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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】移動経路提案システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20230904BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20230904BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20230904BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20230904BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20230904BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/13
G09B29/00 A
G09B29/10 A
G16Y40/60
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020174007
(22)【出願日】2020-10-15
(65)【公開番号】P2022065422
(43)【公開日】2022-04-27
【審査請求日】2021-07-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594013044
【氏名又は名称】株式会社データ・テック
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】田野 通保
(72)【発明者】
【氏名】三平 武明
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-154004(JP,A)
【文献】特開2020-052607(JP,A)
【文献】特開2008-275575(JP,A)
【文献】特開2020-102040(JP,A)
【文献】特開2007-149054(JP,A)
【文献】特開2012-168111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/13
G09B 29/00
G09B 29/10
G16Y 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路上を走行する各車両の走行位置を示す位置情報と、走行時刻を示す時刻情報と、上記走行時刻及び上記走行位置において、車両を識別する車両IDと紐付けられ、上記車両の操作者を一意に示し、上記車両の操作者の性格の種別を示す性格パターン及び運転操作に関する思考を示す運転思考パターンの情報と紐付けられる操作者IDにより識別される操作者による運転操作に関する操作情報とを上記車両から取得する情報取得手段と、
予め取得した二次元座標からなる平面地図上において、上記時刻情報に示される走行時刻毎に、上記情報取得手段により取得された位置情報に対応する各走行位置に、上記操作情報に含まれる運転操作を上記車両毎に集計し、上記車両毎の時系列の運転操作として上記操作情報と紐づけて蓄積するとともに、運転操作が集中するエリアを上記時系列の時刻情報の間隔で特定し、上記各車両が参照するための参照用平面地図情報を生成する集計手段と、
上記情報取得手段を介して路上を走行する提案対象の車両から新たに取得した現在の走行時刻及び走行位置に対応する操作情報を、上記集計手段により生成された参照用平面地図情報を参照することで特定し、特定した上記操作情報及び上記車両ID、及び上記操作者IDに紐づく上記車両の操作者の性格の種別を示す性格パターン及び運転操作に関する思考を示す運転思考パターンの情報が記憶されたデータテーブルを参照し、移動経路を提案する提案手段と
を備えることを特徴とする移動経路提案システム。
【請求項2】
上記提案手段は、提案対象の車両から新たに取得した上記現在の運転操作に関する現在運転操作情報と、上記特定した操作情報とに基づいて移動経路を提案すること
を特徴とする請求項1記載の移動経路提案システム。
【請求項3】
上記情報取得手段は、上記走行時刻及び上記走行位置において発生したイベントに関するイベント情報を更に取得し、
上記集計手段は、上記情報取得手段により取得されたイベント情報を集計した参照用平面地図情報を生成し、
上記提案手段は、上記情報取得手段を介して路上を走行する提案対象の車両から新たに取得した現在の走行時刻及び走行位置にそれぞれ対応するイベント情報を、上記集計手段により生成された参照用平面地図情報を参照することで特定し、特定したイベント情報に基づいて移動経路を提案すること
を特徴とする請求項1又は2記載の移動経路提案システム。
【請求項4】
上記提案手段は、上記提案対象の車両に対して提案した移動経路を走行する車両から、上記情報取得手段を介して取得した最新の走行時刻及び走行位置にそれぞれ対応する操作情報を特定し、特定した操作情報に基づいて上記提案すべき移動経路を更新すること
を特徴とする請求項1~3の何れか1項記載の移動経路提案システム。
【請求項5】
上記情報取得手段は、上記走行時刻及び上記走行位置を継続的に取得することで特定される移動経路情報を更に取得し、
上記集計手段は、上記情報取得手段により取得された上記移動経路情報を集計した参照用平面地図情報を生成し、
上記提案手段は、上記情報取得手段を介して路上を走行する提案対象の車両から新たに取得した現在の走行時刻及び走行位置を継続的に取得することで特定される最新の移動経路情報を、上記集計手段により生成された参照用平面地図情報を参照することで特定し、特定した移動経路情報に基づいて移動経路を提案すること
を特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の移動経路提案システム。
【請求項6】
上記集計手段は、上記走行時刻と、上記各走行位置に対する車両を識別する車両ID紐付けられ、上記車両の操作者を一意に示す操作者IDにより識別される操作者による運転操作の種類、操作者の性格の種別を示す性格パターン及び運転操作に関する思考を示す運転思考パターンの情報からなるデータセットを記憶し、記憶されたデータセットを教師データとして用い、入力を走行時刻及び走行位置とし、出力を上記車両の操作者に対する運転操作の種類とする推定モデルを機械学習により生成し、
上記提案手段は、新たに取得した現在の走行時刻及び走行位置に対応する操作情報を、上記集計手段により生成された推定モデルを参照することで特定し、特定した移動経路情報、上記車両の操作者の性格の種別を示す性格パターン及び運転操作に関する思考を示す運転思考パターンの情報に基づいて移動経路を提案すること
を特徴とする請求項1~5の何れか1項記載の移動経路提案システム。
【請求項7】
上記情報取得手段により取得される上記操作情報は、上記車両の走行の挙動に関する車両挙動情報と、上記車両の操作者の運転の操作に関する操作者操作情報とを含むこと
を特徴とする請求項1~6の何れか1項記載の移動経路提案システム。
