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特許7341763車線変更判定装置および車線変更判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】車線変更判定装置および車線変更判定方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20230904BHJP
   G08G 1/16 20060101ALN20230904BHJP
【FI】
G01C21/26 A
G08G1/16 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019131244
(22)【出願日】2019-07-16
(65)【公開番号】P2021015093
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】阿部 誠
【審査官】西 秀隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-313519(JP,A)
【文献】特開2002-220015(JP,A)
【文献】特開2016-091422(JP,A)
【文献】特開2016-146162(JP,A)
【文献】特開2013-156034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
30/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2車線以上の車線を有する道路を自車両が走行中であることを検出する走行道路検出部と、
前記自車両が走行する道路の方位を取得する道路方位取得部と、
前記自車両の方位を取得する自車両方位取得部と、
前記走行道路検出部により2車線以上の道路を前記自車両が走行中であることが検出されている間、前記道路方位取得部により取得された前記道路の方位と、前記自車両方位取得部により取得された前記自車両の方位との角度差を監視し、前記角度差の大きさが第1角度閾値以上となった場合、前記自車両による車線変更が開始されたと判定し、前記自車両による車線変更が開始されたと判定した後、前記角度差の大きさが第2角度閾値以下となった場合、前記自車両による車線変更が終了したと判定する車線変更判定部と、
前記自車両の位置を検出する自車両位置検出部と、
前記車線変更判定部により前記自車両による車線変更が開始されたと判定された後、前記自車両による車線変更が終了したと判定されるまでの、前記道路の方位と交わる方向における前記自車両の横方向移動距離を検出し、検出した前記横方向移動距離が距離閾値以上の場合、前記自車両が特定状態であることを検出する特定状態検出部とを備え、
前記特定状態検出部は、
前記車線変更判定部により前記自車両による車線変更が開始されたと判定されたときに前記自車両位置検出部により検出された前記自車両の位置である開始位置を取得すると共に、前記車線変更判定部により前記自車両による車線変更が終了したと判定されたときに前記自車両位置検出部により検出された前記自車両の位置である終了位置を取得し、
前記道路方位取得部により取得された前記道路の方位と交わる方向における前記開始位置と前記終了位置との距離を算出することによって前記横方向移動距離を検出する
ことを特徴とする車線変更判定装置。
【請求項2】
前記特定状態検出部は、
前記開始位置および前記終了位置の離間距離と、
前記開始位置および前記終了位置を結ぶ直線と、前記道路の方位と交わる方向に伸びる直線とのなす角度と、
に基づいて前記横方向移動距離を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の車線変更判定装置。
【請求項3】
前記距離閾値は、前記横方向移動距離が前記距離閾値を超えている場合、2車線以上の車線の移動を伴う車線変更を前記自車両が行ったものとみなすことができるような値である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車線変更判定装置。
【請求項4】
前記特定状態検出部は、前記自車両が走行中の道路の車線の幅を取得し、取得した車線の幅に基づいて前記距離閾値の値を動的に変更する
ことを特徴とする請求項に記載の車線変更判定装置。
【請求項5】
前記特定状態検出部により前記自車両が前記特定状態であることが検出された場合、前記自車両に搭乗するユーザに前記特定状態に関する情報を報知する情報報知部を更に備える
ことを特徴とする請求項からの何れか1項に記載の車線変更判定装置。
【請求項6】
前記道路方位取得部は、前記自車両の方位がマップマッチングによって補正されたものを、前記自車両が走行する道路の方位として取得する
ことを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の車線変更判定装置。
【請求項7】
前記道路方位取得部は、前記自車両が走行する道路に対応するリンクの方位を、前記自車両が走行する道路の方位として取得する
ことを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の車線変更判定装置。
【請求項8】
車線変更判定装置の車線変更判定部が、2車線以上の道路を自車両が走行している間、前記自車両が走行する道路の方位と前記自車両の方位との角度差を監視する第1ステップと、
前記車線変更判定装置の前記車線変更判定部が、前記角度差の大きさが第1角度閾値以上となった場合、前記自車両による車線変更が開始されたと判定する第2ステップと、
前記車線変更判定装置の前記車線変更判定部が、前記角度差の大きさが第2角度閾値以下となった場合、前記自車両による車線変更が終了したと判定する第3ステップと、
前記車線変更判定装置の特定状態検出部が、前記車線変更判定部により前記自車両による車線変更が開始されたと判定された後、前記自車両による車線変更が終了したと判定されるまでの、前記道路の方位と交わる方向における前記自車両の横方向移動距離を検出し、検出した前記横方向移動距離が距離閾値以上の場合、前記自車両が特定状態であることを検出する第4ステップとを含み、
前記第4ステップにおいて前記特定状態検出部は、
前記車線変更判定部により前記自車両による車線変更が開始されたと判定されたときの前記自車両の位置である開始位置を取得すると共に、前記車線変更判定部により前記自車両による車線変更が終了したと判定されたときの前記自車両の位置である終了位置を取得し、前記道路の方位と交わる方向における前記開始位置と前記終了位置との距離を算出することによって前記横方向移動距離を検出する
ことを特徴とする車線変更判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線変更判定装置および車線変更判定方法に関し、特に、自車両により車線変更が行われたか否かを判定する車線変更判定装置および車線変更判定方法に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の車線変更が行われた場合に、そのことを検出する装置がある。この種の装置としては、車両の前方を撮影するカメラが出力する撮影画像を分析して、車線を区切るラインの画像を検出し、検出したラインの画像に基づいて車線変更を検出するものがある。また、特許文献1の装置では、車両の車線変更が行われた場合にヨーレートが特徴的な変化をすることに着目し、ヨーレートの変化に基づいて車両の車線変更を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-342808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したカメラが出力する撮影画像を分析して車線変更を検出する装置では、道路の表面の状態や、悪天候に影響を受けてラインの画像の検出の精度が低下し、これに起因して車線変更が行われたか否かの判定の精度が低下する可能性があるという問題がある。特許文献1の装置によればこれらの問題を解決できるものの、特許文献1の装置ではヨーレートの変化だけに基づいて車線変更が行われたか否かを判定する構成のため、自車両が車線変更と同様の態様で動く場合(例えば、自車両が片側1車線の道路を走行中に、道路の側方に停車する他の車両等を避ける場合)にも車線変更が行われたと判定されることになってしまい、判定の精度を向上できる余地がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、道路の表面の状態や悪天候に影響を受けずに車線変更に関する判定をできるようにした上で、車線変更に関する判定の精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、本発明では、自車両が2車線以上の道路を走行中であることを検出し、自車両が2車線以上の道路を走行中の間、自車両が走行する道路の方位と、自車両の方位との角度差を監視し、角度差の大きさが第1角度閾値以上となった場合、自車両による車線変更が開始されたと判定し、自車両による車線変更が開始されたと判定した後、角度差の大きさが第2角度閾値以下となった場合、自車両による車線変更が終了したと判定するようにしている。更に本発明は、車線変更が開始されたと判定した後、自車両による車線変更が終了したと判定するまでの、道路の方位と交わる方向における自車両の横方向移動距離を検出し、検出した横方向移動距離が距離閾値以上の場合、自車両が特定状態であることを検出するようにしている。そして本発明は、自車両による車線変更が開始されたときの自車両の開始位置、車線変更が終了したときの自車両の終了位置を取得し、道路の方位と交わる方向における開始位置と終了位置との距離を算出することによって横方向移動距離を検出する。
