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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】柱同士の接合構造の剛性評価方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/30 20060101AFI20230904BHJP
   E04B 1/21 20060101ALI20230904BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
E04B1/30 H ESW
E04B1/30 C
E04B1/21 C
E04B1/58 503M
E04B1/58 503N
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019069845
(22)【出願日】2019-04-01
(65)【公開番号】P2020169442
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】金本 清臣
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-264049(JP,A)
【文献】特開2013-181350(JP,A)
【文献】「4.1.8 根巻型柱脚をもつ柱の剛性評価」,大阪府内の構造計算適合性判定に係る「よくある質疑事項の解説」,日本,大阪府,2013年03月,https://support.kozo.co.jp/support/disp.php?q2=&p1=2394
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/21,1/30
E04B 1/58
E04C 3/30-3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CFT造の第一柱と、該第一柱の上方に配置され、コンクリート部及び該コンクリート部内を鉛直方向に延びる柱主筋を有するRC造の第二柱とを接合する柱同士の接合構造の剛性評価方法であって、
前記第一柱の上端部に、鋼管を上方に延出させた形で形成された根巻鋼管部が設けられ、
前記第二柱の前記柱主筋が前記根巻鋼管部の内部に挿入されるとともに、前記根巻鋼管部の内部にコンクリートが充填され、
前記第一柱と前記第二柱との接合構造の反曲点高さ位置における前記第二柱の水平変形(δ1)を算出するステップと、
前記根巻鋼管部と前記第二柱との切替え位置における前記根巻鋼管部の水平変形に前記第一柱の高さと前記根巻鋼管部の高さの違いに応じた係数を乗じて前記第一柱と前記第二柱とで構成される接合構造の反曲点高さ位置における水平変形に換算した水平変形(δ2)を算出するステップと、
前記水平変形(δ1)に前記水平変形(δ2)を加えて、前記第一柱と前記第二柱とで構成される前記接合構造の反曲点高さ位置における水平変形(δ3)を算出するステップと、
前記水平変形(δ3)と同等な水平変形(δ)となるように、前記第一柱と前記第二柱の2種類の構造で構成されている接合構造を、前記第二柱の1種類の構造で構成されているものとみなして、反曲点高さを修正した簡易モデルを構築するステップと、
前記簡易モデルによって算出される前記水平変形(δ)を用いて、前記柱同士の接合構造の剛性に基づく復元力を評価するステップと、を備えることを特徴とする柱同士の接合構造の剛性評価方法。
【請求項2】
前記水平変形(δ)を下記の式(1)によって算出することを特徴とする請求項1に記載の柱同士の接合構造の剛性評価方法。
【数1】

