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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】接続ハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/00 20060101AFI20230904BHJP
   G02B 6/44 20060101ALI20230904BHJP
   H01B 11/22 20060101ALI20230904BHJP
   H01B 7/40 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
H01B7/00 306
G02B6/44 366
G02B6/44 361
H01B11/22
H01B7/00 301
H01B7/40 308
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019053192
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020155325
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592095332
【氏名又は名称】NTTコム エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】横川 知行
(72)【発明者】
【氏名】岡部 圭寿
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 富一
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 力
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-162531(JP,A)
【文献】特開平10-214522(JP,A)
【文献】米国特許第06498882(US,B1)
【文献】特開平08-043685(JP,A)
【文献】特開2009-168959(JP,A)
【文献】特開2016-063584(JP,A)
【文献】特開2005-165303(JP,A)
【文献】特開2004-333601(JP,A)
【文献】特開平08-331737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/00
G02B 6/44
H01B 11/22
H01B 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
M個(Mは1以上の整数)の第1装置とN個(Nは2以上の整数)の第2装置とを光ファイバコード及びメタルコードの少なくとも一方を含む接続コードにて接続するための接続ハーネスであって、
M×N本の前記接続コードを含み、前記第1装置に接続可能な第1コネクタが各接続コードの一端に設けられると共に前記第2装置に接続可能な第2コネクタが各接続コードの他端に設けられている接続コード群と、
前記接続コード群の前記接続コードを前記第1装置側で所定の本数毎に束ねる第1束ね部材と、
前記接続コード群の前記接続コードを前記第2装置側で所定の本数毎に束ねる第2束ね部材と、を備え、
前記接続コード群は、各前記接続コードが前記第1束ね部材及び前記第2束ね部材によって前記第1装置の接続口及び前記第2装置の接続口に対応するように、予めハーネス化されており、
前記接続ハーネスは、少なくとも2つの部分に分けられており、前記2つの部分を連結する跨ぎ部が設けられ、前記跨ぎ部は、前記第1装置及び前記第2装置を収納する少なくとも2つの収納体間を通るように配置される部分であり、少なくとも一本の接続コードから構成され
前記第1装置と前記第2装置との間の予定配線距離に対して実際の配線の際の前記接続コードの長さが余る余長部が前記接続コード群に予め設けられており、前記余長部は、前記第1束ね部材と前記第2束ね部材との間又は前記第1束ね部材及び前記第2束ね部材がない部分に位置し、前記余長部における巻き回された部分は、余長の長さを調整可能なようにテープ部材によって留められている、
接続ハーネス。
【請求項2】
前記第1束ね部材によって束ねられる前記接続コードの本数が前記第2束ね部材によって束ねられる前記接続コードの本数よりも多い、
請求項1に記載の接続ハーネス。
【請求項3】
前記接続コードを前記第1束ね部材及び前記第2束ね部材の中間領域において束ねる第3束ね部材を更に備え、
