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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】火災報知設備
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20230904BHJP
【FI】
G08B17/00 C
G08B17/00 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019131264
(22)【出願日】2019-07-16
(65)【公開番号】P2021015560
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(72)【発明者】
【氏名】松田 佳大
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-358783(JP,A)
【文献】特開平2-274092(JP,A)
【文献】特開2007-065708(JP,A)
【文献】特開2008-109517(JP,A)
【文献】特開2007-317046(JP,A)
【文献】特開平4-340196(JP,A)
【文献】米国特許第06034601(US,A)
【文献】中国特許出願公開第101553770(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00
23/00-31/00
A62C2/00-99/00
H03J9/00-9/06
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04Q9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機と、
一以上の伝送回線に接続された複数の端末装置と、
前記伝送回線に設けられた出力装置と、
を備え、
前記受信機は、二以上の前記端末装置に重複して付されたアドレスである重複アドレスを第1アドレスとして前記伝送回線に出力し、
前記各端末装置は、当該端末装置内に記憶されている第2アドレスが前記第1アドレスと一致した場合には、応答信号を、当該伝送回線を介して前記受信機に出力し、
前記出力装置は、当該出力装置が設けられている前記伝送回線に流れる前記応答信号に基づき所定の態様での報知及び前記受信機への通知の少なくともいずれかを行う、
ことを特徴とする火災報知設備。
【請求項2】
前記伝送回線は、前記受信機に接続された第1伝送線路から複数に分岐された第2伝送線路であり、
前記出力装置は、複数の前記第2伝送線路のそれぞれに設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の火災報知設備。
【請求項3】
前記出力装置は、前記第2伝送線路において前記複数の端末装置よりも上流側に設けられた表示灯を有しており、
前記表示灯は、当該表示灯に接続されている前記第2伝送線路に前記応答信号として機能する応答電流が流れることにより点灯する、
ことを特徴とする請求項2に記載の火災報知設備。
【請求項4】
前記伝送回線は、前記受信機に対してループ状に接続されており、
前記出力装置は、一以上の前記端末装置ごとに前記伝送回線に接続されており、
前記各出力装置は、
前記伝送回線に流れる前記応答信号として機能する応答電流の方向を検出する電流方向検出部と、
前記電流方向検出部で検出された前記応答電流の方向を含む応答信号を前記受信機に出力する制御部と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の火災報知設備。
【請求項5】
前記受信機は、前記各出力装置から得られた前記応答信号に基づいて、前記重複アドレスが付された前記端末装置の位置を特定する、
ことを特徴とする、請求項4に記載の火災報知設備。
【請求項6】
前記受信機は、
前記伝送回線に対して第1の方向に前記第1アドレスを含む信号を伝送する第1伝送処理と、前記伝送回線に対して前記第1の方向とは逆方向である第2の方向に前記第1アドレスを含む信号を伝送する第2伝送処理と、を実行可能な伝送部と、
第1伝送処理が実行されることで前記各出力装置から得られた前記応答信号である第1応答信号と、第2伝送処理が実行されることで前記各出力装置から得られた前記応答信号である第2応答信号と、に基づいて、前記重複アドレスが付された前記端末装置の位置を特定する特定部と、
を備え、
前記特定部は、
前記第1応答信号及び前記第2応答信号に基づいて、前記伝送回線に接続されている複数の前記出力装置のうち、前記第1の方向及び前記第2の方向の双方の前記応答電流を検出した前記出力装置である第1出力装置と、前記第1の方向及び前記第2の方向のいずれかの前記応答電流を検出した前記出力装置である第2出力装置と、を判別する判別部と、
前記第1出力装置と前記第2出力装置との間の前記伝送回線に、前記重複アドレスが付された前記端末装置が接続されていると判定する判定部と、
を備える
ことを特徴とする、請求項5に記載の火災報知設備。
【請求項7】
前記判定部は、複数の前記出力装置に前記第1出力装置が存在しない場合には、前記第1の方向の前記応答電流を検出した前記出力装置と、前記第2の方向の前記応答電流を検出した前記出力装置と、の間の前記伝送回線に、前記重複アドレスが付された前記端末装置が接続されていると判定する、
ことを特徴とする、請求項6に記載の火災報知設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災報知設備に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、伝送回線に接続された複数の端末装置の中に、アドレスが重複して付与されている二以上の端末装置(以下、「重複アドレス端末」という。)が存在する場合には、重複アドレス端末の表示灯を点灯させる火災報知設備が開示されている。
これにより、火災報知設備の施工時において、作業者は、表示灯が点灯している端末装置(重複アドレス端末)を探索して、その端末装置に正しいアドレスを設定しなおすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4919393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、伝送回線において重複アドレス端末がどこに接続されているのか探す場合には、作業者は、伝送回線に接続されている端末機器の表示灯を1台ずつ確認する必要があり、重複アドレス端末を探す作業効率が悪い。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、アドレスが重複して付与されている端末機器を探す作業効率を向上させることができる火災報知設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、受信機と、一以上の伝送回線に接続された複数の端末装置と、前記伝送回線に設けられた出力装置と、を備え、前記受信機は、二以上の前記端末装置に重複して付されたアドレスである重複アドレスを第1アドレスとして前記伝送回線に出力し、前記各端末装置は、当該端末装置内に記憶されている第2アドレスが前記第1アドレスと一致した場合には、応答信号を、当該伝送回線を介して前記受信機に出力し、前記出力装置は、当該出力装置が設けられている前記伝送回線に流れる前記応答信号に基づき所定の態様での報知及び前記受信機への通知の少なくともいずれかを行う、ことを特徴とする火災報知設備である。
【0007】
(2)上記(1)の火災報知設備であって、前記伝送回線は、前記受信機に接続された第1伝送線路から複数に分岐された第2伝送線路であり、前記出力装置は、複数の前記第2伝送線路のそれぞれに設けられてもよい。
【0008】
(3)上記(2)の火災報知設備であって、前記出力装置は、前記第2伝送線路において前記複数の端末装置よりも上流側に設けられた表示灯を有しており、前記表示灯は、当該表示灯に接続されている前記第2伝送線路に前記応答信号として機能する応答電流が流れることにより点灯してもよい。
【0009】
(4)上記(1)の火災報知設備であって、前記伝送回線は、前記受信機に対してループ状に接続されており、前記出力装置は、一以上の前記端末装置ごとに前記伝送回線に接続されており、前記各出力装置は、前記伝送回線に流れる前記応答信号として機能する応答電流の方向を検出する電流方向検出部と、前記電流方向検出部で検出された前記応答電流の方向を含む応答信号を前記受信機に出力する制御部と、を備えてもよい。
