(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】移載装置を有する積込システム
(51)【国際特許分類】
B65G 67/04 20060101AFI20230904BHJP
B65G 47/49 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
B65G67/04
B65G47/49
(21)【出願番号】P 2019088798
(22)【出願日】2019-05-09
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000137960
【氏名又は名称】株式会社メイキコウ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 英仁
(72)【発明者】
【氏名】小田口 勉
(72)【発明者】
【氏名】堀 祐正
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-174736(JP,A)
【文献】特開2015-218047(JP,A)
【文献】特開2003-146438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 67/00 - 67/62
B65G 47/00 - 47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品をコンベヤからコンテナに積み込む積込システムにおいて、
前記物品をループ状に搬送するコンベヤと、
前記コンベヤを駆動する駆動機構と、
前記物品に対する
前記コンベヤの位置を検知する位置検知機と、
前記物品の各形状情報を記憶する記憶手段と、
前記物品に対する
前記コンベヤの位置と前記物品の形状情報を紐づける紐づけ回路と、
前記コンテナ内の状態を認識する認識手段と、
前記コンテナ内の状態と前記物品の各形状に基づいて前記コンベヤ上にある複数の前記物品から前記コンテナに積み込む選択物品を選択する選択回路と、
前記選択物品と前記紐づけ回路から得た情報に基づいて前記選択物品
に対する前記コンベヤ
の位置を
前記位置検知機に基づいて検知する位置取得回路と、
前記コンベヤの一領域である持上領域の上方に配置される移載装置を有し、
前記移載装置は、
前記位置取得回路から得た位置に基づいて、前記コンテナへ向けて移載するために前記選択物品が前記持上領域に位置した際に前記選択物品を前記コンベヤから持ち上げる積込システム。
【請求項2】
請求項1に記載の積込システムであって、
前記移載装置は、持ち上げた前記選択物品を前記コンテナへ積み込む積込システム。
【請求項3】
請求項1に記載の積込システムであって、
搬送路における前記移載装置の下流に位置しかつ前記移載装置から前記選択物品を受け搬送する搬送コンベヤと、前記搬送コンベヤから前記コンテナに前記選択物品を積み込む積込装置を有する積込システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の積込システムであって、
前記コンベヤの上方から前記物品を認識する物品認識手段を有しており、
前記物品認識手段は、前記物品の前記形状情報を得て前記記憶手段に送信し、
前記位置検知機は、前記駆動機構に設けられて前記コンベヤの位置を検知するエンコーダを含み、前記エンコーダの情報に基づいて得た前記コンベヤの位置から、前記コンベヤに対する前記物品の位置を検知する積込システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を保持して移載する移載装置を有する積込システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移載装置は、例えば空港で使用される。飛行機に搭乗する搭乗者は、空港のターミナルビルにある搭乗手続きカウンターで手荷物を預ける。手荷物は、カウンターからコンベヤでバックヤードのメイクコンベヤに搬送される。メイクコンベヤは、ループ形のコンベヤであり、手荷物は、移載装置によりメイクコンベヤからコンテナに積み込まれる。
【0003】
