IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アラコス,インコーポレイティドの特許一覧

特許7342005エフェクター機能が減少した抗SIGLEC-7抗体
<>
  • 特許-エフェクター機能が減少した抗SIGLEC-7抗体 図1
  • 特許-エフェクター機能が減少した抗SIGLEC-7抗体 図2
  • 特許-エフェクター機能が減少した抗SIGLEC-7抗体 図3
  • 特許-エフェクター機能が減少した抗SIGLEC-7抗体 図4
  • 特許-エフェクター機能が減少した抗SIGLEC-7抗体 図5
  • 特許-エフェクター機能が減少した抗SIGLEC-7抗体 図6
  • 特許-エフェクター機能が減少した抗SIGLEC-7抗体 図7
  • 特許-エフェクター機能が減少した抗SIGLEC-7抗体 図8
  • 特許-エフェクター機能が減少した抗SIGLEC-7抗体 図9
  • 特許-エフェクター機能が減少した抗SIGLEC-7抗体 図10
  • 特許-エフェクター機能が減少した抗SIGLEC-7抗体 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】エフェクター機能が減少した抗SIGLEC-7抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20230904BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20230904BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230904BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230904BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
A61K39/395 T
A61K47/68
A61P35/00
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020538029
(86)(22)【出願日】2019-01-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 US2019013316
(87)【国際公開番号】W WO2019140273
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2022-01-11
(31)【優先権主張番号】62/616,317
(32)【優先日】2018-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519039249
【氏名又は名称】アラコス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182730
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 浩明
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ベビントン
(72)【発明者】
【氏名】ウター コーバー
(72)【発明者】
【氏名】ネナド トマシェビッチ
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/038064(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/040301(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/153433(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗Siglec-7抗体であって、当該抗体は、Siglec-7と結合し;当該抗体は、対応する野生型の人IgGFc領域と比較してエフェクター機能を減少する、又は抗体安定性を増大する、1つ以上のアミノ酸改変を含む変異人IgGFc領域を含み;当該抗体が:
HCDR1配列GYDFSNF(配列番号79)又は変異HCDR1配列GYDFSNY(配列番号89);
HCDR2配列YPGDGE(配列番号80);及び
HCDR3配列DDYLRAMDY(配列番号81)又は変異HCDR3配列DDYLRAMDV(配列番号91)若しくはDDYLRAMDI(配列番号92);
を含む重鎖可変領域、並びに
LCDR1配列RASGNIHNYLA(配列番号93)又は変異LCDR1配列RASQNIHNYLA(配列番号100);
LCDR2配列SAKALAD又は変異LCDR2配列SAKRLES(配列番号94)、又はSAKRLED(配列番号103);及び
LCDR3配列QHFWSSPYT(配列番号95);
を含む軽鎖可変領域、
を含む、抗体。
【請求項2】
前記抗体が、以下:
HCDR1配列GYDFSNF(配列番号79)又はGYDFSNY(配列番号89);
HCDR2配列YPGDGE(配列番号80);
HCDR3配列DDYLRAMDY(配列番号81)又はDDYLRAMDI(配列番号92);
LCDR1配列RASGNIHNYLA(配列番号93)又はRASQNIHNYLA(配列番号100)
を含む、請求項1に記載の抗Siglec-7抗体。
【請求項3】
前記抗体が、以下:
a)HCDR1配列GYDFSNF(配列番号79)、
HCDR2配列YPGDGE(配列番号80)、及び
HCDR3配列DDYLRAMDY(配列番号81)
を含む重鎖可変領域、並びに
LCDR1配列RASGNIHNYLA(配列番号93)、
LCDR2配列SAKRLES(配列番号94)、及び
LCDR3配列QHFWSSPYT(配列番号95)
を含む軽鎖可変領域;
b)HCDR1配列GYDFSNF(配列番号79)、
HCDR2配列YPGDGE(配列番号80)、及び
HCDR3配列DDYLRAMDI(配列番号92)
を含む重鎖可変領域、並びに
LCDR1配列RASGNIHNYLA(配列番号93)、
LCDR2配列SAKRLES(配列番号94)、及び
LCDR3配列QHFWSSPYT(配列番号95)
を含む軽鎖可変領域;
c)HCDR1配列GYDFSNY配列番号89)、
HCDR2配列YPGDGE(配列番号80)、及び
HCDR3配列DDYLRAMDI(配列番号92)
を含む重鎖可変領域、並びに
LCDR1配列RASGNIHNYLA(配列番号93)、
LCDR2配列SAKRLES(配列番号94)、及び
LCDR3配列QHFWSSPYT(配列番号95)
を含む軽鎖可変領域;又は
(d)HCDR1配列GYDFSNY配列番号89)、
HCDR2配列YPGDGE(配列番号80)、及び
HCDR3配列DDYLRAMDY(配列番号81)
を含む重鎖可変領域、並びに
LCDR1配列RASGNIHNYLA(配列番号93)、
LCDR2配列SAKRLES(配列番号94)、及び
LCDR3配列QHFWSSPYT(配列番号95)
を含む軽鎖可変領域;
を含む、請求項2に記載の抗Siglec-7抗体。
【請求項4】
前記抗体が、以下:
a)HCDR1配列GYDFSNF(配列番号79)、
HCDR2配列YPGDGE(配列番号80)、及び
HCDR3配列DDYLRAMDI(配列番号92)
を含む重鎖可変領域、並びに
LCDR1配列RASQNIHNYLA(配列番号100)、
LCDR2配列SAKRLES(配列番号94)、及び
LCDR3配列QHFWSSPYT(配列番号95)
を含む軽鎖可変領域;
b)HCDR1配列GYDFSNY配列番号89)、
HCDR2配列YPGDGE(配列番号80)、及び
HCDR3配列DDYLRAMDY(配列番号81)
を含む重鎖可変領域、並びに
LCDR1配列RASQNIHNYLA(配列番号100)、
LCDR2配列SAKRLES(配列番号94)、及び
LCDR3配列QHFWSSPYT(配列番号95)
を含む軽鎖可変領域;
(c)HCDR1配列GYDFSNY配列番号89)、
HCDR2配列YPGDGE(配列番号80)、及び
HCDR3配列DDYLRAMDI(配列番号92)
を含む重鎖可変領域、並びに
LCDR1配列RASQNIHNYLA(配列番号100)、
LCDR2配列SAKRLES(配列番号94)、及び
LCDR3配列QHFWSSPYT(配列番号95)
を含む軽鎖可変領域;又は
(d)HCDR1配列GYDFSNF(配列番号79)、
HCDR2配列YPGDGE(配列番号80)、及び
HCDR3配列DDYLRAMDY(配列番号81)
を含む重鎖可変領域、並びに
LCDR1配列RASQNIHNYLA(配列番号100)、
LCDR2配列SAKRLES(配列番号94)、及び
LCDR3配列QHFWSSPYT(配列番号95)
を含む軽鎖可変領域;
を含む、請求項2に記載の抗Siglec-7抗体。
【請求項5】
Siglec-7に結合する抗Siglec-7抗体であって、当該抗体が:
配列番号41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、又は59のいずれか1つのアミノ酸配列に対し、CDRにおいて100%の同一性を有し、それ以外の部分において90%以上の同一性を有する、重鎖可変領域;及び
配列番号69、70、71、76、77、又は78のいずれか1つのアミノ酸配列に対し、CDRにおいて100%の同一性を有し、それ以外の部分において90%以上の同一性を有する、軽鎖可変領域;
を有する、抗体。
【請求項6】
前記抗体が:
配列番号41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、又は59のいずれか1つのアミノ酸配列を有する、重鎖可変領域;及び
配列番号69、70、71、76、77、又は78のいずれか1つのアミノ酸配列を有する、軽鎖可変領域;
を有する、請求項5に記載の抗Siglec-7抗体。
【請求項7】
前記抗体が:
配列番号43、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、又は59のいずれか1つのアミノ酸配列に対し、CDRにおいて100%の同一性を有し、それ以外の部分において90%以上の同一性を有する、重鎖可変領域;及び
配列番号69又は78のいずれか1つのアミノ酸配列に対し、CDRにおいて100%の同一性を有し、それ以外の部分において90%以上の同一性を有する、軽鎖可変領域;
を有する、請求項5に記載の抗Siglec-7抗体。
【請求項8】
前記抗体が:
配列番号43、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、又は59のいずれか1つのアミノ酸配列を有する、重鎖可変領域;及び
配列番号69又は78のいずれか1つのアミノ酸配列を有する、軽鎖可変領域;
を有する、請求項7に記載の抗Siglec-7抗体。
【請求項9】
前記抗体が:
配列番号43、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、57,又は58のいずれか1つのアミノ酸配列を有する、重鎖可変領域;及び
配列番号69のアミノ酸配列を有する、軽鎖可変領域;
を有する、請求項7に記載の抗Siglec-7抗体。
【請求項10】
前記抗体が:
配列番号51、52、54、55、57、58、又は59のいずれか1つのアミノ酸配列を有する、重鎖可変領域;及び
配列番号78のアミノ酸配列を有する、軽鎖可変領域;
を有する、請求項8に記載の抗Siglec-7抗体。
【請求項11】
前記抗体が:
(a)配列番号55のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号69のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;
(b)配列番号57のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号69のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;又は
(c)配列番号59のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;
を有する、請求項8に記載の抗Siglec-7抗体。
【請求項12】
前記変異人IgGFc領域が野生型人IgGFc領域に対し90%以上のアミノ酸配列同一性を有し、当該変異人IgGFc領域が、232, 233, 234, 235, 236, 237, 238, 242, 252, 254, 256, 259, 267, 268, 287, 292, 297, 302, 306, 309, 322, 323, 327, 328, 329, 330, 331, 332, 及び334からなる群から選択される位置における1つ以上のアミノ酸改変を含み;又は232, 233, 234, 235, 236, 237, 238, 242, 252, 254, 256, 259, 267, 268, 287, 292, 297, 302, 306, 309, 322, 323, 327, 328, 329, 330, 331, 332, 及び334からなる群から選択される位置における2つ以上又は3つ以上のアミノ酸改変を有する、請求項1又は11のいずれかに記載の抗Siglec-7抗体。
【請求項13】
前記変異人IgGFc領域が、234, 235, 236, 237, 238, 267, 268, 297, 309, 322, 327, 328, 330,及び331からなる群から選択される位置で、エフェクター機能を減少する1つ以上のアミノ酸変異を含む、又は234, 235, 236, 237, 238, 267, 268, 297, 309, 322, 327, 328, 330, 又は及び331からなる群から選択される位置における2つ以上又は3つ以上のアミノ酸改変を有する、請求項12に記載の抗Siglec-7抗体。
【請求項14】
前記変異人IgGFc領域が、234A/V, 235A, 236-, 237A, 238S, 236-, 267E, 268Q, 297A/G/Q, 327G, 309L, 322Q, 327G, 328F, 330S,及び331Sからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸を含む、又は234A/V/F, 235A/Q, 236-, 237A, 238S, 236-, 267E, 268Q, 297A/G/Q, 327G, 309L, 322Q, 327G, 328F, 330S, 及び331Sからなる群から選択される位置における2つ以上又は3つ以上のアミノ酸改変を有する、請求項13に記載の抗Siglec-7抗体。
【請求項15】
前記変異人IgGFc領域が、233, 242, 252, 254, 256, 259, 287, 292, 302, 306, 323, 329, 332,及び334からなる群から選択される位置で、1つ以上のアミノ酸変異を含む、又は232, 233, 242, 252, 254, 256, 259, 287, 292, 302, 306, 323, 329, 332及び334からなる群から選択される位置における2つ以上又は3つ以上のアミノ酸改変を有する、請求項12に記載の抗Siglec-7抗体。
【請求項16】
前記変異人IgGFc領域が、232S, 233S, 242C, 252Y, 254T, 256E, 259C, 287C, 292C, 302C, 306C, 323C, 329G, 332C,及び334Cからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸、2つ以上のアミノ酸、又は3つ以上のアミノ酸を含む、請求項15に記載の抗Siglec-7抗体。
【請求項17】
前記変異人IgGFc領域が、更に252Y, 254T, 256E, 232S及び233Sからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸を含む、請求項12~16のいずれか1項に記載の抗Siglec-7抗体。
【請求項18】
前記変異人IgGFc領域が、252Y, 254T,及び256Eのアミノ酸を含む、請求項17に記載の抗Siglec-7抗体。
【請求項19】
前記変異人IgGFc領域が、以下のアミノ酸変異:
(i) L234A及びL235A;
(ii) A327G, A330S,及びP331S;
(iii) E233P, L234V, L235A,及びG236-;
(iv) E233P, L234V,及びL235A;
(v) E233P, L234V, L235A, G236-, A327G, A330S,及びP331S;
(vi) E233P, L234V, L235A, A327G, A330S,及びP331S;
(vii) N297A, N297G,又はN297Q;
(viii) L242C, N297C,及びK334C;
(ix) A287C, N297G,及びL306C;
(x) R292C, N297G,及びV302C;
(xi) N297G, V323C,及びI332C;
(xii) V259C, N297G,及びL306C
(xiii) L234F, L235Q, K322Q, M252Y, S254T,及びT256E;又は
(xiv) L234A, L235A,及びP329G;
を含む人IgG1領域である、請求項12に記載の抗Siglec-7抗体。
【請求項20】
前記変異人IgGFc領域が、以下のアミノ酸変異:
(i) A330S及びP331S;
(ii) V234A, G237A, P238S, H268A, V309L, A330S,及びP331S;又は
(iii) V234A, G237A, H268Q, V309L, A330S, P331S, C232S, C233S, S267E, L328F, M252Y, S254T,又はT256E
を含む人IgG2領域である、請求項1~12のいずれか1項に記載の抗Siglec-7抗体。
【請求項21】
前記変異人IgGFc領域が、以下のアミノ酸変異:
(i) E233P, F234V, L235A,及びG236-;
(ii) E233P, F234V,及びL235A;又は
(iii) S228P及びL235E/Aを含む人IgG4領域である、請求項1~12のいずれか1項に記載の抗Siglec-7抗体。
【請求項22】
請求項1~2のいずれか1項に記載の抗体を含む二重特異性抗体又は多重特異性抗体。
【請求項23】
シアル化Siglec-7リガンドを発現する腫瘍細胞の増殖を阻害するための医薬組成物であって、請求項1~2のいずれか1項に記載の抗体又は請求項2に記載の二重特異性抗体若しくは多重特異性抗体を治療有効量含有する、医薬組成物
【請求項24】
前記腫瘍が、Siglec-7を発現するCD8+浸潤T細胞の数が増大したものである、請求項2に記載の医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年1月11日に出願された米国仮出願62/616,317の優先権の利益を享受するものであり、当該米国仮出願は、本願において全ての目的で参照により援用される。
【0002】
本願は、2019年1月11日に作成したファイル容量99,169バイトのテキストファイル101413-1116918-000210PC_SL.txtに記載の配列表を含む。このテキストファイルに含まれる材料は、全ての目的でその全てが参照により援用される。
【背景技術】
【0003】
Siglec-7(p75またはAIRMとしても知られている)は、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーのシアル酸結合レクチン(Siglec)の一員である。Siglec受容体はシアル酸を含む糖鎖に結合するが、これらの受容体は結合位置化学での認識とシアル酸残基の空間分布が異なっている。ファミリーの構成員も異なる発現パターンを持つ。Siglec-7がナチュラルキラー(NK)細胞表面で高濃度に発現することが観察されている。また、(T細胞の)サブセットであるCD8+T細胞表面にも発現することが観察されている。Siglec-7はまた、NK細胞媒介腫瘍クリアランスに対して阻害する役割を持つことが観察されている(Jandus, et al., J. Clin. Invest. 124: 1810-20, 2014); Hudak et al., Nat.Chem. Biol. 10:69-77, 2014)。
【0004】
広範囲にわたるヒト悪性腫瘍は、Siglec-7リガンドであるシアログリカン(Siglec-7のリガンドであるシアログリカンを含む)を過剰発現する。Siglec-7はまた、NK細胞媒介腫瘍クリアランスに対して阻害する役割を持つことが観察されている(Jandus, et al., J. Clin. Invest. 124: 1810-20, 2014)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの側面において、本願は、エフェクター機能を緩和する、及び/又は抗体を安定化する、Fc領域、例えば人Fc領域への変異を含む、抗Siglec-7抗体が提供される。好ましい態様において、前記Fc領域は、エフェクター機能を減少する1つ以上の変異及び/又は抗体安定性を増大する1つ以上の変異を含む。幾つかの態様において、前記Fc領域は、エフェクター機能を減少し、かつ抗体安定性を増大する変異を含む。
【0006】
従って、1つの側面において、本願は、抗Siglec-7抗体であって、対応する野生型のFc領域と比較してエフェクター機能を減少する、又は抗体安定性を増大する、1つ以上のアミノ酸改変を含む変異Fc領域を含む、抗体を提供する。幾つかの側面において、前記変異Fc領域が、野生型人Fc領域に対し80%以上、又は90%以上のアミノ酸配列同一性を有する。幾つかの側面において、前記変異Fc領域が、232, 233, 234, 235, 236, 237, 238, 242, 252, 254, 256, 259, 267, 268, 287, 292, 297, 302, 306, 309, 322, 323, 327, 328, 329, 330, 331, 332,及び334からなる群から選択される位置で、1つ以上のアミノ酸変異、又は2つ以上のアミノ酸変異、又は3つ以上のアミノ酸変異を含む。幾つかの態様において、変異Fc領域が、234, 235, 236, 237, 238, 267, 268, 297, 309, 322, 327, 328, 330,及び331からなる群から選択される位置で、エフェクター機能を減少する1つ以上のアミノ酸変異を含む。幾つかの態様において、前記変異Fc領域が、234, 235, 236, 237, 238, 267, 268, 297, 309, 322, 327, 330, 331,及び328からなる群から選択される位置で、2つ以上のアミノ酸変異、又は3つ以上のアミノ酸変異を含む。幾つかの態様において、前記変異Fc領域が、234A/V, 235A, 236-, 237A, 238S, 236-, 267E, 268Q, 297A/G/Q, 327G, 309L, 322Q, 327G, 328F, 330S,及び331Sからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸を含む。更なるの態様において、前記変異Fc領域が、234A/V/F, 235A/Q, 236-, 237A, 238S, 236-, 267E, 268Q, 297A/G/Q, 327G, 309L, 322Q, 327G, 328F, 330S,及び331Sからなる群から選択される2つ以上のアミノ酸、又は3つ以上のアミノ酸を含む。幾つかの態様において、前記変異Fc領域が、233, 242, 252, 254, 256, 259, 287, 292, 302, 306, 323, 329, 332,及び334からなる群から選択される位置で、1つ以上のアミノ酸変異を含む。更なる態様において、前記変異Fc領域が、232, 233, 242, 252, 254, 256, 259, 287, 292, 302, 306, 323, 329, 332,及び334からなる群から選択される位置で、2つ以上のアミノ酸変異、又は3つ以上のアミノ酸変異を含む。幾つかの態様において、前記変異Fc領域が、232S, 233S, 242C, 252Y, 254T, 256E, 259C, 287C, 292C, 302C, 306C, 323C, 329G, 332C,及び334Cからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸を含む。更なる態様において、前記変異Fc領域が、232S, 233S, 242C, 252Y, 254T, 256E, 259C, 287C, 292C, 302C, 306C, 323C, 329G, 332C,及び334Cからなる群から選択される2つ以上のアミノ酸、又は3つ以上のアミノ酸を含む。幾つかの態様において、前記変異Fc領域が、エフェクター機能を減少する1つ以上の変異、例えば234, 235, 236, 237, 238, 267, 268, 297, 309, 322, 327, 330, 331,又は328における1つ以上の変異;及び252Y, 254T, 256E, 232S及び233Sからなる群から選択される1つ以上の更なるアミノ酸;を含む。幾つかの態様において、前記変異Fc領域が、エフェクター機能を減少する1つ以上の変異、例えば234, 235, 236, 237, 238, 267, 268, 297, 309, 322, 327, 330, 331,又は328における1つ以上の変異;及び更なるアミノ酸252Y, 254T,及び256E;を含む。幾つかの態様において、前記変異Fc領域が、以下のアミノ酸変異:(i) L234A及びL235A;(ii) A327G, A330S,及びP331S;(iii) E233P, L234V, L235A,及びG236-;(iv) E233P, L234V,及びL235A;(v) E233P, L234V, L235A, G236-, A327G, A330S,及びP331S;(vi) E233P, L234V, L235A, A327G, A330S,及びP331S;(vii) N297A, N297G,又はN297Q;(viii) L242C, N297C,及びK334C;(ix) A287C, N297G,及びL306C;(x) R292C, N297G,及びV302C;(xi) N297G, V323C,及びI332C;(xii) V259C, N297G,及びL306C(xiii) L234F, L235Q, K322Q, M252Y, S254T,及びT256E;又は(xiv) L234A, L235A,及びP329G;を含む人IgG1領域である。幾つかの態様において、前記変異Fc領域が、以下のアミノ酸変異:(i) A330S及びP331S;(ii) V234A, G237A, P238S, H268A, V309L, A330S,及びP331S;又は(iii) V234A, G237A, H268Q, V309L, A330S, P331S, C232S, C233S, S267E, L328F, M252Y, S254T,又はT256Eを含む人IgG2領域である。幾つかの態様において、前記変異Fc領域が、以下のアミノ酸変異:(i) E233P, F234V, L235A,及びG236-;(ii) E233P, F234V,及びL235A;又は(iii) S228P及びL235E/Aを含む人IgG4領域である。
