(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】発電プラントの保守およびサービスのための変動価格設定に関する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20230904BHJP
G06Q 30/02 20230101ALI20230904BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q30/02 450
H02J3/00 180
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018239026
(22)【出願日】2018-12-21
【審査請求日】2021-12-10
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】マーク・スチュワート・シュローダー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・リチャード・ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ・アナトーリエヴィチ・ティクホノヴスキー
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-288435(JP,A)
【文献】特開2015-149885(JP,A)
【文献】特開2005-190271(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0309547(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H02J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによって実施されるサービス契約(「CSA」)に基づく価格設定に関す
る方法であって、前記CSAは、顧客とサービスプロバイダ(41)との間の契約からなり、前記サービスプロバイダ(41)は有料で発電ユニット(49)に対する保守サービスを提供し、前記発電ユニット(49)の出力は前記発電ユニット(49)が運転可能に接続される発電機(44)によって生成され、
当該方法は、
1又は複数のハードウェアプロセッサによって実行される以下のステップ(a)~(d):
(a)前記発電ユニット(49)の使用期間を決定する
ステップ、
(b)前記使用期間中に前記発電ユニット(49)の出力を監視し
て前記使用期間中の前記発電ユニット(49)の出力レベルを
決定する
ステップ、
(c)変動価格設定プランに従って前記使用期間中の料金を計算する
ステップであって、前記変動価格設定プランは、
複数の価格設定段階を有する段階的なプランを含んでいて、前記複数の価格設定段階のそれぞれは、前記使用期間中の前記発電ユニット(49)の前記
決定された出力レベルに応じて変動する前記料金を計算するための価格
、及び前記価格が適用される前記出力レベルの範囲を含
んでおり、前記複数の価格設定段階の前記価格は、前記出力レベルと前記価格との間の直接的な関係に従って変化し、前記複数の価格設定段階は、少なくとも第1の価格設定段階と第2の価格設定段階とを含み、それによって、前記第1の価格設定段階に含まれる前記出力レベルの範囲は、前記第2の価格設定段階に含まれる前記出力レベルの範囲よりも低く、前記第1の価格設定段階の価格は、前記第2の価格設定段階の価格よりも低くなる、ステップ、及び
(d)前記計算した料金を前記顧客に請求する
ステップ
を含
んでおり、
前記変動価格設定プランに従って前記使用期間中の料金を計算する前記ステップ(c)は、
前記使用期間の前記出力レベルが前記第1の価格設定段階によってカバーされる出力レベルの範囲内に入ると判定されるため、前記段階的な価格設定プランの前記第1の価格設定段階の価格が前記料金の計算に適用可能であると決定するステップと、
前記第1の価格設定段階の価格を使用して前記使用期間中の料金を計算するステップと
を含んでおり、
前記第1の価格設定段階の前記出力レベルは、前記発電ユニット(49)の部分負荷生成状態を含み、
前記使用期間は、現在の使用期間を含み、前記現在の使用期間の前に生じる使用期間は、以前の使用期間と称し、
当該方法は、さらに、1又は複数のハードウェアプロセッサによって実行される、
1又は複数の前記以前の使用期間からの前記出力レベルに基づいて、前記発電ユニット(49)の前記出力レベルが前記第1の価格設定段階の前記部分負荷生成状態を含む累積時間を計算するステップと、
前記部分負荷生成状態の前記累積時間が所定の閾値を超えたか否かを判定するステップと、
前記累積時間が前記所定の閾値を超えたか否かに応じて、前記現在の使用期間中の前記第1の価格設定段階の価格に対する割増料金を条件付きで査定するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記発電ユニット(49)は、ガスタービン、蒸気タービン、
及びガスタービンと蒸気タービンとの両方を含むコンバインドサイクル発電プラントガスタービンの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の価格設定段階の前記出力レベルの範囲は、前記発電ユニット(49)の潜在的な出力レベルのスペクトルにわたって逐次的で、連続的で、重複
しない、請求項
1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記変動価格設定プランに従って前記使用期間中の料金を計算する前記ステップ
(c)は、
前記使用期間の前記出力レベルが前記第2の価格設定段階によってカバーされる出力レベルの範囲内に入ると判定されるため、前記段階的な価格設定プランの前記第2の価格設定段階の価格が前記料金の計算に適用可能であると決定する
ステップと、
前記第2の価格設定段階の価格を使用して前記使用期間中の料金を計算する
ステップと
を含む、請求項
1乃至請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記累積時間が前記所定の閾値を超え
たか否かに応じて、前記現在の使用期間中の前記第1の価格設定段階の価格に対する前記割増料金を条件付きで査定する前記ステップは、
前記累積時間が前記所定の閾値を超えるときに、前記現在の使用期間中の前記第1の価格設定段階の価格に対する前記割増料金を査定する
ステップと、
前記累積時間が前記所定の閾値を超えないときに、前記現在の使用期間中の前記第1の価格設定段階の価格に対する前記割増料金を査定しない
ステップと
を含み、
前記割増料金の額は、前記割増料金に前記第1の価格設定段階の価格を加えたものが、前記発電ユニット(49)の全負荷に対応する前記出力レベルを含む価格設定段階の前記価格と等しくなるようにされている、請求項
1乃至請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記計算した料金を前記顧客に請求する前記ステップ
(d)は、
前記計算した料金、
及び前記計算した料金が適用される前記使用期間を含む、電子通知を生成する
ステップと、
前記電子通知を前記顧客に電子的に送信する
ステップと
を含む、請求項
1乃至請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記使用期間中に前記発電ユニット(49)の出力を監視して前記使用期間中の前記
発電ユニット(49)の出力レベルを決定する前記ステップ
(b)は、前記使用期間中に前記発電ユニット(49)の出力についての1
又は複数の測定値を受信する
ステップを含み、前記発電ユニット(49)の出力についての前記1
又は複数の測定値は、それぞれ、前記発電機(44)によって生成されているメガワットの指標を含む、請求項
1乃至請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記使用期間中に前記発電ユニット(49)の出力を監視して前記使用期間中の
前記発電ユニット(49)の出力レベルを決定する前記ステップ
(b)は、
前記発電機(44)の出力を測定するためのセンサ(46)を設ける
ステップと、
前記使用期間中に前記発電機(44)の出力の測定値を前記センサ(46)を用いて取得する
ステップと、
前記センサ(46)によって取得された前記測定値を使用して、前記使用期間中の前記出力レベルを判定する
