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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/52 20220101AFI20230904BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20230904BHJP
   G16Y 10/80 20200101ALI20230904BHJP
   G16Y 20/10 20200101ALI20230904BHJP
【FI】
H04L67/52
H04Q9/00 301D
G16Y10/80
G16Y20/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020045457
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021149170
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100148518
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 薫央
(74)【代理人】
【識別番号】100150968
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 悠有子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
(72)【発明者】
【氏名】巖 憲介
(72)【発明者】
【氏名】本間 誠
(72)【発明者】
【氏名】豊田 聡史
(72)【発明者】
【氏名】小竹 宏
(72)【発明者】
【氏名】武田 賢司
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-005116(JP,A)
【文献】特開2012-253756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/00
H04Q 9/00
G16Y 10/80
G16Y 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して相互に通信可能な、宅内で使用されるIoT機器と、前記宅内以外の場所である宅外で使用される外部サーバと、前記宅内および前記宅外で使用される情報端末と、前記IoT機器および前記情報端末と前記ネットワークとの接続を中継する少なくとも一のルータと、を備える通信システムであって、
前記外部サーバは、前記IoT機器が接続する前記ルータの識別情報である機器識別情報を前記IoT機器より取得するサーバ側取得部を有し、
前記情報端末は、
前記サーバ側取得部が取得した前記機器識別情報を前記外部サーバより取得する端末側取得部と、
前記情報端末が接続する前記ルータの識別情報である端末識別情報と、取得した前記機器識別情報とを比較し、前記端末識別情報と前記機器識別情報とが同一である場合、前記情報端末が前記宅内にあると判定し、前記端末識別情報と前記機器識別情報とが異なる場合、前記情報端末が前記宅外にあると判定する判定部と、を有し、
前記IoT機器が接続する前記ルータは、複数の無線周波数帯で通信可能であり、前記無線周波数帯毎に異なる前記機器識別情報を保有し、
前記情報端末は、前記IoT機器が接続する前記ルータと同一のルータと接続する場合、前記IoT機器とは異なる前記無線周波数帯で前記ルータと接続可能であり、
前記サーバ側取得部は、前記情報端末が前記IoT機器が接続する前記ルータと同一のルータに接続した際に得られる前記ルータの識別情報を端末側機器識別情報としてさらに取得し、
前記端末側取得部は、前記サーバ側取得部が取得した前記端末側機器識別情報を前記外部サーバよりさらに取得し、
前記判定部は、前記端末識別情報と、前記機器識別情報および前記端末側機器識別情報とを比較し、前記端末識別情報と、前記機器識別情報および前記端末側機器識別情報のいずれか一方とが同一である場合、前記情報端末が前記宅内にあると判定し、前記端末識別情報と前記機器識別情報および前記端末側機器識別情報のいずれとも異なる場合、前記情報端末が前記宅外にあると判定する、通信システム。
【請求項2】
前記情報端末は、前記IoT機器で実行される複数の操作を実行するよう前記IoT機器に指示する遠隔操作部をさらに有し、
