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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】重なり合う表面近傍冷却チャネル
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/18 20060101AFI20230904BHJP
   F01D 9/04 20060101ALI20230904BHJP
   F01D 25/12 20060101ALI20230904BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20230904BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
F02C7/18 Z
F01D9/04
F01D25/12 E
F01D25/00 X
F02C7/00 D
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019112517
(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公開番号】P2020002950
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】16/015,268
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・ポール・レイシー
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0119570(US,A1)
【文献】特開2017-110643(JP,A)
【文献】特表平10-513242(JP,A)
【文献】特開2016-125489(JP,A)
【文献】米国特許第08449246(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0128174(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/18
F01D 9/04
F01D 25/12
F01D 25/00
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前縁(104)と、
前記前縁(104)の反対側の後縁(106)と、
前記前縁(104)及び前記後縁(106)の各々実質的に直交する第1の側部(108)と、
前記第1の側部(108)の反対側の第2の側部(110)であって、前記前縁(104)及び前記後縁(106)の各々実質的に直交する第2の側部(110)と、
前記前縁(104)、前記後縁(106)、前記第1の側部(108)及び前記第2の側部(110)を含む境界によって画定され、高温流体に曝される基板表面(112)と、
前記基板表面(112)下にあり、前記第1の側部(108)に近接する第1の組の入口(76)から前記第2の側部(110)に近接する第1の組の出口(82)に延びる第1の組の冷却空気マイクロチャネル(74)であって、前記第1の組の冷却空気マイクロチャネル(74)の少なくとも2つの隣接する冷却空気マイクロチャネル(74)が、前記第1の側部(108)に近接するチャネル側部を各々備えている、第1の組の冷却空気マイクロチャネル(74)と、
前記基板表面(112)下にあり、前記第2の側部(110)に近接する第2の組の入口(76)から前記第1の側部(108)に近接する第2の組の出口(82)に延びる第2の組の冷却空気マイクロチャネル(74)と
を備える構造であって
記第1の組の入口(76)の少なくとも1つの入口(76)、前記第1の組の冷却空気マイクロチャネル(74)の少なくとも2つの隣接する冷却空気マイクロチャネル(74)のそれぞれのチャネル側部と流体連通しており
前記チャネル側部移行部(78E)を備えていて、前記移行部(78E)前記第1の側部(108)と実質的に平行に延在しかつ前記基板表(112)に向かって傾斜しており、かつ
前記第1の組の冷却空気マイクロチャネル(74)の前記少なくとも2つの隣接する冷却空気マイクロチャネル(74)のチャネル側部が、前記基板表面(112)に直交する方向に互いに重なり合う、構造。
【請求項2】
前記第1及び第2の組の出口(82)の少なくとも1つの出口(82)が、線形状である、請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記第2の組の冷却空気マイクロチャネル(74)の少なくとも2つの隣接する冷却空気マイクロチャネル(74)が、前記第2の側部(110)に近接するチャネル側部を各々備えており、前記第2の組の入口(76)の少なくとも1つの入口(76)が、前記第2の組の冷却空気マイクロチャネル(74)の前記少なくとも2つの隣接する冷却空気マイクロチャネル(74)のそれぞれのチャネル側部と流体連通している、請求項1又は請求項2に記載の構造。
【請求項4】
前記第1の組の冷却空気マイクロチャネル(74)の各冷却チャネル(74)が、2つ以上の折り返しを含むフック形状である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の構造。
【請求項5】
前記第1の組の冷却空気マイクロチャネル(74)の各冷却チャネル(74)が、単一の折り返しを含むJ字形である、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の構造。
【請求項6】
キャビティ(118)をさらに備え、前記第1及び第2の組の入口(76)の各入口(76)が、前記キャビティ(118)から供給される、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の構造。
