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特許7342012骨移植片の関節窩骨への固定およびその実装
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】骨移植片の関節窩骨への固定およびその実装
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/88 20060101AFI20230904BHJP
   A61B 17/17 20060101ALI20230904BHJP
   A61B 17/86 20060101ALI20230904BHJP
   A61F 2/40 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
A61B17/88
A61B17/17
A61B17/86
A61F2/40
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020544384
(86)(22)【出願日】2018-11-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 US2018060930
(87)【国際公開番号】W WO2019099451
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-07-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】62/585,968
(32)【優先日】2017-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500103074
【氏名又は名称】コンメッド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボスワース エイドリアン
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】村上 聡
【審判官】井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0112625(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B17/56-17/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨移植片を患者の関節窩骨の前面に固定する外科手術装置であって、
ドリルシステムと、
第一及び第二の2つの締結具と、
第一の通過縫合糸及び第二の通過縫合糸と、
第一のインプラント縫合糸及び第二のインプラント縫合糸と、
を備え、
前記ドリルシステムは、
管状の第一のドリルガイドと、
管状の第二のドリルガイドと、
前記第一のドリルガイド内を通って前記関節窩骨に第一の孔を形成できる第一のドリルビットと、
前記第二のドリルガイド内を通って前記関節窩骨に第二の孔を形成できる第二のドリルビットと、
前記第一のドリルガイド内の前記ドリルビット及び前記第二のドリルガイド内の前記ドリルビット前記第一の孔及び前記第二の孔を形成している間、前記関節窩骨を所定位置に保持するために前記関節窩骨に引っ掛かるフックと、を備え、
前記第一の締結具は、
第三の孔が形成された骨移植片の前記第三の孔を通過できる棒状の第一のコードと、
前記第一のコードの自由端であって、前記第一のインプラント縫合糸が繋がれる自由端と、
前記第一のコードの前記自由端と反対の端に取り付けられた第一のボタンであって、前記骨移植片の前記第三の孔の上に置かれる第一のボタンと、
を備え、
前記第一の通過縫合糸は、前記第一のドリルガイドを介して前記第一の孔に挿入でき、かつ、前記第一のインプラント縫合糸の一部分を捕捉でき、かつ、前記第一のインプラント縫合糸が取り付けられた前記第一の締結具を前記骨移植片とともに前記関節窩骨に向かって引っ張ることができるように構成され、
前記第二のドリルビットは、前記第二の孔から延長されることで前記関節窩骨に向かって引っ張られて前記関節窩骨に接触した前記骨移植片に第四の孔を形成できるように構成されており、
前記フックは、前記第二のドリルビットにより前記骨移植片に前記第四の孔を形成している間、前記骨移植片を前記関節窩骨に対して所定位置に保持するために、前記骨移植片まで移動して前記骨移植片に引っ掛かるように構成されており、
前記第二の締結具は、
前記第四の孔及び前記第二の孔を通過できる棒状の第二のコードと、
前記第二のコードの自由端であって、前記第二のインプラント縫合糸が繋がれる自由端と、
前記第二のコードの自由端と反対の端に取り付けられた第二のボタンと、
を備え、
前記第二の通過縫合糸は、前記第二のドリルガイドを介して前記第二の孔及び前記第四の孔に挿入でき、かつ、前記第二のインプラント縫合糸の一部分を捕捉でき、かつ、前記第二のインプラント縫合糸が取り付けられた前記第二の締結具が前記骨移植片の前記第四の孔及び前記関節窩骨の前記第二の孔を通るように前記第二の締結具を引っ張ることができるように構成され、
前記第二のボタンは、前記骨移植片の前記第四の孔の上に置かれるように構成されている、外科手術装置。
【請求項2】
前記第一のドリルガイドが下側にあり、前記第二のドリルガイドが上側にある、請求項1に記載の外科手術装置。
【請求項3】
前記第一の締結具の前記第一のコードの自由端は、前記第一のインプラント縫合糸が繋がれる開口部を含む、請求項1又は2に記載の外科手術装置。
【請求項4】
前記第一の締結具の前記前記第一のコードは、前記自由端及び前記前記第一のボタンの間にラッチセクションを有し、
前記第一の締結具は、前記前記第一のコードの前記自由端から前方に前記ラッチセクションに沿って進むことができかつ前記自由端に向かって戻るのが防止される引張ロックをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の外科手術装置。