前記遠隔操作部は、前記判定部により前記情報端末が前記宅外にあると判定された場合、前記情報端末が前記宅内にある場合に比べて指示可能な前記操作を制限する、請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記情報端末は、移動体通信ネットワークを介して前記ネットワークにさらに接続し、
前記判定部は、前記移動体通信ネットワークを介して前記ネットワークに接続されている場合、前記情報端末が前記宅外にあると判定する、請求項1または2記載の通信システム。
【請求項4】
前記無線周波数帯での通信は、無線LAN(Local Area Network)通信であり、前記識別情報はSSID(Service Set Identifier)である、請求項3記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して相互に通信可能なIoT機器と、外部サーバと、情報端末と、を備える通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、風呂機能などを備える給湯装置がインターネットを介して外部のサーバなどに接続して、いわゆるIoT(Internet of Things)を利用することにより、スマートフォンなどの情報端末と連携し、ユーザの利便性を高めることが行われている。情報端末は、外出先から給湯装置を遠隔操作したり、使用履歴などの情報を閲覧したりすることができる。
【0003】
例えば、特許文献1においては、情報端末が給湯装置に近い場所にあるか否かを判断し、情報端末を用いた給湯装置の操作可能な内容を自動的に切り換えることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-191100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、情報端末を用いた給湯装置の操作可能な内容を切り換える際、給湯装置および情報端末から外部のサーバがルータの識別情報を取得して情報端末の位置を判断することにより、外部のサーバが制御していた。この場合、給湯装置および情報端末が、定期的にルータの識別情報をサーバに送信する処理が発生し、通信処理および通信量が増加してしまうという課題がある。また、情報端末を用いた給湯装置の操作可能な内容の切り換えを外部のサーバが行うことにより、外部のサーバの処理負担の増加が課題となっていた。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、外部サーバの処理負担を低減できる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る通信システムは、上述した課題を解決するために、ネットワークを介して相互に通信可能な、宅内で使用されるIoT機器と、前記宅内以外の場所である宅外で使用される外部サーバと、前記宅内および前記宅外で使用される情報端末と、前記IoT機器および前記情報端末と前記ネットワークとの接続を中継する少なくとも一のルータと、を備える通信システムであって、前記外部サーバは、前記IoT機器が接続する前記ルータの識別情報である機器識別情報を前記IoT機器より取得するサーバ側取得部を有し、前記情報端末は、前記サーバ側取得部が取得した前記機器識別情報を前記外部サーバより取得する端末側取得部と、前記情報端末が接続する前記ルータの識別情報である端末識別情報と、取得した前記機器識別情報とを比較し、前記端末識別情報と前記機器識別情報とが同一である場合、前記情報端末が前記宅内にあると判定し、前記端末識別情報と前記機器識別情報とが異なる場合、前記情報端末が前記宅外にあると判定する判定部と、を有し、前記IoT機器が接続する前記ルータは、複数の無線周波数帯で通信可能であり、前記無線周波数帯毎に異なる前記機器識別情報を保有し、前記情報端末は、前記IoT機器が接続する前記ルータと同一のルータと接続する場合、前記IoT機器とは異なる前記無線周波数帯で前記ルータと接続可能であり、前記サーバ側取得部は、前記情報端末が前記IoT機器が接続する前記ルータと同一のルータに接続した際に得られる前記ルータの識別情報を端末側機器識別情報としてさらに取得し、前記端末側取得部は、前記サーバ側取得部が取得した前記端末側機器識別情報を前記外部サーバよりさらに取得し、前記判定部は、前記端末識別情報と、前記機器識別情報および前記端末側機器識別情報とを比較し、前記端末識別情報と、前記機器識別情報および前記端末側機器識別情報のいずれか一方とが同一である場合、前記情報端末が前記宅内にあると判定し、前記端末識別情報と前記機器識別情報および前記端末側機器識別情報のいずれとも異なる場合、前記情報端末が前記宅外にあると判定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る通信システムにおいては、外部サーバの処理負担を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る通信システムの一実施形態を示すシステム構成図。
