(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】フレキシブル基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20230904BHJP
【FI】
H05K1/02 B
(21)【出願番号】P 2019099646
(22)【出願日】2019-05-28
【審査請求日】2022-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 匠
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-227830(JP,A)
【文献】特開2016-18198(JP,A)
【文献】特開2015-121777(JP,A)
【文献】国際公開第2007/119608(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0218305(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G09F 9/00
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する絶縁基材と、
前記絶縁基材の前記第2面側に設けられた配線層と、
前記絶縁基材の前記第1面側に位置する支持体と、前記絶縁基材の前記第2面側に位置するコーティング層と、を有する樹脂層と、を備え、
前記絶縁基材は、平面視において、第1方向に延出し前記第1方向と交差する第2方向に並んで配置された複数の波型の第1部分と、前記第2方向に延出し前記第1方向に並んで配置された複数の波型の第2部分と、前記第1部分と前記第2部分の交差部に設けられた島状部と、を含み、
前記樹脂層は、平面視において、第1領域及び第2領域を有し、
前記樹脂層は、前記第1領域において第1弾性率と、前記第2領域において第2弾性率と、を有し、
前記第1弾性率は、前記第2弾性率より大きい、フレキシブル基板。
【請求項2】
前記第1領域の曲率は、前記第2領域の曲率より小さい、請求項1に記載のフレキシブル基板。
【請求項3】
前記コーティング層は、前記第1領域において第3弾性率と、前記第2領域において前記第3弾性率より小さい第4弾性率と、を有し、
前記支持体は、前記第1領域及び前記第2領域において等しい弾性率を有する、請求項1又は2に記載のフレキシブル基板。
【請求項4】
前記支持体は、前記第1領域において第5弾性率と、前記第2領域において前記第5弾性率より小さい第6弾性率と、を有し、
前記コーティング層は、前記第1領域及び前記第2領域において等しい弾性率を有する、請求項1又は2に記載のフレキシブル基板。
【請求項5】
前記コーティング層は、前記第1領域において第3弾性率と、前記第2領域において前記第3弾性率より小さい第4弾性率と、を有し、
前記支持体は、前記第1領域において第5弾性率と、前記第2領域において前記第5弾性率より小さい第6弾性率と、を有する、請求項1又は2に記載のフレキシブル基板。
【請求項6】
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する絶縁基材と、
前記絶縁基材の前記第2面側に設けられた配線層と、
前記絶縁基材の前記第1面側に位置する支持体と、前記絶縁基材の前記第2面側に位置するコーティング層と、を有する樹脂層と、を備え、
前記樹脂層は、平面視において第1領域及び第2領域を有し、
前記樹脂層は、断面視において、前記第1領域において第1膜厚と、前記第2領域において第2膜厚と、を有し、
前記第1領域及び前記第2領域が曲率を有さない状態において、前記第1膜厚は、前記第2膜厚より大き
く、
前記第1領域及び前記第2領域が曲率を有する状態において、前記第1膜厚は、前記第2膜厚と等しい、フレキシブル基板。
【請求項7】
前記第1領域及び前記第2領域が曲率を有する状態において、前記第1領域の曲率は、前記第2領域の曲率より小さい、請求項6に記載のフレキシブル基板。
【請求項8】
前記コーティング層は、前記第1領域において第3膜厚と、前記第2領域において第4膜厚と、を有し、
前記第1領域及び前記第2領域が曲率を有さない状態において、前記第3膜厚は、前記第4膜厚より大きく、
前記支持体は、前記第1領域及び前記第2領域において等しい膜厚を有する、請求項6
又は7に記載のフレキシブル基板。
【請求項9】
前記支持体は、前記第1領域において第5膜厚と、前記第2領域において第6膜厚と、を有し、
前記第1領域及び前記第2領域が曲率を有さない状態において、前記第5膜厚は、前記第6膜厚より大きく、
前記コーティング層は、前記第1領域及び前記第2領域において等しい膜厚を有する、請求項6
又は7に記載のフレキシブル基板。
【請求項10】
前記コーティング層は、前記第1領域において第3膜厚と、前記第2領域において第4膜厚と、を有し、
前記第1領域及び前記第2領域が曲率を有さない状態において、前記第3膜厚は、前記第4膜厚より大きく、