ステップと
を含む、請求項
1乃至請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の価格設定段階は、第3の価格設定段階を含み、
前記第1の価格設定段階に含まれる出力レベルの範囲は、前記発電ユニット(49)の部分負荷状態を含み、
前記第2の価格設定段階に含まれる出力レベルの範囲は、前記発電ユニット(49)の全負荷状態を含み、
前記第3の価格設定段階に含まれる出力レベルの範囲は、前記発電ユニット(49)の全負荷状態を超える状態を含む、請求項
1乃至請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
サービス契約(「CSA」)に基づいて様々な変動価格設定を実施するためのシステムであって、前記CSAは、顧客とサービスプロバイダ(41)との間の契約からなり、前記サービスプロバイダ(41)は有料で発電ユニット(49)に対する保守サービスを提供し、前記発電ユニット(49)の出力は前記発電ユニット(49)が運転可能に接続される発電機(44)によって生成され、
当該システムは、
1
又は複数のハードウェアプロセッサと、
機械可読記憶媒体であって、前記1つ以上のハードウェアプロセッサ
に、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を格納する、機械可読記憶媒体と
を含む、システム。
【請求項11】
前記発電機(44)の出力を測定するためのセンサ(46)をさらに備
える、請求項
10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、概して発電業界に関し、より詳細には、発電プラントの運転および保守に関する長期的なサービス契約において、サービスプロバイダおよび顧客の経済目標を整合させる、変動価格設定方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力システムでは、参加発電プラントが電気を生成し、電気は共通の送電線を介して住宅用顧客および企業用顧客へ分配される。認識されることとなるように、消費者や業界が必要とする電力の大部分を生成するために、ガスタービン、蒸気タービン、およびコンバインドサイクルプラント等の火力発電ユニットが利用されている。このような電力システム中の発電プラントのそれぞれは、一般的に、1つまたは複数の発電ユニットを含み、通常、これらのユニットのそれぞれは、動作を制御するコントロールシステムを含み、2つ以上の発電ユニットを有する発電プラントの場合は、発電プラント全体の性能を制御するコントロールシステムを含む。一例として、プラントオペレータまたはマネージャの責任の1つには、プラントの電力生産のコストを表すオファー曲線を生成することが含まれる。オファー曲線は、通常、増分変動コスト曲線、平均変動コスト曲線、または可変の発電経費の別の適切な指標を含み、これは通常、メガワットの出力に対するメガワット時当たりのドルで表される。平均変動コスト曲線は、所与の点についての累積的な電力出力で除算した累積的なコストを表すことができ、増分変動コスト曲線は、電力出力の変化で除算したコストの変化を表すことができることが理解されよう。
【0003】
ほとんどの電力システムでは、一般に経済的給電と称される競争プロセスは、将来の期間にわたって参加発電プラントの間で電力グリッドのシステム負荷を分割するために使用される。このプロセスの一部として、発電プラントは周期的にオファー曲線を生成し、電力システム当局または給電指令所へオファー曲線を送る。このようなオファー曲線は、将来の市場期間にわたって電力システムが必要とする電気の一部を生成するための発電プラントからの入札を表す。給電指令当局は、そのシステムの中の発電プラントからオファー曲線を受け取り、それらのオファー曲線を評価し、システムの予測される負荷要件を最も効率的に満たすように各発電プラントを関与させるレベルを決定する。この際に、給電指令当局は、オファー曲線を分析し、システムにとっての最低発電コストを見出すことを目的として、各発電プラントが関連する期間にわたり関与することとなる限度を記述する、起動停止計画を作成する。
【0004】
発電プラントを運転する発電事業者は、プラントの運転および保守を、機器メーカーや他のサービス会社(または「サービスプロバイダ」)に委託することが多い。このアプローチは、収益性を向上させる、および/または予期せぬ運転および保守費用に関連するリスクを減少させ得る。通常、そのようなサービス契約(または「CSA」)は、可用性、信頼性、保守コスト、電力出力、発熱率等を含む一定の保証を、例えば1年以上の長期間にわたり、発電事業者(または「顧客」)に提供する。また、このようなサービス契約の条件は、特定の定期および緊急保守手順ならびにその頻度、プラントの性能に関する保証、プラントの停止および他の故障に関する保証等、様々であり得る。
【0005】
ガスタービンおよび蒸気タービンを有する発電プラントに関する従来のサービス契約は、通常、様々なファクタリング機構を使用することで、契約の対象となる機器の消費率を定量化することを試みており、この推定消費率は、サービスプロバイダによる支払いと結びついている。これらのファクタリング機構は、いわゆる「ファクタ稼動時間(factored fired hours)」や「等価運転時間」を含み得るが、基本的には、対象となるエンジンの運転時間をカウントし、その累積時間を使用して、契約期間の開始時の機器の初期状態から、エンジンに関連する機器がどれだけ「消費された」かを示す。しかし、これらの「カウンタ」は、エンジンによって生成される負荷とは無関係に定義されるため、このタイプのサービス契約では、通常、契約期間にわたって不公平が生じ、特に部分負荷運転のカウント方法に関して、サービスプロバイダに有利に働く。また、これらのタイプの契約は、プラントの運転および入札業務(bidding practices)を非効率的にするため、以下に示すように、発電プラントの顧客だけでなくサービスプロバイダにとっても、経済的に不利益になる。したがって、請求とハードウェアの寿命消費とを公平に整合し、顧客の経済的利益とサービスプロバイダの経済的利益とを公平に整合するこのようなサービス契約における、変動価格設定構造に関するシステムおよび方法は、このような価格設定構造の効率的な監視と実行に関連するシステムおよび方法と同様に、業界において大きな有用性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2014/0033679号明細書
【発明の概要】
【0007】
したがって、本願は、顧客とサービスプロバイダとの間のサービス契約に基づく価格設定に関する方法であって、サービスプロバイダが発電ユニットに対する保守サービスを有料で提供する方法を説明する。発電ユニットの出力は、発電ユニットが動作可能に接続された発電機によって生成される。方法は、発電ユニットの使用期間を決定することと、使用期間中に発電ユニットの出力を監視し、そこから使用期間中の発電ユニットの出力レベルを指定することと、使用期間中の発電ユニットの指定された出力レベルに応じて変動する料金を計算するための価格を含む変動価格設定プランに従って、使用期間中の料金を計算することと、計算した料金を顧客に請求することとを含む。
【0008】
本願のこれらの特徴および他の特徴は、図面および添付の特許請求の範囲と併せて、以下の好ましい実施形態の詳細な説明を検討することにより、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の態様による、または本発明の実施形態が使用され得る電力システムの概略図を示す。
【
図2】本発明の実施形態による例示的なコンバインドサイクル発電プラントの概略図を示す。
【
図4】本発明の変動価格設定に対する従来の価格設定の例示的なプロットを示す。
【
図5】本発明の態様による運転時間のデータおよび予測の例示的なプロットを示す。
【
図6】本明細書で論じられる方法のうちの任意の1つまたは複数を実行するための例示的なコンピュータシステムを示す概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、全てではないがいくつかの実施形態を示した添付図面を参照しながら、本発明の例示的な実施形態をより完全に説明する。実際、本発明は、多くの異なる形態にて具現化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が、適用され得る法的要件を満たすように提供される。全体を通して、類似する符号は類似する要素を指し得る。
