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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】組電池に用いられる端子
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/296 20210101AFI20230904BHJP
   H01R 4/38 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
H01M50/296
H01R4/38 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019051137
(22)【出願日】2019-03-19
(65)【公開番号】P2020155263
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 忠
(72)【発明者】
【氏名】江副 知憲
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠二
(72)【発明者】
【氏名】相川 真哉
(72)【発明者】
【氏名】小川 隆也
【審査官】森 透
(56)【参考文献】
【文献】特許第4670958(JP,B2)
【文献】特開2005-203178(JP,A)
【文献】特開2017-195056(JP,A)
【文献】国際公開第2014/020731(WO,A1)
【文献】特開2014-179197(JP,A)
【文献】特開2011-060556(JP,A)
【文献】特開2013-197015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/20-50/298
H01R 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に収納される被収納物に接続される接続部と、
前記筐体の外に配置され、前記筐体の外面から離れる方向に延びる有底筒状の形状、及び前記筐体の外面から離れる方向に突出し、孔を有する形状の少なくとも一方を有し、前記接続部に電気的に接続される導電部と、
を備え、
前記導電部は、有底筒状に構成され、内部にキャップ部材が設けられ、
前記導電部は、前記導電部を介して前記筐体に加えられて前記筐体に変形または破壊を生じさせる荷重よりも小さい荷重で座屈変形を生じ
前記キャップ部材は、前記導電部を介して前記筐体に加えられて前記筐体に破壊を生じさせる荷重よりも小さい荷重で座屈変形を生じる、組電池に用いられる端子。
【請求項2】
記導電部の内面は、溝を有する、請求項1に記載の端子。
【請求項3】
前記溝は、前記導電部の先端面側から前記接続部側へ延びる螺旋状に構成される、請求項2に記載の端子。
【請求項4】
前記溝は、前記導電部の先端面側から前記接続部側へ延びる直線状に構成される、請求項2に記載の端子。
【請求項5】
前記筐体に固定される固定部を備える、請求項1に記載の端子。
【請求項6】
前記接続部及び前記導電部は、一体化されている、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、組電池に用いられる端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電池を筐体に収納する構成を有する組電池が知られている。この種の組電池では、筐体に、外部装置に電気的に接続する為の端子が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6324480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、外部からの荷重に起因する筐体内への移動量を低減できる、組電池に用いられる端子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る組電池に用いられる端子は、筐体に収納される被収納物に接続される接続部と、前記筐体の外に配置され、前記筐体の外面から離れる方向に延びる有底筒状の形状、及び前記筐体の外面から離れる方向に突出し、孔を有する形状の少なくとも一方を有し、前記接続部に電気的に接続される導電部と、を備える。導電部は、有底筒状に構成され、内部にキャップ部材が設けられる。導電部は、導電部を介して筐体に加えられて筐体に変形または破壊を生じさせる荷重よりも小さい荷重で座屈変形を生じる。キャップ部材は、導電部を介して筐体に加えられて筐体に破壊を生じさせる荷重よりも小さい荷重で座屈変形を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態に係る組電池の構成を示す斜視図である。
