IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼロックス コーポレイションの特許一覧

<>
  • 特許-表面添加赤外線タガントトナー 図1A
  • 特許-表面添加赤外線タガントトナー 図1B
  • 特許-表面添加赤外線タガントトナー 図1C
  • 特許-表面添加赤外線タガントトナー 図1D
  • 特許-表面添加赤外線タガントトナー 図1E
  • 特許-表面添加赤外線タガントトナー 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】表面添加赤外線タガントトナー
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/08 20060101AFI20230904BHJP
   G03G 9/097 20060101ALI20230904BHJP
   G03G 9/087 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
G03G9/08 391
G03G9/097 374
G03G9/087 331
G03G9/087 325
G03G9/097 344
G03G9/08 381
G03G9/08 384
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019171724
(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2020056999
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】16/149,608
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ユー・チ
(72)【発明者】
【氏名】ジャクリン・ジャニス
(72)【発明者】
【氏名】ユージーン・エフ・ヤング
(72)【発明者】
【氏名】シガン・リー
(72)【発明者】
【氏名】チー-ミン・チェン
【審査官】中山 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-275830(JP,A)
【文献】特開2006-003748(JP,A)
【文献】特開2010-256523(JP,A)
【文献】特開2016-057458(JP,A)
【文献】特開2012-121173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂と着色剤とを含むトナー粒子を含むトナー組成物であって、前記トナー組成物は、前記トナー粒子の表面上に配置された赤外発光タガントを更に含み、トナー色が透明又はイエローであり、前記タガントが、トナー粒子の0.05pph~1pphの範囲の濃度で存在する、トナー組成物。
【請求項2】
前記タガントがセラミックである、請求項1に記載のトナー組成物。
【請求項3】
前記セラミックが、ケイ素、イットリウム、リチウム、イッテルビウム、及びセリウムの酸化物を含む、請求項2に記載のトナー組成物。
【請求項4】
前記タガントがナノ粒子である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のトナー組成物。
【請求項5】
前記タガントが、トナー粒子の0.05pph~0.1pphの量で存在する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のトナー組成物。
【請求項6】
前記トナー粒子が、スチレン-アクリレートポリマー、非晶質ポリエステル、結晶性ポリエステル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のトナー組成物。
【請求項7】
樹脂と着色剤とを含むトナー粒子を含むトナー組成物の製造方法であって、前記トナー組成物が、前記トナー粒子の表面上に配置された赤外発光タガントを更に含み、トナー色が透明又はイエローであり、前記タガントが、トナー粒子の0.05pph~1pphの範囲の濃度で存在し、前記方法が、
トナー粒子を、前記赤外発光タガントを含む表面添加剤パッケージとブレンドすることを含む、製造方法。
【請求項8】
前記表面添加剤パッケージが、電荷制御剤を更に含む、請求項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記タガントが、ケイ素、イットリウム、リチウム、イッテルビウム、及びセリウムの酸化物を含むナノ粒子セラミックである、請求項7又は請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記タガントが、トナー粒子の0.05pph~0.1pphの量で存在する、請求項7~請求項9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記トナー粒子を化学プロセスによって調製することを含む、請求項7~請求項10のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記トナー粒子を融解混合及び粉砕によって調製することを含む、請求項7~請求項10のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
物品であって、前記物品上に配置された印刷画像を有し、前記印刷画像は、樹脂と着色剤とを含むトナー粒子を含むトナー組成物で作製され、前記トナー組成物は、前記トナー粒子の表面上に配置された赤外発光タガントを更に含み、トナー色が透明又はイエローであり、前記タガントが、トナー粒子の0.05pph~1pphの範囲の濃度で存在し、前記印刷画像は、前記赤外発光タガントの赤外線検出による前記物品の認証を可能にする、物品。
【請求項14】
前記物品が、識別章又は通貨の形態である、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
前記タガントが、ケイ素、イットリウム、リチウム、イッテルビウム、及びセリウムの酸化物を含むナノ粒子セラミックである、請求項13又は請求項14に記載の物品。
【請求項16】
前記タガントが、トナー粒子の0.05pph~0.1pphの量で存在する、請求項13~請求項15のいずれか1項に記載の物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トナーに関する。特に、本開示は、セキュリティ用途のためのタガント材料を含むトナー添加剤に関する。
【0002】
セキュリティを可能にする印刷技術の開発は、偽造防止、ブランド保護、及びセキュリティ包装用途に望ましい。このような用途のために、タガント材料をはじめとする様々な手段が開発されてきた。例えば、赤外線タガント材料は、乳化凝集プロセスの間にコアトナー粒子構造内に組み込まれる。タガント材料を組み込む他の手段としては、トナー粒子をタガント材料で封入すること、又はタガント粒子凝集体をトナーと共に使用することが挙げられる。
【0003】
いくつかの態様では、本明細書の実施形態は、樹脂と着色剤とを含むトナー粒子を含むトナー組成物に関し、このトナー組成物は、トナー粒子の表面上に配置された赤外発光タガントを更に含む。
【0004】
いくつかの態様では、本明細書の実施形態は、樹脂と着色剤とを含むトナー粒子を含むトナー組成物の製造方法に関し、このトナー組成物は、トナー粒子の表面上に配置された赤外発光タガントを更に含み、この方法は、トナー粒子を、赤外発光タガントを含む表面添加剤パッケージとブレンドすることを含む。
【0005】
いくつかの態様では、本明細書の実施形態は、物品上に配置された印刷画像を有する物品に関し、印刷画像は、樹脂と着色剤とを含むトナー粒子を含むトナー組成物で作製され、トナー組成物は、トナー粒子の表面上に配置された赤外発光タガントを更に含み、上記印刷画像は、赤外発光タガントの赤外線検出による物品の認証を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】3種のタガント濃度の3種の透明トナーのサンプルCL-IR-00=0%、CL-IR-01=0.05重量%、CL-IR-02=0.1重量%について、A(26.7℃/RH 80%)、B(21.1℃/RH 50%)、J(21.1℃/RH 10%)の異なる温度/湿度条件下での摩擦帯電(縦軸(μC/g))をプロットした図である。
図1B】3種のタガント濃度の3種のイエロートナーのサンプルY-IR-00=0%、Y-IR-01=0.05重量%、Y-IR-02=0.1重量%について、A(26.7℃/RH 80%)、B(21.1℃/RH 50%)、J(21.1℃/RH 10%)の異なる温度/湿度条件下での摩擦帯電(縦軸(μC/g))をプロットした図である。
図1C】3種のタガント濃度の3種のマゼンタトナーのサンプルM-IR-00=0%、M-IR-01=0.1重量%、M-IR-02=0.5重量%について、A(26.7℃/RH 80%)、B(21.1℃/RH 50%)、J(21.1℃/RH 10%)の異なる温度/湿度条件下での摩擦帯電(縦軸(μC/g))をプロットした図である。
図1D】5種のタガント濃度の5種のシアントナーのサンプルC-IR-00=0%、C-IR-01=0.1重量%、C-IR-02=0.5重量%、C-IR-03=1重量%、C-IR-04=2重量%について、A(26.7℃/RH 80%)、B(21.1℃/RH 50%)、J(21.1℃/RH 10%)の異なる温度/湿度条件下での摩擦帯電(縦軸(μC/g))をプロットした図である。
図1E】5種のタガント濃度の5種のブラックトナーのサンプルK-IR-00=0%、K-IR-01=0.1重量%、K-IR-02=0.5重量%、K-IR-03=2重量%、K-IR-04=5重量%について、A(26.7℃/RH 80%)、B(21.1℃/RH 50%)、J(21.1℃/RH 10%)の異なる温度/湿度条件下での摩擦帯電(縦軸(μC/g))をプロットした図である。
図2】表1に列挙したタガントを含む様々な着色トナーに関する反射率対波長のプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書の実施形態は、その表面上に配置されたタガント材料を有するトナー粒子を含むトナー組成物を提供する。タガント材料は、無機赤外発光セラミック粒子を含んでもよい。有利には、タガント粒子は、トナー帯電を妨げず、検出に必要な閾値負荷レベルにおいて色への影響を本質的に示さない。更に、タガントは、電荷制御剤などの他の表面添加剤が添加されたときに、トナー粒子の通常のブレンド加工の間に容易に組み込まれ、したがって余分な加工工程を必要としない。
