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特許7341861アイウェア装置を用いた管理システムおよび管理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】アイウェア装置を用いた管理システムおよび管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/55 20170101AFI20230904BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20230904BHJP
【FI】
G06T7/55
G06Q50/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019203636
(22)【出願日】2019-11-11
(65)【公開番号】P2021077127
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077986
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100139745
【弁理士】
【氏名又は名称】丹波 真也
(74)【代理人】
【識別番号】100187182
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 由希
(74)【代理人】
【識別番号】100207642
【弁理士】
【氏名又は名称】簾内 里子
(74)【代理人】
【識別番号】100168088
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 悠
(72)【発明者】
【氏名】菊池 武志
【審査官】山田 辰美
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-352224(JP,A)
【文献】特開2005-031044(JP,A)
【文献】特開2017-020972(JP,A)
【文献】国際公開第2019/048866(WO,A1)
【文献】特開2000-155855(JP,A)
【文献】特開2002-163670(JP,A)
【文献】特開2019-049460(JP,A)
【文献】特表2020-533721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00-7/90
G06Q 50/08
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信部と,ターゲットの三次元座標を取得するための座標測定部を備える測定器と、
通信部と,ディスプレイと,装置の位置を検出する相対位置検出センサと,装置の向きの方向を検出する相対方向検出センサと,を備えるアイウェア装置と、
管理現場のCAD設計データを記憶する記憶部と、
前記測定器の位置・方向に関する情報と、前記アイウェア装置の位置・方向に関する情報を受信し、前記測定器の座標空間と、前記アイウェア装置の座標空間と、前記CAD設計データの座標空間を同期する同期計測部を備える演算処理部と、
を備え、
前記同期計測部は、前記CAD設計データから前記アイウェア装置の位置・方向の点から見たワイヤーフレームの情報を取得するとともに、管理者が前記CAD設計データ上で指定した計測点から、管理者が前記計測点に対応させて設置した前記ターゲットの座標点までの差分を差分情報として演算し、
前記アイウェア装置は、受信した前記ワイヤーフレームの情報を現物に重ねて前記ディスプレイに表示するとともに、受信した前記差分情報の数値を前記ディスプレイに表示する
ことを特徴とする、管理システム。
【請求項2】
前記測定器はさらに、ローカル座標を取得する画像撮像部を備え、
前記演算処理部はさらに、前記画像撮像部で撮影した画像を前記CAD設計データとパターンマッチングする画像解析部を備え、
前記同期計測部は、前記画像解析部によりマッチングされた複数の特徴点について前記差分情報を演算し、
前記アイウェア装置は、受信した前記差分情報を差分の大小が視覚的に理解される映像に変換して、前記ディスプレイに表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記測定器は、測距光を出射して前記ターゲットまでの距離を測定する測距部と,前記測距部の水平方向の回転角と鉛直方向の回転角を測定する測角部とを前記座標測定部として有する測量機であることを特徴とする請求項1または2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記測定器は、前記ターゲットを含む周辺風景を撮影しローカル座標を取得するイメージセンサと画像解析部を前記座標測定部として有する、複数のカメラであることを特徴とする請求項1または2に記載の管理システム。
【請求項5】
通信部と,ターゲットの三次元座標を取得するための座標測定部を備える測定器と、通信部と,ディスプレイと,管理現場内の装置の位置を検出する相対位置検出センサと,装置の向きの方向を検出する相対方向検出センサとを備えるアイウェア装置と、を用いて、
