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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/38 20060101AFI20230904BHJP
【FI】
H03F3/38 210
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020154727
(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公開番号】P2022048737
(43)【公開日】2022-03-28
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 恒
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-149021(JP,A)
【文献】特開2003-317205(JP,A)
【文献】特開平10-269768(JP,A)
【文献】特表2002-523952(JP,A)
【文献】特開2010-178204(JP,A)
【文献】特開2011-160096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/00- 3/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1クロック信号の状態を検出する検出回路と、
前記検出回路により検出された前記第1クロック信号の状態に基づいて、増幅率を変更すると共に、第1電圧を前記増幅率で増幅し、増幅された第2電圧を出力する増幅回路と、
前記第1クロック信号を補正し、補正された前記第1クロック信号を出力する補正回路と、
前記補正された前記第1クロック信号を用いて、前記増幅回路から出力された前記第2電圧を第1データに変換する変換回路と、
第1ドライバと、前記第1ドライバに対して電気的に絶縁された第1レシーバとを有し、前記第1ドライバは前記第1データに応じた信号を前記第1レシーバに伝送し、前記第1レシーバは前記第1ドライバから伝送された前記信号に応じた第2データを出力する第1アイソレーション回路と、
前記第1アイソレーション回路から出力された前記第2データを出力する出力回路と、
を具備する半導体装置。
【請求項2】
第2ドライバと、前記第2ドライバに対して電気的に絶縁された第2レシーバとを有する第2アイソレーション回路をさらに具備し、
前記第2ドライバは第2クロック信号に応じた信号を前記第2レシーバに伝送し、前記第2レシーバは前記第2ドライバから伝送された前記信号に応じた前記第1クロック信号を、前記検出回路に出力する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記増幅回路は、増幅部と、前記増幅部の入力部と出力部間に接続された帰還抵抗とを有し、
前記第1クロック信号の状態に基づいて前記帰還抵抗の抵抗値を変更することにより、前記増幅回路の前記増幅率が変更される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記変換回路により出力された前記第1データを受け取り、前記第1データを符号化するエンコーダと、
前記エンコーダにより符号化された前記第1データを前記第1アイソレーション回路に出力する送信回路と、
前記第1アイソレーション回路から出力された前記第2データを受け取る受信回路と、
前記受信回路から出力された前記第2データをデコードし、デコードされた前記第2データを前記出力回路に出力するデコーダと、
をさらに具備する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1クロック信号の状態は、前記第1クロック信号のデューティ比、電圧値、周波数のいずれか1つを含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1アイソレーション回路は、光結合、磁気結合、容量結合のいずれかを1つ用いて、前記第1ドライバから前記第1レシーバに前記信号を伝送する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1アイソレーション回路は、発光ダイオード及びフォトダイオード、またはコイル、コンデンサの少なくともいずれか1つを含む請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、アイソレーションアンプを備える半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
入力回路と出力回路の間を電気的に絶縁したアイソレーションアンプが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-163342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外部入力信号により入力電圧のダイナミックレンジを変更することができるアイソレーションアンプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1クロック信号の状態を検出する検出回路と、前記検出回路により検出された前記第1クロック信号の状態に基づいて、増幅率を変更すると共に、第1電圧を前記増幅率で増幅し、増幅された第2電圧を出力する増幅回路と、前記第1クロック信号を補正し、補正された前記第1クロック信号を出力する補正回路と、前記補正された前記第1クロック信号を用いて、前記増幅回路から出力された前記第2電圧を第1データに変換する変換回路と、第1ドライバと、前記第1ドライバに対して電気的に絶縁された第1レシーバとを有し、前記第1ドライバは前記第1データに応じた信号を前記第1レシーバに伝送し、前記第1レシーバは前記第1ドライバから伝送された前記信号に応じた第2データを出力する第1アイソレーション回路と、前記第1アイソレーション回路から出力された前記第2データを出力する出力回路とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態のアイソレーションアンプが使用される電流検出のための回路例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態のアイソレーションアンプを備える半導体装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、第1実施形態のアイソレーションアンプにおける入力電圧のダイナミックレンジの切り替え例を示す図である。