【0007】
幾つかの態様において、例えば上記2段落の本願抗Siglec-7抗体は、リガンドのSiglec-7への結合を阻害し、Siglec-7への結合について登録番号ICLC PD99003で預託されているハイブリドーマから生成された抗体QA79と競合するが、Siglec-7への結合について抗体Z176または抗体S7.7と競合しない。態様によっては、前記抗体は、Siglec-7への結合について図1および図2に2G12として表されるVおよびVを含む抗体と競合する。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号2の重鎖可変領域配列の少なくとも1つのCDRまたは少なくとも2つのCDRを含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号2の重鎖可変領域配列のCDR3を含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号2の重鎖可変領域配列のCDR1、CDR2、およびCDR3を含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号16の軽鎖可変領域配列の少なくとも1つのCDRまたは少なくとも2つのCDRを含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号16の軽鎖可変領域配列のCDR3を含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号16の軽鎖可変領域配列のCDR1、CDR2、およびCDR3を含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗体は、図1および図2のように表される抗体2G12の6つのCDRを持つ。
【0008】
態様によっては、例えば上記2段落の本願抗Siglec-7抗体は内部移行活性を持つが、Siglec-7へのリガンドの結合を阻害せず、かつSiglec-7への結合に関して抗体S7.7と競合するが抗体QA79または抗体Z176とは競合しない。態様によっては、前記抗体は、Siglec-7への結合に関して図1および図2に8A2として表記されたVおよびVを含む抗体と競合する。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号4の重鎖可変領域配列の少なくとも1つのCDRまたは少なくとも2つのCDRを含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号4の重鎖可変領域配列のCDR3を含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号4の重鎖可変領域配列のCDR1、CDR2、およびCDR3を含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号18の軽鎖可変領域配列の少なくとも1つのCDRまたは少なくとも2つのCDRを含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号18の軽鎖可変領域配列のCDR3を含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号18の軽鎖可変領域配列のCDR1、CDR2、およびCDR3を含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は図1および図2に8A2と表記された抗体の6つのCDRを持つ。
【0009】
態様によっては、例えば本項の初めの2段落の本願抗Siglec-7抗体は内部移行活性を持ち、リガンドのSiglec-7への結合を阻害せず、かつSiglec-7への結合に関して抗体Z176と競合するがQA79またはS7.7と競合しない。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は、Siglec-7への結合に関して5D1と表記された抗体のVおよびVを含む抗体と競合する。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号3の重鎖可変領域配列の少なくとも1つのCDRまたは少なくとも2つのCDRを含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号3の重鎖可変領域配列のCDR3を含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号3の重鎖可変領域配列のCDR1、CDR2、およびCDR3を含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号17の軽鎖可変領域配列の少なくとも1つのCDRまたは少なくとも2つのCDRを含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号17の軽鎖可変領域配列のCDR3を含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号17の軽鎖可変領域配列のCDR1、CDR2、およびCDR3を含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗体は、図1および図2に5D1と表記された抗体の6つのCDRを持つ。
【0010】
態様によっては、例えば本項の初めの2段落の本願抗Siglec-7抗体は内部移行活性を持ち、リガンドのSiglec-7への結合を阻害せず、かつSiglec-7への結合に関して抗体Z176、QA79、またはS7.7と競合しない。態様によっては、前記抗体は、Siglec-7への結合に関して図1および図2に4B12と表記された抗体のVおよびVを含む抗体と競合する。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号11の重鎖可変領域配列の少なくとも1つのCDRまたは少なくとも2つのCDRを含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号11の重鎖可変領域配列のCDR3を含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号11の重鎖可変領域配列のCDR1、CDR2、およびCDR3を含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号25の軽鎖可変領域配列の少なくとも1つのCDRまたは少なくとも2つのCDRを含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号25の軽鎖可変領域配列のCDR3を含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は配列番号25の軽鎖可変領域配列のCDR1、CDR2、およびCDR3を含むV領域を持つ。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は図1および図2に4B12と表記された抗体の6つのCDRを持つ。
【0011】
幾つかの態様において、例えば本項の初めの2段落の本願抗Siglec-7抗体は、図1に記載のV領域配列の少なくとも1つのCDRまたは少なくとも2つのCDRを含むV領域;又は図1に示す重鎖可変領域配列のうちの1つのCDR1、CDR2、およびCDR3を含むV領域を持つ。
【0012】
幾つかの態様において、例えば本項の初めの2段落の本願抗Siglec-7抗体は、図2に示すV領域配列の少なくとも1つのCDRまたは少なくとも2つのCDRを含むV領域;あるいは図2に示す軽鎖可変領域配列のうちの1つのCDR1、CDR2、およびCDR3を含むV領域を持つ。
【0013】
幾つかの態様において、例えば本項の初めの2段落の本願抗Siglec-7抗体は、図1に示すV領域配列の少なくとも1つのCDRまたは少なくとも2つのCDRを含むV領域;および図2に示すV領域配列の少なくとも1つのCDRまたは少なくとも2つのCDRを含むV領域を含み、図2のV配列は図1のV配列と同じ抗体表示を持つ。
【0014】
幾つかの態様において、例えば本項の初めの2段落の本願抗Siglec-7抗体は、図1に示す重鎖可変領域配列のCDR1、CDR2、およびCDR3を含むV領域、および図2に示す軽鎖可変領域配列のCDR1、CDR2、およびCDR3を含むV領域を含み、図2のV配列は図1のV配列と同じ抗体表示を持つ。
【0015】
幾つかの態様において、例えば本項の初めの2段落の本願抗Siglec-7抗体は、Siglec-7への結合に関して配列番号1の可変重鎖配列と配列番号15の可変軽鎖配列を持つ抗体と競合する抗Siglec-7抗体が本明細書で提供される。態様によっては、前記抗体は、内部移行活性を有し、Siglec-7へのリガンドの結合をブロックしない。幾つかの態様において、前記抗体は、1、2、または3個アミノ酸が置換されている配列番号29~31、33、および35~61のいずれか1つに記載の配列を持つCDR3を含む重鎖可変領域、または配列番号29~31、33、および35~61のいずれか1つに記載のCDR3を含む重鎖可変領域を含む。態様によっては、前記重鎖可変領域は、1、2、または3個のアミノ酸が置換されている配列番号29~31、33、および35~61のいずれか1つに記載の配列を持つCDR1、および/または1、2、または3個アミノ酸が置換されている配列番号29~31、33、および35~61のいずれか1つに記載の配列を持つCDR2を含む。態様によっては、前記重鎖可変領域は、配列番号29~31、33、および35~61のいずれか1つに記載の配列を持つCDR1、および配列番号29~31、33、および35~61のいずれか1つに記載の配列を持つCDR2を含む。態様によっては、本段落の上記の実施形態のいずれかと組み合わせてもよく、前記抗Siglec-7抗体は、1、2、または3個アミノ酸が置換されている配列番号62および64~78のいずれか1つに記載の配列を持つCDR3を含む軽鎖可変領域、または配列番号62および64~78のいずれか1つに記載のCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。態様によっては、前記軽鎖可変領域は、1、2、または3個アミノ酸が置換されている配列番号62および64~78のいずれか1つに記載の配列を持つCDR1、および/または1、2、または3個アミノ酸が置換されている配列番号62および64~78のいずれか1つに記載の配列を持つCDR2を含む。態様によっては、前記軽鎖可変領域は、配列番号62および64~78のいずれか1つに記載の配列を持つCDR1、および配列番号62および64~78のいずれか1つに記載の配列を持つCDR2を含む。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は、リガンド阻害活性を持ち、かつ/または1価のFabとして測定した場合にKが約100pM未満であり、かつ/または内部移行活性が約100pM未満である。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は、1価のFabとして測定した場合にKが約75pM未満である。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は内部移行活性が約70pM以下である。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は内部移行活性が約25pM未満である。
【0016】
他の態様において、配列番号29~31、33、および35~61のいずれか1つの重鎖可変領域のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも80%、または少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である重鎖可変領域、および/または配列番号62および64~78のいずれか1つの軽鎖可変領域のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも80%、または少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である軽鎖可変領域を含む、例えば本項の初めの2段落の本願抗Siglec-7抗体が本明細書で提供される。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は、配列番号41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、59、60、または61のいずれかの重鎖可変領域のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である重鎖可変領域、および配列番号69、70、71、72、73、74、75、76、77、または78の軽鎖可変領域のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である軽鎖可変領域を含む。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は、リガンド阻害活性を持ち、かつ/または1価のFabとして測定した場合にKが約100pM未満であり、かつ/または内部移行活性が約100pM未満である。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は、1価のFabとして測定した場合にKが約75pM未満である。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は内部移行活性が約70pM以下である。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は内部移行活性が約25pM未満である。
【0017】
さらなる態様では、配列番号43、45、46、47、48、49、50、51、54、55、57、および58から選択される重鎖可変領域配列に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域を含む、例えば本項の初めの2段落の本願抗Siglec-7抗体が本明細書で提供される。また、配列番号53、54、51、55、58、および59から選択される重鎖可変領域配列に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号78のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域を含む抗Siglec-7抗体が本明細書で提供される。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は、リガンド阻害活性を持ち、かつ/または1価のFabとして測定した場合にKが約100pM未満であり、かつ/または内部移行活性が約100pM未満である。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は、1価のFabとして測定した場合にKが約75pM未満である。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は内部移行活性が約70pM以下である。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は内部移行活性が約25pM未満である。
【0018】
さらなる一態様では、本明細書で以下の可変領域(a)~(l)のいずれかを含む、例えば本項の初めの2段落の本願抗Siglec-7抗体が提供される。
(a)配列番号43に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(b)配列番号45に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(c)配列番号46に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(d)配列番号47に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(e)配列番号48に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(f)配列番号49に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(g)配列番号50に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(h)配列番号51に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(i)配列番号54に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域配列、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(j)配列番号55に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(k)配列番号57に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、または
(l)配列番号58に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体はリガンド阻害活性を持ち、かつ/または1価のFabとして測定した場合にKが約100pM未満であり、かつ/または内部移行活性が約100pM未満である。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は、1価のFabとして測定した場合にKが約75pM未満である。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は内部移行活性が約70pM以下である。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は内部移行活性が約25pM未満である。
【0019】
さらなる一態様では、本明細書で以下の可変領域(a)~(f)のいずれかを含む、例えば本項の初めの2段落の本願抗Siglec-7抗体が提供される。
(a)配列番号53に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号78に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(b)配列番号54に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号78に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(c)配列番号51に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号78に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(d)配列番号55に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号78に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(e)配列番号58に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号78に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、または
(f)配列番号59に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号78に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体はリガンド阻害活性を持ち、かつ/または1価のFabとして測定した場合にKが約100pM未満であり、かつ/または内部移行活性が約100pM未満である。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は1価のFabとして測定した場合にKが約75pM未満である。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は内部移行活性が約70pM以下である。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は内部移行活性が約25pM未満である。
【0020】
さらなる一態様では、本明細書で以下の可変領域(a)~(l)のいずれかを含む、例えば本項の初めの2段落の本願抗Siglec-7抗体が提供される。
(a)配列番号43のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(b)配列番号45のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(c)配列番号46のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(d)配列番号47のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(e)配列番号48のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(f)配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(g)配列番号50のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(h)配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(i)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(j)配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(k)配列番号57のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または