【請求項5】
前記第二の締結具の前記第二のコードの自由端は、前記第二のインプラント縫合糸が繋がれる開口部を含む、請求項1~のいずれかに記載の外科手術装置。
【請求項6】
前記第二の締結具の前記第二のコードは、前記自由端及び前記第二のボタンの間にラッチセクションを有し、
前記第二の締結具は、前記第二のコードの前記自由端から前方に前記ラッチセクションに沿って進むことができかつ前記自由端に向かって戻るのが防止される引張ロックをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の外科手術装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年11月14日に出願された米国仮特許出願第62/585,968号に関し、その優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本開示は一般に、骨移植片を固定する外科手術装置および外科手術手技に関し、さらに特には、骨移植片を身体の背面側から関節窩骨に固定して、再発性のある肩関節不安定症を治療するための外科手術装置に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
慢性的な肩の痛みや、肩関節不安定症の一般的な原因は、再発性のある肩関節脱臼である。肩を脱臼すると、周囲の組織や骨に外傷が発生する。具体的には、肩脱臼により、関節窩骨の劣化が発生する。関節窩骨がすり減るにつれ、関節窩骨が肩を安定させる能力を失い始める。よって、再発性のある肩脱臼により、関節窩骨の欠損が起こり、次いで、肩が、その後の脱臼による影響をさらに受けやすくなる。
【0004】
肩関節不安定症を治療する、多くの従来的な外科手術手技がある。こうした一つの外科手術技術は、軟組織修復を含む。これには、関節窩を上腕腕に接続する靭帯などの、靭帯の締付けが含まれうる。しかし、関節窩骨欠損がある場合、肩の靭帯の修復は、再発性のある肩の脱臼を防止するには十分でない場合がある。脱臼の防止を組織に依存してしまうと、過剰使用によって組織を伸縮させることになり、これによって、最終的にはその後の脱臼や外傷につながりうる。その他の外科手技では、肩プロテーゼの実装が必要となる。しかしながら、肩関節置換手術は、関節炎により軟骨が失われた場合や、肩の構成要素を深刻に骨折した場合といった、より深刻な状況においてのみ推奨されることが多い。
【0005】
中間レベルである肩関節不安定症を治療するための外科手術がある。一部の技術では、烏口骨の自己移植片を関節窩骨の表面に対して固定することを必要とし、それには、烏口骨を採取する際に烏口肩峰靭帯(CAL)を分離させる必要がある。CALの分離によって肩の上腕骨の並進運動の大きさが増加する、と認める研究がいくつかある。これらの技術は、脆弱な神経および血管に近接している、身体前部の切開部を通して実施されなければならない。これらのタイプの手技はまた、骨移植片を挿入するため、肩回旋筋腱板群の四つの腱板構造のうち最も大きい、肩甲下筋を通った切開部を必要とする。
【0006】
さらに、肩関節不安定症を治療するための多くの骨移植片技術は、骨移植片を関節窩骨に固定するねじを必要とする。ねじはまた、関節窩骨に過剰な外傷および歪みを引き起こしうる。従って、当分野では、関節窩骨および周囲の軟組織に対する外傷がより少なく、神経や血管への損傷リスクがより低い、骨移植片を関節窩骨に固定する外科手術装置および方法が必要とされている。
【0007】
関連技術セクションの免責条項の説明:特定の特許/刊行物/製品がこの関連技術セクションの説明またはこの出願の他の場所で議論されている限り、これらの議論は議論された特許/刊行物/製品は特許法の目的のための先行技術であるという許可として受け取るべきではない。例えば、考察された特許/刊行物/製品の一部または全ては、時間的に十分早期でなくてもよく、時間的に十分初期に発展した主題を反映しなくてもよく、および/または特許法の目的のために先行技術なるように、十分に有効化されなくてもよい。特定の特許/刊行物が、この関連技術セクションの説明および/または出願全体を通して上記で議論されている限り、その説明/開示は参照により全て本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の実施形態は、上述のように、骨移植片を関節窩骨に固定するための従来の装置および方法において潜在的な問題および/または欠点があることを認識する。そのため、関節窩骨および周囲の軟組織に対する外傷がより少なく、近くの神経や血管への損傷リスクを大幅に低減する、骨移植片または人工インプラントを関節窩骨に固定して、前肩関節不安定症を低減する、簡略化された代替的アプローチが必要とされている。本発明のさまざまな実施形態は、本明細書に記載される潜在的な問題および/または欠点のうちの一つまたは複数を解決または減少させ得るという点で有利であり得る。
【0009】