図4図4は、アイソレーションアンプ内の光結合を用いたアイソレーション部の構成例を示す図である。
図5図5は、アイソレーションアンプ内の磁気結合を用いたアイソレーション部の構成例を示す図である。
図6図6は、アイソレーションアンプ内の容量結合を用いたアイソレーション部の構成例を示す図である。
図7図7は、第2実施形態のアイソレーションアンプを備える半導体装置の構成を示すブロック図である。
図8図8は、第2実施形態のアイソレーションアンプにおける入力電圧のダイナミックレンジの切り替え例を示す図である。
図9図9は、第3実施形態のアイソレーションアンプを備える半導体装置の構成を示すブロック図である。
図10図10は、第4実施形態のアイソレーションアンプを備える半導体装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、共通する参照符号を付す。また、以下に示す各実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、構成部品の材質、形状、構造、及び配置等を下記のものに特定するものではない。
【0008】
各機能ブロックは、ハードウェア、コンピュータソフトウェアのいずれかまたは両者を組み合わせたものとして実現することができる。各機能ブロックが以下の例のように区別されていることは必須ではない。例えば、一部の機能が例示の機能ブロックとは別の機能ブロックによって実行されてもよい。さらに、例示の機能ブロックがさらに細かい機能サブブロックに分割されていてもよい。
【0009】
1.第1実施形態
アイソレーションアンプは、入力回路と出力回路の間を電気的に絶縁する絶縁機能と、入力回路と出力回路の間で信号を伝送する信号伝送機能とを両立するデバイスであり、産業、通信、民生、車載分野等、様々な分野のアプリケーションで広く使用されている。
【0010】
図1は、実施形態のアイソレーションアンプが使用される電流検出のための回路例を示す図である。この回路例は、アイソレーションアンプ1を、モータ2に供給される電流の検出に使用した例である。
【0011】
図1に示すように、アイソレーションアンプ1は、モータ2とMPU(micro processing unit)(または、ASIC(application specific integrated circuit)、DSP(digital signal processor)等)3との間に接続される。
【0012】
正電源HV(+)が供給される電源端は、直列に接続されたIGBT(insulated gate bipolar transistor)(または、MOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor))4とシャント抵抗Rshを介してモータ2に接続される。シャント抵抗Rshは、IGBT4とモータ2との間に接続される。シャント抵抗Rshとモータ2間の第1ノードは、抵抗R1を介してアイソレーションアンプ1に接続される。第1ノードの電圧Vshは、アイソレーションアンプ1に入力される。IGBT4とシャント抵抗Rsh間の第2ノードは、アイソレーションアンプ1に接続されると共に、トランジスタ5を介して負電源HV(-)が供給される電源端に接続される。第2ノードの電圧は、リファレンス電圧、例えば接地電圧GND1とされ、アイソレーションアンプ1に供給される。IGBT4のゲートは、絶縁型のゲート駆動回路6に接続される。
【0013】
レギュレータ7の入力部には、正電源HV(+)が供給される。レギュレータ7は、正電源HV(+)から電源電圧VDD1を生成し、アイソレーションアンプ1に供給する。レギュレータ7の入力部及び出力部と、第2ノードとの間には、コンデンサC1、C2がそれぞれ接続される。さらに、抵抗R1とアイソレーションアンプ1間のノードと、第2ノードとの間にはコンデンサC3が接続される。
【0014】
MPU3は、モータ2に供給される電流Ishを制御するための信号MGDをゲート駆動回路6に出力する。ゲート駆動回路6は、信号MGDに応じた駆動電圧をIGBT4のゲートに出力する。これにより、IGBT4は、駆動電圧に応じてモータ2に供給する電流Ishを調整する。
【0015】
アイソレーションアンプ1は、モータ2の駆動回路とMPU3との間の電気的な絶縁状態を維持しながら、モータ2の駆動回路とMPU3との間で信号伝送を行う。アイソレーションアンプ1は、シャント抵抗Rshにより電流Ishを電圧Vshに変換した信号から、モータ2に供給される電流Ishを検知する。具体的には、アイソレーションアンプ1は、電流Ishを電圧Vshに変換し、さらに電圧Vshをデータに変換して、そのデータをMPU3に出力する。MPU3は、受け取ったデータに基づいて、所望の電流がモータ2に供給されるように、ゲート駆動回路6に出力する信号MGDを調整する。
【0016】
ここで、シャント抵抗Rshで発生する電力損失P=Vsh×Ishは、シャント抵抗Rshの許容損失Pshを満たす必要がある。このため、より大電流のIshを検出するには、電力損失Pshの高いシャント抵抗Rshを選定すると共に、電圧Vshを抑える(小さいシャント抵抗Rshを選定する)必要がある。これに伴い、電圧Vshを入力とするアイソレーションアンプ1に関しても、電圧Vshに応じた適正な入力電圧のダイナミックレンジを持つ製品が選定され、使い分けられる。
【0017】
1.1 半導体記置の構成
図2は、第1実施形態のアイソレーションアンプを備える半導体装置の構成を示すブロック図である。アイソレーションアンプ1は、クロック送信回路11、アイソレーション部(または、アイソレーション回路)12、クロック受信回路13、クロック状態検出回路14、クロック状態補正回路15、基準電圧生成回路16、増幅回路17、アナログ-デジタル変換回路(以下、ADコンバータと記す)18、エンコーダ19、データ送信回路20、アイソレーション部(または、アイソレーション回路)21、データ受信回路22、デコーダ23、及び出力バッファ(または、出力回路)24を備える。
【0018】
