(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング装置、画像処理装置及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20230904BHJP
【FI】
A61B5/055 311
A61B5/055 380
(21)【出願番号】P 2020007300
(22)【出願日】2020-01-21
【審査請求日】2022-12-01
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 美津恵
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0086736(US,A1)
【文献】特開2014-046209(JP,A)
【文献】特表2016-513526(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0213887(US,A1)
【文献】MIYAZAKI, Mitsue, et al.,Z-Spectrum Analysis Provides Proton Environment Data(ZAPPED): A New Two-Pool Technique for Human Gray and White Matter,PLOS ONE,PLOS,2015年03月13日,10(3):e0119915,pp.1-12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01R 33/20-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
MT(Magnetization Transfer)パルスの印加を含む第1のパルスシーケンスを実行したのち、被検体に生理的な状態変化を起こさせるアクション後に、MTパルスの印加を含む第2のパルスシーケンスを実行するシーケンス制御部と、
前記第1のパルスシーケンスにより得られたデータに基づいて第1のZスペクトルを生成し、前記第2のパルスシーケンスにより得られたデータに基づいて第2のZスペクトルを生成し、前記第1のZスペクトルと前記第2のZスペクトルとに基づいて解析を行ってデータを生成する生成部と
を備え
、
前記生成部は、前記第1のZスペクトルを複数の第1のローレンツ型スペクトルの和に分解し、前記複数の第1のローレンツ型スペクトルに基づいて、前記複数の第1のローレンツ型スペクトルのピーク値及び幅を算出し、
前記第2のZスペクトルを複数の第2のローレンツ型スペクトルの和に分解し、前記複数の第2のローレンツ型スペクトルに基づいて、前記複数の第2のローレンツ型スペクトルのピーク値及び幅を算出し、
前記第1のローレンツ型スペクトル及び前記第2のローレンツ型スペクトルにおける対応するピーク値それぞれについて、前記複数の第1のローレンツ型スペクトルのピーク値と前記複数の第2のローレンツ型スペクトルのピーク値との間の差分画像を生成し、
前記第1のローレンツ型スペクトル及び前記第2のローレンツ型スペクトルにおける対応する幅それぞれについて、前記複数の第1のローレンツ型スペクトルの幅と前記複数の第2のローレンツ型スペクトルの幅との間の差分画像を生成する、磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記生理的な状態変化は、神経細胞の電気生理学的変化と比較して遅い時間スケールで引き起こされる生理的な状態変化である、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記アクションは、前記被検体に深呼吸を取らせるアクションである、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記アクションは、薬剤投与である、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記生理的な状態変化は、睡眠状態の変化である、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記解析は、Zスペクトルを複数のスペクトルの和に分解する解析である、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記複数のスペクトルは、ローレンツ型スペクトルである、請求項6に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記生成部は、前記第1のZスペクトルに対して行われた解析に基づいて得られたデータと、前記第2のZスペクトルに対して行われた解析に基づいて得られたデータとの間に差分処理を行う、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
MT(Magnetization Transfer)パルスの印加を含んで実行された第1のパルスシーケンスにより得られたデータに基づいて第1のZスペクトルを生成し、前記第1のパルスシーケンスが実行されたのち、被検体に生理的な状態変化を起こさせるアクション後に、MTパルスの印加を含んで実行された第2のパルスシーケンスにより得られたデータに基づいて第2のZスペクトルを生成し、前記第1のZスペクトルと前記第2のZスペクトルとに基づいて解析を行ってデータを生成する生成部
を備え
、
前記生成部は、前記第1のZスペクトルを複数の第1のローレンツ型スペクトルの和に分解し、前記複数の第1のローレンツ型スペクトルに基づいて、前記複数の第1のローレンツ型スペクトルのピーク値及び幅を算出し、
前記第2のZスペクトルを複数の第2のローレンツ型スペクトルの和に分解し、前記複数の第2のローレンツ型スペクトルに基づいて、前記複数の第2のローレンツ型スペクトルのピーク値及び幅を算出し、
前記第1のローレンツ型スペクトル及び前記第2のローレンツ型スペクトルにおける対応するピーク値それぞれについて、前記複数の第1のローレンツ型スペクトルのピーク値と前記複数の第2のローレンツ型スペクトルのピーク値との間の差分画像を生成し、
前記第1のローレンツ型スペクトル及び前記第2のローレンツ型スペクトルにおける対応する幅それぞれについて、前記複数の第1のローレンツ型スペクトルの幅と前記複数の第2のローレンツ型スペクトルの幅との間の差分画像を生成する、画像処理装置。
【請求項10】
画像処理装置により実行される画像処理方法であって、
MT(Magnetization Transfer)パルスの印加を含んで実行された第1のパルスシーケンスにより得られたデータに基づいて第1のZスペクトルを生成し、
前記第1のパルスシーケンスが実行されたのち、被検体に生理的な状態変化を起こさせるアクション後に、MTパルスの印加を含んで実行された第2のパルスシーケンスにより得られたデータに基づいて第2のZスペクトルを生成し、
(1)前記第1のZスペクトルを複数の第1のローレンツ型スペクトルの和に分解し、前記複数の第1のローレンツ型スペクトルに基づいて、前記複数の第1のローレンツ型スペクトルのピーク値及び幅を算出し、
(2)前記第2のZスペクトルを複数の第2のローレンツ型スペクトルの和に分解し、前記複数の第2のローレンツ型スペクトルに基づいて、前記複数の第2のローレンツ型スペクトルのピーク値及び幅を算出し、
(3)前記第1のローレンツ型スペクトル及び前記第2のローレンツ型スペクトルにおける対応するピーク値それぞれについて、前記複数の第1のローレンツ型スペクトルのピーク値と前記複数の第2のローレンツ型スペクトルのピーク値との間の差分画像を生成し、
(4)前記第1のローレンツ型スペクトル及び前記第2のローレンツ型スペクトルにおける対応する幅それぞれについて、前記複数の第1のローレンツ型スペクトルの幅と前記複数の第2のローレンツ型スペクトルの幅との間の差分画像を生成することにより、