図2】風呂給湯システムの機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
図3】外部サーバの機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
図4】情報端末の機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
図5】本実施形態における端末制御部により実行される宅内外判定処理を説明するフローチャート。
図6図5の宅内外判定処理実行中における風呂給湯システム、外部サーバおよび情報端末間で実行される処理を説明するシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る通信システムの一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
本発明に係る通信システムにおいて、例えば、ネットワークとして、インターネットなどの情報通信網を適用できる。IoT機器としては、例えば、宅内に据え付けられる風呂給湯システム、空調システム、床暖房システムなどの住居設備を適用できる。外部サーバとしては、例えば、宅外に配置されネットワークに接続されたクラウドコンピューティングシステムを適用できる。情報端末としては、例えば、宅内および宅外で使用可能なスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなどであり、無線または有線でネットワークに接続可能な機器を適用できる。
【0012】
図1は、本発明に係る通信システムの一実施形態を示すシステム構成図である。
【0013】
図2は、風呂給湯システム10の機能構成を示す概略的な機能ブロック図である。
【0014】
図3は、外部サーバ30の機能構成を示す概略的な機能ブロック図である。
【0015】
図4は、情報端末40の機能構成を示す概略的な機能ブロック図である。
【0016】
通信システム1は、ネットワーク2を介して相互に通信可能な風呂給湯システム10と、外部サーバ30と、情報端末40と、を備える。通信システム1においては、宅内5で使用される風呂給湯システム10がネットワーク2に接続して、いわゆるIoT(Internet of Things)を利用することにより、情報端末40と連携する。情報端末40は、宅内5および宅外6(外出先)で使用される。情報端末40は、風呂給湯システム10の運転の指示や設定の変更を指示したり、使用履歴などの機器情報を閲覧したりすることができる。風呂給湯システム10および情報端末40は、ネットワーク2との接続を中継するルータ3に接続されている。
【0017】
以下の説明においては、「宅内5」は、住宅の内部や、住宅の外部であって住宅の敷地内(住宅の外壁周辺など)を含む。「宅外6」は、宅内5以外の場所である。
【0018】
風呂給湯システム10は、給湯ユニット11と、給湯回路や風呂循環回路(図示せず)と、リモコン15と、を主に有する。
【0019】
給湯ユニット11は、貯湯タンクおよびヒートポンプを有する。給湯ユニット11は、給湯回路や風呂循環回路を介して浴室(風呂、浴槽)や台所に温水を供給したり、風呂循環回路を介して浴槽から供給される湯水を加温したりする。図2に示すように、給湯ユニット11は、給湯ユニット制御部12と、給湯ユニット記憶部13と、給湯ユニット通信部14と、を有する。給湯ユニット制御部12は、CPU(Central Processing Unit)を有し、給湯ユニット記憶部13に予め記憶されているプログラムに従って給湯ユニット11を電気的に制御する。給湯ユニット記憶部13は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有し、給湯ユニット制御部12の制御に必要な各種プログラムや、データを記憶する。給湯ユニット通信部14は、リモコン通信部20と接続され、給湯ユニット11とリモコン15とを双方向に通信可能にする。
【0020】