【0011】
図1は、本発明の態様、および実施形態が動作し得る例示的な環境を含む電力システム10の概略図を示す。電力システム10は、例えば図示された風力発電プラントおよび火力発電プラント等の、発電機または発電プラント12を含み得る。火力発電プラントの場合、例えば発電ユニットは、ガスタービン、石炭焚き蒸気タービン(coal-fired steam turbines)、および/またはコンバインドサイクルプラントを含み得る。また、電力システム10は、太陽光発電設備、水力発電、地熱発電、原子力発電、風力発電、燃料電池発電、レシプロエンジン、エネルギー貯蔵、および/または、現在知られている、あるいは今後発見される任意の他の適切な電源、およびこれらのシステムの任意の組み合わせ等の、他のタイプの発電プラントを含み得る。送電線14は、様々な発電プラント12を電力システム10の顧客または負荷16に接続することができる。送電線14は、電力システムのためのグリッドまたは配電網を表し、所望の通りにまたは必要に応じて複数のセクションおよび/または変電所を含み得ることを理解されたい。発電プラント12から生成される電力は、送電線14を介して負荷16に送達されることができ、負荷16は、例えば、地方自治体用顧客、住宅用顧客、または企業用顧客を含み得る。
【0012】
また、電力システム10は、電力システム10に含まれるコンポーネントのいくつかの動作を管理または制御する、コントロールシステムまたはコントローラ22、23、25を含む。例えば、プラントコントローラ22は、各発電プラント12の運転を制御することができる。負荷コントローラ23は、電力システム10の一部である様々な負荷16の動作を制御することができる。例えば、負荷コントローラ23は、顧客の電力購入の様式またはタイミングを管理することができる。給電指令当局24は、電力システム10の動作の特定の態様を管理することができ、また、経済的給電手順を制御する電力システムコントローラ25を含むことができる。経済的給電手順によって、負荷起動停止計画が、参加発電プラントの間で分配される。矩形ブロックによって表されたコントローラ22、23、25は、通信回線を介して、通信ネットワーク20に接続されることができ、通信ネットワーク20によって、データが交換される。このような接続は、有線または無線であり得る。通信ネットワーク20は、インターネットやプライベートコンピュータネットワーク等のより大規模な通信システムまたはネットワークに接続されるか、またはその一部であり得るということが理解されよう。また、コントローラ22、23、25は、通信ネットワーク20を通して、データライブラリおよびデータリソースから、情報、データ、および命令を受け取ることができ、かつ/もしくは、データライブラリおよびデータリソースへ、情報、データ、および命令を送ることができる。データライブラリおよびデータリソースは、本明細書ではまとめて「データリソース26」と称されることがある。または、代替的には、コントローラ22、23、25は、1つまたは複数のそのようなデータリポジトリを、ローカルに記憶もしくは収容することができる。データリソース26は、市場データ、動作データ、および周囲状態データを含む、いくつかのタイプのデータを含み得るが、これらに限定されない。
【0013】
例示的な電力システム10等の電力システムでは、多数の参加発電プラントが電気を生成し、生成された電気は次いで、共通の送電線を介して住宅用顧客および企業用顧客へ分配される。認識されることとなるように、消費者や業界が必要とする電力の発電の大部分は、ガスタービン、蒸気タービン、およびコンバインドサイクルプラント等の火力発電ユニットならびに分散型電源に依存している。このようなシステム中の各発電プラントは、1つまたは複数の発電ユニットを含み得る。これらのユニットのそれぞれは、通常、運転を制御するコントロールシステムを含み、2つ以上の発電ユニットを有する発電プラントの場合には、発電プラントの性能を全体的に制御するコントロールシステムを含む。一例として、プラントオペレータの責任の1つには、電力生産のコストを表すオファー曲線の作成が含まれる。オファー曲線は、通常、増分変動コスト曲線、平均変動コスト曲線、または可変の発電経費の別の適切な指標を含み、これは通常、メガワットの出力に対するメガワット時当たりのドルで表される。平均変動コスト曲線は、所与の点についての累積的な電力出力で除算した累積的なコストを表すことができ、増分変動コスト曲線は、電力出力の変化で除算したコストの変化を表すことができることが理解されよう。増分変動コスト曲線は、例えば、生成される電力に対する時間当たりのコストを表す、発電プラントの入力-出力曲線の一次導関数をとることによって、得ることができる。
【0014】
ほとんどの電力システムにおいて、一般に経済的給電と称される競争プロセスは、発電プラントの間で将来の運転期間にわたって電力グリッドのシステム負荷を分割するために使用される。このプロセスの一部として、発電プラントは周期的にオファー曲線を生成し、電力システム当局または給電指令所へオファー曲線を送る。このようなオファー曲線は、将来の市場期間にわたって電力システムが必要とする電気の一部を生成するための発電プラントからの入札を表す。給電指令当局は、そのシステムの中の発電プラントからオファー曲線を受け取り、それらのオファー曲線を評価し、システムの予測される負荷要件を最も効率的に満たすように各発電プラントを関与させるレベルを決定する。この際に、給電指令当局は、オファー曲線を分析し、システムにとっての最低発電コストを見出す目的で、各発電プラントが関連する期間にわたり関与することとなる限度を記述する、起動停止計画を作成する。
【0015】
図2を参照すると、複数の発電ユニットまたはプラントコンポーネント49を有する、例示的な火力発電プラント12の概略図が提供されている。図示されている発電プラント12は、火力発電プラントに共通の構成であり、したがって、本発明の例示的な実施形態を議論するために使用される。しかし、本発明は、
図2に示されているものよりも多くの発電ユニットを有する発電プラントに対して拡張可能であるだけでなく、任意のタイプの発電ユニットにより広く適用可能であり得ることを理解されたい。
図2の例示的な発電プラント12は、ガスタービンシステム30および蒸気タービンシステム50を含むいくつかのプラントコンポーネント49を有する、コンバインドサイクルプラントであることが理解されよう。発電は、例えばダクトファイアリングシステム52を有する、他のプラントコンポーネント49によって増強され得る。ガスタービンシステム30および蒸気タービンシステム50のそれぞれは、それぞれのプラントコンポーネント49に専用のセンサ46およびアクチュエータ47と電子的に通信する、コントロールシステム(または「コンポーネントコントローラ」)31を含むことが理解されよう。
図2の発電プラントはプラントコントローラ22を含み、プラントコントローラ22は、各コンポーネントコントローラ31に接続し、これらの接続を介して、いくつかのプラントコンポーネント49のセンサ46およびアクチュエータ47と通信し、所有者またはオペレータ39から受け取った命令に従って発電プラント12を制御する。以下でさらに議論されるように、発電プラント12および/またはオペレータ39は、サービス契約に関する「顧客」を表すことができ、サービスプロバイダ41は、この契約に従い、発電プラント12に対して運転および保守サービスを提供する。
【0016】
背景として、ガスタービンシステム30は、圧縮空気のストリーム中で燃料が燃焼することにより生成される高温ガスの加圧された流れから、エネルギーを抽出することによって動作する。ガスタービンシステム30は、共通のシャフトによって下流のタービンセクションまたはタービン36に結合された圧縮機32を含み、圧縮機32とタービンセクションまたはタービン36との間に燃焼器34が配置されている。動作の一例では、圧縮機32内のロータブレードの回転が、空気の流れを圧縮する。燃焼器34では、圧縮空気が燃料と混合されて点火されると、エネルギーが放出される。次いで、結果として生じる、燃焼器34からの高温ガスまたは「作動流体」の流れは、タービン36内のロータブレード上に導かれ、これによりシャフトが回転する。このようにして、作動流体の流れのエネルギーは、回転シャフトの機械的エネルギーに変換され、その後、例えば、発電機44のコイルを駆動して電気を発生させるのに使用され得る。そして、生成された電気は、送電線14を介して電力システム10に送達され得る。
