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特許7341723所定のアブレーション電流プロファイルの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】所定のアブレーション電流プロファイルの使用
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20230904BHJP
【FI】
A61B18/12
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019095819
(22)【出願日】2019-05-22
(65)【公開番号】P2019202143
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-04-06
(31)【優先権主張番号】15/987,160
(32)【優先日】2018-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】メイル・バル-タル
(72)【発明者】
【氏名】イーガル・ウルチン
(72)【発明者】
【氏名】アブラハム・バーガー
(72)【発明者】
【氏名】アブリ・ハザン
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ルビッサ
(72)【発明者】
【氏名】アラー・ゾービ
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-013720(JP,A)
【文献】特開2017-077463(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0049188(US,A1)
【文献】特表平11-504539(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0022041(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0228546(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12-18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流源発生器と、
前記電流源発生器を駆動して、被験者の組織に印加するために、所定の時間の関数に従って変化する振幅を有する電流を供給させ、その結果、初期は前記振幅が最大値まで単調に増加するように構成された、プロセッサと、を含
前記電流が、カテーテルの遠位先端部によって前記組織に印加され、前記プロセッサが、
前記カテーテルの前記遠位先端部の前記組織内への推定貫通深さを計算することと、
前記推定貫通深さに応答して、複数の所定の時間の関数から前記所定の時間の関数を選択することと、を行うように更に構成されている、システム。
【請求項2】
前記所定の時間の関数が、値の時系列を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
電流源発生器と、
前記電流源発生器を駆動して、被験者の組織に印加するために、所定の時間の関数に従って変化する振幅を有する電流を供給させ、その結果、初期は前記振幅が最大値まで単調に増加するように構成された、プロセッサと、を含み、
前記所定の時間の関数が、任意の時間値tに対し、定数a、b、c、d、e、f、及びgに対して(a+t)/(c+d+f)を返す、システム。
【請求項4】
電流源発生器と、
前記電流源発生器を駆動して、被験者の組織に印加するために、所定の時間の関数に従って変化する振幅を有する電流を供給させ、その結果、初期は前記振幅が最大値まで単調に増加するように構成された、プロセッサと、を含み、
前記振幅が二乗平均平方根(RMS)振幅であり、前記RMS振幅の最大値が0.8~1.2Aである、システム。
【請求項5】
前記プロセッサが、0.5秒未満で前記振幅を前記最大値まで単調に増加させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサが、
前記電流の印加中、及び前記振幅が前記最大値に増加した後で、前記組織の表面温度を示す信号を受信することと、
前記信号に応答して、前記電流の前記振幅を調整することと、を行うように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
電流源発生器と、
前記電流源発生器を駆動して、被験者の組織に印加するために、所定の時間の関数に従って変化する振幅を有する電流を供給させ、その結果、初期は前記振幅が最大値まで単調に増加するように構成された、プロセッサと、を含み、
前記プロセッサが、
前記電流の印加中、及び前記振幅が前記最大値に増加した後で、前記組織の表面温度を示す信号を受信することと、
前記信号に応答して、前記電流の前記振幅を調整することと、
記表面温度から前記組織の推定最大表面下温度を計算することと、を行うように更に構成され、
前記プロセッサが、前記推定最大表面下温度に応答して前記電流の前記振幅を調節するように構成されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用装置及び治療の分野、特に生物学的組織のアブレーションに関連する医療用装置及び治療に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの種類のアブレーション処置の間、アブレーション電極がアブレーションされる組織と接触させられると、続いて電流が組織を通過して組織内に損傷が形成される。
【0003】
米国特許第5,735,846号は、身体組織をアブレーションするためのシステム及び方法を記載している。電極は、組織-電極接触面で組織と接触して、決定可能な電力レベルでアブレーションエネルギーを伝送する。システム及び方法は、決定可能な速度で電極から熱を除去する要素を含む。システム及び方法は、組織-電極接触面の下で生じる最大組織温度状態の予測を導出するための処理要素を使用する。処理要素は、最大組織温度の予測に少なくとも部分的に基づいて、電極によって伝送されるアブレーションエネルギーの電力レベル、若しくは電極が冷却される速度、又はその両方を制御する。