給湯回路や風呂循環回路は、浴室内の浴槽や、シャワー、カラン、台所のカランなどと接続され、貯湯タンクの湯水を浴室や台所に供給したり、浴槽の湯水を浴槽と貯湯タンクとの間で循環させたりする。給湯回路や風呂循環回路および給湯ユニット11は、温度センサ、流量センサ、水位センサ、などのセンサ類を有する。これらセンサ類から得られる情報は、主に給湯ユニット制御部12に供給され、リモコン15の表示に必要な情報や外部サーバ30が必要とする情報がリモコン制御部16に供給される。
【0021】
リモコン15は、浴室や台所に配置され、ユーザから各種指示を受け付けたり、情報を表示したりする。図2に示すように、リモコン15は、リモコン制御部16と、リモコン記憶部17と、リモコン入力部18と、リモコン表示部19と、リモコン通信部20と、を有する。
【0022】
リモコン制御部16は、CPU(Central Processing Unit)を有し、リモコン記憶部17に予め記憶されているプログラムに従ってリモコン15を制御する。例えば、リモコン制御部16は、リモコン入力部18または情報端末40を介して受け付けるユーザの指示に基づいて制御し、指示を実行する。具体的には、リモコン制御部16は、指示された給湯設定温度や、風呂設定温度、設定湯量などに基づいて給湯運転、風呂自動運転、風呂追いだき運転などを実行する。リモコン制御部16からの指示を受け付けた給湯ユニット制御部12は、センサ類から得られた情報に基づいて各種弁などの作動を制御する。なお、本実施形態においては、説明の簡略化のためリモコン制御部16が、給湯ユニット11を含む風呂給湯システム10の各部を統括的に制御する例を適用して、以下説明する。
【0023】
リモコン記憶部17は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有し、リモコン制御部16の制御に必要な各種プログラムや、データを記憶する。リモコン入力部18は、ユーザから指示を受け付ける、例えばボタン類である。リモコン表示部19は、ユーザに情報を表示する、例えばディスプレイである。リモコン通信部20は、有線または無線で他の機器とリモコン15とを通信可能に接続する。具体的には、リモコン通信部20は、上述の通り給湯ユニット通信部14と接続することにより、リモコン15と給湯ユニット11とを通信可能に接続する。また、リモコン通信部20は、ルータ3を介して所定の無線周波数帯(2.4GHz)でリモコン15をネットワーク2に接続し、ネットワーク2を介して他の機器と所要の情報を送受信する。
【0024】
ルータ3は、宅内5(リモコン15と通信可能な範囲内)に配置され、ルータ3と接続された風呂給湯システム10および情報端末40をネットワーク2に接続する。ルータ3は、風呂給湯システム10および情報端末40と無線通信で接続する無線通信部としても機能する。具体的には、ルータ3は、無線LAN(Local Area Network)通信のアクセスポイントとしての機能を有する。ルータ3は、識別情報として、アクセスポイント(無線通信部)を識別するためのSSID(Service Set Identifier)を保有する。
【0025】
外部サーバ30は、例えば、いわゆるクラウドコンピューティングを利用して実現され、ネットワーク2を介して風呂給湯システム10や情報端末40と接続される。図3に示すように、外部サーバ30は、サーバ制御部31と、サーバ記憶部32と、サーバ通信部33と、を有する。サーバ制御部31は、CPU(Central Processing Unit)を有し、サーバ記憶部32に予め記憶されているプログラムに従って外部サーバ30を制御する。サーバ記憶部32は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などからなり、サーバ制御部31の制御に必要な各種プログラムや、データを記憶する。特に、サーバ記憶部32は、風呂給湯システム10から送信される風呂給湯システム10の稼働状況、使用履歴などからなる機器情報を適宜記憶する。サーバ通信部33は、外部サーバ30をネットワーク2に接続し、ネットワーク2を介して、風呂給湯システム10および情報端末40と所要の情報を送受信する。
【0026】
情報端末40は、宅内5および宅外6を含むユーザの任意の場所で使用可能な機器である。図4に示すように、情報端末40は、端末制御部41と、端末記憶部42と、端末入力部43と、端末表示部44と、端末通信部45と、移動体通信部46と、を有する。
【0027】