前記第3束ね部材によって束ねられる前記接続コードの本数が前記第1束ね部材及び前記第2束ね部材によって束ねられる前記接続コードの本数よりも多い、
請求項1又は請求項2に記載の接続ハーネス。
【請求項4】
前記第1束ね部材及び前記第2束ね部材は、ネットチューブ又はスパイラルチューブである、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の接続ハーネス。
【請求項5】
前記接続コードの前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの少なくとも一方において、対応する前記第1装置又は前記第2装置への接続の際のコネクタ配置を整列させるための整列部材を更に備える、
請求項1から請求項の何れか1項に記載の接続ハーネス。
【請求項6】
前記接続コードは、複数の光ファイバ心線と抗張力繊維との周囲が外被で覆われ、前記外被の断面形状が円筒状である、
請求項1から請求項の何れか1項に記載の接続ハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1装置と第2装置とを接続コードによって接続するための接続ハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から3には、各種の光ユニットを光ファイバ等の光接続部材によって接続することによって構成される光配線盤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-241629号公報
【文献】特開2001-004849号公報
【文献】特開2001-311836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような光配線盤を組み立てる場合、従来、作業現場において多数の光ファイバコードやメタルコード(LANケーブル)等の接続部材を1本ずつ各光モジュールに接続して、光配線盤における配線作業を行っていた。しかしながら、接続する光モジュールの数や光モジュールにおける接続口の数が非常に多数であることから、その接続作業も膨大且つ煩雑なものとなり、装置の組み立てに非常に時間がかかってしまっていた。このため、光配線盤等の配線が必要とされる装置の組み立て作業の効率化が望まれている。
【0005】
本発明は、一側面として、配線が必要とされる装置における配線作業を効率化することができる光接続ハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、M個(Mは1以上の整数)の第1装置とN個(Nは2以上の整数)の第2装置とを光ファイバコード及びメタルコードの少なくとも一方を含む接続コードにて接続するための接続ハーネスである。この接続ハーネスは、M×N本の接続コードを含み、第1装置に接続可能な第1コネクタが各接続コードの一端に設けられると共に第2装置に接続可能な第2コネクタが各接続コードの他端に設けられている接続コード群と、接続コード群の接続コードを第1装置側で所定の本数毎に束ねる第1束ね部材と、接続コード群の接続コードを第2装置側で所定の本数毎に束ねる第2束ね部材と、を備えている。この接続コード群は、各接続コードが第1束ね部材及び第2束ね部材によって第1装置の接続口及び第2装置の接続口に対応するように、予めハーネス化されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、配線が必要とされる装置における配線作業を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る光/メタル複合ハーネスが用いられる光配線盤の概要を示す模式図である。
図2図2は、実施形態に係る光/メタル複合ハーネスによる接続方式を示す図である。
図3図3の(a)は、光ファイバコードの一例を示す平面図であり、図3の(b)は、光ファイバコードの断面の一例を示す断面図である。
図4図4の(a)は、ネットチューブの一例の外形を示す図であり、図4の(b)は、ネットチューブによってケーブルを束ねた状態の例を示す図であり、図4の(c)は、ネットチューブの断面を示す断面図であり、図4の(d)は、ネットチューブの側面図である。
図5図5は、光/メタル複合ハーネスの一例を示す模式図である。
図6図6は、光/メタル複合ハーネスにおける余長部の例を示す平面図である。
図7図7は、光ファイバコードの各コネクタの位置を整列させる整列部材の一例を示す図である。
図8図8は、光ファイバコードの各コネクタの位置を整列させる整列部材の別の例を示す図である。
図9図9は、本実施形態に係る光配線盤の変形例を示す模式図である。