【0017】
図示されているように、蒸気タービンシステム50は、その制御専用のコンポーネントコントローラ31に加えて、蒸気タービン53とダクトファイアリングシステム52とを含む。一般に、蒸気タービンシステム50は、ガスタービンからの排気ガス55の熱を使用して蒸気を生成し、次いで蒸気タービン53を通してその蒸気を膨張させる。認識されることとなるように、ダクトファイアリングシステム52は、より多くの蒸気を生成するために、排気流55に追加のエネルギーを供給し、それによって蒸気タービンシステム50の発電容量を増加させるために使用され得る。蒸気タービン53内で、蒸気流のエネルギーは回転シャフトの機械的エネルギーに変換された後、発電機44を駆動して電気を生成するために使用され得る。そして、生成された電気は、送電線14を介して電力システム10に送達される。特に、蒸気タービンシステム50のコンポーネントコントローラ31は、ダクトファイアリングシステム52内で燃焼される燃料の流量を設定することができる。蒸気タービンシステム50のコンポーネントコントローラ31は、その動作に関するデータを送信することができ、どのように動作すべきかについての命令を蒸気タービンシステム50から受信することができる。
【0018】
図2の例示的なコンバインドサイクル発電プラント等の近代的な発電プラントは、高レベルの可用性、信頼性、および性能を達成し、それにより所有者およびオペレータに、高い営業収益、低燃費、および強化された給電における競争力をもたらすことが望ましい。発電プラントの可用性は、堅牢な保守プログラムによって個人資産の信頼性を高めることと、遠隔での効率監視および適時の是正措置を通じて、性能の低下を回復することとによって、向上させることができる。
【0019】
長期的なサービス契約、即ち「CSA」を利用して、このような発電プラントを所有する発電事業者(本明細書では「顧客」と呼ぶことがある)は、機器メーカーや他のサービス会社(本明細書では「サービスプロバイダ」と呼ぶことがある)に運転および保守を委託することが多い。このアプローチは、収益性を向上させ、ならびに/または運転および保守に関連するリスクを減少させるために使用され得る。通常、CSAは、可用性、信頼性、保守コスト、電力出力、発熱率等を含む一定の保証を、例えば1年以上の長期間にわたり、顧客に提供する。このようなサービス契約の条件は、プラントの性能に関する保証、ならびにプラントの停止および他の故障に関する保証に加えて、特定の定期および緊急保守手順ならびにその頻度等、様々であり得る。本発明は、CSAの変動価格設定構造に関するシステムおよび方法、ならびにそのような変動価格設定構成の効率的な監視および実行に関するシステムおよび方法を含む。認識されることとなるように、本発明の変動価格設定構造は、請求とハードウェアの寿命消費とがより公平になるように同等にし、それによって、顧客の経済的利益とサービスプロバイダの経済的利益とをより緊密に整合させるために使用され得る。このようにして、両当事者にとって経済的に不利益となる、入札プロセスにおける非効率性を回避することができる。
【0020】
さらに、CSAは、サービスプロバイダの技術知識、遠隔監視および診断ツール、ならびに現場サービス、部品、および修理に関するフリートマネジメントでの豊富な経験を、効率的に統合するために使用され得る。このようにしてCSAは、顧客の資産を保護し、動作の生産性を最大化し、コストを最小化することができる。これらの契約は通常、サービスプロバイダによって保証される一定のユニット性能要件を、例えばボーナスおよび精算された損害賠償額等の貨幣化されたインセンティブプログラムによって規定する。遠隔でのプラント性能のリアルタイム監視と現場での定期的な資産性能試験とはいずれも、プラントおよびユニット性能の最適化への系統的なアプローチを可能にするのに役立つ。
【0021】
CSAには様々なタイプがあり、そのような契約が構成され得る方法も様々だが、いくつかの用語はほとんどの契約に共通しており、以下に示すように言及される。したがって、本明細書で使用されているように、CSAの「機器」は、契約内で契約の対象であると定義されている、発電プラントのエンジン、システム、サブシステム、ハードウェア、コンポーネント、および/または部品である。「機器」は、例えば、いくつかのガスタービンまたは蒸気タービン、およびサブシステム、ならびにそれらに関連するサブコンポーネントまたは部品を含み得る。さらに、CSAは通常、支払計画または支払ファクタリング機構を含み、これにより、定義された請求または使用期間内に機器の使用(ならびにその使用に関する保守およびサービスコスト)についてサービスプロバイダに支払い可能な金額が計算される。認識されることとなるように、支払計画またはファクタリング機構は通常、サービスプロバイダへの支払いを、契約の対象となる機器が、所定の時間枠内、即ち本明細書で言うところの「使用期間」内に、仕様によって「消費される」割合に基づいて定義し計画するための、当事者による試みを表す。いくつかの契約によると、例えば隔週、毎月等のように定義され得る各請求または使用期間の終了時に一定額がサービスプロバイダに支払われる支払計画が使用される。認識されることとなるように、このタイプのアプローチの下では、契約の当事者は、基本的に、契約期間中の各請求または使用期間における対象機器の消費率が一定であることを想定している。即ち、機器の消費率は日によって、週によって、または月によって変化しないことが想定されている。このような場合、サービスプロバイダに支払われるべき金額は、使用期間中の機器の使用方法とは無関係である。
【0022】
ほとんどの契約には、定額ではなく、時間ベースのファクタリング機構に従って変動する支払計画が含まれており、そのようなファクタリング機構は、サービスプロバイダに支払われるべき金額を、定義された使用期間中に機器が使用された時間数に基づいて決定するために使用される。従来のサービス契約は一般に、そのようなファクタリング機構の使用により、機器が「稼動(fired)」または使用された時間のカウントに基づいて、機器が使用期間中にどれくらい「消費された」かを定量化する。そして、この時間ベースの消費率は、その使用期間中にサービスプロバイダに支払われるべき金額に結びつけられる。例えば、いわゆる「ファクタ稼動時間」や「等価運転時間」等の従来のファクタリング機構は、本質的に、使用期間中に対象機器が動作しているか、または運転されている時間数をカウントし、その後、累積時間数を使用して、機器がどれくらい消費されたかを計算する。
【0023】
認識されることとなるように、このように使用時間をカウントするだけで、その使用時間中に機器によって生成される電力出力や負荷レベルに関係なく、機器の消費率が推定される。したがって、このタイプのアプローチでは、MWh毎に発電するための部分負荷生成レベルがより高価になるという結果になる。実際、部分負荷が発電ユニットの全負荷レベルよりも低くなるにつれて、発電コストはMWh毎にますます高価になる。このように部分負荷の保守およびサービスコストがますます高価になっていることが、給電プロセス中にプラントオペレータによって提出された入札に反映されるため、発電プラントは多くの場合、高価すぎて部分負荷を生成する多くの機会を逃している。このため、このように時間を「カウント」する従来のCSAは、契約期間中の不公平をもたらすだけでなく、部分負荷を生成する機会も減少させる。これは特に、部分負荷生成状態に関連する保守およびサービスコストを実際に増加させるために、顧客に対して部分負荷運転の時間をどのようにカウントするかに関して、特に当てはまる。意義深いことに、これにより、プラントの運転および入札業務が非効率的になり、このことは、顧客だけでなく、以下に示すように、サービスプロバイダの長期的な利益にとっても経済的に不利益になる。
【0024】