前記支持体は、前記第1領域において第5膜厚と、前記第2領域において第6膜厚と、を有し、
前記第1領域及び前記第2領域が曲率を有さない状態において、前記第5膜厚は、前記第6膜厚より大きい、請求項6
又は7に記載のフレキシブル基板。
【請求項11】
前記絶縁基材は、平面視において、第1方向に延出し前記第1方向と交差する第2方向に並んで配置された複数の波型の第1部分と、前記第2方向に延出し前記第1方向に並んで配置された複数の波型の第2部分と、前記第1部分と前記第2部分の交差部に設けられた島状部と、を含む、請求項
6乃至
10の何れか1項に記載のフレキシブル基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、フレキシブル基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、可撓性及び伸縮性を有したフレキシブル基板の利用が種々の分野で検討されている。一例を挙げると、マトリクス状に電気的素子が配列されたフレキシブル基板を電子機器の筐体や人体等の曲面に貼り付ける利用形態が考えられる。電気的素子としては、例えばタッチセンサや温度センサ等の各種センサや表示素子が適用され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-198101号公報
【文献】特開2015-198102号公報
【文献】特開2017-118109号公報
【文献】特開2017-113088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、曲率に応じて伸長率及び膜厚を調整することが可能なフレキシブル基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によれば、第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する絶縁基材と、前記絶縁基材の前記第2面側に設けられた配線層と、前記絶縁基材の前記第1面側に位置する支持体と、前記絶縁基材の前記第2面側に位置するコーティング層と、を有する樹脂層と、を備え、前記樹脂層は、平面視において、第1領域及び第2領域を有し、前記樹脂層は、前記第1領域において第1弾性率と、前記第2領域において第2弾性率と、を有し、前記第1弾性率は、前記第2弾性率より大きい、フレキシブル基板が提供される。
【0006】
本実施形態によれば、第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する絶縁基材と、前記絶縁基材の前記第2面側に設けられた配線層と、前記絶縁基材の前記第1面側に位置する支持体と、前記絶縁基材の前記第2面側に位置するコーティング層と、を有する樹脂層と、を備え、前記樹脂層は、平面視において第1領域及び第2領域を有し、前記樹脂層は、断面視において、前記第1領域において第1膜厚と、前記第2領域において第2膜厚と、を有し、前記第1領域及び前記第2領域が曲率を有さない状態において、前記第1膜厚は、前記第2膜厚より大きい、フレキシブル基板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るフレキシブル基板の概略的な平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したフレキシブル基板の一部を拡大した平面図である。
【
図3】
図3は、
図2においてA-Bで示すフレキシブル基板の一部の概略的な断面図である。
【
図4】
図4は、
図2においてC-Dで示すフレキシブル基板の一部の概略的な断面図である。
【
図5】
図5は、比較例と本実施形態のフレキシブル基板を模式的に示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図5(c)に示したフレキシブル基板の概略的な断面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示したフレキシブル基板が湾曲された状態を示す断面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の第1変形例を示す断面図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態の第2変形例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態の具体例を示す断面図である。
【
図11】
図11は、
図2においてI-Jで示すフレキシブル基板の一部の概略的な断面図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態のフレキシブル基板の概略的な断面図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態の第1変形例を示す断面図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態の第2変形例を示す断面図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態の具体例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