図10図10は、本実施形態に係る光配線盤の別の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の一実施形態に係る接続ハーネスは、M個(Mは1以上の整数)の第1装置とN個(Nは2以上の整数)の第2装置とを光ファイバコード及びメタルコードの少なくとも一方を含む接続コードにて接続するための接続ハーネスである。この接続ハーネスは、M×N本の接続コードを含み、第1装置に接続可能な第1コネクタが各接続コードの一端に設けられると共に第2装置に接続可能な第2コネクタが各接続コードの他端に設けられている接続コード群と、接続コード群の接続コードを第1装置側で所定の本数毎に束ねる第1束ね部材と、接続コード群の接続コードを第2装置側で所定の本数毎に束ねる第2束ね部材と、を備えている。この接続コード群は、各接続コードが第1束ね部材及び第2束ね部材によって第1装置の接続口及び第2装置の接続口に対応するように、予めハーネス化されている。
【0010】
この接続ハーネスでは、複数の接続コードが第1束ね部材及び第2束ね部材によって第1装置の接続口及び第2装置の接続口に対応するように、接続コード群が予めハーネス化されている。この場合、予めハーネス化されている接続ハーネスを用いて第1装置及び第2装置を相互に接続することができるため、光ファイバコード等を一本ずつ用いて各装置を作業現場で個別に接続する従来の方式に比べて、所定の接続口に接続すべき接続コードを容易に識別することができ、これにより、光配線盤等の各種装置における配線作業を効率化することができる。なお、これに限定されるものではないが、この接続ハーネスに用いられる接続コードの本数(M×N本)が50本や100本を超えるような多数の接続コードを用いて配線接続を行う場合に、この接続ハーネスによる作業効率の向上がより一層顕著になる。
【0011】
上記の接続ハーネスにおいて、第1束ね部材によって束ねられる接続コードの本数が第2束ね部材によって束ねられる接続コードの本数より多くてもよい。この場合、第1装置の数が第2装置の数よりも少ないといったように、両装置の数が異なる場合でも、光配線盤等の各種装置における配線作業を効率化することができる。なお、第1装置の数と第2装置の数とが同じであってもよいし、第2装置の方が第1装置より少なくてもよい。
【0012】
上記の接続ハーネスは、接続コードを第1束ね部材及び第2束ね部材の中間領域において束ねる第3束ね部材を更に備え、この第3束ね部材によって束ねられる接続コードの本数が第1束ね部材及び第2束ね部材によって束ねられる接続コードの本数よりも多くてもよい。この場合、光ファイバコード等の接続コードが長い場合であっても、その途中部分を束ねる第3束ね部材により、接続コードが配線作業の途中で絡まるといったことが抑制される。その結果、光配線盤等の各種装置における配線作業をより一層、効率化することができる。
【0013】
上記の接続ハーネスにおいて、第1束ね部材及び第2束ね部材がネットチューブ又はスパイラルチューブであってもよい。この場合、第1束ね部材及び第2束ね部材をより簡易且つ安価な手段によって実現することができる。第3束ね部材がネットチューブ又はスパイラルチューブであってもよい。
【0014】
上記の接続ハーネスにおいて、第1装置と第2装置との間の予定配線距離に対して実際の配線の際の接続コードの長さが余る余長部が接続コード群に予め設けられていてもよい。両端コネクタ付の接続コードは一般的に0.5m又は1m単位で生産されており、また製造寸法公差を有しているため、第1装置及び第2装置間の配線ルート長(予定配線距離)に正確に合わせることが難しい。従来の現場での配線作業では、長めの接続コードを選択して配線ルートの途中で長さ調整を行っていたが、この接続ハーネスによれば、予め余長部を設けておくことで、このような接続コードの長さ調整についても現場での作業を省略できる。よって、この接続ハーネスによれば、光配線盤等の各種装置における配線作業を更に効率化することができる。
【0015】
上記の接続ハーネスは、接続コードの第1コネクタ及び第2コネクタの少なくとも一方において、対応する第1装置又は第2装置への接続の際のコネクタ配置を整列させるための整列部材を更に備えてもよい。この場合、第1装置又は第2装置への複数のコネクタの接続を一括して行うことが可能となり、光配線盤等の各種装置における配線作業を更に効率化することができる。
【0016】
上記の接続ハーネスにおいて、接続コードは、複数の光ファイバ心線と抗張力繊維との周囲が外被で覆われ、外被の断面形状が円筒状であってもよい。これにより、よりコンパクトなハーネスとすることができる。