【請求項7】
前記キャビティ(118)が、少なくとも1つの冷却流路から圧縮冷却空気を供給される、請求項6に記載の構造。
【請求項8】
前縁(104)と、
前記前縁(104)の反対側の後縁(106)と、
前記前縁(104)及び前記後縁(106)の各々に実質的に直交する第1の側部(108)と、
前記第1の側部(108)の反対側であり、前記前縁(104)及び前記後縁(106)の各々に実質的に直交する第2の側部(110)と、
前記前縁(104)、前記後縁(106)、前記第1の側部(108)及び前記第2の側部(110)を含む境界によって画定され、高温流体に曝される基板表面(112)と、
前記基板表面(112)下にあり、前記第1の側部(108)に近接する第1の組の入口(76)から前記第2の側部(110)に近接する第1の組の出口(82)に延びる第1の組の冷却チャネル(74)と
を備える構造であって
前記第1の組の冷却チャネル(74)の各冷却チャネル(74)は、前記第1の側部(108)に隣接するチャネル側部を備え、
前記第1の組の冷却チャネル(74)の隣接する冷却チャネル(74)のチャネル側部が、前記基板表面(112)に直交する方向に互いに重なり合っていて、各チャネル側部、隣接するチャネル側部の少なくとも部分的に半径方向内向き又は半径方向外向きにある、構造。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の構造を、結合剤噴射、指向性エネルギー堆積、材料押出、材料噴射、粉末床溶融結合、シート積層、液槽光重合、直接金属レーザ溶融、直接金属レーザ焼結、選択的レーザ溶融、電子ビーム溶融及びそれらの混合の少なくとも1つによって付加構築することを含む、被冷却構造を製造する方法。
【請求項10】
ガスタービン(10)であって、当該ガスタービン(10)が、
圧縮機セクション(12)と、
前記圧縮機(12)から下流に配置された燃焼セクション(18)と、
前記燃焼セクション(18)から下流に配置されたタービンセクション(22)と
を備えており
前記ガスタービン(10)複数の構造を備え、各構が請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の構造である、ガスタービン(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ガスタービンの被冷却構造に関し、より具体的には、構造の縁部冷却を強化するように経路設定された重なり合う冷却チャネルに関する。
【背景技術】
【0002】
大型の強力な産業用ガスタービンエンジンでは、燃焼器内で発生した高温ガス流がタービンを通過して機械的仕事を生じる。タービンは、次第に低下する温度で高温ガス流と反応するステータベーンおよびロータブレードの1つまたは複数の列または段を含む。タービン、ひいてはエンジンの効率は、より高温のガス流をタービンに通すことによって高めることができる。しかしながら、タービン入口温度は、タービンの材料特性、特に第1段のベーンおよびブレード、ならびにこれらの第1段の翼形部に対するある程度の冷却能力に制限されることがある。
【0003】
第1段のロータおよびステータ構成要素は、最も高いガス流温度に曝され、ガス流がタービン段を通過するにつれて温度が徐々に低下する。冷却空気を内部冷却通路に通し、冷却空気を膜冷却孔を介して排出して冷却空気のブランケット層を提供し、高温ガス流から被冷却表面を保護することによって、第1および第2段の翼形部(ブレードおよびベーン)を冷却しなければならない。
【0004】
タービンロータブレードは、ブレード先端とのギャップを形成するシュラウドによって形成された被冷却表面内で回転する。シュラウドは、リングキャリア内に固定された多数のセグメントで形成される。ギャップを通過する漏れを含む第1段のノズルからの高温ガス流は、タービン効率を低下させるだけでなく、シュラウド上にホットスポットを形成し、それが侵食または他の熱的に誘発される損傷をもたらして部品寿命を短くする。
【発明の概要】
【0005】
本開示の態様および利点は、以下の説明に一部が記載されるか、または本開示の実施を通じて理解することができる。
【0006】
一実施形態では、被冷却構造は、前縁と、後縁と、前縁および後縁の各々に直交する第1の側部と、第1の側部の反対側であり、前縁および後縁の各々に実質的に直交する第2の側部とを有する。被冷却構造は、前縁、後縁、第1の側部および第2の側部を含む境界によって画定された基板表面を含む。基板表面下の第1の組の冷却チャネルは、第1の側部に近接する第1の組の入口から第2の側部に近接する第1の組の出口に延びる。基板表面下の第2の組の冷却チャネルは、第2の側部に近接する第2の組の入口から第1の側部に近接する第2の組の出口に延びる。各第1の入口は、第2の組の出口の少なくとも1つの出口と重なり合い、第2の組の出口の少なくとも1つの出口よりも基板表面に近い。第1の入口の少なくとも1つは、第1および第2の組の冷却空気マイクロチャネルの少なくとも1つの冷却空気マイクロチャネルのチャネル側部に供給を行う。チャネル側部は、基板の半径方向内側表面に向かって傾斜した移行部を含む。
【0007】
別の実施形態では、構造は、前縁と、前縁の反対側の後縁と、前縁および後縁の各々に実質的に直交する第1の側部と、第1の側部の反対側であり、前縁および後縁の各々に実質的に直交する第2の側部とを含む。構造は、前縁、後縁、第1の側部および第2の側部を含む境界によって画定された基板表面を含む。基板表面は、高温流体に曝される。基板表面下の第1の組の冷却チャネルは、第1の側部に近接する第1の組の入口から第2の側部に近接する第1の組の出口に延びる。各冷却チャネルは、第1の側部に隣接するチャネル側部を含む。各チャネル側部は、隣接するチャネル側部の少なくとも部分的に半径方向内向きまたは半径方向外向きにある。