前記測定器の位置・方向に関する情報と、前記アイウェア装置の位置・方向に関する情報を受信し、前記測定器の座標空間と、前記アイウェア装置の座標空間と、前記管理現場のCAD設計データの座標空間を同期するステップと、
前記アイウェア装置の位置・方向の情報を受信して、前記情報の点から見た前記CAD設計データのワイヤーフレームの情報を前記アイウェア装置に送信するステップと、
前記ディスプレイに、受信した前記ワイヤーフレームの情報を現物に重ねて表示するステップと、
管理者に前記CAD設計データ上で計測点を指定させるステップと、
前記管理者に前記計測点に対応させてターゲットを設置させ、前記ターゲットの三次元座標を取得するステップと、
前記計測点と前記ターゲットの座標点までの差分を差分情報として演算するステップと、
前記ディスプレイに、前記差分情報の数値を表示するステップと、
を備えることを特徴とする管理方法
【請求項6】
請求項5においてさらに、前記測定器にローカル座標を取得する画像撮像部を備え、
管理者に前記CAD設計データ上で計測点を複数指定させるステップと、
前記管理者に前記計測点に対応させて複数のターゲットを設置させ、それぞれの前記ターゲットの三次元座標を取得するステップと、
前記ターゲットを含む周辺風景を前記画像撮像部で撮影するステップと、
前記画像撮像部で撮影した画像を前記CAD設計データとパターンマッチングするステップと、
前記パターンマッチングによりマッチングされた複数の特徴点について前記差分情報を演算するステップと、
前記ディスプレイに、前記差分情報を差分の大小が視覚的に理解される映像に変換して表示するステップと、
を備えることを特徴とする管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイウェア装置を用いて建築作業の管理をするシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築現場では、施工がCADの設計データの通りに行われているか否かを確認する作業が不可欠である。従来、現物と設計データとの建ち精度(ズレ)を確認するためには、現物をスキャナや測量機(トータルステーション)で測定し、測定データに基づいて現物を3Dモデルにして、設計データと比較していた(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-204222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の手法では、現物を一旦3Dモデル化する作業が必要であった。また、建築作業中に、その場で即時にズレを確認することは難しかった。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、現物とCADの設計データとの建ち精度(ズレ)を、その場でかつリアルタイムで表示および確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一つの態様にかかる管理システムは、通信部と,ターゲットの三次元座標を取得するための座標測定部を備える測定器と、通信部と,ディスプレイと,装置の位置を検出する相対位置検出センサと,装置の向きの方向を検出する相対方向検出センサと,を備えるアイウェア装置と、管理現場のCAD設計データを記憶する記憶部と、前記測定器の位置・方向に関する情報と、前記アイウェア装置の位置・方向に関する情報を受信し、前記測定器の座標空間と、前記アイウェア装置の座標空間と、前記CAD設計データの座標空間を同期する同期計測部を備える演算処理部と、を備え、前記同期計測部は、前記CAD設計データから前記アイウェア装置の位置・方向の点から見たワイヤーフレームの情報を取得し、前記アイウェア装置は、受信した前記ワイヤーフレームの情報を現物に重ねて前記ディスプレイに表示することを特徴とする。
【0007】
上記態様において、前記同期計測部は、管理者が前記CAD設計データ上で指定した計測点から、管理者が前記計測点に対応させて設置した前記ターゲットの座標点までの差分を差分情報として演算し、前記アイウェア装置は、受信した前記差分情報の数値を前記ディスプレイに表示するのも好ましい。
【0008】
上記態様において、前記測定器はさらに、ローカル座標を取得する画像撮像部を備え、前記演算処理部はさらに、前記画像撮像部で撮影した画像を前記CAD設計データとパターンマッチングする画像解析部を備え、前記同期計測部は、前記画像解析部によりマッチングされた複数の特徴点について前記差分情報を演算し、前記アイウェア装置は、受信した前記差分情報を差分の大小が視覚的に理解される映像に変換して、前記ディスプレイに表示するのも好ましい。
【0009】
上記態様において、前記測定器は、測距光を出射して前記ターゲットまでの距離を測定する測距部と,前記測距部の水平方向の回転角と鉛直方向の回転角を測定する測角部とを前記座標測定部として有する測量機であるのも好ましい。
【0010】
上記態様において、前記測定器は、前記ターゲットを含む周辺風景を撮影しローカル座標を取得するイメージセンサと画像解析部を前記座標測定部として有する、複数のカメラであるのも好ましい。
【0011】
