(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】長繊維材料および短繊維材料ならびに天然ナノ粒子を有するハイブリッド熱可塑性複合体
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20230904BHJP
C08L 23/10 20060101ALI20230904BHJP
C08K 7/14 20060101ALI20230904BHJP
C08L 1/02 20060101ALI20230904BHJP
C08L 23/26 20060101ALI20230904BHJP
C08K 5/17 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
C08L101/00
C08L23/10
C08K7/14
C08L1/02
C08L23/26
C08K5/17
(21)【出願番号】P 2019568183
(86)(22)【出願日】2018-06-05
(86)【国際出願番号】 US2018036038
(87)【国際公開番号】W WO2018226680
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-04-01
(32)【優先日】2017-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519434086
【氏名又は名称】エッセンチウム,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】テイペル,エリサ
(72)【発明者】
【氏名】ホルダー,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ナガバンディ,ニルップ
(72)【発明者】
【氏名】テイペル,ブレイク
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-200169(JP,A)
【文献】特開2008-248093(JP,A)
【文献】特開2015-065829(JP,A)
【文献】特開2017-066198(JP,A)
【文献】国際公開第2017/004415(WO,A1)
【文献】特表2018-532815(JP,A)
【文献】特開2005-213478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/
C08K 5/
C08K 7/
C08L101/
C08L 23/
B29B 11/
B29B 15/
C08J 5/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性複合材料であって、
該熱可塑性複合材料の約75重量%~約94.9重量%の量で存在するポリプロピレンマトリックス成分、
該熱可塑性複合材料の約5重量%~約15重量%の量で存在する、ガラス繊維を含むマイクロ粒子成分、
該熱可塑性複合材料の約0.1重量%~約10重量%の量で存在する、セルロースナノ結晶を含むナノ粒子成分、および
該熱可塑性複合材料の約0.14重量%~約10重量%の量で存在する、該マイクロ粒子成分と該ナノ粒子成分と該熱可塑性ポリマーマトリックス成分とを相溶化させる相溶化剤成分
を含み、
該相溶化剤が無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)およびジエチレントリアミン(DETA)を含む、
熱可塑性複合材料。
【請求項2】
重量パーセント単位で、
約79.3%のポリプロピレン、
約15%のガラス繊維、
約5%のセルロースナノ結晶、および
約0.7%の該相溶化剤
を含む、
請求項1に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項3】
重量パーセント単位で、
約83.86%のポリプロピレン、
約15%のガラス繊維、
約1%のセルロースナノ結晶、および
約0.14%の該相溶化剤
を含む、
請求項1に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項4】
重量パーセント単位で、
約78.6%のポリプロピレン、
約10%のガラス繊維、
約10%のセルロースナノ結晶、および
約1.4%の該相溶化剤
を含む、
請求項1に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項5】
重量パーセント単位で、
約84.3%のポリプロピレン、
約10%のガラス繊維、
約5%のセルロースナノ結晶、および
約0.7%の該相溶化剤、
を含む、
請求項1に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項6】
重量パーセント単位で、
約83.95%のポリプロピレン、
約7.5%のガラス繊維、
約7.5%のセルロースナノ結晶、および
約1.05%の該相溶化剤、
を含む、
請求項1に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項7】
重量パーセント単位で、
約86.8%のポリプロピレン、
約7.5%のガラス繊維、
約5%のセルロースナノ結晶、および
約0.7%の該相溶化剤
を含む、
請求項1に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項8】
重量パーセント単位で、
約91.36%のポリプロピレン、
約7.5%のガラス繊維、
約1%のセルロースナノ結晶、および
約0.14%の該相溶化剤
を含む、