前面関節窩骨欠損は通常、頻繁な肩の脱臼による浸食により、20%~30%の骨損失からなりうる。本明細書および以下の詳細な説明で記載および例示されているように、一実施形態において、関節鏡関節窩骨増強外科手技が提供されている。簡潔に言えば、第一のステップとして、損傷した領域をレシプロラスプを使用して切除して、治癒を促進できるよう、移植片を受け、新鮮海綿骨を露出させるための平坦な表面を作ることができる。標準関節鏡によって可視化し、アクセスポータルを作成した後、上側の、および肩峰突起により近くに作成されうる後部ポータルを除き、関節窩骨を越えるドリルガイドのフックビームが、小さな切開部を通して背面から前面に導入され、そのフック端が、関節窩骨の、事前に切除された前面に配置される。フックビームはその下側に平面に組み込むことができ、これを使用して、ドリルガイドと関節窩骨の前面との正確な回転位置合わせを可視化することができる。ドリルガイドが所望の軌道を達成すると、ドリルガイド管は、関節鏡を使用して二つの小さな切開部を通して導入され、ドリルガイド管が関節窩ネックの背面と接触するまで、軟組織を通して挿入される。ドリルガイド管はそれぞれ、別々に解除されて、自在に摺動するか、または、そのレバーを押下または解除することによって別々にロックされてもよい。設計の別の実施形態は、両方のロック機構を同時に作動させるための単一レバーを組み込んでもよい。本明細書で使用されうるACLガイドのコレットロック機構の実施例については、US5154720を参照すること。ドリルガイドは、管の端に軽い圧力を印加し、ロックレバーを解除することによって関節窩骨に固定されうる。
【0010】
次いで、両方の関節窩骨トンネルをドリルガイド管を介して開けてもよく、両方のドリルを一時的に所定位置に残して、安定性を高めることができる。その後、ドリルガイドのフックビームを取り外して、背面側に短距離だけ引き出すことができる。前上側と比較すると、前下側の関節窩領域の可視化が好ましくないため、まずは下側インプラントを挿入することが望ましい場合がある。また、第一の穴にはより短いドリルを、第二の穴にはより長いドリルを使用することが好ましい場合がある。使用するドリルが両方とも同じ長さの場合に起こるであろう、ドリルチャックまたはピンドライバヘッドが第一のドリルの近位端に当たることを防ぐため、この技術は第二の穴をドリルする場合に有益である。また、下側ドリルは、下側インプラントを挿入する次のステップの前に取り除かれることになる第一のドリルであるため、次に下側穴を開ける方法を用いることにより、チャックまたピンドライバヘッドを前後に交換する必要がなくなる。
【0011】
上述のようにそれぞれの穴が開けられた後、特殊インサータに取り付けられた拡張カニューレが、腱板疎部を通してカプセル内に挿入されてもよい。インサータが取り除かれ、拡張カニューレが配置される。拡張カニューレは、管の内側にプラスチックフィルムのロールを含むことができる。また、プラスチックフィルムのロールの挿入および配置を支援する、管内のシャフトといった第三の部品から成ってもよい。次に、下側ドリルが取り除かれうる。ループした縫合糸が装填された縫合糸通し器またはY-Knot(登録商標)インサータシャフト(例えば、US9173652参照)が、関節窩骨を通って背面側に挿入され、腱板疎部ポータル内に事前に挿入された拡張カニューレを通って取り出されうる。ピークインプラントの縫合糸の尾部は、骨ブロック移植片の、既に開けられている下側穴に通される。ピークインプラントは、円筒形シャフトよりも大きいヘッドを有する一体成形されたピークシリンダを有するジップタイから成ってもよい。インプラントは、通過縫合糸が移植片および関節窩骨を通り、ドリルガイド管を通って引き出されるように、通過縫合糸が一端に取り付けられてもよい。一次インプラント縫合糸の尾部が下側ドリルガイド管を通って引き出された後、骨ブロック移植片は、拡張カニューレを通してカプセルに通される。移植片は切除された表面に対して位置付けられ、またピークインプラントが移植片および関節窩骨を通して引き出される。ここで、移植片は、関節窩骨の関節表面と整列するまで、第一のインプラントの円筒形セクションの軸を中心に自在に回転する。次に、ドリルガイドのフックビーム先端が、移植片、および、移植片を固定するために再度取り付けられたドリルガイドの上を前進する。
【0012】
ドリルチャックまたはピンドライバは、第二のドリルビットの近位端に再度取り付けられ、既存の関節窩骨トンネルは、骨ブロック移植片の前面を通して延在する。第二のインプラントは、既に説明したように同じプロセスを使用して挿入され、ドリルガイドおよび拡張カニューレが取り除かれる。例えば、ピークロックボタンが、背面真皮まで延長するインプラントのジップタイ部分の端上に螺合される。次に、ロックボタンが背面側関節窩骨ネックに接触するまで、ロックボタンがジップタイに向かって遠位に摺動される。次に、引張装置がジップタイに取り付けられ、ロックボタンとインプラントとの間に所定の力が印加されて、所望の張力でインプラントを設定する。引張装置は、ジップタイの近位端を保持するためのいくつかの把持顎部と、ロックボタンに対して把持顎部に引張力をかけることができる機構で構成されうる。また、印加されている力の大きさの一部のインジケータも使用できる。次に、ジップタイ切断装置がジップタイに向かって摺動され、余分なジップタイをロックボタンの近位表面と同一平面で切断するために作動される。装置は回転切断作用を有してもよく、それによって、ジップタイストラップが装置の先端にあるスロットを通過し、内側ブレイドがそのスロットに対して回転して、ジップタイを切断する。
【0013】
本開示はまた、肩関節不安定症を改善するための装置の発明構成、構造、および結果として生じる機能に関する。本明細書の様々な実施形態は、肩関節不安定症を改善するための装置に関し、第一の表面と第二の表面とを有する骨ブロックであって、骨ブロックの第二の表面が骨部材の第一の側面上に配置された骨ブロックと、骨ブロックと骨部材の両方を通って延在する孔と、自由端と、反対端に固定されたボタンと、その間にラッチセクションを有するコードを有する締結具であって、ボタンが骨ブロックの第一の表面上に置かれ、自由端が骨部材の第二の側面を通って延在するように、コードが骨を通って延在する締結具と、コードの自由端からボタンに向かって摺動するよう構成された引張ロックであって、ロックされた位置にあると、引張ロックがラッチセクションに固定される、引張ロックと、を備える、関節不安定症を改善するための装置を含むが、これに限らない。
【0014】
