(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】情報選択装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20230904BHJP
【FI】
A61B8/12
(21)【出願番号】P 2020509286
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2019013474
(87)【国際公開番号】W WO2019189519
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2018066171
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518110280
【氏名又は名称】株式会社ロッケン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】坂本 泰一
(72)【発明者】
【氏名】清水 克彦
(72)【発明者】
【氏名】佐賀 亮介
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-513942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の心臓の拍動周期を入力可能な拍動入力部と、
前記被検者の呼吸周期を入力可能な呼吸入力部と、
異なる時刻での前記心臓の内壁面情報を入力可能な情報入力部と、
入力された複数の内壁面情報のうち、前記拍動周期に含まれる所定拍動位相範囲と、前記呼吸周期に含まれる所定呼吸位相範囲と、が重なるタイミングで入力された内壁面情報を、
離散データである選択情報として選択する制御部と、を備え
、
前記制御部は、複数の前記選択情報に基づいて、前記離散データの互いに隣接するデータ間を滑らかな曲線で連結することにより、前記選択情報の選択に起因する前記内壁面情報の欠損情報を補完し、補完処理された前記内壁面情報に基づいて、前記心臓の3次元画像を生成する情報選択装置。
【請求項2】
前記所定拍動位相範囲は、前記拍動周期のピークを含む、請求項1に記載の情報選択装置。
【請求項3】
前記所定呼吸位相範囲は、前記呼吸周期のピークを含む、請求項1又は2に記載の情報選択装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記離散データの互いに隣接するデータ間を3次元スプライン曲線で連結することにより、前記選択情報の選択に起因する前記内壁面情報の欠損情報を補完する、請求項1から3のいずれか一項に記載の情報選択装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数の内壁面情報のうち、前記所定拍動位相範囲を1つとする複数の拍動位相範囲それぞれと、前記所定呼吸位相範囲を1つとする複数の呼吸位相範囲それぞれと、が重なるタイミングで入力された内壁面情報を、組み合わせ毎でグループに分類する、請求項1から4のいずれか一項に記載の情報選択装置。
【請求項6】
前記制御部は、同一の前記グループに分類された複数の内壁面情報に基づいて、前記心臓の3次元画像を生成する、請求項5に記載の情報選択装置。
【請求項7】
表示部を更に備え、
前記制御部は、前記情報入力部に内壁面情報が入力されるたびに、当該内壁面情報が分類されたグループに属する複数の内壁面情報に基づいて前記心臓の3次元画像を生成し、当該3次元画像を前記表示部に表示させる、請求項6に記載の情報選択装置。
【請求項8】
表示部を更に備え、
前記制御部は、予め選択されたグループに属する内壁面情報が前記情報入力部に入力されるたびに、前記予め選択されたグループに属する複数の情報に基づいて前記心臓の3次元画像を生成し、当該3次元画像を前記表示部に表示させる、請求項6に記載の情報選択装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報選択装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療器具を心臓内に挿入し、心臓を治療することが行われている。例えば特許文献1には、心臓や血管等の3次元画像を生成する技術が開示されている。このように生成した心臓の3次元画像を利用することで、心臓内の様子を把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、心臓は、拍動等の影響によって、その大きさや形を経時的に変化させる。従って、経時的に取得した情報に基づき心臓のマッピングを行う際には、心臓の大きさや形の経時的な変化を加味することが求められる。特許文献1に開示された技術によると、心臓の拍動の影響を低減させた3次元画像を生成することができるが、心臓の大きさや形の経時的な変化を加味した心臓のマッピングについては依然として改善の余地があった。
【0005】
本開示の目的は、上記問題に鑑み、心臓の大きさや形の経時的な変化を加味した心臓のマッピングの精度を向上可能な情報選択装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様としての情報選択装置は、被検者の心臓の拍動周期を入力可能な拍動入力部と、前記被検者の呼吸周期を入力可能な呼吸入力部と、異なる時刻での前記心臓の内壁面情報を入力可能な情報入力部と、入力された複数の内壁面情報のうち前記拍動周期に含まれる所定拍動位相範囲と前記呼吸周期に含まれる所定呼吸位相範囲とが重なるタイミングで入力された内壁面情報を選択情報として選択する制御部と、を備える。