請求項1に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項9】
重量パーセント単位で、
約89.4%のポリプロピレン、
約5%のガラス繊維、
約5%のセルロースナノ結晶、および
約0.6%の該相溶化剤
を含む、
請求項1に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項10】
重量パーセント単位で、
約93.86%のポリプロピレン、
約5%のガラス繊維、
約1%のセルロースナノ結晶、および
約0.14%の該相溶化剤、
を含む、
請求項1に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項11】
熱可塑性複合材料であって、
該熱可塑性複合材料の約75重量%~約94.9重量%の量で存在するポリプロピレン(PP)マトリックス、
該熱可塑性複合材料の約0.1重量%~約10重量%の量で存在するセルロースナノ結晶、
該熱可塑性複合材料の約5重量%~約50重量%の量で存在する靱皮繊維、
該熱可塑性複合材料の約0.14重量%~約10重量%の量で存在する、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)とジエチレントリアミン(DETA)とを含む相溶化剤、ここで該MAPPおよび該DETAが、該セルロースナノ結晶と該靱皮繊維と該ポリプロピレンマトリックスとを相溶化させており、
該靱皮繊維および該セルロースナノ結晶が反応押出により該ポリプロピレンマトリックスに組み込まれている、
熱可塑性複合材料。
【請求項12】
重量パーセント単位で、
約79.3%のポリプロピレン、
約15%の靱皮繊維、
約5%のセルロースナノ結晶、および
約0.7%の該相溶化剤
を含む、
請求項11に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項13】
重量パーセント単位で、
約89.3%のポリプロピレン、
約5%のガラス繊維、
約5%のセルロースナノ結晶、および
約0.7%の該相溶化剤
を含む、
請求項1に記載の熱可塑性複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
[0001]本出願は、2017年6月5日に出願された先行の米国仮出願第62/515,372号の継続出願である。上記出願の全開示は、参考として本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示は、一般に熱可塑性複合材料に関し、より詳細には、低密度で半天然の熱可塑性複合体を処方し製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]本節における記述は、本開示に関連した背景技術情報を提供するだけのものであり、先行技術を構成するものであっても、そうでなくてもよい。
[0004]複合材料は、車体パネルおよび内装品から自動車の構造部材までに及ぶ様々な用途ならびに他の分野における広範囲の構成部品に使用されている。典型的な複合体としては、ガラス長短繊維充填熱可塑性樹脂が挙げられる。ガラスは熱可塑性樹脂よりも高密度な材料であるため、ガラス繊維複合体の全密度はそれを充填する熱可塑性樹脂よりも高くなる。全密度が上昇することにより、重量が増加し、車両用途では燃料効率を低下させ、1609.344m(1マイル)当たりの排気を増加させるおそれがある。長繊維複合体は、高い添加量では、処理装置に過度の摩耗を引き起こし、経時的に製造コストの上昇を引き起こすおそれがある。さらに、多くのガラス繊維複合材料にはその調製および製造に著しいエネルギーが必要である。
【0004】
[0005]したがって、現行の複合材料は自動車用途ではその意図した目的を達成しているものの、より環境に優しい、すなわち持続可能な材料を開発しようとする努力の高まりを支え、機械的特性が改良され、複合材料の重量が減少し、装置の摩損を低下させるために長繊維の濃度を低下させた複合材料の、新規かつ改良された製造方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
[0006]本開示のいくつかの態様によれば、熱可塑性複合材料は熱可塑性ポリマーマトリックス成分、マイクロ粒子成分、ナノ粒子成分および相溶化剤成分を含む。マイクロ粒子成分および/またはナノ粒子成分の少なくとも一部分は天然繊維である。
【0006】
[0007]本開示の別の態様によれば、熱可塑性複合材料は熱可塑性ポリマーマトリックス成分、マイクロ粒子成分、ナノ粒子成分、およびマイクロ粒子成分とナノ粒子成分と熱可塑性ポリマーマトリックス成分とを相溶化させる相溶化剤成分を含む。マイクロ粒子成分およびまたはナノ粒子成分の少なくとも一部分は天然繊維である。
【0007】
[0008]本開示の別の態様では、熱可塑性ポリマーマトリックスはポリプロピレン(PP)マトリックスを含み、マイクロ粒子成分はガラス繊維、炭素繊維、ミクロンスケールのセルロース繊維または靱皮繊維を含み、ナノ粒子成分はガラス繊維、炭素繊維、ミクロンスケールのセルロース繊維または靱皮繊維を含み、相溶化剤は無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)およびジエチレントリアミン(DETA)を含む。
【0008】
[0009]本開示の別の態様では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約80%のPP、約15%のガラス繊維、約5%のセルロースナノ結晶および約0%のMAH-アミンを含み、熱可塑性複合材料は約56MPaの引張り強度および約3497.35MPaの引張り弾性率を有する。