図2】同組電池の要部の構成を示す断面図である。
図3】同組電池に用いられる正極端子の変形例の構成を一部切り欠いて示す側面図である。
図4】同組電池に用いられる正極端子の別の変形例の構成を一部切り欠いて示す側面図である。
図5】第2の実施形態に係る組電池に用いられる正極端子の構成を一部切り欠いて示す側面図である。
図6】同正極端子の変形例の構成を一部切り欠いて示す側面図である。
図7】第2の実施形態に係る組電池に用いられる正極端子の別の変形例の構成を一部切り欠いて示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態に係る組電池10を、図1及び図2を用いて説明する。図1は、組電池10の構成を示す斜視図である。図2は、組電池10の要部の構成を示す断面図であり、具体的には、正極端子40及び正極端子40の近傍の構成を示す断面図である。
【0008】
図1及び図2に示すように、組電池10は、筐体20と、複数の単電池31を含み、筐体20内に収納される被収納物30と、正極端子40と、負極端子60と、を備えている。なお、図2では、正極端子40の一部、及び筐体20は、切断した状態が示され、被収納物30は、切断されていない状態が示されている。
【0009】
筐体20は、被収納物30を収納可能に構成される。筐体20は、一例として、胴部21と、胴部21の下端を閉塞する底壁部22と、胴部21の上端を閉塞する上壁部23と、を備えている。胴部21は、例えば、矩形の筒状に構成される。このように構成される筐体20は、内部に被収納物30を収納可能な構成として、例えば、上下2分割可能に形成される。
【0010】
また、筐体20は、正極端子40を配置する第1の孔24と、負極端子60を配置する第2の孔25と、を有する。第1の孔24及び第2の孔25は、例えばねじ孔である。第1の孔24及び第2の孔25は、例えば上壁部23に形成される。
【0011】
被収納物30は、複数の単電池31と、これら複数の単電池31を電気的に接続するバスバー32と、等を含む。バスバー32は、第1の孔24に配置された正極端子40と接続する。また、バスバー32は、第2の孔25に配置された負極端子60と接続する。
【0012】
なお、被収納物30の構成は、これらに限定されない。例えば、被収納物30は、複数の単電池31が電気的に接続される基板を有し、この基板が正極端子40及び負極端子60に電気的に接続されることで、正極端子40及び負極端子60が複数の単電池31に電気的に接続される構成であってもよい。
【0013】
正極端子40は、第1の孔24に固定される端子本体41と、端子本体41に設けられるキャップ部材42と、を備えている。
【0014】
端子本体41は、例えば、第1の孔24に螺合することで第1の孔24に固定される。端子本体41は、具体的には、複数の単電池31に電気的に接続される接続部43と、ナット部44と、導電部45と、固定部70と、を有する。端子本体41は、電気を通す材料、例えば金属材料で形成され、具体例としては、銅から形成される。ここで、接続部43から導電部45へ向かう方向を上方向として上下方向を設定する。
【0015】
接続部43は、一例として、バスバー32に接触することで、複数の単電池31に電気的に接続可能に構成される。接続部43は、例えば、軸方向が上下方向に平行に設定される柱状に構成される。そして、接続部43の一部は、正極端子40が第1の孔24に固定された状態で筐体20内に配置され、バスバー32に接続される。接続部43は、バスバー32に接続することで、複数の単電池31に電気的に接続する。また、接続部43の外周面43aには、第1の孔24に螺合する雄ねじ43bが形成される。
導電部45は、正極端子40が筐体20に固定された状態で筐体20の外側に配置される。導電部45は、接続部43に電気的に接続される。本実施形態では、導電部45及び接続部43が一体に形成されることで、これら電気的に接続される。導電部本体45aは、外部装置の端子が接続可能に構成される。導電部45は、ナット部44と、導電部本体45aと、を有する。
【0016】
ナット部44は、接続部43を第1の孔24に螺合する際に、レンチ等の工具が係合可能に構成される。ナット部44は、接続部43の上端に、接続部43と同軸に一体に形成される。ナット部44は、例えば、接続部43の外径より大きい形状に構成される。ナット部44は、筐体20の上壁部23の上に配置される。
【0017】