【0010】
(5)上記(4)の火災報知設備であって、前記受信機は、前記各出力装置から得られた前記応答信号に基づいて、前記重複アドレスが付された前記端末装置の位置を特定してもよい。
【0011】
(6)上記(5)の火災報知設備であって、前記受信機は、前記伝送回線に対して第1の方向に前記第1アドレスを含む信号を伝送する第1伝送処理と、前記伝送回線に対して前記第1の方向とは逆方向である第2の方向に前記第1アドレスを含む信号を伝送する第2伝送処理と、を実行可能な伝送部と、第1伝送処理が実行されることで前記各出力装置から得られた前記応答信号である第1応答信号と、第2伝送処理が実行されることで前記各出力装置から得られた前記応答信号である第2応答信号と、に基づいて、前記重複アドレスが付された前記端末装置の位置を特定する特定部と、を備え、前記特定部は、第1応答信号及び第2応答信号に基づいて、前記伝送回線に接続されている複数の前記出力装置のうち、前記第1の方向及び前記第2の方向の双方の前記応答電流を検出した前記出力装置である第1出力装置と、前記第1の方向及び前記第2の方向のいずれかの前記応答電流を検出した前記出力装置である第2出力装置と、を判別する判別部と、前記第1出力装置と前記第2出力装置との間の前記伝送回線に、前記重複アドレスが付された前記端末装置が接続されていると判定する判定部と、を備えてもよい。
【0012】
(7)上記(6)の火災報知設備であって、前記判定部は、複数の前記出力装置に前記第1出力装置が存在しない場合には、前記第1の方向の前記応答電流を検出した前記出力装置と、前記第2の方向の前記応答電流を検出した前記出力装置と、の間の前記伝送回線に、前記重複アドレスが付された前記端末装置が接続されていると判定してもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明の一実施形態によれば、アドレスが重複して付与されている端末機器を探す作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態に係る火災報知設備1の概略構成の一例を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る出力装置4の構成の一例を示す図である。
図3】第2の実施形態に係る火災報知設備1Aの概略構成の一例を示す図である。
図4】第2の実施形態に係る出力装置4Aの概略構成の一例を示す図である。
図5】第3の実施形態に係る火災報知設備1Bの概略構成の一例を示す図である。
図6】第3の実施形態に係る出力装置4Bの概略構成の一例を示す図である。
図7】第3の実施形態に係る応答電流情報格納テーブルを示す図である。
図8】第3の実施形態に係る重複アドレス端末を特定する第1の例を示す図である。
図9】第3の実施形態に係る重複アドレス端末を特定する第1の例を示す図である。
図10】第3の実施形態に係る第1の例における応答電流情報格納テーブルを示す図である。
図11】第3の実施形態に係る重複アドレス端末を特定する第2の例を示す図である。
図12】第3の実施形態に係る重複アドレス端末を特定する第2の例を示す図である。
図13】第3の実施形態に係る第2の例における応答電流情報格納テーブルを示す図である。
図14】第3の実施形態に係る重複アドレス端末を特定する第3の例を示す図である。
図15】第3の実施形態に係る重複アドレス端末を特定する第3の例を示す図である。
図16】第3の実施形態に係る第3の例における応答電流情報格納テーブルを示す図である。
図17】第3の実施形態に係る受信機2Bの動作の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態に係る火災報知設備を、図面を用いて説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る火災報知設備1の概略構成の一例を示す図である。図1に示すように、火災報知設備1は、受信機2、複数の端末装置3及び出力装置4を備える。
【0017】
受信機2は、いわゆるR型受信機であって、例えば、火災報知設備1が設置された建物の1階の管理人室などに設置される。受信機2には、伝送線Tを介して複数の端末装置3が接続されている。なお、説明の便宜のため、火災報知設備1に1系統の伝送線Tのみが接続される場合について説明するが、これに限定されず、火災報知設備1は、複数の系統(例えば、1~16系統)の伝送線Tが受信機2に接続されてもよい。
【0018】
伝送線Tは、受信機2に接続された第1伝送線路Trと、第1伝送線路Trから複数に分岐された第2伝送線路Dと、を有する。すなわち、伝送線路Tは、第1伝送線路Trから複数の第2伝送線Dに分岐している。本実施形態では、伝送線路Tは、第1伝送線路Trから3つの第2伝送線D(D1~D3)に分岐している場合について説明するが、これに限定されず、その分岐の数には特に限定されない。なお、「第2伝送線D」は、本発明の「伝送回線」の一例である。なお、3つの第2伝送線D1~D3のそれぞれを区別しない場合には、単に「第2伝送線D」と標記する。
【0019】
複数の端末装置3は、各第2伝送線Dに接続されている。例えば、各第2伝送線Dには、一以上の端末装置3が並列接続されている。なお、複数の第2伝送線Dのそれぞれに接続される端末装置3の数には、特に限定されない。
【0020】
例えば、複数の端末装置3は、建物の各階の天井や壁に配置されている。例えば、第2伝送線D1に接続されている一以上の端末装置3は、火災報知設備1が設置された建物の1階に接続されている。例えば、第2伝送線D2に接続されている一以上の端末装置3は、火災報知設備1が設置された建物の2階に接続されている。例えば、第2伝送線D3に接続されている一以上の端末装置3は、火災報知設備1が設置された建物の3階に接続されている。
【0021】
複数の端末装置3のそれぞれには、固有のアドレスが付与される。ただし、各端末装置3へのアドレスの付与は、施工時等において、作業者により専用の端末を用いて行われることがある。この場合には、アドレスが重複して二以上の端末装置3に付与されてしまう場合が起こり得る。本実施形態では、アドレスが重複して付与された、すなわち同一のアドレスが付与された二以上の端末装置3を「重複アドレス端末」と称し、重複アドレス端末に付与されているアドレスを「重複アドレス」と称する。
【0022】
端末装置3は、第2伝送線Dを介して受信機2からアドレス(以下、「第1アドレス」という。)を有する信号(以下、「呼出信号」という。)を受信した場合に、第1アドレスと当該端末装置3に付与されているアドレス(以下、「第2アドレス」という。)とを比較する。そして、端末装置3は、第1アドレスと第2アドレスとが一致した場合には、所定の電流である応答電流を応答信号として第2伝送線Dを介して受信機2に出力することで、受信機2に応答する。なお、応答電流はパルス波形により受信機と通信を行わせるものが好適だが、単純なオンオフ信号としても良い。なお、端末装置3は、表示灯3aを有し、第1アドレスと第2アドレスとが一致した場合には、表示灯3aを表示させる。
【0023】
例えば、端末装置3は、熱感知器や煙感知器等の各種の感知器、発信機、中継器、地区音響装置、光警報装置等である。
【0024】
出力装置4は、複数の第2伝送線路Dのそれぞれに接続されている。本実施形態では、出力装置4-1が第2伝送線D1に接続され、出力装置4-2が第2伝送線D2に接続され、出力装置4-3が第2伝送線D3に接続されている。なお、3つの出力装置4-1~4-3のそれぞれを区別しない場合には、単に「出力装置4」と標記する。
【0025】
すべての出力装置4は、上記建物の複数階に散在せずに、ある階の所定の領域にまとめて設けられていることが望ましい。例えば、第2伝送線路Dにおいて、第1伝送線路Trから分岐した各分岐点は、住戸でなく共用部に設けられていることが多い。したがって、各出力装置4は、分岐点の近傍に設けられてもよい。
出力装置4は、当該出力装置4が接続されている第2伝送線路Dにおいてすべての端末装置3よりも上流側に設けられている。上流側とは、呼出信号を送信する側であり、下流側とは呼出信号を受信する側である。
【0026】
出力装置4は、当該出力装置4が設けられている第2伝送線路Dに応答電流が流れた場合には、その応答電流を用いて所定の態様での報知及び受信機2への通知の少なくともいずれかを行う。本実施形態では、出力装置4は、当該出力装置4が設けられている第2伝送線路Dに応答電流が流れた場合には、その応答電流を用いて所定の態様で報知を行う。