特許文献1には、例えばトラック荷室に積み込まれた多数の物品をひとつづつ把持して荷降ろしする搬送装置として、本願出願人の出願に係るものが開示されている。この搬送装置によれば、画像処理手段により得た多数の物品の画像情報を用いてロボットアームを制御しトラック荷室から荷降ろしすることができ、この種の荷降ろし作業の省力化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の積込システムは、荷物をコンテナ内に効率よく積み込むためにサイズ別の複数のコンベヤが必要である。しかし空港が狭く限られた空間であるため、サイズ別の複数のコンベヤの設置を不要としシステムを小さくしたいとの要望がある。あるいはシステムをより簡易としたいとの要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの特徴によると、物品をコンベヤからコンテナに積み込む積込システムは、物品をループ状に搬送するコンベヤと、コンベヤを駆動する駆動機構を有する。コンベヤに対する物品の位置が位置検知機によって検知される。コンベヤに対する物品の各形状情報が記憶手段によって記憶される。物品の位置と物品の形状情報が紐づけ回路によって紐づけられる。コンテナ内の状態が認識手段によって認識される。コンテナ内の状態と物品の各形状に基づいてコンベヤ上にある複数の物品からコンテナに積み込む選択物品が選択回路によって選択される。選択物品と紐づけ回路から得た情報に基づいて選択物品のコンベヤにおける位置が位置取得回路によって取得される。コンベヤの一領域である持上領域の上方に移載装置が位置する。移載装置は、位置取得回路から得た位置に基づいてコンテナへ向けて移載するために選択物品が持上領域に位置した際に選択物品をコンベヤから持ち上げる。
【0007】
したがってループ状に移動する物品が持上領域に到達することを待って移載装置が物品を持ち上げる。かくして物品を持ち上げる領域を持上領域に限定し移動範囲を小さくできるため、移載装置を小さくすることができる。例えばループ状のコンベヤの上方全領域を移動する移載装置、あるいは物品をストックする領域の上方全領域を移動する移載装置の場合と比べて移載装置を小さくすることができる。従来、物品をサイズ別にストックし、サイズ別の物品を各コンベヤに移載する場合がある。これに対して本積込システムは、サイズ別に物品をストックすることなく、コンベヤから直接、選択物品を持ち上げることができる。これにより積込システムを小さく、あるいは簡易にすることができる。
【0008】
本開示の他の1つの特徴によると、移載装置は、コンベヤから持ち上げた選択物品をコンテナへ積み込む。したがって積込システムは、積込装置を利用することなくコンベヤから持ち上げた物品を直接コンテナへ積み込むことができる。これにより積込システムをより小さく、あるいはより簡易にすることができる。
【0009】
本開示の他の1つの特徴によると、積込システムは、搬送コンベヤと積込装置を有する。搬送コンベヤは、搬送路における移載装置の下流に位置しかつ移載装置から選択物品を受ける。積込装置は、搬送コンベヤからコンテナに選択物品を積み込む。したがってコンベヤの位置とコンテナの位置が離れている場合でも、搬送コンベヤと積込装置を利用することで選択物品をコンテナへ積み込むことができる。
【0010】
本開示の他の1つの特徴によると、積込システムは、コンベヤの上方から物品を認識する物品認識手段を有する。物品認識手段は、物品の形状情報を得て記憶手段に送信する。したがって物品がコンベヤ上に搬送される前に物品の形状情報を予め得ていない場合でも、コンベヤ上で物品の形状を得ることができる。位置検知機は、駆動機構に設けられてコンベヤの位置を検知するエンコーダを有する。したがって位置検知機は、エンコーダから出力されるパルスをカウントすることでコンベヤの位置を検知できる。パルスのカウントと物品認識手段が認識したコンベヤ上の物品の位置に基づいて、物品のコンベヤ上の位置を得ることができる。
【0011】
