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特許7341895液晶表示装置および液晶表示装置の駆動方法、並びに、電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】液晶表示装置および液晶表示装置の駆動方法、並びに、電子機器
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20230904BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20230904BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
G09G3/36
G02F1/133 550
G09G3/20 611D
G09G3/20 611E
G09G3/20 621B
G09G3/20 621F
G09G3/20 622C
G09G3/20 622D
G09G3/20 623C
G09G3/20 623D
G09G3/20 624C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019564340
(86)(22)【出願日】2018-12-05
(86)【国際出願番号】 JP2018044725
(87)【国際公開番号】W WO2019138740
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】P 2018003469
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100118290
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 正明
(74)【代理人】
【氏名又は名称】山本 孝久
(72)【発明者】
【氏名】小林 寛
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/134967(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/007199(WO,A1)
【文献】特開2009-109705(JP,A)
【文献】特開2002-99262(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0115778(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶セルを含む画素がマトリクス状に配置されて成る画素アレイ部、
画素を行単位で選択するための、行方向に延在する複数の走査線、
液晶セルの対向電極に電圧を供給するためのコモン配線、及び、
液晶セルの画素電極に電圧を供給するための、列方向に延在する複数のデータ線、
を含んでおり、
各画素は、データ線と画素電極とを接続する画素トランジスタを備えており、画素トランジスタの導通状態/非導通状態は、走査線に印加される走査信号電圧によって制御され、
コモン配線には、一定周期で極性が反転する信号電圧が供給され、
映像信号電圧の書き込みに先立ってデータ線に供給されるプリチャージ電圧は、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給され、画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧は、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給され、
画素アレイ部には、隣接する複数の画素行から成る複数の群が形成され、前記複数の群の個数は、プリチャージ電圧を供給する場合と、画素の非選択時に走査線に走査信号電圧を供給する場合とで同じであり、プリチャージ電圧は、行単位で選択される画素が位置する群に応じて変化するように供給され、画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧は、行単位で選択される画素が位置する群に応じて変化するように供給される、
液晶表示装置。
【請求項2】
液晶セルを含む画素がマトリクス状に配置されて成る画素アレイ部、
画素を行単位で選択するための、行方向に延在する複数の走査線、
液晶セルの対向電極に電圧を供給するためのコモン配線、及び、
液晶セルの画素電極に電圧を供給するための、列方向に延在する複数のデータ線、
を含んでおり、
各画素は、データ線と画素電極とを接続する画素トランジスタを備えており、画素トランジスタの導通状態/非導通状態は、走査線に印加される走査信号電圧によって制御される、
表示装置の駆動方法であって、
コモン配線に、一定周期で極性が反転する信号電圧を供給し、
映像信号電圧の書き込みに先立ってデータ線に供給されるプリチャージ電圧を、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給し、
画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧を、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給する、
ことを含み、
画素アレイ部には、隣接する複数の画素行から成る複数の群が形成され、前記複数の群の個数は、プリチャージ電圧を供給する場合と、画素の非選択時に走査線に走査信号電圧を供給する場合とで同じであり、プリチャージ電圧は、行単位で選択される画素が位置する群に応じて変化するように供給され、画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧は、行単位で選択される画素が位置する群に応じて変化するように供給される、
液晶表示装置の駆動方法。
【請求項3】
液晶表示装置を備えた電子機器であって、
液晶表示装置は、
液晶セルを含む画素がマトリクス状に配置されて成る画素アレイ部、
画素を行単位で選択するための、行方向に延在する複数の走査線、
液晶セルの対向電極に電圧を供給するためのコモン配線、及び、
液晶セルの画素電極に電圧を供給するための、列方向に延在する複数のデータ線、
を含んでおり、
各画素は、データ線と画素電極とを接続する画素トランジスタを備えており、画素トランジスタの導通状態/非導通状態は、走査線に印加される走査信号電圧によって制御され、
コモン配線には、一定周期で極性が反転する信号電圧が供給され、
映像信号電圧の書き込みに先立ってデータ線に供給されるプリチャージ電圧は、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給され、画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧は、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給され、