代替的実施形態によると、関節窩骨上に骨ブロックを埋め込む方法は、第一の表面と第二の表面とを有する骨ブロックであって、骨ブロックの第二の表面が骨部材の第一の側面上に配置された骨ブロックと、骨ブロックと関節窩骨の両方を通って延在する孔と、自由端と、反対端に固定されたボタンと、その間にラッチセクションを有するコードを有する締結具と、コードの自由端からボタンに向かって摺動するよう構成された引張ロックとを提供することと、ボタンが骨ブロックの第一の表面上に置かれ、コードの自由端が関節窩骨の第二の側面から延びるまで、骨を通してコードを引っ張ることと、関節窩骨の第二の側面に向かってコードの自由端上に引張ロックを摺動させることと、ラッチセクションでコードに沿って引張ロックを固定することと、のステップを含むがこれらに限らない。
【0015】
別の態様では、関節窩骨上に骨ブロックを移植するための方法は、関節窩骨を貫通する第一の孔と第二の孔とを開けることと、骨ブロックを貫通する第三の孔を開けることと、自由端と、反対端に固定されたボタンと、その間にラッチセクションとを有するコードを有する締結具をインプラント縫合糸を有する第三の孔に固定することと、腱板疎部内に管を注入することと、締結具に固定された骨ブロックを、インプラント縫合糸によって腱板疎部内に配置することと、締結具のボタンが骨ブロック上に置かれ、コードの自由端が第一の孔を通って延びるまで、第一の孔を通してインプラント縫合糸を引っ張ることと、のステップを含むがこれらに限らない。
【0016】
一つまたは複数の実施形態の詳細は、下記の図面および添付図面に記載されている。本発明のその他の目的および利点は、以下に記述される実施形態を参照して明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明は、添付図面と併せて以下の詳細な説明を読むことにより、より完全に理解され、評価される。添付の図面は、開示された主題の典型的な実施形態のみを示しており、従って、開示された主題は他の同等に有効な実施形態を認め得るため、その範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【0018】
ここで添付図面を簡単に参照する。
【0019】
図1A図1Aは、骨ブロックの例示的実施形態の斜視図の略図である。
図1B図1Bは、実施形態の締結具の例示的実施形態の斜視図の略図である。
図2A図2Aは、骨ブロックを受ける準備ができた、関節窩骨の例示的実施形態の斜視図の略図である。
図2B図2Bは、骨ブロックを受ける準備ができた、関節窩骨の例示的実施形態の斜視図の略図である。
図3図3は、実施形態の、身体の背面から貫通させて関節窩骨に取り付けられたドリルシステムの例示的実施形態の斜視図の略図である。
図4図4は、実施形態の、ドリルビット上に位置付けられた測定装置の例示的実施形態の斜視図の略図である。
図5A図5Aは、実施形態の、骨ブロック上に位置付けられた測定装置の例示的実施形態の斜視図の略図である。
図5B図5Bは、実施形態の、測定インジケータを有するドリル治具にクランプされた骨ブロックの例示的実施形態の斜視図の略図である。
図6図6は、実施形態の図1Bの締結具および図1Aの骨ブロックに固定されたインプラント縫合糸の例示的実施形態の斜視図の略図である。
図6A図6Aは、実施形態の、縫合糸通し器を用いて骨ブロックに縫合糸を通す方法の一部を示す写真である。
図6B図6Bは、実施形態の、縫合糸通し器を用いて骨ブロックに縫合糸900を通す方法の一部を示す写真である。
図6C図6Cは、実施形態の、縫合糸通し器を用いて骨ブロックに縫合糸900を通す方法の一部を示す写真である。
図6D図6Dは、実施形態の、縫合糸通し器を用いて骨ブロックに縫合糸900を通す方法の一部を示す写真である。
図6E図6Eは、実施形態の、縫合糸通し器を用いて骨ブロックに縫合糸を通す方法の一部を示す写真である。
図6F図6Fは、実施形態の、縫合糸通し器を用いて骨ブロックに縫合糸を通す方法の一部を示す写真である。
図6G図6Gは、実施形態の、縫合糸通し器を用いて骨ブロックに縫合糸を通す方法の一部を示す写真である。
図6H図6Hは、実施形態の、縫合糸通し器を用いて骨ブロックに縫合糸を通す方法の一部を示す写真である。
図7図7は、実施形態の拡張カニューレシステムの例示的実施形態の斜視図の略図である。
図8図8は、実施形態の、腱板疎部を貫通して挿入された図7の拡張カニューレシステムの斜視図である。
図9図9は、実施形態の、図7の拡張カニューレシステムによって腱板疎部内に置かれたフィルムのロールの斜視図である。
図10図10は、ドリルガイドを介して関節窩骨の孔を通して挿入された通過縫合糸の例示的実施形態の拡大図である。
図11図11は、実施形態の、図9のフィルムのロール内に置かれた、図6の接続されたインプラント縫合糸、骨ブロック、および締結具の斜視図である。
図12図12は、実施形態の、骨ブロックおよび関節窩骨の孔を通して締結具を引っ張るインプラント縫合糸の拡大図である。
図13図13は、実施形態の、骨ブロックおよび関節窩骨の孔内にある締結具の拡大図である。
図14図14は、実施形態の、ドリルシステムによって作られた骨ブロックの第二の孔の側面図である。
図15図15は、実施形態の、骨ブロックおよび関節窩骨の第一および第二の孔内に固定された第一および第二の締結具の拡大図である。
図16図16は、引張ロックの例示的実施形態が実施形態のインプラント縫合糸に沿って往復した関節窩骨の背面図である。
図17図17は、実施形態の締結具のコードに固定された引張ロックの後方拡大図である。
図18図18は、実施形態の、コードの余剰部分が取り除かれた引張ロックの後方拡大図である。
図19A図19Aは、半分解図のドリル組立品、骨ブロック、および締結具の斜視図であり、実施形態の関節窩骨に関して、システムの多くの部分をまとめて示している。
図19B図19Bは、半分解図のドリル組立品、骨ブロック、および締結具の斜視図であり、関節窩骨に関して、システムの多くの部分をまとめて示している。