本開示の特徴によると、コンベヤ上で認識した物品(手荷物)の形状情報に基づいて、移載装置が直接コンベヤ上から積み込みに適したサイズの物品を取り出すことができるため、サイズ別の複数のコンベヤの設置を不要にできる。コンベヤ上の全ての物品の形状情報とコンベヤ上のそれぞれの物品の位置を把握できるため、積込システムは、これらの情報に基づいて、コンベヤ上の全ての物品に対して選択し取り出す順番を決めることができる。積込システムは、取り出す順番に基づいてコンベヤ上から物品を取り出すため効率よく積み込みことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】移載装置を有する積込システムの概略図である。
【
図2】
図1のII方向からの移載装置を含む積込システムの概略側面図である。
【
図4】
図1のIV方向からの積込装置の側面図である。
【
図5】
図1のV方向からの物品認識手段を含む積込システムの概略側面図である。
【
図6】制御回路の入出力の関係を説明する図である。
【
図7】物品の認識と紐づけ処理のフローチャートである。
【
図8】選択物品の選択処理のフローチャートである。
【
図9】選択物品のコンテナへの積み込み処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1~
図9を用いて、本実施の形態の例を説明する。
図1に示すように積込システム1は、空港に設けられる上流搬送経路1aと下流搬送経路1bを有する。上流搬送経路1aは、搬送コンベヤ11とメイクコンベヤ(コンベヤ)2を有する。搬送コンベヤ11は、ターミナルビルのチェックインカウンターから物品(荷物)をメイクコンベヤ2へ搬送する。搬送コンベヤ11は、搬送方向に並設された例えばベルトコンベヤである。搬送路は、モータM5等(
図5参照)によって搬送方向に移動され、ベルト上に配置された物品5を搬送する。搬送コンベヤ11の端部から物品5がメイクコンベヤ2上に落とされる。
【0014】
図1に示すようにメイクコンベヤ2は、ループ状に配置された例えば複数の板部材を有するコンベヤである。板部材は、モータ(駆動機構)2a等によってループ状に移動して、搬送路上の物品5をループ状に搬送する。メイクコンベヤ2には位置検知機14が設けられる。位置検知機14は、モータ2aに設けられメイクコンベヤ2の位置を検知するエンコーダ14aを含む。エンコーダ14aはモータ2aの回転に応じたパルスを出力する。図中のX方向は、メイクコンベヤ2の長手方向に平行である。Z方向は、地面に対する垂直であり、Y方向は、X方向とZ方向に対して直交する。
【0015】
図5に示すようにメイクコンベヤ2と搬送コンベヤ11の近傍に保持フレーム7aが立設される。保持フレーム7aには、メイクコンベヤ2の上方に位置するように物品認識手段7が取付けられる。
図1に示すように物品認識手段7は、移載装置10の上流側に配置され、メイクコンベヤ2の上方から物品5を検出する。物品認識手段7は、例えば2D、3Dカメラと、カメラからの画像を処理して物品の外形を検出する外形検出回路を有する。したがって
図6に示すように物品認識手段7が物品5の形状情報を得て記憶手段44に送信する。
【0016】
図1,2に示すように上流搬送経路1aは、メイクコンベヤ2上の物品5を把持する移載装置10と、移載装置10に設けられ物品保持機構16を移動させかつ角度を変更する移動機構6を有する。移動機構6は、X方向移動機構6aと、Y方向移動機構6bと、昇降機構6cを有する。
【0017】
図1,2に示すようにX方向移動機構6aは、X方向に沿って伸びる左右フレーム6a1、6a2を有する。左フレーム6a1は、メイクコンベヤ2の中央においてX方向に延設される。右フレーム6a2は、メイクコンベヤ2の右側、すなわち下流搬送経路1b側においてX方向に延設される。左右フレーム6a1、6a2を架橋するようにY方向移動機構6bが設けられる。左右フレーム6a1、6a2には、Y方向移動機構6bをX方向に移動させるための駆動源、例えばモータM1とモータM1によって回転するねじ軸が設けられる。
【0018】
図1,2に示すようにY方向移動機構6bは、X方向移動機構6aの左右フレーム6a1、6a2を架橋する前後フレーム6b1、6b2を有する。前後フレーム6b1、6b2は、X方向に並設される。前後フレーム6b1、6b2を架橋するように昇降機構6cの移動部6c1が設けられる。前後フレーム6b1、6b2には、移動部6c1をY方向に移動させるための駆動源、例えばモータM2とモータM2によって回転するねじ軸が設けられる。