【発明の効果】
【0007】
上記のように構成した本発明によれば、自車両が2車線以上の道路を走行中の間、つまり、自車両による車線変更が行われる可能性がある期間にのみ車線変更の有無に関する判定が行われるため、車線変更が行われ得ない状況で車線変更があったと判定される事態が発生することを排除でき、車線変更の有無に関する判定の精度を向上できる。
【0008】
また、2車線以上の道路において、道路が伸びる方位と自車両の方位との角度差の大きさが一定量以上となった場合、車両による車線変更が開始されたとみなすことができるという特徴がある。車線変更が行われる場合、変更後の車線に車両が完全に移動する前に、道路が伸びる向きに対して、車両の向きが相当量傾いた状態が現出するからである。これを踏まえ、本発明によれば、自車両が実際に走行する道路の方位と自車両の方位との角度差を車線変更に関する判定に利用することにより、上記特徴を好適に活用して、車線変更に関する判定の精度を向上することができる。
【0009】
すなわち、本発明によれば、ヨーレートの変化のみで車線変更に関する判定を行うのではなく、道路において車両変更が可能かどうかという事項と、車両が実際に走行している道路と車両との関係とが考慮されて車線変更に関する判定が行われるため、判定の精度を向上することができる。しかも、車線変更に関する判定にはカメラの撮影結果が用いられないため、道路の表面の状態や悪天候に影響を受けずに判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る車線変更判定装置の機能構成例を示すブロック図である。
図2】車両の軌跡の例を示す図である。
図3】方位角度差の推移を示すグラフを示す図、および、方位角度差の説明に利用する図である。
図4】ログデータの内容の例を示す図である。
図5】車線変更走行距離および横方向移動距離の説明に利用する図である。
図6】本発明の一実施形態に係る車線変更判定装置の動作例を示すフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係る車線変更判定装置の動作例を示すフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態に係る車線変更判定装置の動作例を示すフローチャートである。
図9】本発明の一実施形態に係る車線変更判定装置の動作例を示すフローチャートである。
図10】本発明の一実施形態に係る車線変更判定装置の動作例を示すフローチャートである。
図11】本発明の一実施形態に係る車線変更判定装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る車線変更判定装置1の機能構成例を示すブロック図である。車線変更判定装置1は、車両に搭載された装置である。例えば、いわゆるカーナビゲーション装置を車線変更判定装置1として機能させることができる。なお、車線変更判定装置1として機能させる装置は、車両に固定的に取り付けられた装置でなくてもよい。例えば、ユーザによって車内に持ち込まれた携帯端末を車線変更判定装置1として機能させてもよい。以下、車線変更判定装置1が搭載された車両を「自車両」という。
【0012】
図1に示すように、車線変更判定装置1は、機能構成として、自車両位置/方位検出部10、マップマッチング部11、走行道路検出部12、自車両方位取得部13、道路方位取得部14、車線変更判定部15、特定状態検出部16および情報報知部17を備えている。上記各機能ブロック10~17は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック10~17は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0013】
図1に示すように、車線変更判定装置1は、記憶手段として、道路データ記憶部20およびログデータ記憶部21を備えている。
【0014】
道路データ記憶部20は、道路データ22を記憶する。道路データ22は、道路網における結節点ごとに定義されたノードに関するノードデータベースと、ノードとノードとの間の道路区間ごとに定義されたリンクに関するリンクデータベースとを備えている。なお、本実施形態において、1つのリンクに対応する1つの道路区間は、1つ又は複数の車線を有し、各車線において同じ向きへの通行が許可された道路の区間を意味する。ある道路区間が複数の車線を有する場合、自車両は車線を車線変更できる。従って、「ある1つのリンクに対応する1つの道路区間がN個の車線を有する」と表現する場合、N個の車線において許可された通行の向きは互いに対向しておらず、同じ向きであり、N個の車線間を車線変更可能である。
【0015】
ノードデータベースは、ノードごとにレコードを備えている。ノードデータベースの各レコードは、ノードを識別するノードIDのほか、ノードの位置を示す情報や、ノードに接続するリンクに関する情報、ノードの属性を示す情報等のノードに関する情報を有している。
【0016】
リンクデータベースは、リンクごとにレコードを備えている。リンクデータベースの各レコードは、リンクを識別するリンクIDのほか、道路区間の長さや、方位、属性、種別、リンクコストを示す情報等のリンクに関する情報を有している。特に、本実施形態に係るリンクデータベースの各レコードは、道路区間の車線数を示す道路区間車線数情報を有している。なお、リンクデータベースの各レコードは、上記で例示した情報のほか、マップマッチングに使用するアルゴリズムに応じて、マップマッチングのために必要な情報を不足なく含んでいる。なお、本実施形態において、道路区間、リンクおよび車両に関する位置は、経度および緯度の組み合わせによって表現される地図上の位置を意味する。また、道路区間、リンクおよび車両に関する方位は、東西南北の4方向を基準とした地図上の方位を意味する。
【0017】
ログデータ記憶部21は、ログデータ23を記憶する。ログデータ23の内容については後述する。
【0018】
自車両位置/方位検出部10は、図示しないGPSユニットから入力したGPS情報に基づいて、現在の自車両の位置(以下「自車両位置」という)、および、現在の自車両の進行方向の方位(以下「自車両方位」という)を検出する。なお、自車両位置/方位検出部10が自車両位置および自車両方位を検出する方法は何でもよく、例えば、自車両位置/方位検出部10が、GPS情報により算出した自車両位置および自車両方位を、図示しない自立航法用のセンサ(ジャイロセンサや加速度センサ、車速センサ等)の検出値に基づいて補正することによって、自車両位置および自車両方位を検出する構成でもよい。
【0019】
自車両位置/方位検出部10は、所定周期で継続して自車両位置および自車両方位を検出する。自車両位置/方位検出部10は、マップマッチング部11に対して所定周期で継続して自車両位置を示す情報(以下「自車両位置情報」という)および自車両方位を示す情報(以下「自車両方位情報」という)を出力する。また、自車両位置/方位検出部10は、自車両方位取得部13から方位出力開始指示情報を入力してから、方位出力終了指示情報を入力するまでの期間、所定周期で継続して自車両方位情報を自車両方位取得部13に出力する。また、自車両位置/方位検出部10は、特定状態検出部16から自車両位置情報の応答の要求を受け付けた場合、特定状態検出部16に自車両位置情報を応答する。
【0020】
マップマッチング部11は、自車両位置/方位検出部10から所定周期で継続して自車両位置情報および自車両方位情報を入力する。マップマッチング部11は、自車両位置情報および自車両方位情報を入力する度に、これら情報および道路データ記憶部20に記憶された道路データ22に基づいてマップマッチングを行い、リンクデータベースにより管理されているリンクのうち、現時点で自車両が走行している道路区間に対応するリンクを特定する。以下、このようにして特定されるリンクのことを「走行中リンク」という。マップマッチング部11は、走行中リンクの特定を所定周期で継続して実行し、特定した走行中リンクのリンクID(以下「走行中リンクID」という)を走行道路検出部12に出力する。
【0021】