【0004】
その開示が参照により本明細書に組み込まれるBergerらの米国特許第9,241,756号は、プローブを患者の器官中の組織と連結させることを含む医療処置を実施するための方法を記載している。アブレーションエネルギーは、プローブを使用して組織に印加される。時間の関数としての、アブレーションエネルギーによりもたらされる組織内の蒸気圧発生モデルが推定される。このモデルに基づいて、蒸気圧によるスチームポップ現象の発生時間が予測され、スチームポップ現象の予測発生時間がオペレータに示される。
【0005】
その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Bar-talらの米国特許第9,265,574号は、体腔内に挿入されるように構成されたプローブと、プローブに接続された外面及び内面を有する電極とからなる器具について説明している。装置はまた、電極の外側表面から突出する温度センサを含み、これは体腔の温度を測定するように構成されている。
【0006】
Mudit K.Jain and Patrick D.Wolf,「A three-dimensional finite element model of radiofrequency ablation with blood flow and its experimental validation,」Annals of Biomedical Engineering 28.9(2000):1075-1084は、高周波アブレーションの研究のための三次元有限要素モデルを記載している。このモデルは、RFエネルギーによって加熱され、血液(流体)流によって冷却された組織ブロック内の温度分布の分析を実施するために使用された。温度分布、損傷寸法、及びアブレーション効率に対する流体流の影響が研究された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のいくつかの実施形態によれば、電流源発生器及びプロセッサを含むシステムが提供される。プロセッサは、電流源発生器を駆動して、被験者の組織に印加するために、所定の時間の関数に従って変化する振幅を有する電流を供給させ、その結果、初期は振幅が最大値まで単調に増加するように構成されている。
【0008】
いくつかの実施形態では、所定の時間の関数は、値の時系列を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、所定の時間の関数は、任意の時間値tに対し、定数a、b、c、d、e、f、及びgに対して(a+t)/(c+d+f)を返す。
【0010】
いくつかの実施形態では、振幅は二乗平均平方根(RMS)振幅であり、RMS振幅の最大値は0.8~1.2Aである。
【0011】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、0.5秒未満で振幅を最大値まで単調に増加させるように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態において、このプロセッサは更に、
電流の印加中、及び振幅が最大値に増加した後で、組織の表面温度を示す信号を受信することと、
信号に応答して、電流の振幅を調整することと、を行うように構成されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、表面温度から組織の推定最大表面下温度を計算するように更に構成されており、プロセッサは、推定最大表面下温度に応答して電流の振幅を調節するように構成されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、電流は、カテーテルの遠位先端部によって組織に印加され、プロセッサは、
カテーテルの遠位先端部の組織内への推定貫通深さを計算することと、
推定貫通深さに応答して、複数の所定の時間の関数から所定の時間の関数を選択することと、を行うように更に構成される。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コンピュータメモリから所定の時間の関数をロードすることと、電流源発生器を駆動して、被験者の組織に印加するために、所定の時間の関数に従って変化する振幅を有する電流を供給させ、その結果、初期は振幅が最大値まで単調に増加するようにすることと、を含む方法が更に提供される。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コンピュータメモリ及びプロセッサを含むシステムが更に提供される。プロセッサは、シミュレートされた組織への電流の印加をシミュレートする間に、シミュレートされた組織の最大表面下温度が、所定の閾値に向かって増加しながらも所定の閾値を超えることがないように、電流の振幅を制御するように構成されている。プロセッサは、シミュレートされた印加にわたる振幅の値から時間の関数を導出することと、この時間の関数をアブレーション処置における後続の使用のためにコンピュータメモリに記憶することと、を行うように更に構成されている。
【0017】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、振幅を制御することによって、初期は振幅を最大値まで単調に増加させるように構成されている。
【0018】
いくつかの実施形態では、振幅は二乗平均平方根(RMS)振幅であり、RMS振幅の最大値は0.8~1.2Aである。
【0019】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、0.5秒未満で振幅を最大値まで単調に増加させるように構成されている。
【0020】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、振幅を制御することによって、シミュレートされた印加の開始から1.5秒未満で最大表面下温度を所定の閾値の5℃以内に増加させ、続いて、シミュレートされた印加の終了まで所定の閾値の5℃以内に留まらせるように構成されている。