【0019】
図2に示すように昇降機構6cは、移動部6c1から下方に伸びる保持部6c2と、保持部6c2に沿って昇降するスライダ6c8を有する。保持部6c2には、スライダ6c8を上下方向に案内しつつスライダ6c8の上下角度を調整するガイドレール6c7が設けられる。ガイドレール6c7は、上方に行くにしたがって左方向に向かって曲げられている。スライダ6c8は、ガイドレール6c7にスライド可能に掛けられる掛け部材6c6を有する。スライダ6c8は、掛け部材6c6と反対方向に延出するアーム6c3を有する。
【0020】
したがって
図2に示すようにスライダ6c8が下位置の際、アーム6c3がスライダ6c8から下方に延出する角度になる。かくしてアーム6c3の先端に設けられた物品保持機構16がメイクコンベヤ2の搬送路上の物品5と略平行になる。スライダ6c8が上位置の際は、アーム6c3がスライダ6c8から略平行に延出する角度になる。これにより物品保持機構16が保持する物品5が搬送コンベヤ8と略平行になる。搬送コンベヤ8は、搬送路における移載装置10の下流に位置しかつ移載装置10から選択物品を受ける。
【0021】
図2,3に示すようにアーム6c3には、昇降部6c5が接続されている。昇降部6c5は、シリンダ12とシリンダ12内の液圧または気圧によってシリンダ12に対して出没するバー12Aを有する。バー12Aの先端に物品保持機構16が装着される。
【0022】
図3に示すように物品保持機構16は、負圧を利用して物品を吸着して物品を保持するために下端部に吸着部17を有する。物品保持機構16の上部には、吸引ホース19が接続され、吸引ホース19は、
図2に示す真空ポンプVPに接続される。吸引ホース19を介してエアコンプレッサECによって空気が吸引され、吸着部17に負圧が生じ、物品5が吸着部17に吸着される。吸着部17の下面外周には、弾性部材によって形成された吸着パッド17aが取付けられる。
【0023】
図1,2に示すように下流搬送経路1bは、搬送コンベヤ8からコンテナ3(3a、3b、3c)に物品5を移載するため、積込装置9と、積込装置9を移動させるXYテーブル45を有する。XYテーブル45は、地面に設置される左右フレーム45a1、45a2と、左右フレーム45a1、45a2上に移動可能に取付けられる前後フレーム45b1、45b2を有する。左右フレーム45a1、45a2は、メイクコンベヤ2とコンテナ3の間においてY方向に並設され、それぞれがX方向に延設される。
【0024】
図1に示すように前後フレーム45b1、45b2は、X方向に並設され、Y方向に延出する。前後フレーム45b1、45b2は、左右フレーム45a1、45a2に沿ってX方向にスライドする。左右フレーム45a1、45a2には、前後フレーム45b1、45b2をX方向に移動させるための駆動源、例えばモータM3とモータM3によって回転するねじ軸が設けられる。前後フレーム45b1、45b2には積込装置9がY方向に移動可能に取付けられる。前後フレーム45b1、45b2には積込装置9をY方向に移動させるための駆動源、例えばモータM4とモータM4によって回転するねじ軸が設けられる。
【0025】
図4に示すように積込装置9は、多関節ロボットであって、アーム9cとハンド9eを有する。アーム9cは、旋回部9aを介してXYテーブル45に連結される。旋回部9aは、XYテーブル45に対して水平面上において回転可能に取付けられる。旋回部9aにアーム9cが第1関節部9bによって前後方向に回転可能に接続される。アーム9cの先端に第2関節部9dによって上下方向に回転可能にハンド9eが接続される。ハンド9eは、その先端に移載装置10と同様の物品保持機構を有する。ハンド9eが搬送コンベヤ8上の選択物品5Sを保持し、選択物品5SとともにXYテーブル45により移動し、選択物品5Sがコンテナ3内へ積み込まれる。
【0026】
図4に示すように積込装置9のハンド9eの先端部に認識手段13が設けられる。認識手段13は、例えば2D、3Dカメラと、カメラからの画像を処理して物品の外形を検出する外形検出回路を有する。したがって認識手段13は、コンテナ3内の状態を認識し、制御回路46に情報を送信する。コンテナ3内の状態は、例えば積み込まれた物品5の状態、物品5の量、物品5を積み込むことができる空間の有無である。