更にマップマッチング部11は、自車両位置情報および自車両方位情報を入力する度に、これら情報および道路データ記憶部20に記憶された道路データ22に基づいてマップマッチングを行い、自車両方位情報が示す自車両方位を補正する。マップマッチングによる補正後の自車両方位(以下「補正自車両方位」という)は、基本的には現時点で自車両が走行している道路区間の方位(=走行中リンクの方位)に準じたものとなり、補正自車両方位と走行中リンクのリンク方位とは非常に近い値となる。リンク方位とは、リンクの始端から終端へと向かう方位を意味し、リンク対応する道路区間が伸びる方向において、車両の通行が許可された向きに向かう方位と等しい。マップマッチング部11は、道路方位取得部14から補正方位出力開始指示情報を入力してから、補正方位出力終了指示情報を入力するまでの期間、補正自車両方位を示す情報(以下「補正自車両方位情報」という)を道路方位取得部14に出力する。
【0022】
走行道路検出部12は、2車線以上の車線を有する道路を自車両が走行中であることを検出する。以下、走行道路検出部12の処理について詳述する。
【0023】
走行道路検出部12は、マップマッチング部11から走行中リンクIDを所定周期で継続して入力する。走行道路検出部12は、走行中リンクIDを入力する度に、新たに入力した走行中リンクIDの値が、直前に入力した走行中リンクIDの値と異なるか否かを判定する。新たに入力した走行中リンクIDの値が、直前に入力した走行中リンクIDの値と異ならない場合、自車両が走行する道路区間に変更がないということであり、走行道路検出部12は、走行中リンクIDの値が異なることに伴う処理は実行しない。
【0024】
一方、新たに入力した走行中リンクIDの値が、直前に入力した走行中リンクIDの値と異なる場合、自車両が走行する道路区間に変更があったということであり、走行道路検出部12は、道路データ記憶部20に記憶された道路データ22を参照し、新たに入力した走行中リンクIDに対応するレコードの道路区間車線数情報を取得する。次いで、走行道路検出部12は、道路区間車線数情報の値に基づいて、新たに入力した走行中リンクIDに対応する道路区間(=自車両が走行中の道路区間)が、2車線以上の車線を有する道路区間(以下「複数車線道路区間」という)であるか否かを判定する。
【0025】
以上のように、走行道路検出部12は、新たに入力した走行中リンクIDの値と直前に入力した走行中リンクIDの値とが異なる度に、新たに入力した走行中リンクIDに対応する道路区間(=自車両が走行中の道路区間)が複数車線道路区間か否かを判定する。そして、走行道路検出部12は、複数車線道路区間であると判定してから複数車線道路区間でないと判定するまでの期間、自車両が複数車線道路区間を走行中であることを検出する。一方、走行道路検出部12は、複数車線道路区間でないと判定してから複数車線道路区間であると判定するまでの期間、自車両が1つの車線を有する道路区間を走行中であることを検出する。
【0026】
以下、走行道路検出部12により複数車線道路区間を自車両が走行中であることが検出されている状態を「複数車線走行中状態」といい、走行道路検出部12により1つの車線を有する道路区間を自車両が走行中であることが検出されている状態を「単車線走行中状態」という。走行道路検出部12は、単車線走行中状態から複数車線走行中状態へ変移したとき、および、複数車線走行中状態から単車線走行中状態へと変移したときに、状態が変移したことを自車両方位取得部13および道路方位取得部14に通知する。
【0027】
自車両方位取得部13は、自車両の方位を取得する。以下、自車両方位取得部13の処理について詳述する。
【0028】
自車両方位取得部13は、走行道路検出部12からの通知に基づいて、単車線走行中状態から複数車線走行中状態へ変移した場合にそのことを認識し、自車両位置/方位検出部10に方位出力開始指示情報を出力する。また、自車両方位取得部13は、走行道路検出部12からの通知に基づいて、複数車線走行中状態から単車線走行中状態へ変移した場合にそのことを認識し、自車両位置/方位検出部10に方位出力終了指示情報を出力する。つまり、自車両方位取得部13は、複数車線走行中状態が始まるタイミングで方位出力開始指示情報を自車両位置/方位検出部10に出力し、複数車線走行中状態が終わるタイミングで方位出力終了指示情報を自車両位置/方位検出部10に出力する。
【0029】
上述したように、自車両位置/方位検出部10は、方位出力開始指示情報を入力してから、方位出力終了指示情報を入力するまでの期間、所定周期で継続して自車両方位情報を自車両方位取得部13に出力する。自車両方位取得部13は、自車両位置/方位検出部10が出力した自車両方位情報を取得し、車線変更判定部15に出力する。自車両方位取得部13により以上の処理が行われる結果、複数車線走行中状態の間、自車両方位取得部13から車線変更判定部15に対して所定周期で継続して自車両方位情報が出力される。
【0030】
道路方位取得部14は、自車両が走行する道路の方位を取得する。特に本実施形態に係る道路方位取得部14は、自車両の方位がマップマッチングによって補正されたものを、自車両が走行する道路の方位として取得する。以下、道路方位取得部14の処理について詳述する。
【0031】
道路方位取得部14は、走行道路検出部12からの通知に基づいて、単車線走行中状態から複数車線走行中状態へ変移した場合にそのことを認識し、マップマッチング部11に補正方位出力開始指示情報を出力する。また、道路方位取得部14は、走行道路検出部12からの通知に基づいて、複数車線走行中状態から単車線走行中状態へ変移した場合にそのことを認識し、マップマッチング部11に補正方位出力終了指示情報を出力する。つまり、道路方位取得部14は、複数車線走行中状態が始まるタイミングで補正方位出力開始指示情報をマップマッチング部11に出力し、複数車線走行中状態が終わるタイミングで補正方位出力終了指示情報をマップマッチング部11に出力する。
【0032】
上述したように、マップマッチング部11は、補正方位出力開始指示情報を入力してから、補正方位出力終了指示情報を入力するまでの期間、所定周期で継続して、補正自車両方位情報を道路方位取得部14に出力する。道路方位取得部14は、所定周期で継続して、マップマッチング部11が出力した補正自車両方位情報を取得し、車線変更判定部15に出力する。道路方位取得部14により以上の処理が行われる結果、複数車線走行中状態の間、道路方位取得部14から車線変更判定部15に対して所定周期で継続して補正自車両方位情報が出力される。
【0033】
補正自車両方位は、走行中リンクのリンク方位(=自車両が走行中の道路区間の方位)と近接しているため、補正自車両方位は、自車両が走行中の道路区間の方位とみなすことができる。これを踏まえ、道路方位取得部14は、補正自車両方位情報を取得することによって、自車両が走行中の道路区間の方位を取得しているということができる。
【0034】
また、道路方位取得部14は、特定状態検出部16より補正自車両方位情報の応答の要求があった場合、補正自車両方位情報を特定状態検出部16に応答する。
【0035】
なお、本実施形態において、自車両方位取得部13が車線変更判定部15に自車両方位情報を出力する周期と、道路方位取得部14が車線変更判定部15に補正自車両方位情報を出力する周期とは同期している。
【0036】
車線変更判定部15は、走行道路検出部12により2車線以上の車線を有する道路区間(道路)を自車両が走行中であることが検出されている間、道路方位取得部14により取得された道路の方位と、自車両方位取得部13により取得された自車両の方位との角度差を監視し、角度差が第1角度閾値以上となった場合、自車両による車線変更が開始されたと判定する。更に、車線変更判定部15は、自車両による車線変更が開始されたと判定した後、角度差が第2角度閾値を下回った場合、自車両による車線変更が終了したと判定する。以下、車線変更判定部15の処理について詳述する。
【0037】
ここで、車線変更判定部15の処理の説明に先立って、まず、複数車線道路において車線変更が行われるときの車両の動き、および、車両の動きに伴う方位角度差(特許請求の範囲の「角度差」に相当。詳しくは後述)の推移について説明する。図2は、3つの車線を有する道路区間DKにおける車両Sの軌跡の例(軌跡KS1)を模式的に示す図である。道路区間DKの方位(=道路区間DKに対応するリンクのリンク方位)は、図中矢印で示す方位LH1である。また、道路区間DKは3つの車線SS1、SS2、SS3を有する。
【0038】
図3(A)は、道路区間DKを軌跡KS1に従って車両Sが走行する場合の「補正自車両方位と方位LH1との角度差(以下、「基準角度差」という)」の推移、および、この場合の方位角度差の推移を、横軸が時間、縦軸が角度の座標上のグラフによって示す図である。図3(A)において、グラフG1は、基準角度差の推移を示している。グラグG1が示すように、車両Sが軌跡S1に従って走行している間、基準角度差は0°近辺を推移する。つまり、この間、補正自車両方位は、方位LH1(道路区間DKの方位)とほぼ一致した状態が継続する。グラフG1からも、補正自車両方位を、自車両が走行する道路区間の方位とみなすことができることが明らかである。
【0039】
本実施形態において、方位角度差とは、補正自車両方位と自車両方位との角度差(補正自車両方位と自車両方位とのなす角の角度)である。上述の通り補正自車両方位は自車両が走行する道路区間の方位とみなすことができるため、方位角度差は、自車両が走行する道路区間の方位と、自車両方位との角度差であると言うことができる。