【0017】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る接続ハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
最初に、本実施形態に係る光/メタル複合ハーネス(接続ハーネス)が用いられる光配線盤について、図1を参照して説明する。図1は、光配線盤の概要を示す模式図である。図1に示すように、光配線盤Sは、ラックR1及びR2と、ラックR1及びR2内に配置されるM個のスイッチ装置A(第1装置)と、ラックR1及びR2内に配置されるN個のサーバB(第2装置)と、スイッチ装置AとサーバBとを接続するための光/メタル複合ハーネス1と、を備えて構成されている。光/メタル複合ハーネス1は、多数の光ファイバコードとメタルコードとを含む接続コード群10Aを有している。ここでいう「M」は1以上の整数であり、「N」は2以上の整数であり、「M」と「N」とが同じ整数であってもよいし、異なる整数であってもよい。一例としては「M」は「N」よりも小さくてもよいが、接続される装置構成によっては「M」が「N」よりも大きくなってもよい。
【0019】
ラックR1及びR2は、例えば19インチラックであり、その内部にスイッチ装置AやサーバBを含む各種の装置を収納する。ラックR1及びR2の間には、ラック間を通して光ファイバコード等の接続コード10を配線するための開口Raが設けられている。スイッチ装置Aは、光回路切替装置等の光スイッチやLANスイッチ等であり、光ネットワークにおける光路の切替えを行う。スイッチ装置Aの前方(図示手前側)には、光/メタル複合ハーネス1の一端に設けられるコネクタが接続可能な接続口(ポート)が複数(図の例では5の倍数)設けられている。サーバBは、例えばラックR1及びR2の上下方向に順に互いに隙間を空けて設置される。サーバBの前方(図示手前側)には、光/メタル複合ハーネス1の他端に設けられるコネクタが接続可能な接続口(ポート)が複数(図の例では5個)設けられている。一例では、例えば4個のスイッチ装置Aと20個のサーバBとが光/メタル複合ハーネス1(接続コード群10A)によって接続される。スイッチ装置Aである光スイッチとサーバBとを接続する場合には、接続コードとして光ファイバコードが用いられ、スイッチ装置AであるLANスイッチとサーバBとを接続する場合には、メタルコードが接続コードとして用いられる。
【0020】
図2は、上述した光/メタル複合ハーネスによる接続方式を説明するための模式図である。図2に示すように、光/メタル複合ハーネス1は、M個のスイッチ装置A(a,a,a,…,a)とN個のサーバB(b,b,b,…,b)とを多数(M×N本)の接続コード10(接続コード群10A)によって接続する。図2に示す例では、スイッチ装置aに接続される複数の接続コード10がサーバb,b,b,…,bにそれぞれ接続されており、同様に、スイッチ装置aに接続される複数の接続コード10がサーバb,b,b,…,bにそれぞれ接続されており、スイッチ装置aに接続される複数の接続コード10がサーバb,b,b,…,bにそれぞれ接続されており、スイッチ装置aに接続される複数の接続コード10がサーバb,b,b,…,bにそれぞれ接続されている。つまり、各スイッチ装置aからaが各サーバbからbに相互接続されている。このような接続に用いられる各接続コード10のスイッチ装置A側の一端には、スイッチ装置Aの開口部にそのまま接続させることができるコネクタ11が設けられており、また各接続コード10のサーバB側の他端には、サーバBの開口部にそのまま接続させることができるコネクタ12が設けられている。
【0021】
図3の(a)は、このような接続コードの一種である光ファイバコードの一例を示す平面図であり、図3の(b)は、光ファイバコードの断面の一例を示す断面図である。光ファイバコード(接続コード10)は、図3の(a)に示すように、両端に接続用のコネクタ11,12を有する接続コードであり、両端のやや内側にラベル13,14が張り付けられている。ラベル13,14は、接続用のコネクタ11,12を何れのスイッチ装置A又はサーバBの何れの接続口に接続すべきかを示すものであり、所定のアルファベットや数字等が印字されている。ラベル13,14は、コネクタ11,12が接続する装置(スイッチ装置又はサーバ)に応じて、一方のラベルが黄色、他方のラベルが白色といったように色分けされていてもよい。このようなラベル13,14により、光/メタル複合ハーネス1をスイッチ装置A及びサーバBに接続する作業者は、各光ファイバコード10を何れの装置の何れの接続口に接続すべきかを容易に識別できる。また、光ファイバコード10は、一例としては3mから5m程度の長さを有しており、接続される装置間の予想配線距離よりも長くなるように(余裕を持たせるように)、3mから5mの範囲の中から選択されたものが使用される。