前記第1のZスペクトルと前記第2のZスペクトルとに基づいて解析を行ってデータを生成する、画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、磁気共鳴イメージング装置、画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージングにおいて、MTC(Magnetization transfer contrast)効果を用いたイメージングが注目されている。MTC効果は、高分子中の自由水プロトンと制限プロトンとの間の磁気交換を観測するものであり、これにより、組織の組成を描出することができる。
【0003】
MTC効果を利用したイメージングの一例として、特定の交換プロトンを選択的に飽和させその後の自由水信号を観測する、いわゆるCEST(Chemical Exchange Saturation Transfer)法が知られている。
【0004】
しかしながら、CEST法は、自由水信号の周波数と比較して通常±1000Hz程度のオフセット周波数の周波数領域に係る信号領域に着目するものであり、当該±1000Hz程度のオフセット周波数より広い幅を持つ信号成分については、着目されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面の開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、被検体の生理学的な状態変化に係る磁気共鳴イメージングを行うことである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、シーケンス制御部と生成部とを備える。シーケンス制御部は、MT(Magnetization Transfer)パルスの印加を含む第1のパルスシーケンスを実行したのち、被検体に生理的な状態変化を起こさせるアクション後に、MTパルスの印加を含む第2のパルスシーケンスを実行する。生成部は、第1のパルスシーケンスにより得られたデータに基づいて第1のZスペクトルを生成し、第2のパルスシーケンスにより得られたデータに基づいて第2のZスペクトルを生成し、第1のZスペクトルと前記第2のZスペクトルとに基づいて解析を行ってデータを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置について示した図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が行う処理の手順について示したフローチャートである。
【
図3A】
図3Aは、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置により得られる画像の例について示した図である。
【
図3B】
図3Bは、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置により得られる画像の例について示した図である。
【
図3C】
図3Cは、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置により得られる画像の例について示した図である。
【
図3D】
図3Dは、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置により得られる画像の例について示した図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が行う処理について示した図である。
【
図5A】
図5Aは、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置による得られるデータの例について示した図である。
【
図5B】
図5Bは、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置による得られるデータの例について示した図である。
【
図5C】
図5Cは、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置による得られるデータの例について示した図である。
【
図5D】
図5Dは、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置による得られるデータの例について示した図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が行う処理について示した図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が行う処理の手順について示したフローチャートである。
【
図8A】
図8Aは、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置がディスプレイに表示させる画像の例について示した図である。
【
図8B】
図8Bは、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置がディスプレイに表示させる画像の例について示した図である。
【
図8C】
図8Cは、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置がディスプレイに表示させる画像の例について示した図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置に係るGUIの一例を示した図である。
【
図10A】
図10Aは、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置がディスプレイに表示させる画像の例について示した図である。
【
図10B】
図10Bは、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置がディスプレイに表示させる画像の例について示した図である。
【
図10C】
図10Cは、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置がディスプレイに表示させる画像の例について示した図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置に係るGUI(Graphical User Interface)の一例を示した図である。
【
図12】
図12は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が行う処理の手順について示したフローチャートである。
【
図13】
図13は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が行う処理について説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ここで、互いに同じ構成には共通の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100を示すブロック図である。
図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置100は、静磁場磁石101と、静磁場電源(図示しない)と、傾斜磁場コイル103と、傾斜磁場電源104と、寝台105と、寝台制御回路106と、送信コイル107と、送信回路108と、受信コイル109と、受信回路110と、シーケンス制御回路120(シーケンス制御部)と、画像処理装置130とを備える。なお、磁気共鳴イメージング装置100に、被検体P(例えば、人体)は含まれない。また、
図1に示す構成は一例に過ぎない。例えば、シーケンス制御回路120及び画像処理装置130内の各部は、適宜統合若しくは分離して構成されてもよい。
【0011】
静磁場磁石101は、中空の略円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に静磁場を発生する。静磁場磁石101は、例えば、超伝導磁石等であり、静磁場電源から電流の供給を受けて励磁する。静磁場電源は、静磁場磁石101に電流を供給する。別の例として、静磁場磁石101は、永久磁石でもよく、この場合、磁気共鳴イメージング装置100は、静磁場電源を備えなくてもよい。また、静磁場電源は、磁気共鳴イメージング装置100とは別に備えられてもよい。