【0027】
図6に示すように制御回路46(例えばCPU等を含む回路)は、物品認識手段7と認識手段13と位置検知機14と電気的に接続され、これら手段から発信された情報を受信する。制御回路46に移動機構6と積込装置9と物品保持機構16が電気的に接続され、制御回路46は、これらの機構を制御するための信号を発信する。
【0028】
図6に示すように制御回路46は、紐づけ回路40cを有する。紐づけ回路40cは、メイクコンベヤ2に対する物品5の位置と物品5の形状情報を紐づける。かくして物品5に対して形状情報とメイクコンベヤ2に対する位置が紐づけられる。
【0029】
図6に示すように制御回路46は、選択回路40aと位置取得回路40bを有する。選択回路40aはコンテナ3内の状態と物品5(
図1参照)の各形状に基づいてメイクコンベヤ2上にある複数の物品5からコンテナ3に積み込む選択物品5S(
図1参照)を選択する。例えば、コンテナ3内の空間より小さくかつ最も大きな物品5を選択物品5Sとして選択する。位置取得回路40bは選択物品と紐づけ回路40cから得た情報に基づいて選択物品5Sのメイクコンベヤ2における位置を取得する。
【0030】
図7~9のフローチャートを用いてメイクコンベヤ2上の物品5を選択しコンテナ3へ積み込む処理を説明する。
図1に示すように搬送コンベヤ11からメイクコンベヤ2上へ搬送された物品5は、順に物品認識手段7の下方を通過する。次に、物品の認識と紐づけする処理を行う(
図7のステップSA1~ステップSA4)。例えば制御回路46は物品の認識と紐づけする処理を所定の間隔例えば数100msごとに実行する。
【0031】
物品認識手段7が物品5を認識する(ステップSA1)。物品認識手段7からの信号に基づいて制御回路46が物品5の形状情報を得て記憶手段44に送信する(ステップSA2)。位置検知機14がメイクコンベヤ2に対する物品5の位置を検知し、位置情報を制御回路46へ送信する(ステップSA3)。具体的には、位置検知機14はエンコーダ14aからのパルス数とパルス当たりメイクコンベヤ2の移動量に基づいてメイクコンベヤ2に対する物品5の位置を検知する。また、位置検知機14は、認識した物品5の位置を所定の間隔(例えば数100ms)で検知し、位置情報を制御回路46へ送信する。かくして認識された物品5の位置情報を更新する。
【0032】
制御回路46はメイクコンベヤ2に対する物品5の位置と物品5の形状情報を紐づける(ステップSA4)。具体的には、制御回路46は例えば、そのメモリ内に認識した物品5ごとの記憶手段44の記憶場所を示す物品インデックスを有する。制御回路46は認識した物品5ごとに物品インデックスを割り当てる。制御回路46は物品インデックスの示す場所へメイクコンベヤ2に対する位置と形状情報を記憶手段44に記憶する。
【0033】
次に、選択物品の選択処理を行う(
図8のステップSB1~ステップSB3)。例えば制御回路46は選択物品の選択処理を所定の間隔例えば数100msごとに実行する。制御回路46は物品の形状情報が記憶手段44に記憶されていると判定した場合(ステップSB1)(Yes)、制御回路46はコンテナ3内の状態を認識する(ステップSB2)。具体的には、積込装置9のハンド9eの先端をコンテナ3内に挿入する。ハンド9eの先端に設けられた認識手段13によりコンテナ3内を認識する。制御回路46は物品の形状情報が記憶されてないと判定した場合(No)、選択物品の選択処理を終える。
【0034】
制御回路46はメイクコンベヤ2上にある複数の物品5からコンテナ3に積み込む選択物品を選択する(ステップSB3)。具体的には、制御回路46の選択回路40aは例えば、そのメモリ内に選択した物品の物品インデックスを記憶する選択インデックスを有する。選択回路40aはコンテナ3のサイズと物品の収容状態から収容可能な容量を検出する。選択回路40aは容量に基づいて各物品5の形状情報を参照し収容可能な物品5を選択する。選択回路40aは選択した物品5(選択物品)の物品インデックスを選択インデックスとして記憶手段44に記憶する。