端末制御部41は、CPU(Central Processing Unit)を有し、端末記憶部42に予め記憶されているプログラムに従って情報端末40を制御する。端末記憶部42は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有し、端末制御部41の制御に必要な各種プログラムや、データを記憶する。端末入力部43は、ユーザから指示を受け付ける、例えばタッチパネルやボタン類である。端末表示部44は、ユーザに情報を表示する、例えばディスプレイである。
【0028】
端末通信部45は、有線または無線で他の機器と情報端末40とを通信可能に接続する。具体的には、端末通信部45は、リモコン15が使用するものと同一の所定の無線周波数帯(2.4GHz)でルータを介して情報端末40をネットワーク2に接続し、ネットワーク2を介して他の機器と所要の情報を送受信する。端末通信部45が接続されるルータは、宅内5に配置されるルータ3(IoT機器が接続するルータと同一のルータ)と、宅外6に設置される任意のルータ7を含む。移動体通信部46は、情報端末40を移動体通信ネットワーク4に接続する。すなわち、情報端末40は、宅内5にある場合には、ルータ3または移動体通信ネットワーク4を介してネットワーク2に接続する。情報端末40は、宅外6にある場合には、ルータ7または移動体通信ネットワーク4を介してネットワーク2に接続する。
【0029】
次に、通信システム1において、情報端末40が風呂給湯システム10を遠隔で操作する際の処理について説明する。
【0030】
風呂給湯システム10は、リモコン入力部18を介して指示を受け付けることにより風呂給湯システム10で実行される複数の操作を実行する。情報端末40は、上述したとおり、リモコン15を用いることなく、風呂給湯システム10にこれらの操作の実行を指示(以下単に「遠隔操作」という)する遠隔操作部として機能することができる。
【0031】
例えば、情報端末40は、遠隔操作の一例として、風呂給湯システム10の使用履歴や現在の稼働状況などの機器情報を情報端末40上で閲覧することができる。使用履歴の閲覧は、例えば風呂給湯システム10の過去使用状況であって、湯水の使用量、浴室の使用の有無、浴室温度などに関する日毎、時間毎の変化に関する情報を閲覧することである。また、稼働状況の閲覧は、現在の浴室内における稼働情報であり、例えば浴槽の入浴の有無、浴室の在室の有無、お湯張りの動作状況などに関する状況を閲覧することである。
【0032】
なお、機器情報の閲覧は、風呂給湯システム10が据え付けられた住宅の居住者以外の遠隔地に暮らす家族などが利用可能であってもよい。
【0033】
また、情報端末40は、遠隔操作の他の例として、例えば風呂自動運転や、風呂追いだき運転を実行すること、風呂自動運転や風呂追いだき運転の設定温度や設定湯量を変更すること、をリモコン15から離れた場所であっても遠隔で指示できる。
【0034】
このような情報端末40を用いた遠隔操作は、情報端末40が宅内5で使用されている場合と宅外6で使用されている場合とで、セキュリティやプライバシー、安全性の観点から、使用可能な機能を制限する必要がある。例えば、情報端末40が宅外6で使用されている場合、プライバシーの観点から浴室の在室の有無を確認できないように制限することが考えられる。また、安全性の観点から、給湯温度の設定に制限を設けることが考えられる。
【0035】
そこで、情報端末40は、例えば宅内モードと宅外モードからなる2つのモードを設け、ユーザに対しては、端末表示部44に現在いずれのモードで動作しているのかを表示する。また、情報端末40は、情報端末40が宅外モードである場合には、宅内モードである場合に比べて情報端末40から使用できる機能を制限する。
【0036】
本実施形態における通信システム1は、情報端末40が宅内5で使用されているのか、または宅外6で使用されているのかの判断を、風呂給湯システム10、外部サーバ30および情報端末40に生じる負荷を低減しつつ行うことができる。以下、宅内外判定処理の詳細を説明する。
【0037】
図5は、本実施形態における端末制御部41により実行される宅内外判定処理を説明するフローチャートである。
【0038】
図6は、図5の宅内外判定処理実行中における風呂給湯システム10、外部サーバ30および情報端末40間で実行される処理を説明するシーケンス図である。
【0039】
この宅内外判定処理は、情報端末40にインストールされたアプリケーションソフト(アプリ)上で実行され、アプリの起動時(図6のステップS13)に端末制御部41の制御のもとで開始され、アプリが終了するまで繰り返し実行される。