また、本発明の一つの態様にかかる管理方法は、通信部と,ターゲットの三次元座標を取得するための座標測定部を備える測定器と、通信部と,ディスプレイと,管理現場内の装置の位置を検出する相対位置検出センサと,装置の向きの方向を検出する相対方向検出センサとを備えるアイウェア装置と、を用いて、前記測定器の位置・方向に関する情報と、前記アイウェア装置の位置・方向に関する情報を受信し、前記測定器の座標空間と、前記アイウェア装置の座標空間と、前記管理現場のCAD設計データの座標空間を同期するステップと、前記アイウェア装置の位置・方向の情報を受信して、前記情報の点から見た前記CAD設計データのワイヤーフレームの情報を前記アイウェア装置に送信するステップと、前記ディスプレイに、受信した前記ワイヤーフレームの情報を現物に重ねて表示するステップと、を備えることを特徴とする。
【0012】
上記態様において、さらに、管理者に前記CAD設計データ上で計測点を指定させるステップと、前記管理者に前記計測点に対応させてターゲットを設置させ、前記ターゲットの三次元座標を取得するステップと、前記計測点と前記ターゲットの座標点までの差分を差分情報として演算するステップと、前記ディスプレイに、前記差分情報の数値を表示するステップと、を備えるのも好ましい。
【0013】
上記態様において、さらに、前記測定器にローカル座標を取得する画像撮像部を備え、管理者に前記CAD設計データ上で計測点を複数指定させるステップと、前記管理者に前記計測点に対応させて複数のターゲットを設置させ、それぞれの前記ターゲットの三次元座標を取得するステップと、前記ターゲットを含む周辺風景を前記画像撮像部で撮影するステップと、前記画像撮像部で撮影した画像を前記CAD設計データとパターンマッチングするステップと、前記パターンマッチングによりマッチングされた複数の特徴点について前記差分情報を演算するステップと、前記ディスプレイに、前記差分情報を差分の大小が視覚的に理解される映像に変換して表示するステップと、を備えるのも好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の管理システムおよび管理方法によれば、現物とCADの設計データとの建ち精度(ズレ)を、その場でかつリアルタイムで確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一の実施の形態に係る管理システムの外観斜視図である。
図2】同管理システムの構成ブロック図である。
図3】第一の実施の形態に係る測量機の構成ブロック図である。
図4】第一の実施の形態に係るアイウェア装置の外観斜視図である。
図5】同アイウェア装置の構成ブロック図である。
図6】第一の実施の形態に係る処理PCの構成ブロック図である。
図7】第一の実施の形態に係る管理システムによる管理フロー図である。
図8】同管理フローの作業イメージ図である。
図9】同管理システムにより得られる映像のイメージ図である。
図10】同管理システムにより得られる映像のイメージ図である。
図11】第二の実施形態に係る管理システムの構成ブロック図である。
図12】同実施の形態に係る測量機の構成ブロック図である。
図13】第三の実施の形態に係る管理システムの外観斜視図である。
図14】第四の実施形態に係る管理システムの測量機の構成ブロック図である。
図15】同実施形態に係る管理システムの処理PCの構成ブロック図である。
図16】同実施形態に係る管理システムによる管理フロー図である。
図17】同管理フローの作業イメージ図である。
図18】同管理システムにより得られる映像のイメージ図である。
図19】同管理システムにより得られる映像のイメージ図である。
図20】同管理システムにより得られる映像のイメージ図である。
図21】第一の実施形態の管理システムの変形例(1)の構成ブロック図である。
図22】第二の実施形態の管理システムの変形例(2)の構成ブロック図である。
図23】第三の実施形態の管理システムの変形例(3)の構成ブロック図である。
図24】第一の実施形態の管理システムの変形例(4)の構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
(第一の実施形態)
図1は、第一の実施の形態に係る管理システム1の外観斜視図であり、管理する建築現場での作業イメージを示している。本形態に係る管理システム1は、測量機2と、処理PC3と、アイウェア装置4を備える。本形態において、測量機2が「測定器」であり、後述する測距部19および測角部11,12が「座標測定部」である。
【0018】
測量機2は、任意の点に三脚を用いて設置される。測量機2は、整準器の上に設けられた基盤部と、基盤部上を水平回転する托架部2bと、托架部2bの中央で鉛直回転する望遠鏡2cを有する。アイウェア装置4は、管理者の頭部に装着される。処理PC3は、建築現場内に設置される。
【0019】
図2は、同管理システム1の構成ブロック図である。管理システム1において、アイウェア装置4と測量機2は、処理PC3に無線接続される(有線接続も可)。接続されるアイウェア装置4は、単数/複数を問わない。複数接続の場合、各アイウェア装置4は固有ID等で識別される。処理PC3は、管理される建築現場のCAD設計データ31と、後述する同期計測部32を有している。この詳細は後述する。
【0020】
(測量機)
