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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】作業機の表示装置
(51)【国際特許分類】
   A01B 63/00 20060101AFI20230904BHJP
   A01B 63/102 20060101ALI20230904BHJP
   A01B 63/111 20060101ALI20230904BHJP
   G06Q 50/02 20120101ALI20230904BHJP
【FI】
A01B63/00 B
A01B63/102
A01B63/111
G06Q50/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020112966
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011669
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林 康志
(72)【発明者】
【氏名】山下 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】西田 圭佑
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-212941(JP,A)
【文献】特開2019-088204(JP,A)
【文献】特開2019-187377(JP,A)
【文献】特開2014-187954(JP,A)
【文献】特開2014-187953(JP,A)
【文献】特開2019-207284(JP,A)
【文献】米国特許第06041582(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 63/00 - 63/12
A01B 69/00
A01C 15/00 - 23/04
G06Q 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機が有している耕耘装置の耕深を取得する耕深取得部と、
前記耕深の度合を示す所定の基準を取得する基準取得部と、
前記耕耘装置で耕耘したときの前記作業機の位置を取得する位置取得部と、
前記耕深取得部が取得した前記耕深と、前記基準取得部が取得した前記基準と、前記位置取得部が取得した前記位置とを対応づけて、フィールドマップを作成するマップ作成部と、
前記マップ作成部が作成した前記フィールドマップを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記フィールドマップを呼び出して表示するマップ表示部と、
前記基準を変更する基準変更部と、
を備え、
前記マップ作成部は、前記記憶部に記憶されている前記フィールドマップを呼び出して、呼び出された前記フィールドマップの前記基準が前記基準変更部で変更された場合に、変更された前記基準と、当該呼び出された前記フィールドマップに対応付けられている前記位置及び前記耕深と、を対応づけて、新しいフィールドマップを作成し、
前記マップ表示部は、前記新しいフィールドマップを表示する作業機の表示装置。
【請求項2】
前記記憶部は、呼び出された前記フィールドマップである第1フィールドマップと、前記基準が前記基準変更部で変更された場合に作成された前記新しいフィールドマップである第2フィールドマップと、を記憶しており、
前記マップ表示部は、前記第1フィールドマップ及び第2フィールドマップのいずれかを表示する請求項に記載の作業機の表示装置。
【請求項3】
前記マップ表示部は、前記第2フィールドマップに対応付けられた前記基準に対する前記度合を表示可能であり、前記第2フィールドマップを表示可能な状態において、前記基準変更部によって前記第2フィールドマップに対応付けられた前記基準が変更された場合には、変更後の前記基準に基づいて、前記第2フィールドマップに示す前記度合の表示形態を変更する請求項に記載の作業機の表示装置。
【請求項4】
作業機が有している耕耘装置の耕深を取得する耕深取得部と、
前記耕深の度合を示す所定の基準を取得する基準取得部と、
前記耕耘装置で耕耘したときの前記作業機の位置を取得する位置取得部と、
前記耕深取得部が取得した前記耕深と、前記基準取得部が取得した前記基準と、前記位置取得部が取得した前記位置とを対応づけて、フィールドマップを作成するマップ作成部と、
前記マップ作成部が作成した前記フィールドマップを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記フィールドマップを呼び出して表示するマップ表示部と、
を備え、
前記基準は、前記耕深に対応する上限値及び下限値を含んでおり、
前記マップ表示部は、所定位置における前記耕深の前記基準に対する前記度合を表示し、前記度合に応じて表示形態を異ならせて当該度合を表示し、
前記耕深が前記上限値を超過している場合と、
前記耕深が前記下限値以上、且つ前記上限値以下である場合と、
前記耕深が前記下限値未満である場合と、で表示形態を異ならせて当該度合を表示する作業機の表示装置。
【請求項5】
第1操作と第2操作を受け付け可能な選択操作部を備え、
前記選択操作部が前記第1操作を受け付けた場合、前記マップ作成部は、前記フィールドマップを新規に作成し、
前記選択操作部が前記第2操作を受け付けた場合、前記マップ作成部は、前記記憶部に記憶されている前記フィールドマップを更新する請求項1~4のいずれか1項に記載の作業機の表示装置。
【請求項6】
前記記憶部が記憶している前記フィールドマップを一覧として表示する一覧表示部と、
前記一覧表示部に表示された前記フィールドマップのうち、一のフィールドマップの選択入力を受け付ける選択部と、
を備え、
前記マップ表示部は、前記選択部で選択入力を受け付けた前記一のフィールドマップを前記記憶部から呼び出して表示する請求項1~5のいずれか1項に記載の作業機の表示装置。
【請求項7】
前記耕深取得部が取得した耕深に基づいて、当該耕深の平均を算出する平均算出部を備え、
前記記憶部は、前記マップ作成部が作成した前記フィールドマップと、当該フィールドマップに対応し且つ前記平均算出部が算出した前記耕深の平均と、を対応付けて記憶する請求項1~のいずれか1項に記載の作業機の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された作業機は、走行車両と、走行車両に装着される耕耘機(耕耘装置)とを備えている。耕耘機は、圃場を耕耘する耕耘部と、耕耘部を覆う耕耘カバーとを有する。耕耘カバーは、耕耘部の上方を覆う主カバーと、耕耘部の後方を覆う後部カバーとを有する。後部カバーは、主カバーの後端部に上下揺動可能に枢支されており、該後部カバーの下端部は、耕耘された既耕地に接地して該既耕地を整地する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-49925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の作業機では、後部カバーの揺動変位に基づいて耕耘機を昇降制御することにより、所定の耕深(耕耘の深さ)で耕耘するようにしている。しかしながら、高精度な耕耘を行うためには作業者が耕深を容易に認知する必要があり、耕耘作業の計画を適切に行うことができなかった。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、耕耘装置の耕深を容易に認知することができ、耕耘作業の計画を容易に作成できる作業機の表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る作業機の表示装置は、作業機が有している耕耘装置の耕深を取得する耕深取得部と、耕深の度合を示す所定の基準を取得する基準取得部と、耕耘装置で耕耘したときの作業機の位置を取得する位置取得部と、耕深取得部が取得した耕深と、基準取得部が取得した基準と、位置取得部が取得した位置とを対応づけて、フィールドマップを作成するマップ作成部と、マップ作成部が作成したフィールドマップを記憶する記憶部と、記憶部に記憶されたフィールドマップを呼び出して表示するマップ表示部と、基準を変更する基準変更部と、を備え、マップ作成部は、記憶部に記憶されているフィールドマップを呼び出して、呼び出されたフィールドマップの基準が基準変更部で変更された場合に、変更された基準と、当該呼び出されたフィールドマップに対応付けられている位置及び耕深と、を対応づけて、新しいフィールドマップを作成し、マップ表示部は、新しいフィールドマップを表示する
【0006】
また、記憶部は、呼び出されたフィールドマップである第1フィールドマップと、基準が基準変更部で変更された場合に作成された新しいフィールドマップである第2フィールドマップと、を記憶しており、マップ表示部は、第1フィールドマップ及び第2フィールドマップのいずれかを表示する。
【0007】
また、マップ表示部は、第2フィールドマップに対応付けられた基準に対する度合を表示可能であり、第2フィールドマップを表示可能な状態において、基準変更部によって第2フィールドマップに対応付けられた基準が変更された場合には、変更後の基準に基づいて、第2フィールドマップに示す度合の表示形態を変更する。
【0008】
また、作業機の表示装置は、作業機が有している耕耘装置の耕深を取得する耕深取得部と、耕深の度合を示す所定の基準を取得する基準取得部と、耕耘装置で耕耘したときの作業機の位置を取得する位置取得部と、耕深取得部が取得した耕深と、基準取得部が取得した基準と、位置取得部が取得した位置とを対応づけて、フィールドマップを作成するマップ作成部と、マップ作成部が作成したフィールドマップを記憶する記憶部と、記憶部に記憶されたフィールドマップを呼び出して表示するマップ表示部と、を備え、基準は、耕深に対応する上限値及び下限値を含んでおり、マップ表示部は、所定位置における耕深の基準に対する度合を表示し、度合に応じて表示形態を異ならせて当該度合を表示し、耕深が上限値を超過している場合と、耕深が下限値以上、且つ上限値以下である場合と、耕深が下限値未満である場合と、で表示形態を異ならせて当該度合を表示する
また、作業機の表示装置は、第1操作と第2操作を受け付け可能な選択操作部を備え、選択操作部が第1操作を受け付けた場合、マップ作成部は、フィールドマップを新規に作成し、選択操作部が第2操作を受け付けた場合、マップ作成部は、記憶部に記憶されているフィールドマップを更新する
【0009】
また、作業機の表示装置は、記憶部が記憶しているフィールドマップを一覧として表示する一覧表示部と、一覧表示部に表示されたフィールドマップのうち、一のフィールドマップの選択入力を受け付ける選択部と、を備え、マップ表示部は、選択部で選択入力を受け付けた一のフィールドマップを記憶部から呼び出して表示する
また、耕深取得部が取得した耕深に基づいて、当該耕深の平均を算出する平均算出部を備え、記憶部は、マップ作成部が作成したフィールドマップと、当該フィールドマップに対応し且つ平均算出部が算出した耕深の平均と、を対応付けて記憶する。
