(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20230904BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/14 501
B41J2/14
(21)【出願番号】P 2019215365
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】501167725
【氏名又は名称】エスアイアイ・プリンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 憲右
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特許第4576781(JP,B2)
【文献】特開2009-172969(JP,A)
【文献】特開2009-113367(JP,A)
【文献】特開2008-279614(JP,A)
【文献】特開2010-036424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射する複数のノズルを有する噴射部と、
前記ノズルから前記液体を噴射させるための駆動信号を前記噴射部に対して出力する、複数の駆動回路群と
を備え、
前記複数のノズルが、列方向に沿ってそれぞれ配置された複数のノズル列により構成されていると共に、前記複数のノズル列同士が、前記列方向と直交する方向に沿って並んで配置されており、
前記複数の駆動回路群が、
前記複数のノズル列のうちの、第1ノズル列に所属する前記ノズルを対象とした前記駆動信号である、第1駆動信号を出力する第1駆動回路群と、
前記複数のノズル列のうちの、前記第1ノズル列に隣接した第2ノズル列に所属する前記ノズルを対象とした前記駆動信号である、第2駆動信号を出力する第2駆動回路群と
を含んでおり、
前記第1駆動回路群が、前記第1駆動信号をそれぞれ出力する、m個(m:1以上の整数)の第1駆動チップを有していると共に、
前記第2駆動回路群が、前記第2駆動信号をそれぞれ出力する、n個(n:1以上の整数)の第2駆動チップを有しており、
前記第1駆動信号と前記第2駆動信号との間での駆動タイミングが、互いに異なっていると共に、
前記第1駆動チップの個数である前記mと、前記第2駆動チップの個数である前記nとが、互いに異なって
おり、
前記第1ノズル列に所属する前記ノズルのうちの連続する前記m個のノズルと、前記第2ノズル列に所属する前記ノズルのうちの連続する前記n個のノズルとが、前記列方向と交差する方向にずれるようにして互いに隣接配置されることによって、ノズルユニットが構成されると共に、
前記第1ノズル列および前記第2ノズル列において、前記列方向に沿って、複数の前記ノズルユニットが並んで配置されている
液体噴射ヘッド。
【請求項2】
前記ノズルユニット内において、前記第1ノズル列に所属する前記m個のノズルと、前記第2ノズル列に所属する前記n個のノズルとが、交互に配置されることによって、千鳥配置となっている
請求項
1に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記mと前記nとの差分の絶対値が、奇数である
請求項1
または請求項2に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
前記mと前記nとの差分の絶対値が、1である
請求項
3に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項5】
前記mおよび前記nがいずれも、10以下である
請求項1ないし請求項
4のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項6】
前記m=3であると共に、前記n=2である
請求項
5に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項7】
前記第1駆動チップによる前記第1駆動信号の対象となる前記ノズルの個数と、前記第2駆動チップによる前記第2駆動信号の対象となる前記ノズルの個数とがそれぞれ、128である
請求項1ないし請求項
6のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項8】
請求項1ないし請求項
7のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドを備えた
液体噴射記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドを備えた液体噴射記録装置が様々な分野に利用されており、液体噴射ヘッドとしては、各種方式のものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような液体噴射ヘッドでは一般に、低コスト化を図ることや、印刷画質を向上させることが求められている。低コスト化を図りつつ印刷画質を向上させることが可能な、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施の形態に係る液体噴射ヘッドは、液体を噴射する複数のノズルを有する噴射部と、ノズルから液体を噴射させるための駆動信号を前記噴射部に対して出力する複数の駆動回路群と、を備えたものである。上記複数のノズルは、列方向に沿ってそれぞれ配置された複数のノズル列により構成されていると共に、これらの複数のノズル列同士が、上記列方向と直交する方向に沿って並んで配置されている。上記複数の駆動回路群は、複数のノズル列のうちの、第1ノズル列に所属するノズルを対象とした駆動信号である、第1駆動信号を出力する第1駆動回路群と、複数のノズル列のうちの、上記第1ノズル列に隣接した第2ノズル列に所属するノズルを対象とした駆動信号である、第2駆動信号を出力する第2駆動回路群と、を含んでいる。上記第1駆動回路群は、上記第1駆動信号をそれぞれ出力する、m個(m:1以上の整数)の第1駆動チップを有していると共に、上記第2駆動回路群は、上記第2駆動信号をそれぞれ出力する、n個(n:1以上の整数)の第2駆動チップを有している。上記第1駆動信号と上記第2駆動信号との間での駆動タイミングが、互いに異なっていると共に、上記第1駆動チップの個数である上記mと、上記第2駆動チップの個数である上記nとが、互いに異なっている。上記第1ノズル列に所属するノズルのうちの連続する上記m個のノズルと、上記第2ノズル列に所属するノズルのうちの連続する上記n個のノズルとが、列方向と交差する方向にずれるようにして互いに隣接配置されることによって、ノズルユニットが構成されると共に、上記第1ノズル列および上記第2ノズル列において、列方向に沿って、複数のノズルユニットが並んで配置されている。
【0006】
本開示の一実施の形態に係る液体噴射記録装置は、上記本開示の一実施の形態に係る液体噴射ヘッドを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施の形態に係る液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置によれば、低コスト化を図りつつ、印刷画質を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る液体噴射装置の概略構成例を表すブロック図である。
【
図2】
図1に示したノズルプレートの平面構成例を表す模式図である。
【
図3】
図1に示した駆動部の構成例を表すブロック図である。
【
図4】
図3に示した駆動チップの構成例を表すブロック図である。
【
図5】実施の形態に係る各種パラメータの数値例を表す図である。
【
図6】実施例1,2に係るノズル孔および駆動信号の構成例を表す模式図である。
【
図8】実施例1に係る駆動動作例の詳細を表す模式図である。
【