図1は、本実施形態に係るフレキシブル基板100の概略的な平面図である。
本実施形態においては、図示したように第1方向D1、第2方向D2、第3方向D3を定義する。第1方向D1及び第2方向D2は、フレキシブル基板100の主面と平行であり、互いに交わる方向である。第3方向D3は、第1方向D1、第2方向D2に対して垂直な方向であり、フレキシブル基板100の厚さ方向に相当する。第1方向D1と第2方向D2は、本実施形態では垂直に交わるが、垂直以外の角度で交わってもよい。
【0010】
フレキシブル基板100は、複数の走査線1、複数の信号線2、複数の電気的素子3、支持体8、走査線ドライバDR1、信号線ドライバDR2を有している。走査線1、信号線2、電気的素子3、走査線ドライバDR1、信号線ドライバDR2は、支持体8の上に位置している。複数の走査線1は、それぞれ第1方向D1に延出し第2方向D2に並んでいる。複数の走査線1は、それぞれ走査線ドライバDR1に接続されている。複数の信号線2は、それぞれ第2方向D2に延出し第1方向D1に並んでいる。複数の信号線2は、それぞれ信号線ドライバDR2に接続されている。複数の電気的素子3は、それぞれ走査線1と信号線2との交差部に位置し、走査線1及び信号線2と電気的に接続されている。なお、電気的素子3の機能の詳細については後述する。
【0011】
図2は、
図1に示したフレキシブル基板100の一部を拡大した平面図である。
フレキシブル基板100は、上記に加えて、走査線1及び信号線2を支持する絶縁基材4を備えている。
【0012】
絶縁基材4は、平面視において、第1方向D1に延出し第2方向D2に並んで配置された複数の第1部分PT1と、第2方向D2に延出し第1方向D1に並んで配置された複数の第2部分PT2と、第1部分PT1と第2部分PT2との交差部に設けられた複数の島状部ILと、を有している。第1部分PT1及び第2部分PT2は、それぞれ波状に形成されている。島状部ILは、第1部分PT1と第2部分PT2に接続されている。絶縁基材4は、伸縮性及び可撓性を有し、例えばポリイミドで形成することができるが、この例に限られない。また、絶縁基材4は、隣り合う2つの第1部分PT1と、隣り合う2つの第2部分PT2とによって囲まれた開口OPを形成している。開口OPは、第1方向D1及び第2方向D2にマトリクス状に並んでいる。
【0013】
走査線1は、第1部分PT1上に位置し、波状に配置されている。信号線2は、第2部分PT2上に位置し、波状に配置されている。走査線1及び信号線2は、フレキシブル基板100が備える配線の一例である。走査線1及び信号線2は、例えば金属材料や透明導電材料で形成することができ、単層構造であってもよいし積層構造であってもよい。フレキシブル基板100は、走査線1及び信号線2の他に、電気的素子3に給電する電源線などの他種の配線を備えてもよい。
【0014】
走査線1は、実線で示す第1部分11と、破線で示す第2部分12と、を有している。第2部分12は、電気的素子3と重畳している。第1部分11と第2部分12は、互いに異なる層に配置されており、コンタクトホールCH1、CH2を通じて電気的に接続されている。
【0015】
走査線1は、電気的素子3に走査信号を供給する。例えば電気的素子3がセンサのような信号の出力を伴うものである場合、信号線2には電気的素子3からの出力信号が供給される。また、例えば電気的素子3が発光素子やアクチュエータのように入力される信号に応じて作動するものである場合、信号線2には駆動信号が供給される。走査信号の供給源、駆動信号の供給源又は出力信号を処理するプロセッサなどを含むコントローラは、フレキシブル基板100に設けられてもよいし、フレキシブル基板100に接続される機器に設けられてもよい。
【0016】
電気的素子3は、島状部IL上に位置している。電気的素子3は島状部ILよりも小さく、
図2においては電気的素子3の縁から島状部ILがはみ出ている。例えば電気的素子3は、センサ、半導体素子、又はアクチュエータなどである。例えばセンサとしては、可視光や近赤外光を受光する光学センサ、温度センサ、圧力センサ、又はタッチセンサなどを適用できる。例えば半導体素子としては、発光素子、受光素子、ダイオード、又はトランジスタなどを適用できる。電気的素子3が発光素子である場合、可撓性及び伸縮性を有するフレキシブルディスプレイを実現できる。発光素子としては、例えばミニLEDやマイクロLEDといった100μm前後の大きさを有する発光ダイオードや有機エレクトロルミネッセンス素子を適用することができる。電気的素子3がアクチュエータである場合、例えばピエゾ素子を適用できる。なお、電気的素子3は、ここで例示したものに限られず、その他にも種々の機能を有する素子を適用し得る。電気的素子3は、コンデンサや抵抗などであってもよい。また、電気的素子3の配置位置や形状は