画素アレイ部には、隣接する複数の画素行から成る複数の群が形成され、前記複数の群の個数は、プリチャージ電圧を供給する場合と、画素の非選択時に走査線に走査信号電圧を供給する場合とで同じであり、プリチャージ電圧は、行単位で選択される画素が位置する群に応じて変化するように供給され、画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧は、行単位で選択される画素が位置する群に応じて変化するように供給される、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液晶表示装置および液晶表示装置の駆動方法、並びに、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶セルを含む画素が行列状に2次元配置されてなる液晶表示装置にあっては、画素を光シャッター(ライト・バルブ)として動作させることによって画像を表示する。液晶表示装置を用いた表示装置として、直視型の表示装置や、投射型(プロジェクター型)の表示装置が実用化されている。直視型の表示装置はもちろん、投射型の表示装置においても、近年、大規模会議室用やエンターテイメント用といった用途が拡大して高精細化や高画質化が要求されており、所謂アクティブマトリクス型の表示装置が広く用いられている。
【0003】
液晶セルを直流駆動すると、液晶層内の不純物が偏って蓄積し劣化する。このため、液晶表示装置にあっては、交流電圧を加えて駆動する交流電圧駆動が用いられる。また、画素内のトランジスタの電流リークの非対称性に伴う縦クロストークや、映像信号電圧を供給するときの到達電位のばらつきを低減するために、データ線に映像信号とは別の電圧を印加するといったことも行なわれている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-171422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画素電極に対向する対向電極(コモン電極)に印加する電圧を順次反転させて駆動すると、画素電極に印加する電圧の変動幅を狭くすることができ、低消費電力化を図ることができる。しかしながら、点順次駆動を行なうと、各画素の位置に応じて電流リークの程度に差が生じ、フリッカや、表示画面がザラついたように視認される面ザラといった現象が観察されることがある。例えば、フレーム周波数を高く設定して電流リークが生ずる期間を短縮してこれらを改善するといった手法も提案されているが、更なる改善が求められている。
【0006】
従って、本開示の目的は、フリッカなどに起因する表示ムラを軽減することができる液晶表示装置、及び、係る液晶表示装置の駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本開示に係る液晶表示装置は、
液晶セルを含む画素がマトリクス状に配置されて成る画素アレイ部、
画素を行単位で選択するための、行方向に延在する複数の走査線、
液晶セルの対向電極に電圧を供給するためのコモン配線、及び、
液晶セルの画素電極に電圧を供給するための、列方向に延在する複数のデータ線、
を含んでおり、
各画素は、データ線と画素電極とを接続する画素トランジスタを備えており、画素トランジスタの導通状態/非導通状態は、走査線に印加される走査信号電圧によって制御され、
コモン配線には、一定周期で極性が反転する信号電圧が供給され、
映像信号電圧の書き込みに先立ってデータ線に供給されるプリチャージ電圧および画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧のうち少なくとも一方は、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給される、
液晶表示装置である。
【0008】
上記の目的を達成するための本開示に係る液晶表示装置の駆動方法は、
液晶セルを含む画素がマトリクス状に配置されて成る画素アレイ部、
画素を行単位で選択するための、行方向に延在する複数の走査線、
液晶セルの対向電極に電圧を供給するためのコモン配線、及び、
液晶セルの画素電極に電圧を供給するための、列方向に延在する複数のデータ線、
を含んでおり、
各画素は、データ線と画素電極とを接続する画素トランジスタを備えており、画素トランジスタの導通状態/非導通状態は、走査線に印加される走査信号電圧によって制御される、
液晶表示装置の駆動方法であって、
コモン配線に、一定周期で極性が反転する信号電圧を供給し、
映像信号電圧の書き込みに先立ってデータ線に供給されるプリチャージ電圧および画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧のうち少なくとも一方を、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給する、
液晶表示装置の駆動方法である。
【0009】
上記の目的を達成するための本開示に係る電子機器は、
液晶表示装置を備えた電子機器であって、
液晶表示装置は、
液晶セルを含む画素がマトリクス状に配置されて成る画素アレイ部、
画素を行単位で選択するための、行方向に延在する複数の走査線、
液晶セルの対向電極に電圧を供給するためのコモン配線、及び、
液晶セルの画素電極に電圧を供給するための、列方向に延在する複数のデータ線、
を含んでおり、
各画素は、データ線と画素電極とを接続する画素トランジスタを備えており、画素トランジスタの導通状態/非導通状態は、走査線に印加される走査信号電圧によって制御され、
コモン配線には、一定周期で極性が反転する信号電圧が供給され、
映像信号電圧の書き込みに先立ってデータ線に供給されるプリチャージ電圧および画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧のうち少なくとも一方は、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給される、
電子機器である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の第1の実施形態に係る液晶表示装置を説明するための模式図である。
図2図2は、液晶表示装置の内部構成を説明するための模式図である。
図3図3は、フリッカが生ずる原因を説明するための模式的なグラフである。図3Aは、交流電圧駆動をする際のリークによる電圧変化を説明するための模式的なグラフである。図3Bは、画素電位の絶対値の変化を説明するためのグラフである。
図4図4は、表示画面がザラついたように視認される面ザラが生ずる原因を説明するための模式図である。
