは、中栓にねじキャップを最初に装着する際に螺合して締め込む必要がなく、打栓によって中栓にねじキャップを装着することができ、また、中間部材を用いることで、打栓の際に薄肉弱化部が破断することがなくセット性が改良され、特にねじキャップを大きいものとすることが可能であり、飲食品や調味料などの容器に広く利用できる。
【符号の説明】
【0053】
A 容器本体
B 中栓
C 中間部材
D ねじキャップ
1 口部
2 係止突条
4 装着部
5 外筒
6 内筒
8 ねじ壁部
9 天壁
10 注出筒
11 基部
12 リップ部
13 中栓係合部
14 薄肉弱化部
15 栓体
16 筒状壁
17 底壁
18 外歯
19 第1係合突部
20 第1係合面
21 第1逆ねじ部
23 雄ねじ(第1多条ねじ部)
23a 傾斜上面
23b 平坦下面
24 補強リブ
25 段部
26、71 係止突部
27 係止縮径部
28 ストッパー
29 切欠き凹部
30 分別機構
31 音出し突部
40 上壁
41 側壁
42 係着部
43 切断筒部
44 中足部
45 中間部材係合部
46 第2逆ねじ部
47 突条部
48 第2係合突部
50 密封筒
51 内歯
52 第2係合面
54 係合部
55 嵌合外歯
56 係合端部
60 頂壁
61 外周壁
62、72 ねじ筒部
63 嵌合筒部
64 嵌合部
65 雌ねじ(第2多条ねじ部)
65a 平坦上面
65b 傾斜下面
66 嵌合内歯
67 嵌合係止部
68 くさび状凹部
69 音出し部材
70 振動片