【0035】
次に、選択物品のコンテナへの積み込み処理を行う(
図9のステップSC1~ステップSC6)。制御回路46は選択物品のコンテナへの積み込み処理を所定の間隔例えば数100msごとに実行する。制御回路46は選択物品ありと判定した場合(ステップSC1)(Yes)、選択物品のメイクコンベヤ2における位置を取得する(ステップSC2)。具体的には、制御回路46の選択回路40aは例えば、選択インデックスを参照し物品インデックスが記憶されている場合、選択物品ありと判定する。選択回路40aは位置取得回路40bから選択インデックスの示す物品5のメイクコンベヤ2における位置を取得する。
【0036】
次に、制御回路46は選択物品が持上領域15に位置しているか否か判定する(ステップSC3)。制御回路46は選択物品が持上領域15に位置していると判定した場合(Yes)、選択物品をメイクコンベヤ2から持ち上げて搬送コンベヤ8へ移載する(ステップSC4)。選択物品が持上領域15に位置していないと判定した場合(No)、選択物品のコンテナ3への積み込み処理を終える。なお、持上領域15は、メイクコンベヤ2の一領域であり、選択物品を持ち上げる領域である。
【0037】
制御回路46が積込装置9を駆動し搬送コンベヤ8から選択物品をコンテナ3へ積み込む(ステップSC5)。制御回路46は積み込んだ選択物品の形状情報等を記憶手段44から消去し、選択物品のコンテナ3への積み込み処理を終える(ステップSC6)。具体的には、制御回路46は当該選択インデックスの内容を消去する。物品5が積み込まれたコンテナ3は牽引車により飛行機4へ搬送され、積載装置等により飛行機4の貨物室4aへ積み込まれる。
【0038】
上述するように
図1に示す物品5をコンベヤ(メイクコンベヤ2)からコンテナ3に積み込む積込システム1は、物品5をループ状に搬送するコンベヤ(2)と、コンベヤ(2)を駆動する駆動機構(モータ2a)を有する。コンベヤ(2)に対する物品5の位置が位置検知機14によって検知される。コンベヤ(2)に対する物品5の各形状情報が記憶手段44によって記憶される。物品5の位置と物品5の形状情報が紐づけ回路40cによって紐づけられる。コンテナ3内の状態が認識手段13によって認識される。コンテナ3内の状態と物品5の各形状に基づいてコンベヤ(2)上にある複数の物品5からコンテナ3に積み込む選択物品5Sが選択回路40aによって選択される。選択物品5Sと紐づけ回路40cから得た情報に基づいて選択物品5Sのコンベヤ(2)における位置が位置取得回路40bによって取得される。コンベヤ(2)の一領域である持上領域15の上方に移載装置10が位置する。移載装置10は、位置取得回路40bから得た位置に基づいてコンテナ3へ向けて移載するために選択物品5Sが持上領域15に位置した際に選択物品5Sをコンベヤ(2)から持ち上げる。
【0039】
したがってループ状に移動する物品5(選択物品5S)が持上領域15に到達することを待って移載装置10が選択物品5Sを持ち上げる。かくして物品5(選択物品5S)を持ち上げる領域を持上領域15に限定し移動範囲を小さくできるため、移載装置10を小さくすることができる。例えばループ状のコンベヤ(2)の上方全領域を移動する移載装置10、あるいは物品5をストックする領域の上方全領域を移動する移載装置10に比べて移載装置10を小さくすることができる。従来、物品5をサイズ別にストックし、サイズ別の物品5を各コンベヤ(2)に移載する場合がある。これに対して本積込システム1は、サイズ別に物品5をストックすることなく、コンベヤ(2)から直接、選択物品5Sを持ち上げることができる。これにより積込システム1を小さく、あるいは簡易にすることができる。
【0040】
図1に示すように積込システム1は、搬送コンベヤ8と積込装置9を有する。搬送コンベヤ8は、搬送路における移載装置10の下流に位置しかつ移載装置10から選択物品5Sを受ける。積込装置9は、搬送コンベヤ8からコンテナ3に選択物品5Sを積み込む。したがってコンベヤ(メイクコンベヤ2)の位置とコンテナ3の位置が離れている場合でも、搬送コンベヤ8と積込装置9を利用することで選択物品5Sをコンテナ3へ積み込むことができる。