【請求項8】
上記集計手段により生成される上記参照用平面地図情報は、上記集計手段により集計された上記操作情報に基づくハンドル操作、ブレーキ操作、右左折操作、又は交差点操作の少なくとも何れかの各操作情報を含むこと
を特徴とする請求項1~7の何れか1項記載の移動経路提案システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路上を走行する各車両に移動経路を提案する移動経路提案システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、路上を走行する各車両に移動経路を提案する移動経路提案システムとして、例えば特許文献1の経路探索装置等が提案されている。
【0003】
特許文献1に開示された経路探索装置は、道路画像、及び道路画像が撮像された画像取得位置を含む道路画像情報を解析し、車両の通行に関する道路特徴要素を検出し、検出された道路特徴要素に基づいて、画像取得位置の道路状況を判定する。これにより、データベースに複数の車両の走行履歴が蓄積されていなくても、1枚の画像から道路における道路状況を判定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-94959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、路上を走行する各車両に移動経路を提案する移動経路提案システムについて、車両の走行日時や走行位置、車両の走行、操作などの情報に基づいて解析し、事故が起きにくい移動経路や走りやすい移動経路の提供が求められている。この点、例えば特許文献1では、道路画像情報から道路画像を解析し、道路特徴要素を検出し、画像取得位置の道路状況を判定する旨が開示されている。このため、特許文献1の開示技術では、取得画像から渋滞場所は迂回できたとしても、事故が起きにくい移動経路や走りやすい移動経路を提案できない点が、懸念として挙げられる。
【0006】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、事故が起きにくい移動経路、又は車両が走りやすい移動経路を提供し、さらには提供する移動経路の精度の向上を図ることができる移動経路提案システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る移動経路提案システムは、路上を走行する各車両の走行位置を示す位置情報と、走行時刻を示す時刻情報と、上記走行時刻及び上記走行位置において、車両を識別する車両IDと紐付けられ、上記車両の操作者を一意に示し、上記車両の操作者の性格の種別を示す性格パターン及び運転操作に関する思考を示す運転思考パターンの情報と紐付けられる操作者IDにより識別される操作者による運転操作に関する操作情報とを上記車両から取得する情報取得手段と、予め取得した二次元座標からなる平面地図上において、上記時刻情報に示される走行時刻毎に、上記情報取得手段により取得された位置情報に対応する各走行位置に、上記操作情報に含まれる運転操作を上記車両毎に集計し、上記車両毎の時系列の運転操作として上記操作情報と紐づけて蓄積するとともに、運転操作が集中するエリアを上記時系列の時刻情報の間隔で特定し、上記各車両が参照するための参照用平面地図情報を生成する集計手段と、上記情報取得手段を介して路上を走行する提案対象の車両から新たに取得した現在の走行時刻及び走行位置に対応する操作情報を、上記集計手段により生成された参照用平面地図情報を参照することで特定し、特定した上記操作情報及び上記車両ID、及び上記操作者IDに紐づく上記車両の操作者の性格の種別を示す性格パターン及び運転操作に関する思考を示す運転思考パターンの情報が記憶されたデータテーブルを参照し、移動経路を提案する提案手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
第2発明に係る移動経路提案システムは、第1発明において、上記提案手段は、提案対象の車両から新たに取得した上記現在の運転操作に関する現在運転操作情報と、上記特定した操作情報とに基づいて移動経路を提案することを特徴とする。
【0009】
第3発明に係る移動経路提案システムは、第1発明又は第2発明において、上記情報取得手段は、上記走行時刻及び上記走行位置において発生したイベントに関するイベント情報を更に取得し、上記集計手段は、上記情報取得手段により取得されたイベント情報を集計した参照用平面地図情報を生成し、上記提案手段は、上記情報取得手段を介して路上を走行する提案対象の車両から新たに取得した現在の走行時刻及び走行位置にそれぞれ対応するイベント情報を、上記集計手段により生成された参照用平面地図情報を参照することで特定し、特定したイベント情報に基づいて移動経路を提案することを特徴とする。
【0010】
第4発明に係る移動経路提案システムは、第1発明~第3発明の何れかにおいて、上記提案手段は、上記提案手段は、上記提案対象の車両に対して提案した移動経路を走行する車両から、上記情報取得手段を介して取得した最新の走行時刻及び走行位置にそれぞれ対応する操作情報を特定し、特定した操作情報に基づいて上記提案すべき移動経路を更新することを特徴とする。
【0011】
第5発明に係る移動経路提案システムは、第1発明~第4発明の何れかにおいて、上記情報取得手段は、上記走行時刻及び上記走行位置を継続的に取得することで特定される移動経路情報を更に取得し、上記集計手段は、上記情報取得手段により取得された上記移動経路情報を集計した参照用平面地図情報を生成し、上記提案手段は、上記情報取得手段を介して路上を走行する提案対象の車両から新たに取得した現在の走行時刻及び走行位置を継続的に取得することで特定される最新の移動経路情報を、上記集計手段により生成された参照用平面地図情報を参照することで特定し、特定した移動経路情報に基づいて移動経路を提案することを特徴とする。
【0012】
第6発明に係る移動経路提案システムは、第1発明~第5発明の何れかにおいて、上記集計手段は、上記走行時刻と、上記各走行位置に対する車両を識別する車両ID紐付けられ、上記車両の操作者を一意に示す操作者IDにより識別される操作者による運転操作の種類、操作者の性格の種別を示す性格パターン及び運転操作に関する思考を示す運転思考パターンの情報からなるデータセットを記憶し、記憶されたデータセットを教師データとして用い、入力を走行時刻及び走行位置とし、出力を上記車両の操作者に対する運転操作の種類とする推定モデルを機械学習により生成し、上記提案手段は、新たに取得した現在の走行時刻及び走行位置に対応する操作情報を、上記集計手段により生成された推定モデルを参照することで特定し、特定した移動経路情報、上記車両の操操作者の性格の種別を示す性格パターン及び運転操作に関する思考を示す運転思考パターンの情報に基づいて移動経路を提案することを特徴とする。
【0013】
第7発明に係る移動経路提案システムは、第1発明~第6発明の何れかにおいて、上記情報取得手段により取得される上記操作情報は、上記車両の走行の挙動に関する車両挙動情報と、上記車両の操作者の運転の操作に関する操作者操作情報とを含むことを特徴とする。