図3は、第一の実施の形態に係る測量機2の構成ブロック図である。測量機2は、トータルステーションである。測量機2は、水平角検出器11と、鉛直角検出器12と、水平回転駆動部13と、鉛直回転駆動部14と、表示部15と、操作部16と、記憶部17と、演算処理部18と、測距部19と、通信部20を備える。
【0021】
水平回転駆動部13と鉛直回転駆動部14はモータであり、演算処理部18に制御される。水平回転駆動部13は托架部2bを水平方向に回転させ、鉛直回転駆動部14は望遠鏡2cを鉛直方向に回転させる。
【0022】
水平角検出器11と鉛直角検出器12は、エンコーダである。水平角検出器11は托架部2bの水平方向の回転角を測定し、鉛直角検出器12は望遠鏡2aの鉛直方向の回転角を測定する。水平角検出器11と鉛直角検出器12が、測角部である。
【0023】
表示部15は、液晶パネル型ディスプレイを有する。操作部16は、電源キー、数字キー、小数点キー、プラス/マイナスキー、実行キー、スクロールキー等を有し、測量機2の操作が可能である。
【0024】
測距部19は、発光素子と、送光光学系、同送光光学系と光学要素を共有する受光光学系と、受光素子を有する。測距部19は、ターゲットに向けて赤外レーザ等の測距光を出射し、受光素子でターゲットからの反射測距光を受光する。
【0025】
通信部20は、外部ネットワークとの通信を可能にするものであり、インターネットプロトコル(TCP/IP)を用いてインターネットと接続し、処理PC3と情報の送受信を行う。
【0026】
演算処理部18は、少なくともCPUおよびメモリ(RAM,ROM等)を集積回路に実装した制御ユニットである。演算処理部18は、水平回転駆動部13と鉛直回転駆動部14を制御する。また、上記反射測距光と上記光学系内に設けられた参照光路を進んだ参照光との位相差から、ターゲットまでの測距値を算出する。また、水平角検出器11と鉛直角検出器12から、同ターゲットの測角値を算出する。また、通信部20を介して、処理PC3と通信する。
【0027】
記憶部17は、例えば、メモリーカード、HDD等によって構成される。記憶部17には、演算処理部18が行う測量プログラムが格納されている。また、演算処理部18が取得した各種情報が記録される。
【0028】
(アイウェア装置)
図4は、第一の実施の形態に係るアイウェア装置4の外観斜視図,図5は、同アイウェア装置4の構成ブロック図である。アイウェア装置4は、管理者の頭部に装着されるウェアラブルデバイスである。アイウェア装置4は、ディスプレイ41と、制御部42を備える。
【0029】
ディスプレイ41は、管理者の両目を覆う、透過型を基本とする。一例として、ディスプレイ41は、ハーフミラーによる光学シースルーのディスプレイであり、管理者は、現場風景の実像に制御部42が受信した虚像が合成された映像を見ることができる。
【0030】
制御部42は、演算処理部43,通信部44,相対位置検出センサ45,相対方向検出センサ46,記憶部47,操作スイッチ48を備える。
【0031】
アイウェアの通信部44は、外部ネットワークとの通信を可能にするものであり、インターネットプロトコル(TCP/IP)を用いてインターネットと接続し、処理PC3と情報の送受信を行う。
【0032】
相対位置検出センサ45(以下、単に相対位置センサ45とする)は、建築現場に設置された屋内GPS用アンテナ,WiFi(登録商標)アクセスポイント,超音波発振器などから無線測位を行い、建築現場内でのアイウェア装置4の位置を検出する。
【0033】
相対方向検出センサ46(以下、単に相対方向センサ46とする)は、三軸加速度センサまたはジャイロと傾斜センサの組み合わせからなる。相対方向センサ46は、上下方向をZ軸方向、左右方向をY軸方向、前後方向をX軸方向として、アイウェア装置4の傾きを検出する。
【0034】
操作スイッチ48は、電源スイッチと、選択スイッチを備える。
【0035】
アイウェアの記憶部47は、例えば、メモリーカード等によって構成される。記憶部47には、演算処理部43が行う処理プログラムが格納される。
【0036】
アイウェアの演算処理部43は、少なくともCPUおよびメモリ(RAM,ROM等)を集積回路に実装された制御ユニットである。演算処理部43は、相対位置センサ45,相対方向センサ46の検出したアイウェア装置4の位置・方向の情報を処理PC3に送信する。そして、処理PC3から上記位置・方向の点から見た設計データの情報を受信して、ワイヤーフレームをディスプレイ41に表示する。
【0037】
(処理PC)
図6は、第一の実施の形態に係る処理PC3の構成ブロック図である。処理PC3は、汎用パーソナルコンピュータ,PLD(Programmable Logic Device)等による専用ハードウェア,タブレット端末,またはスマートフォン等である。処理PC3は、少なくとも、通信部33と、表示部34と、操作部35と、記憶部36と、演算処理部30を有する。
【0038】
PCの通信部33は、外部ネットワークとの通信を可能にするものであり、インターネットプロトコル(TCP/IP)を用いてインターネットと接続し、測量機2およびアイウェア装置4と情報の送受信を行う。
【0039】
PCの表示部34は、液晶パネル型ディスプレイを備え、PC操作部35は、管理操作に関する種々の入力・選択・決定を可能とする。
【0040】