【0021】
いくつかの実施形態において、プロセッサは、シミュレートされた印加にわたる振幅の値の少なくとも一部を選択することによって時間の関数を導出することと、選択された値を記憶することによって時間の関数を記憶することと、を行うように構成されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、所定の関数テンプレートをシミュレートされた印加にわたる振幅の値に適合させることによって、時間の関数を導出するように構成されている。
【0023】
いくつかの実施形態では、時間の関数は、任意の時間値tに対し、定数a、b、c、d、e、f、及びgに対して(a+t)/(c+d+f)を返す。
【0024】
いくつかの実施形態において、このプロセッサは、振幅の現在の振幅値A、及び最大表面下温度の現在の温度値Tを所与として、振幅の次の値をmin(A,max(Amin,|Amin-C(T-Tlim)|))に設定することによって振幅を制御するように構成され、式中、Aminは所定の最小振幅値であり、Cは所定の定数であり、Tlimは所定の閾値である。
【0025】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、振幅を制御することによって、最大表面下温度を所定の閾値に向かって漸近的に増加させるように構成される。
【0026】
いくつかの実施形態では、
電流は、シミュレートされた電流であり、
振幅は、シミュレートされた振幅であり、
システムは、電流源発生器を更に含み、
プロセッサは、電流源発生器を駆動して、アブレーション処置中に時間の関数に従って変化する実際の振幅を有する実際の電流を供給するように更に構成されている。
【0027】
いくつかの実施形態では、所定の閾値は、120~130℃である。
【0028】
本発明の一部の実施形態によれば、プロセッサを用いて、模擬組織への電流の印加をシミュレートする間に、シミュレートされた組織の最大表面下温度が所定の閾値に向かって増加しながらも所定の閾値を超えることがないように、電流の振幅を制御することを含む方法が更に提供される。方法は、シミュレートされた印加にわたる振幅の値から時間の関数を導出することと、この時間の関数をアブレーション処置における後続の使用のために記憶することと、を更に含む。
【0029】
本発明は、その実施形態の以下の詳細な説明を図面と併せ読むことによって一層十分な理解がなされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明のいくつかの実施形態による、被験者の組織をアブレーションするためのシステムの概略図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態による、2つの電流プロファイルの概略図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態による、電流プロファイルを生成するのに用いられるシミュレートされたアブレーションの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
概説
一般に、アブレーション処置は可能な限り迅速に進行することが望ましい。しかしながら、短い時間間隔の間に組織に大量の電力を印加することにより、組織の表面下温度が過度に高くなる場合があり、その結果、組織中に危険なスチームポップが生じる場合がある。1つの解決策は、例えば、前述の米国特許第9,241,756号及び同第9,265,574号に記載されているように、処置中に表面下温度を推定することである。しかしながら、場合によっては、この解決策を効果的に実施することは困難であり得る。
【0032】
この課題に対処するため、本発明の実施形態は、短い時間間隔の間に大量の電力を安全に送達することが知られている所定のアブレーション電流プロファイルを処置のために利用する。プロファイルを生成するため、プロセッサは、アブレーション電流の組織の表面下温度に対する影響をシミュレートする。具体的には、プロセッサは、組織の最大表面下温度を最大許容温度値Tlimに急速に近づけ、続いて、Tlimに近づけることを継続させるか、又は少なくともTlim付近に留まらせながらもTlimを超えることがないようにする、経時的に変化する電流振幅を計算する。続いて、処置中、プロセッサは、発生器を駆動して、プロファイルに従ってアブレーション電流を発生させる。
【0033】
各アブレーション電流プロファイルでは、電流の振幅は、初期には、比較的大きい最大値まで急速に増加する。この電流の初期バーストによって、上述のように、最大表面下温度はTlimへと急速に近づく。続いて、最大値の任意のプラトーの後、振幅は、最大表面下温度がTlimを超えないように、最大値から適度に減少する。
【0034】
一般に、アブレーション処置中、組織の温度は、組織に印加される電流の密度の関数として増加する。したがって、本明細書に記載される実施形態は、典型的には、組織が加熱される際に発生し得る組織のインピーダンスのいかなる変化によっても印加された電流密度が変化しないように電流源発生器を用いる。対照的に、電源発生器が使用される場合、印加された電流密度は、組織インピーダンスの変化によって変化して、組織の温度の予期せぬ変化をもたらす場合がある。
【0035】
システムの説明
最初に図1を参照すると、図1は、本発明のいくつかの実施形態による被験者26の組織をアブレーションするためのシステム20の概略図である。
【0036】
図1は、アブレーションカテーテル22を使用して被験者26に対してアブレーション処置を行う医師28を示す。この処置では、医師28は最初にカテーテル22の遠位先端40を被験者に挿入し、続いて、遠位先端部40をアブレーションされるべき組織まで誘導する。例えば、医師は、遠位先端部が被験者の心臓24内に位置する組織と接触するまで、遠位先端部を被験者の血管系を通して前進させることができる。次に、医師は、組織に電流を印加するようにプロセッサ36に指示する。この指示に応答して、プロセッサ36は、コンピュータメモリ32から、時間の関数として電流振幅を指定する所定の電流プロファイルを読み込む。続いて、プロセッサ36は、電流源発生器30を駆動して、時間の関数に従って変化する振幅を有する電流を供給する。電流はカテーテル22を通って遠位先端部40まで通り、続いて遠位先端部40と接触する組織を通過する。例えば、ユニポーラアブレーション処置では、電流は、遠位先端部40上の1つ以上の電極と、被験者の外部に、例えば、被験者の背中に連結された中性電極パッチ31と、の間を通過してもよい。