【0014】
第8発明に係る移動経路提案システムは、第1発明~第7発明の何れかにおいて、上記集計手段により生成される上記参照用平面地図情報は、上記集計手段により集計された上記操作情報に基づくハンドル操作、ブレーキ操作、右左折操作、又は交差点操作の少なくとも何れかの各操作情報を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1発明によれば、情報取得手段は、路上を走行する各車両の位置情報と、時刻情報に対する車両を識別する車両IDと紐付けられ、上記車両の操作者を一意に示し、操作者の性格パターン及び運転思考パターンの少なくとも何れかの情報と紐付けられる操作者IDにより識別される操作者による操作情報とを取得する。集計手段は、予め取得した二次元座標からなる平面地図上に運転操作を車両毎に集計し、車両毎の時系列の運転操作として蓄積するとともに、運転操作が集中するエリアを時系列の時刻情報の間隔で特定し、各車両が参照するための参照用平面地図情報を生成する。このため、路上を走行する提案対象の車両から新たに操作情報を取得した場合に、参照用平面地図情報を更新することができる。これにより、事故が起きにくい移動経路、又は車両が走りやすい移動経路を提供することができる。さらに、提供する移動経路の精度の向上を図ることができる。
【0016】
また、第1発明~第8発明によれば、提案手段は、操作情報と参照用平面地図情報に基づいて移動経路を提案する。このため、路上を走行する提案対象の車両から新たに操作情報を取得した場合に、参照用平面地図情報を参照することで現在の走行時刻及び走行位置に対応する操作情報を特定することができる。これにより、事故が起きにくい移動経路、又は車両が走りやすい移動経路を提供することができる。さらに、提供する移動経路の精度の向上を図ることができる。
【0017】
特に、第2発明によれば、提案手段は、提案対象の車両から新たに取得した現在の運転操作に関する現在運転操作情報と、特定した操作情報とに基づいて移動経路を提案する。このため、路上を走行する提案対象の車両に対して、現在の運転操作と操作情報に基づき最新の移動経路を提案することができる。これにより、事故が起きにくい移動経路、又は車両が走りやすい移動経路を提供することができる。
【0018】
特に、第3発明によれば、情報取得手段は、走行時刻及び走行位置において発生したイベントに関するイベント情報を更に取得する。このため、イベント情報を集計した参照用平面地図情報を生成することができ、特定したイベント情報に基づいた移動経路を提案することができる。これにより、事故が起きにくい移動経路、又は車両が走りやすい移動経路を提供することができる。さらに、提供する移動経路の精度の向上を図ることができる。
【0019】
特に、第4発明によれば、提案手段は、提案対象の車両に対して提案した移動経路を走行する車両から、情報取得手段を介して取得した最新の走行時刻及び走行位置にそれぞれ対応する操作情報を特定する。このため、特定した操作情報に基づいて提案すべき移動経路を更新することができる。これにより、事故が起きにくい移動経路、又は車両が走りやすい移動経路を提供することができる。さらに、提供する移動経路の精度の向上を図ることができる。
【0020】
特に、第5発明によれば、情報取得手段は、走行時刻及び走行位置を継続的に取得する。このため、提案手段は、生成された参照用平面地図情報を参照し、特定した移動経路情報に基づいて持続的に移動経路を提案することができる。これにより、事故が起きにくい移動経路、又は車両が走りやすい移動経路を提供することができる。
【0021】
特に、第6発明によれば、集計手段は、走行時刻と、各走行位置に対する車両を識別する車両IDと紐付けられ、上記車両の操作者を一意に示す操作者IDにより識別される操作者による運転操作の種類からなるデータセットを記憶し、推定モデルを機械学習により生成する。このため、提案手段は、新たに取得した現在の走行時刻及び走行位置に対応する操作情報を、推定モデルを参照し、移動経路として提案することができる。これにより、事故が起きにくい移動経路、又は車両が走りやすい移動経路を提供することができる。さらに、提供する移動経路の精度の向上を図ることができる。
【0022】
特に、第7発明によれば、情報取得手段が取得する操作情報は、車両の走行の挙動に関する車両挙動情報と、車両の操作者の運転の操作に関する操作者操作情報とを含む。このため、車両の挙動と、操作者の運転の操作に関する情報を取得することができる。これにより、事故が起きにくい移動経路、又は車両が走りやすい移動経路を提供することができる。さらに、提供する移動経路の精度の向上を図ることができる。
【0023】
第8発明によれば、集計手段により生成される参照用平面地図情報は、集計手段により集計された操作情報に基づき、ハンドル操作、ブレーキ操作、右左折操作、又は交差点操作の何れかにおける各操作情報を含む。このため、走行時刻毎に平面地図上に識別可能な状態で表示することができる。これにより、事故が起きにくい移動経路、又は車両が走りやすい移動経路を提供することができる。さらに、提供する移動経路の精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本実施形態における移動経路提案システムの一例を示す模式図である。
図2図2、本実施形態における移動経路提案システムの動作の一例を示す模式図である。
図3図3は、本実施形態における移動経路提案システムの参照用平面地図情報の一例を示す模式図である。
図4図4(a)は、本実施形態における移動経路提案システムの構成の一例を示す模式図であり、図4(b)は、本実施形態における移動経路提案装置の機能の一例を示す模式図である。
図5図5は、本実施形態におけるデータベースの一例を示す模式図である。
図6図6は、本実施形態における参照データベースの一例を示す模式図である。
図7図7は、本実施形態における参照データベースの一例を示す模式図である。
図8図8は、本実施形態における移動経路提案システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図9図9(a)は、本実施形態における移動経路提案システムの提案手段の一例を示す模式図である。図9(b)は、本実施形態における移動経路提案システムの提案手段の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を適用した実施形態における移動経路提案システムの一例について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
(本実施形態:移動経路提案システム100)
図1を参照して、本実施形態における移動経路提案システム100、及び提案装置1の一例について説明する。
【0027】
本実施形態における移動経路提案システム100は、例えば図1に示すように、提案装置1を有する。提案装置1は、例えば各種のデータベース2と接続するほか、例えば通信網4を介して路上を走行する複数の車両3に接続されてもよい。データベース2には、例えば提案装置1が通信網4を介して外部の各種のデータベースとして、例えばお天気情報データベース、道路走行環境データベース、ヒヤリハット情報データベース、運転診断結果データベースなどと接続し、取得した地図情報、天候情報、事故情報、渋滞情報、ヒヤリハット情報、車両情報、操作者情報等の各種のデータが各々に対応付けられて記憶されるようにしてもよい。