【0040】
図3(B)は、方位角度差の説明に利用する図であり、符号YAは、点Qを基点とする矢印によって補正自車両方位を示すものであり、矢印YB1、YB2はそれぞれ、点Qを基点とする矢印によって自車両方位を示すものである。図3(B)において、自車両方位が矢印YB1が示す方位である場合、角度θ1が方位角度差に相当する。一方、図3(B)において、自車両方位が矢印YB2が示す方位である場合、角度θ2が方位角度差に相当する。本実施形態では、補正自車両方位に対して自車両方位が反時計回りに0°~90°の範囲で傾いている場合(図3(B)の矢印YB1に係る自車両方位はこの範囲に属する)、方位角度差は、補正自車両方位が自車両方位と一致しているときを0°として0°~90°の範囲内で値をとるものとする。
【0041】
一方、本実施形態では、補正自車両方位に対して自車両方位が時計回りに0°~90°の範囲で傾いている場合(図3(B)の矢印YB2に係る自車両方位はこの範囲に属する)、方位角度差は、補正自車両方位が自車両方位と一致しているときを0°として0°~-90°の範囲内で値をとるものとする。図3(A)において、横軸より上側は方位角度が0°より大きく、横軸より下側は方位角度差が0°より小さい。
【0042】
図2の軌跡KS1に示すように、車線SS2上の位置P1に位置する車両Sが、車線SS1へ車線変更し、車線SS1を走行した後、車線SS2へ車線変更し、車線SS2上の位置P2に至ったとする。図3のグラフG2は、軌跡KS1の場合に、車両Sが位置P1から位置P2に至るまでの期間における方位角度差の推移を示している。グラフG2が示すように、車両Sが軌跡KS1に従って走行する場合、タイミングT1付近から方位角度差が徐々にプラス側に大きくなっていき、タイミングT2においてプラス側第1角度閾値TP1(後述)に至っている。タイミングT2の後も、方位角度差はプラス側に徐々に大きくなり、タイミングT3付近でプラス側のピークに達する。方位角度差は、プラス側のピークに達した後、徐々に小さくなり、タイミングT4において、プラス側第2角度閾値TP2(後述)に至っている。方位角度差は、タイミングT4の後も徐々に小さくなり、タイミングT5付近で、0°近辺を推移するようになる。
【0043】
このタイミングT1からタイミングT5までの方位角度差の推移は、図2の軌跡KS1において、車両Sによる車線SS2から車線SS1への車線変更が行われた区間における方位角度差の推移に相当する。詳述すると、車線SS2から車線SS1へと車両Sの車線変更が行われる場合、ある程度の時間内に車線SS2への移動が完了するように、車両Sの進行方向が方位LH1に対して反時計回りに向かって傾いていき、これに伴って方位角度差がプラス側に一定量以上となる状態が現出する。
【0044】
そして、プラス側第1角度閾値TP1は、「車両Sがある車線を走行している間は、方位角度差の大きさがプラス側第1角度閾値TP1の大きさを超えることがないという条件」、および、「車両Sがある車線から、走行中の道路区間の方位に向かって左側に位置する別の車線へと車線変更した場合には、何れかのタイミングで方位角度差がプラス側第1角度閾値TP1に至り、この閾値をプラス側に超えるという条件」を満たし、その大きさ(絶対値)ができるだけ小さくなるように設定されている。これを踏まえ、図3のグラフG2では、タイミングT1を起点として徐々に方位角度差が大きくなっていき、タイミングT2において方位角度差がプラス側第1角度閾値TP1に至っている。プラス側第1角度閾値TP1は上述した2つの条件を満たす、できるだけ小さな値に設定されているため、方位角度差がプラス側第1角度閾値TP1に至ったことをもって、車両Sによる車線SS2から車線SS1への車線変更が開始されたとみなすことができる。
【0045】
方位角度差は、プラス側第1角度閾値TP1に至った後も、しばらくはプラス側に大きくなり、あるタイミングでプラス側のピークに至った後、今度は徐々に小さくなっていく。車両Sが車線SS2から車線SS1へ向かって移動しつつ、車両Sの進行方向が方位LH1に徐々に近づくようにし、車両Sが車線SS1にスムーズに乗り入れることができるようにするためである。そして、方位角度差が徐々に小さくなっていく過程で、あるタイミングで方位角度差がプラス側第2角度閾値TP2に至り、プラス側第2角度閾値TP2を下回る。
【0046】
プラス側第2角度閾値TP2の大きさ(絶対値)は、車両Sが、ある車線から、走行中の道路区間の方位に向かって左側に位置する別の車線へと車線変更する過程において、方位角度差がプラス側のピークに達した後、このプラス側第2角度閾値TP2に至った場合、車両Sの進行方向が、走行中の道路区間の方位と十分に近づいており、車両Sによる車線変更が終了したとみなすことができるような値に設定されている。本実施形態では、プラス側第2角度閾値TP2の値は、プラス側第1角度閾値TP1の値と同一である。ただし、当然、これらの閾値の値は異なっていてもよい。
【0047】
以上を踏まえ、図3のグラフG2では、方位角度差は、タイミングT2以後も徐々に大きくなり、タイミングT3付近においてピークに達した後、徐々に小さくなり、タイミングT4においてプラス側第2角度閾値TP2に至っている。プラス側第2角度閾値TP2の値は上述した観点で設定されているため、方位角度差がプラス側第2角度閾値TP2に至ったことをもって、車両Sによる車線SS2から車線SS1への車線変更が終了したとみなすことができる。
【0048】
方位角度差は、プラス側第2角度閾値TP2を下回った後も徐々に小さくなっていき、何れ0°付近で推移するようになる。車線変更が終了し、車両Sが車線SS1上を方位LH1に向かって進行していく状態となるからである。これを踏まえ、図3のグラフG2では、方位角度差は、タイミングT4の後も徐々に小さくなり、タイミングT5付近を境として、0°近辺を推移するようになっている。
【0049】
また、図3のグラフG2において、タイミングT6からタイミングT10までの方位角度差の推移は、図2の軌跡KS1において、車両Sによる車線SS1から車線SS2への車線変更が行われる区間における方位角度差の推移に相当する。すなわち、マイナス側第1角度閾値TM1は、その大きさ(絶対値)がプラス側第1角度閾値TP1の大きさ(絶対値)と同値であり、「車両Sがある車線を走行している間は、方位角度差の大きさがマイナス側第1角度閾値TM1の大きさを超えることがないという条件」、および、「車両Sがある車線から、走行中の道路区間の方位に向かって右側に位置する別の車線へと車線変更した場合には、何れかのタイミングで方位角度差がマイナス側第1角度閾値TM1に至り、この閾値をマイナス側に超えるという条件」を満たし、その大きさ(絶対値)ができるだけ小さくなるように設定されている。
【0050】
また、マイナス側第2角度閾値TM2の大きさ(絶対値)は、プラス側第2角度閾値TP2の大きさ(絶対値)と同値であり、「車両Sが、ある車線から、走行中の道路区間の方位に向かって右側に位置する別の車線へと車線変更する過程において、方位角度差がマイナス側のピークに達した後、このマイナス側第2角度閾値TM2に至った場合、車両Sの進行方向が、走行中の道路区間の方位と十分に近づいており、車両Sによる車線変更が終了したとみなすことができるような値」に設定されている。本実施形態では、マイナス側第2角度閾値TM2の値は、マイナス側第1角度閾値TM1の値と同一である。ただし、当然、これらの閾値の値は異なっていてもよい。
【0051】
方位角度差は、車線SS2への移動のための車両Sの進行方向の変移に伴ってタイミングT6付近を起点として徐々に小さくなっていき(=その絶対値が徐々に大きくなっていき)、タイミングT7でマイナス側第1角度閾値TM1に至っている。従って、タイミングT7で車線変更が開始されたとみなすことができる。その後、方位角度差は、タイミングT8付近でマイナス側のピークに達し、その後、車両Sの進行方向が方位LH1に近づいていくのに伴って徐々に大きくなっていき(=その絶対値が徐々に小さくなっていき)、タイミングT9でマイナス側第2角度閾値TM2に至っている。従って、タイミングT9で車線変更が終了したとみなすことができる。タイミングT9の後も、方位角度差は徐々に大きくなり(=その絶対値が徐々に小さくなり)、車両Sが車線SS2上を方位LH1に向かって走行し始めるのに応じて、タイミングT10付近を境として0°近辺を推移するようになっている。
【0052】
さて、車線変更判定部15は、複数車線走行中状態の間、所定周期で同期して自車両方位情報および補正自車両方位情報を入力し、自車両方位情報および補正自車両方位情報に基づいて方位角度差を算出する。方位角度差は、自車両方位情報が示す自車両方位と補正自車両方位情報が示す補正自車両方位との差を算出することにより求めることができる。
【0053】