(l)配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体はリガンド阻害活性を持ち、かつ/または1価のFabとして測定した場合にKが約100pM未満であり、かつ/または内部移行活性が約100pM未満である。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は1価のFabとして測定した場合にKが約75pMである。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は内部移行活性が約70pM以下である。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は内部移行活性が約25pM未満である。
【0021】
さらなる一態様では、本明細書で以下の可変領域(a)~(f)のいずれかを含む、例えば本項の初めの2段落の本願抗Siglec-7抗体が提供される。
(a)配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号78のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(b)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号78のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(c)配列番号51のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号78のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(d)配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号78のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(e)配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号78のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または
(f)配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号78のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体はリガンド阻害活性を持ち、かつ/または1価のFabとして測定した場合にKが約100pM未満であり、かつ/または内部移行活性が約100pM未満である。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は1価のFabとして測定した場合にKが約75pM未満である。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は内部移行活性が約70pM以下である。態様によっては、前記抗Siglec-7抗体は内部移行活性が約25pM未満である。
【0022】
態様によっては、上記段落で記載した本開示の抗Siglec-7抗体は多価または2価の形態である。態様によっては、前記抗体はIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4などのIgGである。
【0023】
さらなる一態様では、本発明は上記実施形態のいずれか1つを含む二重特異性または多特異性抗体を提供する。
【0024】
1つの側面において、本願は、腫瘍細胞の増殖を抑制する方法を提供し、当該方法は、本願記載の抗Siglec-7抗体、例えば本項上記段落に記載の抗体を、治療有効量、癌を有する患者に投与することを含み、当該患者は、SIGLEC-7を発現するCD8+浸潤T細胞のレベルが高くなっている原発性腫瘍又は転移病巣を有し、更に、当該腫瘍又は転移病巣は、シアル化Siglec-7リガンドを発現する癌細胞を含む。幾つかの態様において、前記抗Siglec-7抗体のKDは50 pM以下である。幾つかの態様において、前記抗Siglec-7抗体は、IC50約4000 pM以下で結合するリガンドをブロックし、又はIC50約3500 pM以下で結合するリガンドをブロックし、任意でKDは50 pM以下であり得る。幾つかの態様において、上記態様と組み合わせられて、前記抗Siglec-7抗体は、約70 pM以下、又は約25 pM以下の内部移行活性を有する。幾つかの態様において、前記抗Siglec-7抗体は、約70 pM以下、又は約25 pM以下の内部移行活性を有し;リガンド結合をブロックしない。
【0025】
さらなる一態様では、本発明は、腫瘍細胞の増殖を阻害する方法を提供する。この方法は、シアルSiglec-7リガンドを発現する腫瘍を持つ患者に上記段落に記載された抗体の何れか1つの抗体またはそのような抗体を含む二重特異性または多重特異性抗体を治療有効量で投与することを含む。態様によっては、前記腫瘍は、対応する細胞種の正常細胞で検出されるよりも多い量のシアル化Siglec-7リガンドを発現している。
【0026】
さらなる一態様では、本開示はさらに、本明細書で記載する癌を治療する方法として本明細書で記載する抗Siglec-7抗体の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本願抗Siglec-7抗体の重鎖可変領域配列の例示を提供する。Kabatにより規定されたCDRに下線を付している。
【0028】
図2図2は、本願抗Siglec-7抗体の重鎖可変領域配列の例示を提供する。Chothiaにより規定されたCDRに下線を付している。
【0029】
図3図3は、本願抗Siglec-7抗体の軽鎖可変領域配列の例示を提供する。Kabat及びChothiaの両方により規定されたCDRに下線を付している。
【0030】
図4図4は、新鮮な原発腫瘍中の腫瘍-浸潤CD8+細胞においてSiglec-7が高いパーセンテージで検出されることを示すデータを提供する。
【0031】
図5図5は、腫瘍のサブセットから単離されたCD8+T細胞が高レベルのSiglec-7を有することを示すデータを提供する。
【0032】
図6図6は、Siglec-7リガンドが腫瘍のサブセット上で発現していることを示すデータを提供する。
【0033】
図7図7は、Z176, S7.7,又はQA79と比較してKD値が改善した本願抗Siglec-7抗体を示すデータを提供する。
【0034】
図8図8は、Z176, S7.7,又はQA79と比較してリガンドブロック活性が改善した本願抗Siglec-7抗体を示すデータを提供する。
【0035】
図9図9は、Z176, S7.7,又はQA79と比較して内部移行活性が改善した本願抗Siglec-7抗体を示すデータを提供する。
【0036】
図10図10は、本願抗体を使用した人NK細胞に対する迅速な濃度依存的かつ抗体誘導性のSiglec-7の内部移行を示すデータを提供する。
【0037】
図11図11は、本願抗体の非リガンドブロック性の内部移行活性を示すデータを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
用語
本願において、「ある」、「前記」及び「当該」は、他の指図の無い限り、複数の参照を含む。従って、「ある抗体」は、任意でそのような分子の2つ以上の組合せを含む。
【0039】
本願において、「約」は、本分野の当業者に広く知られる各数値における通常の誤差範囲を意味し、例えば± 20%, ± 10%,又は± 5%は、言及される数値の想定される意味の中である。
【0040】
Siglec-7は、p75或いはAIRMとも称され、イムノグロブリン(Ig)スーパーファミリーのシアル酸結合レクチン(Siglec)のメンバーである。Siglec受容体はシアル酸を含むグリカンに結合するが、特定の糖構造の認識においてそれらは相違する。受入番号で利用可能な人Siglec-7タンパク質の配列を以下に示す。
1 mllllllpll wgrervegqk snrkdysltm qssvtvqegm cvhvrcsfsy pvdsqtdsdp
61 vhgywfragn diswkapvat nnpawavqee trdrfhllgd pqtknctlsi rdarmsdagr
121 yffrmekgni kwnykydqls vnvtalthrp nilipgtles gcfqnltcsv pwaceqgtpp
181 miswmgtsvs plhpsttrss vltlipqpqh hgtsltcqvt lpgagvttnr tiqlnvsypp
241 qnltvtvfqg egtastalgn ssslsvlegq slrlvcavds npparlswtw rsltlypsqp
301 snplvlelqv hlgdegeftc raqnslgsqh vslnlslqqe ytgkmrpvsg vllgavggag
361 atalvflsfc vifivvrscr kksarpaadv gdigmkdant irgsasqgnl teswaddnpr
421 hhglaahssg eereiqyapl sfhkgepqdl sgqeatnney seikipk (配列番号108)
【0041】
本願において、「抗体」は、最も広い意味で使用され、様々な抗体構造を包含し、限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体、及び所望の抗原結合活性を呈する限りの抗体断片を含む。
【0042】
本明細書に用いられる用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体を指す。すなわち、一般に少量存在する、例えば、自然発生の変異を含む、あるいはモノクローナル抗体調製の製造中に生じる変異など起こりうる多様体抗体を除いて、この集団を含む個々の抗体は同一であり、かつ/または同じエピトープに結合する。典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して異なる抗体を含むポリクロナール抗体の調製に対して、モノクローナル抗体調製の各モノクローナル抗体は1種の抗原の単一の決定基に向けられている。従って、修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一の抗体集団から得られた抗体の性質を示し、任意の特定の方法による抗体の作製に必要であると解釈すべきではない。例えば、本発明に用いられるモノクローナル抗体は、様々な技術により作製されてもよい。そのような技術としては、これらに限定されないが、ハイブリドーマ法、組み換えDNA法、ファージ提示法、およびヒト免疫グロブリン座位の全部または一部を含む遺伝子導入動物を用いる方法などが挙げられる。
【0043】
「抗体断片」は、完全な抗体の一部を含み、完全な抗体が結合する抗原に結合する完全な抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、これらに限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)、二重特異性抗体;線状抗体;一本鎖抗体分子(例えば、scFv分子);および抗体断片から形成された多特異性抗体が挙げられる。
【0044】
基準抗体としての「同じエピトープに結合する抗体」は、競合アッセイにおいて基準抗体のその抗原への結合を50%以上阻害する抗体を指す。また、その反対に、基準抗体は、競合アッセイにおいて抗体のその抗原への結合を50%以上阻害する。例示的な競合アッセイは本明細書で提供される。
【0045】
本明細書で用いられる「V領域」は、フレームワーク1、CDR1、フレームワーク2、CDR2、およびフレームワーク3、CDR3およびフレームワーク4という断片を含む抗体可変領域ドメインを指す。これらの断片は、B細胞の分化時に重鎖および軽鎖V領域遺伝子が再構成された結果としてV断片に付加されている。
【0046】
本明細書で用いられる「相補性決定領域(CDR)」は、各鎖の3つの超可変領域(HVR)を指す。これらの超可変領域は、軽鎖および重鎖可変領域に確立された4つの「フレームワーク」領域の間に入っている。これらのCDRは、抗原のエピトープへの結合に貢献する主要な部分である。各鎖のCDRをN末端から順番にCDR1、CDR2、およびCDR3と言う。また、CDRは特定のCDRが配置されている鎖により同定される。従って、VのCDR3はこれを含む抗体の重鎖の可変領域に位置しており、VのCDR1はこれを含む抗体の軽鎖の可変領域にあるCDR1である。本明細書に用いられる用語「CDR」は「HVR」と互いに言い換え可能である。
【0047】
当該分野でよく知られている様々な定義を用いてCDRおよびフレームワーク領域のアミノ酸配列を決定してもよい。定義の例は、Kabat, Chothia, international ImMunoGeneTics database (IMGT)、およびAbM (例えば、以下を参照のこと。Johnson et al., supra; Chothia & Lesk, 1987, Canonical structures for the hypervariable regions of immunoglobulins. J.Mol. Biol. 196, 901-917; Chothia C. et al., 1989, Conformations of immunoglobulin hypervariable regions. Nature 342, 877-883; Chothia C. et al., 1992, structural repertoire of the human VH segments J.Mol. Biol. 227, 799-817; Al-Lazikani et al., J.Mol.Biol 1997, 273(4))などである。また、以下の文献に抗原結合部位の定義が記載されている:Ruiz et al., IMGT, the international ImMunoGeneTics database. Nucleic Acids Res., 28, 219-221 (2000);及びLefranc,M.-P. IMGT, the international ImMunoGeneTics database. Nucleic Acids Res. Jan 1;29(1):207-9 (2001);MacCallum et al, Antibody-antigen interactions: Contact analysis and binding site topography, J.Mol. Biol., 262 (5), 732-745 (1996);及びMartin et al, Proc. Natl Acad. Sci. USA, 86, 9268-9272 (1989);Martin, et al,Methods Enzymol., 203, 121-153, (1991); Pedersen et al, Immunomethods, 1, 126, (1992);及びRees et al, In SternbergM.J.E. (ed.), Protein Structure Prediction. Oxford University Press, Oxford, 141-172 (1996)。Kabat番号で決定されるCDRに対する基準は、例えば、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institute of Health, Bethesda,MD (1991)に基づいている。ChothiaによるCDRはChothia(例えば、Chothia and Lesk J.Mol. Biol. 196:901-917 (1987)を参照のこと)に定義されているように決定される。
【0048】
「エピトープ」すなわち「抗原決定基」は抗体が結合する抗原の部位を指す。エピトープは、連続するアミノ酸から形成されていてもよく、あるいはタンパク質の三次構造への折り畳みの結果並置された不連続のアミノ酸から形成されていてもよい。連続するアミノ酸から形成されたエピトープは典型的には変性溶媒に曝されても保持されるが、三次構造への折り畳みにより形成されたエピトープは典型的には変性溶媒で処理すると失われる。エピトープは典型的には、固有の立体構造で少なくとも3個、より一般的には少なくとも5個または8~10個のアミノ酸を含む。エピトープの立体構造を決定する方法としては、例えば、X線結晶構造解析および2次元核磁気共鳴が挙げられる。例えば、EpitopeMapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66, Glenn E.Morris, Ed (1996)を参照のこと。
【0049】
本明細書で用いられる「キメラ抗体」は、(a)異なる、すなわち変更したクラス、エフェクター機能および/または種の定常領域あるいはキメラ抗体に新しい特性を与える全く異なる分子(例えば、酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物など)に抗原結合部位(可変領域)が結合するように定常領域またはその一部が変更、置換、あるいは交換されているか、(b)可変領域またはその一部が、異なるすなわち変化した抗原特異性を持つ可変領域またはその一部、あるいは他の種または他の抗体クラスあるいはサブクラスに由来する対応する配列で変更、置換、または交換されている免疫グロブリン分子を指す。
【0050】
「Fc領域」は、第一の定常領域免疫グロブリンドメインを除く抗体の定常領域を指す。従って、Fcは、IgA、IgD、およびIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、IgEおよびIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメイン、およびこれらドメインの柔軟性のあるヒンジN末端を指す。IgAとIgMの場合、FcはJ鎖を含んでいてもよい。IgGの場合、Fcは、免疫グロブリンドメインCγ2およびCγ3と、Cγ1とCγとのヒンジを含む。しかしながら、当該分野では自明であるが、Fc領域の境界は異なっていてもよく、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、そのカルボキシル末端に残基C226またはP230を含むと規定されている。Fc領域のC末端リシン(K447)は存在してもしなくてもよい。本願で他の特定の無い限り、Fc領域又は定常領域のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991に記載のEUナンバリングシステム(EU indexともいう)に従う。本明細書に用いられる用語「Fc領域」は、単離でのこの領域、あるいは抗体または抗体断片の文脈でのこの領域を指す場合がある。「Fc領域」は、自然発生のアレル多様体、即ち野生型Fc領域、およびエフェクター機能を調節する修飾を含む。Fc領域はまた、生物学的機能の変化に繋がらないような多様体を含む。例えば、実質的に生物学的機能を失うことなく、免疫グロブリンのFc領域のN末端またはC末端から1つ以上のアミノ酸を削除することができる。当該分野で知られている一般規則に従って、活性に及ぼす効果を最少にするようにそのような多様体を選択してもよい(例えば、Bowie, et al., Science 247:306-1310, 1990を参照のこと)。例えば、IgG4抗体では、単一のアミノ酸の置換(Kabat番号によるS228P、IgG4Proと表記される)を導入して組み換えIgG4抗体に見られる不均一性をなくしてもよい(例えば、Angal, et al., Mol Immunol 30:105-108, 1993を参照のこと)。
【0051】
「変異Fc領域」は、1つ以上のアミノ酸の変更、例えば1つ以上のアミノ酸の置換又は欠失により、野生型配列Fc領域のものと異なる、アミノ酸配列を含む。
【0052】
本願において、エフェクター機能が「減少した」抗体は、補体依存的細胞傷害(CDC)、抗体依存的細胞媒介細胞傷害(ADCC)、及び抗体依存的細胞貪食(ADCP)等を含む抗体Fc領域により媒介されるエフェクター作用の例えば20%以上、50%以上、又は75%、85%、90%、95%又はそれ以上の全体的減少を示す抗体を意味する。
【0053】
本明細書に用いられる用語「平衡解離定数(略してK)」は、結合速度定数(ka、時間-1-1)で除した解離速度定数(kd、時間-1)を指す。任意の方法を用いて平衡解離定数を測定してもよい。従って、実施形態によっては、本開示の抗体は、バイオセンサーシステム(例えば、Biacore(登録商標)システム)を用いて37℃で行った表面プラズモン共鳴分析によって求められたKが約50nM未満、典型的には約25nM未満、あるいは10nM未満であり、例えば、約5nM未満、または約1nM未満、しばしば約10nM未満である。態様によっては、本開示の抗体はKが5×10-5M未満、10-5M未満、5×10-6M未満、10-6M未満、5×10-7M未満、10-7M未満、5×10-8M未満、10-8M未満、5×10-9M未満、10-9M未満、5×10-10M未満、10-10M未満、5×10-11M未満、10-11M未満、5×10-12M未満、10-12M未満、5×10-13M未満、10-13M未満、5×10-14M未満、10-14M未満、5×10-15M未満、10-15M未満、または2価の抗体として測定した場合よりも小さい。本発明の文脈で「向上した」Kは小さいKを指す。態様によっては、本開示の抗体は、Kが5×10-5M未満、10-5M未満、5×10-6M未満、10-6M未満、5×10-7M未満、10-7M未満、5×10-8M未満、10-8M未満、5×10-9M未満、10-9M未満、5×10-10M未満、10-10M未満、5×10-11M未満、10-11M未満、5×10-12M未満、10-12M未満、5×10-13M未満、10-13M未満、5×10-14M未満、10-14M未満、5×10-15未満、10-15M未満、あるいは1価の抗体、典型的には1価のFabとして測定した場合よりも小さい。態様によっては、本開示の抗Siglec-7抗体は、バイオセンサーシステム(例えば、Biacore(登録商標)システム)を用いて37℃で行った表面プラズモン共鳴分析により1価のFabとして測定した場合にKが100pM未満、例えば、75pM未満、例えば、1~100pMの範囲である。態様によっては、本開示の抗Siglec-7抗体は、バイオセンサーシステム(例えば、Biacore(登録商標)システム)を用いて37℃で行った表面プラズモン共鳴分析により1価のFabとして測定した場合にKが500pM未満、例えば、1~500pM、1~200、または1~250pMの範囲である。本発明の文脈で「向上した」Kは小さいKを指す。
【0054】
本明細書に用いられる用語「1価の分子」は1つの抗原結合部位、例えば、Fabを持つ分子を指す。
【0055】
本明細書に用いられる用語「2価の分子」は2つの抗原結合部位を持つ分子を指す。態様によっては、本発明の2価の分子は2価の抗体またはその2価の断片である。態様によっては、本発明の2価の分子は2価の抗体である。態様によっては、本発明の2価の分子はIgGである。一般に、モノクローナル抗体は2価の塩基性構造を持つ。IgGとIgEは1つの2価の単位を持つが、IgAとIgMは複数の2価の単位(それぞれ、2および5個)からなり、従って価数が大きい。価数が2であることにより、抗体の抗原との親和性が高まる。
【0056】
本明細書に用いられる用語「1価の結合」または「1価で結合している」は1つの抗原結合部位がその抗原に結合していることを指す。
【0057】
本明細書に用いられる用語「2価の結合」または「2価で結合している」は2価の分子の両方の抗原結合部位がその抗原に結合していることを指す。2価の分子の両方の抗原結合部位は同じ抗原特異性を共有していることが好ましい。
【0058】
本明細書に用いられる用語「価数」は、抗体の抗原に対する異なる結合部位の数を指す。1価の抗体は抗原に対して1つの結合部位を含む。2価の抗体は、同じ抗原に対して2つの結合部位を含む。