【0008】
複数の実施形態では、樹脂と着色剤とを含むトナー粒子と、トナー粒子の表面上に配置された赤外発光タガントとを含む、トナー組成物が提供される。複数の実施形態では、トナー粒子は化学プロセスによって調製される。例えば、トナー粒子は、乳化/凝集(EA)プロセスの生成物であり得る。トナー粒子形成のための他の化学プロセスとしては、限定するものではないが、懸濁重合、ポリエステル伸長重合、及び化学ミリングが挙げられる。複数の実施形態では、トナー粒子は、融解混合及び粉砕(及び/又はミリング)などの従来方法によって調製されてもよい。
【0009】
複数の実施形態では、タガントはセラミックである。複数の実施形態では、セラミックは、ケイ素、イットリウム、リチウム、イッテルビウム、及びセリウムの酸化物を含む。
【0010】
複数の実施形態では、タガントはナノ粒子である。
【0011】
複数の実施形態では、タガントは、トナー粒子100部当たりの部数(pph)で約0.05pph~約5pphの量で存在する。複数の実施形態では、トナー色は透明又はイエローであり、タガントは、トナー粒子の約0.05pph~約0.1pphの範囲の濃度で存在する。複数の実施形態では、トナー色はマゼンタであり、タガントは、トナー粒子の約0.5pphで存在する。複数の実施形態では、トナー色はシアンであり、タガントは、トナー粒子の約1~約2pphで存在する。複数の実施形態では、トナー色はブラックであり、タガントは、トナー粒子の約5pphで存在する。
【0012】
複数の実施形態では、トナー粒子は、スチレン-アクリレートポリマー、非晶質ポリエステル、結晶性ポリエステル、又はこれらの組み合わせを含む。
【0013】
複数の実施形態では、樹脂と着色剤とを含むトナー粒子を含むトナー組成物の製造方法が提供され、このトナー組成物は、トナー粒子の表面上に配置された赤外発光タガントを更に含み、この方法は、トナー粒子を、赤外発光タガントを含む表面添加剤パッケージとブレンドすることを含む。
【0014】
複数の実施形態では、表面添加剤パッケージは、電荷制御剤を更に含む。
【0015】
複数の実施形態では、タガントは、ケイ素、イットリウム、リチウム、イッテルビウム、及びセリウムの酸化物を含むナノ粒子セラミックである。
【0016】
複数の実施形態では、タガントは、トナー粒子の約0.05pph~約5pphの量で存在する。
【0017】
複数の実施形態では、物品上に配置された印刷画像を有する物品が提供され、印刷画像は、樹脂と着色剤とを含むトナー粒子を含むトナー組成物で作製され、トナー組成物は、トナー粒子の表面上に配置された赤外発光タガントを更に含み、上記印刷画像は、赤外発光タガントの赤外線検出による物品の認証を可能にする。
【0018】
複数の実施形態では、物品は、識別章(identification badge)である。複数の実施形態では、物品は、通貨(currency)の形態である。他の物品としては、限定するものではないが、ブランド製品のラベルへの適用、不可視暗号化情報を有する文書、及び織物布地(textile fabric)又はポリマーフィルム上に印刷された赤外線センサが挙げられる。
【0019】
複数の実施形態では、タガントは、ケイ素、イットリウム、リチウム、イッテルビウム、アルミニウム、チタンセリウム、亜鉛、及びジルコニウムの酸化物を含むナノ粒子セラミックである。
【0020】
複数の実施形態では、タガントは、トナー粒子の約0.05pph~約5pphの量で存在する。
【0021】
複数の実施形態では、着色剤を含むトナー粒子と、トナー粒子の表面上に配置された赤外発光タガントとを含むトナー組成物を用いて、基材上に画像を印刷することを含む方法が提供され、このタガントは、基材を認証するためのセキュリティ手段を供給する。
【0022】
樹脂
複数の実施形態では、トナー粒子は樹脂を含んでもよい。樹脂は、ポリエステル、スチレン-アクリレート、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。複数の実施形態では、ポリエステルは、非晶質、結晶性、又はこれらの組み合わせである。複数の実施形態では、樹脂は、高分子量非晶質ポリエステル、低分子量非晶質ポリエステル、及び結晶性ポリエステルを含む。本開示のトナーは、ラテックス樹脂を顔料と組み合わせて含んでもよい。ラテックス樹脂は、当業者の知識の範囲内における任意の方法によって調製されてもよいが、複数の実施形態では、ラテックス樹脂は、半連続乳化重合を含む乳化重合法によって調製されてもよく、トナーは、乳化凝集トナーを含んでもよい。乳化凝集は、サブミクロンのラテックス及び顔料粒子の両方をトナーサイズの粒子に凝集することを伴い、粒径の成長は、例えば、複数の実施形態では、約1ミクロン~約15ミクロンである。
【0023】
トナーに使用するラテックスを調製するのに好適な任意のモノマーを利用してもよい。上記のように、複数の実施形態では、トナーは、乳化凝集によって生成され得る。ラテックスエマルションの形成に有用な好適なモノマー、したがって、得られるラテックスエマルション中のラテックス粒子としては、スチレン、アクリレート、メタクリレート、ブタジエン、イソプレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、これらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
複数の実施形態では、ラテックスの樹脂は、少なくとも1つのポリマーを含んでもよい。複数の実施形態では、少なくとも1つとは、約1~約20であってもよく、複数の実施形態では、約3~約10であってもよい。例示的なポリマーとしては、スチレンアクリレート、スチレンブタジエン、スチレンメタクリレート、より具体的には、ポリ(スチレン-アルキルアクリレート)、ポリ(スチレン-1,3-ジエン)、ポリ(スチレン-アルキルメタクリレート)、ポリ(スチレン-アルキルアクリレート-アクリル酸)、ポリ(スチレン-1,3-ジエン-アクリル酸)、ポリ(スチレン-アルキルメタクリレート-アクリル酸)、ポリ(アルキルメタクリレート-アルキルアクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート-アリールアクリレート)、ポリ(アリールメタクリレート-アルキルアクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート-アクリル酸)、ポリ(スチレン-アルキルアクリレート-アクリロニトリル-アクリル酸)、ポリ(スチレン-1,3-ジエン-アクリロニトリル-アクリル酸)、ポリ(アルキルアクリレート-アクリロニトリル-アクリル酸)、ポリ(スチレン-ブタジエン)、ポリ(メチルスチレン-ブタジエン)、ポリ(メチルメタクリレート-ブタジエン)、ポリ(エチルメタクリレート-ブタジエン)、ポリ(プロピルメタクリレート-ブタジエン)、ポリ(ブチルメタクリレート-ブタジエン)、ポリ(メチルアクリレート-ブタジエン)、ポリ(エチルアクリレート-ブタジエン)、ポリ(プロピルアクリレート-ブタジエン)、ポリ(ブチルアクリレート-ブタジエン)、ポリ(スチレン-イソプレン)、ポリ(メチルスチレン-イソプレン)、ポリ(メチルメタクリレート-イソプレン)、ポリ(エチルメタクリレート-イソプレン)、ポリ(プロピルメタクリレート-イソプレン)、ポリ(ブチルメタクリレート-イソプレン)、ポリ(メチルアクリレート-イソプレン)、ポリ(エチルアクリレート-イソプレン)、ポリ(プロピルアクリレート-イソプレン)、ポリ(ブチルアクリレート-イソプレン)、ポリ(スチレン-プロピルアクリレート)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート)、ポリ(スチレン-ブタジエン-アクリル酸)、ポリ(スチレン-ブタジエン-メタクリル酸)、ポリ(スチレン-ブタジエン-アクリロニトリル-アクリル酸)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート-アクリル酸)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート-メタクリル酸)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート-アクリロニトリル)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート-アクリロニトリル-アクリル酸)、ポリ(スチレン-ブタジエン)、ポリ(スチレン-イソプレン)、ポリ(スチレン-ブチルメタクリレート)、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート-アクリル酸)、ポリ(スチレン-ブチルメタクリレート-アクリル酸)、ポリ(ブチルメタクリレート-ブチルアクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート-アクリル酸)、ポリ(アクリロニトリル-ブチルアクリレート-アクリル酸)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ポリマーは、ブロック、ランダム、又は交互コポリマーであってもよい。更に、ビスフェノールAとプロピレンオキシド又はプロピレンカーボネートとの反応生成物から得られたポリエステル樹脂、特に、得られた生成物とフマル酸との反応が後に続くこのようなポリエステル(その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,227,460号に開示のもの)、並びにジメチルテレフタレートと1,3-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、及びペンタエリスリトールとの反応から得られる分枝状ポリエステル樹脂も使用してもよい。
【0025】
複数の実施形態では、ポリ(スチレン-ブチルアクリレート)をラテックスとして利用してもよい。このラテックスのガラス転移温度は、約35℃~約75℃、複数の実施形態では約40℃~約70℃であり得る。
【0026】