【0009】
[0010]本開示の別の態様では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約79.3%のPP、約15%のガラス繊維、約5%のセルロースナノ結晶および約0.7%のMAH-アミンを含み、熱可塑性複合材料は約56MPaの引張り強度および約4014MPaの引張り弾性率を有する。
【0010】
[0011]本開示の別の態様では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約83.86%のPP、約15%のガラス繊維、約1%のセルロースナノ結晶および約0.14%のMAH-アミンを含み、熱可塑性複合材料は約59MPaの引張り強度および約3577MPaの引張り弾性率を有する。
【0011】
[0012]本開示の別の態様では、熱可塑性複合材料は、重量パーセント単位で、約78.6%のPP、約10%のガラス繊維、約10%のセルロースナノ結晶および約1.4%のMAH-アミンを含み、熱可塑性複合材料は約37MPaの引張り強度および約2612MPaの引張り弾性率を有する。
【0012】
[0013]本開示の別の態様では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約84.3%のPP、約10%のガラス繊維、約5%のセルロースナノ結晶および約0.7%のMAH-アミンを含み、熱可塑性複合材料は約45MPaの引張り強度および約2714MPaの引張り弾性率を有する。
【0013】
[0014]本開示の別の態様では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約83.95%のPP、約7.5%のガラス繊維、約7.5%のセルロースナノ結晶および約1.05%のMAH-アミンを含み、熱可塑性複合材料は約37MPaの引張り強度および約2230MPaの引張り弾性率を有する。
【0014】
[0015]本開示の別の態様では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約86.8%のPP、約7.5%のガラス繊維、約5%のセルロースナノ結晶および約0.7%のMAH-アミンを含み、熱可塑性複合材料は約41MPaの引張り強度および約2374MPaの引張り弾性率を有する。
【0015】
[0016]本開示の別の態様では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約91.36%のPP、約7.5%のガラス繊維、約1%のセルロースナノ結晶および約0.14%のMAH-アミンを含み、熱可塑性複合材料は約40MPaの引張り強度および約2010MPaの引張り弾性率を有する。
【0016】
[0017]本開示の別の態様では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約89.4%のPP、約5%のガラス繊維、約5%のセルロースナノ結晶および約0.6%のMAH-アミンを含み、熱可塑性複合材料は約41MPaの引張り強度および約2282MPaの引張り弾性率を有する。
【0017】
[0018]本開示の別の態様では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約93.86%のPP、約5%のガラス繊維、約1%のセルロースナノ結晶および約0.14%のMAH-アミンを含み、熱可塑性複合材料は約39MPaの引張り強度および約1990MPaの引張り弾性率を有する。
【0018】
[0019]本開示の別の態様では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約94%のPP、約5%のガラス繊維、約1%のセルロースナノ結晶および約0.0%のMAH-アミンを含み、熱可塑性複合材料は約39MPaの引張り強度および約1344MPaの引張り弾性率を有する。
【0019】
[0020]本開示の別の態様では、熱可塑性複合材料はセルロースナノ結晶およびガラス繊維を配合したポリプロピレン(PP)マトリックス、完全に天然の靱皮繊維、マイクロ-ナノセルロース繊維、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)ならびにジエチレントリアミン(DETA)を含み、MAPPおよびDETAがセルロースナノ結晶と靱皮繊維とセルロース繊維とPPマトリックスとを相溶化させる。靱皮繊維およびマイクロ-ナノセルロース繊維は反応押出によりPPマトリックスに組み込まれる。
【0020】
[0021]本開示の別の態様では、反応押出中に、MAPPおよびDETAは約1対1の比で使用される。
[0022]本開示の別の態様では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約79.3%のPP、約15%のガラス繊維、約5%のセルロースナノ結晶および約0.7%のMAH-アミンを含み、熱可塑性複合材料は約38MPaの引張り強度および約2374MPaの引張り弾性率を有する。
【0021】
[0023]本開示の別の態様では、熱可塑性複合材料はガラス繊維と靱皮繊維とマイクロ-ナノセルロース繊維とのハイブリッドブレンドを配合したポリプロピレン(PP)マトリックス、ナノセルロースフィラー複合材料、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)ならびにジエチレントリアミン(DETA)を含み、MAPPおよびDETAがセルロースナノ結晶と靱皮繊維とセルロース繊維とPPマトリックスとを相溶化させる。靱皮繊維、ガラス繊維、ガラス長繊維およびマイクロ-ナノセルロース繊維はPPマトリックスに組み込まれ、アミン基はガラス繊維上のオキシド基と相互作用する。