ここで、δは第一柱と第二柱とで構成される接合構造の反曲点高さ位置における水平変形(mm)、Eはコンクリートの弾性係数(N/mm)、Iは鉄筋を考慮した第二柱の断面二次モーメント(mm)、Qは反曲点高さ位置に作用するせん断力(N)、Hは第二柱の床スラブ天端から反曲点までの高さ(mm)、hは根巻鋼管部の高さ(mm)、Gはコンクリートのせん断弾性係数(N/mm)、Aは第二柱の断面積(mm)、Kは第二柱のせん断変形に関する形状係数である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱同士の接合構造の剛性評価方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、下方に配置された充填鋼管コンクリート造(以下、「CFT造」と称することがある)の柱と、上方に配置された鉄筋コンクリート造(以下、「RC造」と称することがある)の柱とを接合する構造については、いくつか知られている(下記の特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-2006号公報
【文献】特開2018-96071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1、2に記載された柱同士の接合構造において、接合部の剛性を評価する手法についてはが確立されていない。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、下方に配置された充填鋼管コンクリート造の柱と上方に配置された鉄筋コンクリート造の柱とを接合する柱同士の接合構造の剛性評価方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る柱同士の接合構造の剛性評価方法は、CFT造の第一柱と、該第一柱の上方に配置され、コンクリート部及び該コンクリート部内を鉛直方向に延びる柱主筋を有するRC造の第二柱とを接合する柱同士の接合構造の剛性評価方法であって、前記第一柱の上端部に、鋼管を上方に延出させた形で形成された根巻鋼管部が設けられ、前記第二柱の前記柱主筋が前記根巻鋼管部の内部に挿入されるとともに、前記根巻鋼管部の内部にコンクリートが充填され、前記第一柱と前記第二柱との接合構造の反曲点高さ位置における前記第二柱の水平変形(δ1)を算出するステップと、前記根巻鋼管部と前記第二柱との切替え位置における前記根巻鋼管部の水平変形に前記第一柱の高さと前記根巻鋼管部の高さの違いに応じた係数を乗じて前記第一柱と前記第二柱とで構成される接合構造の反曲点高さ位置における水平変形に換算した水平変形(δ2)を算出するステップと、前記水平変形(δ1)に前記水平変形(δ2)を加えて、前記第一柱と前記第二柱とで構成される前記接合構造の反曲点高さ位置における水平変形(δ3)を算出するステップと、前記水平変形(δ3)と同等な水平変形(δ)となるように、前記第一柱と前記第二柱の2種類の構造で構成されている接合構造を、前記第二柱の1種類の構造で構成されているものとみなして、反曲点高さを修正した簡易モデルを構築するステップと、前記簡易モデルによって算出される前記水平変形(δ)を用いて、前記柱同士の接合構造の剛性に基づく復元力を評価するステップと、を備えることを特徴とする。
【0007】
このように構成された柱同士の接合構造の剛性評価方法では、第一柱と第二柱とで構成されている接合構造のうち、第二柱の1種類の構造で構成されているものとみなして構築した簡易モデルによる剛性に基づいて復元力を適切に評価することができる。
【0008】
また、本発明に係る柱同士の接合構造の剛性評価方法では、前記水平変形(δ )を下記の式(1)によって算出することが好ましい。
【0009】
【数1】
【0010】
ここで、δは第一柱と第二柱とで構成される接合構造の反曲点高さ位置における水平変形(mm)、Eはコンクリートの弾性係数(N/mm)、Iは鉄筋を考慮した第二柱の断面二次モーメント(mm)、Qは反曲点高さ位置に作用するせん断力(N)、Hは第二柱の床スラブ天端から反曲点までの高さ(mm)、hは根巻鋼管部の高さ(mm)、Gはコンクリートのせん断弾性係数(N/mm)、Aは第二柱の断面積(mm)、Kは第二柱のせん断変形に関する形状係数である。
【0011】
