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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】ディスク装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/60 20060101AFI20230904BHJP
   G11B 21/21 20060101ALI20230904BHJP
   G11B 5/48 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
G11B5/60 P
G11B21/21 D
G11B5/48 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020157786
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022051354
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野島 雄亮
【審査官】中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-145514(JP,A)
【文献】特開2012-084211(JP,A)
【文献】特開2010-086649(JP,A)
【文献】特開2018-170066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/60
G11B 21/21
G11B 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録層を有するディスク状の記録媒体と、
前記記録媒体に対して情報を読み書きするよう構成された磁気ヘッド、を含む少なくとも一つの電子部品と、
前記少なくとも一つの電子部品が搭載される表面と、前記表面に沿って延びる第1の配線と、前記表面に沿って延びる第2の配線と、を有し、前記第1の配線と前記第2の配線との間で前記表面に溝が設けられた、可撓性のフレキシャと、
前記表面と前記少なくとも一つの電子部品のうち一つとの間に位置して当該一つを前記表面に接着する接着部を有し、前記溝の内面に接触する、接着剤と、
を具備し、
前記フレキシャは、前記電子部品から離間した位置に設けられるとともに前記第1の配線と前記第2の配線とが並んで延びる第1の部分と、前記第1の部分よりも前記接着部の近くに位置するとともに前記第1の配線と前記第2の配線との間の距離が前記第1の部分よりも広い第2の部分と、を有する、
ディスク装置。
【請求項2】
前記第2の部分において、前記第1の配線に、前記第2の配線から遠ざかるように窪む凹部が設けられる、請求項1のディスク装置。
【請求項3】
前記フレキシャは、前記第2の部分よりも前記接着部の近くに位置するとともに前記第1の配線と前記第2の配線との間の距離が前記第2の部分よりも狭い第3の部分を有する、
請求項1のディスク装置。
【請求項4】
前記第2の部分は、前記第3の部分に接続されるとともに、前記第1の配線と前記第2の配線との間の距離が前記第3の部分から遠ざかるにしたがって広がる、拡大部を有する、
請求項3のディスク装置。
【請求項5】
前記第1の配線は、前記第2の部分において、直線状に延びる第1の直線部と、直線状に延びる第2の直線部と、前記第1の直線部と前記第2の直線部とを接続するとともに円弧状に延びる第1の曲部と、を有し、
前記第2の配線は、前記第2の部分において、円弧状に延びるとともに前記第1の曲部よりも曲率半径が大きい第2の曲部を有する、
請求項3又は請求項4のディスク装置。
【請求項6】
前記第2の部分は、前記少なくとも一つの電子部品のうち前記一つに隣接する、請求項1のディスク装置。
【請求項7】
前記フレキシャは、前記表面に設けられた端子を有し、
前記接着剤は、導電性であって、前記少なくとも一つの電子部品のうち前記一つと前記端子とを電気的に接続する、
請求項1乃至請求項6のいずれか一つのディスク装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つの電子部品は、第1の方向と、前記第1の方向の反対の第2の方向と、に伸縮可能な圧電素子を含み、
前記接着剤は、前記圧電素子を前記表面に接着する、
請求項1乃至請求項7のうちいずれか一つのディスク装置。
【請求項9】
前記フレキシャは、前記圧電素子から離間した基部と、前記基部から前記第2の方向に突出するとともに前記第1の方向における前記圧電素子の端部に接続された第1の接続部と、前記基部から前記第1の方向に突出するとともに前記第2の方向における前記圧電素子の端部に接続された第2の接続部と、を有し、
前記第1の配線は、前記基部に設けられた第1の延部と、前記第1の延部から突出して前記第1の接続部に設けられ、前記第1の延部よりも太い、第2の延部と、を有し、前記圧電素子から離間し、
前記第2の配線は、前記圧電素子に接続された、
請求項8のディスク装置。
【請求項10】
前記基部は、前記第1の接続部が突出する第1の基部と、前記第2の接続部が突出する第2の基部と、前記第1の基部と前記第2の基部とを接続する中間部と、を有し、
前記第2の部分は、前記第1の接続部、前記第1の基部、及び前記中間部のうち少なくとも一つに設けられる、
請求項9のディスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブのようなディスク装置は、磁気ディスクと、当該磁気ディスクに対して情報を読み書きする磁気ヘッドとを有する。磁気ヘッドは、可撓性のフレキシャに搭載される。例えば、磁気ヘッドや、磁気ヘッドを移動させるアクチュエータや、磁気ディスクを加熱するレーザ素子のような種々の電子部品が、接着剤によりフレキシャに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-135906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フレキシャにおいて、複数の配線パターンが互いに並んで延びている。配線パターンが設けられることで、フレキシャの表面に隆起が形成される。このため、二つの配線パターンの間で、フレキシャの表面に窪んだ溝が形成されることがある。接着剤は、例えば毛細管現象により、当該溝に沿って予想外の範囲まで流出する虞がある。