【0059】
本明細書で抗体の抗原への結合という文脈で用いられる用語「親和性」は、抗体の複数の結合部位の合わせた結合強度を指す。従って、「2価の親和性」は2つの結合部位の合わせた強度を指す。
【0060】
タンパク質またはペプチドに言及する場合、抗原または標的に「特異的に(または選択的に)結合する」あるいは「特異的に(または選択的に)免疫反応性である」という表現は、抗体が目的の抗原または標的に結合する結合反応を指す。本発明の文脈では、抗体は、他の抗原に対する親和性に比べて少なくとも100倍大きいKでSIGLEC-7に結合する。
【0061】
本明細書で2つ以上のポリペプチド配列の文脈で用いられる用語「同一である」またはパーセント「同一性」は、比較窓または表示された領域の最大一致について比較および配列した場合に、2つ以上の同一配列または同一亜配列、あるいは指定された領域に対する同一性が同じ(例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上)アミノ酸残基の指定された百分率を持つ2つ以上の配列または亜配列を指す。アミノ酸配列の百分率同一性を決定する目的での配列は、様々な方法で行ってもよく、例えば、公に利用可能なコンピュータソフトウェア(例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign (DNASTAR)ソフトウェアなど)が挙げられる。配列の百分率同一性および配列類似性を決定するのに好適なBLAST 2.0としては、例えば、Altschul et al., Nuc.Acids Res. 25:3389-3402 (1977)およびAltschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990)に記載されているBLAST 2.0アルゴリズムが挙げられる。従って、BLAST 2.0は、配列の百分率を決定するのに記載されているパラメータの初期値と併せて用いることができる。
【0062】
本明細書で用いられる「保存的」置換は、側鎖基の鎖の電荷、疎水性、および/または寸法を維持するようなアミノ酸の置換を指す。互いに置換してもよいアミノ酸の例示的な集合としては、(i)正に帯電したアミノ酸Lys、Arg、およびHis;(ii)負に帯電したアミノ酸GluおよびAsp;(iii)芳香族アミノ酸Phe、Tyr、およびTrp;(iv)窒素環アミノ酸HisおよびTrp;(v)大型脂肪族非極性アミノ酸Val、Leu、およびIle;(vi)微極性アミノ酸MetおよびCys;(vii)小さい側鎖を持つアミノ酸Ser、Thr、Asp、Asn、Gly、Ala、Glu、Gln、およびPro;(viii)脂肪族アミノ酸Val、Leu、Ile、Met、およびCys;および(ix)ヒドロキシル基を持つ小さいアミノ酸SerおよびThrが挙げられる。この段落のアミノ酸の電荷への言及は、生理学的pHでの電荷を指す。
【0063】
抗Siglec-7抗体
本発明の抗Siglec-7抗体は、既知の抗Siglec7抗体に比べて結合特性、例えば内部移行活性および/またはリガンド阻害活性が向上している。更に、本願抗Siglec-7抗体は、変異Fc領域、例えば対応する野生型Fc領域と比較してエフェクター作用が減少した人Fc領域を含む。態様によっては、本発明の抗体は内部移行活性を持つが、リガンドの結合を阻害しない。
【0064】
既知の抗Siglec7モノクローナル抗体(例えば、Z176、QA79、およびS7.7)に比べて、本発明の抗体は典型的にKが低くなっている。態様によっては、本発明の抗体はKが約100pM未満、約75pM未満、約50pM未満、約40pM未満、または約35pM未満である。態様によっては、本発明の抗体はKが約1pM以下である。態様によっては、本発明の抗体は、図1または図2で16H11、3F1、SL9、8A2、5D1、または5G10として表記された抗体のV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。態様によっては、Kが向上した本発明の抗体は、図3で16H11、3F1、SL9、8A2、5D1、または5G10として表記された抗体のV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。複数の実施形態では、図1図3の16H11、3F1、SL9、8A2、5D1、または5G10として表記された抗体の6つのCDRを持つ。
【0065】
態様によっては、上記の抗Siglec7モノクローナル抗体と比べてリガンド結合阻害能が高まっている。本発明の文脈でリガンド結合阻害能は、Siglec-7の50%がリガンドに結合しないようなモノクローナル抗体の濃度を指す。態様によっては、本発明の抗体のリガンド阻害活性はより能力が高く、すなわち、リガンドを阻害する抗体のIC50は既知の抗体(例えば、Z176、QA79、およびS7)よりも低い。既知のアッセイを用いてリガンド阻害活性を評価してもよい。例えば、ヒトメラノーマ細胞株A375など、細胞表面にSiglec-7に対するリガンドを高濃度で発現している細胞株を用いてリガンド阻害活性を求めてもよい。例えば、実施例で説明するようにして阻害に関するIC50値を求めてもよい。態様によっては、リガンド阻害活性が向上した本発明の抗体は、実施例で記載するアッセイ条件でアッセイした場合のIC50が4000pM未満、約3500pM未満、約3000pM未満、約2000pM未満、約1500pM未満、約1000pM未満、または約500pM以下である。実施形態によっては、向上したリガンド阻害活性を示す本発明の抗体は、図1または図2に9D4、SL13、または5G10として表記された抗体のV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。態様によっては、本発明の抗体は図3に9D4、SL13、または5G10として表記された抗体のV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。複数の実施形態では、図1図3の9D4、SL13、または5G10として表記された抗体の6つのCDRを持つ。
【0066】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、上記の抗Siglec-7モノクローナル抗体に比べて向上した内部移行を示す。本開示では、内部移行活性はSiglec-7の50%が健康な提供者のナチュラルキラー(NK)細胞表面で24時間以内に内部移行する抗体の濃度を言う。本発明の文脈で「高められた」または「向上した」内部移行活性は、例えば、Z176、QA79、およびS7などの既知の抗体よりも内部移行に関するIC50が低くなっていることを意味する。既知のアッセイを用いて内部移行を評価してもよい。例えば、健康な提供者から得た末梢血単核細胞(PBMC)を用いて抗Siglec-7抗体の内部移行活性を求めてもよい。例えば、実施例で記載するようにして内部移行に関するIC50値を求めてもよい。態様によっては、本発明の抗体は内部移行IC50が、約70pM未満であり、態様によっては、実施例で記載するアッセイ条件でアッセイした場合の抗体の内部移行IC50は約60pM未満、約50pM未満、約40pM未満、約30pM未満、約25pM未満、約20未満、または約10pM未満である。態様によっては、内部移行活性が向上した本発明の抗体は、図1または図2で3F1、SL9、16H11、8A2、SL2、5D1、または10E11として表記された抗体のV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。態様によっては、本発明の抗体は図3の3F1、SL9、16H11、8A2、SL2、5D1、または10E11として表記された抗体のV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。複数の実施形態では、図1図3で3F1、SL9、16H11、8A2、SL2、5D1、または10E11として表記された抗体の6つのCDRを持つ。態様によっては、内部移行活性が向上した本発明の抗体は図1または図2の3F1または16H11として表記された抗体V配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。態様によっては、本発明の抗体は、図3で3F1または16H11として表記された抗体V配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。複数の実施形態では、図1図3の9D4、SL13、または5G10として表記された抗体の6つのCDRを持つ。
【0067】
態様によっては、本発明の抗Siglec7抗体はSiglec-7を内部移行するが、Siglec-7リガンドのSiglec-7との結合を阻害しない。本発明の文脈でリガンドのSiglec-7との結合を阻害しない抗体は、実施例で説明する条件でアッセイした場合にリガンド結合が25%超低下するような抗体を指す。態様によっては、Siglec-7リガンドを内部移行するがリガンドのSiglec-7との結合を阻害しない本発明の抗体は、図1または図2で4B12または8A2として表記された抗体のV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。態様によっては、本発明の抗体は図3で4B12または8A2として表記された抗体のV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。複数の実施形態では、図1図3で4B12または8A2として表記された抗体の6つのCDRを持つ。
【0068】
態様によっては、本発明の抗Siglec7抗体は、上述したZ176、QA79、およびS7などの抗Siglec-7抗体に対して異なるエピトープと結合する。Z176およびS7.7は市販の抗Siglec-7抗体である。QA79はeBiosciencesから市販されている。QA79を産生するハイブリドーマは、ICLC登録番号PD99003としても入手可能である。Z176はBeckman Coulterから、S7.7はBioLegendからそれぞれ入手可能である。
【0069】
態様によっては、本発明の抗体はSiglec-7リガンドへの結合についてZ176、QA79、およびS7のいずれとも競合しない。態様によっては、本発明の抗体は、Siglec-7への結合に関して図1図3で4B12として表記された抗体と競合しない。態様によっては、本発明の抗体は、図1または図2で4B12として表記された抗体のV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。態様によっては、本発明の抗体は、図3で4B12として表記された抗体のV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。複数の実施形態では、図1図3で4B12として表記された抗体の6つのCDRを持つ。
【0070】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、W132A変異が結合活性を損なうようにW132を含むエピトープに結合する。態様によっては、そのような抗体は、Siglec-7への結合に関して図1図3で2G12として表記された抗体と競合する。態様によっては、そのような抗体は、Siglec-7リガンドへの結合について図1図3で2G12として表記された抗体と競合する。態様によっては、本発明の抗体は、図1または図2で2G121として表記された抗体のV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。態様によっては、本発明の抗体は、図3で2G12として表記された抗体のV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。複数の実施形態では、図1図3で2G12として表記された抗体の6つのCDRを持つ。
【0071】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、Siglec-7への結合に関して図1図3で5D1として表記された抗体と競合する。態様によっては、そのような抗体は、Siglec-7リガンドへの結合について図1図3で2G12として表記された抗体と競合する。態様によっては、本発明の抗体は図1または図2で5D1として表記された抗体のV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。態様によっては、本発明の抗体は、図3の5D1として表記された抗体V配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。複数の実施形態では、図1図3で5D1として表記された抗体の6つのCDRを持つ。
【0072】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、Siglec-7への結合に関して図1図3で8A2として表記された抗体と競合する。態様によっては、本発明の抗体は、図1または図2で8A2として表記された抗体のV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。態様によっては、本発明の抗体は、図3で8A2として表記された抗体のV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。複数の実施形態では、図1図3で8A2として表記された抗体の6つのCDRを持つ。
【0073】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、図1または図2に示された重鎖可変アミノ酸配列から選択される少なくとも1つ、2つ、または3つのCDRを含む。態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、図3に示された軽鎖可変領域から選択される1つ、2つ、または3つのCDRを含む。態様によっては、抗Siglec-7抗体は、図1に示されたHCDR3配列から選択されるHCDR3と図3に示されたLCDR3配列から選択されるLCDR3を含む。
【0074】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、Siglec-7への結合に関して図1図3の16H11として表記された抗体と競合する。態様によっては、本発明の抗体は、図1または図2で8A2として表記された抗体のV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。態様によっては、本発明の抗体は、図3の8A2として表記された抗体のV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。複数の実施形態では、図1図3の8A2として表記された抗体の6つのCDRを持つ。
【0075】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、図1の重鎖可変領域のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である重鎖可変領域を含む。特定の態様では、図1または図2の重鎖可変領域のアミノ酸配列に対する同一性が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%であるV配列は、参照配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、そのような配列を含む抗Siglec-7抗体はSiglec-7に結合する能力を保持する。特定の態様では、図1の重鎖可変領域のアミノ酸配列では合計1~20個のアミノ酸が置換、挿入、および/または削除されている。特定の態様では、置換、挿入、または欠失はフレームワーク領域で生じる。
【0076】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、図3の軽鎖可変領域のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である軽鎖可変領域を含む。特定の態様では、図3の軽鎖可変領域のアミノ酸配列に対する同一性が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%であるV配列は、参照配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、そのような配列を含む抗Siglec-7抗体はSiglec-7に結合する能力を保持する。特定の態様では、図3の軽鎖可変領域のアミノ酸配列では合計1~20個のアミノ酸が置換、挿入、および/または削除されている。特定の態様では、置換、挿入、または欠失はフレームワーク領域で生じる。
【0077】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、図1または図2の重鎖可変領域のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である重鎖可変領域と図3の対応する抗体の軽鎖可変領域を含み、この軽鎖可変領域は図3の軽鎖可変領域のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である。態様によっては、この抗Siglec-7抗体は、上の2つの段落で記載したような重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域に対する修飾を持つ。
【0078】
態様によっては、抗Siglec-7抗体では、1、2、または3個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されている、図1に記載のCDR3を含む重鎖可変領域を含む。態様によっては、重鎖可変領域は、図1に記載の可変領域配列の3つのCDRを含み、CDR1では1、2、または3個のアミノ酸が置換され、かつ/またはCDR2では少なくとも1、2、3、4、5、6、7、または8個のアミノ酸が置換されている。態様によっては、重鎖可変領域は、図2に記載の可変領域配列の3つのCDRを含み、CDR1では1、2、3、または4個のアミノ酸が置換され、および/またはCDR2では少なくとも1、2、または3個のアミノ酸が置換されている。
【0079】
態様によっては、抗Siglec-7抗体は、1、2、または3個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されている、図2に記載のCDR3を含む重鎖可変領域を含む。態様によっては、このような重鎖可変領域は、図2に記載の可変領域配列の3つのCDRを含み、CDR1では1、2、または3個のアミノ酸が置換され、かつ/またはCDR2では少なくとも1、2、3、4、5、6、7、または8個のアミノ酸が置換されている。あるいは、図2に記載の可変領域配列の3つのCDRを含み、CDR1では1、2、3、または4個のアミノ酸が置換され、かつ/またはCDR2では少なくとも1、2、または3個のアミノ酸が置換されている。
【0080】
態様によっては、抗Siglec-7抗体では、1、2、または3個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されている、図3に記載のCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。態様によっては、軽鎖可変領域は、図3に記載の可変領域配列の3つのCDRを含み、CDR1および/またはCDR2では少なくとも1、2、3、または4個のアミノ酸が置換されている。
【0081】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、Siglec-7を内部移行し、Siglec-7への結合に関して図1図3の16H11として表記された抗体と競合する。態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、Siglec-7を内部移行し、Siglec-7リガンドへの結合について図1図3に16H11として表記された抗体と競合する。態様によっては、本発明の抗体は、配列番号29~31、33、および35~61のいずれか1つに記載のV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。態様によっては、本発明の抗体は、配列番号62および64~78のいずれか1つに記載のV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。態様によっては、抗Siglec-7抗体は、配列番号29~31、33、および35~61のいずれか1つに記載のHCDR3配列から選択されるHCDR3と、配列番号62および64~78のいずれか1つに記載のLCDR3配列から選択されるLCDR3を含む。複数の実施形態では、表1に記載のV領域とV領域の対のいずれか1つに記載の6つのCDRを持つ。
【0082】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、配列番号29~31、33、および35~61のいずれか1つの重鎖可変領域のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である重鎖可変領域を含む。特定の態様では、配列番号29~31、33、および35~61のいずれか1つの重鎖可変領域のアミノ酸配列に対する同一性が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%であるV配列は、参照配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、そのような配列を含む抗Siglec-7抗体はSiglec-7に結合する能力を保持する。特定の態様では、配列番号29~31、33、および35~61のいずれか1つの重鎖可変領域のアミノ酸配列では合計1~20個のアミノ酸が置換、挿入、および/または削除されている。特定の態様では、すべての置換、挿入、または欠失はフレームワーク領域で生じる。特定の態様では、CDR領域で1、2、または3個の置換が生じる。
【0083】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、配列番号62および64~78のいずれか1つの軽鎖可変領域のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である軽鎖可変領域を含む。特定の態様では、配列番号62および64~78のいずれか1つの軽鎖可変領域のアミノ酸配列に対する同一性が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%であるV配列は、参照配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、そのような配列を含む抗Siglec-7抗体はSiglec-7に結合する能力を保持する。特定の態様では、配列番号62および64~78のいずれか1つの軽鎖可変領域のアミノ酸配列では合計1~20個のアミノ酸が置換、挿入、および/または削除されている。特定の態様では、すべての置換、挿入、または欠失はフレームワーク領域で生じる。特定の態様では、CDR領域で1、2、または3個の置換が生じる。
【0084】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、配列番号41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、59、60、または61のいずれかの重鎖可変領域のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である重鎖可変領域と、配列番号69、70、71、72、73、74、75、76、77、または78の軽鎖可変領域のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である軽鎖可変領域を含む。態様によっては、抗Siglec-7抗体は、上の2つの段落で記載したような重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域に対する修飾を持つ。
【0085】