【0022】
[0024]本開示の別の態様では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約89.3%のPP、約5%のガラス長繊維、約5%のセルロースナノ結晶および約0.7%のMAH-アミンを含み、熱可塑性複合材料は約37MPaの引張り強度および約2164MPaの引張り弾性率を有する。
【0023】
[0025]本開示の別の態様では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約93.86%のPP、約5%のガラス長繊維、約1%のセルロースナノ結晶および約0.14%のMAH-アミンを含み、熱可塑性複合材料は約38MPaの引張り強度および約1909MPaの引張り弾性率を有する。
【0024】
[0026]本開示の別の態様では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約94.0%のPP、約5%のガラス長繊維、約1%のセルロースナノ結晶および約0.0%のMAH-アミンを含み、熱可塑性複合材料は約40MPaの引張り強度および約1994MPaの引張り弾性率を有する。
【0025】
[0027]応用可能なさらなる領域は、本明細書に示す記載から明らかになるであろう。本記載および具体例は説明のみを意図しており、本開示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な記載
[0028]以下の記載は、本質的に単なる例示であり、本開示、用途または使用を限定しようとするものではない。
【0027】
[0029]熱可塑性複合材料およびその生産方法は本明細書で概ね開示されている。いくつかの態様では、熱可塑性複合材料は自動車、たとえば乗用車、貨物自動車、スポーツ用多目的車、バン、キャンピングカー、バイクまたは任意の他の型の車両等で使用されることが好ましい。本開示においては熱可塑性複合材料は通常上記の1つ等の自動車に利用されるものとして記載されている。しかし、本開示の熱可塑性複合材料は様々な商品、ならびに自動車、航空機、建設および積層造形が挙げられるが、それらに限定されない産業のうちのいずれに使用されてもよいことを認識されたい。
【0028】
[0030]本開示の熱可塑性複合材料は、より具体的には、ナノ粒子フィラーとマイクロ粒子フィラーを共に有する低密度で半天然の熱可塑性複合体である。ナノ粒子フィラーとマイクロ粒子フィラーは、併用すると高強度と高剛性を共に有する複合体を形成する。複合体は、熱可塑性マトリックス中で使用されるナノ材料のマイクロ材料に対する比を調節することにより、製品用途の必要性に適合するように適切に処方される。いくつかの態様では、ナノ材料は通常ナノ結晶やナノフィブリル等の持続可能なセルロースナノ材料を指す。これらのナノ材料は従来の複合材料と比較して密度が低下し、剛性が向上し、強度が向上する。ナノ粒子がもたらす低下した密度、向上した剛性および向上した強度は、ガラス繊維、炭素繊維、ミクロンスケールのセルロース繊維(植物の師部から採取された靱皮繊維等)等のマイクロ粒子フィラー等により補完される。ナノ粒子をマイクロ粒子と併用することにより、本開示の熱可塑性複合体は、マイクロ粒子フィラーのみを有する複合体よりもフィラーの全添加量が少なくても同等なまたは優れた特性を達成することができる。本開示の熱可塑性複合材料は低下した密度、向上した剛性および向上した強度を有すると記載しているが、用途および必要性に応じて、この複合体の組成(すなわち、熱可塑性複合材料の構成成分の重量パーセント)は変動し得ることを認識されたい。熱可塑性複合材料の構成成分の重量パーセントを変動させることにより、本開示の範囲または意図から逸脱することなく追加の機械的利点を達成することができる。
【0029】
[0031]熱可塑性複合材料には、熱可塑性ポリマーマトリックス、マイクロ粒子およびナノ粒子が含まれる。一態様では、熱可塑性複合材料は相溶化剤をも含む。他の態様では、熱可塑性複合材料は、たとえば、レオロジー調整剤、界面活性剤、触媒、可塑剤、水捕捉剤または乾燥剤、抗酸化剤、フィラー、着色剤、UV吸収剤および安定剤等の様々な他の成分を含んでもよく、重量基準でのその各組成は調節してよい。
【0030】
[0032]熱可塑性ポリマーマトリックスには、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ乳酸もしくはポリラクチド、ポリウレタンまたはそれらの組合せが含まれる。また、熱可塑性樹脂の化学誘導体も本開示の範囲から逸脱することなく本組成物中で使用される。一例では、熱可塑性ポリマーマトリックスが重量基準で全熱可塑性複合材料の約30%から約94.9%の間を占めてもよい。別の例では、熱可塑性ポリマーマトリックスが重量基準で全熱可塑性複合材料の約55%から約93%の間を占めてもよい。さらなる例では、熱可塑性ポリマーマトリックスが重量基準で全熱可塑性複合材料の約75%から約84%の間を占めてもよい。
【0031】
[0033]マイクロ粒子は、長または短ガラス繊維、炭素繊維、および靱皮繊維、ケブラー繊維もしくは竹繊維等のセルロース繊維等、ならびにそれらの組合せを含んでもよい。マイクロ粒子は熱可塑性複合材料に比較的低コストで強度を付与する。一例では、マイクロ粒子は重量基準で熱可塑性複合材料の約5%から約50%の間の量で存在する。別の例では、マイクロ粒子は重量基準で熱可塑性複合材料の約5%から約30%の間の量で存在する。さらなる例では、マイクロ粒子は重量基準で熱可塑性複合材料の約10%から約15%の間の量で存在する。