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、接着剤が広範囲に流出することを抑制可能なディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態に係るディスク装置は、ディスク状の記録媒体と、少なくとも一つの電子部品と、可撓性のフレキシャと、接着剤と、を備える。前記記録媒体は、記録層を有する。前記電子部品は、前記記録媒体に対して情報を読み書きするよう構成された磁気ヘッド、を含む。前記フレキシャは、前記少なくとも一つの電子部品が搭載される表面と、前記表面に沿って延びる第1の配線と、前記表面に沿って延びる第2の配線と、を有し、前記第1の配線と前記第2の配線との間で前記表面に溝が設けられる。前記接着剤は、前記表面と前記少なくとも一つの電子部品のうち一つとの間に位置して当該一つを前記表面に接着する接着部を有し、前記溝の内面に接触する。前記フレキシャは、前記電子部品から離間した位置に設けられるとともに前記第1の配線と前記第2の配線とが並んで延びる第1の部分と、前記第1の部分よりも前記接着部の近くに位置するとともに前記第1の配線と前記第2の配線との間の距離が前記第1の部分よりも広い第2の部分と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係るハードディスクドライブ(HDD)を示す例示的な斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態のサスペンションの一部を示す例示的な斜視図である。
図3図3は、第1の実施形態のサスペンションの一部を示す例示的な平面図である。
図4図4は、第1の実施形態のジンバル部の一部を示す例示的な平面図である。
図5図5は、第2の実施形態に係るジンバル部の一部を示す例示的な平面図である。
図6図6は、第3の実施形態に係るジンバル部の一部を示す例示的な平面図である。
図7図7は、第4の実施形態に係るジンバル部の一部を示す例示的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、図1乃至図4を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0009】
図1は、第1の実施形態に係るハードディスクドライブ(HDD)10を示す例示的な斜視図である。HDD10は、ディスク装置の一例であり、電子機器、記憶装置、外部記憶装置、又は磁気ディスク装置とも称され得る。
【0010】
HDD10は、筐体11と、複数の磁気ディスク12と、スピンドルモータ13と、複数の磁気ヘッド14と、アクチュエータアセンブリ15と、ボイスコイルモータ(VCM)16と、ランプロード機構17と、フレキシブルプリント配線板(FPC)18と、プリント配線板(PCB)19とを有する。磁気ディスク12は、記録媒体の一例である。磁気ヘッド14は、スライダとも称され得る。
【0011】
筐体11は、ベース21と、内カバー22と、外カバー23とを有する。ベース21は、有底の容器であり、底壁25と側壁26とを有する。底壁25は、略矩形(四角形)の板状に形成されている。側壁26は、底壁25の縁から突出している。底壁25と側壁26とは、例えば、アルミニウム合金のような金属材料によって作られ、一体に形成されている。
【0012】
内カバー22及び外カバー23は、例えば、アルミニウム合金のような金属材料によって作られる。内カバー22は、例えば、ネジによって側壁26の端部に取り付けられている。外カバー23は、内カバー22を覆うとともに、例えば溶接によって側壁26の端部に気密に固定されている。
【0013】
筐体11の内部は密封されている。筐体11の内部に、磁気ディスク12、スピンドルモータ13、磁気ヘッド14、アクチュエータアセンブリ15、VCM16、ランプロード機構17、及びFPC18が配置されている。
【0014】
内カバー22に通気口22aが設けられる。さらに、外カバー23に、通気口23aが設けられる。ベース21の内部に部品が取り付けられ、ベース21に内カバー22及び外カバー23が取り付けられた後、通気口22a,23aから筐体11の内部の空気が抜かれる。さらに、筐体11の内部に、空気とは異なる気体が充填される。
【0015】
筐体11の内部に充填される気体は、例えば、空気よりも密度が低い低密度ガスや、反応性の低い不活性ガス等である。例えば、ヘリウムが筐体11の内部に充填される。なお、他の流体が筐体11の内部に充填されても良い。また、筐体11の内部は、真空、真空に近い低圧、又は大気圧よりも低い陰圧に保たれても良い。
【0016】
外カバー23の通気口23aは、シール28により塞がれる。シール28は、通気口23aを気密に密封し、筐体11の内部に充填された流体が通気口23aから漏れることを防ぐ。
【0017】
磁気ディスク12は、例えば、上面及び下面のような表面12aに設けられた磁気記録層を有するディスク状の記録媒体である。磁気ディスク12の直径は、例えば、3.5インチであるが、この例に限られない。
【0018】
スピンドルモータ13は、表面12aが向く方向に間隔を介して重ねられた複数の磁気ディスク12を支持するとともに回転させる。複数の磁気ディスク12は、例えば、クランプバネによってスピンドルモータ13のハブに保持される。
【0019】
磁気ヘッド14は、磁気ディスク12の記録層に対して、情報の記録及び再生を行う。言い換えると、磁気ヘッド14は、磁気ディスク12に対して情報を読み書きする。磁気ヘッド14は、アクチュエータアセンブリ15に搭載される。
【0020】
アクチュエータアセンブリ15は、磁気ディスク12から離間した位置に配置された支持軸31に、回転可能に支持される。VCM16は、アクチュエータアセンブリ15を回転させ、所望の位置に配置する。VCM16によるアクチュエータアセンブリ15の回転により磁気ヘッド14が磁気ディスク12の最外周に移動すると、ランプロード機構17は、磁気ディスク12から離間したアンロード位置に磁気ヘッド14を保持する。
【0021】
アクチュエータアセンブリ15は、アクチュエータブロック35と、複数のアーム36と、複数のヘッドサスペンションアセンブリ(サスペンション)37とを有する。サスペンション37は、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)とも称され得る。
【0022】