【発明の効果】
【0010】
上記作業機の表示装置によれば、耕耘装置の耕深を容易に認知することができ、耕耘作業の計画を容易に作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】連結枠に耕耘装置を装着した状態を示す側面一部断面図である。
図1B】連結枠を示す正面図である。
図2】作業機のブロック図を示す図である。
図3A】耕深の算出方法を説明するための第1の線図である。
図3B】耕深の算出方法を説明するための第2の線図である。
図4】設定画面を示す図である。
図5A】第1アプリ画面を示す第1図である。
図5B】第1アプリ画面を示す第2図である。
図6】第1基準画面を示す図である。
図7A】一覧画面を示す図である。
図7B】詳細画面を示す図である。
図8】第2アプリ画面を示す第1図である。
図9】第2基準画面を示す図である。
図10】第2アプリ画面を示す第2図である。
図11】連結枠に耕耘装置を装着して車体に連結した全体側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図11は、走行車両1に取り付けられた連結装置2に耕耘装置3を連結した作業機(農作業機)4を示している。本実施形態では、走行車両1として、トラクタが例示されている。また、耕耘装置3として、ロータリ耕耘装置が例示されている。本実施形態においては、図11の矢印A1方向(作業機4の前進方向)を前方、図11の矢印A2方向(作業機4の後進方向)を後方として説明する。したがって、図11の手前側が左方であり、図11の奥側が右方である。また、前後方向に直交する水平方向を車体幅方向として説明する。
【0013】
図11に示すように、作業機4は、走行可能な車体1Aを有する。車体1Aは、原動機(図示省略)と、動力伝達ケース(変速装置)5とを有する。原動機は、ディーゼルエンジン等のエンジンである。原動機は、電動モータであってもよいし、ディーゼルエンジン及び電動モータを有するハイブリッド型であってもよい。
動力伝達ケース5は、例えば、フライホイールを収容するフライホイールハウジングと、フライホイールを介して伝達される原動機の動力を断続可能に伝達するクラッチを収容するクラッチハウジングと、クラッチを介して伝達される動力を変速する動力伝達ケース5を収容するミッションケースとを直結して構成される。
【0014】
図11に示すように、作業機4は、車体1Aを走行可能に支持する走行装置6を有する。走行装置6は、例えば、車輪型の走行装置6であり、車体1Aの前部に設けられた前輪6Fと、車体1Aの後部に設けられた後輪6Rとを有する。
図1A図11に示すように、車体1Aの背面には、PTO軸8が後方に突出状に設けられている。PTO軸8は、作業機4の動力(原動機の動力)を外部に取り出す出力軸である。また、車体1Aの後部には、油圧装置9が搭載されている。油圧装置9は、内部に油圧シリンダを有すると共に、該油圧シリンダによって駆動されて上下に揺動する左のリフトアーム10L及び右のリフトアーム10Rを有する。
【0015】
図1A図11に示すように、ロータリ耕耘装置3を連結する連結装置2は、車体1Aの後部に取り付けられている。連結装置2は、三点リンク機構11等のリンク機構と、連結枠12とを有する。三点リンク機構11は、トップリンク13と、第1ロワーリンク14L及び第2ロワーリンク14Rとを有する。トップリンク13は、車体1Aの上部後方で且つ車体幅方向の中央部に配置される。トップリンク13の前部は、車体1Aの背面に取り付けられたトップリンクブラケット15に枢支連結されている。第1ロワーリンク14L及び第2ロワーリンク14Rは、車体1Aの下部後方に、車体幅方向で並べて配置されている。各ロワーリンク14L、14Rの前部は、車体1Aに固定されたロワーリンクブラケット16に枢支連結されている。第1ロワーリンク14Lの中途部と左のリフトアーム10Lとは、左のリフトロッド60Lによって連結されている。また、第2ロワーリンク14Rの中途部と右のリフトアーム10Rとは、右のリフトロッド60Rによって連結されている。したがって、左のリフトアーム10L及び右のリフトアーム10Rを駆動して上下に揺動させることにより、第1ロワーリンク14L及び第2ロワーリンク14Rが上下に揺動する。
【0016】
図1A及び図1Bに示すように、連結枠12は、主枠17を有する。主枠17は、角パイプ等を屈曲することで形成されている。上部17Aは、正面視で上方に向けて凸形状となる湾曲状に形成されている。第1側部17Lは、上部17Aの左下端(一側下端)から左斜め下方(下方に向かうにつれて左方に移行する傾斜方向)に延出されている。第2側部17Rは、上部17Aの右下端(他側下端)から右斜め下方(下方に向かうにつれて右方に移行する傾斜方向)に延出されている。したがって、第1側部17Lと第2側部17Rとは、下方に向かうにつれて車体幅方向の間隔が漸次広がるように主枠17から延出されている。第1側部17Lと第2側部17Rの上部同士は、角パイプ等で形成された補強部材18によって連結されている。
【0017】
図1A図1Bに示すように、主枠17の上部17Aには、上係合ブラケット19が固定されている。上係合ブラケット19は、上部にリンク連結部20を有する。リンク連結部20には、トップリンク13の後部が枢支連結される(図1A参照)。また、上係合ブラケット19は、後部に係合部21を有する。係合部21は、第1係合部位21A及び第2係合部位21Bを含む。第1係合部位21A及び第2係合部位21Bは、フック状に形成され、第1係合部位21Aは、第2係合部位21Bの上方に設けられている。
【0018】
図1A図1Bに示すように、第1側部17Lの下端部には、第1下係合ブラケット22Lが固定され、第2側部17Rの下端部には、第2下係合ブラケット22Rが固定されている。第1下係合ブラケット22Lに、第1ロワーリンク14Lが連結されている。詳しくは、第1下係合ブラケット22Lに、連結ピン等が固定され、該連結ピンに第1ロワーリンク14Lの後部が枢支連結されている。また、第2下係合ブラケット22Rに、第2ロワーリンク14Rが連結されている。詳しくは、第2下係合ブラケット22Rに、連結ピン等が固定され、該連結ピンに第2ロワーリンク14Rの後部が枢支連結されている。
【0019】
図1A図11に示すように、ロータリ耕耘装置3は、本実施形態では、サイドドライブ型のロータリ耕耘装置3が例示されている。なお、ロータリ耕耘装置3は、センタードライブ型のロータリ耕耘装置3であってもよい。ロータリ耕耘装置3は、機枠46と、耕耘部47とを有する。機枠46は、車体幅方向の中央に位置するギヤケース48と、ギヤケース48から左方に延びる左のサポートアーム49Lと、ギヤケース48から右方に延びる右のサポートアーム49Rと、左のサポートアーム49Lに取り付けられた伝動ケース50と、右のサポートアーム49Rに取り付けられたサイドフレームとを有する。
【0020】
図1Aに示すように、ギヤケース48には、PIC軸(入力軸、図示略)が前方に突出状に設けられている。PIC軸は、ヨーク44にスプライン結合等によって連結されおり、PTO軸8からの動力は、ドライブシャフト40を介してギヤケース48内のベベルギヤ伝動機構及び左のサポートアーム49L内の伝動軸をへて伝動ケース50内のチェーン伝動機構に伝達される。
【0021】
図1Aに示すように、ギヤケース48の上部には、トップマスト54が固定されている。トップマスト54の前上部には、係合部21に係合する上連結部55が設けられている。上連結部55は、ピンによって構成され、図例では、第2係合部位21Bに嵌って係合している。
左のサポートアーム49Lには、ブラケット51Lが固定され、右のサポートアーム49Rには、ブラケット51Rが固定されている。左のブラケット51Lには、第1下連結部52Lが設けられ、右のブラケット51Rには、第2下連結部52Rが設けられている。第1下連結部52L及び第2下連結部52Rは、ピンによって構成されている。以下の説明において、左のサポートアーム49Lと右のサポートアーム49Rを合わせてサポートアーム49ということがある。
【0022】
図1Aに示すように、耕耘部47は、伝動ケース50とサイドフレームとの下部間に設けられた回転軸56と、回転軸56に取り付けられた多数の耕耘爪57とを有する。回転軸56は、機枠46に、車体幅方向に延伸する軸心回りに回転可能に支持されている。回転軸56は、伝動ケース50内のチェーン伝動機構に伝達された動力によって、例えば、図1Aの矢印Y1方向に回転する。耕耘爪57は、回転軸56と共に回転し、圃場の土壌に突入して該土壌を耕起すると共に耕起した土壌を後方に放てきする。なお、ロータリ耕耘装置3は、耕耘部47の上方を覆う主カバーと耕耘部47の後方を覆う後部カバーとを含む耕耘カバーを有する。
【0023】
図2に示すように、作業機4は、制御装置70及び表示装置80を備えている。制御装置70及び表示装置80は、CAN等の車載ネットワークにより接続されている。制御装置70は、作業機4の走行系や作業系の制御を行う。なお、制御装置70は、作業機4の作業系や走行系を制御するものであればよく、制御方式は限定されない。
図2に示すように、制御装置70には、操作部材72が接続されており、制御装置70は、当該操作部材72の操作に基づいて連結装置2の昇降を制御する。具体的には、制御装置70には、例えばリフトアーム10の角度を検出する角度センサ71が接続されており、操作部材72は、連結装置2の昇降を操作するポジションレバー73、及び連結装置2の上限を設定する上限設定ダイヤル74を含んでいる。
【0024】
制御装置70は、角度センサ71から出力された検出信号と、ポジションレバー73から出力された操作信号と、上限設定ダイヤル74から出力された操作信号と、に基づいて制御装置70を昇降させる。制御装置70は、角度センサ71から出力された検出信号と記憶装置(図示略)に記憶された所定のテーブルとに基づいて、リフトアーム10の角度(実角度)を算出(取得)する。制御装置70は、ポジションレバー73から出力された操作信号と記憶装置に記憶された所定のテーブルとに基づいて、ポジションレバー73の操作に基づくリフトアーム10の角度(指示角度)を算出(取得)する。また、制御装置70は、上限設定ダイヤル74から出力された操作信号と記憶装置に記憶された所定のテーブルとに基づいて、上限設定ダイヤル74の操作に基づくリフトアーム10の角度の上限(上限角度)、言い換えると連結装置2の高さの上限を算出(取得)する。
【0025】
制御装置70は、指示角度が上限角度よりも小さく且つ実角度が指示角度よりも小さい場合、又は指示角度が上限角度よりも大きく且つ実角度が上限角度よりも小さい場合、リフトアーム10の後端部(耕耘装置3側の端部)を上昇させる。
制御装置70は、指示角度が上限角度よりも小さく且つ実角度が指示角度と等しい場合、又は指示角度が上限角度よりも大きく且つ実角度が上限角度と等しい場合、リフトアーム10の高さを維持させる。
【0026】
制御装置70は、指示角度が上限角度よりも小さく且つ実角度が指示角度よりも大きい場合、又は指示角度が上限角度よりも大きく且つ実角度が上限角度よりも大きい場合、リフトアーム10の後端部を下降させる。