【0028】
移動経路提案システム100は、車両3の走行位置を示す位置情報と運転操作に関する操作情報を評価し、移動経路を提案する。移動経路提案システム100は、例えば車両3の移動経路をナビゲートするナビゲーションシステムとして用いられるほか、類似品の評価、提案等に用いられ、例えば貨物車、乗用車、バイク、自転車、船舶、飛行体、ウェアラブル端末などの移動する物体を車両3として評価し、推奨する移動経路を提案することができる。
【0029】
移動経路提案システム100は、例えば図2に示すように、予め取得した二次元座標からなる平面地図5において、例えば時刻情報t1~t4に示される走行時刻毎に、車両3から取得された位置情報に対応する各走行位置に、例えば車両3に備わる各種のセンサー(図示せず)から取得された操作情報に含まれる運転操作として、例えば急制動m1、急旋回m2、または急変更m3として運転操作を集計する。移動経路提案システム100は、集計した各車両3の運転操作を時系列の運転操作として蓄積し、参照用平面地図情報6を生成する。
【0030】
参照用平面地図情報6は、走行する車両3に対する3次元空間の座標を示す。参照用平面地図情報6は、例えば直交座標系におけるパラメータ「x,y,z」等により3次元空間を示す。3次元空間は、例えばパラメータ「x,y」を緯度経度とし、平面地図5のエリアを特定するようにしてもよい。また、例えばパラメータ「z」を車両3の走行の時刻情報としてもよい。参照用平面地図情報6は、平面地図5上の位置情報に対応する車両3の各走行位置に、操作情報に含まれる運転操作(急制動m1、急旋回m2、急変更m3)が集計されたエリアであり、例えば集計位置p1、集計位置p2として運転操作の集中するエリアを示す。
【0031】
参照用平面地図情報6に示される集計位置p1は、例えば時刻情報t1~t2において、各車両3から取得した運転操作として、例えば急旋回m2が2回、急制動m1が1回、時刻情報t3~時刻情報t4において、急旋回m2が2回発生したことを示す。また、集計位置p2は、例えば時刻情報t1~t2において、各車両3から取得した運転操作として、例えば急旋回m2が1回の発生したことを示す。時刻情報t2~時刻情報t3においては、急旋回m2が1回、急旋回m2が1回を示し、また、時刻情報t3~時刻情報t4においては、急制動m1が1回、急旋回m2が1回発生したことを示す。
【0032】
移動経路提案システム100は、例えば図3に示すように、提案装置1を介して路上を走行する各車両3から移動経路r1上の位置情報と、時刻情報と、操作情報とを取得する。提案装置1は、取得した情報に基づいて、参照用平面地図情報6を参照し、例えば車両3の移動経路r1上の集計位置p3において特定した操作情報に含まれる運転操作(例えば急制動m1、急旋回m2)に基づいて、事故が起きにくい移動経路、又は車両が走りやすい移動経路r2を特定する。移動経路提案システム100は、例えば車両3の運行情報として設定される出発・到着場所の情報に基づき、出発場所から到着場所までの提案ルート(例えば最短ルート)を生成し、その後に特定した操作情報に含まれる運転操作に基づいて、提案する移動経路を提案するようにしてもよい。
【0033】
移動経路提案システム100は、提案装置1を介して、車両3に対して新しい移動経路r2の提案を行う。車両3は、提案装置1を介して移動経路提案システム100から提案された移動経路r2を受信し、移動経路r2による走行を継続して行う。移動経路提案システム100が提案する移動経路は、車両3のスタート後のほか、スタート前であってもよい。スタート前の場合は、例えば車両3の前日まで運行情報や運行履歴などに基づいて、参照用平面地図情報6を参照し、車両3の事故が起きにくい移動経路、又は車両が走りやすい移動経路を特定するようにしてもよい。
【0034】
(提案装置)
次に、図4を参照して、本実施形態における提案装置1の一例を説明する。図4(a)は、本実施形態における移動経路提案システムの構成の一例を示す模式図であり、図4(b)は、本実施形態における移動経路提案装置の機能の一例を示す模式図である。
【0035】
提案装置1として、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等の電子機器が用いられるほか、例えばスマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末、IoT(Internet of Things)デバイス等の電子機器、Raspberry Pi(登録商標)等のシングルボードコンピュータが用いられてもよい。提案装置1は、例えば図4(a)に示すように、筐体10と、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、保存部104と、I/F105~107とを備える。各構成101~107は、内部バス110により接続される。
【0036】
CPU101は、提案装置1全体を制御する。ROM102は、CPU101の動作コードを格納する。RAM103は、CPU101の動作時に使用される作業領域である。保存部104は、設定情報データベースや参照データベース等の各種情報が保存される。保存部104として、例えばHDD(Hard Disk Drive)の他、SSD(Solid State Drive)等のデータ保存装置が用いられる。なお、例えば提案装置1は、図示しないGPU(Graphics Processing Unit)を有してもよい。GPUを有することで、通常よりも高速演算処理が可能となる。
【0037】
I/F105は、車両3との各種情報の送受信を行うためのインターフェースであるほか、例えばインターネット等の通信網4を介して、他の車両3やクラウドサーバ等との各種情報の送受信を行うためのインターフェースでもよい。I/F106は、入力部108との情報の送受信を行うためのインターフェースである。入力部108として、例えばキーボードが用いられ、提案装置1の管理者等は、入力部108を介して、各種情報又は提案装置1の制御コマンド等を入力する。I/F107は、出力部109との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。出力部109は、保存部104に保存された各種情報、又は提案装置1の処理状況等を出力する。出力部109として、ディスプレイが用いられ、例えばタッチパネル式でもよい。
【0038】
図4(b)は、提案装置1の機能の一例を示す模式図である。提案装置1は、情報取得部11と、集計部12と、提案部13と、出力部14と、記憶部15と、更新部16と、評価部17とを備え、例えば学習部を有してもよい。なお、図4(b)に示した各機能は、CPU101が、RAM103を作業領域として、保存部104等に記憶されたプログラムを実行することにより実現され、例えば人工知能等により制御されてもよい。
【0039】