トナー組成物は、非晶質ポリエステル樹脂を含むコア粒子を含んでもよい。非晶質ポリエステル樹脂は、ジオールと二塩基酸とを任意選択の触媒の存在下で反応させることによって形成されてもよい。非晶質ポリエステルの調製に利用されるビニル二酸又はビニルジエステルを含む二酸又はジエステルの例としては、ジカルボン酸又はジエステル、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、ジメチルフマレート、ジメチルイタコネート、cis-1,4-ジアセトキシ-2-ブテン、ジエチルフマレート、ジエチルマレエート、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、コハク酸、無水コハク酸、ドデシルコハク酸、無水ドデシルコハク酸、グルタル酸、無水グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ジメチルテレフタレート、ジエチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジエチルイソフタレート、ジメチルフタレート、無水フタル酸、ジエチルフタレート、ジメチルサクシネート、ジメチルフマレート、ジメチルマレエート、ジメチルグルタレート、ジメチルアジペート、ジメチルドデシルサクシネート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。有機二酸又はジエステルは、例えば、樹脂の約40~約60モル%、複数の実施形態では樹脂の約42~約52モル%、複数の実施形態では樹脂の約45~約50モル%の量で存在してもよい。
【0027】
非晶質ポリエステルの生成に利用され得るジオールの例としては、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2-ジメチルプロパンジオール、2,2,3-トリメチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ドデカンジオール、ビス(ヒドロキシエチル)-ビスフェノールA、ビス(2-ヒドロキシプロピル)-ビスフェノールA、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、キシレンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ビス(2-ヒドロキシエチル)オキシド、ジプロピレングリコール、ジブチレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。選択される有機ジオールの量は様々であることができ、例えば、樹脂の約40~約60モル%の量、複数の実施形態では樹脂の約42~約55モル%、複数の実施形態では樹脂の約45~約53モル%の量で存在してもよい。
【0028】
結晶性又は非晶質ポリエステルのいずれかを形成する際に利用され得る重縮合触媒としては、テトラアルキルチタネート、ジブチルスズオキシドなどのジアルキルスズオキシド、ジブチルスズジラウレートなどのテトラアルキルスズ、及びブチルスズオキシド水酸化物などのジアルキルスズオキシド水酸化物、アルミニウムアルコキシド、アルキル亜鉛、ジアルキル亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一スズ、又はこれらの組み合わせが挙げられる。このような触媒は、例えば、ポリエステル樹脂を生成するために使用される開始二酸又はジエステルを基準として、約0.01モル%~約5モル%の量で利用されてもよい。複数の実施形態では、好適な非晶質樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレート、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。利用され得る非晶質樹脂の例としては、アルカリスルホン化ポリエステル樹脂、分枝状アルカリスルホン化ポリエステル樹脂、アルカリスルホン化ポリイミド樹脂、及び分枝状アルカリスルホン化ポリイミド樹脂が挙げられる。アルカリスルホン化ポリエステル樹脂は、複数の実施形態で有用となる場合があり、その例は、コポリ(エチレン-テレフタレート)-コポリ(エチレン-5-スルホ-イソフタレート)、コポリ(プロピレン-テレフタレート)-コポリ(プロピレン-5-スルホ-イソフタレート)、コポリ(ジエチレン-テレフタレート)-コポリ(ジエチレン-5-スルホ-イソフタレート)、コポリ(プロピレン-ジエチレン-テレフタレート)-コポリ(プロピレン-ジエチレン-5-スルホ-イソフタレート)、コポリ(プロピレン-ブチレン-テレフタレート)-コポリ(プロピレン-ブチレン-5-スルホ-イソフタレート)、コポリ(プロポキシル化ビスフェノール-A-フマレート)-コポリ(プロポキシル化ビスフェノールA-5-スルホ-イソフタレート)、コポリ(エトキシル化ビスフェノール-A-フマレート)-コポリ(エトキシル化ビスフェノール-A-5-スルホ-イソフタレート)、及びコポリ(エトキシル化ビスフェノール-A-マレエート)-コポリ(エトキシル化ビスフェノール-A-5-スルホ-イソフタレート)の金属又はアルカリ塩などであり、アルカリ金属は、例えば、ナトリウム、リチウム又はカリウムイオンである。
【0029】
複数の実施形態では、上記のように、不飽和非晶質ポリエステル樹脂をラテックス樹脂として利用してもよい。例示的な不飽和非晶質ポリエステル樹脂としては、限定するものではないが、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールco-フマレート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールco-フマレート)、ポリ(ブチロキシル化ビスフェノールco-フマレート)、ポリ(co-プロポキシル化ビスフェノールco-エトキシル化ビスフェノールco-フマレート)、ポリ(1,2-プロピレンフマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールco-マレエート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールco-マレエート)、ポリ(ブチロキシル化ビスフェノールco-マレエート)、ポリ(co-プロポキシル化ビスフェノールco-エトキシル化ビスフェノールco-マレエート)、ポリ(1,2-プロピレンマレエート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールco-イタコネート)、ポリ(エトキシル化ビスフェノールco-イタコネート)、ポリ(ブチロキシル化ビスフェノールco-イタコネート)、ポリ(co-プロポキシル化ビスフェノールco-エトキシル化ビスフェノールco-イタコネート)、ポリ(1,2-プロピレンイタコネート)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
複数の実施形態では、好適なポリエステル樹脂は、以下の式(I):
【0031】
【化1】
【0032】
[式中、mは約5~約1000であってもよい]を有するポリ(プロポキシル化ビスフェノールA co-フマレート)などの非晶質ポリエステルであってもよい。
【0033】
ラテックス樹脂として利用され得る線状プロポキシル化ビスフェノールAフマレート樹脂の例は、Resana S/A Industrias Quimicas(Sao Paulo Brazil)から商品名SPARIIで入手可能である。利用でき、市販されている他のプロポキシル化ビスフェノールAフマレート樹脂としては、花王株式会社(日本)からのGTUF及びFPESL-2、並びにReichhold(Research Triangle Park,N.C.)からのEM181635などが挙げられる。
【0034】
複数の実施形態では、樹脂結合剤として利用される樹脂は、約30℃~約80℃、複数の実施形態では約35℃~約70℃のガラス転移温度を有し得る。更なる複数の実施形態では、樹脂結合剤として利用される樹脂は、約130℃において約10~約1,000,000Pa・s、複数の実施形態では約20~約100,000Pa・sの溶融粘度を有し得る。
【0035】
結晶性樹脂は、いくつかの供給源から入手可能であり、重縮合触媒の存在下で、有機ジオールと有機二酸とを反応させることによる重縮合プロセスによって調製することができる。一般に、化学量論的等モル比の有機ジオールと有機二酸が利用されるが、場合によっては、有機ジオールの沸点は約180℃~約230℃であり、過剰量のジオールを使用し、重縮合プロセス中に除去することができる。利用される触媒の量は様々であり、例えば、樹脂の約0.01~約1モル%の量で選択することができる。更に、有機二酸の代わりに有機ジエステルを選択することができ、その結果アルコール副生成物が生成される。
【0036】
有機ジオールの例としては、約2~約36個の炭素原子を有する脂肪族ジオール、例えば、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールなど;アルカリスルホ-脂肪族ジオール、例えば、ソジオ2-スルホ-1,2-エタンジオール、リチオ2-スルホ-1,2-エタンジオール、ポタシオ2-スルホ-1,2-エタンジオール、ソジオ2-スルホ-1,3-プロパンジオール、リチオ2-スルホ-1,3-プロパンジオール、ポタシオ2-スルホ-1,3-プロパンジオール、これらの混合物などが挙げられる。脂肪族ジオールは、例えば、樹脂の約45~約50モル%の量で選択され、アルカリスルホ-脂肪族ジオールは、樹脂の約1~約10モル%の量で選択することができる。
【0037】