【0032】
[0034]ナノ粒子は比較的低重量で強度を付与する、持続可能な、すなわち「グリーンな」ナノ粒子から選択されることが好ましい。ナノ粒子はセルロースナノ結晶、セルロースナノフィブリルまたはセルロースナノ粒子、およびそれらの組合せを含む。さらに、ナノ粒子はそのようなナノ粒子のミクロンスケールのクラスターを含んでもよい。一例では、ナノ粒子は重量基準で熱可塑性複合材料の約0.1%から約10%の間の量で存在する。別の例では、ナノ粒子は重量基準で熱可塑性複合材料の約1%から約7.5%の間の量で存在する。さらなる例では、ナノ粒子は重量基準で熱可塑性複合材料の約3%から約5%の間の量で存在する。
【0033】
[0035]相溶化剤は、ポリマーマトリックスとマイクロ粒子とナノ粒との間で対形成するように選択される。ポリマーマトリックスとマイクロ粒子とナノ粒子との対形成には、熱可塑性マトリックスをマイクロ粒子およびナノ粒子にグラフトする分子を利用する。本開示で使用するのに適切な相溶化剤の例には、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)およびジエチレントリアミン(DETA)等のアミン、ヒドロキシル、カルボン酸、シラン、ならびにそれらの組合せ等の官能基が挙げられる。代替または追加として、対形成にはポリマーマトリックスまたは粒子の表面への変性付加が挙げられる。一例では、相溶化剤が重量基準で熱可塑性複合材料の約0%から約10%の間の量で存在する。別の例では、相溶化剤は重量基準で熱可塑性複合材料の約1%から約7.5%の間の量で存在する。さらなる例では、相溶化剤は重量基準で熱可塑性複合材料の約3%から約5%の間の量で存在する。
【0034】
[0036]熱可塑性複合材料の第1の例示的な一実施形態には、ナノセルロースとPPマトリックスとの相溶化剤として作用するように、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)およびジエチレントリアミン(DETA)により、反応押出プロセスを使用して、セルロースナノ結晶およびガラス繊維を配合したポリプロピレン(PP)マトリックスが含まれる。この例示的な一実施形態の機械的特性は、20%および30%ガラス繊維充填PP複合体と実質的に同等である。しかし、この例示的な一実施形態は、20%および30%ガラス繊維充填PP複合体と比較してフィラーの総濃度が低く、重量が軽い。第1の例示的な一実施形態は、20%ガラス繊維充填PP複合体と比較して約5%の軽量化、30%ガラス繊維充填PP複合体と比較して8%の軽量化を達成している。いくつかの態様では、MAPP-DETA反応押出処理で使用されるナノセルロースおよび靱皮繊維は、20%ガラス繊維充填PP複合体と同様の特性と同時に、10%近い、またそれを超える軽量化を達成し得る。同様に、代替のポリマーマトリックス、マイクロ粒子、ナノ粒子および相溶化剤を代用して、上記の軽量化を達成し、またそれを超えると同時に、ガラス繊維充填PP複合体の機械的特性を達成し、またそれを超えてもよい。第1の例示的実施形態の処方は、構造特性を目標にして設計し、熱可塑性複合体の試験材料協会(ASTM)規格による試験のために配合することができる。
【0035】
[0037]第1の例示的な一実施形態の第1の例では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約80%のPP、15%のガラス繊維、5%のセルロースナノ結晶および0%のMAH-アミンを含む。ASTM D638規格によれば、第1の例は、0.29の標準偏差で約56.19MPaの引張り強度、および48.21の標準偏差で約3497.35MPaの引張り弾性率を有する。
【0036】
[0038]第1の例示的な一実施形態の第2の例では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約79.3%のPP、15%のガラス繊維、5%のセルロースナノ結晶および0.7%のMAH-アミンを含む。ASTM D638規格によれば、第2の例は、1.00の標準偏差で約56.61MPaの引張り強度、および95.44の標準偏差で約4014.33MPaの引張り弾性率を有する。
【0037】
[0039]第1の例示的な一実施形態の第3の例では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約83.86%のPP、15%のガラス繊維、1%のセルロースナノ結晶および0.14%のMAH-アミンを含む。ASTM D638規格によれば、第3の例は0.46の標準偏差で約59.30MPaの引張り強度、および72.65の標準偏差で約3577.50MPaの引張り弾性率を有する。
【0038】
[0040]第1の例示的な一実施形態の第4の例では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約78.6%のPP、10%のガラス繊維、10%のセルロースナノ結晶および1.4%のMAH-アミンを含む。ASTM D638規格によれば、第4の例は1.18の標準偏差で約37.65MPaの引張り強度、および103.83の標準偏差で約2612.09MPaの引張り弾性率を有する。
【0039】
[0041]第1の例示的な一実施形態の第5の例では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約84.3%のPP、10%のガラス繊維、5%のセルロースナノ結晶および0.7%のMAH-アミンを含む。ASTM D638規格によれば、第5の例は0.35の標準偏差で約44.65MPaの引張り強度、および28.89の標準偏差で約2714.11MPaの引張り弾性率を有する。