導電部本体45aは、ナット部44の上端に一体に形成される。導電部本体45aは、ナット部44から、筐体20の上壁部23の上面から離れる方向に突出する、筒状の突出部に構成される。導電部本体45aは、一例として、軸方向が上下方向に平行な円筒状に構成される。なお、導電部本体45aは、円筒状に構成されることに限定されない。導電部本体45aは、他の例では、矩形の筒状に構成されてもよい。
【0018】
導電部本体45aは、外部装置の端子が接続可能な大きさを有する。導電部本体45aの内部空間の底面46は、例えば、底面46の外周縁が導電部本体45aの外周面47の下端48と同じ高さ位置であり、外周縁から底面46の中心に向かって高さ位置が漸次低くなる円錐面に構成される。なお、底面46の高さ位置は、限定されない。他の例では、底面46は、下端48より高い高さ位置に配置されてもよい。また、底面46は円錐面に形成されることに限定されない。底面46は、平面や、曲面に形成されてもよい。
【0019】
導電部本体45aの厚さtは、内側にキャップ部材42が配置された状態で、正極端子40の上端面49に、下方に向かって第1の荷重P1が加わると、正極端子40に座屈変形を生じさせる厚さに構成される。正極端子40の上端面49は、導電部本体45aの上端面51と、キャップ部材42の後述する上端面53と、を含む。正極端子40の座屈変形は、導電部本体45a及びキャップ部材42が、導電部本体45aの軸方向につぶれる変形である。
【0020】
導電部本体45aの厚さtは、導電部本体45aの内周面50と、導電部本体45aの外周面47と、の間の、導電部本体45aの筐体20からの突出方向に直交する方向に沿う厚さである。本実施形態においては、厚さtは、内周面50と外周面47との間の導電部本体45aの径方向に沿う厚さである。第1の荷重P1は、後述する第2の荷重P2より小さい荷重であり、P1<P2である。
【0021】
第2の荷重P2は、当該荷重が正極端子40の上端面49に入力されて正極端子40を介して筐体20に下方に向かって加わると、本実施形態においてはナット部44及び接続部43を介して上壁部23に下方向に当該荷重が加わると、筐体20に、正極端子40を筐体20内に向かって移動する変形、または、正極端子40を筐体20内に向かって移動する変形または破壊が生じる荷重である。正極端子40を筐体20に向かって移動することにより、接続部43が筐体20内で移動する。
換言すると、ナット部44及び接続部43を介して第2の荷重P2が上壁部23に加わると、筐体20に、正極端子40を筐体20内に向かって移動する変形または破壊が生じる。
ここで言う変形は、例えば、上壁部23が下方にたわむ変形である。上壁部23が下方にたわむことで、正極端子40が、上壁部23がたわむ前に比較して、筐体20内に向かって移動する。または、上壁部23の第1の孔24の縁が広がる変形である。第1の孔24の縁が広がることで、結果、ナット部44が第1の孔24を通過することで、正極端子40が筐体20内に向かって移動する。
ここで言う破壊は、例えば、上壁部23の第1の孔24の縁に生じる割れである。上壁部23の第1の孔24の縁に割れが生じることで第1の孔24が広がり、結果、ナット部44が第1の孔24を通過することで、正極端子40が筐体20内に向かって移動する。
【0022】
導電部本体45aの厚さtは、キャップ部材42の強度も考慮して、正極端子40を介して筐体20に加わる、筐体20に変形または破壊が生じる荷重(第2の荷重P2)よりも小さい荷重で、導電部本体45a及びキャップ部材42に座屈変形を生じさせる厚さtに設定される。
【0023】
また、導電部本体45aの厚さtは、通常の使用において、導電部本体45aに塑性変形を生じさせない形状に構成される。通常の使用時に導電部本体45aに加わる荷重は、外部装置の端子の接続により加わる荷重を含む。この具体例として、外部装置の端子が、導電部本体45aの外周面47を狭持することで導電部本体45aとの接続状態を保持する構成を有する場合では、外部装置の端子による狭持力が、接続により加わる荷重となる。
【0024】
このように構成される導電部本体45aの外形は、電池の規格に基づいて形成される。本実施形態では、一例として、導電部本体45aの外径は、円錐台形状に形成される。
【0025】
具体的には、導電部本体45aは、軸方向に直交する断面の外縁が円に形成され、かつ、導電部本体45aの外周面47の径Rが導電部本体45aの下端48から上端面51までの範囲で、下端48から上端面51に向かうにつれて漸次縮径する柱状に構成される。そして、内周面50は、例えば、内周面50の下端から上端面51まで一定の内径を有する形状に構成される。
導電部本体45aは、外周面47が円錐台形に構成され、かつ、内径が一定の径に設定されることから、厚みtが、外周面47の下端48から上端面51に向かうにつれて漸次薄くなる。なお、導電部本体45aは、外周面47の下端48から上端面51に向かうにつれて厚みtが漸次薄くなる形状であることに限定されない。さらに、導電部本体45aの外形は、円錐台形状であることに限定されない。導電部本体45aの外形は、適宜、選定される。