【0027】
ここで、出力装置4は、当該出力装置4が設けられている第2伝送線路Dに応答電流を検出して、その検出した応答電流を駆動源として所定の態様での報知及び受信機2への通知の少なくともいずれかを行ってもよい。
【0028】
また、出力装置4は、当該出力装置4が設けられている第2伝送線路Dに応答電流を検出する検出処理を行わず、当該第2伝送線路Dに流れた応答電流を駆動源として所定の態様での報知及び受信機2への通知の少なくともいずれかを行ってもよい。
また、出力装置4は、当該出力装置4が設けられている第2伝送線路Dに流れた応答電流の電流値が所定値を超えるか否かを判定する検出処理を実行し、応答電流の電流値が所定値を超える場合には、所定の態様での報知及び受信機2への通知の少なくともいずれかを行ってもよい。なお、応答電流の電流値の取得方法は、カレントトランスやシャント抵抗を用いた公知の技術を用いることができる。
【0029】
上記所定の態様とは、画像の表示、音声出力、発光ダイオード等の表示灯の発光又は点滅、バイブレータによる振動等である。本実施形態では、所定の態様が表示灯の発光である場合を例として説明する。
出力装置4は、当該出力装置4が設けられている第2伝送線路Dに応答電流が流れた場合に、その旨を受信機2に対して無線又は有線で通知してもよい。例えば、出力装置4は、当該出力装置4が設けられている第2伝送線路Dに応答電流が流れた場合には、第2伝送線路Dを介して受信機2へ通知を行ってもよい。
【0030】
次に、第1の実施形態に係る受信機2の構成について説明する。
受信機2は、伝送部10、操作部11、表示部12、警報部13及び制御部14を備える。
【0031】
伝送部10は、伝送線Tを介して、各2伝送線路Dに接続した複数の端末装置3との間で、所定の通信プロトコルに従って信号を送受信する。
伝送部10は、複数の端末装置3や出力装置4に対して呼出信号を電圧モードで伝送している。この呼出信号は、端末装置3や出力装置4のアドレス(第1アドレス)を指定する信号であって、伝送線Tの線路電圧を例えば18ボルトと30ボルトの間で変化させる電圧パルスとして伝送される。また、伝送部10は、呼出信号に対する応答として応答信号(応答電流)を受信する。
【0032】
操作部11は、例えば、受信機2に設けられた操作パネルや操作ボタンである。操作部11は、建物管理者や守衛、警備員等により操作される。
【0033】
表示部12は、液晶ディスプレイや表示灯を備える。表示部12は、例えば、火災の発生を示す表示と共に、発報信号を受信機2に出力した端末装置3の設置場所を、火災が発生した場所として表示する。
警報部13は、発報信号を受信した場合には、火災警報を出力する。
【0034】
制御部14は、重複アドレス判別部20及び送信部21を備える。
【0035】
重複アドレス判別部20は、複数の端末装置3に付与された第2アドレスの中から重複アドレスを判別する。重複アドレス判別部20における重複アドレスの判別方法は、種々の方法を採用することが可能であって、例えば、特開平08-106591号公報、特開平08-221673号公報、公開2007-147633号公報等に記載されている公知の技術を用いる。
【0036】
例えば、制御部14は、所定周期毎に端末装置3のアドレスを順次指定した第1呼出信号を伝送部10から複数の端末装置3に向けて送信させ、第1呼出信号に対する応答信号を受信することで端末装置3が検知したデータを収集したり、火災の有無を判定している。すなわち、受信機2と端末装置3との間の信号の伝送は、ポーリング方式で行われている。そのため、重複アドレス判別部20は、ある端末装置3のアドレスを指定した第1呼出信号を送信した場合に得られた応答信号にエラーが発生した場合には、当該アドレスが重複アドレスであると判別してもよい。
【0037】
送信部21は、重複アドレス判別部20が判別した重複アドレス(第1アドレス)を指定した第2呼出信号を伝送部5から複数の端末装置3に向けて送信させる。
【0038】
次に、第1の実施形態に係る出力装置4の構成の一例について、図2を用いて説明する。図2は、第1の実施形態に係る出力装置4の構成の一例を示す図である。
【0039】
出力装置4は、表示灯4aを備える。
【0040】
表示灯4aは、例えば、発光ダイオードである。表示灯4aは、第2伝送線路Dに電気的に接続されている。例えば、表示灯4aの出力装置4が接続されている第2伝送線路Dに対して、複数の端末装置3-1~3-nが接続されているとする。この場合において、表示灯4aは、複数の端末装置3-1~3-nのいずれの端末装置が応答電流を出力しても当該応答電流が必ず通る第2伝送線路D上の位置に設けられている。例えば、表示灯4aは、第2伝送線路Dにおいて複数の端末装置3-1~3-3よりも上流側に設けられている。なお、図2に示す例では、第2伝送線路Dが信号線Daとグランド線Dbとからなる場合において、表示灯4aは、グランド線Dbに接続されているが、これに限定されず、信号線Daに接続されていてもよい。
【0041】
次に、第1の実施形態に係る火災報知設備1の動作について説明する。
受信機2は、重複アドレス判別部20により重複アドレスが判別すると、重複アドレスを指定した第2呼出信号を複数の端末装置3に伝送する。なお、受信機2は、操作部11が所定の動作を受け付けたタイミングで第2呼出信号を複数の端末装置3に伝送してもよい。
重複アドレス端末は、第2呼出信号を受信すると表示灯3aを点灯させるとともに、応答電流を受信機2に対して出力する。すると、当該重複アドレス端末と同一の第2伝送線路Dに接続された出力装置4の表示灯4aが点灯する。
【0042】
これにより、出力装置4-1は、第2伝送線路D1に接続されている複数の端末装置3の中に重複アドレスが付された端末装置(重複アドレス端末)が存在する場合には、当該端末装置によって出力された応答電流を用いて表示灯4aを点灯させることで、重複アドレス端末が第2伝送線路D1に接続されている旨を報知することができる。
出力装置4-2は、第2伝送線路D2に接続されている複数の端末装置3の中に重複アドレスが付された端末装置(重複アドレス端末)が存在する場合には、当該端末装置によって出力された応答電流を用いて表示灯4aを点灯させることで、重複アドレス端末が第2伝送線路D2に接続されている旨を報知することができる。
出力装置4-3は、第2伝送線路D3に接続されている複数の端末装置3の中に重複アドレスが付された端末装置(重複アドレス端末)が存在する場合には、当該端末装置によって出力された応答電流を用いて表示灯4aを点灯させることで、重複アドレス端末が第2伝送線路D3に接続されている旨を報知することができる。
【0043】
このように、第1の実施形態に係る火災報知設備1は、複数の第2伝送線路Dのそれぞれに1対1で対応するように接続された出力装置4を備える。そして、出力装置4は、表示灯4aを備え、当該出力装置4が接続されている第2伝送線路Dに応答信号として機能する応答電流が流れた場合に、当該応答電流を用いて表示灯4aを表示させる。
【0044】
このような構成によれば、重複アドレス端末がどこに接続されているのか探す場合には、作業者は、まず、複数の出力装置4の表示灯4aを確認して、重複アドレス端末が存在する第2伝送線路を把握することで、探索する端末装置の絞り込みを行うことができる。これにより、作業者は、表示灯4aが点灯している第2伝送線路に接続されている端末装置3のみを確認すればよく、1台ずつ確認する必要がなくなる。したがって、重複アドレス端末を探す作業効率を向上させることができる。
【0045】
さらに、複数の出力装置4は、上記建物の複数階に散在せずに、ある階の所定の領域(例えば、共用部)にまとめて設けられていてもよい。これより、作業者は、すべての出力装置4の表示灯4aを確認しやすくなり、重複アドレス端末を探す作業効率をさらに向上させることができる。
【0046】
<第2の実施形態>
以下に、第2の実施形態に係る火災報知設備1Aについて、説明する。第2の実施形態に係る火災報知設備1Aは、第1の実施形態と比較して、出力装置4Aが応答電流を用いて受信機2へ通知し、受信機2Aが当該通知に応じた表示を行う点で相違し、その他の構成については第1の実施形態と同様である。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。
【0047】