なお、制御装置70は、ポジションレバー73や上限設定ダイヤル74等の操作に基づいて、連結装置2の昇降を制御すればよく、その制御方法は上記方法に限定されず既存の技術を適用可能である。
【0027】
表示装置80は、作業機4に関する様々な情報を表示可能である。具体的には、図2に示すように、表示装置80は、制御部80aと、表示部80bと、記憶部80cと、を有している。制御部80aは、CPU等から構成され、主に表示部80bの表示に関する制御を行う。表示部80bは、表示及び入力を行うことができるタッチパネルである。記憶部80cは、不揮発性のメモリ等であって、表示部80bに表示する情報や作業機4の制御に関する情報等を記憶する。記憶部80cは、例えば、様々なアプリケーションソフト(application software)を記憶している。
【0028】
図2に示すように、作業機4は、位置検出装置90を備えている。位置検出装置90は、作業機4(車体1A)の位置を検出する装置である。本実施形態において、位置検出装置90は例えば測位装置であり、走行車両1に設けられている。位置検出装置90は、D-GPS、GPS、GLONASS、北斗、ガリレオ、みちびき等の衛星測位システム(測位衛星)により、自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出可能である。即ち、位置検出装置90は、測位衛星から送信された衛星信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、衛星信号に基づいて、作業機4(車体1A)の位置(例えば、緯度、経度)、即ち、車体位置を検出する。図2に示すように、位置検出装置90は、受信装置91と、慣性計測装置92(IMU:Inertial Measurement Unit)92とを有している。受信装置91は、アンテナ等を有していて測位衛星から送信された衛星信号を受信する装置であり、慣性計測装置92とは別に車体1Aに取付けられている。この実施形態では、受信装置91は、車体1Aに設けられたキャビン(保護機構)32の上部に取り付けられている。なお、受信装置91の取り付け位置は、上記位置に限定されず、ボンネットの中央部であってもよく、車体1Aにロプスが設けられている場合、当該ロプスの上部であってもよい。
【0029】
慣性計測装置92は、車体1Aの加速度を検出する加速度センサ、車体1Aの角速度を検出するジャイロセンサ等を有している。慣性計測装置92は、車体1A、例えば、運転席30の下方に設けられ、車体1Aのロール角、ピッチ角、ヨー角等を検出することができる。
なお、本実施形態において、位置検出装置90は、衛星信号に基づいて車体1Aの位置を検出する位置検出装置90であるが、位置検出装置90は、車体1Aの位置を検出することができればよく、慣性計測装置92が検出した加速度と所定の位置情報に基づいて車体1Aの位置を検出するようなものでもよく、上記構成に限定されない。また、位置検出装置90は作業機4の位置を検出することができればよく、走行車両1ではなく表示装置80に設けられていてもよいし、その構成は上記構成に限定されない。
【0030】
図2に示すように、作業機4は、距離センサ58、第1傾斜センサ59A、及び耕深算出部80a1を備えている。距離センサ58は、連結装置2に取り付けられ、且つ地面Gまでの距離を測定する。具体的には、距離センサ58は、当該距離センサ58から地面Gまでの距離を測定するセンサである。距離センサ58は、例えば、レーザセンサによって構成される。距離センサ58は、レーザ照射部58Aを有し、レーザ照射部58Aから照射されて地面Gで反射したレーザ光を受光することでレーザ照射部58Aから地面Gまでの距離を測定する。なお、距離センサ58は、図3Aに示すように連結装置2から地面Gまでの距離を測定することができればよく、レーザセンサに限定されることはない。
【0031】
図1Aに示すように、距離センサ58は、連結枠12に取り付けられたセンサ取付部62に設けられている。センサ取付部62は、連結枠12から前方に突出しており、且つ耕耘部47よりも前方に突出している。また、距離センサ58は、後輪6Rよりも後方に位置している。このため、距離センサ58は、耕耘部47よりも前方に位置していて、耕耘部47で耕耘しない未耕地において距離を測定する。
【0032】
なお、距離センサ58は、連結枠12の他の部位に取り付けられていてもよい。また、距離センサ58は、第1ロワーリンク14L又は第2ロワーリンク14Rに取り付けられていてもよいし、第1ロワーリンク14L及び第2ロワーリンク14Rに取り付けられていてもよい。
第1傾斜センサ59Aは、ロータリ耕耘装置3の傾きを検出するセンサであって、水平(地面G)に対する傾斜角度θ1を計測する。図1Aに示すように、第1傾斜センサ59Aは、距離センサ58同様、センサ取付部62に設けられており、第1傾斜センサ59Aは、後輪6Rよりも後方に位置している。なお、第1傾斜センサ59Aは、距離センサ58とは別に連結枠12の他の部位に取り付けられていてもよい。
【0033】
耕深算出部80a1は、距離センサ58で測定した距離に加えて、作業機4が備えている第1傾斜センサ59Aが検出した水平に対する耕耘装置3の傾斜角度θ1に基づいて耕耘装置3の耕深Dを算出する。耕深算出部80a1は、例えば電気・電子部品、制御部80aに組み込まれたプログラム等から構成されており、距離センサ58及び第1傾斜センサ59Aから出力された信号に基づいて耕耘装置3の耕深Dを算出する。詳しくは、耕深算出部80a1は、距離センサ58で測定した距離及び第1傾斜センサ59Aで検出した傾斜角度θ1を取得し、当該距離及び傾斜角度θ1以外に耕深Dの算出に用いる寸法情報を取得して耕深Dの算出を行う。以下、図3Aを参照して、耕深算出部80a1による耕深Dの算出について説明する。
【0034】
図3Aは、作業機4の基準(標準)の作業姿勢を示しており、作業状態の作業姿勢におけるロータリ耕耘装置3の構成部位及び距離センサ58の位置を示している。距離センサ58のレーザ照射部58Aの照射起点(レーザ光が照射される起点)C1からレーザ光が照射された点である照射点C2までの距離(距離センサ58によって測定される地面Gまでの距離)をL1とする。また、耕耘爪57の回転半径(耕耘爪57の回転径方向の最も外側の端部の回転軌跡の半径)をRとし、回転軸56の軸心C3の地面Gからの高さをHとする。また、軸心C3及びサポートアーム49の軸心C4を通る線をS1とする。また、第1傾斜センサ59Aが検出した傾斜角度はθ1であり、第1傾斜センサ59Aの取り付け角度をθ2とする。つまり、ロータリ耕耘装置3の基準の作業姿勢、即ち距離センサ58の測定方向が地面Gと直交する姿勢における第1傾斜センサ59Aの傾斜角度θ1が零(θ1=0)である場合の第1傾斜センサ59Aの角度はθ2である。また、照射起点C1を通り且つ線S1に直交する線をS2とし、線S1と線S2との交点をC5とする。線S3は水平線を示し、線S4は鉛直線を示している。
【0035】
また、照射起点C1と交点C5との間の距離L2と、軸心C3と交点C5との間の距離L3とは、ロータリ耕耘装置3の寸法、照射起点C1の位置に基づいて求められるので、距離L2と距離L3とを求めて、耕深算出部80a1が当該寸法情報(距離L2,L3、取り付け角度θ2)、回転半径Rを予め外部から取得する。具体的には、作業機4は、第1取得部80a2と第2取得部80a3とを備えており、第1取得部80a2及び第2取得部80a3は、例えば電気・電子部品、制御部80aに組み込まれたプログラム等から構成されている。
【0036】
第1取得部80a2は、連結装置2に連結された耕耘装置3の個別情報を取得する。第1取得部80a2は、記憶部80c等を介して表示装置80に入力された情報を取得することで耕耘装置3の個別情報を取得する。例えば、記憶部80cは、作業機4に装着可能な耕耘装置3の名称、型番、品番等の耕耘装置3が識別可能な個別情報(識別情報)を記憶しており、第1取得部80a2は表示装置80に入力された情報に基づいて記憶部80cから耕耘装置3の個別情報を取得する。
【0037】
第2取得部80a3は、本実施形態においては、寸法情報として距離L2,L3、及び第1傾斜センサ59Aの取り付け角度θ2に加えて、回転半径Rを取得可能である。表示装置80は、距離L2,L3、取り付け角度θ2、及び回転半径Rを設定入力可能な所定の設定画面M1を表示可能であり、第2取得部80a3は設定画面M1に設定入力された情報を取得可能である。記憶部80cは、耕耘装置3の個別情報と設定画面M1に設定入力された情報を対応付けて記憶しており、第2取得部80a3は、記憶部80c等を介して設定画面M1に設定入力された情報を取得する。
【0038】
耕深算出部80a1は、耕深Dを下記の式[1]で求める。
D=R-H [1]
高さHは、下記の式[2]で求められる。
H=X0+X1-X2 [2]
X0は、L1cosθ1であり、距離センサ58によって測定した距離L1を地面Gまでの垂直距離に補正した値である。
【0039】
また、X1=L2sin(θ1+θ2)であり、X2=L3cos(θ1+θ2)である。
したがって、耕深Dは下記の式[3]で求められる。
D=R-(L1cosθ1+L2sin(θ1+θ2)-L3cos(θ1+θ2))[3]
これにより、耕深算出部80a1は、距離センサ58によって測定した距離L1及び第1傾斜センサ59Aで検出した傾斜角度θ1に基づいて、耕深Dを式[3]によって算出する。
【0040】
ロータリ耕耘装置3が基準の作業姿勢では、θ1=0であるので、
L1cosθ1=L1である。
作業機4が地面Gに沈み込んでロータリ耕耘装置3が基準の作業姿勢から傾いたり、ロータリ耕耘装置3自身が基準の作業姿勢から傾いたりしたときには、この傾きを加味して耕深Dが算出される。即ち、制御装置70は、距離センサ58で測定した地面Gまでの距離L1を、第1傾斜センサ59Aで検出した傾斜角度θ1により補正する。これにより、精度のよい耕深Dの検出が行える。
【0041】
なお、距離センサ58は、1つに限らず、複数設けることができる。距離センサ58を複数設ける場合は、各距離センサ58で測定した距離の平均値をL1として耕深Dを算出する。
また、図2に示すように、作業機4は、第2傾斜センサ59Bを備え、制御装置70は、補正部80a4と切換部80a5とを有している。第2傾斜センサ59Bは、走行車両1の傾きを検出するセンサであって、水平(地面G)に対する傾斜角度θ3を計測する。具体的には、第2傾斜センサ59Bは、車体1Aの傾きのうち、ピッチ角を計測可能である。図1Aに示すように、第2傾斜センサ59Bは、車体1Aに設けられており、水平に対する車体1Aの傾斜角度θ3を検出可能である。なお、第2傾斜センサ59Bは、少なくとも車体1Aの傾きを検出することができればよく、その取り付け位置やセンサの構造は、上述した構成に限定されず、位置検出装置90の慣性計測装置92が第2傾斜センサ59Bを兼用するような構成であってもよい。
【0042】