固定部70は、正極端子40を、筐体20に固定可能に構成される。固定部70は、電池の規格に基づいて構成される。固定部70は、例えば、接続部43の外周面43aに形成されたねじ部43bと、ナット部44と、から構成される。すなわち、ナット部44が筐体20の上壁部23に当接するまで、または、ナット部44が後述する外部装置の端子5を上壁部23との間に狭持するまで、ねじ部43bが第1の孔24に螺合されることで、正極端子40が筐体20に固定される。
【0026】
キャップ部材42は、導電部本体45a内に配置される。キャップ部材42は、例えば、接着剤等の固定手段により固定される。または、キャップ部材42、圧入により導電部本体45a内に拘束される。キャップ部材42は、例えば樹脂材料から形成される。キャップ部材42は、正極端子40であることを示すマーク52を有する。マーク52は、例えば、「+」形状の凹部に構成される。
【0027】
キャップ部材42は、具体的には、下端が開口し、上端が閉塞する筒状に構成される。キャップ部材42の上端面53は、導電部本体45aの内部空間の上端に例えば嵌合する形状、具体例として円板状に構成される。上端面53は、導電部本体45aの内部空間の上端に配置され、例えばこの上端を閉塞する。上端面53は、導電部本体45aの上端面51と、例えば面一に形成される。上端面53には、マーク52が形成される。
【0028】
なお、マーク52は、凹状に構成されることに限定されない。マーク52は、凸状に構成されてもよい。または、マーク52は、絵や文字を印刷や描くことで構成されてもよい。
【0029】
負極端子60は、マーク52が負極端子であることを示すマークに構成され、この点で、正極端子40と異なる。換言すると、負極端子60は、マーク52以外の構成は、正極端子40と同じである。この為、負極端子60は、正極端子40と同一の符号を付して説明を省略する。負極端子60のマーク52は、負極端子60であることを示すマークに構成され、例えば、「-」形状の凹部に構成される。また、負極端子60は、第2の孔25に螺合する。
【0030】
このように構成された組電池10では、外部装置が正極端子40及び負極端子60に電気的に接続される。外部装置と、正極端子40及び負極端子60との接続方法は、外部装置の端子の形状に応じて、適宜選択される。
【0031】
外部装置の端子5は、例えば、内側に導電部本体45aを嵌合させる環状の形状を有する場合は、内側に正極端子40または負極端子60を嵌合させることで、正極端子40または負極端子60に接続される。または、外部装置の端子5は、例えば、導電部本体45aを外側から狭持する構成を有する場合は、導電部本体45aを狭持することで、導電部本体45aに電気的に接続される。または、外部装置の端子5は、例えば、図2に正極端子40を代表して断面で示すように、ナット部44と筐体20の上壁部23との間に狭持されることで、正極端子40に接触し、かつ、正極端子40に対して固定されてもよい。
【0032】
次に、正極端子40に筐体20外から荷重が加わったときの正極端子40の挙動を説明する。
正極端子40の上端面49に、下方向に荷重が加わると、導電部本体45a及びキャップ部材42のそれぞれに、下方向に荷重が加わる。正極端子40が固定部70により筐体20の上壁部23に固定されることから、上端面49に加わった荷重は、固定部70を構成する、接続部43のねじ部43b及びナット部44とから、上壁部23に伝達される。上端面49に加わる荷重が第1の荷重P1未満であると、当該荷重はナット部44及び接続部43を介して、筐体20の上壁部23に伝達されるが、導電部本体45a及び上壁部23に変形を生じさせない。
【0033】
上端面49に下方向に加わる荷重が第1の荷重P1以上となると、導電部本体45a及びキャップ部材42が座屈変形をする。そして、上端面49に加わった荷重のうち、導電部本体45a及びキャップ部材42の座屈変形により吸収されなかった荷重が、ナット部44及び接続部43を介して筐体20の上壁部23に伝達される。そして、ナット部44及び接続部43を介して上壁部23に伝達された荷重が第2の荷重P2以上となると、上壁部23に、正極端子40を筐体20の内側に向かって移動させる変形または破壊が生じる。
負極端子60は、荷重に対して、正極端子40と同様の作用を生じる。
【0034】