【0012】
傾斜磁場コイル103は、中空の略円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石101の内側に配置される。傾斜磁場コイル103は、互いに直交するX、Y、及びZの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源104から個別に電流の供給を受けて、X、Y、及びZの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。傾斜磁場コイル103によって発生するX、Y、及びZの各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge、及びリードアウト用傾斜磁場Grである。傾斜磁場電源104は、傾斜磁場コイル103に電流を供給する。
【0013】
寝台105は、被検体Pが載置される天板105aを備え、寝台制御回路106による制御の下、天板105aを、被検体Pが載置された状態で、傾斜磁場コイル103の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台105は、長手方向が静磁場磁石101の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御回路106は、画像処理装置130による制御の下、寝台105を駆動して天板105aを長手方向及び上下方向へ移動する。
【0014】
送信コイル107は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、送信回路108からRFパルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。送信回路108は、対象とする原子の種類及び磁場強度で定まるラーモア(Larmor)周波数に対応するRFパルスを送信コイル107に供給する。
【0015】
受信コイル109は、傾斜磁場コイル103の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられる磁気共鳴信号(以下、必要に応じて、「MR信号」と呼ぶ)を受信する。受信コイル109は、磁気共鳴信号を受信すると、受信した磁気共鳴信号を受信回路110へ出力する。
【0016】
なお、上述した送信コイル107及び受信コイル109は一例に過ぎない。送信機能のみを備えたコイル、受信機能のみを備えたコイル、若しくは送受信機能を備えたコイルのうち、1つ若しくは複数を組み合わせることによって構成されればよい。
【0017】
受信回路110は、受信コイル109から出力される磁気共鳴信号を検出し、検出した磁気共鳴信号に基づいて磁気共鳴データを生成する。具体的には、受信回路110は、受信コイル109から出力される磁気共鳴信号をデジタル変換することによって磁気共鳴データを生成する。また、受信回路110は、生成した磁気共鳴データをシーケンス制御回路120へ送信する。なお、受信回路110は、静磁場磁石101や傾斜磁場コイル103等を備える架台装置側に備えられてもよい。
【0018】
シーケンス制御回路120は、画像処理装置130から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源104、送信回路108及び受信回路110を駆動することによって、被検体Pの撮像を行う。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源104が傾斜磁場コイル103に供給する電流の強さや電流を供給するタイミング、送信回路108が送信コイル107に供給するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信回路110が磁気共鳴信号を検出するタイミング等が定義される。例えば、シーケンス制御回路120は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路である。なお、シーケンス制御回路120が実行するパルスシーケンスの詳細については、後述する。
【0019】
さらに、シーケンス制御回路120は、傾斜磁場電源104、送信回路108及び受信回路110を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信回路110から磁気共鳴データを受信すると、受信した磁気共鳴データを画像処理装置130へ転送する。画像処理装置130は、磁気共鳴イメージング装置100の全体制御や、画像の生成等を行う。画像処理装置130は、メモリ132、入力装置134、ディスプレイ135、処理回路150を備える。処理回路150は、インタフェース機能131、制御機能133、生成機能136を備える。
【0020】
第1の実施形態では、インタフェース機能131、制御機能133、生成機能136にて行われる各処理機能は、コンピューターによって実行可能なプログラムの形態でメモリ132へ記憶されている。処理回路150はプログラムをメモリ132から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路150は、
図1の処理回路150内に示された各機能を有することになる。なお、
図1においては単一の処理回路150にて、インタフェース機能131、制御機能133、生成機能136、にて行われる処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路150を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。換言すると、上述のそれぞれの機能がプログラムとして構成され、1つの処理回路150が各プログラムを実行する場合であってもよい。別の例として、特定の機能が専用の独立したプログラム実行回路に実装される場合であってもよい。なお、
図1において、インタフェース機能131、制御機能133、生成機能136は、それぞれ受付部、制御部、生成部、解析部の一例である。また、シーケンス制御回路120は、シーケンス制御部の一例である。
【0021】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリ132に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0022】
また、メモリ132にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、寝台制御回路106、送信回路108、受信回路110等も同様に、上記のプロセッサ等の電子回路により構成される。
【0023】
処理回路150は、インタフェース機能131により、シーケンス情報をシーケンス制御回路120へ送信し、シーケンス制御回路120から磁気共鳴データを受信する。また、磁気共鳴データを受信すると、インタフェース機能131を有する処理回路150は、受信した磁気共鳴データをメモリ132に格納する。
【0024】
メモリ132に格納された磁気共鳴データは、制御機能133によってk空間に配置される。この結果、メモリ132は、k空間データを記憶する。
【0025】
メモリ132は、インタフェース機能131を有する処理回路150によって受信された磁気共鳴データや、制御機能133を有する処理回路150によってk空間に配置されたk空間データ、生成機能136を有する処理回路150によって生成された画像データ等を記憶する。例えば、メモリ132は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。
【0026】