【0022】
また、光ファイバコードとしては、図3の(b)の断面図に示すように、2心の光ファイバ心線16を抗張力繊維17で覆い、更にその外を外被18で覆った構成のコードを用いることができる。光ファイバコードの外被18の外径は1.5mmから2.0mmであることが好ましい。これは、外径が小さいほうが配線作業時の取り扱いが容易になる一方、外径が小さ過ぎると外界の影響を受け易くなり、光ファイバの通信特性に影響が生じる可能性が高くなるからである。一例として、本実施形態では、光ファイバコードの外被18の外径は1.6mmである。また、光ファイバコードの外被18の外径が上記範囲内である場合、これらの光ファイバコードを用いてハーネス化した際、より断面積を小さくして、狭隘な空間を無理なく通過して配線することができるようになる。なお、接続コード10としては、単心の光ファイバ心線からなる光ファイバコードを用いてもよい。抗張力繊維17は、例えばアラミド繊維であり、外被18は、例えば難燃性のポリエチレン等から形成されている。外被18については、光/メタル複合ハーネス1に含まれる光ファイバコード10が接続される装置(スイッチ装置A等)毎に、青、水色、赤等の色分けを施しておいて、接続口を更に容易に認識できるようにしておいてもよい。
【0023】
スイッチ装置Aとして、LANスイッチが設けられている場合には、接続コード10として、LANケーブル等のメタルコードも用いることができる。すなわち、接続コード10であるメタルコードによってLANスイッチとサーバとが相互接続される。LANケーブルは、例えばUTPケーブル等であり、その両端にモジュラプラグといった接続コネクタが設けられると共に、一対のメタル線が4組(計8本)その中に内蔵されている構成を有している。LANケーブルにも光ファイバケーブルと同様のラベルを設けてもよい。なお、UTPケーブルについては広く用いられているため、その説明を省略する。
【0024】
ここで、図2に戻り、光/メタル複合ハーネス1の説明を続ける。光/メタル複合ハーネス1は、上述した構成を有する多数の接続コード10を備えて構成されている。光/メタル複合ハーネス1では、これらの接続コード10の一端がスイッチ装置A側において第1束ね部材20によって所定の本数(一例として10本や40本)毎に束ねられており、また接続コード10の他端がサーバB側において第2束ね部材22によって所定の本数(一例として5本)毎に束ねられている。更に、光/メタル複合ハーネス1では、第1束ね部材20及び第2束ね部材22の中間領域において接続コード10を束ねる第3束ね部材24が設けられている。第1束ね部材20、第2束ね部材22及び第3束ね部材24としては、例えば樹脂等から構成されるネットチューブやスパイラルチューブ等を用いることができる。ネットチューブとしては、図4の(a)から(d)に示すように、編み目状のチューブを例示することができる。このようなチューブから成る、第1束ね部材20、第2束ね部材22及び第3束ね部材24では、ネットチューブの被さった部分を指等により広げながら、接続コード10をその中に収納できる。ここで用いられるネットチューブの内径は、例えば6mmから25mmであるが、これよりも内径が広くても、また、狭くてもよい。第1束ね部材20及び第2束ね部材22は、接続コード10のコネクタ11,12やラベル13,14に被らないように接続コード10の端部を束ねることが好ましい。第3束ね部材24も同様である。
【0025】
スイッチ装置Aの数がサーバBの数よりも少ない場合、第1束ね部材20によって束ねられる接続コード10の本数は第2束ね部材22によって束ねられる接続コード10の本数よりも多くなる。第3束ね部材24は、接続コード10をその途中箇所で束ねるため、第3束ね部材24によって束ねられる接続コード10の本数は第1束ね部材20及び第2束ね部材22によって束ねられる接続コード10の本数よりも多くなるように構成されている。但し、第3束ね部材24が束ねる接続コード10の数が第1束ね部材20や第2束ね部材22によって束ねられる接続コード10の本数と同じであったり、それよりも少ない本数になるように、接続コード10の中間領域での束ねを個別にしてもよい。このように光/メタル複合ハーネス1では、多数の接続コード10がその両端等において所定の本数毎に予め束ねられてハーネス化されており、これにより、各接続コード10がスイッチ装置Aの接続口やサーバBの接続口に対応するように構成されている。