【0007】
本発明の一実施形態としての情報選択装置は、前記所定拍動位相範囲が、前記拍動周期のピークを含む。
【0008】
本発明の一実施形態としての情報選択装置は、前記所定呼吸位相範囲が、前記呼吸周期のピークを含む。
【0009】
本発明の一実施形態としての情報選択装置は、前記制御部が、複数の前記選択情報に基づいて前記心臓の3次元画像を生成する。
【0010】
本発明の一実施形態としての情報選択装置は、前記制御部が、前記複数の内壁面情報のうち、前記所定拍動位相範囲を1つとする複数の拍動位相範囲それぞれと、前記所定呼吸位相範囲を1つとする複数の呼吸位相範囲それぞれと、が重なるタイミングで入力された内壁面情報を、組み合わせ毎でグループに分類する。
【0011】
本発明の一実施形態としての情報選択装置は、前記制御部が、同一の前記グループに分類された複数の内壁面情報に基づいて、前記心臓の3次元画像を生成する。
【0012】
本発明の一実施形態としての情報選択装置は、表示部を更に備え、前記制御部が、前記情報入力部に内壁面情報が入力されるたびに、当該内壁面情報が分類されたグループに属する複数の内壁面情報に基づいて前記心臓の3次元画像を生成し、当該3次元画像を前記表示部に表示させる。
【0013】
本発明の一実施形態としての情報選択装置は、表示部を更に備え、前記制御部が、予め選択されたグループに属する内壁面情報が前記情報入力部に入力されるたびに、前記予め選択されたグループに属する複数の情報に基づいて前記心臓の3次元画像を生成し、当該3次元画像を前記表示部に表示させる。
【0014】
本発明の第2の態様としての情報選択装置は、被検者の心臓の拍動周期を入力可能な拍動入力部と、前記被検者の呼吸周期を入力可能な呼吸入力部と、異なる時刻での前記心臓の内壁面情報を入力可能な情報入力部と、を備え、前記情報入力部は、前記拍動周期に含まれる所定拍動位相範囲と、前記呼吸周期に含まれる所定呼吸位相範囲と、が重なるタイミングでの内壁面情報のみの入力を受け付ける。
【0015】
本発明の一実施形態としての情報選択装置は、前記情報入力部が、前記心臓内に挿入されている筒状部材の内部に位置する超音波振動子又は撮像素子によって取得される内壁面情報の入力を受け付け、前記超音波振動子又は前記撮像素子を前記筒状部材の内部で移動させる駆動部を更に備える。
【0016】
本発明の一実施形態としての情報選択装置は、前記情報入力部が、前記超音波素子を備え、前記超音波素子が、超音波を前記心臓の内壁面に照射し、当該心臓の内壁面から反射する超音波に基づいて当該心臓の内壁面情報を取得可能である。
【0017】
本発明の一実施形態としての情報選択装置は、前記駆動部がシャフトの基端部と連結し、前記超音波素子が当該シャフトの先端部に固定され、前記駆動部が、前記シャフトを介して前記超音波素子を移動させる。
【発明の効果】
【0018】
本開示の情報選択装置によると、心臓の大きさや形の経時的な変化を加味した心臓のマッピングの精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態としての画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】超音波素子が挿入された医療デバイスの一例を示す斜視図である。
【
図5】心臓の3次元画像の生成方法の詳細を示すフローチャートである。
【
図6】(a)動脈パルスの強度及び(b)心臓の電気的な活動に起因する電位の強度の時間変化を示すグラフである。
【
図7】
図6(a)又は
図6(b)に示すグラフを時間軸に沿って圧縮したグラフである。
【
図8】超音波素子を用いて得られる心臓の内壁面情報の分布を示す図である。
【
図9】心臓の内壁面情報から選択情報を選択する様子を示す図である。
【
図11】補完処理された心臓の内壁面情報の分布を示す図である。
【
図12】心臓の3次元画像の生成方法の変形例を示すフローチャートである。
【
図15】拍動周期に含まれる所定拍動位相範囲と、呼吸周期に含まれる所定呼吸位相範囲と、が重なるタイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図において共通の構成部には、同一の符号を付している。また、本明細書では、医療デバイス2の生体管腔に挿入する側を「遠位側」又は「先端側」、操作する手元側を「近位側」又は「基端側」と称することとする。本実施形態では、本発明に係る情報選択装置の一実施形態としての画像処理装置1について説明する。
【0021】
[画像処理装置1]
図1は、本発明の一実施形態としての画像処理装置1の概略構成を示すブロック図である。
図2は、画像処理装置1の概略図である。
図1及び
図2に示すように、画像処理装置1は、駆動部50と、表示部51と、操作受付部52と、記憶部53と、制御部54と、拍動入力部60と、呼吸入力部70と、情報入力部76と、を備える。
【0022】
図1に示すように、拍動入力部60は、外部の拍動計測デバイス160と電気的に接続されている。呼吸入力部70は、外部の呼吸計測デバイス170と電気的に接続されている。情報入力部76は、外部の超音波検査器20の超音波素子21と電気的に接続されている。超音波検査器20は、超音波素子21と、シャフト22と、チューブ23と、を備える。
【0023】
駆動部50は、モータを内蔵し、超音波検査器20のシャフト22を介して、周囲情報取得デバイスとしての超音波素子21を後述するカテーテル40の延在方向に沿って往復移動させる。具体的に、駆動部50は、