図3は、第2の実施形態に係る火災報知設備1Aの概略構成の一例を示す図である。図3に示すように、火災報知設備1Aは、受信機2A、複数の端末装置3及び出力装置4Aを備える。
【0048】
受信機2Aは、いわゆるR型受信機であって、例えば、火災報知設備1Aが設置された建物の1階の管理人室などに設置される。受信機2Aには、伝送線Tを介して複数の端末装置3が接続されている。なお、説明の便宜のため、火災報知設備1Aに1系統の伝送線Tのみが接続される場合について説明するが、これに限定されず、火災報知設備1Aは、火災報知設備1と同様に、複数の系統(例えば、1~16系統)の伝送線Tが受信機2Aに接続されてもよい。
【0049】
出力装置4Aは、複数の第2伝送線路Dのそれぞれに接続されている。本実施形態では、出力装置4A-1が第2伝送線D1に接続され、出力装置4A-2が第2伝送線D2に接続され、出力装置4A-3が第2伝送線D3に接続されている。なお、3つの出力装置4A-1~4A-3のそれぞれを区別しない場合には、単に「出力装置4A」と標記する。
【0050】
すべての出力装置4Aは、第1の実施形態と同様に、上記建物の複数階に散在せずに、ある階の所定の領域(例えば、共用部)にまとめて設けられてもよい。例えば、各出力装置4Aは、分岐点の近傍に設けられてもよい。
出力装置4Aは、当該出力装置4Aが接続されている第2伝送線路Dにおいてすべての端末装置3よりも上流側に設けられている。
【0051】
出力装置4Aは、当該出力装置4Aが設けられている第2伝送線路Dに応答電流が流れた場合には、その応答電流を用いて受信機2に通知する。
以下に、第2の実施形態に係る出力装置4Aの概略構成の一例を示す。図4は、第2の実施形態に係る出力装置4Aの概略構成の一例を示す図である。
【0052】
出力装置4Aは、定電圧部30、電流検出部31、制御部32及び伝送部33を備える。なお、各出力装置4Aには、固有のアドレス(以下、「第3アドレス」という。)が予め付されている。
【0053】
定電圧部30は、第2伝送線路Dを介して上流側(例えば、受信機2)又は下流側(例えば、端末装置3)から供給される電力に基づいて、電源電圧Vccを生成して、出力装置4Aの各部に供給する。
【0054】
電流検出部31は、当該電流検出部31を有する出力装置4Aが設けられている第2伝送線路Dに流れる応答電流を検出する電流検出処理を実行する。電流検出処理における応答電流の検出方法は、カレントトランスやシャント抵抗を用いた公知の技術を用いることができる。
【0055】
例えば、電流検出部31は、シャント抵抗を有する。シャント抵抗は、グランド線Dbに挿入接続されている。ただし、これに限定されず、上記シャント抵抗は、信号線Daに挿入接続されてもよい。電流検出部31は、上記シャント抵抗を流れる電流により当該シャント抵抗の両端に発生する電圧を検出し、その検出した電圧(以下、「検出電圧」という。)が所定値以上である場合には、応答電流が流れたと判定する。これにより、電流検出部31は、応答電流を検出することができる。電流検出部31は、電流検出処理における検出結果(以下、「検出有無情報」という。)を制御部32に出力する。なお、検出有無情報は、応答電流を検出したか否かの情報を含んでおり、さらに応答電流の電流値や上記検出電圧の情報を含んでもよい。
【0056】
制御部32は、第2伝送線Dを介して受信機2から電流検出開始指令信号を受信した場合には、電流検出部31に対して電流検出処理を実行させる。これにより、電流検出部31は、上記電流検出処理を開始し、例えば、出力装置4Aが受信機2から第3呼出信号(後述)を受信するまで一定周期ごとに繰り返し実行される。
制御部32は、電流検出処理の結果、すなわち応答電流の検出結果である検出有無情報を当該制御部32の記憶部(不図示)に格納する。
【0057】
制御部32は、第2伝送線Dを介して受信機2から出力装置3のアドレス(第1アドレス)を有する信号(以下、「第3呼出信号」という。)を受信した場合には、当該第1アドレスと当該制御部32に記憶されている第3アドレスとを比較する。当該制御部32に記憶されている第3アドレスとは、当該制御部32を有する出力装置4Aに付されているアドレスである。
制御部32は、受信機2から受信した第3呼出信号に含まれる第1アドレスと自身に格納している第3アドレスとが一致した場合には、当該制御部32内に格納してある検出有無情報を伝送部33に送信する。
【0058】
制御部32は、プロセッサやメモリ等により構成される。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphic s Processing Unit)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を含んでもよい。上記メモリには、検出有無情報等の各種データを一時的に格納される。例えば、上記メモリは、RAM(Random Access Memory)である。
【0059】
伝送部33は、第3呼出信号を受信すると、その第3呼出信号を制御部32に送信する。また、伝送部33は、制御部32から検出有無情報を取得した場合には、その取得した検出有無情報を含む応答信号を電流モードで受信機2Aに送信する。例えば、伝送部33は、検出有無情報を含む応答信号を、伝送線Tを介して受信機2Aに送信してもよい。また、伝送部33は、検出有無情報を含む応答信号を無線で受信機2Aに送信してもよい。
【0060】
次に、第2の実施形態に係る受信機2Aの構成について説明する。
受信機2Aは、伝送部10、操作部11、表示部12、警報部13及び制御部14Aを備える。
【0061】
制御部14Aは、重複アドレス判別部20、送信部21A及び特定部22を備える。
【0062】
送信部21Aは、重複アドレス判別部20が重複アドレスを判別すると、まず、伝送部5からすべての出力装置4Aに対して、電流検出開始指令信号を送信させる。その次に、送信部21Aは、重複アドレス判別部20が判別した重複アドレス(第1アドレス)を指定した第2呼出信号を伝送部5から複数の端末装置3に対して送信させる。
【0063】
特定部22は、送信部21により重複アドレスを指定した第2呼出信号が伝送部5から複数の端末装置3に向けて送信された後に、所定周期毎に出力装置4のアドレスを順次指定した第3呼出信号を伝送線Tから複数の出力装置4に向けて送信する。そして、特定部22は、第3呼出信号に対する応答信号を複数の出力装置4から伝送部10を介して受信し、各応答信号に基づいて、重複アドレス端末が存在する第2伝送線路Dを特定する。特定部22は、特定した第2伝送線路Dに重複アドレス端末があることを表示部12に表示する。例えば、特定部22は、特定した第2伝送線路Dの識別情報を表示部12に表示してもよいし、特定した第2伝送線路Dが配線されている警戒区域(例えば、建物の階)を表示部12に表示してもよい。
【0064】
次に、第2の実施形態に係る火災報知設備1Aの動作について説明する。
受信機2Aは、重複アドレス判別部20により重複アドレスが判別すると、電流検出開始指令信号を複数の出力装置4Aに伝送し、次に複数の端末装置3に対して重複アドレスを指定した第2呼出信号を伝送する。出力装置4Aは、電流検出開始指令信号を受信すると、電流検出処理を実行する。重複アドレス端末は、第2呼出信号を受信すると表示灯3aを点灯させるとともに、応答電流を受信機2Aに対して出力する。したがって、当該重複アドレス端末と同一の第2伝送線路Dに接続された出力装置4Aは、電流検出処理の実行によって応答電流を検出する。
受信機2Aは、第2呼出信号を伝送してから所定時間が経過した後に第3呼出信号を複数の出力装置4Aに伝送する。各出力装置4Aは、第3呼出信号に対する応答信号として、応答電流を検出したか否かを示す検出有無情報を含む応答信号を受信機2Aに出力する。
【0065】
このように、第2の実施形態に係る火災報知設備1Aは、複数の第2伝送線路Dのそれぞれに1対1で対応するように接続された出力装置4Aを備える。そして、出力装置4は、当該出力装置4が接続されている第2伝送線路Dに応答電流が流れた場合には受信機2Aに通知する。
【0066】
このような構成によれば、重複アドレス端末がどこに接続されているのか探す場合には、作業者は、まず、受信機2Aに対して通知された出力装置4の情報を確認して、重複アドレス端末が存在する第2伝送線路Dを把握することで、探索する端末装置の絞り込みを行うことができる。これにより、作業者は、応答電流を検出した出力装置4Aが接続された第2伝送線路D3の端末装置3のみを確認すればよく、1台ずつ確認する必要がない。したがって、重複アドレス端末を探す作業効率を向上させることができる。