【0040】
[0042]第1の例示的な一実施形態の第6の例では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約83.95%のPP、7.5%のガラス繊維、7.5%のセルロースナノ結晶および1.05%のMAH-アミンを含む。ASTM D638規格によれば、第6の例は0.43の標準偏差で約37.14MPaの引張り強度、および69.81の標準偏差で約2230.31MPaの引張り弾性率を有する。
【0041】
[0043]第1の例示的な一実施形態の第7の例では、熱可塑性複合材料は、重量パーセント単位で約86.8%のPP、7.5%のガラス繊維、5%のセルロースナノ結晶および0.7%のMAH-アミンを含む。ASTM D638規格によれば、第7の例は0.23の標準偏差で約41.28MPaの引張り強度、および56.94の標準偏差で約2374.28MPaの引張り弾性率を有する。
【0042】
[0044]第1の例示的な一実施形態の第8の例では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約91.36%のPP、7.5%のガラス繊維、1%のセルロースナノ結晶および0.14%のMAH-アミンを有する。ASTM D638規格によれば、第8の例は0.22の標準偏差で約39.94MPaの引張り強度、および45.18の標準偏差で約2009.75MPaの引張り弾性率を有する。
【0043】
[0045]第1の例示的な一実施形態の第9の例では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約89.4%のPP、5%のガラス繊維、5%のセルロースナノ結晶および0.6%のMAH-アミンを含む。ASTM D638規格によれば、第9の例は0.26の標準偏差で約41.05MPaの引張り強度、および43.54の標準偏差で約2282.41MPaの引張り弾性率を有する。
【0044】
[0046]第1の例示的な一実施形態の第10の例では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約93.86%のPP、5%のガラス繊維、1%のセルロースナノ結晶および0.14%のMAH-アミンを含む。ASTM D638規格によれば、第10の例は約39.27MPaの引張り強度および約1990.01MPaの引張り弾性率を有する。
【0045】
[0047]第1の例示的な一実施形態の第11の例では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約94%のPP、5%のガラス繊維、1%のセルロースナノ結晶および0%のMAH-アミンを含む。ASTM D638規格によれば、第11の例は0.50の標準偏差で約38.74MPaの引張り強度、および26.26の標準偏差で約1943.76MPaの引張り弾性率を有する。
【0046】
[0048]全体的に、第1の実施形態の各例を構成する4つの成分の重量パーセントは、多くの用途ならびに自動車、航空機、建設および積層造形が挙げられるが、それらに限定されない産業全体で、熱可塑性複合体の規格を満たすように最適化されている。
【0047】
[0049]第2の例示的な一実施形態では、熱可塑性複合材料はPPマトリックス中で完全に天然の繊維を使用しており、その完全に天然の繊維は靱皮繊維およびマイクロ-ナノセルロースである。第1の例(以下「完全に天然の複合体」)では靱皮繊維、ナノセルロース等のセルロース繊維は反応押出によりPPマトリックスに組み込まれている。反応押出中に、無水マレイン酸ポリプロピレン(MAPP)は相溶化剤として作用し、ジエチレントリアミン(DETA)はリンカーとして作用する。最終部品の強度要件により、全成分の量は二軸押出機に入れる前に事前に計算されている。典型的には、無水物をアミドで置換し、残りのアミン基を残しておいてフィラーのヒドロキシル基と連結する、アミンの化学的性質を実現するために、DETAのMAPPに対する比1対1が使用されている。特定の用途では、異なる比を使用することもできる。複合体は押出機からフィラメントとして得られる。次に複合体はペレット化され、射出成形金型で使用することができる。
【0048】
[0050]第2の例示的な一実施形態の第1の例では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約79.3%のPP、15%の靱皮繊維、5%のセルロースナノ結晶および0.7%のMAH-アミン結合を含む。ASTM D638規格によれば、第1の例は0.41の標準偏差で約37.75MPaの引張り強度、および57.27の標準偏差で約2373.77MPaの引張り弾性率を有する。
【0049】
[0051]第3の例示的な一実施形態では、熱可塑性複合材料はガラス繊維と靱皮繊維とマイクロ-ナノセルロースとのハイブリッドブレンドを様々な比で使用している。第3の例示的な一実施形態(以下「ハイブリッド複合体」)では、ガラス繊維以外に複合ナノセルロースをPPマトリックス中にフィラーとして使用している。フィラーが異なることを除けば、完全に天然の複合体を製造するのに使用されるのと同一の手順に従う。また、このときアミン基がガラス繊維フィラー上のオキシド基と相互作用することを除いてはこれらのフィラーに関して同様の化学的性質が予想される。いくつかの点で、ハイブリッド複合体は、この技術がガラス繊維複合体から完全に天然の複合体へと移行するので、複合材産業に段階的な移行段階をもたらし得る。
【0050】