図20A図20Aは、実施形態の骨ブロック移植片を採取し、準備する方法の一部を示す写真である。
図20B図20Bは、実施形態の骨ブロック移植片を採取し、準備する方法の一部を示す写真である。
図20C図20Cは、実施形態の骨ブロック移植片を採取し、準備する方法の一部を示す写真である。
図20D図20Dは、実施形態の骨ブロック移植片を採取し、準備する方法の一部を示す写真である。
図21A図21Aは、実施形態の骨ブロック移植片を採取し、準備する方法の一部を示す写真である。
図21B図21Bは、実施形態の骨ブロック移植片を採取し、準備する方法の一部を示す写真である。
図21C図21Cは、実施形態の骨ブロック移植片を採取し、準備する方法の一部を示す写真である。
図21D図21Dは、実施形態の骨ブロック移植片を採取し、準備する方法の一部を示す写真である。
図21E図21Eは、実施形態の骨ブロック移植片を採取し、準備する方法の一部を示す写真である。
図21F図21Fは、実施形態の骨ブロック移植片を採取し、準備する方法の一部を示す写真である。
図22A図22Aは、実施形態の、締結具のラッチセクションの歯の間の溝の間に配置された引張ロックの断面図を示す写真である。
図22B図22Bは、実施形態の、締結具のラッチセクションの歯の間の溝内に配置された引張ロックの断面図を示す写真である。
【0020】
該当する場合、同一の参照文字は、別段の表示がない限り、いくつかの図を通して同一または対応する構成要素および単位を指し、正確な縮尺ではない。さらに、本明細書に開示される実施形態は、いくつかの図のうちの一つまたは複数、または、いくつかの図を組み合わせて生じる要素を含みうる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の態様および特定の特徴、利点、およびその詳細は、添付図面に図示した非限定的な例を参照しながらより完全に説明される。本発明を不必要に不明瞭にしないよう、周知の構造の説明は省略される。しかしながら、本発明の態様を示しつつ、詳細な説明および特定の非限定的な例は、例示のみによって与えられ、限定されるものではないことが理解されるべきである。本発明の主な概念の精神および/または範囲内で、さまざまな置換、修正、追加、および/または配置は、本開示から当業者に明らかであろう。
【0022】
ここで図面を参照すると、同一の参照番号が全体を通して同一の部品を指し、図1Aには、肩に埋め込む骨ブロック100の例示的実施形態の斜視図の略図を示す。骨ブロック100は外科手術移植片システムの一部であり、外科手術移植片システムには、図1Bに示す締結具300も含まれる。再度図1Aを参照すると、骨ブロック100は、自己移植片、同素移植片、または人工および生体適合性インプラントであってよい(本開示のレビューと併せて当業者に理解されるだろう)。一実施形態では、骨ブロック100は骨盤腸骨稜から採取される。図示された実施形態の骨ブロック100は、丸みのある前部側102および平坦な後部側104を有するように形成され、関節窩骨に略嵌合し、且つ、関節窩骨に合わせてサイズ決めされ、位置付けされうる(本開示のレビューと併せて当業者に理解されるだろう)。骨ブロック100が移植されるとき、後部側104が関節窩骨と接触するため、骨ブロック100と関節窩骨との間において実質的に完全に同一平面での接続が促進されるよう、後部側104は平坦である。
【0023】
ここで図1Bを参照すると、関節窩骨上に骨ブロック100を移植するための締結具300の例示的実施形態の斜視図の略図が示されている。締結具300は、ラッチセクション304を有するコード302を含む。図示した実施形態では、ラッチセクション304がコード302の大部分を占めるが、その他の実施形態では、ラッチセクション304はコード302の大部分を占めない。締結具300は、コード302の一方の端に取り付けられたボタンヘッド306をさらに含み、これは、コード302の残りの部分よりも大きな領域を有してもよい(有さなくてもよい)。コード302の反対側の自由端は、縫合糸材料を受けるように構成された開口部308を含む。本開示のレビューと併せて当業者によって理解されるであろうとおり、締結具300の実施例はジップタイであってもよい(例えば、PEEKおよび/またはPEG材料などの任意の生体適合性材料から成る)。ジップタイの実施形態は以下でさらに考察され、その機能性および部分的構造は図22Aおよび図22Bに図示されており、引張ロック310が締結具300のラッチセクション304の歯の間の溝の間に位置付けられる場合(図22A)、および、締結具300のラッチセクション304の歯の間の溝内に位置付けられている場合(図22B)が示されている。
【0024】
図1Bをさらに参照すると、コード302の自由端は、引張ロック310を受けるように適合される。使用時には、コード302の自由端は、引張ロック310を通して供給される。引張ロック310の特徴部がラッチセクション304にひっかかり、引張ロック310がコード302の自由端に向かって戻るのを防止する。よって、引張ロック310は、ラッチセクション304に沿ってボタン306に向かってさらに進むことはできるが、反対方向に引き戻すことはできない。そのため、引張ロック310は、ボタン306と引張ロック310との間でコード302上の対象物を効率的にロックできる。
【0025】
ここで図2Aおよび図2Bを参照すると、骨ブロック100を受けるために準備された関節窩骨200の例示的実施形態の斜視図が示されている。骨ブロック100が関節窩骨200に埋め込まれる前に、関節窩骨200を準備することが好ましい。準備には、関節窩骨200の表面202から軟組織を取り除くことを含みうる。これは、組織エレベータまたはリベレータ203(図2Aを参照)などのツールで達成されうる。レスプロラスプ204で表面202をさらに平坦化してもよい(図2Bを参照)。関節窩骨200上の領域を滑らかで平坦にする(例えば、表面を正方形に区切る)ことにより、骨ブロック100の後部側104との接触がより良好となり、経時的な互いの融合を促進する。