クロック入力端子TCLは、クロック送信回路11の入力端子に接続される。クロック送信回路11の出力端子はアイソレーション部12の第1端子に接続され、アイソレーション部12の第2端子は、クロック受信回路13の入力端子に接続される。クロック受信回路13の第1出力端子はクロック状態検出回路14の入力端子に接続され、クロック受信回路13の第2出力端子はクロック状態補正回路15の入力端子に接続される。
【0019】
クロック状態検出回路14の出力端子は、増幅回路17内の帰還抵抗切替回路17A及び17Bの制御端子に接続される。クロック状態補正回路15の出力端子は、ADコンバータ18の第1入力端子に接続される。基準電圧生成回路16の出力端子は、ADコンバータ18の第2入力端子に接続される。
【0020】
電圧入力端子TIN(+)は、増幅回路17内の入力抵抗R11の第1端に接続される。入力抵抗R11の第2端は、増幅部17Cの第1入力端子及び帰還抵抗切替回路17Aの第1端に接続される。増幅部17Cの第1出力端子及び帰還抵抗切替回路17Aの第2端は、ADコンバータ18の第3入力端子に接続される。
【0021】
電圧入力端子TIN(-)は、増幅回路17内の入力抵抗R12の第1端に接続される。入力抵抗R12の第2端は、増幅部17Cの第2入力端子及び帰還抵抗切替回路17Bの第1端に接続される。増幅部17Cの第2出力端子及び帰還抵抗切替回路17Bの第2端は、ADコンバータ18の第4入力端子に接続される。
【0022】
ADコンバータ18の出力端子は、エンコーダ19の入力端子に接続され、エンコーダ19の出力端子はデータ送信回路20の入力端子に接続される。データ送信回路20の出力端子は、アイソレーション部21の第1端子に接続され、アイソレーション部21の第2端子はデータ受信回路22の入力端子に接続される。データ受信回路22の出力端子は、デコーダ23の入力端子に接続され、デコーダ23の出力端子は出力バッファ24の入力端子に接続される。さらに、出力バッファ24の出力端子は、データ出力端子TDAに接続される。
【0023】
基準電源端子TG1には、接地電圧GND1が供給される。基準電源端子TG1は、クロック受信回路13、クロック状態検出回路14、クロック状態補正回路15、基準電圧生成回路16、増幅回路17、ADコンバータ18、エンコーダ19、及びデータ送信回路20の各々の負側電源端子に接続される。電源電圧端子TV1には、電源電圧VDD1が供給される。電源電圧端子TV1は、クロック受信回路13、クロック状態検出回路14、クロック状態補正回路15、基準電圧生成回路16、増幅回路17、ADコンバータ18、エンコーダ19、及びデータ送信回路20の各々の正側電源端子に接続される。
【0024】
基準電源端子TG2には、リファレンス電圧、例えば接地電圧GND2が供給される。基準電源端子TG2は、クロック送信回路11、データ受信回路22、デコーダ23、及び出力バッファ24の各々の負側電源端子に接続される。さらに、電源電圧端子TV2には、電源電圧VDD2が供給される。電源電圧端子TV2は、クロック送信回路11、データ受信回路22、デコーダ23、及び出力バッファ24の各々の正側電源端子に接続される。
【0025】
1.2 半導体装置の動作
以下に、第1実施形態のアイソレーションアンプを備える半導体装置の動作について説明する。
【0026】
クロック送信回路11は、MPU3からクロック入力端子TCLを介してクロック信号MCLK1を受け取る。クロック送信回路11は、クロック信号MCLK1をアイソレーション部12に送信する。アイソレーション部12は、クロック送信回路11から受け取ったクロック信号MCLK1を、クロック信号MCLK1に応じたクロック信号MCLK2に変換し、クロック信号MCLK2をクロック受信回路13に出力する。
【0027】
クロック受信回路13は、受け取ったクロック信号MCLK2をクロック状態検出回路14及びクロック状態補正回路15に出力する。クロック状態検出回路14は、クロック信号MCLK2の状態を検出し、その状態に応じた制御信号S1を帰還抵抗切替回路17A及び17Bに出力する。以降、クロック信号の状態をクロック状態とも記す。クロック状態は、例えば、クロック信号MCLK2のデューティ比、あるいは周波数、電圧値である。
【0028】
増幅回路17内の帰還抵抗切替回路17A及び17Bの各々は、帰還抵抗を有し、制御信号S1に応じて帰還抵抗の抵抗値を切り替える。例えば、帰還抵抗切替回路17Aは、入力抵抗R11が持つ抵抗値の整数倍となるように、帰還抵抗の抵抗値を切り替える。帰還抵抗切替回路17Bは、入力抵抗R12が持つ抵抗値の整数倍となるように、帰還抵抗の抵抗値を切り替える。増幅回路17における増幅率は、制御信号S1によって切り替えられる抵抗値に応じて可変する。増幅回路17の増幅率の可変については後で詳述する。
【0029】
また、電圧入力端子TIN(+)に、シャント抵抗Rshにより検出した電圧Vsh(VIN+)が入力される。また、電圧入力端子TIN(-)に、接地電圧GND1(VIN-)が供給される。これにより、増幅回路17は、電圧入力端子TIN(+)及び電圧入力端子TIN(-)から電圧Vsh及び接地電圧GND1をそれぞれ受け取る。
【0030】
増幅回路17は、制御信号S1で設定された増幅率で電圧Vshを増幅し、ADコンバータ18に出力する。ADコンバータ18は、例えば、デルタ・シグマ型のADコンバータであり、基準電圧生成回路16から供給された基準電圧VR1を用いて、増幅回路17により増幅された電圧Vsh(アナログ信号)をデータ(デジタル信号)D1に変換し、エンコーダ19に出力する。
【0031】
また、クロック状態補正回路15は、クロック信号MCLK2の状態を、ADコンバータ18で使用するのに適した状態に補正する。例えば、クロック信号MCLK2におけるHighレベル(以下、Hと記す)とLowレベル(以下、Lと記す)のデューティ比を50:50に補正する。クロック状態補正回路15は、補正されたクロック信号をADコンバータ18に出力する。
【0032】
基準電圧生成回路16は、ADコンバータ18においてデジタル値の判定に使用される基準電圧VR1を生成し、生成した基準電圧VR1をADコンバータ18に出力する。
【0033】
ADコンバータ18は、アナログ信号である電圧VshをデータD1に変換する場合の判定電圧レベルとして、基準電圧VR1を用いる。例えば、ADコンバータ18は、電圧Vshが基準電圧VR1以上であるとき、電圧VshをHに変換し、電圧Vshが基準電圧VR1より低いとき、電圧VshをLに変換する。