【0037】
一般的には、カテーテル22は、プロセッサ36、メモリ32、及び発生器30を収容するコンソール34に接続される。コンソール34は、例えば、プロセッサ36に入力を提供するために医師28によって使用され得る、キーボード、マウス、及び/又は特殊制御装置35を含むユーザインターフェースを含む。あるいは又は更に、処置中、医師28は、プロセッサ36に指示を送出するためにフットペダルを使用してもよい。いくつかの実施形態では、システム20はディスプレイ38を更に備え、プロセッサ36は、処置中に医師28に対して関連するアウトプットをディスプレイ38に表示させる。
【0038】
プロセッサ36は、任意の好適な有線又は無線インターフェースを介してメモリ32に接続されてもよく、このインターフェース上で、プロセッサは、メモリに情報を記憶してもよく、又はメモリから情報を読み出してもよい。このような情報としては、例えば、図2を参照して以下に記載される、電流プロファイルの仕様が挙げられ得る。メモリ32は、例えば、ハードドライブ又はフラッシュドライブなどの任意の好適なタイプのコンピュータメモリを含んでもよい。
【0039】
同様に、プロセッサ36は、任意の好適な有線又は無線インターフェースを介して発生器30に接続されてもよく、このインターフェース上でプロセッサは、例えば、発生器に所定の電流プロファイルを追跡する電流を発生させるなど、発生器30に指示を伝達することができる。
【0040】
典型的には、異なるそれぞれのアブレーションパラメータのセットに対する複数のプロファイルが、メモリ32内に記憶される。電流を被験者の組織に印加する前に、プロセッサは、関連するパラメータを受信又は計算し、続いて、複数のプロファイルから、これらのパラメータに対応するプロファイルを選択する。
【0041】
こうしたパラメータの1つは組織の厚さである。一般に、より厚い組織の場合、所与の温度上昇を達成するために、より薄い組織と比較して必要な電流はより少なくなる。いくつかの実施形態では、このパラメータの推定は、ユーザによって手動で入力される。あるいは、例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2018/0008229号に記載されているように、遠位先端部40内の超音波トランスデューサが組織の超音波画像を取得してもよく、続いてプロセッサが画像から組織の厚さを確認してもよい。
【0042】
別の関連パラメータは、遠位先端部から通過する灌注流体の流量である。一般に、流量が増加するとより多くの熱が組織から排出されるため、所与の温度上昇を達成するために必要な電流はより多くなる。
【0043】
他の関連するパラメータとしては、遠位先端部40が組織に接触する力、及びこの力に依存する遠位先端部の貫通深さが挙げられる。(特許請求の範囲を含む本出願の文脈では、カテーテル先端部は、カテーテル先端部が組織の表面を内側に押圧すると、組織を「貫通する」と言われる。表面が内側に押圧される距離は、貫通距離又は貫通深さと呼ばれる。)一般に、貫通深さが増加すると、アブレーション電流のより大きな割合が血液を通過せずに組織を通過するため、所与の温度上昇を達成するために必要な電流はより少なくなる。
【0044】
いくつかの実施形態では、遠位先端部40における力センサが接触力を測定し、続いてプロセッサが、この力測定に応答して遠位先端部40の推定貫通深さを計算する。あるいは又は更に、遠位先端部40における温度センサが遠位先端部の温度を測定してもよく、続いてプロセッサがこの温度測定に応答して貫通深さを計算してもよい。あるいは又は更に、遠位先端部と被験者の外部に結合された参照電極との間でインピーダンスが測定されてもよく、続いてプロセッサがこのインピーダンス測定値に応答して貫通深さを計算してもよい。
【0045】
例えば、貫通深さを推定するために、プロセッサは、それらの対応する開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,241,756号(Bergerら)、及び同第9,265,574号(Bar-talら)に記載される技術のいずれかを使用してもよい。こうした技術の1つによると、プロセッサは最初に前述のインピーダンス測定値及び力測定値を使用して遠位先端部の貫通深さを推定し、続いて、これらの測定値と有限要素モデルによって計算された温度及びインピーダンス値との間に整合が見出されるまで、この深さを再推定する。
【0046】
一般に、プロセッサ36は単一のプロセッサとして具現化されてもよく、又は協調ネットワーク化若しくはクラスター化されたプロセッサのセットとして具現化されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるプロセッサ36の機能は、例えば、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を使用して、専らハードウェアでのみ実装される。他の実施形態では、プロセッサ36の機能は、少なくとも部分的にソフトウェアで実装される。例えば、いくつかの実施形態では、プロセッサ36は、中央演算処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードドライブ若しくはCD-ROMドライブなどの不揮発性二次記憶装置、ネットワークインターフェース、及び/又は周辺装置を備える、プログラムされたデジタルコンピューティング装置として具現化される。ソフトウェアプログラムを含めたプログラムコード、及び/又はデータは、当該技術分野において公知のとおり、CPUによる実行及び処理のためにRAMにロードされ、表示、出力、送信又は格納のために結果が生成される。プログラムコード及び/又はデータをプロセッサに、電子フォームで、例えばネットワークを介してダウンロードしてもよく、又は、その代わりに若しくはそれに加えて、非一時的な有形媒体(例えば、磁気、光学、又は電子メモリ)上に提供及び/又は記憶してもよい。このようなプログラムコード及び/又はデータが、プロセッサに提供されると、本明細書に記載されているタスクを行うように構成された、機械又は専用コンピュータが実現する。