このように構成された柱同士の接合構造の剛性評価方法に必要な水平変形については、式(1)の各パラメータに諸元を代入して計算を行えば、第一柱と第二柱とで構成されている接合構造の反力点高さ位置における水平変形δを求めることができる。また、第一柱と第二柱との接合構造を第二柱の1種類の構造で構成されているものとみなして反曲点高さをH-0.55hとすることで、第一柱と第二柱とで構成される接合構造の反曲点高さ位置における水平変形δと同等な水平変形δを簡易に求めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る柱同士の接合構造の剛性評価方法によれば、提案の方法により接合構造の復元力と適切に評価するために必要な反曲点高さ位置における水平変形を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る柱同士の接合構造の剛性評価方法の対象となる柱同士の接合構造を示す図である。
図2】柱同士の接合構造において、(a)部材の曲げモーメント分布を示す図であり、(b)構成部材ごとの曲げモーメント分布を示す図である。
図3】柱同士の接合構造において、(a)詳細モデルの構成部材の変形状態を示す図であり、(b)簡易モデルの構成部材の変形状態を示す図である。
図4】構造性能確認実験で用いられた試験体の構成を示す(a)立面図であり、(b)図7(a)のA-A’線断面図であり、(c)図7(a)のB-B’線断面図である。
図5】部材変形角とせん断力との関係について、実験結果及び詳細モデルの骨格曲線を示す図である。
図6】部材変形角とせん断力との関係について、実験結果及び簡易モデルの骨格曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係る柱同士の接合構造の剛性評価方法について、図面を用いて説明する。
まず、剛性評価方法の対象となる柱同士の接合構造について説明する。
図1は、柱同士の接合構造を示す図である。
図1に示すように、柱同士の接合構造Aは、低層部1aに配置されたCFT造のCFT柱(第一柱)2と、CFT柱2の上方の上層部1bに配置されたRC造のRC柱(第二柱)3とを接合している。
【0023】
RC柱3は、コンクリート部11と、コンクリート部11内を鉛直方向に延びる主筋(柱主筋)12と、を有している。
【0024】
CFT柱2とRC柱3とで構成される接合構造Aは、CFT柱2の鋼管5をCFT柱2の頂部2aから根巻きレベル程度(根巻鋼管部6の外形の1.5~2.0倍程度)上方に延出させ、その鋼管5の延出部分である根巻鋼管部6の内部にRC柱3の主筋12の下部12aを挿入するとともに、RC柱3のコンクリート部11と連続してコンクリート11aを打設充填して定着させるように構成されている。
【0025】
根巻鋼管部6の頂部側は、根巻鋼管部6の内面から内側に突出し周方向に延びて繋がる環状のリブプレートが補剛部6aとして設けられ、このリブプレートによって根巻鋼管部6を補剛し、面外変形を抑制するようにしている。
【0026】
また、根巻鋼管部6に挿入される部分のRC柱3の主筋12の下部12aには定着板10を取り付け、主筋12の下部12aを根巻鋼管部6内部のコンクリート11aに確実に定着させ、主筋12がコンクリート11aから抜け出すことを防止している。低層部1a及び上層部1bにおいて、各柱2,3には鉄骨梁4が接合されている。
【0027】
図2は、柱同士の接合構造において、(a)部材の曲げモーメント分布を示す図であり、(b)構成部材ごとの曲げモーメント分布を示す図である。
図2(a)のように、CFT柱2とRC柱3とで構成される接合構造Aをモデル化している。図2(b)では左側にRC柱3に作用する曲げモーメントを示し、右側に根巻鋼管部6に作用する曲げモーメントを示している。図2(b)に示すように、CFT柱2とRC柱3との切替え部からCFT柱2側にh下がった高さ位置に生じる支圧反力R1がCFT柱2の上部(根巻鋼管部6)に作用するものとしている。
【0028】
次に、上記の柱同士の接合構造Aの復元力評価の際に必要な剛性の評価方法(以下、「剛性評価方法」と称する)について説明する。
図3は、柱同士の接合構造において、(a)詳細モデルの構成部材の変形状態を示す図であり、(b)簡易モデルの構成部材の変形状態を示す図である。