従来のCSAは一般に、対象ハードウェアの全負荷での設計寿命までの動作時間のカウントに基づいているが、本発明は、対象エンジンによって生成されている電力の出力負荷またはレベルに基づくサービス契約内の変動価格設定に関連するシステムおよび方法を説明する。本発明の契約または価格設定システムおよび方法、ならびにこれに関連するハードウェア(これらをまとめて、本明細書では単に「価格設定方法」または「価格設定システム」と呼ぶことがある)は、プラント、より具体的には、発電ユニットの発電または出力レベルに基づき、CSA内の保守およびサービス価格設定を、全負荷での設計寿命の消費に対してより公平にするように設計される。これは、段階的なアプローチ等により請求レートを変動にし、この変動性に基づいて、例えばメガワット時で測定することができる発電または出力レベルとの直接的な関係に従って行われる。これにより、保守およびサービスに関連する費用の請求が、市場または給電の入札業務およびレート基準の原価計算とより整合するようになることが理解されるであろう。
【0025】
例えば、既に説明したように、競合する給電システム内において、運転の限界費用は、一般に、所与の発電期間中に電力市場の需要を満たすために、どの発電プラントまたは発電ユニットが選択されるかを優先する。保守およびサービスの限界費用を、従来のサービス契約の場合のようにこれらのコストを実際にMWh毎に増加させるのではなく、部分負荷レベルで削減することによって、本発明の価格設定方法およびシステムは、発電プラントの運用者に、給電の入札プロセスにおける市場インセンティブをもたらす。より具体的には、本発明は、運転の限界費用に基づく現在の給電業務の範囲内で、発電プラントまたは発電ユニットが給電される日数を増加させるとともに、これらの日数の中で、発電プラントまたは発電ユニットをより早くオンラインにし、部分負荷状態でより長くオンラインにしておくことを可能にするような経済状態を推進する。これらのオンラインユニットは、予想外の急増した需要を満たすためにすぐに利用可能であるため、特に部分負荷容量において、発電プラントまたは発電ユニットがオンラインであり利用可能であることは、収益の大きな推進力となり得ることを理解されたい。このように、CSA契約の顧客である発電プラントの所有者またはオペレータは、発電時間を増加させ、ユニットの可用性を向上させることによって、プラントの収益を大幅に増加させ得る。短期的に見ると、従来の時間カウントアプローチではなく、出力レベルに基づく場合には、サービスプロバイダに支払われるべき変動支払額が少なくなり得るとしても、サービスプロバイダもこの仕組みの恩恵を受ける。これは、部分負荷状態が予期しない需要の増加により全負荷の機会となる場合を含み、現在の価格設定システムおよび方法が、CSAの期間中に発電プラントの発電時間を増大させることに起因する。さらに、本発明は、変動請求の枠組み内で、変動価格設定構造のもとで顧客が利用可能な部分負荷生成の頻度または量を制限するために使用することができる、サービスプロバイダに対する特定の保護手段を含むことができる。
【0026】
ここで
図3を参照すると、本発明の例示的な実施形態である方法60が示されている。方法60は、サービス契約の一部であり得る、変動価格設定に関連する。
図6に関連してさらに議論されるように、当業者であれば理解できるように、本方法60は、コンピュータまたはコンピューティングシステム、ネットワーク化されたデバイス、センサ、および他のハードウェアによって実施され得る。既に説明したように、サービス契約、即ちCSAは、顧客とサービスプロバイダとの間の契約であり、サービスプロバイダが、合意された料金で1つまたは複数の発電ユニットに対する保守サービスを提供する。例えば、そのような発電ユニットは、1つまたは複数のガスタービン、蒸気タービン、またはコンバインドサイクル発電プラント等の火力発電ユニットを含み得る。特に限定されない限り、本発明は、測定可能な出力を生成し、契約上のサービスの手配が可能な保守およびサービスの態様を有するもの等の、任意のタイプの発電ユニットに適用可能であり得る。したがって、これらの他のタイプの発電ユニットは、太陽光、風力、および水力発電ユニット等の再生可能エネルギー発電ユニット、ならびに往復運動、原子力発電ユニット、電力貯蔵または電池対応発電ユニット、燃料電池発電ユニット等を含む、任意のタイプの内燃機関を有する発電ユニットを含み得るが、これらに限定されるものではない。このような発電ユニットは、出力を生成するための発電機に動作可能に接続され得る。本明細書で使用されているように、発電ユニットの「出力」とは、発電ユニットが接続されている発電機によって生成され、例えばメガワットで測定することができる、電気または出力であると定義される。本方法60は、明快かつ簡潔にするために、単一の火力発電ユニットに関して説明されるが、本発明は、既に記載したように、そのような発電ユニットまたは発電プラント、ならびに他のタイプの発電ユニットをさらに含むように拡大することができることを理解されたい。
【0027】
本発明の例示的な実施形態によれば、方法60は、ステップ62から開始することができる。ステップ62では、所与の使用期間についての火力発電ユニットの出力レベルが決定される。本明細書で使用されているように、使用期間とは、特定の期間およびその期間内で生じる火力発電ユニットの動作を指すことを意図している。使用期間の時間枠は、CSAの当事者によって、例えば短い市場サイクルを反映するように定義され得る。あるいは、使用期間は、契約の過程で定義される通常の請求期間のような、より長い期間として定義され得る。したがって、ステップ62において、火力発電ユニットのための予め定義された使用期間が決定される。ステップ62は、使用期間の開始時間と終了時間とを決定することを含み得る。これは、例えば、そのような使用期間に関連する実装コンピュータシステムのメモリ内に保存されたデータをリコールすることによって達成され得る。
【0028】
また、本方法は、ステップ62の一部として、使用期間にわたって火力発電ユニットの出力を監視することと、その監視結果から、使用期間中の火力発電ユニットの適切な出力レベルを指定することとを含み得る。このような監視は、例えば、所与の使用期間中に、火力発電ユニットの出力に対する1つまたは複数の測定値を受信することを含み得る。このような測定値は、遠隔センサによって取得され、ネットワーク接続を介して受信され得る。各出力に対する1つまたは複数の測定値は、火力発電ユニットに取り付けられた発電機によって生成されるメガワットの指標を含み得る。火力発電ユニットの出力を監視するステップは、発電機の出力を測定するセンサを提供することと、発電機の出力を定期的に測定するようにセンサを設定することとを含み得る。次に、センサによって取得された測定値を用いて、火力発電ユニットに適用可能な使用期間中の適切な出力レベルが決定され得る。そのような測定のためのセンサは、例えば発電機の出力ラグの間や、発電プラントを地方の電力グリッドに接続する相互接続部または関連するサブステーションを含む、電気回路のある点に配置され得る。
【0029】
次に、ステップ64において、本方法60は、使用期間中の火力発電ユニットの動作に対してサービスプロバイダに支払い可能な料金または支払われるべき料金を計算することを含み得る。例示的な実施形態によれば、この料金は変動価格設定プランに従って計算される。変動価格設定プランは、火力発電ユニットの出力レベルに応じて変動する料金を計算するための価格を含む。一般に、本発明の変動価格設定プランは、価格と出力レベルとの間の直接的な関係を含む。即ち、出力レベルが増加すると、価格(およびその価格から計算された保守およびサービス料金)は一般的に上昇し、出力レベルが減少すると、価格(およびその価格から計算された保守およびサービス料金)は一般的に減少する。好ましい実施形態によれば、本発明の変動価格設定プランは、複数の価格設定段階を有する段階的なプランを含み、各価格設定段階が出力レベルの範囲をカバーしている。したがって、これらの各価格設定段階は、(保守およびサービス料金の計算に使用される)特定の価格、およびその特定の価格が適用される出力レベルの範囲によって定義されることを理解されたい。複数の価格設定段階の出力レベルの範囲は、スペクトルにわたって逐次的で、重複せず、連続的であってもよく、スペクトルは、低負荷または部分負荷状態と、過稼動(over-fire)、ピーク稼動(peak-fire)、または、本明細書で使用されているように、全負荷状態を超える状態(即ち、火力発電ユニットの定格負荷または全負荷よりも高い出力)とを含む。複数の価格設定段階の相対的な価格設定は、出力レベルと価格との間の直接的な関係に応じて異なり得る。したがって、例えば、複数の価格設定段階は、部分負荷状態ではより低い価格、全負荷状態では中間価格、および全負荷状態を超える状態ではより高い価格を含み得る。本発明の価格設定段階は、発電ユニットによって達成可能な任意の出力レベルをカバーするように構成され得ることを理解されたい。さらに、新しい技術が、例えば、夜間運転時のターンダウンレベルを低下させたり、全負荷を超える負荷での運転時のターンダウンレベルを上昇させたりして、所与の発電ユニットについて達成可能な出力レベルの範囲を拡大するに伴い、本発明の価格設定段階は、それらのレベルを含むように調整され得る。