アクチュエータブロック35は、例えば、軸受を介して、支持軸31に回転可能に支持される。複数のアーム36は、アクチュエータブロック35から、支持軸31と略直交する方向に突出している。なお、アクチュエータアセンブリ15が分割され、複数のアクチュエータブロック35のそれぞれからアーム36が突出しても良い。
【0023】
複数のアーム36は、支持軸31が延びる方向に、間隔を介して配置される。アーム36はそれぞれ、隣り合う磁気ディスク12の間に進入可能な板状に形成される。複数のアーム36は、略平行に延びている。
【0024】
アクチュエータブロック35及び複数のアーム36は、例えばアルミニウムにより一体に形成される。なお、アクチュエータブロック35及びアーム36の材料は、この例に限られない。
【0025】
アクチュエータブロック35からアーム36の反対側に突出した突起に、VCM16のボイスコイルが設けられる。VCM16は、一対のヨークと、当該ヨークの間に配置されたボイスコイルと、ヨークに設けられた磁石と、を有する。
【0026】
上述のように、VCM16は、アクチュエータアセンブリ15を回転させる。言い換えると、VCM16は、アクチュエータブロック35、アーム36、及びサスペンション37を一体的に回転(移動)させる。
【0027】
サスペンション37は、対応するアーム36の先端部分に取り付けられ、当該アーム36から突出する。これにより、複数のサスペンション37は、支持軸31が延びる方向に、間隔を介して配置される。
【0028】
図2は、第1の実施形態のサスペンション37の一部を示す例示的な斜視図である。図2に示されるように、本明細書において、便宜上、第1の方向D1と、第2の方向D2とが定義される。第1の方向D1は、サスペンション37がアーム36から延びる方向である。なお、アーム36も、アクチュエータブロック35から第1の方向D1に延びている。第2の方向D2は、第1の方向D1の反対方向である。第1の方向D1及び第2の方向D2は、アーム36及びサスペンション37の長手方向である。
【0029】
複数のサスペンション37はそれぞれ、ベースプレート41と、ロードビーム42と、フレキシャ43とを有する。さらに、サスペンション37の先端部37aに磁気ヘッド14が配置される。先端部37aは、第1の方向D1におけるサスペンション37の端部である。なお、第2の方向D2におけるサスペンション37の端部は、アーム36に取り付けられている。また、本明細書において、端部は、要素の端のみならず、当該端の近傍の部分を含む。
【0030】
ベースプレート41及びロードビーム42は、例えば、ステンレスにより作られる。なお、ベースプレート41及びロードビーム42の材料は、この例に限られない。ベースプレート41は、板状に形成され、アーム36の先端部に取り付けられる。ロードビーム42は、ベースプレート41よりも薄い板状に形成される。ロードビーム42は、ベースプレート41の先端部に取り付けられ、ベースプレート41から突出する。
【0031】
フレキシャ43は、細長い帯状に形成される。なお、フレキシャ43の形状は、この例に限られない。フレキシャ43は、ステンレス等の金属板(裏打ち層)と、金属板上に形成された絶縁層と、絶縁層上に形成され複数の配線(配線パターン)を構成する導電層と、導電層を覆う保護層(絶縁層)と、を有する可撓性の積層板である。
【0032】
第1の方向D1におけるフレキシャ43の端部に、ロードビーム42の上に位置するとともに変位可能なジンバル部(弾性支持部)45が設けられる。ジンバル部45は、サスペンション37の先端部37aに設けられる。磁気ヘッド14は、フレキシャ43のジンバル部45に搭載される。第2の方向D2におけるフレキシャ43の端部は、FPC18に接続される。これにより、FPC18は、フレキシャ43の配線を介して、磁気ヘッド14に電気的に接続される。
【0033】
サスペンション37に、一対の第1のマイクロアクチュエータ(MA)47と、一対の第2のマイクロアクチュエータ(MA)48とが搭載される。第1のMA47及び第2のMA48は、圧電素子である。第1のMA47及び第2のMA48は、例えば、バルク型のピエゾ素子である。なお、第1のMA47及び第2のMA48は、バルク積層型又は薄膜型のピエゾ素子であっても良い。第1のMA47及び第2のMA48は、この例に限られない。
【0034】
一対の第1のMA47はそれぞれ、例えば、ベースプレート41とロードビーム42とを接続する。第1の方向D1における第1のMA47の端部はロードビーム42に取り付けら、第2の方向D2における第1のMA47の端部はベースプレート41に取り付けられる。なお、第1のMA47は、この例に限られない。一対の第1のMA47は、第1の方向D1及び第2の方向D2と直交し且つ磁気ディスク12の表面12aに沿う方向(幅方向)に、互いに離間して配置される。
【0035】
第1のMA47は、印加される電圧に応じて、第1の方向D1と第2の方向D2とに伸縮可能である。一対の第1のMA47が個別に伸縮することで、サスペンション37のうち第1のMA47よりも先端部37aに近い部分は、幅方向に弾性的に曲がる。これにより、第1のMA47は、サスペンション37の先端部37aに搭載された磁気ヘッド14を移動させる。
【0036】
一対の第2のMA48は、サスペンション37の先端部37aの近傍に配置される。例えば、第2のMA48は、ジンバル部45に搭載される。一対の第2のMA48は、幅方向に互いに離間して配置される。
【0037】
第2のMA48は、印加される電圧に応じて、第1の方向D1と第2の方向D2とに伸縮可能である。一対の第2のMA48が個別に伸縮することで、サスペンション37の先端部37aは、幅方向に弾性的に曲がる。これにより、第2のMA48は、サスペンション37の先端部37aに搭載された磁気ヘッド14を移動させる。
【0038】
上述のように、本実施形態のHDD10は、VCM16と、第1のMA47と、第2のMA48とによって磁気ヘッド14を移動させる、いわゆる三段アクチュエータ(Triple Stage Actuator:TSA)方式で磁気ヘッド14の位置を調整する。なお、HDD10は、この例に限られず、VCM16と第1のMA47とによって磁気ヘッド14を移動させる、いわゆる二段アクチュエータ(Dual Stage Actuator:DSA)方式で磁気ヘッド14の位置を調整しても良い。
【0039】
図1に示すPCB19は、例えば、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、多層基板又はビルドアップ基板等である。PCB19は、筐体11の外部に配置され、ベース21の底壁25の外部に取り付けられる。PCB19は、例えば、複数のネジによって底壁25に取り付けられる。