態様によっては、抗Siglec-7抗体では、1、2、または3個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されているか、1または2個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されている配列番号29~31、33、および35~61のいずれか1つに記載のCDR3を含む重鎖可変領域を含む。態様によっては、重鎖可変領域は、1個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されている配列番号29~31、33、および35~61のいずれか1つに記載のCDR3を含む。態様によっては、重鎖可変領域は、配列番号29~31、33、および35~61のいずれか1つに記載の可変領域配列の3つのCDRを含み、CDR1では1、2、または3個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されており、かつ/またはCDR2は1、2、または3個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されている。態様によっては、重鎖可変領域は、配列番号29~31、33、および35~61のいずれか1つに記載の可変領域配列の3つのCDRを含み、CDR1では1または2個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されており、および/またはCDR2は1または2個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されている。態様によっては、重鎖可変領域は、配列番号29~31、33、および35~61のいずれか1つに記載の可変領域配列の3つのCDRを含み、CDR1および/またはCDR2では1個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されている。
【0086】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、重鎖CDR1配列G(G/Y)(K/T)FS(W/S/Y)(F/Y)(配列番号109)、重鎖CDR2配列YP(G/I)(D/F)GE(配列番号110)、および重鎖CDR3配列DYLRAMD(Y/I/V)(配列番号111)を含む。態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、重鎖CDR3(HCDR3)配列 DDYLRAMDY(配列番号81)、DDYLRAMDV(配列番号91)、またはDDYLRAMDI(配列番号92);重鎖CDR1(HCDR1)配列GYDFSNF(配列番号79)、GYTFSNF(配列番号82)、GGDFSNF(配列番号83)、GYDFSSY(配列番号87)、GYDFSSF(配列番号88)、または GYDFSNY(配列番号89);および重鎖CDR2(HCDR2)配列YPGDGE(配列番号80)、YPIDGE(配列番号85)、またはYPGFGE(配列番号90)を含む重鎖可変領域を含む。結合を無効にする変異を持つ例示的なCDR2配列は、IPGDGE(配列番号84)およびYPGDGT(配列番号86)である。
【0087】
態様によっては、抗Siglec-7抗体では、1、2、または3個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されているか、1または2個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されている配列番号62および64~78のいずれか1つに記載のCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。態様によっては、軽鎖可変領域は、1個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されている配列番号62および64~78のいずれか1つに記載のCDR3を含む。態様によっては、軽鎖可変領域は、配列番号62および64~78のいずれか1つに記載の可変領域配列の3つのCDRを含み、CDR1では1、2、3、または4個のアミノ酸が置換されているか、1、2、または3個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されており、かつ/またはCDR2では1、2、3、または4個のアミノ酸が置換されているか、1、2、または3個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されている。態様によっては、軽鎖可変領域は、配列番号62および64~78のいずれか1つに記載の可変領域配列の3つのCDRを含み、CDR1および/またはCDR2では1または2個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されている。態様によっては、軽鎖可変領域は、配列番号62および64~78のいずれか1つに記載の可変領域配列の3つのCDRを含み、CDR1および/またはCDR2では1個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されている。
【0088】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、軽鎖CDR1配列RAS(G/Q)(N/G)I(H/S)NYLA(配列番号112)、軽鎖CDR2配列 (S/A)A(K/S)RL(E/A)(S/D)(配列番号113)、および軽鎖CDR3配列QHFWSSPYT(配列番号95)を含む。態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、軽鎖CDR3(LCDR3)配列QHFWSSPYT(配列番号95);軽鎖CDR1(LCDR1)配列RASGNIHNYLA(配列番号93)、RASGGIHNYLA(配列番号99)、RASQNIHNYLA(配列番号100)、またはRASGNISNYLA(配列番号101);および軽鎖CDR2(LCDR2)配列SAKRLES(配列番号94)、AASRLES(配列番号97)、SASRLES(配列番号98)、SAKRLAS(配列番号102)、またはSAKRLED(配列番号103)を含む軽鎖可変領域を含む。結合を無効にする例示的なCDR1変異は、RASGNIHNSLA(配列番号96)である。
【0089】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は重鎖CDR3(HCDR3)配列DDYLRAMDY(配列番号81)、DDYLRAMDV(配列番号91)、またはDDYLRAMDI(配列番号92);重鎖CDR1(HCDR1)配列GYDFSNF(配列番号79)、GYTFSNF(配列番号82)、GGDFSNF(配列番号83)、GYDFSSY(配列番号87)、GYDFSSF(配列番号88)、またはGYDFSNY(配列番号89);および重鎖CDR2(HCDR2)配列YPGDGE(配列番号80)、YPIDGE(配列番号85)、またはYPGFGE(配列番号90)を含み、前記軽鎖可変領域は軽鎖CDR3(LCDR3)配列QHFWSSPYT(配列番号95);軽鎖CDR1(LCDR1)配列RASGNIHNYLA(配列番号93)、RASGGIHNYLA(配列番号99)、RASQNIHNYLA(配列番号100)、またはRASGNISNYLA(配列番号101);および軽鎖CDR2(LCDR2)配列SAKRLES(配列番号94)、AASRLES(配列番号97)、SASRLES(配列番号98)、SAKRLAS(配列番号102)、またはSAKRLED(配列番号103)を含む。
【0090】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、配列番号43、45、46、47、48、49、50、51、54、55、57、および58から選択される重鎖可変領域配列に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号69のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域を含む。態様によっては、前記重鎖可変領域は、配列番号53、54、51、55、58、および59から選択される重鎖可変領域配列に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列と、配列番号78のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0091】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7は、以下の可変領域(a)~(l)を含む:
(a)配列番号43に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(b)配列番号45に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(c)配列番号46に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(d)配列番号47に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(e)配列番号48に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(f)配列番号49に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(g)配列番号50に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(h)配列番号51に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(i)配列番号54に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域配列、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(j)配列番号55に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(k)配列番号57に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、または
(l)配列番号58に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号69に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域。
【0092】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7は以下の可変領域(a)~(f)のいずれかを含む。
(a)配列番号53に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号78に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(b)配列番号54に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号78に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(c)配列番号51に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号78に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(d)配列番号55に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号78に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、
(e)配列番号58に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号78に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域、または
(f)配列番号59に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、および配列番号78に記載のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域。
【0093】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、Siglec-7を内部移行し、Siglec-7への結合に関して図1図3に8A2として表記された抗体と競合する。態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、配列番号104または106のいずれか1つに示されたV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、配列番号105または107に示されたV配列の少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つのCDRを持つ。態様によっては、抗Siglec-7抗体は配列番号104または106に示されたHCDR3配列と、配列番号105または107に示されたLCDR3配列を含む。
【0094】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、配列番号104または106の重鎖可変領域のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である重鎖可変領域を含む。特定の態様では、配列番号104または106の重鎖可変領域のアミノ酸配列に対する同一性が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%であるV配列は、参照配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、そのような配列を含む抗Siglec-7抗体はSiglec-7に結合する能力を保持し、内部移行活性を持つ。特定の態様では、配列番号104または106の重鎖可変領域のアミノ酸配列では合計1~20個のアミノ酸が置換、挿入、および/または削除されている。特定の態様では、すべての置換、挿入、または欠失はフレームワーク領域で生じる。特定の態様では、CDR領域では1、2、または3個の置換が生じる。
【0095】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、配列番号105または107の軽鎖可変領域のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である軽鎖可変領域を含む。特定の態様では、配列番号105または107の軽鎖可変領域のアミノ酸配列に対する同一性が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%であるV配列は、参照配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含むが、そのような配列を含む抗Siglec-7抗体はSiglec-7に結合する能力を保持する。特定の態様では、配列番号105または107の軽鎖可変領域のアミノ酸配列では合計1~20個のアミノ酸が置換、挿入、および/または削除されている。特定の態様では、すべての置換、挿入、または欠失はフレームワーク領域で生じる。特定の態様では、CDR領域では1、2、または3個の置換が生じる。
【0096】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、配列番号104または106の重鎖可変領域のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である重鎖可変領域と、配列番号105または107の軽鎖可変領域のアミノ酸配列に対する配列同一性が少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である軽鎖可変領域を含む。態様によっては、抗Siglec-7抗体は上の2つの段落で記載した重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域に対する修飾を持つ。
【0097】
態様によっては、抗Siglec-7抗体は、1、2、または3個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されているか、1または2個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されている配列番号104または106に記載のCDR3を含む重鎖可変領域を含む。態様によっては、重鎖可変領域は、1個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されている配列番号104または106に記載のCDR3を含む。態様によっては、重鎖可変領域は、CDR1では1、2、または3個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)され、かつ/またはCDR2では1または2個、あるいは1個だけアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されている配列番号104または106に記載の可変領域配列の3つのCDRを含む。
【0098】
態様によっては、抗Siglec-7抗体は、1、2、または3個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されているか、1または2個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されている配列番号105または107に記載のCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。態様によっては、軽鎖可変領域は、1個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されている配列番号105または107に記載のCDR3を含む。態様によっては、軽鎖可変領域は、CDR1で1、2、または3個のアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)され、かつ/またはCDR2で1または2個、あるいは1個だけアミノ酸が置換(例えば、保存的置換)されている配列番号105または107に記載の可変領域配列の3つのCDRを含む。
【0099】
本発明のさらなる一態様では、上記実施形態のいずれかによる抗Siglec-7抗体はモノクローナル抗体(キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体を含む)である。一態様では、抗体は、実質的に完全な長さの抗体(例えば、IgG抗体、または本明細書で規定した他の抗体クラスすなわちアイソタイプ)である。
【0100】
態様によっては、本開示による抗Siglec-7抗体は、リガンドを阻害する1価の形態の抗体である。
【0101】
態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体は、二重特異性または多特異性形態で用いられる。例えば、実施形態によっては、抗体は、さらに以下で記載する治療抗体を含む二重特異性または多特異性抗体に組み込まれていてもよい。
【0102】
Fc操作
本発明の抗Siglec-7抗体は、本願に記載のように、例えば血清半減期の延長及び/又は補体結合、Fc受容体結合及び/又は抗体依存的細胞媒介細胞傷害を含む、抗体エフェクター機能の減少等の、抗体の1つ以上の機能的特性を変化させるように操作された変異Fc領域であり得る。更に、本願抗体は、化学的に改変され(例えば1つ以上の化学部分が抗体に結合され得る)、又はそのグリコシル化を変化させるように改変され、その抗体の1つ以上の機能的特性を変化させるように改変され得る。Fc領域に存在するアミノ酸を記載する目的で、位置はEUインデックスナンバリングを用いて番号付けられ、「(位置番号)X」という表記は、位置番号に示す位置に存在するアミノ酸Xが存在することを意味する。Fc領域の変異を記載するための「X(位置番号)Y」という表記は、位置番号に示す位置に存在するアミノ酸XがYに置き換えられることを意味する。例えばL234Aは、Fc領域において、参照Fc領域配列の位置234に存在するLがAに置き換えられることを意味する。同様に、位置番号と「-」が組み合わせられた「(位置番号)-」は、Fc領域の位置番号に示す位置のアミノ酸の欠失を意味する。例えば、「236-」は、Fc領域において、参照Fc領域配列における位置236の残基が欠失していることを意味する。
【0103】
幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体のFc領域に、例えば安定性を増大する及び/又はエフェクター機能を減少する、1つ以上のアミノ酸改変が導入され得る。従って、Fc領域変異は、天然のFc領域配列と比較して1つ以上の置換等アミノ酸変異を含む、人IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4Fc領域配列等の人Fc領域配列を含み得る。また、Fc領域変異体は、更なる改変を含み得る。従って、幾つかの態様において、当該Fc領域変異体は、天然の人IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4領域に対し、80%以上、85%以上、90%以上、又は95%以上の同一性を有し、本願記載の特定のFc領域改変を含む。
【0104】
幾つかの態様において、エフェクター機能の減少した本願抗Siglec-7抗体は、1つ以上のアミノ酸改変;又は2つ以上の改変を含む。幾つかの態様において、1つ以上の改変は、位置228, 233, 234, 235, 236, 237, 238, 268, 309, 322, 327, 330, 331, 233, 242,259, 287, 292, 297, 302, 306, 323, 332, 334, 252, 254, 256, 232, 233, 267, 328, 252, 254, 256及び329からなる群から選択されるFc領域位置で起こる。
【0105】
幾つかの態様において、エフェクター機能が減少した本願抗Siglec-7抗体は、位置234, 235, 236, 237, 238, 267, 268, 297, 309, 322, 327, 330, 331及び328からなる群から選択されるFc領域位置に1つ以上のアミノ酸改変を含む。幾つかの態様において、当該抗体は、更に、位置232, 233, 242, 252, 254, 256, 259, 287, 292, 302, 306, 323, 329, 332,及び334からなる群から選択される位置で、Fc領域中に1つ以上の改変を含む。
【0106】
幾つかの態様において、エフェクター機能が減少した本願抗Siglec-7抗体は、228P, 233P, 234V, 234A/V, 234F, 235A, 235E, 235Q, 236- (即ち位置236の残基の欠失), 237A, 238S, 242C, 252Y, 254T, 256E, 259C, 268A, 287C, 292C, 297C, 297A, 297G, 297Q, 302C, 306C, 309L, 322Q, 323C, 327G, 329G, 330S, 331S, 332C,及び334Cからなる群から選択される1つ以上の残基を有するFc領域を含む。幾つかの態様において、エフェクター機能が減少した本願抗Siglec-7抗体は、228P, 233P, 234V, 234A/V, 234F, 235A, 235E, 235Q, 236- (即ち位置236の残基の欠失), 237A, 238S, 242C, 252Y, 254T, 256E, 259C, 268A, 287C, 292C, 297C, 297A, 297G, 297Q, 302C, 306C, 309L, 322Q, 323C, 327G, 329G, 330S, 331S, 332C,及び334Cからなる群から選択される2つ以上又は3つ以上の残基を有するFc領域を含む。幾つかの態様において、前記抗体は、234A及び235Aを含むFc領域を含む。幾つかの態様において、前記抗体は、327G, 330S,及び331Sを含むFc領域を含む。幾つかの態様において、前記抗体は、327G, 330S,及び331Sを含むFc領域を含む。を含む。幾つかの態様において、前記抗体は、233P, 234V, 235A,及び236-を含む。幾つかの態様において、前記抗体は、233P, 234V,及び235Aを含む。幾つかの態様において、前記抗体は、233P, 234V, 235A, 236-, 327G, 330S,及び331Sを含む。幾つかの態様において、前記抗体は、233P, 234V, 235A, 327G, 330S,及び331Sを含む。幾つかの態様において、前記抗体は、297A/G/Qを含む。幾つかの態様において、前記抗体は、242C, 297C,及び334Cを含む。幾つかの態様において、前記抗体は、287C, 297G,及び306Cを含む。幾つかの態様において、前記抗体は、292C, 297G,及び302Cを含む。幾つかの態様において、前記抗体は、297G, 323C,及び332Cを含む。幾つかの態様において、前記抗体は、259C, 297G,及び306Cを含む。幾つかの態様において、前記抗体は、234F, 235Q, 322Q, 252Y, 254T,及び256Eを含む。幾つかの態様において、前記抗体は、234A, 235A,及び329Gを含む。幾つかの態様において、前記抗体は、330S及び331Sを含む。幾つかの態様において、前記抗体は、234A, 237A, 238S, 268A, 309L, 330S,及び331Sを含む。幾つかの態様において、前記抗体は、233P, 234V, 235A,及び236-を含む。幾つかの態様において、前記抗体は、228P, 234V,及び235Aを含む。幾つかの態様において、前記抗体は、228P及び235E/Aを含む。