【0008】
別の実施形態では、上述の被冷却構造は、圧縮機セクションと、圧縮機から下流に配置された燃焼セクションの複数の燃焼器と、燃焼セクションから下流に配置されたタービンセクションとを有するガスタービンの一部である。
【0009】
本開示のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照して、よりよく理解されよう。添付の図面は、本明細書に組み込まれて、本明細書の一部を構成し、本開示の実施形態を例示し、説明と共に本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0010】
その最良の形態を含み、当業者を対象とする、完全かつ実施可能な程度の開示が本明細書に記載され、以下の添付の図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本明細書の実施形態を組み込むことができる典型的なガスタービンの概略図である。
図2】本開示の様々な実施形態による、例示的なロータブレードおよび第2段のシュラウドブロックアセンブリの一部を含むタービンセクションの一部の拡大断面側面図である。
図3】ガスタービンの第1段に典型的な、タービンシュラウドブロックアセンブリを形成するために外側タービンシュラウドセグメントに結合された内側タービンシュラウドセグメントの一実施形態の斜視図である。
図4】本開示の様々な実施形態による、マイクロチャネルを有する内側タービンシュラウドセグメントの斜視図である。
図5】予備焼結プリフォーム(PSP)層のない内側タービンシュラウドセグメントマイクロチャネルの一実施形態の底面図である。
図6】マイクロチャネルの湾曲部と織り合わされた排気端を示す拡大底面図である。
図7】湾曲部と重なり合うように燃焼ガス側面から概ね半径方向外向きに延びる排気端を示す第1のスラッシュ面の拡大底面図である。
図8】重なり合う特徴を示す拡大側面図である。
図9】重なり合う特徴および重ならない特徴を示す底面図である。
図10】J字形の冷却チャネルを示す拡大底面図である。
図11】重なり合うJ字形の冷却チャネルを示す拡大底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書および図面における符号の反復使用は、本開示の同じまたは類似の特徴もしくは要素を表すことを意図している。
【0013】
以下、本発明の本実施形態について詳しく説明するが、その1つまたは複数の例が、添付の図面に示されている。詳細な説明は、図面の特徴を参照するために、数字および文字の符号を使用する。図面および説明における類似または同様の符号は、本発明の類似または同様の部分を指して使用されている。本明細書で使用する場合、「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、ある構成要素を別の構成要素から区別するために交換可能に使用することができ、個々の構成要素の位置または重要性を示すことを意図するものではない。「上流」または「後方」、ならびに「下流」または「前方」という用語は、流体経路における流体の流れに関する相対的な方向を指す。例えば、「上流」または「後方」は、流体が流れてくる方向を指し、「後部」と呼ばれることもある。「下流」または「前方」は、流体が流れていく方向を指し、「前部」と呼ばれることもある。「半径方向に」という用語は、特定の構成要素の軸方向中心線に実質的に垂直な相対方向を指し、「軸方向に」という用語は、特定の構成要素の軸方向中心線に実質的に平行な相対方向を指す。「円周方向の」および「接線方向の」という用語は、回転タービンまたは圧縮機ロータの円周方向と整列した方向を指すことがある。
【0014】
本明細書および特許請求の範囲を通してここで使用される、近似を表す文言は、関連する基本的機能に変化をもたらすことなく、差し支えない程度に変動できる任意の量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、「およそ(about)」、「約(approximately)」、および「実質的に(substantially)」などの用語で修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。ここで、ならびに本明細書および特許請求の範囲の全体を通じて、範囲限界を組み合わせてもよいし、および/または置き換えてもよい。文脈または文言が特に指示しない限り、このような範囲は識別され、本明細書に含まれるすべての部分範囲を含む。
【0015】
各例は、本発明の限定としてではなく、本発明の例示として提示される。実際、本発明の範囲または趣旨を逸脱せずに、修正および変更が本発明において可能であることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明された特徴を別の実施形態で使用し、さらに別の実施形態を得ることができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲に含まれるような修正および変更を、包含するように意図されている。本発明の例示的な実施形態は、説明の目的でガスタービンに関して一般的に説明されるが、当業者であれば、本発明の実施形態を任意のターボ機械に適用することができ、特許請求の範囲に具体的に列挙しない限り、産業用ガスタービンに限定されないことを容易に理解するであろう。産業用、舶用、または陸上用のガスタービンが本明細書に示され説明されているが、本明細書に示され説明される本開示は、特許請求の範囲に特に明記されない限り、陸上用および/または産業用、および/または舶用のガスタービンに限定されない。例えば、本明細書に記載される本開示は、限定はしないが、航空機転用タービンまたは舶用ガスタービンならびに航空機エンジンタービン、および/または航空用エンジンを含む任意のタイプのタービンに使用され得る。