このように構成された組電池10は、導電部本体45aが筒状に構成されることで、導電部本体45aの、導電部本体45aの上壁部23からの突出方向に直交する方向の大きさを、外部装置の端子5が接続可能な大きさに維持しつつ、導電部本体45aの座屈強度を低減できる。例えば、導電部本体45aの外観形状及び大きさを、従前使用された端子の導電部本体と同形状にしつつ、座屈強度を低下させることが可能となる。
【0035】
結果、正極端子40及び負極端子60に筐体20の外側から荷重が加わっても、導電部本体45a及びキャップ部材42が座屈変形をすることで荷重を吸収できるので、正極端子40及び負極端子60の筐体20内への移動量を低減できる。
【0036】
さらに、導電部本体45aが第1の荷重P1により導電部本体45a及びキャップ部材42が座屈変形をする厚さtを有する筒状に構成されるとこで、第1の荷重P1以下の荷重においては、第2の荷重P2>第1の荷重P1であることから、筐体20の上壁部23の破壊を防止できる。結果、第1の荷重P1以下の荷重においては、正極端子40及び負極端子60が筐体20内に移動することを防止できる。
【0037】
さらに、上壁部23に変形または破壊が生じる第2の荷重P2が加わった場合においても、導電部本体45a及びキャップ部材42が座屈変形をしていることから、正極端子40及び負極端子60の全長が短くなっている。結果、上壁部23の変形または破壊により正極端子40及び負極端子60が筐体20内に移動しても、その移動量を低減できる。結果、筐体20内に収納される複数の単電池31に短絡が発生する等の不具合の発生を防止できる。
【0038】
さらに、導電部本体45aの厚さtを、下端48から上端面51に向かって漸次薄くすることで、導電部本体45aが座屈変形しやすくなる。
さらに、正極端子40及び負極端子60のそれぞれが、固定部70により上壁部23に固定されることで、上端面49に加わる荷重を、導電部本体45a及びキャップ部材42に効率よく伝達可能である。結果、導電部本体45a及びキャップ部材42を効率よく座屈変形させることが可能となる。
さらに、固定部70が、上壁部23の上面に上方から当接するナット部44を備えることで、上端面49に加えられる荷重を、導電部本体45a及びキャップ部材42に効率よく伝達させることが可能となる。
【0039】
なお、第1の実施形態の組電池10では、導電部本体45aの厚さtを、導電部本体45aの外周面47の下端48から上端面51に向かって漸次薄くする構成として、導電部本体45aが、円錐台形の筒状に構成される一例が説明されたが、これに限定されない。
【0040】
他の例では、導電部本体45aの内周面50がテーパー面に構成され、導電部本体45aの外径が下端48から上端面51まで一定である構成であってもよい。具体的には、内周面50は、導電部本体45aを、導電部本体45aの中心を通りかつ上下方向に平行な中心線に沿って切断したときの断面の、内周面50により形成される縁が、当該中心線に対して傾斜する面に構成されてもよい。この一例として、内周面50は、下端から上端面51に向かって漸次拡径する円錐面に形成されてもよい。または、厚さtが、上端面49に向かうにつれて漸次小さくなるよう、外周面47及び内周面50がテーパー面に形成されてもよい。
【0041】
また、導電部本体45aは、内周面50に溝を形成してもよい。この一例として、図3に示すように、内周面50の、上端面51から底面46まで延びる螺旋状の第1の溝56が形成されてもよい。第1の溝56は、例えば雌ねじであってもよい。
【0042】
なお、第1の溝56は、上端面51から底面46まで延びる形状に限定されない。第1の溝56は、上端面51から底面46までの少なくとも一部に形成されればよい。換言すると、第1の溝56は、上端面51側から接続部43側に延びる螺旋状に構成されればよい。
【0043】
また、内周面50に溝を形成する構成の他の例として、図4に示すように、内周面50に、上端面51から底面46まで直線状に延びる第2の溝57が形成されてもよい。第2の溝57は、1つ以上、例えば複数が形成される。図4では、具体例として4つの第2の溝57を有する構成が示されている。図4に示すように、内周面50に複数の第2の溝57を形成する場合は、これら複数の第2の溝57は、周方向に等間隔離間して配置されることが好ましい。
【0044】
また、第2の溝57は、上端面51から底面46まで延びることに限定されない。第2の溝57は、上端面51から底面46までの少なくとも一部に形成されればよい。換言すると、第2の溝57は、上端面51側から接続部43側に延びる直線状に構成されればよい。また、第2の溝57は、直線状に形成されることに限定されない。第2の溝57は、湾曲した形状であってもよい。
【0045】