【0040】
また、宅内外判定処理を行うため、風呂給湯システム10は、リモコン通信部20(風呂給湯システム10)が接続するルータ3のSSID(識別情報)を機器SSID(機器識別情報)として、接続の初期設定時およびその後は定期的に外部サーバ30へ送信する(図6のステップS11)。風呂給湯システム10は、例えば1日に1回、機器SSIDを外部サーバ30へ送信する。サーバ側取得部としての外部サーバ30は、風呂給湯システム10より機器SSIDを取得し、サーバ記憶部32に記憶する(図6のステップS12)。なお、風呂給湯システム10は、ルータ3のSSIDが変更されたことを検出した場合には、その都度外部サーバ30に機器SSIDを送信してもよい。
【0041】
図5のステップS1において、端末制御部41は、外部サーバ30との接続を確立する。具体的には、端末制御部41は、例えば予め外部サーバ30と取り決めた認証情報を用いて接続を確立するよう、外部サーバ30に要求する(図6のステップS14)。外部サーバ30は、送信された認証情報が保有する認証情報と合致した場合、情報端末40に接続が確立された旨を応答する(図6のステップS15)。
【0042】
ステップS2において、端末側取得部としての端末制御部41は、外部サーバ30が取得し記憶している機器SSIDを送信するよう要求し、機器SSIDを取得する(図6のステップS16)。外部サーバ30は、要求に基づいてサーバ記憶部32に記憶された機器SSIDを情報端末40に送信する(図6のステップS17)。
【0043】
ステップS3において、端末制御部41は、情報端末40が接続するルータのSSIDを端末SSID(端末識別情報)として取得する。情報端末40は、上述したとおり、ルータ3、7または移動体通信ネットワーク4を介してネットワーク2と接続される。このため、端末制御部41は、情報端末40がルータ3、7と接続されている場合には、端末SSIDを取得する。端末制御部41は、情報端末40が移動体通信ネットワーク4と接続されている場合や、いずれとも接続されていない場合には、端末SSIDがないため、端末SSIDがないことを取得する。端末SSIDの取得は、例えばOS(Operating System)が端末SSIDを保有している場合には、OSから取得してもよい。
【0044】
ステップS4において、判定部としての端末制御部41は、ステップS2で取得した機器SSIDと、ステップS3で取得した端末SSIDとを比較し、機器SSIDと端末SSIDとが同一であるか否かを判定する(図6のステップS18)。端末制御部41は、情報端末40が宅内5に配置されているルータ3に接続されている場合には、機器SSIDと端末SSIDとが同一であると判定する。一方、端末制御部41は、情報端末40が宅外6に配置されているルータ7または移動体通信ネットワーク4に接続されている場合には、機器SSIDと端末SSIDとが同一ではないと判定する。
【0045】
端末制御部41は、機器SSIDと端末SSIDが同一であると判定した場合(ステップS4のYES)、情報端末40が宅内5にあると判定する。ステップS5において、端末制御部41は、宅内モードを実行する(図6のステップS18)。端末制御部41は、端末表示部44に、宅内モードであることを表示し、宅内モードを実行する。
【0046】
一方、端末制御部41は、機器SSIDと端末SSIDとが同一ではないと判定した場合(ステップS4のNO)、情報端末40が宅外6にあると判定する。ステップS6において、端末制御部41は、宅外モードを実行する(図6のステップS18)。端末制御部41は、端末表示部44に、宅外モードであることを表示し、宅外モードを実行する。すなわち、遠隔操作部としての端末制御部41は、情報端末40が宅内5にある場合に比べて指示可能な操作、つまり情報端末40が実行可能な遠隔操作を制限する。
【0047】
モード実行ステップS5およびS6の後、端末制御部41は、機器SSID取得ステップS2に戻り、アプリが終了するまでステップS2からステップS6の処理を繰り返す。なお、外部サーバ30との通信量の削減のため、端末制御部41は端末SSID取得ステップS3に戻ってもよい。アプリ起動中において、風呂給湯システム10が接続されるルータ3の機器SSIDが変更される可能性は低く、アプリ起動時に取得した機器SSIDを用いてSSID判定ステップS4を行えば十分だからである。
【0048】