【0016】
本明細書の被冷却構造は、構造の完全性を保つために、強制冷却空気源との直接接触を必要とする任意の構造として定義される。これらの構造は、タービンシュラウド、ノズル、ブレード、およびタービンの任意の他の高温ガス経路構成要素の部分を含むことができる。
【0017】
ここで図面を参照すると、同じ参照符号は同じ構成要素を指し、図1は、本発明の様々な実施形態を組み込むことができるガスタービン10の例を示している。示すように、ガスタービン10は、一般に、圧縮機セクション12を有し、圧縮機セクション12は、ガスタービン10の上流端に配置された入口14と、圧縮機セクション12を少なくとも部分的に取り囲むケーシング16とを有する。ガスタービン10は、圧縮機セクション12から下流に少なくとも1つの燃焼器20を有する燃焼セクション18と、燃焼セクション18から下流のタービンセクション22とをさらに含む。示すように、燃焼セクション18は、複数の燃焼器20を含むことができる。シャフト24は、ガスタービン10を通って軸方向に延びる。
【0018】
動作中、空気26は、圧縮機セクション12の入口14に引き込まれ、次第に圧縮されて圧縮空気28を燃焼セクション18に提供する。圧縮空気28は、燃焼セクション18に流入し、燃焼器20の燃料と混合されて可燃性混合物を形成する。可燃性混合物は、燃焼器20で燃焼され、それにより燃焼器20からタービンノズル34の第1段32を横切ってタービンセクション22に流れる高温ガス30を発生させる。タービンセクションは、一般に、タービンノズル34の隣接する列によって軸方向に分離されたロータブレード36の1つまたは複数の列を含む。ロータブレード36は、ロータディスクを介してロータシャフト24に結合される。ロータシャフト24は、エンジン中心線CLを中心に回転する。タービンケーシング38は、ロータブレード36およびタービンノズル34を少なくとも部分的に包囲する。ロータブレード36の列の各々またはいくつかは、タービンケーシング38内に配置されるシュラウドブロックアセンブリ40によって円周方向に取り囲まれてもよい。高温ガス30は、タービンセクション22を通って流れる際に急速に膨張する。熱および/または運動エネルギーが高温ガス30からロータブレード36の各段に伝達され、それによりシャフト24が回転して機械的仕事が生じる。シャフト24は、発電機(図示せず)などの負荷に結合されて電気を生成することができる。加えて、または代わりに、シャフト24を使用して、ガスタービンの圧縮機セクション12を駆動することができる。
【0019】
図2は、本開示の様々な実施形態による、例示的なロータブレード36および第2段のシュラウドブロックアセンブリ40の一部を含むタービンセクション22の一部の拡大断面側面図である。図2に示すように、シュラウドブロックアセンブリ40は、一般に、タービンケーシング38(図示せず)とロータブレード36の先端部42との間で半径方向94に延びる。シュラウドブロックアセンブリ40は、通常、タービンケーシング38(図示せず)内のロータブレード36の周りに環状アレイで円周方向90に配置される複数のシュラウドブロックセグメント100にシュラウドブロックアセンブリ40を固定するための取り付けハードウェア46を含む。
【0020】
図3は、シュラウドハンガ62に結合されてタービンシュラウドブロックアセンブリ40を形成するシュラウドブロックセグメント100の一実施形態の斜視図であり、これは第1のガスタービン回転段(すなわち、第1段のロータ)と共に使用することができる。タービン10は、それぞれのタービン段を中心にリングを共に形成する複数のタービンシュラウドブロックアセンブリ40を含む。特定の実施形態では、タービン10は、タービン10の回転軸を中心に円周方向90に配置された各タービンシュラウドセグメント40のそれぞれのシュラウドハンガ62に結合された複数のシュラウドブロックセグメント100を含んでもよい。他の実施形態では、タービン10は、シュラウドハンガ62に結合されてタービンブロックアセンブリ40を形成する複数のシュラウドブロックセグメント100を含むことができる。いくつかの実施形態では、予備焼結プリフォーム(PSP)層58は、燃焼ガス側面112に配置する(例えば、ろう付けする)ことができ、それによりPSP層58の第1のPSP表面64が本体102と共にチャネルを画定し(例えば、覆う)、PSP層58の第2のPSP表面66が高温ガス流路30と接合する。PSP層58は、超合金、ろう付け材料、またはそれらの混合で形成することができる。特定の実施形態では、PSP層58の代替物として、本体102と共にチャネルを画定する非PSP金属シートを燃焼ガス側面112に配置することができる。いくつかの実施形態では、PSP層58の代替物として、バリアコーティングまたは遮熱コーティングを利用して、本体102内のチャネルを囲むことができる。
【0021】
図示のように、シュラウドブロックセグメント100は、上流または前縁104および下流または後縁106を有する本体102を含み、その両方が高温ガス流路30と接合する。本体102はまた、前縁104および後縁106に略垂直に配置された第1の側部108(例えば、第1のスラッシュ面)および第2の側部110(例えば、第2のスラッシュ面)を含む。本体102は、一対の対向する側面をさらに含み、燃焼ガス側面112は、前縁104と後縁106との間に延び、裏面114は、第1の側部108と第2の側部110との間に延びる。本体102の燃焼ガス側面112の各々は、高温ガス流路30の境界または周囲を画定する。特定の実施形態では、本体102(特に、対向する側面112、114)は、第1の側部108と第2の側部110との間の円周方向90において、および/または前縁104と後縁106との間の軸方向92において、円弧形状であってもよい。裏面114は、シュラウドブロックセグメント100とシュラウドハンガ62との間に画定されたキャビティ118と接合するように構成される。