結晶性ポリエステル樹脂の調製のために選択される有機二酸又はジエステルの例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,7ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸及びメサコン酸、これらのジエステル又はその無水物;並びにアルカリスルホ-有機二酸、例えば、ジメチル-5-スルホ-イソフタレート、ジアルキル-5-スルホ-イソフタレート-4-スルホ-1,8-ナフタル酸無水物、4-スルホ-フタル酸、ジメチル-4-スルホ-フタレート、ジアルキル-4-スルホ-フタレート、4-スルホフェニル-3,5-ジカルボメトキシベンゼン(4-sulfophenyl-3, 5-dicarbomethoxybenzene)、6-スルホ-2-ナフチル-3,5-ジカルボメタ-オキシベンゼン、スルホ-テレフタル酸、ジメチル-スルホ-テレフタレート、5-スルホ-イソフタル酸、ジアルキル-スルホ-テレフタレート、スルホエタンジオール、2-スルホプロパンジオール、2-スルホブタンジオール、3-スルホペンタンジオール、2-スルホヘキサンジオール、3-スルホ-2-メチル-ペンタンジオール、2-スルホ-3,3-ジメチルペンタンジオール、スルホ-p-ヒドロキシ安息香酸、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホネートのソジオ、リチオ若しくはカリウム塩、又はこれらの混合物が挙げられる。有機二酸は、例えば、樹脂の約40~約50モル%の量で選択され、アルカリスルホ脂肪族二酸は、樹脂の約1~約10モル%の量で選択することができる。第3のラテックス分枝状非晶質樹脂には、アルカリスルホン化ポリエステル樹脂を選択することができる。好適なアルカリスルホン化ポリエステル樹脂の例としては、コポリ(エチレン-テレフタレート)-コポリ-(エチレン-5-スルホ-イソフタレート)、コポリ(プロピレン-テレフタレート)-コポリ(プロピレン-5-スルホ-イソフタレート)、コポリ(ジエチレンテレフタレート)-コポリ(ジエチレン-5-スルホ-イソフタレート)、コポリ(プロピレン-ジエチレン-テレフタレート)-コポリ(プロピレン-ジエチレン-5-スルホ-イソフタレート)、コポリ(プロピレン-ブチレン-テレフタレート)-コポリ(プロピレン-ブチレン-5-スルホ-イソフタレート)、コポリ-(プロポキシル化ビスフェノール-A-フマレート)-コポリ(プロポキシル化ビスフェノール-A-5-スルホ-イソフタレート)、コポリ(エトキシル化ビスフェノール-A-フマレート)-コポリ(エトキシル化ビスフェノールA-5-スルホ-イソフタレート)、及びコポリ(エトキシル化ビスフェノール-A-マレエート)-コポリ(エトキシル化ビスフェノール-A-5-スルホ-イソフタレート)の金属又はアルカリ塩が挙げられ、アルカリ金属は、例えば、ナトリウム、リチウム又はカリウムイオンである。
【0038】
結晶系ポリエステル樹脂の例としては、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-co-ポリ(エチレン-アジペート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(プロピレン-アジペート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ブチレン-アジペート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ペンチレン-アジペート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(オクチレン-アジペート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(エチレン-アジペート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(プロピレン-アジペート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-co-ポリ(ブチレン-アジペート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ペンチレン-アジペート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ヘキシレン-アジペート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(オクチレン-アジペート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(エチレン-サクシネート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ブチレン-サクシネート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ヘキシレン-サクシネート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(オクチレン-サクシネート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(エチレン-セバケート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(プロピレン-セバケート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ブチレン-セバケート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ペンチレン-セバケート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ヘキシレン-セバケート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(オクチレン-セバケート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(エチレン-アジペート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(プロピレン-アジペート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ブチレン-アジペート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ペンチレン-アジペート)、アルカリコポリ(5-スルホ-イソフタロイル)-コポリ(ヘキシレン-アジペート)、ポリ(オクチレン-アジペート)が挙げられ、アルカリは、ナトリウム、リチウム又はカリウムなどの金属である。複数の実施形態では、アルカリ金属はリチウムである。
【0039】
結晶性樹脂は、例えば、トナー成分の約5~約50重量%、複数の実施形態ではトナー成分の約10~約35重量%の量で存在してもよい。結晶性樹脂は、種々の融点を有していてもよく、例えば、約30℃~約120℃、複数の実施形態では約50℃~約90℃であってもよい。結晶性樹脂は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定したときの数平均分子量(Mn)が、例えば、約1,000~約50,000、複数の実施形態では約2,000~約25,000であってもよく、ポリエステル標準を用いたゲル透過クロマトグラフィーで測定したときの重量平均分子量(Mw)が、例えば、約2,000~約100,000、複数の実施形態では約3,000~約80,000であってもよい。結晶性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、約2~約6、複数の実施形態では約3~約4であってもよい。
【0040】
界面活性剤
複数の実施形態では、ラテックスは、界面活性剤又は共界面活性剤を含有する水相中で調製されてもよい。ラテックス分散体を形成するために樹脂と共に利用してもよい界面活性剤は、固体の約0.01~約15重量%、複数の実施形態では、固体の約0.1~約10重量%の量の、イオン性又は非イオン性界面活性剤であり得る。
【0041】
利用され得るアニオン性界面活性剤としては、スルフェート及びスルホネート、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム、ジアルキルベンゼンアルキルスルフェート及びスルホネート、Aldrichから入手可能なアビエチン酸などの酸、第一工業製薬株式会社から得られるネオゲンR(商標)、ネオゲンSC(商標)、これらの組み合わせなどが挙げられる。他の好適なアニオン性界面活性剤としては、複数の実施形態では、DOWFAX(商標)2A1、Dow Chemical Companyからのアルキルジフェニルオキシドジスルホネート、及び/又はテイカ株式会社(日本)からのテイカパワーBN2060が挙げられ、これらは分枝状ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。これらの界面活性剤と上記アニオン性界面活性剤のいずれかとの組み合わせを、複数の実施形態で利用してもよい。
【0042】
カチオン性界面活性剤の例としては、限定するものではないが、アンモニウム、例えば、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、塩化ベンザルコニウム、C12,C15,C17トリメチルアンモニウムブロミド、これらの組み合わせなどが挙げられる。他のカチオン性界面活性剤としては、セチルピリジニウムブロミド、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、Alkaril Chemical Companyから入手可能なMIRAPOL及びALKAQUAT、Kao Chemicalsから入手可能なサニゾール(塩化ベンザルコニウム)、これらの組み合わせなどが挙げられる。複数の実施形態では、好適なカチオン性界面活性剤には、花王から入手可能なサニゾールB-50が挙げられ、これは主にベンジルジメチルアルコニウムクロリドである。
【0043】
非イオン性界面活性剤の例としては、限定するものではないが、アルコール、酸及びエーテル、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、メタロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、これらの組み合わせなどが挙げられる。複数の実施形態では、Rhone-Poulencから市販されている界面活性剤、例えば、IGEPAL CA-210(商標)、IGEPAL CA-520(商標)、IGEPAL CA-720(商標)、IGEPAL CO-890(商標)、IGEPAL CO-720(商標)、IGEPAL CO-290(商標)、IGEPAL CA-210(商標)、ANTAROX 890(商標)及びANTAROX 897(商標)を利用することができる。
【0044】
特定の界面活性剤又はこれらの組み合わせの選択、並びに各々の使用量は、当業者の知識の範囲内である。
【0045】
乳化重合により調製されたラテックス
開始剤