図5図5は、Vcom一定駆動(Vcom-DC駆動)とVcom反転駆動(Vcom-AC駆動)とにおける画素電位の変化を説明するための模式的なグラフである。
図6図6は、縦クロストークを説明するための図である。図6Aは、中間調の画面に黒ウインドウを表示した状態を示す。図6Bは、画素における電流リークの経路を示す。図6Cは、図6Aに示す画素11A,11B,11Cにおける画素電位の変化を説明するための模式図である。
図7図7は、プリチャージグレー電圧とプリチャージブラック電圧とを説明する模式的なグラフである。図7Aは、プリチャージブラック電圧を印加する期間と電圧を一定値としたときの模式的なグラフである。図7Bは、プリチャージブラック電圧を印加する期間を可変としたときの模式的なグラフである。図7Cは、プリチャージブラック電圧を可変としたときの模式的なグラフである。
図8図8は、面内フリッカ分布の例を説明するための図である。図8Aは、表示画面の模式的な平面図である。図8Bは、Vcom-DC駆動の際の面内フリッカ分布を示す模式的なグラフである。図8Cは、Vcom-AC駆動の際の面内フリッカ分布を示す模式的なグラフである。図8Dは、Vcom-AC駆動であってプリチャージブラック電圧の供給をしない場合の面内フリッカ分布を示す模式的なグラフである。
図9図9は、面内フリッカ分布の例を説明するための図である。図9Aは、表示画面の模式的な平面図である。図9Bは、走査線の走査信号電圧が[10ボルト/-5ボルト]で変化するときの面内フリッカ分布を示す模式的なグラフである。図9Cは、走査線の走査信号電圧が[10ボルト/-3ボルト]で変化するときの面内フリッカ分布を示す模式的なグラフである。図9Dは、走査線の走査信号電圧が[10ボルト/-1ボルト]で変化するときの面内フリッカ分布を示す模式的なグラフである。
図10図10は、レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラの外観図であり、図10Aにその正面図を示し、図10Bにその背面図を示す。
図11図11は、ヘッドマウントディスプレイの外観図である。
図12図12は、シースルーヘッドマウントディスプレイの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態に基づいて本開示を説明する。本開示は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値や材料は例示である。以下の説明において、同一要素または同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示に係る、液晶表示装置および液晶表示装置の駆動方法、並びに、電子機器、全般に関する説明
2.第1の実施形態
3.第2の実施形態
4.電子機器の説明、その他
【0012】
[本開示に係る、液晶表示装置および液晶表示装置の駆動方法、並びに、電子機器、全般に関する説明]
本開示に係る液晶表示装置、本開示に係る電子機器に用いられる液晶表示装置、本開示に係る液晶表示装置の駆動方法により駆動される液晶表示装置(以下、これらを単に、本開示と呼ぶ場合がある)において、映像信号電圧の書き込みに先立ってデータ線に供給されるプリチャージ電圧は、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給される構成とすることができる。
【0013】
この場合において、プリチャージ電圧は、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて行毎に変化するように供給される構成とすることができる。あるいは又、画素アレイ部には、隣接する複数の画素行から成る複数の群が形成され、プリチャージ電圧は、行単位で選択される画素が位置する群に応じて変化するように供給される構成とすることもできる。
【0014】
上述した各種の好ましい構成を含む本開示において、プリチャージ電圧は、黒レベルのプリチャージブラック電圧と中間調レベルのプリチャージグレー電圧とから成り、データ線には、画素が行単位で選択される位置に応じた黒レベルのプリチャージブラック電圧が供給される構成とすることができる。この場合において、黒レベルのプリチャージブラック電圧の値および黒レベルのプリチャージブラック電圧が印加される期間のうち少なくとも一方は、画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給される構成とすることができる。
【0015】
あるいは又、上述した各種の好ましい構成を含む本開示において、画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧は、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給される構成とすることができる。
【0016】
この場合において、画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧は、画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給される構成とすることができる。あるいは又、画素アレイ部には、隣接する複数の画素行から成る複数の群が形成され、画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧は、行単位で選択される画素が位置する群に応じて変化するように供給される構成とすることができる。
【0017】
液晶表示装置は、モノクロ画像を表示する構成であってもよいし、カラー画像を表示する構成であってもよい。液晶表示装置の画素(ピクセル)の値として、U-XGA(1600,1200)、HD-TV(1920,1080)、Q-XGA(2048,1536)の他、(3840,2160)、(7680,4320)等、画像用解像度の幾つかを例示することができるが、これらの値に限定するものではない。
【0018】
また、本開示の液晶表示装置を備えた電子機器として、直視型や投射型の表示装置の他、画像表示機能を備えた各種の電子機器を例示することができる。
【0019】
本明細書における各種の条件は、厳密に成立する場合の他、実質的に成立する場合にも満たされる。設計上あるいは製造上生ずる種々のばらつきの存在は許容される。また、以下の説明で用いる各図面は模式的なものであり、実際の寸法やその割合を示すものではない。
【0020】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、本開示に係る、液晶表示装置および液晶表示装置の駆動方法に関する。
【0021】
図1は、本開示の第1の実施形態に係る液晶表示装置を説明するための模式図である。図2は、液晶表示装置の内部構成を説明するための模式図である。
【0022】