【0040】
PCB19には、例えば、FPC18に接続される中継コネクタ、ホストコンピュータに接続されるインターフェース(I/F)コネクタ、及びHDD10の動作を制御するコントローラのような、種々の電子部品が搭載される。中継コネクタは、底壁25に設けられたコネクタを介して、FPC18に電気的に接続される。
【0041】
図3は、第1の実施形態のサスペンション37の一部を示す例示的な平面図である。上述のように、フレキシャ43は、金属板、絶縁層、導電層、及び保護層を有する積層板である。当該フレキシャ43は、図3に示すように、表面60と、第1の配線61と、第2の配線62とを有する。
【0042】
表面60は、おおよそ平坦に形成される。なお、表面60には、微小な凹凸が設けられ得る。磁気ヘッド14が磁気ディスク12上に位置するとき、表面60は、磁気ディスク12の表面12aに向く。表面60は、例えば、保護層により形成され、絶縁性を有する。
【0043】
磁気ヘッド14は、表面60に搭載される。例えば、表面60に、複数のパッド(ランド)が設けられる。当該パッドは、表面60を形成する保護層に設けられた孔によって露出される。磁気ヘッド14の端子が、例えば半田により、表面60のパッドに接続される。さらに、磁気ヘッド14は、例えば接着剤により、表面60に固定される。
【0044】
図4は、第1の実施形態のジンバル部45の一部を示す例示的な平面図である。図4に示すように、フレキシャ43は、第1の端子65と、第2の端子66とをさらに有する。第1の端子65は、端子の一例である。第1の端子65及び第2の端子66は、表面60に設けられる。第1の端子65及び第2の端子66は、例えば、導電層のパッドであり、表面60を形成する保護層に設けられた孔によって露出される。
【0045】
第1の端子65は、第2の端子66から第1の方向D1に離間している。第1の端子65に、第2のMA48の一方の端子48aが電気的に接続される。端子48aは、第1の方向D1における第2のMA48の端部に設けられる。端子48aは、例えば、グランドに電気的に接続される。
【0046】
第2の端子66に、第2のMA48の他方の端子48bが電気的に接続される。端子48bは、第2の方向D2における第2のMA48の端部に設けられる。これにより、第2のMA48が表面60に搭載される。端子48bには、第2のMA48を制御するための電圧が印加される。第2のMA48は、第1の方向D1及び第2の方向D2に延びている。
【0047】
表面60には、磁気ヘッド14及び第2のMA48を含む、複数の電子部品Cが搭載される。なお、第2のMA48が省略される場合、磁気ヘッド14である一つの電子部品Cが、表面60に搭載されても良い。すなわち、少なくとも一つの電子部品Cが表面60に搭載される。電子部品Cは、磁気ヘッド14及び第2のMA48に限られず、例えば、熱アシスト磁気記録方式(HAMR)に用いられるレーザ素子を含んでも良い。
【0048】
第1の配線61及び第2の配線62は、フレキシャ43の絶縁層と保護層との間の導電層の配線パターンである。このため、第1の配線61及び第2の配線62は、表面60に沿って延びる。なお、フレキシャ43の導電層は、第1の配線61及び第2の配線62のみならず、他の複数の配線をさらに有する。
【0049】
第1の配線61、第2の配線62、及び他の配線は、フレキシャ43の保護層に覆われている。なお、図3及び図4は、説明のため、第1の配線61、第2の配線62、及び他の配線を実線で示す。
【0050】
略平坦な金属板及び絶縁層の上に、第1の配線61、第2の配線62、及び他の配線を含む導電層が設けられる。さらに、保護層が導電層を覆い、フレキシャ43の表面60を形成する。このため、表面60は、第1の配線61、第2の配線62、及び他の配線が設けられた部分において隆起する。このように、表面60は微小な凹凸を有する。
【0051】
第1の配線61は、例えば、磁気ヘッド14と、FPC18に接続されるフレキシャ43の端子と、を接続する。第1の配線61は、第2のMA48から離間している。第2の配線62は、第1の端子65と、FPC18に接続されるフレキシャ43の端子と、を接続する。このため、第2の配線62は、第2のMA48に接続される。なお、第1の配線61及び第2の配線62は、この例に限られない。
【0052】
第2のMA48が搭載されるフレキシャ43のジンバル部45は、周部70と、第1の接続部71と、第2の接続部72とを有する。周部70は、基部の一例である。周部70は、第1の帯部75と、第2の帯部76と、第3の帯部77と、第4の帯部78とを有する。第2の帯部76は、第1の基部の一例である。第3の帯部77は、第2の基部の一例である。第4の帯部78は、中間部の一例である。
【0053】
第1の帯部75は、第2のMA48から第1の方向D1に離間し、第1の方向D1(又は第2の方向D2)に延びている。第2の帯部76は、第2の方向D2における第1の帯部75の端部から、第3の方向D3に延びている。第3の方向D3は、第1の方向D1及び第2の方向D2と直交する方向であり、且つ表面60に沿う方向である。
【0054】
第3の帯部77は、第2のMA48から第2の方向D2に離間している。第4の帯部78は、第2のMA48から第3の方向D3に離間した位置で、第2のMA48に沿って第1の方向D1(又は第2の方向D2)に延びている。第4の帯部78は、第3の方向D3における第2の帯部76の端部と、第3の方向D3における第3の帯部77の端部と、に接続される。言い換えると、第4の帯部78は、第2の帯部76と第3の帯部77とを接続する。
【0055】
第1の帯部75、第2の帯部76、第3の帯部77、及び第4の帯部78は、第2のMA48から離間しており、第2のMA48を三方から囲む。このように、周部70は、略C字状に形成される。第2のMA48は、周部70から離間した位置で、当該周部70に囲まれている。
【0056】
第1の接続部71は、第2の帯部76から第2の方向D2に突出している。第1の接続部71は、第3の帯部77及び第4の帯部78から離間している。第1の接続部71において、表面60に第1の端子65が設けられる。第1の接続部71の第1の端子65に、第2のMA48の端子48aが接続される。すなわち、第1の接続部71に、第1の方向D1における第2のMA48の端部の端子48aが接続される。
【0057】