【0041】
図1,5に示すように積込システム1は、コンベヤ(メイクコンベヤ2)の上方から物品5を認識する物品認識手段7を有する。位置検知機14は、駆動機構(2a)に設けられてコンベヤ(2)の位置を検知するエンコーダ14aを有する。したがって位置検知機14は、エンコーダ14aから出力されるパルスをカウントすることでコンベヤ(2)の位置を検知できる。パルスのカウントと物品認識手段7が認識したコンベヤ(2)上の物品5の位置に基づいて、物品5のコンベヤ(2)上の位置を得ることができる。
【0042】
図5,6を参照するように物品認識手段7は、物品5の形状情報を得て記憶手段44に送信する。したがって物品5がコンベヤ(メイクコンベヤ2)上に搬送される前に物品5の形状情報を予め得ていない場合でも、コンベヤ(2)上で物品5の形状を得ることができる。
【0043】
他の実施例として積込システムは、移載装置が持ち上げた選択物品をコンテナへ積み込む。具体的には、
図1に示す移載装置10に代えて、積込システムは、物品5を保持する物品保持機構と、物品保持機構をコンベヤ(メイクコンベヤ2)からコンテナ3に移動させて選択物品5Sをコンベヤ(2)からコンテナ3内に積み込むことを許容する移動機構を備える。したがって移載装置は、コンベヤ(2)から選択物品5Sを保持し移動し直接コンテナ3内に積み込む。かくして積込システムをより小さく、あるいはより簡易にすることができる。
【0044】
図1に示すように移載装置10は、物品を保持する物品保持機構16と、保持機構の角度と速度をコンベヤ(メイクコンベヤ2)上の選択物品5Sの角度と速度に対応させて変更する移動機構6を備える。したがって物品保持機構16は、コンベヤ(2)上の搬送方向に対して様々な角度で設置された物品の角度に合わせて角度が調整される。そしてコンベヤ(2)上の物品と同調して物品保持機構16が移動する。かくして物品保持機構16)が選択物品5Sを確実に保持することができる。
【0045】
図3に示すように物品保持機構16は、負圧を利用して物品を吸着する吸着部17を備える。したがって物品保持機構16は、物品の重さに依存するものの、物品の大きさに依存することなく物品を持ち上げることができる。
【0046】
上記実施の形態における移載装置10は、
図2に示すように負圧を利用する物品保持機構16を有する。これに代えて一対のハンドを有して、物品5を保持する保持機構でも良い。上記実施の形態における
図4に示す認識手段13は、2D、3Dカメラと、カメラを用いてコンテナ3を認識する。これに代えて超音波センサ、ミリ波レーダ、レーザスキャナを用いて、コンテナ3を認識しても良い。
【0047】
上記実施の形態における
図1に示す物品認識手段7は、2D、3Dカメラと、カメラを用いて物品5を認識する。これに代えて超音波センサ、ミリ波レーダ、レーザスキャナを用いて、物品5を認識しても良い。
【0048】
上記実施の形態における移載装置10を含む積込システム1は、空港のターミナルビルのバックヤードで使用される。この場所に代えて工場、物流倉庫、物品の収集配送センターで使用されても良い。
【0049】
なお、上記実施の形態における物品の認識と紐づけする処理(
図7のステップSA1~ステップSA4)、選択物品の選択処理(
図8のステップSB1~ステップSB3)、選択物品のコンテナへの積み込み処理(
図9のステップSC1~ステップSC6)、はそれぞれ独立して行う場合に限定されない。例えば、先ずメイクコンベヤ2に搬送された物品に対して物品の認識と紐づけする処理を行った後、所定の期間新たな物品を認識しない場合、メイクコンベヤ2への物品の搬送が完了されたと認識し、選択物品の選択処理を行い、選択物品のコンテナへの積み込み処理を行っても良い。
【符号の説明】
【0050】
1 積込システム
2 メイクコンベヤ(コンベヤ)
2a モータ(駆動機構)
3,3a,3b,3c コンテナ
5 物品
5S 選択物品
6 移動機構
7 物品認識手段
8 搬送コンベヤ
9 積込装置
10 移載装置
13 認識手段
14 位置検知機
14a エンコーダ
15 持上領域
40a 選択回路
40b 位置取得回路
40c 紐づけ回路
44 記憶手段
46 制御回路