図9】実施例2に係る駆動動作例の詳細を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(第1駆動チップの個数m=3,第2駆動チップの個数n=2の例)
2.変形例
【0010】
<1.実施の形態>
[プリンタ5の構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る液体噴射記録装置としてのプリンタ5の概略構成例を、ブロック図で表したものである。
図2は、
図1に示した液体噴射ヘッドとしてのインクジェットヘッド1における、後述するノズルプレート112の平面構成例(X-Y平面構成例)を、模式的に表したものである。
図3は、
図1に示した駆動部(後述する駆動部12a,12b,12c,12d)のうち、駆動部12aの構成例を、代表してブロック図で表したものである。
図4は、
図3に示した駆動チップ(後述する駆動チップ12a11,12a12,12a13,12a21,12a22)のうち、駆動チップ12a11の構成例を、代表してブロック図で表したものである。
【0011】
なお、上記した駆動部12b,12c,12dの詳細構成については、以下説明する駆動部12aの詳細構成と同様であるため、以下では、適宜説明を省略する。同様に、上記した駆動チップ12a12,12a13,12a21,12a22の詳細構成については、以下説明する駆動チップ12a11の詳細構成と同様であるため、以下では、適宜説明を省略する。また、本明細書の説明に用いられる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0012】
プリンタ5は、後述するインク9を利用して、被記録媒体(例えば、
図1中に示した記録紙P)に対し、画像や文字等の記録(印刷)を行うインクジェットプリンタである。このプリンタ5は、
図1に示したように、インクジェットヘッド1、印刷制御部2およびインクタンク3を備えている。
【0013】
なお、インクジェットヘッド1は、本開示における「液体噴射ヘッド」の一具体例に対応し、プリンタ5は、本開示における「液体噴射記録装置」の一具体例に対応している。また、インク9は、本開示における「液体」の一具体例に対応している。
【0014】
(A.印刷制御部2)
印刷制御部2は、インクジェットヘッド1に対して、各種の情報(データ)を供給するものである。具体的には
図1に示したように、印刷制御部2は、インクジェットヘッド1内の後述する複数の駆動部12a,12b,12c,12dに対してそれぞれ、印刷制御信号Scを供給するようになっている。
【0015】
なお、この印刷制御信号Scには、後述する画像データDp、吐出タイミング信号St1,St2、および、インクジェットヘッド1を動作させるための電源電圧Vp1,Vp2等が、含まれるようになっている(
図3参照)。
【0016】
(B.インクタンク3)
インクタンク3は、インク9を内部に収容するタンクである。このインクタンク3内のインク9は、
図1に示したように、インク供給管30を介して、インクジェットヘッド4内へと供給されるようになっている。なお、このようなインク供給管30は、例えば、可撓性を有するフレキシブルホースにより構成されている。
【0017】
(C.インクジェットヘッド1)
インクジェットヘッド1は、
図1中の破線の矢印で示したように、後述する複数のノズル孔Hnから記録紙Pに対して液滴状のインク9を噴射(吐出)して、画像や文字等の記録を行うヘッドである。このインクジェットヘッド1は、
図1に示したように、1つのコネクタ10と、1つの噴射部11と、4つの駆動部12a,12b,12c,12dとを備えている。
【0018】
コネクタ10は、
図1に示したように、印刷制御部2からインクジェットヘッド1(各駆動部12a,12b,12c,12d)へ向けて供給される、前述した印刷制御信号Scを入力する部分(コネクタ部分)である。なお、このようにしてコネクタ10へと入力された印刷制御信号Scは、4つの駆動部12a,12b,12c,12dごとに分岐し、これらの駆動部12a,12b,12c,12dに対してそれぞれ、印刷制御信号Sca,Scb,Scc,Scdが供給されるようになっている(
図1参照)。
【0019】
(C-1.噴射部11)
噴射部11は、複数のノズル孔Hnを有しており、上記した駆動部12a,12b,12c,12dからそれぞれ供給される駆動信号Sd(駆動電圧Vd)に従って、これらのノズル孔Hnからインク9を噴射するようになっている(
図1参照)。
【0020】
このような噴射部11は、
図1に示したように、アクチュエータプレート111およびノズルプレート112を含んで構成されている。
【0021】
(ノズルプレート112)
ノズルプレート112は、ポリイミド等のフィルム材または金属材料により構成されたプレートであり、
図1に示したように、上記した複数のノズル孔Hn(この例では2560個のノズル孔Hn1~Hn2560:以下では適宜、ノズル孔Hnと総称する)を有している。これらのノズル孔Hn1~Hn2560は、所定の間隔をおいて並んで形成されており、例えば円形状となっている。
【0022】
具体的には、
図2に示した例では、ノズルプレート112内における複数のノズル孔Hn(ノズル孔Hn1~Hn2560)が、列方向(X軸方向)に沿ってそれぞれ配置された、複数のノズル列(4つのノズル列Ana,Anb,Anc,And)により構成されている。また、これらのノズル列Ana,Anb,Anc,And同士は、列方向と直交する方向(Y軸方向)に沿って、並んで配置されている。
【0023】
ここで、詳細は後述するが、上記したノズル列Ana,Anb,Anc,Andもそれぞれ、列方向(X軸方向)に沿ってそれぞれ配置された、複数(
図2の例では2つ)のノズル列を有している。具体的には、ノズル列Anaは、Y軸方向に沿って並んで配置された、2つのノズル列Ana1,Ana2を有しており、ノズル列Anbは、Y軸方向に沿って並んで配置された、2つのノズル列Anb1,Anb2を有している(
図2参照)。同様に、ノズル列Ancは、Y軸方向に沿って並んで配置された、2つのノズル列Anc1,Anc2を有しており、ノズル列Andは、Y軸方向に沿って並んで配置された、2つのノズル列And1,And2を有している。
【0024】
なお、このようなノズル孔Hn1~Hn2560(複数のノズル孔Hn)はそれぞれ、本開示における「ノズル」の一具体例に対応している。また、上記したノズル列Ana1,Anb1,Anc1,And1はそれぞれ、本開示における「第1ノズル列」の一具体例に対応し、ノズル列Ana2,Anb2,Anc2,And2はそれぞれ、本開示における「第2ノズル列」の一具体例に対応している。
【0025】
(アクチュエータプレート111)
アクチュエータプレート111は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料により構成されたプレートである。このアクチュエータプレート111には、複数のチャネル(圧力室)が設けられている。これらのチャネルは、インク9に対して圧力を印加するための部分であり、所定の間隔をおいて互いに平行となるよう、並んで配置されている。各チャネルは、圧電体からなる駆動壁(不図示)によってそれぞれ画成されており、断面視にて凹状の溝部となっている。
【0026】
このようなチャネルには、インク9を吐出させるための吐出チャネルCe(
図1参照)と、インク9を吐出させないダミーチャネル(非吐出チャネル)とが、存在している。言い換えると、吐出チャネルCeにはインク9が充填される一方、ダミーチャネルにはインク9が充填されないようになっている。なお、各吐出チャネルCeに対するインク9の充填は、例えば、そのような各吐出チャネルCeに共通して連通する流路(共通流路:不図示)を介して、行われるようになっている。また、各吐出チャネルCeは、ノズルプレート112におけるノズル孔Hnと個別に連通している一方、各ダミーチャネルは、ノズル孔Hnには連通しないようになっている。これらの吐出チャネルCeとダミーチャネルとは、前述した列方向(X軸方向)に沿って、交互に並んで配置されている。