【0067】
<第3の実施形態>
以下に、第3の実施形態に係る火災報知設備1Bについて、説明する。第3の実施形態に係る火災報知設備1Bは、第1の実施形態と比較して、受信装置4Bに対して複数の端末装置3及び複数の出力装置4Bがループ状の伝送回線に接続されており、出力装置4Bが応答電流を用いて受信機2へ通知し、受信機2Bが当該通知に応じて重複アドレス端末が接続されている位置を特定する点で相違する。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。
【0068】
図5は、第3の実施形態に係る火災報知設備1Bの概略構成の一例を示す図である。図5に示すように、火災報知設備1Bは、受信機2B、複数の端末装置3及び複数の出力装置4Bを備える。
【0069】
受信機2Bは、いわゆるR型受信機であって、例えば、火災報知設備1Bが設置された建物の1階の管理人室などに設置される。受信機2Bには、ループ状の伝送回線(以下、「ループ伝送回線」という。)Lを介して複数の端末装置3及び複数の出力装置4Bが接続されている。なお、説明の便宜のため、火災報知設備1Bに1系統のループ伝送回線Lのみが接続される場合について説明するが、これに限定されず、火災報知設備1Bは、複数の系統(例えば、1~16系統)のループ伝送回線Lが受信機2Bに接続されてもよい。なお、「ループ伝送回線L」は、本発明の「伝送回線」の一例である。
【0070】
ループ伝送回線Lは、第1端部が受信機2Bの第1の端子100に接続され、第2端部が受信機2Bの第2の端子101に接続されている。ループ伝送回線Lは、一対の信号線Laとグランド線Lbとで構成されている。ここで、ループ伝送回線Lに接続される端末装置3及び出力装置4Bを含む端末に設定される最大アドレス数は例えば255としており、ループ伝送回線Lには最大254台の端末装置3及び出力装置4Bを含む端末が接続できる。
【0071】
複数の端末装置3は、ループ伝送回線Lに接続されている。なお、ループ伝送回線Lに接続される端末装置3の数には、特に限定されない。例えば、複数の端末装置3は、ある警報区域内の天井や壁に配置されている。
【0072】
複数の出力装置4Bは、ループ伝送回線Lに接続されている。具体的には、出力装置4Bは、一以上の端末装置3ごとにループ伝送回線Lに接続されている。各出力装置4Bには、固有のアドレスが付与されている。
【0073】
各出力装置4Bは、ループ伝送回線Lにおいて、当該出力装置4Bが接続されている位置に流れる応答電流を検出するとともに、当該応答電流の方向を検出する電流方向検出機能を有する。電流方向検出機能は、ループ伝送回線Lに断線障害のない正常な状態において、端末装置3からの応答信号の送信で流れる矢印で示す電流iの電流方向を「順方向」として検出し、順方向とは逆方向に流れる電流-iを「逆方向」として検出して受信機2Bに送信する。なお、順方向は、本発明の「第1の方向」の一例である。逆方向は、本発明の「第2の方向」の一例である。
【0074】
なお、第3の実施形態では、説明の便宜のため、ループ伝送回線Lには、12台の端末装置3-1~3-12と、5台の出力装置4B-1~4B-5が接続されている。さらに、12台の端末装置3(端末装置3-1~3-12)及び5台の出力装置4B(出力装置4B-1~4B-5)は、第1の端子100から第2の端子101に向かって、端末装置3-1、端末装置3-2、出力装置4B-1、端末装置3-3、端末装置3-4、出力装置4B-2、端末装置3-5、端末装置3-6、出力装置4B-3、端末装置3-7、端末装置3-8、出力装置4B-4、端末装置3-9、端末装置3-10、出力装置4B-5、端末装置3-11、端末装置3-12の順にループ伝送回路Lに接続されている。なお、5つの出力装置4B-1~4B-5のそれぞれを区別しない場合には、単に「出力装置4B」と標記する。
【0075】
次に、第3の実施形態に係る出力装置4Bの構成について説明する。
以下に、第3の実施形態に係る出力装置4Bの概略構成の一例を示す。図6は、第3の実施形態に係る出力装置4Bの概略構成の一例を示す図である。
【0076】
出力装置4Bは、定電圧部50、シャント抵抗51、電流方向検出部52、制御部53及び伝送部54を備える。なお、各出力装置4Bには、第2の実施形態と同様に、固有のアドレスである第3アドレスが予め付されている。
【0077】
定電圧部50は、ループ伝送回線Lを介して上流側(第1の端子100)又は下流側(第2の端子101)から供給される電力に基づいて、電源電圧Vccを生成して、出力装置4Bの各部に供給する。
【0078】
シャント抵抗51は、信号線Laに挿入接続されている。ただし、これに限定されず、シャント抵抗51は、グランド線Lbに挿入接続されてもよい。
【0079】
電流方向検出部52は、シャント抵抗51を流れる電流によりシャント抵抗51の両端に発生する電圧である検出電圧を検出し、その検出電圧に応じて電流の電流方向を検出する電流方向検出処理を実行する。例えば、第1の端子100から第2の端子101への方向である順方向にそってループ伝送回線Lに実線で示す応答電流iが流れた場合には、シャント抵抗51の両端に第1の極性(正又は負)の検出電圧が発生する。一方、第2の端子101から第1の端子100への方向である逆方向にそってループ伝送回線Lに応答電流-iが流れた場合には、シャント抵抗51の両端に第2の極性の検出電圧が発生する。第2の極性は、第1の極性の反転した極性である。したがって、電流方向検出部52は、電流方向検出処理として、検出電圧の極性を判別し、判別した極性に基づいて、応答電流の電流方向を検出する。ただし、電流方向検出部52は、検出電圧が所定値以上である場合に応答電流が流れたと判定して、当該検出電圧の極性に基づいて応答電流の方向を検出してもよい。したがって、例えば、電流方向検出部52は、検出電圧が所定値未満である場合には、応答電流が流れていないと判定して、応答電流の方向を検出しない。
【0080】
電流方向検出部52は、電流方向検出処理における検出結果(以下、「電流方向情報」という。)を制御部53に出力する。電流方向情報は、応答電流を検出したか否かの情報と、応答電流を検出した場合における当該応答電流の電流方向の情報とが含まれてもよいし、電流方向の情報のみが含まれてもよい。
【0081】
制御部53は、ループ伝送回線Lを介して受信機2Bから電流検出開始指令信号を受信した場合には、電流方向検出部52に対して電流方向検出処理を実行させる。これにより、電流方向検出部52は、上記電流方向検出処理を開始し、例えば、出力装置4Bが受信機2Bから第3呼出信号を受信するまで一定周期ごとに電流方向検出処理を繰り返し実行する。
制御部53は、電流方向情報を当該制御部53の記憶部(不図示)に格納する。
【0082】
制御部53は、ループ伝送回線Lを介して受信機2Bからアドレスを有する信号である第3呼出信号を受信した場合には、当該アドレスと当該制御部53に記憶されている第3アドレスとを比較する。第3の実施形態に係る第3アドレスとは、出力装置4Bに付されているアドレスである。
制御部53は、受信機2Bから受信したアドレスと自身に格納している第3アドレスとが一致した場合には、当該制御部53内に格納してある電流方向情報を伝送部54に送信する。
【0083】
制御部53は、プロセッサやメモリ等により構成される。当該プロセッサは、CPU、MPU、GPU、マイクロプロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、ASIC、FPGA等を含んでもよい。上記メモリには、電流方向情報等の各種データを一時的に格納される。例えば、上記メモリは、RAMである。
【0084】
伝送部54は、第3呼出信号を受信すると、その第3呼出信号を制御部53に送信する。また、伝送部54は、制御部53から電流方向情報を取得した場合には、その取得した電流方向情報を含む応答信号を電流モードで受信機2Bに送信する。例えば、伝送部54は、電流方向情報を含む応答信号を、ループ伝送回線Lを介して受信機2Bに送信してもよい。また、伝送部54は、電流方向情報を含む応答信号を無線で受信機2Bに送信してもよい。
【0085】
次に、第3の実施形態に係る受信機2Bの構成について説明する。
【0086】
受信機2Bは、伝送部10B、操作部11、表示部12、警報部13、切替部40、及び制御部14Bを備える。
【0087】