【0034】
エンコーダ19は、ADコンバータ18から受け取ったデータD1を符号化し、符号化したデータD2をデータ送信回路20に出力する。データ送信回路20は、データD2をアイソレーション部21に送信する。
【0035】
アイソレーション部21は、データ送信回路20から受け取ったデータD2を、データD2に応じたデータD3に変換し、データ受信回路22に出力する。データ受信回路22は、受け取ったデータD3をデコーダ23に出力する。デコーダ23は、データD3をデコードしてデータMDATに変換し、データMDATを出力バッファ24に出力する。出力バッファ24は、データMDATをデータ出力端子TDAからMPU3に出力する。
【0036】
その後、MPU3は、アイソレーションアンプ1から受け取ったデータMDATに基づいて信号MGDを生成する。信号MGDは、モータ2に供給される電流Ishを制御する信号である。MPU3は、生成した信号MGDをゲート駆動回路6に送信する。
【0037】
ゲート駆動回路6は、信号MGDに基づいて駆動電圧を生成し、生成した駆動電圧をIGBT4のゲートに出力する。IGBT4は、駆動電圧に応じて、モータ2に供給する電流Ishを調整し、モータ2の動作を制御する。
【0038】
次に、図3を用いて、MPU3から供給されるクロック信号MCLK1によって入力電圧のダイナミックレンジを切り替える動作例について説明する。図3は、アイソレーションアンプ1における入力電圧のダイナミックレンジの切り替え例を示す図である。第1実施形態のアイソレーションアンプ1における入力電圧のダイナミックレンジは、増幅回路17の増幅率によって設定される。クロック信号MCLK1の状態に応じて増幅回路17の増幅率を変更し、入力電圧のダイナミックレンジを切り替える。
【0039】
例えば、図3に示すように、クロック信号MCLK1のクロック状態がAである場合、クロック状態検出回路14は、クロック状態Aに応じた制御信号SAを帰還抵抗切替回路17A及び17Bに出力する。帰還抵抗切替回路17A及び17Bは、制御信号SAに応じて帰還抵抗の抵抗値を共にRに設定する。ここで、入力抵抗R11及びR12の抵抗値は、共にRに設定されている。入力抵抗R11及びR12の抵抗値がRで、帰還抵抗切替回路17A及び17Bの帰還抵抗の抵抗値もRであるため、増幅回路17の増幅率は1に設定される。この場合、アイソレーションアンプ1における入力電圧のダイナミックレンジは、基準電圧生成回路16から供給される基準電圧が一定であるとき、1で表すことができる。
【0040】
一方、図3に示すように、クロック信号MCLK1のクロック状態がBである場合、クロック状態検出回路14は、クロック状態Bに応じた制御信号SBを帰還抵抗切替回路17A及び17Bに出力する。帰還抵抗切替回路17A及び17Bは、制御信号SBに応じて帰還抵抗の抵抗値を共に、Rの5倍(以下、5R)に設定する。ここで、入力抵抗R11及びR12の抵抗値は、共にRに設定されている。入力抵抗R11及びR12の抵抗値がRで、帰還抵抗切替回路17A及び17Bの帰還抵抗の抵抗値が5Rであるため、増幅回路17の増幅率は5に設定される。この場合、アイソレーションアンプ1における入力電圧のダイナミックレンジは、基準電圧生成回路16の基準電圧が一定であるとき、1/5で表すことができる。
【0041】
上述したように、第1実施形態では、MPU3から受け取るクロック信号MCLK1のクロック状態に応じて、増幅回路17の増幅率を変更でき、これにより、アイソレーションアンプ1における入力電圧のダイナミックレンジを変更可能である。
【0042】
なお、第1実施形態では、クロック信号MCLK1が2つのクロック状態A、Bのいずれであるかを検出して増幅回路17の増幅率を2つの増幅率(1あるいは5)のいずれかに設定したが、3つ以上のクロック状態のいずれであるかを検出して3つ以上の増幅率のいずれかに設定することも可能である。この場合、制御信号S1が表す状態数、及び帰還抵抗切替回路17A及び17Bが切り替える帰還抵抗の抵抗値の数等も、それに合せて設計すればよい。
次に、図4図5及び図6を用いて、アイソレーションアンプ1内のアイソレーション部12、21の構成例について説明する。図4図5及び図6は、アイソレーション部12、21の構成例を示す図である。
【0043】
アイソレーション部12、21は、光結合、あるいは磁気結合、容量結合等によって、1次側回路(例えば、出力回路)と2次側回路(例えば、入力回路)との間の絶縁状態を保ちながら、1次側回路と2次側回路間で、一方向にあるいは双方向に信号の伝送が可能である。
【0044】
図4は、光結合を用いたアイソレーション部21の構成例を示す。光結合を用いたアイソレーション部21は、ドライバ211、レシーバ212、発光ダイオード213、及びフォトダイオード214を含む。このアイソレーション部21は、発光ダイオード213からフォトダイオード214へ一方向にデータの伝送が可能である。
【0045】
ドライバ211は、データ送信回路20から受け取ったデータD2によって発光ダイオード213を駆動する。これにより、発光ダイオード213は、データD2に応じた光を発光する。フォトダイオード214は、発光ダイオード213から発光された光を受光し、その光に応じたデータD3をレシーバ212に出力する。レシーバ212は、受け取ったデータD3をデータ受信回路22に出力する。これにより、データ送信回路20とデータ受信回路22との間で電気的な絶縁を保持したままで、アイソレーション部21は、データ送信回路20から受け取ったデータD2に応じたデータD3を、データ受信回路22に送信する。
【0046】
図5は、磁気結合を用いたアイソレーション部21の構成例を示す。アイソレーション部21は、ドライバ(または、レシーバ)215、レシーバ(または、ドライバ)216、コイル217、及びコイル218を含む。このアイソレーション部21は、ドライバ(または、レシーバ)215とレシーバ(または、ドライバ)216との間で双方向にデータの伝送が可能である。
【0047】
ドライバ215は、データ送信(受信)回路20から受け取ったデータD2によってコイル217を駆動する。これにより、コイル217は、データD2に応じた磁気を発生する。コイル218は、コイル217にて発生された磁気を受け、その磁気に応じたデータD3をレシーバ216に出力する。レシーバ216は、受け取ったデータD3をデータ受信(送信)回路22に出力する。これにより、データ送信回路20とデータ受信回路22との間で電気的な絶縁を保持したままで、アイソレーション部21は、データ送信回路20から受け取ったデータD2に応じたデータD3を、データ受信回路22に送信する。