【0026】
図3を参照すると、関節窩骨200に取り付けられたドリルシステム400の例示的実施形態の斜視図が示されている。骨ブロック100を埋め込むとき、骨ブロック100を関節窩骨200に固定する必要があるため、骨ブロック100と関節窩骨200の両方が、図1Bに示すような締結具300を受けるよう準備されなければならない。一実施形態では、ドリルシステム400は身体の背面から入り、関節窩骨200に取り付けられる。図示した実施形態のドリルシステム400は、取り外し可能なクランプビームまたはフック402および二つのドリルガイド404を含む。フック402は、ドリルガイド404内のドリルビットが関節窩骨200に孔を形成している間、関節窩骨200を所定位置に保持するために使用される。
【0027】
図3に示す実施形態では、ドリルシステム400は、関節窩骨200を貫通する二つの孔を開けるために使用される。二つの孔は、関節窩骨の背面側206から開けられる。背面からの穴開けは、身体の前面から穴開けするよりも安全である。身体の背面から穴開けすると、ドリルは、身体の前面から穴開けする場合に損傷される可能性のある神経や血管を回避する。よって、関節窩骨200の背面側206から穴開けすることにより、患者のさらなる外傷を回避する。
【0028】
関節窩骨200を通して二つの孔がドリルされると、ドリルガイドフック402が取り除かれ(例えば、旋回させる、または背面側に引っ張ることにより)、ドリルおよびドリルガイド404は所定位置に残される。次に、図4を参照すると、測定ゲージ装置/パドル500を使用して、下側ドリルガイド404aによって作られた下側孔の内側の距離を測定する。図5Aおよび図5Bを参照すると、測定ゲージ装置/パドル500または測定インジケータ付きのドリル治具600を使用して、図4の測定装置500から得られた測定値が骨ブロック100に移される。測定値が移されたら、骨ブロック100を通して、関節窩骨200の下側孔に一致する単一の孔が開けられる。このステップ後、骨ブロック100および関節窩骨200の準備が完了する。
【0029】
ここで図6を参照すると、締結具300上に繋がれた骨ブロック100の例示的実施形態の斜視図が示されている。一実施形態では、インプラント縫合糸700aを使用して、骨ブロック100が締結具300に接続されている。インプラント縫合糸は、締結具300の自由端の開口部308を通して繋がれ、骨ブロック100上の孔を通して繋がれている。インプラント縫合糸700aは、従来的な方法により、締結具300および骨ブロック100に固定されてもよい。しかしながら、図示された実施形態では、インプラント縫合糸700は、インプラント縫合糸700aの尾部702aが骨ブロック100の後部側104から延びるように、骨ブロック100に固定される。図6A図6Dを参照すると、縫合糸通し器を用いて縫合糸900を骨ブロックに通す、連続するステップを示し、図6E図6Hは、締結具300(例えば、ジップタイ)で骨ブロックを固定する連続的なステップを示す。
【0030】
上述し、図6に示すように、骨ブロック100はインプラント縫合糸700aに繋がれ、これはまた、締結具300の開口部308を通して繋がれている。骨ブロック100を埋め込みやすくするため、拡張カニューレシステム800を使用してもよい。図7に示す拡張カニューレシステム800の実施形態は、中にカニューレ804を有するインサータ802を含む。インサータ802には、プラスチックフィルム806またはその他の類似材料のロールを装填することができる。プラスチックフィルム806のロールがインサータ802内に配置されたら、図8に示すように、拡張カニューレシステム800を腱板疎部に装填することができる。図8に示す実施形態では、ドリルシステム400は、拡張カニューレシステム800が腱板疎部を通して挿入される間、関節窩骨200内の所定位置に保持される。次に、拡張カニューレシステム800は、図9に示す通り、フィルム806のロールが腱板疎部に装填されないように配置される。インサータ802およびカニューレ804が取り外されると、フィルム806のロールが腱板疎部内で摺動してほぐれ、中に管を形成する。
【0031】
次に図10を参照すると、次のステップでは、通過縫合糸900が、関節窩骨200の下側孔を通る下側ドリルガイド404aを介して、背面から挿入される。通過縫合糸900を挿入するために使用されるツールの例は、ConMed(商標)社製のY-Knot(商標)縫合糸アンカードライバである。通過縫合糸900は、関節窩骨200に対して骨ブロック100を所定位置に引っ張るのを支援することができる。ここで図11~13を参照すると、関節窩骨200に対する骨ブロック100の埋込みの斜視図が示されている。図11に示すように、骨ブロック100および第一の締結具300aに接続さされたインプラント縫合糸700が、フィルム806のロールに挿入される。次に、通過縫合糸900を使用して、インプラント縫合糸700aの尾部702aを回収する。
【0032】