【0022】
図4および図5に見られるように、本体102は、燃焼ガス側面112内に配置された複数の冷却空気マイクロチャネル74(例えば、冷却チャネルまたはマイクロチャネル)を含み、高温ガス流路構成要素(例えば、タービンシュラウド40、シュラウドブロックセグメント100など)を冷却するのを助けることができる。特定の実施形態では、これらのチャネルのいくつかは、本体102の第1および第2の側部108、110内に配置された他のチャネルの有無にかかわらず、後縁106または前縁104に隣接して配置される。
【0023】
いくつかの実施形態では、被冷却構造およびマイクロチャネルは、全体が鋳造されてもよく、液体ジェット誘導レーザ技術(液体マイクロジェットと呼ばれることもある)で切削されてもよく、付加製造プロセスによって「3D印刷」されてもよく、または燃焼ガス側面112の近くの本体102内で精密に機械加工されてもよい。付加製造構築方法は、結合剤噴射、指向性エネルギー堆積、材料押出、選択的レーザ溶融、材料噴射、粉末床溶融結合、シート積層、および液槽光重合のうちの任意の形態を含むことができる。より具体的には、直接金属レーザ溶融(DMLM)、直接金属レーザ焼結(DMLS)、および電子ビーム溶融(EBM)を使用して、被冷却構造およびマイクロチャネルを製造することができる。
【0024】
図4および図5に示す例示的な実施形態は、互いに隣接して配置された湾曲部78を含む本体102を有する。シュラウドブロックセグメント100は、一般に、圧縮機12からタービン10の冷却媒体または空気に近接している(すなわち、高温ガス流路30の燃焼ガス側面112の温度よりも低い)。シュラウドブロックセグメント100は、冷却流体をキャビティ118に提供する圧縮機12から冷却流体または空気を受け取るための吸気端76を含む。冷却媒体は、裏面114から冷却チャネル74に延びる本体102内に配置された吸気端76を介してシュラウドブロックセグメント100の本体102内の冷却チャネル74に流れる。
【0025】
各冷却チャネル74は、吸気端76および排気端82を有する湾曲部78を含む。排気端82は、冷却チャネル74内の冷却流体の流れを調節するための調量特徴(例えば、チャネルの隣接する断面積に対してチャネルの一部の断面積を狭める、チャネルに延びる本体102の一部)を含むことができる。特定の実施形態では、各冷却チャネル74自体(排気端部を除く)は、調量特徴(例えば、チャネルに延びる本体102の一部を含む)として作用する。他の実施形態では、湾曲部78に結合された吸気端76は、調量特徴(例えば、吸気端76に延びる本体102の一部)を含むことができる。特定の実施形態では、冷却チャネル74自体、排気端82、または吸気端76、またはそれらの組合せは、調量特徴を含む。加えて、冷却流体は、第1の側部108および/または第2の側部110において排気端82を介して冷却チャネル74(および本体102)から出る。特定の実施形態では、チャネルは、第1の側部108に隣接して配置された吸気端76を有する第1の組のチャネルと、第2の側部110に隣接して配置された第2の組のチャネルとの交互パターンで配置することができ、隣接するチャネルは、反対の配向を有する。
【0026】
冷却チャネル74の湾曲部78は、冷却空気流を減少させながら、スラッシュ面108、110に隣接する冷却チャネル74の長さを増加させることによってより大きな冷却領域(例えば、タービンシュラウドの典型的な冷却システムよりも大きい)を提供する。各組のチャネルにおいて、湾曲部78は、互いに隣接して配置され、反対側の冷却チャネル74と織り合わされているかまたは重なり合っている排気端82を組み込んでもよい。湾曲部78は、湾曲部78から概して半径方向外向きに配置された複数の排気ポート80から冷却空気を排出するように構成される、対向する排気端82の周りまたはその上に延びる。織り合わされた排気端82は、半径方向外向き、軸方向前方、軸方向後方、およびそれらの混合など、湾曲部78の周りのほとんどの方向に延びることができる。特定の実施形態では、本体102は、本体102の残りの部分に配置されたチャネルとは異なる形状の後縁106および前縁104に隣接して配置されたチャネルを含む。例えば、後縁106または前縁104に隣接するチャネルは、各々蛇行パターンを含むことができる。冷却チャネル74の形状はまた、閉塞したチャネルの場合に適切な冷却を提供するように強化される。内側タービンシュラウドセグメントの開示された実施形態は、(例えば、タービンシュラウドの典型的な冷却システムよりも)少ない空気でシュラウドブロックセグメント100の冷却を可能にし、その結果、冷却に利用される装入可能な空気に関連するコストを低減することができる。
【0027】
図4は、様々な実施形態による、冷却チャネル74を有する例示的なシュラウドブロックセグメント100の斜視図である。図4に示すように、シュラウドブロックセグメント100は、前縁部104と、後縁部106と、第1の側部108と、対向する第2の側部110とを有する本体102を含む。第1および第2の側部108、110は、前縁部104と後縁部106との間で軸方向に延びる。本体102は、対向する裏面114から半径方向に分離された燃焼ガス側面112をさらに含む。燃焼ガス側面112は、シュラウドブロックセグメント100の軸方向中心線116(CL)に対してほぼ円弧状または円周状の形状を有する。燃焼ガス側面112は、遮熱コーティングなどのような耐熱コーティングでコーティングすることができる。冷却ポケットまたはキャビティ118は、裏面114に画定される。キャビティ118は、前縁部104と、後縁部106と、第1の側部108と、対向する第2の側部110との間に少なくとも部分的に画定される。キャビティ118は、燃焼ガス側面112から半径方向外向きに配置され、傾斜した外周壁120をさらに画定する。傾斜した外周壁120は、約0度~約90度の、半径方向94から測定した任意の適切な角度で配置することができ、冷却チャネル74(またはマイクロチャネル)の吸気端76においてキャビティ118の周りに冷却空気を適切に分布させることができる。