[0052]第3の例示的な一実施形態の第1の例では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約89.3%のPP、5%のガラス長繊維、5%のセルロースナノ結晶および0.7%のMAH-アミン結合を含む。ASTM D638規格によれば、第1の例は0.87の標準偏差で約37.29MPaの引張り強度、および29.95の標準偏差で約2163.98MPaの引張り弾性率を有する。
【0051】
[0053]第3の例示的な一実施形態の第2の例では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約93.86%のPP、5%のガラス長繊維、1%のセルロースナノ結晶および0.14%のMAH-アミン結合を含む。ASTM D638規格によれば、第2の例は0.27の標準偏差で約38.30MPaの引張り強度、および41.18の標準偏差で約1909.16MPaの引張り弾性率を有する。
【0052】
[0054]第3の例示的な一実施形態の第3の例では、熱可塑性複合材料は重量パーセント単位で、約94.0%のPP、5%のガラス長繊維、1%のセルロースナノ結晶および0%のMAH-アミン結合を含む。ASTM D638規格によれば、第3の例は0.28の標準偏差で約39.90MPaの引張り強度、および50.56の標準偏差で約1994.45MPaの引張り弾性率を有する。
【0053】
[0055]第2および第3の例示的な両実施形態では、フィラーをマトリックスと連結し、適合性を改良するためにアミンの化学的性質が使用されている。さらに、第1例と第2例両方の処方は、20%および30%ガラス繊維充填複合体の工業規格を満たすように、それぞれに5%と8%軽量化して調製されている。しかし、比を変動させ、フィラーおよび化学含有量を最適化することにより、軽量化を10%以上にも高めることができる。さらに、プロセスおよび押出機のスクリュー断面を最適化することにより、追加の軽量化を実現することができる。全体的に、比は自動車、航空機、建設および積層造形のような様々な産業におけるいくつかの熱可塑性複合体の規格を満たすように変化させ、最適化することができる。
【0054】
[0056]一態様では、熱可塑性複合材料は現在自動車産業で使用されているガラス繊維充填PP複合体に取って換わることができる。熱可塑性複合材料を使用すると、より軽量の複合体で、最終製造部品を軽量化し、同等の機械的特性を達成し、これにより車両燃料効率を向上させることができる。
【0055】
[0057]ガラス繊維PP複合体等の、高添加量マイクロ粒子フィルターと同等な特性を有する特別の軽い複合体を設計できることにはいくつかの利点がある。マイクロ粒子フィルターの添加量を低下させ、または一定の機械的特性の喪失を埋め合わせるために低濃度のナノ粒子を有するマイクロ粒子フィラーを代わりに使用することにより、軽量化が達成できる。ナノ粒子はより低濃度、低密度で使用され、それによって複合体全体がより軽量化する。自動車産業の例では、車両重量のわずか5%の軽量化の結果、燃料効率を2%も改良することができる。さらに、セルロースナノ粒子等の天然材料を使用することは、より環境に優しい材料を開発しようとする努力の高まりをも支える。セルロース材料は、ナノスケールとマイクロスケールのどちらでも、複合体の機械的特性を改良する持続可能な機会をもたらし、ガラス繊維等の他の一般的な繊維よりも調製のエネルギーが低い。さらに、高添加量の長繊維複合体は処理装置に過度の摩耗を引き起こし、それによって、経時的に製造コストが増加する。ナノ粒子を添加すると、より低濃度の長繊維が使用できるようになり、装置の摩損が減少する。
【0056】
[0058]したがって、現行の複合材料およびその製造方法はその意図した目的を達成しているものの、複合材料の、新規かつ改良された製造方法、ならびに密度、重量、および製造に必要なエネルギー量が低下していると同時に、構造的剛性および強度の特性が改良され、または維持されている、新規かつ改良された複合材料が必要とされている。さらに、経済的にも環境的にも全体的なコストを低下させる、再生可能および/または持続可能な構成成分を少なくとも部分的に使用する複合材料が必要である。
【0057】
[0059]本開示の記載は、本質的に単なる例示であり、本開示の要旨から逸脱しない変形形態は本開示の範囲内であることを意図する。そのような変形形態は、本開示の趣旨および範囲からの逸脱とみなされるべきでない。
[発明の態様]
[1]
熱可塑性ポリマーマトリックス成分、
マイクロ粒子成分、
ナノ粒子成分、および
該マイクロ粒子成分と該ナノ粒子成分と該熱可塑性ポリマーマトリックス成分とを相溶化させる相溶化剤成分
を含み、
該マイクロ粒子成分およびまたは該ナノ粒子成分の少なくとも一部分が天然繊維である、
熱可塑性複合材料。
[2]
該熱可塑性ポリマーマトリックスが、ポリプロピレン(PP)マトリックスを含み、
該マイクロ粒子成分が、ガラス繊維、炭素繊維、ミクロンスケールのセルロース繊維または靱皮繊維を含み、
該ナノ粒子成分が、ガラス繊維、炭素繊維、ミクロンスケールのセルロース繊維または靱皮繊維を含み、
該相溶化剤が、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)およびジエチレントリアミン(DETA)を含む、
パラグラフ1に記載の熱可塑性複合材料。
[3]
重量パーセント単位で、
約80%のPP、
約15%のガラス繊維、
約5%のセルロースナノ結晶、
約0%のMAH-アミン
を含み、
約56MPaの引張り強度および約3497MPaの引張り弾性率を有する、
パラグラフ1に記載の熱可塑性複合材料。
[4]
重量パーセント単位で、
約79.3%のPP、
