(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】統合管理システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20230904BHJP
【FI】
G05D1/02 P
(21)【出願番号】P 2019074256
(22)【出願日】2019-04-09
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 優司
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 俊介
(72)【発明者】
【氏名】谷 卓
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-228101(JP,A)
【文献】特開2018-62395(JP,A)
【文献】特開2019-23848(JP,A)
【文献】特開2006-195969(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016211129(DE,A1)
【文献】特開2016-61714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エリア内に配置された自律移動可能な移動体の動作を管理するための統合管理システムであって、
エリア内に仮想的に設定され、二つ以上のノードおよびノード間を接続するエッジを含んで構成されるルートマップと、移動体がノードから、少なくとも一つのエッジを経由して行先のノードまで移動するためのルートを設定するルート設定手段と、設定したルートに沿って移動体が移動するように移動体を制御する制御手段とを備え
、
前記ルートマップは、所定のノードを介して資材置場の集合体であるヤードと接続した部分を含んでおり、前記ヤードには、区画形成されたマテリアルブロックが複数並べられ、前記マテリアルブロックの近傍には、前記マテリアルブロックに対してアプローチするノードであるアプローチノードが設定されていることを特徴とする統合管理システム。
【請求項2】
制御手段は、設定したルートに沿って移動体を移動させるための指令情報を生成し、移動体は、受信した指令情報に基づいて移動を開始してルートに沿って移動することを特徴とする請求項1に記載の統合管理システム。
【請求項3】
制御手段は、設定したルートに沿って移動体を移動させるための移動指令情報と、所定のノードまたはエッジに位置する移動体を動作させるための動作指令情報を生成し、移動体は、移動指令情報および動作指令情報を受信するとともに、移動指令情報に基づいて移動を開始してルートに沿って移動する一方で、所定のノードまたはエッジでは動作指令情報に基づいて動作することを特徴とする請求項1または2に記載の統合管理システム。
【請求項4】
ルート設定手段は、複数のルートから移動距離または移動時間が最短となるルートを選定することを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の統合管理システム。
【請求項5】
移動体は、荷物を搬送する搬送ロボットであり、搬送元の場所を示すノードから、搬送先の場所を示すノードまで移動するように制御されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の統合管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ビル建設現場などで資材を搬送するのに用いられる多数の搬送台車や搬送ロボットなどを統合的に管理するのに好適な統合管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビル建設現場などでは、資材の搬送に自動搬送台車を用いることがある。自動搬送台車の走行方式としては、例えば、床面に敷設した走行レールを検知して走行する方式などが使用される。また、自動搬送台車の資材登録においては、資材搬送時に搬送先目的地管理を目的としてアドレスマーカ等を用いて台車の運行管理を行っている(例えば、特許文献1を参照)。しかし、現場のレイアウト変更時には、走行レール、アドレスマーカ等の盛替手間が掛かるため、物理的に手間を掛けずにレイアウト変更を可能とする技術が求められていた。
【0003】
こうした問題を解決するための従来の技術として、例えば特許文献2に記載のものが知られている。この特許文献2は、作業フロアーの上方に作業フロアーの映像を得る撮像器を床面に垂直に取り付け、その映像から自走台車や荷の位置、障害物の位置を認識し、適当な経路を経路生成器で作成しその経路に基づいて自走台車を制御するものである。この制御は、制御コンピュータが常に自走台車の自己位置よりもゴールに近い次のサブゴールを逐次的に自走台車に指示することによって行われる。
【0004】
一方、本特許出願人は、特許文献3に示すような統合管理システムを既に提案している。この特許文献3は、施工現場において用いられ、資材を搬送するための搬送ロボットと、資材を施工するための施工ロボットとを統合的に管理するシステムであって、無線もしくは有線の通信手段を用いて少なくとも一台の搬送ロボットの搬送動作を制御管理する搬送ロボット管理手段と、無線もしくは有線の通信手段を用いて少なくとも一台の施工ロボットの施工動作を制御管理する施工ロボット管理手段とを備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-3500号公報