第2の接続部72は、第3の帯部77から第1の方向D1に突出している。第2の接続部72は、第2の帯部76及び第4の帯部78から離間している。第2の接続部72において、表面60に第2の端子66が設けられる。第2の接続部72の第2の端子66に、第2のMA48の端子48bが接続される。すなわち、第2の接続部72に、第2の方向D2における第2のMA48の端部の端子48bが接続される。
【0058】
第1の配線61は、第1の延部81と、第2の延部82とを有する。第1の延部81は、周部70に設けられる。例えば、第1の延部81は、第1の帯部75、第2の帯部76、第3の帯部77、及び第4の帯部78に沿って延びている。
【0059】
第2の延部82は、第1の延部81から突出して、第1の接続部71に設けられる。なお、第2の延部82の一部が、周部70に設けられても良い。例えば、第2の延部82は、第2の帯部76に設けられた第1の延部81から、第2の方向D2に突出している。第2の延部82は、第1の延部81から、第1の端子65の近傍まで延びている。なお、第2の延部82は、第1の端子65から離間している。
【0060】
第2の延部82は、第1の延部81よりも太い。言い換えると、第2の延部82の幅は、第1の延部81の幅よりも広い。第1の延部81の幅は、第1の延部81が延びる方向と直交する方向であって、且つ表面60に沿う方向における、第1の延部81の長さである。本実施形態において、第1の延部81の幅は略一定である。なお、第1の延部81の幅は、変化しても良い。
【0061】
第2の延部82の幅は、第2の延部82が延びる方向と直交する方向であって、且つ表面60に沿う方向における、第2の延部82の長さである。本実施形態において、第2の延部82の幅は、第3の方向D3における第2の延部82の長さである。
【0062】
上述のように、第2の配線62は、第1の端子65に接続される。このため、第2の配線62は、第1の接続部71と、周部70の第2の帯部76、第3の帯部77、及び第4の帯部78と、に沿って延びている。
【0063】
第1の配線61と第2の配線62とは、並んで延びている。言い換えると、第1の配線61と第2の配線62とは、間隔を介して隣り合っている。フレキシャ43は、第1の配線61と第2の配線62との間の距離が互いに異なる第1の部分91と、第2の部分92と、第3の部分93とを有する。
【0064】
第1の部分91は、第2のMA48から離間した位置に設けられる。本実施形態では、第1の部分91は、第2の帯部76、第3の帯部77、及び第4の帯部78に設けられる。第1の部分91において、第1の配線61と第2の配線62とは、略一定の距離L1を介して並んで延びている。なお、第1の部分91における第1の配線61と第2の配線62との間の距離L1は、変化しても良い。
【0065】
第2の部分92は、第1の部分91と第2のMA48との間に位置する。本実施形態では、第2の部分92は、第1の接続部71と第2の帯部76とに設けられる。なお、第2の部分92は、第2の配線62の経路において、第1の部分91と第2のMA48との間に位置する。このため、第2の部分92の空間的な位置が、第1の部分91と第2のMA48との間に位置していなくても良い。
【0066】
第2の部分92では、第1の部分91よりも第1の配線61と第2の配線62との間の距離が広い。すなわち、第2の部分92における第1の配線61と第2の配線62との間の距離L2は、第1の部分91における第1の配線61と第2の配線62との間の距離L1よりも広い。
【0067】
第2の部分92における第1の配線61と第2の配線62との間の距離L2は、変化しても良い。この場合、第2の部分92における第1の配線61と第2の配線62との間の距離L2の最大値は、第1の部分91における第1の配線61と第2の配線62との間の距離L1の最小値よりも大きい。
【0068】
第3の部分93は、第2の部分92と第2のMA48との間に位置する。本実施形態では、第3の部分93は、第1の接続部71に設けられる。なお、第3の部分93は、第2の配線62の経路において、第2の部分92と第2のMA48との間に位置する。このため、第3の部分93の空間的な位置が、第2の部分92と第2のMA48との間に位置していなくても良い。
【0069】
第3の部分93では、第2の部分92よりも第1の配線61と第2の配線62との間の距離が狭い。すなわち、第3の部分93における第1の配線61と第2の配線62との間の距離L3は、第2の部分92における第1の配線61と第2の配線62との間の距離L2よりも狭い。本実施形態において、距離L3は、距離L1と略等しい。
【0070】
第3の部分93における第1の配線61と第2の配線62との間の距離L3は、変化しても良い。この場合、第3の部分93における第1の配線61と第2の配線62との間の距離L3の最小値は、第2の部分92における第1の配線61と第2の配線62との間の距離L2の最大値よりも小さい。
【0071】
本実施形態では、第2の部分92において、第1の配線61の第2の延部82に凹部82aが設けられる。凹部82aは、第2の配線62に向く第2の延部82の縁82bから、第2の配線62から遠ざかる方向に窪む。凹部82aが形成されることで、第2の部分92における第1の配線61と第2の配線62との間の距離L2が広くなる。なお、凹部82aは、第1の配線61の他の部分に設けられても良い。
【0072】
図4に示すように、サスペンション37は、第1の接着剤101と、第2の接着剤102とをさらに有する。第1の接着剤101は、接着剤の一例である。図4は、説明のため、第1の接着剤101及び第2の接着剤102を二点鎖線で示す。
【0073】
本実施形態において、第1の接着剤101及び第2の接着剤102は、導電性の接着剤である。例えば、第1の接着剤101及び第2の接着剤102は、銀のような導電体のフィラーが混ぜられたエポキシ系接着剤である。
【0074】
第1の接着剤101は、第2のMA48の端子48aを、第1の接続部71の表面60及び第1の端子65に接着する。これにより、第1の接着剤101は、第2のMA48の端子48aと、第1の端子65とを、電気的に接続する。
【0075】
第2の接着剤102は、第2のMA48の端子48bを、第2の接続部72の表面60及び第2の端子66に接着する。これにより、第2の接着剤102は、第2のMA48の端子48bと、第2の端子66とを、電気的に接続する。
【0076】
第1の接着剤101及び第2の接着剤102は、絶縁性の接着剤であっても良い。この場合、第2のMA48と、第1の端子65及び第2の端子66とは、例えば、接触により直接的に、又は半田のような導電体を介して間接的に、電気的に接続される。