補正部80a4及び切換部80a5は、例えば電気・電子部品、制御部80aに組み込まれたプログラム等から構成されている。補正部80a4は、第2傾斜センサ59Bが検出した走行車両1の傾斜角度θ3に基づいて、耕深算出部80a1が算出した耕耘装置3の耕深Dを補正して、地面Gに直交する補正後の耕深D(第2耕深D2)を算出することができる。なお、以下において、説明の都合上、補正部80a4の補正によらず耕深算出部80a1が算出した耕深Dを第1耕深D1といい、補正部80a4の補正によって耕深算出部80a1が算出した補正後の耕深Dを第2耕深D2ということがある。
【0043】
また、制御部80aは、補正部80a4による補正が許容されるモード、即ち補正部80a4による補正が有効である第1モード(傾斜地モード)と、補正部80a4による補正が禁止されるモード、即ち補正部80a4による補正が無効である第2モード(平地モード)と、に切り換え可能である。つまり、第1モードにおいて耕深算出部80a1は、第2耕深D2を算出し、第2モードにおいて耕深算出部80a1は、第1耕深D1を算出する。切換部80a5は、制御部80aを第1モードと第2モードとのいずれか一方に切り換える。切換部80a5は、ここでは設定画面M1の傾斜地モードON/OFF切換ボタン124に入力された操作情報に基づいて、第1モードと第2モードのいずれか一方に切り換える。
【0044】
第1モードでの第2耕深D2の算出について詳しく説明すると、補正部80a4は、第2モードでの第1耕深D1の算出における傾斜角度θ1を第2傾斜センサ59Bが検出した傾斜角度θ3で補正して、耕深算出部80a1が補正後の第2耕深D2を算出する。補正部80a4によって補正された傾斜角度θ1を傾斜角度θ´1として説明すると、補正部80a4は、第1傾斜センサ59Aが検出した傾斜角度θ1と第2傾斜センサ59Bが検出した傾斜角度θ3との差分を補正後の傾斜角度θ´1として補正を行う(θ´1=θ1-θ3)。以下、図3Bを参照して、補正部80a4によって補正された耕深算出部80a1による第2耕深D2の算出について説明する。
【0045】
回転軸56の軸心C3の地面Gに直交する補正後の高さをH´とすると、第2耕深D2は上述したように下記の式[4]で求められる。
D2=R-H´ [4]
補正後の高さH´は、下記の式[5]で求められる。
H´=X´0+X´1-X´2 [5]
X0´は、L1cosθ´1であり、距離センサ58によって測定した距離L1を地面Gまでの垂直距離に補正した値である。
【0046】
また、X´1=L2sin(θ´1+θ2)であり、X´2=L3cos(θ´1+θ2)である。
したがって、耕深Dは下記の式[6]で求められる。
D2=R-(L1cosθ´1+L2sin(θ´1+θ2)-L3cos(θ´1+θ2))[6]
このため、補正部80a4によって補正された第2耕深D2は下記の式[7]で求められる。
【0047】
D2=R-(L1cos(θ1-θ3)+L2sin(θ1-θ3+θ2)-L3cos(θ1-θ3+θ2))[7]
これによって、作業機4が例えば比較的凹凸が少なく且つ傾斜している圃場を走行しており、切換部80a5が制御部80aを第1モードに切り換えた場合、補正部80a4による補正が許容され、作業車両及びロータリ耕耘装置3が基準の作業姿勢から傾いているときには、この傾きを加味して圃場の傾斜面に対する第2耕深D2を耕深算出部80a1は、式[7]に基づいて算出する。第1傾斜センサ59Aで検出した傾斜角度θ1と、第2傾斜センサ59Bで検出した傾斜角度θ3により補正する。これにより、比較的凹凸が少なく傾斜している圃場を走行している場合であっても精度のよい耕深Dの検出が行える。
【0048】
一方、作業機4が例えば比較的凹凸が多く且つ傾斜していない圃場を走行しており、切換部80a5が制御部80aを第2モードに切り換えた場合、補正部80a4による補正が禁止され、耕深算出部80a1は、式[3]に基づいて耕深Dを算出する。これにより、比較的凹凸が多く、傾斜していない圃場を走行している場合であっても凹凸による外乱の影響を抑制しつつ精度のよい耕深Dの検出が行える。
【0049】
なお、上述した実施形態において、補正部80a4が傾斜角度θ1を傾斜角度θ3で補正して、耕深算出部80a1が補正後の第2耕深D2を算出するが、補正部80a4は、傾斜角度θ3に基づいて、耕深算出部80a1が算出した耕耘装置3の第1耕深D1を補正して、第2耕深D2を算出することができればよく、耕深算出部80a1ではなく補正部80a4が第2耕深D2を算出するような構成であってもよい。
【0050】
図2に示すように、作業機4の表示装置80は、耕深取得部80a6と、基準取得部80a7と、位置取得部80a8と、マップ作成部80a9と、平均算出部80a10と、を備えている。耕深取得部80a6、基準取得部80a7、位置取得部80a8、マップ作成部80a9、及び平均算出部80a10は、例えば電気・電子部品、制御部80aに組み込まれたプログラム等から構成されている。耕深取得部80a6は、作業機4が有している耕耘装置3の耕深D(第1耕深D1又は第2耕深D2)を取得する。本実施形態においては耕深算出部80a1が算出した耕深Dを取得する。また、耕深取得部80a6は、耕耘装置3の耕深Dを取得できればよく、その取得元は耕深算出部80a1に限定されず、耕深取得部80a6は、例えば耕深算出部80a1が算出し、且つ記憶部80cに一時的に記憶されている耕深Dを取得してもよい。
【0051】
基準取得部80a7は、耕深Dの度合を示す所定の基準を取得する。具体的には、基準取得部80a7は、予め記憶部80cに記憶されている情報や、表示部80bを操作して設定入力された情報を取得する。基準は、耕深Dの度合を示すレベル(ランク)である。本実施形態において、基準は、3つのレベルを含んでおり、耕深Dが浅い順に第1レベル、第2レベル、第3レベルを含んでいる。即ち、本実施形態における基準は、耕深Dに対応し且つ第1レベルと第2レベルとの間の閾値である下限値、及び第2レベルと第3レベルとの間の閾値である上限値を含んでいる。以下の説明において、基準のうち中央のレベル(本実施形態においては第2レベル)のうち最も適正である値を基準値として説明する。また、基準の下限値が「11.5cm」であり、上限値が「13.5cm」である場合を例に説明する。なお、基準が含むレベルは4つであってもよいし、5つであってもよく、その数は限定されない。
【0052】
位置取得部80a8は、耕耘装置3で耕耘したときの作業機4の位置を取得する。本実施形態において、位置取得部80a8は、位置検出装置90が検出した車体1Aの位置のうち少なくとも耕耘装置3で耕耘したときの車体1Aの位置を取得し、現在の車体1Aの位置を取得可能である。
マップ作成部80a9は、耕深取得部80a6が取得した耕深Dと、基準取得部80a7が取得した基準と、位置取得部80a8が取得した位置とを対応づけて、フィールドマップ(第1フィールドマップm1)を作成する。第1フィールドマップm1は、作業機4を実際に走行させた場合のフィールドであって、耕深取得部80a6が取得した耕深Dの度合が位置ごとに対応付けられている仮想フィールドである。具体的には、マップ作成部80a9は、仮想フィールドを複数のエリアQn(n=1,2,3・・・n)に区分し、位置取得部80a8が取得した位置に基づいて仮想フィールド上に耕深取得部80a6が取得した耕深Dを割り当てる。エリアQnは、例えば耕深取得部80a6が耕深Dを取得した時間間隔に対応して区分される。具体的には、耕深取得部80a6が前回(N=n-1)に耕深Dを取得した際に位置取得部80a8が取得した位置から、耕深取得部80a6が今回(N=n)に耕深Dを取得した際に位置取得部80a8が取得した位置までを1つのエリアQnとして区分する。エリアQnの幅は、耕耘装置3の幅方向の長さ(作業幅)に相当する。
【0053】
マップ作成部80a9は、複数のエリアQnにそれぞれ対応する耕深Dである分割データd1n(n=1,2,3・・・n)を割り当てる。マップ作成部80a9は、複数のエリアQnに分割データd1nを割り当てると、仮想フィールドに基準取得部80a7が取得した基準を対応付け、当該分割データd1nと、基準取得部80a7が取得した基準と、に基づいて複数のエリアQnに耕深Dの度合である分割データd2n(n=1,2,3・・・n)を割り当て、第1フィールドマップm1を作成する。即ち、第1フィールドマップm1は、耕深取得部80a6が取得した耕深Dと、基準取得部80a7が取得した基準と、位置取得部80a8が取得した位置と、を含んでいる。マップ作成部80a9が作成を完了させた第1フィールドマップm1は、記憶部80cに記憶される。
【0054】
なお、マップ作成部80a9が作成している最中の第1フィールドマップm1は、記憶部80cに一時的に記憶され、耕深取得部80a6が耕深Dを取得するごとに更新される。また、作業機4が耕深Dの取得作業を終了した場合に、マップ作成部80a9は、第1フィールドマップm1の更新、つまり記憶部80cへの一時的な記憶を終了して、作成を完了させた第1フィールドマップm1を記憶部80cに記憶する。
【0055】
また、耕深算出部80a1は、作業機4が走行した位置、即ち耕耘装置3が通過した位置における耕深Dを算出するため、第1フィールドマップm1は、作業機4が走行した経路上に作成される。例えば、作業機4が耕耘装置3によって耕耘作業を行う場合、作業機4は、圃場の一方側から他方側、他方側から一方側に略直線状に走行するため、複数のエリアQnは圃場の一方側から他方側に延び、帯状に連続する複数のエリアQnが並列するように表示される。
【0056】
また、本実施形態において、耕深取得部80a6が耕深Dを取得した時間間隔に対応してエリアQnを区分するが、マップ作成部80a9は、エリアQnを時間間隔によらず、所定の距離間隔(位置間隔)ごとに区分してもよいし、所定間隔のメッシュ状に区分してもよいし、エリアQnの区分方法は上述した方法に限定されない。さらに、マップ作成部80a9は、耕深取得部80a6が取得した耕深Dと、基準取得部80a7が取得した基準と、位置取得部80a8が取得した位置とを対応づけてフィールドマップ(第1フィールドマップ)m1を作成すればよく、フィールドマップm1は耕深Dを等高線として表示してもよいし、その表示方法は上述した方法に限定されない。
【0057】
平均算出部80a10は、耕深取得部80a6が取得した耕深Dに基づいて、当該耕深Dの平均を算出する。本実施形態においては、平均算出部80a10は、第1フィールドマップm1が含んでいる複数の耕深Dを取得して、当該複数の耕深Dを平均することで第1フィールドマップm1における耕深Dの平均を算出する。記憶部80cは、第1フィールドマップm1と、当該第1フィールドマップm1に対応し且つ平均算出部80a10が算出した耕深Dの平均と、を対応付けて記憶する。
【0058】
なお、本実施形態において第1フィールドマップm1は、耕深取得部80a6が取得した耕深Dと、基準取得部80a7が取得した基準と、位置取得部80a8が取得した位置と、平均算出部80a10が算出した耕深Dの平均値と、を含んでいるが、耕深D、基準、及び位置に加えて、第1フィールドマップm1に対応する耕耘作業の名称、作業機4が耕耘を行った日付情報(年/月/日や年/月)、時間情報(耕耘の開始時間及び/又は終了時間)、耕耘の総時間、耕深Dの平均値、作業機4の走行速度、作業幅、作業機4の機種、並びに基準値のいずれか又は全部を含んでいてもよい。