<データベース2>
移動経路提案システム100は、例えば図5に示すように、提案装置1を介してデータベース2と接続する。データベース2は、例えば「車両データテーブル」、「操作者データテーブル」、「運行データテーブル」、及び「位置情報データテーブル」により構成される。データベース2に記憶される各データテーブルは、提案部13により参照され、例えば車両3の車両区分情報や操作者の運転歴、事故歴、性格パターン、運転思考パターンなどの各々の情報に基づいて、その車両3、操作者にとって事故が起きにくい移動経路、又は車両が走りやすい移動経路として提案し、車両3に提供される。
【0040】
「車両データテーブル」は、走行する車両3に関する各種の情報を各々に対応付けて記憶する。「車両データテーブル」は、例えば走行する複数の車両3を識別する車両ID、車両の区分を識別する車両区分情報(例えば『大型』、『中型』、『小型』、など)、車両3の運行者を識別する運行者情報(例えば『○○物流』、『○×貨物』、など)、車両3の操作者(ドライバー)を識別する操作者IDにより少なくとも構成される。
【0041】
「操作者データテーブル」は、操作者に関する各種の情報を各々に対応付けて記憶する。「操作者データテーブル」は、例えば操作者ID、操作者の生年月日、操作者挙動として運転歴(取得年数)、事故歴(回数)、操作者の性格の種別を示す性格パターン(例えば『A(大人しい)』、『B(せっかち)』、等)、運転操作に関する思考を示す運転思考パターン(例えば『A(慎重)』、『B(軽率)』、等)などにより、少なくとも構成される。「車両データテーブル」と「操作者データテーブル」とは、例えば操作者IDで各々紐づけられる。
【0042】
「運行データテーブル」は、運行に関する各種の情報を各々に対応付けて記憶する。「運行データテーブル」は、例えば運行を識別する運行ID、運行の年月日、運行情報として車両ID、操作者ID、出発・到着場所、出発・到着時間、操作情報に基づいて提案される移動経路情報(ルート情報)、移動経路の更新情報(移動経路r1→移動経路r2)などにより、少なくとも構成される。「車両データテーブル」、「操作者データテーブル」と、「運行データテーブル」は、例えば運行情報に含まれる車両ID、操作者ID、時間などの各データで各々紐づけられる。
【0043】
「位置情報データテーブル」は、路上を走行する車両3の走行位置を示す位置情報と、走行時刻を示す時刻情報と、車両挙動情報として走行時刻及び走行位置における運転操作に関する操作情報を各々に対応付けて記憶する。「位置情報データテーブル」は、例えば位置情報と、位置情報を特定する緯度・経度と、走行時刻と、運転操作に関する操作情報として、車両3の挙動や操作者の挙動に起因する急制動、急旋回、急変更、その他の操作情報の発生情報などにより少なくとも構成される。「車両データテーブル」、「操作者データテーブル」、「運行データテーブル」と「位置情報データテーブル」は、例えば車両IDで各々紐づけられる。
【0044】
<参照データベース>
保存部104に保存された参照データベースには、学習モデルが記憶される。学習モデルには、例えば各々の車両3の走行時刻と、各々の走行位置に対する運転操作の種類からなるデータセットが記憶される。参照データベースに記憶されたデータセットを、例えば教師データとして用い、入力を車両3の走行時刻及び走行位置とし、出力を運転操作の種類とする推定モデルを機械学習により生成する。
【0045】
学習モデルは、予め取得された過去の運転操作(車両3の運転操作の種類として、例えば急制動m1、急旋回m2、急変更m3)に紐づく参照情報との間における連関性を有する。参照データベースには、例えば過去の運転操作が記憶されてもよい。学習モデルは、例えば過去の運転操作及び参照情報を一組の学習データとして、複数の学習データを用いた機械学習により構築される。学習方法として、例えば畳み込みニューラルネットワーク等の深層学習が用いられる。
【0046】
参照情報は、例えば運転操作の改善のための注意喚起のレコメンド、移動経路の変更の案内の他、例えば外部環境(渋滞、工事、季節、天気、路面状況など)に応じた各種のメッセージなどであってもよい。
【0047】
この場合、例えば連関性は、多対多の情報の間における繋がりの度合いを示す。連関性は、機械学習の過程で適宜更新される。このため、学習モデルは、例えば過去の運転操作及び参照情報に基づいて最適化された連関性(例えば関数)を有する分類器を示す。このため、過去の各々の車両3の走行時刻と、各々の走行位置に対する運転操作の種類を評価した結果を全て踏まえて構築された学習モデルを用いて、走行時刻と、各々の走行位置に対する運転操作の種類に対する評価結果が生成される。これにより、各々の車両3が様々な走行時刻と、各々の走行位置に対する運転操作の種類である場合においても、最適な評価結果を生成することができる。また、走行時刻と、各走行位置に対する運転操作の種類が、過去の走行時刻と、各走行位置に対する運転操作の種類と同一又は類似である場合のほか、非類似である場合においても、最適な評価結果を定量的に生成することができる。なお、機械学習を行う際に汎化能力を高めることで、未知の走行時刻と、各走行位置に対する運転操作の種類に対する評価精度の向上を図ることができる。
【0048】
なお、連関性は、例えば各過去の走行時刻と、各走行位置に対する運転操作の種類と各参照情報との間における繋がりの度合いを示す複数の連関度を有してもよい。連関度は、例えば学習モデルがニューラルネットワークで構築される場合、重み変数に対応させることができる。
【0049】
過去の走行時刻と、各走行位置に対する運転操作の種類は、上述した走行時刻と、各走行位置に対する運転操作の種類と同種の情報を示す。過去の走行時刻と、各走行位置に対する運転操作の種類は、例えば過去に車両3を評価した際に取得された走行時刻と、各走行位置に対する運転操作の種類を複数含む。
【0050】
また、参照データベースに記憶される学習モデルには、上述の各々の車両3の走行時刻と、各々の走行位置に対する運転操作の種類からなるデータセットの他に、例えば各々の車両3の走行時刻と、各々の走行位置に対する各種のイベント(例えば天候情報、事故情報、渋滞情報、車両情報、操作者情報の他、催し物開催情報、工事情報、等)の種類が記憶されてもよい。
【0051】
また運転操作の種類は、車両挙動情報として、例えば「車線変更」として、車両の車線変更に関するWレーンチェンジ、頻繁な車線変更、急制動に引き続く車線変更、車線変更後の急制動、急な車線変更などを含んでもよい。また、例えば「カーブ操作」として、カーブ操作に関する旋回中の急ハンドル、旋回中の急加速、旋回中の急制動などを含んでもよい。また、例えば「交差点やカーブ進入時の急発進や減速不足、急なハンドル操作」として、右左折及び旋回に関する発進中の急旋回、制動中の急旋回、過角速度急旋回、速度超過状態でのカーブ、交差点への進入などを含んでもよい。また、例えば「急なブレーキ操作」として、急制動に関する発進直後の急制動、加速直後の急制動、制動中の急制動、急制動などを含んでもよい。
【0052】