切替部40は、伝送部10に接続する端子を第1の端子100又は第2の端子101に切り替え可能である。すなわち、切替部40は、伝送部10にループ伝送回線Lの第1端部が電気的に接続された状態である第1接続状態と、伝送部10にループ伝送回線Lの第2端部が電気的に接続された状態である第2接続状態と、を切り替え可能である。なお、切替部40における切り替え動作は、制御部14Bにより制御される。
【0088】
具体的には、切替部40は、スイッチSW1及びスイッチSW2を備える。
【0089】
スイッチSW1は、第1の端子100と伝送部10との間に設けられている。スイッチSW1は、オン状態の場合には第1の端子100と伝送部10との間が電気的に接続され、オフ状態の場合には第1の端子100と伝送部10との間の電気的な接続が解除される。
【0090】
スイッチSW2は、第2の端子101と伝送部10との間に設けられている。スイッチSW2は、オン状態の場合には第2の端子101と伝送部10との間が電気的に接続され、オフ状態の場合には第2の端子101と伝送部10との間の電気的な接続が解除される。
【0091】
第1接続状態は、スイッチSW1がオン状態であり、スイッチSW2がオフ状態である。第2接続状態は、スイッチSW1がオフ状態であり、スイッチSW2がオン状態である。
【0092】
伝送部10Bは、ループ伝送回線Lを介して、各2伝送線路Dに接続した複数の端末装置3との間で、所定の通信プロトコルに従って信号を送受信する。
伝送部10Bは、複数の端末装置3に対して呼出信号を電圧モードで伝送する。具体的には、伝送部10Bは、制御部14Bの制御の下、電流検出開始指令信号を複数の端末装置3Bに対して送信する。また、伝送部10は、制御部14Bの制御の下、第2呼出信号を複数の端末装置3に対して送信する。
また、伝送部10Bは、伝送部10Bとループ伝送回線Lとの間の接続状態(以下、単に「接続状態」という。)が第1接続状態である場合と第2接続状態である場合との双方においてそれぞれ第3呼出信号を伝送部10Bからループ伝送回線Lに送信する。
具体的には、伝送部10Bは、接続状態が第1接続状態である場合には、制御部14Bの制御の下、ループ伝送回線Lに対して電流検出開始指令信号を順方向に伝送し、その伝送の後にループ伝送回線Lに対して順方向に第3呼出信号を伝送する第1伝送処理を実行する。また、伝送部10Bは、接続状態が第2接続状態である場合には、制御部14Bの制御の下、ループ伝送回線Lに対して電流検出開始指令信号を逆方向に伝送し、その伝送の後にループ伝送回線Lに対して逆方向に第3呼出信号を伝送する第2伝送処理を実行する。
【0093】
制御部14Bは、重複アドレス判別部20、送信部21B、切替制御部60及び特定部70を備える。
【0094】
送信部21Bは、重複アドレス判別部20が重複アドレスを判別すると、まず、伝送部5からすべての出力装置4Bに対して、電流検出開始指令信号を送信させる。その次に、送信部21Bは、重複アドレス判別部20が判別した重複アドレス(第1アドレス)を指定した第2呼出信号を伝送部5から複数の端末装置3に対して送信させる。
【0095】
切替制御部60は、切替部40における第1接続状態又は第2接続状態への切り替え処理を制御する。具体的には、切替制御部60は、スイッチSW1及びスイッチSW2のそれぞれのオン状態又はオフ状態への切り替えを行う。切替制御部60は、スイッチSW1をオン状態に制御し、スイッチSW2をオフ状態に制御することで、伝送部10とループ伝送回線Lとの間を第1接続状態に制御する。また、切替制御部60は、スイッチSW1をオフ状態に制御し、スイッチSW2をオン状態に制御することで伝送部10とループ伝送回線Lとの間を第2接続状態に制御する。
【0096】
特定部70は、送信部21により重複アドレスを指定した第2呼出信号が伝送部5から複数の端末装置3に向けて送信された後に、所定周期毎に出力装置4のアドレスを順次指定した第3呼出信号をループ伝送回線Lから複数の出力装置4に向けて伝送部10から送信させる。ここで、特定部70は、伝送部10とループ伝送回線Lとの間の接続状態が第1接続状態である場合と、第2接続状態である場合との双方においてそれぞれ第3呼出信号を伝送部10からループ伝送回線Lに送信させる(第1伝送処理及び第2伝送処理)。そして、特定部22は、第1伝送処理が実行されることで各出力装置4Bから得られた応答信号である第1応答信号と、第2伝送処理が実行されることで各出力装置4Bから得られた応答信号である第2応答信号と、に基づいて、ループ伝送回線Lにおける重複アドレス端末の位置を特定する。
【0097】
具体的には、特定部70は、判別部71及び判定部72を備える。
【0098】
判別部71は、第1応答信号及び第2応答信号に基づいて、ループ伝送回線Lに接続されている複数の出力装置4B-1~4B-5のそれぞれが、順方向及び逆方向の双方の応答電流を検出した出力装置4Bである第1出力装置と、順方向及び逆方向のいずれかの応答電流を検出した出力装置4Bである第2出力装置と、のいずれかであるかを判別する。
さらに、判別部71は、第2出力装置に対して、順方向及び逆方向のいずれの方向の応答電流を検出したのかを、第1応答信号及び第2応答信号に基づいて判別する。
すなわち、判別部71は、第1応答信号及び第2応答信号に基づいて、出力装置4B-1~4B-5のそれぞれの検出した応答電流が順方向及び逆方向の両方の応答電流、順方向のみの応答電流、逆方向のみ応答電流のいずれかであるかを判別する判別処理を実行する。図7は、判別部71の判別処理の結果を示す情報の一例を、テーブル形式で示した図である。
【0099】
判別部71は、判別処理によって得られた情報を図7に示す応答電流情報格納テーブルに格納する。応答電流情報格納テーブルは、制御部14B内の記憶部に格納される。応答電流情報格納テーブルには、識別情報、順方向検知有無、逆方向検知有無、片検出有無、両検出有無の各情報が対応付けられて格納される。
【0100】
識別情報は、複数の出力装置4B-1~4B-5のそれぞれを識別する情報である。例えば、上記識別情報は、出力装置4B-1~4B-5に付されているアドレスである。ここで、出力装置4B-1のアドレスを「0001」、出力装置4B-2のアドレスを、「0002」、出力装置4B-3のアドレスを、「0003」、出力装置4B-4のアドレスを、「0004」、出力装置4B-5のアドレスを、「0005」とする。そして、応答電流情報格納テーブルに格納されている出力装置4B-1~4B-5のアドレスの並び順は、順方向又は逆方向に沿ってループ伝送回線Lに接続されている順番(以下、単に「接続順」という。)である。
【0101】
順方向検知有無は、順方向に応答電流を検知したか否かを示す情報である。
逆方向検知有無は、逆方向に応答電流を検知したか否かを示す情報である。
片検出有無は、順方向又は逆方向のいずれかの応答電流のみを検知したか否かを示す情報である。
両検出有無は、順方向及び逆方向の双方向の応答電流を検知したか否かを示す情報である。
【0102】
判定部72は、複数の出力装置4B-1~4B-5の中に第1出力装置及び第2出力装置が存在していれば、接続順において第1出力装置と第2出力装置との間のループ伝送回線Lに重複アドレス端末が接続されていると判定する。
また、判定部72は、複数の出力装置4B-1~4B-5の中に第1出力装置が存在しない場合には、接続順において、順方向の応答電流を検出した出力装置4Bと逆方向の応答電流を検出した出力装置4Bとの間のループ伝送回線Lに重複アドレス端末が接続されていると判定する。すなわち、判定部72は、接続順において、順方向検出と逆方向検出の切り替わりの間に重複アドレス端末があると判定する。
【0103】
次に、第3の実施形態における重複アドレス端末の位置の特定方法を図8から図16を用いて説明する。
【0104】
(重複アドレス端末が端末装置3-5及び端末装置3-9の場合)
重複アドレス端末が端末装置3-5及び端末装置3-9の場合において、受信機2Bが重複アドレス端末の位置を特定する方法について、説明する。
受信機2Bは、重複アドレスを判別すると、接続状態を第1接続状態に制御して、電流検出開始指令信号を送信し、次に重複アドレスを指定した第2呼出信号をループ伝送回線Lに送信する。すると、すべての出力装置4Bは、電流検出開始指令信号を受信すると、電流方向処理を開始する。そして、端末装置3-5は、第2呼出信号に対する応答信号として応答電流Iaを受信機2に対して送信する。端末装置3-9は、第2呼出信号に対する応答信号として応答電流Ibを受信機2Bに対して送信する。