【0028】
図5は、PSP層58のないシュラウドブロックセグメント100に配置された冷却空気マイクロチャネル74の一実施形態の底面図である。図示のように、本体102は、燃焼ガス側面112内に配置された複数の冷却チャネル74(例えば、冷却チャネルまたはマイクロチャネル)を含む。本体102は、2~40個以上の冷却チャネル74を含むことができる。各冷却チャネル74は、キャビティ118から冷却流体を受け取るように構成される。各冷却チャネル74は、互いに隣接して配置された湾曲部78を含む吸気端部76を含む。各湾曲部78は、約0.05~約13ミリメートル(mm)、約0.1~約10mm、約1.14~約7mm、およびそれらの間のすべての部分範囲の範囲の折り返し半径84を有する。各湾曲部78の吸気端76は、キャビティ118に流体的に結合され、キャビティ118から冷却流体を受け取る。湾曲部78の曲率および織り合わされたおよび/または重なり合う(以下に説明する)半径方向に変位した排気端82により、冷却チャネル74および湾曲部78を第1および第2の側部108、110内で互いに隣接しかつ半径方向に重なり合うように配置することが可能になる。加えて、湾曲部78は、側部108、110に隣接する冷却チャネル74の長さを増大させながら冷却流を減少させることによってより大きな冷却領域を提供する。湾曲部78および織り合わされたおよび/または重なり合う(以下に説明する)半径方向に変位した排気端82は、冷却チャネル74の直線部のより良好な間隔を可能にする。さらに、湾曲部78および織り合わされた半径方向に変位した排気端82のループ形状により、冷却チャネル74の直線部を隣接する冷却チャネル74から一様に離して温度勾配を回避し、シュラウドセグメント40の本体102の主要部を均一に冷却することが可能になる。
【0029】
特定の実施形態では、湾曲部78は、より高い熱負荷ゾーンを収容するために、冷却チャネル74の直線部の間隔をより密に詰めることができるように調整することができる。全体として、冷却チャネル74の形状はまた、閉塞した冷却チャネル74の場合に適切な冷却を提供するように強化される。特定の実施形態では、排気端82は、それぞれの冷却チャネル74内の冷却流体の流れを調節(例えば、調量)するように構成された調量特徴を含む。特定の実施形態では、各冷却チャネル74は、排気端82においてセグメント化チャネルを形成することができる。特定の実施形態では、排気端82を除いて、各冷却チャネル74自体が調量特徴として作用する。他の実施形態では、湾曲部78に結合された吸気端76は、調量特徴(例えば、吸気端76に延びる本体102の一部)を含むことができる。特定の実施形態では、冷却チャネル74自体、排気端82、または吸気端76、またはそれらの組合せは、調量特徴を含む。
【0030】
図6は、第1の側部108を通って経路設定され、冷却チャネル74の湾曲部78と織り合わされた対向する排気端82を示す拡大底面図(すなわち、半径方向外向き)である。排気端82と湾曲部78との織り合わされた幾何学的形状、ならびに異なる高さでの傾斜した外周壁120への吸気端76の接続が示されている。各冷却チャネル74はまた、矢印で示すように、冷却流体が排気ポート80を通って側部108、110を介して本体102から出ることを可能にする排気端82を含む。
【0031】
図7は、本実施形態の重なり合う特徴を示す拡大底面図である。図6の実施形態は、重ならない湾曲部78を示し、図7の実施形態は、重なり合う冷却チャネル74を示す。図7に示すように、冷却チャネル74の排気端82は、一般に、吸気端76の後方または半径方向外向きにある。冷却チャネル74の湾曲部78は、反対側に配置された冷却チャネル74の排気端82と完全に重なり合う第1の湾曲部78Aを含む。対照的に、図6の重ならない実施形態では、湾曲部78は、反対側に配置された冷却チャネル74の排気端82と半径方向に部分的に重なり合い、隣接する冷却チャネル74と半径方向に重ならない。排気端82は、冷却チャネル74の出口であり、直線状または線形状である。第1の湾曲部78Aは、第2の湾曲部78Bに移行すると約130度~約190度の角度で屈曲する。第2の湾曲部78Bは、反対側に配置された冷却チャネル74の排気端82と隣接する冷却チャネル74の第3の湾曲部78Cの両方と重なり合う(その半径方向内向きにある)。第3の湾曲部78Cは、第4の湾曲部78Dに移行すると約80~約100度旋回し、第4の湾曲部78Dは次に冷却チャネル74の吸気端76に移行する。各排気端82は、各冷却チャネル74を通る流れを調節するための調量特徴122を含み得る。隆起したまたは半径方向外向きの排気端82は、空間が重なり合うセクションを作り出すことを可能にする。
【0032】