【0030】
簡単な例として、複数の価格設定段階は、第1の価格設定段階および第2の価格設定段階を含むことができ、第1の価格設定段階に含まれる出力レベルの範囲は、第2の価格設定段階に含まれる出力レベルの範囲よりも低い。このような場合、出力レベルと保守およびサービス料金の価格との間の直接的な関係により、第1の価格設定段階の価格は第2の価格設定段階の価格よりも低い。したがって、本方法の例示的な運転によれば、変動価格設定プラン毎に料金を計算するステップにより、第1の価格設定段階の価格が適用可能であるという決定がなされる(即ち、使用期間の出力レベルが第1の価格設定段階によってカバーされる出力レベルの範囲内に入るため)。この場合、第1の価格設定段階に関連付けられた価格は、使用期間中の料金を計算するために使用され、その後サービスプロバイダに支払い可能となる。あるいは、運転の代替的な例によれば、変動価格設定プラン毎に料金を計算するステップにより、第2の価格設定段階の価格が適用可能であるという決定がなされる(即ち、使用期間の出力レベルが第2の価格設定段階によってカバーされる出力レベルの範囲内に入るため)。この場合、第2の価格設定段階に関連付けられた価格は、使用期間中の料金を計算するために使用され、その後サービスプロバイダに支払い可能となる。より多くの、例えば好ましくは3~8の価格設定段階を含み得ることを理解されたい。
【0031】
既に述べたように、本発明の1つまたは複数の価格設定段階は、火力発電ユニットの部分負荷状態を表す出力レベルをカバーすることができる。出力レベルと変動価格設定プランの価格との間に直接的な関係があるとすると、そのような部分負荷状態は、顧客にとっての部分負荷運転の保守およびサービスコストの削減につながる。もちろん、これにより、部分負荷レベルでの発電に対する顧客の給電入札がより競争力のあるものとなり、顧客の発電プラントが部分負荷状態でより頻繁に運転する可能性が高まる。意図したように、この結果は、顧客の発電プラントとサービスプロバイダとの両方にとって有利であり得る。しかし、顧客がCSAの期間中にほぼ部分負荷状態でのみ発電することを選択した場合、サービスプロバイダは不利な経済的結果にさらされるおそれがあることを理解されたい。したがって、サービスプロバイダにとっては、変動価格設定プランのもとで、対象の火力発電ユニットの部分負荷レベルでの動作を許可する時間を制限し、それらのレベルに相当する削減された保守およびサービス料金を受け取ることが望ましい可能性がある。したがって、ステップ66に表されるように、本方法60は、所与の時間枠にわたって顧客が利用可能な部分負荷生成量を制限する機能を含み得る。
【0032】
この上限設定がどのように行われるかを説明するために、これまで使用されてきたように、「使用期間」の用語が一般的に、現在の使用期間を指すことを理解されたい。本明細書で使用されているように、現在の使用期間よりも前に発生した使用期間を「以前の使用期間」と呼ぶ。このように理解した上で、本発明は、ステップ66で、関連するまたは所定の時間枠内に、既に部分負荷運転の最大量を超えたかどうかを判定することを含む。この判定は、所与の時間枠内に、関連する以前の使用期間中に火力発電ユニットが動作した様子を示す、1つまたは複数の保存された記録を参照することによってなされ得る。したがって、本方法は、それらの以前の使用期間中に火力発電ユニットが部分負荷状態で動作した累積時間を計算することを含み得る。この計算は、それらの以前の使用期間のユニットの出力レベルをリコールし、これらの出力レベルのうち、部分負荷状態を表す出力レベルを決定し、その後、部分負荷状態を表すレベルを合わせて、合計を算出することによって行われ得る。本方法は、部分負荷運転の累積時間が決定されると、CSA内で定義され得る所定の閾値または最大値を超えるかどうかを判定することを含み得る。
【0033】
本方法60の一部として、累積部分負荷運転が所定の閾値を超えたかどうかに基づき、部分負荷価格設定段階の価格に条件付きで割増料金を追加することができる。より具体的には、累積部分負荷運転が所定の閾値を超えることが判明した場合、現在の使用期間の部分負荷価格設定段階の価格に割増料金を追加または査定することができる。一方、累積部分負荷運転が所定の閾値を超えないことが判明した場合、割増料金は査定されない。好ましい実施形態によれば、割増料金の額は、価格を引き上げて、全負荷運転に対応する価格設定段階の価格と等しくなるようにすることができる。即ち、割増料金の額は、割増料金に部分負荷価格設定段階の価格を加えたものが、火力発電ユニットの全負荷出力レベルに対応する価格設定段階の価格と等しくなるようにすることができる。現在の使用期間の出力レベルが、全負荷状態である、または全負荷状態を超える状態であることが判明した場合(即ち、部分負荷状態ではないことが判明した場合)、方法60はステップ66をスキップし、直接ステップ68に進むことができることを理解されたい。
【0034】
方法60はステップ68および69で終了してもよく、顧客は計算された料金(ステップ68)または計算された料金に割増料金を加えた料金(ステップ69)に従って請求される。例示的な実施形態によれば、顧客に料金を請求するステップは、コンピュータによって、計算された保守およびサービス料金、ならびに計算された料金が適用される使用期間を含む、電子通知を生成することを含み得る。方法はさらに、電子通知を顧客に電子的に送信することを含み得る。
【0035】
ここで
図4を参照すると、従来の価格設定72を本発明の段階的な価格設定74の例と比較する例示的なプロット70が示されている。図示されるように、従来の価格設定72では、発電ユニットの出力(メガワットでx軸上に表される)が減少するにつれて、コスト即ち「価格」保守およびサービス($/メガワット時でY軸上に表される)が増加する。これに対し、本発明の段階的な価格設定74は4つの別々の段階を含んでおり、これにより、実際にはCSAのもとでの保守およびサービスの価格は、MWでハイエンドの出力レベルの範囲をカバーする高レベル76からローエンドの出力レベルの範囲をカバーする低レベル77に「段階的に下がる」。このように、保守およびサービスの限界費用を削減することによって、本発明の価格設定方法およびシステムは、これらのコストを従来の価格設定の場合のように実際にMWh毎に増加させるのではなく、部分負荷生成状態での保守およびサービスの限界費用を削減する。
【0036】
図5の例示的なプロット80に示されるように、本発明の価格設定方法およびシステムは、長期的に発電ユニットに給電される運転時間数に大きな影響を与える、入札プロセスにおける競争優位性をもたらすことができる。図示されるように、年間運転時間の合計は、過去の給電業務および結果に基づく給電モデルに従って、予測されている。具体的には、年間運転時間の合計は、1)入札が、従来の価格設定方式(
図4の価格設定72に示されているもの等)による保守およびサービスコストを組み込む、第1のケース82、および2)入札が本発明の変動価格設定を含む、第2のケース84(
図4の段階的な価格設定74等)について予測される。図示されるように、予測された年間運転時間の合計は、第1の「従来の価格設定の」ケース82から第2の「出力毎に価格が変動する」ケース84へと劇的に増加する。既に議論したように、この結果は、現在の給電業務が運転の限界費用に基づいており、本発明の変動価格設定がこれらの給電業務とより良く整合していることに起因する。したがって、発電プラントまたは発電ユニットが給電される日数が劇的に増加するとともに、その日数の中で、発電プラントまたは発電ユニットは、これらの部分負荷状態において、より早くオンラインになり、より長くオンラインであることが可能となる。また、このようにオンラインであり利用可能であることは、このような利用可能なユニットが予期しない需要の急増を満たすために使用されるため、追加の収益につながる可能性がある。このように、発電プラントの所有者またはオペレータは、収益を大幅に増加させ得る。また、長期的には、運転時間の大幅な増加、ならびにそれに伴う保守およびサービスの必要性の増加により、サービスプロバイダも恩恵を受ける。即ち、運転時間が長くなるほど、顧客とサービスプロバイダとの両方により多くの収益がもたらされる。