第1の実施形態に係る液晶表示装置は、点順次駆動方式のアクティブマトリクス型液晶表示装置である。図1に示すように、液晶表示装置1は、液晶セルを含む画素11がマトリクス状に配置されて成る画素アレイ部10、画素アレイ部10を駆動するための、水平駆動回路12、垂直駆動回路13、及び、プリチャージ回路14といった各種回路を備えている。尚、図1に示す例において、垂直駆動回路13は、画素アレイ部10の右端側と左端側とに配置されている。右端側を符号13Aで表し、左端側を符号13Bで表す。
【0023】
画素アレイ部10は、例えば、対向する一対の透明基板とその間に配置された液晶層、画素を駆動するために用いられる走査線、データ線、コモン配線といった各種配線、画素に対応する部分に設けられた画素電極、画素電極と対向する対向電極、データ線と画素電極とを接続する画素トランジスタなどから構成されている。画素11は、例えば水平方向にM個、垂直方向にN個、合計M×N個が、マトリクス状に配置されている。
【0024】
画素11がマトリクス状に配置されて成る画素アレイ部10には、図2に示すように、
画素11を行単位で選択するための、行方向に延在する複数の走査線SCL、
液晶セルの対向電極に電圧を供給するためのコモン配線Vcom、及び、
液晶セルの画素電極に電圧を供給するための、列方向に延在する複数のデータ線DTL、
が設けられている。そして、各画素11は、データ線DTLと画素電極とを接続する画素トランジスタTrを備えている。
【0025】
走査線SCLやコモン配線Vcomは、図1に示す垂直駆動回路13(13A,13B)によって駆動される。図2に示す画素11の画素トランジスタTrの導通状態/非導通状態は、走査線SCLに印加される走査信号電圧によって制御される。後述するように、コモン配線Vcomには、一定周期で極性が反転するコモン電圧が供給される。
【0026】
データ線DTLは、図1に示す水平駆動回路12によって駆動される。図2に示すように、水平駆動回路12は、シフトレジスタ(符号S/Rで表す)、クロック抜き取り回路(符号CLKSELで表す)、位相調整回路(符号PACで表す)などの各種回路から構成されている。そして、水平駆動回路12は、外部から与えられる、水平スタートパルスHST、水平クロックパルスHCK,HCKx、2系統のクロックパルスDCK1,DCK2といった各種クロックに基づいて動作し、行毎に選択された画素に対して、データ線DTLを介して点順次で映像信号電圧を書き込むといった動作を行なう。
【0027】
また、データ線DTLは、図1に示すプリチャージ回路14によっても駆動される。図2に示すように、プリチャージ回路14は、PSWパルスに同期して動作し、基本的には、映像信号電圧の書込みに先立って、データ線DTLにプリチャージ電圧供給線PSWからのプリチャージ電圧を書き込むといった動作を行う。
【0028】
本開示に係る液晶表示装置にあっては、映像信号電圧の書き込みに先立ってデータ線DTLに供給されるプリチャージ電圧および画素11の非選択時に走査線SCLに供給される走査信号電圧のうち少なくとも一方は、画素アレイ部10において画素11が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給される。より具体的には、第1の実施形態において、映像信号電圧の書き込みに先立ってデータ線DTLに供給されるプリチャージ電圧は、画素アレイ部10において画素11が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給される。
【0029】
ここで、本開示の理解を助けるため、画面のちらつきのように視認されるフリッカや、表示画面がザラついたように視認される面ザラが生ずる原因について、図3図4とを参照して説明する。尚、理解を容易にするため、ここでは、対向電極に印加される電圧Vcomは一定値であるとして説明する。
【0030】
図3は、フリッカが生ずる原因を説明するための模式的なグラフである。図3Aは、交流電圧駆動をする際のリークによる電圧変化を説明するための模式的なグラフである。図3Bは、画素電位の絶対値の変化を説明するためのグラフである。
【0031】
上述したように、液晶表示装置1にあっては、交流電圧を加えて駆動する交流電圧駆動が用いられる。図2に示す画素11の画素トランジスタTrは、画素電極への映像信号電圧の書込み後は、非導通状態とされる。しかしながら、実際には、画素トランジスタTrを介して電流がリークし、画素電極の電位は変化する。ここで、書き込まれる電圧が高電位側(HIGH側)である場合と低電位側(LOW側)である場合とでは、画素トランジスタTrのソース/ドレイン間電圧が相違し、画素トランジスタTrを介するリーク電流に差が生ずる。図3Aに示す例は、書き込まれる電圧がLOW側である場合に対して、書き込まれる電圧がHIGH側である場合のリークが大きいといった場合の例を示す。この例において、Vcom電位を基準としたときの画素電位の絶対値は、図3Bに示すように変化し、結果として、画面のフリッカとして視認される。
【0032】
図4は、表示画面がザラついたように視認される面ザラが生ずる原因を説明するための模式図である。
【0033】
点順次アクティブマトリクス方式において交流電圧駆動を行なう場合、或るフレームで画素アレイ部の全ての画素電極にHIGH側の電圧が書き込まれた後は、画素行を順次選択してデータ線を介して、順次LOW側の電圧が書き込まれる。結果として、画素アレイ部において走査される順番が遅い行であるほど、画素トランジスタTrが非導通状態とされている状態で、画素電極が保持している電圧とは逆極性の電圧がデータ線に印加される期間が長くなる。結果として、画素が選択される順序に応じて、画素トランジスタTrのを介した電流のリーク量が変化することとなって、表示画面がザラついたように視認される。
【0034】
以上、フリッカや面ザラが生ずる原因について説明した。
【0035】
上述したフリッカや面ザラは、定性的には、画素トランジスタTrを介した電流リーク量を減らすことで抑制することができる。このため、フレーム周波数を上げることによって、電流リークが生ずる期間を短縮するといったことが提案されている。例えば、フレーム周波数が60Hzである場合に画素電極が電圧を保持する期間を基準とすれば、フレーム周波数が180Hzであれば画素電極が電圧を保持する期間は約三分の一、フレーム周波数が240Hzであれば画素電極が電圧を保持する期間は約四分の一に短縮される。しかしながら、フレーム周波数を上げると、画素アレイ部を駆動する回路による消費電力が増加する。このため、ハイフレームレート駆動と併せて、映像信号電圧の振れ幅を小さくすることができる所謂Vcom反転駆動が用いられることが多い。
【0036】
図5は、Vcom一定駆動(Vcom-DC駆動)とVcom反転駆動(Vcom-AC駆動)とにおける画素電位の変化を説明するための模式的なグラフである。
【0037】