PCの記憶部36は、HDD等によって構成され、少なくとも、管理する建築現場のCAD設計データ31を記憶する。
【0041】
演算処理部30は、少なくともCPUおよびメモリ(RAM,ROM等)を集積回路に実装した制御ユニットである。演算処理部30には、同期計測部32がソフトウェア的に構成されている。
【0042】
同期計測部32は、測量機2の位置・方向に関する情報と、アイウェア装置4の位置・方向に関する情報を受信し、測量機2の座標空間と、アイウェア装置4の座標空間と、CAD設計データ31の座標空間を同期する。そして、同期したCAD設計データ31の情報をアイウェア装置4に送信する。また、差分を求めたい部分について演算する。この詳細は後述する。
【0043】
(管理方法)
次に、管理システム1を用いた管理方法を説明する。図7は第一の実施の形態に係る管理システム1による管理フロー図、図8は同管理フローの作業イメージ図、図9および図10は同管理システム1により得られる映像のイメージ図である。
【0044】
まず、ステップS101で、管理者は、建築現場に、基準点と基準方向を設定する。基準点は、規定座標または現場内の任意の点を選択する。基準方向は、基準点とは別の特徴点(図8の柱など)を任意に選択し、基準点-特徴点の方向とする。
【0045】
次に、ステップS102に移行して、管理者は、測量機2の同期を行う。具体的には、管理者は、現場内の任意の点に測量機2を設置し、上記基準点と上記特徴点を含む後方交会等の観測により測量機2の絶対座標を把握する。測量機2は、座標情報を処理PC3に送信する。処理PC3の同期計測部32は、基準点の絶対座標を(x,y,z)=(0,0,0)に変換し、かつ、基準方向を水平角0度と認識して、以後、測量機2からの情報に関して、基準点を原点とする空間で、測量機2の相対位置・相対方向を管理する。
【0046】
次に、ステップS103に移行して、管理者は、アイウェア装置4の同期を行う。具体的には、管理者は、基準点にアイウェア装置4を設置し、ディスプレイ41の中心を基準方向に一致させ、相対位置センサ45の(x,y,z)を(0,0,0)、かつ、相対方向センサ46の(roll,pitch,yaw)を(0,0,0)とする。処理PC3の同期計測部32は、以後、アイウェア装置4からの情報に関して、基準点を原点とする空間で、アイウェア装置4の相対位置・相対方向を管理する。また、アイウェア装置4の同期は、アイウェア装置4に、アイウェア装置4の中心および方向軸を示すためのレーザ装置を設け、レーザをガイドに基準点および基準方向に一致させるのも好ましい。或いは、アイウェア装置4に視線センサなどを設け、設計データと現物で特徴点三カ所以上をマーキングし、自身と既知点とを結ぶ測線の角度からアイウェア装置4の座標を特定し、基準点の座標と対応付ける方法も考えられる。
【0047】
次に、ステップS104に移行して、管理者は、アイウェア装置4を装着し、建築現場内の管理したい部分(現物)をながめる。アイウェア装置4の現物に対する相対位置・相対方向は処理PC3にて管理されているから、処理PC3からアイウェア装置4に、現物(ディスプレイ41越しに見える現場風景の実像)に同期されたCAD設計データ31の情報が送られる。すると、ディスプレイ41には、現物に重ねられて、CAD設計データ31のワイヤーフレームの虚像が表示される。
【0048】
図9は、ステップS104の時のディスプレイ41の表示例である。図9では、現物は実線、ワイヤーフレームは破線で表示されている。図9に示すように、アイウェア装置4を装着した管理者には、現物とワイヤーフレームが重なって見えるため、管理者は、現物と設計データにズレがあることを、その場で確認することができる。
【0049】
次に、管理者が建ち精度を確認したい場合、ステップS105に移行する。ステップS105で、管理者は、建ち精度を確認したい部分(点)を、処理PC3で「計測点」として指定する。「計測点」は、例えば処理PC3の表示部34上にCAD設計データ31のワイヤーフレームを表示し、マウスやパネルタッチにより指定される(例えば図8の符号P)。
【0050】
次に、ステップS106に移行して、管理者は、CAD上で指定した計測点に対応する現物の部分に、ターゲット(例えば図8の符号T)を設置する。
【0051】
次に、ステップS107に移行して、管理者または他の作業者は、測量機2を用いてターゲットを視準し、ターゲットを測距測角する。測量機2は、ターゲットの三次元座標を処理PC3に送信する。
【0052】
次に、ステップS108に移行して、処理PC3は、ターゲットの三次元座標を取得する。同期計測部32は、CAD上で、計測点からターゲットの座標点までを線分で結び、アイウェア装置4の位置・方向の点から見た、水平方向差分および鉛直方向差分を演算する。そして、演算した「差分情報(水平方向差分および鉛直方向差分)」をアイウェア装置4に送信する。
【0053】
次に、ステップS109に移行して、アイウェア装置4は、受信した差分情報の数値を、ディスプレイ41に表示する。図10は、ステップS109の時のディスプレイ41の表示例である。図10には、差分情報として計測点の水平方向差分の数値が、計測点の近傍に表示されている。数値の表示には、引き出し線、吹き出し、矢印等が用いられるのも好ましい。このように、管理者は、現物とワイヤーフレームの合成映像とともに、現物と設計データの差分情報を、その場で表示し確認することができる。なお、管理者は、アイウェア装置4の操作スイッチ48から、水平方向差分および鉛直方向差分の表示を適宜切り替えることが可能である。