【文献】特開平9-230933号公報
【文献】特開2017-228101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の従来の特許文献2は、作業フロアーの映像から自走台車や荷の位置、障害物の位置を認識して、自走台車の走行経路を設定するため、死角がある場合には認識が困難となり、走行経路を適切に設定することができない。一方、死角を減らすために撮像器を増設するとコストアップを招くおそれがある。また、映像から位置を認識するために、高度で複雑な画像解析処理や座標変換処理を要する。このため、台車のような移動体の走行経路を容易に設定することのできる技術が求められていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、移動体の移動ルートを容易に設定することのできる統合管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る統合管理システムは、エリア内に配置された自律移動可能な移動体の動作を管理するための統合管理システムであって、エリア内に仮想的に設定され、二つ以上のノードおよびノード間を接続するエッジを含んで構成されるルートマップと、移動体がノードから、少なくとも一つのエッジを経由して行先のノードまで移動するためのルートを設定するルート設定手段と、設定したルートに沿って移動体が移動するように移動体を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他の統合管理システムは、上述した発明において、制御手段は、設定したルートに沿って移動体を移動させるための指令情報を生成し、移動体は、受信した指令情報に基づいて移動を開始してルートに沿って移動することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る他の統合管理システムは、上述した発明において、制御手段は、設定したルートに沿って移動体を移動させるための移動指令情報と、所定のノードまたはエッジに位置する移動体を動作させるための動作指令情報を生成し、移動体は、移動指令情報および動作指令情報を受信するとともに、移動指令情報に基づいて移動を開始してルートに沿って移動する一方で、所定のノードまたはエッジでは動作指令情報に基づいて動作することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る他の統合管理システムは、上述した発明において、ルート設定手段は、複数のルートから移動距離または移動時間が最短となるルートを選定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る他の統合管理システムは、上述した発明において、移動体は、荷物を搬送する搬送ロボットであり、搬送元の場所を示すノードから、搬送先の場所を示すノードまで移動するように制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る統合管理システムによれば、エリア内に配置された自律移動可能な移動体の動作を管理するための統合管理システムであって、エリア内に仮想的に設定され、二つ以上のノードおよびノード間を接続するエッジを含んで構成されるルートマップと、移動体がノードから、少なくとも一つのエッジを経由して行先のノードまで移動するためのルートを設定するルート設定手段と、設定したルートに沿って移動体が移動するように移動体を制御する制御手段とを備えるので、移動体の移動ルートを容易に設定することができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明に係る他の統合管理システムによれば、制御手段は、設定したルートに沿って移動体を移動させるための指令情報を生成し、移動体は、受信した指令情報に基づいて移動を開始してルートに沿って移動するので、移動体をルートに沿って移動させることができるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明に係る他の統合管理システムによれば、制御手段は、設定したルートに沿って移動体を移動させるための移動指令情報と、所定のノードまたはエッジに位置する移動体を動作させるための動作指令情報を生成し、移動体は、移動指令情報および動作指令情報を受信するとともに、移動指令情報に基づいて移動を開始してルートに沿って移動する一方で、所定のノードまたはエッジでは動作指令情報に基づいて動作するので、移動体をルートに沿って移動させることができるとともに、所定のノードまたはエッジで所定の動作をさせることができるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明に係る他の統合管理システムによれば、ルート設定手段は、複数のルートから移動距離または移動時間が最短となるルートを選定するので、移動距離または移動時間が最短となるルートに沿って移動体を移動させることができるという効果を奏する。