図5の上図に示すように、画素アレイ部10の上部にある画素、中央にある画素、下部にある画素を、それぞれ、画素11TP、画素11MD、画素11BTで示す。Vcom一定駆動の場合、データ線DTLからの電圧を画素電極に書込んだ後、Vcom電位の変動によって画素電極の電位(画素電位)が変化するといったことはない。このため、画素アレイ部の上部にある画素、中央にある画素、下部にある画素のいずれにおいても、画素電極の電位保持状態は略同様である。
【0038】
これに対し、Vcom反転駆動の場合、データ線DTLからの電圧を画素電極に書込んだ後、Vcom電位の変動によって画素電極の電位(画素電位)が変化する。そして、データ線DTLからの電圧を画素電極に書込んだ後の電位変化の程度は、画素が走査される順番によって変化する。具体的には、画素電極が電圧を保持する期間のうち、Vcom電位の変動によって画素電極の電位が変化する期間が占める割合は、画素11TP<画素11MD<画素11BTといった順で大きくなる。
【0039】
ハイフレームレート駆動とすることで、フリッカ自体は視認され難くなる。しかしながら、電流リークの非対称といった現象は依然として残っており、また、その程度はパネル面内において均一ではないため、画面の一部において明部あるいは暗部が視認されるといったことが観察される場合がある。
【0040】
そこで、第1の実施形態に係る液晶表示装置において、映像信号電圧の書き込みに先立ってデータ線に供給されるプリチャージ電圧は、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給される。
【0041】
プリチャージ電圧は、例えば、黒レベルのプリチャージブラック電圧と中間調レベルのプリチャージグレー電圧とから成る。黒レベルのプリチャージブラック電圧は、所謂縦クロストークを軽減するためにデータ線に印加される電圧である。また、中間調レベルのプリチャージグレー電圧は、データ線に映像信号電圧を供給する際の到達電位のばらつきを減らすためにデータ線に印加される電圧である。そして、第1の実施形態に係る液晶表示装置において、黒レベルのプリチャージブラック電圧の値および黒レベルのプリチャージブラック電圧が印加される期間のうち少なくとも一方は、画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給される。
【0042】
理解を助けるため、所謂縦クロストークとプリチャージ電圧とについて説明する。
【0043】
図6は、縦クロストークを説明するための図である。図6Aは、中間調の画面に黒ウインドウを表示した状態を示す。図6Bは、画素における電流リークの経路を示す。図6Cは、図6Aに示す画素11A,11B,11Cにおける画素電位の変化を説明するための模式図である。尚、理解を容易にするため、ここでは、Vcomは一定値であるとして説明する。
【0044】
画素11Aは、黒ウインドウ20の領域外の画素である。そして、画素11Aには、データ線DTLAを介して映像信号電圧が供給される。また、データ線DTLAに接続される他の画素も全て黒ウインドウ20の領域外にある。従って、画素11Aに接続されるデータ線DTLAには、中間調の電位として、HIGH側10.0ボルト、LOW側5.0ボルトが順次供給される。
【0045】
画素11B,11Cも、黒ウインドウ20の領域外の画素である。画素11B,11Cには、データ線DTLBCを介して映像信号電圧が供給される。しかしながら、データ線DTLBCに接続される他の画素のうち一部は黒ウインドウ20の領域内にある。従って、画素11B,11Cに接続されるデータ線DTLBCには、中間調の電位としてのHIGH側10.0ボルト、LOW側5.0ボルトの他、黒レベルの電位としてHIGH側12.5ボルト、LOW側2.5ボルトが順次供給される。
【0046】
画素トランジスタTrの電流リークは、基本的には、画素電極に接続された一方のソース/ドレイン領域と、データ線DTLに接続された他方のソース/ドレイン領域との間の電圧Vdsが大きいほど大きくなる。
【0047】
画素11Bにあっては、フレームAの始期付近において、中間調の電位として、LOW側5.0ボルトが書き込まれる。画素11Bが非選択状態となった後、データ線DTLBCの電位は、中間調5,0ボルト→黒レベル2.5ボルト→中間調5,0ボルトと変化する。
【0048】
この場合、データ線DTLBCが黒レベル2.5ボルトであるときの、画素11Bの画素トランジスタTrの電圧Vdsは2.5ボルトといった値である。
【0049】
これに対し、画素11Cにあっては、フレームAの直前のフレームの終期付近において、中間調の電位として、HIGH側10.0ボルトが書き込まれる。そして、フレームAの終期付近において、LOW側5.0ボルトが書き込まれる。
【0050】
この場合、データ線DTLBCが黒レベル2.5ボルトであるときの、画素11Cの画素トランジスタTrの電圧Vdsは7.5ボルトといった値である。従って、データ線DTLBCが黒レベル2.5ボルトであるときの電流リークは、画素11Bよりも画素11Cのほうが大きい。このため、特に黒ウインドウ20の下部に位置する中間調の部分において輝度変化が顕著となる。
【0051】
上述した輝度変化を軽減するためには、画素アレイ部の全画素のリーク量を概ね同程度に揃えるようにすればよい。映像信号電圧の書き込みに影響しない期間内に黒レベルのプリチャージ電圧をデータ線DTLに供給することで、相対的に電流リークが少ない画素においてもリークが促されるので、縦クロストークといった現象を軽減することができる。また、黒レベルのプリチャージ電圧に引き続き、中間調レベルのプリチャージ電圧を印加することによって、データ線に映像信号電圧を供給する際の到達電位のばらつきを減らすことができる。
【0052】
以上、縦クロストークとプリチャージ電圧とについて説明した。
【0053】
上述したように、第1の実施形態にあっては、映像信号電圧の書き込みに先立ってデータ線に供給されるプリチャージ電圧を、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給する。
【0054】
図7は、プリチャージグレー電圧とプリチャージブラック電圧とを説明する模式的なグラフである。図7Aは、プリチャージブラック電圧を印加する期間と電圧を一定値としたときの模式的なグラフである。図7Bは、プリチャージブラック電圧を印加する期間を可変としたときの模式的なグラフである。図7Cは、プリチャージブラック電圧を可変としたときの模式的なグラフである。
【0055】
図8は、面内フリッカ分布の例を説明するための図である。図8Aは、表示画面の模式的な平面図である。図8Bは、Vcom-DC駆動の際の面内フリッカ分布を示す模式的なグラフである。図8Cは、Vcom-AC駆動の際の面内フリッカ分布を示す模式的なグラフである。図8Dは、Vcom-AC駆動であってプリチャージブラック電圧の供給をしない場合の面内フリッカ分布を示す模式的なグラフである。