【0077】
第1の接着剤101は、接着部101aと、外在部101bとを有する。接着部101aは、第1の接着剤101のうち、第2のMA48を表面60に接着する部分である。接着部101aは、第2のMA48と表面60との間に位置する。なお、接着部101aは、第1の接着剤101のうち、第2のMA48の縁と表面60とに付着する部分を含んでも良い。
【0078】
外在部101bは、接着部101aから、表面60に沿って広がった部分である。外在部101bは、第2のMA48から離間している。外在部101bは、第1の配線61の一部及び第2の配線62の一部を覆う。例えば、外在部101bは、第1の接続部71において、第1の配線61の第2の延部82と、第2の配線62とを覆う。なお、第1の配線61及び第2の配線62と、第1の接着剤101との間には、フレキシャ43の保護層が介在し、短絡が発生することを抑制する。
【0079】
外在部101bに限らず、接着部101aが第1の配線61の一部及び第2の配線62の一部を覆っても良い。また、第1の接着剤101が外在部101bを有さなくても良い。外在部101bは、例えば、製造時に第1の接着剤101に第2のMA48が押し付けられることにより形成される。外在部101bは、第2のMA48が第1の接着剤101を押す圧力や、第1の接着剤101の体積によっては、形成されないことがある。
【0080】
第2の部分92は、第1の部分91よりも、接着部101aの近くに位置する。また、第3の部分93は、第2の部分92よりも、接着部101aの近くに位置する。接着部101aは、第3の部分93を覆っても良い。
【0081】
上述のように、表面60は、第1の配線61が設けられた部分と、第2の配線62が設けられた部分とにおいて隆起する。このため、第1の配線61と第2の配線62との間において、表面60に窪んだ溝(凹部)60aが設けられる。
【0082】
溝60aは、第1の配線61及び第2の配線62に沿って、第1の接続部71から、第2の帯部76、第3の帯部77、及び第4の帯部78へ延びている。すなわち、溝60aは、第2のMA48の近傍から延びている。
【0083】
第1の接着剤101の外在部101bは、第1の配線61及び第2の配線62を覆うことで、溝60aの一部を覆い、溝60aの内面60bに接触する。内面60bは、溝60aを形成する表面60の一部である。なお、第1の接着剤101は、第1の配線61及び第2の配線62のうち少なくとも一方を覆わずに溝60aの内面60bに接触しても良い。第1の接着剤101は、HDD10の製造工程において硬化される前は、液状である。このため、液状の第1の接着剤101の一部は、毛細管現象により溝60aを伝って接着部101a及び外在部101bから流出する虞がある。
【0084】
例えば、第1の接着剤101の一部は、第3の部分93における第1の配線61と第2の配線62との間の溝60aを伝って、接着部101a及び外在部101bから流出する。しかし、第2の部分92において、第1の配線61と第2の配線62との間の距離は広がる。言い換えると、第2の部分92において、溝60aの幅が広がる。毛細管現象により液体が伝わる距離は、毛細管の径(幅)に反比例する。このため、第2の部分92は、第1の接着剤101が溝60aをさらに伝わって行くことを抑制し、第1の接着剤101を留める。言い換えると、第2の部分92は、余剰な第1の接着剤101を吸収する。
【0085】
上述のように、第2の部分92は、第1の部分91よりも第1の接着剤101の接着部101aの近くに位置する。このため、溝60aを伝って接着部101a及び外在部101bから流出する第1の接着剤101は、第1の部分91に到着する前に、第2の部分92に留まる。
【0086】
第1の接着剤101は、硬化することで、フレキシャ43のうち当該第1の接着剤101が付着する部分の剛性を増大させる。フレキシャ43の剛性の変化は、ジンバル部45の柔軟性を低下させ、ジンバル部45に搭載される磁気ヘッド14の姿勢制御を妨げる虞がある。しかし、本実施形態では、第2の部分92は、第1の接着剤101を留めるため、第1の接着剤101によるフレキシャ43の剛性の変化を低減する。
【0087】
また、溝60aを伝って流出した第1の接着剤101の欠片が、表面60から剥落する可能性がある。第1の接着剤101が溝60aを伝って流出した範囲が広いほど、第1の接着剤101の欠片が剥落する可能性が高まる。しかし、実施形態では、第2の部分92は、第1の接着剤101を留めるため、第1の接着剤101の欠片が剥落する可能性を低減する。
【0088】
以上説明された第1の実施形態に係るHDD10において、フレキシャ43の表面60は、第1の配線61が設けられた部分及び第2の配線62が設けられた部分において隆起する。このため、第1の配線61と第2の配線62との間で、表面60に窪んだ溝60aが形成される。第1の接着剤101は、第2のMA48と表面60との間に位置するとともに、第2のMA48を表面60に接着する接着部を有する。第1の接着剤101は、第1の配線61と第2の配線62との間で表面60に設けられた溝60aの内面60bに接触する。第1の配線61と第2の配線62との間の距離が狭く略一定である場合、第1の接着剤101は、毛細管現象により第1の配線61と第2の配線62との間の溝60aを伝って接着部101aから流出する虞がある。しかし、本実施形態におけるフレキシャ43は、第2のMA48から離間した位置に設けられるとともに第1の配線61と第2の配線62とが並んで延びる第1の部分91と、第1の部分91よりも接着部101aの近くに位置するとともに第1の配線61と第2の配線62との間の距離が第1の部分91よりも広い第2の部分92と、有する。これにより、第1の接着剤101は、第1の配線61と第2の配線62との間の距離が広い第2の部分92において留まり、第1の部分91まで流出しにくくなる。従って、本実施形態のHDD10は、第1の接着剤101が広範囲に流出することを抑制できる。すなわち、第2の部分92が設けられる位置により、第1の接着剤101が流出する範囲が制御され得る。第1の接着剤101の流出が抑制されることで、本実施形態のHDD10は、例えば、第1の接着剤101がフレキシャ43の剛性のような機械的特性を変化させることを抑制でき、ひいてはフレキシャ43に搭載される磁気ヘッド14の姿勢制御を妨げることを抑制できる。また、本実施形態のHDD10は、流出した第1の接着剤101がフレキシャ43の部品清浄度(parts cleanliness)を低下させることを抑制でき、ひいては流出した第1の接着剤101が剥落することを抑制できる。従って、剥落した第1の接着剤101によるHDD10の内部の汚染(contamination)が抑制される。