図2に示した例に限らない。
【0017】
図3は、
図2においてA-Bで示すフレキシブル基板100の一部の概略的な断面図である。
フレキシブル基板100は、上述の要素の他に、第1有機絶縁層5と、第2有機絶縁層6と、樹脂層9と、をさらに備えている。絶縁基材4は、第1面SF1と、第1面SF1の反対側の第2面SF2と、を有している。第1有機絶縁層5は、第2面SF2を覆っている。走査線1は、絶縁基材4の第2面SF2側に設けられている。具体的には、走査線1は、第1有機絶縁層5の上に配置されている。第2有機絶縁層6は、走査線1及び第1有機絶縁層5を覆っている。第1有機絶縁層5及び第2有機絶縁層6は、例えばポリイミドなどの有機材料で形成されている。なお、第1有機絶縁層5及び第2有機絶縁層6は、絶縁基材4が無い領域にも設けられてもよい。但し、フレキシブル基板100の可撓性及び伸縮性の観点からは、
図3に示すような配置態様が好ましい。また、
図3に示す例では、第1部分PT1の直上に、信号線2は配置されない。
【0018】
樹脂層9は、絶縁基材4の第1面SF1側に位置する支持体8と、絶縁基材4の第2面SF2側に位置するコーティング層7と、を有している。図示した例では、支持体8は、第1面SF1に接している。支持体8は、可撓性を有する有機材料で形成されている。コーティング層7は、絶縁基材4、第1有機絶縁層5、及び、第2有機絶縁層6を覆っている。コーティング層7は、例えばパリレン(登録商標)などのポリ-p-キシリレン構造体を有する可撓性を有する有機材料で形成されている。絶縁基材4が無い領域においては、コーティング層7と支持体8とが接している。支持体8は、絶縁基材4及びコーティング層7の下面に有機材料を塗布して形成されてもよいし、フィルム状あるいは板状に形成され接着層を介して貼り付けられてもよい。
【0019】
図4は、
図2においてC-Dで示すフレキシブル基板100の一部の概略的な断面図である。
信号線2は、絶縁基材4の第2面SF2側に設けられている。具体的には、信号線2は、第2有機絶縁層6の上に配置されている。コーティング層7は、信号線2、絶縁基材4、第1有機絶縁層5、及び、第2有機絶縁層6を覆っている。
図4に示す例では、第2部分PT2の直上に、走査線1は配置されていない。
図3及び
図4に示したように、絶縁基材4、第1有機絶縁層5、第2有機絶縁層6、走査線1、信号線2は、樹脂層9によって上下左右を囲まれている。
【0020】
図5は、比較例と本実施形態のフレキシブル基板100を模式的に示す平面図である。
図5(a)は、比較例のフレキシブル基板100を示している。
図5(b)は、
図5(a)に示したフレキシブル基板100が伸長した際の絶縁基材4の配置形状を示している。
図5(c)は、本実施形態のフレキシブル基板100を示している。
図5(d)は、
図5(c)に示したフレキシブル基板100が伸長した際の絶縁基材4の配置形状を示している。また、本明細書において、点描の濃淡は、弾性率の大小を示しており、点描の密度が大きい程、弾性率が大きく、点描の密度が小さい程、弾性率が小さい。
【0021】
図5(a)に示すフレキシブル基板100においては、樹脂層9の弾性率は、領域に寄らず均一である。また、それぞれの開口OPのサイズは互いに略等しい。フレキシブル基板100は、例えば、電子機器や物体等の曲面に貼付される。フレキシブル基板100が曲率の均一でない面に貼付された際には、
図5(b)に示すように、領域によって絶縁基材4の伸長率が異なり、複数の開口OPのサイズにばらつきが生じる。そのため、電気的素子3の配置密度のばらつきが生じ、領域によって光学特性や受光量にムラが生じる恐れがある。
【0022】
図5(c)に示すフレキシブル基板100においては、樹脂層9の弾性率は、領域によって異なっている。図示した例では、フレキシブル基板100は、中心から外側に行くに連れて弾性率が小さくなっている。このとき、それぞれの開口OPのサイズは互いに略等しい。フレキシブル基板100が曲率の均一でない面に貼付された際には、
図5(d)に示すように、
図5(b)に示した比較例と比べて開口OPのサイズが均一化される。つまり、樹脂層9の弾性率を添付される物体の面の曲率に応じて調整することによって、フレキシブル基板100の伸長率を調整することができる。よって、開口OPのサイズのばらつきを低減することができる。曲率が小さい程、弾性率を大きくすることによって、開口OPのサイズの拡大を抑制することができる。
【0023】
樹脂層9の弾性率は、コーティング層7及び支持体8のどちらか一方の弾性率を調整することによって調整されても良いし、両者の弾性率を調整することによって調整されても良い。樹脂層9の弾性率は、樹脂層9の厚さを変更せずに調整され、例えば、紫外線硬化の硬化時間を領域によって変更することによって調整される。曲率が大きい程、紫外線の照射時間を短くすることで弾性率を小さくすることができる。また、樹脂層9の弾性率は、領域によって異なる樹脂材料を用いることによって調整されても良い。曲率が大きい程、弾性率が小さい樹脂が用いられる。
【0024】