また、第1の実施形態の組電池10では、正極端子40及び負極端子60のそれぞれは、キャップ部材42を備える構成が一例として説明された。そして、導電部本体45aの厚さtは、キャップ部材42の強度を考慮して、第1の荷重P1で導電部本体45a及びキャップ部材42に座屈変形が生じる厚さに設定された。
【0046】
例えば、正極端子40及び負極端子60のそれぞれがキャップ部材42を備えない構成である場合は、導電部本体45aは、キャップ部材42の強度は考慮せずに、第1の荷重P1で導電部本体45aが座屈変形をするよう構成される。
【0047】
また、第1の実施形態の組電池10では、正極端子40を代表して説明すると、導電部本体45aの厚さtは、第2の荷重P2より小さい第1の荷重P1で導電部本体45aが座屈変形をする厚さtに設定される一例が説明されたが、これに限定されない。他の例では、導電部本体45aの厚さtは、導電部本体45aに座屈変形が生じるよりも先に筐体20に正極端子40を筐体20の内側へ向かって移動させる変形または破壊が生じる厚さに設定されてもよい。この場合であっても、筐体20に変形または破壊が生じた後、導電部本体45aに座屈変形が生じることで、正極端子40の筐体20内への移動量を低減できる。
【0048】
しかしながら、導電部本体45aの厚さtを、筐体20に、正極端子40を筐体20の内側に向かって移動させる変形または破壊が生じるよりも先に導電部本体45aに座屈変形が生じる厚さに設定することで、筐体20内への正極端子40の移動量を、より一層低減できる。
または、厚さtは、正極端子40を筐体20の内側に向かって移動させない程度の変形または破壊を筐体20に生じさせる荷重であっても、当該荷重により導電部本体45aに座屈変形を生じさせる厚さに設定されてもよい。これにより、組電池10の安全性をより一層向上できる。
または、厚さtは、筐体20に、変形または破壊が生じる荷重よりも小さい荷重で、導電部本体45aに座屈変形を生じさせる厚さに設定されてもよい。れにより、組電池10の安全性をより一層向上できる。
【0049】
次に、第2の実施形態に係る組電池10を、図5を用いて説明する。なお、第2の実施形態の組電池10は、正極端子40に代えて正極端子40Aが用いられる構成であり、負極端子60に代えて負極端子60Aが用いられる構成であり、これらの点で、第1の実施形態の組電池10と異なる。この為、第2の実施形態の組電池10のうち、上述した第1の実施形態に係る組電池10と同様の構成については同一符号を付して説明を省略するとともに、その説明及び図示を適宜省略する。
【0050】
図5は、第2の実施形態に係る組電池10に用いられる正極端子40A及び負極端子60Aの構成を、一部切り欠いて示す断面図である。
【0051】
第2の実施形態の組電池10は、筐体20と、被収納物30と、正極端子40Aと、負極端子60Aと、を備えている。
正極端子40Aは、接続部43と、ナット部44と、導電部45Aと、固定部70と、を有する。正極端子40Aは、電気を通す材料、例えば金属材料で形成され、具体例としては、銅から形成される。ここで、接続部43から導電部45Aへ向かう方向を上方向として上下方向を設定する。
【0052】
導電部45Aは、導電部本体45bと、ナット部44と、を備える。導電部本体45bは、ナット部44の上端に一体に形成され、筐体20の上壁部23の上面から離れる方向に突出する突出部に構成される。導電部本体45bは、例えば、ナット部44から、ナット部44及び接続部43の軸線に沿って、ナット部44から離間する方向に突出する突出部に構成される。
【0053】
導電部本体45bは、外部装置の端子5が接続可能な大きさを有する。導電部本体45bの外形は、電池の規格に基づいて形成される。導電部本体45bは、一例として、接続部43及びナット部44に同軸に設けられる円錐台形状に構成される。換言すると、導電部本体45bは、軸方向に直交する断面の外縁が円に形成され、かつ、外周面47Aの径Rが下端48Aから上端面51Aまでの範囲で、下端48Aから上端面51Aに向かうにつれて漸次縮径する柱状に構成される。上端面51Aには、正極端子であることを示すマーク52が形成される。
【0054】
また、導電部本体45bの外周面47Aには、孔58が形成される。孔58は、導電部45Aの延びる方向に交差する方向、具体例として導電部45Aの軸方向に直交する方向に導電部45Aを貫通する。
【0055】
孔58の大きさ及び形状は、導電部本体45bの上端面51Aに下方に向かって第1の荷重P1が加わると、導電部本体45bに座屈変形を生じさせる大きさ及び形状に構成される。具体的には、孔58は、軸方向に直交する断面形状が円に構成され、その内径が、導電部本体45bの上端面51Aに下方に第1の荷重P1が加わると、導電部本体45bに座屈変形を生じさせる一定の内径に設定される、直線状の孔に構成される。