【0089】
第2の部分92において、第1の配線61に、第2の配線62から遠ざかるように窪む凹部82aが設けられる。凹部82aが設けられることで、第2の部分92において、第1の配線61と第2の配線62との間の距離L2が広くなる。従って、第1の接着剤101は、第2の部分92の凹部82aに留まり、第1の部分91まで流出しにくくなる。
【0090】
フレキシャ43は、第2の部分92よりも接着部101aの近くに位置するとともに第1の配線61と第2の配線62との間の距離が第2の部分92よりも狭い第3の部分93を有する。これにより、第1の接着剤101が、第3の部分93を経由し、第2の部分92へ向かって流れる。従って、第3の部分93は、第1の接着剤101が予期せぬ方向へ流出することを抑制できる。
【0091】
第1の接着剤101は、導電性であって、第2のMA48とフレキシャ43の第1の端子65とを電気的に接続する。これにより、第2のMA48を第1の端子65に別途電気的に接続する工程が不要となり、HDD10の製造工程の数が低減される。さらに、第1の接着剤101は、第2のMA48の耐熱性が低い場合であっても、当該第2のMA48を第1の端子65に電気的に接続することができる。
【0092】
第1の接着剤101は、圧電素子である第2のMA48を表面60に接着する。すなわち、本実施形態のHDD10は、圧電素子の近傍において第1の接着剤101が広範囲に流出することを抑制する。従って、本実施形態のHDD10は、第1の接着剤101が圧電素子である第2のMA48により曲げられるフレキシャ43のジンバル部45の剛性を変化させることを抑制でき、ひいては第1の接着剤101がフレキシャ43に搭載される磁気ヘッド14の姿勢制御を妨げることを抑制できる。
【0093】
フレキシャ43は、第2のMA48から離間した周部70と、周部70から第2の方向D2に突出するとともに第1の方向D1における第2のMA48の端部の端子48aに接続された第1の接続部71と、を有する。第1の配線61は、周部70に設けられた第1の延部81と、第1の延部81から突出して第1の接続部71に設けられ、第1の延部81よりも太い、第2の延部82と、を有する。第1の配線61は、第2のMA48から離間している。第2の配線62は、第2のMA48に接続される。第2のMA48は、第1の方向D1に伸長することで、第1の接続部71を第1の方向D1に押す。一般的に、第1の配線61及び第2の配線62は金属により作られるため、第1の接続部71における第1の配線61及び第2の配線62が大きいほど第1の接続部71の剛性が向上する。本実施形態の第1の接続部71は、当該第1の接続部71に太い第2の延部82が設けられることで、第2のMA48の力を効率的に周部70に伝達することができる。第2のMA48の力が周部70に伝達することで、第2のMA48の伸縮に応じてジンバル部45が曲がり、磁気ヘッド14が所望の位置へ移動することができる。
【0094】
周部70は、第1の接続部71が突出する第2の帯部76と、第2の接続部72が突出する第3の帯部77と、第2の帯部76と第3の帯部77とを接続する第4の帯部78と、を有する。第2の部分92は、第1の接続部71、第2の帯部76、及び第4の帯部78のうち少なくとも一つに設けられる。従って、本実施形態のHDD10は、第1の接着剤101が第3の帯部77まで広く流出することを抑制できる。
【0095】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、図5を参照して説明する。なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0096】
図5は、第2の実施形態に係るジンバル部45の一部を示す例示的な平面図である。図5に示すように、第2の実施形態では、第2の延部82に凹部82aが設けられない。これにより、第1の接続部71は、剛性が向上し、第2のMA48の力を効率的に周部70に伝達することができる。
【0097】
第2の実施形態の第2の部分92は、第2の帯部76に設けられる。第2の部分92は、拡大部201を有する。拡大部201は、第3の部分93に接続される第2の部分92の端部である。拡大部201において、第1の配線61と第2の配線62との間の距離L2は、第3の部分93から遠ざかるにしたがって広がる。第2の部分92のうち、拡大部201と第1の部分91との間の部分では、第1の配線61と第2の配線62との間の距離L2は略一定に設定される。なお、第2の部分92は、この例に限られない。
【0098】
第1の配線61は、広部205と、細部206とを有する。広部205の幅は、細部206の幅よりも広い。細部206の幅は、第2の配線62の幅と略等しい。広部205は、第3の部分93に設けられる。細部206は、第1の部分91及び第2の部分92に設けられる。
【0099】
図5に示すように、拡大部201において、広部205と細部206とが接続される。言い換えると、広部205と細部206との間において第1の配線61の幅が変化することによって、第1の配線61と第2の配線62との間の距離L2が変化し、拡大部201が形成される。なお、拡大部201は、この例に限られず、例えば、略一定の幅を有する第1の配線61が曲げられることによって、第1の配線61と第2の配線62との間の距離L2が変化し、拡大部201が形成されても良い。
【0100】
以上説明された第2の実施形態のHDD10において、第2の部分92は、第3の部分93に接続されるとともに、第1の配線61と第2の配線62との間の距離L2が第3の部分93から遠ざかるにしたがって広がる、拡大部201を有する。これにより、第1の接着剤101は、第2の部分92の拡大部201に留まり、第1の部分91まで流出しにくくなる。
【0101】
(第3の実施形態)
以下に、第3の実施形態について、図6を参照して説明する。図6は、第3の実施形態に係るジンバル部45の一部を示す例示的な平面図である。図6に示すように、第3の実施形態の第2の部分92は、第2の帯部76及び第4の帯部78に設けられる。第2の部分92は、拡大部301を有する。拡大部301は、第3の部分93に接続される第2の部分92の端部である。拡大部301において、第1の配線61と第2の配線62との間の距離L2は、第3の部分93から遠ざかるにしたがって広がる。