【0059】
図4図5A等に示すように、表示装置80の表示部80bは、操作に対応して様々な画面(複数の画面)を表示可能であって、例えば所定のホーム画面(図示略)、設定画面M1、及び耕耘装置3の耕深Dを表示する第1アプリ画面M2、基準の設定入力を受け付ける第1基準画面M3等を個別に表示する。表示部80bが表示する画面には、共通の指定部110が表示されている。指定部110は、表示部80bが表示する画面の遷移に関する指定を行うものであって、表示部80bが表示する画面を相互に切り換えることが可能である。指定部110は、例えばホーム画面を表示させることを指定する(ホーム画面に切り換える)ホームボタン110aと、現在表示している画面から1つ前の画面に戻す(前の画面に切り換える)戻しボタン110bとを含んでいる。また、第1アプリ画面M2等を表示した場合には、指定部110は、設定画面M1を表示させることを指定する設定ボタン110cを有している。設定ボタン110cは、ホームボタン110a及び戻しボタン110bの反対側に配置されている。
【0060】
設定画面M1は、作業機4の制御や表示装置80の設定を行う画面であり、表示部80bは指定部110の設定ボタン110cが操作されると設定画面M1を表示する。図4に示すように、設定画面M1は、設定する内容に対応する設定領域を複数表示する。本実施形態において、設定画面M1は、第1設定領域120aと、第2設定領域120bと、第3設定領域120cと、第4設定領域120dと、第5設定領域120eと、を表示する。第1設定領域120aは、設定画面M1のうち左側であって且つ指定領域115の上方に表示される領域である。第1設定領域120aは、耕耘装置3に関する情報を設定入力する領域である。第2設定領域120bは、設定画面M1のうち右側の上部に表示される領域である。第2設定領域120bは、例えば第1アプリ画面M2の設定に関する情報を設定入力する領域である。第3設定領域120cは、設定画面M1のうち右側の下部に表示される領域である。第3設定領域120cは、例えば位置検出装置90の通信に関する情報を設定入力する領域である。第4設定領域120dは、第3設定領域120cの下側に表示される領域であり、第1設定領域120a~第3設定領域120cで設定入力された情報を確定させる第1確定ボタン121を含んでいる。第5設定領域120eは、設定画面M1のうち左側であって且つ第1設定領域120aと指定領域115との間に表示される領域である。第5設定領域120eは、後述する設定画面M1を表示する作業履歴ボタン123と、傾斜地モードON/OFF切換ボタン124を含んでいる。
【0061】
第1設定領域120aは、耕耘装置3の耕深Dの算出に関する情報、即ち耕耘装置3の個別情報、距離センサ58及び第1傾斜センサ59Aの寸法情報等を設定入力することができる領域である。具体的には、図4に示すように第1設定領域120aは、複数の入力部122を表示する。
複数の入力部122は、耕耘装置3の個別情報及び第1傾斜センサ59Aの寸法情報等を設定入力可能である。複数の入力部122は、少なくとも回転半径Rを入力する部分である第1入力部122aと、距離L2を入力する部分である第2入力部122bと、距離L3を入力する部分である第3入力部122cと、第1傾斜センサ59Aの取り付け角度θ2を入力する部分である第4入力部122dと、耕耘装置3の個別情報を選択する装置選択部122eと、を含んでいる。第1入力部122a~第4入力部122dは、任意の数値の入力を受け付け可能であり、第1入力部122a~第4入力部122dへの数値の入力は、表示部80bに表示される所定の操作具や表示装置80が有している操作スイッチ等を操作することで行う。
【0062】
装置選択部122eは、連結装置2に連結された耕耘装置3の個別情報を選択操作、即ち耕耘装置3の名称、型番、品番等の耕耘装置3が識別可能な個別情報を選択操作する部分である。装置選択部122eは、例えば制御部80aが記憶装置から取得した個別情報を一覧として表示し、作業者は表示部80bを操作、又は表示装置80が有している操作スイッチ等を操作することで個別情報を選択する。
【0063】
なお、本実施形態において、設定画面M1は、耕耘装置3の個別情報を選択操作可能な装置選択部122eを表示するが、設定画面M1は個別情報の入力操作ができればよく、表示部80bに表示される所定の操作具や表示装置80が有している操作スイッチ等を操作することで耕耘装置3の個別情報を直接入力するような部分を表示してもよい。
作業者が、第1設定領域120aに情報を設定入力し、第1確定ボタン121を操作すると、記憶部80cは、装置選択部122eで選択された耕耘装置3の個別情報、第1入力部122aで入力された回転半径R、第2入力部122bで入力された距離L2、第3入力部122cで入力された距離L3、及び第4入力部122dで入力された第1傾斜センサ59Aの取り付け角度θ2を対応付けて記憶する。
【0064】
なお、複数の入力部122は、装置選択部122eや第1入力部122a~第4入力部122dとは別に耕耘装置3の幅方向の長さ(作業幅)や、耕耘装置3の作業範囲をラップ(オーバラップ)させる幅(ラップ幅)等を入力する入力部を含んでいてもよい。
また、表示装置80は、装置選択部122eで選択された耕耘装置3の個別情報に基づいて、当該個別情報に対応する回転半径R、距離L2、距離L3、及び取り付け角度θ2を記憶部80cから取得して第1入力部122a~第4入力部122dに予め表示してもよいし、設定画面M1の表示は上述した構成に限定されない。
【0065】
さらに、設定画面M1は、耕耘装置3の耕深Dの算出に関する情報、即ち耕耘装置3の個別情報、距離センサ58及び第1傾斜センサ59Aの寸法情報を設定入力することができればよく、その表示領域や表示方法等は上記構成に限定されない。
図5Aに示すように、第1アプリ画面M2は、アプリに対応した様々な情報を表示する画面であって、第1アプリ領域130を有している。第1アプリ領域130は、指定領域115の上方に表示される。なお、図5Aの第1アプリ画面M2は、耕耘装置3の耕深Dを表示する耕深表示のアプリのうち、マップ作成部80a9が作成中の第1フィールドマップm1を表示する画面を示している。つまり、この第1アプリ画面M2では、表示装置80が有する耕深取得部80a6が取得した耕深Dに基づき、作業機4を実際に走行させて耕耘装置3が行っている耕耘の耕深Dを表示することができる。
【0066】
図5Aに示すように、第1アプリ画面M2の第1アプリ領域130は、主に、第1表示領域130aと、第2表示領域130bと、第3表示領域130cに区分される。第1表示領域130aは、例えば第1アプリ領域130の上端において、第1アプリ領域130の左端から右端に亘って表示される領域である。第1表示領域130aには、耕深取得部80a6が取得した現在の耕深Dが表示される。また、当該現在の耕深Dが基準取得部80a7の取得した基準値と等しい場合、表示されている耕深Dの近傍に「基準耕深」と表示される。なお、第1表示領域130aには、上述した耕深Dの他に例えば作業機4の位置情報や車速等の所定の情報が表示されていてもよい。例えば、第1表示領域130aは、現在の耕深Dに代えて、作業機4の走行距離、耕耘装置3の走行面積(作業幅と走行距離の積)、位置検出装置90の測位状態等を表示してもよい。
【0067】
第2表示領域130bは、第1表示領域130aの下方に表示されており、第1アプリ領域130の左端から右側に延びて表示される領域である。つまり、第2表示領域130bは、指定領域115と第1表示領域130aとの間に配置されている。
第3表示領域130cは、第2表示領域130bの右方に配置されており、第1アプリ領域130の右端において、指定領域115と第1表示領域130aとの間に表示される領域である。
【0068】
図5Aに示すように、第2表示領域130bは、フィールド表示部131を表示し、当該フィールド表示部131は、マップ作成部80a9が作成している第1フィールドマップm1を表示する。また、フィールド表示部131は、作業機4(車体1A)の運転席30に着座した運転者が実際のフィールドを見た場合と、フィールド表示部131に表示した第1フィールドマップm1(フィールド画像)とが感覚的に一致するように、フィールド画像を斜めに表示している。なお、フィールド表示部131が表示するフィールド画像は、鳥瞰表示であってもよいし、その表示形態は上述した形態に限定されない。なお、説明の便宜上、フィールド表示部131に表示した仮想的なフィールドのことを「仮想フィールド」、又は「フィールド画像」ということがある。
【0069】
また、フィールド表示部131は、位置取得部80a8が取得した現在の作業機4の位置を表示する。具体的には、フィールド表示部131には、位置取得部80a8が取得した位置情報、即ち位置検出装置90が検出した位置情報に基づいて作業機4の位置を表示する機械表示部132が示されている。詳しくは、作業機4の現在の位置をフィールド表示部131に表示する画像部であり、機械表示部132は、作業機4(車体1A)を仮想的に示していている。機械表示部132は、フィールド表示部131に対する機械表示部132の表示位置は固定されている。
【0070】
したがって、作業機4を実際に走行させた場合、仮想フィールドの機械表示部132の表示位置は固定のままで、位置検出装置90によって検出された車体1Aの位置の変化に伴って、フィールド表示部131に示された仮想フィールド(フィールド画像)がスクロールする。
フィールド表示部131は、複数のエリアQnに割り当てられた分割データd2nを度合に応じて表示形態を異ならせて表示する。具体的には、フィールド表示部131は、フィールド画像上に分割データd2nを示す第1度合表示部141を表示する。例えば、第1度合表示部141は、フィールド表示部131に表示され且つ所定位置における所定の基準に対する耕深Dの度合を表示する。
【0071】
第1度合表示部141は、第1フィールドマップm1に基づいて、フィールド上のそれぞれのエリアQnにおける耕深Dの度合を表示形態の異なる区画で表示する。第1度合表示部141は、フィールド表示部131が表示する仮想フィールドに、耕深Dが下限値未満であるエリアQn(第1レベル)、即ち比較的耕深Dが浅いエリアQnを「赤色」の区画142aで表示する。また、第1度合表示部141は、仮想フィールドに、耕深Dが下限値以上、且つ上限値以下のエリアQn(第2レベル)、即ち耕深Dが適正であるエリアQnを「青色」の区画142bで表示し、耕深Dが上限値を超過しているエリアQn、即ち耕深Dが比較的深いエリアQn(第3レベル)を「黄色」の区画142cで表示する。
【0072】
なお、第1度合表示部141は、度合に応じて表示形態を異ならせて第1フィールドマップm1の度合を表示すればよく、異ならせる表示形態は色彩に限定されず、また異ならせる色彩は上述した色域に限定されず、作業者が任意に変更できてもよい。例えば、第1度合表示部141は、区画142aを「水色」で表示し、区画142bを「緑色」で表示し、区画142cを「赤色」で表示してもよいし、上述した構成に限定されない。