本実施形態によれば、樹脂層9は、添付される物体の面の曲率に応じて、領域によって異なる弾性率を有している。そのため、開口OPのサイズのばらつきが生じるのを低減することができる。よって、電気的素子3の配置密度のばらつきを低減し、領域によって光学特性や受光量にムラが生じるのを抑制することができる。
【0025】
図6は、
図5(c)に示したフレキシブル基板100の概略的な断面図である。
図6(a)は、
図5(c)においてE-Fで示すフレキシブル基板100の概略的な断面図である。
図6(b)は、
図5(c)においてG-Hで示すフレキシブル基板100の概略的な断面図である。
図6に示す構成は、樹脂層9のうち、コーティング層7の弾性率を調整する場合を示している。
図6においては、支持体8の弾性率は均一である。
【0026】
図6(a)及び
図6(b)に示すように、コーティング層7の弾性率は、中心から外側に行くに連れて小さくなっている。ここで、樹脂層9において、第1領域AR1と、第1領域AR1とは異なる第2領域AR2と、を定義する。
図5(c)に示したように、樹脂層9は、平面視において、第1領域AR1及び第2領域AR2を有している。樹脂層9は、第1領域AR1において第1弾性率E1を有し、第2領域AR2において第2弾性率E2を有している。第1弾性率E1は、第2弾性率E2より大きい。また、コーティング層7は、第1領域AR1において第3弾性率E3と、第2領域AR2において第4弾性率E4を有している。第3弾性率E4は、第4弾性率E4より大きい。支持体8は、第1領域AR1及び第2領域AR2において等しい弾性率を有する。
【0027】
図7は、
図6に示したフレキシブル基板100が湾曲された状態を示す断面図である。
図7(a)に示すフレキシブル基板100は、中心から外側に行くに連れて曲率が大きくなる。フレキシブル基板100の曲率が大きい程、コーティング層7の弾性率が小さい。すなわち、フレキシブル基板100の曲率が大きい程、樹脂層9の弾性率が小さい。第1領域AR1の曲率は、第2領域AR2の曲率より小さい。隣り合う第1部分PT1の間の間隔GPは、それぞれ略等しい。
図7(b)についても、
図7(a)と同様であり、隣り合う第2部分PT2の間の間隔GPは、それぞれ略等しい。
【0028】
図8は、第1実施形態の第1変形例を示す断面図である。
図8に示す構成は、
図6に示した構成と比較して、樹脂層9の弾性率が異なっている。すなわち、
図8に示す構成は、樹脂層9のうち、支持体8の弾性率を調整する場合を示している。
図8においては、コーティング層7の弾性率は均一である。
【0029】
図8(a)及び
図8(b)に示すように、支持体8の弾性率は、中心から外側に行くに連れて小さくなっている。樹脂層9は、第1領域AR1において第1弾性率E1を有し、第2領域AR2において第2弾性率E2を有している。第1弾性率E1は、第2弾性率E2より大きい。支持体8は、第1領域AR1において第5弾性率E5と、第2領域AR2において第6弾性率E6と、を有している。第5弾性率E5は、第6弾性率E6より大きい。コーティング層7は、第1領域AR1及び第2領域AR2において等しい弾性率を有する。
このような第1実施形態の第1変形例においても、上記した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0030】
図9は、第1実施形態の第2変形例を示す断面図である。
図9に示す構成は、
図6に示した構成と比較して、樹脂層9の弾性率が異なっている。すなわち、
図9に示す構成は、樹脂層9のうち、コーティング層7及び支持体8の両方の弾性率を調整する場合を示している。
【0031】
図9(a)及び
図9(b)に示すように、コーティング層7及び支持体8の弾性率は、中心から外側に行くに連れて小さくなっている。樹脂層9は、第1領域AR1において第1弾性率E1を有し、第2領域AR2において第2弾性率E2を有している。第1弾性率E1は、第2弾性率E2より大きい。コーティング層7は、第1領域AR1において第3弾性率E3と、第2領域AR2において第4弾性率E4を有している。第3弾性率E3は、第4弾性率E4より大きい。支持体8は、第1領域AR1において第5弾性率E5と、第2領域AR2において第6弾性率E6と、を有している。第5弾性率E5は、第6弾性率E6より小さい。
このような第1実施形態の第2変形例においても、上記した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0032】
図10は、第1実施形態の具体例を示す断面図である。
フレキシブル基板100は、物体200の曲面に貼付されている。フレキシブル基板100は、第1領域AR1において曲率半径R1を有し、第2領域AR2において曲率半径R2を有する。ここでは、曲率半径R1は10mmであり、曲率半径R2は5mmである。
【0033】
ここで、弾性率Eと断面二次モーメントIの式は以下で表される。
1/R=M/EI…(1)、I=bh3/12…(2)