【0027】
また、上記した駆動壁における対向する内側面にはそれぞれ、駆動電極(不図示)が設けられている。この駆動電極には、吐出チャネルCeに面する内側面に設けられたコモン電極(共通電極)と、ダミーチャネルに面する内側面に設けられたアクティブ電極(個別電極)とが、存在している。これらの駆動電極と、後述する駆動部12a,12b,12c,12dとの間は、フレキシブル基板(不図示)に形成された複数の引き出し電極(不図示)を介して、電気的に接続されている。これにより、このフレキシブル基板を介して、駆動部12a,12b,12c,12dから各駆動電極に対し、前述した駆動電圧Vd(駆動信号Sd)が印加されるようになっている(
図1参照)。
【0028】
(C-2.駆動部12a,12b,12c,12d)
駆動部12a,12b,12c,12dはそれぞれ、
図1に示したように、噴射部11における対応する複数のノズル孔Hn対して、各ノズル孔Hnからインク9を噴射させるための駆動信号Sd(駆動電圧Vd)を供給する回路である。また、各駆動部12a,12b,12c,12dは、そのような駆動信号Sdを噴射部11に対して出力する、複数(
図1の例では2つ)の駆動回路群を有している。具体的には、
図1に示したように、駆動部12aは、2つの駆動回路群12a1,12a2を有し、駆動部12bは、2つの駆動回路群12b1,12b2を有している。また、駆動部12cは、2つの駆動回路群12c1,12c2を有し、駆動部12dは、2つの駆動回路群12d1,12d2を有している。
【0029】
図1,
図2に示したように、駆動部12a内の駆動回路群12a1,12a2からは、ノズル孔Hn1~Hn640(ノズル列Ana)に対応する駆動信号Sda1,Sda2がそれぞれ出力されている。同様に、駆動部12b内の駆動回路群12b1,12b2からは、ノズル孔Hn641~Hn1280(ノズル列Anb)に対応する駆動信号Sdb1,Sdb2がそれぞれ出力されている。駆動部12c内の駆動回路群12c1,12c2からは、ノズル孔Hn1281~Hn1920(ノズル列Anc)に対応する駆動信号Sdc1,Sdc2がそれぞれ出力されている。駆動部12d内の駆動回路群12d1,12d2からは、ノズル孔Hn1921~Hn2560(ノズル列And)に対応する駆動信号Sdが出力されている。すなわち、駆動部12a,12b,12c,12dからはそれぞれ、各ノズル列Ana,Anb,Anc,Andに所属する、640個分のノズル孔Hnに対応した駆動信号Sdが、出力されるようになっている。
【0030】
また、詳細は後述するが、駆動回路群12a1,12b1,12c1,12d1はそれぞれ、各ノズル列Ana,Anb,Anc,Andのうちの、前述したノズル列Ana1,Anb1,Anc1,And1に所属するノズル孔Hnを対象とした、駆動信号Sd(駆動信号Sda1,Sdb1,Sdc1,Sdd1)を出力するようになっている(
図1,
図2参照)。同様に、駆動回路群12a2,12b2,12c2,12d2はそれぞれ、各ノズル列Ana,Anb,Anc,Andのうちの、前述したノズル列Ana2,Anb2,Anc2,And2に所属するノズル孔Hnを対象とした、駆動信号Sd(駆動信号Sda2,Sdb2,Sdc2,Sdd2)を出力するようになっている。
【0031】
なお、このような駆動回路群12a1,12b1,12c1,12d1はそれぞれ、本開示における「第1駆動回路群」の一具体例に対応し、駆動回路群12a2,12b2,12c2,12d2はそれぞれ、本開示における「第2駆動回路群」の一具体例に対応している。また、上記した駆動信号Sda1,Sdb1,Sdc1,Sdd1はそれぞれ、本開示における「第1駆動信号」の一具体例に対応し、駆動信号Sda2,Sdb2,Sdc2,Sdd2はそれぞれ、本開示における「第2駆動信号」の一具体例に対応している。
【0032】
ここで、
図3に示したように、駆動部12aにおける駆動回路群12a1は、上記した駆動信号Sda1をそれぞれ出力する、3つの駆動チップ12a11,12a12,12a13を有しており、駆動回路群12a2は、上記した駆動信号Sda2をそれぞれ出力する、2つの駆動チップ12a21,12a22を有している。同様に、駆動部12bにおける駆動回路群12b1は、駆動信号Sdb1をそれぞれ出力する、3つの駆動チップ(不図示)を有しており、駆動回路群12b2は、駆動信号Sdb2をそれぞれ出力する、2つの駆動チップ(不図示)を有している。また、駆動部12cにおける駆動回路群12c1は、駆動信号Sdc1をそれぞれ出力する、3つの駆動チップ(不図示)を有しており、駆動回路群12c2は、駆動信号Sdc2をそれぞれ出力する、2つの駆動チップ(不図示)を有している。駆動部12dにおける駆動回路群12d1は、駆動信号Sdd1をそれぞれ出力する、3つの駆動チップ(不図示)を有しており、駆動回路群12d2は、駆動信号Sdd2をそれぞれ出力する、2つの駆動チップ(不図示)を有している。
【0033】
つまり、
図1~
図3の例では、4つの駆動部12a,12b,12c,12d内にそれぞれ、5個(=3個+2個)の駆動チップが設けられており、インクジェットヘッド1全体としては、20個(=5個×4)の駆動チップが設けられている。したがって、
図1~
図3の例では、前述したように、インクジェットヘッド1内に2560個のノズル孔Hn(Hn1~Hn2560)が設けられていることから、各駆動チップからは、128個(=2560/20)のノズル孔Hnに対応する駆動信号Sdが、出力されることになる。
【0034】
なお、このような各駆動チップは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により構成されている。
【0035】
また、上記した駆動チップ12a11,12a12,12a13、および、各駆動回路群12b1,12c1,12d1内の3つの駆動チップはそれぞれ、本開示における「第1駆動チップ」の一具体例に対応している。同様に、上記した駆動チップ12a21,12a22、および、各駆動回路群12b2,12c2,12d2内の2つの駆動チップはそれぞれ、本開示における「第2駆動チップ」の一具体例に対応している。
【0036】
ここで、
図3に示した駆動部12aにおいて、駆動チップ12a11は、印刷制御信号Scaに含まれる画像データDp(Dpa11)、吐出タイミング信号St1および電源電圧Vp1に基づいて、上記した駆動信号Sda1としての駆動信号Sda11を生成して出力するとともに、画像データDp(Dpa12)を、駆動チップ12a12へと転送する。また、駆動チップ12a12は、駆動チップ12a11から転送された画像データDpa12と、印刷制御信号Scaに含まれる吐出タイミング信号St1および電源電圧Vp1とに基づいて、上記した駆動信号Sda1としての駆動信号Sda12を生成して出力するとともに、画像データDp(Dpa13)を、駆動チップ12a13へと転送する。また、駆動チップ12a13は、駆動チップ12a12から転送された画像データDpa13と、印刷制御信号Scaに含まれる吐出タイミング信号St1および電源電圧Vp1とに基づいて、上記した駆動信号Sda1としての駆動信号Sda13を生成して出力する。
【0037】
同様に、
図3に示した駆動部12aにおいて、駆動チップ12a21は、印刷制御信号Scaに含まれる画像データDp(Dpa21)、吐出タイミング信号St2および電源電圧Vp2に基づいて、上記した駆動信号Sda2としての駆動信号Sda21を生成して出力するとともに、画像データDp(Dpa22)を、駆動チップ12a22へと転送する。また、駆動チップ12a22は、駆動チップ12a21から転送された画像データDpa22と、印刷制御信号Scaに含まれる吐出タイミング信号St2および電源電圧Vp2とに基づいて、上記した駆動信号Sda2としての駆動信号Sda22を生成して出力する。