複数の実施形態では、ラテックスの形成のために開始剤を添加してもよい。好適な開始剤の例としては、水溶性開始剤、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸カリウム、並びに有機過酸化物を含む有機溶媒可溶性開始剤、並びにVazo過酸化物を含むアゾ化合物、例えばVAZO 64(商標)、2-メチル2-2’-アゾビスプロパンニトリル、VAZO 88(商標)、2-2’-アゾビスイソブチルアミド無水物、及びこれらの組み合わせが挙げられる。利用され得る他の水溶性開始剤としては、アゾアミジン化合物、例えば、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-クロロフェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチル-プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(4-アミノ-フェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]テトラヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-2-プロペニルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(2-ヒドロキシ-エチル)2-メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-1,3-ジアゼピン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(5-ヒドロキシ-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}ジヒドロクロリド、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0046】
開始剤は、好適な量、例えば、モノマーの約0.1~約8重量%、複数の実施形態では約0.2~約5重量%を添加することができる。
【0047】
連鎖移動剤
複数の実施形態では、連鎖移動剤も、ラテックスの形成に利用されてもよい。好適な連鎖移動剤は、ドデカンチオール、オクタンチオール、四臭化炭素、これらの組み合わせなどを、モノマーの約0.1~約10重量%、複数の実施形態では約0.2~約5重量%の量で含み、本開示に従って乳化重合が実施されるときのポリマーの分子量特性を制御する。
【0048】
安定剤
複数の実施形態では、ラテックス粒子を形成する際に安定剤を含むことが有利となり得る。好適な安定剤としては、カルボン酸官能性(functionality)を有するモノマーが挙げられる。このような安定剤は、以下の式(I):
【0049】
【化2】
【0050】
[式中、R1は水素又はメチル基であり、R2及びR3は、独立して、約1~約12個の炭素原子又はフェニル基を含有するアルキル基から選択され、nは約0~約20であり、複数の実施形態では約1~約10である]を有するものであってもよい。このような安定剤の例としては、β-カルボキシエチルアクリレート(β-CEA)、ポリ(2-カルボキシエチル)アクリレート、2-カルボキシエチルメタクリレート、これらの組み合わせなどが挙げられる。利用され得る他の安定剤としては、例えば、アクリル酸及びその誘導体が挙げられる。
【0051】
複数の実施形態では、カルボン酸官能性を有する安定剤はまた、より良好な乳化重合結果を達成するために、ナトリウム、カリウム及び/又はカルシウムなどの少量の金属イオンも含有してもよい。金属イオンは、カルボン酸官能性を有する安定剤の約0.001~約10重量%、複数の実施形態では、カルボン酸官能性を有する安定剤の約0.5~約5重量%の量で存在してもよい。
【0052】
存在する場合、安定剤は、トナーの約0.01~約5重量%、複数の実施形態ではトナーの約0.05~約2重量%の量で添加されてもよい。
【0053】
トナー配合プロセスにおいて利用され得る追加の安定剤としては、金属水酸化物などの塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、及び任意にこれらの組み合わせが挙げられる。炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、これらの組み合わせなども、安定剤として有用である。複数の実施形態では、安定剤は、水酸化ナトリウムに溶解したケイ酸ナトリウム含有組成物を含んでもよい。
【0054】
乳化重合プロセスでは、反応物は、混合容器などの好適な反応器に添加されてもよい。適量の少なくとも2つのモノマー、複数の実施形態では約2~約10のモノマー、安定剤、界面活性剤(複数可)、開始剤(存在する場合)、連鎖移動剤(存在する場合)、及びワックス(存在する場合)などを反応器内で組み合わせてもよく、乳化凝集プロセスを開始させてもよい。好適なワックスは、トナー粒子の形成の際に添加される成分として以下により詳細に記載され、このようなワックスは、複数の実施形態において、ラテックスの形成に有用であり得る。乳化重合プロセスを実施するために選択される反応条件としては、例えば、約45℃~約120℃、複数の実施形態では約60℃~約90℃の温度が挙げられる。
【0055】
例えばMicrotrac/Nanotrac粒子分析器によって決定したときに、約50nm~約800nmの体積平均直径、複数の実施形態では約100nm~約400nmの体積平均直径の、ナノメートルサイズの粒子が形成されてもよい。
【0056】
ラテックス粒子の形成後、ラテックス粒子を利用して、トナーを形成してもよい。複数の実施形態では、トナーは、本開示のラテックス粒子を、着色剤、並びに界面活性剤、凝固剤、ワックス、表面添加剤、及び任意にこれらの組み合わせなどの1つ以上の添加剤と、凝集及び融着(fusion)することによって調製される乳化凝集型のトナーであってもよい。
【0057】
着色剤
着色剤分散体は、例えば、約50~約500ナノメートルの体積平均直径、複数の実施形態では約100~約400ナノメートルの体積平均直径のサイズを有するサブミクロン着色剤粒子を含んでもよい。着色剤粒子は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせを含有する水性水相中に懸濁されてもよい。複数の実施形態では、界面活性剤はイオン性であってもよく、着色剤の約1~約25重量%、複数の実施形態では約4~約15重量%であってもよい。
【0058】
本開示によるトナーの形成に有用な着色剤としては、顔料、染料、顔料と染料との混合物、顔料の混合物、染料の混合物などが挙げられる。着色剤は、例えば、カーボンブラック、シアン、イエロー、マゼンタ、レッド、オレンジ、ブラウン、グリーン、ブルー、バイオレット、又はこれらの組み合わせであってもよい。複数の実施形態では、顔料を利用してもよい。本明細書で使用するとき、顔料は、選択的な色吸収の結果として、それが反射する光の色を変化させる材料を含む。複数の実施形態では、一般に水溶液に適用され得る染料とは対照的に、顔料は一般に不溶性である。例えば、染料は担持ビヒクル(結合剤)に可溶性であってもよいが、顔料は担持ビヒクルに不溶性であってもよい。
【0059】
着色剤が顔料である複数の実施形態では、顔料は、例えば、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、レッド、グリーン、オレンジ、ブラウン、バイオレット、イエロー、ローダミンB(商標)型を含む蛍光着色剤などであってもよい。
【0060】
着色剤は、本開示のトナー中に、トナーの約1~約25重量%の量で、複数の実施形態ではトナーの約2~約15重量%の量で、存在してもよい。
【0061】
例示的な着色剤としては、カーボンブラック、例えば、REGAL 330(登録商標)マグネタイト;MO8029(商標)、MO8060(商標)などのMobayマグネタイト;Columbianマグネタイト;MAPICO BLACKS(商標)及び表面処理されたマグネタイト;CB4799(商標)、CB5300(商標)、CB5600(商標)、MCX6369(商標)などのPfizerマグネタイト;BAYFERROX 8600(商標)、8610(商標)などのBayerマグネタイト;NP-604(商標)、NP-608(商標)などのNorthern Pigmentsマグネタイト;TMB-100(商標)、又はTMB-104(商標)などのMagnoxマグネタイト、Paul Uhlich and Company,Inc.から入手可能なHELIOGEN BLUE L6900(商標)、D6840(商標)、D7080(商標)、D7020(商標)、PYLAM OIL BLUE(商標)、PYLAM OIL YELLOW(商標)、PIGMENT BLUE 1(商標);Dominion Color Corporation,Ltd.(Toronto,Ontario)から入手可能なPIGMENT VIOLET 1(商標)、PIGMENT RED 48(商標)、LEMON CHROME YELLOW DCC 1026(商標)、E.D.TOLUIDINE RED(商標)及びBON RED C(商標);HoechstからのNOVAPERM YELLOW FGL(商標)、HOSTAPERM PINK E(商標);及びE.I.DuPont de Nemours and Companyから入手可能なCINQUASIA MAGENTA(商標)が挙げられる。他の着色剤としては、カラーインデックスでCI 60710として識別される2,9-ジメチル置換キナクリドン及びアントラキノン染料、Cl Dispersed Red15、カラーインデックスでCI 26050として識別されるジアゾ染料、CI Solvent Red19、銅テトラ(オクタデシルスルホンアミド)フタロシアニン、カラーインデックスでCI 74160として記載されるx-銅フタロシアニン顔料、CI Pigment Blue、カラーインデックスでCI 69810として識別されるAnthrathrene Blue、Special Blue X-2137、ジアリーライドイエロー3,3-ジクロロベンジデンアセトアセトアニリド、カラーインデックスでCI 12700として識別されるモノアゾ顔料、CI Solvent Yellow16、カラーインデックスでForon Yellow SE/GLNとして識別されるニトロフェニルアミンスルホンアミド、CI Dispersed Yellow 33、2,5-ジメトキシ-4-スルホンアニリドフェニルアゾ-4’-クロロ-2,5-ジメトキシアセトアセトアニリド、Yellow 180、及びPermanent Yellow FGLが挙げられる。利用され得る色域(the purpose of color gamut)のための高純度を有する有機溶媒可溶性染料(organic soluble dye)としては、Neopen Yellow 075、Neopen Yellow 159、Neopen Orange 252,Neopen Red 336、Neopen Red 335、Neopen Red 366、Neopen Blue 808、Neopen Black X53、Neopen Black X55挙げられ、染料は、様々な好適な量、例えば、トナーの約0.5~約20重量%、複数の実施形態では約5~約18重量%で選択される。