入力装置134は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力装置134は、例えば、マウスやトラックボール等のポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスである。ディスプレイ135は、制御機能133を有する処理回路150による制御の下、撮像条件の入力を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、生成機能136を有する処理回路150によって生成された画像等を表示する。ディスプレイ135は、例えば、液晶表示器等の表示デバイスである。
【0027】
処理回路150は、制御機能133により、磁気共鳴イメージング装置100の全体制御を行い、撮像や画像の生成、画像の表示等を制御する。例えば、制御機能133を有する処理回路150は、撮像条件(撮像パラメータ等)の入力をGUI上で受け付け、受け付けた撮像条件に従ってシーケンス情報を生成する。また、制御機能133を有する処理回路150は、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路120へ送信する。
【0028】
処理回路150は、生成機能136により、k空間データをメモリ132から読み出し、読み出したk空間データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、画像を生成する。
【0029】
続いて、実施形態に係る背景について簡単に説明する。
【0030】
磁気共鳴イメージングにおいて、MTC(Magnetization transfer contrast)効果を用いたイメージングが注目されている。MTC効果は、高分子中の自由水プロトンと制限プロトンとの間の磁気交換を観測するものであり、これにより、組織の組成を描出することができる。
【0031】
MTC効果を利用したイメージングの一例として、特定の交換プロトンを選択的に飽和させその後の自由水信号を観測する、いわゆるCEST(Chemical Exchange Saturation Transfer)法が知られている。
【0032】
しかしながら、CEST法は、自由水信号の周波数と比較して通常±1000Hz程度のオフセット周波数の周波数領域に係る信号領域に着目するものであり、当該±1000Hz程度のオフセット周波数より広い幅を持つ信号成分については、着目されていなかった。
【0033】
我々は、これらの広い幅を持つ信号成分を用いてZスペクトルの解析を行う。Zスペクトルの解析の結果、Zスペクトルが、脳では、1000~2000μs程度の比較的長い(自由な)交換プロトンに係る成分と、20~40μs程度の比較的短い(制限的な)交換プロトンに係る成分とからなる旨の知見が得られ、この知見をもとに、我々は、Zスペクトルを、複数のローレンツ型スペクトルの和に分解することを提案し、解析を行った。
【0034】
すなわち、シーケンス制御回路120は、MTパルスの印加を含むパルスシーケンスを実行し、処理回路150が、生成機能136により、当該パルスシーケンスにより得られたデータに基づいて、Zスペクトルを生成し、当該Zスペクトルを複数のローレンツ型スペクトルの和に分解する解析を行う。
【0035】
ここで、我々は、被検体に生理的な状態変化を起こさせるアクション後に、MTパルスの印加を含むパルスシーケンスを実行すると、当該アクション前に、MTパルスの印加を含むパルスシーケンスを実行した場合と比較して、Zスペクトルを複数のローレンツ型スペクトルの和に分解したときのローレンツ型スペクトルを特徴づけるパラメータに変化が表れることを発見した。我々は、この知見を利用して、新しい磁気共鳴イメージングを行うものである。
【0036】
ここで、被検体に生理的な変化を起こさせるアクション、とは、神経細胞の電気生理学的変化と比較して遅い時間スケールで引き起こされる生理的な状態変化を起こさせるアクションであり、例えば被検体に深呼吸を取らせるアクションであったり、運動、頭の動きであったり、薬剤投与である。また、例えば生理的な変化とは、覚醒/睡眠状態である。既存のMRIの手法は、被検体のこれらの微妙な変化に対して、十分鋭敏でなかった。
【0037】
実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100は、かかる背景に基づくものであり、シーケンス制御回路120と、処理回路150とを含む。
【0038】
シーケンス制御回路120は、MTパルスの印加を含む第1のパルスシーケンスを実行したのち、被検体に生理的な状態変化を起こさせるアクション後に、MTパルスの印加を含む第2のパルスシーケンスを実行する。処理回路150は、生成機能136により、第1のパルスシーケンスにより得られたデータに基づいて第1のZスペクトルを生成し、第2のパルスシーケンスにより得られたデータに基づいて第2のZスペクトルを生成し、第1のZスペクトルと第2のZスペクトルとに基づいて解析を行ってデータを生成する。
【0039】
これにより、今まで他のMRI手法では不可能であった、様々な被検体の生理的な状態変化、例えば運動、頭の動き、睡眠、深呼吸、薬剤の投入などが、脳環境に与えるわずかな影響をイメージングすることができる。また、実施形態は脳に限定されず、心筋、腎臓、肝臓などの他の臓器についても、同様のイメージングを行うことができると期待される。
【0040】
以下、
図2~
図6を用いて、かかる構成の詳細について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が行う処理の手順について示したフローチャートである。
【0041】
はじめに、ステップS100において、シーケンス制御回路120は、MTパルスの印加を含む第1のパルスシーケンスを実行する(ステップS100)。
【0042】
ここで、MTパルスとは、自由水プロトンの共鳴周波数に対応する周波数以外の周波数のRFパルスである。MTパルスの印加により、自由水プロトン以外のプロトンが飽和する。自由水プロトン以外のプロトンと、自由水プロトンとの間には化学的交換が存在するので、時間が経つにつれ、自由水プロトン以外のプロトンの磁化が、自由水プロトンへと移動する。
【0043】
この時自由水プロトンの共鳴周波数に対応する周波数のRFパルスを印加してイメージングを行うと、MTパルスによって励起された自由水プロトン以外のプロトンを間接的にイメージングすることができる。
【0044】
すなわち、第1のパルスシーケンスは、MTパルスの印加と、MTパルスの印加後に実行される収集シーケンスから構成される。収集シーケンスの例としては、例えばスパイラルまたはラジアル収集での2Dまたは3Dシーケンス、FSE(Fast Spin Echo)、FASE(Fast Advanced Spin Echo)、グラジエントエコーのシーケンス等が挙げられるが、収集シーケンスの例はこれに限られない。
【0045】
なお、シーケンス制御回路120は、第1のパルスシーケンスにおいて、MTパルスの印加と、MTパルスの印加後の実行される収集シーケンスとの組を、MTパルスの周波数を少しずつ変化させながら、複数回実行する。
【0046】
ここで、例えば、CEST(Chemical Exchange Saturation Transfer)イメージングの場合は、シーケンス制御回路120は、印加するMTパルスの周波数を、例えば自由水プロトンの共鳴周波数を基準として、狭い周波数範囲で、例えば-5.0ppmから+5.0ppmで、一点の収集で周波数を+0.5ppm刻みで、収集する。これに対して、実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置100においては、幅広い周波数範囲でZスペクトルを収集するという目的のもと、シーケンス制御回路120は、例えば-28,000Hzから+31,000Hzの範囲で、自由水プロトンの共鳴周波数付近の周波数では密に、自由水プロトンの共鳴周波数付近から離れた周波数では疎にデータ収集を行いながら、例えば合計で50個の周波数でデータ収集を行う。
【0047】