【0038】
なお、このような各駆動チップにおける駆動信号Sdの生成動作は、他の駆動部12b,12c,12d内の各駆動チップにおいても、同様である。
【0039】
また、
図4に示したように、上記した駆動チップ12a11は、シフトレジスタ部121、ラッチ回路部122、波形選択回路部123およびレベル変換部124を有している。なお、前述した他の駆動チップにおいても、同様の構成となっている。
【0040】
シフトレジスタ部121は、
図4に示したように、複数のノズル孔Hnごとの画素データDp(Dpa11)を、複数のノズル孔Hnごとの駆動信号Sd(Sda11)に対応して、前段側から後段側へと順次転送して保持する回路である。このシフトレジスタ部121は、対応する複数のノズル孔Hnの個数と同数(この例では128個)の、FF(フリップフロップ)回路41を有しており、各FF回路41において、例えば4ビットの画素データDpを保持することが可能となっている。
【0041】
ラッチ回路部122は、
図4に示したように、シフトレジスタ部121内の各FF回路41から出力される、複数のノズル孔Hnごとの画素データDpを、前述した吐出タイミング信号St1に同期して保持する回路である。このラッチ回路部122は、対応する複数のノズル孔Hnの個数と同数(この例では128個)の、ラッチ回路42を有しており、各ラッチ回路42において、例えば4ビットの画素データDpを保持することが可能となっている。
【0042】
波形選択回路部123は、
図4に示したように、ラッチ回路部122内の各ラッチ回路42から出力される、複数のノズル孔Hnごとの画素データDpと、前述した吐出タイミング信号St1とに基づいて、駆動信号Sdの基となる波形信号を生成する回路である。この波形選択回路部123は、対応する複数のノズル孔Hnの個数と同数(この例では128個)の、波形選択回路43を有しており、各波形選択回路43において、そのような波形信号の生成を行うようになっている。
【0043】
レベル変換部124は、
図4に示したように、波形選択回路部123内の各波形選択回路43から出力される、複数のノズル孔Hnごとの波形信号に基づいて、複数のノズル孔Hnごとの駆動信号Sd(Sda11)を生成する回路である。このレベル変換部124は、対応する複数のノズル孔Hnの個数と同数(この例では128個)の、レベル変換回路44を有している。そして、各レベル変換回路44は、前述した電源電圧Vpに基づいて、各波形信号のレベル(電圧値)の変換を行うことにより、128個分の各ノズル孔Hnに対応する駆動電圧Vdを有する駆動信号Sd(Sda11(1)~Sda11(128))を、それぞれ生成するようになっている(
図4参照)。
【0044】
[インクジェットヘッド1の詳細構成]
続いて、
図1~
図4に加えて
図5,
図6を参照して、本実施の形態のインクジェットヘッド1の詳細構成例について、説明する。
【0045】
図5は、本実施の形態に係る各種パラメータの数値例を表したものである。また、
図6は、本実施の形態における実施例1,2に係るノズル孔Hnおよび駆動信号Sd(Sda1,Sda2)の構成例をそれぞれ、模式的に表したものである。具体的には、
図6(A)は、実施例1に係る構成例を示し、
図6(B)は、実施例2に係る構成例を示している。なお、
図6(および後述する
図7~
図9)においては、説明を簡便にするため、前述した4つのノズル列(ノズル列Ana,Anb,Anc,And)のうちの1列分(ノズル列Ana)について、代表して示している。
【0046】
まず、
図5に示したように、本実施の形態では、駆動回路群12a1,12b1,12c1,12d1内の駆動チップの個数m(m:1以上の整数)と、駆動回路群12a2,12b2,12c2,12d2内の駆動チップの個数n(n:1以上の整数)とが、互いに異なっている(m≠n)。また、これらの駆動チップの個数m,nはいずれも、例えば、10以下となっている(m≦10,n≦10)。更に、以下説明する実施例1,2の場合には、これらの駆動チップの個数m,nは、(m=3,n=2)となっている。
【0047】
また、
図5に示したように、本実施の形態では、上記した駆動チップの個数m,nの差分の絶対値|m-n|が、奇数となっている。具体的には、以下説明する実施例1,2の場合には、このような個数m,nの差分の絶対値|m-n|=1となっている。
【0048】
更に、
図5に示したように、本実施の形態(以下説明する実施例1,2)では、各駆動チップによる駆動信号Sdの対象となるノズル孔Hnの個数x(駆動信号Sda1,Sdb1,Sdc1,Sdd1の対象となるノズル孔Hnの個数、および、駆動信号Sda2,Sdb2,Sdc2,Sdd2の対象となるノズル孔Hnの個数)が、x=128となっている。
【0049】
また、
図6(A),
図6(B)に示したように、本実施の形態(実施例1,2)では、ノズル列Ana1に所属するノズル孔Hnのうちの連続する3個のノズル孔Hnと、ノズル列Ana2に所属するノズル孔Hnのうちの連続する2個のノズル孔Hnとが、列方向(X軸方向)と交差する方向にずれるようにして互いに隣接配置されることによって、ノズルユニットUnが構成されている。そして、これらのノズル列Ana1,Ana2において、列方向(X軸方向)に沿って、複数のノズルユニットUn(実施例1,2では、128個のノズルユニットUn1~Un128)が、並んで配置されている。
【0050】
具体的には、
図6(A)に示した実施例1では、以下のようにして、各ノズルユニットUnが構成されている。すなわち、ノズルユニットUn1では、ノズル列Ana1に所属する3個のノズル孔Hn1,Hn2,Hn3が、連続して並んで配置されると共に、ノズル列Ana2に所属する2個のノズル孔Hn4,Hn5が、連続して並んで配置されている。また、ノズルユニットUn2では、ノズル列Ana1に所属する3個のノズル孔Hn6,Hn7,Hn8が、連続して並んで配置されると共に、ノズル列Ana2に所属する2個のノズル孔Hn9,Hn10が、連続して並んで配置されている。なお、その後のノズルユニットUn3~Un127についても、同様にして構成されている。そして、ノズルユニットUn128では、ノズル列Ana1に所属する3個のノズル孔Hn636,Hn637,Hn638が、連続して並んで配置されると共に、ノズル列Ana2に所属する2個のノズル孔Hn639,Hn640が、連続して並んで配置されている。
【0051】
一方、
図6(B)に示した実施例2では、各ノズルユニットUn内において、ノズル列Ana1に所属する3個のノズル孔Hnと、ノズル列Ana2に所属する2個のノズル孔Hnとが、交互に配置されることで、千鳥配置となっている。すなわち、ノズルユニットUn1では、ノズル列Ana1に所属する3個のノズル孔Hn1,Hn3,Hn5と、ノズル列Ana2に所属する2個のノズル孔Hn2,Hn4とが、交互に配置されることで、千鳥配置となっている。また、ノズルユニットUn2では、ノズル列Ana1に所属する3個のノズル孔Hn6,Hn8,Hn10と、ノズル列Ana2に所属する2個のノズル孔Hn7,Hn9とが、交互に配置されることで、千鳥配置となっている。なお、その後のノズルユニットUn3~Un127についても、同様にして構成されている。そして、ノズルユニットUn128では、ノズル列Ana1に所属する3個のノズル孔Hn636,Hn638,Hn640と、ノズル列Ana2に所属する2個のノズル孔Hn637,Hn639とが、交互に配置されることで、千鳥配置となっている。
【0052】
また、本実施の形態(実施例1,2)では、詳細は後述するが、ノズル列Ana1,Anb1,Anc1,And1内の各ノズル孔Hnと、ノズル列Ana2,Anb2,Anc2,And2内の各ノズル孔Hnとの間で、互いに異なるタイミングでインク9が噴射されるようになっている(