【0037】
図6は、本発明の様々な実施形態に従って本明細書で論じられる方法のうちの任意の1つまたは複数を実行するための例示的なコンピュータシステム100を示す概略図を示す。より具体的には、コンピュータシステム100の要素を使用して、サービス契約に関連する価格設定システムおよび方法を実施することができる。コンピュータシステム100は、プログラムドロジック120(例えばソフトウェア)およびデータ130を格納する、メモリ110を含み得る。メモリ110はまた、オペレーティングシステム140を含むことができる。プロセッサ150は、オペレーティングシステム140を利用して、プログラムドロジック120を実行することができ、その際に、データ130を利用することもできる。データバス160は、メモリ110とプロセッサ150との間の通信を提供することができる。ユーザは、キーボード、マウス、タッチスクリーン、ジェスチャ制御デバイス、ウェアラブルコンピュータ、制御パネル、またはコンピュータシステム100との間でデータを通信することができる任意の他のデバイス等の、少なくとも1つのユーザ・インターフェース・デバイス170を介して、コンピュータシステム100とインターフェースすることができる。コンピュータシステム100は、動作中に、センサまたはそのようなセンサから記録されたデータを含む顧客機器およびその関連デバイスと、オンラインで通信することができ、また、動作していない間に、入出力(I/O)インターフェース180を介して、顧客機器およびその関連デバイスと、オフラインで通信することができる。より具体的には、本明細書で提供されているように、コンピュータシステム100は、顧客機器および/またはその関連デバイスの特定のデバイスにコマンド信号を提供するために、モデルベースの命令を実行することができるが、これに限定されるものではない。コンピュータシステム100およびそれによって実現されるプログラムドロジック120は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。コンピュータシステム100において複数のコントローラまたはプロセッサを使用することができ、それによって本明細書で説明した異なる特徴を1つまたは複数の異なるコントローラまたはプロセッサで実行できることもまた理解されたい。
【0038】
したがって、本明細書に記載の実施形態は、サービス契約に関連する変動価格設定または請求業務のためのシステムおよび方法を容易にする。例示的な実施形態によるシステム、方法、装置、およびコンピュータプログラム製品のブロック図が参照される。ブロック図のブロックのうちの少なくともいくつか、およびブロック図のブロックの組み合わせはそれぞれ、コンピュータプログラム命令によって少なくとも部分的に実施できることが理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、専用ハードウェアベースのコンピュータ、またはマシンを生成するための他のプログラム可能なデータ処理装置にロードすることができ、そのようにして、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置上で実行される命令が、ブロック図のブロックのうちの少なくともいくつか、または説明したブロック図のブロックの組み合わせの機能を実現するための手段を生成する。本明細書で述べられたこれらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置を特定の方法で機能するように命令することができるコンピュータ可読メモリに格納することもでき、そのようにして、コンピュータ可読メモリに格納された命令が1つまたは複数のブロックで指定される機能を実現する命令手段を含む製品を生産する。コンピュータプログラム命令は、一連の動作ステップをコンピュータまたは他のプログラム可能な装置で実行させてコンピュータ実行処理を生成するために、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置にロードすることもでき、そのようにして、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置で実行する命令が1つまたは複数のブロックで指定される機能を実現するためのステップを提供する。本明細書に記載した、システムの1つまたは複数の構成要素および方法の1つまたは複数の要素は、コンピュータのオペレーティングシステム上で動作するアプリケーションプログラムにより実現することができる。それらはまた、ハンドヘルドデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのまたはプログラム可能な民生用電子機器、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ等を含む他のコンピュータシステム構成で実施されることができる。
【0039】
当業者には認識されることとなるように、いくつかの例示的な実施形態に関して上述した多くの様々な特徴および構成は、本発明の他の可能な実施形態を形成するためにさらに選択的に適用することができる。簡潔にするため、および当業者の能力を考慮に入れるために、可能な繰り返しの全てについては詳細に提示または説明しないが、以下のまたはそれ以外のいくつかの請求項に包含される全ての組み合わせおよび可能な実施形態は本願の一部であることが意図されている。さらに、本発明のいくつかの例示的な実施形態の上記の説明から、当業者は、改良、変更、および変形を認識するであろう。また当業者の範囲内のこのような改良、変更、および変形は、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図している。さらに、前述の記載は本願の記載された実施形態のみに関係しており、以下の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される本願の趣旨および範囲から逸脱することなく、多くの変更および変形が可能であることは明らかである。
[実施態様1]
サービス契約(「CSA」)に基づく価格設定に関するコンピュータ実施方法であって、前記CSAは、顧客とサービスプロバイダ(41)との間の契約からなり、前記サービスプロバイダ(41)は有料で発電ユニット(49)に対する保守サービスを提供し、前記発電ユニット(49)の出力は前記発電ユニット(49)が運転可能に接続される発電機(44)によって生成され、
前記方法は、
前記発電ユニット(49)の使用期間を決定することと、
前記使用期間中に前記発電ユニット(49)の出力を監視し、そこから前記使用期間中の前記発電ユニット(49)の出力レベルを指定することと、
変動価格設定プランに従って前記使用期間中の料金を計算することとであって、前記変動価格設定プランは、前記使用期間中の前記発電ユニット(49)の前記指定された出力レベルに応じて変動する前記料金を計算するための価格を含む、計算することと、
前記計算した料金を前記顧客に請求することと
を含む、方法。
[実施態様2]
前記変動価格設定プランは、前記価格と前記出力レベルとの間の直接的な関係を含み、
前記発電ユニット(49)は、ガスタービン、蒸気タービン、およびガスタービンと蒸気タービンとの両方を含むコンバインドサイクル発電プラントのうちの少なくとも1つを備える、
実施態様1に記載の方法。
[実施態様3]
前記変動価格設定プランは、複数の価格設定段階を有する段階的なプランを含み、
前記複数の価格設定段階のそれぞれは、
前記料金を計算するための価格、および
前記価格が適用される前記出力レベルの範囲
を含む、
実施態様1に記載の方法。
[実施態様4]
前記複数の価格設定段階の前記出力レベルの範囲は、前記発電ユニット(49)の潜在的な出力レベルのスペクトルにわたって逐次的で、連続的で、重複せず、
前記複数の価格設定段階の前記価格は、前記出力レベルと前記価格との間の直接的な関係に従って変化する、
実施態様3に記載の方法。
[実施態様5]
前記複数の価格設定段階は、少なくとも第1の価格設定段階と第2の価格設定段階とを含み、
前記第1の価格設定段階に含まれる出力レベルの範囲は、前記第2の価格設定段階に含まれる出力レベルの範囲よりも低く、
前記第1の価格設定段階の価格は、前記第2の価格設定段階の価格よりも低い、
実施態様4に記載の方法。
[実施態様6]