剛性評価方法は、図3(a)に示す詳細モデルを用いて、RC柱3の水平変形と、CFT柱2の上部の鋼管(根巻鋼管部6)とRC柱3との切替え位置における鋼管(根巻鋼管部6)の水平変形を算出して、これをCFT柱2とRC柱3とで構成される接合構造Aの反曲点高さ位置の水平変形に換算し、それらを合計する方法がある。詳細モデルでは、RC柱3とCFT柱2の2種類の構造で構成されている柱同士の接合構造Aの復元力をそれぞれの材料特性を考慮して設定している。RC柱3の水平変形に、根巻鋼管部6とRC柱3との切替え位置における根巻鋼管部6の水平変形にCFT柱2の高さと根巻鋼管部6の高さの違いに応じた係数(H/(h+h))を乗じてCFT柱2とRC柱3とで構成される接合構造Aの反曲点高さ位置における水平変形に換算した水平変形を加えた水平変形により剛性を評価している。
【0029】
RC柱3の水平変形は、下記の式(5)になる。
【0030】
【数5】
【0031】
CFT柱2の鋼管の水平変形は、下記の式(6)になる。
【0032】
【数6】
【0033】
詳細モデルの剛性評価に用いる水平変形は、下記の式(7)になる。
【0034】
【数7】
【0035】
ここで、RCδは第二柱の水平変形(mm)、Eはコンクリートの弾性係数(N/mm)、Iは鉄筋を考慮した第二柱の断面二次モーメント(mm)、MC1は第一柱と第二柱との切替え部から根巻鋼管部側にh下がった高さ位置におけるRC部の負担曲げモーメント(N・mm)、hRCは根巻鋼管部の上端部高さから反曲点高さまでの距離(mm)、hは根巻鋼管部から第一柱内コンクリートの上側に作用する支圧反力の作用位置(mm)、MC3は根巻鋼管部下端から上側にh上がった位置におけるRC部の負担曲げモーメント(N・mm)、hは上下支圧反力作用位置間の距離(mm)で、h=h-h-hで表される、hRCは根巻鋼管部の上端部から反曲点高さまでの距離(mm)、MC2はコンクリートと根巻鋼管部内面との間に生じる摩擦力μ・Rによる曲げモーメントMを考慮した第一柱と第二柱との切替え部から第一柱側にh下がった高さ位置におけるRC部の負担曲げモーメント(N・mm)、Gはコンクリートのせん断弾性係数(N/mm)、Aは第二柱の断面積(mm)、Kは第二柱のせん断変形に関する形状係数、Qは反曲点高さ位置に作用するせん断力(N)、δは根巻鋼管部分の水平変形(mm)、Eは根巻鋼管部の弾性係数(N/mm)、Iは根巻鋼管部の断面二次モーメント(mm)、MS2は支圧反力Rによる根巻鋼管部下端から上側にh上がった位置における根巻鋼管部の負担曲げモーメント(N・mm)、MS1は第一柱と第二柱との切替え部から第一柱側にh下がった高さ位置に作用するコンクリートと根巻鋼管部内面との間に生じる摩擦力による曲げモーメント(N・mm)、MS3はコンクリートと根巻鋼管部内面との間に生じる摩擦力μ・Rによる曲げモーメントMを考慮した根巻鋼管下端からh上がった位置における根巻鋼管部の負担曲げモーメント(N・mm)、hは第一柱内コンクリートに作用する根巻鋼管部からの下側支圧反力の作用位置(mm)、MS4は支圧反力Rによる根巻鋼管部下端位置における根巻鋼管部の負担曲げモーメント(N・mm)、Gは根巻鋼管部のせん断弾性係数(N/mm)、Aは根巻鋼管部の断面積(mm)、Kは根巻鋼管部のせん断変形に関する形状係数、δは第一柱と第二柱とで構成される接合構造の反曲点高さ位置における水平変形(mm)である。
【0036】
また、剛性評価方法としては、図3(b)に示すように、CFT柱2とRC柱3の2種類の構造で構成される接合構造Aの詳細モデルの反曲点高さ位置における水平変形と同等な水平変形となるように、CFT柱2とRC柱3の2種類の構造で構成されている接合構造をRC柱3の1種類の構造で構成されているものとみなして、反曲点高さをH-0.55hとした簡易モデルを用いる方法もある。
【0037】
簡易モデルによって剛性を評価する際に用いる水平変形は、下記の式(8)になる。
【0038】
【数8】
【0039】
ここで、δは第一柱と第二柱とで構成される接合構造の反曲点高さ位置における水平変形(mm)、Eはコンクリートの弾性係数(N/mm)、Iは鉄筋を考慮した第二柱の断面二次モーメント(mm)、Qは反曲点高さ位置に作用するせん断力(N)、Hは第二柱の床スラブ天端から反曲点までの高さ(mm)、hは根巻鋼管部の高さ(mm)、Gはコンクリートのせん断弾性係数(N/mm)、Aは第二柱の断面積(mm)、Kは第二柱のせん断変形に関する形状係数である。
【0040】
RC部材のひび割れ耐力式は、下記の式(9)になる。