図2に示すように、超音波検査器20を固定し、台座59に載置される。駆動部50は、台座59に対して超音波検査器20の延在方向(すなわち、後述するカテーテル40の延在方向)に沿って往復移動可能である。よって、駆動部50は、駆動部50自体が超音波検査器20の延在方向に沿って往復移動することで、超音波素子21をカテーテル40の延在方向に沿って往復移動させることができる。さらに、駆動部50は、超音波素子21を往復移動させつつ、カテーテル40の周方向に沿って回転させてもよい。この場合、駆動部50は、超音波素子21を一方の向きに連続的に回転させてもよいし、回転の向きを繰り返し入れ替えながら揺動させてもよい。
【0024】
表示部51は、制御部54により生成された表示情報を表示出力する。表示部51は、例えば液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示デバイスを含む。
【0025】
操作受付部52は、操作者による情報又は指示の入力を受け付けて、受け付けた入力情報又は入力指示を制御部54に出力する。操作受付部52は、例えばキーボード、マウス、又はタッチパネルなどの入力デバイスを含む。操作受付部52がタッチパネルを含む場合、タッチパネルは表示部51と一体に設けられていてもよい。
【0026】
記憶部53は、制御部54に特定の機能を実行させるための種々の情報及びプログラムを記憶する。また、記憶部53は、制御部54により生成された被検者の心臓の3次元画像を記憶する。記憶部53は、例えばRAM又はROMなどの記憶装置を含む。
【0027】
制御部54は、画像処理装置1を構成する各構成部の動作を制御する。制御部54は、特定のプログラムを読み込むことにより特定の機能を実行する。制御部54は、例えばプロセッサを含む。
【0028】
拍動入力部60は、拍動計測デバイス160が計測した被検者の心臓の拍動周期の入力を受け付ける。換言すれば、拍動計測デバイス160は、被検者の心臓の拍動周期を計測し、計測した拍動周期の情報を拍動入力部60に送信する。拍動計測デバイス160は、例えば被検者の心電図波形を取得する心電計、又は被検者の動脈パルスを取得する動脈パルス測定器で構成される。
【0029】
呼吸入力部70は、呼吸計測デバイス170が計測した被検者の呼吸周期の入力を受け付ける。換言すれば、呼吸計測デバイス170は、被検者の呼吸周期を計測し、計測した呼吸周期の情報を呼吸入力部70に送信する。呼吸計測デバイス170は、例えば拍動計測デバイス160と共通の心電計又は動脈パルス測定器で構成される。呼吸計測デバイス170を拍動計測デバイス160と共通の心電計又は動脈パルス測定器で構成した場合の呼吸周期の計測手法については、後述する。
【0030】
情報入力部76は、周囲情報取得デバイスとしての超音波素子21から、心臓の内壁面の情報(以下、単に「内壁面情報」と称する。)の入力を受け付ける。具体的に、情報入力部76は、シャフト22内に延在する信号線を介して超音波素子21と電気的に接続されており、超音波素子21が取得する内壁面情報に関する信号を取得し、当該信号を制御部54に送信する。
【0031】
超音波素子21は、例えば超音波検査器20の遠位端に位置し、超音波を送受信する。超音波素子21は、心臓の内部に位置する場合、超音波を心臓の内壁面に照射し、当該内壁面から反射する超音波に基づいて内壁面情報を取得可能である。シャフト22は、先端部で超音波素子21を固定し、基端部で駆動部50と連結した可撓性を有する線状部材である。チューブ23は、シャフト22の周方向を覆う可撓性を有する筒状部材である。超音波素子21は、例えば、後述する医療デバイス2のカテーテル40に挿入されて使用される。超音波検査器20、及び、後述する医療デバイス2は、合わせて1つの超音波カテーテルを構成してもよい。
【0032】
[医療デバイス2]
図3は、超音波素子21が挿入された医療デバイス2の一例を示す斜視図である。
図4は、医療デバイス2の断面図である。
【0033】
図3及び
図4に示すように、医療デバイス2は、ガイドワイヤ10と、電極30a~30jと、筒状部材としてのカテーテル40とを備えている。カテーテル40は、超音波検査器20を内挿可能な第1ルーメン41と、ガイドワイヤ10を内挿可能な第2ルーメン42とを内部に区画している。
図3~
図5では、超音波検査器20が第1ルーメン41に内挿され、ガイドワイヤ10が第2ルーメン42に内挿された状態を示す。以下、特に断らない限り、超音波検査器20及びガイドワイヤ10が、それぞれ第1ルーメン41及び第2ルーメン42に内挿された状態であるとして説明する。なお、医療デバイス2は、ガイドワイヤ10を必ずしも備えなくてもよい。
【0034】
ガイドワイヤ10は、近位側から遠位側に延在する。ガイドワイヤ10は、直線状部11と、直線状部11と連結する遠位側の端部に設けられた環状拡張部12とを有する。環状拡張部12は、例えば形状記憶合金などの金属で構成されており、一定以下の外力が作用する環境では、環状に拡張するように形状記憶されている。
【0035】
図3に示す状態では、環状拡張部12は第2ルーメン42の遠位端よりも遠位側に位置し、環状に拡張している。環状拡張部12は、ガイドワイヤ10の直線状部11の径方向A外側に向かって拡張し、ガイドワイヤ10の直線状部11の周方向Bに沿って延在している。環状拡張部12は、環状に拡張した状態では、カテーテル40の外径よりも大きい。また、
図3に示すように、ガイドワイヤ10の先端側から見た場合に、カテーテル40の外径よりも大きい環状に拡張した環状拡張部12の環状内部に、ガイドワイヤ10の直線状部11とカテーテル40とが位置している。以下、環状拡張部12が環状に拡張した状態であっても、ガイドワイヤ10の直線状部11の径方向を単に「径方向A」と記載し、ガイドワイヤ10の直線状部11の周方向を単に「周方向B」と記載する。また、以下、特に断らない限り、環状拡張部12は環状に拡張した状態であるとして説明する。