続いて、ステップS110において、被検体に生理的な状態変化を起こさせるアクションが行われる。
【0048】
ここで、被検体に生理的な変化を起こさせるアクション、とは、神経細胞の電気生理学的変化と比較して遅い時間スケールで引き起こさせる生理的な状態変化であり、例えば被検体に深呼吸を取らせるアクションであったり、運動、頭の動きであったり、薬剤投与である。すなわち、ステップS110において、被検体は深呼吸をしたり、運動をしたり、頭を動かし、または薬剤を投与される。
【0049】
また、別の例として、生理的な変化、とは、例えば覚醒/睡眠状態である。すなわち、例えば、ステップS100で睡眠状態にあった被検体がステップS110で覚醒し、またはステップS100で覚醒状態にあった被検体が、ステップS110で睡眠状態に移行する。
【0050】
続いて、ステップS120において、シーケンス制御回路120は、ステップS110における、被検体に生理的な状態変化をおこさせるアクション後に、MTパルスの印加する第2のパルスシーケンスを実行する。ステップS120にてシーケンス制御回路120が実行する第2のパルスシーケンスは、典型的にはステップS100にてシーケンス制御回路120が実行する第1のパルスシーケンスとは、被検体の状態以外の点で同一のパルスシーケンスであるが、実施形態はこれに限られない。
【0051】
続いて、ステップS130において、処理回路150は、生成機能136により、第1のパルスシーケンスにより得られた、複数の周波数について取得されたデータに基づいて第1のZスペクトルを生成する。ここで、Zスペクトルとは、MTパルス印加後に自由水プロトンの共鳴周波数に対応するRFパルスを印加したときの信号強度を、印加したMTパルスの周波数の関数として表したスペクトルである。
【0052】
同様に、ステップS150において、処理回路150は、生成機能136により、第2のパルスシーケンスにより得られた、複数の周波数について取得されたデータに基づいて第2のZスペクトルを生成する。
【0053】
一例として、ステップS130及びステップS140において、処理回路150は、生成機能136により、CEST効果の解析と比較して広い範囲のオフセット周波数で、例えば±1000Hzより広い周波数で、Zスペクトルを生成する。
【0054】
続いて、ステップS150において、処理回路150は、生成機能136により、ステップS130において得られた第1のZスペクトルと、ステップS140において得られた第2のZスペクトルに対して解析を行って、ZAP(Z-spectrum analysis protons)解析が行われたデータを生成する。
【0055】
ここで、我々は、ステップS130及びステップS140において得られた、CEST効果の解析と比較して広い範囲のオフセット周波数で、例えば±1000Hzより広い周波数で、得られたZスペクトルが、2つのローレンツ型スペクトルの和で良くフィットすることが可能であることを見出した。すなわち、長い緩和時間に対応する成分をfree(f)成分、短い緩和時間に対応する成分をrestricted(r)成分と仮に呼ぶことにして、規格化された測定されたZスペクトルの値yは、以下の式(1)で表される。
【数1】
【0056】
ここで、xはMTC飽和パルスのオフセット周波数であり、LW
f及びLW
rは、free成分及びrestricted成分のFWHM(full-widths at half-maximum)であり、F
f及びF
rは、free成分及びrestricted成分の振幅である。ここで、F
f+F
r=1である。free成分及びrestricted成分の見かけの(apparent)スピン―スピン緩和時間T
2,f及びT
2,rは、FWHMの逆数であり、以下の式(2)及び式(3)で与えられる。
【数2】
【数3】
【0057】
すなわち、処理回路150は、生成機能136により、Zスペクトルを複数のローレンツ型スペクトルの和に分解する解析を行う。
【0058】
一例として、処理回路150は、生成機能136により、ステップS130で得られた第1のZスペクトルを複数の第1のローレンツ型スペクトルの和に分解し、複数の第1のローレンツ型スペクトルに基づいて、複数の第1のローレンツ型スペクトルのピーク値(Ff、Fr)及び幅(T2、f、T2、r)を算出する。
【0059】
また、処理回路150は、生成機能136により、ステップS140で得られた第2のZスペクトルを複数の第2のローレンツ型スペクトルの和に分解し、複数の第2のローレンツ型スペクトルに基づいて、複数の第2のローレンツ型スペクトルのピーク値(Ff、Fr)及び幅または緩和時間(T2、f、T2、r)を算出する。
【0060】
図3A~
図3Dに、このような解析により得られたデータの一例が示されている。
図3A、
図3B、
図3C及び
図3Dは、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置により得られる画像の例について示した図である。
図3A、
図3B、
図3C、
図3Dは、それぞれ、67歳男性の被検体の、free成分のピーク値F
fを示した画像、67歳男性の被検体の、restricted成分のピーク値F
rを示した画像、27歳女性の被検体の、free成分のピーク値F
fを示した画像、27歳女性の被検体の、restricted成分のピーク値F
rを示した画像を示している。67歳男性のデータと、27歳女性のデータとでは、信号強度の相対強度という観点では概ね類似するが、27歳女性の場合、67歳男性の場合と比較して、free成分のピーク値F
fが高値となるエリア(灰白質のエリア)及び、restricted成分のピーク値F
rが高値となるエリア(白質のエリア及び灰白質の中心部分のエリア)の面積が大きくなっている。このように、処理回路150は、ステップS130及びステップS140で生成されたZスペクトルを、複数のローレンツ型スペクトルの和に分解して解析を行って、例えばfree成分のピーク値F
f,restricted成分のピーク値F
r, restricted成分の緩和時間T
2,r、free成分の緩和時間T
2,fの画像等の画像を生成する。
【0061】
続いて、
図4、
図5A~
図5Dを用いて、被検体に生理的な状態変化を起こさせるアクションと、得られる信号との関係について説明する。
【0062】
被検体の生理的な状態変化を起こさせるアクションの前後でZスペクトルから得られたZAP解析結果がどのように変化するのかを調べる目的で、被検体の生理的な状態変化を起こさせるアクション8の前後で、シーケンス制御回路120は、それぞれ複数回の撮像を行った。具体的には、アクション8において、被検体は、5分間の深呼吸を行った。また、シーケンス制御回路120は、アクション8の前、アクション前の第1の撮像9、アクション前の第2の撮像10を行い、アクション8の後、アクション後の第1の撮像11、アクション後の第2の撮像12を行った。アクション前の第1の撮像9、アクション前の第2の撮像10、アクション後の第1の撮像11、及びアクション後の第2の撮像12は同一のシーケンスであり、各7分半の撮像シーケンスであった。すなわち、5分間の深呼吸の時間を含めると、アクション前の第1の撮像9からアクション後の第2の撮像12までは35分を要した。
【0063】
なお、アクション前の第1の撮像9とアクション前の第2の撮像10との間でデータを比較することにより、データの再現性について確認した。
【0064】
図5A、
図5B、
図5C及び
図5Dに、得られたデータの一例が示されている。
図5A、
図5B、
図5C、
図5Dは、様々な撮像部位について、アクション前の第2の撮像10、アクション後の第1の撮像11、アクション後の第2の撮像12における、free成分の緩和時間T
2,f,free成分のピーク値F
f,restricted成分の緩和時間T
2,r、restricted成分のピーク値F
rをプロットしたものである。
【0065】
すなわち、
図5Aにおいて、グラフ10a、グラフ11a、グラフ12aは、それぞれ、アクション前の第2の撮像10に係るfree成分の緩和時間T