このように、車線変更判定部15は、複数車線走行中状態の間、所定周期で方位角度差を算出する一方、複数車線走行中状態の間、算出した方位角度差に基づいて以下の処理を実行する。なお、以下では、プラス側第1角度閾値TP1の大きさ(絶対値)およびマイナス側第1角度閾値TM1の大きさ(絶対値)をそれぞれまとめて「第1角度閾値TT1」という。また、プラス側第2角度閾値TP2の大きさ(絶対値)およびマイナス側第2角度閾値TM2の大きさ(絶対値)をそれぞれまとめて「第2角度閾値TT2」という。また、以下の車線変更判定部15の処理の説明において、処理の開始時点では、方位角度差の大きさ(絶対値)が、第1角度閾値TT1よりも小さい状態であるものとする。
【0054】
すなわち、車線変更判定部15は、方位角度差の大きさが、第1角度閾値TT1を下回った状態から、第1角度閾値TT1に至ったか否か(=第1角度閾値TT1以上となったか否か)を監視する。図3の例の場合、車線変更判定部15は、タイミングT2およびタイミングT7において方位角度差の大きさが第1角度閾値TT1を下回った状態から、第1角度閾値TT1に至ったと判定する。
【0055】
方位角度差の大きさが第1角度閾値TT1を下回った状態から、第1角度閾値TT1に至った場合、上述したように自車両による車線変更が開始されたとみなすことができるため、車線変更判定部15は、自車両による車線変更が開始されたと判定する。更に車線変更判定部15は、ログデータ記憶部21に記憶されたログデータ23にアクセスし、ログとして、車線変更が開始されたと判定した日時(日にち+時刻)を示す情報と、車線変更が開始されたことを示す情報とを対応付けて記述する。なお、車線変更判定部15は、RTC等の計時回路(不図示)からの入力に基づいて現在の日時を取得する。以下、ログデータ23に記述された、日時を示す情報と車線変更が開始されたことを示す情報との組合せを「車線変更開始関連情報」という。
【0056】
次いで、車線変更判定部15は、方位角度差の大きさが第2角度閾値TT2を上回った状態から、第2角度閾値TT2に至ったか否か(=第2角度閾値TT2以下となったか否か)を監視する。図3の例の場合、車線変更判定部15は、タイミングT4およびタイミングT9において方位角度差の大きさが第2角度閾値TT2を上回った状態から、第2角度閾値TT2に至ったと判定する。方位角度差の大きさが第2角度閾値TT2を上回った状態から、第2角度閾値TT2に至った場合、上述したように自車両による車線変更が終了したとみなすことができるため、車線変更判定部15は、自車両による車線変更が終了したと判定する。更に車線変更判定部15は、ログデータ記憶部21に記憶されたログデータ23にアクセスし、ログとして、車線変更が終了したと判定した日時を示す情報と、車線変更が終了したことを示す情報とを対応付けて記述する。以下、ログデータ23に記述された、日時を示す情報と車線変更が終了したことを示す情報との組合せを「車線変更終了関連情報」という。その後、再び、車線変更判定部15は、方位角度差の大きさが、第1角度閾値TT1を下回った状態から、第1角度閾値TT1に至ったか否かを監視する。
【0057】
以上のように、車線変更判定部15は、複数車線走行中状態の間、方位角度差を算出すると共に方位角度差を監視し、方位角度差の大きさが第1角度閾値TT1以上となった場合には、車線変更が開始されたと判定し、日時を示す情報と、車線変更が開始されたことを示す情報とを対応付けてログデータ23に記述する。一方、車線変更判定部15は、車線変更が開始されたと判定した後に、方位角度差の大きさが第2角度閾値TT2以下となった場合には、車線変更が終了したと判定し、日時を示す情報と、車線変更が終了したことを示す情報とを対応付けてログデータ23に記述する。
【0058】
特定状態検出部16は、車線変更判定部15による車線変更が開始されたとの第1判定と、車線変更判定部15による車線変更が終了したとの第2判定との組合せが、一定時間以内に一定回数以上繰り返されたか否かを監視し、繰り返された場合、自車両が特定状態であることを検出する。更に特定状態検出部16は、車線変更判定部15により自車両による車線変更が開始されたと判定された後、自車両による車線変更が終了したと判定されるまでの、道路区間の方位と交わる方向における自車両の移動距離を検出し、検出した移動距離が距離閾値以上の場合、自車両が特定状態であることを検出する。以下、特定状態検出部16の処理について詳述する。
【0059】
特定状態検出部16は、第1特定状態検出処理と、第2特定状態検出処理とを並行して実行する。以下、処理ごとに特定状態検出部16の動作について説明する。
【0060】
<第1特定状態検出処理>
第1特定状態検出処理において、特定状態検出部16は、ログデータ記憶部21に記憶されたログデータ23に所定周期で継続的にアクセスする。そして、車線変更判定部15によってログデータ23に車線変更終了関連情報が新たに記述されたか否かを判定する。車線変更終了関連情報が新たに記述されていない場合、特定状態検出部16は、対応する処理を実行しない。
【0061】
一方、車線変更終了関連情報がログデータ23に新たに記述されている場合、特定状態検出部16は、以下の処理を実行する。すなわち、特定状態検出部16は、現時点から遡って時間閾値M1以内に、車線変更開始関連情報とこれに連続する車線変更終了関連情報との組合せ(以下、「情報組合せ」という)が回数閾値C1以上、ログデータ23に記述されているか否かを判定する。
【0062】
図4は、特定状態検出部16の処理の説明に利用するため、ログデータ23の内容の例を模式的に示す図である。図4を用いた説明において、時間閾値M1は「15分」であり、回数閾値C1は「3回」であるとする。また、図4の各図のログデータ23には、車線変更開始関連情報JAと車線変更終了関連情報JBとの組み合わせからなる情報組合せKMが、複数、記述されている。
【0063】
図4(A)の例において、特定状態検出部16がログデータ23にアクセスした際に、車線変更終了関連情報JB1が新たにログデータ23に記述されていたとする。図4(A)で例示するログデータ23には、複数の情報組合せKMが記述されているが、各情報組合せKMに含まれる車線変更開始関連情報JAの日時を示す情報を参照すると、情報組合せKM1、KM2、KM3の3つの情報組合せKMが、現時点から遡って15分(=本例の時間閾値M1の値)以内に記述されている。従って、図4(A)の例の場合、特定状態検出部16は、時間閾値M1(現時点から遡って15分)以内に、3回(≧回数閾値C1)以上、ログデータ23に情報組合せKMが記述されたと判定する。
【0064】
また、図4(B)の例において、特定状態検出部16がログデータ23にアクセスした際に、車線変更終了関連情報JB2が新たにログデータ23に記述されていたとする。図4(B)で例示するログデータ23には、複数の情報組合せKMが記述されているが、各情報組合せKMに含まれる車線変更開始関連情報JAの日時を示す情報を参照すると、情報組合せKM4が現時点から遡って15分(=本例の時間閾値M1の値)以内に記述されている。従って、図4(B)の例の場合、特定状態検出部16は、時間閾値M1以内に回数閾値C1以上、ログデータ23に情報組合せKMが記述されていないと判定する。
【0065】
現時点から遡って時間閾値M1以内に回数閾値C1以上、情報組合せがログデータ23に記述されている場合、以下の状態である。すなわち、車線変更判定部15により車線変更が開始されたと判定されたタイミングから、車線変更が終了したと判定されたタイミングまでの期間を車線変更が行われた期間と考えたときに、現時点から遡って時間閾値M1以内に回数閾値C1以上の回数、自車両により車線変更が行われた状態である。本実施形態では、時間閾値M1および回数閾値C1はそれぞれ、時間閾値M1以内に回数閾値C1以上の回数、車線変更が行われた場合、限定的な期間に頻繁に車線変更が行われた状況であり、何らかの注意を促すべき危険な車線変更が行われた可能性があると考えることができるような値に設定されている。従って、特定状態検出部16により、現時点から遡って時間閾値M1以内に情報組合せが回数閾値C1以上、ログデータ23に記述されていると判定された場合、自車両により危険な車線変更が行われた可能性がある状態である。
【0066】
なお、車線変更開始関連情報および車線変更終了関連情報のログデータ23への記述は、車線変更判定部15による判定結果に従って実行される。従って、特定状態検出部16が現時点から遡って時間閾値M1以内に情報組合せが回数閾値C1以上、ログデータ23に記述されたか否かを判定する処理は、特許請求の範囲の「車線変更判定部15による車線変更が開始されたとの第1判定と、車線変更判定部15による車線変更が終了したとの第2判定との組合せが、一定時間以内に一定回数以上繰り返されたか否かを判定する」処理に相当する。
【0067】
特定状態検出部16は、現時点から遡って時間閾値M1以内に情報組合せが回数閾値C1以上、ログデータ23に記述されていると判定した場合、自車両が第1特定状態であることを検出する。第1特定状態は、自車両により限定的な期間に頻繁に車線変更が行われた状況であり、危険な車線変更が行われた可能性がある状態である。更に特定状態検出部16は、自車両が第1特定状態であることを情報報知部17に通知する。一方、特定状態検出部16は、現時点から遡って時間閾値M1以内に情報組合せが回数閾値C1以上、ログデータ23に記述されていないと判定した場合、自車両が第1特定状態でないことを検出する。