約15%のガラス繊維、
約5%のセルロースナノ結晶、および
約0.7%のMAH-アミン
を含み、
約56MPaの引張り強度および約4014MPaの引張り弾性率を有する、
パラグラフ1に記載の熱可塑性複合材料。
[5]
重量パーセント単位で、
約83.86%のPP、
約15%のガラス繊維、
約1%のセルロースナノ結晶、および
約0.14%のMAH-アミン
を含み、
約59MPaの引張り強度および約3577MPaの引張り弾性率を有する、
パラグラフ1に記載の熱可塑性複合材料。
[6]
重量パーセント単位で、
約78.6%のPP、
約10%のガラス繊維、
約10%のセルロースナノ結晶、および
約1.4%のMAH-アミン
を含み、
約37MPaの引張り強度および約2612MPaの引張り弾性率を有する、
パラグラフ1に記載の熱可塑性複合材料。
[7]
重量パーセント単位で、
約84.3%のPP、
約10%のガラス繊維、
約5%のセルロースナノ結晶、および
約0.7%のMAH-アミン、
を含み、
約45MPaの引張り強度および約2714MPaの引張り弾性率を有する、
パラグラフ1に記載の熱可塑性複合材料。
[8]
重量パーセント単位で、
約83.95%のPP、
約7.5%のガラス繊維、
約7.5%のセルロースナノ結晶、および
約1.05%のMAH-アミン、
を含み、
約37MPaの引張り強度および約2230MPaの引張り弾性率を有する、
パラグラフ1に記載の熱可塑性複合材料。
[9]
重量パーセント単位で、
約86.8%のPP、
約7.5%のガラス繊維、
約5%のセルロースナノ結晶、および
約0.7%のMAH-アミン
を含み、
約41MPaの引張り強度および約2374MPaの引張り弾性率を有する、
パラグラフ1に記載の熱可塑性複合材料。
[10]
重量パーセント単位で、
約91.36%のPP、
約7.5%のガラス繊維、
約1%のセルロースナノ結晶、および
約0.14%のMAH-アミン
を含み、
約40MPaの引張り強度および約2010MPaの引張り弾性率を有する、
パラグラフ1に記載の熱可塑性複合材料。
[11]
重量パーセント単位で、
約89.4%のPP、
約5%のガラス繊維、
約5%のセルロースナノ結晶、および
約0.6%のMAH-アミン
を含み、
約41MPaの引張り強度および約2282MPaの引張り弾性率を有する、
パラグラフ1に記載の熱可塑性複合材料。
[12]
重量パーセント単位で、
約93.86%のPP、
約5%のガラス繊維、
約1%のセルロースナノ結晶、および
約0.14%のMAH-アミン、
を含み、
約39MPaの引張り強度および約1990MPaの引張り弾性率を有する、
パラグラフ1に記載の熱可塑性複合材料。
[13]
重量パーセント単位で、
約94%のPP、
約5%のガラス繊維、
約1%のセルロースナノ結晶、および
約0.0%のMAH-アミン、
を含み、
約39MPaの引張り強度および約1344MPaの引張り弾性率を有する、
パラグラフ1に記載の熱可塑性複合材料。
[14]
セルロースナノ結晶およびガラス繊維を配合したポリプロピレン(PP)マトリックス、
完全に天然の靱皮繊維、
マイクロ-ナノセルロース繊維、
無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)、ならびに
ジエチレントリアミン(DETA)を含み、該MAPPおよび該DETAが該セルロースナノ結晶と該靱皮繊維と該セルロース繊維と該PPマトリックスとを相溶化させており、
該靱皮繊維および該マイクロ-ナノセルロース繊維が反応押出によりPPマトリックスに組み込まれている、
熱可塑性複合材料。
[15]
反応押出中に、該MAPPおよび該DETAが約1対1の比で使用される、パラグラフ14に記載の熱可塑性複合材料。
[16]
重量パーセント単位で、
約79.3%のPP、
約15%のガラス繊維、
約5%のセルロースナノ結晶、および
約0.7%のMAH-アミン
を含み、
約38MPaの引張り強度および約2374MPaの引張り弾性率を有する、
パラグラフ14に記載の熱可塑性複合材料。
[17]
ガラス繊維と靱皮繊維とマイクロ-ナノセルロース繊維とのハイブリッドブレンドを配合したポリプロピレン(PP)マトリックス、
複合ナノセルロースフィラー材料、
無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MAPP)、ならびに
ジエチレントリアミン(DETA)を含み、MAPPおよびDETAがセルロースナノ結晶と靱皮繊維とセルロース繊維とPPマトリックスとを相溶化させており、
靱皮繊維、ガラス繊維、ガラス長繊維およびマイクロ-ナノセルロース繊維がPPマトリックスに組み込まれ、アミン基がガラス繊維上のオキシド基と相互作用している、
熱可塑性複合材料。
[18]
重量パーセント単位で、
約89.3%のPP、
約5%のガラス長繊維、
約5%のセルロースナノ結晶、および
約0.7%のMAH-アミン
を含み、
約37MPaの引張り強度および約2164MPaの引張り弾性率を有する、
パラグラフ17に記載の熱可塑性複合材料。
[19]
重量パーセント単位で、
約93.86%のPP、
約5%のガラス長繊維、
約1%のセルロースナノ結晶、および
約0.14%のMAH-アミン
を含み、
約38MPaの引張り強度および約1909MPaの引張り弾性率を有する、
パラグラフ17に記載の熱可塑性複合材料。
[20]
重量パーセント単位で、
約94.0%のPP、
約5%のガラス長繊維、
約1%のセルロースナノ結晶、および
約0.0%のMAH-アミン
を含み、
約40MPaの引張り強度および約1994MPaの引張り弾性率を有する、
パラグラフ17に記載の熱可塑性複合材料。