Rは曲率半径、Mは曲げモーメント、Eは弾性率、Iは断面二次モーメント、bは樹脂層の高さ、hは樹脂層の幅を示している。まず、第1領域AR1の弾性率と第2領域AR2の弾性率が等しい場合について検証する。例えば、第1領域AR1の弾性率及び第2領域AR2の弾性率が、弾性率E=5MPaであるとする。第1領域AR1について断面二次モーメントIAを計算すると、曲率半径R1=10と、弾性率E=5を(1)式に当てはめ、1/10=M/5IAとなり、IA=2Mとなる。また、第2領域AR2について断面二次モーメントIBを計算すると、曲率半径R1=5と、弾性率E=5を(1)式に当てはめ、1/5=M/5IBとなり、IB=Mとなる。したがって、第1領域AR1の断面二次モーメントIA=2Mであり、第2領域AR2の断面二次モーメントIB=Mであるため、第1領域AR1は、第2領域AR2の2倍変形することがわかる。
【0034】
次に、第1領域AR1の弾性率と第2領域AR2の弾性率が異なる場合について検証する。第1領域AR1の弾性率E=5MPaとし、第2領域AR2の弾性率E=2.5MPaとする。第1領域AR1について断面二次モーメントIAを計算すると、曲率半径R1=10と、弾性率E=5を(1)式に当てはめ、1/10=M/5IAとなり、IA=2Mとなる。また、第2領域AR2について断面二次モーメントIBを計算すると、曲率半径R1=5と、弾性率E=2.5を(1)式に当てはめ、1/5=M/2.5IBとなり、IB=2Mとなる。したがって、第1領域AR1の断面二次モーメントIA=2Mであり、第2領域AR2の断面二次モーメントIB=2Mであるため、第1領域AR1及び第2領域AR2の変形量は同じであることがわかる。したがって、上記した第1実施形態に示したように、曲率に応じて樹脂層9の弾性率を調整することで、フレキシブル基板100の変形量を均一化することができる。
【0035】
図11は、
図2においてI-Jで示すフレキシブル基板100の一部の概略的な断面図である。
電気的素子3は、絶縁基材4の島状部ILの上に配置されている。電気的素子3と島状部ILとの間には、無機絶縁層19(パッシベーション層)が配置されている。無機絶縁層19は、平面視においては電気的素子3(あるいは島状部IL)と重畳する島状に形成されている。第1部分11は、第1有機絶縁層5の上に配置され、第2有機絶縁層6によって覆われている。第2部分12は、無機絶縁層19の上に配置され、電気的素子3と電気的に接続されている。
図11に示す例においては、第2部分12の両端部が第1有機絶縁層5に覆われている。
【0036】
コンタクトホールCH1及びCH2は、第1有機絶縁層5に設けられている。第1部分11は、コンタクトホールCH1及びCH2に配置された接続部材CM1及びCM2を介して第2部分12と電気的に接続されている。接続部材CM1及びCM2は、第1部分11の一部であってもよいし、第1部分11とは別途に設けられてもよい。
【0037】
このように、電気的素子3と絶縁基材4との間には島状の無機絶縁層19が配置されている。この無機絶縁層19は、電気的素子3や走査線1の第2部分12への水分等の侵入を抑制する保護膜として機能する。このため、フレキシブル基板100の信頼性が向上する。また、一般的に無機膜は有機膜に比べてクラックが生じやすいが、走査線1の第1部分11の下方には無機絶縁層19が設けられていないため、第1部分11での断線が抑制される。図示しない信号線についても同様である。さらに、無機絶縁層19がフレキシブル基板100の全体に設けられている場合と比較して、フレキシブル基板100の伸縮性及び可撓性が阻害されにくくなる。
【0038】
また、走査線1において、電気的素子3と重畳する第2部分12が第1部分11とは異なる層に配置されているため、電気的素子3の近傍における設計の自由度が向上する。また、コンタクトホールCH1及びCH2は、無機絶縁層19の上方に設けられているため、第1部分11と第2部分12との接続位置での接続不良が抑制される。
【0039】
電気的素子3の下方には、絶縁基材4の島状部ILが配置されている。これにより、電気的素子3を良好に支持できる。さらに、絶縁基材4は、支持体8によって支持されている。このため、フレキシブル基板100の強度が全体的に増すとともに、下方からの水分等の侵入が抑制される。
【0040】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、フレキシブル基板100を伸長した際の樹脂層9の膜厚を均一化するために、フレキシブル基板100を伸長する前の樹脂層9の膜厚を領域によって変更するものである。
【0041】
図12は、第2実施形態のフレキシブル基板100の概略的な断面図である。
図12に示す構成は、
図6に示した構成と比較して、樹脂層9の膜厚が異なっている。
図12に示す構成は、樹脂層9のうち、コーティング層7の膜厚を調整する場合を示している。
図12においては、支持体8の膜厚は均一である。また、図示した例では、フレキシブル基板100は、伸長されておらず、第1領域AR1及び第2領域AR2は曲率を有していない。
【0042】
図12(a)及び