【0048】
図6は、容量結合を用いたアイソレーション部21の構成例を示す。アイソレーション部21は、ドライバ(または、レシーバ)219、レシーバ(または、ドライバ)220、及びドライバ219とレシーバ220間に接続されたコンデンサ221を含む。コンデンサ221は、互いに対向する第1電極と第2電極とを含む。第1電極はドライバ219に接続され、第2電極はレシーバ220に接続される。
【0049】
ドライバ219は、データ送信(受信)回路20から受け取ったデータD2によってコンデンサ221の第1電極を充電する。第2電極は、第1電極に充電された電荷に応じた電荷を蓄積する。レシーバ220は、第2電極に蓄積された電荷に応じたデータD3をデータ受信(送信)回路22に出力する。これにより、データ送信回路20とデータ受信回路22との間で電気的な絶縁を保持したままで、アイソレーション部21は、データ送信回路20から受け取ったデータD2に応じたデータD3を、データ受信回路22に送信する。
【0050】
上述では、アイソレーション部21の構成を説明したが、アイソレーション部12の構成も同様である。アイソレーション部12の場合、データ送信回路20をクロック送信回路11に、データ受信回路22をクロック受信回路13に、データD2を第1クロック信号に、データD3を第2クロック信号にそれぞれ読み換えればよい。
【0051】
1.3 第1実施形態の効果
第1実施形態によれば、外部入力信号により入力電圧のダイナミックレンジを変更することができるアイソレーションアンプを提供することができる。
【0052】
以下に、比較例としてのアイソレーションアンプの課題を説明し、その後、第1実施形態のアイソレーションアンプの効果について説明する。
【0053】
比較例のアイソレーションアンプでは、入力電圧のダイナミックレンジは、アイソレーションアンプの回路構成及び設計にて決定されているため、ユーザがダイナミックレンジを適宜、調整することは不可能である。また、仮に入力電圧のダイナミックレンジを外部から調整するための入力端子をアイソレーションアンプに追加することは可能である。しかし、アイソレーションアンプの入力端子(ピン数)が増加し、アイソレーションアンプのパッケージが大きくなってしまう。さらに、動作前に何らかのデジタルコードを外部から入力してアイソレーションアンプ内のレジスタに保存し、レジスタに保存されたデジタルコードによって増幅回路の増幅率、もしくは基準電圧生成回路の基準電圧を設定することも可能である。しかし、アイソレーションアンプの動作中にダイナミックレンジを変更することは不可能である。
【0054】
これに対し、第1実施形態では、外部から供給されるクロック信号の状態を変更することによりクロック信号の状態に基づいて、増幅回路17の増幅率を変更する。これにより、外部入力端子を追加することなく、アイソレーションアンプにおける入力電圧のダイナミックレンジを変更することができる。すなわち、外部から供給されるクロック信号の状態に基づいて、入力電圧のダイナミックレンジを変更できるアイソレーションアンプを提供することができる。
【0055】
例えば、アイソレーションアンプ1に入力される入力電圧が50mV程度で、モータ2に流れる電流が少ないアイドリング状態、あるいは入力電圧が200mV程度で、モータ2に流れる電流が十分に多い通常動作状態においても、それぞれの状態に応じて入力電圧のダイナミックレンジを変更することにより、いずれの状態においても入力電圧を精度よく検出することができる。
【0056】
言い換えると、入力電圧はモータ2に流れる電流に応じて変化する電圧である。アイドリング状態あるいは通常動作状態の各々の状態に応じて、入力電圧のダイナミックレンジを変更することにより、入力電圧を精度よく検出できる。これにより、モータ2に流れる電流を高精度で検出することが可能である。
【0057】
また、例えば、小中容量のモータに対応する入力電圧200mV、あるいは大容量のモータに対応する入力電圧50mVのいずれの容量のモータに用いるかによって、入力電圧のダイナミックレンジを変更することにより、モータの容量が異なる場合でも入力電圧を精度よく検出することができる。
【0058】
2.第2実施形態
以下に、第2実施形態のアイソレーションアンプを備える半導体装置について説明する。第2実施形態は、外部から供給されるクロック信号MCLK1のデューティ比に応じて増幅回路17内の帰還抵抗切替回路17A及び17Bの抵抗値を切り替えることにより、アイソレーションアンプ1における入力電圧のダイナミックレンジを変更する。第2実施形態では、第1実施形態と異なる点について主に説明する。説明しないその他の構成、動作、及び効果等は第1実施形態と同様である。
【0059】
2.1 半導体記置の構成
図7は、第2実施形態のアイソレーションアンプを備える半導体装置の構成を示すブロック図である。第2実施形態のアイソレーションアンプでは、クロック状態検出回路14に換えてクロックデューティ検出回路31を備え、クロック状態補正回路15に換えてクロックデューティ補正回路32を備える。
【0060】
クロック受信回路13の第1出力端子はクロックデューティ検出回路31の入力端子に接続され、クロック受信回路13の第2出力端子はクロックデューティ補正回路32の入力端子に接続される。
【0061】
クロックデューティ検出回路31の出力端子は、増幅回路17内の帰還抵抗切替回路17A及び17Bの制御端子に接続される。クロックデューティ補正回路32の出力端子は、ADコンバータ18の第1入力端子に接続される。
【0062】
2.2 半導体装置の動作
以下に、第2実施形態のアイソレーションアンプを備える半導体装置の動作について説明する。
【0063】
クロック受信回路13は、受け取ったクロック信号MCLK2をクロックデューティ検出回路31及びクロックデューティ補正回路32に出力する。クロックデューティ検出回路31は、クロック信号MCLK2のデューティ比を検出し、そのデューティ比に応じた制御信号S2を帰還抵抗切替回路17A及び17Bに出力する。
【0064】