【0017】
また、本発明に係る他の統合管理システムによれば、移動体は、荷物を搬送する搬送ロボットであり、搬送元の場所を示すノードから、搬送先の場所を示すノードまで移動するように制御されるので、移動体によって搬送元から搬送先まで荷物を搬送することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明に係る統合管理システムの実施の形態を示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、ルートマップとヤードの関係の説明図である。
【
図3】
図3は、マテリアルブロックが複数集まったヤードの説明図である。
【
図4】
図4は、マテリアルブロックとアプローチノードの関係の説明図である。
【
図5】
図5は、設定されたルートマップの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、ルート設定手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る統合管理システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態に係る統合管理システム10は、複数階(エリア)からなる建物の施工現場に適用されるものである。1階の床には水平搬送台車1が配置され、3階の床には水平搬送台車2、3、間配り台車4、作業ロボット5が配置されている。また、この建物の左端には資材運搬用のエレベータ/リフト6が設けられている。エレベータ/リフト6には図示しない自動開閉扉が備わっている。
【0021】
水平搬送台車1~3、間配り台車4は搬送ロボット(自律移動可能な移動体)である。水平搬送台車1~3は、床面上を水平に走行して資材(荷物)を搬送する台車であり、水平搬送台車1は、1階でエレベータ/リフト6と図示しない資材置場等の間を往復移動する。水平搬送台車2、3は、3階でエレベータ/リフト6と資材置場等(不図示)との間を往復移動する。間配り台車4は資材を作業ロボット5に配る台車、作業ロボット5は施工ロボットである。
【0022】
管理端末12では、搬送対象の資材、搬送順序、搬送先階数、施工順序など作業指示情報を入力することができ、入力に応じた作業指示をインターネット公衆回線網16と管理サーバ14を経由して上記の各種自動化機械に命令することができる。管理端末12は例えば持ち運びが容易なタブレット型端末で構成することができる。
図1の例では、管理端末12は1階の作業管理者Aが携帯している。
【0023】
管理サーバ14には、後述のルートマップの他に、図面データ、資材データ、搬送データ、施工データ、作業状態データが記録されており、インターネット公衆回線網16を経由して上記の各種自動化機械と適時送受信可能となっている。図面データとは、各階の建物形状データとともに、水平搬送台車1~3、間配り台車4といった搬送ロボットの初期位置やエレベータ/リフト6の設置場所、資材置場などの情報を含むデータである。資材データとは、資材の種別、寸法、重量、数量の情報を含むデータである。搬送データとは、搬送する資材の順序、仮置場所、階数、搬送先仮置場所、階数の情報を含むデータであり、資材データに紐づけされる。施工データとは、施工資材の順序、場所、階数、取り付け座標の情報を含むデータであり、資材データに紐づけされる。作業状態データとは、水平搬送台車1~3、間配り台車4といった搬送ロボット、エレベータ/リフト6、作業ロボット5の現在状態情報であり、搬送ロボットであれば現在位置、速度や資材積載の有無、計測重量などである。エレベータ/リフト6であれば搬器の位置、資材の積載情報、計測重量、扉の開閉状況である。作業ロボット5であれば施工位置、資材の有無、把持や取り付けなど作業状況、作業支材の計測重量などである。
【0024】
水平搬送台車1、2、3、間配り台車4、作業ロボット5、エレベータ/リフト6などの仮設機械設備、管理端末12、管理サーバ14は、インターネット公衆回線網16に無線または有線通信回線を介して相互に接続している。また、管理サーバ14は、インターネット公衆回線網16を通じて、運用場所の水平搬送台車1~3、間配り台車4、作業ロボット5、エレベータ/リフト6、管理端末12とデータ通信可能であり、命令、報告等の各種データを送受信できるようになっている。これにより、統合管理システム10を使って、施工現場内の施工状況や各種自動化機械(水平搬送台車1、2、3、間配り台車4、作業ロボット5、エレベータ/リフト6等)を統合管理することで各々を連携し搬送から施工まで一体で自動化することが可能となる。
【0025】
水平搬送台車1~3、間配り台車4は、図面データを基にSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)等のレーザー自己位置認識システムを使って自律走行することができ、管理端末12により指示された順序に従い資材を資材置場からエレベータ/リフト6、またはエレベータ/リフト6から資材置場へ搬送する。
【0026】