【0056】
図5を参照して説明したように、Vcom-DC駆動にあっては、画素アレイ部の上部にある画素、中央にある画素、下部にある画素のいずれにおいても、画素電極の電位保持状態は略同様である。従って、図8Bに示すように、画素アレイ部の位置に関わらず、フリッカの状態は略一定である。
【0057】
これに対し、図5を参照して説明したように、Vcom-AC駆動の場合、データ線からの電圧を画素電極に書込んだ後の電位変化の程度は、画素が走査される順番によって変化する。図8Cは、プリチャージブラック電圧を印加する期間や電圧を可変とせず一定としたときのフリッカを示す。この場合は、画素アレイの符号S2の領域でフリッカが局所的に変化しており、明縞あるいは暗縞が視認されるといった状態である。
【0058】
図8Dは、図8Cに対して、プリチャージブラック電圧を省略した場合のフリッカを示す。この場合、図8Cにおいて見られた符号S2の領域における局所的な変化が緩和されていることがわかる。
【0059】
上述したように、映像信号電圧の書き込みに影響しない期間内に黒レベルのプリチャージ電圧をデータ線DTLに供給することで画素リークを促すことができる。従って、書き込み初期の領域S1から領域S5にかけて、プリチャージブラック電位の値あるいはプリチャージブラック電位を供給する期間を可変にすることで、面内の画素における画素リーク量を調整することができる。これによって、面内フリッカの局所的な変化を緩和することができる。
【0060】
プリチャージ電圧は、画素アレイ部10において画素11が行単位で選択される位置に応じて行毎に変化するように供給されてもよいし、あるいは又、プリチャージ電圧は、行単位で選択される画素11が位置する群に応じて変化するように供給される構成とすることもできる。例えば、後者の例では、図8Aに示す領域S1ないしS5に含まれる画素については、画素が属する領域毎に可変量を一律に適用するといった構成である。
【0061】
尚、プリチャージ電圧をどのように可変すべきかは、例えば、実機の動作時におけるフリッカを観測し、その程度が緩和される条件を適宜選択して設定すればよい。
【0062】
第1の実施形態によれば、プリチャージ電圧を可変して制御することによって、フリッカなどに起因する表示ムラを軽減することができる。
【0063】
[第2の実施形態]
第2の実施形態も、本開示に係る、液晶表示装置および液晶表示装置の駆動方法に関する。
【0064】
第1の実施形態において、映像信号電圧の書き込みに先立ってデータ線に供給されるプリチャージ電圧を、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給した。これに対し、第2の実施形態にあっては、画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧を、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給する。
【0065】
第2の実施形態に係る液晶表示装置の構成は、垂直駆動回路の動作が異なる他は、第1の実施形態について説明した構成と同様であるので、説明を省略する。
【0066】
第1の実施形態において、画素トランジスタTrの電流リークは電圧Vdsが大きいほど大きくなるとして説明した。しかしながら、電流リークは、画素トランジスタTrの非選択時においてゲート電極に印加される電圧の値にも影響される。従って、画素11の非選択時に走査線SCLに供給される走査信号電圧を可変とすることによっても、画素リークの程度を調整することができる。
【0067】
図9は、面内フリッカ分布の例を説明するための図である。図9Aは、表示画面の模式的な平面図である。図9Bは、走査線の走査信号電圧が[10ボルト/-5ボルト]で変化するときの面内フリッカ分布を示す模式的なグラフである。図9Cは、走査線の走査信号電圧が[12ボルト/-3ボルト]で変化するときの面内フリッカ分布を示す模式的なグラフである。図9Dは、走査線の走査信号電圧が[14ボルト/-1ボルト]で変化するときの面内フリッカ分布を示す模式的なグラフである。
【0068】
図9Bないし図9Dに示すように、画素11の非選択時においてゲート電極に印加される電圧を変えることによって、面内フリッカの分布は変化する。従って、画素11の非選択時に印加される電圧を適宜設定することによって、第1の実施形態と同様に、面内フリッカが局所的に変化しないよう緩和することができる。
【0069】
走査信号電圧は、画素アレイ部10において画素11が行単位で選択される位置に応じて行毎に変化するように供給されてもよいし、あるいは又、行単位で選択される画素11が位置する群に応じて変化するように供給される構成とすることもできる。例えば、後者の例では、図9Aに示す領域S1ないしS5に含まれる画素については、画素が属する領域毎に可変量を一律に適用するといった構成である。
【0070】
尚、走査信号電圧をどのように可変すべきかは、例えば、実機の動作時におけるフリッカを観測し、その程度が緩和される条件を適宜選択して設定すればよい。
【0071】
第2の実施形態によれば、非選択時における走査信号電圧を可変して制御することによって、フリッカなどに起因する表示ムラを軽減することができる。
【0072】
[電子機器の説明]
以上説明した本開示の液晶表示装置は、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示部(表示装置)として用いることができる。一例として、例えば、テレビジョンセット、デジタルスチルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話機等の携帯端末装置、ビデオカメラ、ヘッドマウントディスプレイ(頭部装着型ディスプレイ)等の表示部として用いることができる。
【0073】
本開示の表示装置は、封止された構成のモジュール形状のものをも含む。一例として、画素アレイ部に透明なガラス等の対向部が貼り付けられて形成された表示モジュールが該当する。尚、表示モジュールには、外部から画素アレイ部への信号等を入出力するための回路部やフレキシブルプリントサーキット(FPC)などが設けられていてもよい。以下に、本開示の表示装置を用いる電子機器の具体例として、デジタルスチルカメラ及びヘッドマウントディスプレイを例示する。但し、ここで例示する具体例は一例に過ぎず、これに限られるものではない。
【0074】
(具体例1)
図10は、レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラの外観図であり、図10Aにその正面図を示し、図10Bにその背面図を示す。レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラは、例えば、カメラ本体部(カメラボディ)411の正面右側に交換式の撮影レンズユニット(交換レンズ)412を有し、正面左側に撮影者が把持するためのグリップ部413を有している。