【0073】
また、図5Aに示すように表示部80bは、フィールド表示部131の第1フィールドマップm1とは別に現在の耕耘装置3の耕深Dを表示してもよい。具体的には、表示部80bは、第1アプリ画面M2において第2度合表示部145を表示する。第2度合表示部145は、耕耘装置3が位置している場所における所定の基準に対する耕深Dの度合を表示する。具体的には、第2度合表示部145は、位置取得部80a8が取得した位置情報に基づいて、表示している第1フィールドマップm1から現在の作業機4の位置における耕深Dの度合を表示する。また、第2度合表示部145は、第3表示領域130cに表示されている。
【0074】
図5Aに示すように、第2度合表示部145は、数値表示部146と、第1表示部148と、第2表示部149と、を有している。数値表示部146は、耕深取得部80a6が取得した耕深Dを数字等で表示する部分である。
第1表示部148は、例えば耕深Dが基準に対して浅いこと、即ち耕深取得部80a6が取得した耕深Dが下限値未満であることを一方向(例えば、上)に向く矢印で示す図形であって、図5Aに示すように数値表示部146の上側に配置されている。第2表示部149は、例えば耕深Dが基準に対して深いこと、即ち耕深取得部80a6が取得した耕深Dが上限値を超過していることを一方向とは反対側である他方向(例えば、下)に向く矢印で示す図形であって、数値表示部146の下側に配置されている。
【0075】
また、第1アプリ画面M2において戻しボタン110bを操作した場合、ホーム画面に戻るか否かの選択入力を受け付けるウィンドウがポップアップ表示される(図示略)。当該ウィンドウに「ホーム画面に戻る」旨の選択入力がなされた場合、マップ作成部80a9は、作成している第1フィールドマップm1の作成を終了させ、記憶部80cは作成が終了した第1フィールドマップm1を記憶する。また、作成が終了した第1フィールドマップm1を記憶部80cが記憶すると、平均算出部80a10が耕深Dの平均値を算出する。これにより、記憶部80cは、更新後の第1フィールドマップm1とこれに対応する耕深Dの平均値とを対応付けて記憶する。
【0076】
記憶部80cは、第1フィールドマップm1と耕深Dの平均値とを対応付けて記憶し、表示装置80に所定の操作がなされて第1アプリ画面M2を再度表示させると、図5Bに示すように、第1アプリ領域130に選択操作部(本実施形態においては第1選択受付部135と第2選択受付部136)を表示する。選択操作部135,136は、第1操作と第2操作を受け付け可能である。第1選択受付部135は、第1操作を受け付け、第2選択受付部136は、第2操作を受け付け可能である。第1選択受付部135及び第2選択受付部136は、いずれか一方の選択操作が可能な画像部であって、第1選択受付部135は「はじめから」と表記され、第2選択受付部136は「続きから作業」と表記される。
【0077】
選択操作部135,136が第1操作を受け付けた場合、マップ作成部80a9は、第1フィールドマップm1を新規に作成し、選択操作部135,136が第2操作を受け付けた場合、マップ作成部80a9は、記憶部80cに記憶されている第1フィールドマップm1を更新する。
具体的には、第1選択受付部135が第1操作を受け付けた場合、当該操作情報に基づいて、マップ作成部80a9は、前回作成を終了させた第1フィールドマップm1とは別の第1フィールドマップm1の作成を開始する。一方、第2選択受付部136が第2操作を受け付けた場合、当該操作情報に基づいて、マップ作成部80a9は、前回作成を終了させた第1フィールドマップm1を記憶部80cから取得し、取得した第1フィールドマップm1の作成を再開し、当該第1フィールドマップm1を更新する。
【0078】
なお、選択操作部は、第1選択受付部135と第2選択受付部136を含んでいるが、選択操作部は、前回作成を終了させた第1フィールドマップm1とは別の第1フィールドマップm1の作成を開始するか、又は第1フィールドマップm1の作成を再開するか、の選択操作を受け付けることができればよく、その構成は上述した構成に限定されない。また、マップ作成部80a9は、何等かの操作や入力される情報に基づいて、作成している第1フィールドマップm1を確定させることができればよく、例えば第1アプリ画面M2は、作業機4が耕耘を終了、即ちマップ作成部80a9が作成している第1フィールドマップm1を確定させる保存ボタン(図示略)を有していてもよい。斯かる場合において、保存ボタンが操作されると、マップ作成部80a9は、作成している第1フィールドマップm1の作成を終了させ、記憶部80cは作成が終了した第1フィールドマップm1を記憶する。また、保存ボタンが操作され、作成が終了した第1フィールドマップm1を記憶部80cが記憶すると、平均算出部80a10が耕深Dの平均値を算出する。
【0079】
図2に示すように、表示装置80は、第1変更部80a11を備えている。第1変更部80a11は、例えば電気・電子部品、制御部80aに組み込まれたプログラム等から構成されており、第1変更部80a11は、表示部80bに表示される画面に変更後の基準の入力を受け付ける第1受付部150を表示させ、当該第1受付部150に入力された情報に基づいて基準の変更を行う。第1変更部80a11が基準を変更すると、基準取得部80a7が変更された基準を取得して、マップ作成部80a9は、作成中の第1フィールドマップm1に当該変更後の基準を対応付ける。これにより、マップ作成部80a9は、第1フィールドマップm1が含んでいる分割データd1nと、基準取得部80a7が取得した基準と、に基づいて分割データd2nを再度割り当てることで、第1フィールドマップm1を更新する。
【0080】
本実施形態において、第1受付部150は、表示部80bが表示する第1基準画面M3に表示される。作業者が表示装置80に所定の操作を行う、ここでは設定画面M1右上の「耕深値表示詳細設定」ボタンを押すと、図6に示すように、表示装置80は、表示部80bに第1基準画面M3を表示する。第1受付部150は、基準入力部151と、第2確定ボタン152と、を有している。基準入力部151は、耕深Dに対する基準の入力を受け付け可能な部分であり、耕深Dが「適正」である範囲を定義する部分である。本実施形態において、基準入力部151は、基準値入力部151aと、下限入力部151bと、上限入力部151cと、を含んでいる。基準値入力部151aは、耕深Dのうち最も適正である値を入力する部分であり、図6においては基準値として「12.5cm」が入力されている。
【0081】
下限入力部151bは、基準のうち耕深Dに対応する下限値を入力する部分である。本実施形態においては、下限入力部151bは、基準値と下限値との差の入力(第1偏差)を受け付けることで下限値の入力を受け付け、図6において、下限入力部151bには、「1.0cm」と入力されている。つまり、図6に示す第1受付部150においては、下限値は「11.5cm」として入力されている。
【0082】
上限入力部151cは、基準のうち耕深Dに対応する上限値を入力する部分である。本実施形態においては、上限入力部151cは、基準値と上限値との差(第2偏差)の入力を受け付けることで上限値の入力を受け付け、図6において、上限入力部151cには、「1.0cm」と入力されている。つまり、図6に示す第1受付部150において、上限値は「13.5cm」として入力されている。
【0083】
第2確定ボタン152は、基準入力部151で入力された値(基準値等)を確定させる操作が可能な画像部である。このため、作業者が基準入力部151に値を設定入力し、第2確定ボタン152を操作すると、基準取得部80a7は、入力された基準値、第1偏差、及び第2偏差を取得して、マップ作成部80a9が当該基準値、第1偏差、及び第2偏差に基づく基準をフィールド表示部131が表示している第1フィールドマップm1に対応付け、第1フィールドマップm1が含んでいる分割データd1nと、基準取得部80a7が取得した基準と、に基づいて分割データd2nを再度割り当て、第1フィールドマップm1を更新する。
【0084】
図7Aに示すように、表示装置80は、記憶部80cに記憶されているフィールドマップ(第1フィールドマップm1)を呼び出して表示することができる。具体的には、表示装置80は、一覧表示部160と、選択部161,166と、マップ表示部171と、を備えている。一覧表示部160、選択部161,166、及びマップ表示部171は、表示装置80に表示される様々な画面に表示される表示画像である。一覧表示部160は、記憶部80cが記憶している第1フィールドマップm1を一覧として表示する。選択部は、一覧表示部160に表示された第1フィールドマップm1のうち、一の第1フィールドマップm1の選択操作を受け付ける。マップ表示部171は、選択部が選択操作を受け付けた一の第1フィールドマップm1を記憶部80cから呼び出して表示する。なお、一覧表示部160、選択部、及びマップ表示部171を表示部80bに表示させる演算処理は、制御部80aが行う。以下、主に図7A図8を用いて、一覧表示部160、選択部、及びマップ表示部171について詳しく説明する。
【0085】
図7Aに示すように、表示部80bは、一覧表示部160及び選択部161,166を表示する一覧画面M4、マップ表示部171を表示する第2アプリ画面M6を個別に表示する。また、一覧画面M4、及び詳細画面M5には、画面M1,M2,M3と共通の指定部110が表示されている。
作業者が表示装置80に所定の操作を行う、ここでは設定画面M1の作業履歴ボタン123を押すと、図7Aに示すように、表示装置80は、表示部80bに一覧画面M4を表示する。一覧画面M4は、記憶部80cに記憶されている第1フィールドマップm1の情報を一覧表示する画面であって、一覧表示部160を有している。一覧表示部160は、指定領域115の上方に表示される。一覧表示部160は、記憶部80cに記憶されている第1フィールドマップm1をテーブルとして一覧表示する。例えば、図7Aに示すように、一覧表示部160は、第1フィールドマップm1に対応する耕耘作業の名称を表示する名称表示部160aと、作業機4が耕耘を行った日付情報を表示する日付表示部160bと、を有している。
【0086】
また、一覧画面M4は、一覧表示部160に加えて選択部161を有していてもよく、例えば、図7Aに示すように、選択部161は、一覧表示部160のテーブルの右側に表示される。選択部161は、一覧表示部160に隣接して配置されており、テーブルが表示する第1フィールドマップm1のそれぞれに対応している複数の画像部である。即ち、本実施形態においては、一覧表示部160に表示される第1フィールドマップm1のうち、一の第1フィールドマップm1の右側に隣接する選択部161を選択操作すると、選択操作された選択部161は、一の第1フィールドマップm1の選択入力を受け付ける。なお、上述した例においては、選択部161は、一覧表示部160に隣接して配置されているが、表示装置80は、一覧表示部160と選択部161,166とを有していればよく、その表示方法や表示形態は、上述した例に限定されず、例えば一覧表示部160のテーブル内に選択部161の画像部が表示されているような構成であってもよい。また、選択部166は、一覧表示部160とは別の画面に表示、即ち一覧画面M4とは別の画面に表示されていてもよい。