【0036】
電極30a~30jは、環状拡張部12に固定され、環状拡張部12の延在方向、すなわち、ガイドワイヤ10の周方向Bに沿って、それぞれ異なる位置に固定されている。以下、電極30a~30jを区別しない場合には、まとめて電極30と記載する。
【0037】
電極30は、生体管腔の内壁に接触させることで、その生体管腔の内壁の電気的特性を検出可能である。電気的特性としては、例えば、電極30と、生体の他の部位に接触した他の電極との間の電位差等を用いることができる。電極30は、環状拡張部12の遠位端13から露出するように配置されており、環状拡張部12の遠位端13を生体管腔の内壁に押し当てることで、生体管腔の内壁に接触させることができる。
【0038】
図3及び
図4に示すように、超音波検査器20の中心軸Oは、カテーテル40の延在方向に沿って延在している。超音波素子21は、径方向に沿って超音波を送受信することで、中心軸Oの周りの内壁面情報を取得する。換言すれば、超音波素子21は、カテーテル40の延在方向に直交する平面に沿う、カテーテル40の周囲の情報(以下、「周囲情報」と記載する。)を取得する。詳細には、超音波素子21は、超音波発信部と超音波受信部とを有し、超音波発信部によって超音波を径方向に沿って発信し、反射した超音波を超音波受信部によって受信して信号処理することで、情報に関する信号を取得する。超音波素子21は、生体管腔内に挿入された状態では、生体管腔から反射される超音波を受信することで、内壁面情報を取得可能である。
【0039】
図4に示すように、シャフト22は、中心軸Oに沿う遠位端で超音波素子21を固定している。シャフト22は、中心軸Oを中心としてカテーテル40の周方向に沿って回転可能である。超音波素子21は、シャフト22の回転に連動して中心軸Oの周りを回転することで、中心軸Oの周りの周囲情報を取得可能である。また、シャフト22は、中心軸Oすなわちカテーテル40の延在方向に沿って移動可能である。超音波素子21は、シャフト22の中心軸Oに沿った移動に連動して中心軸Oに沿って移動することで、中心軸Oに沿って周囲情報を取得可能である。シャフト22が中心軸Oに沿って移動するとき、チューブ23もシャフト22の移動に連動して移動する。シャフト22の外径は、超音波素子21の外径よりも小さい。
【0040】
図4に示すように、チューブ23は、シャフト22の周方向を覆う可撓性を有する筒状部材である。チューブ23は、シャフト22と密着しているため、シャフト22の回転及び移動を阻害することなく、カテーテル40に対して延在方向にスライド可能である。また、超音波検査器20の基端側の手元の押し込み力を超音波検査器20の先端側に伝えやすくするために、チューブ23の基端部はチューブ23の先端部よりも硬い。
【0041】
図3及び
図4に示すように、カテーテル40は、遠位側の端部である先端部45と、近位側の端部である図示しない基端部とを有し、第2ルーメン42が先端部45にのみ区画された、ラピッドエクスチェンジ(RX)タイプのカテーテルである。カテーテル40は、RXタイプのカテーテルには限定されず、他の形状のカテーテル、例えば、オーバーザワイヤー(OTW)タイプでのカテーテルであってもよい。
【0042】
[心臓の3次元画像の生成方法]
図5は、心臓の3次元画像の生成方法の詳細を示すフローチャートである。
図6(a)は、動脈パルス測定器により測定される動脈パルスの強度の時間変化を示すグラフである。
図6(b)は、心電計により測定される心臓の電気的な活動に起因する電位の強度の時間変化を示すグラフである。
図7は、
図6(a)に示すグラフ又は
図6(b)に示すグラフを時間軸に沿って圧縮したグラフである。
【0043】
図5に示すように、画像処理装置1は、情報入力部76を介して、周囲情報取得デバイスとしての超音波素子21が取得した、異なる時刻での心臓の内壁面の情報(内壁面情報)の入力を、受け付ける(ステップS101)。詳細には、超音波素子21は、駆動部50によって、カテーテル40の周方向に沿って所定の回転速度(例えば1800rpm)で回転し、かつ、カテーテル40の延在方向に沿って所定速度(例えば0.5mm/秒)で移動しながら、心臓の内壁面の複数の位置での内壁面情報を所定の時間間隔(例えば1/30秒)で取得する。超音波素子21は、カテーテル40の延在方向に沿って、一方向にのみ移動してもよいし、繰り返し往復移動してもよい。
【0044】
画像処理装置1は、拍動入力部60を介して、拍動計測デバイス160が計測する被検者の心臓の拍動周期の入力を、受け付ける(ステップS102)。詳細には、拍動計測デバイス160を動脈パルス測定器で構成する場合、
図6(a)に示すような動脈パルスの強度の時間変化を示すデータが得られる。動脈パルスの強度は、周期的にピークとなる波形を有し、動脈パルスの強度がピークとなるとき、心臓が拍動に伴って最も収縮又は拡張している。この動脈パルスの強度の時間変化の周期性に基づいて、心臓の拍動周期101を計測することができる。また、拍動計測デバイス160を心電計で構成する場合、
図6(b)に示すような心臓の電気的な活動に起因する電位の強度の時間変化を示すデータが得られる。電位の強度は、周期的にピークとなる波形を有し、例えば電位の強度がR波のピークとなるとき、心臓が収縮するための電気信号が発生している。この電位の強度の時間変化の周期性に基づいて、心臓の拍動周期101を計測することができる。
図6(a)及び