2,f、アクション後の第1の撮像11に係るfree成分の緩和時間T
2,f、アクション後の第2の撮像12に係るfree成分の緩和時間T
2,fを、さまざまな部位についてプロットしたものを表す。
【0066】
図5Bにおいて、グラフ10b、グラフ11b、グラフ12bは、それぞれ、アクション前の第2の撮像10に係るfree成分のピーク値F
f、アクション後の第1の撮像11に係るfree成分のピーク値F
f、アクション後の第2の撮像12に係るfree成分のピーク値F
fを、さまざまな部位についてプロットしたものを表す。
【0067】
図5Cにおいて、グラフ10c、グラフ11c、グラフ12cは、それぞれ、アクション前の第2の撮像10に係るrestricted成分の緩和時間T
2,r、アクション後の第1の撮像11に係るrestricted成分の緩和時間T
2,r、アクション後の第2の撮像12に係るrestricted成分の緩和時間T
2,rを、さまざまな部位についてプロットしたものを表す。
【0068】
図5Dにおいて、グラフ10d、グラフ11d、グラフ12dは、それぞれ、アクション前の第2の撮像10に係るrestricted成分のピーク値F
r、アクション後の第1の撮像11に係るrestricted成分のピーク値F
r、アクション後の第2の撮像12に係るrestricted成分のピーク値F
rを、さまざまな部位についてプロットしたものを表す。
【0069】
図5A~
図5Dを見ると、海馬(hippocampus)及び灰白質において、アクション8の前後で、restricted成分の緩和時間T
2,rが、大きく変化しているのに対して、視床(thalamus)、白質及び脳橋(pons)などにおいては、restricted成分の緩和時間T
2,rには大きな変化は見られなかった。このことから、アクション8の影響により、海馬(hippocampus)及び灰白質において、restricted成分の緩和時間T
2,rに変化が表れると結論することができる。
【0070】
従って、処理回路150は、生成機能136により、第1のZスペクトルに対してZAP解析を行うことにより得られたデータ(例えば、複数のローレンツ型スペクトルのピーク値(Ff、Fr)及び幅または緩和時間(T2、f、T2、r)等)と、第2のZスペクトルに対してZAP解析を行うことにより得られたデータ(同様に、例えば、複数のローレンツ型スペクトルのピーク値(Ff、Fr)及び幅または緩和時間(T2、f、T2、r)等)との間で差分処理を実行することで、データを生成する。これにより、神経細胞の電気生理学的変化と比較して遅い時間スケールで引き起こされる生理的な状態変化を起こさせるアクションによる影響を磁気共鳴イメージングできる。
【0071】
続いて、ステップS160において、処理回路150は、制御機能133により、ステップS150により得られたデータをディスプレイ135に表示させる。
【0072】
なお、データの再現性の確認について補足する。データの再現性の確認には、アクション前の第1の撮像9とアクション前の第2の撮像10との間でデータを比較することに加え、例えば、変動係数(CV:coefficient of variation)を用いることができる。
【0073】
ここで、変動係数として、例えば、アクション前の第2の撮像10とアクション前の第1の撮像9との間の標準偏差を、アクション前の第2の撮像10とアクション前の第1の撮像9との間の平均値で割ったものに100を掛けたものを、R1とする。また、アクション後の第1の撮像11とアクション前の第2の撮像10との間の標準偏差を、アクション後の第1の撮像11とアクション前の第2の撮像10との間の平均値で割ったものに100を掛けたものを、R2とする。また、アクション後の第2の撮像12とアクション後の第1の撮像11との間の標準偏差を、アクション後の第2の撮像12とアクション後の第1の撮像11との間の平均値で割ったものに100を掛けたものを、R3とする。また、アクション後の第3の撮像13とアクション後の第2の撮像12との間の標準偏差を、アクション後の第3の撮像13とアクション後の第2の撮像12との間の平均値で割ったものに100を掛けたものを、R4とする。
【0074】
典型的には、変動係数R1、R2、R3、R4の振る舞いは、
図6のような形となる。変動係数R1、R2、R3、R4がこのような振る舞いになった場合、R1は、アクション前同士のデータに係る変動係数であるから、データの再現性を判定する基準となる。また、変動係数R2がR1と比較して大きくなっていることから、アクションによる効果が表れていることがわかる。まだ、変動係数R3は依然としてR1と比較して大きくなっており、この付近でアクションによる効果がピークに達する。また、変動係数R4はR1と比較してほぼベースラインに達しており、これ以降はアクションにより大きくデータの変化がないことが期待される。
【0075】
また、データの再現性を確認する別の方法として、アクション前とアクション後で信号強度を単純にプロットしてもよい。
【0076】
以上述べたように、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置によれば、被検体の生理学的な状態変化に係る磁気共鳴イメージングを行うことができる。
【0077】
(第2の実施形態)
第2の実施形態においては、Zスペクトルの解析結果の様々な表示方法及び関連するGUIについて説明する。
【0078】
図7は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置が行う処理の手順について示したフローチャートである。
【0079】
なお、第1の実施形態においては、シーケンス制御回路120が、被検体に生理的な状態変化を起こさせるアクション前と後に、合計でパルスシーケンスを2回実行する場合で説明したが、第2の実施形態においては、実施形態はパルスシーケンスが2回実行される場合に限られず、パルスシーケンスの実行は一度のみであってもよい。
【0080】
はじめに、ステップS100において、シーケンス制御回路120は、MTパルスの印加を含むパルスシーケンスを実行する(ステップS200)。
【0081】
第1の実施形態と同様、当該パルスシーケンスは、MTパルスの印加と、MTパルスの印加後に実行される収集シーケンスから構成される。収集シーケンスの例としては、例えばスパイラルまたはラジアル収集での2Dまたは3Dシーケンス、FSE(Fast Spin Echo)、FASE(Fast Advanced Spin Echo)、グラジエントエコーのシーケンス等が挙げられるが、収集シーケンスの例はこれに限られない。
【0082】
第1の実施形態と同様、シーケンス制御回路120は、第1のパルスシーケンスにおいて、MTパルスの印加と、MTパルスの印加後の実行される収集シーケンスとの組を、MTパルスの周波数を少しずつ変化させながら、複数回実行する。
【0083】
続いて、ステップS210において、処理回路150は、生成機能136により、ステップS200で実行されたパルスシーケンスにより得られた、複数の周波数について取得されたデータに基づいてZスペクトルを生成する。
【0084】
続いて、ステップS220において、処理回路150は、生成機能136により、ステップS210において得られたZスペクトルに対して解析を行って、ZAP(Z-spectrum analysis protons)解析が行われたデータ(画像)を生成する。具体的には、処理回路150は、生成機能136により、得られたZスペクトルを複数のスペクトルの和に分解する解析を行い、複数のスペクトルの強度、幅、緩和時間のうち少なくとも一つに基づいて、ZAP解析が行われたデータ(画像)を生成する。
【0085】
続いて、ステップS230において、処理回路150は、制御機能133により、ZAP解析の結果であるステップS220において生成された画像を複数のセグメントに分割してディスプレイ135に表示させる。更に、必要に応じて、処理回路150は、制御機能133により、複数のセグメントごとに、異なるダイナミックレンジで、ディスプレイ135に表示させる。