【0056】
負極端子60Aは、マーク52が負極端子を示すマークに構成され、この点で、正極端子40Aと異なる。換言すると、負極端子60Aは、マーク52以外の構成は、正極端子40Aと同じである。この為、負極端子60Aは、正極端子40Aと同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
このように構成された第2の実施形態の組電池10では、外部装置が正極端子40A及び負極端子60Aに、第1の実施形態の正極端子40及び負極端子60と同様に、電気的に接続される。
【0058】
第2の実施形態の組電池10は、第1の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0059】
なお、第2の実施形態の組電池10では、導電部45Aに孔58が形成される構成が一例として説明されたがこれに限定されない。他の例では、図6に示すように、第1の実施形態の組電池10の導電部45に、第2の実施形態の組電池10で説明された導電部45Aの孔58が形成されてもよい。この構成の場合、導電部本体45aの厚さt及び孔58の大きさ及び形状は、第1の荷重P1で、導電部45及びキャップ部材42が座屈変形するよう、形成される。
【0060】
また、第2の実施形態の組電池10では、導電部本体45bは、柱状の構成として、円錐台形状に形成される構成が一例として説明されたが、これに限定されない。導電部本体45bは、例えば、軸方向に直交する断面が多角形となる柱状や、軸方向に直交する断面が長円となる柱状に構成されてもよい。
また、第2の実施形態の組電池10では、孔58は、導電部45Aを貫通する構成が一例として説明されたが、これに限定されない。図7に示す変形例のように、孔58は、導電部45Aを貫通しない有底状に構成されてもよい。換言すると、孔58は、導電部45Aの表面に形成されくぼみであってもよい。
また、第2の実施形態の組電池10では、正極端子40を代表して説明すると、孔58の大きさ及び形状は、第2の荷重P2より小さい第1の荷重P1が加わると導電部本体45bに座屈変形を生じる厚さに設定された。
しかしながら、孔58の大きさ及び形状は、筐体20に、正極端子40を筐体20内に向かって移動させない程度の変形または破壊を生じさせる荷重であっても、当該荷重により導電部本体45bに座屈変形を生じさせる大きさ及び形状であってもよい。これにより、組電池10の安全性をより一層向上できる。
または、孔58の大きさ及び形状は、筐体20に変形または破壊を生じる荷重より小さい荷重により、導電部本体45bに座屈変形を生じさせる大きさ及び形状に設定されてもよい。これにより、組電池10の安全性をより一層向上できる。
また、第2の実施形態の組電池10では、孔58は、1つ形成される構成が一例として説明されたがこれに限定されない。他の例では、孔58は複数形成されてもよい。
【0061】
また、第1の実施形態及び第2の実施形態の組電池10では、正極端子40、40A、及び負極端子60、60Aは、電池の規格に基づき、接続部43が筐体20の孔24、25に螺合することで固定される構成が一例として説明されたが、これに限定されない。さらに、正極端子40、40A、及び負極端子60、60Aは、孔24、25に螺合する構成であることからナット部44を有しているが、例えば、螺合以外の固定が用いられる場合は、ナット部44を有さない構成であってもよい。この構成の一例として、接続部43及び導電部45が一体に形成される構成であってもよい。
【0062】
また、第2の実施形態の組電池10では、正極端子40Aを代表して説明すると、導電部本体45bの孔58の大きさ及び形状は、筐体20の上壁部23よりも先に座屈変形をする大きさ及び形状に設定される一例が説明されたが、これに限定されない。他の例では、導電部本体45bの孔58の大きさ及び形状は、導電部本体45bに座屈変形が生じるよりも先に、筐体20に正極端子40Aを筐体20内に向かって移動させる変形または破壊が生じる大きさ及び形状に設定されてもよい。この場合であっても、筐体20に変形または破壊が生じた後、導電部本体45bに座屈変形が生じることで、正極端子40Aの筐体20内への移動量を低減できる。
【0063】