このような宅内外判定処理を実行する通信システム1は、情報端末40が宅内5にあるか、宅外6にあるかを判定する際に、外部サーバ30の処理負担を低減できる。すなわち、通信システム1は、情報端末40が外部サーバ30より風呂給湯システム10の接続先に関する情報を取得し、情報端末40自身で宅内5または宅外6にあることを判定し、結果を得ることができるため、例えば外部サーバ30が判定し、結果を情報端末40に送信する場合に比べて、処理量および通信量を低減できる。
【0049】
また、宅内外判定処理は、情報端末40における表示制御や機能制限のために実施される処理である。このため、例えば外部サーバ30が宅内5または宅外6の判定を行い、情報端末40に判定結果を引き渡す場合に比べて、機器SSIDを外部サーバ30から取得しさえすれば、情報端末40自身で処理を完結でき、素早い表示制御および機能制限を実施できる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0051】
例えば、ルータ3が、複数の無線周波数帯(例えば、2.4GHzおよび5GHz)で通信可能である場合、ルータ3は、識別情報として、アクセスポイント(無線通信部)を識別するためのSSID(Service Set Identifier)をルータ3が有する複数の無線周波数帯毎に保有する。ここで、セキュリティの観点から、風呂給湯システム10と情報端末40との接続のための初期設定は、同一のルータ3を用いて通信している環境下でのみ許容される。このとき、ルータ3が複数の無線周波数帯で通信するため、風呂給湯システム10が一の無線周波数帯(2.4GHz)で接続し、情報端末40が他の無線周波数帯(5GHz)で接続し、それぞれが利用したルータ3の無線周波数帯が異なる場合がある。また、ルータ3は、無線周波数帯毎に異なるSSIDを保有しているため、風呂給湯システム10と情報端末40とが接続するルータ3の機器SSIDが異なることになる。この場合、SSID判定ステップS4においては、風呂給湯システム10から取得した機器SSIDと端末SSIDとを単純に比較してしまうと、正しく判定が行われない。
【0052】
そこで、情報端末40は、風呂給湯システム10との初期設定時(すなわち、情報端末がIoT機器が接続するルータと同一のルータに接続した際)に得られるルータ3のSSIDを、機器SSID(端末側機器識別情報)として外部サーバ30へ送信する。サーバ側取得部としての外部サーバ30は、情報端末40より機器SSID(例えば5GHz帯を利用した場合のSSID)をさらに取得し、風呂給湯システム10から取得した機器SSID(例えば2.4GHz帯を利用した場合のSSID)とともに、サーバ記憶部32に記憶する(図6のステップS12)。
【0053】
端末制御部41は、機器SSID取得ステップS2においては、情報端末40および風呂給湯システム10から取得され記憶された2つの機器SSIDを、外部サーバ30から取得する(図6のステップS17)。また、判定部としての端末制御部41は、SSID判定ステップS4において、端末SSIDと、2つの機器SSIDとを比較する。端末制御部41は、端末SSIDと、2つの機器SSIDのいずれか一方とが同一である場合、情報端末40が宅内5にあると判定する。端末制御部41は、端末SSIDと、2つの機器SSIDのいずれとも異なる場合、情報端末40が宅外6にあると判定する。これにより、ルータ3が複数の機器SSIDを有する場合であっても、情報端末40が宅内5にあるのか、宅外6にあるのかを正しく判断できる。
【0054】
機器識別情報がSSIDである例を説明したが、通信態様を識別できる他の情報(例えばルータのMACアドレスなど)を適用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 通信システム
2 ネットワーク
3、7 ルータ
4 移動体通信ネットワーク
5 宅内
6 宅外
10 風呂給湯システム
11 給湯ユニット
12 給湯ユニット制御部
13 給湯ユニット記憶部
14 給湯ユニット通信部
15 リモコン
16 リモコン制御部
17 リモコン記憶部
18 リモコン入力部
19 リモコン表示部
20 リモコン通信部
30 外部サーバ
31 サーバ制御部
32 サーバ記憶部
33 サーバ通信部
40 情報端末
41 端末制御部
42 端末記憶部
43 端末入力部
44 端末表示部
45 端末通信部
46 移動体通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6