図12(b)に示すように、樹脂層9の膜厚は、中心から外側に行くに連れて小さくなっている。樹脂層9は、断面視において、第1領域AR1において第1膜厚T1と、第2領域AR2において第2膜厚T2と、を有している。第1領域AR1及び第2領域AR2が曲率を有していない状態において、第1膜厚T1は、第2膜厚T2より大きい。コーティング層7の膜厚は、中心から外側に行くに連れて小さくなっている。コーティング層7は、第1領域AR1において第3膜厚T3と、第2領域AR2において第4膜厚T4と、を有している。第1領域AR1及び第2領域AR2が曲率を有していない状態において、第3膜厚T3は、第4膜厚T4より大きい。支持体8は、第1領域AR1及び第2領域AR2において、等しい膜厚T11を有する。樹脂層9の第1領域AR1の膜厚T1は、コーティング層7の第1領域AR1の膜厚T3と、支持体8の第1領域AR1の膜厚T11との和に相当する。同様に、樹脂層9の第2領域AR2の膜厚T2は、コーティング層7の第2領域AR2の膜厚T4と、支持体8の第2領域AR2の膜厚T11との和に相当する。なお、図示した例では、コーティング層7の厚さは緩やかに変更されているが、段階的に変更されても良い。
【0043】
図13は、
図12に示したフレキシブル基板100が湾曲された状態を示す断面図である。
図13(a)及び
図13(b)に示すフレキシブル基板100は、中心から外側に行くに連れて曲率が大きくなる。すなわち、第1領域AR1及び第2領域AR2は、曲率を有しており、第1領域AR1の曲率は、第2領域AR2の曲率より小さい。このとき、第1膜厚T1は、第2膜厚T2と等しい。つまり、フレキシブル基板100が曲率を有する状態において、樹脂層9は膜厚が略均一となる。曲率が大きくなる領域程、
図12に示したように、フレキシブル基板100が伸長される前の状態において樹脂層9の膜厚が小さく形成される。また、隣り合う第1部分PT1の間の間隔GPは、それぞれ略等しい。
図7(b)についても、
図7(a)と同様であり、隣り合う第2部分PT2の間の間隔GPは、それぞれ略等しい。
【0044】
第2実施形態によれば、樹脂層9は、フレキシブル基板100が伸長される前の状態において領域によって異なる膜厚を有している。例えば、フレキシブル基板100が伸長される前の状態において樹脂層9の膜厚が均一である場合、フレキシブル基板100を伸長させた後に、樹脂層9の膜厚が領域によって異なる場合がある。第2実施形態においては、添付される物体の面の曲率に応じて樹脂層9の膜厚を予め調整するため、フレキシブル基板100が伸長された後の樹脂層9の膜厚を均一にすることができる。よって、領域によって光学特性や受光量にムラが生じるのを抑制することができる。
【0045】
図14は、第2実施形態の第1変形例を示す断面図である。
図14に示す構成は、
図6に示した構成と比較して、樹脂層9の膜厚が異なっている。
図14に示す構成は、樹脂層9のうち、支持体8の膜厚を調整する場合を示している。
図14においては、コーティング層7の膜厚は均一である。また、図示した例では、フレキシブル基板100は、伸長されておらず、第1領域AR1及び第2領域AR2は曲率を有していない。
【0046】
図14(a)及び
図14(b)に示すように、樹脂層9の膜厚は、中心から外側に行くに連れて小さくなっている。樹脂層9は、第1領域AR1において第1膜厚T1と、第2領域AR2において第2膜厚T2と、を有している。第1領域AR1及び第2領域AR2が曲率を有していない状態において、第1膜厚T1は、第2膜厚T2より大きい。支持体8の膜厚は、中心から外側に行くに連れて小さくなっている。支持体8は、第1領域AR1において第5膜厚T5と、第2領域AR2において第6膜厚T6と、を有している。第1領域AR1及び第2領域AR2が曲率を有していない状態において、第5膜厚T5は、第6膜厚T6より大きい。コーティング層7は、第1領域AR1及び第2領域AR2において、等しい膜厚T12を有する。樹脂層9の第1領域AR1の膜厚T1は、コーティング層7の第1領域AR1の膜厚T12と、支持体8の第1領域AR1の膜厚T5との和に相当する。同様に、樹脂層9の第2領域AR2の膜厚T2は、コーティング層7の第2領域AR2の膜厚T12と、支持体8の第2領域AR2の膜厚T6との和に相当する。なお、図示した例では、支持体8の厚さは緩やかに変更されているが、段階的に変更されても良い。
このような第2実施形態の第1変形例においても、上記した第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
図15は、第2実施形態の第2変形例を示す断面図である。
図15に示す構成は、
図6に示した構成と比較して、樹脂層9の膜厚が異なっている。
図15に示す構成は、樹脂層9のうち、コーティング層7及び支持体8の両方の膜厚を調整する場合を示している。また、図示した例では、フレキシブル基板100は、伸長されておらず、第1領域AR1及び第2領域AR2は曲率を有していない。
【0048】
図15(a)及び