図6(b)に示すように、心臓の拍動周期101は、心臓が拍動に伴って収縮及び拡張を繰り返す、繰り返し単位1つ分の時間である。画像処理装置1は、制御部54を用いて、ステップS101の処理で所定の時間間隔で入力された複数の内壁面情報から、心臓の内壁面の変動具合、例えば内壁面の位置の時刻歴の中に現れる周期的な特徴等を抽出し、その変動具合から心臓の収縮及び拡張のピークを取得することで、心臓の拍動周期を推定してもよい。この場合、拍動入力部60は、制御部54の一機能として構成される。
【0045】
画像処理装置1は、ステップS102の処理と並行して、呼吸入力部70を介して、呼吸計測デバイス170が計測する被検者の呼吸周期の入力を、受け付ける(ステップS103)。呼吸計測デバイス170は、例えば、拍動計測デバイス160と共通の心電計又は動脈パルス測定器で構成することができる。呼吸計測デバイス170は、被検者の呼吸周期を直接計測可能な計測器で構成してもよい。詳細には、呼吸計測デバイス170を動脈パルス測定器で構成する場合、
図6(a)に示す動脈パルスの強度の時間変化のグラフを時間軸に沿って圧縮することで、
図7に示すグラフが得られる。また、呼吸計測デバイス170を心電計で構成する場合、
図6(b)に示す電位の強度の時間変化のグラフのうち各波形で最も高いピークを示すR波について時間軸に沿って圧縮することで、
図7に示すグラフと同様のグラフが得られる。
図7に示すように、動脈パルスの強度のピーク又は電位の強度のピークは、長期的には周期的に増減を繰り返す。この増減の周期は、被検者の呼吸周期102と一致することが知られている。従って、動脈パルスの強度のピーク又は電位の強度のピークの増減の周期を計測することで、被検者の呼吸周期102を計測することができる。画像処理装置1は、制御部54を用いて、ステップS101の処理で所定の時間間隔で入力された複数の内壁面情報から、心臓の内壁面の変動具合、例えば内壁面の位置の時刻歴の中に現れる周期的な特徴等を抽出し、その変動具合から心臓の収縮及び拡張のピークを取得し、このピークの長期的な増減を抽出することで、被検者の呼吸周期を推定することができる。この場合、呼吸入力部70は、制御部54の一機能として構成される。
【0046】
画像処理装置1は、制御部54を用いて、拍動周期101(
図6参照)に含まれる所定拍動位相範囲と、呼吸周期102(
図7参照)に含まれる所定呼吸位相範囲と、が重なるタイミングで入力された内壁面情報を、選択情報として選択する(ステップS104)。所定拍動位相範囲は、拍動の各周期における所定の位相を含む所定の時間範囲である。換言すれば、所定拍動位相範囲では、心臓の拍動に基づく拡張・収縮状態が各周期に亘って同じ状態であり、心臓の拍動が心臓の大きさや形等に与える影響が各周期に亘って近い状態である。また、所定呼吸位相範囲は、呼吸の各周期における所定の位相を含む所定の時間範囲である。換言すれば、所定呼吸位相範囲では、被検者の呼吸が各周期に亘って同じ状態であり、呼吸が心臓の大きさや形等に与える影響が各周期に亘って近い状態である。従って、所定拍動位相範囲と所定呼吸位相範囲とが重なるタイミングで取得された内壁面情報を選択することで、拍動及び呼吸によって心臓の大きさや形等に与えられる影響が均一化された内壁面情報を得ることができる。本例では、
図6(a)に示すように、所定拍動位相範囲103は、拍動周期101のピーク105を含む。
図7に示すように、所定呼吸位相範囲104は、呼吸周期102のピーク106を含む。例えば
図7に示したグラフのピーク107は、拍動周期のピーク105と呼吸周期のピーク106とが同時となるタイミングを示す。つまり、拍動周期に含まれる所定拍動位相範囲と、呼吸周期に含まれる所定呼吸位相範囲と、が重なるタイミングの一例として、拍動周期のピーク105と呼吸周期のピーク106とが同時となるピーク107のタイミングを採用することができる。
図15は、拍動周期に含まれる所定拍動位相範囲と、呼吸周期に含まれる所定呼吸位相範囲と、が重なるタイミングの一例としてのピーク107のタイミングを模式的に示している。
【0047】
ステップS104の処理を、
図8~
図11を参照して詳細に説明する。
図8は、周囲情報取得デバイスとしての超音波素子21を用いて得られる心臓位置情報の分布を示す図である。
図8において、横軸Zは超音波素子21がカテーテル40の延在方向に沿って移動する距離を示し、縦軸Xは超音波素子21により計測される内壁面情報としての超音波素子21から心臓の内壁面までの距離を示し、これらは
図9~
図11においても同様である。
図9は、内壁面情報から選択情報を選択する様子を示す図である。
図10は、選択情報の分布を示す図である。
【0048】
図8に示すように、ステップS101の処理において、画像処理装置1が、情報入力部76を介して、超音波素子21から入力される内壁面情報は、横軸Zが微小変化する間に縦軸Xに沿って変化するばらつきが大きい。これは、超音波素子21が延在方向に沿って移動する間に、心臓の拍動や呼吸によって心臓の大きさや形が変化することに起因すると考えられる。
【0049】
図8は、
図7に示したグラフのピークに対応する波形を破線で重畳表示している。
図8の横軸Zは、超音波素子21がカテーテル40の延在方向に沿って移動する距離であるが、超音波素子21は一定速度で移動するため、
図7の横軸である時間軸と一致させることができる。
図9は、この破線で示した波形の下端のピークの時刻を、縦軸Xに沿った直線で示す。この波形の下端のピークの時刻は、上記の通り拍動周期のピークと呼吸周期のピークとが同時となるタイミングである。この波形の下端のピークの時刻で入力された内壁面情報を選択情報として選択すると、
図10のように示される。