ここで、図8に示すように、応答電流Iaは、順方向の電流であって、出力装置4B-1、出力装置4B-2を通る。よって、応答電流Iaによって、出力装置4B-1及び出力装置4B-2は、それぞれ順方向に応答電流が流れことを示す応答信号を受信機2Bに送信する。
また、応答電流Ibは、順方向の電流であって、出力装置4B-1、出力装置4B-2、出力装置4B-3、出力装置4B-4を通る。よって、応答電流Ibによって、出力装置4B-1~出力装置4B-4は、それぞれ順方向に応答電流が流れことを示す応答信号を受信機2Bに送信する。
ただし、出力装置4Bは応答電流Iaと応答電流Ibを区別しない。そのため、方向に応答電流が流れことを示す応答信号を送信する出力装置4Bは、始端から最も離れた感知器からの応答電流に基づいて決定される。上記の場合、出力装置4B-1~出力装置4B-4は、それぞれ順方向に応答電流が流れことを示す応答信号を受信機2Bに送信する。
【0105】
次に、受信機2Bは、接続状態を第2接続状態に制御して、電流検出開始指令信号を送信し、次に重複アドレスを指定した第2呼出信号をループ伝送回線Lに送信する。すると、すべての出力装置4Bは、電流検出開始指令信号を受信すると、電流方向処理を開始する。そして、端末装置3-5は、第3呼出信号に対する応答信号として応答電流Icを受信機2Bに対して送信する。端末装置3-9は、第3呼出信号に対する応答信号として応答電流Idを受信機2Bに対して送信する。
ここで、図9に示すように、応答電流Icは、逆方向の電流であって、出力装置4B-5、出力装置4B-4、出力装置4B-3を通る。よって、応答電流Icによって、出力装置4B-3~出力装置4B-5は、それぞれ逆方向に応答電流が流れことを示す応答信号を受信機2Bに送信する。
また、応答電流Idは、逆方向の電流であって、出力装置4B-5を通る。よって、応答電流Idによって、出力装置4B-5は、逆方向に応答電流が流れことを示す応答信号を受信機2Bに送信する。
したがって、出力装置4B-3~出力装置4B-5は、それぞれ逆方向に応答電流が流れことを示す応答信号を受信機2Bに送信する。
【0106】
したがって、受信機2Bは、図10に示す応答電流情報格納テーブルを生成し、出力装置4B-3及び出力装置4B-4(第1出力装置)のみが順方向及び逆方向の双方向の応答電を検出したと判別する。そのため、受信機2Bは、接続順において、片検出の出力装置4B-2と両検出の出力装置4B-3との間、及び、片検出の出力装置4B-5と両検出の出力装置4B-4との間に重複アドレス端末が接続されていると判定する。
【0107】
(重複アドレス端末が端末装置3-5及び端末装置3-6の場合)
重複アドレス端末が端末装置3-5及び端末装置3-6の場合において、受信機2Bが重複アドレス端末の位置を特定する方法について、説明する。
受信機2Bは、重複アドレスを判別すると、接続状態を第1接続状態に制御して、電流検出開始指令信号を送信し、次に重複アドレスを指定した第2呼出信号をループ伝送回線Lに送信する。すると、すべての出力装置4Bは、電流検出開始指令信号を受信すると、電流方向処理を開始する。そして、端末装置3-5は、第3呼出信号に対する応答信号として応答電流Ieを受信機2Bに対して送信する。端末装置3-6は、第3呼出信号に対する応答信号として応答電流Ifを受信機2Bに対して送信する。
ここで、図11に示すように、応答電流Ieは、順方向の電流であって、出力装置4B-1、出力装置4B-2を通る。よって、応答電流Ieによって出力装置4B-1及び出力装置4B-2は、それぞれ順方向に応答電流が流れことを示す応答信号を受信機2Bに送信する。
また、応答電流Ifも同様に順方向の電流であって、出力装置4B-1、出力装置4B-2を通る。よって、応答電流Ifによって出力装置4B-1及び出力装置4B-2は、それぞれ順方向に応答電流が流れことを示す応答信号を受信機2Bに送信する。
したがって、出力装置4B-1、出力装置4B-2は、それぞれ順方向に応答電流が流れことを示す応答信号を受信機2Bに送信する。
【0108】
次に、受信機2Bは、接続状態を第2接続状態に制御して、電流検出開始指令信号を送信し、次に重複アドレスを指定した第2呼出信号をループ伝送回線Lに送信する。すると、すべての出力装置4Bは、電流検出開始指令信号を受信すると、電流方向処理を開始する。そして、端末装置3-5は、第3呼出信号に対する応答信号として応答電流Igを受信機2Bに対して送信する。端末装置3-6は、第3呼出信号に対する応答信号として応答電流Ihを受信機2Bに対して送信する。
ここで、図12に示すように、応答電流Igは、逆方向の電流であって、出力装置4B-3から4B-5を通る。よって、応答電流Igによって出力装置4B-3~4B-5は、それぞれ逆方向に応答電流が流れことを示す応答信号を受信機2Bに送信する。
同様に、応答電流Ihは、逆方向の電流であって、出力装置4B-3から4B-5を通る。よって、応答電流Ihによって出力装置4B-3~4B-5は、それぞれ逆方向に応答電流が流れことを示す応答信号を受信機2Bに送信する。
したがって、出力装置4B-3~出力装置4B-5は、それぞれ逆方向に応答電流が流れことを示す応答信号を受信機2Bに送信する。
【0109】
したがって、受信機2Bは、図13に示す応答電流情報格納テーブルを生成する。ここで、図13に示す応答電流情報格納テーブルには、順方向及び逆方向の双方向の応答電流を検出した出力装置4B(第1出力装置)が存在しない。したがって、受信機2Bは、接続順において、順方向の応答電流を検出した出力装置4B-2と逆方向の応答電流を検出した出力装置4B-3との間のループ伝送回線Lに重複アドレス端末が接続されていると判定する。
【0110】
(重複アドレス端末が端末装置3-1及び端末装置3-6の場合)
重複アドレス端末が端末装置3-1及び端末装置3-6の場合において、受信機2Bが重複アドレス端末の位置を特定する方法について、説明する。
受信機2Bは、重複アドレスを判別すると、接続状態を第1接続状態に制御して、電流検出開始指令信号を送信し、次に重複アドレスを指定した第2呼出信号をループ伝送回線Lに送信する。すると、すべての出力装置4Bは、電流検出開始指令信号を受信すると、電流方向処理を開始する。そして、端末装置3-1は、第3呼出信号に対する応答信号として応答電流Iiを受信機2Bに対して送信する。端末装置3-6は、第3呼出信号に対する応答信号として応答電流Ijを受信機2Bに対して送信する。
ここで、図14に示すように、応答電流Iiは、順方向の電流であって、どの出力装置4Bも経由しない。また、応答電流Ijは、順方向の電流であって、出力装置4B-1、出力装置4B-2を通る。よって、応答電流Ijによって出力装置4B-1及び出力装置4B-2は、それぞれ順方向に応答電流が流れことを示す応答信号を受信機2Bに送信する。
したがって、出力装置4B-1、出力装置4B-2は、それぞれ順方向に応答電流が流れことを示す応答信号を受信機2Bに送信する。
【0111】
次に、受信機2Bは、接続状態を第2接続状態に制御して、電流検出開始指令信号を送信し、次に重複アドレスを指定した第2呼出信号をループ伝送回線Lに送信する。すると、すべての出力装置4Bは、電流検出開始指令信号を受信すると、電流方向処理を開始する。そして、端末装置3-1は、第3呼出信号に対する応答信号として応答電流Ikを受信機2Bに対して送信する。端末装置3-6は、第3呼出信号に対する応答信号として応答電流Ilを受信機2Bに対して送信する。
ここで、図15に示すように、応答電流Ikは、逆方向の電流であって、出力装置4B-1から4B-5を通る。よって、応答電流Ikによって出力装置4B-1~4B-5は、それぞれ逆方向に応答電流が流れことを示す応答信号を受信機2Bに送信する。
応答電流Iiは、逆方向の電流であって、出力装置4B-3から4B-5を通る。よって、応答電流Iiによって出力装置4B-3~4B-5は、それぞれ逆方向に応答電流が流れことを示す応答信号を受信機2Bに送信する。
したがって、出力装置4B-3~出力装置4B-5は、それぞれ逆方向に応答電流が流れことを示す応答信号を受信機2Bに送信する。
【0112】
したがって、受信機2Bは、図16に示す応答電流情報格納テーブルを生成する。ここで、ループ伝送回線Lの第1の端部及び第2の端部のそれぞれ(受信機2B)は片検出をした端末装置とみなす。したがって、受信機2Bは、接続順において、受信機2Bと両検出の出力装置4B-1との間、及び、片検出の出力装置4B-3と両検出の出力装置4B-2との間のループ伝送回線Lに重複アドレス端末が接続されていると判定する。
【0113】