【0062】
複数の実施形態では、着色剤の例としては、カラーインデックス番号74160のPigment Blue 15:3、カラーインデックス番号45160:3のMagenta Pigment Red 81:3、及びカラーインデックス番号21105のYellow 17、並びに食品染料、イエロー、ブルー、グリーン、レッド、マゼンタ染料などの既知の染料が挙げられる。
【0063】
他の実施形態では、マゼンタ顔料、Pigment Red 122(2,9-ジメチルキナクリドン)、Pigment Red 185、Pigment Red 192、Pigment Red 202、Pigment Red 206、Pigment Red 235、Pigment Red 269、これらの組み合わせなどを、着色剤として利用してもよい。Pigment Red 122(本明細書ではPR-122と呼ぶこともある)は、その固有のマゼンタの色合いにより、トナー、プラスチック、インク、及びコーティングの着色に広く使用されている。
【0064】
凝固剤
複数の実施形態では、ラテックス及び水性着色剤分散体を凝集する間又は凝集前に、凝固剤を添加してもよい。凝固剤は、加工条件に応じて、約1分~約60分、複数の実施形態では約1.25分~約20分の時間にわたって添加されてもよい。
【0065】
好適な凝固剤の例としては、ポリ塩化アルミニウム(PAC)などのポリアルミニウムハロゲン化物、又は対応する臭化物、フッ化物、若しくはヨウ化物、ポリアルミニウムスルホシリケート(PASS)などのポリアルミニウムシリケート、及び塩化アルミニウム、亜硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、オキシ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛などの水溶性金属塩、これらの組み合わせなどが挙げられる。1つの好適な凝固剤はPACであり、これは市販されており、塩化アルミニウムと水酸化ナトリウムとの制御された加水分解によって調製することができる。一般に、PACは、2モルの塩基を1モルの塩化アルミニウムに添加することによって調製することができる。上記の種は、酸性条件下で溶解及び保存したときに、pHが約5未満であれば、可溶かつ安定である。溶液中の種は、単位当たり約7個の正電荷を有する式Al13O4(OH)24(H2O)12を含有すると考えられる。
【0066】
複数の実施形態では、好適な凝固剤としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、ポリ臭化アルミニウム、又はポリアルミニウムスルホシリケートなどのポリ金属塩が挙げられる。ポリ金属塩は、硝酸溶液、又は硫酸、塩酸、クエン酸、若しくは酢酸などの他の希酸溶液であってもよい。凝固剤は、トナーの約0.01~約5重量%、及び複数の実施形態では、約0.1~約3重量%の量で添加されてもよい。
【0067】
ワックス
ワックス分散体もまた、乳化凝集合成においてラテックス又はトナーの形成中に添加されてもよい。好適なワックスとしては、例えば、体積平均直径が約50~約1000ナノメートル、複数の実施形態では約100~約500ナノメートルの粒径範囲のサブミクロンワックス粒子が挙げられ、水及びイオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせの水相に懸濁される。好適な界面活性剤としては、上記のものが挙げられる。イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤は、ワックスの約0.1~約20重量%、複数の実施形態では約0.5~約15重量%の量で存在してもよい。
【0068】
本開示の実施形態によるワックス分散体は、例えば、天然植物性ワックス、天然動物性ワックス、鉱蝋、及び/又は合成ワックスを挙げることができる。天然植物性ワックスの例としては、例えば、カルナバ蝋、キャンデリラ蝋、日本蝋、及びベイベリー蝋が挙げられる。天然動物性ワックスの例としては、例えば、蜜蝋、カルタゴ蝋(punic wax)、ラノリン、ラック蝋、セラック蝋、及び鯨蝋が挙げられる。鉱蝋としては、例えば、石蝋、微晶蝋、モンタン蝋、オゾケライト蝋、セレシン蝋、ワセリン蝋(petrolatum wax)、及び石油蝋が挙げられる。本開示の合成ワックスとしては、例えば、フィッシャー・トロプシュワックス、アクリレートワックス、脂肪酸アミドワックス、シリコーンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0069】
ポリプロピレン及びポリエチレンワックスの例としては、Allied Chemical及びBaker Petroliteから市販されているもの、Michelman Inc.及びDaniels Products Companyから入手可能なワックスエマルション、Eastman Chemical Products,Inc.から市販されているEPOLENE N-15、三洋化成工業株式会社(Sanyo Kasel K.K.)から入手可能な低重量平均分子量ポリプロピレンVISCOL 550-P、及び同様の材料が挙げられる。複数の実施形態では、市販のポリエチレンワックスは、約100~約5000、及び複数の実施形態では約250~約2500の分子量(Mw)を有し、市販のポリプロピレンワックスは、約200~約10,000の分子量、複数の実施形態では約400~約5000の分子量を有する。
【0070】
複数の実施形態では、ワックスは官能化されていてもよい。ワックスを官能化するために添加される基の例としては、アミン、アミド、イミド、エステル、四級アミン、及び/又はカルボン酸が挙げられる。複数の実施形態では、官能化ワックスは、アクリル系ポリマーエマルション、例えば、すべてJohnson Diversey,Incから入手可能なJONCRYL 74、89、130、537、及び538、又はAllied Chemical、Baker Petrolite Corporation及びJohnson Diversey,Inc.から市販されている塩素化ポリプロピレン及びポリエチレンであってもよい。
【0071】
ワックスは、トナーの約0.1~約30重量%、複数の実施形態では約2~約20重量%の量で存在してもよい。
【0072】
複数の実施形態では、適切な融解特性を有するワックスは、ポリメチレンワックス、ポリエチレンワックス、又はフィッシャー・トロプシュワックスであってもよい。複数の実施形態では、上記のワックスのいずれかの組み合わせを用いてもよい。ワックスは、トナーのコア及び/又はシェル粒子に含まれてもよい。ワックスは、乳化凝集トナー組成物に従来使用されている様々なワックスのいずれかを含むことができる。ワックスの好適な例としては、ポリエチレン、ポリメチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン/アミド、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、及びポリエチレンテトラフルオロエチレン/アミドが挙げられる。他の例としては、例えば、ポリオレフィンワックス、例えば、線状ポリエチレンワックス及び分枝状ポリエチレンワックスなどのポリエチレンワックス、線状ポリプロピレンワックス及び分枝状ポリプロピレンワックスなどのポリプロピレンワックス;パラフィンワックス;フィッシャー・トロプシュワックス;アミンワックス;シリコーンワックス;メルカプトワックス;ポリエステルワックス;ウレタンワックス;変性ポリオレフィンワックス(例えば、カルボン酸末端ポリエチレンワックス又はカルボン酸末端ポリプロピレンワックス);アミドワックス、例えば、脂肪族極性アミド官能化ワックス;ヒドロキシル化不飽和脂肪酸のエステルからなる脂肪族ワックス;高酸モンタン蝋などの高酸ワックス(high acid montan waxe);原油の蒸留から誘導されるワックスなどの微晶蝋(microcrystalline waxe)などが挙げられる。「高酸ワックス」とは、高い酸含有量を有するワックス材料を意味する。ワックスは、所望により、結晶性又は非晶質であってもよい。「結晶性ポリマーワックス」とは、ワックス材料が、ポリマーマトリックス内にポリマー鎖の規則正しい配列を含有することを意味し、これは、結晶融点転移温度(crystalline melting point transition temperature)Tmによって特徴付けることができる。結晶融解温度は、ポリマー試料の結晶性ドメインの融解温度である。これは、ポリマー内の非晶質領域のポリマー鎖が流動し始める温度を特徴付けるガラス転移点Tgとは対照的である。Tg及びTmは、典型的には示差走査熱量測定(DSC)によって測定される。
【0073】
ワックスをトナーに配合するためには、ワックスが水中の固体ワックスの1つ以上の水性エマルション又は分散体の形態であることが望ましく、この固体ワックスの粒径は通常、約100~約500nmの範囲である。
【0074】
トナー組成物は、乾燥基準で、例えば、トナーの約3~約15重量%の任意の量のワックスを含有してもよい。例えば、トナーは、約5~約11重量%のワックスを含有することができる。
【0075】
pH調整剤
いくつかの実施形態では、乳化凝集プロセスの速度を制御するために、pH調整剤を添加してもよい。本開示のプロセスで使用されるpH調整剤は、製造されている製品に悪影響を及ぼさない任意の酸又は塩基であってもよい。好適な塩基としては、金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、及び任意にこれらの組み合わせを挙げることができる。好適な酸としては、硝酸、硫酸、塩酸、クエン酸、酢酸、及び任意にこれらの組み合わせが挙げられる。
【0076】
凝集剤