【0026】
次に、図5を参照して、このような光/メタル複合ハーネス1の構成の一例について説明する。図5は、2つのラックR1,R2に1つのハーネス部材を適用する場合における光/メタル複合ハーネスの一例を示す模式図である。図5に示すように、光/メタル複合ハーネス1は、スイッチ装置Aへの接続に対応する複数の接続部3と、サーバBへの接続に対応する複数の接続部5とを有している。なお、接続部3と接続部5との間の接続コード10は、第3束ね部材24等によって所定本数が纏められたケーブル10aとして形成されている。接続部3では、例えば第1束ね部材20によって複数(10本又は40本)の接続コード10の一端が束ねられており、その先端の各コネクタ11及び各ラベル13が第1束ね部材20から外側に露出する(図2参照)。
【0027】
一方、接続部5では、例えば第2束ね部材22によって複数(5本)の接続コード10の一端が束ねられており、その先端の各コネクタ12及び各ラベル14が第2束ね部材22から外側に露出する(図2参照)。図5に示す例では、接続部3で束ねられている接続コード10の本数が接続部5で束ねられている接続コード10の本数よりも多いため、接続部3の数が接続部5の数よりも大分少なくなっている。また、2つのラックR1及びR2用の接続ハーネスであることから、光/メタル複合ハーネス1は、2つの部分1a,1bに分かれており、その間の跨ぎ部7によって連結されている。跨ぎ部7は、接続コード10を所定本数纏めたケーブルから構成され、図1に示すラック間の開口Raを通るように配置される。
【0028】
また、接続部3には、先端のコネクタ11等よりも内側に、接続コード10の内の余分な長さを巻き回した余長部が設けられていてもよい。図6は、余長部9を示す模式図である。両端コネクタ付のコードは一般的に0.5m又は1m単位で生産されており、また製造寸法公差を有しているため、スイッチ装置A及びサーバB間の配線ルート長(予定配線距離)に正確に合わせることが難しい。従来の現場での配線作業では、長めの接続コードを選択して配線ルートの途中で長さ調整を行っていたが、この光/メタル複合ハーネス1ではそのような余分な長さを余長部9として予め設けるようにしている。余長部9では、余った接続コード10が巻き回されて、その両端がマジックテープ(登録商標)9aによって留められている。
【0029】
以上、本実施形態に係る光/メタル複合ハーネス1では、複数の光ファイバコード10がスイッチ装置Aの接続口及びサーバBの接続口に対応するように第1束ね部材20及び第2束ね部材22によって予めハーネス化されている。このように、予めハーネス化されている光/メタル複合ハーネス1を用いてスイッチ装置A及びサーバBを相互に接続することができるため、光ファイバコード等の接続コードを一本ずつ用いて各装置を作業現場で個別に接続する場合に比べて、所定の接続口に接続すべき接続コード10等を容易に識別することができ、光配線盤における配線作業を効率化することができる。なお、光/メタル複合ハーネス1に用いられる接続コード10の本数が50本や100本を超えるような多数の接続コードを用いて配線接続を行う場合、上述した構成の光/メタル複合ハーネス1による作業効率の向上はより一層顕著になる。
【0030】
光/メタル複合ハーネス1は、複数の接続コード10を第1束ね部材20及び第2束ね部材22の中間領域において束ねる第3束ね部材24を更に備えている。これにより、光ファイバコード等を含む接続コード10が長い場合であっても、その途中部分を束ねる第3束ね部材24により、接続コード10が配線作業の途中で絡まるといったことが抑制される。その結果、光配線盤等の装置における配線作業をより一層、効率化することができる。
【0031】
光/メタル複合ハーネス1では、第1束ね部材20、第2束ね部材22及び第3束ね部材24がネットチューブ又はスパイラルチューブから構成されている。これにより、各束ね部材をより簡易且つ安価な手段によって実現することができる。
【0032】