【0107】
幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、エフェクター機能が減少した人IgG1Fc領域変異体を含むFc領域を含む。幾つかの態様において、前記人IgG1Fc領域変異体は、天然の人IgG1Fc領域アミノ酸配列に対し85%以上の同一性を有する。幾つかの態様において、前記人IgG1Fc領域変異体は、天然の人IgG1Fc領域アミノ酸配列に対し90%以上、又は95%以上の同一性を有する。幾つかの態様において、前記Fc領域は、エフェクター機能が減少し、かつ前記抗体の血清半減期を増大する改変を有する人IgG1Fc領域変異体を含む。幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、アミノ酸改変L234A及びL235Aを含む人IgG1Fc領域を含む。幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、アミノ酸改変A327G, A330S,及びP331Sを含む人IgG1Fc領域を含む。幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、アミノ酸改変E233P, L234V, L235Aを含み、更にアミノ酸改変G236-,アミノ酸改変G236-, A327G, A330S,及びP331S;又はアミノ酸改変A327G, A330S,及びP331Sを含み得る、人IgG1Fc領域を含む。幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、アミノ酸改変N297A/G/Qを含む人IgG1Fc領域を含む。幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、アミノ酸改変L242C, N297C,及びK334Cを含む人IgG1Fc領域を含む。幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、アミノ酸改変A287C, N297G,及びL306Cを含む人IgG1Fc領域を含む。幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、アミノ酸改変R292C, N297G,及びV302Cを含む人IgG1Fc領域を含む。幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、アミノ酸改変N297G, V323C,及びI332Cを含む人IgG1Fc領域を含む。幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、アミノ酸改変V259C, N297G,及びL306Cを含む人IgG1Fc領域を含む。幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、アミノ酸改変L234F, L235Q, K322Q,及びM252Y, S254T, T256Eを含む人IgG1Fc領域を含む。幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、アミノ酸改変L234A, L235A,及びP329Gを含む人IgG1Fc領域を含む。幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、N297A, N297G, N297Q, N297C, D265A, L234A, L235A, G237A, C226S, C229S, E233P, L234V, L234F, L235E, L235Q, P329G, P331S, P331G, S267E, L328F, A287C, L306C, R292C, V259C, V302C, K322Q, V323C, I332C, A330L, A327G, A330S, L242C,及びK334Cからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸改変、又は2つ以上のアミノ酸改変を含む、人IgG1Fc領域を含む。
【0108】
幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、エフェクター機能が減少した人IgG2Fc領域変異体を含むFc領域を含む。幾つかの態様において、前記人IgG2Fc領域変異体は、天然の人IgG2Fc領域アミノ酸配列に対し85%以上の同一性を有する。幾つかの態様において、前記人IgG2Fc領域変異体は、天然の人IgG2Fc領域アミノ酸配列に対し90%以上、又は95%以上の同一性を有する。幾つかの態様において、前記Fc領域は、エフェクター機能が減少し、かつ前記抗体の血清半減期を増大する改変を有する人IgG2Fc領域変異体を含む。幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、アミノ酸改変A330S及びP331Sを含む人IgG2Fc領域を含む。幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、アミノ酸改変V234A, G237A, P238S, H268A, V309L, A330S,及びP331Sを含む人IgG2Fc領域を含む。幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、1つ以上のアミノ酸改変V234A, G237A, H268Q, V309L, A330S, P331S, C232S, C233S, S267E, L328F, M252Y, S254T,及びT256Eを含む人IgG2Fc領域を含む。幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、V234A, G237A, P238S, H268Q, V309L, A330S, P331S S267E, S267E,及びL328Fからなる群から選択される位置に1つ以上の改変又は2つ以上の改変を含む人IgG2Fc領域を含む。
【0109】
幾つかの態様において、幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、エフェクター機能が減少した人IgG4Fc領域変異体を含むFc領域を含む。幾つかの態様において、前記人IgG4Fc領域変異体は、天然の人IgG4Fc領域アミノ酸配列に対し85%以上の同一性を有する。幾つかの態様において、前記人IgG4Fc領域変異体は、天然の人IgG4Fc領域アミノ酸配列に対し90%以上、又は95%以上の同一性を有する。幾つかの態様において、前記Fc領域は、エフェクター機能が減少し、かつ前記抗体の血清半減期を増大する改変を有する人IgG4Fc領域変異体を含む。幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、アミノ酸改変E233P, F234V, L235A,及びG236-を含む人IgG4Fc領域を含む。幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、アミノ酸改変E233P, F234V,及びL235Aを含む人IgG4Fc領域を含む。幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、アミノ酸改変S228P及びL235E/Aを含む人IgG4Fc領域を含む。幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、E233P, L235A又はL235E, G237A, L236E, S267E, E318A,及びL328Fからなる群から選択される1つ以上の改変を含む人IgG4Fc領域を含む。
【0110】
幾つかの態様において、本願抗Siglec-7抗体の野生型人Fc領域の位置329のプロリンは、グリシン若しくはアルギニン、又はFcのプロリン329とFcγRIIIのTrp87及びTrp110との間に形成されるFc/Fcγ受容体接触面内のプロリンサンドウィッチを破壊するのに十分な大きさのアミノ酸残基である(Sondermann et al.: Nature 406, 267-273 (20 Jul. 2000))。幾つかの態様において、前記抗体は、1つ以上の更なるアミノ酸置換を含む。一つの態様において、当該更なるアミノ酸置換は、S228P, E233P, L234A, L235A, L235E, N297A, N297D,又はP331Sである。幾つかの態様において、当該更なるアミノ酸置換は、人IgG1Fc領域のL234A及びL235A、又は人IgG4Fc領域のS228P及びL235Eである(例えばUS 2012/0251531)。他の態様において、当該更なるアミノ酸置換は、人IgG1Fc領域のL234A及びL235A及びP329Gである。
【0111】
幾つかの態様において、エフェクター機能が減少した抗Siglec-7抗体は、238, 265, 269, 270, 297, 327及び329からなる群から選択されるFc領域の位置で、1つ以上のアミノ酸置換を含む(U.S. Patent No. 6,737,056)。そのようなFc変異体は、265及び297残基がアラニンに置換された所謂「DANA」Fc変異体(US Patent No. 7,332,581)を含む、アミノ酸位置265, 269, 270, 297及び327の2つ以上の置換を有するFc変異体を含む。
【0112】
幾つかの態様において、エフェクター機能が減少した抗Siglec-7抗体は、様々な人IgGアイソタイプに由来するCHドメインを含む。例えば、幾つかの態様において、抗Siglec-7抗体は、IgG2CH1ドメイン及びヒンジ配列、例えば配列ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCP(配列番号114)、及びアミノ酸置換S267E及び/又はL328F;及び/又はN297A又はN297Qを含むIgG1CH2及びCH3ドメイン配列を含み得る。幾つかの態様において、エフェクター機能が減少した抗Siglec-7抗体は、人IgG2及びIgG4配列を含む。例えば、そのような抗体は、人IgG2のアミノ酸117~260、及び人IgG4のアミノ酸261~447を含み得る。
【0113】
エフェクター機能の減少又は抗体半減期は、任意の適切なアッセイを用いて評価され得る。例えば、CDC及び/又はADCC活性の減少を確認するために、インビトロ及び/又はインビボ細胞傷害性アッセイが行われ得る。幾つかの態様において、FcγRへの結合が減少した及び/又は検出不可能なことを判定するために、Fc受容体結合アッセイが実施され得る。ADCCを評価するインビトロアッセイの非限定的な例は、U.S. Patent No. 5,500,362 (例えばHellstrom, I . et al. Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 83:7059-7063 (1986))及びHellstrom, I et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 82: 1499-1502 (1985); 5,821 ,337 (Bruggemann, M. et al., J. Exp. Med. 166: 1351 -1361 (1987))に記載されている。或いは、非放射性アッセイが採用され得る(例えばフローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology, Inc. Mountain View, CA);及びCytoTox96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega, Madison, Wl))。
【0114】
そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞は、末梢血単核球細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞を含む。或いは、又は加えて、所望の分子のADCC活性は、Clynes et al. Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 95:652-656 (1998)に開示されるような動物モデル等においてインビボで評価され得る。C1q結合アッセイも、抗体がcqに結合できない又は結合活性が低下しているためCDC活性が低下していることを確認するために実施され得る。例えばWO 2006/029879及びWO 2005/100402のC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するため、CDCアッセイが実施され得る(例えばGazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202: 163 (1996); Cragg, M.S. et al., Blood 101 : 1045-1052 (2003);及びCragg, M.S. and M.J. Glennie, Blood 103:2738-2743 (2004))。
【0115】
典型的な態様において、エフェクター機能が減少した変異Fc領域は、野生型対応Fc領域と同じアッセイ及び抗体フォーマットを用いて比較した場合、エフェクター機能が少なくとも30%、又は50%以上減少している。
【0116】
本願エフェクター機能が減少したFc領域を含む抗Siglec-7抗体は、血清半減期が増大する改変も含み得る。幾つかの態様において、典型的に血清半減期に相関するFcRn結合活性も評価され得る。半減期が増大し、新生児Fc受容体(FcRn)に対する結合が改善した抗体は、US2005/0014934A1 (Hinton et al.)に記載されている。これらの抗体は、Fc領域のRcRnへの結合を改善する1つ以上の置換を有するFc領域を含む。そのようなFc変異体は、Fc領域残基434の置換(US Patent No. 7,371 ,826)等の、Fc領域残基238, 256, 265, 272, 286, 303, 305, 307, 311 , 312, 317, 340, 356, 360, 362, 376, 378, 380, 382, 413, 424又は434の1つ以上における置換を含む。Fc領域変異体の他の例に関するDuncan & Winter, Nature 322:738-40 (1988); U.S. Patent No. 5,648,260; U.S. Patent No. 5,624,821;及びWO 94/29351も参照されたい。血清半減期を改善する追加の変異は、YTE変異、即ちそれぞれ位置252、254及び256のアミノ酸Y、T及びEの変異を含む。FcRn結合やインビボクリアランス/半減期の決定は、本分野で既知の方法を用いて実施され得る(例えばPetkova, S.B. et al. , Int'l. Immunol. 18(12): 1759-1769 (2006))。典型的な態様において、安定性の増大をもたらす変異Fc領域は、対応する野生型抗体と比較して、血清半減期が5%以上、又は10%以上、20%以上増大する。
【0117】
幾つかの態様において、生体半減期は、Presta et alによるU.S. Patent Nos. 5,869,046及び6,121,022に記載されているように、IgGのFc領域のCH2領域の2つのループから取ったサルベージ受容体結合エピトープを含むようにCH1又はCL領域内のFc領域を改変することによって増大し得る。幾つかの態様において、人IgG2のシステイン位置C232及びC233等の安定化変異が導入され、ジスルフィド結合交換が阻止されることにより、IgG2-Aコンフォーメーション中の人IgG2が安定化する。
【0118】
さらに他の実施形態では抗体のグリコシル化が修飾されている。例えば、非グリコシル化抗体または変更したグリコシル化パターンを持つ抗体を作製してもよい。例えば、抗体の抗原に対する親和性を高める、あるいはFc領域での場合はエフェクター機能に影響を及ぼすようにグリコシル化を変えてもよい。そのような炭水化物の修飾は、例えば、抗体配列内の1つ以上のグリコシル化部位を変更することで達成されてもよい。例えば、1つ以上の可変領域フレームワークのグリコシル化部位を脱離させるように1個以上のアミノ酸を置換し、これによりその部位のグリコシル化を脱離させてもよい。そのようなグリコシル化により、抗体の抗原に対する親和性を高めてもよい。
癌の治療
【0119】
本発明の抗Siglec-7抗体は、任意の数の癌を治療するのに用いられてもよい。本開示の態様によっては、抗体を用いて、高濃度のSiglec-7の発現を伴うCD8+T細胞などの免疫細胞の浸潤を示す癌を治療する。態様によっては、本発明の抗Siglec-7抗体を用いて、Siglec-7を発現しているNK細胞または単球の浸潤を示す癌を治療してもよい。
【0120】
従って、態様によっては、本開示は、抗Siglec-7抗体で治療する候補である対象を確認する方法を提供する。従って、一態様では、本発明は、患者から得られた腫瘍試料中のSiglec-7を発現しているCD8+T細胞の浸潤の量を確認する方法を提供する。態様によっては、この腫瘍試料は一次腫瘍に由来する。別の実施形態では、この腫瘍試料は転移性病変である。例えば、T細胞などの細胞表面でのSiglec-7の発現濃度を、免疫組織化学検査またはフローサイトメトリーなど任意のアッセイを用いて測定してもよい。腫瘍浸潤性T細胞表面でのSiglec-7の発現濃度の決定という文脈でSiglec-7の「過剰発現」は、分析している細胞(例えば、CD8+T細胞)の少なくとも10%、少なくとも20%、または少なくとも25%、または少なくとも30%、またはそれ以上が細胞表面で検出可能なSiglec-7を発現しているものと見なされる。従って、この文脈での「過剰発現」は検出可能なSiglec-7を発現しているT細胞の百分率を指す。この文脈での「過剰発現」は、検出可能なSiglec-7を発現しているT細胞の百分率を指す場合に検出可能なSiglec-7を発現しているT細胞の「数の増加」または「濃度の上昇」という用語と同義である。
【0121】
腫瘍が発現しているSiglec-7リガンドの濃度はまた、典型的に高くなっている。腫瘍は、Siglec-7の検出可能な結合が腫瘍細胞表面で観察される場合、Siglec-7リガンドを発現していると見なされる。態様によっては、評価される試料中、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、またはそれ以上の腫瘍細胞表面でSiglec-7リガンドが発現していれば、これを抗Siglec-7抗体で治療する患者を決定するための選択基準として用いてもよい。
【0122】
本明細書で記載するように、抗Siglec-7抗体で任意の癌を治療してもよい。態様によっては、この癌は上皮性悪性腫瘍または肉腫である。態様によっては、この癌は血液癌である。態様によっては、この癌は乳癌、前立腺癌、精巣癌、腎細胞癌、膀胱癌、卵巣癌、頸部癌、子宮内膜癌、肺癌、結腸直腸癌、肛門癌、脾臓癌、胃癌、食道癌、肝細胞癌、頭部および頸部癌、膠芽細胞腫、中皮腫、メラノーマ、または骨あるいは軟組織肉腫である。態様によっては、この癌は、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄白血病、副腎皮質上皮性悪性腫瘍、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫、基底細胞上皮性悪性腫瘍、胆管癌、膀胱癌、骨腫瘍、脳幹グリオーマ、脳癌、小脳星状細胞腫、脳星状細胞腫、上衣腫、髄芽腫、テント上未分化神経外胚葉性腫瘍、視覚伝導路および視床下部膠腫、乳癌、気管支腺腫、バーキットリンパ腫、中枢神経系リンパ腫、小脳星状細胞腫、頸部癌、軟骨肉腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性障害、大腸癌、皮膚T細胞性リンパ腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、子宮内膜癌、類上皮血管内皮腫(EHE)、食道癌、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼癌、眼球内メラノーマ、網膜芽、胆嚢癌、胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST),胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍、胃カルチノイド、有毛細胞白血病、頭部および頸部癌、心臓癌、肝細胞癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、視床下部および視覚伝導路神経膠腫、小児、眼球内メラノーマ、島細胞上皮性悪性腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭癌、白血病、口唇および口腔癌、脂肪肉腫、肝臓癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌,リンパ腫、マクログロブリン血症、男性乳癌、悪性骨線維性組織球腫、髄芽腫、メラノーマ,メルケル細胞癌、中皮腫、転移性扁平上皮頸部癌、口癌、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、骨髄白血病、成人急性、骨髄増殖性障害、慢性、粘液腫、鼻腔および副鼻腔癌、鼻咽頭上皮性悪性腫瘍、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、乏突起膠腫、口腔癌、口腔咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、脾臓癌、副鼻腔および鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体星状細胞腫、松果体胚細胞腫、松果体芽細胞腫、下垂体腺腫、血漿細胞新生物、胸膜肺芽腫、一次中枢神経系リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎臓細胞上皮性悪性腫瘍、網膜芽、横紋筋肉腫、唾液腺癌、ユーイング肉腫、カポジ肉腫、軟組織肉腫、子宮肉腫、セザリー症候群、非メラノーマ皮膚癌、メラノーマメルケル細胞皮膚上皮性悪性腫瘍、小腸癌、扁平上皮細胞上皮性悪性腫瘍、扁平上皮頸部癌、胃癌、皮膚T細胞リンパ腫、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫、甲状腺癌、腎盂および尿管の移行細胞癌、妊娠性絨毛性腫瘍、尿道癌、子宮癌、膣癌、外陰癌、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、またはウィルムス腫瘍である。
【0123】
一態様では、本開示の方法は、前記癌の治療に好適な投与計画を用いて医薬組成物として治療有効量の抗Siglec-7抗体を癌患者に投与することを含む。この組成物は、様々な薬物送達システムで用いられるために処方されてもよい。また、適切な製剤のため、この組成物は1種以上の生理学的に容認可能な賦形剤または担体を含んでいてもよい。本発明で用いる適切な製剤は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, Philadelphia, PA. Lippincott Williams & Wilkins, 2005に見られる。