増幅回路17内の帰還抵抗切替回路17A及び17Bの各々は、制御信号S2に応じて帰還抵抗の抵抗値を切り替える。例えば、帰還抵抗切替回路17Aは、入力抵抗R11が持つ抵抗値の整数倍となるように、帰還抵抗の抵抗値を切り替える。帰還抵抗切替回路17Bは、入力抵抗R12が持つ抵抗値の整数倍となるように、帰還抵抗の抵抗値を切り替える。増幅回路17における増幅率は、制御信号S2によって切り替えられる抵抗値に応じて可変する。増幅回路17の増幅率の可変については後で詳述する。
【0065】
増幅回路17は、制御信号S2で設定された増幅率で電圧Vshを増幅し、ADコンバータ18に出力する。さらに、ADコンバータ18は、基準電圧生成回路16から供給された基準電圧VR1を用いて、増幅回路17により増幅された電圧Vsh(アナログ信号)をデータD1に変換し、エンコーダ19に出力する。
【0066】
エンコーダ19は、受け取ったデータD1を符号化し、符号化したデータD2をデータ送信回路20に出力する。データ送信回路20は、データD2をアイソレーション部21に送信する。
【0067】
アイソレーション部21は、データ送信回路20から受け取ったデータD2を、データD2に応じたデータD3に変換し、データ受信回路22に出力する。データ受信回路22は、受け取ったデータD3をデコーダ23に出力する。デコーダ23は、データD3をデコードしてデータMDATに変換し、データMDATを出力バッファ24に出力する。出力バッファ24は、データMDATをデータ出力端子TDAからMPU3に出力する。
【0068】
その後、MPU3は、アイソレーションアンプ1から受け取ったデータMDATに基づいて信号MGDを生成し、生成した信号MGDをゲート駆動回路6に送信する。ゲート駆動回路6は、信号MGDに基づいて駆動電圧を生成し、生成した駆動電圧をIGBT4のゲートに出力する。IGBT4は、駆動電圧に応じて、モータ2に供給する電流Ishを調整し、モータ2の動作を制御する。
【0069】
次に、図8を用いて、MPU3から供給されるクロック信号MCLK1によって入力電圧のダイナミックレンジを切り替える動作例について説明する。図8は、アイソレーションアンプ1における入力電圧のダイナミックレンジの切り替え例を示す図である。第2実施形態のアイソレーションアンプ1における入力電圧のダイナミックレンジは、増幅回路17の増幅率によって設定される。クロック信号MCLK1のデューティ比に応じて増幅回路17の増幅率を変更し、入力電圧のダイナミックレンジを切り替える。
【0070】
例えば、図8に示すように、クロック信号MCLK1の1周期におけるHレベルの比率が50%より小さい場合、クロックデューティ検出回路31は、Hレベルの比率に応じた制御信号SAを帰還抵抗切替回路17A及び17Bに出力する。帰還抵抗切替回路17A及び17Bは、制御信号SAに応じて帰還抵抗の抵抗値を共にRに設定する。ここで、入力抵抗R11及びR12の抵抗値は、共にRに設定されている。入力抵抗R11及びR12の抵抗値がRで、帰還抵抗切替回路17A及び17Bの抵抗値もRであるため、増幅回路17の増幅率は1に設定される。この場合、アイソレーションアンプ1における入力電圧のダイナミックレンジは、基準電圧生成回路16から供給される基準電圧が一定であるとき、1で表すことができる。
【0071】
一方、図8に示すように、クロック信号MCLK1の1周期におけるHレベルの比率が50%以上である場合、クロックデューティ検出回路31は、Hレベルの比率に応じた制御信号SBを帰還抵抗切替回路17A及び17Bに出力する。帰還抵抗切替回路17A及び17Bは、制御信号SBに応じて帰還抵抗の抵抗値を共に、5Rに設定する。ここで、入力抵抗R11及びR12の抵抗値は、共にRに設定されている。入力抵抗R11及びR12の抵抗値がRで、帰還抵抗切替回路17A及び17Bの抵抗値が5Rであるため、増幅回路17の増幅率は5に設定される。この場合、アイソレーションアンプ1における入力電圧のダイナミックレンジは、基準電圧生成回路16の基準電圧が一定であるとき、1/5で表すことができる。
【0072】
上述したように、第2実施形態では、MPU3から受け取るクロック信号MCLK1のクロック状態に応じて増幅回路17の増幅率を変更でき、これにより、アイソレーションアンプ1における入力電圧のダイナミックレンジを変更可能である。
【0073】
なお、第2実施形態では、クロック信号MCLK1のデューティ比が2つの状態のいずれであるかを検出して増幅回路17の増幅率を2つの増幅率(1あるいは5)のいずれかに設定したが、デューティ比が3つ以上の状態のいずれであるかを検出して3つ以上の増幅率のいずれかに設定することも可能である。この場合、制御信号S2が表す状態数、及び帰還抵抗切替回路17A及び17Bが切り替える帰還抵抗の抵抗値の数等も、それに合せて設計すればよい。
【0074】
2.3 第2実施形態の効果
第2実施形態によれば、外部入力信号により入力電圧のダイナミックレンジを変更することができるアイソレーションアンプを提供することができる。
【0075】
以下に、第2実施形態のアイソレーションアンプの効果について詳述する。
【0076】
第2実施形態では、外部から供給されるクロック信号のデューティ比を変更することによりクロック信号のデューティ比に基づいて、増幅回路17の増幅率を変更する。これにより、外部入力端子を追加することなく、アイソレーションアンプにおける入力電圧のダイナミックレンジを変更することができる。すなわち、外部から供給されるクロック信号のデューティ比に基づいて、入力電圧のダイナミックレンジを変更できるアイソレーションアンプを提供することができる。
【0077】
例えば、アイソレーションアンプ1に入力される入力電圧が50mV程度で、モータ2に流れる電流が少ないアイドリング状態、あるいは入力電圧が200mV程度で、モータ2に流れる電流が十分に多い通常動作状態においても、それぞれの状態に応じて入力電圧のダイナミックレンジを変更することにより、いずれの状態においても入力電圧を精度よく検出することができる。
【0078】
言い換えると、入力電圧はモータ2に流れる電流に応じて変化する電圧である。アイドリング状態あるいは通常動作状態の各々の状態に応じて、入力電圧のダイナミックレンジを変更することにより、入力電圧を精度よく検出できる。これにより、モータ2に流れる電流を高精度で検出することが可能である。
【0079】
また、例えば、小中容量のモータに対応する入力電圧200mV、あるいは大容量のモータに対応する入力電圧50mVのいずれの容量のモータに用いるかによって、入力電圧のダイナミックレンジを変更することにより、モータの容量が異なる場合でも入力電圧を精度よく検出することができる。