エレベータ/リフト6は、水平搬送台車1~3からの資材積込みまたは荷降ろしの情報に基づき扉の自動開閉ができ、管理端末12により指示された揚重先階数へ移動し、荷降ろし後に積込み階に移動することができるようになっている。
【0027】
作業ロボット5(施工ロボット)は、図面データを基にSLAMにより自律走行することができ、管理端末12により指示された施工順序に従い資材を指定の場所に取り付け施工等を行えるようになっている。
【0028】
上記のように構成した統合管理システム10では、搬入された資材を水平搬送台車1によってエレベータ/リフト6に積込み、施工階へ揚重する。そして、水平搬送台車2、3によってエレベータ/リフト6から荷降ろし、水平搬送台車2、3、間配り台車4によって資材置場まで運搬する。さらに、運搬された資材を作業ロボット5によって施工する一連の制御管理を行う。
【0029】
この統合管理システム10は、水平搬送台車1、2、3、間配り台車4、作業ロボット5、エレベータ/リフト6の動作を制御する制御手段と、ルートマップと、ルート設定手段とを備えている。制御手段と、ルート設定手段は、管理端末12および管理サーバ14に格納されている。
【0030】
図2に示すように、ルートマップ20は、既知の図面データを参考にして、各階の床面上に仮想的に設定登録されたものであり、管理サーバ14に格納されている。ネットワークの節点であるノード22と、ノード22間を接続するエッジ24(辺)を含んで構成される。エッジ24は、柱等の障害物を回避して、通過可能な位置に配置されている。ルートマップ20は、所定のノード22を介して資材置場の集合体であるヤード26と接続している。
図3に示すように、1つのヤード26には、資材置場等として区画形成されたマテリアルブロック28が複数並べられる。ヤード26は、マテリアルブロック28に置かれる資材と紐付けされている。
図4に示すように、各マテリアルブロック28の近傍には、アプローチノード22Aが設定される。アプローチノード22Aは、マテリアルブロック28に対して荷取り等をするためにアプローチする節点を示すノードである。
【0031】
マテリアルブロック28には、用途を設定することができる。例えば、資材置場用のマテリアルブロックの他に、エレベータ/リフトの前の場所で作業するためのエレベータ/リフト用のマテリアルブロック、待機場所用のマテリアルブロック、充電場所用のマテリアルブロックなどを設定できる。資材置場用のマテリアルブロックとしては、例えば資材のサイズに応じたブロックを設定可能である。例えば、短尺物は長さ2.2m、幅1.1mのマテリアルブロック、長尺物はこれを2つ繋げた長さ4.4m、幅1.1mのマテリアルブロックとしてもよい。また、ノード22にも、用途を設定することができる。例えば、ルートマップ20を構成するための通常のノード、上述のアプローチノード22Aの他に、マテリアルブロック28の種類と位置を示すマテリアルブロックノードなどを設定できる。
【0032】
ルート設定手段は、各台車1~4が所定のノード22(出発地点)からエッジ24を経由して行先のノード22(行先地点)まで移動するためのルートを設定するためのものである。出発地点のノード22には、例えば待機場所用のマテリアルブロックを示すマテリアルブロックノードを指定し、行先地点のノード22には、例えばアプローチノード22Aを指定することができる。また、ヤード26に対応するノード22を行先地点に指定してもよい。ルート設定手段は、管理サーバ14に格納されたルートマップ20と、管理端末12から入力されたルート設定情報に基づいてルートを設定する。なお、ルート設定手段は、複数のルート候補から移動距離または移動時間が最短となるルートを選定するようにしてもよい。このようにすれば、移動距離または移動時間が最短となるルートに沿って各台車1~4を移動させることができる。
【0033】
制御手段は、設定したルートに沿って各台車1~4が移動するように制御するとともに、所定のノード22またはエッジ24で各台車1~4が所定の動作をするように制御する。具体的には、制御手段は、設定したルートに沿って各台車1~4を移動させるための移動指令情報と、あらかじめ設定した所定のノード22またはエッジ24に各台車1~4が位置する場合に、各台車1~4に所定の動作をさせるための動作指令情報を生成する。各台車1~4は、インターネット公衆回線網16を介して移動指令情報および動作指令情報を受信し、移動指令情報に基づいて移動を開始してルートに沿って移動する。これにより、搬送元から搬送先まで資材を搬送することができる。
【0034】
一方、各台車1~4は、所定のノード22またはエッジ24では動作指令情報に基づいて動作する。例えば、各台車1~4がアプローチノード22Aに到着した場合は、対応するマテリアルブロック28から資材を取ったり、マテリアルブロック28に資材を置いたりするなどのアプローチ動作を各台車1~4にさせることができる。また、各台車1~4がヤード26に対応するノード22に到着した場合には、そのヤード26の端のマテリアルブロック28から順に資材を置いたり、資材を取ったりするように動作させてもよい。また、進行方向前方にアプローチノード22Aがあるエッジ24では、各台車1~4の向きが所定の方向(例えば前方)を向くように動作をさせてもよい。所定のノード22の位置では、各台車1~4が回転可能または回転不能であるように動作設定してもよい。