図10に示すように、選択情報を、拍動周期のピークと呼吸周期のピークとが同時となるタイミングで選択することで、内壁面情報の縦軸Xに沿うばらつきが低減される。
【0050】
画像処理装置1は、上記ステップS101及びS104の処理に代えて、拍動周期の第1位相と呼吸周期の第2位相とが同時となるタイミングでのみ、内壁面情報の入力を受け付けてもよい。換言すれば、画像処理装置1は、拍動周期の第1位相と呼吸周期の第2位相とが同時となるタイミングを推測し、当該タイミングに合わせて超音波素子21から入力される内壁面情報の入力のみを、受け付けてもよい。この場合、画像処理装置1は、超音波素子21から、
図10に示す内壁面情報が直接入力される。
【0051】
画像処理装置1は、制御部54を用いて、内壁面情報の補完処理を行う(ステップS105)。補完処理は、例えばディープラーニングなどの機械学習的な手法や、3次元スプライン曲線(3Dspline curve)等、離散データから欠損情報を補完し、滑らかな曲線を描く手法を用いることができる。
図11は、
図10に示した内壁面情報の離散データに対して補完処理を行った分布を示す図である。
【0052】
画像処理装置1は、補完処理を行う際、拍動周期の第1位相と呼吸周期の第2位相とが同時となるタイミングの内壁面情報のみを選択し、当該選択された内壁面情報に基づいて、2次元画像を構築してもよい。さらに、画像処理装置1は、構築した2次元画像から、心臓の位置又は領域や、心臓に挿入されている医療器具などの位置又は領域を、取得してもよい。他方、選択していない領域のデータは欠損データとなるが、その欠損データは、制御部54を用いて、心臓の位置及び領域の情報の補完処理を行うことで補間する(ステップS105)。補完処理は、例えばディープラーニングなどの機械学習的な手法や3次元スプライン曲線(3Dspline curve)等、離散データから欠損情報を補完し、滑らかな曲線を描く手法を用いることができる。
【0053】
画像処理装置1は、制御部54を用いて、補完処理された内壁面情報に基づいて、心臓の2次元画像を生成し、当該2次元画像に基づいて、3次元画像を生成し(ステップS106)、処理を終了する。画像処理装置1は、ステップS101の処理で入力された内壁面情報に基づいて、先に2次元画像や当該2次元画像に基づく3次元画像を生成し、その後、ステップS104及びステップS105の処理を経て補完された2次元画像を生成し、当該補完された2次元画像に基づいて3次元画像を生成してもよい。
【0054】
上記のように、画像処理装置1は、周囲情報取得デバイスとしての超音波素子21によって取得され、情報入力部76に入力された内壁面情報のうち、拍動周期に含まれる所定拍動位相範囲と、呼吸周期に含まれる所定呼吸位相範囲と、が重なるタイミングで入力された内壁面情報を、選択情報として選択する。したがって、選択情報に基づいて心臓のマッピングを行うことで、心臓の大きさや形の経時的な変化を加味した心臓のマッピングの精度を向上させることができる。
【0055】
[心臓の3次元画像の生成方法の変形例]
図12は、心臓の3次元画像の生成方法の変形例を示すフローチャートである。
図12に示すように、画像処理装置1は、情報入力部76を介して、周囲情報取得デバイスとしての超音波素子21が取得した、心臓の内壁面の情報(内壁面情報)を取得する(ステップS201)。
【0056】
画像処理装置1は、拍動入力部60を介して、拍動計測デバイス160が計測する被検者の心臓の拍動周期の入力を、受け付ける(ステップS202)。詳細には、画像処理装置1は、被検者の心臓の拍動周期の入力を、
図5に示すステップS102の処理と同様の手法で、受け付けることができる。
【0057】
画像処理装置1は、ステップS202の処理と並行して、呼吸入力部70を介して、呼吸計測デバイス170が計測する被検者の呼吸周期の入力を、受け付ける(ステップS203)。詳細には、画像処理装置1は、被検者の呼吸周期の入力を、
図5に示すステップS103の処理と同様の手法で、受け付けることができる。
【0058】
画像処理装置1は、制御部54を用いて、ステップS201の処理で入力された内壁面情報を、当該内壁面情報が入力された時点での拍動位相範囲と呼吸位相範囲との組み合わせのグループに分類する(ステップS204)。画像処理装置1は、内壁面情報のグループへの分類を、例えば、内壁面情報にグループごとの識別番号を関連付けて、記憶部53に記憶させることで行う。ここで、拍動位相範囲は、拍動の各周期における所定の位相を含む所定の時間範囲であり、拍動の各周期に複数の拍動位相範囲が含まれる。上記した所定拍動位相範囲は、複数の拍動位相範囲の1つである。また、呼吸位相範囲は、呼吸の各周期における所定の位相を含む所定の時間範囲であり、呼吸の各周期に複数の呼吸位相範囲が含まれる。上記した所定呼吸位相範囲は、複数の呼吸位相範囲の1つである。
【0059】
拍動位相範囲及び呼吸位相範囲の詳細について、
図13及び
図14を参照して説明する。
図13は、
図6(a)に示した動脈パルスの強度の時間変化を示すグラフを用いて、拍動位相範囲を説明する図である。
図14は、
図7に示したグラフを用いて、呼吸位相範囲を説明する図である。
図13に示すように、拍動位相範囲は、例えば、収縮のピークP1を含む収縮期T1、拡張のピークP2を含む拡張期T2、拡張期T2の後であって次の収縮期T1の前である中間期T3、とすることができる。