【0054】
次に、ステップS110に移行して、処理PC3は、差分情報を他の外部デバイスに転送する設定がされている時は、該デバイスに対して差分情報を送信する。以上のステップS104~S110が、管理者の必要に応じて繰り返される。
【0055】
以上、本形態の管理システム1によれば、管理者は、アイウェア装置4を装着することで、任意の位置・方向から、現物にCAD設計データ31のワイヤーフレームを重ねあわせた映像を見ることができる。このため、現物と設計データとの建ち精度(ズレ)を、その場でかつリアルタイムで目視確認できる。
【0056】
また、管理者はアイウェア装置4で現物を直接みることができているから、従来の手法のように、現物を一旦3Dモデル化する作業が必要ない。
【0057】
また、建ち精度(ズレ)を確認したい部分を、同期された測量機2で測定することで、現物と設計データの実際のズレ量(数値)も、その場でリアルタイムに表示され確認することができる。
【0058】
(第二の実施形態)
図11は、第二の実施形態に係る管理システム1の構成ブロック図、図12は、同実施の形態に係る測量機2の構成ブロック図である。第一の実施の形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を用いて説明を割愛する。
【0059】
本形態に係る管理システム1は、測量機2と、アイウェア装置4を備える。アイウェア装置4は、第一の実施形態と同一の構成である。一方、図12に示すように、測量機2は、演算処理部18に同期計測部32を、記憶部17にCAD設計データ31を備える。
【0060】
本形態では、測量機2が高性能な演算処理部18と小型大容量の記憶部17を備えた場合に実施可能であり、管理システム1の構成をさらにシンプルにすることができる。
【0061】
(第三の実施形態)
図13は、第三の実施の形態に係る管理システム1の外観斜視図であり、管理する建築現場での作業イメージを示している。第一の実施の形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を用いて説明を割愛する。本形態に係る管理システム1は、複数のカメラ6と、処理PC3と、アイウェア装置4を備える。本形態において、カメラ6が「測定器」であり、後述するイメージセンサ62と画像解析部371が「座標測定部」である。アイウェア装置4は、第一の実施形態と同一である。
【0062】
カメラ6は、少なくとも2台を設け、管理したい現物を異なる2点から撮影できるように設置される。うち一台のカメラ6は、基準点に、既知の高さで、カメラ中心が基準方向を向くように設置される。他のカメラ6は、絶対座標が既知の点に、同じ高さで、カメラ中心の向いている方向角が基準方向から既知となるように設置される。
【0063】
カメラ6は、例えばCCDやCMOSセンサ等のイメージセンサ62を備える。撮影された画像は、動画形式または静止画形式のいずれで信号処理される。イメージセンサ62は、カメラ中心を原点とした直交座標系を有し、各画素のローカル座標が特定される。また、カメラ6は、通信部61を有し、インターネットプロトコル(TCP/IP)を用いてインターネットと接続し、処理PC3と情報の送受信を行う。
【0064】
処理PC3は、さらに、演算処理部30にソフトウェア的に構成された画像解析部371を備え、複数のカメラ6で撮影された現物の共通の特徴点を抽出し、写真測量により現物の三次元座標を取得する。そして、処理PC3の同期計測部32は、基準点に設置されたカメラ6のカメラ中心のローカル座標(X,Y)を(x,y)=(0,0)とし、同カメラ中心のローカル座標(Z)からカメラの高さを差し引いた点を(z)=(0)に変換して、以後、カメラ6からの情報に関して、基準点を原点とする空間で、カメラ6の相対位置・相対方向を管理する。
【0065】
本形態における管理フローは、第一の実施形態の管理フロー(図7)を参照して説明される。例として、カメラ6として、第一のカメラ601と第二のカメラ602が設けられる例で説明する。
【0066】
ステップS101は第一の実施形態と同様である。次のステップS102において、管理者は、カメラ601,602の同期を行う。具体的には、管理者は、基準点に第一のカメラ601を設置し、絶対座標が把握されている他の点に第二のカメラ602を設置する。
【0067】
ステップS103,ステップS104,ステップS105,ステップS106は第一の実施形態と同様である。次のステップS107において、管理者は、カメラ601,602を用いてターゲットを含む周辺風景を撮影する。カメラ601,602は、撮影した画像を処理PC3に送信する。処理PC3の画像解析部371は、写真測量によりターゲットおよびその周辺の三次元座標を取得する。次のステップS108で、同期計測部32は、ステップS107で得られた三次元座標を使用して、第一の実施形態と同様に、アイウェア装置4の位置・方向の点から見た差分情報を演算する。ステップS109およびステップS110は第一の実施形態と同様である。