図6(A),
図6(B)参照)。すなわち、駆動回路群12a1,12b1,12c1,12d1から出力される駆動信号Sda1,Sdb1,Sdc1,Sdd1と、駆動回路群12a2,12b2,12c2,12d2から出力される駆動信号Sda2,Sdb2,Sdc2,Sdd2との間での駆動タイミングが、互いに異なっている。
【0053】
[動作および作用・効果]
(A.プリンタ5の基本動作)
このプリンタ5では、以下のようなインクジェットヘッド1によるインク9の噴射動作を用いて、被記録媒体(記録紙P等)に対する画像や文字等の記録動作(印刷動作)が行われる。具体的には、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、以下のようにして、せん断(シェア)モードを用いたインク9の噴射動作が行われる。
【0054】
まず、各駆動部12a,12b,12c,12dはそれぞれ、噴射部11におけるアクチュエータプレート111内の前述した駆動電極(コモン電極およびアクティブ電極)に対し、駆動電圧Vd(駆動信号Sd)を印加する。具体的には、各駆動部12a,12b,12cは、前述した吐出チャネルCeを画成する一対の駆動壁に配置された各駆動電極に対し、駆動電圧Vdを印加する。これにより、これら一対の駆動壁がそれぞれ、その吐出チャネルCeに隣接するダミーチャネル側へ、突出するように変形する。
【0055】
このとき、駆動壁における深さ方向の中間位置を中心として、駆動壁がV字状に屈曲変形することになる。そして、このような駆動壁の屈曲変形により、吐出チャネルCeがあたかも膨らむように変形する。このように、一対の駆動壁での圧電厚み滑り効果による屈曲変形によって、吐出チャネルCeの容積が増大する。そして、吐出チャネルの容積が増大することにより、インク9が吐出チャネルCe内へ誘導されることになる。
【0056】
次いで、このようにして吐出チャネルCe内へ誘導されたインク9は、圧力波となって吐出チャネルCeの内部に伝播する。そして、ノズルプレート112のノズル孔Hnにこの圧力波が到達したタイミング(またはその近傍のタイミング)で、駆動電極に印加される駆動電圧Vdが、0(ゼロ)Vとなる。これにより、上記した屈曲変形の状態から駆動壁が復元する結果、一旦増大した吐出チャネルCeの容積が、再び元に戻ることになる。
【0057】
このようにして、吐出チャネルの容積が元に戻る過程で、吐出チャネルCe内部の圧力が増加し、吐出チャネルCe内のインク9が加圧される。その結果、液滴状のインク9が、ノズル孔Hnを通って外部へと(記録紙Pへ向けて)吐出される(
図1参照)。このようにしてインクジェットヘッド1におけるインク9の噴射動作(吐出動作)がなされ、その結果、記録紙Pに対する画像や文字等の記録動作が行われる。
【0058】
(B.駆動動作の詳細)
次に、
図1~
図6に加えて
図7~
図9を参照して、本実施の形態のインクジェットヘッド1における駆動動作の詳細について、比較例(
図7)と比較しつつ説明する。
【0059】
(B-1.比較例)
図7は、比較例に係るインクジェットヘッド101における駆動部102aによる駆動動作を、模式的に表したものである。なお、この
図7中の各ノズル孔Hnにおいては、前述した実施例1,2との対比を分かり易くするため、便宜上、実施例1,2における各ノズル列Ana1,Ana2に所属しているノズル孔Hnと、同様のハッチングを付して示している。
【0060】
まず、この比較例のインクジェットヘッド101では、例えば前述した
図6(A),
図6(B)に示した、本実施の形態(実施例1,2)のインクジェットヘッド1とは異なり、ノズル列An101内の各ノズル孔Hn(Hn1~Hn640)が、列方向(X軸方向)に沿って、1列に並んで配置されている。
【0061】
したがって、この比較例では前述した実施例1,2とは異なり、ノズル列Ana101内の全てのノズル孔Hnにおいて、同一のタイミングで、インク9が噴射されるようになっている。すなわち、
図7に示したように、駆動部102aから出力される単一の駆動信号Sda101によって、ノズル列Ana101内における全てのノズル孔Hnが、駆動されるようになっている。
【0062】
このようにして比較例のインクジェットヘッド101では、ノズル列Ana101内の全てのノズル孔Hnにおいて、同一のタイミングでインク9が噴射されることから、以下のようなクロストーク現象が発生し、吐出安定性が低下してしまうおそれがある。なお、このクロストーク現象は、噴射部11内で近くに位置する吐出チャネルCe(圧力室)を多数駆動した際に発生して合成された圧力波が、この噴射部11内の前述した共通流路(不図示)に存在するインク9を介して、同じノズル列内や他のノズル列へと伝達されることに起因して発生する。そして、このようなクロストーク現象が発生すると、例えば、駆動された吐出チャネルCeにより発生した圧力波同士が、互いの圧力波を打ち消し合うか、もしくは、重なり合うこととなり、その結果、上記したように、吐出安定性が低下してしまうおそれがある。
【0063】
ここで、このような比較例では、駆動部102a(駆動回路)における実装面積の削減や、制御方法の簡略化などの目的のため、ノズル列Ana101内における全てのノズル孔Hnを、同一のタイミングで一括駆動させるようにしている。また、この比較例においても、前述した本実施の形態と同様に、駆動部102a内の各駆動チップによる駆動信号Sda101の対象となるノズル孔Hnの個数xは、x=128となっている。つまり、1つの駆動タイミングで同時に駆動可能なノズル孔Hnの個数が、128個となっている。
【0064】
一般的には、1つの駆動タイミングで同時に駆動可能なノズル孔Hnの個数(上記した個数x)が、多ければ多いほど、上記した駆動回路の実装面積の削減等の効果も、大きくなる。ただし、1つのノズル列内(1列当たり)のノズル孔Hnの個数が、各駆動チップによる対象となるノズル孔Hnの個数x(本実施の形態では、上記したように、x=128)の倍数ではない場合には、無駄な駆動チップを必要とすることになる。
【0065】
具体例として、前述した本実施の形態と同様に、この比較例のインクジェットヘッド101においても、ノズル孔Hnの個数が、2560個(ノズル孔Hn1~Hn2560)であるものとする。この場合、ノズルプレートにおけるノズル列の構成は、例えば以下のような、(640個のノズル孔Hn/1列)×4列の構成の場合(前述した
図2参照)と、(320個のノズル孔Hn/1列)×8列の構成の場合とが、挙げられる。
【0066】
(A)(640個のノズル孔Hn/1列)×4列の構成の場合
この場合、(128個のノズル孔Hn/駆動チップ)×5個の駆動チップ=640個のノズル孔Hnとなることから、ノズル列の1列を、5個の駆動チップで構成することになる。このため、ノズル列の4列(インクジェットヘッド101全体)では、(5個×4列)=20個の駆動チップを使用することになる。
【0067】
(B)(320個のノズル孔Hn/1列)×8列の構成の場合
この場合、(128個のノズル孔Hn/駆動チップ)×2.5個の駆動チップ=320個のノズル孔Hnとなることから、ノズル列の1列を、3個の駆動チップで構成することになる。このため、ノズル列の8列(インクジェットヘッド101全体)では、(3個×8列)=24個の駆動チップを使用することになる。
【0068】
ここで、上記したクロストーク現象の発生を抑えることを考慮した場合、1列当たりのノズル孔Hnの個数が相対的に少ない、上記(B)の場合のほうが、望ましいと言える。ただし、この(B)の場合には、上記(A)の場合と比べ、駆動チップの個数が増加する(4個分の無駄な駆動チップが発生する)ことから、駆動部102a(駆動回路全体)での部品コストが、増大してしまうことになる。また、そのような駆動チップの個数の増加が生じると、実装面積の増大によるインクジェットヘッド101の肥大化や、消費電力の増加等の、デメリットも生じ得る。