光/メタル複合ハーネス1では、複数の接続コード10においてスイッチ装置AとサーバBとの間の予定配線距離に対して実際の配線の際にその長さが余る余長部9が接続コード群10Aに予め設けられている。このため、光ファイバコード等の接続コード10の長さ調整についても現場での作業を省略することができ、配線作業をより一層効率化することができる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な実施形態に適用することができる。例えば上記の実施形態では、第1束ね部材20及び第2束ね部材22によって接続コード10等の接続コードが所定の本数毎に束ねられており、接続すべき装置をより容易に識別しやすくなっているが、図7に示す整列部材30を用いて、接続コード10をスイッチ装置AやサーバB等の装置に一括して接続するようにしてもよい。整列部材30は、図7に示すように、各コネクタ11,12の外形に対応する大きさの複数の開口32が設けられた板状の樹脂成形品である。各開口32に接続コード10の対応するコネクタ11,12を予め一対一でセットしておくことで、スイッチ装置A又はサーバBへの接続の際のコネクタ配置を整列させることができる。なお、整列部材30によって整列されたコネクタ11,12をスイッチ装置A又はサーバBへ接続した後、当該部材を取り外せるように、整列部材30には分離ライン34が設けられていてもよい。
【0034】
また、別の整列部材として、図8に示すスポンジ製の整列部材40を用いて、接続コード10をスイッチ装置A又はサーバBに一括して接続するようにしてもよい。整列部材40には、図8に示すように、接続コード10の数に対応する切り込み42(図の例では7つの切り込み)が設けられている。切り込み42は、図示の下方に深さを有する切り込みであり、左右方向に延在する。各接続コード10の先端側の部分を対応するそれぞれの切り込み42内に入れて引っ掛けるようにし、より好ましくは各接続コード10に付与された番号順(ラベル13又は14に記載の番号順)に配置される。このように接続コード10の対応するコネクタ11又は12に近接する領域をスポンジ製の整列部材40により予め整列しておくことで、スイッチ装置A又はサーバBへの接続の際のコネクタ配置をより確実に確定しておくことができる。また、接続コード10が収納される領域が切り込み42であることから、整列部材40によって整列されたコネクタ11又は12をスイッチ装置A又はサーバBへ接続した後、当該部材を容易に取り外すことができる。但し、取り外さなくてもよい。なお、このスポンジ製の整列部材40の外形の一例としては、長さ110mm、奥行き13mm、高さ18mmといったスポンジ片を用いることができ、そこに所定間隔で深さ13mmの切り込みが設けられる。
【0035】
また、上記の実施形態では、2つのラックR1,R2に1つの光/メタル複合ハーネス1を適用する例を示したが、これに限定されず、図9に示すような4つのラックR1からR4に1つの光/メタル複合ハーネス1を適用するようにしてもよく、また、図10に示すように6つのラックR1からR6に1つの光/メタル複合ハーネス1を適用するようにしてもよい。このような構成の場合には、跨ぎ部7の数を増加させる又は第1束ね部材20や第2束ね部材22等で束ねる接続コード10の数を適宜変更する等して、光/メタル複合ハーネス1の構成を適宜変更する。また、上述した実施形態では、予備用の接続コード等を設ける構成ではなかったが、予備用の接続コードを光/メタル複合ハーネス1に更に設けておき、いずれかの接続コード10に不良等が発生した場合に予備用の接続コードを作業現場において利用できるようにしてもよい。このような予備用の接続コードを1又は数本設けておいて、光/メタル複合ハーネス1の一部に不良があった場合に利用することにより、コストや手間がかかるハーネス全体を取り換えるといった作業を防止できる。
【0036】
また、上記の実施形態では、光配線盤において光スイッチ/LANスイッチ等のスイッチ装置AとサーバBとを接続する接続ハーネスに本発明を適用した例を示したが、本発明は、ストレージ装置やネットワーク装置等の装置内における配線に適用してももちろんよい。また、上述したハーネスでは、光ファイバコードとメタルコードとが混合された接続コード10を用いていたが、接続コードとして、光ファイバコード及びメタルコードの少なくとも一方のみが含まれる接続コードを用いたハーネスに、上述した構成を適用してももちろんよい。
【符号の説明】
【0037】
1…光/メタル複合ハーネス(接続ハーネス)、3…接続部、5…接続部、7…跨ぎ部、9…余長部、10…接続コード、10A…接続コード群、11…コネクタ(第1コネクタ)、12…コネクタ(第2コネクタ)、13,14…ラベル、16…光ファイバ心線、17…抗張力繊維、18…外被、20…第1束ね部材、22…第2束ね部材、24…第3束ね部材、30,40…整列部材、32…開口、34…分離ライン、42…切り込み、A,aからa…スイッチ装置(第1装置)、B,bからb…サーバ(第2装置)、R1からR6…ラック、Ra…開口、S…光配線盤。
図1
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