【0041】
【数9】
【0042】
ここで、RCは第二柱の曲げひび割れモーメント(N・mm)、σはコンクリートの実圧縮強度(N/mm)、Zeはスラブの有効幅を考慮した等価断面係数(mm)、Nは作用軸力(N)、Dは第二柱のせい(mm)、RCは第二柱に作用するせん断力(N)、hRCは根巻鋼管部の上端部高さから反曲点高さまでの距離(mm)である。
【0043】
剛性低下率算定式は、下記の式(10)になる。
【0044】
【数10】
【0045】
ここで、αは曲げ剛性低下率、nはヤング係数比、pは引張鉄筋比、aはシアスパン(=hRC)(mm)、ηは軸力比、Dは第二柱のせい(mm)、dは第二柱の有効せい(mm)である。
【0046】
RC部材の曲げ終局耐力式は、下記の式(11)になる。
【0047】
【数11】
【0048】
ここで、RCは第二柱の終局曲げモーメント(N・mm)、RCは第二柱に作用する終局せん断力(N)、Nmax第二柱が負担できる最大軸力(N)で、Nmax=B・D・σで計算できる、Nは作用軸力(N)、Nminは第二柱が負担できる最小軸力(N)、aは第二柱内の主筋の全断面積(mm)、σは柱主筋の降伏強度(N/mm)、gは引張鉄筋重心と圧縮鉄筋重心との距離の全せいに対する比、bは第二柱の幅(=B)(mm)、Dは第二柱のせい(=D)(mm)、Fcはコンクリートの設計基準強度(N/mm)、Nは釣り合い軸力(N)である。
【0049】
次に、上記に示す実施形態のCFT柱2とRC柱3の接合構造Aの構造性能確認実験結果について説明する。
本実験は、階高下部のCFT柱を階高の途中でRC柱に切り替えるCFT柱-RC柱について構造性能確認実験を行い、想定している剛性評価方法の妥当性を検証するものである。試験体図を図4に示す。
【0050】
加力方法は、所定の軸力作用下で、所定の加力サイクルに従い、RC柱頂部に正負交番漸増繰返しせん断力を与えるものである。
【0051】
接合部の部材変形角とせん断力との関係について、実験結果を図5及び図6に示すとともに、詳細モデルについては図5に、簡易モデルについては図6に示している。
図5及び図6に示すように、簡易モデルの復元力は、詳細モデルの復元力と同等であることが分かる。
【0052】
このように構成された柱同士の接合構造Aの剛性評価方法では、CFT柱2とRC柱3の接合構造が1種類のRC構造で構成されているものとみなした簡易モデルを用いることで、復元力を適切に評価することができる。
【0053】
つまり、簡易モデルの式(8)の各パラメータに諸元を代入して計算を行えば、CFT柱2とRC柱3とで構成されている接合構造Aの反力点高さ位置における水平変形δを求めることができる。また、CFT柱2とRC柱3の2種類の構造で構成されている接合構造Aを、RC柱3の1種類の構造で構成されているものとみなして反曲点高さをH-0.55hとすることで、CFT柱2とRC柱3とで構成される接合構造Aの反力点高さ位置における水平変形δと同等な水平変形δを簡易に求めることができる。
【0054】
また、簡易モデルを用いることで、汎用のフレーム解析コードでの応力解析を容易に行うことができる。
【0055】
また、RC柱3の水平変形に、根巻鋼管部6とRC柱3との切替え位置における根巻鋼管部6の水平変形にCFT柱2の高さと根巻鋼管部6の高さの違いに応じた係数を乗じてCFT柱2とRC柱3とで構成される接合構造Aの反曲点高さ位置における水平変形に換算した水平変形を加えたCFT柱2とRC柱3とで構成される接合構造Aの反曲点高さ位置における水平変形により、剛性を適切に評価することができる。
【0056】
つまり、詳細モデルの式(5)~(7)の各パラメータに諸元を代入して計算を行えば、CFT柱2とRC柱3とで構成される接合構造Aの反曲点高さ位置における水平変形δを求めることができる。
【0057】
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0058】
1a…低層部
1b…上層部
2…CFT柱(第一柱)
2a…頂部
3…RC柱(第二柱)
4…鉄骨梁
5…鋼管
6…根巻鋼管部
10…定着板
11…コンクリート部
12…主筋
図1
図2
図3
図4
図5
図6