【0102】
第3の実施形態における第1の配線61の第1の延部81の幅は、略一定に設定される。第3の実施形態の第2の部分92において、第1の配線61は、第1の直線部305と、第2の直線部306と、第1の曲部307とを有する。
【0103】
第1の直線部305は、第4の帯部78に設けられ、第4の帯部78に沿って直線状に延びている。第1の直線部305は、第1の部分91の第1の配線61に接続される。第2の直線部306は、第2の帯部76に設けられ、第2の帯部76に沿って直線状に延びている。第1の直線部305が延びる方向と、第2の直線部306が延びる方向とは、互いに交差する。第2の直線部306は、第3の部分93の第1の配線61に接続される。
【0104】
第1の曲部307は、第1の直線部305と第2の直線部306とを接続する。第1の曲部307は、第2の帯部76と第4の帯部78とが接続される部分に沿って、円弧状に延びている。
【0105】
第2の配線62は、第2の部分92において、第2の曲部309を有する。第2の曲部309は、第2の帯部76と第4の帯部78とが接続される部分に沿って、円弧状に延びている。第2の曲部309は、第1の曲部307よりも曲率半径が大きい。
【0106】
第2の直線部306、第1の曲部307、及び第2の曲部309は、拡大部301に設けられる。すなわち、第1の配線61の第2の直線部306と、第2の配線62の第2の曲部309と、の間の距離L2は、第3の部分93から遠ざかるにしたがって広がる。また、第1の配線61の第1の曲部307と、第2の配線62の第2の曲部309と、の間の距離L2が、第3の部分93から遠ざかるにしたがってさらに広がる。
【0107】
以上説明された第3の実施形態のHDD10において、第1の配線61は、第2の部分92において、直線状に延びる第1の直線部305と、直線状に延びる第2の直線部306と、第1の直線部305と第2の直線部306とを接続するとともに円弧状に延びる第1の曲部307と、を有する。第2の配線62は、第2の部分92において、円弧状に延びるとともに第1の曲部307よりも曲率半径が大きい第2の曲部309を有する。これにより、第2の部分92は、第1の配線61及び第2の配線62が曲げられる部分において効率よく設けられ得る。
【0108】
(第4の実施形態)
以下に、第4の実施形態について、図7を参照して説明する。図7は、第4の実施形態に係るジンバル部45の一部を示す例示的な平面図である。図7に示すように、第4の実施形態のフレキシャ43は、第3の部分93を省略され、第1の部分91と第2の部分92とを有する。第2の部分92は、第1の接続部71に設けられ、第2のMA48に隣接する。言い換えると、第4の実施形態では、第2の部分92と第2のMA48との間に、第3の部分93が設けられない。
【0109】
以上説明された第4の実施形態のHDD10において、第2の部分92は、第2のMA48に隣接する。これにより、第1の接着剤101は、第2のMA48に隣接する第2の部分92において留まる。従って、本実施形態のディスク装置は、第1の接着剤101が流出することを抑制できる。
【0110】
以上の複数の実施形態では、第1の配線61は第2のMA48から離間し、第2の配線62は第2のMA48に接続された。しかし、第1の配線61及び第2の配線62のいずれも第2のMA48に接続されていても良いし、第1の配線61及び第2の配線62のいずれも第2のMA48から離間していても良い。
【0111】
また、以上の複数の実施形態は、第2のMA48を表面60に接着する第1の接着剤101について詳述した。しかし、例えば、磁気ヘッド14又はレーザ素子のような他の電子部品Cを表面60に接着する接着剤が、二つの配線の間で表面60に設けられた溝の内面に接触しても良い。この場合、フレキシャ43は、電子部品Cから離間した位置に設けられるとともに二つの配線とが並んで延びる第1の部分と、当該第1の部分と電子部品Cとの間に位置するとともに二つの配線の間の距離が第1の部分よりも広い第2の部分と、を有する。
【0112】
以上説明された少なくとも一つの実施形態によれば、フレキシャの表面は、第1の配線が設けられた部分及び第2の配線が設けられた部分において隆起する。このため、第1の配線と第2の配線との間で、表面に窪んだ溝が形成される。接着剤は、少なくとも一つの電子部品のうち一つを表面に接着するとともに、第1の配線と第2の配線との間で表面に設けられた溝の内面に接触する。第1の配線と第2の配線との間の距離が狭く略一定である場合、接着剤が毛細管現象により第1の配線と第2の配線との間の溝を伝って流出する虞がある。しかし、本実施形態におけるフレキシャは、電子部品から離間した位置に設けられるとともに第1の配線と第2の配線とが並んで延びる第1の部分と、第1の部分と電子部品との間に位置するとともに第1の配線と第2の配線との間の距離が第1の部分よりも広い第2の部分と、有する。これにより、接着剤は、第1の配線と第2の配線との間の距離が広い第2の部分において留まり、第1の部分まで流出しにくくなる。従って、本実施形態のディスク装置は、接着剤が広範囲に流出することを抑制できる。接着剤の流出が抑制されることで、本実施形態のディスク装置は、例えば、接着剤がフレキシャの剛性のような機械的特性を変化させることを抑制でき、ひいてはフレキシャに搭載される磁気ヘッドの姿勢制御を妨げることを抑制できる。また、本実施形態のディスク装置は、流出した接着剤がフレキシャの清浄度を低下させることを抑制でき、ひいては流出した接着剤が剥落することを抑制できる。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0114】
10…HDD、12…磁気ディスク、14…磁気ヘッド、43…フレキシャ、48…第2のマイクロアクチュエータ(MA)、60…表面、60a…溝、60b…内面、61…第1の配線、62…第2の配線、65…第1の端子、70…周部、71…第1の接続部、72…第2の接続部、76…第2の帯部、77…第3の帯部、78…第4の帯部、81…第1の延部、82…第2の延部、82a…凹部、91…第1の部分、92…第2の部分、93…第3の部分、101…第1の接着剤、201,301…拡大部、305…第1の直線部、306…第2の直線部、307…第1の曲部、309…第2の曲部、D1…第1の方向、D2…第2の方向、C…電子部品、L1,L2,L3…距離。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7