錯化を引き起こすことができる任意の凝集剤を、本開示のトナーを形成する際に使用することができる。アルカリ土類金属塩又は遷移金属塩を、凝集剤として利用することができる。複数の実施形態では、ナトリウムスルホン化ポリエステルコロイドを着色剤と共に凝集させて、トナー複合体の形成を可能にするように、アルカリ(II)塩を選択することができる。このような塩としては、例えば、塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、酢酸ベリリウム、硫酸ベリリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化ストロンチウム、臭化ストロンチウム、ヨウ化ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、及び任意にこれらの組み合わせが挙げられる。凝集剤として利用され得る遷移金属塩又はアニオンの例としては、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム又は銀の酢酸塩;バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、又は銀のアセト酢酸塩;バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、又は銀の硫酸塩;並びに酢酸アルミニウムなどのアルミニウム塩、ポリ塩化アルミニウムなどのハロゲン化アルミニウム、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0077】
得られたラテックスのブレンドを、次いで、任意に分散体、着色剤分散体、任意のワックス、任意の凝固剤、及び任意の凝集剤中で、攪拌し、ラテックスのTg未満の温度まで、複数の実施形態では約30℃~約70℃、複数の実施形態では約40℃~約65℃、約0.2時間~約6時間、複数の実施形態では約0.3時間~約5時間の時間にわたって加熱して、約3ミクロン~約15ミクロンの体積平均直径、複数の実施形態では約4ミクロン~約8ミクロンの体積平均直径のトナー凝集体を得る。
【0078】
複数の実施形態では、凝集粒子上にシェルが形成されてもよい。上記のラテックス樹脂の形成に利用した任意のラテックスを、シェルラテックスの形成に利用してもよい。複数の実施形態では、スチレン-n-ブチルアクリレートコポリマーを、シェルラテックスの形成に利用してもよい。複数の実施形態では、シェルを形成するために利用されるラテックスは、約35℃~約75℃、複数の実施形態では約40℃~約70℃の、ガラス転移温度を有し得る。
【0079】
存在する場合、シェルラテックスは、浸漬、噴霧などを含む、当業者の知識の範囲内の任意の方法によって適用されてもよい。シェルラテックスは、トナー粒子の所望の最終サイズが達成されるまで、複数の実施形態では、約3ミクロン~約12ミクロン、他の実施形態では約4ミクロン~約8ミクロンまで、適用されてもよい。
【0080】
トナー粒子の所望の最終サイズが達成されると、混合物のpHを、塩基を用いて、約3.5~約7、複数の実施形態では約4~約6.5の値に調整してもよい。塩基は、任意の好適な塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化アンモニウムなどのアルカリ金属水酸化物などを含んでもよい。アルカリ金属水酸化物は、混合物の約0.1~約30重量%、複数の実施形態では混合物の約0.5~約15重量%の量で添加されてもよい。
【0081】
ラテックス、着色剤、及び任意のワックスの混合物は、続いて合着される。合着は、約80℃~約99℃、複数の実施形態では約85℃~約98℃の温度で、約0.5時間~約12時間、複数の実施形態では約1時間~約6時間にわたって攪拌及び加熱することを含んでもよい。
【0082】
次いで、トナー凝集体を合着するため、混合物のpHを、約3.5~約6、複数の実施形態では約3.7~約5.5まで、例えば酸で、低下させることができる。好適な酸としては、例えば、硝酸、硫酸、塩酸、クエン酸、又は酢酸が挙げられる。添加される酸の量は、混合物の約0.1~約30重量%、複数の実施形態では混合物の約1~約20重量%であってよい。
【0083】
混合物は、冷却又は冷凍工程で冷却される。冷却は、約20℃~約40℃、複数の実施形態では約22℃~約30℃の温度で、約1時間~約8時間、複数の実施形態では約1.5時間~約5時間にわたるものであってもよい。
【0084】
複数の実施形態では、合着されたトナースラリーを冷却することは、例えば、氷、ドライアイスなどの冷却媒体を添加して、約20℃~約40℃、複数の実施形態では約22℃~約30℃の温度まで急速冷却することを含む。
【0085】
この冷却後、凝集懸濁液を、ラテックスのTg以上の温度に加熱してもよい。粒子がコアシェル構成(core-shell configuration)を有する場合、シェルラテックスをコアラテックスと融着するために、加熱は、コアを形成するために使用される第1のラテックスのTgより高く、かつシェルを形成するために使用される第2のラテックスのTgより高くてもよい。複数の実施形態では、凝集懸濁液を、約80℃~約90℃、複数の実施形態では約83℃~約86℃の温度まで、約1時間~約6時間、複数の実施形態では約2時間~約4時間の時間にわたって、加熱してもよい。
【0086】
次に、トナースラリーを洗浄してもよい。洗浄は、約7~約12のpH、複数の実施形態では約9~約11のpHで実施してもよい。洗浄は、約30℃~約70℃、複数の実施形態では約40℃~約67℃の温度であってもよい。洗浄は、脱イオン水中のトナー粒子を含む濾過ケークを濾過及び再スラリー化することを含んでもよい。濾過ケークは、脱イオン水によって1回以上洗浄してもよく、又はスラリーのpHを酸で調整して約4のpHで1回の脱イオン水洗浄、続いて任意に1回以上の脱イオン水洗浄によって洗浄してもよい。
【0087】
乾燥は、約35℃~約75℃の温度、複数の実施形態では約45℃~約60℃の温度で実施されてもよい。乾燥は、粒子の水分レベルが約1重量%、複数の実施形態では約0.7%重量%未満の設定目標よりも低くなるまで継続してもよい。
【0088】
電荷制御剤
複数の実施形態では、トナー組成物の表面添加剤は、所望により電荷制御剤を含んでもよい。例えば、トナーは、正又は負の電荷制御剤を、任意の所望量又は有効量、一実施形態ではトナーの少なくとも約0.1重量%、別の実施形態ではトナーの少なくとも約1重量%、一実施形態ではトナーの約10重量%以下、別の実施形態ではトナーの約3重量%以下の量で、含むことができる。好適な電荷制御剤の例としては、限定するものではないが、ハロゲン化アルキルピリジニウムを含む、四級アンモニウム化合物;重硫酸塩;米国特許第4,298,672号(この開示は参照により全体的に本明細書に組み込まれる)に開示のものを含むアルキルピリジニウム化合物;米国特許第4,338,390号(この開示は参照により全体的に本明細書に組み込まれる)に開示のものを含む有機スルフェート及びスルホネート組成物;セチルピリジニウムテトラフルオロボレート;ジステアリルジメチルアンモニウムメチルスルフェート;BONTRON E84(商標)若しくはE88(商標)(保土谷化学)などのアンモニウム塩など、並びにこれらの混合物が挙げられる。このような電荷制御剤は、上記シェル樹脂と同時に適用されても、シェル樹脂の適用後に適用されてもよい。
【0089】
他の表面添加剤
トナーと組み合わせることができる更なる任意の添加剤としては、トナー組成物の特性を向上させるための任意の添加剤が挙げられる。添加剤としては、表面添加剤、色増強剤などが挙げられる。洗浄又は乾燥後にトナー組成物に添加することができる表面添加剤としては、例えば、金属塩、脂肪酸の金属塩、コロイドシリカ、金属酸化物、チタン酸ストロンチウム、これらの組み合わせなどが挙げられ、添加剤は、各々通常はトナーの約0.1~約10重量%、複数の実施形態ではトナーの約0.5~約7重量%の量で存在する。他の添加剤としては、Degussaから入手可能なステアリン酸亜鉛及びAEROSIL R972(登録商標)が挙げられる。米国特許第6,190,815号及び第6,004,714号のコーティングされたシリカも、例えば、トナーの約0.05~約5重量%、複数の実施形態では約0.1~約2重量%の量で、選択できる。これらの添加剤は、凝集中に添加されてもよく、又は形成されたトナー製品にブレンドすることもできる。
【0090】
本開示のラテックスを用いて製造されるトナー粒子は、約1ミクロン~約20ミクロン、複数の実施形態では約2ミクロン~約15ミクロン、複数の実施形態では約3ミクロン~約7ミクロンのサイズを有し得る。本開示のトナー粒子は、約0.9~約0.99の円形度、複数の実施形態では約0.92~約0.98の円形度を有し得る。
【0091】
タガント表面添加剤
複数の実施形態では、タガント表面添加剤は、様々な金属酸化物を含むセラミック材料を含む。複数の実施形態では、セラミック材料は、シリカ、酸化イットリウム、酸化リチウム、酸化イッテルビウム、及び酸化セリウムを含む。例示的なセラミック材料は、Stardust Materials LLC(Vancouver,WA)からIR発光顔料として入手可能である。別の非限定例のタガント材料は、US Research Nanomaterials,Inc.(Houston,TX)から入手可能な、Al、MgO、ZnO、ZrO、SiOなどの酸化物の組み合わせから製造される遠赤外ナノ粉末/ナノ粒子である。
【0092】
使用
本開示によるトナーは、プリンター、コピー機などを含む様々な撮像装置において使用することができる。本開示に従って生成されたトナーは、撮像プロセス、特にゼログラフィックプロセスに優れており、卓越した画像解像度、許容可能な信号対雑音比、及び画像均一性(image uniformity)を有する高品質の着色画像を提供することができる。更に、本開示のトナーは、デジタル撮像システム及びプロセスなどの電子写真撮像及び印刷プロセス用に選択することができる。
【0093】
現像剤組成物は、本明細書に開示されるプロセスで得られたトナーを、鋼、フェライトなどのコーティングされた担体を含む既知の担体粒子と混合することによって調製することができる。担体は、トナーの約1重量%~トナーの約10重量%、複数の実施形態ではトナーの約4重量%~約6重量%で存在してもよい。担体粒子はまた、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのポリマーコーティングを有するコアも含むことができ、その中に導電性カーボンブラックのような導電性成分が分散されている。担体コーティングとしては、メチルシルセスキオキサンなどのシリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどのフルオロポリマー、ポリフッ化ビニリデン及びアクリルなどの摩擦電気系列表(triboelectric series)で近接していない樹脂の混合物、アクリルなどの熱硬化性樹脂、これらの組み合わせ、及びその他の既知成分が挙げられる。