【0068】
<第2特定状態検出処理>
次に、第2特定状態検出処理について説明する。第2特定状態検出処理において、特定状態検出部16は、ログデータ記憶部21に記憶されたログデータ23に所定周期で継続的にアクセスする。そして、車線変更判定部15によってログデータ23に車線変更開始関連情報が新たに記述されたか否かを判定する。車線変更開始関連情報が新たに記述されていない場合、特定状態検出部16は、対応する処理を実行しない。
【0069】
一方、車線変更開始関連情報がログデータ23に新たに記述されている場合、特定状態検出部16は、自車両位置/方位検出部10に自車両位置情報の応答を要求し、自車両位置情報を取得する。以下、車線変更開始関連情報の記述に応じて取得した自車両位置情報を「開始位置情報」という。更に特定状態検出部16は、道路方位取得部14に補正自車両方位情報の応答を要求し、補正自車両方位情報を取得する。なお、補正自車両方位情報を取得するタイミングは、本実施形態で例示するタイミングに限られず、後述する横方向移動距離を算出する前のタイミングであればいつでもよい。その後、特定状態検出部16は、ログデータ23を参照し、ログデータ23に新たに車線変更終了関連情報が記述されたか否かを監視する。新たに車線変更終了関連情報が記述された場合、特定状態検出部16は、自車両位置/方位検出部10に自車両位置情報の応答を要求し、自車両位置情報を取得する。以下、車線変更終了関連情報の記述に応じて取得した自車両位置情報を「終了位置情報」という。
【0070】
開始位置情報が示す位置は、車線変更開始関連情報がログデータ23に記述された時点の自車両の位置、換言すれば、車線変更判定部15により自車両による車線変更が開始されたと判定されたタイミングにおける自車両の位置である。また、終了位置情報が示す位置は、車線変更終了関連情報がログデータ23に記述された時点の自車両の位置、換言すれば、車線変更判定部15により自車両による車線変更が終了したと判定されたタイミングにおける自車両の位置である。
【0071】
次いで、特定状態検出部16は、取得した補正自車両方位情報、開始位置情報および終了位置情報に基づいて、車線変更走行距離を算出し、更に横方向移動距離(特許請求の範囲の「移動距離」に相当)を算出する。図5は、車線変更走行距離および横方向移動距離を説明するため、図2の道路区間DKを走行する車両Sの軌跡の例(軌跡KS3)を模式的に示す図である。図5に示すように、車両Sの軌跡が軌跡KS3であり、開始位置情報が示す位置が軌跡KS3上の位置P3であり、終了位置情報が示す位置が軌跡KS3上の位置P4であったものとする。この場合において、位置P3と位置P4とを結ぶ線分の長さが車線変更走行距離である。
【0072】
また、位置P3を通り道路区間DKの方位LH1に直行する(交わる)方向に伸びる直線SL1と、位置P4を通り方位LH1に沿って伸びる直線SL2との交点の位置を位置P5とすると、位置P3と位置P5とを結ぶ線分の長さが横方向移動距離である。横方向移動距離は、車線変更判定部15により車線変更が開始されたと判定されてから、車線変更が終了したと判定されるまでの一連の車両Sの動きの中で、道路区間DKの方位LH1と交わる方向における車両の移動距離である。
【0073】
さて、特定状態検出部16は、開始位置情報が示す位置と、終了位置情報が示す位置との離間距離を算出し、これを車線変更走行距離とする。更に特定状態検出部16は、開始位置情報が示す位置と終了位置情報が示す位置とを通る直線と、補正自車両方位情報が示す補正自車両方位と直行する方向に伸びる直線SL1とのなす角(以下、「移動角度」という。図5の例では、θ3)を算出する。上述の通り、補正自車両方位は道路区間DKの方位LH1とみなすことができる。次いで、特定状態検出部16は、算出した車線変更走行距離に、「cos(移動角度)」を乗じることにより、横方向移動距離を算出する。ただし、本実施形態で例示した横方向移動距離の算出方法は一例であり、他の算出方法で横方向移動距離が算出される構成でもよい。
【0074】
横方向移動距離を算出した後、特定状態検出部16は、算出した横方向移動距離が距離閾値TX以上か否かを判定する。距離閾値TXは、横方向移動距離がこの距離閾値TXを超えている場合、2車線以上の車線の移動を伴う車線変更を自車両が行ったものとみなすことができるような値とされている。2車線以上の車線の移動を伴う車線変更とは、走行していた車線から、その隣の車線へと車両が移動するのではなく、図5の軌跡KS3のように、走行していた車線から、その隣の車線よりも更に外側の車線へと車両が移動することを意味する。距離閾値TXは、例えば、平均的な道路の1つの車線の幅にマージンを加えた値とされる。隣の車線へと車線変更する場合、自車両は、基本的には1つの車線の幅に相当する距離分、道路区間の方位と交わる方向へ移動するため、距離閾値TXをこのような値とすることができる。例えば、距離閾値TXは、平均的な道路の1つの車線の幅が3.5メートル程度である場合に5メートル程度とされる。一般に、2車線以上の車線の移動を伴う車線変更は、危険な車線変更である可能性がある。
【0075】
横方向移動距離が距離閾値TX以上である場合、特定状態検出部16は、自車両が第2特定状態であることを検出する。第2特定状態は、2車線以上の車線の移動を伴う車線変更が行われており、危険な車線変更が行われた可能性がある状態である。更に特定状態検出部16は、自車両が第2特定状態であることを情報報知部17に通知する。一方、特定状態検出部16は、横方向移動距離が距離閾値TX以上ではない場合、自車両が第2特定状態でないことを検出する。
【0076】
情報報知部17は、特定状態検出部16により自車両が特定状態であることが検出された場合、自車両に搭乗するユーザに特定情報に関する情報を報知する。以下、情報報知部17の処理について詳述する。
【0077】
情報報知部17は、特定状態検出部16から自車両が第1特定状態である旨の通知を受けた場合、以下の処理を実行する。すなわち、情報報知部17は、図示しない音声処理ユニットを制御して、自車両の車室内に設けられたスピーカから第1特定状態に関する所定の文言(情報)を音声により出力する。文言は例えば、「車線変更が頻繁に行われています。危険運転にご注意下さい。」というものである。文言の内容は、自車両により限定的な期間に頻繁に車線変更が行われていることを運転手に認識させ、運転について注意を促すものであればよい。運転手は、出力された音声を聴取することにより、限定的な期間に頻繁に車線変更を行ったことを認識でき、運転に更なる注意を払う動機を得る。
【0078】
また、情報報知部17は、特定状態検出部16から自車両が第2特定状態である旨の通知を受けた場合、以下の処理を実行する。すなわち、情報報知部17は、図示しない音声処理ユニットを制御して、自車両の車室内に設けられたスピーカから第2特定状態に関する所定の文言を音声により出力する。文言は例えば、「車線を跨って車線変更が行われています。危険運転にご注意下さい。」というものである。文言の内容は、自車両により2車線以上の車線の移動を伴う車線変更が行われていることを運転手に認識させ、運転について注意を促すものであればよい。運転手は、出力された音声を聴取することにより、車線以上の車線の移動を伴う車線変更を行ったことを認識でき、運転に更なる注意を払う動機を得る。
【0079】
以上詳しく説明したように、本実施形態に係る車線変更判定装置1は、自車両が2車線以上の道路区間(道路)を走行中であることを検出し、自車両が2車線以上の道路を走行中の間、自車両が走行する道路区間の方位と自車両の方位との角度差(方位角度差)を監視し、角度差が閾値以上となった場合、自車両による車線変更が開始されたと判定する。
【0080】
この構成によれば、自車両が2車線以上の道路区間を走行中の間、つまり、自車両による車線変更が行われる可能性がある期間にのみ車線変更の有無に関する判定が行われるため、車線変更が行われ得ない状況で車線変更があったと判定される事態が発生することを排除でき、車線変更の有無に関する判定の精度を向上できる。また、上記構成によれば、自車両が実際に走行する道路区間(道路)の方位と自車両の方位との角度差を車線変更に関する判定に利用することにより、車線変更に関する判定の精度を向上することができる。すなわち、本発明によれば、ヨーレートの変化のみで車線変更に関する判定を行うのではなく、道路において車両変更が可能かどうかという事項と、車両が実際に走行している道路と車両との関係とが考慮されて車線変更に関する判定が行われるため、判定の精度を向上することができる。しかも、車線変更に関する判定にはカメラの撮影結果が用いられないため、道路の表面の状態や、悪天候に影響を受けずに判定を行うことができる。
【0081】
次に、車線変更判定装置1の動作例についてフローチャートを用いて説明する。まず、走行道路検出部12の動作例、特に、マップマッチング部11からリンクIDを入力したときの走行道路検出部12の動作例について図6のフローチャートFAを用いて説明する。
【0082】