しかしながら、導電部本体45bの孔58の大きさ及び形状を、筐体20に正極端子40Aを筐体20内に向かって移動させる変形または破壊が生じるよりも先に導電部本体45bに座屈変形が生じる大きさ及び形状に設定することで、筐体20内への正極端子40Aの移動量を、より一層低減できる。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態の組電池10では、正極端子40、40Aと、負極端子60、60Aと、を筐体20に固定する固定部の構成として、接続部43のねじ43部と、ナット部44と、を備える構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、接続部43が孔24、25に嵌合する形状に構成され、かつ、ナット部44が上壁部23に直接的または間接的に当接する構成であってもよい。また、ナット部44が上壁部23の上面に直接的または間接的に当接することで、導電部45、45Aに効率よく荷重が伝達されるが、例えば、ナット部44以外の、上壁部23の上面に直接的または間接的に当接するフランジ部を有する構成であってもよい。しかしながら、ナット部44を有する構成においては、ナット部44が上述のフランジ部として機能することから、正極端子40、40A、及び負極端子60、60Aの構成を簡素にすることが可能となる。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態の組電池10では、正極端子40、40Aの接続部43は、第1の孔24に螺合することで筐体20に固定され、負極端子60、60Aの接続部43は、第2の孔25に螺合することで筐体20に固定される例が一例として説明されたが、これに限定されない。
他の例では、バスバー32に、正極端子40、40Aと、負極端子60、60Aと、が螺合されるねじ孔が形成される構成であってもよい。この構成では、正極端子40、40Aの接続部43がバスバー32のねじ孔に螺合することで、正極端子40、40Aが筐体20に固定される。さらに、負極端子60、60Aの接続部43がバスバー32のねじ孔に螺合することで、負極端子60、60Aが筐体20に固定される。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態の組電池10では、正極端子40、40A及び負極端子60、60Aは、筐体20と別部材に構成される例が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、正極端子40、40A及び負極端子60、60Aは、筐体20と一体に構成されてもよい。この一例としては、筐体20の上壁部23の上面に、導電部45が一体に形成され、上壁部23の下面に、接続部43が一体に形成されてもよい。
【0064】
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態の端子によれば、外部からの荷重に起因する筐体内への移動量を低減できる端子を提供できる。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、特許出願時の特許請求の範囲を付記する。
[付記1]
筐体に収納される被収納物に接続される接続部と、
前記筐体の外に配置され、前記筐体の外面から離れる方向に延びる有底筒状の形状、及び前記筐体の外面から離れる方向に突出し、孔を有する形状の少なくとも一方を有し、前記接続部に電気的に接続される導電部と、
を備える端子。
[付記2]
前記導電部は、有底筒状に構成され、
前記導電部の内面は、溝を有する、付記1に記載の端子。
[付記3]
前記溝は、前記導電部の先端面側から前記接続部側へ延びる螺旋状に構成される、付記2に記載の端子。
[付記4]
前記溝は、前記導電部の先端面側から前記接続部側へ延びる直線状に構成される、付記2に記載の端子。
[付記5]
前記導電部は、有底筒状に構成され、内部にキャップ部材が設けられる
付記1に記載の端子。
[付記6]
前記導電部は、当該導電部を介して前記筐体に加えられて前記筐体に変形または破壊を生じさせる荷重よりも小さい荷重で、座屈変形を生じる、付記1に記載の端子。
[付記7]
前記導電部及び前記キャップ部材は、当該導電部を介して前記筐体に加えられて前記筐体に破壊を生じさせる荷重よりも小さい荷重で、座屈変形を生じる、付記5に記載の端子。
[付記8]
前記筐体に固定される固定部を備える、付記1に記載の端子。
【符号の説明】
【0066】
10…組電池、20…筐体、24…第1の孔、25…第2の孔、30…被収納物、31…単電池、32…バスバー、40…正極端子、40A…正極端子、41…端子本体、41a…上端面、42…キャップ部材、43…接続部、44…ナット部、45…導電部、45A…導電部、47…外周面、47A…外周面、49…上端面、50…内周面、51…上端面、51A…上端面、53…上端面、56…第1の溝、57…第2の溝、58…孔、60…負極端子、60A…負極端子、P1…第1の荷重、P2…第2の荷重、P3…第3の荷重、P4…第4の荷重。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7