さらに、運転操作に関する情報として、例えば車両3の操作者の性格、運転思考、操作傾向などの情報を含んでもよく、車両3の走行時刻と、各々の走行位置に対する運転操作の種類に紐づけられてデータセットとして記憶される。データセットは、1以上の各種のデータの各々の組合せであればよく、どのようなデータの組合せによるデータセットであるかは任意である。
【0053】
参照情報は、例えば過去の運転操作の種類(例えば急制動m1、急旋回m2、急変更m3)に紐づき、車両3の走行時刻と、各走行位置に対する運転操作の種類に関する各種の情報を示す。参照情報は、例えば発生挙動の種類(例えば「ハンドル操作での危険挙動」、「ブレーキ操作での危険挙動」、「右左折・交差点での危険挙動」等)を示す危険挙動情報や、危険度のレベル(例えば「危険度レベル2(事故誘発レベル:危険挙動の閾値40%)」、「危険度レベル3(事故誘発レベル:危険挙動の閾値60%)」、「危険度レベル4(危険挙動の閾値80%)」、「危険度レベル5(危険挙動の閾値100%)」等)の危険度の数値化情報等を含む。なお、参照情報に含まれる具体的な内容は、例えば外部環境(渋滞、工事、季節、天気、路面状況など)に応じた各種のメッセージとして、任意に設定することができる。
【0054】
連関性は、例えば図6に示すように、過去の車両3の運転操作の種類(例えば急制動m1、急旋回m2、急変更m3)と参照情報との間における繋がりの度合いを示してもよい。この場合、連関性を用いることで、過去の運転操作に含まれる複数のデータ(図6では「データA」~「データC」)のそれぞれに対し、参照情報に含まれる複数のデータ(図6では「参照A」~「参照C」)の関係の度合いを紐づけて記憶させることができる。このため、例えば連関性を介して、過去の運転操作に含まれる1つのデータに対して、参照情報に含まれる複数のデータを紐づけることができ、多角的な移動経路結果の生成を実現することができる。
【0055】
連関性は、例えば過去の運転操作の種類のデータと、参照情報に含まれる複数のデータとをそれぞれ紐づける複数の連関度を有する。連関度は、例えば百分率、10段階、又は5段階等の3段階以上で示され、例えば線の特徴(例えば太さ等)で示される。例えば、過去の運転操作に含まれる「データA」は、参照情報に含まれる「参照A」との間の連関度AA「80%」を示し、参照情報に含まれる「参照B」との間の連関度AB「65%」を示す。すなわち、「連関度」は、各データ間における繋がりの度合いを示しており、例えば連関度が高いほど、各データの繋がりが強いことを示す。なお、上述した機械学習により学習モデルを構築する際、連関性が3段階以上の連関度を有するように設定してもよい。
【0056】
過去の運転操作は、例えば図7に示すように、各車両3の過去の過去の運転操作を運転操作の種類で分割(例えば急制動m1、急旋回m2、急変更m3)して、参照データベースに記憶されてもよい。この場合、過去の運転操作の組み合わせと、参照情報との間の関係に基づいて、連関度が算出される。なお、過去の運転操作は、例えば上記に加え、過去の車両3、操作者、走行位置、又は走行時間の少なくとも何れかを分割して、参照データベースに記憶されてもよい。
【0057】
例えば、過去の急制動に含まれる「急制動A」、及び過去の急旋回に含まれる「急旋回A」の組み合わせは、「参照A」との間の連関度AAA「85%」を示し、「参照B」との間の連関度ABA「33%」を示す。この場合、過去の運転操作をそれぞれ独立してデータを記憶させることができる。このため、提案する移動経路の評価結果を生成する際、精度の向上及び選択肢の範囲を拡大させることが可能となる。
【0058】
連関性は、例えば合成データと、類似度とを含んでもよい。合成データは、過去の急制動、過去の急旋回、又は過去の急変更との間における3段階以上の類似度により示される。合成データは、急制動、急旋回、又は急変更の他に、例えば運転操作に関する他の要因などであってもよく、2以上の運転操作や、さらには運転操作以外の各種の情報が合成されてもよい。合成データは、数値、行列、又はヒストグラム等の形式で参照データベースに記憶されるほか、例えば画像や文字列等の形式で記憶されてもよい。
【0059】
<情報取得部11>
情報取得部11は、路上を走行する複数の車両3の走行位置を示す位置情報と、走行時刻を示す時刻情報と、走行時刻及び走行位置における運転操作に関する操作情報とを取得するほか、例えば車両3に備わる、又は内蔵された図示しない撮像部から、画像データを取得してもよい。なお、情報取得部11が位置情報と、時刻情報と、操作情報を取得する頻度及び周期は、任意である。情報取得部11は、例えば車両3に備わる各種のセンサーに設定される閾値により、一定の閾値を越えた運転操作の各種の挙動を検知した際に、自動的に取得されるようにしてもよい。
【0060】
さらに、情報取得部11は、車両3の走行時刻及び走行位置において発生したイベントに関するイベント情報を更に取得するようにしてもよい。
【0061】
さらに、情報取得部11は、車両3の走行時刻及び走行位置を継続的に取得することで、特定される移動経路情報を更に取得するようにしてもよい。
【0062】
さらに、情報取得部11は、情報取得部11が取得する操作情報には、車両3の走行の挙動に関する車両挙動情報と、車両3の操作者の運転の操作に関する操作者操作情報が含まれるようにしてもよい。
【0063】
情報取得部11は、提案装置1に送信された各種情報を受信する。情報取得部11は、例えば通信網4及びI/F105を介して、他の車両3等の外部端末から送信された渋滞、事故、工事、地域催し情報、天候、車両情報、その他の通知情報等の各種情報を受信するようにしてもよい。
【0064】
<集計部12>
集計部12は、予め取得した二次元座標からなる平面地図5において、時刻情報に示される時刻情報t1~t4毎に、情報取得部11により取得された位置情報に対応する各走行位置に、操作情報に含まれる運転操作を集計することで参照用平面地図情報6を生成する。
【0065】
集計部12は、情報取得部11が走行時刻及び走行位置において発生したイベントに関するイベント情報を更に取得した場合は、情報取得部11により取得されたイベント情報を集計した参照用平面地図情報6を生成するようにしてもよい。
【0066】
集計部12は、情報取得部11が、走行時刻及び走行位置を継続的に取得することで特定される移動経路情報を更に取得した場合は、取得された移動経路情報を集計した参照用平面地図情報6を生成するようにしてもよい。
【0067】
集計部12は、走行時刻と、各走行位置に対する運転操作の種類からなるデータセットを記憶し、記憶されたデータセットを教師データとして用い、入力を走行時刻及び走行位置とし、出力を運転操作の種類とする推定モデルを機械学習により生成するようにしてもよい。
【0068】
集計部12により生成される参照用平面地図情報6は、集計部12により集計された操作情報に基づくハンドル操作、ブレーキ操作、右左折操作、又は交差点操作の少なくとも何れかの各操作情報を含むようにしてもよい。
【0069】
<提案部13>