図15(b)に示すように、樹脂層9の膜厚は、中心から外側に行くに連れて小さくなっている。樹脂層9は、第1領域AR1において第1膜厚T1と、第2領域AR2において第2膜厚T2と、を有している。第1領域AR1及び第2領域AR2が曲率を有していない状態において、第1膜厚T1は、第2膜厚T2より大きい。コーティング層7の膜厚は、中心から外側に行くに連れて小さくなっている。コーティング層7は、第1領域AR1において第3膜厚T3と、第2領域AR2において第4膜厚T4と、を有している。第1領域AR1及び第2領域AR2が曲率を有していない状態において、第3膜厚T3は、第4膜厚T4より大きい。支持体8の膜厚は、中心から外側に行くに連れて小さくなっている。支持体8は、第1領域AR1において第5膜厚T5と、第2領域AR2において第6膜厚T6と、を有している。第1領域AR1及び第2領域AR2が曲率を有していない状態において、第5膜厚T5は、第6膜厚T6より大きい。樹脂層9の第1領域AR1の膜厚T1は、コーティング層7の第1領域AR1の膜厚T3と、支持体8の第1領域AR1の膜厚T5との和に相当する。同様に、樹脂層9の第2領域AR2の膜厚T2は、コーティング層7の第2領域AR2の膜厚T4と、支持体8の第2領域AR2の膜厚T6との和に相当する。なお、図示した例では、コーティング層7及び支持体8の厚さは緩やかに変更されているが、段階的に変更されても良い。
このような第2実施形態の第2変形例においても、上記した第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0049】
図16は、第2実施形態の具体例を示す断面図である。
図16(a)に示すように、フレキシブル基板100は、第1領域AR1において膜厚T1を有し、第2領域AR2において膜厚T2を有する。膜厚T1は、膜厚T2より大きい。また、
図16(b)に示すように、フレキシブル基板100は、物体200の曲面に貼付されている。フレキシブル基板100は、第1領域AR1において曲率半径R1を有し、第2領域AR2において曲率半径R2を有する。ここでは、曲率半径R1は10mmであり、曲率半径R2は5mmである。
【0050】
ここで、弾性率Eと断面二次モーメントIの式は以下で表される。
1/R=M/EI…(1)、I=bh3/12…(2)
Rは曲率半径、Mは曲げモーメント、Eは弾性率、Iは断面二次モーメント、bは樹脂層の高さ、hは樹脂層の幅を示している。まず、第1領域AR1の膜厚と第2領域AR2の膜厚が等しいと仮定した場合について検証する。このとき、第1領域AR1の弾性率及び第2領域AR2の弾性率は、弾性率E=5MPaであるとする。第1領域AR1について断面二次モーメントIAを計算すると、曲率半径R1=10と、弾性率E=5を(1)式に当てはめ、1/10=M/5IAとなり、IA=2Mとなる。また、第2領域AR2について断面二次モーメントIBを計算すると、曲率半径R1=5と、弾性率E=5を(1)式に当てはめ、1/5=M/5IBとなり、IB=Mとなる。したがって、第1領域AR1の断面二次モーメントIA=2Mであり、第2領域AR2の断面二次モーメントIB=Mであるため、第1領域AR1は、第2領域AR2の2倍変形することがわかる。
【0051】
次に、第1領域AR1の膜厚T1と第2領域AR2の膜厚T2が異なる場合について検証する。第1領域AR1における膜厚T1は、樹脂層の高さbに相当する。また、例えば、第2領域AR2における膜厚T2は、膜厚T1の半分であると仮定して、樹脂層の高さb/2に相当するものとする。このとき、第1領域AR1の弾性率及び第2領域AR2の弾性率は、弾性率E=5MPaであるとする。第1領域AR1について断面二次モーメントIを計算すると、曲率半径R1=10と、弾性率E=5を(1)式に当てはめ、1/10=M/5IAとなり、IA=2Mとなる。また、第2領域AR2について断面二次モーメントIBを計算すると、曲率半径R2=5と、弾性率E=5を(1)式に当てはめ、1/5=M/5Iとなり、I=Mとなる。ここで、樹脂層の高さb/2であるため、(2)式より、(bh3/12)/2=Mとなる。よって、IB=2Mとなる。したがって、第1領域AR1の断面二次モーメントIA=2Mであり、第2領域AR2の断面二次モーメントIB=2Mであるため、第1領域AR1及び第2領域AR2の変形量は同じであることがわかる。よって、上記した第2実施形態に示したように、曲率に応じて樹脂層9の膜厚を調整することで、フレキシブル基板100の変形量を均一化することができる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、曲率に応じて伸長率及び膜厚を調整することが可能なフレキシブル基板を得ることができる。
【0053】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
100…フレキシブル基板、4…絶縁基材、SF1…第1面、SF2…第2面、
1…走査線、2…信号線、8…支持体、7…コーティング層、9…樹脂層、
AR1…第1領域、AR2…第2領域、E…弾性率、T…膜厚、
PT1…第1線部、PT2…第2線部。