【0047】
電流プロファイルの使用
ここで図2を参照すると、図2は、本発明のいくつかの実施形態による、2つの電流プロファイル42の概略図である。
【0048】
一例として、図2は、図3を参照して以下に記載されるシミュレーション技術を使用して生成された2つのプロファイル42(0.25mmの貫通深さ及び約4mmの組織厚さに対応する第1のプロファイル42a、並びに0.55mmの貫通深さ及び約4mmの組織厚さに対応する第2のプロファイル42b)を示す。上述のように、電流源発生器を制御することによって、プロセッサは、発生器によって生成され、被験者に印加される電流に、これらのプロファイルのうちのいずれか1つを追跡させることができる。
【0049】
アブレーションに使用される電流は典型的には交流電流(例えば、高周波)であるため、図2は、電流の二乗平均平方根(RMS)振幅をプロットしており、以下の説明の一部は、当該技術分野の慣習に従うRMS振幅を同様に指す。しかしながら、電流プロファイルは、あるいは、電流のピーク振幅、又は任意の他の好適な振幅の測定値の点から定義されてもよいことに留意されたい。
【0050】
図2に示すように、電流のRMS振幅は、典型的には(必ずしもではないが)、初期は単調に、例えば0.8~1.2Aである比較的高い最大値Amaxまで増加する。典型的には、この振幅の初期増加は、発生器30が許す限り急速であり、そのため、例えば、振幅は0.5秒未満でAmaxまで増加し得る。続いて、振幅は、電流の印加が終了するまでAmax以下に留まる。例えば、振幅は、経時的に減少する前に、特定の時間間隔にわたってAmaxでプラトー状態になり(又は少なくともAmaxより1%以内だけ少ない範囲に留まり)(1つ以上の小さな断続的増加の可能性を除く)、そのため、振幅は、電流の印加が終了するまで最大値を下回った状態を維持する。
【0051】
例えばAmaxにおけるプラトーに続いて、振幅は、Amaxの50%~70%であるより低い値Aまで減少し、続いてプロファイルの「テール」部分にわたって比較的一定な状態を維持でき、そのため、例えば、振幅はAの±10%以内に留まる。一般に、カテーテルの遠位先端部のより深い貫通は、組織を加熱する際のより高い効率を促進する。したがって、第1のプロファイル42aを第2のプロファイル42bと比較することによって観察され得るように、振幅Aは貫通深さの増加と共に一般に減少する。
【0052】
有利には、電流の印加中は、カテーテルの遠位先端部からのいかなる情報も受信又は処理する必要がない場合がある。むしろ、生成された電流は、医師がプロセッサに対して任意の好適な時点で図2の「終了」インジケータによって示される電流の印加終了を指示するまで、所定のプロファイルを単純に追跡してよい。一般に、医師は、図3を参照して以下で更に説明するように、損傷の所望の幅及び/又は深さに従い電流印加の持続時間を設定してもよい。あるいは、生成された電流が、所定の時間間隔にわたって所定のプロファイルを追跡してもよい。こうした間隔は、例えば、10~20秒などの、3~30秒の時間を有し得る。
【0053】
上記にもかかわらず、いくつかの実施形態では、プロセッサは、処置中に受信されたフィードバックに応答して、所定のプロファイルから逸脱してもよい。例えば、電流の印加中、及び振幅が最大値に増加した後で、プロセッサは、組織の表面温度を示す1つ以上の信号を受信してもよい。(こうした信号は、例えば、遠位先端部40に配設された熱電対などの1つ以上の温度センサから受信されてもよい。)これらの信号に応答して、プロセッサは、例えば、図2の両方向矢印44によって示されるように、プロファイルのテールの振幅を調整することによって、電流の振幅を調節することができる。例えば、予想よりも高い表面温度読み取り値を受信することに応答して、プロセッサは、組織の過熱を回避するために、電流の振幅を低下させることができる。逆に、予想より低い表面温度読み取り値を受信することに応答して、プロセッサは電流の振幅を上昇させることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、プロセッサは、表面温度から組織の推定最大表面下温度を計算し、推定最大表面下温度に応答して電流の振幅を調節する。例えば、電流プロファイルが最大表面下温度を120℃未満に維持するように構成されているが、プロセッサが120℃を超える最大表面下温度を計算した場合、プロセッサは、電流プロファイルによって決定された振幅未満に電流の振幅を低下させることができる。
【0055】
最大表面下温度を推定するため、プロセッサは、それらの対応する開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,241,756号(Bergerら)、及び同第9,265,574号(Bar-talら)に記載される技術のいずれかを使用することができる。例えば、プロセッサは、カテーテル及び組織環境の有限要素熱伝達モデルを評価することができる。モデルの境界条件としては、測定表面温度、推定先端部貫通深さ、及びアブレーション電流の振幅が挙げられ得る。プロセッサは、例えば、計算流体力学(CFD)モデルを使用して対流境界条件を設定することにより、灌注の影響を更に組み込んでもよい。
【0056】
電流プロファイルの生成
ここで図3を参照すると、図3は本発明のいくつかの実施形態による、電流プロファイルを生成するのに用いられるシミュレートされたアブレーションの概略図である。
【0057】