【0069】
一方で、上記(A)の場合には、ノズル列の1列を、ちょうど5個の駆動チップで構成できることから、上記(B)の場合のような、無駄な駆動チップは発生しないことになる。ただし、この(A)の場合、上記したように、1列当たりのノズル孔Hnの個数が増加することから、前述したクロストーク現象が増大し、吐出安定性が低下してしまうおそれがある。
【0070】
ちなみに、上記したような無駄な駆動チップの発生を抑制するために、例えばインクジェットヘッド101において、被記録媒体に対する印刷幅を変更すると共に、1列当たりのノズル孔Hnの個数が、上記したノズル孔Hnの個数xの倍数となるように変更する手法も、考えられる。しかしながら、この手法では、例えば、印刷の際の利便性が損なわれたり、インクジェットヘッド101の生産性が低下する(例えば、同じ幅のPZTウェハを使用できなくなる)等の問題が、生じ得る。
【0071】
このようにして、比較例のインクジェットヘッド101では、駆動部102a(駆動回路全体)での部品コストを抑えたり、吐出安定性を向上させることが困難であり、高コスト化や印刷画質の低下が生じるおそれがあると言える。
【0072】
(B-2.本実施の形態)
これに対して、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、上記した比較例とは異なり、以下のようにして駆動動作が行われるようになっている。
【0073】
図8は、前述した実施例1(
図6(A)参照)に係る駆動動作例の詳細を、模式的に表したものである。具体的には、
図8(A)は、前述した
図6(A)に対応する模式図を示し、
図8(B)は、この実施例1の場合における、駆動信号Sd(前述した駆動信号Sda1,Sda2の例)における各データの割り当て例を、示している。同様に、
図9は、前述した実施例2(
図6(B)参照)に係る駆動動作例の詳細を、模式的に表したものである。具体的には、
図9(A)が、前述した
図6(B)に対応する模式図を示し、
図9(B)が、この実施例2の場合における、駆動信号Sd(前述した駆動信号Sda1,Sda2の例)における各データの割り当て例を、示している。なお、
図8(B),
図9(B)中の駆動信号Sda1,Sda2において示した、(1)~(128)はそれぞれ、各駆動信号Sda11~Sda13,Sda21,Sda22における、データの割り当て番号を、示している。
【0074】
まず、本実施の形態(実施例1,2)では、前述したように、駆動回路群12a1,12b1,12c1,12d1内の駆動チップの個数mと、駆動回路群12a2,12b2,12c2,12d2内の駆動チップの個数nとが、互いに異なっている(m≠n)。
【0075】
そして、本実施の形態では、前述したように、駆動回路群12a1,12b1,12c1,12d1から出力される駆動信号Sda1,Sdb1,Sdc1,Sdd1と、駆動回路群12a2,12b2,12c2,12d2から出力される駆動信号Sda2,Sdb2,Sdc2,Sdd2との間での駆動タイミングが、互いに異なっている。言い換えると、
図8,
図9に示した場合で説明すると、駆動回路群12a1内の駆動チップ12a11~12a13から出力される駆動信号Sda1(Sda11~Sda13)によって、ノズル列Ana1内の各ノズル孔Hnが駆動される。一方、駆動回路群12a2内の駆動チップ12a21,12a22から出力される駆動信号Sda2(Sda21,Sda22)によって、ノズル列Ana2内の各ノズル孔Hnが駆動されるようになっている。
【0076】
(実施例1)
具体的には、
図6(A),
図8に示した実施例1では、ノズル列Ana1内のノズル孔Hn1,Hn2,Hn3,Hn6,Hn7,Hn8,…,Hn636,Hn637,Hn638がそれぞれ、上記した駆動信号Sda11~Sda13により、
図8(B)に示したデータの割り当て順序にて(各データユニットUd1~Ud128を用いて)、駆動される。すなわち、
図8(B)に示した、駆動信号Sda11(1)~Sda11(128),Sda12(1)~Sda12(128),Sda13(1)~Sda13(128)によるデータの割り当て順序にて、ノズル列Ana1内の各ノズル孔Hn1,Hn2,Hn3,Hn6,Hn7,Hn8,…,Hn636,Hn637,Hn638が、駆動されるようになっている。
【0077】
また、この実施例1では、ノズル列Ana2内のノズル孔Hn4,Hn5,Hn9,Hn10,…,Hn639,Hn640がそれぞれ、上記した駆動信号Sda21,Sda22により、
図8(B)に示したデータの割り当て順序にて(各データユニットUd1~Ud128を用いて)、駆動される。すなわち、
図8(B)に示した、駆動信号Sda21(1)~Sda21(128),Sda22(1)~Sda22(128)によるデータの割り当て順序にて、ノズル列Ana2内の各ノズル孔Hn4,Hn5,Hn9,Hn10,…,Hn639,Hn640が、駆動されるようになっている。
【0078】
なお、
図8(B)に示した、実施例1における各データユニットUd(Ud1~Ud128)は、
図8(A)に示した実施例1の各ノズルユニットUn(Un1~Un128)と同様に、駆動信号Sda1における3個の連続するデータと、駆動信号Sda2における2個の連続するデータとによって、構成されている。
【0079】
(実施例2)
一方、
図6(B),
図9に示した実施例2では、ノズル列Ana1内のノズル孔Hn1,Hn3,Hn5,Hn6,Hn8,Hn10,…,Hn636,Hn638,Hn640がそれぞれ、上記した駆動信号Sda11~Sda13により、
図9(B)に示したデータの割り当て順序にて(各データユニットUd1~Ud128を用いて)、駆動される。すなわち、
図9(B)に示した、駆動信号Sda11(1)~Sda11(128),Sda12(1)~Sda12(128),Sda13(1)~Sda13(128)によるデータの割り当て順序にて、ノズル列Ana1内の各ノズル孔Hn1,Hn3,Hn5,Hn6,Hn8,Hn10,…,Hn636,Hn638,Hn640が、駆動されるようになっている。
【0080】
また、この実施例2では、ノズル列Ana2内のノズル孔Hn2,Hn4,Hn7,Hn9,…,Hn637,Hn639がそれぞれ、上記した駆動信号Sda21,Sda22により、
図9(B)に示したデータの割り当て順序にて(各データユニットUd1~Ud128を用いて)、駆動される。すなわち、
図9(B)に示した、駆動信号Sda21(1)~Sda21(128),Sda22(1)~Sda22(128)によるデータの割り当て順序にて、ノズル列Ana2内の各ノズル孔Hn2,Hn4,Hn7,Hn9,…,Hn637,Hn639が、駆動されるようになっている。
【0081】
なお、
図9(B)に示した、実施例2における各データユニットUd(Ud1~Ud128)では、
図9(A)に示した実施例2の各ノズルユニットUn(Un1~Un128)と同様に、駆動信号Sda1における3個のデータと、駆動信号Sda2における2個のデータとが、千鳥配置されている。
【0082】
ちなみに、ここで重要なのは、これらの実施例1,2のいずれにおいても、各ノズルユニットUn内のノズル孔Hnの個数が、5個(=各駆動チップの個数m,nの和)になっているということである。このようなノズルユニットUnの構成となっているのであれば、上記した実施例1,2とは異なるノズル配列(ノズルユニットUnの構成)とすることも可能である。
【0083】
(B-3.作用・効果)