【0075】
そして、カメラ本体部411の背面略中央にはモニタ414が設けられている。モニタ414の上部には、ビューファインダ(接眼窓)415が設けられている。撮影者は、ビューファインダ415を覗くことによって、撮影レンズユニット412から導かれた被写体の光像を視認して構図決定を行うことが可能である。
【0076】
上記の構成のレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラにおいて、そのビューファインダ415として本開示の表示装置を用いることができる。すなわち、本例に係るレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラは、そのビューファインダ415として本開示の表示装置を用いることによって作製される。
【0077】
(具体例2)
図11は、ヘッドマウントディスプレイの外観図である。ヘッドマウントディスプレイは、例えば、眼鏡形の表示部511の両側に、使用者の頭部に装着するための耳掛け部512を有している。このヘッドマウントディスプレイにおいて、その表示部511として本開示の表示装置を用いることができる。すなわち、本例に係るヘッドマウントディスプレイは、その表示部511として本開示の表示装置を用いることによって作製される。
【0078】
(具体例3)
図12は、シースルーヘッドマウントディスプレイの外観図である。シースルーヘッドマウントディスプレイ611は、本体部612、アーム613および鏡筒614で構成される。
【0079】
本体部612は、アーム613および眼鏡600と接続される。具体的には、本体部612の長辺方向の端部はアーム613と結合され、本体部612の側面の一側は接続部材を介して眼鏡600と連結される。なお、本体部612は、直接的に人体の頭部に装着されてもよい。
【0080】
本体部612は、シースルーヘッドマウントディスプレイ611の動作を制御するための制御基板や、表示部を内蔵する。アーム613は、本体部612と鏡筒614とを接続させ、鏡筒614を支える。具体的には、アーム613は、本体部612の端部および鏡筒614の端部とそれぞれ結合され、鏡筒614を固定する。また、アーム613は、本体部612から鏡筒614に提供される画像に係るデータを通信するための信号線を内蔵する。
【0081】
鏡筒614は、本体部612からアーム613を経由して提供される画像光を、接眼レンズを通じて、シースルーヘッドマウントディスプレイ611を装着するユーザの目に向かって投射する。このシースルーヘッドマウントディスプレイ611において、本体部612の表示部に、本開示の表示装置を用いることができる。
【0082】
[その他]
なお、本開示の技術は以下のような構成も取ることができる。
[A1]
液晶セルを含む画素がマトリクス状に配置されて成る画素アレイ部、
画素を行単位で選択するための、行方向に延在する複数の走査線、
液晶セルの対向電極に電圧を供給するためのコモン配線、及び、
液晶セルの画素電極に電圧を供給するための、列方向に延在する複数のデータ線、
を含んでおり、
各画素は、データ線と画素電極とを接続する画素トランジスタを備えており、画素トランジスタの導通状態/非導通状態は、走査線に印加される走査信号電圧によって制御され、
コモン配線には、一定周期で極性が反転する信号電圧が供給され、
映像信号電圧の書き込みに先立ってデータ線に供給されるプリチャージ電圧および画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧のうち少なくとも一方は、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給される、
液晶表示装置。
[A2]
プリチャージ電圧は、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給される、
上記[A1]に記載の液晶表示装置。
[A3]
プリチャージ電圧は、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて行毎に変化するように供給される、
上記[A2]に記載の液晶表示装置。
[A4]
画素アレイ部には、隣接する複数の画素行から成る複数の群が形成され、
プリチャージ電圧は、行単位で選択される画素が位置する群に応じて変化するように供給される、
上記[A2]に記載の液晶表示装置。
[A5]
プリチャージ電圧は、黒レベルのプリチャージブラック電圧と中間調レベルのプリチャージグレー電圧とから成り、
データ線には、画素が行単位で選択される位置に応じた黒レベルのプリチャージブラック電圧が供給される、
上記[A2]ないし[A4]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[A6]
黒レベルのプリチャージブラック電圧の値および黒レベルのプリチャージブラック電圧が印加される期間のうち少なくとも一方は、画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給される、
上記[A5]に記載の液晶表示装置。
[A7]
画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧は、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給される、
上記[A1]に記載の液晶表示装置。
[A8]
画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧は、画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給される、
上記[A7]に記載の液晶表示装置。
[A9]
画素アレイ部には、隣接する複数の画素行から成る複数の群が形成され、
画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧は、行単位で選択される画素が位置する群に応じて変化するように供給される、
上記[A7]に記載の液晶表示装置。
【0083】
[B1]
液晶セルを含む画素がマトリクス状に配置されて成る画素アレイ部、
画素を行単位で選択するための、行方向に延在する複数の走査線、
液晶セルの対向電極に電圧を供給するためのコモン配線、及び、
液晶セルの画素電極に電圧を供給するための、列方向に延在する複数のデータ線、
を含んでおり、
各画素は、データ線と画素電極とを接続する画素トランジスタを備えており、画素トランジスタの導通状態/非導通状態は、走査線に印加される走査信号電圧によって制御される、