典型的には、プロセッサ36は、アブレーションをシミュレートすることによって、すなわち、シミュレートされた組織46への電流の印加をシミュレートすることによって、各プロファイル42を生成する。このようなシミュレートされたアブレーションは図3に図示されており、これによって、シミュレートされたカテーテル先端部40sは、シミュレートされた組織46を貫通しながら、シミュレートされた組織に電流を印加する。組織の表面48の下の様々なハッチマークは、異なるそれぞれの表面下温度範囲を示し、それにより、温度は「ホットスポット」47内で最も高く、ホットスポット47からの距離と共に徐々に低くなる。図3の図は、COMSOL,Inc.(Burlington,Massachusetts,USA)によるMultiphysics(登録商標)ソフトウェアを使用して実行されるシミュレーションのスクリーンショットに基づく。このソフトウェア、又は生体組織に対する電流の影響をモデル化する任意の他の類似のソフトウェアを使用して、本明細書に記載のシミュレーションを実行することができる。
【0058】
以下でより詳細に説明するように、電流の印加をシミュレートする間、プロセッサは、シミュレートされた組織の最大表面下温度(「maxtemp」)(ホットスポット47内で達成される)を監視し、それに応答して電流の振幅を制御する。シミュレートされたアブレーションに続いて、プロセッサは、シミュレートされたアブレーションにわたる振幅値から、上記で電流プロファイルと称される時間の関数を導出し、続いて、図2を参照して上述したように、アブレーション処置における後続の使用のためにメモリ32(図1)に時間の関数を記憶する。
【0059】
例えば、プロセッサは、シミュレートされた印加にわたる振幅値の少なくとも一部を選択し、続いて選択された値を記憶してもよい。この場合、記憶されたプロファイルは、振幅値の時系列、すなわち、異なるそれぞれの時間の振幅の複数の値を含む。あるいは、プロセッサは、所定の関数テンプレートを振幅値に適合させ、続いて得られた関数を記憶してもよい。いくつかの実施形態では、時間t、及び定数a、b、c、d、e、f、及びgの場合、このテンプレートは(a+t)/(c+d+f)の形態である。この場合、テンプレートを更に振幅値に適合させるために、プロセッサは定数a~gを記憶する。(単に例示的な例として、ある場合では、発明者らは、a=323.2、b=7.345、c=315.3、d=1.299、e=7.432、f=0.1815、及びg=-4.729を得た。)
【0060】
アブレーションをシミュレートする間、プロセッサは、最大表面下温度が所定の温度閾値(又は「限界」)Tlim図3の120℃である)に向かって増加しながらも所定の閾値を超えることがないように、シミュレートされた電流の振幅を制御する。具体的には、プロセッサは、最大表面下温度を所定の閾値の小マージン内(例えば5℃以内)で急速に(例えば、シミュレートされた印加の開始から1.5秒未満で)増加させ、続いてシミュレートされた印加の終了までこのマージン内に留まらせることができる。例えば、閾値の5℃以内で増加した後、最大表面下温度は、閾値に向かって、例えば漸近的に増加し続けることができる。
【0061】
典型的には、閾値温度Tlimは、120~130℃である。一般に、Tlimは、スチームポップ形成の確率が所与の閾値を超える臨界温度に対する安全性のマージンが存在するという条件で、可能な限り高くなるように選択される。(この温度は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、上述の米国特許第9,241,756号(Bergerら)に記載されている。)したがって、例えば、臨界温度が125℃である場合、Tlimは120℃であってもよく、別の例としては、臨界温度が140℃である場合、Tlimは130℃であってもよい。
【0062】
典型的には、上記の方法で最大表面下温度を変化させるため、プロセッサは、図2を参照して上述した方法で、シミュレートされた電流の振幅を変化させる。すなわち、プロセッサは、振幅を最大値Amaxまで急速に(例えば、0.5秒未満で)増加させ、続いて、シミュレートされたアブレーションの終了までAmax以下に留まらせる。より具体的には、振幅のAmaxへの初期増加に続いて、プロセッサは、現在の最大表面下温度「T」に基づいてシミュレートされた電流の振幅を制御するのに好適な制御関数を使用する。このような制御機能は、例えば、TがTlimに近づくと振幅が減少するように、TとTlimとの間の差の関数として、振幅の次の値を設定することができる。例えば、振幅の電流値「A」を所与として、振幅の次の値はmin(A,max(Amin,|Amin-C(T-Tlim)|))に設定されてもよく、式中、Aminは所定の最小振幅値であり、Cは所定の定数である。(単に例示的な例として、AminはRMS振幅の場合は0.4Aであってもよく、及び/又はCは0.05であってもよい。)
【0063】
典型的には、シミュレートされたアブレーションの前に、プロセッサは、最大振幅Amax及び閾値温度Tlimを入力データとして受信する。他の実施形態では、プロセッサは、入力データとして特定のAmax値を受信しない。むしろ、プロセッサは、Amaxの好適な値範囲(例えば、RMS振幅の場合は0.8~1.2A)を受信する。続いて、プロセッサは、好適なプロファイルが得られるまで、この範囲内から様々なAmax値を反復的に選択する。(別のプロファイルよりも大きなAmaxを有するあるプロファイルはまた、Amaxでより短いプラトーも有することになるため、その結果、2つのプロファイルは、一般的に組織の表面下温度に対してほぼ同じ効果を有することになるため、典型的には、特定の「最適な」Amaxは存在しないことに留意されたい。)
【0064】
例として、図3は、シミュレーションの間の最大表面下温度の第1のプロット50を更に示し、ここで最大表面下温度は、120℃の所定の閾値に向かって漸近的に増加することがわかる。図3は更に、シミュレーションの間にシミュレートされた損傷(単位mm)の幅の第2のプロット52を、シミュレートされた損傷の深さ(単位mm)の第3のプロット54と共に示す。プロセッサは、実際のアブレーション処置の前に医師28にこれらのプロットを表示することができ(図1)、その結果、医師は、特定の標的損傷部の寸法に対応する持続時間を確認することができる。続いて、医師は、例えば標的損傷部の寸法を達成するために、この持続時間の間アブレーション電流を印加することができる。あるいは、医師は、標的損傷部の深さ及び/又は幅を入力することができ、続いてプロセッサは、所望の標的を達成する持続時間の間アブレーション電流を印加することができる。