このようにして、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、駆動回路群12a1,12b1,12c1,12d1から出力される駆動信号Sda1,Sdb1,Sdc1,Sdd1と、駆動回路群12a2,12b2,12c2,12d2から出力される駆動信号Sda2,Sdb2,Sdc2,Sdd2との間での駆動タイミングが、互いに異なっているため、以下のようになる。すなわち、駆動信号Sda1,Sdb1,Sdc1,Sdd1の対象となるノズル列Ana1,Anb1,Anc1,And1内の各ノズル孔Hnと、駆動信号Sda2,Sdb2,Sdc2,Sdd2の対象となるノズル列Ana2,Anb2,Anc2,And2内の各ノズル孔Hnとの間で、互いに異なるタイミングでインク9が噴射されることになる。その結果、本実施の形態では上記比較例と比べ、前述したクロストーク現象の発生が抑えられ、吐出安定性が向上する。
【0084】
また、このインクジェットヘッド1では、駆動回路群12a1,12b1,12c1,12d1内の駆動チップの個数mと、駆動回路群12a2,12b2,12c2,12d2内の駆動チップの個数nとが、互いに異なっている(m≠n)ことから、以下のようになる。すなわち、インクジェットヘッド1全体として、これらの駆動チップをそれぞれ、ノズル列Ana1,Anb1,Anc1,And1,Ana2,Anb2,Anc2,And2ごとに、適切に配置できるようになる。その結果、本実施の形態では、駆動回路群12a1,12b1,12c1,12d1および駆動回路群12a2,12b2,12c2,12d2の全体として必要となる駆動チップの個数が、少なくて済む(無駄な駆動チップの発生を、回避できる)ようになり、これらの駆動回路群全体での部品コストが、抑えられる。
【0085】
以上のようにして、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、駆動回路群全体での部品コストを抑えつつ、吐出安定性を向上させることができることから、上記比較例等と比べ、低コスト化を図りつつ、印刷画質を向上させることが可能となる。また、本実施の形態では、インクジェットヘッド1における消費電力を低減(デジタル回路の無駄な動作を抑制)したり、プリンタ5の肥大化を抑制することも可能となる。
【0086】
また、本実施の形態では、各ノズルユニットUn内において、ノズル列Ana1,Anb1,Anc1,And1における連続するm個のノズル孔Hnと、ノズル列Ana2,Anb2,Anc2,And2における連続するn個のノズル孔Hnとが、列方向(X軸方向)と交差する方向にずれるようにして、互いに隣接配置されていることから、以下のようになる。すなわち、例えば上記比較例のように、複数のノズル孔Hn(各ノズルユニットUn内における(m+n)個のノズル孔Hn)が、列方向(X軸方向)に沿って1列に並んで配置されている場合と比べ、隣接するノズル孔Hn間の距離が大きくなる。このため、同時期に噴射されて被記録媒体(記録紙P等)へ向けて飛翔している液滴間の距離が増加することから、ノズル孔Hnから被記録媒体の間にて飛翔中の液滴が局所的に集中することを、緩和させることができる。これにより本実施の形態では、飛翔した各液滴に及ぼす影響(気流の発生)が抑えられ、被記録媒体上での木目調の濃度むらの発生が抑えられる結果、印刷画質を更に向上させることが可能となる。
【0087】
更に、本実施の形態では、各ノズルユニットUn内において、ノズル列Ana1,Anb1,Anc1,And1におけるm個のノズル孔Hnと、ノズル列Ana2,Anb2,Anc2,And2におけるn個のノズル孔Hnとが、交互に配置されることで、千鳥配置とした場合(前述した実施例2の場合)には、以下のようになる。すなわち、例えば、上記した駆動チップの個数m,nがそれぞれ、大きな値になった場合であっても、上記した千鳥配置となっていることで、上記したような液滴の局所的な集中を、効率良く緩和させることができる。これにより本実施の形態では、上記した木目調の濃度むらの発生が更に抑えられる結果、印刷画質をより一層向上させることが可能となる。
【0088】
加えて、本実施の形態では、上記した駆動チップの個数m,nの差分の絶対値|m-n|が、奇数であることから、以下のようになる。すなわち、上記したクロストーク現象の発生が抑えられ易くなり、吐出安定性が更に向上するとともに、インクジェットヘッド1全体での駆動チップの実装数を抑えつつ、インクジェットヘッド1の消費電力も抑えられる。その結果、本実施の形態では、更なる低コスト化を図りつつ、印刷画質を更に向上させることが可能となる。
【0089】
また、本実施の形態では、上記した駆動チップの個数m,nの差分の絶対値|m-n|=1であることから、以下のようになる。すなわち、インクジェットヘッド1全体での駆動チップの実装数を最大限に抑えつつ、インクジェットヘッド1の消費電力も最大限に抑えられる。その結果、本実施の形態では、より一層の低コスト化を図ることが可能となる。
【0090】
更に、本実施の形態では、上記した駆動チップの個数m,nがいずれも、10以下である(m≦10,n≦10)ことから、以下のようになる。すなわち、上記したクロストーク現象の発生を抑えつつ、駆動チップの個数の増大を抑えることができる(駆動チップの個数を、適切な範囲に設定できる)。その結果、本実施の形態では、上記した駆動回路群全体での部品コストを、更に抑えることができ、更なる低コスト化を図ることが可能となる。
【0091】
加えて、本実施の形態では、上記した駆動チップの個数m=3,n=2であることから、上記したクロストーク現象の発生を抑えつつ、駆動チップの個数の増大を、更に抑えることができる(駆動チップの個数を、より適切な範囲に設定できる)。その結果、本実施の形態では、上記した駆動回路群全体での部品コストを、より一層抑えることができ、より一層の低コスト化を図ることが可能となる。
【0092】
また、本実施の形態では、各駆動チップによる駆動信号Sdの対象となるノズル孔Hnの個数x(駆動信号Sda1,Sdb1,Sdc1,Sdd1の対象となるノズル孔Hnの個数、および、駆動信号Sda2,Sdb2,Sdc2,Sdd2の対象となるノズル孔Hnの個数)が、x=128であることから、以下のようになる。すなわち、各駆動チップの実装効率が向上するとともに、回路設計の際の自由度も向上することになる。その結果、本実施の形態では、上記した駆動回路群全体での部品コストを更に抑えることができ、更なる低コスト化を図ることが可能になるとともに、利便性を向上させることも可能となる。
【0093】
<2.変形例>
以上、実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示はこの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。
【0094】
例えば、上記実施の形態では、プリンタ5およびインクジェットヘッド1における各部材の構成例(形状、配置、個数等)を具体的に挙げて説明したが、上記実施の形態で説明したものには限られず、他の形状や配置、個数等であってもよい。
【0095】
具体的には、上記実施の形態では、印刷制御信号Scに含まれる画像データDpは、カスケード接続によって複数の駆動チップに順次転送されると共に、吐出タイミング信号St1,St2および電源電圧Vp1,Vp2は、各駆動チップに分配されるようになっているが、この例には限られない。すなわち、例えば、吐出タイミング信号St1,St2が画像データDp内に埋め込まれるような、データ構成としてもよい。また、上記実施の形態では、電源電圧Vp1,Vp2の2系統の電源電圧(駆動電源)が設けられている例となっているが、この例には限られず、例えば、電源電圧を1系統としてもよい。
【0096】
更に、上記実施の形態で説明した各種パラメータの数値例(