【0094】
現像は、反転現像によって行われてもよい。反転現像では、感光体が帯電され、その後、現像する領域が放電される。現像場及びトナー電荷により、トナーが感光体上の帯電領域によって忌避され、放電領域に誘引される。この現像プロセスは、レーザスキャナーで使用される。
【0095】
現像は、米国特許第2,874,063号に開示されている磁気ブラシ現像プロセスによって実施されてもよい。この方法は、本開示のトナー及び磁気担体粒子を含有する現像剤材料を磁石によって搬送することを必要とする。磁石の磁場によって、磁気担体がブラシのような構成に整列し、この「磁気ブラシ」を、感光体の静電画像支持表面(electrostatic image bearing surface)に接触させる。トナー粒子は、静電気引力によって、ブラシから感光体の放電領域へと引き抜かれ、その結果画像が現像される。複数の実施形態では、導電性磁気ブラシプロセスが使用され、当該プロセスでは、現像剤は導電性担体粒子を含み、バイアスされた磁石間に担体粒子を通じて感光体へと電流を流すことができる。
【0096】
撮像
本明細書に開示されるトナー組成物は、ゼログラフィック撮像装置又は電子写真画像形成装置(electrophotographic image forming device)として従来知られているものなどの様々な撮像システムにおいて、感光体などの電子写真撮像部材(electrophotographic imaging member)と共に使用することができる。このような撮像部材は、可視光、近赤光及び/又は赤外光を用いた撮像及び印刷システムのために選択されてもよい。撮像部材は、正又は負に帯電してもよく、約700~約900ナノメートルの波長を有する光、例えば、固体レーザー、例えば、ヒ素型レーザーによって生成される光に、順次又は同時のいずれかで曝露され、続いて、得られた画像を現像し、それをスライド又は紙などの印刷基材に転写する。更に、撮像部材は、可視光を用いる撮像システム及び印刷システム用に選択されてもよい。撮像部材は、正又は負に帯電してもよく、約400~約700ナノメートルの波長を有する光に曝露され、続いて、既知のトナーで現像し、次いで、画像を印刷基材上に転写及び定着する。
【0097】
一般的に、撮像部材は、コロトロン、ジコロトロン、スコロトロン、ピン帯電装置、バイアス帯電ロール(BCR)などのコロナ帯電装置で最初に充電されてもよい。次いで、静電画像が、撮像部材上に、静電画像形成装置(electrostatic image forming device)を用いて生成される。続いて、静電画像を、例えば、樹脂粒子、顔料粒子、電荷制御剤及び担体粒子を含む添加剤などの組成物などの現像剤組成物を適用する1つ以上の現像ステーションにおいて、既知の現像装置で現像する。次いで、現像された静電画像を、画像転写ステーションにおいて紙又はスライドなどの好適な印刷基材に転写し、基材に定着する。画像の現像は、ハイブリッド無掃去現像、磁気ブラシなどの多数の方法によって達成され得る。
【0098】
印刷基材への現像画像の転写は、コアトロン又はバイアスロールが選択される方法を含む、任意の好適な方法によって行われてもよい。定着工程は、フラッシュ融着、熱融着、圧力融着、蒸気融着などの任意の好適な方法によって実施してもよい。
【0099】
現像画像を撮像部材表面から転写した後、撮像部材はその表面上に残っている残留現像剤がすべて除去され、更に、更なる画像又は次の画像の現像のために帯電する前に、残留静電荷もすべて除去される。
【実施例
【0100】
以下の実施例は、本開示の実施形態を説明するために提出される。これらの実施例は、例示的なものにすぎず、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。また、別途記載のない限り、部及び百分率は重量による。本明細書で使用するとき、「室温」は、約20℃~約25℃の温度を指す。
【0101】
(実施例1)
この実施例は、本明細書に記載された実施形態によるタガントを含むトナーの調製及び特性評価を説明する。
【0102】
表1に示すように、透明、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックを含む一連のトナー配合物を調製した。
【0103】
【表1】
【0104】
各トナー色を、シリカ(34%)、酸化イットリウム(32%)、酸化リチウム(16%)、酸化イッテルビウム(12%)、及び酸化セリウム(6%)を含む少量のセラミック赤外線タガント(Stardust Materials LLC(Vancouver,WA)から入手可能なIR発光顔料)とブレンドした。
【0105】
トナー添加剤のブレンド
75グラムのトナー粒子を卓上ブレンダーに添加し、続いて、3.5重量%のシリカ添加剤RY50(日本アエロジルから入手可能)、1.6%のチタニア添加剤SMT5103(テイカ株式会社から入手可能)、0.5%のステアリン酸亜鉛添加剤(Ferro Corporationから入手可能)、0.1%のシリカ添加剤H2050EP(Wacker Chemieから入手可能)、及び0.1%のタガント粉末(Stardust Materials LLC)を添加した。次に、内容物を約15,000rpmで2.5分間ブレンドして、本明細書の最終的なブレンドされたトナーを得た。
【0106】
図1A~Eは、タガントを含む様々なトナーの摩擦帯電を対照と共に示す。
【0107】
トナー帯電量測定:トナー帯電量を、表面添加剤及びIRタガントとブレンドされたトナー粒子について、収集した。4.5グラムのトナー及び100グラムのXerox Soken MP-116担体を60mLガラス瓶内で混合して、担体中に4.5pphのトナーを調製した。サンプルを21.1℃及び10%RHの低湿度ゾーン(Jゾーン)で、別のサンプルを約28℃/85%相対湿度の高湿度ゾーン(Aゾーン)で、3日間状態調節した。親トナー粒子を有する現像剤をTurbulaミキサーで10分間帯電させ、添加剤ブレンドトナーを有する現像剤をTurbulaミキサーで60分間帯電させた。
【0108】
トナー電荷を、質量に対する電荷の比(Q/M)として測定した。これはトリボとも呼ばれ、全ブローオフ帯電法によって決定され、空気流で吹き飛ばすこと(ブローオフ)によってトナーを除去した後、現像剤を含有するファラデーケージ上の電荷を測定する。ブローオフの前後のケージの重さを計ることで、ケージに集められた全電荷を、ブローオフによって除去されたトナーの質量で除算して、Q/M比又はトリボの結果を得る。
【0109】
図2は、様々な表示したトナーの色特性を示す。試料を界面活性剤で湿潤し、水に懸濁させた。次いで、それらを膜を通して濾過して、均一な堆積物を得た。次いで、膜を乾燥させ、カラー分光光度計による分析のために融着させた。濾過された試料の量は、任意のTMA(トナー質量面積)に調整することができ、連続してサンプリングすることができる。X-Rite 939による測定により、色値L、a、b、c、及びhのデータ、並びに400~700nmのスペクトルデータを得る。
[付記]
本開示は下記の態様<1>~<20>も含む。
<1>
樹脂と着色剤とを含むトナー粒子を含むトナー組成物であって、前記トナー組成物は、前記トナー粒子の表面上に配置された赤外発光タガントを更に含む、トナー組成物。
<2>
前記タガントがセラミックである、<1>に記載のトナー組成物。
<3>
前記セラミックが、ケイ素、イットリウム、リチウム、イッテルビウム、及びセリウムの酸化物を含む、<2>に記載のトナー組成物。
<4>
前記タガントがナノ粒子である、<1>に記載のトナー組成物。
<5>
前記タガントが、トナー粒子の約0.05pph~約5pphの量で存在する、<1>に記載のトナー組成物。
<6>
トナー色が透明又はイエローであり、前記タガントが、トナー粒子の約0.05pph~約1pphの範囲の濃度で存在する、<1>に記載のトナー組成物。
<7>
トナー色がマゼンタであり、前記タガントが、トナー粒子の約0.5~約2pph存在する、<1>に記載のトナー組成物。
<8>
トナー色がシアンであり、前記タガントが、トナー粒子の約1~約5pph存在する、<1>に記載のトナー組成物。
<9>
トナー色がブラックであり、前記タガントが、トナー粒子の約5~約10pph存在する、<1>に記載のトナー組成物。
<10>
前記トナー粒子が、スチレン-アクリレートポリマー、非晶質ポリエステル、結晶性ポリエステル、又はこれらの組み合わせを含む、<1>に記載のトナー組成物。
<11>
前記トナー粒子が化学プロセスによって調製される、<1>に記載のトナー組成物。
<12>
前記トナー粒子が、融解混合及び粉砕によって調製される、<1>に記載のトナー粒子。
<13>
樹脂と着色剤とを含むトナー粒子を含むトナー組成物の製造方法であって、前記トナー組成物が、前記トナー粒子の表面上に配置された赤外発光タガントを更に含み、前記方法が、
トナー粒子を、前記赤外発光タガントを含む表面添加剤パッケージとブレンドすることを含む、製造方法。
<14>
前記表面添加剤パッケージが、電荷制御剤を更に含む、<13>に記載の製造方法。
<15>
前記タガントが、ケイ素、イットリウム、リチウム、イッテルビウム、及びセリウムの酸化物を含むナノ粒子セラミックである、<13>に記載の製造方法。
<16>
前記タガントが、トナー粒子の約0.05pph~約5pphの量で存在する、<13>に記載の製造方法。
<17>
物品であって、前記物品上に配置された印刷画像を有し、前記印刷画像は、樹脂と着色剤とを含むトナー粒子を含むトナー組成物で作製され、前記トナー組成物は、前記トナー粒子の表面上に配置された赤外発光タガントを更に含み、前記印刷画像は、前記赤外発光タガントの赤外線検出による前記物品の認証を可能にする、物品。
<18>
前記物品が、識別章又は通貨の形態である、<16>に記載の物品。
<19>
前記タガントが、ケイ素、イットリウム、リチウム、イッテルビウム、及びセリウムの酸化物を含むナノ粒子セラミックである、<16>に記載の物品。
<20>
前記タガントが、トナー粒子の約0.05pph~約5pphの量で存在する、<16>に記載の物品。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2