【0068】
本形態では、建ち精度(ズレ)を確認したい部分を、同期されたカメラ6で写真測量することで、第一の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
(第四の実施形態)
第四の実施形態に係る管理システム1は、第一の実施形態での差分情報をさらに拡張するためのものである。第一の実施形態では、管理したい現物の建ち精度を「点」の情報で得るが、第四の実施形態では、管理したい現物の建ち精度を「面」の情報で確認することができる。
【0070】
本形態の管理システム1は、第一の実施形態と同様に、測量機2と、処理PC3と、アイウェア装置4を備える(図2参照)。但し、測量機2と処理PC3に追加の構成がある。図14は、第四の実施形態に係る管理システム1の測量機2の構成ブロック図、図15は、同実施形態に係る管理システム1の処理PC3の構成ブロック図である。第一の実施の形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を用いて説明を割愛する。
【0071】
図14に示すように、測量機2は、さらに、画像撮像部201を備える。画像撮像部201は、例えばCCDやCMOSセンサであり、カメラ中心を原点とした直交座標系を有し、各画素のローカル座標が特定される。画像撮像部201は、望遠鏡2cに設けられ、測距光の出射方向と同一の方向を撮影し、測距光の光軸と上記座標系の原点が一致するように構成されている。画像撮像部201は、ターゲットを自動追尾する追尾部を構成する要素として、測量機2によく設けられている。
【0072】
図15に示すように、処理PC3は、さらに、画像解析部371を備える。画像解析部371は、測量機2の画像撮像部201で撮影した画像をCAD設計データ31とパターンマッチング(画像認識またはCADの近接箇所との相違度をフィッティング)する。同期計測部32は、現物と設計データに大きな乖離がなく画像解析部371のパターンマッチングが成功した場合、測定されたターゲットの座標点の差分情報を基に、画像解析部371によりマッチングされた各特徴点(現物)に関し、CAD設計データ31との差分情報(水平方向差分および鉛直方向差)を演算する。そして、演算した全ての差分情報をアイウェア装置4に送信する。
【0073】
図16は、第四の実施形態に係る管理システム1による管理フロー図である。図17は同管理フローの作業イメージ図、図18図19,および図20は同管理システム1により得られる映像のイメージ図である。
【0074】
ステップS401~S404は、第一の実施形態のステップS101~S104と同様である。次に、ステップS405で、管理者は、建ち精度を確認したい部分を、複数点、処理PC3上に表示されているワイヤーフレームで「計測点」として指定する(例えば図17の符号P)。ここでは、メインとなる計測点と、その補佐的な計測点が数点あることが好ましい。
【0075】
次に、ステップS406に移行して、管理者は、CAD上で指定した計測点(複数)に対応する現物の部分(複数)に、それぞれターゲット(例えば図17の符号T)を設置する。
【0076】
次に、ステップS407に移行して、管理者または他の作業者は、測量機2を用いてそれぞれのターゲットを測距測角する。測距の際、測量機2は、画像撮像部201でターゲットを含む周辺風景の画像も取得する。測量機2は、それぞれのターゲットの三次元座標と、画像を処理PC3に送信する。
【0077】
次に、ステップS408に移行して、処理PC3は、それぞれのターゲットの三次元座標と、少なくとも一の画像を取得する。画像解析部371は、一の画像をCAD設計データ31とパターンマッチングする。パターンマッチングが成功した場合、ステップS409に移行する。パターンマッチングが成功しなかった場合、他の画像またはステップS407に戻りもう一度画像を取得して再度パターンマッチングする。
【0078】
ステップS409に移行すると、同期計測部32は、画像解析部371によりマッチングされた各特徴点(現物)に関し、CAD設計データ31との差分情報(水平方向差分および鉛直方向差)を演算する。そして、演算した全ての差分情報をアイウェア装置4に送信する。
【0079】
次に、ステップS410に移行して、アイウェア装置4は、受信した差分情報を、ディスプレイ41に表示する。その際に、差分情報は現物の立体形状に対応して複数取得されているので、アイウェア装置4は、差分情報を、数値ではなく、差分の大小が視覚的に理解される映像(面の映像)に変換して表示する。図18図20は、ステップS410の時のアイウェア装置4のディスプレイ41の表示例である。図18は、最大変位発生部分の色味を最も濃くし、変位量をヒートマップ的に表示する例である。図19は、既定値以上の差分が発生している部位(エリア)に色味マーカを表示する例である。エリアは複数箇所の同時表示も可能であり、差分の大きさに対応して色味が異なるようにするのも好ましい。図20は、CAD設計データ31にて部品レベル単位でCADが構成されていた場合、差分の大きい要素を他の要素と色味を変えて表示する例である。
【0080】