【0124】
上記の抗Siglec-7抗体は、注射用の殺菌等張水溶液など、患者に投与するのに好適な溶液で提供される。この抗体は、容認可能な担体中に好適な濃度で溶解または懸濁している。態様によっては、この担体は例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水などの水性である。この組成物は、生理学的条件に近づけるのに必要な補助的な医薬品物質(例えば、pH調製および緩衝剤、等張調整剤など)を含んでいてもよい。
【0125】
病気またはその病気の症状およびその合併症を治癒する、あるいは少なくとも部分的に抑えるのに十分な量でこの医薬組成物を患者に投与する。これを達成するのに適切な量は、「治療有効投与量」として定義される。治療有効投与量は、患者の治療に対する応答を監視することで決定される。治療有効投与量を示す典型的な基準は、患者の病気の症状の改善を含む。この使用に有効な量は、病気の重症度および患者の一般的な健康状態(年齢、重量、性別、投与経路などの他の因子を含む)に依存する。患者が必要または許容する投与量と頻度により、抗体を単回または複数回投与してもよい。いずれにしても、上記方法は、効果的に患者を治療するのに十分な量の抗Siglec-7抗体を提供する。
【0126】
任意の好適な手段(例えば、非経口投与、肺内投与、経鼻投与の他、腫瘍内投与などの局所投与を含む)で抗Siglec-7抗体を投与してもよい。非経口注入は、筋肉内投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、または皮下投与を含む。態様によっては、抗体を吹き入れて投与してもよい。例示的な一実施形態では、抗体を4℃の注射用殺菌等張水性生理食塩水溶液中に10mg/mlの濃度で保存しておいてもよく、患者に投与する前に注射ように100mlまたは200mlの0.9%塩化ナトリウムで希釈する。態様によっては、0.01~25mg/kgの投与量で1時間かけて静脈注入により抗体を投与する。他の実施形態では、15分~2時間かけて静脈注入により抗体を投与する。さらに他の実施形態では、投与手順は皮下急速静注注射によるものである。
【0127】
抗体の投与量は、患者に有効な治療を提供するために選択され、0.01mg/kg(体重)~約25mg/kg(体重)未満の範囲あるいは患者あたり1mg~2gの範囲である。投与量は0.1~10mg/kgまたは約50mg~1000mg/患者の範囲であることが好ましい。この投与量を適切な頻度で繰り返してもよく、その頻度は、抗体の薬物動態(例えば、循環血中の抗体の半減期)および薬力学的応答(例えば、抗体の治療効果の継続)に応じて1日1回から3ヶ月あるいは6ヶ月に1回の範囲であってもよい。態様によっては、生体内での半減期が約7~約25日として、抗体の投与を1週間に1回から3ヶ月または6ヶ月に1回の頻度で繰り返す。他の実施形態では、1ヶ月に約1回抗体を投与する。
【0128】
抗Siglec-7抗体を1種以上の追加の治療薬(例えば、化学療法薬および/または追加の免疫療法)と共に投与してもよい。
【0129】
態様によっては、抗Siglec-7抗体を他のチェックポイント阻害剤と併用して投与してもよい。一態様では、チェックポイント阻害剤は生物学的治療または小分子である。他の態様では、チェックポイント阻害剤はモノクローナル抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、融合タンパク質、またはこれらの組み合わせである。特定の態様では、チェックポイント阻害剤はチェックポイントタンパク質を阻害し、このチェックポイントタンパク質はCTLA-4、PDLl、ICOS、PDL2、IDO1、IDO2、PDl、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、GITR、HAVCR2、LAG3、KIR、LAIR1、LIGHT,MARCO、OX-40、SLAM、2B4、CD2、CD27、CD28、CD30、CD40、CD70、CD80、CD86、CD137、CD160、CD39、VISTA、TIGIT、CGEN-15049、2B4、CHK1、CHK2、A2aR、B7ファミリーリガンド、またはこれらの組み合わせであってもよい。態様によっては、上記免疫チェックポイント阻害剤はPD-Llの阻害剤である。態様によっては、上記免疫チェックポイント阻害剤はPD-1の阻害剤である。態様によっては、上記免疫チェックポイント阻害剤はCTLA-4の阻害剤である。態様によっては、上記免疫チェックポイント阻害剤はLAG3の阻害剤である。態様によっては、上記免疫チェックポイント阻害剤はTIM3の阻害剤である。態様によっては、上記免疫チェックポイント阻害剤はICOSである。
【0130】
態様によっては、抗Siglec-7抗体を、腫瘍細胞抗原を標的する抗体など、治療抗体と併用して投与してもよい。治療抗体の例としては、リツキシマブ、トラスツズマブ、トシツモマブ、イブリツモマブ、アレムツズマブ、エプラツズマブ、ベバシズマブ、エロツズマブ、ネシツムマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブベドチン、セツキシマブ、ダラツムマブ、デノスマブ、ジヌツキシマブ、ゲムツズマブ、イブリツモマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、アドトラスツズマブ、パニツムマブ、ペムブロリズマブ、ペルツズマブ、ラムシルマブ、およびラニビズマブが挙げられる。
【0131】
態様によっては、抗Siglec-7抗体を化学療法薬と共に投与する。癌化学療法薬の例としては、アルキル化剤(例えば、チオテパおよびシクロホスファミド(CYTOXAN));スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファン);アジリジン(例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ、およびウレドパ);エチレンイミンおよびメチルメラミン(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、およびトリメチローロメラミンを含む);窒素マスタード(例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、酸化メクロレタミン塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、レドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード);ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質(例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルチノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルチェロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン); 代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU));葉酸類縁体(例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリトリメトレキサート);プリン類縁体(例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン);ピリミジン類縁体(例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FU);男性ホルモン(例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン);抗副腎薬(例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン);葉酸補充薬(例えば、フォリン酸); アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォルミチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモル;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド;シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類縁体(例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン);ビンブラスチン;ドセタキセル、白金;エトポシド(VP-16));イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-1 1;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオミチン(DMFO);レチノイン酸誘導体(例えば、ベキサロテン、アリトレチノイン);デニロイキン・ディフティトックス;エスペラミシン;カペシタビン;およびこれらのいずれかの医薬的に許容可能な塩、酸、または誘導体が挙げられる。またこの定義には、腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤が含まれる。例えば、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、ミフェプリストン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 1 17018、オナプリストン、およびトレミフェン(フェアストン)を含む);および抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロレリン、およびゴセレリン;およびこれらのいずれかの医薬的に許容可能な塩、酸、または誘導体などが挙げられる。さらに癌治療薬は、ソラフェニブおよび他のタンパク質キナーゼ阻害剤(例えば、アファチニブ、アキシチニブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、フォスタマチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ムブリチニブ、ニロチニブ、パゾパニブ、ペガプタニブ、ルキソリチニブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、およびスニチニブ);シロリムス(ラパマイシン)、エベロリムス、およびその他のmTOR阻害剤を含む。追加の化学療法薬としては、例えば、トポイソメラーゼI阻害剤(例えば、イリノテカン、トポテカン、カンプトテシン、およびこれらの類縁体または代謝物質、およびドキソルビシン);トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、エトポシド、テニポシド、およびダウノルビシン);アルキル化剤(例えば、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、チオテパ、イホスファミド、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、メトトレキサート、マイトマイシンC、およびシクロホスファミド);DNA干渉物質(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、およびカルボプラチン);DNA干渉物質および遊離ラジカル発生剤(例えば、ブレオマイシン;およびヌクレオシド模倣物(例えば、5-フルオロウラシル、カペシチビン、ゲムシタビン、フルダラビン、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、およびヒドロキシ尿素)が挙げられる。また、例示的な化学療法薬としては、パクリタキセル、ドセタキセル、および関連類縁体;ビンクリスチン、ビンブラスチン、および関連類縁体;サリドマイド、レナリドミド、および関連類縁体(例えば、CC-5013およびCC-4047);タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、メシル酸イマチニブおよびゲフィチニブ);プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ);NF-κΒ阻害剤(ΙκΒキナーゼの阻害剤および癌で上方調節、過剰発現、または活性化されることが知られており、その阻害は細胞複製を下方調節するその他のタンパク質または酵素の阻害剤を含む)が挙げられる。追加の薬剤としては、アスパラギナーゼおよびカルメット・ゲラン桿菌の調製剤が挙げられる。
【0132】
また、細胞系治療(例えば、NK又はT細胞治療または癌ワクチンなど)と併用して抗Siglec-7抗体を癌患者に投与してもよい。場合によっては、癌ワクチンはペプチド系ワクチン、核酸系ワクチン、細胞系ワクチン、ウイルス系またはウイルス断片系ワクチン、あるいは抗原提示細胞(APC)系ワクチン(例えば、樹状細胞系ワクチン)である。癌ワクチンは、Gardasil(登録商標)、Cervarix(登録商標)、シプリューセル-T(Provenge登録商標)、NeuVax(登録商標)、HER-2 ICDペプチド系ワクチン、HER-2/neuペプチドワクチン、AdHER2/neu樹状細胞ワクチン、HER-2刺激(pulsed)DC1ワクチン、Ad-sig-hMUC-l/ecdCD40L融合タンパク質ワクチン、MVX-ONCO-1、hTERT/サルビビン/CMV多ペプチドワクチン、E39、J65、PlOs-PADRE、rV-CEA-Tricom、GVAX(登録商標)、Lucanix(登録商標)、HER2 VRP、AVX901、ONT-10、ISAlOl、ADXSl 1-001、VGX-3100、INO-9012、GSK1437173A、BPX-501、AGS-003、IDC-G305、HyperAcute(登録商標)-Renal (HAR)免疫治療法、Prevenarl3,MAGER-3.A1、NA17.A2、DCVax-Direct、潜伏膜タンパク質-2(LMP2)-充填樹状細胞ワクチン(NCT02115126)、HS410-101 (NCT02010203, Heat Biologies)、EAU RF 2010-01 (NCT01435356, GSK)、140036 (NCT02015104, Rutgers Cancer Institute of New Jersey)、130016 (NCTO 1730118, National Cancer Institute)、MVX-201101 (NCT02193503,Maxivax SA)、ITL-007-ATCR-MBC(NCT01741038, Immunovative Therapies, Limited)、CDR0000644921 (NCT00923143, Abramson cancer center of the University of Pennsylvania)、SuMo-Sec-01 (NCT00108875, JuliusMaximilians Universitaet Hospital)、またはMCC-15651 (NCT01176474,Medarex, Inc, BMS)を含む。
【0133】
本発明の文脈で本発明の抗Siglec-7抗体と共に投与される治療薬は、抗Siglec-7抗体の投与の前あるいは後に投与されてもよい。態様によっては、抗Siglec-7抗体は、追加の治療薬と同時に投与されてもよい。
【0134】
以下の実施例は例示目的で提供されており、本発明を限定する意図ではない。当業者には自明だが、本質的に同じ結果を得るために様々な重要でないパラメータを変更または修正してもよい。
【実施例
【0135】
実施例1 腫瘍浸潤性T細胞表面でのSiglec-7の検出
Mylteni GentleMACSを用いて、製造者の指示に従ってヒト一次腫瘍試料に由来する細胞を含む試料を準備した。細胞を蛍光活性化細胞選別により分析して、生存率マーカーとしてCD3、CD8、CD16、CD45、および7-AADを含む免疫細胞表面マーカーを決定した。CD8+T細胞を7-AAD- CD45+ CD3+ CD8+として同定し、ゲートを設定した。抗Siglec-7-PE(クローンS7.7、Biolegend)を用いてSiglec-7濃度を検出した。その結果から、Siglec-7の発現の百分率(図4)と濃度(図5)が腫瘍のサブセットのCD8+腫瘍浸潤性T細胞表面で高くなっていることが判明した。
【0136】
実施例2 腫瘍細胞表面でのSiglec-7リガンドの検出
腫瘍細胞表面のリガンド濃度を評価した。組み換えSiglec-7-Fc融合タンパク質の特異的結合を用いて、新しい一次腫瘍から単離した細胞表面でのSiglec-7リガンドの濃度を評価した。特異性の対照として、0.1U/mLのシアリダーゼ/ノイラミニダーゼ(Roche)で細胞を処理して、細胞表面からシアル酸を取り除いた。その結果から、Siglec-7リガンドが腫瘍の様々なサブセットに由来する腫瘍細胞の表面で検出されたことが判明した(図6)。細胞のシアリダーゼ処理(すなわち、細胞膜からのシアログリカンの「剥ぎ取り」)により、結合が取り除かれた。
【0137】
実施例3 K が向上した抗体
Siglec-7への結合に関して抗体群を評価した。その結果から、市販の抗Siglec-7抗体に比べてK値が向上した抗Siglec-7抗体が確認された(図7)。
【0138】
実施例4 Siglec-7リガンド阻害活性を持つ抗体
濃度を高めた抗Siglec-7抗体の存在下、組換えSiglec-7-FcをA375細胞に加えて、細胞表面での複合体の結合を検出した。その結果から、抗Siglec-7抗体は、Siglec-7と様々な能力を持つA375ヒトメラノーマ細胞の表面に存在するリガンドとの相互作用を阻害することが判明した(図8)。また、この抗体は市販の抗Siglec-7抗体に対してリガンド阻害活性が向上していることが判明した。
【0139】
実施例5 Siglec-7内部移行活性を持つ抗体
抗Siglec-7抗体の濃度を高めて、一次ヒト末梢血単核球(PBMC)を24時間インキュベートし、競合しない抗Siglec-7抗体を用いてNK細胞の細胞表面に残留したSiglec-7を検出した。その結果から、抗Siglec-7抗体が様々な能力を持つ一次ヒトNK細胞表面のSiglec-7を内部移行させた(図9)ことが判明した。またこの抗体は、市販あるいは上記の抗Siglec-7抗体に比べて内部移行活性が向上していたことが判明した。モノクローナル抗体3F1を用いてヒトNK細胞表面のSiglec-7の素早い濃度依存性の抗体誘導内部移行を評価した。3F1は、市販のS7.7抗体に比べてより能力の高い内部移行活性を示した(図10)。
【0140】
モノクローナル抗体8A2の評価(図11)から、この抗体はSiglec-7/リガンド相互作用を阻害しない(左パネル)が、一次ヒト免疫細胞表面のSiglec-7の内部移行を生じさせる(右パネル)ことが判明した。
【0141】
実施例6 ヒト化配列
モノクローナル抗体16H11および8A2を用いてヒト化抗体を生成し、ヒト化内部移行抗Siglec7抗体を生成した。
【0142】
Siglec7に対する結合について16H11由来のヒト化抗体を評価した。抗体結合の結果(1価のFabの形態で測定)を表1に示す。以下の重鎖および軽鎖可変領域を持つ抗体はK値(1価のFab)が約75nM以下であった:VH438-4およびVL418-2;VH440-2およびVL418-2;VH441-2およびVL418-2;VH443-1およびVL418-2;VH444-2およびVL418-2、VH445-3およびVL418-2;VH449-4およびVL448-3;VH449-6およびVL418-2;VH387-11およびVL418-2;VH446-7およびVL418-2;VH446-7およびVL448-3;VH463-2およびVL418-2;Vh463-2およびVL448-3;FH465-17およびVL418-2;VH484-6およびVL418-2;VH484-6およびVL448-3;およびVH484-7およびVL448-3。選択した抗体AK410-1/AK418-2、AK446-7/AK418-2、およびAK446-7/AK448-3(表1のV/V対で示される)の分析によって示されるように、16H11抗Siglec-7抗体のリガンド阻害活性は保存されている。
【表1】
方法
の測定
【0143】
バイオレイヤー干渉法(ForteBio)により抗体結合分析を行った。25℃、1倍のForteBio Kinetics緩衝超純水溶液(ForteBio18-132)中でこのアッセイを行った。0.5ug/mLで抗体を抗マウス動的(kinetic)センサーで捕捉した。Siglec-7-ECDを検体として用いて、2倍希釈した50nM~1.56nMのアッセイ緩衝液で希釈した。2分間の会合を行い、10分間解離させた。対照である空の基準AHCセンサーに対する結果を求めて、ForteBio分析ソフトウェアを用いて1:1のグローバル適合パラメータで分析した。
Fortebioを用いた抗体競合
【0144】
飽和条件(1ug/mLで15分)でSiglec-7-ECD-huFcを0.5ug/mLにて抗ヒトIgG動的センサーで捕捉し、その後、結合に関して競合する抗体を試験した。他のすべての抗体に対して各抗Siglec-7抗体を2つの方法(すなわち、飽和抗体として、また競合する抗体として)で試験した。センサー表面の抗体が溶液中の抗体と競合する場合、抗原とのさらなる結合は観察されない。結合信号が観察される場合、2つの抗体が競合しないようなかたちで抗原と結合している。
リガンド阻害アッセイ
【0145】
Siglec-7に対するリガンドを高濃度で発現しているヒトメラノーマ細胞株A375を用いて、細胞系アッセイでの抗Siglec-7抗体の阻害活性を決定した。抗Siglec-7抗体の2倍連続希釈液(40nM~40pM)を10nMのSiglec-7-ECD-FcのFACS緩衝液(PBS/2%のBSA)と混合し、30分間氷上でインキュベートした。1ウェルあたり2.5×10e4のA375細胞をFACS緩衝液中の丸底の96ウェル組織培養プレートに加えて、プレートを400gで2分間遠心分離し、上澄みを除去した。細胞を100ulの抗体-Siglec-7複合体に懸濁した。1時間、氷上でインキュベートした後、細胞を2回洗浄し、FACS緩衝液中1ug/mlでAF647(Jackson IR labs)に結合させたヤギ抗ヒトF(ab’)断片と共に30分間インキュベートした。2回以上洗浄した後、細胞をPBS/2%PFAで固定し、Novocyteフローサイトメーター(ACEA biosciences)で捕捉した。APCチャネルの平均蛍光強度のプロットとPrism Graphpadソフトウェアを用いたおよび分析に基づいて、阻害に関するIC50値を決定した。
内部移行アッセイ
【0146】
健康な提供者の抹消血単核単球(PBMC)を用いて抗Siglec-7抗体の内部移行活性を決定した。上記の凍結保存したPBMCを解凍して、完全培地(10%ウシ胎児血清を補充したRPMI培地)中37℃で90分間インキュベートした。抗Siglec-7抗体の5倍連続希釈(100nM~0.01pM)を完全培地で調製した。96ウェル組織培養プレート内で細胞(1ウェルあたり5×10e4)および抗体希釈液を混合して、37℃で24時間インキュベートした。細胞をhuFc block (Becton Dickinson)のFACS緩衝液で再懸濁し、氷上で1時間、CD3-FITC、CD16-PE、および抗Siglec-7抗体4B12-AF647を含む抗体カクテルで染色した。2回の洗浄後、細胞をPBS/2%PFAで固定し、Novocyteフローサイトメーターで捕捉した。平均蛍光強度のNK細胞(CD3-CD16+としてゲートされている)表面でのAPCチャネルでの平均蛍光強度のプロットとPrism Graphpadソフトウェアを用いた分析に基づいて内部移行に関するIC50値を決定した。
一次腫瘍分析
【0147】
Mylteni GentleMACS装置を用いて製造者の指示に従って一次ヒト腫瘍試料に由来する単一細胞を調製した。細胞をhuFc block (Becton Dickinson)のFACS緩衝液で再懸濁し、 免疫細胞表面マーカー(生存率マーカーとしてCD3、CD8、CD16、CD45、および7-AADを含む)に対する複合抗体を含むカクテルを用いて染色を行った。CD8+T細胞を7-AAD- CD45+ CD3+ CD8+として同定し、ゲートを設定した。抗Siglec-7-PE(クローンS7.7、Biolegend)を用いてSiglec-7の濃度を検出した。細胞をPBS/2%PFAで固定して、Novocyteサイトメーターで捕捉した。Flowjoソフトウェア(Tristar)を用いてゲート設定および分析を行った。