図6のフローチャートFAに示すように、走行道路検出部12は、マップマッチング部11からリンクIDを入力すると(ステップSA1)、新たに入力したリンクIDの値が、直前に入力したリンクIDの値と異なるか否かを判定する(ステップSA2)。異ならない場合(ステップSA2:NO)、フローチャートFAは終了する。異なる場合(ステップSA2:YES)、走行道路検出部12は、道路データ22に基づいて、ステップSA1で入力したリンクIDに対応する道路区間車線数情報を取得する(ステップSA3)。次いで、走行道路検出部12は、道路区間車線数情報の値に基づいて、ステップSA1で入力したリンクIDに対応する道路区間が複数車線道路区間であるか否かを判定する(ステップSA4)。
【0083】
複数車線道路区間の場合(ステップSA4:YES)、走行道路検出部12は、1つの車線を有する道路区間(以下「単車線道路区間」という)から複数車線道路区間へと切り替わったか否かを判定する(ステップSA5)。切り替わった場合(ステップSA5:YES)、走行道路検出部12は、単車線走行中状態から複数車線走行中状態へと切り替わったことを自車両方位取得部13および道路方位取得部14に通知する(ステップSA6)。ステップSA6の処理後、および、切り替わっていない場合(ステップSA5:NO)、フローチャートFAは終了する。
【0084】
ステップSA4において複数車線道路区間ではないと判定した場合(ステップSA4:NO)、走行道路検出部12は、複数車線道路区間から単車線道路区間へと切り替わったか否かを判定する(ステップSA7)。切り替わった場合(ステップSA7:YES)、走行道路検出部12は、複数車線走行中状態から単車線走行中状態へと切り替わったことを自車両方位取得部13および道路方位取得部14に通知する(ステップSA8)。ステップSA8の処理後、および、切り替わっていない場合(ステップSA7:NO)、フローチャートFAは終了する。
【0085】
次に、自車両方位取得部13の動作例について図7のフローチャートFBを用いて説明する。なお、フローチャートFBの開始時点では、単車線走行中状態であるものとする。フローチャートFBに示すように、自車両方位取得部13は、単車線走行中状態から複数車線走行中状態へと切り替わった旨の通知が走行道路検出部12からあったか否かを監視する(ステップSB1)。
【0086】
通知があった場合(ステップSB1:YES)、自車両方位取得部13は、自車両位置/方位検出部10に方位出力開始指示情報を出力する(ステップSB2)。次いで、自車両方位取得部13は、自車両方位情報を入力したか否かを監視しつつ(ステップSB3)、複数車線走行中状態から単車線走行中状態へと切り替わった旨の通知が走行道路検出部12からあったか否かを監視する(ステップSB4)。自車両方位情報を入力した場合(ステップSB3:YES)、自車両方位取得部13は、自車両方位情報を取得し(ステップSB5)、車線変更判定部15に出力する(ステップSB6)。ステップSB6の処理後、処理手順はステップSB3へ戻る。複数車線走行中状態から単車線走行中状態へと切り替わった旨の通知があった場合(ステップSB4:YES)、自車両方位取得部13は、自車両位置/方位検出部10に方位出力終了指示情報を出力する(ステップSB7)。ステップSB7の処理後、フローチャートFBは終了する。自車両方位取得部13は、フローチャートFBの処理を繰り返し実行する。
【0087】
次に、道路方位取得部14の動作例について図8のフローチャートFCを用いて説明する。なお、フローチャートFCの開始時点では、単車線走行中状態であるものとする。フローチャートFCに示すように、道路方位取得部14は、単車線走行中状態から複数車線走行中状態へと切り替わった旨の通知が走行道路検出部12からあったか否かを監視する(ステップSC1)。
【0088】
通知があった場合(ステップSC1:YES)、道路方位取得部14は、マップマッチング部11に補正方位出力開始指示情報を出力する(ステップSC2)。次いで、道路方位取得部14は、補正自車両方位情報を入力したか否かを監視しつつ(ステップSC3)、複数車線走行中状態から単車線走行中状態へと切り替わった旨の通知が走行道路検出部12からあったか否かを監視する(ステップSC4)。
【0089】
補正自車両方位情報を入力した場合(ステップSC3:YES)、道路方位取得部14は、補正自車両方位情報を取得し(ステップSC5)、車線変更判定部15に出力する(ステップSC6)。ステップSC6の処理後、処理手順はステップSC3へ戻る。複数車線走行中状態から単車線走行中状態へと切り替わった旨の通知があった場合(ステップSC4:YES)、道路方位取得部14は、マップマッチング部11に補正方位出力終了指示情報を出力する(ステップSC7)。ステップSC7の処理後、フローチャートFCは終了する。道路方位取得部14は、フローチャートFCの処理を繰り返し実行する。
【0090】
次に、車線変更判定部15の動作例、特に、複数車線走行中状態の間の車線変更判定部15の動作例について図9のフローチャートFDを用いて説明する。なお、複数車線走行中状態の間、車線変更判定部15は、所定周期で同期して自車両方位情報および補正自車両方位情報を入力し、自車両方位情報および補正自車両方位情報に基づいて方位角度差を算出しているものとし、この処理についての説明は省略する。また、フローチャートFDの開始時点では、方位角度差の大きさ(絶対値)が、第1角度閾値TT1よりも小さい状態であるものとする。
【0091】
フローチャートFDに示すように、車線変更判定部15は、方位角度差の大きさが、第1角度閾値TT1を下回った状態から、第1角度閾値TT1に至ったか否か(=第1角度閾値TT1以上となったか否か)を監視する(ステップSD1)。至った場合(ステップSD1:YES)、車線変更判定部15は、自車両による車線変更が開始されたと判定する(ステップSD2)。更に車線変更判定部15は、ログデータ23に車線変更開始関連情報を記述する(ステップSD3)。
【0092】
次いで、車線変更判定部15は、方位角度差の大きさが第2角度閾値TT2を上回った状態から、第2角度閾値TT2に至ったか否か(=第2角度閾値TT2以下となったか否か)を監視する(ステップSD4)。至った場合(ステップSD4:YES)、車線変更判定部15は、自車両による車線変更が終了したと判定する(ステップSD5)。次いで、車線変更判定部15は、ログデータ23に車線変更終了関連情報を記述する(ステップSD6)。ステップSD6の処理後、フローチャートFDは終了する。車線変更判定部15は、フローチャートFDの処理を繰り返し実行する。
【0093】
次に、特定状態検出部16および情報報知部17の動作例についてフローチャートを用いて説明する。図10は、特定状態検出部16により第1特定状態検出処理が実行されるときの、特定状態検出部16および情報報知部17の動作例を示すフローチャートである。図10のフローチャートFEは特定状態検出部16の動作例を示し、フローチャートFFは情報報知部17の動作例を示している。
【0094】
第1特定状態検出処理において、特定状態検出部16は、ログデータ23にアクセスするタイミングが到来したか否かを監視する(ステップSE1)。上述したように、特定状態検出部16は、ログデータ23に所定周期で継続的にアクセスする。到来した場合(ステップSE1:YES)、特定状態検出部16は、ログデータ23にアクセスし(ステップSE2)、車線変更終了関連情報が新たに記述されたか否かを判定する(ステップSE3)。記述されていない場合(ステップSE3:NO)、フローチャートFEの処理は終了する。
【0095】
記述されている場合(ステップSE3:YES)、特定状態検出部16は、現時点から遡って時間閾値M1以内に情報組合せが回数閾値C1以上、ログデータ23に記述されているか否かを判定する(ステップSE4)。記述されている場合(ステップSE4)、特定状態検出部16は、自車両が第1特定状態であることを検出する(ステップSE5)。次いで、特定状態検出部16は、自車両が第1特定状態であることを情報報知部17に通知する(ステップSE6)。ステップSE6の処理後、フローチャートFEは終了する。
【0096】
一方、ステップSE4において記述されていないと判定した場合(ステップSE4:NO)、特定状態検出部16は、自車両が第1特定状態でないことを検出する(ステップSE7)。ステップSE7の処理後、フローチャートFEは終了する。特定状態検出部16は、フローチャートFEの処理を繰り返し実行する。
【0097】
図10のフローチャートFFに示すように、フローチャートFEのステップSE6で特定状態検出部16により自車両が第1特定状態であることが通知されると、情報報知部17は、第1特定状態に関する所定の文言を音声により出力する(ステップSF1)。文言の内容は上述した通りである。
【0098】
図11は、特定状態検出部16により第2特定状態検出処理が実行されるときの、特定状態検出部16および情報報知部17の動作例を示すフローチャートである。図11のフローチャートFGは特定状態検出部16の動作例を示し、フローチャートFHは情報報知部17の動作例を示している。
【0099】