本形態によれば、第一の実施形態に測量機2の画像撮像部201を利用して建築現場を画像認識することで、建ち精度を確認したい部分を「点」から「面」に拡張することができる。また、管理者は、アイウェア装置4を装着するだけで、現物と設計データのズレ量を、面の情報で視覚的に認識することができるので、例えば、部材が傾斜していること、部材の一部に予期しないふくらみがあることなどに気づきやすくなる。
【0081】
(変形例1)
図21は第一の実施形態の管理システム1の変形例(以下、変形例1とする)の構成ブロック図である。変形例1の管理システム1は、測量機2と、処理PC3と、アイウェア装置4と、サーバ5を備える。サーバ5は、少なくとも通信部51,演算処理部52,記憶部53を有する。変形例1では、CAD設計データ31はサーバの記憶部53に保存され、同期計測部32は処理PC3の演算処理部43に備えられている。処理PC3は、第一の実施形態における管理フローのステップS104,ステップS108において、必要箇所の設計データを通信部33を介してサーバ5から取得する。これにより、処理PC3の記憶部47の負担を軽減することができる。なお、変形例1を第四の実施形態に用いるのも好ましい。
【0082】
(変形例2)
図22は第二の実施形態の管理システム1の変形例(以下、変形例2とする)の構成ブロック図である。変形例2の管理システム1は、測量機2と、アイウェア装置4と、サーバ5を備える。変形例2では、CAD設計データ31はサーバの記憶部53に保存され、同期計測部32はサーバの演算処理部52に備えられている。これにより、測量機2の記憶部17の負担を軽減することができ、また、ステップS101~S103の同期処理とステップS108の演算処理を高速化することができる。
【0083】
(変形例3)
図23は第三の実施形態の管理システム1の変形例(以下、変形例3とする)の構成ブロック図である。変形例3の管理システム1は、複数のカメラ6と、処理PC3と、アイウェア装置4と、サーバ5を備える。変形例3では、CAD設計データ31はサーバの記憶部53に保存され、同期計測部32は処理PC3の演算処理部43に備えられている。処理PC3は、ステップS104,ステップS108において、必要箇所の設計データを通信部33を介してサーバ5から取得する。これにより、処理PC3の記憶部47の負担を軽減することができる。
【0084】
(変形例4)
図24は第一の実施形態の管理システム1の変形例(以下、変形例4とする)の構成ブロック図である。変形例4の管理システム1は、測量機2と、処理PC3と、アイウェア装置4を備え、さらに測量機2とアイウェア装置4の動きが連動するものである。
【0085】
アイウェア装置4は、さらに、画像撮像部491と、視線センサ492を備える。画像撮像部491はディスプレイ41の前側(管理者の視線の方向)に、視線センサ492はディスプレイ31の後ろ側(測定者の顔の方向)に設けられている。画像撮像部491、視線センサ492は、CCDやCMOSセンサである。視線センサ492は、目頭位置と虹彩位置の位置関係に基づき管理者の視線を検出し、ディスプレイ41における管理者の視線の位置の座標を算出する。アイウェアの通信部44は測量機の通信部20とも情報の送受信を行う。本変形例の場合、ディスプレイ41は画像撮像部491を利用したビデオシースルーのディスプレイとして構成されてもよい。
【0086】
測量機2は、さらに、画像撮像部201と、画像解析部202を備える。画像撮像部201は、例えばCCDやCMOSセンサである。画像解析部202は、画像撮像部201で撮影した画像とアイウェア側の画像撮像部491で撮影した画像をパターンマッチングして、アイウェア側の画像撮像部491が撮影した画像を測量機側の画像撮像部201で撮影した画像内で特定する。
【0087】
変形例4では、アイウェア装置4は相対方向センサ46の傾きデータを測量機2へ送信し、測量機2は受信した傾きデータに対応して水平回転駆動部13と鉛直回転駆動部14を動かし、望遠鏡2cの視軸方向を移動させる。このようにして、アイウェア装置4の動きと測量機2の動きを連動させることができる。さらに、測量機2は、管理者の視線の位置をターゲットの位置と認識して、自動でターゲットを測距測角する。これらの機能により、ステップS107の際の操作負担が低減され、また作業人数の削減も行うことが可能となる。なお、変形例4を第四の実施形態に用いるのも好ましい。
【0088】
以上、本発明の好ましい測量システムおよび測量方法について、実施の形態および変形例を述べたが、各形態および各変形を当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
1 管理システム
2 測量機(測定器)
11 水平角検出器(座標測定部)
12 鉛直角検出器(座標測定部)
17 記憶部
18 演算処理部
19 測距部(座標測定部)
20 通信部
3 処理PC
30 演算処理部
31 CAD設計データ
32 同期計測部
33 通信部
36 記憶部
4 アイウェア装置
41 ディスプレイ
42 制御部
43 演算処理部
44 通信部
45 相対位置検出センサ
46 相対方向検出センサ
47 記憶部
5 サーバ
51 通信部
52 演算処理部
53 記憶部
6 カメラ(測定器)
61 カメラ通信部
62 イメージセンサ(座標測定部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図24