【0086】
はじめに、
図8A及び
図8Bを用いて、画像を複数のセグメントに分割し、セグメントごとにダイナミックレンジを異ならせる背景について説明する。
図8A及び
図8Bは、どちらも同じボランティアの脳のコロナル断面における、自由成分の緩和時間T
2,fを表示したものであるが、それぞれ異なるダイナミックレンジで表示されている。具体的には、
図8Aの表示のダイナミックレンジは500~1800μsであり、
図8Bの表示のダイナミックレンジは500~3000μsである。また、領域40a及び領域40bは、CSFの領域を示している。
【0087】
ここで、
図8Aのダイナミックレンジでは、脳実質のコントラストが明確であるが、領域40a及び領域40bにおいて、CSFの信号値がダイナミックレンジの上に一部振り切れていってしまっている。一方で、
図8Bのダイナミックレンジでは、CSFのコントラストは明確であるが、脳実質のコントラストが不明確になってしまっている。従って、例えば脳のコロナル断面において、自由成分の緩和時間T
2、fを表示する場合において、一枚の画像で複数の部位を適切に描出するためには、複数のセグメントごとに、異なるダイナミックレンジで画像がディスプレイ135に表示されるのが望ましい。
【0088】
かかる背景に鑑みて、処理回路150は、制御機能133により、複数のセグメントごとに、異なるダイナミックレンジで、Zスペクトルに対してZAP解析が行われることにより生成された画像をディスプレイ135に表示させる。
【0089】
図8Cに、かかる状況の例が示されている。
図8Cは、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置がディスプレイに表示させる画像の例について示した図である。処理回路150は、制御機能133により、CSFの領域をセグメント41とセグメント42とからなる複数のセグメントに分割し、分割した複数のセグメントごとに、ダイナミックレンジを変化させて、CSFをディスプレイ135に表示させることにより、脳のコロナル断面における自由成分の緩和時間T
2、fを表示させる。例えば、処理回路150は、制御機能133により、CSFのコントラストが重要となるセグメント41においては、ダイナミックレンジを500~3000μsとし、脳実質のコントラストが重要となるセグメント42においては、ダイナミックレンジを600~1800μsとして、脳のコロナル断面における自由成分の緩和時間T
2、fをディスプレイ135に表示させる。
【0090】
なお、処理回路150は、制御機能133により、入力装置134を通じて、分割された複数のセグメントごとのダイナミックレンジを受け付けても良いし、処理回路150は、制御機能133により、分割された複数のセグメントごとのダイナミックレンジを、出力対象の画像の信号値を基に自動算出してもよい。
【0091】
図9に、ダイナミックレンジの調整に係るGUIの一例が示されている。
図9は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置に係るGUIの一例を示した図である。
【0092】
処理回路150は、制御機能133により、ユーザからROIの設定を受け付ける。例えば、処理回路150は、制御機能133により、ボタン43a、43b、43c、43d、43e、43f、43g、43h等を通じて、ユーザからセグメント41の大きさ及び場所の設定を受け付ける。また、処理回路150は、制御機能133により、ボタン44a、44b、44c、44d、44e、44f、44g、44h等を通じて、ユーザからセグメント42の大きさ及び場所の設定を受け付ける。
【0093】
また、処理回路150は、制御機能133により、ボタン45a、45b、45c、45d等を通じて、ユーザからセグメント41における表示のダイナミックレンジの変更を受け付ける。また、処理回路150は、制御機能133により、ボタン46a、46b、46c、46d等を通じて、ユーザからセグメント42における表示のダイナミックレンジの変更を受け付ける。
【0094】
続いて、
図10A及び
図10Bを用いて、所定の特徴点を中心にした放射上にセグメント分割を行う場合について説明する。
図10A、
図10Bに、かかるセグメント分割の一例が示されている。
図10Aは、
図10Cのサジタル画像における中心21bにおける脳のコロナル断面におけるfree成分の緩和時間T
2,fを、放射状に複数のセグメントに分割したものである。具体的には、処理回路150は、制御機能133により、コロナル断面におけるfree成分の緩和時間T
2,
fを、特徴点である側脳室を中心として放射状に分割される複数のセグメントに分割してディスプレイ135に表示させる。一例として、処理回路150は、制御機能133により、コロナル断面におけるfree成分の緩和時間T
2,
fを、特徴点である側脳室を中心として、12時~1時半の方向にあるセグメント20a、1時半~3時の方向にあるセグメント20b、3時~4時半の方向にあるセグメント20c、4時半~6時の方向にあるセグメント20d、6時~7時半の方向にあるセグメント20e、7時半~9時方向にあるセグメント20f、9時~10時半の方向にあるセグメント20g、10時半~12時の方向にあるセグメント20hの、複数のセグメントに分割してディスプレイ135に表示させる。また、処理回路150は、制御機能133により、必要に応じて、これらの複数のセグメントごとに、異なるダイナミックレンジで、Zスペクトルに対してZAP解析が行われることにより生成された画像をディスプレイ135に表示させる。
【0095】
ここで、例えば12時から1時半の方向にあるセグメント20aでは、CSFを適切に描画することが重要であることから、例えばダイナミックレンジは500μs~3000μsに設定される。また、3時から9時の方向のセグメントであるセグメント20c、20d、20e、20fは、脳実質を適切に描画することが重要であることから、例えばダイナミックレンジは600μs~1800μsに設定される。このように、複数のセグメントごとに異なったダイナミックレンジが設定されることで、一枚の画像で様々な部位を適切に描画することができ、ユーザ体験が向上する。
【0096】
なお、実施形態は、コロナル面が
図10Cのサジタル画像における中心21b部分のコロナル面である場合で説明したが、実施形態はこれに限られず、例えば
図10Cのサジタル画像における前方21a部分や後方21c部分のコロナル面を用いて同様の処理がなされてもよい。
【0097】
図10Bは、
図10Aと同様であるが、コロナル面ではなくアキシャル面におけるfree成分の緩和時間T
2,fを、放射状に複数のセグメントに分割したものである。具体的には、処理回路150は、制御機能133により、アキシャル断面におけるfree成分の緩和時間T
2,
fを、特徴点である側脳室を中心として放射状に分割される複数のセグメントに分割してディスプレイ135に表示させる。一例として、処理回路150は、制御機能133により、アキシャル断面におけるfree成分の緩和時間T
2,
fを、特徴点である側脳室を中心として、12時~1時半の方向にあるセグメント22a、1時半~3時の方向にあるセグメント22b、3時~4時半の方向にあるセグメント22c、4時半~6時の方向にあるセグメント22d、6時半~7時半の方向にあるセグメント22e、7時半~9時方向にあるセグメント22f、9時~10時半の方向にあるセグメント22g、10時半~12時の方向にあるセグメント22hの、複数のセグメントに分割してディスプレイ135に表示させる。また、処理回路150は、制御機能133により、必要に応じて、これらの複数のセグメントごとに、異なるダイナミックレンジで、Zスペクトルに対してZAP解析が行われることにより生成された画像をディスプレイ135に表示させる。
【0098】