表示装置の駆動方法であって、
コモン配線に、一定周期で極性が反転する信号電圧を供給し、
映像信号電圧の書き込みに先立ってデータ線に供給されるプリチャージ電圧および画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧のうち少なくとも一方を、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給する、
液晶表示装置の駆動方法。
[B2]
プリチャージ電圧を、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給する、
上記[B1]に記載の液晶表示装置の駆動方法。
[B3]
プリチャージ電圧を、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて行毎に変化するように供給する、
上記[B2]に記載の液晶表示装置の駆動方法。
[B4]
画素アレイ部には、隣接する複数の画素行から成る複数の群が形成され、
プリチャージ電圧を、行単位で選択される画素が位置する群に応じて変化するように供給する、
上記[B2]に記載の液晶表示装置の駆動方法。
[B5]
プリチャージ電圧は、黒レベルのプリチャージブラック電圧と中間調レベルのプリチャージグレー電圧とから成り、
データ線には、画素が行単位で選択される位置に応じた黒レベルのプリチャージブラック電圧を供給する、
上記[B2]ないし[B4]のいずれかに記載の液晶表示装置の駆動方法。
[B6]
黒レベルのプリチャージブラック電圧の値および黒レベルのプリチャージブラック電圧が印加される期間のうち少なくとも一方を、画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給する、
上記[B5]に記載の液晶表示装置の駆動方法。
[B7]
画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧を、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給する、
上記[B1]に記載の液晶表示装置の駆動方法。
[B8]
画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧を、画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給する、
上記[B7]に記載の液晶表示装置の駆動方法。
[B9]
画素アレイ部には、隣接する複数の画素行から成る複数の群が形成され、
画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧を、行単位で選択される画素が位置する群に応じて変化するように供給する、
上記[B7]に記載の液晶表示装置の駆動方法。
【0084】
[C1]
液晶表示装置を備えた電子機器であって、
液晶表示装置は、
液晶セルを含む画素がマトリクス状に配置されて成る画素アレイ部、
画素を行単位で選択するための、行方向に延在する複数の走査線、
液晶セルの対向電極に電圧を供給するためのコモン配線、及び、
液晶セルの画素電極に電圧を供給するための、列方向に延在する複数のデータ線、
を含んでおり、
各画素は、データ線と画素電極とを接続する画素トランジスタを備えており、画素トランジスタの導通状態/非導通状態は、走査線に印加される走査信号電圧によって制御され、
コモン配線には、一定周期で極性が反転する信号電圧が供給され、
映像信号電圧の書き込みに先立ってデータ線に供給されるプリチャージ電圧および画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧のうち少なくとも一方は、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給される、
電子機器。
[C2]
プリチャージ電圧は、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給される、
上記[C1]に電子機器。
[C3]
プリチャージ電圧は、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて行毎に変化するように供給される、
上記[C2]に電子機器。
[C4]
画素アレイ部には、隣接する複数の画素行から成る複数の群が形成され、
プリチャージ電圧は、行単位で選択される画素が位置する群に応じて変化するように供給される、
上記[C2]に電子機器。
[C5]
プリチャージ電圧は、黒レベルのプリチャージブラック電圧と中間調レベルのプリチャージグレー電圧とから成り、
データ線には、画素が行単位で選択される位置に応じた黒レベルのプリチャージブラック電圧が供給される、
上記[C2]ないし[C4]のいずれかに電子機器。
[C6]
黒レベルのプリチャージブラック電圧の値および黒レベルのプリチャージブラック電圧が印加される期間のうち少なくとも一方は、画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給される、
上記[C5]に電子機器。
[C7]
画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧は、画素アレイ部において画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給される、
上記[C1]に電子機器。
[C8]
画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧は、画素が行単位で選択される位置に応じて変化するように供給される、
上記[C7]に電子機器。
[C9]
画素アレイ部には、隣接する複数の画素行から成る複数の群が形成され、
画素の非選択時に走査線に供給される走査信号電圧は、行単位で選択される画素が位置する群に応じて変化するように供給される、
上記[C7]に電子機器。
【符号の説明】
【0085】
1・・・液晶表示装置、10・・・画素アレイ部、11・・・画素、12・・・水平駆動回路、13,13A,13B・・・垂直駆動回路、14・・・プリチャージ回路、20・・・黒ウインドウ、LC・・・液晶セル、Tr・・・画素トランジスタ、DTL・・・データ線、SCL・・・走査線、Vcom・・・コモン配線、PSW・・・プリチャージ電圧供給線、411・・・カメラ本体部、412・・・撮影レンズユニット、413・・・グリップ部、414・・・モニタ、415・・・ビューファインダ、511・・・眼鏡形の表示部、512・・・耳掛け部、600・・・眼鏡、611・・・シースルーヘッドマウントディスプレイ、612・・・本体部、613・・・アーム、614・・・鏡筒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12