さらに図7を参照すると、冷却空気は、冷却チャネル74の半径方向外向きに位置するキャビティ118に開口する吸気端76において冷却チャネル74に入る。空気は、冷却チャネル74を通って流れ、第4の湾曲部78Dで旋回し、また第3の湾曲部78Cで旋回する。第3の湾曲部78Cと第2の湾曲部78Bとの間では、空気は、第5の湾曲部78Eを通って流れながら冷却チャネル74を通って半径方向内向きに流れる。第2の湾曲部78Bに近接すると、冷却チャネル74は反対側に配置された冷却チャネル74’’の直線状の排気端82と重なり合うので、第2の湾曲部78Bは、反対側に配置された冷却チャネル74’’の排気端82の半径方向内向きにある。冷却チャネル74は、第1の湾曲部78Aで旋回する。第1の湾曲部78Aと第2の湾曲部78B(第1の湾曲部78Aと第2の湾曲部78Bとの間の冷却チャネル74の部分を含む)の両方に近接すると、冷却チャネル74は隣接する冷却チャネル74’と重なり合うので、第1の湾曲部78Aおよび第2の湾曲部78Bは、隣接する冷却チャネル74’の第3の湾曲部78Cおよび第4の湾曲部78Dの半径方向内向きにある。第1の湾曲部78Aを通過した後、空気は、冷却チャネル74の長さを移動し、最終的にはシュラウドブロックセグメント100の吸気端部76を通って入った場所とは反対側の端部に位置する排気端82を通って冷却チャネル74から出る。第2の湾曲部78B、第3の湾曲部78C、および第5の湾曲部78Eは、シュラウドブロックセグメント100の円周縁170(またはスラッシュ面)に隣接するチャネル側部を集合的に形成する。
【0033】
図8は、図7の重なり合う冷却チャネルの実施形態の側面または円周方向に見た図である。冷却チャネル74の第2の湾曲部78Bは、第5の湾曲部78Eを介して第3の湾曲部78Cに移行する。冷却チャネル74の第5の湾曲部78Eは、第3の湾曲部78Cから第2の湾曲部78Bに移行するときに冷却チャネルを半径方向内向きに運ぶ。半径方向外向きの方向94が、図8に示されている。したがって、第3の湾曲部78Cは、第2の湾曲部78Bと比較して半径方向外向きの位置にある。図7および図8の配置は、各冷却チャネル74の第2の湾曲部78Bが隣接する冷却チャネル74の第3の湾曲部78Cと重なり合いかつ半径方向内向きにあることを可能にする。言い換えれば、第2の湾曲部78Bは、燃焼ガスに曝されるシュラウドブロックセグメント100の表面(燃焼ガス側面112)により近い。第5の湾曲部78Eは、動作中に通常流れる方向138に流れる冷却空気の観点から、基板の半径方向内側表面または燃焼ガス側面112に向かって傾斜した移行部として作用する。他の実施形態では、第5の湾曲部78Eは、冷却チャネル74の構成および基準系に応じて、基板の半径方向内側表面から離れるように傾斜する。例えば、他の実施形態では、冷却空気が冷却チャネル74内を移動する方向138の観点から、移行部78Eは、シュラウド裏面114(図示せず)に向かって半径方向外向きの方向94に傾斜する。
【0034】
図9は、重ならない配置の第1の複数の冷却チャネル150および重なり合う配置の第2の複数の冷却チャネル160を示す底面または半径方向外向きの図である。本発明の実施形態は、重なり合うまたは重ならない配置のいずれを使用してもよい。図9に示すように重なり合うまたは重ならない構成の両方を使用する本実施形態の配置もまた、可能である。他の実施形態はまた、(半径方向内側のガス経路側から見たときに)U字形、L字形およびJ字形の冷却チャネル74、ならびにそれらの組合せを含むことができ、冷却チャネル74は、燃焼ガス側面112から半径方向内向きに傾斜している。
【0035】
図10は、重なり合う構成で使用することができる冷却チャネル74のJ字形の実施形態を示す底面または半径方向外向きの図である。図7図8および図9の実施形態はフック形状であるのに対して、図10の実施形態は、J字形である。図10は、湾曲部78を含む冷却チャネル74を示す。湾曲部78は、実質的に直角、またはJ字形の実施形態では約85~約95度であり得る。他の配置では、湾曲部78は、J字形の実施形態では約75度~約105度、または約60度~約120度とすることができる。図10のJ字形の冷却チャネル74は、第5の湾曲部78Eを含み、冷却チャネル74は、冷却チャネルが冷却チャネル入口76の方向に移行するにつれて基板表面から離れるように半径方向外向きに傾斜する。言い換えれば、チャネル入口76から入ってチャネル74を通って流れる冷却空気の観点から、第5の湾曲部78Eは、基板表面(すなわち、シュラウドブロックセグメント100の燃焼ガス側面112)に向かって半径方向内向きに傾斜する。冷却チャネル74の吸気端76に近接した部分は、第5の湾曲部78Eの下流にある部分の半径方向外向きの位置に対応し、半径方向内側の場所と半径方向外側の場所との間の冷却チャネル74の移行は、第5の湾曲部78Eで生じることに留意されたい。半径方向内側の場所では、冷却チャネル74は、シュラウドブロックセグメント100の燃焼ガス側面112により近い。半径方向外側の場所では、冷却チャネル74は、キャビティ118により近い(図2図5)。第5の湾曲部78Eは、第4の湾曲部78Dに移行し、冷却チャネルが約90度旋回する(約60度~約120度、または別の実施形態では、約75度~約105度)。第4の湾曲部78Dは、冷却チャネル入口76に移行し、空気がキャビティ118(図示せず)から冷却チャネル74に入る。
【0036】
図11は、J字形の重なり合う構成を有する複数の160個の冷却チャネル74を示す底面または半径方向外向きの図である。供給部は、上方(半径方向外向き)から入り、ガス経路に隣接するチャネルをJ字形にする。チャネルは、U字形またはL字形を同様に有することができる。供給部は、隣接する冷却チャネル74の重なり合う部分を回避するために必要に応じてオフセットまたは傾斜してもよい。各冷却チャネル74の湾曲部78は、1つまたは複数の隣接する冷却チャネル74の吸気端76および第4の湾曲部78Dと半径方向に重なり合い、それにより湾曲部78は、冷却チャネル入口76の半径方向内向きにあり、シュラウドブロックセグメント100の燃焼ガス側面112に近くなる。各冷却チャネル74の湾曲部78はまた、反対側に配置された冷却チャネル74の排気端82と半径方向に重なり合い、それにより各湾曲部78は、やはり半径方向内向きにあり、排気端82よりも燃焼ガス側面112に近くなる。この配置により、複数の冷却チャネル160は、燃焼ガス側面112とシュラウドブロックセグメント100のスラッシュ面または円周縁170の両方に近接してシュラウドブロックセグメント100の半径方向内向き部に連続した冷却流を送達することが可能になる。同様の配置(冷却チャネル74の最長部から約90度に配向された入口76と、ガス経路に隣接する表面を横切るように冷却チャネル74によって利用される任意の他の配向とを有するJ字形、U字形およびフック形状、ならびにL字形の冷却チャネル)をシュラウド冷却以外の実施形態でも使用することができ、表面または基板は、高温ガスおよび/または温度に曝され、基板表面と基板または表面の縁部の両方に近接して冷却を必要とする。各排気端82は、図11に示すように、各冷却チャネル74を通る流れを調節するための調量特徴122を含み得る。