図11に、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置に係るGUI(Graphical User Interface)の一例が示されている。
【0099】
処理回路150は、制御機能133により、入力装置134から、ディスプレイ135に表示された表示パネル33上のボタン33a、33b、33c、33dを通じて、ZAP解析が行われることにより生成された画像のうちどの画像をディスプレイ135に表示させるかの入力をユーザから受け付ける。受け付けられた入力により特定された画像は、パネル30に表示される。
【0100】
また、処理回路150は、制御機能133により、入力装置134から、ディスプレイ135に表示された表示パネル32上のボタン32a、32b、32cを通じて、表示断面の設定を受け付け、また、ボタン32d、32eを通じて、セグメントの分割数に関する設定をユーザから受け付ける。
【0101】
また、処理回路150は、制御機能133により、入力装置134から、ディスプレイ135に表示された表示パネル31上のボタン31a、31bを通じて、現在の表示に係る撮像が、被検体に生理学的な状態変化を起こさせるアクションを含んで行われた撮像を含むものであるか否かの設定をユーザから受け付ける。撮像が、後述するように、被検体に生理学的な状態変化を起こさせるアクションを含んで行われた撮像を含むものである場合、処理回路150は、制御機能133により、入力装置134から、ボタン31c、31d、31eを通じて、アクション前の画像、アクション後の画像、アクション前後の差分画像のいずれの画像を表示するかの設定をユーザから受け付ける。
【0102】
第1の実施形態と同様、第2の実施形態においても、シーケンス制御回路120が、被検体に生理的な状態変化を起こさせるアクション前と後に、パルスシーケンスを実行してもよい。
【0103】
図12に、かかる処理の手順について示されている。ステップS100~ステップS150の処理については、第1の実施形態において
図2のステップS100~ステップS150において説明した処理と同様の処理であるので重ねての説明は省略する。
【0104】
ステップS150aにおいて、必要に応じて、処理回路150は、生成機能136により、第1のZスペクトルに対してZAP解析を行うことにより得られたデータと、第2のZスペクトルに対してZAP解析を行うことにより得られたデータとの間で差分処理を実行することで、出力対象の画像を生成する。例えば、処理回路150は、第1のZスペクトルに対して解析を行うことにより得られたfree成分のピーク値Ff,restricted成分のピーク値Fr, restricted成分の緩和時間T2,r、free成分の緩和時間T2,fと、第2のZスペクトルに対して解析を行うことにより得られたfree成分のピーク値Ff,restricted成分のピーク値Fr, restricted成分の緩和時間T2,r、free成分の緩和時間T2,rとの間で差分処理をそれぞれ実行することで、アクション前後でのfree成分のピーク値Ffの差分画像,restricted成分のピーク値Frの差分画像, restricted成分の緩和時間T2,rの差分画像、free成分の緩和時間T2,rの差分画像を生成する。
【0105】
続いて、ステップS160aにおいて、処理回路150は、制御機能133により、ステップS150で得られた解析結果またはステップS150aで得られた解析結果を、複数のセグメント化してディスプレイ135に表示させる。また、必要に応じて、処理回路150は、制御機能133により、複数のセグメントごとに、解析結果を、場所ごとにダイナミックレンジを変えてディスプレイ135に表示させる。
【0106】
なお、処理回路150は、制御機能133により、解析結果を、画像形式ではなく表形式でディスプレイ135に表示させてもよい。そのような表の例が
図13に示されている。処理回路150は、制御機能133により、例えば、特徴点である側脳室を中心として放射状にセグメント化されたセグメントごとのZAP解析結果のパラメータ及びそのアクション前後の差分を、サジタル画像における中心位置のコロナル断面、及びアキシャル断面での各セグメントごとに、表形式でディスプレイ135に表示させる。
【0107】
以上述べたように、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置によれば、ユーザ体験を向上させることができる。
【0108】
(プログラム)
また、上述した実施形態の中で示した処理手順に示された指示は、ソフトウェアであるプログラムに基づいて実行されることが可能である。汎用コンピューターが、このプログラムを予め記憶しておき、このプログラムを読み込むことにより、上述した実施形態の磁気共鳴イメージング装置100による効果と同様の効果を得ることも可能である。上述した実施形態で記述された指示は、コンピューターに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、又はこれに類する記録媒体に記録される。コンピューター又は組み込みシステムが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。コンピューターは、この記録媒体からプログラムを読み込み、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させれば、上述した実施形態の磁気共鳴イメージング装置100と同様の動作を実現することができる。また、コンピューターがプログラムを取得する場合又は読み込む場合は、ネットワークを通じて取得又は読み込んでもよい。
【0109】
また、記憶媒体からコンピューターや組み込みシステムにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピューター上で稼働しているOS(Operating System)や、データベース管理ソフト、ネットワーク等のMW(Middleware)等が、上述した実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。更に、記憶媒体は、コンピューターあるいは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LAN(Local Area Network)やインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。また、記憶媒体は1つに限られず、複数の媒体から、上述した実施形態における処理が実行される場合も、実施形態における記憶媒体に含まれ、媒体の構成は何れの構成であってもよい。
【0110】
なお、実施形態におけるコンピューター又は組み込みシステムは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、上述した実施形態における各処理を実行するためのものであって、パソコン、マイコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であってもよい。また、実施形態におけるコンピューターとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって実施形態における機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0111】
以上述べた少なくとも一つの実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置によれば、被検体の生理学的な状態変化に係る磁気共鳴イメージングを行うことができる、または実施形態に係る表示方法によりユーザ体験を向上させることができる。
【0112】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0113】
120 シーケンス制御回路
131 インタフェース機能
133 制御機能
136 生成機能
150 処理回路