【0148】
上記のリガンド阻害アッセイで記載したようにSiglec-7-ECD-Fcを用いて腫瘍細胞表面のリガンドの濃度を検出した。特異性の対照として、0.1U/mLのシアリダーゼ/ノイラミニダーゼ(Roche)で細胞を処理して、シアル酸を細胞表面から除去した。
【0149】
自明であるが、本明細書で記載する実施例および実施形態は例示のためだけであり、その観点から当業者に様々な修正または変更が示唆され、本願の精神および範囲、ならびに添付の請求項の範囲に含まれる。本明細書で引用したすべての文献、特許、受入番号、および特許出願は、引用されている文脈での目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0150】
例示的配列の表
【表2】
配列番号15 軽鎖可変領域配列(16H11);下線部はKabatおよびChothiaの両方に規定されたCDR
DIQMTQSPASLSASVGETVTITCRASGNIHNYLAWFQQKQGKSPHFLVYSAKALADGVPSRFSGSGSGTQYSLKINSLQPEDFGTYYCQHFWSSPYTFGGGTKLEIK
配列番号16 軽鎖可変領域配列(2G12);下線部はKabatおよびChothiaの両方に規定されたCDR
DIVLTQSHKFMSTSVGDRVTITCKASQDVSTAVAWYQQKPGQSPKLLIYWTSTRHTGVPDRFTGSGSGTDHTLTISSVQAEDLALYYCHQQYSTPPTFGGGTKLEIK
配列番号18 軽鎖可変領域配列(8A2);下線部はKabatおよびChothiaの両方に規定されたCDR
QIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSRVIFMYWYQQKPGSSPRLLIYDTSNLASGVPVRFSGGGSGTSYSLTISRMEAEDAATYYCQQWSSYPPTFGAGTKLELK
配列番号17 軽鎖可変領域配列(5D1);下線部はKabatおよびChothiaの両方に規定されたCDR
DIQMTQTTSSLSASLGDRVTIICRASQDISNFLNWYQQKPDGTVKLLMYDTSILQSGVPSRFSGRGSGADYSLTINNLEQEDLATYFCQQGKTLPYTFGGGTKLEIK
配列番号25 軽鎖可変領域配列(4B12);下線部はKabatおよびChothiaの両方に規定されたCDR
DIVMTQSQKFMSTSVGDRVSVTCKASQNVGTNVAWYQQKPGQSPKAVIYSASYRNSGVPDRFTGSGSGTDFTLTISNVQSEDLTEYFCQQYNNYPYTFGGGTKLEIK
配列番号29~78 16A11由来のヒト化可変領域配列:
配列番号29 ヒト化V領域386-1アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNFWISWVRQAPGQGLEWMGGIYPGDGEINYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDYWGQGTLVTVSS
配列番号30 ヒト化V領域392-3アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSNFWISWVRQAPGQGLEWMGGIYPGDGEINYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDYWGQGTLVTVSS
配列番号31 ヒト化V領域392-4アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGDFSNFWISWVRQAPGQGLEWMGGIYPGDGEINYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDYWGQGTLVTVSS
配列番号32 ヒト化V領域393-4アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNFWISWVRQAPGQGLEWMGGIIPGDGEINYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDYWGQGTLVTVSS
配列番号33 ヒト化V領域393-8アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNFWISWVRQAPGQGLEWMGGIYPIDGEINYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDYWGQGTLVTVSS
配列番号34 ヒト化V領域394-2アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNFWISWVRQAPGQGLEWMGGIYPGDGTINYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDYWGQGTLVTVSS
配列番号35 ヒト化V領域394-4アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNFWISWVRQAPGQGLEWMGGIYPGDGEANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDYWGQGTLVTVSS
配列番号36 ヒト化V領域400-5アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSSYAISWVRQAPGQGLEWMGGIYPGDGEINYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDYWGQGTLVTVSS
配列番号37 ヒト化V領域400-7アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSSFWISWVRQAPGQGLEWMGGIYPGDGEINYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDYWGQGTLVTVSS
配列番号38 ヒト化V領域400-9アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSSYWISWVRQAPGQGLEWMGGIYPGDGEINYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDYWGQGTLVTVSS
配列番号39 ヒト化V領域400-14アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNYAISWVRQAPGQGLEWMGGIYPGDGEINYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDYWGQGTLVTVSS
配列番号40 ヒト化V領域401-1アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNFWISWVRQAPGQGLEWMGGIYPGFGEINYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDYWGQGTLVTVSS
配列番号41 ヒト化V領域417-8アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNFWMNWVRQAPGQGLEWMGGIYPGDGEINYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDVWGQGTMVTVSS
配列番号42 ヒト化V領域417-17 アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNFWMNWVRQAPGQGLEWMGGIYPGDGEINYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDIWGQGTMVTVSS
配列番号43 ヒト化V領域387-11アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKGSGYDFSNFWMNWVRQAPGQGLEWMGQIYPGDGEIKYNQKFQGRVTLTADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARDDYLRAMDYWGQGTLVTVSS
配列番号44 ヒト化V領域410-1アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNFWMNWVRQAPGQGLEWMGGIYPGDGEINYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDYWGQGTLVTVSS
配列番号45 ヒト化V領域438-4アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNFWMNWVRQAPGQGLEWMGQIYPGDGEIKYNQKFQGRVTLTADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARDDYLRAMDYWGQGTLVTVSS
配列番号46 ヒト化V領域440-2アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKGSGYDFSNFWMNWVRQAPGQGLEWMGQIYPGDGEIKYNQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARDDYLRAMDYWGQGTLVTVSS
配列番号47 ヒト化V領域441-2アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKGSGYDFSNFWMNWVRQAPGQGLEWMGQIYPGDGEIKYNQKFQGRVTLTADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDIWGQGTMVTVSS
配列番号48 ヒト化V領域443-1アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKGSGYDFSNFWMNWVRQAPGQGLEWMGQIYPGDGEIKYNQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDIWGQGTMVTVSS
配列番号49 ヒト化V領域444-2アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNFWMNWVRQAPGQGLEWMGQIYPGDGEIKYNQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYFCARDDYLRAMDYWGQGTLVTVSS
配列番号50 ヒト化V領域445-3アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNFWMNWVRQAPGQGLEWMGQIYPGDGEIKYNQKFQGRVTLTADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDIWGQGTMVTVSS
配列番号51 ヒト化V領域446-7アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNFWMNWVRQAPGQGLEWMGQIYPGDGEIKYNQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDIWGQGTMVTVSS
配列番号52 ヒト化V領域447-2アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNFWMNWVRQAPGQGLEWMGQIYPGDGEINYNQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDIWGQGTMVTVSS
配列番号53 ヒト化V領域449-4アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNFWMNWVRQAPGQGLEWMGGIYPGDGEIKYNQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDIWGQGTMVTVSS
配列番号54 ヒト化V領域449-6アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKGSGYDFSNFWMNWVRQAPGQGLEWMGGIYPGDGEIKYNQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDIWGQGTMVTVSS
配列番号55 ヒト化V領域463-2アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNFWMNWVRQAPGQGLEWMGQIYPGDGEIKYNQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDYWGQGTLVTVSS
配列番号56 ヒト化V領域465-2アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNFWMNWVRQAPGQGLEWMGQIYPGDGEINYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDIWGQGTMVTVSS
配列番号57 ヒト化V領域465-17アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNFWMNWVRQAPGQGLEWMGQIYPGDGEIKYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDIWGQGTMVTVSS
配列番号58 ヒト化V領域484-6アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNYWMNWVRQAPGQGLEWMGQIYPGDGEIKYNQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDIWGQGTMVTVSS
配列番号59 ヒト化V領域484-7アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNYWMNWVRQAPGQGLEWMGQIYPGDGEIKYNQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDYWGQGTLVTVSS
配列番号60 ヒト化V領域485-4アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNFAMNWVRQAPGQGLEWMGQIYPGDGEIKYNQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDYWGQGTLVTVSS
配列番号61 ヒト化V領域485-5アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYDFSNFAMNWVRQAPGQGLEWMGQIYPGDGEIKYNQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARDDYLRAMDIWGQGTMVTVSS
配列番号62 ヒト化V領域381-1アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNYLAWYQQKPGKAPKLLLYSAKRLESGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQHFWSSPYTFGGGTKVEIK
配列番号63 ヒト化V領域390-8アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNSLAWYQQKPGKAPKLLLYSAKRLESGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQHFWSSPYTFGGGTKVEIK
配列番号64 ヒト化V領域391-1アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNYLAWYQQKPGKAPKLLLYAASRLESGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQHFWSSPYTFGGGTKVEIK
配列番号65 ヒト化V領域391-8アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNYLAWYQQKPGKAPKLLLYSASRLESGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQHFWSSPYTFGGGTKVEIK
配列番号66 ヒト化V領域395-1アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGGIHNYLAWYQQKPGKAPKLLLYSAKRLESGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQHFWSSPYTFGGGTKVEIK
配列番号67 ヒト化V領域395-4アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQNIHNYLAWYQQKPGKAPKLLLYSAKRLESGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQHFWSSPYTFGGGTKVEIK
配列番号68 ヒト化V領域396-2アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNISNYLAWYQQKPGKAPKLLLYSAKRLESGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQHFWSSPYTFGGGTKVEIK
配列番号69 ヒト化V領域418-2アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNYLAWYQQKPGKAPKFLLYSAKRLESGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQHFWSSPYTFGGGTKVEIK
配列番号70 ヒト化V領域419-2アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQNIHNYLAWYQQKPGKAPKFLLYSAKRLESGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQHFWSSPYTFGGGTKVEIK
配列番号71 ヒト化V領域421-3アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNYLAWYQQKPGKAPKFLLYSAKRLESGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQHFWSSPYTFGQGTKLEIK
配列番号72 ヒト化V領域424-1アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNYLAWYQQKPGKAPKLLLYSAKRLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQHFWSSPYTFGGGTKVEIK
配列番号73 ヒト化V領域425-3アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASGNIHNYLAWYQQKPGKAPKLLLYSAKRLEDGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQHFWSSPYTFGGGTKVEIK
配列番号74 ヒト化V領域426-2アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQNIHNYLAWYQQKPGKAPKLLLYSAKRLASGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQHFWSSPYTFGGGTKVEIK
配列番号75 ヒト化V領域427-1アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQNIHNYLAWYQQKPGKAPKLLLYSAKRLEDGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQHFWSSPYTFGGGTKVEIK
配列番号76 ヒト化V領域435-7アミノ酸配列;下線部はChothiaに規定されたCDR
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQNIHNYLAWYQQKPGKAPKFLLYSAKRLEDGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQHFWSSPYTFGGGTKVEIK
配列番号77 ヒト化V領域439-5アミノ酸配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQNIHNYLAWYQQKPGKAPKFLLYSAKRLEDGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQHFWSSPYTFGQGTKLEIK
配列番号78 ヒト化V領域448-3アミノ酸配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQNIHNYLAWYQQKPGKAPKFLLYSAKRLESGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQHFWSSPYTFGQGTKLEIK
配列番号104~107 8A2由来のヒト化可変領域配列:
配列番号104 ヒト化重鎖可変領域配列RHA;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLTTYGWSWIRQPPGKGLEWIGYIWGGGNTNYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAKHKGTSHAMEYWGQGTMVTVSS
配列番号105:ヒト化軽鎖可変領域配列RKA;下線部はChothiaに規定されたCDR
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASSRVIFLAWYQQKPGQAPRLLIYDTSNKATGVPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQWSSYPPTFGGGTKVEIK
配列番号106 ヒト化重鎖可変領域配列RHB;下線部はChothiaに規定されたCDR
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLTTYGVDWVRQPPGKGLEWIGVIWGGGNTNYNSSLKSRVTISKDTSKNQVFLKLSSVTAADTAVYYCAKHKGTSHAMEYWGQGTMVTVSS
配列番号107 ヒト化軽鎖可変領域配列RKB;下線部はChothiaに規定されたCDR
QIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASSRVIFMYWYQQKPGQSPRLLIYDTSNLATGVPARFSGGGSGTDYTLTISSLEPEDFAVYYCQQWSSYPPTFGGGTKVEIK
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【配列表】
0007342005000001.app