【0065】
図3は、組織46の表面温度、すなわち、シミュレーション中の表面48における組織の温度の第4のプロット56を更に含む。第4のプロット56は、表面温度は最大表面下温度の良好な指標になり得ないことを示す。
【0066】
典型的には、プロセッサは、各タイプのアブレーションカテーテルに対して異なるそれぞれのシミュレーションのセットを実行する。すなわち、各タイプのカテーテルに対し、プロセッサは、アブレーションパラメータの様々なセットに関する複数のシミュレーションを実行する。図1を参照して上述したように、これらのパラメータは、組織厚さ、接触力、灌注流体流量、及び/又は貫通深さを含んでもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、プロファイル42は、プロセッサ36ではなく、別のプロセッサによって生成される。各プロファイルは、メモリ32に転送される前に、プロセッサ36から遠隔であってもよい任意の好適なメモリに記憶されてもよい。(あるいは、プロセッサ36は、任意の好適な通信インターフェースを介して遠隔のメモリからプロファイルを直接ロードしてもよい。)続いて、アブレーション処置中、プロセッサは、図2を参照して上述したように、電流源発生器30(図1)を駆動して、プロファイルに従って変化する振幅を有する電流を供給する。
【0068】
本発明が、本明細書上に具体的に示されて記載されたものに限定されない点は、当業者により理解されよう。むしろ、本発明の実施形態の範囲は、本明細書上に記載されている様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに上記の説明を一読すると当業者には想起されると思われる、従来技術には存在しない特徴の変更例及び改変例を含む。参照により本特許出願に組み込まれる文献は、これらの組み込まれた文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0069】
〔実施の態様〕
(1) 電流源発生器と、
前記電流源発生器を駆動して、被験者の組織に印加するために、所定の時間の関数に従って変化する振幅を有する電流を供給させ、その結果、初期は前記振幅が最大値まで単調に増加するように構成された、プロセッサと、を含む、システム。
(2) 前記所定の時間の関数が、値の時系列を含む、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記所定の時間の関数が、任意の時間値tに対し、定数a、b、c、d、e、f、及びgに対して(a+t)/(c+d+f)を返す、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記振幅が二乗平均平方根(RMS)振幅であり、前記RMS振幅の最大値が0.8~1.2Aである、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記プロセッサが、0.5秒未満で前記振幅を前記最大値まで単調に増加させるように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0070】
(6) 前記プロセッサが、
前記電流の印加中、及び前記振幅が前記最大値に増加した後で、前記組織の表面温度を示す信号を受信することと、
前記信号に応答して、前記電流の前記振幅を調整することと、を行うように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記プロセッサが、前記表面温度から前記組織の推定最大表面下温度を計算するように更に構成され、前記プロセッサが、前記推定最大表面下温度に応答して前記電流の前記振幅を調節するように構成されている、実施態様6に記載のシステム。
(8) 前記電流が、カテーテルの遠位先端部によって前記組織に印加され、前記プロセッサが、
カテーテルの前記遠位先端部の前記組織内への推定貫通深さを計算することと、
前記推定貫通深さに応答して、複数の所定の時間の関数から前記所定の時間の関数を選択することと、を行うように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(9) コンピュータメモリから所定の時間の関数をロードすることと、
電流源発生器を駆動して、被験者の組織に印加するために、前記所定の時間の関数に従って変化する振幅を有する電流を供給させ、その結果、初期は前記振幅が最大値まで単調に増加することと、を含む、方法。
(10) 前記所定の時間の関数が、値の時系列を含む、実施態様9に記載の方法。
【0071】
(11) 前記所定の時間の関数が、任意の時間値tに対し、定数a、b、c、d、e、f、及びgに対して(a+t)/(c+d+f)を返す、実施態様9に記載の方法。
(12) 前記振幅が二乗平均平方根(RMS)振幅であり、前記RMS振幅の最大値が0.8~1.2Aである、実施態様9に記載の方法。
(13) 前記電流の前記振幅が、0.5秒未満で前記最大値まで単調に増加する、実施態様9に記載の方法。
(14) 前記電流の印加中、及び前記振幅が前記最大値に増加した後で、前記組織の表面温度を示す信号を受信することと、
前記信号に応答して、前記電流の前記振幅を調整することと、を更に含む、実施態様9に記載の方法。
(15) 前記表面温度から前記組織の推定最大表面下温度を計算することを更に含み、前記電流の前記振幅を調整することが、前記推定最大表面下温度に応答して前記電流の前記振幅を調節することを含む、実施態様14に記載の方法。
【0072】
(16) 前記電流が、カテーテルの遠位先端部によって前記組織に印加され、前記方法が、
カテーテルの前記遠位先端部の前記組織内への推定貫通深さを計算することと、
前記推定貫通深さに応答して、複数の所定の時間の関数から前記所定の時間の関数を選択することと、を更に含む、実施態様9に記載の方法。
(17) コンピュータメモリと、
プロセッサであって、