インプラント縫合糸700aの尾部702aを掴んだら、図12に示すように、通過縫合糸900を使用して、骨ブロック100および取り付けられた第一の締結具300a(ジップタイ、またはボタンヘッド306aに取り付けられた縫合糸(PEEKおよび/またはPEGなどの生体適合性材料から作製される)であってもよい)を、フィルム806のロールを通って、関節窩骨200に向かって引っ張る。ここで図13を参照すると、骨ブロック100が関節窩骨200に対して同一平面になり、図12に示したように、(関節窩骨200に対して)角度のある位置から所定位置に旋回されるまで、通過縫合糸900およびインプラント縫合糸700をしっかり引っ張る。この位置では、ボタン306aが骨ブロック100の孔の上の前部側に置かれるように、第一の締結具300aのコード302が関節窩骨200の孔を通って延在する。図11図13に示す実施形態では、第一の締結具300aは、第一の締結具300aが骨ブロック100および関節窩骨200の孔を通って引っ張られる場合に、第一の締結具300aのコード302が実質的に垂直な位置から実質的に水平な位置へと曲がることができるように、丈夫だが可撓性のある材料から成る。このような材料の例は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)および/またはポリエチレングリコール(PEG)である。
【0033】
また、図13に示すように、骨ブロック100は通過縫合糸900上で張力によって一時的に所定位置に保持されているため、ドリルシステム400のフック402を再び用いて、骨ブロック100を関節窩骨200に対して所定位置に保持する。ここで図14を参照すると、上側ドリルガイド404bを使用して、骨ブロック100の第二の上側孔を開ける。関節窩骨200の上側孔は、骨ブロック100の第二の上側孔まで延在する。本手技のこのステップにより、関節窩骨200の孔と骨ブロック100の孔の位置合わせが向上する。骨ブロックを埋め込む従来の方法では、関節窩骨に沿って位置合わせする前に、骨ブロックを貫通する二つの孔を開ける必要がある。従来の方法で正確な位置合わせを達成するには、注意を払い、正確な測定が求められる。細心の注意を払っても、外科手術の設定に正確な測定値がきちんと移されない場合があり、周囲の組織、骨の形状、およびその他の周囲条件が不整列を引き起こす場合がある。図14に示す実施形態では、骨ブロック100の第二の孔を作製するための測定値を必要としない。
【0034】
第二の上側孔が骨ブロック100に開けられた後、通過縫合糸900がそれを通って延び、第二の締結具300bに接続された第二のインプラント縫合糸700bの尾部702bを回収することができる。同様に、第一の締結具300aに関して上述したように、第二の締結具300bは、図8図12に示すステップの後、第二の締結具300bのボタン306bが骨ブロック100に対して置かれるまで、骨ブロック100および関節窩骨200の両方の第二の孔を通って引っ張られる。図15に示すように、縫合糸700a、bの両方にかかる張力によって締結具300a、bが所定位置に保持されており、ドリルフック402が取り外され、ドリルガイド404が取り外される。
【0035】
ここで図16を参照すると、ドリルシステム400が取り外されると、引張ロック310a、bが、締結具300a、bの自由端までそれぞれのインプラント縫合糸700a、bを通して下ろされる。締結具300a、bのそれぞれのコード302は、引張ロック310a、bを通して供給される。引張ロック310a、bは、コード302のラッチセクション304に沿って進むことができ、引張ロック310a、bの特徴部がコード302上で捉える。引張ロック310a、bが、ラッチセクション304に沿って、締結具300a、bのそれぞれのボタン306a、bに向かってさらに進むにつれ、骨ブロック100は、関節窩骨200に対してより強固に保持され、それによって骨ブロック100を所定位置に固定する。
【0036】
引張ロック310a、bは、関節窩骨200に骨ブロック100を保持する所望の力が得られるまで、ラッチセクション304にさらに螺合されうる。さらに、図17の実施形態に示すように、ボタン306a、bは、骨ブロック100の前部側の孔を囲み、引張ロック310a、bは関節窩骨200の背面側の孔を囲む。図17に示す実施形態では、コード302の余剰部分は、引張ロック310a、bの後部から延びる。これらの部分は、図18に示す通り、引張ロック310a、b内に固定されたコード302が、テンションロック310a、bと同一平面になるように切断されうる。これにより、さらなる外傷、不快感、および回復時間の延長を引き起こす可能性がある、関節窩骨200を囲む余分な材料が確実になくなる。
【0037】
骨ブロック移植片100を採取および準備する方法の実施形態は、図20A図20D(骨移植片の採取を示す)および図21A図21D(骨ブロックの作製および測定を示す)と併せて以下に説明される。
【0038】
移植片採取ツール(本開示のレビューと併せて当業者によって理解されるであろう)は、自己移植片の場合は患者の腸骨稜上に、同素移植片の場合はドナーの腸骨稜骨部分に、クランプ機構を取り付けることによって位置付けられ、固定される。同素移植片の遠位脛骨は移植片として使用することができるが、これは異なる切断ジグを必要とする場合がある。これは、例えば、遠位脛骨のドナーの骨部分を保持するよう構成されたクランプと、米国特許第10034778号に記載されている半月板移植システムに類似した、二つの切断フェンスを含んでもよい。
【0039】
正確に形状付けられサイズ決めされた立方骨形状の移植片はさらに、振動矢状鋸付きの採取ツールに一体化した切断ガイドスロットに沿わせることによって、患者またはドナーの骨部分から切断されうる。生成された移植片は通常、高さ10mm、長さ25mmであり、元の腸骨稜の厚さと等しい。つまり、立方骨形状の移植片の三つの側面は、矢状鋸、すなわち、二つの端および一つの長い側面で切断されるが、残りの三つの表面は、未接触の天然外皮である。次いで、移植片が採取ツールから取り除かれうる。移植片の横方向の凹状皮膚表面は、外科手術用ペンで印付けられており、これによって、関節窩骨の横方向の凹面と正しく配向されることを確実にする。
【0040】