提案部13は、情報取得部11を介して路上を走行する提案対象の車両3から新たに取得した現在の走行時刻及び走行位置に対応する操作情報を、集計部12により生成された参照用平面地図情報6を参照することで特定し、特定した操作情報に基づいて移動経路を提案する。提案部13は、データベース2に記憶される各データテーブルを参照し、例えば車両3の車両区分情報や操作者の運転歴、事故歴、性格パターン、運転思考パターンなどの各々の情報に基づいて、その車両3、操作者にとって事故が起きにくい移動経路、又は車両が走りやすい移動経路として提案する。
【0070】
提案部13は、提案対象の車両3から新たに取得した現在の運転操作に関する現在運転操作情報と、特定した操作情報とに基づいて、移動経路を提案するようにしてもよい。
【0071】
提案部13は、情報取得部11を介して路上を走行する提案対象の車両3から新たに取得した現在の走行時刻及び走行位置にそれぞれ対応するイベント情報を、集計部12により生成された参照用平面地図情報6を参照することで特定し、特定したイベント情報に基づいて、移動経路を提案するようにしてもよい。
【0072】
提案部13は、提案対象の車両3に対して提案した移動経路を走行する車両から、情報取得部11を介して取得した最新の走行時刻及び走行位置にそれぞれ対応する操作情報を特定し、特定した操作情報に基づいて、提案すべき移動経路を更新するようにしてもよい。
【0073】
提案部13は、情報取得部11を介して路上を走行する提案対象の車両3から新たに取得した現在の走行時刻及び走行位置を継続的に取得することで特定される最新の移動経路情報を、集計部12により生成された参照用平面地図情報6を参照することで特定し、特定した移動経路情報に基づいて移動経路を提案するようにしてもよい。
【0074】
提案部13は、新たに取得した現在の走行時刻及び走行位置に対応する操作情報を、集計部12により生成された推定モデルを参照することで特定し、特定した移動経路情報に基づいて移動経路を提案するようにしてもよい。
【0075】
提案部13は、例えば図9に示すような将来の運転操作に関する移動経路を提案する。図9(a)は、例えば時刻情報『9:00』時点の移動経路として、例えば移動経路r3を示す。移動経路r3は、情報取得部11により取得された路上を走行する車両3の走行位置を示す位置情報と、走行時刻を示す時刻情報と、走行時刻及び走行位置における運転操作に関する操作情報に基づき、集計部12によって生成された参照用平面地図情報6を参照して提案された移動経路である。出力部109は、例えば操作画面111を表示する。操作画面111は、例えば設定バー112を備え、この設定バーをスライドさせることにより、所望の時間における移動経路を参照することが可能となる。
【0076】
車両3の運転手(図示せず)は、例えば時刻情報『12:00』時点の移動経路を確認したいとき、車両3に備わるナビゲーションシステム(図示せず)を介して、操作画面111の設定バー112を右方向にスライドさせる。これにより提案部13は、図9(b)に示すような時刻情報『12:00』における移動経路として例えばr4を示す。この場合、情報取得部11が、運転手によって設定された時刻情報『12:00』に基づいて、新たに取得した時刻情報『12:00』の走行時刻及び走行位置に対応する操作情報を、参照用平面地図情報6を参照することで特定し、特定した操作情報に基づいて新しい移動経路として、例えば移動経路r4を提案する。
【0077】
提案部13により提案される移動経路r4は、例えば集計位置p5に、急制動m1が2回、急旋回m2が1回あったことを示している。これにより車両3の運転手は、時刻情報『12:00』時点の移動経路、道路の将来予測を知ることができ、実際の走行において事故の起きにくい移動経路や走りやすい移動経路を選択することが可能となる。
【0078】
<出力部14>
出力部14は、移動経路を出力する。出力部14は、I/F107を介して出力部109に移動経路を送信するほか、例えばI/F105を介して、車両3の他の車両3等に移動経路を送信する。出力部14は、例えば図3に示した車両3の移動経路を、出力部109等に出力する。
【0079】
<記憶部15>
記憶部15は、保存部104に保存された参照データベース等の各種情報を必要に応じて取出す。記憶部15は、各構成11~14、16により取得又は生成された各種情報を、保存部104に保存する。
【0080】
<更新部16>
更新部16は、例えばデータベース2に記憶される各種のデータベース(例えば参照データベースなど)を更新する。更新部16は、例えば過去の運転操作と、参照情報との間の関係を新たに取得した場合には、関係を連関性に反映させる。例えば評価部により生成された評価結果を踏まえ、管理者等が評価結果の内容における精度を判定し、判定結果を提案装置1が取得した場合、更新部16は、判定結果に基づき参照データベースに含まれる連関性を更新する。
【0081】
<評価部17>
評価部17は、参照データベースを参照し、過去の運転操作に対する評価結果を生成する。評価部17は、例えば各種のデータセットを入力データとし、学習モデルに基づき算出された解に紐づく最適な参照情報を選択し、最適な参照情報に基づく評価結果を生成する。
【0082】
評価部17は、例えば図6に示した参照データベースを参照した場合、運転操作に含まれるデータと同一又は類似するデータ(例えば「データA」:第1データとする)を選択する。第1データとして、データと一部一致又は完全一致するデータが選択されるほか、例えば類似するデータが選択される。データセットのデータが行列等の数値で表される場合、選択される第1データに含まれる数値範囲を、予め設定してもよい。
【0083】
評価部17は、選択した第1データに紐づく参照情報、及び選択した第1データと参照情報との間における連関度(第1連関度)を選択し、選択した参照情報及び第1連関度に基づき評価結果を生成する。なお、第1連関度は、予め構築された連関性から選択されるほか、評価部によって算出されてもよい。
【0084】
例えば評価部17は、第1データ「データA」に紐づく参照情報に含まれるデータ「参照A」、及び「データA」と「参照A」との間における第1連関度(連関度AA)「80%」を選択する。なお、参照情報及び第1連関度は、複数のデータを含んでもよい。この場合、上述した「参照A」及び「80%」に加えて、第1データ「データA」に紐づく参照情報「参照B」、及び「データA」と「参照B」との間における第1連関度(連関度AB)「65%」を選択し、「参照A」及び「80%」、並びに、「参照B」及び「65%」に基づき評価結果を生成してもよい。
【0085】
評価結果は、データセットのデータを含んでもよい。また、第1連関度は、例えば百分率等の3段階以上で示される。
【0086】
評価部17は、例えば予め保存部104等に記憶された出力用フォーマット等の形式データを用いて、上述選択した参照情報及び第1連関度等を、ユーザが理解できる形式(例えば文字列)を示す評価結果を生成する。なお、評価結果を生成する際における形式の設定等は、例えば公知の技術を用いてもよい。
【0087】
評価部17は、例えば選択した第1連関度に基づいて、評価結果の内容を決定する。例えば評価部17は、「50%」以上の第1連関度に紐づく参照情報に基づいて、評価結果を生成し、「50%」未満の第1連関度に紐づく参照情報を評価結果に反映しないように設定されてもよい。なお、第1連関度に基づく判定基準は、例えば管理者等が予め閾値等を設定してもよく、閾値の範囲等は任意に設定できる。また、評価部17は、例えば2以上の第1連関度を演算した結果や、2以上の第1連関度の比較に基づいて、評価結果の内容を決定してもよい。