第2特定状態検出処理において、特定状態検出部16は、ログデータ23にアクセスするタイミングが到来したか否かを監視する(ステップSG1)。上述したように、特定状態検出部16は、ログデータ23に所定周期で継続的にアクセスする。到来した場合(ステップSG1:YES)、特定状態検出部16は、ログデータ23にアクセスし(ステップSG2)、車線変更開始関連情報が新たに記述されたか否かを判定する(ステップSG3)。記述されていない場合(ステップSG3:NO)、フローチャートFGの処理は終了する。
【0100】
記述されている場合(ステップSG3:YES)、特定状態検出部16は、自車両位置/方位検出部10に自車両位置情報の応答を要求し、自車両位置情報(開始位置情報)を取得する(ステップSG4)。次いで、特定状態検出部16は、道路方位取得部14に補正自車両方位情報の応答を要求し、補正自車両方位情報を取得する(ステップSG5)。次いで、特定状態検出部16は、ログデータ23に新たに車線変更終了関連情報が記述されたか否かを監視する(ステップSG6)。記述された場合(ステップSG6:YES)、特定状態検出部16は、自車両位置/方位検出部10に自車両位置情報の応答を要求し、自車両位置情報(終了位置情報)を取得する(ステップSG7)。
【0101】
次いで、特定状態検出部16は、取得した補正自車両方位情報、開始位置情報および終了位置情報に基づいて、車線変更走行距離を算出する(ステップSG8)。次いで、特定状態検出部16は、車線変更走行距離を利用して横方向移動距離を算出する(ステップSG9)。次いで、特定状態検出部16は、算出した横方向移動距離が距離閾値TX以上か否かを判定する(ステップSG10)。横方向移動距離が距離閾値TX以上である場合(ステップSG10:YES)、特定状態検出部16は、自車両が第2特定状態であることを検出する(ステップSG11)。次いで、特定状態検出部16は、自車両が第2特定状態であることを情報報知部17に通知する(ステップSG12)。ステップSG12の処理後、フローチャートFGは終了する。
【0102】
一方、ステップSG10において横方向移動距離が距離閾値TX以上でないと判定した場合(ステップSG10:NO)、特定状態検出部16は、横方向移動距離が距離閾値TX以上ではない場合、自車両が第2特定状態でないことを検出する(ステップSG13)。ステップSG13の処理後、フローチャートFGは終了する。
【0103】
図11のフローチャートFHに示すように、フローチャートFGのステップSG12で特定状態検出部16により自車両が第2特定状態であることが通知されると、情報報知部17は、第2特定状態に関する所定の文言を音声により出力する(ステップSH1)。文言の内容は上述した通りである。
【0104】
<第1変形例>
次に、上記実施形態の第1変形例について説明する。上記実施形態では、特定状態検出部16は、ログデータ23の記述内容に基づいて、車線変更判定部15による車線変更が開始されたとの第1判定と、車線変更判定部15による車線変更が終了したとの第2判定との組合せが、一定時間以内に一定回数以上繰り返された場合に、自車両が第1特定状態であることを検出した。この点に関し、車線変更判定部15が、当該該第1判定が一定時間以内に一定回数以上繰り返された場合に、自車両が第1特定状態であることを検出する構成でもよく、また、当該該第2判定が一定時間以内に一定回数以上繰り返された場合に、自車両が第1特定状態であることを検出する構成でもよい。
【0105】
<第2変形例>
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。上記実施形態では、第2特定状態であるか否かの判定に際し、横方向移動距離と比較する距離閾値TXは固定値であった。一方で、特定状態検出部16が、以下の方法で距離閾値TXの値を動的に変更する構成でもよい。
【0106】
すなわち、道路データ記憶部20に記憶された道路データ22のリンクデータベースの各レコードのうち、複数車線道路区間に対応するレコードに、道路区間が有する車線の幅を示す車線幅情報が含まれるようにする。なお、1つの道路区間の各車線の幅は同じであるものとする。そして、特定状態検出部16は、第2特定状態か否かの判定に際し、マップマッチング部11に走行中リンクIDの応答を要求し、走行中リンクIDを取得する。次いで、特定状態検出部16は、道路データ記憶部20に記憶された道路データ22にアクセスし、走行中リンクIDをキーとして車線幅情報を取得する。次いで、特定状態検出部16は、取得した車線幅情報が示す車線幅に基づいて、距離閾値TXの値を算出する。例えば、特定状態検出部16は、車線幅情報が示す車線幅に予め定められたマージンを加算することによって距離閾値TXの値を算出する。
【0107】
第2変形例の構成によれば、道路区間によって車線の幅が必ずしも一致しないことを踏まえ、距離閾値TXを実際の車線の幅を反映した適切な値とすることができる。
【0108】
<第3変形例>
次に、上記実施形態の第3変形例について説明する。上記実施形態では、道路方位取得部14がマップマッチング部11から補正自車両方位情報を取得する構成、すなわち、道路方位取得部14が自車両の方位がマップマッチングによって補正されたものを、自車両が走行する道路の方位として取得する構成であった。一方で、道路方位取得部14が、自車両が走行する道路に対応するリンクの方位を、自車両が走行する道路の方位として取得する構成でもよい。以下、本変形例に係る道路方位取得部14の処理の一例を説明する。
【0109】
本変形例では、道路データ記憶部20に記憶された道路データ22のリンクデータベースの各レコードのうち、複数車線道路区間に対応するレコードに、道路区間の方位を示す道路区間方位情報が含まれるようにする。道路区間方位情報とは、道路区間の形状を表す複数の点について、各点の位置と、隣接する2点間の方位を示す情報である。例えば、ある道路区間の形状が点A→点B→点C→点Dで表される場合に、この道路区間についての道路区間方位情報は、点A、B、C、Dの各点の位置を示す情報のほか、点Aと点Bとを結ぶ線の方位、点Bと点Cとを結ぶ線の方位、および、点Cと点Dとを結ぶ線の方位の各方位を示す情報を含んで構成される。道路方位取得部14は、複数車線走行中状態の間、マップマッチング部11から走行中リンクIDを所定周期で継続して取得する。道路方位取得部14は、走行中リンクIDを取得する度に道路データ記憶部20に記憶された道路データ22にアクセスし、走行中リンクIDをキーとして道路区間方位情報を取得する。次いで、道路方位取得部14は、取得した道路区間方位情報に基づいて、道路形状を表す点のうち、自車両位置に最も近い2点を特定し、この2点間の方位を特定する。次いで、道路方位取得14は、特定した方位を示す情報を車線変更判定部15に出力する。車線変更判定部15は、上記実施形態の補正自車両方位情報に代えて道路方位取得部14から入力した情報を用いて方位角度差を算出する。
【0110】
なお、本変形例について、道路区間方位情報が、2点間の方位を示す情報を有さず、各点の位置を示す情報を有している場合に、道路方位取得部14が、自車両位置に最も近い2点を特定し、特定した2点の方位をその都度、算出する構成でもよい。
【0111】
<その他の変形例>
その他、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0112】
例えば、上記実施形態では、情報報知部17は音声により特定状態に関する情報の報知を実行したが、情報報知部17が音声に代えてまたは音声と共に、表示(例えば、表示パネルへの画像の表示や、LEDライトの点灯等)によって情報を報知する構成でもよい。
【0113】
また、車線変更判定装置1が、ログデータ記憶部21に記憶されたログデータ23を所定のタイミングで分析する分析部を備える構成でもよい。分析は例えば、運転手が車線変更を頻繁に行う傾向があるか否かを判定したり、運転手が2車線以上の車線の移動を伴う車線変更を頻繁に行う傾向があるか否かを判定したりするために行われる。
【0114】
また、車線変更判定装置1の機能ブロックが実行すると説明した処理の一部または全部を、車線変更判定装置1と外部装置とが協働して、または、外部装置が単独で実行する構成としてもよい。この場合、車線変更判定装置1と外部装置とが協働して、特許請求の範囲の「車線変更判定装置」として機能する。一例として、車線変更判定装置1の車線変更判定部15の処理の一部または全部を、車線変更判定装置1とネットワークを介して通信可能なクラウドサーバが実行する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1 車線変更判定装置
10 方位検出部
12 走行道路検出部
13 車両方位取得部
14 道路方位取得部
15 車線変更判定部
16 特定状態検出部
17情報報知部
図1
図2
図3
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図5
図6
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図10
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