移植片ドリル治具(図5および上記にさらに示され、説明されている)は、摺動目盛りの左手側または右手側の停止部を回転させることによって、左肩または右肩の修復手技のための移植片の穴開けに適合するよう位置付けられうる、調節可能な端停止部を組み込むことができる。端停止旋回点は、測定インジケータが印付けられた摺動目盛りの近位端に取り付けられる。目盛りは、ベースプレートに強固に取り付けられた固定ブロックに形成されたスロット内で直線的に摺動してもよい。目盛りは、測定インジケータ毎に所望の位置でロックされうる。ドリル治具はまた、直線的に摺動できる反対側のブロックを特徴とし、穴開けの間に移植片を固定するために所定位置にロックされうる。ドリルジグは、「左」および「右」(または類似したもの)とレーザーでマークされて、端停止部の設定に必要な側面を明確に示すことができ、また、固定されたブロックは、移植片の、事前に印付けされた横方向/凹面の表面の正しい配向を支援するために「横方向/凹面」とレーザーでマークされてもよい。端停止部の旋回点の中心は同軸の貫通穴を有してもよく、この貫通穴は、調節可能な目盛りで設定された凹面から所定の距離で、且つ、調節可能な端停止部で設定された移植片の端から所定の固定オフセットで、移植片を通す穴の穴あけを制御するドリルブッシングを形成する。ドリルは、ドリル先端から所定の距離に、停止カラーを含みうる。この距離は、ドリルブッシングの対応する寸法と一致するように予め設定されて、ドリルが移植片を完全に貫通するために移動しなければならない正確な深さを制御することができる。
【0041】
上述のドリル治具が正しく調節された後、単一の一次穴が移植片に開けられてもよい。治具のマーキングは、手技における後のステップの間、移植片の前下方の可視化を改善させるため、移植片の下側端に一次穴を開けるようユーザを誘導するように配置される。下記に詳述されるように、移植片はここで、関節窩骨の準備を待つ。
【0042】
本明細書において様々な発明的実施形態が記述され、例示されてきたが、当業者は、本明細書に記載の機能を実施および/または結果および/または利点の一つ以上を得るためのさまざまな他の手段ならびに/あるいは構造を容易に想起するであろうし、そのような変形および/または変更の各々は、本明細書に記載の発明的実施形態の範囲内であると見なされる。より一般的に、当業者は、本明細書に記載されるすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が、例示的であり、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、教示が使用される一つ以上の特定の用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載される特定の実施形態に対する多数の同等物を単に通常の実験を用いて認識することができ、または確認することができる。したがって、前述の実施形態は、単に例示的なものとして提示されており、添付した請求項およびその等価物の範囲内で、具体的に記載され、請求される以外のその他の方法で、実施形態を実行できることが理解されよう。本開示の実施形態は、本明細書に記載される個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。さらに、こうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、二つ以上のこうした特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせが、本開示の範囲内に含まれる。
【0043】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。用語「含む(comprise)」(および「含む(comprises)」や「含む(comprising)」などのcompriseの任意の形式)、「有する(have)」(および「有する(has)」や「有する(having)」などのhaveの任意の形式)、「含む(include)」(および「含む(includes)」や「含む(including)」などのincludeの任意の形式)、および「包含する(contain)」(および「包含する(contains)」や「包含する(containing)」などのcontainの任意の形式)は、オープンエンドのリンク動詞であることがさらに理解されるだろう。結果として、一つまたは複数のステップまたは要素を「含む(comprise)」、「有する(have)」、「含む(include)」または「包含する(contain)」方法または装置。同様に、一つまたは複数の特徴を「含む(comprise)」、「有する(have)」、「含む(include)」または「包含する(contain)」方法のステップ、または装置の要素は、それら一つまたは複数の特徴を有するが、それらの一つまたは複数の特徴のみを保持することに限定されない。さらに、特定の方法で構成される装置または構造は、少なくともそのように構成されるが、リストされていない方法で構成することもできる。
【0044】
以下の特許請求の範囲の全ての手段またはステッププラス機能要素の対応する構造、材料、行為および同等物は、もしあれば、具体的に請求される他の特許請求の要素と組み合わせて、機能を実行するための構造、材料または行為を含むことを意図している。本発明の説明は、例示および説明の目的で提示されてきたが、本発明に開示された形態で網羅的または限定されるものではない。多くの修正および変形は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。実施形態は、本発明の一つまたは複数の態様の原理および実際の応用を最もよく説明し、当業者が、考えられる特定の用途に適したさまざまな修正を有するさまざまな実施形態について本発明の一つまたは複数の態様を理解できるように選択および説明された。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図20C
図20D
図21A
図21B
図21C
図21D
図21E
図21F
図22A
図22B