図14に示すように、呼吸位相範囲は、例えば、呼気のピークP4を含む呼気期T4、吸気のピークP5を含む吸気期T5、とすることができる。この場合、拍動の各周期における複数の拍動位相範囲は3つ(T1、T2及びT3)であり、呼吸の各周期における複数の呼吸位相範囲は2つ(P4及びP5)であるため、拍動位相範囲と呼吸位相範囲との組み合わせは6通りとなる。この組み合わせは、少なくとも、心臓が最も拡張した最大拡張期、又は心臓が最も収縮した最小収縮期を含む。最大拡張期は、例えば、拍動位相範囲が拡張期T2であり、かつ、呼吸位相範囲が吸気期T5の場合である。最小収縮期は、例えば、拍動位相範囲が収縮期T1であり、かつ、呼吸位相範囲が呼気期T4の場合である。
図13では、複数の拍動位相範囲が、互いに時間間隔を空けて設定された例を示しているが、時間間隔を空けずに全ての時点がいずれかの拍動位相範囲に含まれるように設定してもよい。複数の拍動位相範囲が互いに時間間隔を空けて設定されている場合、内壁面情報が入力された時点がいずれの拍動位相範囲にも該当しない場合、ステップS201の処理に戻ってもよいし、時間軸で最も近い拍動位相範囲に該当すると判定してもよい。また、
図14では、複数の呼吸位相範囲が、互いに時間間隔を空けずに設定された例を示しているが、時間間隔を空けるように設定してもよい。複数の呼吸位相範囲が互いに時間間隔を空けて設定されている場合、内壁面情報が入力された時点がいずれの呼吸位相範囲にも該当しない場合、ステップS201の処理に戻ってもよいし、時間軸で最も近い呼吸位相範囲に該当すると判定してもよい。
【0060】
画像処理装置1は、制御部54を用いて、表示モードが経時変化追従モードに設定されているか否かを判定する(ステップS205)。ここで、表示モードは、経時変化追従モードと、固定モードとを含み、いずれかの表示モードが、例えば操作受付部52が受け付けた入力情報に基づいて予め設定され、記憶部53に記憶される。経時変化追従モードは、表示部51に表示させる画像を、新たに取得された内壁面情報が分類されたグループに属する内壁面情報に基づいて生成される3次元画像に随時切り替えて表示するモードである。経時変化追従モードとすれば、心臓の大きさや形状等の経時的な変化をモニタリングすることができる。固定モードは、表示部51に表示させる画像を、予め選択されたグループ(以下、適宜「選択グループ」と称する。)に属する内壁面情報に基づいて生成される3次元画像に固定するモードである。固定モードとすれば、例えば拍動により拡張状態となった心臓など、所定状態の心臓を常時表示することができる。画像処理装置1は、表示モードが経時変化追従モードに設定されていると判定する場合(ステップS205のYes)、ステップS206の処理に進む。
【0061】
画像処理装置1は、制御部54を用いて、新たに入力された内壁面情報が分類されたグループに属する複数の内壁面情報に基づいて、2次元画像を生成し、当該2次元画像に基づいて、3次元画像を生成する(ステップS206)。詳細には、当該グループに属する複数の内壁面情報のうち、新たに入力された内壁面情報以外の内壁面情報に基づいて既に生成された3次元画像が記憶部53に記憶されていた場合、画像処理装置1は、生成済みの3次元画像を読み出し、新たに入力された内壁面情報を追加して得られる新たな3次元画像を生成する。画像処理装置1は、本ステップで3次元画像を生成する際、
図5に示したステップS106の処理と同様に、補完処理を行ってもよい。
【0062】
画像処理装置1は、ステップS206の処理の後、制御部54を用いて、表示部51に、新たに生成した3次元画像に順次切り替えて表示させる(ステップS207)。このとき、画像処理装置1は、新たに生成した3次元画像を、新たに入力された内壁面情報が分類されたグループの3次元画像として、記憶部53に記憶してもよい。画像処理装置1は、ステップS207の処理の後、ステップS211の処理に進む。
【0063】
一方、画像処理装置1は、ステップS205の判定処理において、表示モードが経時変化追従モードに設定されていない、すなわち固定モードに設定されていると判定する場合(ステップS205のNo)、ステップS208の処理に進む。
【0064】
画像処理装置1は、制御部54を用いて、新たに入力された内壁面情報が分類されたグループが、選択グループであるか否かを判定する(ステップS208)。ここで、選択グループは、拍動位相範囲と呼吸位相範囲との組み合わせのグループのうち、選択されたいずれかのグループを意味する。選択グループは、例えば操作受付部52が受け付けた入力情報に基づいて予め設定され、記憶部53に記憶される。画像処理装置1は、新たに入力された内壁面情報が分類されたグループが、選択グループであると判定する場合(ステップS208のYes)、ステップS209の処理に進む。一方、画像処理装置1は、新たに入力された内壁面情報が分類されたグループが、選択グループではないと判定する場合(ステップS208のNo)、ステップS211の処理に進む。
【0065】
画像処理装置1は、ステップS209の処理において、制御部54を用いて、選択グループに属する複数の内壁面情報に基づいて、2次元画像を生成し、当該2次元画像に基づいて、3次元画像を生成する(ステップS209)。詳細には、選択グループに属する複数の内壁面情報のうち、新たに入力された内壁面情報以外の内壁面情報に基づいて既に生成された3次元画像を、記憶部53から読み出し、新たに入力された内壁面情報を追加して得られる新たな3次元画像を生成する。画像処理装置1は、本ステップで3次元画像を生成する際、
図5に示したステップS106の処理と同様に、補完処理を行ってもよい。
【0066】