【0080】
3.第3実施形態
以下に、第3実施形態のアイソレーションアンプを備える半導体装置について説明する。第3実施形態は、外部から供給されるクロック信号MCLK1の状態に応じて、ADコンバータ18で判定電圧レベルとして用いる基準電圧を切り替えることにより、入力電圧のダイナミックレンジを変更する。第3実施形態では、第1実施形態と異なる点について主に説明する。説明しないその他の構成、動作、及び効果等は第1実施形態と同様である。
【0081】
3.1 半導体記置の構成
図9は、第3実施形態のアイソレーションアンプを備える半導体装置の構成を示すブロック図である。第3実施形態のアイソレーションアンプでは、帰還抵抗切替回路17Aに換えて抵抗R13を備え、帰還抵抗切替回路17Bに換えて抵抗R14を備える。
【0082】
クロック受信回路13の第1出力端子はクロック状態検出回路14の入力端子に接続され、クロック受信回路13の第2出力端子はクロック状態補正回路15の入力端子に接続される。
【0083】
クロック状態検出回路14の出力端子は、基準電圧生成回路16の制御端子に接続される。基準電圧生成回路16の出力端子は、ADコンバータ18の第2入力端子に接続される。
【0084】
電圧入力端子TIN(+)は、増幅回路17内の入力抵抗R11の第1端に接続される。入力抵抗R11の第2端は、増幅部17Cの第1入力端子及び抵抗R13の第1端に接続される。増幅部17Cの第1出力端子及び抵抗R13の第2端は、ADコンバータ18の第3入力端子に接続される。
【0085】
電圧入力端子TIN(-)は、増幅回路17内の入力抵抗R12の第1端に接続される。入力抵抗R12の第2端は、増幅部17Cの第2入力端子及び抵抗R14の第1端に接続される。増幅部17Cの第2出力端子及び抵抗R14の第2端は、ADコンバータ18の第4入力端子に接続される。
【0086】
3.2 半導体装置の動作
以下に、第3実施形態のアイソレーションアンプを備える半導体装置の動作について説明する。
【0087】
クロック受信回路13は、受け取ったクロック信号MCLK2をクロック状態検出回路14及びクロック状態補正回路15に出力する。クロック状態検出回路14は、クロック信号MCLK2のクロック状態を検出し、そのクロック状態に応じた制御信号S3を基準電圧生成回路33に出力する。基準電圧生成回路33は、制御信号S3に応じて基準電圧VR2の電圧値を切り替える。
【0088】
増幅回路17は、電圧Vshを増幅し、ADコンバータ18に出力する。ADコンバータ18は、基準電圧VR2を用いて電圧VshをデータD1に変換し、エンコーダ19に出力する。具体的には、ADコンバータ18は、基準電圧生成回路33から供給される基準電圧VR2を、電圧VshをデータD1に変換する場合の判定電圧レベルとして用いる。例えば、ADコンバータ18は、電圧Vshが基準電圧VR2以上であるとき、電圧VshをHに変換し、電圧Vshが基準電圧VR2より低いとき、電圧VshをLに変換する。
【0089】
エンコーダ19は、受け取ったデータD1を符号化し、符号化したデータD2をデータ送信回路20に出力する。データ送信回路20は、データD2をアイソレーション部21に送信する。
【0090】
アイソレーション部21は、データ送信回路20から受け取ったデータD2を、データD2に応じたデータD3に変換し、データ受信回路22に出力する。データ受信回路22は、受け取ったデータD3をデコーダ23に出力する。デコーダ23は、データD3をデコードしてデータMDATに変換し、データMDATを出力バッファ24に出力する。出力バッファ24は、データMDATをデータ出力端子TDAからMPU3に出力する。
【0091】
その後、MPU3は、アイソレーションアンプ1から受け取ったデータMDATに基づいて信号MGDを生成し、生成した信号MGDをゲート駆動回路6に送信する。ゲート駆動回路6は、信号MGDに基づいて駆動電圧を生成し、生成した駆動電圧をIGBT4のゲートに出力する。IGBT4は、駆動電圧に応じて、モータ2に供給する電流Ishを調整し、モータ2の動作を制御する。
【0092】
上述したように、第3実施形態では、MPU3から受け取るクロック信号MCLK1のクロック状態に応じて、ADコンバータ18で判定電圧レベルとして用いる基準電圧を切り替えることにより、ADコンバータ18で変換されるデータD1を変更する。これにより、アイソレーションアンプ1における入力電圧のダイナミックレンジを変更可能である。
【0093】
3.3 第3実施形態の効果
第3実施形態によれば、外部入力信号により入力電圧のダイナミックレンジを変更することができるアイソレーションアンプを提供することができる。
【0094】
以下に、第3実施形態のアイソレーションアンプの効果について詳述する。
【0095】
第3実施形態では、外部から供給されるクロック信号の状態を変更することによりクロック信号の状態に基づいて、基準電圧生成回路33が生成する基準電圧VR2の電圧値を変更する。基準電圧VR2を判定電圧レベルとして用いて、電圧Vshをデジタル信号に変換する。これにより、外部入力端子を追加することなく、アイソレーションアンプ1における入力電圧のダイナミックレンジを変更することができる。すなわち、外部から供給されるクロック信号の状態に基づいて、入力電圧のダイナミックレンジを変更できるアイソレーションアンプを提供することができる。
【0096】
例えば、アイソレーションアンプ1に入力される入力電圧が50mV程度で、モータ2に流れる電流が少ないアイドリング状態、あるいは入力電圧が200mV程度で、モータ2に流れる電流が十分に多い通常動作状態においても、それぞれの状態に応じて入力電圧のダイナミックレンジを変更することにより、いずれの状態においても入力電圧を精度よく検出することができる。
【0097】
言い換えると、入力電圧はモータ2に流れる電流に応じて変化する電圧である。アイドリング状態あるいは通常動作状態の各々の状態に応じて、入力電圧のダイナミックレンジを変更することにより、入力電圧を精度よく検出できる。これにより、モータ2に流れる電流を高精度で検出することが可能である。
【0098】
また、例えば、小中容量のモータに対応する入力電圧200mV、あるいは大容量のモータに対応する入力電圧50mVのいずれの容量のモータに用いるかによって、入力電圧のダイナミックレンジを変更することにより、モータの容量が異なる場合でも入力電圧を精度よく検出することができる。