【0035】
次に、本実施の形態を適用したルート設定および搬送手順の一例について説明する。
まず、ルートマップを事前に設定登録しておく。
図5は、設定されたルートマップの例であり、(1)は搬送元階(地下1階)、(2)は搬送先階(21階)である。
【0036】
次に、
図6(1)に示すように、管理端末12に表示された画面上で、搬送元階のヤード26(資材置場)内のマテリアルブロック28を選択する。次に、
図6(2)に示すように、画面上部に表示された搬送先階の「資材の種類」、「揚重階」、「行先ヤード」、「搬送資材サイズ」を選択してボタン30を押し、資材情報を設定する。行先ヤードで指定したヤード26では、資材をそのヤード26の端のマテリアルブロック28から順に置くように各台車の動作が設定されているものとする。次に、
図6(3)に示すように、複数の資材情報登録済のマテリアルブロック28を選択してボタン32を押し、搬送タスクとして入力する。最後に、
図6(4)に示すように、複数の搬送タスクを選択して搬送開始ボタン34を押し、搬送を開始する。これにより、管理端末12のルート設定手段および制御手段で搬送タスクが組み立てられ、インターネット公衆回線網16を介して管理サーバ14に指令情報が送信される。管理サーバ14はインターネット公衆回線網16を介して各台車1~4へ指令情報を送信し、各台車1~4は搬送動作を開始する。各台車の状態は、所定の時間間隔(例えば1秒毎)でインターネット公衆回線網16を介して管理サーバ14に送信される。細かい作業ステップ毎に、状態完了通知情報を管理サーバ14に送信することが望ましい。
【0037】
このように、本実施の形態では、各台車1~4の走行ルートの設定を管理端末12と管理サーバ14で容易に行うことができる。また、ルートマップ20は管理サーバ14に設定登録されており、各台車1~4はSLAM等のレーザー自己位置認識システムで自律走行するため、現実空間に走行レールやテープ等の敷設物を設ける必要はない。このため、走行ルートのレイアウト変更が容易である。したがって、柔軟に経路計画を運用することが可能となる。また、搬送先のヤード26を指定すれば、ヤード26内のマテリアルブロック28の端から順に資材を並べていくため、全ての資材の搬送先を指定する必要がない。資材登録の単純化により操作性が向上し、不特定多数の作業員が作業する建設現場でのシステム運用が容易となる。
【0038】
以上説明したように、本発明に係る統合管理システムによれば、エリア内に配置された自律移動可能な移動体の動作を管理するための統合管理システムであって、エリア内に仮想的に設定され、二つ以上のノードおよびノード間を接続するエッジを含んで構成されるルートマップと、移動体がノードから、少なくとも一つのエッジを経由して行先のノードまで移動するためのルートを設定するルート設定手段と、設定したルートに沿って移動体が移動するように移動体を制御する制御手段とを備えるので、移動体の移動ルートを容易に設定することができる。
【0039】
また、本発明に係る他の統合管理システムによれば、制御手段は、設定したルートに沿って移動体を移動させるための指令情報を生成し、移動体は、受信した指令情報に基づいて移動を開始してルートに沿って移動するので、移動体をルートに沿って移動させることができる。
【0040】
また、本発明に係る他の統合管理システムによれば、制御手段は、設定したルートに沿って移動体を移動させるための移動指令情報と、所定のノードまたはエッジに位置する移動体を動作させるための動作指令情報を生成し、移動体は、移動指令情報および動作指令情報を受信するとともに、移動指令情報に基づいて移動を開始してルートに沿って移動する一方で、所定のノードまたはエッジでは動作指令情報に基づいて動作するので、移動体をルートに沿って移動させることができるとともに、所定のノードまたはエッジで所定の動作をさせることができる。
【0041】
また、本発明に係る他の統合管理システムによれば、ルート設定手段は、複数のルートから移動距離または移動時間が最短となるルートを選定するので、移動距離または移動時間が最短となるルートに沿って移動体を移動させることができる。
【0042】
また、本発明に係る他の統合管理システムによれば、移動体は、荷物を搬送する搬送ロボットであり、搬送元の場所を示すノードから、搬送先の場所を示すノードまで移動するように制御されるので、移動体によって搬送元から搬送先まで荷物を搬送することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように、本発明に係る統合管理システムは、ビル建設現場や工場などで資材を搬送する搬送台車の搬送管理に有用であり、特に、搬送台車の走行ルートを容易に設定するのに適している。
【符号の説明】
【0044】
1,2,3 水平搬送台車(搬送ロボット、移動体)
4 間配り台車(搬送ロボット、移動体)
5 作業ロボット
6 エレベータ/リフト
10 統合管理システム
12 管理端末(ルート設定手段、制御手段)
14 管理サーバ(ルート設定手段、制御手段)
16 インターネット公衆回線網(公衆回線網)
20 ルートマップ
22 ノード
24 エッジ
26 ヤード
28 マテリアルブロック
A 作業管理者