前記変動価格設定プランに従って前記使用期間の前記料金を計算する前記ステップは、
前記使用期間の前記出力レベルが前記第1の価格設定段階によってカバーされる出力レベルの範囲内に入ると判定されるため、前記段階的な価格設定プランの前記第1の価格設定段階の価格が前記料金の計算に適用可能であると決定することと、
前記第1の価格設定段階の価格を使用して前記使用期間中の料金を計算することと
を含む、実施態様5に記載の方法。
[実施態様7]
前記変動価格設定プランに従って前記使用期間中の料金を計算する前記ステップは、
前記使用期間の前記出力レベルが前記第2の価格設定段階によってカバーされる出力レベルの範囲内に入ると判定されるため、前記段階的な価格設定プランの前記第2の価格設定段階の価格が前記料金の計算に適用可能であると決定することと、
前記第2の価格設定段階の価格を使用して前記使用期間中の料金を計算することと
を含む、実施態様5に記載の方法。
[実施態様8]
前記第1の価格設定段階の前記出力レベルは、前記発電ユニット(49)の部分負荷生成状態を含む、実施態様6に記載の方法。
[実施態様9]
前記使用期間は、現在の使用期間を含み、前記現在の使用期間の前に生じる使用期間は、以前の使用期間と称し、
前記方法はさらに、
1つまたは複数の前記以前の使用期間からの前記出力レベルに基づいて、前記発電ユニット(49)の前記出力レベルが前記第1の価格設定段階の前記部分負荷生成状態を含む累積時間を計算することと、
前記部品負荷生成状態の前記累積時間が所定の閾値を超えたか否かを判定することと、
前記累積時間が前記所定の閾値を超えるかどうかに応じて、前記現在の使用期間中の前記第1の価格設定段階の価格に対する割増料金を条件付きで査定することと
を含む、実施態様8に記載の方法。
[実施態様10]
前記累積時間が前記所定の閾値を超えるかどうかに応じて、前記現在の使用期間中の前記第1の価格設定段階の価格に対する前記割増料金を条件付きで査定する前記ステップは、
前記累積時間が前記所定の閾値を超えるときに、前記現在の使用期間中の前記第1の価格設定段階の価格に対する前記割増料金を査定することと、
前記累積時間が前記所定の閾値を超えないときに、前記現在の使用期間中の前記第1の価格設定段階の価格に対する前記割増料金を査定しないことと
を含む、実施態様9に記載の方法。
[実施態様11]
前記割増料金の額は、前記割増料金に前記第1の価格設定段階の価格を加えたものが、前記発電ユニット(49)の全負荷に対応する前記出力レベルを含む価格設定段階の前記価格と等しくなるようにされている、実施態様10に記載の方法。
[実施態様12]
前記計算した料金を前記顧客に請求する前記ステップは、
前記計算した料金、および前記計算した料金が適用される前記使用期間を含む、電子通知を生成することと、
前記電子通知を前記顧客に電子的に送信することと
を含む、実施態様5に記載の方法。
[実施態様13]
前記使用期間中に前記発電ユニット(49)の出力を監視して前記使用期間中の前記出力レベルを決定する前記ステップは、前記使用期間中に前記発電ユニット(49)の出力についての1つまたは複数の測定値を受信することを含み、
前記発電ユニット(49)の出力についての前記1つまたは複数の測定値は、それぞれ、前記発電機(44)によって生成されているメガワットの指標を含む、
実施態様5に記載の方法。
[実施態様14]
前記使用期間中の前記出力レベルを決定するために前記使用期間中に前記発電ユニット(49)の出力を監視する前記ステップは、
前記発電機(44)の出力を測定するためのセンサ(46)を設けることと、
前記使用期間中に前記発電機(44)の出力の測定値を前記センサ(46)を用いて取得することと、
前記センサ(46)によって取得された前記測定値を使用して、前記使用期間中の前記出力レベルを判定することと
を含む、実施態様5に記載の方法。
[実施態様15]
前記複数の価格設定段階は、少なくとも第1の価格設定段階、第2の価格設定段階、および第3の価格設定段階を含み、
前記発電ユニット(49)は、ガスタービン、蒸気タービン、およびガスタービンと蒸気タービンとの両方を含むコンバインドサイクル発電プラントの少なくとも1つを含む火力発電ユニット(49)を備え、
前記第1の価格設定段階に含まれる出力レベルの範囲は、前記発電ユニット(49)の部分負荷状態を含み、
前記第2の価格設定段階に含まれる出力レベルの範囲は、前記発電ユニット(49)の全負荷状態を含み、
前記第3の価格設定段階に含まれる出力レベルの範囲は、前記発電ユニット(49)の全負荷状態を超える状態を含む、
実施態様4に記載の方法。
[実施態様16]
サービス契約(「CSA」)に基づいて様々な変動価格設定を実施するためのシステムであって、前記CSAは、顧客とサービスプロバイダ(41)との間の契約からなり、前記サービスプロバイダ(41)は有料で発電ユニット(49)に対する保守サービスを提供し、前記発電ユニット(49)の出力は前記発電ユニット(49)が運転可能に接続される発電機(44)によって生成され、
前記システムは、
1つまたは複数のハードウェアプロセッサと、
機械可読記憶媒体であって、前記1つ以上のハードウェアプロセッサに、
前記発電ユニット(49)の使用期間を決定することと、
前記使用期間中に前記発電ユニット(49)の出力を監視し、そこから前記使用期間中の前記発電ユニット(49)の出力レベルを指定することと、
変動価格設定プランに従って、前記使用期間の料金を計算することであって、前記変動価格設定プランは、前記使用期間中の前記発電ユニット(49)の前記指定された出力レベルに応じて変動する前記料金を計算するための価格を含む、計算することと、
前記計算した料金を前記顧客に請求することと
を含む方法を実行させる命令を格納する、
機械可読記憶媒体と
を含む、システム。
[実施態様17]
前記発電機(44)の出力を測定するためのセンサ(46)をさらに備え、
前記方法はさらに、
前記使用期間中に前記発電機(44)の出力の測定値を前記センサ(46)を用いて取得することと、
前記センサ(46)によって取得された前記測定値を使用して、前記使用期間中の前記出力レベルを判定することと
を含む、実施態様16に記載のシステム。
[実施態様18]
前記変動価格設定プランは、前記価格と前記出力レベルとの間の直接的な関係を含み、
前記発電ユニット(49)は、ガスタービン、蒸気タービン、ガスタービンと蒸気タービンとの両方を含むコンバインドサイクル発電プラント、太陽光発電ユニット、風力タービン、水力発電ユニット、往復動内燃機関のうちの少なくとも1つを備える、
実施態様17に記載のシステム。
[実施態様19]
前記変動価格設定プランは、複数の価格設定段階を有する段階的なプランを含み、
前記複数の価格設定段階のそれぞれは、
前記料金を計算するための価格、および
前記価格が適用される前記出力レベルの範囲
を含む、実施態様18に記載のシステム。
[実施態様20]
前記複数の価格設定段階の前記出力レベルの範囲は、前記発電ユニット(49)の潜在的な出力レベルのスペクトルにわたって逐次的で、連続的で、重複せず、
前記複数の価格設定段階の前記価格は、前記出力レベルと前記価格との間の直接的な関係に従って変化し、
前記センサ(46)は、前記発電機(44)の出力ラグと、前記発電機(44)を電力グリッドに接続する接続部との間に配置される、
実施態様19に記載のシステム。
【符号の説明】
【0040】
10 電力システム
12 発電プラント、火力発電プラント
14 送電線
16 負荷
20 通信ネットワーク
22 プラントコントローラ
23 負荷コントローラ
24 給電指令当局
25 電力システムコントローラ
26 データリソース
30 ガスタービンシステム
31 コンポーネントコントローラ
32 圧縮機
34 燃焼器
36 タービン
39 オペレータ
41 サービスプロバイダ
44 発電機
46 センサ
47 アクチュエータ
49 発電ユニット、プラントコンポーネント
50 蒸気タービンシステム
52 ダクトファイアリングシステム
53 蒸気タービン
55 排気流、排気ガス
62 ステップ
64 ステップ
66 ステップ
68 ステップ
69 ステップ
70 プロット
72 価格設定
74 価格設定
76 高レベル
77 低レベル
80 プロット
82 第1のケース
84 第2のケース
100 コンピュータシステム
110 メモリ
120 プログラムドロジック
130 データ
140 オペレーティングシステム
150 プロセッサ
160 データバス
170 デバイス
180 インターフェース