図5参照)については、実施の形態で説明した数値例には限られず、他の数値であってもよい。具体的には、前述した各駆動チップの個数m,nが、(m=3,n=2)である場合には限られず、例えば、(m=1,n=4)であってもよい。ただし、実施の形態で説明したクロストーク現象の発生を抑制する観点から考えると、(m=3,n=2)である場合のほうが望ましいと言える。加えて、各駆動チップの個数m,nについては、実施の形態では、10以下である(m≦10,n≦10)場合を例に挙げて説明したが、この例には限られず、例えば、5以下(m≦5,n≦5)であってもよい。なお、このような各駆動チップの個数m,n(実装数)については、少なければ少ないほど、望ましいと言える。また、上記実施の形態では、各駆動チップによる駆動信号Sdの対象となるノズル孔Hnの個数xが、x=128である場合を例に挙げて説明したが、この例には限られず、例えば、x=64であってもよい。なお、この場合には、各駆動チップの個数m,nが、(m=7,n=9)とするのが望ましいと言える。
【0097】
また、インクジェットヘッドの構造としては、各タイプのものを適用することが可能である。すなわち、例えば、アクチュエータプレート111における各吐出チャネルCeの延在方向の中央部からインク9を吐出する、いわゆるサイドシュートタイプのインクジェットヘッドであってもよい。あるいは、例えば、各吐出チャネルCeの延在方向に沿ってインク9を吐出する、いわゆるエッジシュートタイプのインクジェットヘッドであってもよい。更には、プリンタの方式としても、上記実施の形態で説明した方式には限られず、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)方式など、各種の方式を適用することが可能である。
【0098】
更に、例えば、インクタンク3とインクジェットヘッド1との間でインク9を循環させて利用する、循環式のインクジェットヘッド、あるいは、インク9を循環させずに利用する、非循環式のインクジェットヘッドのいずれであっても、本開示を適用することが可能である。
【0099】
また、上記実施の形態で説明した一連の処理は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよい。ソフトウェアで行われるようにした場合、そのソフトウェアは、各機能をコンピュータにより実行させるためのプログラム群で構成される。各プログラムは、例えば、上記コンピュータに予め組み込まれて用いられてもよいし、ネットワークや記録媒体から上記コンピュータにインストールして用いられてもよい。
【0100】
更に、上記実施の形態では、本開示における「液体噴射記録装置」の一具体例として、プリンタ5(インクジェットプリンタ)を挙げて説明したが、この例には限られず、インクジェットプリンタ以外の他の装置にも、本開示を適用することが可能である。換言すると、本開示の「液体噴射ヘッド」(インクジェットヘッド)を、インクジェットプリンタ以外の他の装置に適用するようにしてもよい。具体的には、例えば、ファクシミリやオンデマンド印刷機などの装置に、本開示の「液体噴射ヘッド」を適用するようにしてもよい。
【0101】
加えて、これまでに説明した各種の例を、任意の組み合わせで適用させるようにしてもよい。
【0102】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0103】
また、本開示は、以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
液体を噴射する複数のノズルを有する噴射部と、
前記ノズルから前記液体を噴射させるための駆動信号を前記噴射部に対して出力する、複数の駆動回路群と
を備え、
前記複数のノズルが、列方向に沿ってそれぞれ配置された複数のノズル列により構成されていると共に、前記複数のノズル列同士が、前記列方向と直交する方向に沿って並んで配置されており、
前記複数の駆動回路群が、
前記複数のノズル列のうちの、第1ノズル列に所属する前記ノズルを対象とした前記駆動信号である、第1駆動信号を出力する第1駆動回路群と、
前記複数のノズル列のうちの、前記第1ノズル列に隣接した第2ノズル列に所属する前記ノズルを対象とした前記駆動信号である、第2駆動信号を出力する第2駆動回路群と
を含んでおり、
前記第1駆動回路群が、前記第1駆動信号をそれぞれ出力する、m個(m:1以上の整数)の第1駆動チップを有していると共に、
前記第2駆動回路群が、前記第2駆動信号をそれぞれ出力する、n個(n:1以上の整数)の第2駆動チップを有しており、
前記第1駆動信号と前記第2駆動信号との間での駆動タイミングが、互いに異なっていると共に、
前記第1駆動チップの個数である前記mと、前記第2駆動チップの個数である前記nとが、互いに異なっている
液体噴射ヘッド。
(2)
前記第1ノズル列に所属する前記ノズルのうちの連続する前記m個のノズルと、前記第2ノズル列に所属する前記ノズルのうちの連続する前記n個のノズルとが、前記列方向と交差する方向にずれるようにして互いに隣接配置されることによって、ノズルユニットが構成されると共に、
前記第1ノズル列および前記第2ノズル列において、前記列方向に沿って、複数の前記ノズルユニットが並んで配置されている
上記(1)に記載の液体噴射ヘッド。
(3)
前記ノズルユニット内において、前記第1ノズル列に所属する前記m個のノズルと、前記第2ノズル列に所属する前記n個のノズルとが、交互に配置されることによって、千鳥配置となっている
上記(2)に記載の液体噴射ヘッド。
(4)
前記mと前記nとの差分の絶対値が、奇数である
上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の液体噴射ヘッド。
(5)
前記mと前記nとの差分の絶対値が、1である
上記(4)に記載の液体噴射ヘッド。
(6)
前記mおよび前記nがいずれも、10以下である
上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の液体噴射ヘッド。
(7)
前記m=3であると共に、前記n=2である
上記(6)に記載の液体噴射ヘッド。
(8)
前記第1駆動チップによる前記第1駆動信号の対象となる前記ノズルの個数と、前記第2駆動チップによる前記第2駆動信号の対象となる前記ノズルの個数とがそれぞれ、128である
上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の液体噴射ヘッド。
(9)
上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の液体噴射ヘッドを備えた
液体噴射記録装置。
【符号の説明】
【0104】
1…インクジェットヘッド、10…コネクタ、11…噴射部、111…アクチュエータプレート、112…ノズルプレート、12a,12b,12c,12d…駆動部、12a1,12a2,12b1,12b2,12c1,12c2,12d1,12d2…駆動回路群、12a11,12a12,12a13,12a21,12a22…駆動チップ、121…シフトレジスタ部、122…ラッチ回路部、123…波形選択回路部、124…レベル変換部、2…印刷制御部、3…インクタンク、30…インク供給管、41…FF回路、42…ラッチ回路、43…波形選択回路、44…レベル変換回路、5…プリンタ、9…インク、P…記録紙、Ce…吐出チャネル、Hn,Hn1~Hn2560…ノズル孔、Ana,Ana1,Ana2,Anb,Anb1,Anb2,Anc,Anc1,Anc2,And,And1,And2…ノズル列、Un,Un1~Un128…ノズルユニット、Sc,Sca,Scb,Scc,Scd…印刷制御信号、Dp,Dpa11,Dpa12,Dpa13,Dpa21,Dpa22…画像データ、Ud,Ud1~Ud128…データユニット、St1,St2…吐出タイミング信号、Vp1,Vp2…電源電圧、Sd,Sda1(Sda11,Sda12,Sda13),Sda2(Sda21,Sda22),Sdb1,Sdb2,Sdc1,Sdc2,Sdd1,Sdd2…駆動信号、Vd…駆動電圧、m,n…駆動チップの個数、x…ノズル孔Hnの個数。