シミュレートされた組織への電流の印加をシミュレートする間に、前記シミュレートされた組織の最大表面下温度が所定の閾値に向かって増加しながらも前記所定の閾値を超えることがないように、前記電流の振幅を制御することと、
前記シミュレートされた印加にわたる前記振幅の値から時間の関数を導出することと、
前記時間の関数をアブレーション処置における後続の使用のために前記コンピュータメモリに記憶することと、を行うように構成された、プロセッサと、を含む、システム。
(18) 前記プロセッサが、前記振幅を制御することによって、初期は前記振幅を最大値まで単調に増加させるように構成されている、実施態様17に記載のシステム。
(19) 前記振幅が二乗平均平方根(RMS)振幅であり、前記RMS振幅の最大値が0.8~1.2Aである、実施態様18に記載のシステム。
(20) 前記プロセッサが、0.5秒未満で前記振幅を前記最大値まで単調に増加させるように構成されている、実施態様18に記載のシステム。
【0073】
(21) 前記プロセッサが、前記振幅を制御することによって、前記シミュレートされた印加の開始から1.5秒未満で前記最大表面下温度を前記所定の閾値の5℃以内まで増加させ、続いて、前記シミュレートされた印加の終了まで前記所定の閾値の5℃以内に留まらせるように構成されている、実施態様17に記載のシステム。
(22) 前記プロセッサが、前記シミュレートされた印加にわたる前記振幅の値の少なくとも一部を選択することによって前記時間の関数を導出することと、前記選択された値を記憶することによって前記時間の関数を記憶することと、を行うように構成されている、実施態様17に記載のシステム。
(23) 前記プロセッサが、所定の関数テンプレートを前記シミュレートされた印加にわたる前記振幅の値に適合させることによって、前記時間の関数を導出するように構成されている、実施態様17に記載のシステム。
(24) 前記時間の関数が、任意の時間値tに対し、定数a、b、c、d、e、f、及びgに対して(a+t)/(c+d+f)を返す、実施態様23に記載のシステム。
(25) 前記プロセッサが、前記振幅の現在の振幅値A、及び前記最大表面下温度の現在の温度値Tを所与として、前記振幅の次の値をmin(A,max(Amin,|Amin-C(T-Tlim)|))に設定することによって前記振幅を制御するように構成され、式中、Aminは所定の最小振幅値であり、Cは所定の定数であり、Tlimは前記所定の閾値である、実施態様17に記載のシステム。
【0074】
(26) 前記プロセッサが、前記振幅を制御することによって、前記最大表面下温度を前記所定の閾値に向かって漸近的に増加させるように構成されている、実施態様17に記載のシステム。
(27) 前記電流が、シミュレートされた電流であり、
前記振幅が、シミュレートされた振幅であり、
前記システムが、電流源発生器を更に含み、
前記プロセッサが、前記電流源発生器を駆動して、前記アブレーション処置中に前記時間の関数に従って変化する実際の振幅を有する実際の電流を供給するように更に構成されている、実施態様17に記載のシステム。
(28) 前記所定の閾値が、120~130℃である、実施態様17に記載のシステム。
(29) プロセッサを用いて、シミュレートされた組織への電流の印加をシミュレートする間に、前記シミュレートされた組織の最大表面下温度が所定の閾値に向かって増加しながらも前記所定の閾値を超えることがないように、前記電流の振幅を制御することと、
前記シミュレートされた印加にわたる前記振幅の値から時間の関数を導出することと、
前記時間の関数をアブレーション処置における後続の使用のために記憶することと、を含む、方法。
(30) 前記振幅を制御することが、初期は前記振幅を最大値まで単調に増加させることを含む、実施態様29に記載の方法。
【0075】
(31) 前記振幅が二乗平均平方根(RMS)振幅であり、前記最大値が0.8~1.2Aである、実施態様30に記載の方法。
(32) 前記振幅を前記最大値まで単調に増加させることが、0.5秒未満で前記振幅を前記最大値まで単調に増加させることを含む、実施態様30に記載の方法。
(33) 前記振幅を制御することが、前記シミュレートされた印加の開始から1.5秒未満で前記最大表面下温度が前記所定の閾値の5℃以内まで増加し、続いて、前記シミュレートされた印加の終了まで前記所定の閾値の5℃以内に留まるように、前記振幅を制御することを含む、実施態様29に記載の方法。
(34) 前記時間の関数を導出することが、前記シミュレートされた印加にわたる前記振幅の値の少なくとも一部を選択することによって、前記時間の関数を導出することを含み、前記時間の関数を記憶することが、前記選択された値を記憶することによって前記時間の関数を記憶することを含む、実施態様29に記載の方法。
(35) 前記時間の関数を導出することが、所定の関数テンプレートを前記シミュレートされた印加にわたる前記振幅の値に適合させることによって、前記時間の関数を導出することを含む、実施態様29に記載の方法。
【0076】
(36) 前記時間の関数が、任意の時間値tに対し、定数a、b、c、d、e、f、及びgに対して(a+t)/(c+d+f)を返す、実施態様35に記載の方法。
(37) 前記振幅を制御することが、前記振幅の現在の振幅値A、及び前記最大表面下温度の現在の温度値Tを所与として、前記振幅の次の値を(i)A、並びに(ii)Amin及び|Amin-C(T-Tlim)|の最大値、の最小値に設定することによって前記振幅を制御することを含み、式中、Aminは所定の最小振幅値であり、Cは所定の定数であり、Tlimは前記所定の閾値である、実施態様29に記載の方法。
(38) 前記振幅を制御することが、前記最大表面下温度が前記所定の閾値に向かって漸近的に増加するように前記振幅を制御することを含む、実施態様29に記載の方法。
(39) 前記電流が、シミュレートされた電流であり、
前記振幅が、シミュレートされた振幅であり、
前記方法が、電流源発生器を駆動して、前記アブレーション処置中に前記時間の関数に従って変化する実際の振幅を有する実際の電流を供給することを更に含む、実施態様29に記載の方法。
(40) 前記所定の閾値が、120~130℃である、実施態様29に記載の方法。
図1
図2
図3