【0087】
具体的には、図7Bに示すように、表示部80bは、選択部166を表示し且つ第1フィールドマップm1の詳細を表示する詳細画面M5を表示可能であってもよい。斯かる場合において、詳細画面M5は、一覧画面M4から遷移する画面であって、例えば一覧表示部160を操作することで、当該一覧表示部160に表示される第1フィールドマップm1のうち、一の第1フィールドマップm1が詳細表示の対象として選択される。これにより、表示部80bは、選択された第1フィールドマップm1に対応する詳細画面M5を表示する。詳細画面M5は、情報表示部165と選択部166とを指定領域115の上方に表示する。情報表示部165は、第1フィールドマップm1に対応付けて記憶部80cに記憶されている情報を表示する表示領域である。情報表示部165は、例えば第1フィールドマップm1に対応する耕耘作業の名称、作業機4が耕耘を行った日付情報(年/月/日や年/月)、時間情報(耕耘の開始時間及び/又は終了時間)、耕耘の総時間、耕深Dの平均値、作業機4の走行速度、作業幅、作業機4の機種、並びに基準値のいずれか又は全部を表示する。本実施形態においては、情報表示部165は、例えば第1フィールドマップm1に対応する耕耘作業の名称、作業機4が耕耘を行った日付、耕耘の開始時間及び終了時間、耕耘の総時間、耕深Dの平均値、作業機4の走行速度、作業幅、作業機4の機種、並びに基準値を表示する。
【0088】
なお、本実施形態においては、平均算出部80a10は、記憶部80cが作成の終了した第1フィールドマップm1を記憶した際に耕深Dの平均値を算出し、情報表示部165が当該耕深Dの平均値を表示するが、表示装置80は、少なくとも情報表示部165に耕深Dの平均値を表示させることができればよく、平均算出部80a10が耕深Dの平均値を算出するタイミングは、記憶部80cが第1フィールドマップm1を記憶した際に限定されない。例えば、平均算出部80a10は、一覧表示部160に表示された第1フィールドマップm1のうち、詳細表示の対象として一の第1フィールドマップm1が選択された際に当該一の第1フィールドマップm1における耕深Dの平均値を算出するような構成であってもよい。
【0089】
また、詳細画面M5に表示される選択部166は、詳細画面M5に表示されている第1フィールドマップm1の選択入力を受け付ける、即ち一覧表示部160に表示された第1フィールドマップm1のうち、一の第1フィールドマップm1の選択入力を受け付ける。詳細画面M5に表示される選択部166は、情報表示部165の下側に表示される表示画像である。
【0090】
なお、詳細画面M5では、記憶部80cに記憶されている第1フィールドマップm1の情報を編集可能であってもよく、例えば第1フィールドマップm1に対応付けられている情報のうち、当該第1フィールドマップm1に対応する耕耘作業の名称や、第1フィールドマップm1の説明(メモ)を編集可能であってもよい。また、詳細画面M5では、記憶部80cに記憶されている第1フィールドマップm1の情報を削除操作可能であってもよい。図7Bに示すように、詳細画面M5は、削除ボタン167を有しており、削除ボタン167は、詳細画面M5に表示されている第1フィールドマップm1に対応するデータの削除の入力操作を受け付ける。削除ボタン167が操作されると、制御部80aは、削除ボタン167が入力操作を受け付けた詳細画面M5が表示する第1フィールドマップm1のデータを記憶部80cから削除する。
【0091】
図8に示すように、第2アプリ画面M6は、第1アプリ画面M2と同様にアプリに対応した様々な情報を表示する画面であって、第2アプリ領域170を有している。第2アプリ領域170は、指定領域115の上方に表示される。なお、図8の第2アプリ画面M6は、耕耘装置3の耕深Dを表示する耕深表示のアプリのうち、記憶部80cに記憶されているフィールドマップを表示する画面を示している。
【0092】
図8に示すように、第2アプリ画面M6の第2アプリ領域170は、マップ表示部171を有している。マップ表示部171は、フィールドマップとして、例えば記憶部80cに記憶され且つ選択部161,166が選択入力を受け付けた第1フィールドマップm1を表示する。また、マップ表示部171は、第1フィールドマップm1のマップ画像を上方から俯瞰して表示する(鳥瞰表示)。マップ表示部171は、フィールド表示部131と同様に作業機4(車体1A)の運転席30に着座した運転者が実際のフィールドを見た場合と感覚的に一致するように、マップ画像を斜めに表示してもよいし、その表示形態は上述した形態に限定されない。なお、説明の便宜上、マップ表示部171に表示した仮想的なフィールドマップのことを「仮想マップ」、又は「マップ画像」ということがある。
【0093】
また、マップ表示部171は、表示するマップ画像を拡大、縮小表示したり、表示させる領域を移動させたり所定の操作が可能であってもよいし、その表示方法は上述した構成に限定されない。
図8に示すように、マップ表示部171は、第1フィールドマップm1の複数のエリアQnに割り当てられた分割データd2nを度合に応じて表示形態を異ならせて表示する。具体的には、マップ表示部171は、マップ画像上に分割データd2nを示す第3度合表示部172を表示する。例えば、第3度合表示部172は、マップ表示部171に表示され且つ所定位置における所定の基準に対する耕深Dの度合を表示する。
【0094】
第3度合表示部172は、第1フィールドマップm1に基づいて、仮想マップ上のそれぞれの位置における耕深Dの度合を表示する。第3度合表示部172は、マップ表示部171が表示する仮想マップに、耕深Dが下限値未満であるエリアQn、即ち比較的耕深Dが浅いエリアQn(第1レベル)を「赤色」の区画173aで表示する。また、第3度合表示部172は、仮想マップに、耕深Dが下限値以上、且つ上限値以下のエリアQn、即ち耕深Dが適正であるエリアQn(第2レベル)を「青色」の区画173bで表示し、耕深Dが上限値を超過しているエリアQn、即ち耕深Dが比較的深いエリアQn(第3レベル)を「黄色」の区画173cで表示する。
【0095】
なお、第3度合表示部172は、度合に応じて表示形態を異ならせてフィールドマップの度合を表示すればよく、異ならせる表示形態は色彩に限定されず、また異ならせる色彩は上述した色域に限定されず、作業者が任意に変更できてもよい。例えば、区画173aを「水色」で表示し、区画173bを「緑色」で表示し、区画173cを「赤色」で表示してもよいし、上述した構成に限定されない。
【0096】
マップ表示部171には、記憶部80cに記憶されているフィールドマップの基準を表示してもよい。図8に示すように、第3度合表示部172の左側に、基準を表示する基準表示部174を表示する。基準表示部174は、フィールドマップの度合の基準値、下限値、上限値の数値と、度合の色を表示する。基準表示部174を表示することで、フィールドマップの色彩と耕深値の対応関係を一目で結びつけることができる。
【0097】
また、図2に示すように、作業機4の表示装置80は、基準を変更する基準変更部(第2変更部)80a12を備えており、マップ作成部80a9は、記憶部80cに記憶されている第1フィールドマップm1を呼び出して、基準変更部80a12による基準の変更に基づいて新しいフィールドマップ(第2フィールドマップm2)を作成する。例えば、マップ作成部80a9は、マップ表示部171に表示されている第1フィールドマップm1を呼び出して、基準変更部80a12による基準の変更に基づいて新しいフィールドマップ(第2フィールドマップm2)を作成する。基準変更部80a12は、例えば電気・電子部品、制御部80aに組み込まれたプログラム等から構成されており、基準変更部80a12は、表示部80bに表示される画面に変更後の基準の入力を受け付ける変更入力部180を表示させ、当該変更入力部180に入力された情報に基づいて基準の変更を行う。本実施形態において、変更入力部180は、表示部80bが表示する第2基準画面M7に表示される。
【0098】
作業者が表示装置80に所定の操作を行うと、図9に示すように、表示装置80は、表示部80bに第2基準画面M7を表示する。変更入力部180は、基準入力部181と、第3確定ボタン182と、を有している。基準入力部181は、基準入力部181と同様に耕深Dに対する基準の入力を受け付け可能な部分であり、耕深Dが「適正」である範囲を定義する部分である。本実施形態において、基準入力部181は、基準値入力部181aと、下限入力部181bと、上限入力部181cと、を含んでいる。基準値入力部181aは、第1基準画面M3の基準値入力部151aと同様に選択部161,166が選択入力を受け付けた第1フィールドマップm1に対応する基準値が予め入力されており、例えば「12.5cm」が入力されている。
【0099】
下限入力部181bは、第1基準画面M3の下限入力部151bと同様に、基準のうち耕深Dに対応する下限値を入力する部分である。本実施形態においては、基準値と下限値との差の入力(第1偏差)を受け付けることで下限値の入力を受け付け、下限入力部181bは、選択部161,166が選択入力を受け付けた第1フィールドマップm1に対応する第1偏差が予め入力されている。図9の例においては、基準値入力部181aは、例えば「12.5cm」が入力されている。下限入力部181bには、予め「1.0cm」と入力されており、下限入力部181bで「2.0cm」と変更された場合を示している。つまり、図9に示す変更入力部180においては、下限値は「10.5cm」として入力されている。
【0100】
上限入力部181cは、第1基準画面M3の上限入力部181cと同様に、基準のうち耕深Dに対応する上限値を入力する部分である。本実施形態においては、基準値と上限値との差(第2偏差)の入力を受け付けることで上限値の入力を受け付け、上限入力部181cは、選択部161,166が選択入力を受け付けた第1フィールドマップm1に対応する第2偏差が予め入力されている。図9の例においては、上限入力部181cには、予め「1.0cm」と入力されており、上限入力部181cで、「2.0cm」と変更された場合を示している。つまり、図9に示す変更入力部180においては、上限値は「14.5cm」として入力されている。
【0101】
第3確定ボタン182は、基準入力部181で入力された値(基準値等)を確定させる操作が可能な画像部である。このため、作業者が基準入力部181に値を設定入力し、第3確定ボタン182を操作すると、基準取得部80a7は、入力された基準値、第1偏差、及び第2偏差を取得して、選択部161,166が選択入力を受け付けた第1フィールドマップm1に基づいて、第1フィールドマップm1が含んでいる分割データd1nと、基準取得部80a7が取得した基準と、に基づいて分割データd2nを再度割り当て、即ち変更された基準と、当該呼び出された第1フィールドマップm1に対応付けられている位置及び耕深Dと、を対応づけて、新しいフィールドマップ(第2フィールドマップm2)を作成する。
【0102】