【0037】
動作中、図7図8図9図10および図11に示す重なり合う配置160は、冷却チャネル74が構成要素のスラッシュ面または円周縁170に最も近い基板の増加部(燃焼ガス側面112)を覆い、同時に冷却流が望まれる構成要素の表面に最も近い半径方向内向きの場所を覆うことを可能にする。重なり合う配置160を使用しない実施形態は、スラッシュ面または円周縁170に近接する冷却チャネル74の部分とスラッシュ面または円周縁170に近接する隣接する冷却チャネル74の部分との間に軸方向のギャップを有する。軸方向のギャップは、シュラウドブロックセグメント100の燃焼ガス側面112のホットスポットおよび/または過度の温度勾配をもたらす可能性がある。他の実施形態では、重なり合う冷却チャネル74を使用して、下面冷却特徴が用いられ、基板の周囲または縁部の周りに十分な冷却を提供することが課題となる場合に、高温に曝される基板または表面を冷却することができる。本明細書に記載の実施形態は、冷却空気が最も冷却される入口76の冷却チャネル74の部分を使用して、シュラウドブロックセグメント100の燃焼ガス側面112に最も近い冷却空気を送達する。同様に、本明細書に記載の実施形態(より高温または「使用済み」の冷却空気を分配する)における冷却チャネル出口82は、燃焼ガス側面112からさらに離れており、それによって入口76の近くの湾曲部78が燃焼ガス側面112により近づくことを可能にする。
【0038】
いくつかの実施形態では、シュラウドブロックアセンブリ40は、本明細書で開示する被冷却構造とみなすことができる。冷却チャネル74は、燃焼ガス側面112に平行な流路を形成することができる。各冷却チャネル74は、キャビティ118の傾斜した外周壁120の周りに、または冷却空気に曝されるシュラウドブロックアセンブリ40の任意の他の位置に配置された吸気端76を有することができ、吸気端76は、冷却流路から圧縮冷却空気を受け入れるように構成される。
【0039】
被冷却構造のいくつかの実施形態では、吸気端76は、湾曲部78と半径方向に重なり合う。これらの実施形態は、フック形状の冷却チャネル74またはJ字形の冷却チャネル74のいずれか、あるいはその両方を含み得る。他の実施形態では、フック形状の冷却チャネル74とJ字形の冷却チャネル74の両方が隣接する冷却チャネルと重なり合う程度は、1つの冷却チャネル74の軸方向距離における重なり合いが少なくとも1つの他の冷却チャネル74についての重なり合いよりも大きいかまたは小さいように変化し得る。同様に、他の実施形態では、冷却チャネル74の曲率半径および傾斜は、冷却チャネル74ごとに異なり得る。
【0040】
本明細書は、最良の形態を含めて、本発明を開示するために実施例を用いており、また、任意のデバイスまたはシステムを製作し使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含めて、いかなる当業者も本発明を実施することが可能となるように実施例を用いている。本開示の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を含む場合、または特許請求の範囲の文言と実質的な差異を有さない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内であることを意図している。
【符号の説明】
【0041】
10 ガスタービン
12 圧縮機セクション、圧縮機
14 入口
16 ケーシング
18 燃焼セクション
20 燃焼器
22 タービンセクション
24 ロータシャフト
26 空気
28 圧縮空気
30 高温ガス流路、高温ガス
32 第1段
34 タービンノズル
36 ロータブレード
38 タービンケーシング
40 タービンシュラウドセグメント、タービンシュラウドブロックアセンブリ
42 先端部
46 取り付けハードウェア
58 予備焼結プリフォーム(PSP)層
62 シュラウドハンガ
64 第1のPSP表面
66 第2のPSP表面
74 冷却空気マイクロチャネル
74’ 隣接する冷却チャネル
74’’ 反対側に配置された冷却チャネル
76 吸気端、冷却チャネル入口
78 湾曲部
78A 第1の湾曲部
78B 第2の湾曲部
78C 第3の湾曲部
78D 第4の湾曲部
78E 第5の湾曲部、移行部
80 排気ポート
82 排気端、冷却チャネル出口
84 折り返し半径
90 円周方向
92 軸方向
94 半径方向
100 シュラウドブロックセグメント
102 本体
104 前縁、前縁部
106 後縁、後縁部
108 第1の側部、スラッシュ面
110 第2の側部、スラッシュ面
112 燃焼ガス側面
114 シュラウド裏面
116 軸方向中心線
118 キャビティ
120 傾斜した外周壁
122 調量特徴
138 方向
150 第1の複数の冷却チャネル
160 第2の複数の冷却チャネル、重なり合う配置
170 円周縁
CL エンジン中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11