【0099】
4.第4実施形態
以下に、第4実施形態のアイソレーションアンプを備える半導体装置について説明する。第4実施形態では、クロック信号MCLK1及びデータの伝送を、1つのアイソレーション部で時分割多重化信号によって行うことにより、入力電圧のダイナミックレンジを変更する。第4実施形態では、第1実施形態と異なる点について主に説明する。説明しないその他の構成、動作、及び効果等は第1実施形態と同様である。
【0100】
4.1 半導体記置の構成
図10は、第4実施形態のアイソレーションアンプを備える半導体装置の構成を示すブロック図である。第4実施形態のアイソレーションアンプでは、データ送受信回路34、35、及び1つのアイソレーション部21を備え、このアイソレーション部21がクロック信号MCLK1及びデータの伝送を行う。
【0101】
クロック送信回路11の出力端子はデータ送受信回路34の第1端子に接続され、データ送受信回路34の第2端子はアイソレーション部21の第1端子に接続される。アイソレーション部21の第2端子はデータ送受信回路35の第1端子に接続され、データ送受信回路35の第2端子はクロック受信回路13の入力端子に接続される。
【0102】
エンコーダ19の出力端子はデータ送受信回路35の第3端子に接続され、データ送受信回路35の第1端子は、アイソレーション部21の第2端子に接続され、アイソレーション部21の第1端子はデータ送受信回路34の第2端子に接続される。データ送受信回路34の第3端子はデコーダ23の入力端子に接続される。
【0103】
4.2 半導体装置の動作
以下に、第4実施形態のアイソレーションアンプを備える半導体装置の動作について説明する。
【0104】
クロック送信回路11は、クロック信号MCLK1をデータ送受信回路34に送信する。データ送受信回路34は、クロック信号MCLK1を時分割多重化信号に変換して、アイソレーション部21に送信する。アイソレーション部21は、データ送受信回路34から時分割多重化信号を受け取り、時分割多重化信号に応じた信号に変換し、データ送受信回路35に出力する。データ送受信回路35は、アイソレーション部21から受け取った信号をクロック信号MCLK2に変換し、クロック受信回路13に出力する。
【0105】
クロック受信回路13は、受け取ったクロック信号MCLK2をクロック状態検出回路14及びクロック状態補正回路15に出力する。その後の動作は、前述した第1実施形態と同様である。
【0106】
また、エンコーダ19は、ADコンバータ18から受け取ったデータD1を符号化し、符号化したデータD2をデータ送受信回路35に出力する。データ送受信回路35は、データD2を時分割多重化信号に変換して、アイソレーション部21に送信する。アイソレーション部21は、データ送受信回路34から時分割多重化信号を受け取り、この時分割多重化信号に応じた信号に変換し、データ送受信回路34に出力する。データ送受信回路34は、アイソレーション部21から受け取った信号をデータD3に変換し、デコーダ23に出力する。
【0107】
デコーダ23は、データD3をデコードしてデータMDATに変換し、データMDATを出力バッファ24に出力する。出力バッファ24は、データMDATをデータ出力端子TDAからMPU3に出力する。その後の動作は、前述した第1実施形態と同様である。
【0108】
上述したように、第4実施形態では、MPU3から受け取るクロック信号MCLK1のクロック状態に応じて増幅回路17の増幅率を変更でき、これにより、アイソレーションアンプ1における入力電圧のダイナミックレンジを変更可能である。
【0109】
なお、アイソレーション部21は、例えば、磁気結合あるいは容量結合による伝送機能を有し、データ送受信回路34とデータ送受信回路35との間で双方向に信号の伝送が可能である。
【0110】
4.3 第4実施形態の効果
第4実施形態によれば、外部入力信号により入力電圧のダイナミックレンジを変更することができるアイソレーションアンプを提供することができる。
【0111】
また、第4実施形態では、アイソレーション部を1つにできるため、アイソレーションアンプ1の構成を簡素化することができる。その他の効果は、前述した第1実施形態と同様である。
【0112】
5.その他変形例等
前述した実施形態は、以下のような変形の構成を有していてもよい。
【0113】
第1実施形態では、入力抵抗R11、R12を固定化し、クロック状態検出回路14からの制御信号S1により帰還抵抗切替回路17A、17Bの帰還抵抗の抵抗値を切り替えたが、逆に、帰還抵抗の抵抗値を固定化し、クロック状態検出回路14からの制御信号S1により入力抵抗R11、R12の抵抗値を切り替える構成としてもよい。
【0114】
また、第1実施形態では、クロック信号のデューティ比を2つの状態AまたはBで検出し、各状態に応じて帰還抵抗の抵抗値を切り替えたが、3つ以上の状態を検出し、それぞれの状態に応じて帰還抵抗の抵抗値を切り替えてもよい。
【0115】
また、第1-3実施形態では、増幅回路17を含む1次側回路においてクロック信号のクロック状態を検出したが、出力バッファ24を含む2次側回路においてクロック信号のクロック状態を検出して1次側回路に伝送するようにしてもよい。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0117】
1…アイソレーションアンプ、11…クロック送信回路、12…アイソレーション部、13…クロック受信回路、14…クロック状態検出回路、15…クロック状態補正回路、16…基準電圧生成回路、17…増幅回路、17A…帰還抵抗切替回路、17B…帰還抵抗切替回路、17C…増幅部、18…ADコンバータ、19…エンコーダ、20…データ送信回路、21…アイソレーション部、22…データ受信回路、23…デコーダ、24…出力バッファ、31…クロックデューティ検出回路、32…クロックデューティ補正回路、33…基準電圧生成回路、34…データ送受信回路、35…データ送受信回路、211…ドライバ、212…レシーバ、213…発光ダイオード、214…フォトダイオード、215…ドライバ、216…レシーバ、217…コイル、218…コイル、219…ドライバ、220…レシーバ、221…コンデンサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10