【0088】
<学習部>
学習部(図示せず)は、例えばテストデータと、判定結果に基づく参照データと、を一対の学習データとして、複数の学習データを用いた機械学習によりデータベースを生成する。機械学習には、例えば上述した畳み込みニューラルネットワーク等が用いられる。
【0089】
学習部は、例えば集計部12の集計結果に基づき、参照データを生成してもよい。学習部は、例えば判定結果を導出した評価モデルに関する識別情報を有する参照データを生成する。識別情報は、例えば評価モデルに紐づく識別情報リスト等を予め保存部104に記憶させておき、必要に応じてリスト等を参照して生成されてもよく、予め判定結果に含まれるように設定してもよい。
【0090】
学習部は、例えば判定結果に対して、正否結果、判定精度、及び判定に費やした時間の少なくとも何れかを算出し、それらを有する参照データを生成してもよい。正否結果、及び判定精度は、例えばテストデータに対する正解や閾値等を予め保存部104に記憶させておき、必要に応じて正解等を参照して生成されてもよい。
【0091】
<通信網4>
通信網4は、例えば提案装置1が通信回路を介して接続されるインターネット網等である。通信網4は、いわゆる光ファイバ通信網で構成されてもよい。また、通信網4は、有線通信網のほか、無線通信網等の公知の通信技術で実現してもよい。
【0092】
(移動経路提案システム100の動作の一例)
次に、本実施形態における移動経路提案システム100の動作の一例について説明する。図8は、本実施形態における移動経路提案システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0093】
<情報取得手段S110>
図8に示すように、情報取得部11は、路上を走行する各車両3の走行位置を示す位置情報と、走行時刻を示す時刻情報と、走行時刻及び走行位置における運転操作に関する操作情報とを取得する(情報取得手段S110)。
【0094】
情報取得部11により取得された各車両3の走行位置を示す位置情報と、走行時刻を示す時刻情報と、走行時刻及び走行位置における運転操作に関する操作情報は、記憶部15を介して、データベース2に保存される。情報取得部11は、例えば車両3の始動後に、各車両3の走行位置を示す位置情報と、走行時刻を示す時刻情報と、走行時刻及び走行位置における運転操作が生成される度に取得するほか、例えば任意の期間や場所で生成された操作情報を取得してもよい。
【0095】
<集計手段S120>
次に、集計部12は、予め取得した二次元座標からなる平面地図5上において、時刻情報に示される走行時刻毎に、情報取得手段S110により取得された位置情報に対応する各走行位置に、操作情報に含まれる運転操作を集計することで参照用平面地図情報6を生成する(集計手段S120)。
【0096】
集計部12は、さらに評価部を備え、複数のデータセットに基づき移動経路を提案するようにしてもよい。評価部17は、参照データベースを参照し、データセットに対する評価結果を生成する。評価部17は、情報取得部11により取得された各種の情報のデータセットを取得し、例えば保存部104に保存された参照データベースを取得する。評価部17は、例えばデータセットを入力データとし、関数等で示された連関性に基づき算出された解に紐づく最適な参照情報を選択し、最適な参照情報に基づく評価結果を生成する。
【0097】
<提案手段S130>
次に、提案部13は、情報取得手段S110により路上を走行する提案対象の車両から新たに取得した現在の走行時刻及び走行位置に対応する操作情報を、集計手段S120により生成された参照用平面地図情報を参照することで特定し、特定した操作情報に基づいて移動経路を提案する(提案手段S130)。
<更新手段S140>
更新部16は、例えば予め取得した二次元座標からなる平面地図5上において、時刻情報に示される走行時刻毎に、情報取得手段により取得された位置情報に対応する各走行位置に、操作情報に含まれる運転操作に新たな情報を取得した場合には、参照用平面地図情報6の集計を更新する。また、更新部16は、例えば過去の運転操作と、参照情報との間の関係を新たに取得した場合には、関係を連関性に反映させてもよい(更新手段S140)。例えば評価部により生成された評価結果を踏まえ、管理者等が評価結果の精度を判定した判定結果を提案装置1が取得した場合、更新部16は、判定結果に基づき参照データベースに含まれる連関性を更新する。
【0098】
これにより、本実施形態における移動経路提案システム100の動作が終了してもよい。なお、更新手段S140を実施する場合のタイミングは、任意である。
【0099】
本実施形態によれば、評価部17は、参照データベースを参照し、運転操作に対する評価結果を生成する。このため、過去の結果を踏まえた評価結果を生成できるとともに、車両3の走行位置を示す位置情報と、走行時刻を示す時刻情報と、走行時刻及び走行位置に対する急制動、急旋回に加えて、急変更を評価対象とすることができる。これにより、評価精度の向上を図ることが可能となる。
【0100】
また、本実施形態によれば、参照用平面地図情報6は、各車両3の時刻情報を有する。このため、車両3が移動する場合等においても、位置情報の変化前後を踏まえた評価を実施することができる。これにより、評価条件を拡大させることが可能となる。
【0101】
また、本実施形態によれば、学習モデルは、過去の運転操作と、参照情報とを学習データとして用いた機械学習により構築される。このため、過去の運転操作とは異なる未知のデータセットを評価する場合においても、定量的な評価を実施することができる。これにより、評価精度の更なる向上を図ることが可能となる。
【0102】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
1 :提案装置
2 :データベース
3 :車両
4 :通信網
5 :平面地図
6 :参照用平面地図情報
7 :提案
10 :筐体
11 :情報取得部
12 :集計部
13 :提案部
14 :出力部
15 :記憶部
16 :更新部
17 :評価部
100 :移動経路提案システム
101 :CPU
102 :ROM
103 :RAM
104 :保存部
105 :I/F
106 :I/F
107 :I/F
108 :入力部
109 :出力部
110 :内部バス
111 :操作画面
112 :設定バー
m1 :急制動
m2 :急旋回
m3 :急変更
p1 :集計位置
p2 :集計位置
p3 :集計位置
p4 :集計位置
p5 :集計位置
p6 :集計位置
r1 :移動経路
r2 :移動経路
r3 :移動経路
r4 :移動経路
t1 :時刻情報
t2 :時刻情報
t3 :時刻情報
t4 :時刻情報
S110 :情報取得手段
S120 :集計手段
S130 :提案手段
S140 :更新手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9