画像処理装置1は、ステップS209の処理の後、制御部54を用いて、表示部51に、新たに生成した3次元画像を更新表示させる(ステップS210)。詳細には、表示モードが固定モードである場合、表示部51には選択グループに属する複数の内壁面情報に基づいて生成された3次元画像が表示されているため、画像処理装置1は、表示中の3次元画像に代えて、新たに入力された内壁面情報を追加して生成される新たな3次元画像を更新表示する。画像処理装置1は、ステップS210の処理の後、ステップS211の処理に進む。
【0067】
画像処理装置1は、ステップS211の処理において、終了操作が入力されたか否かを判定する(ステップS211)。終了操作は、例えば操作受付部52が受け付けた入力情報によって入力される。画像処理装置1は、終了操作が入力されていないと判定する場合(ステップS211のNo)、ステップS201の処理に戻る。一方、画像処理装置1は、終了操作が入力されたと判定する場合(ステップS211のYes)、処理を終了する。
【0068】
ところで、
図12に示したステップS205の処理において、予め設定された表示モードに基づいて、経時変化追従モード又は固定モードに設定するとして説明したが、上記構成には限定されない。例えば、入力された内壁面情報の数が、所定数以下である場合には固定モードとし、所定数を超えると経時変化追従モードとしてもよい。経時的な変化をモニタリングしたい場合、経時変化追従モードの方が固定モードよりも好ましいが、処理負担はより大きくなる。入力された内壁面情報の数が少ないうちは、モニタリングできる情報が少ないため、経時変化追従モードに設定する利点は少ないが、入力された内壁面情報の数が増えるにつれて、経時変化追従モードに設定する利点は大きくなる。したがって、上記構成とすることで、処理負担の軽減と、経時的な変化のモニタリングとのバランスを取った処理を実行することができる。
【0069】
上記のように、画像処理装置1は、周囲情報取得デバイスとしての超音波素子21から入力された複数の内壁面情報のうち、拍動位相範囲と、呼吸位相範囲と、が重なるタイミングで入力された内壁面情報を、当該内壁面情報が入力された時点での拍動位相範囲と呼吸位相範囲との組み合わせのグループに分類する。したがって、グループごとに分類された内壁面情報に基づいて心臓のマッピングを行うことで、心臓の大きさや形の経時的な変化を加味した心臓のマッピングの精度を向上させることができる。
【0070】
また、上記のように、画像処理装置1は、超音波検査器20等の周囲情報取得デバイスから内壁面情報が入力されるたびに、当該内壁面情報が分類されたグループに属する複数の内壁面情報に基づいて心臓の3次元画像を生成し、当該3次元画像を表示部51に順次切り替えて表示させる。したがって、画像処理装置1は、最新の内壁面情報に基づいて生成される3次元画像をリアルタイムに変化させながら表示することができる。
【0071】
また、上記のように、画像処理装置1は、選択グループに属する内壁面情報が超音波検査器20等の周囲情報取得デバイスから入力されるたびに、選択グループに属する複数の内壁面情報に基づいて心臓の3次元画像を生成し、当該3次元画像を表示部51に更新表示させる。したがって、画像処理装置1は、特定のグループに属する内壁面情報のみに基づいて3次元画像を生成するので、心臓の動きの影響を受けない3次元画像を表示することができ、また、各グループに属する内壁面情報に基づいて3次元画像を順次生成するよりも、処理負担を軽減することができる。
【0072】
本発明は、上述した各実施形態で特定された構成に限定されず、請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、各構成部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0073】
上記実施形態では、周囲情報取得デバイスとして、超音波検査器20の超音波素子21を用いるとして説明したが、このような構成には限定されない。例えば、超音波検査器20に替えて、周囲情報取得デバイスとしての撮像素子を備える装置を用いてもよい。撮像素子を用いる装置としては、光干渉断層診断装置、光学周波数領域画像化診断装置、又は、内視鏡等が挙げられる。光干渉断層診断装置又は光学周波数領域画像化診断装置を用いる場合、撮像素子としては、心臓の内壁面に向けて光を出射し、その反射光を検出するイメージングコアユニットを用いることができる。内視鏡を用いる場合、撮像素子としては、被写体からの光を受光して、当該光の強度に応じた電気信号に変換する、CCDセンサやCMOSセンサ等の受光素子を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本開示は、情報選択装置に関する。
【符号の説明】
【0075】
1:画像処理装置(情報選択装置)
2:医療デバイス
10:ガイドワイヤ
11:直線状部
12:環状拡張部
13:環状拡張部の遠位端
20:超音波検査器
21:超音波素子(周囲情報取得デバイス)
22:シャフト
23:チューブ
30、30a~30j:電極
40:カテーテル(筒状部材)
41:第1ルーメン
42:第2ルーメン
45:先端部
46:開口
50:駆動部
51:表示部
52:操作受付部
53:記憶部
54:制御部
60:拍動入力部
70:呼吸入力部
76:情報入力部
101:拍動周期
102:呼吸周期
103:所定拍動位相範囲
104:所定呼吸位相範囲
105:拍動周期のピーク
106:呼吸周期のピーク
160:拍動計測デバイス
170:呼吸計測デバイス
A:ガイドワイヤの径方向
B:ガイドワイヤの周方向
O:超音波検査器の中心軸
P1:収縮のピーク
P2:拡張のピーク
P4:呼気のピーク
P5:吸気のピーク
T1:収縮期(拍動位相範囲)
T2:拡張期(拍動位相範囲)
T3:中間期(拍動位相範囲)
T4:呼気期(呼吸位相範囲)
T5:吸気期(呼吸位相範囲)