マップ作成部80a9が第2フィールドマップm2を作成すると、マップ表示部171は、当該新しいフィールドマップである第2フィールドマップm2を表示する。具体的には、マップ表示部171は、図10に示すように、第1フィールドマップm1に代えて第2フィールドマップm2を表示する。このため、第1フィールドマップm1と第2フィールドマップm2とでは、基準が異なり、図9の例においては、耕深Dが適正である範囲(第2レベルの範囲)が第1フィールドマップm1よりも第2フィールドマップm2の方が大きくなるため、マップ上のそれぞれの位置における耕深Dの度合が異なって表示される。具体的には、図8に示す第2アプリ画面M6に表示された第1フィールドマップm1よりも、図10に示す第2アプリ画面M6に表示された第2フィールドマップm2のほうが比較的耕深Dの適正な区画173b(第2レベル)が多く表示され、比較的耕深Dの浅い区画173a(第1レベル)及び比較的耕深Dの深い区画173c(第3レベル)が少なく表示される。これによって、基準変更部80a12が基準を変更することで、マップ表示部171は、第1フィールドマップm1から耕耘の度合が異なる第2フィールドマップm2に表示を遷移させることができる。
【0103】
なお、上述した実施形態において、マップ表示部171は、第1フィールドマップm1から第2フィールドマップm2に表示を遷移させるが、マップ作成部80a9は、選択部161,166が選択入力を受け付け且つ記憶部80cに記憶されている第1フィールドマップm1を呼び出して、基準変更部80a12による基準の変更に基づいて新しいフィールドマップ(第2フィールドマップm2)を作成すればよく、マップ表示部171は、記憶部80cから呼び出した第1フィールドマップm1を表示せず、マップ作成部80a9が作成した第2フィールドマップm2を表示するような構成であってもよい。
【0104】
斯かる場合、マップ表示部171が第2フィールドマップm2を表示している際において、基準変更部80a12がさらに基準を変更すると、マップ作成部80a9は、変更後の基準、第1フィールドマップm1に対応付けられている位置、及び耕耘に基づいて、マップ表示部171が表示している第2フィールドマップm2とは異なる新しい第2フィールドマップm2を作成可能である。
【0105】
上述した作業機4の表示装置80は、作業機4が有している耕耘装置3の耕深Dを取得する耕深取得部80a6と、耕深Dの度合を示す所定の基準を取得する基準取得部80a7と、耕耘装置3で耕耘したときの作業機4の位置を取得する位置取得部80a8と、耕深取得部80a6が取得した耕深Dと、基準取得部80a7が取得した基準と、位置取得部80a8が取得した位置とを対応づけて、フィールドマップm1を作成するマップ作成部80a9と、マップ作成部80a9が作成したフィールドマップm1を記憶する記憶部80cと、記憶部80cに記憶されたフィールドマップm1を呼び出して表示するマップ表示部171と、を備えている。上記構成によれば、記憶部80cに記憶されているフィールドマップm1を表示し、作業者が当該フィールドマップm1を確認することで耕耘装置3の作業計画を容易に作成することができる。
【0106】
また、作業機4の表示装置80は、第1操作と第2操作を受け付け可能な選択操作部135,136を備え、選択操作部135,136が第1操作を受け付けた場合、マップ作成部80a9は、フィールドマップm1を新規に作成し、選択操作部135,136が第2操作を受け付けた場合、マップ作成部80a9は、記憶部80cに記憶されているフィールドマップm1を更新する。上記構成によれば、フィールドマップm1を新規に作成するか、すでに作成が終了されているフィールドマップm1を更新するかを選択することができる。これにより、フィールドマップm1の作成の柔軟性を向上させることができる。
【0107】
また、作業機4の表示装置80は、基準を変更する基準変更部80a12を備え、マップ作成部80a9は、記憶部80cに記憶されているフィールドマップm1を呼び出して、呼び出されたフィールドマップm1の基準が基準変更部80a12で変更された場合に、変更された基準と、当該呼び出されたフィールドマップm1に対応付けられている位置及び耕深Dと、を対応づけて、新しいフィールドマップm2を作成し、マップ表示部171は、新しいフィールドマップm2を表示する。上記構成によれば、記憶部80cに記憶されているフィールドマップm1に基づいて、当該フィールドマップm1とは別の基準に基づく新しいフィールドマップm2を表示でき、フィールドマップm1の活用性を向上させることができる。
【0108】
また、記憶部80cは、呼び出されたフィールドマップである第1フィールドマップm1と、基準が基準変更部80a12で変更された場合に作成された新しいフィールドマップである第2フィールドマップm2と、を記憶しており、マップ表示部171は、第1フィールドマップm1及び第2フィールドマップm2のいずれかを表示する。上記構成によれば、記憶部80cは第1フィールドマップm1と第2フィールドマップm2との両方を記憶しているため、マップ表示部171は第1フィールドマップm1と第2フィールドマップm2とを任意に呼び出すことができる。このためマップ表示部171の汎用性を一層向上させることができる。
【0109】
また、マップ表示部171は、第2フィールドマップm2に対応付けられた基準に対する度合を表示可能であり、第2フィールドマップm2を表示可能な状態において、基準変更部80a12によって第2フィールドマップm2に対応付けられた基準が変更された場合には、変更後の基準に基づいて、第2フィールドマップm2に示す度合の表示形態を変更する。上記構成によれば、第2フィールドマップm2の基準を変更でき、作業者は、基準が変更され、表示形態が異なる第2フィールドマップm2を確認して視覚的に容易に耕深Dを認識することができる。
【0110】
また、作業機4の表示装置80は、記憶部80cが記憶しているフィールドマップm1を一覧として表示する一覧表示部160と、一覧表示部160に表示されたフィールドマップm1のうち、一のフィールドマップm1の選択入力を受け付ける選択部161,166と、を備え、マップ表示部171は、選択部161,166で選択入力を受け付けた一のフィールドマップm1を記憶部80cから呼び出して表示する。上記構成によれば、作業者は確認したいフィールドマップm1を選択でき、作業性を向上させることができる。
【0111】
また、マップ表示部171は、所定位置における耕深Dの基準に対する度合を表示し、度合に応じて表示形態を異ならせて当該度合を表示する。上記構成によれば、作業者は、マップ表示部171を確認することで耕深Dの度合を視覚的に認識することができる。
また、基準は、耕深Dに対応する上限値及び下限値を含んでおり、マップ表示部171は、耕深Dが上限値を超過している場合と、耕深Dが下限値以上、且つ上限値以下である場合と、耕深Dが下限値未満である場合と、で表示形態を異ならせて当該度合を表示する。上記構成によれば、作業者は、耕深Dが上限値を超えている場合と、上限値と下限値との範囲内である場合と、下限値未満である場合と、の識別性を向上させることができる。
【0112】
また、耕深取得部80a6が取得した耕深Dに基づいて、当該耕深Dの平均を算出する平均算出部80a10を備え、記憶部80cは、マップ作成部80a9が作成したフィールドマップm1と、当該フィールドマップm1に対応し且つ平均算出部80a10が算出した耕深Dの平均と、を対応付けて記憶する。上記構成によれば、フィールドマップm1の耕耘作業の程度を簡単に把握することができる。
【0113】
上述した農作業機(作業機)4は、走行車両1と、走行車両1の後方に配置され、連結装置2を介して連結される耕耘装置3と、連結装置2に取り付けられ、地面Gまでの距離を測定する距離センサ58と、水平に対する耕耘装置3の傾斜角度θ1を検出する第1傾斜センサ59Aと、距離センサ58で測定した距離と第1傾斜センサ59Aで検出した傾斜角度θ1とに基づいて耕耘装置3の耕深Dを算出する耕深算出部80a1を有する制御装置70と、走行車両1の傾斜角度θ3を検出する第2傾斜センサ59Bと、を備え、制御装置70は、第2傾斜センサ59Bが検出した走行車両1の傾斜角度θ3に基づいて、耕深算出部80a1が算出した耕耘装置3の耕深Dを補正する補正部80a4を有している。上記構成によれば、走行車両1の傾斜角度θ3に基づいて耕深Dの補正を行うことで、特に比較的凹凸が少なく且つ圃場が傾斜している場合に精度のよい耕深検出を行える。
【0114】
また、補正部80a4は、第1傾斜センサ59Aが検出した耕耘装置3の傾斜角度θ1を、当該耕耘装置3の傾斜角度θ1と第2傾斜センサ59Bが検出した走行車両1の傾斜角度θ3との差分によって補正し、耕深算出部80a1が算出した耕耘装置3の耕深Dを補正する。上記構成によれば、耕耘装置3の傾斜角度θ1を補正するという比較的簡単な方法で精度のよい耕深検出を行える。
【0115】
また、制御装置70は、耕深算出部80a1が算出した耕耘装置3の耕深Dの補正部80a4による補正を許容する第1モードと、補正を禁止する第2モードと、に切り換える切換部80a5を有している。上記構成によれば、比較的凹凸が多く且つ圃場が傾斜していない場合や、比較的凹凸が少なく且つ圃場が傾斜している場合で耕深Dの算出方法を変更することができる。このため、圃場の状況に応じてより適切な算出方法で耕深Dを算出できる。
【0116】
また、第1傾斜センサ59Aは、連結装置2に取り付けられる。上記構成によれば、耕耘装置3を取り替える等を行う場合であっても、第1傾斜センサ59Aの取り外し、取り付けや、配線の方法を変更する等の作業が不要となる。さらに、距離センサ58と第1傾斜センサ59Aが同じ構造物に配置されるので、より精度のよい耕深Dの検出を行える。
また、耕深算出部80a1は、距離センサ58で測定した地面Gまでの距離を、第1傾斜センサ59Aで検出した耕耘装置3の傾斜角度θ1により補正する。上記構成によれば、距離センサ58を連結装置2に取り付けることにより、耕耘装置3で耕耘する前の未耕地において距離センサ58によって測定された地面Gまでの距離L1を、第1傾斜センサ59Aで検出した傾斜角度θ1により補正し、地面Gまでの鉛直距離X0を計算するので、精度のよい耕深Dの検出を行える。
【0117】
また、農作業機4は、耕深Dを表示する表示装置80を備えている。上記構成によれば、算出した耕深Dを作業者が確認することができる。
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0118】
3 耕耘装置(ロータリ耕耘装置)
4 作業機(農作業機)
80 表示装置
80a6 耕深取得部
80a7 基準取得部
80a8 位置取得部
80a9 マップ作成部
80a10 平均算出部
80a12 基準変更部(第2変更部)
80c 記憶部
160 一覧表示部
161 選択部
166 選択部
171 マップ表示部
D 耕深
m1 第1フィールドマップ(フィールドマップ)
m2 第2フィールドマップ(フィールドマップ)
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11