次に、第3の実施形態に係る受信機2Bの動作の流れについて、図17を用いて説明する。図17は、第3の実施形態に係る受信機2Bの動作の流れを示す図である。
【0114】
受信機2Bは、重複アドレスを判別すると、接続状態を第1接続状態に制御して、電流検出開始指令信号を送信する(ステップS101)。そして、送信部21Bは、電流検出開始指令信号を送信した後の所定時間後において、重複アドレスを指定した第2呼出信号をループ伝送回線Lに送信する。これにより、受信機2Bは、重複アドレス端末を順方向から呼び出す(ステップS102)。
【0115】
次に、受信機2Bは、第3呼出信号をすべての出力装置4Bに対して送信して(ステップS103)、各出力装置4Bから電流方向情報を含む応答信号(第1応答信号)を受信する(ステップS104)。
【0116】
ステップS104を終了すると、受信機2Bは、接続状態を第2接続状態に制御して、再度、電流検出開始指令信号を送信する(ステップS105)。出力装置4Bは、当該電流検出開始指令信号を受信すると、前回の電流方向検出処理により取得した電流方向情報をリセットして、電流方向検出処理を再度実行する。送信部21Bは、電流検出開始指令信号を送信した後の所定時間後において、重複アドレスを指定した第2呼出信号をループ伝送回線Lに送信する。これにより、受信機2Bは、重複アドレス端末を逆方向から呼び出す(ステップS106)。
【0117】
次に、受信機2Bは、第3呼出信号をすべての出力装置4Bに対して送信して(ステップS107)、各出力装置4Bから電流方向情報を含む応答信号(第2応答信号)を受信する(ステップS108)。
【0118】
判定部72は、第1応答信号及び第2応答信号に基づいて、順方向及び逆方向の応答電流を検出した出力装置4Bが存在するか否かを判定する(ステップS109)。そして、判定部72は、順方向及び逆方向の応答電流を検出した出力装置4Bが存在すると判定した場合には、接続順において、順方向における片検出の出力装置4Bから両検出の出力装置4Bへの切り替わりの間、逆方向における片検出の出力装置4Bから両検出の出力装置4Bへの切り替わりの間に、重複アドレスが存在すると判定する(ステップS110)。
【0119】
一方、判定部72は、順方向及び逆方向の応答電流を検出した出力装置4Bが存在しないと判定した場合には、接続順において、順方向の応答電流を検出した出力装置4Bと逆方向の応答電流の出力装置4Bとの切り替わりの間に、重複アドレスが存在すると判定する(ステップS111)。なお、判定部72は、判定した重複アドレスの位置を表示部12に表示させてもよい。
【0120】
このように、第3の実施形態に係る火災報知設備1Bは、複数の端末装置3Bが接続されたループ伝送回線Lにおいて、一以上の端末装置3Bごとに出力装置4Bが接続されている。そして、各出力装置4Bは、それぞれが接続されている位置において、ループ伝送回線Lに流れる応答電流を検出するとともに、当該応答電流の方向を検出する機能を有する。受信機2Bは、出力装置4Bで検出された応答電流の方向に基づいて、重複アドレス端末を特定する。
【0121】
このような構成によれば、火災報知設備1Bは、重複アドレス端末がどこに接続されているのかを特定することができ、重複アドレス端末を探す作業効率を向上させることができる。
【0122】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0123】
(変形例1)
第1の実施形態に係る出力装置4は、SCI(ショートサーキットアイソレータ)と一体に構成されてもよい。同様に、第2の実施形態に係る出力装置4Aは、SCIと一体に構成されてもよい。同様に、第3の実施形態に係る出力装置4Bは、SCIと一体に構成されてもよい。
【0124】
(変形例2)
第2の実施形態において、出力装置4Aは、表示灯を備えても良い。そして、出力装置4Aは、電流検出部31が応答電流を検出した場合に出力装置4Aの電源部より上記表示灯に給電するようにしても良い。
【0125】
(変形例3)
第2の実施形態において、電流検出部31は、当該電流検出部31が設けられた第2伝送線路Dに流れる応答電流の電流値(以下、「第1応答電流値」という。)を計測する機能を有してよい。そして、制御部32は、電流検出部31で計測された1応答電流値に応じて、重複アドレス端末の個数を判別してもよい。
例えば、電流検出部31は、1応答電流値を計測し、その計測結果を制御部32に出力する。制御部32は、電流検出部31から得られた第1応答電流値が、一つの端末装置3が出力する応答電流の電流値(以下、「第2応答電流値」という。)の約何倍の電流値かを判定することで、重複アドレス端末の個数(1応答電流値/第2応答電流値)を判別する。制御部32は、判別した重複アドレス端末の個数をさらに含む応答信号を伝送部33から受信機2Aに伝送させる。受信機2Aは、各応答信号を受信した場合には、重複アドレス端末が存在する第2伝送線路Dを特定するとともに、その特定した第2伝送線路と、当該第2伝送線路に接続されている重複アドレス端末の個数とを紐づけて、それらの情報を表示部12に表示する。
【0126】
(変形例4)
第3の実施形態において、出力装置4Bは、2つの端末装置3Bごとにループ伝送回線Lに接続されているが、これに限定されず、1つ以上の端末装置3Bごとにループ伝送回線Lに接続されていればよい。
【0127】
(変形例5)
第3の実施形態において、出力装置4を経由する応答電流の電流値により、出力装置4の下流側にある呼出した端末の個数を求め、出力装置4間で呼出した端末の個数が増加する区間に於いて呼出した端末が存在するように判定しても良い。
【0128】
(変形例6)
第1の実施形態において、出力装置4は、複数の第2伝送線Dのそれぞれに設けられているが、これに限定されず、一以上の第2伝送線Dに接続されていればよい。
また、一の第2伝送線Dに接続される出力装置4の数には、特に限定されず、一以上であればよい。
同様に、第2の実施形態において、出力装置4Aは、複数の第2伝送線Dのそれぞれに設けられているが、これに限定されず、一以上の第2伝送線Dに接続されていればよい。
また、一の第2伝送線Dに接続される出力装置4Aの数には、特に限定されず、一以上であればよい。
【0129】
(変形例7)
第1の実施形態から第3の実施形態において、重複アドレスが設定された端末装置の場所を特定する場合について記載したが、これに限定されず、所定のアドレスが付与された端末装置の場所を特定する場合に本発明を適用してもよい。その場合には、第2呼出信号は、重複アドレスを指定した信号ではなく、所定のアドレスを指定した信号となる。
【0130】
(変形例8)
第2の実施形態において、受信機2Aから出力装置4Aへの命令により出力装置4Aが当該出力装置4Aの下流に位置する端末装置3の特定を行う場合について記載したが、これに限定されず、通常時の受信機2Aと端末装置3の通信により出力装置4Aが当該出力装置4Aの下流に位置する端末装置3を把握するようにしても良い。この場合、受信機2Aは、重複アドレスや所定のアドレスの端末装置3の場所を特定したい場合に出力装置4Aに信号を送るだけで場所の特定が可能となり、特定開始から特定完了までの時間を短縮することができる。
【0131】
なお、上述した受信機2,2A,2Bの全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。この場合、上記コンピュータは、CPU、GPUなどのプロセッサ及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えてもよい。そして、受信機2,2A,2Bの全部または一部の機能をコンピュータで実現するためのプログラムを上記コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムを上記プロセッサに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。ここで、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0132】
1,1A,1B 火災報知設備
2,2A,2B 受信機
3,3A,3B 端末装置
4,4A,4B 出力装置
4a 表示灯
14B 制御部
52 電流方向検出部
70 特定部
71 判別部
72 判定部
D 第2伝送線路
L ループ伝送回線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17